(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101193
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240722BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240722BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240722BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240722BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240722BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 330
F21V5/04 600
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005011
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】柏木 章宏
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203HA74
(57)【要約】
【課題】光利用効率に優れるプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、光源と、カラーフィルターを有し、光源から射出される光を変調し、カラー画像光を生成する光変調素子と、光源と光変調素子との間に設けられ、光源から射出される光が入射する第1光学系と、第1光学系と光変調素子との間に設けられ、第1光学系から射出される光が入射する第2光学系と、カラー画像光を投写する投写光学装置と、を備える。第1光学系は、光源から射出される光が入射する第1レンズ部を有し、第1レンズ部から射出される光の発散角を、第1レンズ部に入射する光の発散角よりも小さくする。第2光学系は、第1レンズ部から射出される光が入射する第2レンズ部と、第2レンズ部から射出される光が入射する第3レンズ部と、を有し、第3レンズ部から射出される光の光束幅を、第2レンズ部に入射する光の光束幅よりも大きくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する光源と、
カラーフィルターを有し、前記光源から射出される前記光を画像情報に基づいて変調し、カラー画像光を生成する光変調素子と、
前記光源と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記光源から射出される前記光が入射する第1光学系と、
前記第1光学系と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記第1光学系から射出される前記光が入射する第2光学系と、
前記光変調素子から射出される前記カラー画像光を投写する投写光学装置と、
を備え、
前記第1光学系は、
前記光源から射出される前記光が入射する第1レンズ部を有し、
前記第1レンズ部から射出される前記光の発散角を、前記第1レンズ部に入射する前記光の発散角よりも小さくし、
前記第2光学系は、
前記第1レンズ部から射出される前記光が入射する第2レンズ部と、前記第2レンズ部から射出される前記光が入射する第3レンズ部と、を有し、
前記第3レンズ部から射出される前記光の光束幅を、前記第2レンズ部に入射する前記光の光束幅よりも大きくする、プロジェクター。
【請求項2】
前記第2光学系の光軸に垂直な仮想面内において互いに直交する方向を第1方向および第2方向としたとき、
前記第2光学系から射出される前記光の前記光軸に垂直な断面形状は、長軸と短軸とを有し、
前記光変調素子の有効表示領域の形状は、長辺と短辺とを有する長方形状であり、
前記光変調素子に入射する前記光は、前記長軸および前記長辺の方向が前記第1方向および前記第2方向のいずれか一方に対応し、前記短軸および前記短辺の方向が前記第1方向および前記第2方向のいずれか他方に対応する、請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第1レンズ部は、第1シリンドリカルレンズと、第2シリンドリカルレンズと、を備え、
前記第1シリンドリカルレンズは、前記第1方向および前記第2方向のいずれか一方に正のパワーを有し、
前記第2シリンドリカルレンズは、前記第1方向および前記第2方向のいずれか他方に正のパワーを有する、請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記第1シリンドリカルレンズと前記第2シリンドリカルレンズとは、一体の部材で構成されている、請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第2光学系の前記第1方向におけるパワーと、前記第2光学系の前記第2方向におけるパワーとは、互いに異なる、請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記第1レンズ部は、前記光源から射出される前記光を平行化するコリメーターレンズを備える、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記光源の発光面と前記コリメーターレンズの主点との距離は、前記コリメーターレンズの焦点距離よりも短い、請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記光源の発光面と前記コリメーターレンズの主点との距離は、前記コリメーターレンズの焦点距離と等しく、
