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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101206
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】弁装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240722BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
E02F9/00 H
E02F3/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005044
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】石川 喜久
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
【Fターム(参考)】
2D012EA01
2D015BA01
(57)【要約】
【課題】流体シリンダと弁装置とを接続する流路を障害物から保護することを目的とする。
【解決手段】弁装置60の取付構造は、第1ポート561を有するオフセットシリンダ56と、第2ポート602を有する弁装置60と、第1ポート561と第2ポート602を接続する第1流路61と、を備え、オフセットシリンダ56の軸方向から見て、第1ポート561と第2ポート602とが対向している。また、軸方向と交差する方向から見て、第1ポート561と第2ポート602とが対向している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポートを有する流体シリンダと、
第2ポートを有する弁装置と、
前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する第1流路と、を備え、
前記流体シリンダの軸方向から見て、前記第1ポートと前記第2ポートとが対向していることを特徴とする弁装置の取付構造。
【請求項2】
前記軸方向と交差する方向から見て、前記第1ポートと前記第2ポートとが対向していることを特徴とする請求項1に記載の弁装置の取付構造。
【請求項3】
前記流体シリンダ側から見て、前記軸方向と交差する方向の前記弁装置の幅が、前記流体シリンダの幅以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の弁装置の取付構造。
【請求項4】
前記流体シリンダによって駆動される作業機を備え、
前記弁装置は、前記流体シリンダに対して前記作業機が配置された第1方向と前記軸方向とに交差する第2方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弁装置の取付構造。
【請求項5】
前記流体シリンダによって駆動される作業機を備え、
前記弁装置は、前記流体シリンダと前記作業機との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弁装置の取付構造。
【請求項6】
前記作業機は、
第1ブームと、
前記第1ブームに左右方向に揺動可能に連結された第2ブームと、
前記第2ブームに左右方向に揺動可能に連結された第3ブームと、
前記第2ブームと前記第3ブームとに連結された前記流体シリンダと、
前記流体シリンダの上方又は下方に前記第2ブームと平行に配置され、前記第1ブームと前記第3ブームとに連結されたオフセットロッドと、を備え、
前記弁装置は、前記流体シリンダと前記オフセットロッドとの間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の弁装置の取付構造。
【請求項7】
前記弁装置の上部は、前記第2ブームよりも上方に突出していることを特徴とする請求項6に記載の弁装置の取付構造。
【請求項8】
前記流体シリンダに設けられた第3ポートと、
前記弁装置に設けられた第4ポートと、
前記第3ポートと前記第4ポートとを接続する第2流路と、を備え、
前記軸方向から見て、前記第3ポートと前記第4ポートとが対向していることを特徴とする請求項1に記載の弁装置の取付構造。
【請求項9】
前記第3ポートと前記第4ポートとの前記軸方向の位置が異なっていることを特徴とする請求項8に記載の弁装置の取付構造。
【請求項10】
前記第1流路の外径と前記第2流路の外径とが異なっていることを特徴とする請求項8又は9に記載の弁装置の取付構造。
【請求項11】
前記第1流路の外径は、前記第2流路の外径よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の弁装置の取付構造。
【請求項12】
