(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101268
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】部品実装装置及びノズル管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005152
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知也
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC08
5E353CC21
5E353EE71
5E353JJ52
5E353JJ54
5E353JJ60
5E353KK03
5E353KK11
5E353LL03
5E353LL04
5E353QQ05
5E353QQ08
5E353QQ12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する実装精度の低下を抑制すること。
【解決手段】部品を吸着する複数のノズル22と、複数のノズル22が格納されるノズルステーションと、複数の実装ヘッド19を有し、制御部は、ノズルステーションに格納されている複数のノズル22にそれぞれ1つの実装ヘッド19を割り付ける割り付け処理と、ノズル22とそのノズル22に割り付けられている実装ヘッド19との組み合わせ毎に、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する部品の実装精度の低下を抑制するための調整を行う調整処理と、調整を行ったときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせを、基板に部品を実装するときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせとして設定する設定処理と、を実行する、部品実装装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、
前記部品を吸着する複数のノズルと、
複数の前記ノズルが格納されるノズルステーションと、
複数の実装ヘッドを有し、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記実装ヘッドに取り付けて前記基板に前記部品を実装する実装部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ノズルステーションに格納されている複数の前記ノズルにそれぞれ1つの前記実装ヘッドを割り付ける割り付け処理と、
前記ノズルとその前記ノズルに割り付けられている前記実装ヘッドとの組み合わせ毎に、前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせに起因する前記部品の実装精度の低下を抑制するための調整を行う調整処理と、
前記調整を行ったときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせを、前記基板に前記部品を実装するときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせとして設定する設定処理と、
を実行する、部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置であって、
前記設定処理の実行を指示する設定指示をオペレータから受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記調整処理の後、前記操作部で前記設定指示を受け付けると前記設定処理を実行する、部品実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の部品実装装置であって、
前記操作部は表示装置を有し、
前記制御部は、前記調整処理の実行を指示する調整指示を受け付ける調整ボタンが表示される操作画面を前記表示装置に表示し、前記調整ボタンが押されると前記調整処理を実行し、
前記操作画面に、前記設定指示を受け付ける設定ボタンが表示される、部品実装装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の部品実装装置であって、
前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを検出する検出部を備え、
前記操作部は、前記割り付け処理の実行を指示する割り付け指示をオペレータから更に受け付け、
前記制御部は、前記操作部で前記割り付け指示を受け付けると、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記検出部によって検出し、検出した各前記ノズルにそれぞれ1つの前記実装ヘッドを割り付ける、部品実装装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
前記基板に実装された前記部品を撮像する撮像部を備え、
前記調整処理は、前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせで前記基板に前記部品を実装して前記撮像部で撮像し、撮像した画像に基づいて前記部品の目標搭載位置と実際の搭載位置とのずれ、及び、前記部品の目標搭載角度と実際の搭載角度とのずれの少なくとも一方を検出し、検出したずれに応じて前記実装ヘッドの移動量及び前記実装ヘッドの回転角度の少なくとも一方を調整する処理である、部品実装装置。
【請求項6】
請求項5に記載の部品実装装置であって、
前記制御部は、前記調整処理で検出したずれが所定の上限値より大きい場合は前記設定処理を実行しない、部品実装装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の部品実装装置であって、
前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを検出する検出部を備え、
前記制御部は、
前記設定処理の後、前記基板の生産が指示されると、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記検出部によって検出し、前記設定処理で設定された前記ノズルが前記ノズルステーションに格納されているか否かを判定する第1の判定処理と、
前記第1の判定処理で格納されていないと判定した場合に、設定されたノズルが格納されていないことを示すエラーを報知するエラー報知処理と、
を実行する、部品実装装置。
【請求項8】
請求項7に記載の部品実装装置であって、
前記ノズルステーションは、それぞれ1つの前記ノズルが格納される複数の格納部を有し、各前記格納部にそれぞれ1つの前記実装ヘッドが対応付けられており、
前記実装部は前記格納部に格納されている前記ノズルを当該格納部に対応付けられている前記実装ヘッドに取り付けて前記部品を実装し、
前記制御部は、前記第1の判定処理で格納されていると判定した場合に、前記格納部毎に、当該格納部に対応付けられている前記実装ヘッドに組み合わされている前記ノズルが当該格納部に格納されているか否かを判定する第2の判定処理と、
前記第2の判定処理で格納されていないと判定した場合に、前記格納部に対応付けられている前記実装ヘッドに組み合わされている前記ノズルが前記格納部に格納されているように前記ノズルの配置を自動で変更する変更処理と、
を実行する、部品実装装置。
【請求項9】
基板に部品を実装する部品実装装置のノズル管理方法であって、
前記部品実装装置は、
前記部品を吸着する複数のノズルと、
複数の前記ノズルが格納されるノズルステーションと、