前記第2レンズ部と前記第3レンズ部とは、アフォーカル光学系を構成する、請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記第2レンズ部は、負のパワーを有する凹レンズを備え、
前記第3レンズ部は、正のパワーを有する凸レンズを備える、請求項8に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
光変調素子として1枚の液晶パネルを用いたプロジェクター、いわゆる単板式のプロジェクターが従来から知られている。下記の特許文献1に、光源と、テーパー状のリフレクターと、コリメーターレンズと、液晶パネルと、集束レンズと、ミラーと、イメージングレンズと、を備えるプロジェクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第212515320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光ダイオード(LED)等の固体光源をプロジェクターに用いる場合、LEDの発光面は、一般的に液晶パネルのサイズよりも小さい。したがって、光源から射出される光を液晶パネルに入射させる際に光束幅を拡大する拡大光学系を用いる必要がある。特許文献1のプロジェクターにおいては、拡大光学系としてリフレクターが用いられている。すなわち、光源から射出される光は、リフレクターの内部で反射した後、光束幅が拡大した状態で液晶パネルに入射する。しかし、この構成では、光源の見掛け上の面積が大きくなることに伴い、光源の見掛け上のエテンデューが大きくなる。このため、リフレクターの後段の光学系における光の損失が大きくなり、光の利用効率が低くなる、という課題がある。エテンデューは、光源の発光面積と光の発散角との積で表され、光学系における光利用効率を評価するための一つの指標である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様のプロジェクターは、光を射出する光源と、カラーフィルターを有し、前記光源から射出される前記光を画像情報に基づいて変調し、カラー画像光を生成する光変調素子と、前記光源と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記光源から射出される前記光が入射する第1光学系と、前記第1光学系と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記第1光学系から射出される前記光が入射する第2光学系と、前記光変調素子から射出される前記カラー画像光を投写する投写光学装置と、を備える。前記第1光学系は、前記光源から射出される前記光が入射する第1レンズ部を有し、前記第1レンズ部から射出される前記光の発散角を、前記第1レンズ部に入射する前記光の発散角よりも小さくする。前記第2光学系は、前記第1レンズ部から射出される前記光が入射する第2レンズ部と、前記第2レンズ部から射出される前記光が入射する第3レンズ部と、を有し、前記第3レンズ部から射出される前記光の光束幅を、前記第2レンズ部に入射する前記光の光束幅よりも大きくする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図2】従来のプロジェクターの問題点を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態のプロジェクターにおける光変調素子への光の入射角度分布を示す図である。
【
図4】従来のプロジェクターにおける光変調素子への光の入射角度分布を示す図である。
【
図5】第2実施形態のプロジェクターの概略構成図であって、X軸方向から見た図である。
【
図6】第2実施形態のプロジェクターの概略構成図であって、Y軸方向から見た図である。
【
図8】第1レンズ部の構成の一例を示す斜視図である。
【
図9】第1レンズ部の構成の他の例を示す斜視図である。
【
図10】第3実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図11】第4実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図12】第5実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示す場合があり、各構成要素の寸法の比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン等の被投写面上にカラー画像を表示する投写型画像表示装置である。
【0009】
図1は、本実施形態のプロジェクター10の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター10は、光源11と、第1光学系12と、第2光学系13と、光変調装置14と、集光光学系15と、ミラー16と、投写光学装置17と、を備える。
【0010】
以下の説明では、必要に応じてXYZ直交座標系を用いる。X軸は、プロジェクター10の上下方向に沿う軸である。Y軸は、プロジェクター10の画像投写方向に沿い、プロジェクター10の前後方向に沿う軸である。Z軸は、プロジェクター10の左右方向に沿い、X軸およびY軸に直交する軸である。プロジェクター10における各部材の配置や形状を説明する際に、画像投写側からプロジェクター10を正面視した際の高さに相当するX軸方向と平行な方向を上下方向と称し、画像投写側からプロジェクター10を正面視した際の横方向に相当するZ軸方向と平行な方向を左右方向と称し、画像投写側からプロジェクター10を正面視した際の奥行に相当するY軸方向と平行な方向を前後方向と称する場合がある。これらの表記は、プロジェクター10の各構成部材の配置関係を説明するための定義であり、プロジェクター10の設置姿勢や方向を限定するものではない。
