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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101283
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/24 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
B65D5/24 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005179
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】515351921
【氏名又は名称】村上 祐資
(71)【出願人】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐資
(72)【発明者】
【氏名】淵上 政治
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB17
3E060CD04
3E060DA11
(57)【要約】
【課題】 シートを折り曲げて構成された容器として、自律性に優れ、壊れにくい容器を提供する。
【解決手段】 本発明の容器は、シートを折り曲げて構成された容器であって、底壁部と、底壁部から立ち上がり底壁部の外縁に沿って設けられた周壁部と、を備える。周壁部は、第1部分と、第1部分よりも壁厚がより厚い第2部分とを、それぞれ、周壁部の周方向において複数並べて構成されており、周方向において、複数の第2部分のそれぞれは、2つの第1部分の間に挟まれた位置に配置されている。容器を平面視した場合に、第2部分を挟む2つの第1部分は、互いに交差する方向に延び、且つ、複数の第1部分及び複数の第2部分は、それぞれ、底壁部の中央位置を基準として対称となる位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを折り曲げて構成された容器であって、
底壁部と、
前記底壁部から立ち上がり前記底壁部の外縁に沿って設けられた周壁部と、を備え、
前記周壁部は、第1部分と、前記第1部分よりも壁厚がより厚い第2部分とを、それぞれ、前記周壁部の周方向において複数並べて構成されており、
前記周方向において、複数の前記第2部分のそれぞれは、2つの前記第1部分の間に挟まれた位置に配置されており、
前記容器を平面視した場合に、前記第2部分を挟む2つの前記第1部分は、互いに交差する方向に延び、且つ、複数の前記第1部分及び複数の前記第2部分は、それぞれ、前記底壁部の中央位置を基準として対称となる位置に配置されている、容器。
【請求項2】
前記シートは、前記底壁部をなす第1基部と、前記周壁部をなす第2基部とを含み、
前記第2基部は、それぞれの前記第2部分を構成する複数の領域を有し、
前記複数の領域は、中央領域と、前記中央領域と隣接する第1隣接領域と、前記第1隣接領域とは反対側で前記中央領域と隣接する第2隣接領域とを含み、
前記第1隣接領域は、折り曲げられて第1曲げ部を構成し、
前記第2隣接領域は、折り曲げられて第2曲げ部を構成し、
前記第2部分は、前記中央領域と前記第1曲げ部と前記第2曲げ部とが重ねられることで構成される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1隣接領域は、前記中央領域と前記第1隣接領域との境界線に沿って山折りされて前記周方向における一方側に折り曲げられ、且つ、前記第1隣接領域の中間位置にて谷折りされて前記周方向における他方側に折り返されて前記第1曲げ部を構成し、
前記第2隣接領域は、前記中央領域と前記第2隣接領域との境界線に沿って山折りされて前記周方向における前記他方側に折り曲げられ、且つ、前記第2隣接領域の中間位置にて前記周方向における前記一方側に折り返されて前記第2曲げ部を構成し、
前記第2部分は、前記第1曲げ部及び前記第2曲げ部のうち、一方の曲げ部が前記中央領域の外側で前記中央領域と重ねられ、且つ、もう一方の曲げ部が前記一方の曲げ部の外側で前記一方の曲げ部と重ねられることで構成される、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器を平面視した場合に、前記底壁部の形状は、四つの角部の各々が面取りされた正方形であり、
前記第2部分は、前記周方向において、面取りされた前記底壁部の各角部が配置された位置に設けられている、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記シートでは、前記第2基部が、前記第1基部を取り囲んで前記第1基部と連続しており、
前記周方向において互いに対向する位置にある2つの前記第2部分を第2A部分及び第2B部分とした場合に、前記シートは、下記の構成1及び構成2のうちの少なくとも一方を有する、請求項4に記載の容器。
構成1:前記第2A部分を構成する前記中央領域と前記第1隣接領域との境界線、及び、前記第2B部分を構成する前記中央領域と前記第2隣接領域との境界線が一直線上に存在している。
構成2:前記第2A部分を構成する前記中央領域と前記第2隣接領域との境界線、及び、前記第2B部分を構成する前記中央領域と前記第1隣接領域との境界線が一直線上に存在している。
【請求項6】
前記複数の領域は、前記中央領域の外縁から突出した突出領域をさらに有し、
前記第2部分は、前記突出領域が前記中央領域と前記突出領域の境界線に沿って山折りされて前記もう一方の曲げ部の外側で前記もう一方の曲げ部と重ねられることで構成される、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記突出領域のうち、前記周方向における端部には、差込み片が形成されており、