前記弁装置は、前記流体シリンダの一方の端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弁装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械において油圧シリンダに作動油を供給するホースが破裂したり脱落したりした場合、ホースから作動油が流出して油圧シリンダに負荷がかからなくなり、予期せぬ方向へ作業機の姿勢が変化するおそれがある。そこで、従来、ホースの破断や脱落が起こった場合でも負荷を保持する構成が検討されている。例えば、特許文献1には、作動油の流れを遮断する逆止弁として機能する負荷保持機構(弁装置)を油圧シリンダに設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-94769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載された構成では、弁装置と油圧シリンダとの間の作動油の流路がむき出しになっているため、流路が障害物と接触しやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、流体シリンダと弁装置との間の流路を障害物から保護することのできる弁装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る弁装置の取付構造は、第1ポートを有する流体シリンダと、第2ポートを有する弁装置と、前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する第1流路と、を備え、前記流体シリンダの軸方向から見て、前記第1ポートと前記第2ポートとが対向している。
【0007】
前記軸方向と交差する方向から見て、前記第1ポートと前記第2ポートとが対向していてもよい。
【0008】
前記流体シリンダ側から見て、前記軸方向と交差する方向の前記弁装置の幅が、前記流体シリンダの幅以下であってもよい。
【0009】
前記弁装置の取付構造は、前記流体シリンダによって駆動される作業機を備え、前記弁装置は、前記流体シリンダに対して前記作業機が配置された第1方向と前記軸方向とに交差する第2方向に配置されていてもよい。
【0010】
前記弁装置の取付構造は、前記流体シリンダによって駆動される作業機を備え、前記弁装置は、前記流体シリンダと前記作業機との間に配置されていてもよい。
【0011】
前記作業機は、第1ブームと、前記第1ブームに左右方向に揺動可能に連結された第2ブームと、前記第2ブームに左右方向に揺動可能に連結された第3ブームと、前記第2ブームと前記第3ブームとに連結された前記流体シリンダと、前記流体シリンダの上方又は下方に前記第2ブームと平行に配置され、前記第1ブームと前記第3ブームとに連結されたオフセットロッドと、を備え、前記弁装置は、前記流体シリンダと前記オフセットロッドとの間に配置されていてもよい。
【0012】
前記弁装置の上部は、前記第2ブームよりも上方に突出していてもよい。
【0013】
前記弁装置の取付構造は、前記流体シリンダに設けられた第3ポートと、前記弁装置に設けられた第4ポートと、前記第3ポートと前記第4ポートとを接続する第2流路と、を備え、前記軸方向から見て、前記第3ポートと前記第4ポートとが対向していてもよい。
【0014】
前記第3ポートと前記第4ポートとの前記軸方向の位置が異なっていてもよい。
【0015】
前記第1流路の外径と前記第2流路の外径とが異なっていてもよい。
【0016】
前記第1流路の外径は、前記第2流路の外径よりも大きくてもよい。
【0017】
前記弁装置は、前記流体シリンダの一方の端部に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、流体シリンダと弁装置との間の流路を障害物から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る建設機械の左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る建設機械の正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作業機の左側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る作業機の平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る作業機のオフセット動作を示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る作業機のオフセット動作を示す平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るブームの主要部を示す左側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るオフセットシリンダを示す正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るオフセットシリンダを示す背面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るブームの主要部を示す底面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るブームの主要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る弁装置60の取付構造について説明する。
【0021】
