(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101201
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】組立ブロック
(51)【国際特許分類】
A63H 33/06 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A63H33/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005031
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000115371
【氏名又は名称】ヨシリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】吉條 宏
(72)【発明者】
【氏名】島上 知章
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA23
2C150BA28
2C150BA32
2C150BA41
2C150CA02
2C150FB43
2C150FD08
(57)【要約】
【課題】1種類のピースをある程度の数量用意しておけば、様々な立体作品を組み立てられる組立ブロックを提供する。
【解決手段】この組立ブロックは、C字状をなすように一対の脚部2が湾曲部3を介して連なり、湾曲部の軸線に直交する方向の断面形状が円形をなし、脚部2の内側に膨出部4が設けられたピース1が組み合わされるものである。ピース1は、湾曲部3の内径である一対の脚部2の根元間の間隔よりも膨出部4間の間隔が小さく、一対の脚部2の根元間の間隔と湾曲部3の軸線に直交する円形断面の直径とが対応し、一対の脚部2の膨出部4間の間隔が弾力的に拡縮するものとする。組み合わされるピース1のうち、一方のピース1の一対の脚部2の間に他方のピース1の湾曲部3が嵌め込まれて、互いのピース1の湾曲部3同士が当接した状態で、ピース1同士が連結される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C字状をなすように一対の脚部(2)が湾曲部(3)を介して連なり、前記湾曲部(3)の軸線に直交する方向の断面形状が円形をなし、前記脚部(2)の内側に膨出部(4)が設けられたピース(1)が組み合わされる組立ブロックであって、
前記ピース(1)は、前記湾曲部(3)の内径である一対の脚部(2)の根元間の間隔(d1)よりも膨出部(4)間の間隔(d2)が小さく、前記一対の脚部(2)の根元間の間隔(d1)と前記湾曲部(3)の軸線に直交する円形断面の直径(d3)とが対応し、前記一対の脚部(2)の膨出部(4)間の間隔が弾力的に拡縮するものとされ、
組み合わされる前記ピース(1)のうち、一方のピース(1)の一対の脚部(2)の間に他方のピース(1)の湾曲部(3)が嵌め込まれて、互いのピース(1)の湾曲部(3)同士が当接した状態で、前記ピース(1)同士が連結される組立ブロック。
【請求項2】
前記ピース(1)の一対の脚部(2)は、それぞれの軸線が平行し、先端の位置が揃っていることを特徴とする請求項1に記載の組立ブロック。
【請求項3】
前記ピース(1)の一対の脚部(2)の先端には、それぞれの軸線に直交する平坦面(5)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の組立ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数個の組み合わせにより、様々な立体作品を組み立てることができる組立ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、下記特許文献1に記載した発明に基づいて、
図10に示すように、平面形状が正方形及び正三角形のブロック板51と、このブロック板51同士を連結するジョイント61の組み合わせから成るプラスチック製の組立ブロック[商品名:LaQ(登録商標)]を提供しており、このような組立ブロックが広く流通している。実際のブロック板51の形状は、下記特許文献2,3に記載されたような形状となっており、基本的なジョイント61の形状は、下記特許文献4に記載されたような形状となっている。
【0003】
このブロック板51の周囲各辺には、厚さ方向の両面が窪んだ受口52が形成され、受口52には開口縁と平行に突条53が設けられている。ジョイント61には、厚さ方向に対向したプラグ62が同一平面で二方向に突設され、プラグ62の内面に彫溝63が設けられている。また、プラグ62の基部から両側へ角柱状の側延部64が張り出している。
【0004】
このようなブロック板51同士を連結する際、ブロック板51の両面の受口52にジョイント61のプラグ62を嵌めると、プラグ62の外縁が受口52の奥側の段差に当接すると共に、突条53が彫溝63に係合し、側延部64がブロック板51の外周面に当接して、連結状態が安定する。
【0005】
ジョイント61には複数の種類があり、上述の基本的なもののほか、プラグ62が直交する二方向に突出するもの、直交する三方向に突出するもの、120°の角度で二方向に突出するもの、プラグ62の基部間の距離が大きなものなどが用意されている。そして、正方形及び正三角形のブロック板51と、各種のジョイント61とを組み合わせると、様々な立体作品を組み立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3224637号公報
【特許文献2】意匠登録第929785号公報
【特許文献3】意匠登録第929786号公報
【特許文献4】意匠登録第929787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような組立ブロックは、平面形状が正方形及び正三角形のブロック板51とプラグ62の向きや基部間の距離が異なるジョイント61などの複数種のピースから構成されるため、各種のピースをある程度の数量用意しておかなければ、想定するような立体作品を組み立てることができないという制約がある。
【0008】
