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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101308
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/26 20060101AFI20240722BHJP
   B65D 21/032 20060101ALI20240722BHJP
   B65D 85/34 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B65D5/26
B65D21/032
B65D85/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005216
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 典生
【テーマコード(参考)】
3E006
3E060
3E096
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA02
3E006CA04
3E006DA03
3E006DB04
3E060AA03
3E060AB19
3E060BC02
3E060CA01
3E060CA12
3E060CA23
3E060CD04
3E060CD20
3E060DA11
3E060DA23
3E060EA12
3E096AA03
3E096BA27
3E096CA06
3E096CB03
3E096DA02
3E096EA01X
3E096FA08
3E096FA10
3E096FA28
(57)【要約】
【課題】左右の側壁を支持するためのフラップによって内容物が損傷するのを防ぐことができるトレイを提供する。
【解決手段】トレイ1であって、左右の側壁30,30を有し、一方の側壁30に第一フラップ50が連設され、他方の側壁30に第二フラップ60が連設されている。第一フラップ50から第一係合片52が延出され、第二フラップ60から第二係合片62が延出されている。第一係合片52に形成された第一窪み部54と、第二係合片62に形成された第二窪み部64と、が噛み合わされている。第一係合片52の先端部53は、第二フラップ60の外面に重ねられ、第二係合片62の先端部63は、第一フラップ50の外面に重ねられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の前後の縁部に立ち上げられた前後の端壁と、
前記底板の左右の縁部に立ち上げられた左右の側壁と、を有し、
一方の前記側壁には、前記端壁の内面に重ねられた第一フラップが連設され、
他方の前記側壁には、前記端壁の内面に重ねられた第二フラップが連設されており、
前記第一フラップの先端縁部から第一係合片が延出され、
前記第二フラップの先端縁部から第二係合片が延出されており、
前記第一係合片の下縁部に形成された第一窪み部と、
前記第二係合片の上縁部に形成された第二窪み部と、が噛み合わされており、
前記第一係合片の先端部は、前記第二フラップの外面に重ねられ、
前記第二係合片の先端部は、前記第一フラップの外面に重ねられていることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレイであって、
前記第一係合片の先端部および前記第二係合片の先端部には、潰し加工が施されていることを特徴とするトレイ。
【請求項3】
請求項2に記載のトレイであって、
前記第一フラップおよび前記第二フラップの少なくとも一方の上縁部には、上方に向けて突出した差込部が形成されており、
前記底板には、差込穴が形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項4】
請求項1に記載のトレイであって、
前記第一フラップの先端縁部において、前記第一係合片の上側には、第一手掛け凹部が形成され、
前記第二フラップの先端縁部において、前記第二係合片の上側には、第二手掛け凹部が形成され、
前記第一手掛け凹部および前記第二手掛け凹部は、前記端壁に形成された手掛け穴に連通しており、
前記第一手掛け凹部の下縁部は、前記第一係合片の上縁部に連続し、
前記第二手掛け凹部の下縁部は、前記第二係合片の上縁部に連続していることを特徴とするトレイ。
【請求項5】
請求項4に記載のトレイであって、
前記第二係合片の先端部の上縁部から前記第二手掛け凹部の上縁部までの最大高さよりも、
前記第一係合片の先端部の下縁部から前記第一手掛け凹部の下縁部までの最大高さが大きく形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項6】
請求項5に記載のトレイであって、
前記第二窪み部の下端部から前記第二手掛け凹部の底部側の端部までの最大幅よりも、
前記第一窪み部の上端部から前記第一係合片の先端縁部までの最大幅が大きく形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項7】
請求項1に記載のトレイであって、