最初に、建設機械1の全体の構成について説明する。図1は、建設機械1の左側面図である。図2は、建設機械1の正面図である。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0022】
建設機械1は、建設現場、解体現場、鉱山等で用いられ、オペレータが行う操作に応じて作業を行う。本実施形態における建設機械1は、土砂の掘削作業などを行う油圧ショベルである。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備えている。下部走行体2の上方に上部旋回体3が設けられ、上部旋回体3の右前部に作業機4が設けられている。
【0023】
[下部走行体]
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、トラックフレーム22と、ブレード24と、を備えている。一対のクローラ21は、上部旋回体3に設けられた原動機31から動力を伝達され、建設機械1の走行等を行う。トラックフレーム22は、一対のクローラ21の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。ブレード24は、整地作業等に用いられる。
【0024】
[上部走行体]
上部旋回体3は、旋回フレーム30と、原動機31と、カウンタウェイト32と、運転部33と、を備えている。旋回フレーム30は、スイベルジョイント(図示省略)を介してトラックフレーム22に旋回可能に支持され、油圧モータ(図示省略)によって旋回駆動される。原動機31は、例えば内燃機関である。運転部33は、旋回フレーム30の左右方向の中央から左側に設けられている。
【0025】
運転部33は、囲い33Cによって保護されている。図1、2に例示された囲い33Cは、支柱と屋根と作業機4側に設けられた隔壁とを有するキャノピ型であるが、囲い33Cは箱状のキャビン型であってもよい。運転部33の内部には、オペレータが着座する運転席33S、各種情報を表示するための表示部33M、オペレータの操作を受け付ける操作部33H等が設けられている。表示部33Mは、例えば、液晶表示装置である。操作部33Hは、例えば、操作レバーや、表示部33Mの表示面に積層されたタッチパネルなどである。原動機31は、運転席33Sの下方に設けられている。カウンタウェイト32は、原動機31の後方に設けられている。
【0026】
[作業機]
図3は、作業機4の左側面図である。図4は、作業機4の平面図である。作業機4は、オペレータが行う操作に応じて土砂の掘削作業、破砕作業、排土作業等の各種作業を行う。作業機4は、運転部33の右方に設けられている。作業機4は、ブーム41と、アーム42と、アタッチメント43と、油圧システムと、を備えている。ブーム41は、旋回フレーム30の右前部に設けられた水平軸41Hを支点として揺動可能である。アーム42は、ブーム41の先端に設けられた水平軸42Hを支点として揺動可能である。アタッチメント43は、アーム42の先端に設けられた水平軸43Hを支点として揺動可能である。本実施形態では、アタッチメント43として、掘削作業用のバケットが設けられているが、ブレーカ、オーガ等が設けられていてもよい。
【0027】
油圧システムは、ブーム41、アーム42、アタッチメント43をそれぞれ駆動するブームシリンダ41A、アームシリンダ42A、アタッチメントシリンダ43A(いずれもアクチュエータの一例)を備えている。油圧システムは、原動機31が発生した動力により駆動される油圧ポンプ(図示省略)によって作動油をタンク(図示省略)からブームシリンダ41A、アームシリンダ42A、アタッチメントシリンダ43Aへ供給し、油圧ポンプによって加圧されるとともにコントロールバルブ(図示省略)によって方向や流量が規制された作動油を動力伝達媒体としてブームシリンダ41A、アームシリンダ42A、アタッチメントシリンダ43Aを駆動する。
【0028】
[ブーム]
ブーム41(図3、4参照)は、複数部材により構成され、ブーム41の基端部を構成する第1ブーム51と、ブーム41の中間部を構成する第2ブーム52と、ブーム41の先端部を構成する第3ブーム53と、を含む。第1ブーム51は、その基端部分が上部旋回体3に支持されている。第2ブーム52は、その基端部が第1ブーム51の先端部に支持されるとともに、その先端部が第3ブーム53の基端部を支持している。アームシリンダ42Aは、第3ブーム53に支持されている。
【0029】
第1ブーム51は、水平軸41Hを支点として揺動可能である。第1ブーム51は、第1ブーム51と旋回フレーム30とに連結されたブームシリンダ41Aの伸縮によって揺動する。第1ブーム51の先端部には、水平軸41Hに対して垂直な垂直軸51Vが設けられている。第2ブーム52は、垂直軸51Vを支点として揺動可能である。第2ブーム52の先端部には、垂直軸51Vに対して平行な垂直軸52Vが設けられている。第3ブーム53は、垂直軸52Vを支点として揺動可能である。
【0030】
