(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101286
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240722BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240722BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240722BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L29/78 658F
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652K
H01L29/78 652Q
H01L29/78 658L
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005184
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 紘
(57)【要約】
【課題】特性変動および特性不良が発生することを抑制する。
【解決手段】半導体基板10を用意することと、半導体基板10の一面10a上に、コンタクトホール20が形成された層間絶縁膜19を配置することと、層間絶縁膜19上に第1主部用金属膜250を配置することと、第1主部用金属膜250を異方性エッチングし、側面211aが直線状部を有する第1主部211を構成することと、第1主部211上に、第2主部用金属膜260を配置することと、第1主部211の側面211aが露出するように第2主部用金属膜212を等方性エッチングし、側面212aが曲線状部を有する第2主部212を構成することと、外観検査機500を用いて第2主部212の表面212bの外観検査を行うことと、を行い、外観検査を行うことでは、第2主部212から第1主部211の表面211bが露出する場合に不良と判定する。
【選択図】
図4G
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(10)と、
前記半導体基板の一面(10a)上に形成され、前記一面の所定領域を露出させるコンタクトホール(20)が形成された層間絶縁膜(19)と、
前記層間絶縁膜上に形成され、前記コンタクトホールを通じて前記半導体基板と電気的に接続される電極(21)と、
前記電極上に配置されたニッケルを有するメッキ膜(400)と、を備え、
前記電極は、アルミニウム、またはアルミニウムに元素が添加されたアルミニウム合金で構成され、前記半導体基板側に配置される第1主部(211)と、前記第1主部上に配置される第2主部(212)と、を有し、
前記第1主部は、側面(211a)が前記半導体基板の面方向に対する法線方向に沿った直線状部を有し、
前記第2主部は、側面(212a)が曲線状部を有している半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板を用意することと、
前記半導体基板の一面上に、前記コンタクトホールが形成された前記層間絶縁膜を配置することと、
前記層間絶縁膜上に第1主部用金属膜(250)を配置することと、
前記第1主部用金属膜を異方性エッチングし、側面が前記直線状部を有する前記第1主部を構成することと、
前記第1主部上に、第2主部用金属膜(260)を配置することと、
前記第1主部の側面が露出するように前記第2主部用金属膜を等方性エッチングし、側面が前記曲線状部を有する前記第2主部を構成することと、
外観検査機(500)を用いて前記第2主部の表面(212b)の外観検査を行うことと、を行い、
前記外観検査を行うことでは、前記第2主部から前記第1主部の表面(211b)が露出する場合に不良と判定する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2主部を構成することでは、厚さ(d)が前記外観検査機の最低検出長さ(L)の半分より厚くされた前記第2主部を構成し、
前記外観検査を行うことでは、前記第2主部に形成された凹部(213)の直径(a)が前記最低検出長さ以上である場合に不良と判定する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体装置であって、
半導体基板(10)と、
前記半導体基板の一面(10a)上に形成され、前記一面の所定領域を露出させるコンタクトホール(20)が形成された層間絶縁膜(19)と、
前記層間絶縁膜上に形成され、前記コンタクトホールを通じて前記半導体基板と電気的に接続される電極(21)と、
前記電極上に配置されたニッケルを有するメッキ膜(400)と、を備え、
前記電極は、アルミニウム、またはアルミニウムに元素が添加されたアルミニウム合金で構成され、前記半導体基板側に配置される第1主部(211)と、前記第1主部上に配置される第2主部(212)と、を有し、
前記第1主部は、側面(211a)が前記半導体基板の面方向に対する法線方向に沿った直線状部を有し、
