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特開2024-101307情報交換方法、プログラム、および情報システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101307
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】情報交換方法、プログラム、および情報システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240722BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005215
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岡田 正規
(72)【発明者】
【氏名】田野島 英司
(72)【発明者】
【氏名】吉村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松崎 葉月
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲寛
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】複数の医療従事者が患者の状況に応じて柔軟に連携することを容易にする。
【解決手段】情報システムによって患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換する情報交換方法は、患者を識別する患者識別情報、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を受信し、グループ作成要求に合致する医療従事者を検索し、検索結果に応じて、患者を担当する医療従事者、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性を有する医療従事者の少なくとも一方と、グループ作成要求を要求した医療従事者と、を含むグループを作成し、作成されたグループ内の一の医療従事者の端末から送信された患者に関する情報を、当該グループ内の他の医療従事者の端末に送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報システムによって、患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換するための情報交換方法であって、
前記患者を識別する患者識別情報、および、前記患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を受信し、
前記グループ作成要求に合致する医療従事者を検索し、
検索結果に応じて、前記患者を担当する医療従事者、および、前記患者に医療を施すために必要となる前記医療の専門性を有する医療従事者の少なくとも一方と、前記グループ作成要求を要求した医療従事者と、を含むグループを作成し、
作成された前記グループ内の一の医療従事者の端末から送信された前記患者に関する情報を、当該グループ内の他の医療従事者の端末に送信する、
ことを含む情報交換方法。
【請求項2】
前記検索することにおいて、前記患者を担当する前記医療従事者、および、前記医療の専門性を有する前記医療従事者を、前記グループ作成要求に合致する前記医療従事者として検索し、
前記グループを作成することにおいて、前記患者を担当する前記医療従事者と、前記医療の専門性を有する前記医療従事者と、前記グループ作成要求を要求した前記医療従事者とを含む前記グループを作成する、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項3】
前記グループ作成要求が、前記患者識別情報および前記専門属性情報に基づく、
請求項2に記載の情報交換方法。
【請求項4】
前記検索することにおいて、医療従事者を識別するための医療従事者識別情報と、前記患者識別情報および前記専門属性情報の少なくとも一方と、を関連付けて記憶するデータベースから、前記グループ作成要求に合致する前記医療従事者を検索する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報交換方法。
【請求項5】
前記グループ作成要求が、前記患者識別情報に基づいており、
前記データベースが、前記患者識別情報と、前記専門属性情報とを関連付けて記憶している、
請求項4に記載の情報交換方法。
【請求項6】
前記グループは、前記患者を担当する前記医療従事者、および、前記医療の専門性を有する前記医療従事者の少なくとも一方が、複数の医療従事者を含むグループである、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項7】
前記医療の専門性を有する前記医療従事者は、前記患者に関連付けられた医療機関に所属する者である、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項8】
グループ作成要求を受信することにおいて、前記グループ作成要求を要求した前記医療従事者の端末から前記グループ作成要求を受信する、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項9】
前記情報システムによる情報交換の対象となる複数の患者のそれぞれに前記グループが作成される、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項10】
同一の前記患者について互いに異なる複数の前記グループ作成要求が受信され、複数の前記グループ作成要求のそれぞれに前記グループが作成される、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項11】
同一の前記患者について作成された複数の前記グループの少なくとも1つに含まれる医療従事者の全てを含むグループが作成される、
請求項10に記載の情報交換方法。
【請求項12】
医療従事者を識別するための医療従事者識別情報と、前記患者識別情報および前記専門属性情報の少なくとも一方と、を関連付けて記憶することをさらに含む、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項13】
前記グループ内の前記一の医療従事者の前記端末から送信された前記患者に関する情報を含むレポートを作成することをさらに含む、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項14】
前記グループ内の前記一の医療従事者の前記端末から送信される前記患者に関する情報は、テキストデータ、静止画像データ、および、動画像データの少なくとも一つである、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項15】
前記グループ内の前記一の医療従事者の前記端末から送信される通話要求に応じて、前記一の医療従事者の前記端末と前記他の医療従事者の前記端末とで音声通話又はビデオ通話を実行することをさらに含む、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項16】
前記医療の専門性を有する前記医療従事者は、医療に関する専門資格を有する者である、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項17】
前記専門属性情報は、看護に関する専門性を示す情報を含む、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項18】
前記専門属性情報は、看護の種別を示す情報であり、
前記患者に施される看護の種別毎に前記グループが作成される、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項19】
前記グループは、所属する医療機関が互いに異なる複数の医療従事者を含む、
請求項1に記載の情報交換方法。
【請求項20】
患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換する情報システムに含まれる情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記患者を識別する患者識別情報、および、前記患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を受信し、
前記グループ作成要求に合致する医療従事者を検索し、
検索結果に応じて、前記患者を担当する医療従事者、および、前記患者に医療を施すために必要となる前記医療の専門性を有する医療従事者の少なくとも一方と、前記グループ作成要求を要求した医療従事者と、を含むグループを作成し、
作成された前記グループ内の一の医療従事者の端末から送信された前記患者に関する情報を、当該グループ内の他の医療従事者の端末に送信する前記情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項21】
患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換するための情報システムであって、
情報処理装置と前記医療従事者の端末とを含み、
前記情報処理装置は、
前記医療従事者の端末から、前記患者を識別する患者識別情報、および、前記患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を受信し、
前記グループ作成要求に合致する医療従事者を検索し、
検索結果に応じて、前記患者を担当する医療従事者、および、前記患者に医療を施すために必要となる前記医療の専門性を有する医療従事者の少なくとも一方と、前記グループ作成要求を要求した医療従事者と、を含むグループを作成し、
作成した前記グループ内の一の医療従事者の端末から送信された前記患者に関する情報を、当該グループ内の他の医療従事者の端末に送信する、
情報システム。
【請求項22】
患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換する情報システムを利用する医療従事者の端末としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記患者を識別する患者識別情報、および、前記患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を、前記情報システムに含まれる情報処理装置に送信し、
前記患者に関する情報の入力を受け付け、