複数の実装ヘッドを有し、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記実装ヘッドに取り付けて前記基板に前記部品を実装する実装部と、
を備え、
当該ノズル管理方法は、
前記ノズルステーションに格納されている複数の前記ノズルにそれぞれ1つの前記実装ヘッドを割り付ける割り付け工程と、
前記ノズルとその前記ノズルに割り付けられている前記実装ヘッドとの組み合わせ毎に、前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせに起因する前記部品の実装精度の低下を抑制するための調整を行う調整工程と、
前記調整を行ったときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせを、前記基板に前記部品を実装するときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせとして設定する設定工程と、
を含む、ノズル管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、基板に部品を実装する部品実装装置、及び、部品実装装置のノズル管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を吸着する複数のノズルと、複数のノズルが格納されるノズルステーションと、複数の実装ヘッドを有し、ノズルステーションに格納されているノズルを実装ヘッドに取り付けて基板に部品を実装する実装部と、を備える部品実装装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1に記載のロータリーヘッド型部品実装装置は、円周方向に所定のノズルピッチで所定本数のノズルを交換可能に保持するロータリーヘッドと、ロータリーヘッドに保持されたノズルと交換するための複数本のノズルが配列されたノズルステーションと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する実装精度の低下について十分に検討されていなかった。
本明細書では、実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する実装精度の低下を抑制できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板に部品を実装する部品実装装置であって、前記部品を吸着する複数のノズルと、複数の前記ノズルが格納されるノズルステーションと、複数の実装ヘッドを有し、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記実装ヘッドに取り付けて前記基板に前記部品を実装する実装部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記ノズルステーションに格納されている複数の前記ノズルにそれぞれ1つの前記実装ヘッドを割り付ける割り付け処理と、前記ノズルとその前記ノズルに割り付けられている前記実装ヘッドとの組み合わせ毎に、前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせに起因する前記部品の実装精度の低下を抑制するための調整を行う調整処理と、前記調整を行ったときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせを、前記基板に前記部品を実装するときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせとして設定する設定処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0006】
上記の構成によれば、実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する実装精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る部品実装装置を前側から見た側面図
【
図3】ヘッドユニット及びヘッド移動部を前側から見た側面図
【
図6】ノズルステーションの断面図及びノズルの側面図
【
図14】オペレータの操作手順と制御部によって実行される処理のフローチャート
【
図18】割り付けテーブル及び対応付けテーブルの模式図
【
図21】実装前のノズル確認及びノズルの配置変更のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の概要]
(1)実施形態に係る部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置であって、前記部品を吸着する複数のノズルと、複数の前記ノズルが格納されるノズルステーションと、複数の実装ヘッドを有し、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記実装ヘッドに取り付けて前記基板に前記部品を実装する実装部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記ノズルステーションに格納されている複数の前記ノズルにそれぞれ1つの前記実装ヘッドを割り付ける割り付け処理と、前記ノズルとその前記ノズルに割り付けられている前記実装ヘッドとの組み合わせ毎に、前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせに起因する前記部品の実装精度の低下を抑制するための調整を行う調整処理と、前記調整を行ったときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせを、前記基板に前記部品を実装するときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせとして設定する設定処理と、を実行する。
【0009】
上記の「実装」とは、部品供給装置などによって供給された部品をノズルで吸着して基板に搭載することをいう。上述した調整はキャリブレーションあるいは補正と言い換えることもできる。
本願発明者は、基板に部品を実装するとき、実装ヘッドとノズルとの組み合わせによって実装精度に違いがあることを見出した。このような違いは実装ヘッドの加工精度のばらつきとノズルの加工精度のばらつきとが組み合わされることによって生じると考えられる。このような違いがあると実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因して実装精度が低下する可能性がある。
【0010】
上記(1)に記載の部品実装装置によると、複数のノズルにそれぞれ1つの実装ヘッドを割り付けることによって実装ヘッドとノズルとを組み合わせ、実装ヘッドとノズルとの組み合わせ毎に、実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する部品の実装精度の低下を抑制するための調整を行う。そして、上記(1)に記載の部品実装装置によると、調整を行ったときの実装ヘッドとノズルとの組み合わせを、基板に部品を実装するときの実装ヘッドとノズルとの組み合わせとして設定するので、調整を行ったときの実装ヘッドとノズルとの組み合わせで基板に部品を実装できる。このため実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する実装精度の低下を抑制できる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の部品実装装置であって、前記設定処理の実行を指示する設定指示をオペレータから受け付ける操作部を備え、前記制御部は、前記調整処理の後、前記操作部で前記設定指示を受け付けると前記設定処理を実行してもよい。
