(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101236
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】印刷制御装置、印刷物を生産する方法および印刷制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005106
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松澤 知己
(57)【要約】
【課題】操作ミス等により、遠いエリアに存在するプリンターで印刷を行ってしまう場合があった。
【解決手段】自らと同じエリアに存在する近プリンターと、自らと異なるエリアに存在する遠プリンターと、が選択可能な前記プリンターとして混在している場合、ユーザーが前記遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記印刷制御部に印刷をさせる前に前記ユーザーに警告を行い、前記ユーザーが前記近プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせ、選択可能な前記プリンターの全てが前記近プリンターである場合および選択可能な前記プリンターが1台の前記遠プリンターのみである場合、前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択可能なプリンターから1台の前記プリンターの選択を受け付ける選択部と、
選択された前記プリンターに印刷データを送信して印刷させる印刷制御部と、
自らと同じエリアに存在する近プリンターと、自らと異なるエリアに存在する遠プリンターと、が選択可能な前記プリンターとして混在している場合、
ユーザーが前記遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記印刷制御部に印刷をさせる前に前記ユーザーに警告を行い、
前記ユーザーが前記近プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせ、
選択可能な前記プリンターの全てが前記近プリンターである場合および選択可能な前記プリンターが1台の前記遠プリンターのみである場合、
前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせる警告部と、
を備えた印刷制御装置。
【請求項2】
前記選択部は、予め前記エリアを示す情報を対応付けて登録された登録プリンターから1台の前記プリンターの選択を受け付け、
前記警告部は、選択された前記プリンターに対応付けて登録されている前記エリアが自らと同じである場合に前記近プリンターと判断し、登録されている前記エリアが自らと異なる場合に前記遠プリンターと判断する、
請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記警告部は、前記エリアの位置を示すGNSS情報、前記エリアの住所、前記エリアに存在するルーターのSSID、前記エリアに割り当てられたIPアドレスの少なくとも一つを用いて前記近プリンターか、前記遠プリンターか、を判断する
請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記警告部は、選択可能な前記近プリンターの紹介を含む前記警告を行う、
請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
選択されたプリンターに印刷データを送信して印刷させる印刷物を生産する方法であって、
ユーザーが存在するエリアと同じエリアに存在する近プリンターと、前記ユーザーが存在するエリアと異なるエリアに存在する遠プリンターと、が選択可能な前記プリンターとして混在している場合、
前記ユーザーが前記遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば印刷を実行する前に前記ユーザーに警告を行い、警告を受けても前記ユーザーが印刷の実行を希望していることに応じて印刷をして印刷物を生産し、
前記ユーザーが前記近プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記ユーザーに警告を行わず印刷をして印刷物を生産する、
印刷物を生産する方法。
【請求項6】
コンピューターを、
選択されたプリンターに印刷データを送信して印刷させる印刷制御部、
前記コンピューターが存在するエリアと同じエリアに存在する近プリンターと、前記コンピューターが存在するエリアと異なるエリアに存在する遠プリンターと、が選択可能な前記プリンターとして混在している場合、
ユーザーが前記遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記印刷制御部に印刷をさせる前に前記ユーザーに警告を行い、
前記ユーザーが前記近プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせる警告部、
として動作させる印刷制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、印刷物を生産する方法および印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なるエリアに存在するプリンターのいずれかで印刷を実行可能にする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異なるエリアに存在するプリンターで印刷を実行可能である場合、ユーザーが存在するエリアと同じエリアに存在するプリンターでの印刷を意図していても、操作ミス等により、遠いエリアに存在するプリンターで印刷を行ってしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための印刷制御装置は、選択可能なプリンターから1台の前記プリンターの選択を受け付ける選択部と、選択された前記プリンターに印刷データを送信して印刷させる印刷制御部と、自らと同じエリアに存在する近プリンターと、自らと異なるエリアに存在する遠プリンターと、が選択可能な前記プリンターとして混在している場合、ユーザーが前記遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記印刷制御部に印刷をさせる前に前記ユーザーに警告を行い、前記ユーザーが前記近プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせ、選択可能な前記プリンターの全てが前記近プリンターである場合および選択可能な前記プリンターが1台の前記遠プリンターのみである場合、前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせる警告部と、を備える。
