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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101290
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】計量機能付き運搬車両
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/12 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
G01G19/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005189
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真聡
(72)【発明者】
【氏名】▲辻▼ 幹洋
(72)【発明者】
【氏名】津山 遼
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 翔平
(72)【発明者】
【氏名】落合 雅大
(57)【要約】
【課題】車体と荷箱との間に複数のロードセルが相互に間隔をおいて介装され、それらロードセルが出力する検出値を荷箱の積載物重量の計量に用いる計量機能付き運搬車両において、一部のロードセルの故障発生やロードセル相互の個体差による計量精度の低下を抑制可能とする。
【解決手段】計量機能付き運搬車両Vは、何れのロードセルL1~L4の故障も把握可能な故障把握部Xと、その故障把握部Xで前記故障が把握されたときは、複数のロードセルL1~L4のうち故障と把握されたロードセル以外のロードセルの検出値に基づいて積載物重量Wを演算する積載物重量演算部Zとを備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(F)とその車体(F)上に搭載される積載物収容体(B)との間に複数のロードセル(L1~L4)が相互に間隔をおいて介装され、それらロードセル(L1~L4)が出力する検出値を積載物収容体(B)内の積載物重量(W)の計量に用いる計量機能付き運搬車両において、
何れの前記ロードセル(L1~L4)の故障も把握可能な故障把握部(X)と、その故障把握部(C1)で前記故障が把握されたときは、前記複数のロードセル(L1~L4)のうち故障と把握されたロードセル(L1~L4)以外のロードセル(L1~L4)の検出値に基づいて前記積載物重量(W)を演算する積載物重量演算部(Z)とを備えることを特徴とする計量機能付き運搬車両。
【請求項2】
車体(F)とその車体(F)上に搭載される積載物収容体(B)との間に複数のロードセル(L1~L4)が相互に間隔をおいて介装され、それらロードセル(L1~L4)が出力する検出値を積載物収容体(B)内の積載物重量(W)の計量に用いる計量機能付き運搬車両において、
前記複数のロードセル(L1~L4)に個別に接続されていて、個々のロードセル(L1~L4)が出力する検出値を個別計測重量(w1~w4)に変換して出力する複数の個別計測重量出力部(Y)と、前記複数の個別計測重量出力部(Y)がそれぞれ変換、出力した前記個別計測重量(w1~w4)を合算して前記積載物重量(W)を演算する積載物重量演算部(Z)とを備え、
各々の前記個別計測重量出力部(Y)は、対応する前記ロードセル(L1~L4)について予め確認した検出重量に対する前記検出値の出力特性を記憶しており、且つ前記ロードセル(L1~L4)相互の個体差に影響されずに前記検出値を正しい前記個別計測重量(w1~w4)に変換すべく、その変換に際し前記出力特性に基づき該個別計測重量(w1~w4)を補正することを特徴とする計量機能付き運搬車両。
【請求項3】
運転者又は作業者が確認可能な表示器(D)と、前記複数のロードセル(L1~L4)に対応した複数の個別計測重量出力部(Y)がそれらの出力値を所定の受渡し順序で次の個別計測重量出力部(Y)及び前記表示器(D)のコントローラ(Dc)に順次渡せるように、該複数の個別計量重量出力部(Y)及び該コントローラ(Dc)の相互間の通信を可能とする通信手段(10)とを備え、
前記受け渡し順序で2番目以降の前記個別計測重量出力部(Y)は、各々が前記受渡し順序で1つ手前の前記個別計測重量出力部(Y)から受け取った出力値に、各々が変換、出力した前記個別計量重量を加算した加算出力値を出力して、その加算出力値を前記受け渡し順序で1つ後の前記個別計測重量出力部(Y)又は前記コントローラ(Dc)に順次に渡せるように構成され、
前記コントローラ(Dc)は、前記受け渡し順序で最後の前記個別計測重量出力部(Y)より受けた前記加算出力値に基づき演算した前記積載物重量(W)を前記表示器(D)に表示させることを特徴とする、請求項2に記載の計量機能付き運搬車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬車両、特に車体とその車体上に搭載される積載物収容体(例えば荷箱)との間に複数のロードセルが相互に間隔をおいて介装され、それらロードセルが出力する検出値を積載物収容体の積載物重量の計量に用いる計量機能付き運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した計量機能付き運搬車両は、例えば下記の特許文献1に開示されるように従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4762688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の計量機能付き運搬車両では、積載物収容体としての荷箱の直下で車体との間に複数のロードセルが分散配置されており、その複数のロードセルの検出部(例えば歪ゲージ)がロードセル本体の歪を電圧値に変換して検出し、それらの検出値に基づいて荷箱の積載物重量を演算できるようにしている。
