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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101287
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電力増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/21 20060101AFI20240722BHJP
   H03F 3/19 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H03F3/21
H03F3/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005186
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】駒村 優作
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AA62
5J500AA67
5J500AC02
5J500AC56
5J500AC86
5J500AH02
5J500AH33
5J500AK12
5J500AK29
5J500AM08
5J500AQ02
5J500AQ03
(57)【要約】
【課題】増幅特性の劣化及び信頼性の低下を抑制するとともに、サイズを小さくすることが可能な電力増幅装置を提供する。
【解決手段】電力増幅装置は、並列に接続された複数の第1単位トランジスタであって、無線周波数信号を増幅して出力するように構成された複数の第1単位トランジスタと、並列に接続された複数の第2単位トランジスタであって、前記複数の前記第1単位トランジスタの出力信号を増幅して出力するように構成された複数の第2単位トランジスタと、を備え、前記第1単位トランジスタのサイズは、前記第2単位トランジスタのサイズより小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数の第1単位トランジスタであって、無線周波数信号を増幅して出力するように構成された複数の第1単位トランジスタと、
並列に接続された複数の第2単位トランジスタであって、前記複数の前記第1単位トランジスタの出力信号を増幅して出力するように構成された複数の第2単位トランジスタと、を備え、
前記第1単位トランジスタのサイズは、前記第2単位トランジスタのサイズより小さい、
電力増幅装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力増幅装置であって、
前記複数の前記第1単位トランジスタは、A級動作をする、
電力増幅装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力増幅装置であって、
前記複数の前記第2単位トランジスタは、F級動作又は逆F級動作をする、
電力増幅装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電力増幅装置であって、
前記電力増幅装置は、
第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向により規定される平面に平行な主面を有し、前記第1方向に沿って前記複数の前記第1単位トランジスタが形成された半導体チップと、
前記複数の前記第1単位トランジスタのエミッタ電極に電気的に接続され、前記第1方向及び前記第2方向と交わる第3方向に沿って前記半導体チップを平面視したときに、前記エミッタ電極と重なるストライプバンプと、をさらに備える、
電力増幅装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力増幅装置であって、
前記電力増幅装置は、
前記ストライプバンプを間に挟んで前記半導体チップが設けられる基板をさらに備え、
前記基板は、
前記基板の少なくとも一部を貫通するビアと、
前記ビアを通じて前記ストライプバンプに電気的に接続される電極と、を含む、
電力増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の増幅段で構成され、各増幅段の間にインピーダンス整合回路が接続される高周波電力増幅回路がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―150676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の高周波電力増幅回路では、初段の増幅段及び終段の増幅段はそれぞれFET(電界効果型トランジスタ)により構成されるが、FETで発生した熱の排熱が考慮されていない。このため、大電力の増幅信号を得ようとすると、FETの温度上昇によってFETの利得が低下したり、集積回路の信頼性が劣化したりする。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、増幅特性の劣化及び信頼性の低下を抑制するとともに、サイズを小さくすることが可能な電力増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電力増幅装置は、並列に接続された複数の第1単位トランジスタであって、無線周波数信号を増幅して出力するように構成された複数の第1単位トランジスタと、並列に接続された複数の第2単位トランジスタであって、前記複数の前記第1単位トランジスタの出力信号を増幅して出力するように構成された複数の第2単位トランジスタと、を備え、前記第1単位トランジスタのサイズは、前記第2単位トランジスタのサイズより小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、増幅特性の劣化及び信頼性の低下を抑制するとともに、サイズを小さくすることが可能な電力増幅装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電力増幅回路101の回路図である。
図2図2は、電力増幅装置11のyz面に平行な断面を模式的に示す図である。