【0006】
上記の課題を解決するための印刷物を生産する方法は、選択されたプリンターに印刷データを送信して印刷させる印刷物を生産する方法であって、ユーザーが存在するエリアと同じエリアに存在する近プリンターと、前記ユーザーが存在するエリアと異なるエリアに存在する遠プリンターと、が選択可能な前記プリンターとして混在している場合、前記ユーザーが前記遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば印刷を実行する前に前記ユーザーに警告を行い、警告を受けても前記ユーザーが印刷の実行を希望していることに応じて印刷をして印刷物を生産し、前記ユーザーが前記近プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記ユーザーに警告を行わず印刷をして印刷物を生産する。
【0007】
上記の課題を解決するための印刷制御プログラムは、コンピューターを、選択されたプリンターに印刷データを送信して印刷させる印刷制御部、前記コンピューターが存在するエリアと同じエリアに存在する近プリンターと、前記コンピューターが存在するエリアと異なるエリアに存在する遠プリンターと、が選択可能な前記プリンターとして混在している場合、前記ユーザーが前記遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記印刷制御部に印刷をさせる前にユーザーに警告を行い、前記ユーザーが前記近プリンターを選択して印刷しようとしていれば前記ユーザーに警告を行わず前記印刷制御部に印刷をさせる警告部、として動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】印刷制御端末としてのコンピューターのブロック図である。
【
図6】印刷制御処理のフローチャートを示す図である。
【
図7】遠プリンター、近プリンターの数および存在状況に応じた動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷制御システムの構成:
(1-1)プリンターの構成:
(1-2)サーバーの構成:
(1-3)コンピューターの構成:
(2)印刷制御処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)印刷制御システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷制御装置を含む印刷制御システムの一例を示す図である。印刷制御システムは、複数のエリアに存在する電子機器と、サーバー30とを含む。
図1に示す例において、エリア1とエリア2とは、物理的に離れた位置に存在するエリアである。ここでは、エリア1が小規模オフィスであり、ユーザーがエリア1において作業をしている例が想定されている。また、エリア2はユーザーの勤務先のオフィスである例が想定されている。
【0011】
エリア1には、コンピューター10,プリンター11,ルーター12が存在する。コンピューター10およびプリンター11は、有線通信または無線通信によってルーター12と接続している。すなわち、エリア1においては、ルーター12によってコンピューター10とプリンター11とが通信可能なLAN(Local Area Network)が形成されている。また、ルーター12は、インターネットを介して外部装置との通信を制御する。コンピューター10およびプリンター11は、ルーター12を介してサーバー30やエリア2内の電子機器と通信可能である。
【0012】
図1に示す例においては、エリア2にも、エリア1と同様の電子機器が存在する。すなわち、エリア2には、コンピューター20,プリンター21,ルーター22が存在する。エリア2においても、ルーター22によってコンピューター20,プリンター21が互いに通信可能であり、また、外部装置と通信可能である。
【0013】
本実施形態において、ユーザーは、コンピューター10を操作して印刷データを生成し、印刷データが示すコンテンツの印刷指示を行う。この際、ユーザーは、プリンター11のみならずプリンター21も選択可能である。本実施形態においては、このような遠隔地に存在するプリンターへの印刷を可能にするため、サーバー30が稼働している。すなわち、サーバー30は、インターネットを介してコンピューター10から印刷依頼を受け、プリンター11やプリンター21に印刷をさせることが可能である。
【0014】
このように、ユーザーは、自らが操作するコンピューター10と離れた位置に存在するプリンター21を用いて印刷することが可能である。従って、ユーザーは、離れた位置にある勤務先のオフィスに出社して利用する印刷物や、勤務先のオフィスにいる他の者に利用させる印刷物等をプリンター21に印刷させることができる。
【0015】
但し、ユーザーが印刷物を利用する際のニーズの大半は、自らの近くにあるプリンター11で印刷した印刷物を自ら利用するニーズである。従って、本実施形態にかかる印刷制御システムにおいては、離れた位置に存在するプリンター21で印刷可能であるという利便性がある一方で、プリンター21を誤選択して印刷が行われた場合に、印刷物が無駄になるという問題がある。また、印刷物に印刷された情報が予定外の者に開示されると言う問題もある。そこで、本実施形態においては、誤選択による印刷を防止するための処理が実施される。
【0016】
以下、上述の印刷制御システムを構成する各装置を説明する。
(1-1)プリンターの構成:
図2は、プリンター11の構成を示すブロック図である。プリンター11は、プロセッサー11aと、通信部11bと、不揮発性メモリー11cと、印刷部11dと、UI部11eと、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部11fとを備える。プロセッサー11aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー11cに記録された種々のプログラムを実行しプリンター11の各部を制御することができる。