【0005】
このような積載物重量の演算に際しては、一部のロードセルの故障発生や、個々のロードセルの性能上の個体差(特に検出値の出力特性の個体差等)が、計量精度の低下要因となってしまう懸念がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の課題を解決可能として積載物重量を精度よく計量し得る計量機能付き運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、車体とその車体上に搭載される積載物収容体との間に複数の重量検出用ロードセルが相互に間隔をおいて介装され、それらロードセルが出力する検出値を積載物収容体内の積載物重量の計量に用いる計量機能付き運搬車両において、何れの前記ロードセルの故障も把握可能な故障把握部と、その故障把握部で前記故障が把握されたときは、前記複数のロードセルのうち故障と把握されたロードセル以外のロードセルの検出値に基づいて前記積載物重量を演算する積載物重量演算部とを備えることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、車体とその車体上に搭載される積載物収容体との間に複数の重量検出用のロードセルが相互に間隔をおいて介装され、それらロードセルが出力する検出値を積載物収容体内の積載物重量の計量に用いる計量機能付き運搬車両において、前記複数のロードセルに個別に接続されていて、個々のロードセルが出力する検出値を個別計測重量に変換して出力する複数の個別計測重量出力部と、前記複数の個別計測重量出力部がそれぞれ出力した前記個別計測重量を合算して前記積載物重量を演算する積載物重量演算部とを備え、各々の前記個別計測重量出力部は、対応する前記ロードセルについて予め確認した検出重量に対する前記検出値の出力特性を記憶しており、且つ前記ロードセル相互の個体差に影響されずに前記検出値を正しい前記個別計測重量に変換すべく、その変換に際し前記出力特性に基づき該個別計測重量を補正することを第2の特徴としている。
【0009】
また本発明は、第2の特徴に加えて、運転者又は作業者が確認可能な表示器と、前記複数のロードセルに対応した複数の個別計測重量出力部がその各々の出力値を所定の受渡し順序で次の個別計測重量出力部及び前記表示器のコントローラに順次渡せるように、該複数の個別計量重量出力部及び該コントローラの相互間の通信を可能とする通信手段とを備え、前記受け渡し順序で2番目以降の前記個別計測重量出力部は、各々が前記受渡し順序で1つ手前の前記個別計測重量出力部から受け取った出力値に、各々が変換、出力した前記個別計量重量を加算した加算出力値を出力して、その加算出力値を前記受け渡し順序で1つ後の前記個別計測重量出力部又は前記コントローラに順次に渡せるように構成され、前記コントローラは、前記受け渡し順序で最後の前記個別計測重量出力部より受けた前記加算出力値に基づき演算した前記積載物重量を前記表示器に表示させることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、何れのロードセルの故障も把握可能な故障把握部と、故障把握部で故障が把握されたときは、複数のロードセルのうち故障と把握されたロードセル以外のロードセルの検出値に基づいて積載物重量を演算する積載物重量演算部とを備えるので、一部のロードセルが故障した場合、これを故障把握部が把握して、その他の(即ち故障していない)ロードセルの検出値のみを積載物重量の演算に用いることで、積載物重量演算部の出力値を正常な積載物重量に近づけ得るよう補正できる。これにより、一部のロードセルが故障しても計量精度の低下が極力抑えられて、積載物重量を精度よく計量可能となる。
【0011】
また第2の特徴によれば、複数のロードセルがそれぞれ出力する検出値を個別計測重量に変換して出力する複数の個別計測重量出力部は、複数のロードセルについて予め確認した検出重量に対する検出値の出力特性を記憶しており、且つロードセル相互の個体差に影響されずに検出値を正しい個別計測重量に変換すべく、その変換に際し前記出力特性に基づいて個別計測重量を補正する。これにより、複数のロードセル毎に設けた複数の個別計測重量出力部は、個々のロードセルの検出値の出力特性に個体差が有っても、その出力特性に基づき個別計測重量を補正することで、個々のロードセルの検出値から正しい個別計測重量に変換できるため、その補正された個別計測重量の合算値に基づいて、積載物重量演算部が積載物重量をロードセル相互の個体差に影響されずに精度よく演算可能となり、従って、積載物重量を精度よく計量可能となる。
【0012】