前記第2部分は、前記突出領域が前記差込み片と前記差込み片以外の部分との境界線に沿って山折りされ、且つ前記差込み片が前記第1曲げ部と前記第2曲げ部の間に差し込まれることで構成される、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記シートが紙によって構成されている、請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に係り、特に、一枚のシートを折り曲げることで構成された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ブランクと呼ばれるシート体を立体的に折り曲げて構成された容器は、その内部に物、液体及び流動性物質等を収容する目的で利用される。そのような容器の一例としては、特許文献1に記載の容器が挙げられる。特許文献1に記載の容器は、耐水性又は防水性を有する厚紙シートを折り込んで構成される直方体状の箱体であり、例えば食品を収納する目的で利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-076960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートを折り曲げて構成された容器においては、収納物が容器外に漏れ出るのを防止する等の理由で、底壁から立ち上がった周壁に、他の部分よりも厚みが大きい部分(以下、厚壁部ともいう)を設ける場合がある。厚壁部は、一般に、周壁において対称的な位置に複数設けられる。例えば、特許文献1に記載された直方体状の容器では、周壁において互いに対向する2つの短辺部分のそれぞれに、厚壁部が設けられている。また、特許文献1に記載の容器では、周壁において互いに対向する2つの長辺部分のそれぞれに、厚みが厚壁部よりも小さい部分(以下、薄壁部)が設けられている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の容器では、収容物から周壁に作用する圧力が、角部、すなわち厚壁部と薄壁部との境界部分に集中するために、周壁が破損しやすくなる。また、収容物からの圧力が局所的に集中する構造は、容器の自立性にも影響し、そのような構造の容器では、収容物を入れた状態で安定して保持することが困難となる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解決し、具体的には、シートを折り曲げて構成された容器として、自立性に優れて壊れにくい容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の容器は、シートを折り曲げて構成された容器であって、底壁部と、底壁部から立ち上がり底壁部の外縁に沿って設けられた周壁部と、を備え、周壁部は、第1部分と、第1部分よりも壁厚がより厚い第2部分とを、それぞれ、周壁部の周方向において複数並べて構成されており、周方向において、複数の第2部分のそれぞれは、2つの第1部分の間に挟まれた位置に配置されており、容器を平面視した場合に、第2部分を挟む2つの第1部分は、互いに交差する方向に延び、且つ、複数の第1部分及び複数の第2部分は、それぞれ、底壁部の中央位置を基準として対称となる位置に配置されていることを特徴とする。
本発明の容器によれば、周壁部の周方向において、壁厚がより厚い第2部分が一定間隔毎に設けられているため、周壁部の強度を高めることができる。また、容器内の収容物から周壁部に作用する圧力を周方向において均等に分散させることができる。この結果、容器の自立性(バランス性)が向上する。
【0008】
また、シートは、底壁部をなす第1基部と、周壁部をなす第2基部とを含んでもよい。また、第2基部は、それぞれの第2部分を構成する複数の領域を有し、複数の領域は、中央領域と、中央領域と隣接する第1隣接領域と、第1隣接領域とは反対側で中央領域と隣接する第2隣接領域とを含んでもよい。この場合、第1隣接領域は、折り曲げられて第1曲げ部を構成し、第2隣接領域は、折り曲げられて第2曲げ部を構成し、第2部分は、中央領域と第1曲げ部と第2曲げ部とが重ねられることで構成されるとよい。
【0009】
また、第1隣接領域は、中央領域と第1隣接領域との境界線に沿って山折りされて周方向における一方側に折り曲げられ、且つ、第1隣接領域の中間位置にて谷折りされて周方向における他方側に折り返されて第1曲げ部を構成してもよい。また、第2隣接領域は、中央領域と第2隣接領域との境界線に沿って山折りされて周方向における他方側に折り曲げられ、且つ、第2隣接領域の中間位置にて周方向における一方側に折り返されて第2曲げ部を構成してもよい。この場合、第2部分は、第1曲げ部及び第2曲げ部のうち、一方の曲げ部が中央領域の外側で中央領域と重ねられ、且つ、もう一方の曲げ部が一方の曲げ部の外側で一方の曲げ部と重ねられることで構成されるとよい。
【0010】
また、容器を平面視した場合に、底壁部の形状は、四つの角部の各々が面取りされた正方形でもよい。また、第2部分は、周方向において、面取りされた底壁部の各角部が配置された位置に設けられてもよい。
【0011】
また、シートでは、第2基部が、第1基部を取り囲んで第1基部と連続してもよい。この場合、周方向において互いに対向する位置にある2つの第2部分を第2A部分及び第2B部分とした場合に、シートは、下記の構成1及び構成2のうちの少なくとも一方を有するとよい。
構成1:第2A部分を構成する中央領域と第1隣接領域との境界線、及び、第2B部分を構成する中央領域と第2隣接領域との境界線が一直線上に存在している。
構成2:第2A部分を構成する中央領域と第2隣接領域との境界線、及び、第2B部分を構成する中央領域と第1隣接領域との境界線が一直線上に存在している。
【0012】