【0017】
なお、プロセッサー11aは、単一のチップで構成されても良いし、複数のチップで構成されても良いし、様々な機能ブロックとともにSoCとして構成されていても良い。また、例えばCPUに替えてASICが採用されても良いし、CPUとASICとが協働する構成であっても良い。本実施形態における各装置がプロセッサーを備える場合、そのプロセッサーは、プロセッサー11aと同様に種々の態様で実現可能である。
【0018】
通信部11bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。プリンター11は、当該通信部11bによってルーター12と通信を行い、ルーター12を介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部11bは、プリンター11に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0019】
印刷部11dは、印刷を実行する部位であり、印刷媒体にコンテンツを印刷する。印刷方式は限定されず、例えば、インクジェット方式やトナー方式、昇華式等の各種の方式を採用可能である。また、印刷媒体は印刷用紙に限定されず、布や陶器、樹脂など、各種の印刷媒体であってよい。印刷部11dは、各種の媒体に印刷を実行するためのアクチュエーターや各種装置、センサー、駆動回路、機械部品等を備えている。
【0020】
UI部11eは、タッチパネルディスプレイや各種のキーやスイッチやLED等の少なくともいずれかを含む。タッチパネルディスプレイは、各種の情報、例えば、プリンター11のステータスやインクの残量等を表示する表示パネルと、当該表示パネルに重ねられたタッチ検出パネルとを備え、タッチ操作を検出する。LEDはプリンター11のステータス等を示す点灯あるいは点滅表示を行う。プロセッサー11aは、UI部11eを介して管理者の操作内容を取得することができる。また、プロセッサー11aは、UI部11eのディスプレイに各種の情報を表示し管理者に通知することができる。
【0021】
GNSS受信部11fは、航法衛星が出力する信号を受信する装置である。プロセッサー11aは、GNSS受信部11fが受信した信号に基づいて、プリンター11が存在する座標(緯度および経度)を特定することができる。
【0022】
本実施形態においてプリンター11は、サーバー30から送信された印刷データに基づいて印刷を行うことができる。すなわち、プロセッサー11aは、通信部11bを介してサーバー30から印刷データ10c1を取得し、当該印刷データ10c1に基づいて印刷部11dを制御し、印刷を実施する。なお、以上の構成は、プリンター11の構成であるが、プリンター21もプリンター11と同様の構成とすることが可能である。
【0023】
(1-2)サーバーの構成:
図3は、サーバー30の構成を示すブロック図である。サーバー30は、プロセッサー30aと、通信部30bと、不揮発性メモリー30cとを備える。プロセッサー30aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー30cに記録された種々のプログラムを実行しサーバー30の各部やネットワークに接続された各装置を制御することができる。
【0024】
通信部30bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。サーバー30は、当該通信部30bおよび図示しないルーターを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部30bは、サーバー30に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0025】
サーバー30の不揮発性メモリー30cには、各種の情報が蓄積される。例えば、不揮発性メモリー30cには、サーバー30からの指示によって印刷可能なプリンターとして登録プリンターを示す登録プリンター情報30c1が記録される。
図4は、登録プリンター情報30c1の例を示す図である。本実施形態においては、各登録プリンターを識別するためのプリンターIDに各登録プリンターの位置情報が対応付けられて登録プリンター情報30c1となる。プリンターIDは、登録プリンターを区別することが可能な情報であれば良く、本実施形態においては登録プリンター毎に割り当てられた固有の名称である。
図4においては、プリンター001がプリンター11の名称であり、プリンター002がプリンター21の名称である。
【0026】
プリンターの位置情報は、各登録プリンターが存在するエリアの位置を示すGNSS情報およびエリアに割り当てられたIPアドレスである。本実施形態において、GNSS情報は、登録プリンターが存在する座標(緯度および経度)であり、各登録プリンターが備えるGNSS受信部によって取得される。エリアに割り当てられたIPアドレスは、登録プリンターが接続されたルーターのグローバルIPアドレスである。例えば、
図4に示す例であれば、名称がプリンター001であるプリンター11は、ルーター12に接続されているため、
図4に示すグローバルIPアドレスであるxxx.xxx.xxx.xxxは、ルーター12に割り当てられたグローバルIPアドレスである。また、座標(X1,Y1)は、プリンター11のGNSS受信部によって取得された、プリンター11の存在座標である。
【0027】
登録プリンター情報30c1へのプリンターの登録は、各登録プリンターによる印刷前に、予め実施される。当該登録はユーザーがコンピューター10やコンピューター20を操作することによって実施される。例えば、ユーザーは、コンピューター10の入力部10eを操作し、プリンター11をサーバー30からの指示によって印刷可能な登録プリンターとして指定する。当該指定が行われると、コンピューター10は、プリンター11のプリンターID、プリンター11の座標およびルーター12のグローバルIPアドレスをサーバー30に送信する。サーバー30は、通信部30bを介してこれらの情報を取得し、登録プリンター情報30c1として不揮発性メモリー30cに保存する。なお、プリンター21の登録プリンター情報30c1への登録が遠隔地から、例えば、コンピューター10から実施可能であっても良い。
【0028】