また第3の特徴によれば、複数のロードセルに対応した複数の個別計測重量出力部がその各々の出力値を所定の受渡し順序で次の個別計測重量出力部及び表示器のコントローラに順次渡せるように、複数の個別計量重量出力部及びコントローラの相互間の通信を可能とする通信手段を備え、前記受け渡し順序で2番目以降の個別計測重量出力部は、各々が受渡し順序で1つ手前の個別計測重量出力部から受け取った出力値に、各々が変換、出力した個別計量重量を加算した加算出力値を出力して、その加算出力値を受け渡し順序で1つ後の個別計測重量出力部及びコントローラに順次に渡せるように構成され、コントローラは、受け渡し順序で最後の個別計測重量出力部より受けた加算出力値に基づき演算した積載物重量を表示器に表示させる。これにより、複数の個別計測重量出力部の各々が対応のロードセルの検出値から変換、出力した個別計量重量が、所定の積算順序(即ち上記受渡し順序に相当)で1つずつ順次に積算されてゆき、その最後の積算値に基づいて積載物重量が演算されるため、個別計測重量を一挙に合算処理する場合よりも回路の負荷軽減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る計量機能付きダンプカーの概要を示す全体側面図
図2】上記ダンプカーの要部後面図
図3】上記ダンプカーに搭載される計量装置の第1実施形態の概要を示す制御ブロック図
図4】上記計量装置の第2実施形態の概要を示す制御ブロック図
図5】上記計量装置の第3実施形態の概要を示す制御ブロック図
図6】上記計量装置の第4実施形態の概要を示す制御ブロック図
図7】上記計量装置の第5実施形態の概要を示す制御ブロック図
図8】上記計量装置の第6実施形態の概要を示す制御ブロック図
図9】上記計量装置の第7実施形態の概要を示す制御ブロック図
図10】表示器の表示パネルにおける表示例を示す正面図であって、(A)はロードセルが何れも正常な場合の一例を示し、また(B)はロードセルL2だけが故障した場合の一例を示す
図11】表示器の表示パネルにおける別の表示例を示す正面図(図10の(A)対応図)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0015】
この実施の形態は、本発明の計量機能付き運搬車両を計量機能付きダンプカーに実施した一例である。
【0016】
図1図3において、運搬車両としてのダンプカーVの車体としての車体枠Fは、シャシフレームFs上にメインフレームFmを重ねて結合して構成され、そのメインフレームFm上には、上面及び後面が開放した荷箱Bの後端下部が枢軸1を介して上下揺動可能に支持される。荷箱Bの下方には、縦枠2a及び横枠2bを井桁状又は梯子状に枠組みしてなる下側のデッキフレーム2と、各々が前後方向に延びる左右一対の縦枠よりなる上側のサブデッキフレーム3とが上下に重なるように配置されており、サブデッキフレーム3は荷箱Bの下面に固定され、またデッキフレーム2は、下面が車体枠FのメインフレームFm上面に近接、対向する。
【0017】
またデッキフレーム2とサブデッキフレーム3との間には、前後左右に相互に間隔をおいて(即ち荷箱Bの四隅に対応した位置において)分散配置された複数(図示例は4個)のロードセルL1~L4が介設される。そして、第1~第4ロードセルL1~L4が出力する検出値としての検出電圧は、後述するように荷箱B内の積載物重量Wの計量に用いられる。而して、荷箱Bは、本発明の積載物収容体の一例である。
【0018】
またデッキフレーム2は、これの後端寄りの下部が車体枠FのメインフレームFmに前記枢軸1を介して枢支連結される。そして、デッキフレーム2(従ってその上の第1~第4ロードセルL1~L4、サブデッキフレーム3及び荷箱B)は、車体枠F上に略水平に伏倒した伏倒位置(図1参照)と上後方に傾動したダンプ位置との間で傾動可能であり、特に伏倒位置では、メインフレームFm上に固定の載置板4上にデッキフレーム2の前部下面が接離可能に当接、支持される。
【0019】
またデッキフレーム2と車体枠Fとの間には、上記傾動を強制的に行わせるためのホイスト機構Hが介設される。尚、ホイスト機構Hは、ダンプカーにおいて従来周知であるので、簡略的な図示にとどめ、機構説明は省略する。
【0020】
第1~第4ロードセルL1~L4の各々は、具体的に図示はしないが、例えばデッキフレーム2上に固定、支持され且つ荷箱Bからの荷重をサブデッキフレーム3を介して受けるロードセル本体と、そのロードセル本体の所定部位が上記荷重を受けることで生じる歪を検出値としての検出電圧に変換、出力する歪ゲージとを主要部とする。
【0021】
尚、第1~第4ロードセルL1~L4の構造や機能原理は、従来周知であるので、これ以上の説明は省略するが、ロードセルL1~L4は、必ずしも全てを同じ構造・仕様とする必要はない。
【0022】
ところで第1~第4ロードセルL1~L4には荷箱Bからの荷重(重量)が分散して作用し、その分散荷重に応じて各ロードセルL1~L4が検出値としての検出電圧を出力する。そして、その検出電圧に基づいてロードセルL1~L4毎の個別計測重量w1~w4と、その合計値である荷箱Bの積載物重量Wとを演算し且つそれら重量を表示器Dに表示させる計量装置Kの具体例が、図3図9において、制御ブロック図の形で簡略的に示されている。
【0023】
先ず、計量装置Kの第1実施形態を、図3を参照して説明すると、第1~第4ロードセルL1~L4には、これらが上記歪に応じて出力する検出電圧が入力される演算処理装置としての第1~第4マイコンC1~C4がそれぞれ接続される。それら第1~第4マイコンM1~M4の相互間は、その相互間での信号の授受が可能な通信手段10(例えば相互通信可能なCAN配線等の信号線)で接続される。
【0024】