前記第2主部は、側面(212a)が曲線状部を有している半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板上に半導体基板と接続される電極が形成された半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板上に半導体基板と接続される電極が形成された半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistorの略)素子が形成され、半導体基板の一面側に、半導体基板を露出させるコンタクトホールが形成された層間絶縁膜が配置されている。層間絶縁膜上には、コンタクトホールを通じて半導体基板と接続される上部電極が配置されている。
【0003】
そして、この半導体装置は、上部電極にワイヤが接続されて外部部材との接続が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような半導体装置では、大電流にも適用できるように、上部電極にはんだを介して外部部材を配置する構成が検討されている。この場合、上部電極には、はんだとの接合性を向上させるため、ニッケルを含むメッキ膜が配置されることが好ましい。なお、上部電極は、金属膜がエッチング等でパターニングされることで形成される。
【0006】
しかしながら、上部電極をパターニングする際、上部電極には、エッチングによってクラックや凹み等の凹部が形成される可能性がある。そして、ニッケルを含むメッキ膜を配置する場合、上部電極に半導体基板や層間絶縁膜を露出させる凹部が形成されていると、メッキ液中のナトリウムイオンが凹部を通じて半導体基板に達することで特性変動が発生する可能性がある。また、凹部を通じて半導体基板や層間絶縁膜と接触するようにメッキ膜が配置された場合には、冷熱サイクル時の線膨張係数の差により、層間絶縁膜や半導体基板にクラックが発生し、電流リークや耐圧不良等の特性不良が発生する可能性がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、特性変動および特性不良が発生することを抑制できる半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1は、半導体基板(10)と、半導体基板の一面(10a)上に形成され、一面の所定領域を露出させるコンタクトホール(20)が形成された層間絶縁膜(19)と、層間絶縁膜上に形成され、コンタクトホールを通じて半導体基板と電気的に接続される電極(21)と、電極上に配置されたニッケルを有するメッキ膜(400)と、を備え、電極は、アルミニウム、またはアルミニウムに元素が添加されたアルミニウム合金で構成され、半導体基板側に配置される第1主部(211)と、第1主部上に配置される第2主部(212)と、を有し、第1主部は、側面(211a)が半導体基板の面方向に対する法線方向に沿った直線状部を有し、第2主部は、側面(212a)が曲線状部を有している半導体装置の製造方法であって、半導体基板を用意することと、半導体基板の一面上に、コンタクトホールが形成された層間絶縁膜を配置することと、層間絶縁膜上に第1主部用金属膜(250)を配置することと、第1主部用金属膜を異方性エッチングし、側面が直線状部を有する第1主部を構成することと、第1主部上に、第2主部用金属膜(260)を配置することと、第1主部の側面が露出するように第2主部用金属膜を等方性エッチングし、側面が曲線状部を有する第2主部を構成することと、外観検査機(500)を用いて第2主部の表面(212b)の外観検査を行うことと、を行い、外観検査を行うことでは、第2主部から第1主部の表面(211b)が露出する場合に不良と判定する。
【0009】
これによれば、第2主部が等方性エッチングで形成されるため、等方性エッチング時に形成され得る凹部が第1主部に到達し難くなる。このため、電極上にメッキ膜を配置する際、メッキ膜が凹部を通じて半導体基板や層間絶縁膜等に達し難くなる。このため、特性変動が発生することを抑制できると共に、特性不良が発生することを抑制できる。
【0010】
請求項3は、半導体装置であって、半導体基板(10)と、半導体基板の一面(10a)上に形成され、一面の所定領域を露出させるコンタクトホール(20)が形成された層間絶縁膜(19)と、層間絶縁膜上に形成され、コンタクトホールを通じて半導体基板と電気的に接続される電極(21)と、電極上に配置されたニッケルを有するメッキ膜(400)と、を備え、電極は、アルミニウム、またはアルミニウムに元素が添加されたアルミニウム合金で構成され、半導体基板側に配置される第1主部(211)と、第1主部上に配置される第2主部(212)と、を有し、第1主部は、側面(211a)が半導体基板の面方向に対する法線方向に沿った直線状部を有し、第2主部は、側面(212a)が曲線状部を有している。
【0011】
このような半導体装置は、上記の半導体装置の製造方法によって製造される。したがって、電極上に配置されたメッキ膜は、凹部を通じて半導体基板や層間絶縁膜等に達し難くなっており、特性変動が発生することを抑制できると共に、特性不良が発生することを抑制できる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における半導体装置の断面図である。
【
図3A】
図1に示す半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3B】
図3Aに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3C】
