(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101265
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】つながり度数管理方法、つながりシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240722BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005149
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】599004254
【氏名又は名称】株式会社QTnet
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】田村 光太郎
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】 組織に属するメンバーが他のメンバーに対して感じる親密度を見える化しつつ管理することによって、メンバー間のコミュニケーションの活性化に貢献することに適したつながり度数管理方法等を提案する。
【解決手段】 つながりシステム1は、組織に属する複数のメンバーの間の親密度を示すつながり度数を管理する。メンバー端末7
i(iはN以下の自然数)において、当該メンバー端末を使用する評価メンバーは、メンバー処理部33
iによる処理によって、メンバー入出力部に対して、他の被評価メンバーのそれぞれに対して抱く親密度を示すつながり度数を入力する。サーバ5において、評価値管理部17が、評価値記憶部19に、評価メンバーと被評価メンバーに対応させてつながり度数を記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に属する複数のメンバーの間の親密度を示すつながり度数を管理するつながりシステムにおけるつながり度数管理方法であって、
前記つながりシステムは、サーバと、メンバー端末を備え、
前記サーバは、評価値管理部と、評価値記憶部を備え、
前記メンバー端末は、メンバー入出力部と、メンバー処理部を備え、
前記メンバー端末において、前記メンバー処理部による処理によって、当該メンバー端末を使用する評価メンバーにより、前記メンバー入出力部に対して、他の被評価メンバーのそれぞれに対して抱く親密度が入力されるつながり度数入力ステップと、
前記サーバにおいて、前記評価値管理部が、前記評価値記憶部に、評価メンバーと被評価メンバーに対応させて入力されたつながり度数を記憶する管理ステップを含むつながり度数管理方法。
【請求項2】
前記つながりシステムは、管理端末を備え、
前記サーバは、分析処理部を備え、
前記分析処理部が、前記管理端末からの分析指示に従って、前記メンバーに対応して設定されるパラメータの一部又は全部に対して分析処理を行う分析ステップを含む請求項1記載のつながり度数管理方法。
【請求項3】
前記メンバー入出力部は、当該メンバー端末を使用するメンバーが、実空間において及び/又は仮想空間においてコミュニケーションを行った及び/又は行うことができるメンバーについて、他のメンバーとは異なる表示をする、請求項1記載のつながり度数管理方法。
【請求項4】
前記サーバは、メンバー管理部を備え、
前記メンバー管理部が、メンバー変更の指示がなされた場合に、変更するメンバーに対応してパラメータの値を設定又は変更し、既存のメンバーが使用するメンバー端末において、メンバー変更に関する表示をさせるメンバー管理ステップを含む請求項1記載のつながり度数管理方法。
【請求項5】
前記サーバは、イベント処理部を備え、
前記イベント処理部が、イベント開催の指示がなされた場合に、つながり度数を参照してイベントに参加するメンバーを選択するイベント参加者決定ステップを含む請求項1記載のつながり度数管理方法。
【請求項6】
前記イベント処理部が、イベント開催後に、イベント参加者が使用するメンバー端末に対して、つながり度数の更新を促すイベント後表示ステップを含む請求項5記載のつながり度数管理方法。
【請求項7】
前記サーバは、トレース処理部を備え、
前記トレース処理部は、ある起点メンバーが使用するメンバー端末から、終点メンバーに至るトレース処理の指示があった場合に、起点メンバー、一人又は複数の中間メンバー、及び、終点メンバーを含む紹介メンバー群について、起点メンバーを評価者とし中間メンバーの一人を被評価者とするつながり度数、及び、中間メンバーの一人を評価者とし終点メンバーを被評価者とするつながり度数を参照して、つながり度数が高い順に一つ又は複数の紹介メンバー群を選択するトレースステップを含む請求項1記載のつながり度数管理方法。
【請求項8】
組織に属する複数のメンバーの間の親密度を示すつながり度数を管理するつながりシステムであって、
当該つながりシステムは、サーバと、メンバー端末を備え、
前記サーバは、評価値管理部と、評価値記憶部を備え、