【0011】
本実施形態のプロジェクター10において、光源11から射出される光Lの主光線に沿い、光変調装置14の中心を通り、Z軸に平行な軸を第1光軸AX1と定義する。投写光学装置17の光軸に沿い、Y軸に平行な軸を第2光軸AX2と定義する。
【0012】
光源11は、第1光軸AX1上に設けられている。光源11は、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。光源11は、所定の発散角を有する非偏光の光Lを射出する。本明細書において、非偏光の光Lは、直線偏光、円偏光などの特定の偏光状態を持たない光として定義する。非偏光の光Lは、例えばランダム偏光である。光源11がLEDから構成されていることにより、プロジェクター10の小型化および軽量化が可能となる。光Lは発光面11aから等方的に射出されるため、光源11から射出される光Lの第1光軸AX1に垂直な断面形状は円形である。
【0013】
第1光学系12は、第1レンズ部19を備える。第2光学系13は、第2レンズ部20と、第3レンズ部21と、を備える。第1レンズ部19、第2レンズ部20、および第3レンズ部21は、第1光軸AX1上において、光源11から光変調装置14に向かってこの順に配置されている。すなわち、第1レンズ部19には、光源11から射出される光Lが入射する。第2レンズ部20には、第1レンズ部19から射出される光Lが入射する。第3レンズ部21には、第2レンズ部20から射出される光Lが入射する。
【0014】
第1レンズ部19は、正のパワーを有する1つのコリメーターレンズ23から構成されている。また、光源11の発光面11aとコリメーターレンズ23の主点Sとの距離は、コリメーターレンズ23の焦点距離と等しい。したがって、コリメーターレンズ23は、所定の発散角をもって光源11から射出される光Lを平行化し、第2レンズ部20に向けて射出する。すなわち、第1レンズ部19から射出される光Lの発散角は0度である。このように、光源11の発光面11aの位置をコリメーターレンズ23の焦点位置に一致させた場合、プロジェクターの各光学部品の製造誤差、組み立て誤差等に起因する光Lの平行度のばらつきを小さくすることができる。
【0015】
換言すると、第1光学系12は、第1レンズ部19から射出される光Lの発散角を、第1レンズ部19に入射する光Lの発散角よりも小さくする。なお、第1レンズ部19は、全体として正のパワーを有していればよく、第1レンズ部19を構成するレンズの数は、特に限定されない。また、第1光軸AX1に垂直な仮想面内において、X軸方向のパワーとY軸方向のパワーとは等しい。本明細書において、コリメーターレンズは、光源の発光面とコリメーターレンズの主点との距離がコリメーターレンズの焦点距離と等しい場合に入射光を平行化するレンズを意味する。
【0016】
第2レンズ部20は、負のパワーを有する1つの凹レンズ24から構成されている。凹レンズ24は、第1レンズ部19によって平行化された光Lを所定の発散角を有する光に変換し、第3レンズ部21に向けて射出する。換言すると、第2レンズ部20は、第1レンズ部19から射出される光Lが入射され、射出後の光Lの発散角を入射前の光Lの発散角よりも大きくする。なお、第2レンズ部20は、全体として負のパワーを有していればよく、第2レンズ部20を構成するレンズの数は、特に限定されない。
【0017】
第3レンズ部21は、正のパワーを有する1つの凸レンズ25から構成されている。凸レンズ25は、所定の発散角をもって第2レンズ部20から射出される光Lを平行化し、光変調装置14に向けて射出する。すなわち、第3レンズ部21から射出される光Lの発散角は0度である。換言すると、第3レンズ部21は、第2レンズ部20から射出される光Lが入射され、射出後の光Lの発散角を入射前の光Lの発散角よりも小さくする。なお、第3レンズ部21は、全体として正のパワーを有していればよく、第3レンズ部21を構成するレンズの数は、特に限定されない。
【0018】
このように、第2光学系13は、第3レンズ部21から射出される光Lの光束幅W2を第2レンズ部20に入射する光Lの光束幅W1よりも大きくする。本実施形態の場合、第1光学系12から射出される平行光の光束幅を拡大し、平行光として射出する。すなわち、本実施形態の第2光学系13は、アフォーカル光学系である。第2光学系13においても、第1光軸AX1に垂直な仮想面内において、X軸方向のパワーとY軸方向のパワーとは等しい。
【0019】
一般的に、アフォーカル光学系には、凹レンズと凸レンズとを備えるガリレオ式アフォーカル光学系と、2つの凸レンズを備えるケプラー式アフォーカル光学系と、がある。本実施形態の第2光学系13は、第2レンズ部20が凹レンズ24を備え、第3レンズ部21が凸レンズ25を備えているため、ガリレオ式アフォーカル光学系である。この構成によれば、ケプラー式アフォーカル光学系を用いた場合に比べて、第2光学系13の第1光軸AX1に沿う方向のサイズを小さくすることができ、小型のプロジェクター10に最適である。なお、第2光学系13の光軸方向のサイズが許容できる場合には、ケプラー式アフォーカル光学系を用いてもよい。また、アフォーカル光学系の拡大倍率は適宜調整可能であり、拡大倍率を大きくすることにより、光源11から光変調装置14までの距離を短くすることができる。
【0020】
光変調装置14は、入射側偏光板27と、光変調素子28と、射出側偏光板29と、を備える。
【0021】
入射側偏光板27は、第3レンズ部21と光変調素子28との間、すなわち光変調素子28の光入射側に設けられている。
【0022】