また、複数の領域は、中央領域の外縁から突出した突出領域をさらに有してもよい。また、第2部分は、突出領域が中央領域と突出領域の境界線に沿って山折りされてもう一方の曲げ部の外側でもう一方の曲げ部と重ねられることで構成されるとよい。
【0013】
また、突出領域のうち、周方向における端部には、差込み片が形成されてもよい。また、第2部分は、突出領域が差込み片と差込み片以外の部分との境界線に沿って山折りされ、且つ差込み片が第1曲げ部と第2曲げ部の間に差し込まれることで構成されてもよい。
【0014】
また、シートが紙によって構成されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シートを折り曲げて構成された容器として、自立性に優れ、且つ壊れにくい容器が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一つの実施形態に係る容器の斜視図である。
図2】本発明の一つの実施形態に係る容器の平面図である。
図3】本発明の一つの実施形態に係る容器の側面図である。
図4図3のI-I断面図である。
図5】本発明の一つの実施形態に係る容器の展開図であり、容器を構成するシートを示す図である。
図6図5中、複数の領域からなる矩形領域を拡大して示す図である。
図7】シートを折り曲げて容器を構成する手順を示す第1図である。
図8】シートを折り曲げて容器を構成する手順を示す第2図である。
図9】シートを折り曲げて容器を構成する手順を示す第3図である。
図10】シートを折り曲げて容器を構成する手順を示す第4図である。
図11】シートを折り曲げて容器を構成する手順を示す第5図である。
図12】シートを折り曲げて容器を構成する手順を示す第6図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0018】
また、本明細書において、「同じ」、「同一」、「等しい」、「均等」、「等分」、及び「等間隔」のそれぞれの意味には、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差の範囲が含まれ得る。
また、本明細書において、「垂直」、「直交」、及び「平行」のそれぞれの意味には、本発明が属する分野で一般的に許容される誤差の範囲を含み、厳密な垂直、直交及び平行に対して数度(例えば2~3°)未満の範囲内でずれている場合も含まれ得る。
【0019】
また、本明細書において、「上下」は、本発明の容器を通常の方法で使用する場合の上下を意味し、例えば、後述する底壁部は、容器において最も下側に位置する部分である。
また、本明細書において、「平面視」とは、容器を真上から見ることを意味し、「平面形状」は、容器を平面視した場合の形状を意味する。
【0020】
[本発明の一つの実施形態に係る容器について]
本発明の一つの実施形態に係る容器(以下、容器10)について、図1~4を参照しながら説明する。
容器10は、図1に示すように、上端に開口が設けられた略箱型の容器である。容器10の平面形状は、図2に示すように、4つの角部が面取りされた正方形であり、詳しくは長辺と短辺とが交互に配置された略八角形である。ただし、容器10の平面形状は、上記の形状に限定されず、例えば、4つの角部が面取りされた長方形でもよく、あるいはn個(nは偶数)の角を有する正多角形であってもよい。
【0021】
容器10は、後述のブランク50(図5参照)を折り曲げて構成されている。つまり、容器10は、一枚のブランク50を折り曲げ線に沿って立体状に折り込むことで作成される。ブランク50の素材としては、取扱性、加工性、搬送性及びリサイクル性の観点から、紙が好ましい。ただし、これに限定されず、樹脂材料又は金属からなるブランク50を用いて容器10を作成してもよい。
【0022】
また、容器10の原紙、すなわち、ブランク50をなす紙は、撥水性又は防水性を備えているとよい。この場合、容器10内に水又は水溶液を収納することができるので、容器10を桶、受水器、水槽又は浴槽等として利用することができる。なお、容器10の原紙に撥水性又は防水性を付与する手法については、特に限定されず、公知の手法を利用することができる。
【0023】
なお、容器10内の収納物の種類は、水又は水溶液等に限定されず、粉状物、粒状物、土壌、又はゲル状物等を収納する目的で容器10を用いてもよい。また、容器10のサイズ、すなわち、容器10各部の寸法は、特に限定されず、容器10の用途に応じて適当な値に設定されるとよい。
【0024】
容器10の構成について説明すると、容器10は、図1~3に示すように、底壁部12と、底壁部12から立ち上がっており底壁部12の外縁に沿って設けられた周壁部14とを備える。
【0025】
底壁部12は、平板状の部分であり、その平面形状は、図2に示すように、4つの角部の各々が面取りされた正方形である。詳しく説明すると、底壁部12の外縁は、4つの長辺及び4つの短辺によって構成され、外縁では、長辺と短辺とが交互に配置されている。短辺は、面取りされた角部に位置する辺であり、短辺の両側に位置する長辺に対して45度傾いている。
【0026】
また、図2から分かるように、4つの長辺及び4つの短辺は、それぞれ、底壁部12の中心位置を基準として対称となる位置に配置されている。ここで、「底壁部12の中心位置を基準として対称となる位置に配置されている」とは、底壁部12の外縁に沿って一定間隔(具体的には90度間隔)にて配置され、且つ、底壁部12の中心位置から等距離にある位置に配置されていることを意味する。また、底壁部12の中心位置とは、上述した正方形における対角線が交差する位置であり、4つの長辺のうち、互いに対向する2つの長辺の中点同士を結んだ仮想線と、残り2つの長辺の中点同士を結んだ仮想線との交点の位置である。
【0027】