前記メンバー端末は、メンバー入出力部と、メンバー処理部を備え、
前記メンバー端末において、前記メンバー処理部による処理によって、当該メンバー端末を使用する評価メンバーにより、前記メンバー入出力部に対して、他の被評価メンバーのそれぞれに対して抱く親密度が入力され、
前記サーバにおいて、前記評価値管理部は、前記評価値記憶部に、評価メンバーと被評価メンバーに対応させて入力されたつながり度数を記憶する、つながりシステム。
【請求項9】
コンピュータを、請求項8記載のサーバ及び/又はメンバー端末として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、つながり度数管理方法、つながりシステム及びプログラムに関し、特に、組織に属する複数のメンバーの間の親密度を示すつながり度数を管理するつながりシステムにおけるつながり度数管理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、社内で利用する電子メールを利用してメンバー間のコミュニケーション度を定量的に算出し、コミュニケーション度が低いメンバー同士に対してコミュニケーション活性化施策を自動で送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、電子メールなどによる定量的な分析は、例えば隣の席で雑談したり、休憩部屋などで歓談したりすることによって感じるメンバーの主観的な評価とは異なる分析結果となる場合が多い。
【0005】
これまでの組織では、このような直接会って生じるコミュニケーションは、メンバーが同じビルなどに集まることによって自然と生じることによって活性化することが期待できる部分があった。
【0006】
しかしながら、フリーアドレスによって座席を自由に選択できるようになり、さらには在宅勤務などで遠隔での仕事が中心となると、メンバーが他のメンバーと日常的に顔をあわせることによってコミュニケーションが生じることを期待することは難しい。そのため、メンバーが、積極的にコミュニケーションをとるように促す仕組みづくりが求められるようになった。
【0007】
そこで、本願発明は、組織に属するメンバーが他のメンバーに対して感じる親密度を見える化しつつ管理することによって、メンバー間のコミュニケーションの活性化に貢献することに適したつながり度数管理方法等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1の側面は、組織に属する複数のメンバーの間の親密度を示すつながり度数を管理するつながりシステムにおけるつながり度数管理方法であって、前記つながりシステムは、サーバと、メンバー端末を備え、前記サーバは、評価値管理部と、評価値記憶部を備え、前記メンバー端末は、メンバー入出力部と、メンバー処理部を備え、前記メンバー端末において、前記メンバー処理部による処理によって、当該メンバー端末を使用する評価メンバーにより、前記メンバー入出力部に対して、他の被評価メンバーのそれぞれに対して抱く親密度が入力されるつながり度数入力ステップと、前記サーバにおいて、前記評価値管理部が、前記評価値記憶部に、評価メンバーと被評価メンバーに対応させて入力されたつながり度数を記憶する管理ステップを含む。
【0009】
本願発明の第2の側面は、第1の側面のつながり度数管理方法であって、前記つながりシステムは、管理端末を備え、前記サーバは、分析処理部を備え、前記分析処理部が、前記管理端末からの分析指示に従って、前記メンバーに対応して設定されるパラメータの一部又は全部に対して分析処理を行う分析ステップを含む。
【0010】
本願発明の第3の側面は、第1又は第2の側面のつながり度数管理方法であって、前記メンバー入出力部は、当該メンバー端末を使用するメンバーが、実空間において及び/又は仮想空間においてコミュニケーションを行った及び/又は行うことができるメンバーについて、他のメンバーとは異なる表示をする。
【0011】
本願発明の第4の側面は、第1から第3のいずれかの側面のつながり度数管理方法であって、前記サーバは、メンバー管理部を備え、前記メンバー管理部が、メンバー変更の指示がなされた場合に、変更するメンバーに対応してパラメータの値を設定又は変更し、既存のメンバーが使用するメンバー端末において、メンバー変更に関する表示をさせるメンバー管理ステップを含む。
【0012】
本願発明の第5の側面は、第1から第4のいずれかの側面のつながり度数管理方法であって、前記サーバは、イベント処理部を備え、前記イベント処理部が、イベント開催の指示がなされた場合に、つながり度数を参照してイベントに参加するメンバーを選択するイベント参加者決定ステップを含む。
【0013】
本願発明の第6の側面は、第5の側面のつながり度数管理方法であって、前記イベント処理部が、イベント開催後に、イベント参加者が使用するメンバー端末に対して、つながり度数の更新を促すイベント後表示ステップを含む。
【0014】