図3図3は、電力増幅装置11に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。
図4図4は、単位トランジスタ251を上側から拡大して見た平面図である。
図5図5は、単位トランジスタ251の第1変形例である単位トランジスタ251aを上側から拡大して見た平面図である。
図6図6は、単位トランジスタ251の第2変形例である単位トランジスタ251bを上側から拡大して見た平面図である。
図7図7は、単位トランジスタ251の第3変形例である単位トランジスタ251cを上側から拡大して見た平面図である。
図8図8は、電力増幅装置12のyz面に平行な断面を模式的に示す図である。
図9図9は、電力増幅装置12に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。
図10図10は、電力増幅装置13に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。
図11図11は、電力増幅装置14に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を極力省略する。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る電力増幅回路101及び電力増幅装置11について説明する。図1は、電力増幅回路101の回路図である。図1に示すように、電力増幅回路101は、入力端子31に供給される信号RF1を増幅して、増幅信号RF3を出力端子32から出力する2段の増幅回路である。信号RF1は、例えば無線周波数(Radio Frequency)信号である。出力端子32の後段には、アンテナ等の負荷(図示しない)が接続される。
【0011】
電力増幅回路101は、入力整合回路20と、段間整合回路21と、出力整合回路22と、インダクタ26及び36と、ドライバ段増幅器51と、パワー段増幅器52と、ドライバ段バイアス供給回路151と、パワー段バイアス供給回路161と、を備える。
【0012】
ドライバ段増幅器51は、並列に接続された複数の単位トランジスタ251(第1単位トランジスタ)を含む。パワー段増幅器52は、並列に接続された複数の単位トランジスタ252(第2単位トランジスタ)を含む。単位トランジスタ251の個数は、単位トランジスタ252の個数と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0013】
本実施形態においては、単位トランジスタ251及び252などのトランジスタは、例えばヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタによって構成される。なお、当該トランジスタは、電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-oxide-semiconductor Field-Effect Transistor)等の他のトランジスタによって構成されていてもよい。その場合、ベース、コレクタ、及びエミッタを、それぞれ、ゲート、ドレイン、及びソースに読み替えればよい。
【0014】
ドライバ段増幅器51に含まれる複数の単位トランジスタ251は、入力整合回路20を通じて入力端子31から供給される信号RF1を増幅し、増幅信号RF2を出力する。
【0015】
詳細には、入力整合回路20は、入力端子31とドライバ段増幅器51との間に設けられ、入力端子31の前段に設けられる回路(図示しない)とドライバ段増幅器51とのインピーダンスを整合する。
【0016】
電源電圧供給端子175は、ドライバ段増幅器51における複数の単位トランジスタ251を動作させるための電源電圧VCC1を供給する。
【0017】
複数の単位トランジスタ251の各々は、インダクタ26を通じて電源電圧供給端子175に接続され、かつ、段間整合回路21の入力端子に接続されたコレクタと、入力整合回路20を通じて入力端子31に接続されたベースと、接地に接続されたエミッタと、を有する。
【0018】
具体的には、ドライバ段増幅器51において、複数の単位トランジスタ251のそれぞれのベースは、互いに接続され、かつ、入力端子31(或いは、ドライバ段増幅器51の入力)に接続されている。また、ドライバ段増幅器51において、複数の単位トランジスタ251のそれぞれのコレクタは、互いに接続され、かつ、段間整合回路21の入力端子(或いは、ドライバ段増幅器51の出力)に接続されている。さらに、ドライバ段増幅器51において、複数の単位トランジスタ251のそれぞれのエミッタは、互いに接続され、かつ、接地に接続されている。つまり、複数の単位トランジスタ251は、互いに並列に接続されている。
【0019】
ドライバ段バイアス供給回路151は、ドライバ段増幅器51における複数の単位トランジスタ251の各々のベースにバイアスを供給する。詳細には、ドライバ段バイアス供給回路151は、例えば、複数の単位トランジスタ251がA級動作するバイアスを供給する。
【0020】
段間整合回路21は、ドライバ段増幅器51の出力に接続された入力端子と、パワー段増幅器52の入力に接続された出力端子と、を有し、ドライバ段増幅器51とパワー段増幅器52とのインピーダンスを整合する。
【0021】
パワー段増幅器52に含まれる複数の単位トランジスタ252は、段間整合回路21を通じてドライバ段増幅器51から供給される増幅信号RF2(出力信号)を増幅し、増幅信号RF3を、出力整合回路22を通じて出力端子32へ出力する。
【0022】
詳細には、電源電圧供給端子176は、パワー段増幅器52における複数の単位トランジスタ252を動作させるための電源電圧VCC2を供給する。
【0023】
複数の単位トランジスタ252の各々は、インダクタ36を通じて電源電圧供給端子176に接続され、かつ、出力整合回路22を通じて出力端子32に接続されたコレクタと、段間整合回路21を通じて複数の単位トランジスタ251のコレクタに接続されたベースと、接地に接続されたエミッタと、を有する。
【0024】