【0012】
調整処理の後、調整を行ったときの実装ヘッドとノズルとの組み合わせを、基板に部品を実装するときの実装ヘッドとノズルとの組み合わせとしてオペレータが手作業で設定することも可能である。しかしながら、その場合はオペレータの負担が大きくなる。
上記(2)に記載の部品実装装置によると、操作部で設定指示を受け付けると制御部が設定処理を実行するので、オペレータが手作業で設定する場合に比べてオペレータの負担を軽減できる。
【0013】
(3)上記(2)に記載の部品実装装置であって、前記操作部は表示装置を有し、前記制御部は、前記調整処理の実行を指示する調整指示を受け付ける調整ボタンが表示される操作画面を前記表示装置に表示し、前記調整ボタンが押されると前記調整処理を実行し、前記操作画面に、前記設定指示を受け付ける設定ボタンが表示されてもよい。
【0014】
上記(3)に記載の部品実装装置によると、調整指示を受け付ける調整ボタンが表示される操作画面に、設定指示を受け付ける設定ボタンが表示されるので、オペレータは調整ボタンを押して調整指示を行った後、設定指示を行うとき、他の画面で設定ボタンを探さなくてよい。このため、オペレータは調整処理が終了した後に速やかに設定処理の実行を指示できる。
【0015】
(4)上記(2)又は(3)に記載の部品実装装置であって、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを検出する検出部を備え、前記操作部は、前記割り付け処理の実行を指示する割り付け指示をオペレータから更に受け付け、前記制御部は、前記操作部で前記割り付け指示を受け付けると、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記検出部によって検出し、検出した各前記ノズルにそれぞれ1つの前記実装ヘッドを割り付けてもよい。
【0016】
上記(4)に記載の部品実装装置によると、ノズルステーションに格納されているノズルを検出部によって自動で検出するので、割り付け処理を自動で実行できる。このため、オペレータが手作業で割り付ける場合に比べてオペレータの負担を軽減できる。
【0017】
(5)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の部品実装装置であって、前記基板に実装された前記部品を撮像する撮像部を備え、前記調整処理は、前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせで前記基板に前記部品を実装して前記撮像部で撮像し、撮像した画像に基づいて前記部品の目標搭載位置と実際の搭載位置とのずれ、及び、前記部品の目標搭載角度と実際の搭載角度とのずれの少なくとも一方を検出し、検出したずれに応じて前記実装ヘッドの移動量及び前記実装ヘッドの回転角度の少なくとも一方を調整する処理であってもよい。
【0018】
目標搭載位置と実際の搭載位置とのずれや目標搭載角度と実際の搭載角度とのずれは実装ヘッドとノズルとの組み合わせによって違いが生じる場合がある。
上記(5)に記載の部品実装装置によると、実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する目標搭載位置と実際の搭載位置とのずれ、及び、目標搭載角度と実際の搭載角度とのずれの少なくとも一方を抑制できる。
【0019】
(6)上記(5)に記載の部品実装装置であって、前記制御部は、前記調整処理で検出したずれが所定の上限値より大きい場合は前記設定処理を実行しなくてもよい。
【0020】
検出したずれが大きいと実装ヘッドの移動量や実装ヘッドの回転角度を調整しても実装精度の低下を十分に抑制できないことがある。
上記(6)に記載の部品実装装置によると、ずれが上限値以上である場合は設定処理を実行しないので、実装精度の低下が十分に抑制されない組み合わせが設定されることを抑制できる。
設定処理を実行しない場合は、ノズルに割り付けられる実装ヘッドが変更されるようにノズルの配置を入れ替えてから割り付け処理を再実行し、その後に調整処理を再実行することにより、実装精度の低下が十分に抑制される組み合わせを設定できる可能性が高くなる。
【0021】
(7)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の部品実装装置であって、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを検出する検出部を備え、前記制御部は、前記設定処理の後、前記基板の生産が指示されると、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記検出部によって検出し、前記設定処理で設定された前記ノズルが前記ノズルステーションに格納されているか否かを判定する第1の判定処理と、前記第1の判定処理で格納されていないと判定した場合に、設定されたノズルが格納されていないことを示すエラーを報知するエラー報知処理と、を実行してもよい。
【0022】
設定処理の後、基板の生産が指示される前に、ノズルステーションに格納されているノズルをオペレータが取り外してしまうこと、あるいは別のノズルに交換してしまうことも考えられる。この場合、基板の生産が指示されたとき、設定処理で設定されたノズルがノズルステーションに格納されていないことにより、調整を行ったときの組み合わせで部品を実装できなくなる。
上記(7)に記載の部品実装装置によると、設定処理で設定されたノズルがノズルステーションに格納されていない場合は、設定されたノズルが格納されていないことを示すエラーを報知する。このエラーを報知されたオペレータは、設定されたノズルをノズルステーションに格納する。これにより、調整を行ったときの組み合わせで部品を実装できる。
【0023】
(8)上記(7)に記載の部品実装装置であって、前記ノズルステーションは、それぞれ1つの前記ノズルが格納される複数の格納部を有し、各前記格納部にそれぞれ1つの前記実装ヘッドが対応付けられており、前記実装部は前記格納部に格納されている前記ノズルを当該格納部に対応付けられている前記実装ヘッドに取り付けて前記部品を実装し、前記制御部は、前記第1の判定処理で格納されていると判定した場合に、前記格納部毎に、当該格納部に対応付けられている前記実装ヘッドに組み合わされている前記ノズルが当該格納部に格納されているか否かを判定する第2の判定処理と、前記第2の判定処理で格納されていないと判定した場合に、前記格納部に対応付けられている前記実装ヘッドに組み合わされている前記ノズルが前記格納部に格納されているように前記ノズルの配置を自動で変更する変更処理と、を実行してもよい。
【0024】
設定処理の後、基板の生産が指示される前に、ノズルステーションに格納されているノズルの配置をオペレータが変更してしまうことも考えられる。この場合、実装ヘッドに対応付けられている格納部に格納されているノズルをその実装ヘッドに組み合わされているノズルとして用いると、調整を行ったときの組み合わせではないことによって実装精度が低下する可能性がある。
上記(8)に記載の部品実装装置によると、格納部に対応付けられている実装ヘッドに組み合わされているノズルが当該格納部に格納されていない場合は、その実装ヘッドに組み合わされているノズルが当該格納部に格納されているようにノズルの配置を自動で変更する。このため、格納部に格納されているノズルを当該格納部に対応付けられている実装ヘッドに取り付けて部品を実装する場合に、調整を行ったときの組み合わせで部品を実装できる。
【0025】