前記側壁は、前記底板の法線に対して内側に傾いていることを特徴とするトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製のトレイとしては、左右の側壁に連設された左右のフラップを備え、一方のフラップの上縁部に形成された窪み部と、他方のフラップの下縁部に形成された窪み部とを噛み合わせることで、両側壁を支持しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6974643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のトレイでは、一方のフラップの先端部が他方のフラップの内面に重なり、他方のフラップの先端部が一方のフラップの内面に重なっている。このように、両フラップの先端部がトレイの内部空間側に配置されていると、フラップの先端部に内容物が接触して損傷する可能性がある。特に、トレイ内に青果物を収容した場合には、フラップの先端部によって青果物が損傷し易い。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、左右の側壁を支持するためのフラップによって内容物が損傷するのを防ぐことができるトレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のトレイは、底板と、前記底板の前後の縁部に立ち上げられた前後の端壁と、前記底板の左右の縁部に立ち上げられた左右の側壁と、を有している。一方の前記側壁には、前記端壁の内面に重ねられた第一フラップが連設され、他方の前記側壁には、前記端壁の内面に重ねられた第二フラップが連設されている。前記第一フラップの先端縁部から第一係合片が延出され、前記第二フラップの先端縁部から第二係合片が延出されている。前記第一係合片の上縁部に形成された第一窪み部と、前記第二係合片の下縁部に形成された第二窪み部と、が噛み合わされている。前記第一係合片の先端部は、前記第二フラップの外面に重ねられ、前記第二係合片の先端部は、前記第一フラップの外面に重ねられている。
【0007】
本発明のトレイでは、左右のフラップの先端部が互いにフラップの外面に重なり、トレイの内部空間側に両フラップの先端部が配置されないため、フラップの先端部によって内容物が損傷するのを防ぐことができる。
【0008】
本発明のトレイでは、端壁と第一フラップとの間に第二フラップの第二係合片の先端部が挟まれ、端壁と第二フラップとの間に第一フラップの第一係合片の先端部が挟まれることになる。そこで、前記第一係合片の先端部および前記第二係合片の先端部に潰し加工を施して、両係合部の先端部を薄くすることが好ましい。
この構成では、係合片の先端部によってフラップがトレイの内部空間側に押し出される量を少なくできる。すなわち、トレイの内部空間側の容積をより広くすることができる。
このようにすると、前記第一フラップおよび前記第二フラップの少なくとも一方の上縁部に上方に向けて突出した差込部を形成し、前記底板に他のトレイの差込部が差し込まれる差込穴を形成した場合に、差込穴の前後方向の幅を小さくできる。
【0009】
前記第一フラップの先端縁部において、前記第一係合片の上側には、第一手掛け凹部を形成し、前記第二フラップの先端縁部において、前記第二係合片の上側には、第二手掛け凹部を形成し、前記第一手掛け凹部および前記第二手掛け凹部を、前記端壁に形成された手掛け穴に連通させることで、包装箱の端壁側に手掛け部を設けることができる。
また、前記第一手掛け凹部の下縁部を、前記第一係合片の上縁部に連続させ、前記第二手掛け凹部の下縁部を、前記第二係合片の上縁部に連続させることで、フラップのスペースを有効に利用して手掛け部を設けることができる。
【0010】
前記したトレイにおいて、前記第二係合片の先端部の上縁部から前記第二手掛け凹部の上縁部までの最大高さよりも、前記第一係合片の先端部の下縁部から前記第一手掛け凹部の下縁部までの最大高さを大きく形成することが好ましい。
前記したトレイにおいて、前記第二窪み部の下端部から前記第二手掛け凹部の底部側の端部までの最大幅よりも、前記第一窪み部の上端部から前記第一係合片の先端縁部までの最大幅を大きく形成することが好ましい。
これらの構成では、第一窪み部と第二窪み部とを噛み合わせるときに、第一係合片の先端部が第二フラップの外面側から第二手掛け凹部を通過し難くなるため、トレイを組み立てる際に、第一係合片の先端部が第二フラップの内面に重ねられ、第二係合片の先端部が第一フラップの内面に重ねられた状態で組み立てられてしまうことが妨げられる。すなわち、前記した構成では、第一係合片の先端部が第二フラップの外面に重ねられ、第二係合片の先端部が第一フラップの外面に重ねられた状態で組み立てられるように誘導することができる。
【0011】
前記したトレイにおいて、前記側壁を前記底板の法線に対して内側に傾かせることが好ましい。この構成では、複数のトレイを積み重ねたときなど、トレイに上方から荷重が作用したときに、側壁が外側に傾き難くなる。さらに、側壁が内側に傾いていることで、トレイを積み重ねた際に、上側のトレイの底板を下側のトレイの側壁の上端部全体で確実に支えることができる。