具体的には、パワー段増幅器52において、複数の単位トランジスタ252のそれぞれのベースは、互いに接続され、かつ、段間整合回路21の出力端子(或いは、パワー段増幅器52の入力)に接続されている。また、パワー段増幅器52において、複数の単位トランジスタ252のそれぞれのコレクタは、互いに接続され、かつ、出力端子32(或いは、パワー段増幅器52の出力)に接続されている。さらに、パワー段増幅器52において、複数の単位トランジスタ252のそれぞれのエミッタは、互いに接続され、かつ、接地に接続されている。つまり、複数の単位トランジスタ252は、互いに並列に接続されている。
【0025】
パワー段バイアス供給回路161は、パワー段増幅器52における複数の単位トランジスタ252の各々のベースにバイアスを供給する。
【0026】
各図面には、x軸、y軸及びz軸を示すことがある。x軸、y軸及びz軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、x軸の矢印方向をx軸+側、矢印とは逆方向をx軸-側と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。なお、z軸+側及びz軸-側を、それぞれ「上側」及び「下側」と呼ぶこともある。また、z軸方向を「積層方向」と呼ぶこともある。また、x軸、y軸又はz軸にそれぞれ直交する面を、yz面、zx面又はxy面と呼ぶことがある。ここで、上側から下側を見て時計回りに回転する方向を時計方向cwと定義する。また、上側から下側を見て反時計回りに回転する方向を反時計方向ccwと定義する。
【0027】
図2は、電力増幅装置11のyz面に平行な断面を模式的に示す図である。図2に示すように、電力増幅装置11は、半導体チップ211と、モジュール基板311と、実装部品411と、封止樹脂441と、を備える。半導体チップ211は、ドライバ段増幅器発熱部211bと、パワー段増幅器発熱部211cと、ストライプバンプ421及び422と、を含む。
【0028】
モジュール基板311は、例えば、z軸方向に誘電体層及び配線層が積層された積層基板である。モジュール基板311は、ビア321及び322と、モジュール裏面電極331及び332と、を含む。
【0029】
モジュール基板311は、ストライプバンプ421及び422を間に挟んで半導体チップ211が設けられる。詳細には、半導体チップ211は、半導体チップ211の上側の面(以下、主面211aと称することがある。)がモジュール基板311と対向するように、ストライプバンプ421及び422を通じてモジュール基板311の下側の面にフリップチップ接続される。
【0030】
モジュール裏面電極331及び332は、モジュール基板311の上側の面から露出する電極である。モジュール裏面電極331及び332は、例えば、基準電位が供給される電極、言い換えると接地に接続された電極である。
【0031】
また、モジュール裏面電極331及び332は、半導体チップ211におけるドライバ段増幅器発熱部211b及びパワー段増幅器発熱部211cにおいて発生した熱をそれぞれ放熱するヒートシンクとしても機能する。
【0032】
ビア321及び322は、z軸方向と略平行に延び、モジュール基板311を貫通する。ビア321及び322の上側の端面は、それぞれモジュール裏面電極331及び332に接続される。ビア321及び322の下側の端面は、それぞれストライプバンプ421及び422に接続される。
【0033】
モジュール基板311の下側の面には実装部品411が取り付けられる。また、モジュール基板311の下側の面には、半導体チップ211及び実装部品411を覆うように封止樹脂441が設けられる。
【0034】
図3は、電力増幅装置11に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。図4は、単位トランジスタ251を上側から拡大して見た平面図である。図5は、単位トランジスタ251の第1変形例である単位トランジスタ251aを上側から拡大して見た平面図である。図6は、単位トランジスタ251の第2変形例である単位トランジスタ251bを上側から拡大して見た平面図である。図7は、単位トランジスタ251の第3変形例である単位トランジスタ251cを上側から拡大して見た平面図である。
【0035】
図2図7に示すように、半導体チップ211の主面211aには、複数の単位トランジスタ251と、整合回路領域261と、複数の単位トランジスタ252と、が設けられる。
【0036】
半導体チップ211の主面211a側には、x軸方向(第1方向)に沿って複数の単位トランジスタ251が形成される。本実施形態では、6個の単位トランジスタ251がx軸方向に略平行に形成される。なお、半導体チップ211の主面211a側には、2個以上5個以下又は7個以上の単位トランジスタ251が形成されてもよい。
【0037】
図4に示す単位トランジスタ251は、1つのベース電極251Bと、2つのコレクタ電極251Cと、2つのエミッタ電極251Eと、を含む。単位トランジスタ251は、ドライバ段増幅器51を構成する最小のトランジスタとして定義される。
【0038】
各単位トランジスタ251は、並列に接続される。詳細には、複数の単位トランジスタ251の各々のベース電極251Bは、配線等(図示しない)によって互いに電気的に接続される。複数の単位トランジスタ251の各々のエミッタ電極251Eは、配線等(図示しない)によって互いに電気的に接続される。複数の単位トランジスタ251の各々のコレクタ電極251Cは、前段コレクタ配線231によって互いに電気的に接続される。
【0039】
ドライバ段増幅器51に含まれる単位トランジスタ251の個数は、ベース電極251Bの個数によって定まる。つまり、単位トランジスタ251は、ベース電極251Bを1つだけ含む。
【0040】
単位トランジスタ251は、例えば、下側から上側に向かってコレクタ層、ベース層及びエミッタ層の順に半導体チップ211の主面211aに向かって積層された基部をさらに含む。また、単位トランジスタ251では、コレクタ電極251C、ベース電極251B、及びエミッタ電極251Eは、例えば、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層のそれぞれと電気的に接続され、かつ、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層のそれぞれの上側に設けられる。
