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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101318
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】測定装置および選別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240722BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G01N21/85 A
B07C5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005240
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檜和田 貫児
(72)【発明者】
【氏名】沖本 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 知幸
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
【Fターム(参考)】
2G051AA04
2G051AB02
2G051BA02
2G051BA08
2G051BA20
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051DA13
2G051EA17
2G051EB01
3F079AC14
3F079AC15
3F079CA32
3F079CA41
3F079CB27
3F079CB32
3F079CB33
3F079CB34
3F079CB35
3F079CC03
3F079DA06
3F079EA10
3F079EA15
(57)【要約】
【課題】 ラインセンサおよびエリアセンサを備える測定装置をコンパクト化する。
【解決手段】 対象物の状態を測定するための測定装置は、対象物を移送するように構成された移送部と、移送部の作用によって移送中の対象物に電磁波を照射するように構成された電磁波照射源と、ラインセンサと、エリアセンサと、ラインセンサによって取得される第1の画像と、エリアセンサによって取得される第2の画像と、に基づいて対象物の状態を識別するように構成された識別部と、を備えている。測定装置は、ラインセンサによる対象物の検出領域である第1の検出領域と、エリアセンサによる対象物の検出領域である第2の検出領域と、がオーバラップするか、または、隣接するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の状態を測定するための測定装置であって、
前記対象物を移送するように構成された移送部と、
前記移送部の作用によって移送中の前記対象物に電磁波を照射するように構成された電磁波照射源と、
直線状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、前記電磁波照射源から照射され、前記対象物で反射した反射電磁波、および、前記対象物を透過した透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたラインセンサと、
二次元状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、前記反射電磁波および前記透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたエリアセンサと、
前記ラインセンサによって取得される第1の画像と、前記エリアセンサによって取得される第2の画像と、に基づいて前記対象物の状態を識別するように構成された識別部と
を備え、
前記ラインセンサによる前記対象物の検出領域である第1の検出領域と、前記エリアセンサによる前記対象物の検出領域である第2の検出領域と、がオーバラップするか、または、隣接するように構成された
測定装置。
【請求項2】
対象物の状態を測定するための測定装置であって、
前記対象物を移送するように構成された移送部と、
前記移送部の作用によって移送中の前記対象物に電磁波を照射するように構成された電磁波照射源と、
直線状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、前記電磁波照射源から照射され、前記対象物で反射した反射電磁波、および、前記対象物を透過した透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたラインセンサと、
二次元状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、前記反射電磁波および前記透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたエリアセンサと、
前記ラインセンサによって取得される第1の画像と、前記エリアセンサによって取得される第2の画像と、に基づいて前記対象物の状態を識別するように構成された識別部と
を備え、
(A)前記ラインセンサによる前記対象物の検出領域である第1の検出領域と、前記エリアセンサによる前記対象物の検出領域である第2の検出領域と、がオーバラップすることと、
(B)前記ラインセンサと前記エリアセンサとで、同一の対象物を同時に撮像可能であることと、
(C)前記ラインセンサの前記複数の電磁波検出素子が直線状に並ぶ方向と直交する方向である直交方向における前記第1の検出領域と前記第2の検出領域との離間距離が、前記第2の検出領域の前記直交方向の幅以下であることと、
(D)同一の電磁波照射源が前記ラインセンサと前記エリアセンサとで共用されることと、
(E)前記移送部によって移送された後に前記移送部から離間して中空にある前記対象物の中空での移送軌跡上に、前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の両方が位置することと
の少なくとも一つを満たす
測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、
前記第1の検出領域と前記第2の検出領域とがオーバラップするように構成された
測定装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、
前記識別部は、前記第1の画像に基づいて前記対象物の色彩的な状態を識別するとともに、前記第2の画像に基づいて前記対象物の形状的および/または寸法的な状態を識別するように構成された