前記グループ作成要求に基づいて作成されたグループ内の医療従事者の端末間で前記患者に関する情報を送受信する前記端末としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療従事者間で患者に関する情報を交換する方法、プログラム、および情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、在宅で療養する患者の情報をクラウドサーバで一括管理し、一括管理されている情報を複数の関係者が相互利用する在宅療養支援システムが記載されている。このシステムでは、システム管理者によって、患者と、その患者の医療的ケアを行う者が、1つのチームのチームメンバーとしてシステムに登録される。チームメンバーには、患者、その家族、医師、看護師、理学療法士、ホームヘルパー等が含まれる。このシステムでは、各チームメンバーが有する通信端末と、クラウドサーバとが接続され、患者状況(表情、血圧、体調など)、それに対応して行われた患者への医療的ケア(指示、マッサージ、投薬など)等をケア記録として、各チームメンバーの通信端末からクラウドサーバの記憶部に登録し、登録された情報を各チームメンバーが通信端末を用いて閲覧する。また、このシステムでは、チームメンバーがケア記録を登録もしくは閲覧するとき、そのケア記録に対応する画面で、他のチームメンバーへの質問、コメント等のコミュニケーションを登録し、登録したコミュニケーションを各チームメンバーが通信端末を用いて閲覧できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-91226
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療現場では、複数の医療従事者が患者の状況に応じて柔軟に連携できることが求められる。
【0005】
医療の高度化・専門化が進み、慢性疾患ケア、終末期ケア等の高度な看護を行う場合には、個別の疾病に応じた専門的な知識・技量が求められている。そのため、例えば、病院に入院していた患者に在宅看護を行うことになった場合、訪問看護ステーションから派遣される訪問看護師や、当該患者の看護について専門的な知識・技量を備える病院側の専門看護師などの複数の医療従事者が連携して対応できることが望ましい。特に、疾病の種類や進行度によっては、一人の患者に複数種類の看護が必要になることがあるため、同じ患者への看護であっても、看護の内容に応じた専門性を有する医療従事者と、看護を担当する医療従事者とが柔軟に連携できることが求められている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、システム管理者によって予めチームメンバーを登録する必要がある。このシステムを用いて、例えば上述のような専門性の高い在宅看護を行うことになった場合、病院や訪問看護ステーション等の異なる医療機関に所属する複数の医療従事者のそれぞれの専門性や担当患者、氏名などの詳細をシステム管理者が十分に把握した上で、患者に応じたチームメンバーを登録することは困難である。
【0007】
本発明は、複数の医療従事者が患者の状況に応じて柔軟に連携することを容易にする、医療従事者間で患者に関する情報を交換する方法、プログラム、および情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報交換方法は、図2に示すように、情報システム(1)によって、患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換するための情報交換方法であって、患者を識別する患者識別情報、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を受信し、グループ作成要求に合致する医療従事者を検索し、検索結果に応じて、患者を担当する医療従事者、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性を有する医療従事者の少なくとも一方と、グループ作成要求を要求した医療従事者と、を含むグループを作成し、作成されたグループ内の一の医療従事者の端末(3)から送信された患者に関する情報を、当該グループ内の他の医療従事者の端末(3)に送信する。
【0009】
本発明のプログラムは、図2および図10に示すように、患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換する情報システムに含まれる情報処理装置(2)としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、患者を識別する患者識別情報、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を受信し、グループ作成要求に合致する医療従事者を検索し、検索結果に応じて、患者を担当する医療従事者、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性を有する医療従事者の少なくとも一方と、グループ作成要求を要求した医療従事者と、を含むグループを作成し、作成されたグループ内の一の医療従事者の端末(3)から送信された患者に関する情報を、当該グループ内の他の医療従事者の端末(3)に送信する情報処理装置(2)としてコンピュータを機能させるためのものである。
【0010】
本発明の情報システムは、図2に示すように、患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換するための情報システム(1)であって、情報処理装置(2)と医療従事者の端末(3)とを含み、情報処理装置(2)は、医療従事者の端末(3)から、患者を識別する患者識別情報、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を受信し、グループ作成要求に合致する医療従事者を検索し、検索結果に応じて、患者を担当する医療従事者、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性を有する医療従事者の少なくとも一方と、グループ作成要求を要求した医療従事者と、を含むグループを作成し、作成したグループ内の一の医療従事者の端末(3)から送信された患者に関する情報を、当該グループ内の他の医療従事者の端末(3)に送信する。
【0011】
本発明のプログラムは、図2および図15に示すように、患者に関する情報を複数の医療従事者間で交換する情報システム(1)を利用する医療従事者の端末(3)としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、患者を識別する患者識別情報、および、患者に医療を施すために必要となる医療の専門性に関する専門属性情報の少なくとも一方に基づくグループ作成要求を、情報システムに含まれる情報処理装置に送信し、患者に関する情報の入力を受け付け、グループ作成要求に基づいて作成されたグループ内の医療従事者の端末間で患者に関する情報を送受信する端末(3)としてコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の医療従事者が患者の状況に応じて柔軟に連携することを容易にする、医療従事者間で患者に関する情報を交換する方法、プログラム、および情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】医療従事者による患者の看護の例を示す図である。
図2】実施形態に係る情報システムの構成例およびグループ作成例を示す図である。
図3】グループ作成例を示す図である。
図4】スレッド画面の一例を示す図である。
図5】サーバの構成例を示す図である。
図6】サーバの記憶装置の構成例を示す図である。
図7】アカウント情報データベースのデータ構造の例を示す図である。
図8】患者情報データベースのデータ構造の例を示す図である。
図9】グループ情報データベースのデータ構造の例を示す図である。
図10】サーバ上で動作するアプリケーションの構成例を示す図である。
図11】端末の構成例を示す図である。
図12】端末の記憶装置の構成例を示す図である。
図13】スレッド情報データベースのデータ構造の例を示す図である。
図14】メッセージ情報データベースのデータ構造の例を示す図である。
図15】端末上で動作するアプリケーションの構成例を示す図である。
図16】アカウント登録画面の一例を示す図である。
図17】患者登録画面の一例を示す図である。
図18】作成要求画面の一例を示す図である。
図19】スレッド選択画面の一例を示す図である。
図20】グループおよびスレッドの作成処理の流れの例を示すフローチャートである。
図21】情報交換処理の流れの例を示すフローチャートである。
図22】変形例に係るスレッド画面の一例を示す図である。
図23】ビデオ通話画面の一例を示す図である。
図24】変形例に係るサーバの記憶装置の構成例を示す図である。
図25】ビデオ通話予約情報データベースのデータ構造の例を示す図である。
図26】変形例に係るサーバ上で動作するアプリケーションの構成例を示す図である。
図27】変形例に係るスレッド画面の一例を示す図である。
図28】ビデオ通話予約画面の一例を示す図である。
図29】ビデオ通話予約の確認画面の一例を示す図である。
図30】ビデオ通話予約検索画面の一例を示す図である。
図31】変形例に係る端末上で動作するアプリケーションの構成例を示す図である。
図32】変形例に係るスレッド画面の一例を示す図である。
図33】レポート作成画面の一例を示す図である。
図34】レポートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔情報システム1の概要〕
本実施形態に係る情報システム1は、複数の医療従事者を含むグループ内の医療従事者間で患者に関する情報を交換するためのコミュニケーションシステムである。情報システム1の主特徴は、複数の医療従事者が患者の状況に応じて柔軟に連携することを容易にすることである。情報システム1を利用することにより、例えば、異なる医療機関に所属する面識の無い医療従事者間で患者に関する情報を交換することができるため、患者対応に際して医療従事者が柔軟に連携することができる。「患者に関する情報」とは、例えば、患者に施される医療に関する情報、患者のケアに関する情報、患者の家庭事情に関する情報、などである。以降では、情報交換される患者に関する情報を単に「メッセージ」と表記する。
【0015】
〔医療従事者〕
医療従事者の第1典型例は、特定分野の医療に関する専門性を有する医療従事者であり、例えば、専門看護師、認定看護師、理学療法士、医師、薬剤師、ヘルパー等である。第1典型例の医療従事者には、医療に関する専門性を示す「専門属性情報」が関連付けられる。
【0016】