【0041】
単位トランジスタ251を上側から見たときに、ベース電極251B及び2つのエミッタ電極251Eは、2つのコレクタ電極251Cの間に設けられる。
【0042】
互いに隣り合う2つの単位トランジスタ251においては、コレクタ電極251Cが共有される。詳細には、x軸-側に位置する単位トランジスタ251におけるx軸+側のコレクタ電極251Cと、x軸+側に位置する単位トランジスタ251におけるx軸-側のコレクタ電極251Cとは、これら2つの単位トランジスタ251において共有される。
【0043】
図5に示す単位トランジスタ251aは、1つのベース電極251Bと、2つのコレクタ電極251Cと、1つのエミッタ電極251Eと、を含む。
【0044】
図6に示す単位トランジスタ251bは、1つのベース電極251Bと、2つのコレクタ電極251Cと、2つのエミッタ電極251Eと、を含む。単位トランジスタ251と、単位トランジスタ251bとは、ベース電極251Bの形状が異なる。具体的に、単位トランジスタ251bにおけるベース電極251BはT字形状であり、単位トランジスタ251におけるベース電極251Bは概ねW字形状である。
【0045】
図7に示す単位トランジスタ251cは、1つのベース電極251Bと、2つのコレクタ電極251Cと、3つのエミッタ電極251Eと、を含む。単位トランジスタ251と、単位トランジスタ251cとは、ベース電極251Bの形状が異なり、かつ、エミッタ電極251Eの個数が異なる。
【0046】
ストライプバンプ421は、z軸方向(第3方向)に沿って半導体チップ211を平面視したときに、複数の単位トランジスタ251のエミッタ電極251Eと重なる。
【0047】
本実施形態では、ストライプバンプ421は、x軸方向に沿って延びる形状を有し、単位トランジスタ251のy軸方向(第2方向)の幅より大きい幅を有する。z軸方向に沿って半導体チップ211を平面視したときに、ストライプバンプ421の外形の内側に、複数の単位トランジスタ251が位置する。
【0048】
ストライプバンプ421は、複数の単位トランジスタ251のエミッタ電極251Eに電気的に接続される。本実施形態では、ストライプバンプ421は、エミッタ電極251Eの上側に形成されたエミッタ配線(図示しない)を通じて複数の単位トランジスタ251のエミッタ電極251Eに電気的に接続される。
【0049】
ストライプバンプ421は、ビア321を通じてモジュール裏面電極331に電気的に接続される(図2参照)。例えば、単位トランジスタ251におけるエミッタ層は、ドライバ段増幅器発熱部211bに相当する。
【0050】
つまり、複数の単位トランジスタ251の各々において、エミッタ層から発生した熱を、エミッタ電極251E、ストライプバンプ421、及びビア321を通じてモジュール裏面電極331に移動させやすくすることができる。モジュール裏面電極331では、ドライバ段増幅器発熱部211bから移動してきた熱が放熱される。
【0051】
半導体チップ211の主面211a側には、複数の単位トランジスタ251のy軸-側において、x軸方向に沿って複数の単位トランジスタ252が形成される(図3参照)。本実施形態では、11個の単位トランジスタ252が形成される。なお、半導体チップ211の主面211a側には、2個以上10個以下又は12個以上の単位トランジスタ252が形成されてもよい。
【0052】
単位トランジスタ252は、1つのベース電極252Bと、2つのコレクタ電極252Cと、エミッタ電極252Eと、を含む。単位トランジスタ252は、パワー段増幅器52を構成する最小のトランジスタとして定義される。
【0053】
各単位トランジスタ252は、並列に接続される。詳細には、複数の単位トランジスタ252のベース電極252Bの各々は、後段ベース配線232によって互いに電気的に接続される。複数の単位トランジスタ252のエミッタ電極252Eの各々は、配線等(図示しない)によって互いに電気的に接続される。複数の単位トランジスタ252のコレクタ電極252Cの各々は、後段コレクタ配線233によって互いに電気的に接続される。
【0054】
パワー段増幅器52に含まれる単位トランジスタ252の個数は、ベース電極252Bの個数によって定まる。つまり、単位トランジスタ252は、ベース電極252Bを1つだけ含む。
【0055】
単位トランジスタ252は、例えば、下側から上側に向かってコレクタ層、ベース層及びエミッタ層の順に半導体チップ211の主面211aに向かって積層された基部をさらに含む、また、単位トランジスタ252では、コレクタ電極252C、ベース電極252B、及びエミッタ電極252Eは、例えば、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層のそれぞれと電気的に接続され、かつ、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層のそれぞれの上側に設けられる。
【0056】
単位トランジスタ251のサイズは、単位トランジスタ252のサイズより小さい。ここで、単位トランジスタ251のサイズとは、例えば、エミッタ電極251Eの断面の面積であって、エミッタ電流が流れる方向と略垂直な断面の面積である。本実施形態では、単位トランジスタ251のサイズは、z軸方向に沿って半導体チップ211を平面視したときの2つのエミッタ電極251Eの面積の和である。
【0057】
単位トランジスタ252のサイズは、単位トランジスタ251のサイズと同様に、z軸方向に沿って半導体チップ211を平面視したときの2つのエミッタ電極252Eの面積の和である。
【0058】
単位トランジスタ252は、サイズが異なるが、単位トランジスタ251と同様の形状を有する。なお、単位トランジスタ252の形状が単位トランジスタ251の形状と異なってもよい。例えば、単位トランジスタ252は、単位トランジスタ251a、251b又は251cと同様の形状を有してもよい。