(9)実施形態に係るノズル管理方法は、基板に部品を実装する部品実装装置のノズル管理方法であって、前記部品実装装置は、前記部品を吸着する複数のノズルと、複数の前記ノズルが格納されるノズルステーションと、複数の実装ヘッドを有し、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルを前記実装ヘッドに取り付けて前記基板に前記部品を実装する実装部と、を備え、当該ノズル管理方法は、前記ノズルステーションに格納されている複数の前記ノズルにそれぞれ1つの前記実装ヘッドを割り付ける割り付け工程と、前記ノズルとその前記ノズルに割り付けられている前記実装ヘッドとの組み合わせ毎に、前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせに起因する前記部品の実装精度の低下を抑制するための調整を行う調整工程と、前記調整を行ったときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせを、前記基板に前記部品を実装するときの前記実装ヘッドと前記ノズルとの組み合わせとして設定する設定工程と、を含む。
【0026】
上記(9)に記載のノズル管理方法によると、実装ヘッドとノズルとの組み合わせに起因する実装精度の低下を抑制できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態の詳細について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0028】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図21に基づいて説明する。以降の説明では
図1に示す左右方向をX方向、上下方向をZ方向、
図2に示す前後方向をY方向といい、
図1に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0029】
(1)部品実装装置の構成
図1及び
図2を参照して、実施形態1に係る部品実装装置1の構成について説明する。部品実装装置1は回路パターンが印刷された基板P(
図12参照)に電子部品などの部品E(
図12参照)を実装する装置である。
【0030】
図1を参照して、部品実装装置1を前側から見た外観について説明する。
図1では後述するテープ部品供給装置12(
図2参照)がセットされていない状態の部品実装装置1を示している。
図1に示すように、部品実装装置1は箱状の筐体1Aを備えている。筐体1Aの右壁には基板Pが搬入される開口が形成されている。筐体1Aの左壁には基板Pが搬出される開口が形成されている。基板Pは右壁の開口から筐体1Aの内部に搬入され、筐体1Aの内部で部品Eが実装された後に左側の開口から搬出される。筐体1Aは前後方向が開放されており、後述するテープ部品供給装置12(
図2参照)が前後両側にセットされる。筐体10には操作部31が設けられている。
【0031】
図2に示すように、部品実装装置1は架台10、搬送コンベア11、4つのテープ部品供給装置12、ヘッドユニット13、ヘッド移動部14、2つの部品撮像カメラ17、基板撮像カメラ18、ノズルステーション26、制御部30(
図8参照)、及び、操作部31(
図1参照)を備えている。ヘッドユニット13とヘッド移動部14とは実施形態1に係る実装部の一例である。基板撮像カメラ18は検出部及び撮像部の一例である。
【0032】
架台10は平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされている。
図2において二点破線で示す領域Aは基板Pに部品Eを実装するときに基板Pが固定される作業位置(以下、作業位置Aという)である。作業位置Aの下方には作業位置Aに搬送された基板Pを作業位置Aに固定するバックアップ装置が配されている。
搬送コンベア11はX方向に循環移動する一対の搬送ベルト15(前側搬送ベルト15A及び後側搬送ベルト15B)、搬送ベルト15が掛け回されている複数のローラ、搬送ベルト15を駆動するコンベア駆動モータ44(
図8参照)などを備えている。搬送コンベア11は上流側から搬入された基板Pを作業位置Aに搬送し、作業位置Aで部品Eが実装された基板Pを下流側に搬出する。
【0033】
テープ部品供給装置12は部品実装装置1のY方向の両側においてX方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。テープ部品供給装置12には複数のテープフィーダ12AがX方向に横並び状に整列して取り付けられている。各テープフィーダ12Aは部品Eを保持している部品テープが巻回されたリール、及び、リールから部品テープを引き出す電動式の送出装置等を備えており、部品Eを1つずつ供給する。
【0034】
ヘッドユニット13は部品Eを吸着及び解放する複数(ここでは5個)の実装ヘッド19を備えている。ヘッドユニット13は所謂インライン型であり、複数の実装ヘッド19がX方向に並んで設けられている。ヘッドユニット13についての説明は後述する。ヘッドユニット13は複数の実装ヘッド19が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
【0035】
ヘッド移動部14はヘッドユニット13を所定の可動範囲内でX方向及びY方向に移動させる機構である。ヘッド移動部14はヘッドユニット13をX方向に往復移動可能に支持しているビーム20、ビーム20をY方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール21、ヘッドユニット13をX方向に往復移動させるX軸サーボモータ40、ビーム20をY方向に往復移動させるY軸サーボモータ41などを備えている。
【0036】
ノズルステーション26には実装ヘッド19に取り付けられるノズル(
図4参照)が格納されている。ノズルステーション26についての説明は後述する。
2つの部品撮像カメラ17はそれぞれX方向に並んだ2つのテープ部品供給装置12の間に設けられている。部品撮像カメラ17は架台10に設けられており、実装ヘッド19に吸着されている部品Eを下から撮像する。
【0037】
基板撮像カメラ18は基板Pの上面に表記されているフィデューシャルマークを上から撮像するカメラである。基板撮像カメラ18はヘッドユニット13に取り付けられており、ヘッドユニット13とともにX方向およびY方向に移動する。基板撮像カメラ18はノズルステーション26に格納されているノズル22(
図5参照)の検出や基板Pに実装された部品Eの撮像などにも用いられる。
【0038】
(1-1)ヘッドユニット
図3を参照して、ヘッドユニット13について説明する。ヘッドユニット13には複数の実装ヘッド19、これらの実装ヘッド19を個別に昇降させるZ軸サーボモータ42(
図8参照)、及び、これらの実装ヘッド19を一斉に軸周りに回転させるR軸サーボモータ43(
図8参照)が設けられている。
【0039】
各実装ヘッド19は円筒状のノズルシャフト19A有している。ノズルシャフト19Aの下端部にはノズルステーション26に格納されているノズル22が着脱可能に取り付けられる。各実装ヘッド19にはそれぞれヘッド番号(ここでは1~5)が割り振られている。
【0040】
図4に示すように、ノズル22は概略円筒状のノズル本体部22Aと、ノズル本体部22Aから環状に張り出しているフランジ部22Bとを有している。ノズル22には吸着する部品Eの形状などに応じて複数の種類があり、ノズル22の種類によってノズル本体部22Aの径やフランジ部22Bの径が異なっている。ノズル本体部22Aの上面にはそのノズル22を一意に識別するためのノズルID22Cが表記されている。