専門属性情報は、医療に関する専門資格を示す情報であってもよい。専門属性情報は、特定分野の看護に関する専門性を示す情報であってもよい。専門属性情報は、看護の種別を示す情報であってもよい。専門属性情報の例は、皮膚または排泄に関する専門分野である「WOC」(Wound Ostomy Continence)、ストーマに関する看護の種別である「ストーマケア」、癌患者などの身体的苦痛または精神的苦痛を和らげるための看護の種別である「緩和ケア」、抗がん剤治療などの化学療法に代表される「薬物療法」、などである。
【0017】
本実施形態では、第1典型例の医療従事者として、患者が入院した医療機関(例えば病院)に所属し、特定分野の看護に関する専門性を有し、患者の入院中の看護を担当する専門看護師を例に挙げて説明する。図1の符号1001に示す例では、医療機関M1に所属する専門看護師S1が、医療機関M1に入院している患者Aの看護を担当している。専門看護師S1は例えばWOCに関する専門性を有しており、患者Aは例えばストーマ手術を受けているものとする。なお、専門看護師S1は、患者Aの退院後は、患者Aの看護の担当から外れる。
【0018】
医療従事者の第2典型例は、特定分野の医療に関する専門性を有しない医療従事者である。本実施形態では、第2典型例の医療従事者として、(1)医療機関M1に所属し、医療機関M1を退院した後に医療機関M1の一般外来に通院する患者の看護を担当する一般看護師、および、(2)医療機関M1と異なる医療機関M2(例えば訪問看護ステーション)に所属し、医療機関M1を退院した患者の自宅を訪問して看護する訪問看護師、を例に挙げて説明する。図1の符号1002に示す例では、医療機関M1に所属する一般看護師G1が、退院後に医療機関M1の一般外来に通院する患者Aの看護を担当している。図1の符号1003に示す例では、医療機関M2に所属する訪問看護師V1が、退院後の患者Aの自宅での訪問看護を担当している。
【0019】
専門看護師S1は、一般看護師G1または訪問看護師V1に対して、例えば、患者AについてのWOCに関する専門情報を伝達したり、退院後の患者Aの状況について確認したい場合がある。同様に、一般看護師G1または訪問看護師V1は、患者Aを看護するにあたり、専門看護師S1などの他の医療従事者に対して、例えば、WOCに関する相談や助言を求めたり、患者Aの入院時の状況を確認したい場合がある。
【0020】
〔情報システム1の利用により奏される主な効果〕
このように、対象患者に対して複数の医療従事者が関与する場合(特に、異なる医療機関に所属する複数の医療従事者が関与する場合)において、従来は、相手の属性情報(専門性、担当患者、連絡先など)を知らない限り、医療従事者間でメッセージを交換することは困難であったところ、情報システム1を利用することにより相手の属性情報を知らない医療従事者間で対象患者に関するメッセージを容易に交換することができる。特に、異なる医療機関に所属する面識の無い医療従事者間でメッセージを容易に交換することができる。これにより、複数の医療従事者が患者の状況に応じて柔軟に連携することができる。
【0021】
具体的には、情報システム1では、医療従事者からのグループ作成要求に応じて、「対象患者を担当する医療従事者」および「対象患者に医療を施すために必要となる専門性を有する医療従事者であって、対象患者に関連付けられた医療機関に所属する医療従事者」の少なくとも一方を含むグループを作成し、当該グループ内でメッセージを交換することができる。後者の医療従事者がグループに含まれる場合、グループ内で専門性の高い情報を交換することが可能となる。なお、「対象患者に関連付けられた医療機関」とは、例えば、対象患者に対して専門性の高い医療を施した医療機関、対象患者が手術を受けた医療機関、対象患者が入院した医療機関、などである。
【0022】
グループ内には、同じ患者を担当する複数の医療従事者、および/または、同じ分野の専門性を有する複数の医療従事者が含まれ得る。よって、例えば、グループ内のある医療従事者が不在または作業中でありメッセージ交換が困難な状況にある場合においても、当該グループ内の他の医療従事者のいずれかとメッセージを交換できる可能性があるため、迅速な情報交換が期待される。
【0023】
情報システム1では、情報システム1の利用者である医療従事者からのグループ作成要求に応じてグループが作成される。グループの作成にあたりシステム管理者が介在することは必要無い。例えば、訪問看護師が訪問看護時に専門看護師から助言を受けたい場合、当該訪問看護師からの要求に応じてグループが作成される。同様に、専門看護師が一般看護師および訪問看護師に対して専門情報を伝達したい場合、当該専門看護師からの要求に応じてグループが作成される。
【0024】
〔グループの作成例〕
図2を参照しながらグループの作成例について説明する。図2は、患者Aにストーマケアを提供するためのグループを例示している。例えば、医療機関M1およびM2に所属する医療従事者のうち、患者Aを担当する医療従事者、または、WOCに関する専門性を有する医療従事者を含むグループとして、図2において概念的に示したグループX1を作成することができる。
【0025】
グループX1には、専門看護師S1およびS2が含まれている。その理由は、専門看護師S1およびS2は、患者Aを担当していないが、WOCに関する専門性を有し、患者Aが入院していた医療機関M1に所属するからである。グループX1には、患者Aが医療機関M1に入院していたときに患者Aを担当していた専門看護師が含まれることが好ましい。その理由は、患者Aを担当していた専門看護師は、入院時の患者Aの状態を知っており、患者Aの介護に有用なメッセージを送信することが容易であるからである。また、グループX1には、複数の専門看護師が含まれることが好ましい。その理由は、一の専門看護師が、患者A以外の患者の看護中などの理由で、一般看護師からの質問に即時に回答できない場合であっても、他の専門看護師が回答できる可能性があるからである。グループX1には、さらに一般看護師G1、訪問看護師V1が含まれている。その理由は、一般看護師G1および訪問看護師V1は、WOCに関する専門性を有していないが、患者Aを担当しているからである。
【0026】
一方、専門看護師S3はグループX1に含まれない。その理由は、専門看護師S3は患者Aを担当しておらず、また、WOCに関する専門性を有していないからである。同様に、一般看護師G2および訪問看護師V2はグループX1に含まれない。その理由は、一般看護師G2および訪問看護師V2は患者Aを担当しておらず、また、WOCに関する専門性を有していないからである。
【0027】
情報システム1では、同一の患者について1つ以上のグループを作成することができる。具体的には、情報システム1では、患者に施される医療の専門属性情報毎にグループを作成することができる。これにより、専門性に応じたグループ毎にメッセージの交換が可能となる。専門属性情報が看護の種別を示す情報である場合、情報システム1は、患者に施される看護の種別毎にグループを作成することができる。例えば、患者AがWOCに加えて緩和ケアの看護を要する場合、情報システム1では、例えば図3に示すように、患者Aについて、上述したWOCに関するグループX1と、グループX1と異なる、緩和ケアに関するグループX2とを作成することができる。グループX2には、患者Aを担当する医療従事者と、医療機関M1に所属し緩和ケアに関する専門性を有する医療従事者との和集合が含まれる。具体的には、図3に示すとおり、グループX2には、専門看護師S4、一般看護師G1、および訪問看護師V1が含まれる。専門看護師S4は、患者Aを担当しないが、緩和ケアに関する専門性を有し、医療機関M1に所属する者である。
【0028】
情報システム1は、さらに、対象患者に施される医療の専門性に関わらない全般的事項についての情報交換を行うためのグループ(以下では、全般グループと称する。)を作成してもよい。全般的事項とは、例えば、対象患者の家庭事情や経済事情などに関する事項である。全般グループの第1典型例は、対象患者を担当する医療従事者の全てを含むグループである。全般グループの第2典型例は、対象患者について作成済みの複数のグループの少なくとも1つに含まれる医療従事者の全てを含むグループである。図3に示すグループX3は患者Aについての第2典型例の全般グループである。グループX3には、専門看護師S1、専門看護師S2、専門看護師S4、一般看護師G1、および訪問看護師V1が含まれる。
【0029】
全般グループは、例えば、対象患者についてのグループが作成されたタイミングで作成されてもよい。例えばグループX3は、グループX1およびグループX2のそれぞれが作成される都度、作成されてもよい。また、全般グループは、例えば、医療関係者による作成要求に従って作成されてもよい。
【0030】
〔スレッド〕
情報システム1では、グループ毎に、投稿されるメッセージの集まりである「スレッド」を作成する。本実施形態では、グループ毎に異なるスレッドを作成する。つまり、グループとスレッドとは1対1の対応関係にある。
【0031】
同一のグループに含まれる医療従事者は、同一のスレッドにおいてメッセージを投稿することにより、情報交換することができる。情報交換は、例えばチャット機能を用いて会話形式で行うことができる。医療従事者が使用する端末3に表示されるスレッドの画面例を図4に示す。図4に示すスレッド画面3646では、フィールド3648において、医療従事者IDが「N001」である医療従事者と、医療従事者IDが「N002」である医療従事者との間で、患者IDが「P101」である患者に関するメッセージが交換されている。スレッド画面3646の詳細は後述する。
【0032】
〔情報システム1の構成例〕
図2に示すように、情報システム1は、サーバ2と、複数の端末3とを含む構成である。サーバ2は、情報システム1を運用する事業者が有するコンピュータであり、情報システム1の中核をなす情報処理装置である。サーバ2は1台のコンピュータで実現されてもよいし、複数台のコンピュータに機能分散して実現されてもよい。端末3は、情報システム1を利用する医療従事者が使用するコンピュータであり、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータである。サーバ2と端末3とは、インターネット等の通信ネットワーク4を介して通信可能に接続される。端末3間でのメッセージの送受信はサーバ2および通信ネットワーク4を介して行われる。
【0033】
〔サーバ2の構成例〕