【0059】
ストライプバンプ422は、x軸方向に沿って延びる形状を有し、単位トランジスタ252のy軸方向の幅より大きい幅を有する。z軸方向に沿って半導体チップ211を平面視したときに、ストライプバンプ422の外形の内側に、複数の単位トランジスタ252が位置する。
【0060】
ストライプバンプ422は、エミッタ電極252Eの上側に形成されたエミッタ配線(図示しない)を通じて複数の単位トランジスタ252のエミッタ電極252Eに電気的に接続される。
【0061】
ストライプバンプ422は、ビア322を通じてモジュール裏面電極332に電気的に接続される(図2参照)。例えば、単位トランジスタ252におけるエミッタ層は、パワー段増幅器発熱部211cに相当する。
【0062】
つまり、複数の単位トランジスタ252の各々において、エミッタ層から発生した熱を、エミッタ電極252E、ストライプバンプ422及びビア322を通じてモジュール裏面電極332に移動させやすくすることができる。モジュール裏面電極332では、パワー段増幅器発熱部211cから移動してきた熱が放熱される。
【0063】
前段コレクタ配線231と後段ベース配線232との間には、段間整合回路21が電気的に接続される。段間整合回路21に含まれる各部品の少なくとも一部(図示しない)は、複数の単位トランジスタ251と、複数の単位トランジスタ252との間に位置する整合回路領域261に設けられる。
【0064】
複数の単位トランジスタ251、複数の単位トランジスタ252及び整合回路領域261は、例えば、yz面と平行な対称面SPに対して略対称に形成される。
【0065】
複数の単位トランジスタ251が形成される領域のx軸方向の大きさは、複数の単位トランジスタ252が形成される領域のx軸方向の大きさより小さい。このため、整合回路領域261の形状は、y軸+側及びy軸-側がそれぞれ短い底辺及び長い底辺となる台形である。
【0066】
整合回路領域261のy軸+側の短い底辺は、頂点261aと、頂点261bと、を結ぶ辺である。ここで、頂点261aは、前段コレクタ配線231のx軸-側かつy軸-側の角に位置する。頂点261bは、前段コレクタ配線231のx軸+側かつy軸-側の角に位置する。なお、ここでいう「角」とは端部であればよく、必ずしも角度を有している必要はない。具体的に、前段コレクタ配線231のx軸-側(或いは、x軸+側)かつy軸-側の端部の外縁が角を有していない曲線形状になっていた場合、当該端部の外縁のうち最も外側に張り出している点が頂点261a、或いは、頂点261bとなる。
【0067】
整合回路領域261のy軸-側の長い底辺は、頂点261cと、頂点261dと、を結ぶ辺である。ここで、頂点261cは、最もx軸+側の単位トランジスタ252のコレクタ層に接続された外側のコレクタ電極252Cにおけるx軸+側かつy軸+側の角に位置する。頂点261dは、最もx軸-側の単位トランジスタ252のコレクタ層に接続された外側のコレクタ電極252Cにおけるx軸-側かつy軸+側の角に位置する。なお、ここでいう「角」とは端部であればよく、必ずしも角度を有している必要はない。具体的に、コレクタ電極252Cのx軸+側(或いは、x軸-側)かつy軸+側の端部の外縁が角を有していない曲線形状になっていた場合、当該端部の外縁のうち最も外側に張り出している点が頂点261c、或いは、頂点261dとなる。
【0068】
すなわち、整合回路領域261は、頂点261a、261b、261c及び261dによって定まる台形に含まれる。整合回路領域261におけるy軸-側の長い底辺の両端の角度α及びβは、45度以上90度以下が好ましい。
【0069】
詳細には、パワー段増幅器52のサイズは、電力増幅回路101としての出力電力に応じて決定される。ドライバ段増幅器51のサイズは、パワー段増幅器52の利得を考慮して設定されるが、一般的にパワー段増幅器52のサイズは、ドライバ段増幅器51のサイズと比べて十分に大きい。
【0070】
このため、仮に、単位トランジスタ251のサイズを単位トランジスタ252のサイズと同じにした場合、パワー段増幅器52における複数の単位トランジスタ252が設けられる領域のx軸方向の大きさが、ドライバ段増幅器51における複数の単位トランジスタ251が設けられる領域のx軸方向の大きさより十分大きくなる。
【0071】
この場合、整合回路領域261における角度α及びβが、図3に示す角度より小さくなり、単位トランジスタ251と単位トランジスタ252との間の距離のばらつきが大きくなる。
【0072】
すなわち、対称面SPの近傍に位置する単位トランジスタ251及び252の間の距離と、x軸+側又はx軸-側の端に位置する単位トランジスタ251及び252の間の距離と、が大きく異なる。このため、対称面SPの近傍で伝送される信号と、x軸+側又はx軸-側の端の近傍で伝送される信号との間で位相差が大きくなるので、インピーダンスの整合が困難となる。
【0073】
これに対して、単位トランジスタ251のサイズを単位トランジスタ252のサイズより小さくし、小サイズによるドライバ段増幅器51の出力電力の低下を補うために単位トランジスタ251の個数を増加させる構成により、ドライバ段増幅器51における複数の単位トランジスタ251が設けられる領域のx軸方向の大きさを大きくすることができるので、角度α及びβを大きくすることができる。
【0074】
これにより、対称面SPの近傍で伝送される信号と、x軸+側又はx軸-側の端の近傍で伝送される信号との間の位相差を小さくすることができるので、インピーダンスの整合を簡易にすることができる。
【0075】
また、単位トランジスタ251のサイズを単位トランジスタ252のサイズより小さくする構成により、個々の発熱部(エミッタ電極251Eに接続されたエミッタ層)のサイズ(発熱部のy軸方向に沿った大きさ)を小さくする代わりに個数(発熱部がx軸方向に並ぶ数)を増やすことができる。
【0076】
詳細には、単位トランジスタ251の各エミッタ層の面積を足し合わせた総面積は、ドライバ段増幅器51に必要な出力電力に応じて決まる。つまり、ドライバ段増幅器51に必要な利得が予め決まっている場合、ドライバ段増幅器51を構成する単位トランジスタ251のサイズを小さくすると、当該単位トランジスタ251の個数を増やす必要がある。