本願発明の第7の側面は、第1から第6のいずれかの側面のつながり度数管理方法であって、前記サーバは、トレース処理部を備え、前記トレース処理部は、ある起点メンバーが使用するメンバー端末から、終点メンバーに至るトレース処理の指示があった場合に、起点メンバー、一人又は複数の中間メンバー、及び、終点メンバーを含む紹介メンバー群について、起点メンバーを評価者とし中間メンバーの一人を被評価者とするつながり度数、及び、中間メンバーの一人を評価者とし終点メンバーを被評価者とするつながり度数を参照して、つながり度数が高い順に一つ又は複数の紹介メンバー群を選択するトレースステップを含む。
【0015】
本願発明の第8の側面は、組織に属する複数のメンバーの間の親密度を示すつながり度数を管理するつながりシステムであって、当該つながりシステムは、サーバと、メンバー端末を備え、前記サーバは、評価値管理部と、評価値記憶部を備え、前記メンバー端末は、メンバー入出力部と、メンバー処理部を備え、前記メンバー端末において、前記メンバー処理部による処理によって、当該メンバー端末を使用する評価メンバーにより、前記メンバー入出力部に対して、他の被評価メンバーのそれぞれに対して抱く親密度が入力され、前記サーバにおいて、前記評価値管理部は、前記評価値記憶部に、評価メンバーと被評価メンバーに対応させて入力されたつながり度数を記憶する。
【0016】
本願発明の第9の側面は、第8の側面のつながりシステムであって、当該つながりシステムは、管理端末を備え、前記サーバは、分析処理部を備え、前記分析処理部は、前記管理端末からの分析指示に従って、前記メンバーに対応して設定されるパラメータの一部又は全部に対して分析処理を行う。
【0017】
本願発明の第10の側面は、第8又は第9の側面のつながり度数管理システムであって、前記メンバー入出力部は、当該メンバー端末を使用するメンバーが、実空間において及び/又は仮想空間においてコミュニケーションを行った又は行うことができるメンバーについて、他のメンバーとは異なる表示をする。
【0018】
本願発明の第11の側面は、第8から第10のいずれかの側面のつながりシステムであって、前記サーバは、メンバー管理部を備え、前記メンバー管理部は、メンバー変更の指示がなされた場合に、変更するメンバーに対応してパラメータの値を設定又は変更し、既存のメンバーが使用するメンバー端末において、メンバー変更に関する表示をさせる。
【0019】
本願発明の第12の側面は、第8から第11のいずれかの側面のつながりシステムであって、前記サーバは、イベント処理部を備え、前記イベント処理部は、イベント開催の指示がなされた場合に、つながり度数を参照してイベントに参加するメンバーを選択する。
【0020】
本願発明の第13の側面は、第12の側面のつながりシステムであって、前記イベント処理部が、イベント開催後に、イベント参加者が使用するメンバー端末に対して、つながり度数の更新を促す。
【0021】
本願発明の第14の側面は、第8から第13のいずれかの側面のつながりシステムであって、前記サーバは、トレース処理部を備え、前記トレース処理部は、ある起点メンバーが使用するメンバー端末から、終点メンバーに至るトレース処理の指示があった場合に、起点メンバー、一人又は複数の中間メンバー、及び、終点メンバーを含む紹介メンバー群について、起点メンバーを評価者とし中間メンバーの一人を被評価者とするつながり度数、及び、中間メンバーの一人を評価者とし終点メンバーを被評価者とするつながり度数を参照して、つながり度数が高い順に一つ又は複数の紹介メンバー群を選択する。
【0022】
本願発明の第15の側面は、コンピュータを、第8から第14のいずれかの側面のサーバ及び/又はメンバー端末として機能させるためのプログラムである。
【0023】
なお、本願発明を、第15の側面のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本願発明の各側面によれば、メンバーは、他のメンバーのそれぞれに対して感じる親密度を「つながり度数」として入力し、これをサーバにおいて各メンバーに見える化しつつ管理することによって、各メンバーが他のメンバーとの間のコミュニケーションを活性化してつながり度数を上げるように行動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願発明の実施の形態に係るつながりシステム1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】メンバー端末41において、つながり度数を収集するためのアプリの画像の一例を示す。
【
図3】評価値管理部17の動作の一例を示すフロー図である。
【
図4】評価値記憶部19が記憶する各メンバーが他のメンバーに対して指定したつながり度数を示す表である。
【
図5】分析処理部21の動作の一例を示すフロー図である。
【
図6】メンバー管理部23の動作の一例を示すフロー図である。
【
図7】
図4の表において、メンバーEが入社して、メンバーA、B、C及びDのグループにメンバーEを追加した後のつながり度数を示す表である。