図5に示すように、サーバ2は、例えば、通信装置21、記憶装置22、プロセッサ23、RAM(Random Access Memory)25、およびROM(Read Only Memory)26を備える。通信装置21は、プロセッサ23による制御に従って端末3と通信を行うインターフェースである。記憶装置22は、サーバ2が用いる各種データおよび各種プログラムを記憶するメモリであり、例えば、ソリッドステートドライブ等の半導体ドライブ、又は、ハードディスク等の磁気ディスクである。図6に示すように、記憶装置22は、例えば、アカウント情報データベース221、患者情報データベース222、およびグループ情報データベース223を記憶する。
【0034】
アカウント情報データベース221は、情報システム1を利用する医療従事者のアカウント情報を記憶するデータベースであり、例えば、リレーショナルデータベース(RDB)である。図7は、アカウント情報データベース221がRDBである場合のデータ構造の例を示す図である。図7に示すように、アカウント情報には、例えば、医療機関ID、医療従事者ID、専門属性情報、担当患者ID、通信アドレス、およびパスワードが含まれる。
【0035】
医療機関IDは、医療従事者が所属する医療機関の識別情報である。医療機関IDには、1つ以上の医療従事者IDが関連付けられる。医療機関IDには、医療機関のさらなる属性情報(例えば、医療機関名など)が関連付けられてもよい。
【0036】
医療従事者IDは、医療機関IDで識別される医療機関に所属する医療従事者の識別情報である。医療従事者IDには、図7に示すように、例えば、専門属性情報、担当患者ID、通信アドレス、およびパスワードが関連付けられる。医療従事者IDには、医療従事者のさらなる属性情報(例えば、医療従事者の氏名など)が関連付けられてもよい。
【0037】
専門属性情報は、医療従事者IDで識別される医療従事者が有する専門性を識別するための識別情報である。複数の専門性を有する医療従事者の場合、医療従事者IDには複数の専門属性情報が関連付けられる。特定分野の医療に関する専門性を有しない医療従事者の医療従事者IDに関連付けられる専門属性情報の値は、例えば空値(NULL)とする。
【0038】
担当患者IDは、医療従事者IDで識別される医療従事者が担当する患者の識別情報である。複数の患者を担当する医療従事者の場合、医療従事者IDには複数の担当患者IDが関連付けられる。担当する患者がいない医療従事者の医療従事者IDに関連付けられる担当患者IDの値は、例えば空値(NULL)とする。
【0039】
通信アドレスは、医療従事者IDで識別される医療従事者が使用する端末3の通信アドレスであり、例えばIPアドレスである。パスワードは、医療従事者IDで識別される医療従事者が情報システム1にログインするためのパスワードである。
【0040】
患者情報データベース222は、患者情報を記憶するデータベースであり、例えばRDBである。図8は、患者情報データベース222がRDBである場合のデータ構造の例を示す図である。図8に示すように、患者情報には、例えば、患者ID、および医療機関IDが含まれる。
【0041】
患者IDは、患者の識別情報であり、アカウント情報データベース221で管理される患者IDと同じコード体系である。患者IDには医療機関IDが関連付けられる。医療機関IDは、患者IDで識別される患者の医療を担当する医療機関の識別情報である。医療機関IDで示される医療機関は、例えば、患者IDで示される患者に対して専門性の高い医療を施した医療機関、患者IDで示される患者が手術を受けた医療機関、患者IDで示される患者が入院した医療機関、などである。患者情報データベース222で管理される医療機関IDはアカウント情報データベース221で管理される医療機関IDと同じコード体系である。患者IDには、患者のさらなる属性情報(例えば、患者の氏名など)が関連付けられてもよい。
【0042】
グループ情報データベース223は、メッセージを交換する医療従事者のグループに関する情報を記憶するデータベースであり、例えばRDBである。図9は、グループ情報データベース223がRDBである場合のデータ構造の例を示す図である。図9に示すように、グループに関する情報には、例えば、グループID、および医療従事者IDが含まれる。
【0043】
グループIDは、グループの識別情報である。グループIDには、複数の医療従事者IDが関連付けられる。医療従事者IDは、グループIDで識別されるグループに含まれる医療従事者の識別情報であり、アカウント情報データベース221で管理される医療従事者IDと同じコード体系である。グループIDには、グループのさらなる属性情報(例えば、グループ名など)が関連付けられてもよい。
【0044】
プロセッサ23は、サーバ2の機能を統括して制御する制御部である。プロセッサ23は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ23は、例えば、論理回路により実現してもよい。プロセッサ23は、アプリケーション24を記憶装置22から読み出してRAM25へ展開して実行する。アプリケーション24は、各種処理を実行する制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラムとして、例えば、記憶装置22に格納されている。アプリケーション24は、例えば、情報システム1に専用のアプリケーションである。アプリケーション24は、例えば、アプリケーション提供サーバからサーバ2に配信またはダウンロードされ、サーバ2にてインストールされて記憶装置22に格納される。
【0045】
〔アプリケーション24の構成例〕
図10は、アプリケーション24の構成例を示す。アプリケーション24は、例えば、アカウント管理部241、患者管理部242、グループ管理部243、および情報交換部244を含む。
【0046】
プロセッサ23は、アカウント管理部241の指示に従って、端末3からの要求に応じて、アカウント情報を登録する。具体的には、プロセッサ23は、アカウント管理部241の指示に従って、まず、アカウント登録要求を受信する。アカウント登録要求は、医療従事者による入力操作に応じて端末3から送信されるものであり、後述するように、例えば医療従事者ID、パスワード、医療機関ID、専門属性情報、および患者IDといったアカウント情報を含む。プロセッサ23は、アカウント管理部241の指示に従って、アカウント登録要求に含まれるアカウント情報をアカウント情報データベース221に格納する。なお、アカウント情報のうちの通信アドレスについては、アカウント登録要求にかかわらず、例えば、医療従事者が端末3を使用して情報システム1にログインする毎に端末3から送信されてもよく、この場合、プロセッサ23は、アカウント管理部241の指示に従って、端末3から通信アドレスを受信する毎にアカウント情報データベース221を更新してもよい。
【0047】
プロセッサ23は、患者管理部242の指示に従って、端末3からの要求に応じて、患者情報を登録する。具体的には、プロセッサ23は、患者管理部242の指示に従って、まず、端末3から送信される患者登録要求を受信する。患者登録要求は、患者情報を登録したい医療従事者の入力操作に応じて端末3から送信されるものであり、後述するように、例えば患者IDおよび医療機関IDを含む。プロセッサ23は、患者管理部242の指示に従って、患者登録要求に含まれる患者情報を患者情報データベース222に格納する。
【0048】
プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、端末3からの要求に応じて、情報交換する医療従事者のグループを作成する。グループ作成処理について以下に説明する。
【0049】
プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、まず、端末3から、グループの作成要求(以下では、単に作成要求と称する。)を受信する。作成要求は、医療従事者の入力操作に応じて端末3から送信されるものであり、後述するように、例えば患者IDおよび専門属性情報に基づく要求である。プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、作成要求を受信すると、患者情報データベース222から、対象患者IDに関連付けられている医療機関IDを検索する。続いて、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、アカウント情報データベース221から、医療従事者ID群を検索する。このときの検索パターンは、例えば、次に示す検索パターンQ1または検索パターンQ2である。
【0050】
(検索パターンQ1)作成要求で指定された患者の担当有無にかかわらず、指定された専門性を有する第1典型例の医療従事者と、指定された患者を担当する第2典型例の医療従事者とを検索する。具体的には、次に示す検索対象Q11およびQ12の和集合である医療従事者ID群をアカウント情報データベース221から取得する。[検索対象Q11]患者情報データベース222から取得した医療機関IDに関連付けられている医療従事者IDのうち、受信した作成要求に含まれる専門属性情報が関連付けられている医療従事者ID。[検索対象Q12]受信した作成要求に含まれる患者IDが関連付けられている医療従事者ID。
【0051】
(検索パターンQ2)作成要求で指定された患者を担当し、指定された専門性を有する第1典型例の医療従事者と、指定された患者を担当する第2典型例の医療従事者とを検索する。具体的には、次に示す検索対象Q21およびQ22の和集合である医療従事者ID群をアカウント情報データベース221から取得する。[検索対象Q21]患者情報データベース222から取得した医療機関IDに関連付けられている医療従事者IDのうち、受信した作成要求に含まれる専門属性情報、および、受信した作成要求に含まれる患者IDが関連付けられている医療従事者ID。[検索対象Q22]患者情報データベース222から取得した医療機関IDに関連付けられている医療従事者IDのうち、受信した作成要求に含まれる専門属性情報が関連付けられておらず、受信した作成要求に含まれる患者IDが関連付けられている医療従事者ID。
【0052】
また、作成要求に含まれる専門属性情報がNULL値である場合、グループ管理部243は、次に示す検索パターンQ3でアカウント情報データベース221から、医療従事者ID群を検索する。
【0053】
(検索パターンQ3)指定された患者を担当する全ての医療従事者を検索する。具体的には、受信した作成要求に含まれる患者IDが関連付けられている医療従事者ID群をアカウント情報データベース221から取得する。
【0054】
続いて、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、アカウント情報データベース221から取得した医療従事者ID群に対して、それらを1つのグループとして識別するためのグループIDを関連付けたグループを新たに作成し、グループ情報データベース223に格納する。
【0055】