つまり、トレイの耐荷重を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトレイでは、左右の側壁を支持するための両フラップの先端部が内部空間の反対側に配置されるため、青果物などの内容物が損傷するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るトレイを後方右上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るトレイのブランクシートを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係るトレイにおける第一フラップおよび第二フラップを後方から見た断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るトレイを示した図で、端壁を底板に対して立ち上げる前の状態を示した斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るトレイにおける係合片および手掛け凹部を示した説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るトレイにおいて両フラップを組み合わせる態様を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態のトレイを説明する上で便宜上設定したものであり、トレイの構成や使用状態を限定するものではない。
【0015】
本実施形態のトレイ1は、図1に示すように、底板10と、底板10の前後の縁部にそれぞれ立ち上げられた前後の端壁20,20と、底板10の左右の縁部にそれぞれ立ち上げられた左右の側壁30,30と、を備えている。底板10は、四角形の平板である(図2参照)。
【0016】
本実施形態のトレイ1は、図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続して線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0017】
左側の側壁30は、図4に示すように、折れ線を介して底板10の左縁部に連設されている。右側の側壁30は、折れ線を介して底板10の右縁部に連設されている。左右の側壁30,30は、底板10に対して立ち上げられている。左右の側壁30,30は、四角形の同じ形状に形成されている。
【0018】
側壁30の上縁部の前端部および後端部には、前後の連結片31,31が形成されている。連結片31は、側壁30に対して内側に折り曲げられている。連結片31には、連結穴32が形成されている。
【0019】
右側の側壁30の前縁部には、折れ線を介して第一フラップ50が連設されている。第一フラップ50は、側壁30に対して内面側(左右方向の中央側)に折り曲げられている。第一フラップ50は、後記する前側の端壁20の内面に重ねられる部位である。
【0020】
右側の側壁30の後縁部には、折れ線を介して第二フラップ60が連設されている。第二フラップ60は、側壁30に対して内面側(左右方向の中央側)に折り曲げられている。第二フラップ60は、後記する前側の端壁20の内面に重ねられる部位である。
【0021】
図2に示すブランクシートSにおいて、側壁30の側縁部L32は、側壁30の下縁部L31に対して直角に形成されている。
側壁30の側縁部L32と、第一フラップ50の下縁部L51とが成す角度θは88.5°に設定されている。また、側壁30の側縁部L32と、第二フラップ60の下縁部L61とが成す角度θは88.5°に設定されている。なお、角度θとしては、例えば、85°~89°に設定することが好ましい。
この構成では、図3に示すように、側壁30を底板10に対して立ち上げて、第一フラップ50の下縁部および第二フラップ60の下縁部を底板10の上面に重ねると、側壁30が底板10の上面の法線(図3中の一点鎖線)に対して内側(左右方向の中央側)に僅かに傾いた状態となる。
【0022】
また、左側の側壁30では、図4に示すように、前縁部に第二フラップ60が連設され、後縁部に第一フラップ50が連設されている。左側の側壁30に連設された第一フラップ50および第二フラップ60は、右側の側壁30に連設された第一フラップ50および第二フラップ60とは、前後の配置が逆である以外は同じ構成である。
【0023】
第一フラップ50の上縁部の先端部には、上方に向けて突出した第一差込部51が形成されている。また、第二フラップ60の上縁部の先端部には、上方に向けて突出した第二差込部61が形成されている。第一差込部51および第二差込部61は、左右方向に並べられている。
【0024】
後側の端壁20は、図1に示すように、折れ線を介して底板10の後縁部に連設されている。端壁20は、底板10に対して垂直に立ち上げられている。後側の端壁20は、後側の第一フラップ50および第二フラップ60の外面に重ねられている。
端壁20の上部には、手掛け穴21が形成されている。本実施形態の手掛け穴21は、横方向に延びている長円形に形成されており、端壁20の左右方向の中央部に配置されている。手掛け穴21は、トレイ1を持ち運ぶときに手を差し込む部位である。
端壁20の上縁部の中央部には、差込部22が上方に向けて突出している。差込部22の内面側には、第一差込部51および第二差込部61が配置される。
【0025】
底板10と端壁20との角部において、左右方向の中央部には、差込穴11が形成されている。複数のトレイ1を積み重ねたときに、上側のトレイ1の差込穴11に、下側のトレイ1の差込部22、第一差込部51および第二差込部61が差し込まれるように構成されている。
【0026】
端壁20の上縁部には、折れ線を介して桟板70が連設されている。桟板70は、端壁20の上縁部に沿って帯状に形成されている。桟板70は、端壁20に対して内側に直角に折り曲げられている。