光変調素子28は、カラー表示が可能な1枚の透過型の液晶パネルから構成される。すなわち、光変調素子28は、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて光Lを変調し、カラー画像の元となるカラー画像光L1を生成する。液晶パネルの駆動方式としては、ツイステッド・ネマティック(TN)方式、垂直配向(VA)方式、横電界(IPS)方式等が用いられ、特に限定されない。
【0023】
射出側偏光板29は、光変調素子28と集光光学系15との間、すなわち光変調素子28の光射出側に設けられている。射出側偏光板29の偏光軸は、例えば第1光軸AX1に垂直な仮想面内において入射側偏光板27の偏光軸と直交する向きに配置されている。
【0024】
集光光学系15は、光変調装置14とミラー16との間、すなわち、光変調装置14の光射出側に設けられている。集光光学系15は、光変調装置14から射出されるカラー画像光L1を集束させる。本実施形態の場合、集光光学系15は、フレネルレンズ30から構成されている。フレネルレンズ30は、正のパワーを有する凸レンズとして機能する。集光光学系15がフレネルレンズ30から構成されることにより、集光光学系15を薄型化することができ、プロジェクター10の左右方向の寸法を小さくすることができる。
【0025】
ミラー16は、第1光軸AX1と第2光軸AX2とが交差する位置に設けられている。ミラー16は、第1光軸AX1および第2光軸AX2のそれぞれと45度の角度をなす向きに配置されている。ミラー16は、光変調装置14から射出されるカラー画像光L1の光路を90度折り曲げて投写光学装置17に入射させる。なお、投写光学装置17を第1光軸AX1に沿って配置するレイアウトを採用する場合、ミラー16は不要である。
【0026】
投写光学装置17は、投写レンズから構成されている。投写光学装置17を構成する投写レンズの数は、特に限定されない。投写光学装置17は、光変調装置14から射出されるカラー画像光L1をスクリーン等の被投写面に投写する。これにより、カラー画像が被投写面上に表示される。
【0027】
図2は、従来のプロジェクターにおいて、LED101から光Lが射出される様子を示す模式図である。
図2に示すように、従来のプロジェクターにおいては、テーパー形状のリフレクター102が拡大光学系として用いられる。1つの光変調素子のみを備えるプロジェクターの場合、小型化を目的としていることから、リフレクター102の光軸方向の寸法をあまり大きくすることができない。そのため、LED101から射出される光のうち、一部の光成分LS1は、リフレクター102の内部で反射した後、リフレクター102から射出されるが、他の一部の光成分LS2は、リフレクター102の内部で反射することなく、リフレクター102から直接射出される。このように、リフレクター102で反射する光成分LS1と反射しない光成分LS2とが混在した光は、リフレクター102から射出され、レンズ103等の後段の光学系に入射する。
【0028】
リフレクター102で反射する光成分LS1のうち、最も小さい入射角でレンズ103に入射する光成分LS3に着目すると、仮にリフレクター102がない場合には、光成分LS3は符号Kの位置から射出されたと見なすことができる。したがって、LED101とリフレクター102とを1つの光源と考えたとき、見掛け上の光源は符号101Aの破線で示す部分となる。このように、見掛け上の光源101Aのサイズが実際のLED101のサイズよりも大きくなるため、リフレクター102を使用した場合には、リフレクター102を使用しない場合に比べてエテンデューが大きくなる。その結果、リフレクター102の後段の光学系における光の損失が大きくなり、LED101から射出される光の利用効率が低くなる。
【0029】
本発明者は、リフレクターを用いた場合における光変調素子への光の入射角分布に関するシミュレーションを行った。
図4は、シミュレーション結果を示す図であり、光変調素子の中心における光の入射角分布を示している。
図4において、横軸はX軸方向に沿う入射角(度)を示し、縦軸はY軸方向に沿う入射角(度)を示す。中央の色の濃い領域は、光の強度が相対的に高い領域を示す。符号Cで示す円は、中心に対して±6度を示す領域である。また、光軸方向から見たリフレクターの形状は、矩形状とする。
【0030】
光変調素子の後段の光学系に入射可能な光の光変調素子への最大入射角を6度と設定する。すなわち、光変調素子に対して6度を超える入射角で入射する光は、光変調素子の後段の光学系に入射できない光であり、画像表示に寄与できない。
図4に示すように、シミュレーションによれば、光強度が相対的に高い領域は、円Cの外側にまで広がっており、強度が高い光の一部は、光変調素子の後段の光学系に入射できないことが実証された。光強度の高い領域が
図4の上下左右方向に延びて分布しているのは、矩形状のリフレクターによって反射する光成分に起因すると推察される。
【0031】
これに対して、本発明者は、本実施形態の構成における光変調素子への光の入射角分布に関するシミュレーションも同様に行った。
図3は、シミュレーション結果を示す図であり、光変調素子の中心における光の入射角分布を示している。
図3においても、
図4と同様、横軸はX軸方向に沿う入射角(度)を示し、縦軸はY軸方向に沿う入射角(度)を示す。中央の色の濃い領域は、光の強度が相対的に高い領域を示す。符号Cで示す円は、中心に対して±6度を示す領域である。
【0032】