ノズル22にはノズルシャフト19Aを介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。ノズル22は負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。
【0041】
(1-2)ノズルステーション
図5を参照して、ノズルステーション26について説明する。ノズルステーション26には複数(
図5に示す例では6個)のノズル22が格納されている。
図6に示すように、ノズルステーション26は板状のノズルプレート25、ノズルプレート25の上面からノズル22のフランジ部22Bの厚み分よりも上に離間した位置に配されている板状のシャッタ24、及び、シャッタ24をノズルプレート25の板面に平行な方向に移動させるシャッタ移動機構を備えている。
【0042】
図7に示すように、ノズルプレート25にはノズル22が格納される格納穴25A(格納部の一例)が行列状に形成されている。格納穴25Aの直径はノズル本体部22Aの直径より大きく、フランジ部22Bの直径より小さい。格納穴25Aにはそれぞれ穴番号が付与されている。
【0043】
図5に示すように、シャッタ24にはノズル22の列(
図5に示す左右方向の並び)に対応して長穴24Aが形成されている。長穴24Aは、ノズルプレート25の格納穴25Aに対応する位置に形成されているシャッタ穴24Bを連結した形状である。シャッタ穴24Bの直径はフランジ部22Bの直径より大きい。以降の説明では長穴24Aにおいてシャッタ穴24B同士を連結している部分を連結穴24Cという。連結穴24Cの幅(長穴24Aの短手方向の幅)はノズル本体部22Aの直径より大きく、フランジ部22Bの直径より小さい。
【0044】
シャッタ24はノズルプレート25に対して
図5に示す左右方向(長穴24Aの長手方向)にスライド可能であり、シャッタ穴24Bが格納穴25Aの上方に位置する位置と連結穴24Cが格納穴25Aの上方に位置する位置(
図5に示す位置)との間で移動可能である。連結穴24Cが格納穴25Aの上方に位置しているときはフランジ部22Bがシャッタ24に当接してノズル22の取り出しが不可能になる。
以降の説明ではシャッタ穴24Bが格納穴25Aの上方に位置している状態を開状態といい、連結穴24Cが格納穴25Aの上方に位置している状態を閉状態という。
【0045】
(2)部品実装装置の電気的構成
図8を参照して、部品実装装置1の電気的構成について説明する。部品実装装置1は制御部30及び操作部31を備えている。制御部30は演算処理部30A、モータ制御部30B、記憶部30C、画像処理部30D、外部入出力部30E、フィーダ通信部30Fなどを備えている。
【0046】
演算処理部30AはCPU、RAMなどを備えており、記憶部30Cに記憶されている制御プログラムを実行することによって部品実装装置1の各部を制御する。
モータ制御部30Bは演算処理部30Aの制御の下でX軸サーボモータ40、Y軸サーボモータ41などの各モータの回転を制御する。
【0047】
記憶部30Cには演算処理部30Aによって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。記憶部30Cに記憶されているデータには、各部品Eの目標搭載位置、目標搭載角度、搭載順序などが設定されている部品実装データや、後述する対応付けテーブル51(
図9参照)などが含まれる。
【0048】
画像処理部30Dは部品撮像カメラ17や基板撮像カメラ18から出力される画像信号が取り込まれるように構成されている。
外部入出力部30Eはいわゆるインターフェースであり、部品実装装置1の本体に設けられている各種センサ類32から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部30Eは演算処理部30Aから出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類33(空気供給装置、シャッタ移動機構など)に対する動作制御を行うように構成されている。
【0049】
フィーダ通信部30Fはテープフィーダ12Aに接続されており、テープフィーダ12Aを統括して制御する。
操作部31は表示装置31A(
図1参照)及び入力装置を備えている。表示装置31Aは液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイを駆動する駆動回路などで構成されている。入力装置はタッチパネル、キーボード、マウス、各種のボタンなどである。オペレータは操作部31を操作して各種の設定や動作の指示などを行うことができる。
【0050】
(3)実装ヘッドとノズルとの対応付けテーブル
図9を参照して、記憶部30Cに記憶されている対応付けテーブル51について説明する。対応付けテーブル51は基板Pに部品Eを実装するときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせが設定されているテーブルである。対応付けテーブル51の各行はそれぞれ一つの格納穴25Aに対応しており、上の行から下の行に向かって1から順に穴番号が設定されている。そして、各穴番号にノズル22の種類、実装ヘッド19のヘッド番号、ノズル固定及びノズルIDが対応付けられている。
【0051】
実施形態1では、ノズルステーション26の格納穴25Aを基準にして実装ヘッド19とノズル22とが対応付けられている。具体的には、各格納穴25Aにはそれぞれ1つの実装ヘッド19が予め対応付けられている。例えば格納穴25Aの数が60であり、実装ヘッド19の数が5である場合、1番から5番の格納穴25Aにヘッド番号が1から5まで順に対応付けられており、6番から10番の格納穴25Aにもヘッド番号が1から5まで順に対応付けられている。同様にして他の格納穴25Aにもヘッド番号が対応付けられている。
【0052】
ノズルIDはその格納穴25Aに対応付けられているノズル22のノズルIDである。ノズルIDの最初の5桁(例えば8105A)はノズル22の種類を表している。ノズルIDの末尾の数字(例えば1、2、・・・、60)はノズル番号を表している。
【0053】
ノズル固定は、格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19によって部品Eを実装するときに用いるノズル22を固定するか否かを示す情報である。ノズル固定に「する」が設定されている場合は、その格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19によって部品Eを実装するときに用いるノズル22が、その格納穴25Aに対応付けられているノズルIDによって示されるノズル22に限定される。「しない」が設定されている場合はその格納穴25Aに対応付けられているノズルIDによって示されるノズル22に限定されない。
【0054】
制御部30は、実装ヘッド19にノズル22を取り付けるとき、その実装ヘッド19が対応付けられている格納穴25Aに格納されているノズル22を取り付ける。このため、格納穴25Aに対応付けられているノズル22をその格納穴25Aに格納しておくことにより、対応付けテーブル51に設定されている実装ヘッド19とノズル22との組み合わせで部品Eを実装できる。
【0055】
(4)対応付けテーブルの設定
先ず、対応付けテーブル51の設定について概略的に説明する。制御部30は、ノズルステーション26に格納されているノズル22を基板撮像カメラ18によって検出し、検出したノズル22にそれぞれ1つの実装ヘッド19を割り付ける(割り付け処理の一例)。この割り付けはRAM上で行われる。このため、この時点では未だ対応付けテーブル51には反映されない。
【0056】