図3Bに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3D】
図3Cに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3E】
図3Dに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3F】
図3Eに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3G】
図3Fに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3H】
図3Gに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3I】
図3Hに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3J】
図3Iに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3K】
図3Jに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3L】
図3Kに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3M】
図3Lに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3N】
図3Mに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3O】
図3Nに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3P】
図3Oに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図3Q】
図3Pに続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4A】
図3Gに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4B】
図3Hに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4C】
図3Iに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4D】
図3Jに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4E】
図3Kに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4F】
図3Lに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4G】
図3Mに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図4H】
図3Mに対応する半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図5】ウェットエッチングと外観検査との関係をまとめた状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態における半導体装置の構成について、
図1および
図2を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両用の各種電子装置を駆動するための装置として適用されると好適である。以下、本実施形態では、nチャネルタイプのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略)が形成された半導体装置を例に挙げて説明する。
図1は、
図2中のI-I線に沿った断面図である。
図2は、後述する保護膜300を省略した平面図である。
【0016】
半導体装置は、半導体基板10を用いて構成されている。なお、半導体基板10は、シリコン基板、炭化珪素基板、または窒化ガリウム基板等を用いて構成される。半導体基板10は、n型のドリフト層11を有しており、ドリフト層11上に、比較的不純物濃度が低く設定されたp型のベース層12が配置されている。以下、半導体基板10のうちのベース層12側の面を半導体基板10の一面10aとし、半導体基板10のうちのドリフト層11側の面を他面10bとして説明する。
【0017】
半導体基板10には、一面10a側からベース層12を貫通してドリフト層11に達するように複数のトレンチ13が形成され、このトレンチ13によってベース層12が複数個に分離されている。なお、複数のトレンチ13は、半導体基板10の一面10aの面方向のうちの一方向(すなわち、
図1中紙面奥行き方向)を長手方向とし、各トレンチ13が等間隔にストライプ状となるように延設されている。
【0018】
各トレンチ13内は、絶縁膜14および電極15によって埋め込まれている。本実施形態の絶縁膜14は、トレンチ13の下方部分を覆うシールド絶縁膜14aと、トレンチ13の上方部分を覆うゲート絶縁膜14bとを有する構成とされている。
【0019】