【
図8】イベント処理部27の動作の一例を示すフロー図である。
【
図9】イベント処理部27による動作の具体例を説明するための表である。
【
図10】トレース処理部29の動作の一例を示すフロー図である。
【
図11】トレース処理部29による動作の具体例を説明するための表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例0027】
図1は、本願発明の実施の形態に係るつながりシステム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
つながりシステム1は、組織に属するメンバー(例えば会社組織における社員など)の間の親密度を、各メンバーが多段階(例えば5段階)で主観的に評価し、それを集めて見える化することによって、「つながり度数」(各メンバーが感じる他のメンバーとの親密度)を上げる仕組みづくりを実現するためのものである。
【0029】
つながりシステム1は、管理端末3と、サーバ5と、N台(Nは自然数)のメンバー端末71,…,7Nを備える。
【0030】
図2は、メンバー端末41において、つながり度数を収集するためのアプリの画像の一例を示す。メンバー端末41は、メンバー端末7
1,…,7
Nの一つであり、メンバーAが使用している。メンバーAがアプリを起動すると、他のメンバーのリストが表示される。
【0031】
画面43において、各メンバーは、顔写真と名前が表示され、5つの星印が表示される。メンバーAは、星印の色を変更することにより、対応するメンバーのつながり度数を入力することができる。この例では、つながり度数は、5段階で評価する。つながり度数は、「1.誰かわからない」、「2.顔と名前はわかる」、「3.会ったら挨拶」、「4.困ったら相談できる」及び「5.気軽に雑談」と表記し、つながり度数1は、親密度が最も低い。つながり度数が多くなるほど親密度が高まる。つながり度数5は、親密度が最も高いと感じている状態である。
【0032】
図2の例では、メンバーAは、メンバーBに対して星を5つ指定しており、つながり度数は最も高い5である。メンバーAは、メンバーCに対して星を3つ指定しており、つながり度数は3である。メンバーAは、メンバーDに対して星を4つ指定しており、つながり度数は4である。メンバーAは、メンバーFに対して星を5つ指定しており、つながり度数は5である。メンバーAは、メンバーGに対して星を3つ指定しており、つながり度数は3である。メンバーAは、スクロールバー45を操作することにより、他のメンバーに対しても同様につながり度数を表示したり指定したりすることができる。
【0033】
メンバー端末41では、最初の起動時には、各メンバーに対してメンバーAが指定したつながり度数を表示する。このつながり度数は、現時点でサーバ5において管理されているものである。メンバーAが少なくとも一名のメンバーに対するつながり度数を変更したならば、「OK」ボタン47を指定できる状態にする。メンバーAが「OK」ボタン47を指定したならば、サーバ5において管理されるつながり度数において変更を反映する。メンバーAが「Cancel」ボタン49を指定したならば、サーバ5において管理されるつながり度数に変更を反映せず、変更前の表示に戻す。このように、例えば、本願発明を、つながり度数入力ステップにおいて、メンバー処理部は、メンバー入出力部に評価値記憶部に記憶された各被評価メンバーのつながり度数を表示させ、評価メンバーにより、メンバー入出力部に表示された一部又は全部の被評価メンバーのつながり度数の変更が入力され、管理ステップにおいて、評価値管理部は、つながり度数が変更された被評価メンバーの評価値記憶手段に記憶されたつながり度数を変更するものとして捉えてもよい。
【0034】
図1を参照して、管理端末3は、管理者が使用する情報処理装置(例えばパソコンなど)である。管理端末3は、管理入出力部11と、管理処理部13と、管理通信部15を備える。
【0035】
管理入出力部11は、管理者に情報を伝えたり、管理者が情報を入力したりするためのものである。管理入出力部11は、例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。
【0036】
管理処理部13は、所定の情報処理を実現するための装置である。管理処理部13は、例えば、プログラムの制御下で動作するプロセッサなどによって実現される。
【0037】
管理通信部15は、サーバ5との間で有線及び/又は無線で通信するための通信機である。
【0038】
サーバ5は、評価値管理部17と、評価値記憶部19と、分析処理部21と、メンバー管理部23と、サーバ通信部25と、イベント処理部27と、トレース処理部29を備える。
【0039】
評価値管理部17、分析処理部21、メンバー管理部23、イベント処理部27及びトレース処理部29は、所定の情報処理を実現するための装置であり、例えば、プログラムの制御下で動作するプロセッサなどによって実現される。これらの具体的な動作は、