そして、制御部30は、ノズル22とそのノズル22に割り付けられている実装ヘッド19との組み合わせ毎に、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する部品Eの実装精度の低下を抑制するための調整(所謂キャリブレーション)を行う(調整処理の一例)。そして、制御部30は、調整を行ったときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせを、基板Pに部品Eを実装するときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせとして対応付けテーブル51に設定する(設定処理の一例)。
以下、対応付けテーブル51の設定について具体的に説明する。
【0057】
(4-1)割り付け処理
先ず、
図10を参照して、RAMに記憶される割り付けテーブル50について説明する。割り付けテーブル50は穴番号、ノズルID、ヘッド番号及び状態を対応付けて記憶するためのテーブルである。
「状態」はノズルIDによって示されるノズル22が実装ヘッド19に取り付けられているか否かを示している。ノズルIDによって示されるノズル22が実装ヘッド19に取り付けられている場合は「使用中」が設定され、取り付けられていない場合(すなわち格納穴25Aに格納されている場合)は「格納」が設定される。割り付け処理の時点では何れのノズル22も実装ヘッド19に取り付けられていないものとする。このため、割り付け処理の時点では何れのノズル22の状態も「格納」となる。
【0058】
図11を参照して、割り付け処理のフローについて具体的に説明する。割り付け処理はオペレータが操作部31を操作して割り付け処理の実行を指示すると開始される。以降の説明では操作部31を操作して割り付け処理の実行を指示することを割り付け指示という。割り付け指示は、基板Pの生産が行われていないときであれば任意のタイミングで行うことができる。
【0059】
S101では、制御部30は穴番号を示す変数iに初期値として1を設定する。
S102では、制御部30は穴番号iの格納穴25Aの上方に基板撮像カメラ18を移動させ、基板撮像カメラ18によって格納穴25Aを上から撮像する。
S103では、制御部30は基板撮像カメラ18によって撮像された画像を解析することにより、撮像した格納穴25Aにノズル22が格納されているか否かを判断する。制御部30は、ノズル22が格納されている場合はS104に進み、格納されていない場合はS105に進む。
【0060】
S104では、制御部30は撮像した画像を解析してノズルIDを取得する。これによりノズル22が検出される。制御部30は取得したノズルIDを穴番号iに対応付けて割り付けテーブル50に登録する。
S105では、制御部30は全ての格納穴25Aを撮像したか否かを判断し、全ての格納穴25Aを撮像していない場合はS106に進み、全ての格納穴25Aを撮像した場合はS107に進む。
【0061】
S106では、制御部30は変数iに1を加算し、S102に戻って処理を繰り返す。
S107では、制御部30は割り付けテーブル50の各穴番号にヘッド番号を割り当てる。具体的には、制御部30は各穴番号に、その穴番号の格納穴25Aに予め対応付けられている実装ヘッド19のヘッド番号を割り当てる。これにより、検出された各ノズル22にそれぞれ1つの実装ヘッド19が割り付けられる。
【0062】
(4-2)調整処理及び設定処理
先ず、
図12を参照して、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する部品Eの実装精度の低下を抑制するための調整について説明する。実施形態1に係る調整は、部品Eの目標搭載位置60と実際の搭載位置61とのずれ(X方向のずれdX、Y方向のずれdY)、及び、部品Eの目標搭載角度と実際の搭載角度とのずれ(回転角度のずれdR)の両方を抑制するための動作である。
【0063】
調整では、制御部30は割り付けテーブル50に登録されているノズルIDによって示されるノズル22をそのノズル22に割り付けられている実装ヘッド19に取り付け、そのノズル22とその実装ヘッド19との組み合わせで基板Pに部品Eを実装する。そして、制御部30は基板Pに実装した部品Eを基板撮像カメラ18で撮像し、撮像した画像を解析してdX、dY、dRを検出する。制御部30はこの検出を複数回繰り返すことによってdX、dY、dRの平均値を求め、求めた平均値を実装ヘッド19の移動量の補正値、及び、実装ヘッド19の回転角度の補正値として設定する。実施形態1ではこれらの補正値を設定することを調整という。
【0064】
制御部30は、基板Pに部品Eを実装するとき、実装ヘッド19の移動量や回転角度を上述した補正値に基づいて補正する。これにより、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する部品Eの実装精度の低下(目標搭載位置と実際の搭載位置とのずれや目標搭載角度と実際の搭載角度とのずれ)が抑制される。
【0065】
図13を参照して、調整処理及び設定処理の実行をオペレータが指示するための操作画面70について説明する。操作画面70は表示装置31Aに表示される画面である。操作画面70はオペレータが調整処理や設定処理の実行などを指示するための運転・測定タブ71(操作画面の一例)、及び、調整結果を表示する測定結果タブ72(
図17参照)を有している。
【0066】
運転・測定タブ71には、調整を行うノズル22の種類及び実装ヘッド19を選択するための調整設定欄71A、調整処理の実行を指示する調整指示を受け付ける全実行ボタン71B(調整ボタンの一例)、設定処理の実行を指示する設定指示を受け付けるノズルID登録ボタン71C(設定ボタンの一例)などが表示される。
【0067】
図14に示すフローチャート参照して、オペレータの操作手順と制御部30によって実行される処理とについて説明する。ここでは既に割り付け処理が実行されて前述した割り付けテーブル50が作成されているものとする。
S201では、オペレータは運転・測定タブ71の調整設定欄71Aで調整を行うノズル22の種類及び実装ヘッド19を選択する。
S202では、オペレータは運転・測定タブ71で全実行ボタン71Bを押す。これにより調整指示が受け付けられる。
【0068】
S203では、制御部30は、選択された種類のノズル22のうち選択された実装ヘッド19が割り付けられているノズル22をその実装ヘッド19に取り付ける。このとき、制御部30は、割り付けテーブル50において、実装ヘッド19に取り付けたノズル22の状態を「使用中」に変更する。そして、制御部30はノズル22と実装ヘッド19との組み合わせ毎に調整を行う。前述したように制御部30は調整を行ってdX、dY、dRの平均値を求め、求めた平均値を補正値として設定する。
制御部30は、調整を行っているとき、
図15に示す調整中ダイアログ73を表示する。調整中ダイアログ73にはdX、dY、dRなどの情報が表示される。
【0069】
S204では、制御部30は少なくとも1つの組み合わせでずれの平均値(dX、dY、dR)が所定の上限値以上であるか否かを判定する。平均値が上限値以上の場合は、制御部30は補正値を設定しても実装精度の低下を十分に抑制できないと判断し、調整失敗とする。制御部30は、調整失敗と判断した場合はS205に進む。制御部30は、いずれの組み合わせも上限値未満の場合はS209に進む。
【0070】
S205では、制御部30は
図16に示すエラーメッセージ74を表示する。エラーメッセージ74にはエラー(調整失敗)が発生したノズル22の種類及びヘッド番号も表示される。
S206では、オペレータは図示しないノズル格納ボタンを押す。これによりノズルステーション26が開状態になる。