そして、トレンチ13内には、絶縁膜14を介してドープトPoly-Siによって構成されたシールド電極15aおよびゲート電極15bが積層されている。つまり、本実施形態の半導体装置は、いわゆるダブルゲートを有する構成とされている。具体的には、シールド電極15aは、シールド絶縁膜14a上に配置され、ゲート電極15bは、ゲート絶縁膜14b上に配置されている。シールド電極15aは、後述する上部電極21に接続されることで、ゲート-ドレイン間の容量を小さくし、MOSFETの電気特性の向上を図るために形成されている。ゲート電極15bは、MOSFETのスイッチング動作を行うものであり、ゲート電圧印加時にトレンチ13の側面に接するベース層12にチャネル領域を形成する。
【0020】
また、シールド電極15aとゲート電極15bの間には中間絶縁膜16が形成されており、中間絶縁膜16によってシールド電極15aとゲート電極15bとが絶縁されている。以上のように、本実施形態では、トレンチ13、シールド絶縁膜14a、ゲート絶縁膜14b、シールド電極15a、ゲート電極15b、および中間絶縁膜16によってトレンチゲート構造が構成されている。そして、このトレンチゲート構造は、複数本が並べられることでストライプ状のレイアウトとされている。
【0021】
ベース層12の表層部には、n+型のソース領域17およびp型のコンタクト領域18が形成されている。具体的には、ソース領域17は、ドリフト層11よりも高不純物濃度で構成され、コンタクト領域18は、ベース層12よりも高不純物濃度で構成されている。そして、本実施形態では、ソース領域17は、トレンチ13の側面に接するように形成され、コンタクト領域18は、ソース領域17を挟んでトレンチ13と反対側に形成されている。なお、本実施形態では、ソース領域17が第1不純物領域を構成し、コンタクト領域18が第2不純物領域を構成する。
【0022】
半導体基板10の一面10a上には、層間絶縁膜19が形成されている。本実施形態では、層間絶縁膜19は、半導体基板10の一面10a側から、TEOS(Tetraethyl orthosilicateの略)膜で構成される第1層間絶縁膜19aと、PSG(Phosphorous Silicate Glass)膜で構成される第2層間絶縁膜19bとが順に積層されて構成されている。
【0023】
そして、層間絶縁膜19には、ソース領域17およびコンタクト領域18を露出させるコンタクトホール20が形成されている。層間絶縁膜19上には、コンタクトホール20を通じてソース領域17およびコンタクト領域18と電気的に接続される上部電極21が形成されている。なお、本実施形態では、ソース領域17およびコンタクト領域18が所定領域に相当する。
【0024】
以下、本実施形態の上部電極21の構成について具体的に説明する。本実施形態の上部電極21は、コンタクトホール20に配置されて半導体基板10と接続される接続部200と、層間絶縁膜19上に配置されて接続部200と接続される主部210とを有している。
【0025】
本実施形態の接続部200は、コンタクトホール20の壁面に沿って配置されるバリアメタル膜201と、バリアメタル膜201上に配置されてコンタクトホール20を埋め込む埋込部202とを有している。なお、バリアメタル膜201は、チタン等で構成され、埋込部202は、タングステンプラグ等で構成されている。
【0026】
主部210は、層間絶縁膜19上において、半導体基板10側に配置される第1主部211と、第1主部211上に配置される第2主部212とを有している。なお、第1主部211および第2主部212は、アルミニウム、またはアルミニウムに元素が添加されたアルミニウム合金で構成されている。アルミニウム合金としては、例えば、AlSi、AlCu、AlSiCu等が挙げられる。また、本実施形態の第1主部211および第2主部212は、それぞれ別の工程で形成される。このため、第1主部211と第2主部212との間には、視認可能な界面が構成されている。
【0027】
ここで、第1主部211は、具体的には後述するが、第1主部用金属膜250が配置された後に第1主部用金属膜250がドライエッチングでパターニングされることで形成される。このため、第1主部211は、側面211aが半導体基板10の面方向に対する法線方向に沿った直線状部を有する形状とされている。第2主部212は、具体的には後述するが、第2主部用金属膜260が配置された後に第2主部用金属膜260がウェットエッチングでパターニングされることで形成される。このため、第2主部212は、側面212aが曲線状部を有する形状とされている。なお、第1主部211の側面211aとは、半導体基板10の一面10a側の面と、第2主部212側の表面211bとを繋ぐ面のことである。第2主部212の側面212aとは、第1主部211側の面と、後述するメッキ膜400側の表面212bとを繋ぐ面のことである。
【0028】
また、第2主部212は、厚さdが、後述する外観検査機500の検出可能範囲における最低検出長さLの半分以上の厚さとされている。例えば、外観検査機500における最低検出長さが4μmである場合、第2主部212は、厚さdが2μm以上とされる。なお、外観検査機500における検出可能範囲は、例えば、矩形状であってもよいし、円形状であってもよい。
【0029】
また、層間絶縁膜19上には、ゲートパッド220や、ゲートパッド220とゲート電極15bとを接続するゲート配線221等も形成されている。なお、特に図示しないが、ゲート電極15bは、
図1とは別断面にて半導体基板10の一面10a上に引き出されてゲート配線221と接続されている。また、シールド電極15aは、