周壁部14は、図1及び3に示すように、底壁部12に対して垂直に立ち上がり、底壁部12の外縁全域に亘って設けられ、その周方向において連続している。周壁部14の周方向とは、底壁部12の外縁に沿って周回する際の方向であり、底壁部12に対して垂直であり底壁部12の中心位置を通過する仮想軸を中心として回転する場合の回転方向に相当する。以下、周壁部14の周方向を、単に「周方向」と呼ぶこととする。
【0028】
また、周壁部14は、図1及び2に示すように、第1部分16と、第1部分16よりも壁厚がより厚い第2部分18とを、それぞれ、周方向において複数並べて構成されている。より具体的に説明すると、4つの第1部分16と、4つの第2部分18とが、周方向において交互に配置されている。換言すると、各第2部分18は、周方向において、2つの第1部分16の間に挟まれた位置に配置されている。
【0029】
また、容器10を平面視した場合、図2に示すように、周方向において第2部分18を挟む2つの第1部分16は、互いに交差する方向に延びており、詳しくは直交している。さらに、容器10を平面視した場合、図2に示すように、複数の第1部分16及び複数の第2部分18は、それぞれ、底壁部12の中央位置を基準として対称となる位置に配置されており、詳しくは、周方向に90度間隔で配置されている。
【0030】
さらにまた、図2に示すように、各第2部分18は、周方向において、面取りされた底壁部12の角部が配置された位置、すなわち、底壁部12の外縁のうちの短辺が配置された位置に設けられている。換言すると、各第1部分16は、周方向において、底壁部12の外縁のうちの長辺が配置された位置に設けられている。
【0031】
第1部分16は、周壁部14における薄壁部に相当し、その厚みは、折り曲げ前のブランク50の厚みと一致する。第2部分18は、周壁部14における壁厚部に相当し、図4に示すように、ブランク50中の所定部分(詳しくは、後述する短辺領域60)が折り重なることで構成されている。具体的に説明すると、第2部分18では、容器10の内部空間に面する内壁部20の外側に、第1曲げ部22と、第2曲げ部24と、外壁部26とがこの順で重なり合っている。
【0032】
内壁部20は、図1に示すように、底壁部12の外縁のうちの短辺から延出しており、その厚みは、折り曲げ前のブランク50の厚みと一致する。
第1曲げ部22及び第2曲げ部24は、図4に示すように、それぞれ、ブランク50の所定部分(詳しくは、後述する第1隣接領域64及び第2隣接領域66)を折り畳んで形成された部分であり、その厚みは、折り曲げ前のブランク50の厚みの2倍である。
【0033】
第1曲げ部22を折り畳む向きと、第2曲げ部24を折り畳む向きとは、図4に示すように、周方向において互いに反対向きである。詳しく説明すると、第1曲げ部22は、その基端にて周方向の一方側に向かって折り曲げられ、且つ、その中途位置にて周方向の他方側に折り返されている。図4に示す例では、第1曲げ部22が紙面の右側から左側に向かって折り曲げられ、且つ、その中途位置にて紙面の左側から右側に向かって折り返されている。これに対して、第2曲げ部24は、その基端にて周方向の他方側に向かって折り曲げられ、且つ、その中途位置にて周方向の一方側に折り返されている。ここで、周方向の一方側とは、例えば、時計回りの向きを意味し、周方向の他方側とは、その反対側、すなわち反時計回りの向きを意味する。
【0034】
外壁部26は、第2部分18において最も外側に位置し、内壁部20との間に第1曲げ部22及び第2曲げ部24を挟み込んで、第1曲げ部22及び第2曲げ部24を押さえる機能を有する。また、外壁部26の厚みは、折り曲げ前のブランク50の厚みと一致する。
【0035】
以上のように、第2部分18は、ブランク50が折り重なっているので第1部分16より厚く、特に、内壁部20と第1曲げ部22と第2曲げ部24と外壁部26とが重なっている箇所では、第1部分16の6倍(=1+2+2+1)の厚みを有する。このような第2部分18を周方向に複数設けることにより、より強度が高い容器10が実現される。
【0036】
また、容器10は、平面視で4つの角部が面取りされた正方形の形状をなしており、厚壁部としての第2部分18は、各角部に配置されている。このような構造であれば、容器10内の収容物から周壁部14に作用する圧力が集中しても、圧力を分散させるとともに角部の強度を確保することができる。これにより、局所的な圧力集中によって周壁部14が破損するのを抑えることができる。
【0037】
また、第2部分18が周方向において一定間隔毎に設けられているため、容器10内の収容物から周壁部14に作用する圧力を周方向において均等に分散させることができる。これにより、内部に収容物が入った容器10の状態を安定させて保持することができ、つまり、容器10の自立性(バランス性)が向上する。なお、本発明の一つの実施形態では、4つの第2部分18が周方向において90度間隔で設けられているため、収容物が入った容器10を、よりバランスよく置くことができ、自立性がより向上したものになる。
【0038】
[本発明の一つの実施形態に係るシートについて]
次に、容器10を構成するブランク50の構成について、図5及び6を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「一直線上に存在する」という表現の意味には、2つの直線のうちの一方の直線を延長した仮想線に対して、もう一方の直線が、本発明が属する技術分野で一般的に許容される範囲内でずれる場合が含まれ得る。
【0039】
ブランク50は、折り曲げられることでブランク50をなす一枚のシートであり、本発明の一つの実施形態では紙によって構成されている。これにより、運搬性に優れた容器10を提供することができる。具体的に説明すると、運搬時には、容器10(厳密には、作成前の容器10)をブランク50の状態で適切に運ぶことができ、使用時には、現地にてブランク50を折り曲げて容器10を作成することができる。また、使用後の容器10を廃棄する場合、粉砕等して再利用することが可能となる。