第1ブーム51先端の左側面にロッドブラケット51RBが設けられ、第3ブーム53の左側面にロッドブラケット53RBが設けられている。ロッドブラケット51RB、53RBには、それぞれ第1ブーム51の垂直軸51V、第2ブーム52の垂直軸52Vに平行なロッド垂直軸51RV、53RVが設けられている(図4参照)。オフセットロッド55は、第2ブーム52の左側面に沿って第2ブーム52と平行に配置されている。オフセットロッド55の基端はロッド垂直軸51RVに取り付けられ、オフセットロッド55の先端はロッド垂直軸53RVに取り付けられている。垂直軸51V,52V、ロッド垂直軸53RV,51RVは、平行四辺形の頂点の位置に配置されている。第1ブーム51と第2ブーム52と第3ブーム53とオフセットロッド55とにより、平行四節リンクが構成されている。
【0031】
第2ブーム52の左側面の根本側にシリンダブラケット52CBが設けられ、第3ブーム53の左側面にシリンダブラケット53CBが設けられている。シリンダブラケット52CBは、ロッドブラケット51RBよりも下方に設けられ、シリンダブラケット53CBは、ロッドブラケット53RBよりも下方に設けられている。シリンダブラケット52CB、53CBには、それぞれ水平軸41Hに対して垂直なシリンダ垂直軸52CV、53CVが設けられている。オフセットシリンダ56は、シリンダ垂直軸52CVとシリンダ垂直軸53CVとに連結されている。なお、オフセットシリンダ56は、第1ブーム51と第2ブーム52とに連結されていてもよい。
【0032】
図5、6は、作業機4のオフセット動作を示す平面図である。前述のとおり、第1ブーム51と第2ブーム52と第3ブーム53とオフセットロッド55とにより、平行四節リンクが形成されているため、第2ブーム52は、オフセットロッド55と平行を保ちながら、垂直軸51Vを中心として左右に揺動する。第2ブーム52の揺動に伴って、第3ブーム53が第1ブーム51に対して平行移動する。ここで、第3ブーム53が第1ブーム51に対して平行移動することをオフセットという。第1ブーム51に対する第3ブーム53の姿勢は、第3ブーム53が第1ブーム51の右方向にオフセットした右オフセット状態と、第3ブーム53が第1ブーム51の左方向にオフセットした左オフセット状態と、第3ブーム53がオフセットしていない非オフセット状態に区分される。
【0033】
オフセットシリンダ56が伸びると(図5参照)、第2ブーム52に対して第3ブーム53が相対的に時計回り方向に揺動しようとするが、オフセットロッド55によりロッド垂直軸51RVとロッド垂直軸53RVとの距離が一定に保たれているため、第2ブーム52は、反時計回り方向に揺動し、第3ブーム53は、左方向に平行移動する(左オフセット状態)。一方、オフセットシリンダ56が縮むと(図6参照)、第2ブーム52に対して第3ブーム53が相対的に反時計回り方向に揺動しようとするが、オフセットロッド55によりロッド垂直軸51RVとロッド垂直軸53RVとの距離が一定に保たれているため、第2ブーム52は、時計回り方向に揺動し、第3ブーム53は、右方向に平行移動する(右オフセット状態)。
【0034】
次に、弁装置60の取付構造について説明する。以下では、便宜上、前後方向をオフセットシリンダ56及び第2ブーム52の軸方向として説明する。図7は、ブーム41の主要部を示す左側面図である。図8は、オフセットシリンダ56を示す正面図である。図9は、オフセットシリンダ56を示す背面図である。図10は、ブーム41の主要部を示す底面図である。図11は、ブーム41の主要部を示す平面図である。
【0035】
本実施形態に係る弁装置60の取付構造は、第1ポート561を有するオフセットシリンダ56(流体シリンダの一例)と、第2ポート602を有する弁装置60と、第1ポート561と第2ポート602を接続する第1流路61と、を備え、オフセットシリンダ56の軸方向から見て、第1ポート561と第2ポート602とが対向している。具体的には、以下のとおりである。
【0036】
[オフセットシリンダ]
オフセットシリンダ56(図7参照)は、シリンダチューブ56Tと、キャップ56Cと、ピストン56Pと、ピストンロッド56Rと、ロッドヘッド56Hと、を備える。
【0037】
シリンダチューブ56Tは、円筒形に形成されている。キャップ56Cは、シリンダチューブ56Tの後端部に設けられている。キャップ56Cは、シリンダ垂直軸52CV(図10、11参照)が挿入される孔を有し、シリンダブラケット52CBによって揺動可能に支持されている。ピストン56Pは、シリンダチューブ56Tの内部に収容されている。ピストンロッド56Rの後端部はピストン56Pに結合され、ピストンロッド56Rの前端部はシリンダチューブ56Tの前端部よりも前方に露出している。ロッドヘッド56Hは、ピストンロッド56Rの前端部に設けられている。ロッドヘッド56Hは、シリンダ垂直軸53CVが挿入される孔を有し、シリンダブラケット53CBによって揺動可能に支持されている。
【0038】
シリンダチューブ56Tの内部空間は、ピストン56Pよりも前方(ロッド側)のロッド側空間56rと、ピストン56Pよりも後方(ボトム側)のボトム側空間56bと、に分けられている。シリンダチューブ56Tの前端部付近の上部には、ロッド側空間56rにつながる第1ポート561が設けられている。シリンダチューブ56Tの後端部付近の上部には、ボトム側空間56bにつながる第3ポート563が設けられている。
【0039】
[弁装置]