測定装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、
前記第1の画像上の対象物である第1の対象物と、前記第2の画像上の対象物である第2の対象物と、の同一性を判断する同定処理部を備える
測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記同定処理部は、前記第1の対象物および前記第2の対象物の一方の重心と、前記第1の対象物および前記第2の対象物の他方の外郭または外接矩形と、の位置関係に基づいて、前記第1の対象物と前記第2の対象物との同一性を判断するように構成された
測定装置。
【請求項7】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記移送中の対象物の所定の方向の移送速度を前記対象物ごとに検出するように構成された移送速度検出部を備え、
前記識別部は、前記第1の画像に基づく前記対象物の状態の識別を、前記所定の方向の対応する移送速度に基づいて行うように構成された
測定装置。
【請求項8】
請求項4に記載の測定装置であって、
前記第1の画像上の対象物である第1の対象物と、前記第2の画像上の対象物である第2の対象物と、の同一性を判断する同定処理部を備え、
前記識別部は、同一であると判断された前記第1の対象物および前記第2の対象物の形状的および/または寸法的な整合性が所定の程度よりも低い場合には、前記第1の画像に代えて、または、加えて、前記第2の画像に基づいて、前記対象物の前記色彩的な状態を識別するように構成された
測定装置。
【請求項9】
選別装置であって、
請求項1または請求項2に記載の測定装置と、
前記識別部の識別結果に基づいて前記対象物の選別を行うように構成された選別部と
を備える選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学式測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に光源から光を照射した際に光学センサによって得られる光情報を使用して、対象物に含まれる特定の対象物(例えば、不良品)を識別する光学式測定装置(以下、単に測定装置とも呼ぶ)が従来から知られている。そのような測定装置の一種として、下記の特許文献1は、ラインセンサおよびエリアセンサの2種類の光学センサを備える測定装置を開示している。
【0003】
特許文献1に記載の測定装置では、エリアセンサは、対象物を移送するベルトコンベアの搬送経路の途中に配置され、ベルトコンベア上の対象物を撮像する。ラインセンサは、ベルトコンベヤよりも下流側の位置に配置され、ベルトコンベヤの下流端から落下した対象物を撮像する。この測定装置は、エリアセンサによって取得された画像上の対象物の形状に基づいて不良品を判定するとともに、ラインセンサによって取得された画像上の対象物の色に基づいて不良品を判定する。この測定装置によれば、ラインセンサおよびエリアセンサのそれぞれの利点を活かして、不良品の判定を精度良く判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-72529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の測定装置は、ラインセンサおよびエリアセンサの上述したレイアウトに起因して、装置の大型化を招くという問題を有している。そのようなことから、ラインセンサおよびエリアセンサを備える測定装置をコンパクト化することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、対象物の状態を測定するための測定装置が提供される。この測定装置は、対象物を移送するように構成された移送部と、移送部の作用によって移送中の対象物に電磁波を照射するように構成された電磁波照射源と、直線状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、電磁波照射源から照射され、対象物で反射した反射電磁波、および、対象物を透過した透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたラインセンサと、二次元状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、反射電磁波および透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたエリアセンサと、ラインセンサによって取得される第1の画像と、エリアセンサによって取得される第2の画像と、に基づいて対象物の状態を識別するように構成された識別部と、を備えている。測定装置は、ラインセンサによる対象物の検出領域である第1の検出領域と、エリアセンサによる対象物の検出領域である第2の検出領域と、がオーバラップするか、または、隣接するように構成される。
【0008】
「移送部の作用によって移送中の対象物」には、例えば、移送部上で移送中の対象物や、移送部によって移送された後に移送部から離間して中空にある対象物(例えば、移送部から落下中の対象物、移送部によって水平方向または斜め上方向に放たれた対象物)が含まれる。また、電磁波照射源は、可視光、近赤外光、X線のうちの少なくとも1つを照射してもよい。
【0009】
この測定装置によれば、第1の検出領域と第2の検出領域と、がオーバラップするか、または、隣接するので、エリアセンサとラインセンサとを互いに比較的近い位置に配置できる。したがって、対象物に電磁波を照射して、反射電磁波および透過電磁波の少なくとも一方を検出するためのユニット、ひいては、測定装置をコンパクト化できる。
【0010】
本発明の第2の形態によれば、対象物の状態を測定するための測定装置が提供される。この測定装置は、第1の形態と同様に、移送部と電磁波照射源とラインセンサとエリアセンサと識別部とを備えている。測定装置は、(A)ラインセンサによる対象物の検出領域である第1の検出領域と、エリアセンサによる対象物の検出領域である第2の検出領域と、がオーバラップすることと、(B)ラインセンサとエリアセンサとで、同一の対象物を同時に撮像可能であることと、(C)ラインセンサの複数の電磁波検出素子が直線状に並ぶ方向と直交する方向である直交方向における第1の検出領域と第2の検出領域との離間距離が、第2の検出領域の直交方向の幅以下であることと、(D)同一の電磁波照射源がラインセンサとエリアセンサとで共用されることと、(E)移送部によって移送された後に移送部から離間して中空にある対象物の中空での移送軌跡上に、第1の検出領域および第2の検出領域の両方が位置することと、の少なくとも一つを満たす。