S207では、オペレータはノズル22に割り付けられる実装ヘッド19が変更されるようにするために、エラーメッセージ74に表示された種類のノズル22の配置を手作業で入れ替える。
【0071】
S208では、オペレータは操作部31を操作して割り付け処理の再実行を指示する。ノズル22の配置を入れ替えて割り付け処理を再実行すると、入れ替えたノズル22の配置に応じてノズル22に実装ヘッド19が割り付けし直される。オペレータは割り付け処理が再実行された後、S202に戻って全実行ボタン71Bを再度押す。これにより、割り付けし直された組み合わせで再度調整が行われる。
オペレータは、ノズル22の配置を入れ替えた後、操作部31を操作するのではなく、ノズル格納ボタンを押してもよい。そして、制御部30はノズル格納ボタンが押されるとノズルステーション26を閉状態にするとともに、割り付け処理を自動で再実行してもよい。すなわち、ノズル格納ボタンが、割り付け処理を再実行するトリガーであってもよい。
【0072】
S209では、オペレータは
図17に示す測定結果タブ72で測定結果を確認する。
S210では、オペレータは、全ての組み合わせについて調整結果が「調整成功」である場合はノズルID登録ボタン71Cを押す。これにより設定指示が受け付けられる。
S211では、制御部30は設定処理を実行する。
【0073】
図18を参照して、S211で実行される設定処理について説明する。
図18に示す対応付けテーブル51はS211でノズルIDが登録される前の対応付けテーブル51を示している。対応付けテーブル51には予め穴番号と実装ヘッド19とが対応付けられて登録されている。設定処理は、割り付けテーブル50に登録されているノズルIDのうち状態が「使用中」のノズルID(すなわち調整が行われたノズル22のノズルID)を対応付けテーブル51に登録し、更に、登録したノズルIDの「ノズル固定」を「する」に変更する処理である。
【0074】
図19を参照して、設定処理のフローについて説明する。
S301では、制御部30はRAMに記憶されている割り付けテーブル50から状態が「使用中」の穴番号を取得する。
S302では、制御部30はS301で取得した穴番号に対応するノズルIDを割り付けテーブル50から読み出し、対応付けテーブル51の対応する穴番号のノズルIDに登録する。
S303では、制御部30は対応付けテーブル51においてS302でノズルIDを登録した行のノズル固定を「する」に変更する。これにより、
図9に示すように対応付けテーブル51が設定される。
【0075】
(5)実装前のノズルの確認及びノズルの配置変更
実施形態1に係る制御部30は、基板Pを生産するとき、実装ヘッド19が対応付けられている格納穴25Aに、その実装ヘッド19に対応付けられているノズル22が格納されているものと見做し、その格納穴25Aに格納されているノズル22を取り付ける。
【0076】
このため、制御部30は、基板Pの生産を開始する前に、基板撮像カメラ18によってノズルステーション26の各格納穴25Aを撮像し、各格納穴25Aに格納されているノズル22のノズルIDを検出する。そして、制御部30は対応付けテーブル51に設定されているノズルIDのノズル22が全てノズルステーション26に格納されているか否かを判定する(第1の判定処理の一例)。
【0077】
そして、
図20に示すように、制御部30は、対応付けテーブル51に設定されているノズル22のうち少なくとも1つのノズル22がノズルステーション26に格納されていない場合は、対応付けテーブル51に設定されているノズル22が格納されていないことを示すエラーメッセージ75を操作部31に表示する(エラー報知処理の一例)。エラーメッセージ75には、格納されていないノズル22のノズルIDやそのノズル22が格納されているべき穴番号も表示される。
【0078】
エラーメッセージ75が表示された場合、オペレータは表示されたノズルIDのノズル22を、表示された穴番号の格納穴25Aに格納する。これにより、対応付けテーブル51に設定されている全てのノズル22がノズルステーション26に格納されている状態になる。
【0079】
対応付けテーブル51に設定されている全てのノズル22がノズルステーション26に格納されていても、格納穴25Aに格納されているノズル22が、その格納穴25Aに対応付けられているノズル22ではない可能性もある。このため、制御部30は、対応付けテーブル51に設定されている全てのノズル22がノズルステーション26に格納されている場合は、ノズルステーション26の各格納穴25Aに、その格納穴25Aに対応付けられているノズル22が格納されているか否かを判定する(第2の判定処理の一例)。
【0080】
格納されていないノズル22がある場合は、制御部30は各格納穴25Aに、その格納穴25Aに対応付けられているノズル22が格納されているようにノズル22の配置を自動で変更する(変更処理の一例)。これにより、対応付けテーブル51に設定されている実装ヘッド19とノズル22との組み合わせで部品Eを実装することが可能になる。
ここで、ノズル22の配置の変更は実装ヘッド19を用いて行われる。制御部30は配置を変更するノズル22を実装ヘッド19に取り付け、取り付けたノズル22を移動先の格納穴25Aに格納して実装ヘッド19から取り外す。これによりノズル22の配置が自動で変更される。
【0081】
図21を参照して、実装前のノズルの確認及びノズルの配置変更のフローについて説明する。
S401では、制御部30は各格納穴25Aを基板撮像カメラ18によって撮像し、ノズルステーション26に格納されているノズル22を検出する。
S402では、制御部30は検出したノズル22のノズルIDと対応付けテーブル51とを比較することにより、対応付けテーブル51に設定されている全てのノズル22がノズルステーション26に格納されているか否かを判断する。制御部30は、格納されていないノズル22がある場合はS403に進み、全てのノズル22が格納されている場合はS404に進む。
【0082】
S403では、制御部30はエラーメッセージ75を表示する。
S404では、制御部30は検出したノズル22が、対応付けテーブル51においてそのノズル22が対応付けられている格納穴25Aに格納されているか否かを判断し、格納されている場合は処理を終了し、格納されていない場合はS405に進む。
【0083】
S405では、制御部30は、検出したノズル22について、そのノズル22が対応付けられている格納穴25A(対応付けテーブル51においてそのノズル22のノズルIDが対応付けられている穴番号の格納穴25A)に格納されているようにノズル22の配置を自動で変更する。
【0084】
(6)実施形態の効果
実施形態1に係る部品実装装置1によると、複数のノズル22にそれぞれ1つの実装ヘッド19を割り付けることによって実装ヘッド19とノズル22とを組み合わせ、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせ毎に、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する部品Eの実装精度の低下を抑制するための調整を行う。そして、部品実装装置1によると、調整を行ったときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせを、基板Pに部品Eを実装するときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせとして設定するので、調整を行ったときの実装ヘッド19とノズル22との組み合わせで基板Pに部品Eを実装できる。このため、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する実装精度の低下を抑制できる。