図1とは別断面にて半導体基板10の一面10a上に引き出されて上部電極21と接続されている。
【0030】
さらに、半導体基板10の一面10a上には、層間絶縁膜19、上部電極21、ゲート配線221等を覆いつつ、上部電極21の内縁部を露出させるコンタクトホール301が形成された保護膜300が形成されている。なお、特に図示しないが、保護膜300は、ゲートパッド220も覆うように形成されていると共に、ゲートパッド220の内縁部側を露出させるコンタクトホールが形成されている。また、保護膜300は、例えば、PIQ(Polyimide-isoindolo quinazolinedioneの略)等で構成される。
【0031】
そして、上部電極21のうちの保護膜300から露出する部分には、はんだとの接合性を向上させるためのメッキ膜400が配置されている。本実施形態のメッキ膜400は、例えば、上部電極21側からニッケル膜で構成される第1金属膜401、パラジウム膜で構成される第2金属膜402、金膜で構成される第3金属膜403が順に積層されて構成されている。つまり、メッキ膜400は、ニッケルを含んで構成されている。なお、メッキ膜400は、例えば、ニッケル膜で構成される第1金属膜401と、金膜で構成される第3金属膜403とが積層されて構成され、パラジウム膜で構成される第2金属膜402が配置されていなくてもよい。
【0032】
ドリフト層11のうちのベース層12側と反対側(すなわち、半導体基板10の他面10b側)には、n+型のドレイン層22が形成されている。そして、ドレイン層22を挟んでドリフト層11と反対側には、ドレイン層22と電気的に接続される下部電極23が形成されている。つまり、半導体基板10の他面10b上には、ドレイン層22と電気的に接続される下部電極23が形成されている。
【0033】
なお、下部電極23は、
図1では簡略化して示しているが、例えば、半導体基板10の他面10b側から、ニッケル膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜が順に積層されて構成される。また、本実施形態では、ドレイン層22が不純物層を構成し、下部電極23が第2電極に相当する。
【0034】
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。なお、本実施形態では、n型、n+型が第1導電型に相当し、p型が第2導電型に相当している。そして、このような半導体装置では、上記のように、ドレイン層22、ドリフト層11、ベース層12、ソース領域17、コンタクト領域18等を含んで半導体基板10が構成されている。
【0035】
次に、上記半導体装置の製造方法について、
図3A~
図3Qを参照しつつ説明する。
【0036】
まず、
図3Aに示されるように、所定の半導体製造プロセスを行い、ベース層12、ソース領域17、コンタクト領域18、トレンチゲート構造等が形成された半導体基板10を用意する。なお、ここでは、例えば、半導体基板10として、厚さが725μm程度のものが用意される。
【0037】
次に、
図3Bに示されるように、CVD(chemical vapor depositionの略)法等により、半導体基板10の一面10a上に、TEOS膜等で構成される第1層間絶縁膜19aおよびPSG膜等で構成される第2層間絶縁膜19bを順に配置して層間絶縁膜19を配置する。
【0038】
続いて、
図3Cに示されるように、層間絶縁膜19上に図示しないマスクを配置してドライエッチング等を行うことにより、層間絶縁膜19に、ソース領域17およびコンタクト領域18を露出させるコンタクトホール20を形成する。
【0039】
続いて、
図3Dに示されるように、蒸着法等により、コンタクトホール20の壁面に沿ってバリアメタル膜201を形成する。次に、コンタクトホール20を埋め込むように、CVD法によって埋込部202を形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishingの略)法等により、半導体基板10の一面10a上に形成されたバリアメタル膜201および埋込部202を構成するための金属膜を除去する。
【0040】
続いて、
図3Eに示されるように、CVD法等により、半導体基板10の一面10a上に、第1主部用金属膜250を配置する。なお、第1主部用金属膜250は、第1主部211を構成するためのものであり、アルミニウム、またはアルミニウムに元素が添加されたアルミニウム合金で構成されている。
【0041】
そして、
図3Fに示されるように、図示しないマスクを配置し、第1主部用金属膜250をパターニングして第1主部211およびゲート配線221を形成する。なお、第1主部211およびゲート配線221等を区画する部分は、微細加工が要求される部分であるため、第1主部用金属膜250をドライエッチングでパターニングして形成する。これにより、第1主部211の側面211aは、半導体基板10の面方向に対する法線方向に沿った直線状部を有する形状となる。なお、本実施形態では、ドライエッチングが異方性エッチングに相当している。
【0042】
次に、
図3Gに示されるように、第1主部211およびゲート配線221を覆うように第2主部用金属膜260を配置する。なお第2主部用金属膜260は、第2主部212を構成するためのものであり、アルミニウム、またはアルミニウムに元素が添加されたアルミニウム合金で構成されている。また、第2主部用金属膜260は、上記のように、第1主部211上に位置する部分の厚さdが、後述する外観検査機500の最低検出長さLの半分以上とされている。