更に上記通信手段10は、表示器D(例えば液晶ディスプレー)の作動を制御するコントローラDcと第1~第4マイコンM1~M4との相互間も、その相互間で信号の授受を可能として接続している。表示器Dは、ロードセルL1~L4毎の個別計測重量w1~w4と荷箱Bの積載物重量Wとを表示するためのものであって、ダンプカーVの車体適所に設けた制御盤や運転席において、作業者又運転者が視認できるようにして配設される。
【0025】
また表示器Dは、運転席外の荷箱B適所、例えば図1で例示したように、荷箱B前部の上端部後面端にも設置される。これにより、他の作業車両から積荷を荷箱Bに積み込む際に、積込みを行う作業員にも表示器Dを目視し易くなり、過積載や積載重量の偏りを抑制する上で有利となる。尚、表示器Dの表示態様の例は、図10及び図11を参照して後述する。
【0026】
また実施形態の第1~第4マイコンM1~M4は、対応する第1~第4ロードセルL1~L4が各々出力する検出電圧をKg値(即ち各々のロードセルL1~L4が荷箱Bから分散して受ける個別重量値)に変換して出力する機能を有しており、この個別重量値は、本発明の個別計測重量に相当する。即ち、第1~第4マイコンM1~M4には、対応するロードセルL1~L4が出力する検出値としての検出電圧を個別計測重量w1~w4に変換して出力する演算回路機能を有した個別計測重量出力部Yが含まれる。
【0027】
しかも各マイコンM1~M4において、上記個別計測重量出力部Yは、各ロードセルL1~L4が出力する検出電圧の出力特性の個体差に因る計量精度の低下を抑制すべく、個別計測重量w1~w4を補正する個体差補正部Yaと、この個体差補正部Yaが荷箱Bの積荷状態で補正演算した個別計測重量w1~w4から、後述する空荷状態での基準重量w1′~w4′を勘案して正味の個別計測重量w1~w4を補正演算する正味重量補正部Ybとを有している。
【0028】
個体差補正部Yaは、各ロードセルL1~L4について予め試験、確認した検出重量に対する上記検出電圧の出力特性(即ち各ロードセルL1~L4に実際に作用する荷重(検出重量)変化に応じた検出電圧の変化特性、換言すれば、予め確認した各ロードセルL1~L4の検出電圧と上記荷重との相関関係)と、その出力特性に関係して設定される補正値とを記憶しており、且つ各ロードセルL1~L4が実際に出力した検出電圧を上記出力特性の個体差に影響されずに正しい個別計測重量に変換すべく、その変換に際し上記出力特性(従って補正値)に基づき個別計測重量w1~w4を補正する補正演算機能を有している。
【0029】
ところで荷箱Bが空荷状態(即ち積載物がゼロのとき)で各ロードセルL1~L4に作用する基準重量w1′~w4′は予め確認されていて、各マイコンM1~M4に記憶されている。そして、各マイコンM1~M4の正味重量補正部Ybは、個体差補正部Yaが荷箱Bの積荷状態で補正演算した個別計測重量w1~w4から、空荷状態での上記基準重量w1′~w4′を差し引くことで正味の個別計測重量w1~w4を演算する。
【0030】
更に第1~第4マイコンC1~C4のうちの何れか1つのマイコン(特に本実施形態では第4マイコンC4)には、第1~第4マイコンC1~C4における個別計測重量出力部Yがそれぞれ変換、出力した個別計測重量w1~w4を合算して荷箱Bの積載物重量Wを求める合算演算機能を有した積載物重量演算部Zが含まれる。尚、このような合算演算機能を有したマイコンC4を接続したロードセルL4は、親ロードセルと呼ばれる。
【0031】
而して、第4マイコンC4における積載物重量演算部Zは、個々のロードセルL1~L4による個別計測重量w1~w4を合算して得た積載物重量Wを表示器DのコントローラDcに出力する。これにより、コントローラDcは、後述するように荷箱Bの積載物重量Wを表示器Dに表示可能である。
【0032】
さらに第4マイコンC4には、何れのロードセルL1~L4の故障も把握可能な演算機能を有した故障把握部Xも含まれる。即ち、第4マイコンC4における故障把握部Xは、計量装置Kの起動中、各ロードセルL1~L4が出力する検出電圧と、その検出電圧が各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yで変換、出力された個別計測重量w1~w4とを常時チェックしており、その検出電圧又は個別計測重量w1~w4が一部のロードセルに関し異常である場合に、当該一部のロードセルが故障していると判断する。
【0033】
例えば、故障把握部Xは、何れかのロードセルL1~L4の検出電圧が、空荷時の電圧値(下限閾値、例えば0.2V)より小さければ当該ロードセルの断線故障と判断し、また荷箱Bの最大積載時の電圧値(上限閾値、例えば1.2V)より大きければ当該ロードセルの歪ゲージ内での短絡故障と判断する。また3個のロードセルの検出電圧を変換した個別計測重量が所定値(例えば500Kg)以上に増加した際に、残り1個のロードセルの検出電圧を変換した個別計測重量だけが不自然に低い所定値(例えば10Kg)以下であるか又はゼロである場合は、当該残り1個のロードセルが故障しているか又はこのロードセルの配線が断線していると判断する。
【0034】
尚、ロードセルL1~L4の故障を把握する手法は、上記した実施形態の手法に限定されず、従来周知の様々な故障の把握手法を用いてもよい。
【0035】