図3乃至
図11を参照して説明する。
【0040】
評価値記憶部19は、所定の情報を記憶する記憶装置であり、例えば、メモリ、ハードディスクなどによって実現される。
【0041】
サーバ通信部25は、管理端末3及びメンバー端末71,…,7Nとの間で有線及び/又は無線で通信するための通信機である。
【0042】
メンバー端末7i(iはN以下の自然数)は、それぞれ、メンバーが使用する情報処理装置(例えば、Personal Digital Assistant(PDA)、携帯電話、スマートフォンなどのような個人向けの情報端末など)である。メンバー端末7iは、メンバー入出力部31iと、メンバー処理部33iと、メンバー通信部35iを備える。
【0043】
メンバー入出力部31iは、メンバーに情報を伝えたり、メンバーが情報を入力したりするためのものである。メンバー入出力部31iは、例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。
【0044】
メンバー処理部33iは、所定の情報処理を実現するための装置であり、例えば、アプリケーション・プログラム(以下、「アプリ」と省略することもある。)の制御下で動作するプロセッサなどによって実現される。
【0045】
メンバー通信部35iは、サーバ5との間で有線及び/又は無線で通信するための通信機である。
【0046】
図3は、評価値管理部17の動作の一例を示すフロー図である。
【0047】
評価値管理部17は、メンバー端末7iにおいて、メンバー処理部33iを実現するためのプログラム(アプリ)が起動して、その旨を通知したか否かを判断する(ステップSTA1)。起動するまで待機し、起動したならばステップSTA2に進む。
【0048】
ステップSTA2において、評価値管理部17は、アプリを起動したメンバー端末7iにおいて、特別な表示処理を行うか否かを判断する。特別な表示処理を行うならば、メンバー端末7iのメンバー入出力部31iにおいて、特別な表示処理を行うようにし(ステップSTA3)、ステップSTA4に進む。特別な表示処理を行わないならば、ステップSTA4に進む。
【0049】
特別な表示処理は、例えば、新しい社員が追加されたことを通知する表示(
図6参照)、人事異動で新たな部署に所属するようになったメンバーを強調する表示(
図6参照)、つながり度数が高い社員が数日後に退社する予定であることを示す表示(
図6参照)、自身が参加予定のイベントに同様に参加を予定している社員を示す表示(
図9参照)、自身が参加したイベントに同様に参加した社員を示す表示(
図9参照)などを行ってもよい。表示は、例えば、枠を強調したり、色を変えたり、コメントを表示するなどによって行うことができる。
【0050】
また、例えば他のプログラム(他のアプリなど)と連動して表示するものであってもよい。例えば、他のプログラムによって、当該メンバー端末7iを使用するメンバーAが、実空間において及び/又は仮想空間においてコミュニケーションを行った又は行うことができるメンバーを把握することができる。そのため、評価値管理部17は、他のプログラムと連動することにより、メンバー入出力部31iにおいて、当該メンバー端末7iを使用するメンバーAが、実空間において及び/又は仮想空間においてコミュニケーションを行った又は行うことができるメンバー、コミュニケーションを行っていないメンバーと区別して表示することができる。
【0051】
オンラインでのコミュニケーションを行ったことについては、例えば、あるメンバーとメッセージやメールなどを送受信したことを表示することができる。
【0052】
オンラインでのコミュニケーションを行うことができることについては、例えば、あるメンバーからメールアドレスなどのオンラインで通信するための情報を得たことを表示することができる。
【0053】
実空間でのコミュニケーションを行ったことについては、例えば、QRコード(登録商標)などを利用して会って話をしたことを管理することができ、この情報を表示することによって面識があることを表示することができる。同様に、名刺管理アプリなどと連動して自社社員と名刺交換した場合に名刺交換した社員を強調する表示をしたり、社員の身分証を管理するアプリと連動して他の社員の身分証を読み込んだときにその社員を強調する表示をしたりすることができる。
【0054】
実空間でのコミュニケーションを行うことができることについては、例えば、座席のフリーアドレスを採用しているときに座席を管理するアプリと連動して隣の座席の人を強調表示することができる。
【0055】
このような表示(特定のメンバーを、他のメンバーとは異なる表示をすること)は、アプリの起動時に行うことに加えて、起動後の各メンバーを表示するときに強調表示をしたり、メンバーAがつながり度数を変更する操作を行うときに強調表示したりするなど、適宜行ってもよい。
【0056】