弁装置60(図7乃至9参照)は、シリンダチューブ56Tの上方に設けられている。換言すれば、弁装置60は、オフセットシリンダ56に対して第2ブーム52が配置された第1方向(左右方向)と軸方向(前後方向)とに交差する第2方向(上下方向)のいずれか一方(この例では、上方)に配置されている。
【0040】
弁装置60は、直方体状に形成されている。弁装置60の前後方向の長さは、シリンダチューブ56Tの前後方向の長さよりも短い。弁装置60は、シリンダチューブ56Tの前端部側に配置されている。弁装置60の下面には、第2ポート602と、第4ポート604と、が設けられている。第4ポート604は、第2ポート602の後方に設けられている。
【0041】
オフセットシリンダ56側から見て、軸方向と交差する方向の弁装置60の幅W60は、オフセットシリンダ56の幅W56以下である(図8、9参照)。従って、下方(図10参照)及び上方(図11参照)から見て、弁装置60は、オフセットシリンダ56の左右両端部から左右方向に突出していない。換言すれば、オフセットシリンダ56側から見て、弁装置60全体がオフセットシリンダ56によって遮蔽されている。
【0042】
オフセットシリンダ56には、前述のコントロールバルブによって方向や流量が規制された作動油が弁装置60を経由して供給される。ボトム側空間56bに作動油が供給されるとともにロッド側空間56rから作動油が排出されることで、ピストンロッド56Rが前方に押し出され、第3ブーム53が左方に平行移動する。また、ロッド側空間56rに作動油が供給されるとともにボトム側空間56bから作動油が排出されることで、ピストンロッド56Rが後方に引き込まれ、第3ブーム53が右方に平行移動する。
【0043】
第2ポート602と第4ポート604とには、チェックバルブ(図示省略)が設けられている。第2ポート602に設けられたチェックバルブは、ロッド側空間56rからの作動油の流出を遮断する逆止弁として機能する。第4ポート604に設けられたチェックバルブは、ボトム側空間56bからの作動油の流出を遮断する逆止弁として機能する。油圧ポンプと弁装置60とを接続するホース(図示省略)の破断や脱落により油圧が低下した場合には、コントロールバルブと連動して2つのチェックバルブが閉鎖され、ロッド側空間56rとボトム側空間56bの負荷が保持されてオフセットシリンダ56が伸縮不能となる。その結果、作業機4がチェックバルブ閉鎖時の姿勢に維持され、予期せぬ姿勢変化が防止される。
【0044】
[第1流路、第2流路]
弁装置60(図7乃至9参照)は、第1ポート561と第2ポート602とが上下方向に対向するように配置されている。換言すれば、軸方向から見ても(図8、9参照)、軸方向と交差する方向から見ても(図7参照)、第1ポート561と第2ポート602とは対向している。第1ポート561と第2ポート602とは、上下方向に沿う第1流路61で接続されている。第1流路61は、オフセットシリンダ56の軸方向から見て(図8、9参照)、オフセットシリンダ56と弁装置60との間の空間Aから突出しないように配置されている。
【0045】
一方、第4ポート604は、第3ポート563よりも前方に設けられている。換言すれば、軸方向と交差する方向から見て(図7参照)、第3ポート563と第4ポート604とは対向していないが、軸方向から見て(図8、9参照)、第3ポート563と第4ポート604とは対向している。第3ポート563と第4ポート604とは、前後方向に沿う第2流路62で接続されている。第2流路62は、オフセットシリンダ56の軸方向から見て(図8、9参照)、オフセットシリンダ56と弁装置60との間の空間Aから突出しないように配置されている。
【0046】
第1流路61は、作動油を導く機能に加えて、弁装置60を支持する機能を兼ね備えている。第2流路62は、作動油を導く機能を有するが、弁装置60を支持する機能を備えていない。そのため、第1流路61は、第2流路62よりも高い剛性を有している。第1流路61の剛性を高くするために、第1流路61の径は、第2流路62の径よりも大きく構成されている。
【0047】
[オフセットロッド]
オフセットロッド55(図7参照)は、オフセットシリンダ56の上方又は下方(本実施形態では、上方)に第2ブーム52と平行に配置され、第1ブーム51と第3ブーム53とに連結されている。弁装置60は、オフセットシリンダ56とオフセットロッド55との間に配置されている。
【0048】
弁装置60の上部は、第2ブーム52よりも上方に突出している。そのため、オフセットロッド55は、第2ブーム52よりも上方に配置され、軸方向と交差する方向から見て(図7参照)、第2ブーム52とオフセットロッド55との間には間隙が形成されている。
【0049】