【0043】
そして、
図3Hに示されるように、第2主部用金属膜260上にレジスト270を配置する。次に、
図3Iに示されるように、フォトマスク280を用いてレジスト270を露光し、
図3Jに示されるように、レジスト270を現像して所定形状にパターニングする。なお、ここでの所定形状とは、後述する第2主部用金属膜260をウェットエッチングにてパターニングした際において、第1主部211の側面211aが露出する形状である。
【0044】
続いて、
図3Kに示されるように、レジスト270をマスクとし、第1主部211の側面211aが露出するように、第2主部用金属膜260をウェットエッチングでパターニングして第2主部212を構成する。言いかえると、第2主部用金属膜260が第1主部211上にのみ残るように、第2主部用金属膜260をウェットエッチングでパターニングして第2主部212を構成する。これにより、第1主部211および第2主部212を有する主部210が構成される。なお、本実施形態では、ゲート配線221上に形成された第2主部用金属膜260も同時に除去されるが、ゲート配線221上に第2主部用金属膜260が残るようにしてもよい。つまり、ゲート配線221は、第1主部用金属膜250および第2主部用金属膜260が積層されて構成されていてもよい。但し、このような構成としても、上部電極21とゲート配線221とは絶縁された状態となるように、第1主部用金属膜250および第2主部用金属膜260がパターニングされる。また、本実施形態では、ウェットエッチングが等方性エッチングに相当している。
【0045】
その後、
図3Lに示されるように、アッシング処理等を行い、レジスト270を除去する。続いて、
図3Mに示されるように、外観検査機500を用いた外観検査により、第2主部212の表面212bを観察して良否判定を行う。なお、外観検査については、具体的に後述する。
【0046】
続いて、
図3Nに示されるように、保護膜300を形成し、上部電極21の内縁部側を露出させるコンタクトホール301を形成する。なお、
図3Nとは別断面では、ゲートパッド220を露出させるコンタクトホールも形成される。
【0047】
次に、
図3Oに示されるように、半導体基板10を他面10b側から研磨して所望の厚さにする。例えば、半導体基板10は、70μm程度に薄くされる。続いて、
図3Pに示されるように、半導体基板10の他面10b側からイオン注入等を行ってドレイン層22を形成する。その後、
図3Qに示されるように、スパッタリング等を行い、半導体基板10の他面10bに下部電極23を形成する。
【0048】
その後は特に図示しないが、上部電極21上にメッキ膜400を配置することにより、
図1に示す半導体装置が製造される。次に、外観検査について具体的に説明する。
【0049】
まず、第2主部用金属膜260を形成する際、
図4Aに示されるように、異物290が第2主部用金属膜260上に付着する可能性がある。この場合、
図4Bに示されるように、異物290によってレジスト270が適切に配置されない場合がある。そして、
図4Cに示されるように、この状態でフォトマスク280を用いて露光を行い、
図4Dに示されるように、レジスト270を現像すると、異物290が付着していた部分にレジスト270が配置されなくなる。つまり、第2主部用金属膜260には、予期していない部分がレジスト270から露出する不測露出領域Aが構成される。
【0050】
そして、
図4Eに示されるように、この状態で第2主部用金属膜260をウェットエッチングすると、不測露出領域Aもウェットエッチングされてしまい、第2主部212に曲面状の凹部213が形成される。なお、凹部213は、ウェットエッチングで形成されるため、平面形状が円状となると共に半導体基板10の厚さ方向に沿った断面が半円状となる。
【0051】
その後、
図4Fに示されるように、レジスト270を除去し、
図4Gおよび
図4Hに示されるように、外観検査機500を用いた外観検査を行うと、次のようになる。すなわち、凹部213は、
図4Gに示されるように、直径aが外観検査機500の最低検出長さLより長くなる場合と、
図4Hに示されるように、直径aが外観検査機500の最低検出長さLより短くなる場合がある。
【0052】
そして、
図4Gに示されるように、凹部213の直径aが最低検出長さLより長い場合には、外観検査機500で凹部213の存在を把握できる。したがって、良否判定では、不良と判定する。
【0053】
一方、
図4Hに示されるように、凹部213の直径aが最低検出長さLより短い場合には、外観検査機500で凹部213の存在を把握できないため、良否判定では、良と判定する。しかしながら、本実施形態では、第2主部212は、厚さdが最低検出長さLの半分以上とされている。このため、ウェットエッチングで第2主部212を形成した際、直径aが最低検出長さLより短い凹部213は、第1主部211を露出する深さとはならない。したがって、第2主部212上にメッキ膜400を配置したとしても、メッキ膜400が凹部213を通じて第1主部211、層間絶縁膜19、半導体基板10に達することを抑制できる。
【0054】