ステップSTA4において、評価値管理部17は、メンバーのつながり度数を変更するための表示を行い、メンバーが他のメンバーに対するつながり度数を変更した場合の処理を行う。例えば、
図2において、メンバーAが他の一人のメンバーのつながり度数を示す星印の色を変更して「OK」ボタン47を指定した場合に、このメンバーのつながり度数を変更して評価値記憶部19に記憶する処理を行う。ここで、メンバー処理部33
iは、変更前のつながり度数を表示してもよい。表示のタイミングは、メンバーAがつながり度数を変更したときに表示してもよく、変更した後に継続して表示してもよい。これにより、メンバーAは、つながり度数を変更したことを明確に把握でき、メンバーとの間で人的なつながりを強く認識できる。また、評価値管理部17は、分析処理部21に指示して、つながり度数を変更する前の平均値と、変更した後の平均値とを計算させ、これをメンバー端末41の画面43に表示するようにしてもよい。
【0057】
評価値管理部17は、アプリが終了したか否かを判断する(ステップSTA5)。アプリの終了については、例えば、メンバー端末からメンバーがアプリを終了したことの通知を受けたときに、アプリが終了したと判断することができる。また、定期的に通知を行って、これに対する応答があったりすればアプリが終了していないと判断し、一定期間に応答がないことを検出したときに、アプリが終了したと判断することができる。アプリが終了していないならば、ステップSTA4の処理を継続する。アプリが終了したならば、ステップSTA1に戻る。
【0058】
評価値記憶部19は、各メンバーに関する情報を記憶する。各メンバーには、複数のパラメータが設定されている。パラメータは、例えば、対象者としての有効/無効、あるメンバーを評価者として他のメンバーを被評価者としたときのつながり度数、所属、役職、入社年月日、年齢などである。
【0059】
図4は、評価値記憶部19が記憶する各メンバーが他のメンバーに対して指定したつながり度数を示す表である。行は、他のメンバーとのつながり度数を評価したメンバー(評価者、評価メンバー)を示す。列は、評価されたメンバー(被評価者、被評価メンバー)を示す。例えば、メンバーAは、メンバーCに対して、つながり度数4を指定している。他方、メンバーCは、メンバーAに対して、つながり度数3を指定している。
【0060】
図5は、分析処理部21の動作の一例を示すフロー図である。
【0061】
管理者は、管理端末3の管理入出力部11を操作して、つながり度数の分析を行うことを指示する。管理処理部13は、分析を行うことの指示があると、管理通信部15によってサーバ5に対して分析を行うことの指示を送信する。
【0062】
分析処理部21は、サーバ通信部25において、管理端末3から評価値を分析する指示を受信したか否かを判断する(ステップSTB1)。受信していないならば受信するまで待機する。受信したならば、ステップSTB2に進む。
【0063】
ステップSTB2において、分析処理部21は、分析に必要なパラメータを選択する。そして、
図4のL型マトリックスを利用してつながり度数の分析(例えば相関関係など)を行う(ステップSTB3)。
【0064】
例えば、部署ごとのつながり度数の平均値を計算するのであれば、パラメータとして所属を選び、パラメータの値が同じメンバーのつながり度数の平均値を計算する。
図4の例では、グループ3(メンバーI、J及びKのグループ)は、グループ内での平均値は3であるのに対し、グループ2(メンバーF、G及びHのグループ)を被評価者とするつながり度数の平均値は1である。逆も同様に、グループ2を評価者としてグループ3を被評価者とするつながり度数の平均値は1である。そのため、グループ3がグループ2に対して抱く親密度が低い感情は、正当に判断された結果であろうと予想される。そのため、グループ2とグループ3との間には十分な交流がなされていないと判断できる。そのため、これらのグループ間での交流を増やすことにより、各メンバーでの交流を図り、組織全体としての交流の活性化につながる可能性がある。
【0065】
例えば、つながり度数のギャップを分析するのであれば、パラメータとしてつながり度数を選択し、あるメンバーを評価者として別のメンバーを被評価者としたときのつながり度数と逆に別のメンバーを評価者としてあるメンバーを被評価者としたときのつながり度数との差を計算して、その差が基準値以上の値となるメンバーの組み合わせを分析する。あるメンバーにおいてこの差が大きいものが多い場合、このメンバーは、主観的な評価が厳しかったり甘かったりする可能性がある。
【0066】
ステップSTB3において、管理処理部13に対して、管理入出力部11に分析結果を表示させる。そして、ステップSTB1に戻る。
【0067】
なお、例えばアプリの起動時に、起動したメンバーのつながり度数の平均を表示するように、ステップSTB1は、例えば評価値管理部17による分析依頼などを含めて判断してもよい。
【0068】
図6は、メンバー管理部23の動作の一例を示すフロー図である。
【0069】