なお、ブランク50の素材は、前述したように紙に限定されず、金属又は樹脂材料等でもよく、例えばプラスチック製のダンボールシートでもよい。
【0040】
ブランク50は、図5に示す外形形状を有し、その主要部分は、4つの角部が面取りされた正方形状となっており、詳しくは長辺と短辺とが交互に配置された略八角形の形状をなしている。このようなブランク50の外形形状によれば、ブランク50の原紙を上記の形状にカットしてブランク50を切り取る際に生じる余り部分を極力少なくし、紙のロス(廃棄量)を減らすことができる。
【0041】
ここで、ブランク50の主要部分とは、ブランク50のうち、後述する突出領域68を除く部分である。また、ブランク50の外形形状は、図5に示すように、ブランク50の主要部分の中心位置を基準として対称(詳しくは、点対称)な形状になっている。
【0042】
なお、以下の説明では、ブランク50の主要部分の中心位置周りに回転する方向を、便宜上、「円周方向」と呼ぶこととする。円周方向は、容器10の周壁部14の周方向と対応する方向である。また、円周方向において時計回りに進む向きを「一方側」と呼び、反時計回りに進む向きを「他方側」と呼ぶこととする。
【0043】
ブランク50は、図5に示すように、容器10が作成された段階で底壁部12をなす第1基部52と、周壁部14をなす第2基部54とを含む。第1基部52は、ブランク50の中央部分に位置し、4つの角部が面取りされた正方形状となっており、詳しくは、円周方向において長辺と短辺とが交互に配置された略八角形の形状をなしている。
なお、以下の説明では、第1基部52の外縁に含まれる4つの長辺のうち、対辺の位置にある2つの長辺が並ぶ方向をX方向とし、残り2つの長辺が並ぶ方向をY方向とする。図5に示す例では、紙面の上下方向がX方向に相当し、紙面の左右方向がY方向に相当する。ただし、これに限定されず、紙面の左右方向をX方向としてもよく、紙面の上下方向をY方向としてもよい。また、X方向とY方向とは、互いに直交する。
【0044】
第2基部54は、第1基部52を取り囲んで第1基部52と連続している。また、ブランク50の主要部分のうち、第1基部52を取り囲んでいる部分は、第2基部54の主要部分(以下、主第2基部56)に相当する。主第2基部56の外形は、4つの角部が面取りされた正方形状、詳しくは、円周方向において長辺と短辺とが交互に配置された略八角形の形状をなしている。
【0045】
第2基部54は、図5に示すように、円周方向において長辺領域58と短辺領域60とが交互に、それぞれ一定間隔で複数配置されることで構成されている。具体的には、4つの長辺領域58と、4つの短辺領域60とが、それぞれ、円周方向において90度間隔で配置されている。
【0046】
長辺領域58は、容器10が作成された段階で周壁部14の第1部分16をなす矩形状の領域であり、図5に示すように、第1基部52の外縁における各長辺から外側に向かって延出している。すなわち、第1基部52においてX方向に並ぶ2つの長辺のそれぞれからは、長辺領域58がX方向の外側に延出しており、Y方向に並ぶ2つの長辺のそれぞれからは、長辺領域58がY方向の外側に延出している。長辺領域58の延出長さは、容器10が作成された段階で周壁部14の高さ、換言すると、容器10の深さを規定する。
【0047】
短辺領域60は、容器10が作成された段階で周壁部14の第2部分18をなす略扇状の領域であり、図5に示すように、主第2基部56の角部分に位置している。また、短辺領域60は、図6に示すように、複数の領域からなり、具体的には、中央領域62、第1隣接領域64、第2隣接領域66及び突出領域68を含んで構成されている。
【0048】
中央領域62は、容器10が作成された段階で第2部分18の内壁部20をなす矩形状の領域であり、図6に示すように、第1基部52の外縁における各短辺から外側に向かって延出している。各中央領域62の延出方向は、X方向及びY方向に対して略45度傾いている。また、中央領域62の延出長さは、長辺領域58の延出長さと略等しくなるように設定されている。
【0049】
第1隣接領域64は、図6に示すように、容器10が作成された段階で第2部分18の第1曲げ部22をなす扇状の領域であり、円周方向において中央領域62の他方側で中央領域62と隣接する。より詳しく説明すると、各短辺領域60の第1隣接領域64は、図6に示すように、円周方向において、当該短辺領域60の中央領域62と、円周方向の他方側で当該各短辺領域60と隣り合う長辺領域58と、の間に挟まれて配置されている。
【0050】
第2隣接領域66は、図6に示すように、容器10が作成された段階で第2部分18の第2曲げ部24をなす扇状の領域であり、円周方向において中央領域62の一方側(第1隣接領域64とは反対側)で中央領域62と隣接する。より詳しく説明すると、各短辺領域60の第2隣接領域66は、図6に示すように、円周方向において、当該短辺領域60の中央領域62と、円周方向の一方側で当該各短辺領域60と隣り合う長辺領域58と、の間に挟まれて配置されている。
【0051】
突出領域68は、図6に示すように、容器10が作成された段階で第2部分18の外壁部26をなすフラップ形状の領域であり、中央領域62の外縁(詳しくは、中央領域62の延出方向外側の端)から外側に突出している。また、突出領域68の円周方向の他方側の端部には、図6に示すように、略三角形状の差込み片70が設けられている。この差込み片70は、容器10が作成された段階で、第1曲げ部22と第2曲げ部24との間に差し込まれている(図4参照)。
【0052】