【0011】
この測定装置によれば、上記の(A)~(E)の少なくとも一つを満たすことによって、エリアセンサとラインセンサとを互いに比較的近い位置に配置できる。したがって、対象物に電磁波を照射して、反射電磁波および透過電磁波の少なくとも一方を検出するためのユニット、ひいては、測定装置をコンパクト化できる。
【0012】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、測定装置は、第1の検出領域と第2の検出領域とがオーバラップするように構成される。この形態によれば、対象物をラインセンサおよびエリアセンサで撮像するための対象物の移送経路を短くすることができ、その結果、測定装置をいっそいうコンパクト化できる。
【0013】
本発明の第4の形態によれば、第1ないし第3のいずれかの形態において、識別部は、第1の画像に基づいて、対象物の色彩的な状態を識別するとともに、第2の画像に基づいて、対象物の形状的および/または寸法的な状態を識別するように構成される。この形態によれば、ラインセンサによって取得される第1の画像に基づいて対象物の色彩的な状態を精度良く識別できるとともに、エリアセンサによって取得される第2の画像に基づいて対象物の形状的および/または寸法的な状態を精度良く識別できる。つまり、二種類のセンサの特性に適した対象物の状態測定を行うことができる。
【0014】
本発明の第5の形態によれば、第1ないし第4のいずれかの形態において、測定装置は、第1の画像上の対象物である第1の対象物と、第2の画像上の対象物である第2の対象物と、の同一性を判断する同定処理部を備える。この形態によれば、同一の対象物について、ラインセンサによって取得される第1の画像に基づく識別結果と、エリアセンサによって取得される第2の画像に基づく識別結果と、を紐付けることができる。したがって、対象物の状態について、より高度な情報を得ることができる。また、第1の形態または第2の形態により、ラインセンサの第1の検出領域とエリアセンサの第2の検出領域と、が互いに比較的近い位置に配置されるので、同定処理を効率的かつ精度良く行うことができる。特に、第3の形態を含む第5の形態によれば、そのような効果を最大化できる。
【0015】
本発明の第6の形態によれば、第5の形態において、同定処理部は、第1の対象物および第2の対象物の一方の重心と、第1の対象物および第2の対象物の他方の外郭または外接矩形と、の位置関係に基づいて、第1の対象物と第2の対象物との同一性を判断するように構成される。この形態によれば、比較的少ない演算量で、同定処理を効率的かつ精度良く行うことができる。
【0016】
本発明の第7の形態によれば、第5または第6の形態において、移送中の対象物の所定の方向の移送速度を対象物ごとに検出するように構成された移送速度検出部を備えている。識別部は、第1の画像に基づく対象物の状態の識別を、所定の方向の対応する移送速度に基づいて行うように構成される。この形態によれば、ラインセンサによって取得される第1の画像に影響を与える要因である対象物の所定方向の移送速度の違いを反映して(換言すれば、所定の方向の移送速度の違いが第1の画像に与える影響を低減または除去して)、対象物の状態を精度良く識別できる。しかも、移送速度は対象物ごとに検出され、その移送速度が、対応する対象物の状態の識別に使用されるので、複数の対象物の移送速度の代表値を、複数の対象物に一律で適用する場合と比べて、対象物の状態をいっそう精度良く識別できる。
【0017】
本発明の第8の形態によれば、第4の形態を含む第5ないし第7のいずれかの形態において、識別部は、同一であると判断された第1の対象物および第2の対象物の形状的および/または寸法的な整合性が所定の程度よりも低い場合には、第1の画像に代えて、または、加えて、第2の画像に基づいて、対象物の色彩的な状態を識別するように構成される。第1の対象物および第2の対象物の形状的および/または寸法的な整合性が低い場合には、第1の対象物(つまり、ラインセンサによって取得された第1の画像上の対象物)が、撮像された時の対象物の向きに起因して、対象物全体のうちのより狭い範囲しか撮像されてない可能性が高い。例えば、対象物が、大きな側面と小さな側面とを有する扁平な形状である場合、整合性が低いときには、小さな側面のみが撮像されている可能性が高い。そのような第1の画像に基づいて対象物の色彩的な状態を識別すると、識別精度が低下する。一方、第8の形態によれば、そのような場合には、識別部は、エリアセンサによって取得された第2の画像(つまり、対象物全体が撮像されやすい画像)に基づいて対象物の色彩的な状態を識別するので、識別精度の低下を抑制できる。
【0018】
本発明の第9の形態によれば、選別装置が提供される。この選別装置は、第1ないし第8のいずれかの形態の測定装置と、識別部の識別結果に基づいて対象物の選別を行うように構成された選別部と、を備えている。この選別装置によれば、第1ないし第8のいずれかの形態と同様の効果が得られる。
【0019】
本発明の第10の形態によれば、対象物の状態を測定するための測定装置が提供される。この測定装置は、対象物を移送するように構成された移送部と、移送部の作用によって移送中の対象物に電磁波を照射するように構成された電磁波照射源と、直線状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、電磁波照射源から照射され、対象物で反射した反射電磁波、および、対象物を透過した透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたラインセンサと、二次元状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、反射電磁波および透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたエリアセンサと、ラインセンサによって取得される第1の画像と、エリアセンサによって取得される第2の画像と、に基づいて対象物の状態を識別するように構成された識別部と、を備えている。識別部は、第1の画像上の対象物である第1の対象物と、第2の画像上の対象物である第2の対象物と、の形状的および/または寸法的な整合性が所定の程度以上である場合には、第1の画像に基づいて対象物の色彩的な状態を識別するとともに、第2の画像に基づいて対象物の形状的および/または寸法的な状態を識別し、形状的および/または寸法的な整合性が所定の程度よりも低い場合には、少なくとも第2の画像に基づいて対象物の色彩的な状態を識別するとともに、第2の画像に基づいて対象物の形状的および/または寸法的な状態を識別するように構成される。この測定装置によれば、第8の形態と同様の効果が得られる。