【0077】
上記のように、個々の発熱部の面積を小さくし、かつ、発熱部の個数を増加した場合、発熱部がストライプバンプ421が配置される領域に、より分散して配置されるため、ドライバ段増幅器51の全体から発生する熱を、点在する複数の発熱部からそれぞれ小さく分割して発生させることができるので、熱の集中を緩和し、ドライバ段増幅器51において発生した熱を効果的に逃がすことが可能となる。これにより、発熱部の温度上昇すなわち単位トランジスタ251の温度上昇を抑制することができる。従って、電力増幅装置11に関して、特に比較的大きな出力電力が必要となるA級動作を行うドライバ段増幅器51を備える構成においても、熱による増幅特性の劣化及び信頼性の劣化を抑制することができる。
【0078】
さらに、前述のとおり、パワー段増幅器52に必要な出力電力(サイズ)を考慮すると、単位トランジスタ252のサイズを単位トランジスタ251のサイズと同じにした場合、パワー段増幅器52のx軸方向に占める大きさが、ドライバ段増幅器51のx軸方向の大きさより十分大きくなってしまう。従って、単位トランジスタ252のサイズを単位トランジスタ251のサイズに比べて大きくする構成により、パワー段増幅器52のx軸方向の占有面積が過剰に増加することを防ぎ、電力増幅装置11の小型化を実現することができる。
【0079】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る電力増幅装置12について説明する。第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0080】
図8は、電力増幅装置12のyz面に平行な断面を模式的に示す図である。図9は、電力増幅装置12に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。図8及び図9に示すように、第2実施形態に係る電力増幅装置12は、ボンディングワイヤによって半導体チップ211とモジュール基板311とが電気的に接続される点で第1実施形態に係る電力増幅装置11と異なる。
【0081】
電力増幅装置12では、半導体チップ211は、主面211aが下側に向いた状態で接着層451によってモジュール基板311に取り付けられる。半導体チップ211とモジュール基板311とは、ボンディングワイヤ431を通じて電気的に接続される。
【0082】
モジュール裏面電極331及びビア321は、電力増幅装置12をz軸方向に沿って平面視したときに、ドライバ段増幅器発熱部211bと重なるように設けられる。
【0083】
これにより、ドライバ段増幅器発熱部211bにおいて発生した熱を、半導体チップ211、接着層451及びビア321を通じてモジュール裏面電極331に移動させやすくすることができる。モジュール裏面電極331では、ドライバ段増幅器発熱部211bから移動してきた熱が放熱される。
【0084】
モジュール裏面電極332及びビア322は、電力増幅装置12をz軸方向に沿って平面視したときに、パワー段増幅器発熱部211cと重なるように設けられる。
【0085】
これにより、パワー段増幅器発熱部211cにおいて発生した熱を、半導体チップ211、接着層451及びビア322を通じてモジュール裏面電極332に移動させやすくすることができる。モジュール裏面電極332では、パワー段増幅器発熱部211cから移動してきた熱が放熱される。
【0086】
また、ドライバ段増幅器発熱部211b及びパワー段増幅器発熱部211cにおいて発生した熱は、封止樹脂441を通じても放熱される。
【0087】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る電力増幅装置13について説明する。図10は、電力増幅装置13に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。図10に示すように、第3実施形態に係る電力増幅装置13は、パワー段増幅器52がF級動作又は逆F級動作する点で第1実施形態に係る電力増幅装置11と異なる。
【0088】
電力増幅装置13では、複数の単位トランジスタ252は、F級動作又は逆F級動作する。詳細には、パワー段増幅器52の負荷インピーダンスを制御し、瞬時電流が存在しているときには瞬時電圧が存在せず、かつ、瞬時電圧が存在しているときには瞬時電流が存在しないという条件を実現することで、パワー段増幅器52が理想的にF級動作又は逆F級動作する。
【0089】
パワー段増幅器52にF級動作をさせる場合、パワー段増幅器52の出力端子から見た負荷インピーダンスが、偶数次高調波でショートとなり、かつ、奇数次高調波でオープンとなるように出力整合回路22を設計する必要がある。
【0090】
一方、パワー段増幅器52に逆F級動作をさせる場合、パワー段増幅器52の出力端子から見た負荷インピーダンスが、偶数次高調波でオープンとなり、かつ、奇数次高調波でショートとなるように出力整合回路22を設計する必要がある。
【0091】
本実施形態では、複数の単位トランジスタ252の各々のコレクタ電極252Cに接続された後段コレクタ配線233の近傍に、出力整合回路22に含まれるインダクタ及びキャパシタとしてそれぞれ機能する部品を設けることで、高調波の周波数帯の負荷インピーダンス制御が行われる。
【0092】
具体的には、インダクタ電極234a及び234bは、複数の単位トランジスタ252のx軸-側及びx軸+側にそれぞれ設けられる。
【0093】
インダクタ電極234aは、最もx軸-側の単位トランジスタ252のコレクタ層に接続された外側のコレクタ電極252Cのx軸-側の端部に接続された第1端と、第2端と、を有する。インダクタ電極234aは、第1端から第2端まで、xy面内において反時計方向ccwへ1/4回転以上3/4回転未満巻き回される。
【0094】
インダクタ電極234bは、最もx軸+側の単位トランジスタ252のコレクタ層に接続された外側のコレクタ電極252Cのx軸+側の端部に接続された第1端と、第2端と、を有する。インダクタ電極234bは、第1端から第2端まで、xy面内において時計方向cwへ1/4回転以上3/4回転未満巻き回される。