なお、検索パターンQ3で検索される医療従事者ID群から成るグループは、対象患者についての特定の専門性に関わらないグループであり、上述した「全般グループ」に該当する。よって、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、検索パターンQ1またはQ2で取得される医療従事者ID群から成るグループを作成したタイミングで、検索パターンQ3で取得される医療従事者ID群から成る全般グループを作成してもよい。
【0056】
次に、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、アカウント情報データベース221を検索し、新たに作成したグループに含まれる医療従事者IDの各々に関連付けられている通信アドレスを取得する。続いて、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、取得した通信アドレスを有する端末3の各々に対してグループが作成されたことを通知する(以下では単に「作成通知」と称する。)。作成通知には、作成したグループのグループIDと、受信した作成要求に含まれる患者IDおよび専門属性情報と、が含まれる。
【0057】
プロセッサ23は、情報交換部244の指示に従って、情報交換するメッセージに関するメッセージ情報を端末3から受信すると、サーバ側情報交換処理を実行する。メッセージ情報は、後述するように、例えばメッセージID、スレッドID、医療従事者ID、およびデータ本体を含む。
【0058】
サーバ側情報交換処理について以下に説明する。プロセッサ23は、情報交換部244の指示に従って、まず、グループ情報データベース223から、受信したメッセージ情報に含まれるスレッドIDに対応するグループIDに関連付けられている医療従事者IDを検索する。続いて、プロセッサ23は、情報交換部244の指示に従って、アカウント情報データベース221を検索し、グループ情報データベース223から取得した医療従事者IDに関連付けられている通信アドレスを取得する。続いて、プロセッサ23は、情報交換部244の指示に従って、取得した通信アドレスを有する端末3の各々(ただし、メッセージ情報の送信元の端末3を除く)に、受信したメッセージ情報を送信する。メッセージ情報を送信するタイミングは、即時でもよいし、送信先の端末3が情報システム1にアクセスしたタイミングでもよい。
【0059】
〔端末3の構成例〕
図11に示すように、端末3は、例えば、通信装置31、入力装置32、出力装置33、記憶装置34、プロセッサ35、RAM37、およびROM38を備える。通信装置31は、プロセッサ35による制御に従ってサーバ2と通信を行うインターフェースである。入力装置32は、端末3に対する各種データの入力を受け付ける。入力装置32は、例えば、タッチパネル、カメラ、マイクである。出力装置33は、端末3で処理された各種データを出力する。出力装置33は、例えば、タッチパネル、スピーカ、プリンタである。
【0060】
記憶装置34は、端末3が用いる各種データおよび各種プログラムを記憶するメモリであり、例えば、ソリッドステートドライブ等の半導体ドライブ、又は、ハードディスク等の磁気ディスクである。記憶装置34は、図12に示すように、例えば、スレッド情報データベース341、およびメッセージ情報データベース342を記憶する。
【0061】
スレッド情報データベース341は、スレッド情報を記憶するデータベースであり、例えばRDBである。図13は、スレッド情報データベース341がRDBである場合のデータ構造の例を示す図である。図13に示すように、スレッド情報には、例えば、スレッドID、患者ID、および専門属性情報が含まれる。
【0062】
スレッドIDは、スレッドの識別情報である。本実施形態では、スレッドIDと、グループ情報データベース223で管理されるグループIDとは、1対1の対応関係にある。スレッドIDとグループIDとは同一のコード体系であってもよいし、相互に変換可能なコード体系であってもよい。
【0063】
スレッドIDには、図13に示すように、患者IDおよび専門属性情報が関連付けられる。スレッドIDには、スレッドのさらなる属性情報(例えば、スレッド名など)が関連付けられてもよい。
【0064】
患者IDは、スレッドIDで識別されるスレッドにおいて情報交換する対象となる患者の識別情報であり、患者情報データベース222で管理される患者IDと同じコード体系である。専門属性情報は、スレッドIDで識別されるスレッドにおいて情報交換する対象となる専門属性情報であり、アカウント情報データベース221で管理される専門属性情報と同じコード体系である。
【0065】
メッセージ情報データベース342は、メッセージ情報を記憶するデータベースであり、例えばRDBである。図14は、メッセージ情報データベース342がRDBである場合のデータ構造の例を示す図である。図14に示すように、メッセージ情報には、例えば、メッセージID、スレッドID、医療従事者ID、およびデータ本体が含まれる。
【0066】
メッセージIDは、メッセージ情報の識別情報である。メッセージIDには、図14に示すように、スレッドID、医療従事者ID、およびデータ本体が関連付けられる。メッセージIDには、メッセージのさらなる属性情報(例えば、メッセージ送信日時など)が関連付けられてもよい。
【0067】
スレッドIDは、メッセージIDで識別されるメッセージが情報交換されるスレッドの識別情報であり、スレッド情報データベース341で管理されるスレッドIDと同じコード体系である。医療従事者IDは、メッセージIDで識別されるメッセージを送信した医療従事者の識別情報であり、アカウント情報データベース221で管理される医療従事者IDと同じコード体系である。データ本体は、メッセージIDで識別されるメッセージのデータそのものである。データ本体のデータ形式は限定されるものではなく、例えば、テキストデータ、静止画像データ、動画像データ、および音声データ、の少なくとも一つである。
【0068】
プロセッサ35は、端末3の機能を統括して制御する制御部である。プロセッサ35は、例えばCPUである。プロセッサ35は、例えば、論理回路により実現してもよい。プロセッサ35は、アプリケーション36を記憶装置34から読み出してRAM37へ展開して実行する。アプリケーション36は、各種処理を実行する制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラムとして、例えば、記憶装置34に格納されている。アプリケーション36は、例えば、情報システム1に専用のアプリケーションである。アプリケーション36は、例えば、アプリケーション提供サーバから端末3に配信またはダウンロードされ、端末3にてインストールされて記憶装置34に格納される。アプリケーション36は、例えば、アプリケーション提供サーバによってWebアプリケーションとして提供され、端末3に搭載されたWebブラウザ上で動作するものであってもよい。
【0069】
〔アプリケーション36の構成例〕
図15は、アプリケーション36の構成例を示す。アプリケーション36は、例えば、アカウント登録部361、患者登録部362、スレッド管理部363、および情報交換部364を含む。
【0070】
プロセッサ35は、アカウント登録部361の指示に従って、医療従事者の入力操作に応じてアカウント登録画面3611を作成し、出力装置33に表示させる。アカウント登録画面3611は、アカウント情報の新規登録または更新登録を受け付けるための画面である。図16は、アカウント登録画面3611の一例を示す図である。図16に示すとおり、アカウント登録画面3611は、例えば、フィールド3612~3616、および、ボタン3617を含む。
【0071】
フィールド3612は、登録対象である医療従事者の医療従事者IDの入力を受け付ける。フィールド3612は、端末3を使用する医療従事者から医療従事者IDの入力を受け付けてもよいし、医療従事者IDが自動設定されてもよい。自動設定の一例として、プロセッサ35は、アカウント登録部361の指示に従って、アカウント登録画面3611を表示する際にサーバ2に対して医療従事者ID付与要求を送信し、その応答としてサーバ2から取得した医療従事者IDをフィールド3612に設定してもよい。
【0072】
フィールド3613は、登録対象である医療従事者が情報システム1にログインするためのパスワードの入力を受け付ける。
【0073】
フィールド3614は、登録対象である医療従事者が所属する医療機関の医療機関IDの入力を受け付ける。フィールド3614は選択式であることが好ましい。例えば、予め用意されたドロップダウンリスト等に表示される医療機関名を選択することにより、選択された医療機関名に対応する医療機関IDがフィールド3614に自動設定されることが好ましい。
【0074】
フィールド3615は、登録対象である医療従事者の専門属性情報の入力を受け付ける。フィールド3615の個数は、専門属性情報の数に応じて増減可能である。フィールド3615は選択式であることが好ましい。予め用意されたドロップダウンリスト等に表示される専門属性情報を選択することによりフィールド3615に専門属性情報が自動設定されることが好ましい。フィールド3615は入力必須フィールドではない。医療に関する専門性を有しない医療従事者は、フィールド3615を入力せずとも、アカウント情報の登録が可能である。
【0075】
フィールド3616は、登録対象である医療従事者が担当する患者の患者IDの入力を受け付ける。フィールド3616の個数は、担当する患者の人数に応じて増減可能である。フィールド3616は入力必須フィールドではない。担当する患者を有しない医療従事者は、フィールド3616を入力せずとも、アカウント情報の登録が可能である。
【0076】
ボタン3617にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、アカウント登録部361の指示に従って、フィールド3612~3616にて入力されたアカウント情報を含むアカウント登録要求を、サーバ2へ送信する。
【0077】
プロセッサ35は、患者登録部362の指示に従って、医療従事者の入力操作に応じて患者登録画面3621を作成し、出力装置33に表示させる。患者登録画面3621は、患者情報の新規登録または更新登録を受け付けるための画面である。図17は、患者登録画面3621の一例を示す図である。図17に示すとおり、患者登録画面3621は、例えば、フィールド3622~3623、および、ボタン3624を含む。
【0078】