而して、第4マイコンC4における積載物重量演算部Zは、同マイコンC4中の上記故障把握部Xが一部のロードセル(仮にL1とする)の故障と判断したときは、その故障と把握されたロードセルL1以外のロードセルL2~L4が出力する検出電圧に基づいて荷箱Bの積載物重量Wを演算する。より具体的に言えば、上記したロードセルL1の故障が故障把握部Xで判断された場合には、残り全部の正常なロードセルL2~L4の検出電圧を変換した個別計測重量w2~w4の合算値を4/3倍した故障対応合算値W′が荷箱Bの積載物重量として、第4マイコンC4の積載物重量演算部Zから表示器DのコントローラDcに出力される。
【0036】
さらに第4マイコンC4には、荷箱Bの平面視での重心位置を演算する重心位置演算部Gが含まれる。即ち、その重心位置演算部Gは、荷箱Bの平面視での左右方向をx軸、前後方向をy軸としたxy座標系(原点は、例えば荷箱Bの左後方隅部)におけるロードセルL1~L4の各座標(x1 ,y1 )(x2 ,y2 )(x3 ,y3 )(x4 ,y4 )とする。そして、その各座標のx成分,y成分と、計量装置Kの起動中に各ロードセルL1~L4が出力する検出電圧が各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yで変換、出力された個別計測重量w1~w4との積を用いると、平面視での荷箱Bの重心位置の座標
(xG ,yG )のx成分,y成分は、次の式で表される。
【0037】
xG =(x1 w1+x2 w2+x3 w3+x4 w4)/(w1+w2+w3+w4)
yG =(y1 w1+y2 w2+y3 w3+y4 w4)/(w1+w2+w3+w4)
これら式に基づき第4マイコンC4の重心位置演算部Gが荷箱Bの重心位置の座標(xG ,yG )を演算し、その演算結果は、重心位置演算部Gから表示器DのコントローラDcに出力され、後述するような重心位置表示mgが表示器Dでなされる。
【0038】
次に前記第1実施形態の作用について説明する。
【0039】
計量装置Kを起動(電源オン)した状態において表示器Dの表示パネルDpには、各ロードセルL1~L4の検出値に基づいて演算される個別計測重量w1~w4を表示する個別重量表示窓m1~m4と、個別計測重量w1~w4の合計値即ち積載物重量Wを表示する合計重量表示窓mtとが上下に並んで配置される。例えば、荷箱Bに積載物が積載されると、図10(A)で明らかなように、個別重量表示窓m1~m4には個別計測重量w1~w4に相当する「◇◇Kg」「◆◆Kg」「□□Kg」「■■Kg」がそれぞれ表示され、また合計重量表示窓mtには、積載物重量Wに相当する「△△Kg」が表示されている。尚、表示器Dには、表示パネルDpの一側において、電源スイッチ釦その他の操作スイッチ釦が複数配設される。
【0040】
更に表示器Dの表示パネルDpには、荷箱Bを平面視で模式的に示す矩形の枠と、荷箱BにおけるロードセルL1~L4の位置を模式的に示す表示(図示例では対応するロードセルと同じ符号)と、前述の重心位置表示mgとが併せて、表示される。
【0041】
ところで計量装置Kの起動中においては、荷箱Bの全重量(サブデッキフレーム3の重量を含む)及び積載物重量の合計値が複数のロードセルL1~L4に分散して作用するため、その作用重量に応じて各ロードセルL1~L4は検出電圧を出力する。これに応じて各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yが上記検出電圧を個別計測重量w1~w4に変換して、第4マイコンC4の積載物重量演算部Zに出力する。そして、積載物重量演算部Zは、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yから受け取った個別計測重量w1~w4を合算して積載物重量Wを演算する。
【0042】
この場合、各々の個別計測重量出力部Yの正味重量補正部Ybは、荷箱Bの積荷状態で演算した個別計測重量w1~w4から空荷状態での基準重量w1′~w4′を差し引くことで正味の個別計測重量w1~w4を補正演算する。従って、各々の個別計測重量出力部Yからの出力重量は、各ロードセルL1~L4の検出電圧に基づいて得られる正味の(即ち荷箱重量を差し引いた)個別計測重量w1~w4となり、これらが第4マイコンC4の積載物重量演算部Zに送られ且つそこで合算される。そして、上記正味の個別計測重量w1~w4と、積載物重量演算部Zで演算した積載物重量WとがコントローラDcに出力される。これに応じてコントローラDcは、表示器Dの各表示窓m1~m4,mtにおいて上記正味の個別計測重量w1~w4及び積載物重量Wと、重心位置演算部Gで演算した重心位置表示mgとを表示する。尚、荷箱Bが空荷の場合は、各表示窓m1~m4,mtには、図示はしないが「0Kg」が表示される。
【0043】
このように第1実施形態の計量装置Kにおいては、各ロードセルL1~L4に対応して設けた各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yが、対応するロードセルL1~L4がそれぞれ出力する検出電圧を個別計測重量w1~w4に変換して出力し、更に第4マイコンC4における積載物重量演算部Zは、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yが変換、出力する個別計測重量w1~w4を合算することで荷箱Bの積載物重量Wを演算する。
【0044】