さらに、印刷データが外部からサーバー30に送信されると、当該印刷データが不揮発性メモリー10cに保存される。例えば、プリンター11で印刷を行うために印刷データ10c1がコンピューター10からサーバー30に送信された場合、当該印刷データ10c1が不揮発性メモリー30cに記録される。プロセッサー30aは、登録プリンター情報30c1に基づいて、印刷実行プリンターとして選択されたプリンター11が存在するエリアのルーター12に対応付けられたグローバルIPアドレスを特定する。そして、プロセッサー30aは、当該グローバルIPアドレスが対応付けられたルーター12に接続されたプリンター11を宛先として印刷データ10c1を送信する。この結果、印刷データ10c1に基づいてプリンター11が印刷を実行する。
【0029】
(1-3)コンピューターの構成:
図5は、コンピューター10の構成を示すブロック図である。コンピューター10は、プロセッサー10aと、通信部10bと、不揮発性メモリー10cと、ディスプレイ10dと、入力部10eと、GNSS受信部10fを備える。プロセッサー10aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー10cに記録された種々のプログラムを実行しコンピューター10の各部を制御することができる。
【0030】
通信部10bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。コンピューター10は、当該通信部10bによってルーター12と通信を行い、ルーター12を介して他の装置と通信することが可能である。また、通信部10bは、コンピューター10に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0031】
ディスプレイ10dは、任意の画像を表示する表示装置である。入力部10eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、キーボードやマウス等で構成される。本実施形態において、コンピューター10は、据置型の端末であることが想定されているが、むろん、コンピューター10は他の態様の端末であっても良い。例えば、タブレット端末やスマートフォン端末等であっても良い。これらの端末である場合、入力部10eは、タッチパネル等で構成されてよい。いずれにしても、ユーザーは、ディスプレイ10dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部10eを操作してユーザーの意図を入力することができる。
【0032】
GNSS受信部10fは、航法衛星が出力する信号を受信する装置である。プロセッサー10aは、GNSS受信部10fが受信した信号に基づいて、コンピューター10が存在する座標(緯度および経度)を特定することができる。
【0033】
プロセッサー10aは、図示しない印刷制御プログラムを実行する。プロセッサー10aが印刷制御プログラムを実行すると、コンピューター10は、印刷制御装置として機能する。また、印刷制御プログラムが実行されると、プロセッサー10aは、選択部10a1,印刷制御部10a2,警告部10a3として機能する。選択部10a1は、選択可能なプリンターから1台のプリンターの選択を受け付ける機能である。本実施形態においては、サーバー30からの指示によって印刷可能なプリンターが予め登録プリンターとして登録され、登録プリンター情報30c1として不揮発性メモリー30cに保存されている。
【0034】
ユーザーは登録プリンターから印刷対象のプリンターを選択することができる。具体的には、コンピューター10は、サーバー30からの指示によって印刷可能な登録プリンターのリストの取得要求を行う。当該取得要求が行われると、サーバー30は、登録プリンター情報30c1を参照し、プリンターIDのリストを示す登録プリンターリスト10c2を生成し、コンピューター10に送信する。プロセッサー10aは、当該登録プリンターリスト10c2を取得し、不揮発性メモリー10cに保存する。なお、本実施形態においては、登録プリンター情報30c1の各プリンターIDに対して各プリンターの位置情報が対応付けられる。
【0035】
以上のように、予め登録プリンターリスト10c2が登録された状態において、ユーザーが任意のコンテンツを印刷する際には、選択部10a1の機能により、プロセッサー10aが、登録プリンターリスト10c2を参照し、ディスプレイ10dに登録プリンターの一覧を表示させる。ユーザーは、入力部10eを操作し、登録プリンターの一覧から、1台の登録プリンターを選択する。プロセッサー10aは、選択された登録プリンターを受け付け、印刷実行プリンターとして特定する。
【0036】
印刷制御部10a2は、選択された登録プリンターに印刷データ10c1を送信して印刷させる機能である。印刷対象を示すコンテンツは、種々の態様で生成されて良い。例えば、ユーザーは、入力部10eを操作して図示しないアプリケーションプログラムを動作させ、印刷対象となるコンテンツを生成する。むろん、印刷対象を示すコンテンツを示す情報は、不揮発性メモリー等によってコンピューター10に転送されても良い。
【0037】
ユーザーがアプリケーションプログラムの機能を用いて印刷対象を示すコンテンツの印刷指示を行うと、プロセッサー10aは、印刷制御部10a2の機能により、当該コンテンツを印刷させるための印刷データ10c1を生成し、不揮発性メモリー10cに保存する。なお、印刷データ10c1の生成処理は、プリンター11,21で実行されてもよいし、サーバー30,コンピューター20で実行されてもよい。印刷データ10c1が生成されると、プロセッサー10aは、印刷制御部10a2の機能により、印刷データ10c1をサーバー30に送信する。サーバー30が印刷データ10c1を受信すると、印刷実行プリンターとして選択された登録プリンターに印刷データ10c1を送信する。この結果、印刷実行プリンターは、印刷データ10c1に基づいて印刷を実行する。
【0038】
以上の構成において、ユーザーは、ユーザーが存在するエリアと同じエリアに存在するプリンター11、異なるエリアに存在するプリンター21、のいずれも選択可能である。このため、ユーザーがプリンター11で印刷させようとしているにもかかわらず、プリンター21を誤選択してしまうことがある。このような誤選択による印刷の実行を防止するため、本実施形態においては、誤選択の可能性がある場合に警告が出力される。
【0039】