ブランク50の各部には、図5に示すように、折り曲げ線が設けられており、ブランク50の各部は、容器10を構成する際に各折り曲げ線に沿って折り曲げられる。なお、図5において、山折り用の折り曲げ線は、ピッチがより長い破線にて描かれており、谷折り用の折り曲げ線は、ピッチがより短い破線にて描かれている。
【0053】
各折り曲げ線について説明すると、第1基部52と長辺領域58との境界線、及び、第1基部52と中央領域62との境界線は、それぞれ、谷折り用の折り曲げ線32、34となっている。また、互いに隣り合う長辺領域58と短辺領域60との境界線は、谷折り用の折り曲げ線36となっている。
【0054】
折り曲げ線36について詳しく説明するために、4つの長辺領域58のうち、X方向に並ぶ2つの長辺領域58のうちの一つを、+X側の長辺領域とし、もう一つを-X側の長辺領域とする。+X側の長辺領域、及び-X側の長辺領域のそれぞれには、図5に示すように、第1隣接領域64との境界線にある折り曲げ線36と、第2隣接領域66との境界線にある折り曲げ線36とが設けられている。+X側の長辺領域と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線36、及び、-X側の長辺領域と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線36は、図5に示すように、一直線上に存在してX方向に連続している。
同様に、+X側の長辺領域と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線36、及び、-X側の長辺領域と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線36は、図5に示すように、一直線上に存在してX方向に連続している。
以上の構成は、4つの角部が面取りされた正方形状の外形をなす主第2基部56において+X側及び-X側の長辺領域がX方向において対称的に配置されていることに起因する。
【0055】
なお、+X側の長辺領域と-X側の長辺領域との間に位置する第1基部52には、図5に示すように、X方向において折り曲げ線36同士を連結する折り曲げ線38が形成されている。この折り曲げ線38は、当然ながら、谷折り用の折り曲げ線である。
【0056】
また、4つの長辺領域58のうち、Y方向に並ぶ2つの長辺領域58のうちの一つを、+Y側の長辺領域とし、もう一つを-Y側の長辺領域とする。+Y側の長辺領域、及び-Y側の長辺領域のそれぞれには、図5に示すように、第1隣接領域64との境界線にある折り曲げ線36と、第2隣接領域66との境界線にある折り曲げ線36とが設けられている。ここで、+Y側の長辺領域と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線36、及び、-Y側の長辺領域と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線36は、図5に示すように、一直線上に存在してY方向に連続している。同様に、+Y側の長辺領域と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線36、及び、-Y側の長辺領域と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線36は、図5に示すように、一直線上に存在してY方向に連続している。この構成は、4つの角部が面取りされた正方形状の外形をなす主第2基部56において+Y側及び-Y側の長辺領域がY方向において対称的に配置されていることに起因する。
【0057】
なお、+Y側の長辺領域と-Y側の長辺領域との間に位置する第1基部52には、図5に示すように、Y方向において折り曲げ線36同士を連結する折り曲げ線38が形成されている。この折り曲げ線38は、当然ながら、谷折り用の折り曲げ線である。
【0058】
また、図5に示すように、中央領域62と第1隣接領域64との境界線、及び、中央領域62と第2隣接領域66との境界線は、それぞれ、山折りの折り曲げ線40となっている。折り曲げ線40について詳しく説明するために、容器10の周壁部14中、周方向において互いに対向する位置にある2つの第2部分18(すなわち、互いに180度離れた位置にある2つの第2部分18)を第2A部分及び第2B部分とする。また、ブランク50のうち、第2A部分を構成する短辺領域60をA側の短辺領域とし、第2B部分を構成する短辺領域60をB側の短辺領域とする。
【0059】
A側の短辺領域における中央領域62と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線40、及び、B側の短辺領域における中央領域62と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線40は、図5に示すように、一直線上に存在して連続している。同様に、A側の短辺領域における中央領域62と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線40、及び、B側の短辺領域における中央領域62と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線40は、図5に示すように、一直線上に存在している。この構成は、4つの角部が面取りされた正方形状の外形をなす主第2基部56の各角部に短辺領域60が配置されていることに起因する。
【0060】
なお、A側の短辺領域とB側の短辺領域との間に位置する第1基部52には、図5に示すように、折り曲げ線40同士を連結する折り曲げ線42が形成されている。この折り曲げ線42は、当然ながら、山折り用の折り曲げ線である。
【0061】