この場合、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yは、これの前記した個体差補正部Yaにおいて、各ロードセルL1~L4について予め確認した検出電圧の出力特性とその出力特性に基づき設定した補正値とを記憶しており、且つロードセルL1~L4相互の個体差に影響されずに個々のロードセルL1~L4の検出電圧を正しい個別計測重量w1~w4に変換すべく、その変換に際し前記出力特性(補正値)に基づき個別計測重量w1~w4を補正して出力する。
【0045】
これにより、複数のロードセルL1~L4毎に設けた複数のマイコンC1~C4は、個々のロードセルL1~L4の検出電圧の出力性能に個体差(ばらつき)が有っても、個々のロードセルL1~L4の検出電圧を正しい個別計測重量w1~w4に補正、変換できるため、その補正、変換された個別計測重量w1~w4の合算重量値に基づいて、第4マイコンC4の積載物重量演算部Zが積載物重量Wをより精度よく演算可能となる。従って、ロードセルL1~L4相互の上記個体差に影響されずに積載物重量Wを精度よく計量することができる。
【0046】
しかも本実施形態では、上記のようにロードセルL1~L4毎に補正演算した個別計測重量w1~w4を、図10(A)の如く表示パネルDpにおいて荷箱B(平面視)の模式図に関連付けてロードセル位置と共に表示するため、作業員は、重心の偏りを容易に把握できる。加えて、実際の重心位置表示mgも表示パネルDpの上記矩形枠内に表示されるため、作業員は、より正確且つ迅速に重心の偏りを把握可能である。
【0047】
さらに第1実施形態の計量装置Kは、特に第4マイコンC4において、何れのロードセルL1~L4の故障も把握可能な故障把握部Xを備えており、しかも同マイコンC4の積載物重量演算部Zは、故障把握部Xで故障が把握されたときは、故障と把握されたロードセル以外のロードセルの検出電圧に基づいて前述の故障対応合算値W′を演算して、これを荷箱Bの積載物重量Wと見做す故障対応演算機能を有している。
【0048】
このように一部のロードセルが故障した場合、これを故障把握部Xが把握して、その他の(即ち故障していない)ロードセルの検出電圧のみを積載物重量の演算に用いることで、積載物重量演算部Zの演算出力値を正常な積載物重量Wに近づけ得るよう補正することができる。従って、一部のロードセル(仮にL1とする)が故障しても、故障していない正常なロードセル(L2~L4)の検出電圧を有効活用することで計量精度の低下が極力抑えられ、積載物重量Wを精度よく計量可能となる。
【0049】
而して、図10(B)には、後右コーナのロードセルL2が故障した場合の表示器Dの表示例を示す。この場合は、ロードセルL2の表示部に×印が付されて、このロードセルL2への配線が切断状態にあることを示す表示と、それ以外のロードセルL1,L3,L4相互の配線が相互に接続されている(即ち通信中である旨の)表示とがなされ、且つ故障したロードセルL2に対応した個別表示窓m2には「0Kg」が表示され、また合計重量表示窓mtには、前記した故障対応合算値W′「▲▲Kg」が積載物重量Wとして表示される。これにより、作業員は、ロードセルL2の故障状態を容易に認識可能であり、また故障時でも大凡の積載物重量Wを一応、認識可能である。
【0050】
次に図4を参照して、計量装置Kの第2実施形態を説明する。先の第1実施形態では、積載物重量演算部Z、故障把握部X及び重量位置演算部Gの各演算回路機能を、個別計測重量出力部Yの演算回路機能を有するマイコンC1~C4のうちの何れか1つ(図示例は第4マイコンC4)が具備するものを示したが、第2実施形態では、積載物重量演算部Z、故障把握部X及び重量位置演算部Gの各演算回路機能を特に表示器DのコントローラDcに具備している。
【0051】
従って、第2実施形態では、コントローラDcが、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yで変換、出力される個別計測重量w1~w4を合算したり、また各ロードセルL1~L4の故障の有無をチェックしたり、荷箱Bの重心位置を演算する。
【0052】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるので、第2実施形態の各構成要素には、これと対応する第1実施形態の各構成要素の参照符号と同じ参照符号を付すにとどめ、これ以上の説明は省略する。そして、第2実施形態においても、第1実施形態と同等の作用効果を発揮可能である。
【0053】
次に図5を参照して、計量装置Kの第3実施形態を説明する。この第3実施形態では、第1及び第2実施形態とは異なり、積載物重量演算部Z、故障把握部X及び重量位置演算部Gの各演算回路機能を、各マイコンC1~C4や表示器DのコントローラDcから分離独立した専用の和算箱Mが具備しており、この和算箱Mは、例えば第4マイコンC4とコントローラDcとの間に介設される。
【0054】
而して、第3実施形態では、この和算箱Mが、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yで変換、出力される個別計測重量w1~w4を合算したり、また各ロードセルL1~L4の故障の有無をチェックしたり、荷箱Bの重心位置を演算する。
【0055】
第3実施形態のその他の構成は、第1,第2実施形態と同様であるので、第3実施形態の各構成要素には、これと対応する第1,第2実施形態の各構成要素の参照符号と同じ参照符号を付すにとどめ、これ以上の説明は省略する。そして、第3実施形態においても、第1実施形態と同等の作用効果を発揮可能である。
【0056】