【0020】
本発明の第11の形態によれば、選別装置が提供される。この選別装置は、対象物を移送するように構成された移送部と、移送部の作用によって移送中の対象物に電磁波を照射するように構成された電磁波照射源と、直線状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、電磁波照射源から照射され、対象物で反射した反射電磁波、および、対象物を透過した透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたラインセンサと、二次元状に配列された複数の電磁波検出素子を有し、反射電磁波および透過電磁波の少なくとも一方を検出するように構成されたエリアセンサと、ラインセンサによって取得される第1の画像と、エリアセンサによって取得される第2の画像と、に基づいて対象物の状態を識別するように構成された識別部と、第1の画像に基づいて識別された対象物の状態と、第2の画像に基づいて識別された対象物の状態と、第1の画像上の対象物と第2の画像上の対象物との形状的および/または寸法的な整合性と、に選択的に基づいて、対象物の選別を行うように構成された選別部と、を備えている。
【0021】
この選別装置によれば、第1の対象物および第2の対象物の形状的および/または寸法的な整合性に基づいて(換言すれば、対象物のほぼ全体がラインセンサによって撮像されているか、それとも、ごく一部分しか撮像されていないかに基づいて)、選別によって除外すべきか否かの判断を変えることができる。したがって、選別精度を向上できる。例えば、整合性が低い場合には、選別部は、第8の形態のように、ラインセンサによって取得された第2の画像に基づいて対象物の色彩的な状態を識別し、その結果に基づいて選別を行ってもよい。あるいは、選別装置が多段に構成されている場合(並列ではないN次(Nは2以上の整数)の選別系統を有している場合)、M(Mは1~Nのいずれか)次の選別系統において整合性が低いときは、M次の選別系統の選別部は、M次以外の選別系統で撮像、識別および選別の機会が再度得られるように、当該整合性が低い対象物のM次の選別系統からの供給先を決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態による測定装置の概略構成を示す模式図である。
図2】一つの対象物と、センサの走査ナンバーと、の関係を示す説明図である。
図3】ラインセンサによる第1の検出領域と、エリアセンサによる第2の検出領域と、シュートと、の位置関係を示す模式図である。
図4】ラインセンサおよびエリアセンサの位置関係を示す模式図である。
図5】同定処理に使用される、ラインセンサによって取得される第1の画像の一例を示している。
図6】同定処理に使用される、エリアセンサによって取得される第2の画像の一例を示している。
図7】同定処理の方法を示す模式図である。
図8】対象物の移送速度の算出方法の一例を示す説明図である。
図9】対象物の第2の方向の移送速度に基づく画像の補正方法の例を示す説明図である。
図10】対象物の第1の方向の移送速度に基づく画像の補正方法の例を示す説明図である。
図11】対象物の第1の方向の移送速度に基づく画像の補正方法の例を示す説明図である。
図12】代替実施形態による、第1の検出領域と第2の検出領域とシュートとの位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、一実施形態による光学式選別装置(以下、単に選別装置と呼ぶ)10の概略構成を示す模式図である。本実施形態では、選別装置10は、選別対象物(以下、単に対象物と呼ぶ)90の一例としての米粒(より具体的には、玄米または精白米)の状態(換言すれば、品位)を測定し、その結果に基づいて、対象物90を良品と不良品とに選別するために使用される。不良品には、例えば、砕米、未熟粒、着色粒、被害粒、死米、異物(例えば、小石、泥、ガラス片など)などが含まれ得る。ただし、対象物90は、玄米または精白米に限られるものではなく、任意の粒状物であってもよい。例えば、対象物90は、籾、麦粒、豆類(大豆、ひよこ豆、枝豆など)、樹脂(ペレット等)、ゴム片等であってもよい。
【0024】
図1に示すように、選別装置10は、検出ユニット20と、貯留タンク71と、フィーダ72と、シュート73と、良品排出樋74と、不良品排出樋75と、選別部60と、コントローラ80と、を備えている。コントローラ80は、選別装置10の動作全般を制御する。コントローラ80は、識別部81、同定処理部82および移送速度算出部83としても機能する。コントローラ80の機能は、所定のプログラムをCPUが実行することによって実現されてもよいし、専用回路(例えば、PLD、ASICなど)によって実現されてもよいし、CPUと専用回路との組み合わせによって実現されてもよい。また、コントローラ80の機能は、一体的な一つのデバイスに割り当てられてもよいし、複数のデバイスに分散的に割り当てられてもよい。コントローラ80の機能の詳細については後述する。
【0025】
貯留タンク71は、対象物90を一時的に貯留する。フィーダ72は、貯留タンク71に貯留された対象物90を、対象物を移送するための移送部の一例としてのシュート73上に供給する。シュート73上に供給された対象物90は、シュート73上を下方に向けて滑走し、シュート73の下端から落下する。シュート73は、多数の対象物90を同時に落下させることができる所定幅を有している。移送部として、シュート73に代えて、コンベアが使用されてもよい。
【0026】
検出ユニット20は、シュート73から滑り落ちた対象物90(つまり、シュート73から落下中の対象物90)に対して光を照射し、対象物90に関連付けられた光(具体的には、対象物90を透過した透過光、および/または、対象物90によって反射された反射光)を検出する。なお、代替実施形態では、シュート73上を滑走中の対象物90に対して光が照射されてもよい。また、シュート73に代えて、コンベアが使用される場合には、コンベア上で移送中の対象物90、または、コンベアから落下中の対象物90に対して光が照射されてもよい。さらなる代替実施形態では、移送部(例えば、水平方向または斜め上方向に角度付けられた下端部を有するシュート、あるいは、エアによって所望の方向に対象物を吹き出す供給装置など)によって水平方向または斜め上方向に放たれた対象物90に対して光が照射されてもよい。
【0027】