また、各短辺領域60の第1隣接領域64には、第1隣接領域64を分割する谷折り用の折り曲げ線44が形成されている。この折り曲げ線44は、図6に示すように、第1隣接領域64を二分割する谷折り用の折り曲げ線44であることが好ましい。また、この折り曲げ線44は、第1隣接領域64の外縁の中点から第1隣接領域64の頂点(第1基部52との接点)まで延びている。
また、各短辺領域60の第2隣接領域66には、第2隣接領域66を分割する谷折り用の折り曲げ線46が形成されている。この折り曲げ線46は、図6に示すように、第2隣接領域66を二分割する谷折り用の折り曲げ線46であることが好ましい。また、この折り曲げ線46は、第2隣接領域66の外縁の中点から第2隣接領域66の頂点(第1基部52との接点)まで延びている。
【0062】
また、各短辺領域60において中央領域62と突出領域68との境界線は、山折り用の折り曲げ線48となっている。また、突出領域68において、差込み片70と差込み片70以外の部分との境界線は、山折り用の折り曲げ線30となっている。
【0063】
[容器の作成手順について]
次に、ブランク50を折り曲げて容器10を構成する手順について、図7~12を参照しながら説明する。
【0064】
先ず、上述した各折り曲げ線に沿ってブランク50の各部を折り曲げ、各折り曲げ線の箇所に折り目を付ける。具体的に説明すると、図7及び8に示すように、4つの短辺領域60のそれぞれを、中央領域62と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線40、及び、中央領域62と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線40に沿って山折りする。
【0065】
ここで、1つの短辺領域60をA側の短辺領域とし、それと対向する位置にある短辺領域60をB側の短辺領域とする。図7から分かるように、A側の短辺領域を中央領域62と第1隣接領域64との境界線に沿って山折りする際には、同時に、B側の短辺領域を中央領域62と第2隣接領域66との境界線に沿って山折りすることになる。これは、前述したように、A側の短辺領域における中央領域62と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線40、及び、B側の短辺領域における中央領域62と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線40が一直線上に存在するためである。
【0066】
また、上記と同様の要領で、図8に示すように、A側の短辺領域を中央領域62と第2隣接領域66との境界線に沿って山折りすると同時に、B側の短辺領域を中央領域62と第1隣接領域64との境界線に沿って山折りする。これにより、4つの短辺領域60のうち、互いに対向する位置にある2つの短辺領域60を折り曲げ線40にて山折りして折り目を付けることができる。
その後、残り2つの短辺領域60についても、上記と同様の要領で折り曲げ線40にて山折りして折り目を付ける。
【0067】
以上のように、ブランク50が下記の構成1及び2を満たしているので、互いに対向する2つの短辺領域60を同時に折り込むことができ、この結果、容器10を作成する際の作業性が向上する。
構成1:第2A部分を構成するA側の短辺領域の中央領域62と第1隣接領域64との境界線、及び、第2B部分を構成するB側の短辺領域の中央領域62と第1隣接領域64との境界線が一直線上に存在している。
構成2:A側の短辺領域の中央領域62と第2隣接領域66との境界線、及び、B側の短辺領域の中央領域62と第1隣接領域64との境界線が一直線上に存在している。
なお、作業性向上の観点では、構成1及び2のうち、少なくとも一方を備えればよいが、構成1及び2の双方を備える場合には作業性が一段と向上する。
【0068】
次に、図9に示すように、長辺領域58と短辺領域60との境界線である折り曲げ線36に沿って谷折りする。具体的に説明すると、+X側の長辺領域と第2隣接領域66との境界線に沿って谷折りする。このとき、図9から分かるように、同時に、-X側の長辺領域と第1隣接領域64との境界線に沿って谷折りすることになる。これは、前述したように、+X側の長辺領域と第2隣接領域66との境界線である折り曲げ線36、及び、-X側の長辺領域と第1隣接領域64との境界線である折り曲げ線36が、一直線上に存在するためである。
【0069】
また、上記と同じ要領で、+X側の長辺領域と第1隣接領域64との境界線に沿って谷折りすると同時に、-X側の長辺領域と第2隣接領域66との境界線に沿って谷折りする。これにより、+X側及び-X側の長辺領域の各々と短辺領域60との間に折り目を付けることができる。
その後、上記と同じ要領で、+Y側の長辺領域と短辺領域60との境界線、及び、-Y側の長辺領域と短辺領域60との境界線において、折り曲げ線36に沿って谷折りすることで折り目を付けることができる。
【0070】
次に、第1基部52と長辺領域58との境界線である折り曲げ線32、及び、第1基部52と中央領域62との境界線である折り曲げ線34に沿って谷折りして、各境界線において折り目を付ける。
【0071】
次に、各短辺領域60を折り込んで第2部分18を構成する。具体的に説明すると、各短辺領域60の中央領域62を折り曲げ線34に沿って谷折りし、中央領域62を第1基部52に対して起立させる。起立した中央領域62は、容器10が完成した状態では内壁部20を構成する。この際、図10に示すように、起立した中央領域62と隣接する第1隣接領域64を折り曲げて第1曲げ部22を構成し、起立した中央領域62と隣接する第2隣接領域66を折り曲げて第2曲げ部24を構成する。
【0072】