【0085】
部品実装装置1によると、操作部31で設定指示を受け付けると制御部30が設定処理を実行するので、オペレータが手作業で設定する場合に比べてオペレータの負担を軽減できる。
【0086】
部品実装装置によると、全実行ボタン71B(調整ボタンの一例)が表示される運転・測定タブ71(操作画面の一例)にノズルID登録ボタン71C(設定ボタンの一例)が表示されるので、オペレータは全実行ボタン71Bを押して調整指示を行った後、設定指示を行うとき、他の画面(あるいは他のタブ)でノズルID登録ボタン71Cを探さなくてよい。このため、オペレータは調整処理が終了した後に速やかに設定処理の実行を指示できる。
【0087】
部品実装装置1によると、ノズルステーション26に格納されているノズル22を基板撮像カメラ18によって自動で検出するので、割り付け処理を自動で実行できる。このため、オペレータが手作業で割り付ける場合に比べてオペレータの負担を軽減できる。
【0088】
部品実装装置1によると、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する目標搭載位置と実際の搭載位置とのずれ、及び、目標搭載角度と実際の搭載角度とのずれの少なくとも一方を抑制できる。
【0089】
部品実装装置1によると、ずれが上限値以上である場合は設定処理を実行しないので、実装精度の低下が十分に抑制されない組み合わせが設定されることを抑制できる。設定処理を実行しない場合は、ノズル22に割り付けられる実装ヘッド19が変更されるようにノズル22の配置を入れ替えてから割り付け処理を再実行し、その後に調整処理を再実行することにより、実装精度の低下が十分に抑制される組み合わせを設定できる可能性が高くなる。
【0090】
部品実装装置1によると、設定処理で設定されたノズル22がノズルステーション26に格納されていない場合は、設定されたノズル22が格納されていないことを示すエラーメッセージ75を報知する。エラーメッセージ75を報知されたオペレータは、設定されたノズル22をノズルステーション26に格納する。これにより、調整を行ったときの組み合わせで部品Eを実装できる。
【0091】
部品実装装置1によると、各格納穴25Aにそれぞれ1つの実装ヘッド19が対応付けられており、実装部は、格納穴25Aに格納されているノズル22を、当該格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19に取り付けて部品Eを実装する。この場合に、制御部30は、格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19に組み合わされているノズル22が当該格納穴25Aに格納されていない場合は、その実装ヘッド19に組み合わされているノズル22が当該格納穴25Aに格納されているようにノズル22の配置を自動で変更する。このため、格納穴25Aに格納されているノズル22を当該格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19に取り付けて部品Eを実装する場合に、調整を行ったときの組み合わせで部品Eを実装できる。
【0092】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0093】
(1)上記実施形態では、オペレータはS209で測定結果を確認し、全ての組み合わせについて調整結果が「調整成功」である場合はノズルID登録ボタン71Cを押す。制御部30はノズルID登録ボタン71Cが押されると設定処理(S211)を実行する。これに対し、制御部30は、全ての組み合わせについて調整結果が「調整成功」である場合は設定処理を自動で実行してもよい。
【0094】
(2)上記実施形態ではオペレータが操作部31(操作部の一例)を操作して割り付け処理の実行を指示すると割り付け処理が実行される場合を例示した。これに対し、割り付け処理は基板Pの生産が行われていないときに自動で実行されてもよい。
【0095】
(3)上記実施形態では、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する部品Eの実装精度の低下を抑制するための調整として、実装ヘッド19の移動量の調整及び実装ヘッド19の回転角度の調整を例示したが、調整は移動量の調整及び回転角度の調整のいずれか一方だけでもよい。調整はこれらに限定されず、実装ヘッド19とノズル22との組み合わせに起因する部品Eの実装精度の低下を抑制するための調整であれば他の調整であってもよい。
【0096】
(4)上記実施形態では調整処理で検出したずれが所定の上限値より大きい場合は設定処理を実行しない場合を例示したが、検出したずれの大きさによらず設定処理を実行してもよい。
【0097】
(5)上記実施形態では格納穴25Aに実装ヘッド19が対応付けられており、実装ヘッド19とノズル22とが格納穴25Aを介して対応付けられている場合を例示した。より具体的には、実装ヘッド19が対応付けられている格納穴25Aに格納されているノズル22を、その実装ヘッド19に組み合わされているノズル22として実装ヘッド19に取り付ける場合を例示した。これに対し、実装ヘッド19とノズル22とは格納穴25Aを介さずに対応付けられていてもよい。具体的には、対応付けテーブル51に穴番号を含めないようにしてもよい。この場合、制御部30はノズルステーション26に格納されているノズル22を検出して格納穴25Aとノズル22とを対応付けておき、実装ヘッド19に対応付けられているノズル22が格納されている格納穴25Aの上方に実装ヘッド19を移動させてその格納穴25Aに格納されているノズル22を実装ヘッド19に取り付けてもよい。
【0098】
(6)上記実施形態では、設定処理で設定されたノズル22が全てノズルステーション26に格納されている場合に、格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19に組み合わされているノズル22がその格納穴25Aに格納されていない場合は、格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19に組み合わされているノズル22がその格納穴25Aに格納されているように制御部30がノズル22の配置を自動で変更する場合を例示した。これに対し、格納穴25Aに対応付けられている実装ヘッド19に組み合わされているノズル22がその格納穴25Aに格納されていない場合はオペレータがノズル22の配置を手動で変更してもよい。
【0099】
(7)上記実施形態では格納部として格納穴25Aを例示したが、格納部はノズル22を格納できれば格納穴25Aに限定されない。例えば、格納部はノズル22が格納される凹部であってもよい。
【0100】
(8)上記実施形態では基板撮像カメラ18(フィデューシャルマークを撮像する撮像部)が検出部(ノズルステーション26に格納されているノズル22を検出する検出部)を兼ねている場合を例示したが、基板撮像カメラ18以外のカメラを検出部として備えてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1: 部品実装装置
13: ヘッドユニット(実装部の一例)
14: ヘッド移動部(実装部の一例)
18: 基板撮像カメラ(検出部及び撮像部の一例)
19: 実装ヘッド
22: ノズル
25A: 格納穴(格納部の一例)
26: ノズルステーション
30: 制御部
31: 操作部
31A: 表示装置
71: 運転・測定タブ(操作画面の一例)
71B: 全実行ボタン(調整ボタンの一例)
71C: ノズルID登録ボタン(設定ボタンの一例)
E: 部品
P: 基板