このような警告を行うため、プロセッサー10aは、警告部10a3として機能する。警告部10a3は、ユーザーが選択したプリンターに基づいて誤選択の可能性が高いと推定される場合、印刷前に警告を実行する機能である。具体的には、警告部10a3は、選択された登録プリンターが、自らと同じエリアに存在する近プリンターか、異なるエリアに存在する遠プリンターか、に基づいて警告の有無を決定する。本実施形態において、「自ら」とは、印刷制御装置であるコンピューター10を指す。従って、コンピューター10から見ると、プリンター11は近プリンター、プリンター21は遠プリンターになる。
【0040】
本実施形態において、自らが存在するエリアは、コンピューター10が存在する座標およびコンピューター10が接続されたルーターのグローバルIPアドレスによって特定される。このため、プロセッサー10aは、不揮発性メモリー10cに保存している登録プリンターリスト10c2を参照し、印刷実行プリンターとして選択された登録プリンターの位置情報、すなわち、座標およびグローバルIPアドレスを取得する。なお、この際に改めて、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、通信部30bを介してサーバー30のプロセッサー30aから印刷実行プリンターとして選択された登録プリンターの位置情報を取得してもよい。
【0041】
さらに、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、GNSS受信部10fの出力信号を取得し、コンピューター10の座標を特定する。また、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、ルーター12と通信し、ルーター12に割り当てられたグローバルIPアドレスを取得する。
【0042】
プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、自らが存在する座標から既定距離以内の範囲に登録プリンターの座標が含まれる場合に、自らの座標と登録プリンターの座標が一致すると判断する。また、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、自らが通信するルーターのグローバルIPアドレスと印刷実行プリンターとして選択された登録プリンターに対応付けられたグローバルIPアドレスとが同一である場合に、自らに対応するグローバルIPアドレスと登録プリンターに対応するグローバルIPアドレスとが一致すると判断する。
【0043】
座標およびグローバルIPアドレスの双方が一致する場合、プロセッサー10aは、印刷実行プリンターとして選択された登録プリンターに対応付けて登録されたエリアが、自らと同じエリアであり、当該登録プリンターが近プリンターであると判断する。座標、グローバルIPアドレスの少なくとも一方が不一致である場合、プロセッサー10aは、印刷実行プリンターとして選択された登録プリンターに対応付けて登録されたエリアが、自らと異なるエリアであり、当該登録プリンターが遠プリンターであると判断する。
【0044】
そして、近プリンターと遠プリンターとが混在している場合、プロセッサー10aは、選択された登録プリンターに応じて警告の有無を決定する。すなわち、ユーザーが遠プリンターを選択して印刷しようとしていれば、プロセッサー10aは、印刷制御部10a2に印刷をさせる前にユーザーに警告を行う。一方、ユーザーが近プリンターを選択して印刷しようとしていれば、プロセッサー10aは、ユーザーに警告を行わず印刷制御部10a2に印刷をさせる。当該印刷が行われると、印刷物が生産されると言える。
【0045】
警告が行われたユーザーは、印刷実行プリンターとして選択された登録プリンターが意図通りであるか否かを判断することができる。そして、印刷のニーズの大半は近プリンターでの印刷であるため、近プリンターと遠プリンターとが混在している場合には、遠プリンターが選択された場合に、印刷前に警告を行うことで、大半の誤選択による無駄な印刷の発生を防止することができる。また、印刷物に印刷された情報が予定外の者に開示されることを防止することができる。
【0046】
さらに、選択可能な登録プリンターの全てが近プリンターである場合および選択可能なプリンターが1台の遠プリンターのみである場合、プロセッサー10aは、ユーザーに警告を行わず印刷制御部10a2に印刷をさせる。これらの場合、近プリンターを意図して遠プリンターを選択したり、遠プリンターを意図して近プリンターを選択したりすることはないため、警告は行われない。以上のように、本実施形態によれば、近プリンターを意図して遠プリンターで印刷してしまうことを少なくすることができる。また、誤選択の可能性が低い場合に警告を行うことが無いため、印刷開始までの確認を簡易なものにすることができ、ユーザーに煩わしさを感じさせることがない。なお、以上の構成は、コンピューター10の構成であるが、コンピューター20もコンピューター10と同様の構成とすることが可能である。
【0047】
(2)印刷制御処理:
図6は、印刷制御処理のフローチャートである。ユーザーが任意のコンテンツに関する印刷を行う場合、ユーザーは、コンピューター10の入力部10eを操作して印刷処理を開始するための入力を行う。当該入力は、種々の手法で行われて良く、例えば、アプリケーションプログラムの実行下において印刷処理を開始するための指示を行うこと等が当該入力に相当する。
【0048】
当該入力が行われると、プロセッサー10aは、印刷制御処理を開始する。印刷制御処理が開始されると、プロセッサー10aは、選択部10a1の機能により、登録プリンターの選択を受け付ける(ステップS100)。具体的には、プロセッサー10aは、登録プリンターリスト10c2を参照し、登録プリンターの名称を取得する。この結果、印刷を実行させる登録プリンターとして選択可能なプリンターが特定される。また、プロセッサー10aは、ディスプレイ10dを制御して、登録プリンターの名称を選択肢として表示し、入力部10eに対する操作により、ユーザーが選択した登録プリンターを受け付ける。
【0049】
次に、プロセッサー10aは、選択可能な登録プリンターが複数存在するか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、プロセッサー10aは、登録プリンターリスト10c2を参照し、登録プリンターが複数存在するか否かを判定する。ステップS105において、登録プリンターが複数存在すると判定されない場合、プロセッサー10aは、印刷制御部10a2の機能により、選択された登録プリンターに印刷データ10c1を送信する(ステップS140)。