以上説明した本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、第1ポート561を有するオフセットシリンダ56(流体シリンダの一例)と、第2ポート602を有する弁装置60と、第1ポート561と第2ポート602を接続する第1流路61と、を備え、オフセットシリンダ56の軸方向から見て、第1ポート561と第2ポート602とが対向している。この構成によれば、オフセットシリンダ56の軸方向から見て、オフセットシリンダ56と弁装置60との間の空間Aから突出しないように第1流路61を配置することができるから、第1流路61と第1ポート561と第2ポート602とを障害物から保護することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、軸方向と交差する方向から見て、第1ポート561と第2ポート602とが対向している。この構成によれば、第1ポート561と第2ポート602とを直線的に結ぶように第1流路61を形成することができるから、第1流路61の剛性を向上させることができ、第1流路61によって弁装置60を支持することが可能になる。その結果、部品数の抑制と軽量化を実現することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、オフセットシリンダ56側から見て、軸方向と交差する方向の弁装置60の幅W60が、オフセットシリンダ56の幅W56以下である。この構成によれば、オフセットシリンダ56側から見て、弁装置60全体がオフセットシリンダ56によって遮蔽されるから、オフセットシリンダ56側にある障害物から弁装置60を保護することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、オフセットシリンダ56によって駆動される作業機4を備え、弁装置60は、オフセットシリンダ56に対して作業機4が配置された第1方向と軸方向とに交差する第2方向に配置されている。この構成によれば、第2方向にある障害物から弁装置60を保護することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、作業機4は、第1ブーム51と、第1ブーム51に左右方向に揺動可能に連結された第2ブーム52と、第2ブーム52に左右方向に揺動可能に連結された第3ブーム53と、第2ブーム52と第3ブーム53とに連結されたオフセットシリンダ56と、オフセットシリンダ56の上方又は下方に第2ブーム52と平行に配置され、第1ブーム51と第3ブーム53とに連結されたオフセットロッド55と、を備え、弁装置60は、オフセットシリンダ56とオフセットロッド55との間に配置されている。この構成によれば、弁装置60の上方又は下方にある障害物から弁装置60を保護することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、弁装置60の上部は、第2ブーム52よりも上方に突出している。この構成によれば、オフセットシリンダ56がより上方に配置されるから、オフセットシリンダ56の下方にある障害物からオフセットシリンダ56をより安全に保護することができる。また、オフセットロッド55が第2ブーム52よりも上方に配置され、オフセット量を大きくしてもオフセットロッド55が第2ブーム52に干渉しないから、オフセット量を大きくすることができる。また、第2ブーム52とオフセットロッド55との間に間隙が形成されるから、第2ブーム52の上方の視界を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、オフセットシリンダ56に設けられた第3ポート563と、弁装置60に設けられた第4ポート604と、第3ポート563と第4ポート604とを接続する第2流路62と、を備え、軸方向から見て、第3ポート563と第4ポート604とが対向している。この構成によれば、オフセットシリンダ56の軸方向から見て、オフセットシリンダ56と弁装置60との間の空間Aから突出しないように第2流路62を配置することができるから、第2流路62と第3ポート563と第4ポート604とを障害物との接触から保護することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、第3ポート563と第4ポート604との軸方向の位置が異なっている。この構成によれば、弁装置60の位置が第3ポート563の位置に制約されないから、設計の自由度を高めることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、第1流路61の外径と第2流路62の外径とが異なっている。この構成によれば、第1流路61と第2流路62のいずれか一方の外径を他方よりも大きくすることで、弁装置60を支持する機能を持たせることができるから、部品数の抑制と軽量化を実現することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、第1流路61の外径は、第2流路62の外径よりも大きい。この構成によれば、第1流路61に弁装置60を支持する機能を持たせることができる。
【0059】
また、本実施形態に係る弁装置60の取付構造によれば、弁装置60は、オフセットシリンダ56の一方の端部に配置されている。この構成によれば、第1流路61と第2流路62とのいずれか一方の外径を大きくすることで、弁装置60を支持する機能を持たせることができるから、部品数の抑制と軽量化を実現することができる。
【0060】
上記実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0061】
上記実施形態では、弁装置60が、オフセットシリンダ56に対して作業機4が配置された第1方向と軸方向とに交差する第2方向に配置されている例が示されたが、弁装置60は、オフセットシリンダ56と作業機4との間に配置されていてもよい。この構成によっても、オフセットシリンダ56側及び作業機4側にある障害物から弁装置60を保護することができる。