次に図6を参照して、計量装置Kの第4実施形態を説明する。第1~第3実施形態では、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yが出力する個別計測重量w1~w4を積載物重量演算部Zで一挙に合算しており、且つこの積載物重量演算部Zを何れか1つのマイコンC1~C4(図示例では第4マイコンC4)、或いは表示器DのコントローラDc、或いは和算箱Mに配備されるものを示した。これに対し第4実施形態では、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yで変換、出力される出力値(個別計測重量w1~w4)を、1つずつ順次に積算していくことで合算する。
【0057】
即ち、第4実施形態では、各マイコンC1~C4における個別計測重量出力部Yがその出力値を所定の受渡し順序(実施形態では直列に並ぶ第1~第4マイコンC1~C4の並び番)で次のマイコン又はコントローラDcに順次渡せるように、各マイコンC1~C4及びコントローラDcの相互間が、その相互間の通信を可能とする通信手段10(例えば前記CAN配線等)を介して相互に接続されている。
【0058】
そして、上記受け渡し順序で2番目以降のマイコンC2~C4の個別計測重量出力部Yは、その受渡し順序で1つ手前のマイコンC1~C3から受け取った出力値に、各々が変換、出力した個別計量重量を加算した加算出力値を出力する加算演算部を有しており、その加算演算部が、これが出力する加算出力値を上記受け渡し順序で1つ後のマイコンC3,C4に渡せるように構成される。また表示器DのコントローラDcは、上記受け渡し順序で最後の第4マイコンC4から加算出力値を受け取り、その受け取った加算出力値に基づいて積載物重量Wを演算して表示器Dに表示させる。
【0059】
而して、この第4実施形態では、上記受け渡し順序で2番目以降のマイコンC2~C4と、コントローラDcとが互いに協働して、積載物重量演算部Zを構成する。
【0060】
この第4実施形態によれば、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yが各ロードセルL1~L4の検出電圧から変換した個別計量重量w1~w4が、所定の積算順序(即ち上記受渡し順序に相当)で1つずつ順次に積算されてゆき、その最終の積算値に基づいて積載物重量Wを演算可能となるため、複数のマイコンC1~C4が各々変換、出力した個別計測重量w1~w4を第1~第3実施形態の如く一斉に合算処理する場合よりも、演算回路の負荷軽減が図られる。
【0061】
また図7には計量装置Kの第5実施形態が示される。この第5実施形態では、複数のロードセルL1~L4に個別に接続した複数のマイコンC1~C4を、表示器DのコントローラDcに対し通常の電気配線10′を介して互いに並列に接続している。この場合、次に説明する図8の和算箱Mは省略され、また各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yが変換、出力する個別計測重量w1~w4は、コントローラDcに設けた積載物重量演算部Zで合算されて積載物重量Wが演算される。しかもそのコントローラDcは、故障把握部X及び重量位置演算部Gの各演算回路機能をも具備している。
【0062】
而して、第5実施形態では、コントローラDcが、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yで変換、出力される個別計測重量w1~w4を合算したり、荷箱Bの重心位置を演算して、それらを表示器Dに表示させる。
【0063】
また何れかのロードセルL1~L4の故障は、コントローラDcに設けた故障把握部Xで把握可能となり、その故障が把握された場合は、積載物重量演算部Zが、第1~第3実施形態と同様の対応で故障対応重量値を算出し、それに基づいて積載物重量Wを演算して表示器Dに表示させる。
【0064】
また図8には計量装置Kの第6実施形態が示される。この第6実施形態では、複数のロードセルL1~L4に個別に接続した複数のマイコンC1~C4を和算箱Mの入力側に対し通常の電気配線10′を介して互いに並列に接続し、和算箱Mの出力側は表示器DのコントローラDcに接続される。この場合でも、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yが変換、出力する個別計測重量w1~w4は、和算箱Mに設けた積載物重量演算部Zで合算されて積載物重量Wが演算される。しかもその和算箱Mは、故障把握部X及び重量位置演算部Gの各演算回路機能をも具備している。
【0065】
而して、第6実施形態では、和算箱Mが、各マイコンC1~C4の個別計測重量出力部Yで変換、出力される個別計測重量w1~w4を合算したり、荷箱Bの重心位置を演算して、それらをコントローラDcを介して表示器Dに表示させる。
【0066】
また何れかのロードセルL1~L4の故障は、和算箱Mに設けた故障把握部Xで把握可能となり、その故障が把握された場合は、積載物重量演算部Zは、第1~第3実施形態と同様の対応で故障対応重量値を算出し、それに基づいて積載物重量Wを演算してコントローラDcに送り、コントローラDcが表示器Dに表示させる。
【0067】
また図9には計量装置Kの第7実施形態が示される。この第7実施形態では、各マイコンC1~C4を省略して、複数のロードセルL1~L4を表示器DのコントローラDc又は和算箱Mに対し互いに並列に接続している。この場合は、そのコントローラDc又は和算箱Mに設けた積載物重量演算部Zにより、ロードセルL1~L4の検出電圧が合算されて積載物重量Wが演算される。