【0050】
選択可能な登録プリンターが複数存在しない場合、登録プリンターは、近プリンター1台または遠プリンター1台のいずれかである。従って、この場合、選択肢が1個しかないため、ユーザーが意図外のプリンターを選択している可能性が低い。そこで、本実施形態においては、誤選択の可能性が低いとみなし、警告を行うことなく、印刷を実行する。具体的には、プロセッサー10aは、選択された登録プリンターを印刷実行プリンターと見なす。そして、プロセッサー10aは、印刷対象のコンテンツに基づいて印刷データ10c1を生成し、印刷実行プリンターを示す情報とともに、印刷データ10c1をサーバー30に送信する。サーバー30が印刷データ10c1を受信すると、サーバー30は、印刷実行プリンターを特定し、登録プリンター情報30c1を参照して当該印刷実行プリンターのグローバルIPアドレスを特定し、当該グローバルIPアドレスおよび印刷実行プリンターを宛先として指定し、印刷データ10c1を送信する。この結果、ステップS100で選択されたプリンターで印刷が実行される。
【0051】
図7においては、本実施形態における遠プリンター、近プリンターの数および存在状況に応じた動作が示されている。ステップS105において、選択可能な登録プリンターが複数存在すると判定されない場合、
図7に示す表の1行目、または、2行目の状況である。この場合、警告が行われずに印刷が実行されるため、動作として印刷が即実行されることが示されている。なお、本実施形態においてコンピューター10は、サーバー30を利用して印刷を行う構成であるため、登録プリンターが1台も存在しない状況は想定されていない。但し、登録プリンターが1台も存在しないにおいて、例えば、コンピューター10がルーター12を介してプリンター11に印刷を実行させることができるのであれば、サーバー30を用いないで印刷が実行可能であっても良い。
【0052】
一方、ステップS105において、選択可能な登録プリンターが複数存在すると判定された場合、すなわち、
図7に示す表の3行目~5行目のいずれかである場合、プロセッサー10aは、ステップS110以降の処理を実行する。ステップS110において、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、選択された登録プリンターの位置情報を取得する。すなわち、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、ステップS100で選択された登録プリンターの位置情報の送信要求を、通信部10bを介してサーバー30に送信する。サーバー30のプロセッサー30aは、当該送信要求に応じて、登録プリンター情報30c1を参照し、要求された登録プリンターの位置情報を取得し、コンピューター10に返信する。この結果、プロセッサー10aは、ステップS100で選択された登録プリンターの座標およびグローバルIPアドレスを取得する。
【0053】
次に、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、コンピューターの位置情報を取得する(ステップS115)。具体的には、プロセッサー10aは、GNSS受信部10fの出力信号を取得し、コンピューター10の座標を特定する。また、プロセッサー10aは、通信部10bを介してルーター12と通信し、ルーター12に割り当てられたグローバルIPアドレスを取得する。
【0054】
次に、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、選択された登録プリンターとコンピューターの位置情報を比較する(ステップS120)。具体的には、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、ステップS115で取得したコンピューター10の座標から既定距離以内の範囲に、ステップS110で取得した登録プリンターの座標が含まれるか否か判定する。当該範囲に登録プリンターの座標が含まれる場合、コンピューター10の座標と登録プリンターの座標が一致すると判断する。
【0055】
また、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、ステップS115で取得したグローバルIPアドレスと、ステップS110で取得したグローバルIPアドレスとが同一であるか否か判定する。
【0056】
座標およびグローバルIPアドレスの双方が一致する場合、登録プリンターは、コンピューター10から近いエリアに存在する近プリンターである。また、座標およびグローバルIPアドレスの双方が一致しない場合、登録プリンターは、コンピューター10から遠いエリアに存在する遠プリンターである。
【0057】
座標およびグローバルIPアドレスの双方が一致する場合、すなわち、選択された登録プリンターが近プリンターである場合、ステップS125の判断を経て、プロセッサー10aは、ステップS130,S135をスキップし、ステップS140を実行する。すなわち、プロセッサー10aは、プリンターの誤選択に関する警告を行うことなく、サーバー30に印刷データ10c1を送信し、ステップS100で選択された登録プリンターを印刷実行プリンターとして印刷を実行させる。
【0058】
なお、座標およびグローバルIPアドレスの双方が一致する場合は、
図7の3行目の一部、または、4行目に該当する。すなわち、ステップS110以降の処理が実行される場合、登録プリンターが複数台存在するため、遠プリンターおよび近プリンターの双方が1台以上存在する3行目の状況か、または、遠プリンターが1台も存在せず近プリンターが複数台存在する4行目の状況か、または、遠プリンターが複数台存在し近プリンターが1台も存在しない5行目の状況か、のいずれかである。
【0059】
そして、ステップS125において、座標およびグローバルIPアドレスの双方が一致すると判定された場合、登録プリンターは近プリンターである。従って、この状況は、
図7の3行目のように、遠プリンターと近プリンターとが混在する状況で近プリンターが選択された状況か、