図3に示すように、シミュレーションによれば、本実施形態の場合、光強度が相対的に高い領域は、円Cの内側に位置している。これにより、強度が高い光成分を含め、光源から射出される光の多くは光変調素子の後段の光学系に入射できることが実証された。本実施形態において、光源11と光変調素子28との間に設けられる第1光学系12および第2光学系13は、全てレンズで構成されており、リフレクターのような反射を伴う光学要素を備えていない。そのため、光変調素子28には、リフレクター等で反射した光が入射することはなく、レンズの屈折作用を経た光のみが入射する。したがって、従来例に比べて光の入射角分布が小さくなったと推察される。
【0033】
[第1実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクター10は、光Lを射出する光源11と、カラーフィルターを有し、光源11から射出される光Lを画像情報に基づいて変調し、カラー画像光L1を生成する光変調素子28と、光源11と光変調素子28との間の光Lの光路上に設けられ、光源11から射出される光Lが入射する第1光学系12と、第1光学系12と光変調素子28との間の光Lの光路上に設けられ、第1光学系12から射出される光Lが入射する第2光学系13と、光変調素子28から射出されるカラー画像光L1を投写する投写光学装置17と、を備える。第1光学系12は、光源11から射出される光Lが入射する第1レンズ部19を有し、第1レンズ部19から射出される光Lの発散角を、第1レンズ部19に入射する光Lの発散角よりも小さくする。第2光学系13は、第1レンズ部19から射出される光Lが入射する第2レンズ部20と、第2レンズ部20から射出される光Lが入射する第3レンズ部21と、を有し、第3レンズ部21から射出される光Lの光束幅W2を、第2レンズ部20に入射する光Lの光束幅W1よりも大きくする。
【0034】
本実施形態の構成によれば、第1光学系12および第2光学系13のそれぞれがレンズ部で構成されているため、リフレクターを用いた従来の構成のように、光源11から射出される光Lを反射させることなく、光束幅を拡大することができる。そのため、光源11の見掛け上の面積が大きくなることを抑えられる。これにより、光源の見掛け上のエテンデューは大きくなることがなく、光源11から射出される光Lを、光源11のサイズよりも大きいサイズを有する光変調素子28に入射させることができる。このように、本実施形態によれば、光源11から射出される光Lの利用効率に優れるプロジェクター10を提供することができる。また、光源11から広く発散して射出される光Lが第1光学系12によって平行化された後、第2光学系13に入射するため、第2光学系13が大型化することなく、光の損失を抑えることができる。
【0035】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図面を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図5および
図6は、第2実施形態のプロジェクター40の概略構成図である。
図5は、X軸方向から見たプロジェクター40の概略構成図である。
図6は、Y軸方向から見たプロジェクター40の概略構成図である。
図7は、光変調素子28に入射する光Lを示す図である。
図8は、本実施形態の第1レンズ部42を示す斜視図である。
図5および
図6において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0036】
図5および
図6に示すように、本実施形態のプロジェクター40は、光源11と、第1光学系41と、第2光学系13と、光変調装置14と、集光光学系15と、ミラー16と、投写光学装置17と、を備える。
【0037】
図5、
図6および
図8に示すように、本実施形態の第1光学系41において、第1レンズ部42は、第1シリンドリカルレンズ43と、第2シリンドリカルレンズ44と、を備える。第1シリンドリカルレンズ43に、光源11から射出される光Lが入射する。第2シリンドリカルレンズ44には、第1シリンドリカルレンズ43から射出される光Lが入射する。
【0038】
第1シリンドリカルレンズ43は、Y軸方向に正のパワーを有し、X軸方向にはパワーを有していない。第2シリンドリカルレンズ44は、X軸方向に正のパワーを有し、Y軸方向にはパワーを有していない。本実施形態の場合、光源11に近い側に第1シリンドリカルレンズ43が配置され、第2光学系13に近い側に第2シリンドリカルレンズ44が配置されているが、この配置とは逆に、光源11に近い側に第2シリンドリカルレンズ44が配置され、第2光学系13に近い側に第1シリンドリカルレンズ43が配置されていてもよい。本実施形態のX軸方向は、特許請求の範囲の第1方向に対応する。本実施形態のY軸方向は、特許請求の範囲の第2方向に対応する。
プロジェクター40のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0039】
上記の構成により、光源11から射出される光Lは、第1シリンドリカルレンズ43を透過することによってY軸方向において平行化され、第2シリンドリカルレンズ44を透過することによってX軸方向において平行化される。このように、X軸方向における光Lの平行化と、Y軸方向における光Lの平行化と、を2つのシリンドリカルレンズ43,44で個別に行っている。これにより、第1レンズ部42におけるX軸方向のパワーとY軸方向のパワーとを独立して調整することが容易になる。例えば、X軸方向のパワーとY軸方向のパワーとを互いに異ならせることにより、第1光学系41から射出される光の第1光軸AX1に垂直な断面形状を楕円形とすることができる。
【0040】
これに対して、第2光学系13におけるX軸方向のパワーとY軸方向のパワーとは、互いに等しい。そのため、第1光学系41から射出される光Lの第1光軸AX1に垂直な断面形状は、第2光学系13を透過した後も保持される。したがって、第1光学系41において、第1シリンドリカルレンズ43によるY軸方向のパワーを、第2シリンドリカルレンズ44によるX軸方向のパワーよりも大きくすれば、第2光学系13から射出される光Lの第1光軸AX1に垂直な断面形状を、X軸方向に沿う長軸とY軸方向に沿う短軸とを有する楕円形とすることができる。