より具体的に説明すると、第1隣接領域64を、第1隣接領域64と中央領域62との境界線である折り曲げ線40にて山折りして円周方向(周方向)の一方側に折り曲げる。また、第1隣接領域64に形成された折り曲げ線44にて谷折りして円周方向(周方向)の他方側に折り返す。これにより、図10に示すように第1曲げ部22が構成される。第1曲げ部22は、中央領域62の外側で中央領域62と重ねられるように設けられる。
なお、第1隣接領域64では、第1隣接領域64の外縁の中点から折り曲げ線44が延びているため、中央領域62の外側で第1曲げ部22と中央領域62とを効果的に重ねることができる。
【0073】
また、第2隣接領域66を、第2隣接領域66と中央領域62との境界線である折り曲げ線40にて山折りして円周方向(周方向)の他方側に折り曲げる。また、第2隣接領域66に形成された折り曲げ線46にて谷折りして円周方向(周方向)の一方側に折り返す。これにより、図10に示すように第2曲げ部24が構成される。第2曲げ部24は、第1曲げ部22の外側で第1曲げ部22と重ねられるように設けられる。
なお、第2隣接領域66では、第2隣接領域66の外縁の中点から折り曲げ線46が延びているため、中央領域62の外側で第2曲げ部24と中央領域62とを効果的に重ねることができる。
【0074】
その後、図11に示すように、起立した中央領域62の上端から突出した突出領域68を、中央領域62と突出領域68との境界線である折り曲げ線48にて山折りして下方に折り曲げる。これにより、突出領域68が第2曲げ部24の外側で第2曲げ部24と重ねられる。そして、突出領域68は、容器10が完成した状態では外壁部26を構成する。
【0075】
また、突出領域68を第2曲げ部24に重ねる際、差込み片70と差込み片70以外の部分との境界線である折り曲げ線30にて突出領域68を山折りし、差込み片70を周方向の一方側に折り曲げる。さらに、図12に示すように、折り曲げられた差込み片70を第1曲げ部22及び第2曲げ部24の間、すなわち、周方向の他方側に設けられた隙間に差し込む。このように差込み片70を第1曲げ部22及び第2曲げ部24の間に差し込むことで、差込み片70の折り曲げ線30を基点として発生する紙の反力を利用して、突出領域68が第2曲げ部24に重ねられた状態を維持することができる。この結果、中央領域62と突出領域68の間に第1曲げ部22及び第2曲げ部24が挟み込まれた状態が良好に保持されるようになる。
【0076】
以上の手順にて第2部分18が構成され、4つの短辺領域60のそれぞれについて、上記の手順を繰り返すことで、4つの第2部分18が構成される。そして、4つの第2部分18が構成されることにより、周壁部14が構成され、その時点で容器10が完成する。
【0077】
以上のように、本発明の一つの実施形態では、短辺領域60を特に切断することなく上記の要領で短辺領域60を折り込むことによって厚壁部としての第2部分18を構成することができる。通常、厚壁部を構成するためにブランクの所定部分を切断して作成した容器に水を入れると、当該切断箇所から水が漏れる可能性があるが、上記の構成であれば、切断箇所がないため、容器10内の水が漏れるのを抑えることができる。
【0078】
また、突出領域68の差込み片70を第1曲げ部22及び第2曲げ部24の間に差し込むことにより、第2部分18を安定して保持することができる。詳しく説明すると、ブランク50をなす紙の反力を利用して、第2部分18を構成する第1隣接領域64、第2隣接領域66及び突出領域68が折り込まれた状態を維持することができる。この結果、短辺領域60を折り込むだけで第2部分18を簡単に構成し、その第2部分18を適切に保持することができる。
【0079】
なお、上記の構成では、差込み片70が、突出領域68の円周方向の他方側の端部に設けられており、容器10を作成する過程で、周方向の他方側から第1曲げ部22と第2曲げ部24との間に差し込まれることとした。ただし、これに限定されるものではなく、突出領域68の円周方向の一方側の端部に差込み片70が設けられてもよい。この場合、短辺領域60を折り曲げて第2部分18を構成する際には、内壁部20の外側で第2曲げ部24を内壁部20に重ね、第2曲げ部24の外側で第1曲げ部22を第2曲げ部24に重ねる。そして、差込み片70を、周方向の一方側から第2曲げ部24と第1曲げ部22との間に差し込むとよい。
【0080】
また、第2部分18を保持する手段としては、上記の差込み片70を用いる手段に限定されず、第2部分18を良好に保持可能であれば、他の手段を利用してもよい。例えば、突出領域68には差込み片70が設けられていない場合には、短辺領域60を折り込んで第2部分18を構築した後、周方向全範囲に亘って固定テープを周壁部14に、テープの接着面が各第2部分18の外壁部26に当たるように貼り付けることで第2部分18を保持してもよい。
【0081】
また、ブランク50は、短辺領域60に突出領域68が設けられていない構成、つまり、第1基部52と主第2基部56によって構成されたものでもよい。この場合、ブランク50を折り曲げて容器10を構成する場合には、短辺領域60を折り込んで第2部分18を構築した後、周方向全範囲に亘って固定テープを周壁部14に、テープの接着面が各第2部分18の第2曲げ部24に当たるように貼り付けることで第2部分18を保持してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 容器
12 底壁部
14 周壁部
16 第1部分
18 第2部分
20 内壁部
22 第1曲げ部
24 第2曲げ部
26 外壁部
30,32,34,36,38,40,42,44,46,48 折り曲げ線
50 ブランク(シート)
52 第1基部
54 第2基部
56 主第2基部
58 長辺領域
60 短辺領域
62 中央領域
64 第1隣接領域
66 第2隣接領域
68 突出領域
70 差込み片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12