図7の4行目のように近プリンターのみが存在する状況のいずれかである。これらの状況においては、ステップS130,S135がスキップされ、ステップS140が実行されるため、警告が行われることなく、印刷が即実行されることになる。すなわち、近プリンターで印刷しようとして遠プリンターを選択したという誤選択が生じない状況であるため、警告が行われない。
【0060】
座標およびグローバルIPアドレスの少なくとも一方が一致しない場合、すなわち、選択された登録プリンターが遠プリンターである場合、ステップS125の判断を経て、プロセッサー10aは、警告部10a3の機能により、警告を表示し、ユーザーの入力を受け付ける(ステップS130)。具体的には、プロセッサー10aは、ディスプレイ10dを制御し、警告画面を表示させる。
図8は、警告画面の例を示す図である。
【0061】
図8に示す例においては、上部に警告を示すアイコンと「警告」の文字が表示され、これらの下部に警告内容が示されている。警告内容には、選択されたプリンターとコンピューターの位置情報が異なることを示す文字と、印刷を続行するか否か問い合わせる文字が含まれる。また、選択されたプリンターの名称、座標、グローバルIPアドレスを示すボックスと、コンピューターの座標、グローバルIPアドレスを示すボックスとが含まれる。
【0062】
さらに、本実施形態においては、警告画面に、選択可能な近プリンターの紹介が含まれる。
図8においては、「コンピューターと近いプリンター」という文字が示され、これらの下部にプリンターの選択肢を表示するボックスが示されている。ユーザーが入力部10eを操作して当該ボックスを指示すると、プロセッサー10aは、近プリンターのリストを取得する。具体的には、プロセッサー10aは、コンピューター10の座標およびコンピューター10が接続されているルーター12のグローバルIPアドレスを取得し、通信部10bを介してサーバー30にこれらの情報を送信する。
【0063】
サーバー30は、登録プリンター情報30c1を参照し、コンピューター10の座標から既定範囲内の座標が対応付けられ、かつ、グローバルIPアドレスが一致する登録プリンターを取得する。すなわち、サーバー30は、コンピューター10に近い近プリンターのプリンターIDを取得する。そして、サーバー30は、通信部30bを介して、近プリンターのプリンターIDをコンピューター10に送信する。
【0064】
コンピューター10は、ディスプレイ10dを制御し、これらの近プリンターのプリンターIDを表示させる。ユーザーは、入力部10eを操作し、所望の近プリンターを選択し、「印刷設定画面を開く」ボタンで指示を行うことにより、各種の印刷設定を行いつつ印刷実行プリンターを変更することができる。この場合において、ユーザーが印刷設定を行うと、プロセッサー10aは、再度ステップS100から実行開始する。以上の構成によれば、ユーザーは、自ら意図したプリンターと異なるプリンターで印刷しようとしていた場合、紹介された近プリンターを選択することによって、自らの近くのプリンターで印刷することが可能になる。なお、近プリンターが存在しない場合、近プリンターの紹介は行われない。
【0065】
図8に示す画面においては、「OK」ボタンや「cancel」ボタンも表示されている。ユーザーが入力部10eを操作し、「cancel」ボタンで指示を行うと、プロセッサー10aは、ステップS135において、印刷実行指示がないと判定し、印刷制御処理を終了する。この構成によれば、ユーザーは、自ら意図したプリンターと異なるプリンターで印刷しようとしていた場合に、印刷制御処理を実行しないようにすることができる。
【0066】
図8に示す画面において、ユーザーが入力部10eを操作し、「OK」ボタンで指示を行うと、プロセッサー10aは、ステップS135において、印刷実行指示があったと判定し、ステップS140を実行する。すなわち、プロセッサー10aは、ステップS100で選択されたプリンターの変更を行うことなく印刷を実行する指示があったと見なし、印刷実行プリンターを変更せずに、ステップS140において印刷を実行させる。
【0067】
なお、ステップS110,S115で取得された座標およびグローバルIPアドレスの少なくとも一方が一致しない場合は、
図7の3行目の一部、または、5行目に該当する。すなわち、ステップS125において、座標およびグローバルIPアドレスの少なくとも一方が一致しない判定された場合、登録プリンターは遠プリンターである。従って、この状況は、
図7の3行目のように、遠プリンターと近プリンターとが混在する状況で遠プリンターが選択された状況か、
図7の5行目のように遠プリンターのみが存在する状況のいずれかである。
【0068】
図7の3行目のように、遠プリンターと近プリンターとが混在する状況で遠プリンターが選択された状況においては、ユーザーが近プリンターでの印刷を意図しているにもかかわらず、遠プリンターを誤選択していることがあり得る。このため、本実施形態においては、印刷を即実行せず、警告を行うことにより、誤選択である場合に修正をする機会をユーザーに与えている。この結果、誤選択のまま印刷される可能性を低減することができる。一方、本実施形態においては、
図7の5行目のように遠プリンターのみが存在する状況においても警告が行われるが、この状況下では、誤選択された可能性が低いと推定し、警告を行うことなく印刷を即実行してもよい。
【0069】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、印刷制御システムの装置構成は、
図1に示す構成に限定されない。例えば、エリア2においてコンピューター20が存在しない構成であっても良いし、エリア1,2のそれぞれにプリンターが2台以上存在しても良い。また、エリアが3個以上存在しても良い。また、
図1に示す各端末は、機能を共有するより少数の端末であっても良いし、より多数の端末であっても良い。例えば、コンピューター10とプリンター11とは一体の装置であっても良いし、サーバー30は、各エリアに存在するコンピューター10,20の少なくとも一方と同一の端末であっても良い。さらに、サーバー30がクラウドサーバーであるなど、各端末がより多数の端末で構成されても良い。
【0070】
さらに、上述の実施形態のように、ユーザーが選択したプリンターに応じて警告を行い得るモードと、警告を行わないモードと、が予めユーザーによって選択可能であっても良い。
【0071】