【0041】
図7に示すように、光変調素子28の有効表示領域は、長辺と短辺とを有する長方形状である。この場合、長辺がX軸方向に沿い、短辺がY軸方向に沿っている。したがって、上述したように、X軸方向に沿う長軸とY軸方向に沿う短軸とを有する楕円形の断面形状を有する光Lを光変調素子28に入射させることにより、円形の断面形状を有する光を用いる場合に比べて、光Lの照射領域の形状を光変調素子28の有効表示領域の形状に近付けることができる。なお、有効表示領域は、光変調素子のうち、周辺の額縁領域を除く領域であり、表示に実質的に寄与する領域である。
【0042】
[第2実施形態の効果]
本実施形態においても、レンズで構成される第1光学系41および第2光学系13によって光源11の見掛け上のエテンデューが大きくなることが抑えられるため、光の利用効率に優れるプロジェクター40を提供することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0043】
特に本実施形態の場合、楕円の断面形状を有する光Lを光変調素子28に入射させるため、光変調素子28における光Lの照射領域の形状を有効表示領域の形状に近付けることができる。これにより、本実施形態の構成によれば、円形の断面形状を有する光Lを光変調素子28に入射させる第1実施形態に比べて、光Lの損失を少なくすることができる。
【0044】
図9は、第1レンズ部45の構成の他の例を示す斜視図である。
上記実施形態では、第1シリンドリカルレンズ43と第2シリンドリカルレンズ44とを互いに離間させて配置したが、この構成に代えて、
図9に示すように、第1シリンドリカルレンズ43と第2シリンドリカルレンズ44とは、一体の部材で構成されていてもよい。具体的には、第1シリンドリカルレンズ43の平面と第2シリンドリカルレンズ44の平面とが互いに接合されていてもよい。この場合、第1シリンドリカルレンズ43の平面と第2シリンドリカルレンズ44の平面とは、直接接合されていてもよいし、
図9に示すように、他の透光性部材46を介して接合されていてもよい。この構成によれば、プロジェクター40の組立工程において、第1シリンドリカルレンズ43と第2シリンドリカルレンズ44との位置合わせを不要とすることができる。
【0045】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図面を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図10は、第2実施形態のプロジェクター50の概略構成図である。
図10において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0046】
図10に示すように、本実施形態のプロジェクター50は、光源11と、第1光学系12と、第2光学系52と、光変調装置14と、集光光学系15と、ミラー16と、投写光学装置17と、を備える。
【0047】
第2実施形態は、第1光学系41を2つのシリンドリカルレンズ43,44で構成することにより、楕円の断面形状を有する光Lを生成する構成を有していた。これに対して、本実施形態においては、第2光学系52におけるX軸方向のパワーとY軸方向のパワーとを互いに異ならせることにより、楕円の断面形状を有する光Lを生成する。
【0048】
具体的には、第2レンズ部53における凹レンズ54のX軸方向のパワーとY軸方向のパワーとを互いに異ならせてもよい。または、第3レンズ部55における凸レンズ56のX軸方向のパワーとY軸方向のパワーとを互いに異ならせてもよい。または、第2レンズ部53の凹レンズ54および第3レンズ部55の凸レンズ56の双方のX軸方向のパワーとY軸方向のパワーとを互いに異ならせてもよい。これらの構成を採用した場合、第2レンズ部53および第3レンズ部55のX軸方向の拡大倍率と、第2レンズ部53および第3レンズ部55のY軸方向の拡大倍率とは、互いに異なる。その他、例えば第2レンズ部53と第3レンズ部55との間に、シリンドリカルレンズを挿入するなど、X軸方向およびY軸方向のいずれか一方にのみパワーを有する他のレンズを付加してもよい。
【0049】
本実施形態の場合、第1光学系12を構成するコリメーターレンズ23のX軸方向のパワーとY軸方向のパワーとは互いに等しい。そのため、第1光軸AX1に垂直な光の断面形状は、光Lが第1光学系12から射出される時点ではまだ円形であり、光Lが第2光学系52から射出される時点で楕円形となる。
プロジェクター50のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0050】
[第3実施形態の効果]
本実施形態においても、レンズで構成される第1光学系12および第2光学系52によって光源11の見掛け上のエテンデューが大きくなることが抑えられるため、光Lの利用効率に優れるプロジェクター50を提供することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
また、光変調素子28における光Lの照射領域の形状を有効表示領域の形状に近付けることができるため、光Lの損失を少なくすることができる、といった第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図面を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図11は、第2実施形態のプロジェクター60の概略構成図である。