桟板70の左右方向の中央部の前部には、挿通穴71が形成されている。挿通穴71には、第一差込部51および第二差込部61が挿通されている。これにより、第一差込部51および第二差込部61が桟板70よりも上方に突出している。
【0027】
桟板70の左右の縁部には、連結片72,72が折れ線を介して連設されている。左右の連結片72,72を左右の側壁30,30の連結穴32,32にそれぞれ差し込むことで、桟板70が両側壁30,30の上縁部に連結されている。
【0028】
前側の端壁20は、前側の端壁20と前後対称な構成であり、底板10の前縁部に連設されている。前側の端壁20は、前側の第一フラップ50および第二フラップ60の外面に重ねられている。また、前側の前側の端壁20に連設された桟板70が両側壁30,30に連結されている。
【0029】
次に、本実施形態のトレイ1における第一フラップ50と第二フラップ60との連結構造について説明する。
本実施形態のトレイ1では、図4に示すように、前部と後部における第一フラップ50と第二フラップ60との連結構造は同様な構成である。したがって、以下の説明では、後部における第一フラップ50と第二フラップ60との連結構造について説明し、前部における第一フラップ50と第二フラップ60との連結構造については説明を省略する。
【0030】
本実施形態のトレイ1では、図5に示すように、第一フラップ50の先端縁部(左右方向の中央側の縁部)に、第一係合片52および第一手掛け凹部55が形成されている。また、第二フラップ60の先端縁部(左右方向の中央側の縁部)に、第二係合片62および第二手掛け凹部65が形成されている。
【0031】
第一係合片52は、第一フラップ50の先端縁部の下部から第二フラップ60側に延出されている。
第一係合片52の下縁部には、第一窪み部54が形成されている。第一窪み部54は、上向きに逆V字形状に窪んだ部位である。
第一係合片52の下縁部の基端部と第一窪み部54との間の領域は、基端側に向かうに連れて下がるように傾斜しており、第一窪み部54の内縁部に連続している。
第一係合片52において、第一窪み部54よりも先端側の先端部53には、ブランクシートS(図2参照)の製造時に潰し加工が施されており(図2において斜線でハッチングした領域)、他の部位よりも薄く形成されている。
【0032】
第一手掛け凹部55は、第一フラップ50の先端縁部において、第一係合片52の上側に形成されている。第一手掛け凹部55は、第一フラップ50の先端縁部から横方向に窪んだ部位である。
第一手掛け凹部55の上縁部および下縁部は、第一フラップ50の上縁部に沿って直線状に形成されている。第一手掛け凹部55の底部側の縁部は湾曲している。すなわち、第一手掛け凹部55の縁は、横U字状を呈している。
第一手掛け凹部55は、図1に示すように、端壁20に形成された手掛け穴21の左側の領域に連通する部位(すなわち、手掛け穴21の左側の領域の外面側に配置される部位)である。
【0033】
第二係合片62は、図5に示すように、第二フラップ60の先端縁部の下部から第一フラップ50側に延出されている。
第二係合片62の上縁部には、第二窪み部64が形成されている。第二窪み部64は、下向きにV字形状に窪んだ部位である。
第二係合片62において、第二窪み部64よりも先端側の先端部63には、ブランクシートS(図2参照)の製造時に潰し加工が施されており(図2において斜線でハッチングした領域)、他の部位よりも薄く形成されている。
【0034】
第二手掛け凹部65は、第二フラップ60の先端縁部において、第二係合片62の上側に形成されている。第二手掛け凹部65は、第二フラップ60の先端縁部から横方向に窪んだ部位である。
第二手掛け凹部65の上縁部は、第二フラップ60の上縁部に沿って直線状に形成されている。第二手掛け凹部65の底部側の縁部は湾曲している。
第二手掛け凹部65の下縁部は、第二フラップ60の先端側に向かうに連れて下がるように傾斜しており、第二係合片62の上縁部に連続している。本実施形態では、第二手掛け凹部65の下縁部から第二窪み部64の内縁部に亘って直線状に連続している。
第二手掛け凹部65は、図1に示すように、端壁20に形成された手掛け穴21の右側の領域に連通する部位(すなわち、手掛け穴21の右側の領域の外面側に配置される部位)である。
【0035】
本実施形態のトレイ1では、図3に示すように、第一係合片52の第一窪み部54と、第二係合片62の第二窪み部64とが上下方向に噛み合わされている。つまり、第一窪み部54の上端部(底部)と、第二窪み部64の下端部(底部)とが上下方向に重ね合わされている。
また、第一係合片52の先端部53は、第二フラップ60の外面に重ねられ、第二係合片62の先端部63は、第一フラップ50の外面に重ねられている。
このように、第一フラップ50の第一係合片52と、第二フラップ60の第二係合片62とが連結されることで、左右の側壁30,30が底板10に対して立ち上げられた状態に支持されている。
【0036】
本実施形態では、図5に示すように、第二係合片62の先端部63の上縁部から第二手掛け凹部65の上縁部までの最大高さH2よりも、第一係合片52の先端部53の下縁部から第一手掛け凹部55の下縁部までの最大高さH1が大きく形成されている。
【0037】
また、本実施形態では、第二窪み部64の下端部から第二手掛け凹部65の底部側の端部までの最大幅W2よりも、第一窪み部54の上端部から第一係合片52の先端縁部までの最大幅W1が大きく形成されている。