さらに、位置情報は、位置を示す情報であれば様々な情報であってもよく、その情報は外部装置から取得したりユーザーに手入力させたり、様々な方法で取得することができる。例えば、エリアの位置を示すGNSS情報、エリアに割り当てられたIPアドレスに限定されず、エリアの住所やエリアに存在するルーターのSSID(Service Set Identifier)であっても良いし、これらの任意の組合せであっても良い。エリアの住所は、行政区画の名称、数値、記号等によって特定される場所を示す情報であれば良い。住所は、例えば、ユーザーが住所を入力することで特定されても良いし、GNSS情報等によって特定された座標が含まれる住所が、住所管理サーバー等によって特定されても良く、種々の手法で特定されて良い。ルーター12が無線通信可能なルーターである場合、ルーター12にはSSIDが割り当てられる。このため、共通のSSIDを用いて無線通信する機器は同じエリアに存在すると見なすことができる。位置情報には、他にも種々の情報が用いられて良く、例えば、無線LANの基地局や携帯電話網の基地局と端末との通信状況を用いて端末(プリンターやコンピューター)の位置が特定されても良い。
【0072】
さらに、上述のプリンター11,21は、GNSS受信部を用いて座標を特定したが、GNSS受信部を備えないプリンターが存在するエリアが、他の機器の座標等に基づいて特定されても良い。例えば、プリンター11の近くに存在するコンピューター10がGNSS受信部を備えるのであれば、当該GNSS受信部で取得したコンピューター10の座標が、プリンター11のエリアを特定するための座標として登録プリンター情報30c1に登録されても良い。
【0073】
選択部は、選択可能なプリンターから1台のプリンターの選択を受け付けることができればよい。すなわち、選択部は、印刷を実行するプリンターを選択することができればよい。選択可能なプリンターは、上述の実施形態のように、サーバー30に予め登録されていても良いし、コンピューター10,20に登録されても良い。
【0074】
印刷制御部は、選択されたプリンターに印刷データを送信して印刷させることができればよい。すなわち、印刷制御部は、選択された近プリンターまたは遠プリンターに印刷を実行させることができればよい。上述の実施形態においては、近プリンターが選択された場合もサーバーに印刷データが送信され、サーバーから近プリンターに印刷データが送信されて印刷が行われるが、コンピューターから近プリンターに印刷データが送信されても良い。
【0075】
自らと同じエリアに存在する近プリンターか、異なるエリアに存在する遠プリンターか、の判断は、上述したものに限られない。当該判断は、プリンターとコンピューターとの位置関係が所定に条件を満足するか否かの判断と、実質的には同一である。すなわち、警告部による警告の有無の判定の過程で、選択されたプリンターが、ユーザーが使用するコンピューターの近くに存在する場合に近プリンター、遠くに存在する場合に遠プリンターと判断しても良いし、上述の実施形態のようなプリンターとコンピューターとの位置関係が一致しているか否かの判断が行われてもよい。
【0076】
エリアは、ユーザーや、ユーザーが使用するコンピューターから見てプリンターが近いか否かを比較するための概念であり、点であっても良いし、有限の面積を有する領域であっても良い。領域の広さを示す値、例えば、機器が存在する座標からの距離は、予め設定されていれば良く、1km、100m等のように種々の値であって良い。同じ部屋に位置していれば近プリンターとし同じ部屋に位置していなければ遠プリンターとしてもよい。また、点や領域などのように、エリアに属するか否かを物理的な距離関係から定義可能な概念に限定されず、エリアに属するか否かを物理的な距離関係に依存せずに定義可能な概念であっても良い。例えば、特定のグローバルIPアドレスが割り当てられたルーターに接続された複数の機器が同じエリアに属すると見なす構成は、後者の概念に該当する。また、プリンターが発生する無線信号をコンピューターが受信できれば近プリンターであり受信できなければ遠プリンターであると判断してもよい。
【0077】
警告部は、ユーザーが選択したプリンターに基づいて誤選択の可能性が高いと推定される場合、印刷前に警告を実行することができればよい。また、警告部は、誤選択の可能性が低いと推定される場合、警告を行わず印刷させることができればよい。誤選択の可能性の有無は、ユーザーが選択したプリンターに基づいて特定されれば良い。すなわち、近プリンターと遠プリンターとが混在しているのに、遠プリンターが選択された場合には、誤選択された可能性が高いと推定される。近プリンターと遠プリンターとが混在していても、多くの場合には近プリンターで印刷されるため、近プリンターが選択された場合には、誤選択の可能性が低いと推定される。
【0078】
プリンターが混在していない場合は、近プリンターのみが選択可能であるか、遠プリンターのみが選択可能な状況である。近プリンターのみが選択可能である場合、誤選択の可能性が低いと推定されるため警告が行われない。遠プリンターが1台のみ選択可能である場合、誤選択の可能性が低いと推定されるため警告が行われない。遠プリンターが複数台選択可能である場合、上述の実施形態においては警告が行われるが、誤選択の可能性が低いと推定し、警告が行われなくてもよい。
【0079】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各要素が上述した装置とは異なる装置に設けられる場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、どの装置でどの処理を行うかは適宜変更することができる。例えば、近プリンターか遠プリンターかの判断をサーバー30で行って、警告行う場合にサーバー30がコンピューター10に警告を行うように指示し、コンピューター10は指示に従って警告を行ってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…コンピューター、10a…プロセッサー、10a1…選択部、10a2…印刷制御部、10a3…警告部、10b…通信部、10c…不揮発性メモリー、10c1…印刷データ、10c2…登録プリンターリスト、10d…ディスプレイ、10e…入力部、10f…GNSS受信部、11…プリンター、11a…プロセッサー、11b…通信部、11c…不揮発性メモリー、11d…印刷部、11e…UI部、11f…GNSS受信部、12…ルーター、20…コンピューター、21…プリンター、22…ルーター、30…サーバー、30a…プロセッサー、30b…通信部、30c…不揮発性メモリー、30c1…登録プリンター情報