【0095】
インダクタ電極234a及び234bは、出力整合回路22に含まれるインダクタとして機能する部品である。当該インダクタのインダクタンスは、配線パターンの形状及び長さなどによって調整される。
【0096】
後段コレクタ配線233のy軸-側には、キャパシタ領域262a及び262bがx軸に沿って設けられる。キャパシタ領域262bは、キャパシタ領域262aのx軸+側に位置する。キャパシタ領域262a及び262bには、出力整合回路22に含まれるキャパシタとして機能する部品が設けられる。
【0097】
キャパシタ領域262aのx軸-側の端部及びx軸+側の端部は、インダクタ電極234aの第2端及び接地にそれぞれ接続される。
【0098】
キャパシタ領域262bのx軸-側の端部及びx軸+側の端部は、接地及びインダクタ電極234bの第2端にそれぞれ接続される。
【0099】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る電力増幅装置14について説明する。図11は、電力増幅装置14に含まれる半導体チップ211を上側から見た平面図である。図11に示すように、第4実施形態に係る電力増幅装置14は、インダクタ電極の形状が異なる点で第3実施形態に係る電力増幅装置13と異なる。
【0100】
電力増幅装置14では、後段コレクタ配線233のy軸-側に、インダクタ電極235a及び235bがx軸に沿って設けられる。インダクタ電極235bは、インダクタ電極235aのx軸+側に位置する。
【0101】
インダクタ電極235a及び235bは、上側から見たときにx軸方向及びy軸方向がそれぞれ長辺及び短辺となる矩形の電極である。インダクタ電極235a及び235bの各々のy軸+側の端部は、後段コレクタ配線233のy軸-側の端部に接続される。
【0102】
インダクタ電極235a及び235bのy軸-側には、キャパシタ領域262a及び262bがそれぞれ位置する。
【0103】
キャパシタ領域262aのy軸+側の端部及びキャパシタ領域262bのy軸+側の端部は、それぞれインダクタ電極235aのy軸-側の端部及びインダクタ電極235bのy軸-側の端部に接続される。
【0104】
キャパシタ領域262aとキャパシタ領域262bとの間には、インダクタ電極236が設けられる。インダクタ電極236は、上側から見たときにx軸方向及びy軸方向がそれぞれ長辺及び短辺となる矩形の電極である。
【0105】
インダクタ電極236は、キャパシタ領域262aのx軸+側の端部に接続された第1端と、キャパシタ領域262bのx軸-側の端部に接続された第2端と、を有する。インダクタ電極236の第1端及び第2端間の中点は、接地に接続される。
【0106】
インダクタ電極235a、235b及び236は、出力整合回路22に含まれるインダクタとして機能する部品である。当該インダクタのインダクタンスは、配線パターンの形状及び長さなどによって調整される。
【0107】
なお、電力増幅装置11~14では、複数の単位トランジスタ251がx軸方向に沿って直線状に設けられる構成について説明したが、これに限定するものではない。複数の単位トランジスタ251は、任意の配置で半導体チップ211の主面211a側に設けられる構成であってもよい。
【0108】
また、電力増幅装置11~14では、複数の単位トランジスタ252がx軸方向に沿って直線状に設けられる構成について説明したが、これに限定するものではない。複数の単位トランジスタ252は、任意の配置で半導体チップ211の主面211a側に設けられる構成であってもよい。
【0109】
また、電力増幅装置11~14では、モジュール裏面電極331及び332がモジュール基板311の上側の面に露出する構成について説明したが、これに限定するものではない。モジュール裏面電極331及び332は、モジュール基板311の上側の面に露出しない構成であってもよい。
【0110】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。一般的に、トランジスタ動作に伴う発熱によってトランジスタの温度が上昇すると、ベース及びエミッタ間の閾値電圧Vbeが低下する。このため、ベースに供給されるベースバイアス電圧を一定に保つ場合においても、ベース電流が増大する。その結果、コレクタ電流が増大し、コレクタ損失が増え、トランジスタの利得も低下してしまう。
【0111】
これに対して、電力増幅装置11、12、13及び14では、複数の単位トランジスタ251は、並列に接続され、かつ、信号RF1を増幅して出力するように構成される。複数の単位トランジスタ252は、並列に接続され、かつ、複数の単位トランジスタ251の増幅信号RF2を増幅して出力するように構成される。そして、単位トランジスタ251のサイズは、単位トランジスタ252のサイズより小さい。
【0112】
このように、単位トランジスタ251のサイズを単位トランジスタ252のサイズより小さくする構成により、仮に、単位トランジスタ251のサイズと単位トランジスタ252のサイズとを同じにする場合と比べて、単位トランジスタ251の個数を増やしてドライバ段増幅器51全体のサイズを同じにすることができる。これにより、ドライバ段増幅器51の全体から発生する熱を、点在する複数の単位トランジスタ251からそれぞれ小さく分割して発生させることができるので、熱の集中を緩和し、単位トランジスタ251の温度上昇を抑制することができる。単位トランジスタ251の温度上昇が抑制されるので、利得を低下させずに大電力の増幅信号RF2を出力することができ、また、熱による劣化が抑えられ、ドライバ段増幅器51の信頼性の低下を抑制することができる。ところで、パワー段増幅器52のサイズはドライバ段増幅器51のサイズより一般的に大きいので、仮に、単位トランジスタ251のサイズと単位トランジスタ252のサイズとを同じにする場合、単位トランジスタ252の個数が多くなり、多数の単位トランジスタ252が点在することでパワー段増幅器52のサイズが大きくなってしまう。これに対して、単位トランジスタ252のサイズを単位トランジスタ251のサイズより大きくする構成により、単位トランジスタ252の個数が少なくなり、パワー段増幅器52のサイズが大きくなることを抑制することができる。したがって、増幅特性の劣化及び信頼性の低下を抑制するとともに、サイズを小さくすることが可能な電力増幅装置を提供することができる。