フィールド3622は、登録対象である患者と関連付ける医療機関の医療機関IDの入力を受け付ける。フィールド3622は選択式であることが好ましく、医療機関IDが自動設定されることがより好ましい。自動設定の一例として、プロセッサ35は、患者登録部362の指示に従って、患者登録画面3621を表示する際にサーバ2に対して医療機関IDの検索要求を送信し、その応答としてサーバ2から取得した医療機関IDをフィールド3622に設定してもよい。この場合、サーバ2は、アカウント情報データベース221を検索し、検索要求を行った端末3から情報システム1にログインしている医療従事者の医療従事者IDに関連付けられている医療機関IDを取得し、検索要求を行った端末3へ医療機関IDを送信してもよい。
【0079】
フィールド3623は、登録対象である患者の患者IDの入力を受け付ける。フィールド3623に入力される患者IDは、患者情報データベース222にて管理される患者IDそのものであってもよいし、登録対象の患者が入院または通院していた医療機関が発行する診察券の番号またはカルテのIDであってもよい。後者の場合、フィールド3622に入力された医療機関IDおよびフィールド3623に入力された患者IDを組み合わせた情報を、患者情報データベース222にて管理する患者IDとして取り扱ってもよい。
【0080】
ボタン3624にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、患者登録部362の指示に従って、フィールド3622~3623に入力された患者情報を含む患者登録要求を、サーバ2へ送信する。
【0081】
プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、医療従事者の入力操作に応じて、グループの作成を要求するための作成要求画面3631を作成し、出力装置33に表示させる。作成要求画面3631は、作成要求を受け付けるための画面である。図18は、作成要求画面3631の一例を示す図である。図18に示すとおり、作成要求画面3631は、例えば、フィールド3632~3633、および、ボタン3634を含む。
【0082】
フィールド3632は、情報交換する対象となる患者の患者IDの入力を受け付ける。フィールド3633は、フィールド3632に入力した患者IDで示される患者に施される医療の専門属性情報の入力を受け付ける。フィールド3633は入力必須フィールドではない。
【0083】
作成要求を行う医療従事者は、患者IDおよび専門属性情報を、事前に入手可能であることを前提としている。例えば、患者の訪問看護を担当する訪問看護師は、患者が治療を受けた医療機関から送られる指示書面または電子メールなどにより、患者IDおよび専門属性情報を事前に入手する。なお、フィールド3622は選択式であってもよい。例えば、アカウント情報データベース221から、作成要求を行う医療従事者の医療従事者IDに関連付けられている担当患者IDが取得され、ドロップダウンリストに表示されてもよい。
【0084】
ボタン3634にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、フィールド3632~3633に入力された情報を含む作成要求を、サーバ2へ送信する。なお、フィールド3633に入力がない場合は、専門属性情報の値はNULLが設定される。
【0085】
また、プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、サーバ2から作成通知を受信すると、スレッドを作成し、管理する。具体的には、プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、作成通知に含まれるグループIDに対応するスレッドIDに、作成通知に含まれる患者IDおよび専門属性情報と関連付けてスレッド情報を作成し、作成したスレッド情報をスレッド情報データベース341に格納する。
【0086】
プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、端末側情報交換処理を実行する。端末側情報交換処理は、メッセージ送信側処理と、メッセージ受信側処理とを含む。まず、メッセージ送信側処理について説明する。
【0087】
プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、医療従事者の入力操作に応じてスレッド選択画面3641を作成し、出力装置33に表示させる。スレッド選択画面3641は、所望するスレッドを医療従事者に選択させるための画面である。図19は、スレッド選択画面3641の一例を示す図である。図19に示すとおり、スレッド選択画面3641は、例えば、フィールド3642~3643、ボタン3644、およびリスト3645を含む。
【0088】
フィールド3642~3643は、所望するスレッドを検索する条件の入力を受け付ける。フィールド3642は、患者IDの入力を受け付ける。フィールド3643は、専門属性情報の入力を受け付ける。フィールド3643は選択式であることが好ましい。予め用意されたドロップダウンリスト等に表示される専門属性情報を選択することにより専門属性情報がフィールド3643に自動設定されることが好ましい。
【0089】
ボタン3644にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、スレッド情報データベース341を検索し、フィールド3642および3643に入力された患者IDおよび専門属性情報に関連付けられているスレッドIDを有するスレッドを取得し、取得したスレッドの各々をリスト3645に一覧表示する。図19に示す例では、患者ID「P101」および専門属性情報「WOC」が関連付けられているスレッドIDを有するスレッドがリスト3645に一覧表示される。
【0090】
リスト3645にてスレッドの選択操作を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、メッセージ情報データベース342を検索し、選択されたスレッドに応じたスレッド画面3646を作成し、出力装置33に表示させる。図4は、スレッド画面3646の一例を示す図である。図4に示すとおり、スレッド画面3646は、例えば、フィールド3647~3649、およびボタン3650~3651を含む。
【0091】
フィールド3647は、スレッドに関する情報を表示する。図4に示す例では、スレッドに関する情報として、スレッド名、患者ID、患者氏名、作成日時が表示されている。フィールド3648は、情報交換されたメッセージを時系列に表示する。メッセージは、メッセージ情報データベース342に格納されているデータ本体であり、テキストであってもよいし、静止画であってもよいし、動画像であってもよい。図4に示す例では、データ本体として、相談事項を示すテキストに加えて、患者の患部に関する静止画、患者の患部に関する動画像が示されている。フィールド3649は、新たなメッセージの投稿を受け付ける。受け付けるメッセージは、テキストであってもよいし、静止画であってもよいし、動画像であってもよい。
【0092】
ボタン3650にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、メッセージ情報をサーバ2へ送信する。メッセージ情報には、フィールド3649に入力されたデータ本体、スレッドのスレッドID、メッセージを投稿した医療従事者の医療従事者ID、およびメッセージ情報を識別するためのメッセージIDが含まれる。また、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、サーバ2へ送信したメッセージ情報を管理する。具体的には、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、サーバ2へ送信したメッセージ情報をメッセージ情報データベース342に格納する。
【0093】
ボタン3651は、スレッド内で情報交換できる医療従事者の属性情報(医療従事者ID、氏名など)の表示と非表示とを切り替える操作を受け付けるトグルボタンである。当該属性情報は、例えばサーバ2から取得する。具体的には、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、サーバ2に対してスレッドIDを含む医療従事者取得要求を送信する。サーバ2は、グループ情報データベース223を検索し、医療従事者取得要求に含まれるスレッドIDに対応するグループIDに関連付けられている医療従事者IDを取得する。続いてサーバ2は、アカウント情報データベース221を検索し、グループ情報データベース223から取得した医療従事者IDが関連付けられている医療従事者の属性情報を取得し、取得した属性情報を、医療従事者取得要求を送信した端末3に送信する。
【0094】
次に、メッセージ受信側処理について説明する。プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、サーバ2からメッセージ情報を受信すると、受信したメッセージ情報を管理する。具体的には、情報交換部364は、例えば、メッセージ情報に含まれるメッセージID、スレッドID、医療従事者ID、およびデータ本体を、メッセージ情報データベース342に格納する。
【0095】
また、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、スレッド画面3646が表示されているときにメッセージ情報を受信すると、受信したメッセージ情報に応じてフィールド3648の表示内容を更新する。
【0096】
また、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、スレッド画面3646が表示されていないときにメッセージ情報を受信すると、メッセージ情報を受信したこと示す通知情報を出力装置33に表示させてもよい。通知情報の通知態様は、例えば、通知ドット、ポップアップ通知、バナー通知などである。通知情報により、医療従事者は、メッセージを受信したことを認識し易くなる。プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、表示された通知情報に対する医療従事者による操作に応じて、スレッド画面3646を出力装置33に表示させてもよい。
【0097】
〔グループおよびスレッドの作成処理の流れの例〕
図20は、本実施形態に係る情報交換方法の一部である、グループおよびスレッドの作成処理の流れの例を示すフローチャートである。まず、作成要求を送信する端末3にて行われる処理について符号2001に示すフローチャートを参照しながら説明する。符号2001に示すフローチャートに示す各処理は、端末3のプロセッサ35が実行する処理である。まず、プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、医療従事者の入力操作に応じて作成要求画面3631を出力装置33に表示させる(S11)。続いて、プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、作成要求画面3631にて患者IDおよび専門属性情報の入力を受け付け(S12)、入力された情報を含む作成要求を、サーバ2へ送信する(S13)。