なお、第1主部用金属膜250を配置した際にも、第2主部用金属膜260を配置した際と同様に、異物が第1主部用金属膜250に付着する可能性がある。この場合、第1主部用金属膜250をパターニングした際、異物によって第1主部211にも上記凹部213と同様の凹部が形成される可能性がある。しかしながら、この凹部は、その後に配置される第2主部用金属膜260によって埋め込まれる。このため、第1主部用金属膜250に凹部が形成されたとしても、この凹部によるメッキ膜400との不具合は発生しない。
【0055】
また、第2主部用金属膜260をドライエッチングでパターニングすることも考えられるが、ドライエッチングでは凹部213のアスペクト比が大きくなり易く、凹部213の直径aが最低検出長さLより短くても、凹部213から第1主部211が露出する可能性がある。したがって、本実施形態では、等方性エッチングであるウェットエッチングを用いて第2主部用金属膜260をパターニングするようにしている。
【0056】
以上が本実施形態における半導体装置の製造方法である。そして、上記の製造方法におけるウェットエッチングと外観検査との関係を纏めると、
図5のようになる。
【0057】
すなわち、
図5に示されるように、第2主部212をウェットエッチングで形成し、凹部213の直径aが最低検出長さL未満であれば、外観検査機500で検出不可のため、良判定を行う。また、凹部213の直径aが最低検出長さL以上であれば、外観検査機500で検出可能のため、不良判定を行う。
【0058】
また、良判定を行ったということは、凹部213の直径aが外観検査機500の最低検出長さdより短いため、凹部213によって第1主部211の表面211bが露出されない。このため、その後にメッキ膜400を配置したとしても、ナトリウムイオンが第1主部211に達せず、半導体基板10にも達しない。したがって、ナトリウムイオンが絶縁膜14にも達せず、ナトリウムイオンによる特性変動が発生することを抑制でき、凹部213による影響無しとなる。また、メッキ膜400が層間絶縁膜19や半導体基板10と接するように配置されないため、冷熱サイクルによる応力が層間絶縁膜19、半導体基板10、ゲート絶縁膜14b等に印加されない。したがって、クラックが発生せず、リーク不良や耐圧不良等の特性不良が発生することを抑制でき、凹部213による影響無しとなる。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、主部210は、第1主部211と第2主部212とが積層されて構成されている。そして、第1主部211は側面211aが直線状部を有する形状とされ、第2主部212は側面212aが曲線状部を有する形状とされている。つまり、第1主部211がドライエッチングで形成され、第2主部212がウェットエッチングで形成されている。このため、まず、第1主部211がドライエッチングで形成されるため、微細化に対応し易くできる。また、第2主部212がウェットエッチングで形成されるため、ウェットエッチング時に形成され得る凹部213が第1主部211に到達し難くなり、メッキ膜400が凹部213を通じて半導体基板10や層間絶縁膜19等に達し難くなる。このため、特性変動が発生することを抑制できると共に、特性不良が発生することを抑制できる。
【0060】
(1)本実施形態では、第2主部212は、厚さdが最低検出長さLの半分より厚くされている。このため、ウェットエッチング時に凹部213が形成され、この凹部213が外観検査で検出できないものであるとしても、凹部213によって第1主部211が露出することを抑制できる。したがて、メッキ膜400が凹部213を通じて半導体基板10や層間絶縁膜19等に達することをさらに抑制できる。
【0061】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0062】
例えば、上記第1実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたnチャネルタイプのトレンチゲート構造のMOSFETを例に挙げて説明した。しかしながら、半導体装置は、例えば、nチャネルタイプに対して各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプのトレンチゲート構造のMOSFETが形成されて構成されていてもよい。さらに、半導体装置は、MOSFET以外に、同様の構造のIGBTが形成された構成とされていてもよい。IGBTの場合、上記第1実施形態におけるn+型のドレイン層22をp+型のコレクタ層に変更する以外は、上記第1実施形態で説明したMOSFETと同様である。さらに、半導体装置は、ダイオード等が形成された構成とされていてもよい。
【0063】
また、上記第1実施形態では、トレンチゲート構造がダブルゲートを有する例について説明したが、トレンチゲート構造は、シールド電極15a等を備えない構成とされていてもよい。
【0064】
さらに、上記第1実施形態では、第1主部211上に第2主部212が直接配置されている例を説明したが、第1主部211と第2主部212との間に別の層が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 半導体基板
10a 一面
21 上部電極
211 第1主部
211a 側面
212 第2主部
212a 側面
212b 表面
250 第1主部用金属膜
260 第2主部用金属膜
500 外観検査機