【0068】
尚、図9において、和算箱Mを点線表示としているが、これは、当該回路中、和算箱Mを省略して複数のロードセルL1~L4を表示器DのコントローラDcに並列に接続する例と、和算箱Mを省略しない例の何れもが実施可能であることを示している。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0070】
例えば、前記実施形態では、計量機能付き運搬車両の一例としてダンプカーVを示したが、ダンプカー以外の計量機能付きの運搬車両、例えば塵芥収集車、タンクローリー、コンテナ運搬車等に本発明を適用してもよい。尚、計量機能付きの運搬車両が塵芥収集車である場合は、塵芥収容箱が積載物収容体となり、またタンクローリーである場合は積載物収容タンクが積載物収容体となり、またコンテナ運搬車である場合はコンテナが積載物収容体となる。
【0071】
また前記実施形態では、荷箱B直下に4個のロードセルL1~L4を分散配置したものを示したが、ロードセルの設置個数は、2個以上、即ち複数であればよい。例えば、3個のロードセルを分散配置した場合において、そのうちの1個だけ故障したと故障把握部Xが判断したときは、積載物重量演算部Zは、正常な2個のロードセルが出力する検出電圧をそれぞれ変換した個別計測重量の合算値を3/2倍した故障対応合算値W′に基づいて荷箱Bの積載物重量Wを演算し、それを表示器Dに表示させる。
【0072】
また前記第1~第4実施形態では、互いに直列に配置されて複数のロードセルL1~L4に個別に接続した複数のマイコンC1~C4や表示器DのコントローラDc(又は和算箱M)の相互間が、その相互間での信号の授受が可能な通信手段10(例えば相互通信可能なCAN配線等の信号線)で接続されるものを示したが、複数のマイコンC1~C4やコントローラDc(又は和算箱M)の相互間を通常の電気配線で直列に接続して、上流側のマイコンから隣接する下流側のマイコンへと、或いは最下流のマイコンからコントローラDc(又は和算箱M)へと出力信号(個別計測重量w1~w4)を順次に受け渡して積算するようにしてもよい。
【0073】
また前記実施形態では、シャシフレームFs上に固定したメインフレームFmに枢軸1を介して上下揺動可能に軸支したデッキフレーム2と、荷箱B下面に固定のサブデッキフレーム3との間に複数のロードセルL1~L4を分散して介設したものを示したが、本発明においてロードセルの配置は、実施形態に限定されない。例えば、シャシフレームFsとメインフレームFmとの間に複数のロードセルを分散して介設してもよい。或いは、車体枠Fを支持する複数の車輪のサスペンション部にロードセルを配備してもよく、この場合、前後左右全ての車輪のサスペンション部にロードセルを設けてもよいし、左右一対の前輪のサスペンション部のみ、又は左右一対の後輪のサスペンション部のみにロードセルを配備してもよい。或いはまた、車体枠F上に複数の荷箱B(例えばコンテナ)が並列状態で搭載される運搬車両において、一部の荷箱Bと車体枠Fとの間に複数のロードセルを介設してもよい。
【0074】
また表示器Dの表示パネルDpにおける表示例は、前記実施形態に限定されず、種々のバリエーションを実施可能である。例えば、図11に例示したように、個別計測重量w1~w4を表示する個別重量表示窓m1~m4と、個別計測重量w1~w4の合計値即ち積載物重量Wを表示する合計重量表示窓mtとが、荷箱Bを平面視で模式的に示す矩形の枠の前後左右のコーナ位置と、上方中央位置とに分散配置されてもよい。
【0075】
また前記実施形態では、表示器Dの表示パネルDpにおいて個別重量表示窓m1~m4と合計重量表示窓mtと重心位置表示mgとを表示したものを例示したが、個別重量表示窓m1~m4及び重心位置表示mgのうち少なくとも一方は省略してもよい。
【0076】
また表示器Dの表示パネルDpには、上記した各表示m1~m4,mt,mgに加えて、過積載の警告を表示するようにしてもよい。この場合、例えば、合計重量表示窓mtに表示される積載物重量Wが車両Vの所定の許容積載量を超えたときに、「過積載」の警告表示が表示パネルDpになされる。
【0077】
また表示器Dの表示パネルDpには、上記した各表示m1~m4,mt,mgに加えて、荷箱Bにおける積載物重量Wの重心の過度の偏りの警告を表示するようにしてもよい。この場合、例えば、重心位置演算部Gで演算された車両平面視での荷箱Bの重心位置座標のx成分(xG )が所定値以下で重心位置が左側に過度に偏るか、或いは所定値以上で重心位置が右側に過度に偏るかしたとき、又は、同重心位置座標のy成分(yG )が所定値以下で重心位置が後側に過度に偏るか或いは所定値以上で重心位置が前側に過度に偏るかしたときは、「重心偏り」の警告表示が表示パネルDpになされる。
【符号の説明】
【0078】
B・・・・・・積載物収容体としての荷箱
D・・・・・・表示器
Dc・・・・・表示器のコントローラ
F・・・・・・車体としての車体枠
K・・・・・・計量装置
L1~L4・・複数のロードセルとしての第1~第4ロードセル
V・・・・・・運搬車両としてのダンプカー
W・・・・・・積載物重量
w1~w4・・個別計測重量
X・・・・・・故障把握部
Y・・・・・・個別計測重量出力部
Z・・・・・・積載物重量演算部
10・・・・・通信手段としてのCAN配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11