【0098】
次に、サーバ2にて行われる処理について符号2002に示すフローチャートを参照しながら説明する。符号2002に示すフローチャートに示す各処理は、サーバ2のプロセッサ23が実行する処理である。プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、上述したステップS13にて送信された作成要求を受信すると(S21)、患者情報データベース222から、受信した作成要求に含まれる患者IDに関連付けられている医療機関IDを検索する(S22)。続いて、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、ステップS22~S24で、受信した作成要求に合致する医療従事者を検索する。以下、プロセッサ23が、グループ管理部243の指示に従って、上述した検索パターンQ1でアカウント情報データベース221を検索する場合について説明する。この場合、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、アカウント情報データベース221から、患者情報データベース222から取得した医療機関IDに関連付けられている医療従事者IDのうち、受信した作成要求に含まれる専門属性情報が関連付けられている医療従事者IDを検索する(S23)。また、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、アカウント情報データベース221から、受信した作成要求に含まれる患者IDが関連付けられている医療従事者IDを検索する(S24)。続いて、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、ステップS23およびS24で検索した医療従事者IDの和集合および作成要求を送信した医療従事者の医療従事者IDに対して、新たに作成したグループIDを関連付けたグループを作成し、グループ情報データベース223に格納する(S25)。続いて、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、アカウント情報データベース221を検索し、作成したグループに含まれる医療従事者IDに関連付けられている通信アドレスを取得する(S26)。続いて、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、取得した通信アドレスを有する端末3の各々に対して作成通知を送信する(S27)。
【0099】
次に、作成通知を受信する端末3にて行われる処理について符号2003に示すフローチャートを参照しながら説明する。符号2003に示すフローチャートに示す各処理は、端末3のプロセッサ35が実行する処理である。プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、上述したステップS27にて送信された作成通知を受信すると(S31)、作成通知に基づいてスレッド情報を作成する(S32)。具体的には、プロセッサ35は、スレッド管理部363の指示に従って、作成通知に含まれるグループIDに対応するスレッドIDに、作成通知に含まれる患者IDおよび専門属性情報と関連付けてスレッド情報を作成し、作成したスレッド情報をスレッド情報データベース341に格納する。
【0100】
〔情報交換処理の流れの例〕
図21は、本実施形態に係る情報交換方法の一部である、情報交換処理の流れの例を示すフローチャートである。まず、メッセージを送信する端末3にて行われる処理について符号2101に示すフローチャートを参照しながら説明する。符号2101に示すフローチャートに示す各処理は、端末3のプロセッサ35が実行する処理である。まず、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、医療従事者の入力操作に応じてスレッド選択画面3641を出力装置33に表示させ、スレッドの選択を受け付ける(S41)。続いて、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、選択されたスレッドに応じたスレッド画面3646を出力装置33に表示させ、メッセージの投稿を受け付ける(S42)。続いて、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、受け付けたメッセージを含むメッセージ情報を、メッセージ情報データベース342に格納するとともにサーバ2へ送信する(S43)。
【0101】
次に、サーバ2にて行われる処理について符号2102に示すフローチャートを参照しながら説明する。符号2102に示すフローチャートに示す各処理は、サーバ2のプロセッサ23が実行する処理である。プロセッサ23は、情報交換部244の指示に従って、上述したステップS43にて送信されたメッセージ情報を受信すると(S51)、グループ情報データベース223を検索し、受信した受信したメッセージ情報に含まれるスレッドIDに対応するグループIDに関連付けられている医療従事者IDを取得する(S52)。続いて、プロセッサ23は、情報交換部244の指示に従って、アカウント情報データベース221を検索し、グループ情報データベース223から取得した医療従事者IDに関連付けられている通信アドレスを取得する(S53)。続いて、プロセッサ23は、情報交換部244の指示に従って、取得した通信アドレスを有する端末3の各々(ただし、メッセージ情報の送信元の端末3を除く)に、受信したメッセージ情報を送信する(S54)。
【0102】
次に、メッセージ情報を受信する端末3にて行われる処理について符号2103に示すフローチャートを参照しながら説明する。符号2103に示すフローチャートに示す各処理は、端末3のプロセッサ35が実行する処理である。プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、上述したステップS54にてサーバ2から送信されたメッセージ情報を受信すると(S61)、受信したメッセージ情報を管理する(S62)。具体的には、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、例えば、メッセージ情報に含まれるメッセージID、スレッドID、医療従事者ID、およびデータ本体を、メッセージ情報データベース342に格納する。そして、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、受信したメッセージ情報に応じて、例えばスレッド画面を出力装置33に表示させる、または、出力装置33に表示されているスレッド画面を更新する(S63)。プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、メッセージ情報を受信したこと示す通知情報を出力装置33に表示させてもよい。
【0103】
〔変形例1:ビデオ通話〕
情報システム1は、グループ内の医療従事者間でビデオ通話を行わせる機能を有していてもよい。医療従事者間でビデオ通話を行うことにより、患者の状況を視認しながら情報交換することができる。ビデオ通話機能は、動画像を送受信すること加えて、ペイントツールを用いて文字や画像を動画像に重畳表示させる機能を備えていてもよい。
【0104】
ビデオ通話を実行させる契機となる操作は、例えば、スレッド画面3646にて受け付けてもよい。図22は、本変形例に係るスレッド画面3646の一例を示す図である。図22に示すとおり、本変形例に係るスレッド画面3646は、ボタン3652を含む。ボタン3652は、ビデオ通話を実行させる操作を受け付ける。ボタン3652にて操作を受け付けると、情報交換部364は、例えば、ビデオ通話アプリケーションを呼び出してビデオ通話を実行させる。
【0105】
ビデオ通話の要求先は、グループ内の医療従事者の全てであってもよいし、一部であってもよい。グループ内の医療従事者の全てに対してビデオ通話要求を行う場合の処理の流れについて説明する。プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、ボタン3652にて操作を受け付けたスレッド画面3646に表示されているスレッドのスレッドIDを含むビデオ通話要求をサーバ2に送信する。サーバ2は、グループ情報データベース223を検索し、ビデオ通話要求に含まれるスレッドIDに対応するグループIDに関連付けられている医療従事者IDを取得する。続いてサーバ2は、アカウント情報データベース221を検索し、グループ情報データベース223から取得した医療従事者IDが関連付けられている通信アドレスを取得する。続いてサーバ2は、取得した通信アドレスを有する端末3のうちビデオ通話要求元を除いた端末3に対してビデオ通話要求を送信する。ビデオ通話要求を受信した端末3のいずれかにおいて医療従事者から受電操作を受け付けると、ビデオ通話要求元の端末3との間でビデオ通話が開始される。ビデオ通話が開始される端末3の情報交換部364は、ビデオ通話画面3653を出力装置33に表示させる。
【0106】
図23は、ビデオ通話画面3653の一例を示す図である。図23に示すとおり、ビデオ通話画面3653は、例えば、フィールド3654~3655、およびボタン3656を含む。フィールド3654は、ビデオ通話相手である医療従事者の情報を表示する。フィールド3655は、ビデオ通話相手である医療従事者の端末3で撮影されている動画像を表示する。図23に示す例では、フィールド3655には、患者の患部を撮影した動画像が表示されている。ボタン3656にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、ビデオ通話を終了させる。なお、情報システム1は、グループ内の医療従事者間で音声通話を行わせる機能を有していてもよい。
【0107】
〔変形例2:ビデオ通話予約〕
情報システム1は、医療従事者間で行うビデオ通話を予約させる機能を有していてもよい。予約機能は、ビデオ通話要求に対して即時応答することが困難である医療従事者とのビデオ通話を行うために有用である。
【0108】
本変形例に係るサーバ2は、ビデオ通話の予約を管理する機能を有している。図24に示すように、本変形例に係るサーバ2の記憶装置22は、アカウント情報データベース221、患者情報データベース222、およびグループ情報データベース223に加えて、さらに、ビデオ通話予約情報データベース224を記憶する。ビデオ通話予約情報データベース224は、ビデオ通話予約情報を記憶するデータベースであり、例えばRDBである。図25は、ビデオ通話予約情報データベース224がRDBである場合のデータ構造の例を示す図である。図25に示すように、ビデオ通話予約情報には、例えば、予約ID、グループID、予約時間帯が含まれる。