図11において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図11に示すように、本実施形態のプロジェクター60は、光源11と、第1光学系61と、第2光学系62と、光変調装置14と、集光光学系15と、ミラー16と、投写光学装置17と、を備える。
【0054】
本実施形態のプロジェクター60において、各構成要素は第1実施形態のプロジェクター10の各構成要素と同一である。ところが、第1実施形態では、光源11の発光面11aとコリメーターレンズ23の主点Sとの距離が、コリメーターレンズ23の焦点距離と等しいのに対し、本実施形態では、光源11の発光面11aとコリメーターレンズ23の主点Sとの距離T1は、コリメーターレンズ23の焦点距離Fよりも短い。すなわち、光源11の発光面11aの位置は、コリメーターレンズ23の焦点位置よりもコリメーターレンズ23寄りに近付けられている。
【0055】
この場合、コリメーターレンズ23は、光を平行化するという本来の機能を発揮できない。すなわち、コリメーターレンズ23から射出される光Lは、コリメーターレンズ23に入射する前の発散角に比べれば発散角は小さくなるが、平行光ではなく、所定の発散角を有する発散光として、第2光学系62に入射する。
プロジェクター60のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0056】
[第4実施形態の効果]
本実施形態においても、レンズで構成される第1光学系61および第2光学系62によって光源11の見掛け上のエテンデューが大きくなることが抑えられるため、光Lの利用効率に優れるプロジェクター60を提供することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0057】
第1~第3実施形態のプロジェクターにおいては、第1光学系によって平行化された光が第2光学系に入射する。このとき、第2光学系の第2レンズ部と第3レンズ部との距離をむやみに大きくしないためには、第2レンズ部の凹レンズのパワーを大きくして平行光を大きく発散させる必要がある。この場合、凹レンズを構成する硝材の屈折率を高くする必要があり、凹レンズのコストが高くなる、凹レンズの収差が大きくなる、等の問題が生じる。これに対して、本実施形態の場合、発散光が第2光学系62に入射するため、第1~第3実施形態のプロジェクターに比べて、第2レンズ部20の凹レンズ24のパワーを大きくする必要がない。これにより、凹レンズ24のコストの低減、および収差の低減を図ることができる。特に周辺部の収差または周辺部におけるMTFの低下を抑制することができる。
【0058】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図面を用いて説明する。
第5実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図12は、第2実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図12において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
図12に示すように、本実施形態のプロジェクターは、光源2と、第1光学系71と、第2光学系72と、光変調装置14と、集光光学系15と、ミラー16と、投写光学装置17と、を備える。
【0060】
本実施形態の第1光学系71において、第1レンズ部73は、第1実施形態のコリメーターレンズ23のパワーよりも小さい正のパワーを有する凸レンズ74を備える。
【0061】
この場合、凸レンズ74から射出される光は、凸レンズ74に入射する前の発散角に比べれば発散角が小さくなるが、所定の発散角を有する発散光として、第2光学系72に入射する。プロジェクター70のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0062】
[第5実施形態の効果]
本実施形態においても、レンズで構成される第1光学系71および第2光学系72によって光源11の見掛け上のエテンデューが大きくなることが抑えられるため、光源11から射出される光Lの利用効率に優れるプロジェクター70を提供することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
本実施形態においても、発散光が第2光学系72に入射するため、第2レンズ部20の凹レンズ24のパワーが小さくて済み、凹レンズ24のコストの低減、および収差の低減を図ることができる、といった第4実施形態と同様の効果が得られる。さらに本実施形態の場合、第1レンズ部73の凸レンズ74のパワーもコリメーターレンズ23に比べて小さくて済むため、凸レンズ74のコストの低減、および収差の低減を図ることができる。
【0064】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記実施形態および変形例の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0065】
プロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料などの具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0066】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0067】
(付記1)
光を射出する光源と、
カラーフィルターを有し、前記光源から射出される前記光を画像情報に基づいて変調し、カラー画像光を生成する光変調素子と、