そこで、この発明は、1種類のピースをある程度の数量用意しておけば、様々な立体作品を組み立てられる組立ブロックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、C字状をなすように一対の脚部が湾曲部を介して連なり、前記湾曲部の軸線に直交する方向の断面形状が円形をなし、前記脚部の内側に膨出部が設けられたピースが組み合わされる組立ブロックであって、
前記ピースは、前記湾曲部の内径である一対の脚部の根元間の間隔よりも膨出部間の間隔が小さく、前記一対の脚部の根元間の間隔と前記湾曲部の軸線に直交する円形断面の直径とが対応し、前記一対の脚部の膨出部間の間隔が弾力的に拡縮するものとされ、
組み合わされる前記ピースのうち、一方のピースの一対の脚部の間に他方のピースの湾曲部が嵌め込まれて、互いのピースの湾曲部同士が当接した状態で、前記ピース同士が連結されるものを提供することとしたのである。
【0010】
また、前記ピースの一対の脚部は、それぞれの軸線が平行し、先端の位置が揃っているものとしたのである。
【0011】
さらに、前記ピースの一対の脚部の先端には、それぞれの軸線に直交する平坦面が設けられているものとしたのである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る組立ブロックでは、連結されるピース同士が互いに自由な角度をとることができ、同一種類のピースを組み合わせることによって、様々な立体作品を組み立てることができるので、購入する顧客は、初期の段階で必要とされる費用を抑制しつつ、想像力を働かせた作品の組み立てを楽しむことができる。
【0013】
また、製造者においては、ピースの成型に要する金型を1種類のみ製作すればよく、生産や流通段階でのコストも抑制されることから、安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の実施形態に係る組立ブロックのピースの(a)平面側からの斜視図、(b)底面側からの斜視図
【
図2】同上のピースの正面図、平面図、底面図及びA-A断面図
【
図4】同上のピースの組み合わせ過程の一例を示す斜視図
【
図5】同上のピースの組み合わせ過程の一例を示す斜視図
【
図6】同上のピースの組み合わせ過程の一例を示す斜視図
【
図7】同上の作品例として犬を模ったもの示す斜視図
【
図8】同上の作品例として人を模ったもの示す斜視図
【
図9】同上の作品例として恐竜を模ったもの示す斜視図
【
図10】従来の組立ブロックの基本的なピースを分離状態で示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
この組立ブロックは、
図1及び
図2に示すようなABS樹脂等のプラスチックを材料とするC字状のピース1を組み合わせるものである。
【0017】
ピース1は、一対の脚部2が半環状の湾曲部3を介して連なり、湾曲部3の軸線に直交する方向の断面形状が円形をなし、一対の脚部2の内側には、それぞれ球面をなすように僅かに膨らんだ膨出部4が設けられた形状とされている。
【0018】
一対の脚部2は、湾曲部3との境界が根元となっており、それぞれの軸線が平行し、先端の位置が揃っている。また、一対の脚部2の先端には、それぞれ軸線に直交する平坦面5が設けられている。
【0019】
図2に示すように、ピース1においては、湾曲部3の内径である一対の脚部2の根元間の間隔d
1よりも膨出部4間の間隔d
2が小さくなっている。
【0020】
また、一対の脚部2の根元間の間隔d1と湾曲部3の軸線に直交する円形断面の直径d3とが対応している。具体的には、一対の脚部2の根元間の間隔d1に対して、湾曲部3の軸線に直交する円形断面の直径d3が同一または僅かに小さくなっている。
【0021】
そして、ピース1の材料及び形状に起因する弾性により、一対の脚部2の膨出部4間の間隔d2が弾力的に拡縮するものとされている。
【0022】
上記のようなピース1を組み合わせる際、
図3に示すように、一方のピース1の一対の脚部2の間に他方のピース1の湾曲部3を嵌め込むと、互いのピース1の湾曲部3同士が当接した状態で、ピース1同士が連結される。
【0023】
ピース1同士は、様々な方向へ向くように連結することができ、互いに湾曲部3を摺接させつつ回転させることができる。
【0024】
例えば、
図4(I)、(II)のように、互いのピース1の脚部2が同じ方向へ向くように連結したり、
図5(I)、(II)のように、互いのピース1の脚部2が交差する方向へ向くように連結したり、
図6(I)、(II)のように、互いのピース1の脚部2が逆方向へ向くように連結したりすることができる。
【0025】
また、ピース1同士を連結後に回転させて、互いのピース1の脚部2を様々な方向へ向けることができる。
【0026】
このような組立ブロックのピース1を多数組み合わせると、
図7に示すように、犬を模った立体作品や、
図8に示すように、人を模った立体作品のほか、
図9に示すように、恐竜を模った立体作品など、様々な立体作品を組み立てることができる。
【0027】
また、ピース1の一対の脚部2の先端に平坦面5が設けられているので、多数のピース1を平坦面5が底面となるように起立させ、湾曲部3の頂部の高さより短い間隔で並べておき、一端のピース1から連鎖的に倒すドミノ倒しのような遊びをすることもできる。
【0028】
上記のような組立ブロックでは、連結されるピース1同士が互いに自由な角度をとることができ、同一種類のピース1を組み合わせることによって、様々な立体作品を組み立てることができるので、購入する顧客は、初期の段階で必要とされる費用を抑制しつつ、想像力を働かせた作品の組み立てを楽しむことができる。
【0029】
また、製造者においては、ピース1の成型に要する金型を1種類のみ製作すればよく、生産や流通段階でのコストも抑制されることから、安価に供給することができ、手軽に始められる知育玩具やオブジェ等の材料として、購買層の拡大を図ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 ピース
2 脚部
3 湾曲部
4 膨出部
5 平坦面
d1 一対の脚部2の根元間の間隔
d2 一対の脚部2の膨出部4間の間隔
d3 湾曲部3の軸線に直交する円形断面の直径