【0109】
予約IDは、予約の識別情報である。予約IDには、図25に示すように、例えば、グループID、予約時間帯が関連付けられる。予約IDには、予約に関するさらなる属性情報(例えば、予約名、予約者など)が関連付けられてもよい。グループIDは、予約IDで識別される予約されたビデオ通話を行うグループのグループIDであり、グループ情報データベース223で管理されるグループIDと同じコード体系である。予約時間帯は、予約IDで識別される予約されたビデオ通話を実行する時間帯である。
【0110】
本変形例に係るサーバ2のアプリケーション24は、図26に示すように、アカウント管理部241、患者管理部242、グループ管理部243、および情報交換部244に加えて、さらに、ビデオ通話予約管理部245を含む。プロセッサ23は、ビデオ通話予約管理部245の指示に従って、医療従事者による入力操作に応じて端末3から送信されるビデオ通話予約要求を受信し、ビデオ通話予約要求に含まれるビデオ通話予約情報をビデオ通話予約情報データベース224に格納する。
【0111】
また、プロセッサ23は、ビデオ通話予約管理部245の指示に従って、医療従事者による入力操作に応じて端末3から送信されるビデオ通話予約検索要求を受信すると、ビデオ通話予約情報データベース224を検索し、ビデオ通話予約検索要求に含まれるスレッドIDに対応するグループIDに関連付けられている予約IDで示される予約情報を取得し、取得した予約情報をビデオ通話予約検索要求元の端末3へ送信する。
【0112】
また、プロセッサ23は、ビデオ通話予約管理部245の指示に従って、予約されているビデオ通話の開始時刻が近づいていることを示す通知情報を端末3へ送信してもよい。この場合、プロセッサ23は、ビデオ通話予約管理部245の指示に従って、ビデオ通話予約情報データベース224を検索し、現在時刻から所定時間後(例えば、15分後)の予約時間帯が関連付けられている予約情報の有無を調べる。当該予約情報が存在する場合、プロセッサ23は、ビデオ通話予約管理部245の指示に従って、グループ情報データベース223を検索し、当該予約情報に含まれるグループIDに関連付けられている医療従事者IDを取得する。続いて、プロセッサ23は、ビデオ通話予約管理部245の指示に従って、アカウント情報データベース221を検索し、グループ情報データベース223から取得した医療従事者IDに関連付けられている通信アドレスを取得する。続いて、プロセッサ23は、ビデオ通話予約管理部245の指示に従って、取得した通信アドレスを有する端末3の各々に、ビデオ通話の開始時刻が近づいていることを示す通知情報を送信する。通知情報を受信した端末3は、出力装置33に通知情報を表示する。通知情報の通知態様は、例えば、ポップアップ通知、バナー通知などである。
【0113】
本変形例に係る端末3の情報交換部364は、ビデオ通話予約機能、およびビデオ通話予約検索機能を有している。まず、ビデオ通話予約機能について説明する。
【0114】
ビデオ通話予約を開始するための操作は、例えば、スレッド画面3646にて受け付ける。図27は、本変形例に係るスレッド画面3646の一例を示す図である。図27に示すとおり、本変形例に係るスレッド画面3646は、ボタン3661を含む。ボタン3661にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、ビデオ通話予約画面3657を作成し、出力装置33に表示させる。
【0115】
ビデオ通話予約画面3657は、ビデオ通話の予約を受け付けるための画面である。図28は、ビデオ通話予約画面3657の一例を示す図である。図28に示すとおり、ビデオ通話予約画面3657は、例えば、リスト3658、およびボタン3659を含む。リスト3658は、ビデオ通話の予約可能時間枠を表示するともに、所望する予約時間枠の選択入力を受け付ける。予約可能時間枠は、例えば、グループ内の医療従事者が所属する医療機関におけるスケジュール管理システムから取得した医療従事者の勤務スケジュールを考慮して設定すればよい。ボタン3659は、予約可能時間枠の表示と非表示とを切り替える操作を受け付けるトグルボタンである。
【0116】
リスト3658にて所望する予約時間枠の選択入力を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、図29に示す確認画面3660を作成し、出力装置33に表示させてもよい。予約時間枠の受け付けが決定すると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、ビデオ通話予約情報を含むビデオ通話予約要求をサーバ2へ送信する。当該予約情報は、新たに作成した予約ID、リスト3658にて受け付けた予約時間枠、ビデオ通話予約画面3657の呼び出し元であるスレッド画面3646に表示されるスレッドのスレッドIDを含む。
【0117】
次に、ビデオ通話予約検索機能について説明する。プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、医療従事者の入力操作に応じてビデオ通話予約検索画面3662を作成し、出力装置33に表示させる。ビデオ通話予約検索画面3662は、所望する予約情報の検索を受け付けるための画面である。図30は、ビデオ通話予約検索画面3662の一例を示す図である。図30に示すとおり、ビデオ通話予約検索画面3662は、例えば、フィールド3663~3664、ボタン3665、および、リスト3666を含む。
【0118】
フィールド3663~3664は、所望する予約を検索する条件の入力を受け付ける。フィールド3663は、患者IDの入力を受け付ける。フィールド3664は、専門属性情報の入力を受け付ける。フィールド3664は選択式であることが好ましい。予め用意されたドロップダウンリスト等に表示される専門属性情報を選択することにより専門属性情報がフィールド3664に自動設定されることが好ましい。
【0119】
ボタン3665にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、スレッド情報データベース341を検索し、フィールド3663および3664に入力された患者IDおよび専門属性情報に関連付けられているスレッドIDを取得する。そして、情報交換部364は、取得したスレッドIDを含むビデオ通話予約検索要求をサーバ2へ送信し、その応答としてサーバ2から返信される予約情報をリスト3666に一覧表示する。
【0120】
リスト3666にて予約情報の選択操作を受け付けると、プロセッサ35は、情報交換部364の指示に従って、例えば、選択された予約情報に関連付けられている予約時間帯が到来したら、ビデオ通話アプリケーションを呼び出してビデオ通話を実行させる。
【0121】
〔変形例3:レポート作成〕
情報システム1は、スレッドで情報交換されたメッセージを含むレポートを作成可能であってもよい。これにより、レポート作成に要する医療従事者の負担を軽減することができる。
【0122】
本変形例に係る端末3のアプリケーション36は、図31に示すように、アカウント登録部361、患者登録部362、スレッド管理部363、および情報交換部364に加えて、さらに、レポート作成部365を含む。レポート作成を開始するための操作は、例えば、スレッド画面3646にて受け付ける。図32は、本変形例に係るスレッド画面3646の一例を示す図である。図32に示すとおり、本変形例に係るスレッド画面3646は、ボタン3676を含む。ボタン3676にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、レポート作成部365の指示に従って、レポート作成画面3671を作成し、出力装置33に表示させる。
【0123】
レポート作成画面3671は、スレッドで情報交換されたメッセージからレポートを作成するための画面である。図33は、レポート作成画面3671の一例を示す図である。図33に示すとおり、レポート作成画面3671は、例えば、フィールド3672、チェックボックス3673、およびボタン3674を含む。フィールド3672は、メッセージを表示する。チェックボックス3673は、メッセージをレポートに出力するか否かの選択を受け付ける。
【0124】
ボタン3674にて操作を受け付けると、プロセッサ35は、レポート作成部365の指示に従って、チェックボックス3673にて選択されているメッセージを含むレポート3675を出力装置33に出力させる。図34は、レポート3675の一例を示す図である。
【0125】
〔変形例4:患者情報〕
患者情報データベース222は、患者IDに関連付けて、患者IDで識別される患者に施される医療の専門性を示す専門属性情報をさらに記憶してもよい。この場合、図17に示す患者登録画面3621は、さらに専門属性情報の入力を受け付けるフィールドが設けられてもよい。この場合、図18に示す作成要求画面3631において、患者IDを入力し、かつ、専門属性情報を入力しない状態で作成要求がなされた場合、プロセッサ23は、グループ管理部243の指示に従って、作成要求に含まれる患者IDに関連付けられた専門属性情報を患者情報データベース222から取得し、取得した専門属性情報が関連付けられた医療従事者をアカウント情報データベース221から取得し、取得した医療従事者を含むグループを作成してもよい。
【0126】
〔変形例5:グループ〕
情報システム1が作成するグループX1は、患者Aを担当する一般看護師G2および訪問看護師V2と、専門看護師S1およびS2とを含むが、一般看護師G2および訪問看護師V2を含まず、専門看護師からなるグループであってもよい。
【0127】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 情報システム
2 サーバ(情報処理装置)
3 端末
22、34 記憶装置
23、35 プロセッサ(制御部)
24、36 アプリケーション
3675 レポート
M1、M2 医療機関
S1、S2、S3、S4 専門看護師(医療従事者)
G1、G2 一般看護師(医療従事者)
V1、V2 訪問看護師(医療従事者)
X1、X2、X3 グループ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図26
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図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34