【0113】
また、電力増幅装置11、12、13及び14では、複数の単位トランジスタ251は、A級動作をする。
【0114】
大容量通信のための増幅器では、送信帯域幅が最大200MHzまで規格化されているところ、上記の構成により、広帯域な信号用途で優れた線形性を確保することができる。一方、ドライバ段増幅器51をA級動作させるほどの高いベースバイアス電圧が供給される場合、発熱要因となる電流密度が増大するが、単位トランジスタ251のサイズを単位トランジスタ252のサイズより小さくする構成により、熱の集中を緩和し、単位トランジスタ251の温度上昇を抑制することができる。
【0115】
また、電力増幅装置13及び14では、複数の単位トランジスタ252は、F級動作又は逆F級動作をする。
【0116】
このような構成により、複数の単位トランジスタ252の効率を向上させることができる。
【0117】
また、電力増幅装置11、13及び14では、半導体チップ211は、x軸方向及びx軸方向に交差するy軸方向により規定される平面に平行な主面211aを有し、x軸方向に沿って複数の単位トランジスタ251が形成される。ストライプバンプ421は、複数の単位トランジスタ251のエミッタ電極251Eに電気的に接続され、x軸方向及びy軸方向と交わるz軸方向に沿って半導体チップ211を平面視したときに、エミッタ電極251Eと重なる。
【0118】
このような構成により、複数の単位トランジスタ251とストライプバンプ421との間の距離を小さくすることができるので、エミッタ電極251Eに接続されたエミッタ層において発生した熱をストライプバンプ421へ迅速に移動させることができる。また、ストライプバンプ421を帯状にする構成により、ストライプバンプ421のサイズを大きくすることができるので、ストライプバンプ421の熱容量を大きくすることができる。これにより、複数の単位トランジスタ251の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0119】
また、電力増幅装置11、13及び14では、モジュール基板311は、ストライプバンプ421を間に挟んで半導体チップ211が設けられる。モジュール基板311は、モジュール基板311の少なくとも一部を貫通するビア321と、ビア321を通じてストライプバンプ421に電気的に接続されるモジュール裏面電極331と、を含む。
【0120】
このような構成により、ストライプバンプ421における熱を、ビア321を通じてモジュール裏面電極331に迅速に移動させることができるので、ストライプバンプ421の温度上昇を抑制し、ひいては、複数の単位トランジスタ251の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0121】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0122】
<1>
並列に接続された複数の第1単位トランジスタであって、無線周波数信号を増幅して出力するように構成された複数の第1単位トランジスタと、
並列に接続された複数の第2単位トランジスタであって、前記複数の前記第1単位トランジスタの出力信号を増幅して出力するように構成された複数の第2単位トランジスタと、を備え、
前記第1単位トランジスタのサイズは、前記第2単位トランジスタのサイズより小さい、
電力増幅装置。
【0123】
<2>
<1>に記載の電力増幅装置であって、
前記複数の前記第1単位トランジスタは、A級動作をする、
電力増幅装置。
【0124】
<3>
<1>又は<2>に記載の電力増幅装置であって、
前記複数の前記第2単位トランジスタは、F級動作又は逆F級動作をする、
電力増幅装置。
【0125】
<4>
<1>から<3>のいずれか1つに記載の電力増幅装置であって、
前記電力増幅装置は、
第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向により規定される平面に平行な主面を有し、前記第1方向に沿って前記複数の前記第1単位トランジスタが形成された半導体チップと、
前記複数の前記第1単位トランジスタのエミッタ電極に電気的に接続され、前記第1方向及び前記第2方向と交わる第3方向に沿って前記半導体チップを平面視したときに、前記エミッタ電極と重なるストライプバンプと、をさらに備える、
電力増幅装置。
【0126】
<5>
<4>に記載の電力増幅装置であって、
前記電力増幅装置は、
前記ストライプバンプを間に挟んで前記半導体チップが設けられる基板をさらに備え、
前記基板は、
前記基板の少なくとも一部を貫通するビアと、
前記ビアを通じて前記ストライプバンプに電気的に接続される電極と、を含む、
電力増幅装置。
【符号の説明】
【0127】
11、12、13、14…電力増幅装置
20…入力整合回路
21…段間整合回路
22…出力整合回路
31…入力端子
32…出力端子
51…ドライバ段増幅器
52…パワー段増幅器
101…電力増幅回路
211…半導体チップ
211a…主面
211b…ドライバ段増幅器発熱部
211c…パワー段増幅器発熱部
231…前段コレクタ配線
232…後段ベース配線
233…後段コレクタ配線
234a、234b、235a、235b、236…インダクタ電極
251、251a、251b、251c…単位トランジスタ
251E…エミッタ電極
251C…コレクタ電極
251B…ベース電極
252…単位トランジスタ
252E…エミッタ電極
252C…コレクタ電極
252B…ベース電極
261…整合回路領域
262a、262b…キャパシタ領域
311…モジュール基板
321、322…ビア
331、332…モジュール裏面電極
411…実装部品
421、422…ストライプバンプ
431…ボンディングワイヤ
441…封止樹脂
451…接着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11