【0038】
以上のようなトレイ1では、図4に示すように、第一フラップ50の先端部53および第二フラップ60の先端部63が、互いにフラップ50,60の外面に重なる。このように、トレイ1の内部空間側に両フラップ50,60の先端部53,63が配置されないため、第一フラップ50の先端部53および第二フラップ60の先端部63によって内容物が損傷するのを防ぐことができる。
【0039】
本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、端壁20と第一フラップ50との間に第二フラップ60の第二係合片62の先端部63が挟まれ、端壁20と第二フラップ60との間に第一フラップ50の第一係合片52の先端部53が挟まれることになる。
本実施形態のトレイ1では、第一係合片52の先端部53および第二係合片62の先端部63に潰し加工が施されており、両係合部52,62の先端部53,63が薄く形成されているため、両係合部52,62の先端部53,63によって、第一フラップ50および第二フラップ60がトレイ1の内部空間側に押し出される量を少なくできる。すなわち、トレイ1の内部空間側の容積をより広くすることができる。
このようにすると、第一フラップ50の第一差込部51および第二フラップ60の第二差込部61がトレイ1の内部空間側に押し出される量も少なくなる。これにより、他のトレイ1の第一差込部51および第二差込部61が差し込まれる差込穴11の前後方向の幅を小さくできる。
【0040】
本実施形態のトレイ1では、図5に示すように、第一係合片52の上側に第一手掛け凹部55を形成するとともに、第二係合片62の上側に第二手掛け凹部65を形成している。そして、第一手掛け凹部55の下縁部を第一係合片52の上縁部に連続させ、第二手掛け凹部65の下縁部を第二係合片62の上縁部に連続させている。
このように、第一係合片52と第一手掛け凹部55とを上下方向に近づけるとともに、第二係合片62と第二手掛け凹部65とを上下方向に近づけることで、図3に示すように、両フラップ50,60のスペースを有効に利用して手掛け部を設けることができる。
【0041】
本実施形態のトレイ1では、図5に示すように、第一フラップ50の第一係合片52の先端部53が、第二フラップ60の第二手掛け凹部65の開口領域に対して大きく形成されている。そのため、図6に示すように、第一窪み部54と第二窪み部64とを噛み合わせるときに、第一係合片52の先端部53が第二手掛け凹部65の縁部に外側から当たることになる。
これにより、第一係合片52の先端部53が第二フラップ60の外面側から第二手掛け凹部65を通過し難くなる。また、第一係合片52の先端部53には、潰し加工が施されているため、第一係合片52の先端部53が第二手掛け凹部65の縁部に当たったときに、第一係合片52の先端部53が外側に向けて折れ曲がり易い。
このように、トレイ1では、図4に示すように、両フラップ50,60の先端部53,63が内部空間側の反対側に配置されるように、両フラップ50,60の組み立てを誘導することができる。
【0042】
本実施形態のトレイ1では、図3に示すように、左右の側壁30,30が底板10の法線に対して内側に傾いているため、複数のトレイ1を積み重ねたときなど、トレイ1に上方から荷重が作用したときに、両側壁30,30が外側に傾き難くなる。さらに、側壁30が内側に傾いていることで、トレイ1を積み重ねた際に、上側のトレイ1の底板10を下側のトレイ1の側壁30の上端部全体で確実に支えることができる。つまり、トレイ1の耐荷重を高めることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態のトレイ1では、図5に示すように、第一フラップ50の先端縁部に第一手掛け凹部55が形成され、第二フラップ60の先端縁部に第二手掛け凹部65が形成されているが、両フラップ50,60に手掛け凹部55,65を形成しなくてもよい。
【0044】
本実施形態のトレイ1では、第一フラップ50および第二フラップ60に差込部51,61が形成されているが、第一フラップ50および第二フラップ60の一方のみに差込部51,61を形成してもよい。さらには、両フラップ50,60に差込部51,61を形成しなくてもよい。
【0045】
本実施形態のトレイ1では、図3に示すように、側壁30が底板10の法線に対して内側に傾いているが、側壁30を底板10に対して垂直に配置してもよい。
【0046】
本実施形態のトレイ1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によってトレイを形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 トレイ
10 底板
11 差込穴
20 端壁
21 手掛け穴
22 差込部
30 側壁
31 連結片
32 連結穴
50 第一フラップ
51 第一差込部
52 第一係合片
53 先端部
54 第一窪み部
55 第一手掛け凹部
60 第二フラップ
61 第二差込部
62 第二係合片
63 先端部
64 第二窪み部
65 第二手掛け凹部
70 桟板
71 挿通穴
72 連結片
S ブランクシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6