管理者は、管理端末3の管理入出力部11を操作して、メンバー変更を指示する。管理処理部13は、メンバー変更の指示があると、管理通信部15によってサーバ5に対してメンバー変更の指示を送信する。メンバー変更の指示は、例えば、メンバーが新たに加わること、メンバーの異動などによってパラメータの値が変わること、退社日にメンバーが退社すること、などである。
【0070】
メンバー管理部23は、サーバ通信部25において、管理端末3からメンバー変更の指示を受信したか否かを判断する(ステップSTC1)。受信していないならば受信するまで待機する。受信したならば、ステップSTC2に進む。
【0071】
ステップSTC2において、メンバー管理部23は、指示されたメンバー変更に必要な処理を行う。例えばメンバーの入社であれば、追加されるメンバーに関するパラメータを追加して評価値記憶部19に記憶する。メンバーの異動の場合には、異動するメンバーのパラメータの値を変更する。退社日に退社するメンバーは、退社日に、このメンバーに関するパラメータを削除する処理を行うようにする。
【0072】
図7は、
図4の表において、メンバーEが入社して、グループ1(メンバーA、B、C及びDのグループ)にメンバーEを追加した後のつながり度数を示す表である。メンバーEについて、グループ1に新たに所属するパラメータを設定する。そして、つながり度数のパラメータは、1に設定する。役職、入社年月日、年齢などは、メンバーEに合わせて設定する。
【0073】
図6を参照して、メンバー管理部23は、メンバー変更にともなう特別な表示に関する処理を行う(ステップSTC3。ステップSTA2参照)。例えば、メンバーの入社であれば、同じグループのメンバーに対してメンバーがグループに所属することを特別に表示させ、異なるグループのメンバーに対して新たにメンバーが加わったことを特別に表示する。メンバーの異動の場合には、所属元と所属先のグループのメンバーに所属変更を特別に表示する。また、つながり度数が高いメンバーに対しても、異動に関して特別に表示する。退社日に退社するメンバーは、つながり度数が基準値よりも高いメンバーに、退社に関して特別に表示する。ステップSTC1に戻る。
【0074】
図8は、イベント処理部27の動作の一例を示すフロー図である。
図9は、イベント処理部27による動作の具体例を説明するための表である。
図9の例では、3人のメンバーが参加するイベントに関して説明する。
【0075】
管理者は、管理端末3の管理入出力部11を操作して、イベント開催を指示する。管理処理部13は、イベント開催の指示があると、管理通信部15によってサーバ5に対してイベント開催の指示を送信する。
【0076】
イベント処理部27は、サーバ通信部25において、管理端末3からイベント開催の指示を受信したか否かを判断する(ステップSTD1)。受信していないならば受信するまで待機する。受信したならば、ステップSTD2に進む。
【0077】
ステップSTD2において、管理者は、管理端末3の管理入出力部11を操作して、イベントの参加人数を入力し、管理通信部15によってサーバ5に対して送信する。イベント処理部27は、参加人数を受信する。
図9の例では、管理者は、参加人数を3人と入力する。
【0078】
イベント処理部27は、評価値記憶部19に記憶されたパラメータの値を参照して、イベントに参加するメンバーを選択し、管理入出力部11に表示させる(ステップSTD3)。管理者は、イベントに参加するメンバーを確認し、メンバーを変更するか否かを入力する(ステップSTD4)。イベント処理部27は、メンバーを変更する指示があったならば、ステップSTD5に進む。メンバーを変更しない指示があったならば、ステップSTD8に進む。
【0079】
ステップSTD5において、管理者は、変更対象となるメンバーを選択する。そして、変更後のメンバーを自動で選択するか、自らが選択するか(手動で選択するか)を指示する(ステップSTD6)。管理者が自動で選択することを指示したならば、ステップSTD3に戻る。管理者が手動で選択することを指示したならば、管理者が変更後のメンバーを選択し(ステップSTD7)、ステップSTD8に進む。
【0080】
ステップSTD8において、イベント処理部27は、イベントに参加するメンバーを決定する。
【0081】
例えば
図9の例では、つながり度数の平均値が低いメンバーJについて、異なるグループに属する2人のメンバーC及びGが決定されている。一人はつながり度数の低いメンバーGが決定され、もう一人はつながり度数の高いメンバーCが決定されている。これにより、グループ3が他のグループとの間でのつながり度数の平均値が低いという問題に対して、異なるグループ間での交流を図り、グループ間(部署間)でのつながり度数を上昇させるためのイベントを開催することができる。
【0082】
イベント処理部27は、イベントへの参加者に対して、開催するイベントのメンバーを通知する(ステップSTD9。例えばステップSTA2の特別な表示を利用する。)。イベントの参加者は、日時及び場所の調整後、イベントを開催する日時及び場所をイベント処理部27に通知する。