【0062】
上記実施形態では、弁装置60がロッド側に配置されている例が示されたが、弁装置60はボトム側に配置されていてもよい。
【0063】
上記実施形態では、オフセットシリンダ56に本発明が適用された例が示されたが、オフセットシリンダ56以外の流体シリンダに本発明が適用されてもよい。例えば、ブームシリンダ41Aの場合、トラックフレーム22にキャップ56Cが連結され、第1ブーム51にロッドヘッド56Hが連結される。第1ポート561は、ボトム側空間56bに設けられる。弁装置60は、第2ポート602を第1ポート561と対向させて設けられ、第1ポート561と第2ポート602とは第1流路61で接続される。第3ポート563、第4ポート604、第2流路62は設けられていない。この構成によっても、第1流路61と第1ポート561と第2ポート602とを障害物から保護することができる。なお、弁装置60は、ブームシリンダ41Aとブーム41との間に設けられていてもよい。この構成によれば、弁装置60を障害物から保護することができる。
【0064】
本変形例も、第1ポート561を有するオフセットシリンダ56(流体シリンダの一例)と、第2ポート602を有する弁装置60と、第1ポート561と第2ポート602を接続する第1流路61と、を備え、オフセットシリンダ56の軸方向から見て、第1ポート561と第2ポート602とが対向している弁装置60の取付構造の一例である。
【0065】
<付記>
上記実施形態は、以下のように特定することができる。
【0066】
<付記1>
第1ポートを有する流体シリンダと、
第2ポートを有する弁装置と、
前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する第1流路と、を備え、
前記流体シリンダの軸方向から見て、前記第1ポートと前記第2ポートとが対向していることを特徴とする弁装置の取付構造。
【0067】
<付記2>
前記軸方向と交差する方向から見て、前記第1ポートと前記第2ポートとが対向していることを特徴とする付記1に記載の弁装置の取付構造。
<付記3>
【0068】
前記流体シリンダ側から見て、前記軸方向と交差する方向の前記弁装置の幅が、前記流体シリンダの幅以下であることを特徴とする付記1又は2に記載の弁装置の取付構造。
【0069】
<付記4>
前記流体シリンダによって駆動される作業機を備え、
前記弁装置は、前記流体シリンダに対して前記作業機が配置された第1方向と前記軸方向とに交差する第2方向に配置されていることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載の弁装置の取付構造。
【0070】
<付記5>
前記流体シリンダによって駆動される作業機を備え、
前記弁装置は、前記流体シリンダと前記作業機との間に配置されていることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載の弁装置の取付構造。
【0071】
<付記6>
前記作業機は、
第1ブームと、
前記第1ブームに左右方向に揺動可能に連結された第2ブームと、
前記第2ブームに左右方向に揺動可能に連結された第3ブームと、
前記第2ブームと前記第3ブームとに連結された前記流体シリンダと、
前記流体シリンダの上方又は下方に前記第2ブームと平行に配置され、前記第1ブームと前記第3ブームとに連結されたオフセットロッドと、を備え、
前記弁装置は、前記流体シリンダと前記オフセットロッドとの間に配置されていることを特徴とする付記4に記載の弁装置の取付構造。
【0072】
<付記7>
前記弁装置の上部は、前記第2ブームよりも上方に突出していることを特徴とする付記6に記載の弁装置の取付構造。
【0073】
<付記8>
前記流体シリンダに設けられた第3ポートと、
前記弁装置に設けられた第4ポートと、
前記第3ポートと前記第4ポートとを接続する第2流路と、を備え、
前記軸方向から見て、前記第3ポートと前記第4ポートとが対向していることを特徴とする付記1乃至7のいずれか1つに記載の弁装置の取付構造。
【0074】
<付記9>
前記第3ポートと前記第4ポートとの前記軸方向の位置が異なっていることを特徴とする付記8に記載の弁装置の取付構造。
【0075】
<付記10>
前記第1流路の外径と前記第2流路の外径とが異なっていることを特徴とする請求項8又は9に記載の弁装置の取付構造。
【0076】
<付記11>
前記第1流路の外径は、前記第2流路の外径よりも大きいことを特徴とする付記10に記載の弁装置の取付構造。
【0077】
<付記12>
前記弁装置は、前記流体シリンダの一方の端部に配置されていることを特徴とする付記1乃至11のいずれか1つに記載の弁装置の取付構造。
【符号の説明】
【0078】
4 作業機
51 第1ブーム
52 第2ブーム
53 第3ブーム
55 オフセットロッド
56 オフセットシリンダ(流体シリンダ)
561 第1ポート
563 第3ポート
60 弁装置
602 第2ポート
604 第4ポート
61 第1流路
62 第2流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11