図1に示すように、検出ユニット20は、電磁波照射源の一例としての第1の光源30aおよび第2の光源30bと、第1のラインセンサ40aおよび第2のラインセンサ40bと、第1のエリアセンサ50aおよび第2のエリアセンサ50bと、を備えている。第1の光源30a、第1のラインセンサ40aおよび第1のエリアセンサ50aは、対象物90の移送経路(換言すれば、シュート73からの落下軌跡)に対して一方側(フロント側とも呼ぶ)に配置されている。一方、第2の光源30b、第2のラインセンサ40bおよび第2のエリアセンサ50bは、対象物90の移送経路に対して他方側(リア側とも呼ぶ)に配置されている。
【0028】
本実施形態では、光源30a,30bの各々は、移送中の(つまり、シュート73から落下中の)対象物90に可視光を照射するための光源ユニットである。第1の光源30aは、第1の光31aを放出する。同様に、第2の光源30bは、第2の光31bを放出する。光31a,31bの各々は、赤色に対応する波長と、緑色に対応する波長と、青色に対応する波長と、を有している。本実施形態では、光源30a,30bの各々は、いわゆるカラーLEDを備えている。また、光源30a,30bの各々は、複数のLEDがシュート73の幅方向に配列されたライン光源である。ただし、光源30a,30bの仕様(例えば、数、発光形式、波長領域など)は、特に限定されない。例えば、光源30a,30bの各々は、複数のLEDが二次元状に配列されたエリア光源であってもよい。
【0029】
ラインセンサ40a,40bの各々は、光学センサであり、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ個別に検出可能である。ラインセンサ40a,40bの各々は、対象物90の移送方向と交差する第1の方向D1(本実施形態では、シュート73の幅方向でもある)に直線状に配列された複数の光検出素子を備えている。
【0030】
エリアセンサ50a,50bの各々は、モノクロ光学センサである。ただし、代替実施形態では、エリアセンサ50a,50bの各々は、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ個別に検出可能なカラーセンサであってもよい。エリアセンサ50a,50bの各々は、二次元状に(本実施形態では、第1の方向D1、および、第1の方向D1に直交する第2の方向D2に沿って)配列された複数の光検出素子を備えている。
【0031】
ラインセンサ40a,40bおよびエリアセンサ50a,50bの各々は、本実施形態ではCCDセンサであるが、CMOSセンサなどの他の形式のセンサであってもよい。また、ラインセンサ40a,40bおよびエリアセンサ50a,50bの仕様は、特に限定されず、光源30a,30bの仕様に応じて任意に決定され得る。
【0032】
ラインセンサ40a,40bおよびエリアセンサ50a,50bの各々は、移送中の対象物90に関連付けられた光を検出する。具体的には、フロント側の第1のラインセンサ40aおよび第1のエリアセンサ50aの各々は、フロント側の第1の光源30aから放出され、対象物90で反射された第1の光31a(以下、反射光31aとも呼ぶ)と、リア側の第2の光源30bから放出され、対象物90を透過した第2の光31b(以下、透過光31bとも呼ぶ)と、を検出可能である。リア側の第2のラインセンサ40bおよび第2のエリアセンサ50bの各々は、リア側の第2の光源30bから放出され、対象物90で反射された第2の光31b(以下、反射光32bとも呼ぶ)と、フロント側の第1の光源30aから放出され、対象物90を透過した第1の光31a(以下、透過光31aとも呼ぶ)と、を検出可能である。
【0033】
上述の説明から明らかなように、光源30a,30bは、ラインセンサ専用の光源と、エリアセンサ専用の光源と、を個別に備える構成とは対照的に、ラインセンサ40a,40bとエリアセンサ50a,50bとの間で共用される。このような構成によれば、部品点数を低減できる。
【0034】
ラインセンサ40a,40bおよびエリアセンサ50a,50bによってどのような光が検出されるかは、光源30a,30bの点灯パターンによって定まる。第1の光源30aと第2の光源30bとが同時に点灯する第1の点灯パターンでは、第1のラインセンサ40aおよび第1のエリアセンサ50aの各々は、反射光31aと透過光31bとが合成された光(以下、反射透過光とも呼ぶ)を検出し、第2のラインセンサ40bおよび第2のエリアセンサ50bの各々は、反射光31bと透過光31aとが合成された反射透過光を検出する。第1の光源30aが点灯し、第2の光源30bが消灯する第2の点灯パターンでは、第1のラインセンサ40aおよび第1のエリアセンサ50aの各々は、反射光31aを検出し、第2のラインセンサ40bおよび第2のエリアセンサ50bの各々は、透過光31aを検出する。第1の光源30aが消灯し、第2の光源30bが点灯する第3の点灯パターンでは、第1のラインセンサ40aおよび第1のエリアセンサ50aの各々は、透過光31bを検出し、第2のラインセンサ40bおよび第2のエリアセンサ50bの各々は、反射光31bを検出する。以下では、上述した反射光、透過光および反射透過光の少なくとも一つを対象物90に関連付けられた光とも呼ぶ。
【0035】
第1ないし第3の点灯パターンのいずれを採用するかは、対象物90の種類、性状、除去されるべき不良品の種類に応じて、任意に決定され得る。第1ないし第3の点灯パターンのいずれか一つのみが採用されてもよい。あるいは、第1ないし第3の点灯パターンのうちの二つ以上の点灯パターンが、所定の時間間隔で交互に、または、予め定められた繰り返し規則で出現してもよい。
【0036】
本実施形態では、第1のラインセンサ40aの検出領域(つまり、対象物90の移送経路上の、対象物90を撮像する場所であり、換言すれば、1回のスキャンで撮像される領域である)と、第2のラインセンサ40bの検出領域と、は互いに一致するように設定されている。また、第1のエリアセンサ50aの検出領域と、第2のエリアセンサ50bの検出領域と、は互いに一致するように設定されている。
【0037】
ラインセンサ40a,40bおよびエリアセンサ50a,50bからの出力、すなわち、検出された光の強度を表すアナログ信号は、AC/DCコンバータ(図示省略)によってデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、画像データとしてコントローラ80に入力される。
【0038】