前記光源と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記光源から射出される前記光が入射する第1光学系と、
前記第1光学系と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記第1光学系から射出される前記光が入射する第2光学系と、
前記光変調素子から射出される前記カラー画像光を投写する投写光学装置と、
を備え、
前記第1光学系は、
前記光源から射出される前記光が入射する第1レンズ部を有し、
前記第1レンズ部から射出される前記光の発散角を、前記第1レンズ部に入射する前記光の発散角よりも小さくし、
前記第2光学系は、
前記第1レンズ部から射出される前記光が入射する第2レンズ部と、前記第2レンズ部から射出される前記光が入射する第3レンズ部と、を有し、
前記第3レンズ部から射出される前記光の光束幅を、前記第2レンズ部に入射する前記光の光束幅よりも大きくする、プロジェクター。
【0068】
付記1の構成によれば、第1光学系および第2光学系によって光源の見掛け上の面積が大きくなることを抑えられる。これにより、光源の見掛け上のエテンデューが大きくなることを抑えられる。その結果、光源から射出される光の利用効率に優れるプロジェクターを提供することができる。
【0069】
(付記2)
前記第2光学系の光軸に垂直な仮想面内において互いに直交する方向を第1方向および第2方向としたとき、
前記第2光学系から射出される前記光の前記光軸に垂直な断面形状は、長軸と短軸とを有し、
前記光変調素子の有効表示領域の形状は、長辺と短辺とを有する長方形状であり、
前記光変調素子に入射する前記光は、前記長軸および前記長辺の方向が前記第1方向および前記第2方向のいずれか一方に対応し、前記短軸および前記短辺の方向が前記第1方向および前記第2方向のいずれか他方に対応する、付記1に記載のプロジェクター。
【0070】
付記2の構成によれば、光変調素子における光の照射領域の形状を有効表示領域の形状に近付けることができるため、光の損失を少なくすることができる。
【0071】
(付記3)
前記第1レンズ部は、第1シリンドリカルレンズと、第2シリンドリカルレンズと、を備え、
前記第1シリンドリカルレンズは、前記第1方向および前記第2方向のいずれか一方に正のパワーを有し、
前記第2シリンドリカルレンズは、前記第1方向および前記第2方向のいずれか他方に正のパワーを有する、付記2に記載のプロジェクター。
【0072】
付記3の構成によれば、第1レンズ部における第1方向のパワーと第2方向のパワーとを独立して調整することが容易になり、第1光学系から射出される光の断面形状を任意に調整することができる。
【0073】
(付記4)
前記第1シリンドリカルレンズと前記第2シリンドリカルレンズとは、一体の部材で構成されている、付記3に記載のプロジェクター。
【0074】
付記4の構成によれば、プロジェクターの組立工程において、第1シリンドリカルレンズと第2シリンドリカルレンズとの位置合わせを不要とすることができる。
【0075】
(付記5)
前記第2光学系の前記第1方向におけるパワーと、前記第2光学系の前記第2方向におけるパワーとは、互いに異なる、付記2に記載のプロジェクター。
【0076】
付記5の構成によれば、第2光学系から射出される光の断面形状を円形以外の形状、例えば楕円形に調整することができる。
【0077】
(付記6)
前記第1レンズ部は、前記光源から射出される前記光を平行化するコリメーターレンズを備える、付記1から付記5までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0078】
付記6の構成によれば、光源の発光面とコリメーターレンズの主点との距離をコリメーターレンズの焦点距離に一致させることにより、第1光学系によって平行化された光を第2光学系に入射させることができる。
【0079】
(付記7)
前記光源の発光面と前記コリメーターレンズの主点との距離は、前記コリメーターレンズの焦点距離よりも短い、付記6に記載のプロジェクター。
【0080】
付記7の構成によれば、第1光学系によって平行化されない発散光を第2光学系に入射させることができるため、第2光学系のパワーが小さく済み、第2光学系を構成するレンズのコストの低減および収差の低減を図ることができる。
【0081】
(付記8)
前記光源の発光面と前記コリメーターレンズの主点との距離は、前記コリメーターレンズの焦点距離と等しく、
前記第2レンズ部と前記第3レンズ部とは、アフォーカル光学系を構成する、付記6に記載のプロジェクター。
【0082】
付記8の構成によれば、アフォーカル光学系によって平行化された光を光変調素子に入射させることができる。また、プロジェクターの各光学部品の製造誤差、組み立て誤差等に起因する光の平行度のばらつきを小さくすることができる。
【0083】
(付記9)
前記第2レンズ部は、負のパワーを有する凹レンズを備え、
前記第3レンズ部は、正のパワーを有する凸レンズを備える、付記7または付記8に記載のプロジェクター。
【0084】
付記9の構成によれば、第2光学系の光軸方向のサイズを小さくすることができ、小型のプロジェクターに最適である。
【符号の説明】
【0085】
10,40,50,60,70…プロジェクター、11…光源、12,41,61,71…第1光学系、13,52,62,72…第2光学系、17…投写光学装置、19,42,45,73…第1レンズ部、20,53…第2レンズ部、21,55…第3レンズ部、23…コリメーターレンズ、24,54…凹レンズ、25,56,74…凸レンズ、28…光変調素子、43…第1シリンドリカルレンズ、44…第2シリンドリカルレンズ、L…光、L1…カラー画像光、W1,W2…光束幅。