【0083】
イベント処理部27は、イベントへの参加者に対して、開催するイベントの日時・場所・メンバーを通知する(ステップSTD11。例えばステップSTA2の特別な表示を利用する。)。ここで、各メンバーには、イベントの参加者のつながり度数に関する情報を通知する(ステップSTD12)。
図9の例では、メンバーG及びJには、互いのつながり度数が低いことを通知し、積極的な交流が望ましいことを知らせる。また、メンバーCには、メンバーG及びJのつながり度数が低いために、彼ら/彼女らの交流を支援する役割が期待されることを通知する。
【0084】
イベント処理部27は、イベントの日時が経過した後、イベントへの参加者に対して、つながり度数の変更に関する特別な表示をする(ステップSTD13。例えばステップSTA2の特別な表示を利用する。)。ステップSTD1に戻る。
【0085】
図10は、トレース処理部29の動作の一例を示すフロー図である。
図11は、トレース処理部29による動作の具体例を説明するための表である。
図11の例では、メンバーDがメンバーFに連絡を取る場合のトレース処理に関して説明する。
【0086】
メンバーは、メンバー端末7
iのメンバー入出力部31
iを操作して、あるメンバーへのトレース処理を指示する。例えば
図2の場合には、つながり先となるメンバーを長押ししてメニューを表示させ、表示されたメニューからトレース処理を選択する。メンバー処理部33
iは、トレース処理の指示があると、メンバー通信部35
iによってサーバ5に対してトレース処理の指示を送信する。トレース処理の指示は、通常、指示したメンバーをつながり元とし、指示されたメンバーをつながり先とする。なお、つながり元も指示できるようにしてもよい。つながり元のメンバーを「起点メンバー」という。つながり先のメンバーを「終点メンバー」という。
【0087】
トレース処理部29は、サーバ通信部25において、メンバー端末7iからトレース処理の指示を受信したか否かを判断する(ステップSTE1)。受信していないならば受信するまで待機する。受信したならば、ステップSTE2に進む。
【0088】
ステップSTE2において、トレース処理部29は、起点メンバーから終点メンバーへのメンバーのつながり度数が高い一つ又は複数の紹介メンバー群を選択する。紹介メンバー群は、起点メンバーと、一人又は複数人の中間メンバーと、終点メンバーを含む。起点メンバーは、紹介メンバー群から一つを選択する。
【0089】
図11の例では、メンバーDを評価者とし、メンバーFを被評価者とするつながり度数は1である。そのため、メンバーDからメンバーFに直接連絡をすることは心理的に困難である。このような場合、従来は、例えば所属するグループ長に依頼し、グループ間での連絡を通じてメンバーFに連絡することなどが行われていた。しかし、グループ長による連絡は、グループとしての正式な依頼となってしまう可能性もある。そのため、グループ間の正式な連絡が、必ずしも良い結果を生むとは限らなかった。
【0090】
メンバーFを被評価者とする列を参照すると、メンバーFを被評価者とするつながり度数は、メンバーAが最も高い5である。そして、メンバーFを評価者とし、メンバーAを被評価者とするつながり度数は5であり、この評価は信頼される。そして、メンバーDを評価者とし、メンバーAを被評価者とするつながり度数は4であり、メンバーDは、メンバーAに連絡することに心理的な抵抗が少ないと予想される。また、メンバーAを評価者とし、メンバーDを被評価者とするつながり度数も4であり、メンバーAは、メンバーDから連絡を受けることに心理的な抵抗が少ないと予想される。そうすると、メンバーDがメンバーFに直接連絡をすることと比較して、メンバーAを中間メンバーとしてメンバーDがメンバーAに仲介を依頼してメンバーFに連絡をすることによって、円滑な連絡を実現することが期待される。そのため、トレース処理部29は、メンバーDを起点とし、メンバーAを中間メンバーとし、メンバーFを終点とする紹介メンバー群{D,A,F}を選択することができる。ただし、このようなつながり度数が高いメンバーは、役職が高く、雑務的な連絡にはふさわしくない場合も予想される。そのため、トレース処理部29は、複数の紹介メンバー群を選択して、つながり度数の平均値によって優先度順に並べて表示し、メンバーDがこれらの紹介メンバー群から一つを選択できるようにすることが望ましい。
【0091】
トレース処理部29は、紹介メンバー群の各中間メンバーに、起点メンバーが仲介を依頼していることを表示する(ステップSTE3。例えばステップSTA2の特別な表示を利用する。)。ステップSTE1に戻る。
前記メンバー入出力部は、当該メンバー端末を使用するメンバーが、実空間において及び/又は仮想空間においてコミュニケーションを行った及び/又は行うことができるメンバーについて、他のメンバーとは異なる表示をする、請求項1記載のつながり度数管理方法。