周知のように、ラインセンサ40a,40bでは、一回のスキャンでライン状の画像が得られるので、複数回のスキャンで得られたライン状の複数の画像を合成することによって、第2の方向D2に対応する方向に所定の高さを有する画像(少なくとも一つの対象物90が納まる大きさの画像であり、典型的には、多数の対象物90が納まる大きさの画像)を取得できる。例えば、図2に示すように、10回(説明を簡素化するために、実際よりも少ない回数であるものとして例示している)のスキャンによって、R,G,Bの色ごとに、一つの対象物90の全体画像が取得される。図2に示される1~10の数字は、当該数字が付されたライン状の領域が、何回目のスキャンによって撮像される領域であるかを示している。例えば、「2」が付された領域は、2回目のスキャンによって画像データが取得される。以下の説明では、第1のラインセンサ40aおよび/または第2のラインセンサ40bによって取得された画像を第1の画像とも呼ぶ。
【0039】
一方、エリアセンサ50a,50bでは、一回のスキャンで、第2の方向D2に対応する方向に所定の高さを有する画像(通常は、多数の対象物90が納まる大きさの画像)を取得できる。以下の説明では、第1のエリアセンサ50aおよび/または第2のエリアセンサ50bによって取得された画像を第2の画像とも呼ぶ。本実施形態では、エリアセンサ50a,50bの一回のスキャン時間(単位はsec)は、ラインセンサ40a,40bの一回のスキャン時間よりも長く設定される。換言すれば、エリアセンサ50a,50bのフレームレート(単位は、Hzまたはframe/sec)は、ラインセンサ40a,40bのスキャンレート(単位は、Hzまたはline/sec)よりも小さく設定される。ただし、これらのスキャン時間は任意に設定され得る。
【0040】
図3は、第1の検出領域43と第2の検出領域53とシュート73との位置関係を示す模式図である。第1の検出領域43とは、ラインセンサ40a,40bによる検出領域である。第1の検出領域43は、ラインセンサ40a,40bの光検出素子のレイアウトに起因して、第1の方向D1に細長く延在するライン形状を有している。第2の検出領域53とは、第1のエリアセンサ50aおよび第2のエリアセンサ50bによる検出領域である。第2の検出領域53は、エリアセンサ50a,50bの光検出素子のレイアウトに起因して、第1の方向D1および第2の方向D2に広がる矩形状を有している。第1の検出領域43および第2の検出領域53は、それらの第1の方向D1の両端部が、シュート73の第1の方向D1の両端よりも外側にそれぞれ位置するように設定されている。本実施形態では、第1の検出領域43と第2の検出領域53とは完全にオーバラップしている。また、本実施形態では、第1の検出領域43は、第2の検出領域53の第2の方向D2の両縁部の間に(図3の例では、略中央に)位置している。なお、第1の検出領域43および/または第2の検出領域53は、第1の方向D1に並ぶ複数の検出領域に分割されてもよい。具体的には、第1の方向D1に複数のラインセンサが配列される場合には、複数のラインセンサにそれぞれ対応する複数の第1の検出領域43が第1の方向D1に並ぶことになる。同様に、第1の方向D1に複数のエリアセンサが配列される場合には、複数のエリアセンサにそれぞれ対応する複数の第2の検出領域53が第1の方向D1に並ぶことになる。
【0041】
図4は、第1のラインセンサ40aと第1のエリアセンサ50aとの位置関係を示す模式図である。図示するように、第1のエリアセンサ50aの画角51aと干渉しない位置には、第1のラインセンサ40aが受光する光41aを反射するためのミラー42aが配置されている。図示は省略するが、第2のラインセンサ40bと第2のエリアセンサ50bとの位置関係についても、同様である。このような構成によって、図3に示した第1の検出領域43と第2の検出領域53とのオーバラップが実現されている。代替実施形態では、第1のラインセンサ40aは、第1のエリアセンサ50aの画角51aと干渉しない位置でエリアセンサ50aに隣接して配置され、ミラー42aを介することなく光41aを受光してもよい。
【0042】
コントローラ80は、第1の画像(ラインセンサ40a,40bによって取得された画像)と第2の画像(エリアセンサ50a,50bによって取得された画像)と、に基づいて対象物90の状態を決定する。そのような決定は、識別部81の処理として、対象物90の各々について行われる。本実施形態では、決定すべき状態には、色彩的な状態(換言すれば、光学的な状態)と、形状的および/または寸法的な状態と、が含まれる。本実施形態では、コントローラ80は、第1の画像に基づいて色彩的な状態を決定するとともに、第2の画像に基づいて形状的および/または寸法的な状態を決定する。また、状態には、物理量によって表される特徴量と、特徴量に基づいて判定される品質と、が含まれる。
【0043】
色彩的な状態の特徴量には、対象物90を表す画像の各画素の色階調値が含まれる。形状的および/または寸法的な状態の特徴量には、例えば、対象物90の全体および/または一部分の面積、高さ、幅、外周長さ、および、円形度の少なくとも一つが含まれ得る。そのような特徴量は、画像を構成する画素の数を単位とする値として算出されてもよい。あるいは、特徴量は、画素の数を単位とする値と、エリアセンサ50a,50bの分解能と、に基づいて、実寸法を単位とする値として算出されてもよい。
【0044】
本実施形態では、「品質」には、例えば、良品(つまり、品質が相対的に高い米粒)と不良品(つまり、品質が相対的に低い米粒、および/または、異物)との区分が含まれる。ただし、「品質」には、不良の種別(例えば、砕米、未熟粒、着色粒、被害粒、死米、異物のいずれに該当するか)が含まれてもよい。あるいは、「品質」には、選別部60において除去すべき物と、除去すべきではない物と、の区分が含まれてもよい。また、「品質」には、色彩的な状態に基づいて決定される品質と、形状的および/または寸法的な状態に基づいて決定される品質と、が含まれる。色彩的な状態に基づいて決定される不良品には、例えば、未熟粒、着色粒、被害粒、死米、異物が含まれ得る。形状的および/または寸法的な状態に基づいて決定される不良品には、例えば、砕米、虫害粒、異物が含まれ得る。
【0045】
本実施形態では、識別部81は、色彩的な状態の特徴量(換言すれば、画像データの階調値)と、予め定められた閾値と、を比較することによって(換言すれば、色彩的な状態の特徴量が、予め定められた正常範囲にあるか否かに基づいて)、対象物90が良品であるか、それとも、不良品であるかを決定する。そのような決定は、対象物90の画像を構成する複数の画素の階調値の代表値(例えば、平均値、中央値、最大値、最小値など)に基づいて行われてもよい。あるいは、不良品には、所定以上の大きさの部分的不良を有する対象物90が含まれてもよい。そのような部分的不良は、対象物90の画像を構成する複数の画素のうち、階調値が正常範囲にない画素の数が所定数以上である(換言すれば、不良部分の面積が所定値以上である)ことを基準として決定されてもよい。
【0046】
さらに、本実施形態では、識別部81は、形状的および/または寸法的な状態の特徴量と、予め定められた閾値と、を比較することによって(換言すれば、形状的および/または寸法的な特徴量が、予め定められた正常範囲にあるか否かに基づいて)、対象物90が良品であるか、それとも、不良品であるかを決定する。
【0047】
本実施形態では、コントローラ80は、同定処理部82の処理として、ラインセンサ40a,40bによって取得された第1の画像上の対象物90と、エリアセンサ50a,50bによって取得された第2の画像上の対象物90と、の同一性を判断する同定処理を実行可能である(詳細は後述)。このため、コントローラ80は、同一の対象物90について、色彩的な状態に関する不良(以下、色彩不良とも呼ぶ)の有無と、形状的および/または寸法的な状態に関する不良(以下、形状寸法不良とも呼ぶ)の有無と、を対応付けることができる。
【0048】
選別部60は、識別部81によって決定された状態に基づいて、対象物90の選別を行う。この選別は、特定の対象物90の軌道を変更するための軌道変更動作によって行われる。具体的には、選別部60は、複数のノズル61と、ノズル61に対応する数(本実施形態では、ノズル61と同数であるが、ノズル61の数と異なっていてもよい)のバルブ62と、を備えている。複数のノズル61は第1の方向D1に配列されている。
【0049】
複数のノズル61は、複数のバルブ62をそれぞれ介して、コンプレッサ(図示せず)に接続されている。コントローラ80からの制御信号に応じて複数のバルブ62が選択的に開かれることによって、複数のノズル61は、特定の不良を有する対象物90に向けてエア63を選択的に噴射する。本実施形態では、エア63を噴射すべき対象物90は、色彩不良を有し、かつ、形状寸法不良を有する対象物90である。ただし、エア63を噴射すべき対象物90は、色彩不良および形状寸法不良の少なくとも一方を有する対象物90であってもよい。
【0050】
特定の不良を有する対象物90は、エア63によって吹き飛ばされ、シュート73からの落下軌道から逸脱して不良品排出樋75に導かれる(図1に対象物91として示す)。一方、良品であると決定された対象物90には、エア63は噴射されない。このため、良品であると決定された対象物90は、落下軌道を変えることなく、良品排出樋74に導かれる(図1に対象物92として示す)。
【0051】
代替実施形態では、シュート73から落下した後の対象物90に向けてエア63を噴射する構成に代えて、シュート73上を滑走中の対象物90に向けてエア63を噴射して、対象物90の移送経路を変更してもよい。また、移送手段として、シュート73に代えて、ベルトコンベヤが使用されてもよい。この場合、ベルトコンベヤの一端から落下する対象物に向けてエアが噴射されてもよい。あるいは、ベルトコンベヤ上で搬送中の対象物に向けてエアが噴射されてもよい。
【0052】
さらなる代替実施形態では、不良品であると決定された対象物90に対してエア63を噴射する構成に代えて、良品であると決定された対象物90に対してエア63が噴射されてもよい(いわゆる逆打ち)。また、軌道変更動作は、エア63の噴射に限定されるものではなく、公知の任意の他の方法が採用されてもよい。
【0053】
以下、同定処理について説明する。以下の説明では、第1のラインセンサ40aによって取得された第1の画像100上の対象物90と、第1のエリアセンサ50aによって取得された第2の画像110上の対象物90と、の同定処理として説明するが、第2のラインセンサ40bによって取得された第1の画像100上の対象物90と、第2のエリアセンサ50bによって取得された第2の画像110上の対象物90と、の同定処理も同様に実行される。図5は、第1のラインセンサ40aによって取得された第1の画像100の一例を示している。図6は、第1のエリアセンサ50aによって取得された第2の画像110の一例を示している。
【0054】
第2の画像110は、第1のエリアセンサ50aによって取得される1フレームの画像(1回のスキャンによって取得される画像)である。第1の画像100は、第1のラインセンサ40aによって複数回のスキャンで取得される画像であり、ここでは、第2の画像110と同じ大きさ(第2の方向D2に対応する方向の実寸法)を有している。ただし、第1の画像100の大きさと第2の画像110の大きさとは一致していなくてもよい。第1の画像100および第2の画像110は、同じ時点の対象物90を表す画像である。コントローラ80は、第1のラインセンサ40aから画像データを受け付けたタイミングと、第1のエリアセンサ50aから画像データを受け付けたタイミングと、に基づいて、第1の画像100と第2の画像110とを同期させることができる。
【0055】
同定処理を実行するために、コントローラ80は、まず、第1の画像100上の対象物90の各々について、その重心101を算出する。重心101の座標値は、画素単位の分解能で表されてもよいし、あるいは、それよりも高い分解能で表されてもよい。対象物90を表す画素は、例えば、RGB各色の画像のいずれかを二値化することによって容易に把握できる。重心101の座標値は、例えば、X座標(これは、第1の方向D1に対応するX方向の座標である)およびY座標(これは、第2の方向D2に対応するY方向の座標である)の各々について、座標点ごとの座標値の総和を、座標点の数で除算することによって算出できる。図5では、第1の画像100上の対象物90の各々について求めた重心101を示している。
【0056】
次いで、コントローラ80は、第2の画像110の対象物90の各々について、外接矩形111を算出する。外接矩形とは、対象物90の外郭に接する矩形を意味する。本実施形態では、外接矩形111は、X方向に平行な一対の辺と、Y方向に平行な一対の辺と、から構成される。外接矩形111は、対象物90を構成する複数の画素のうち、X座標値が最小の画素、X座標値が最大の画素、Y座標値が最小の画素、および、Y座標値が最大の画素から容易に求めることができる。図6では、第2の画像110上の対象物90の各々について求めた外接矩形111を示している。
【0057】
次いで、コントローラ80は、第1の画像100の重心101と、第2の画像110の外接矩形111と、の位置関係に基づいて、第1の画像100上の対象物90の各々と、第2の画像110上の対象物90の各々と、の対応関係を決定する。図7は、図6に示す第2の画像110に図5に示す重心101を重ね合わせた状態を示している。例えば、いずれかの重心101が、いずれかの外接矩形111の内側または外郭上にある場合(図7に、重心101aおよび外接矩形111aとして例示されている)には、コントローラ80は、その重心101に対応する対象物90と、その外接矩形111に対応する対象物90と、が同一であると判断する。
【0058】
さらに、そのような位置関係にない重心101および外接矩形111(図7に重心101b,101cおよび外接矩形111b,111cとして例示されている)については、コントローラ80は、互いの離間距離が最も小さくなる重心101と外接矩形111との組合せが、同一の対象物90に対応していると判断する。そのような判断のために、例えば、一つの重心101が外接矩形111内に含まれるようになるまで、外接矩形111をX方向およびY方向に同じ拡大率で段階的に拡大する処理が行われてもよい。図7の例では、外接矩形111cよりも外接矩形111bの方が重心101bの近くに位置しているので、対象物90は、重心101bに対応する対象物90と、外接矩形111bに対応する対象物90と、が同一であると判断する。同様に、外接矩形111bよりも外接矩形111cの方が重心101cの近くに位置しているので、対象物90は、重心101cに対応する対象物90と、外接矩形111cに対応する対象物90と、が同一であると判断する。
【0059】
このような同定手法によれば、比較的少ない演算量で、同定処理を効率的かつ精度良く行うことができる。しかも、コントローラ80は第1のエリアセンサ50aによって取得される第2の画像110から外接矩形111を取得するので、第1の画像100上の対象物90の外接矩形と、第2の画像110上の対象物90の重心と、の位置関係に基づいて同定処理を行う場合と比べて、同定精度を向上できる。
【0060】
ラインセンサの第2の方向D2の分解能は、1回のスキャン時間の間に対象物90が第2の方向D2に移動した距離によって定まる。具体的には、第2の方向D2の分解能は、1回のスキャン時間と、対象物90の第2の方向D2の移送速度V2と、の積で表される。このため、画像上での対象物90の第2の方向D2に対応する方向(つまり、図2のY方向)の大きさ(換言すれば、画素数)は、移送速度V2に応じて変動することとなる。より具体的には、対象物90の第2の方向D2の移送速度V2と、画像上での対象物90の第2の方向D2に対応する方向の大きさと、は反比例の関係にある。このため、予め想定した移送速度(つまり、移送速度V2に関する設計値)と異なる移送速度V2で対象物90が移送される場合には、画像上の第2の方向D2に対応する方向における対象物90の大きさは、実際の大きさと異なることになる。このようなラインセンサの特徴を、以下では第1の特徴とも呼ぶ。なお、ラインセンサの第1の方向D1の分解能は、対象物90の移送速度に依存することなく、一定である。さらに、ラインセンサでは、対象物90の移送方向が、意図せずに第1の方向D1の成分を含む場合には、ラインセンサで取得されるライン状の複数の画像を単純に合成すると、対象物90の実際の形状に対して第1の方向D1に歪んだ形状が検出されてしまう。このようなラインセンサの特徴を、以下では第2の特徴とも呼ぶ。
【0061】
このようなラインセンサの第1の特徴および第2の特徴(特に、第1の特徴)は、重心の算出よりも外接矩形の算出に対してより大きな影響を与える。このため、本実施形態のように、第1のラインセンサ40aによって取得された第1の画像100から重心101を取得するとともに、第1のエリアセンサ50aによって取得された第2の画像110から外接矩形111を取得すれば、第1の特徴および第2の特徴の影響を低減して、同定精度を向上できるのである。ただし、第1の画像100上の対象物90の外接矩形と、第2の画像110上の対象物90の重心と、の位置関係に基づいて同定処理が行われてもよい。
【0062】
代替実施形態では、外接矩形に変えて、第1の画像100上の対象物90の重心101と、第2の画像110上の対象物90の外郭(外周)と、の位置関係に基づいて同定処理が行われてもよい。そのような手法によっても、同様の効果が得られる。同定処理は、上述の手法に限定されることなく、任意の手法で実行され得る。例えば、第1の画像100上の対象物90の重心と、第2の画像110上の対象物90の重心と、の位置関係(離間距離)に基づいて同定処理が行われてもよい。あるいは、第1の画像100上の対象物90の外接矩形(または、外郭)と、第2の画像110上の対象物90の外接矩形(または、外郭)と、の位置関係(重なりの程度、または、離間距離)に基づいて同定処理が行われてもよい。
【0063】
同定処理によれば、同一の対象物90について、第1の画像100に基づく色彩不良の有無と、第2の画像110に基づく形状寸法不良の有無と、を対応付けることができるので、対象物90の状態について、より高度な情報を得ることができ、それによって、より高度な選別が可能になる。例えば、上述のように、色彩不良および形状寸法不良の両方を有する対象物90のみを除去対象とする選別を行うことができる。あるいは、重度の色彩不良を有する対象物90と、重度の形状寸法不良を有する対象物90と、中度の色彩不良および中度の形状寸法不良の両方を有する対象物90と、を除去対象とする選別を行うことができる。換言すれば、色彩不良および形状寸法不良の各々を判定するための閾値を複数用意することによって、色彩不良および形状寸法不良の各々に複数の不良レベルが設定され、色彩不良の不良レベルと、形状寸法不良の不良レベルと、の総合評価に基づいて、除去対象が決定されてもよい。
【0064】
さらに、本実施形態では、コントローラ80は、ラインセンサ40a,40bによって取得される第1の画像100に基づく対象物90の状態の識別精度を向上させるために、移送中の対象物90の所定方向の移送速度を対象物90ごとに検出し、当該移送速度に基づいて第1の画像100を補正する。本実施形態では、所定の方向には、第1の方向D1および第2の方向D2の両方が含まれる。ただし、所定の方向は、第1の方向D1および第2の方向D2の一方のみであってもよい。以下、第1の画像100がラインセンサ40aによって取得されるものとして、第1の画像100の補正方法について説明する。
【0065】
本実施形態では、第1の方向D1の移送速度V1、および、第2の方向D2の移送速度V2は、第1のエリアセンサ50aおよび/または第2のエリアセンサ50bを利用して、移送速度算出部83の処理として検出される。第1のエリアセンサ50aおよび第2のエリアセンサ50bの両方が使用される場合には、第1のエリアセンサ50aに基づく移送速度と、第2のエリアセンサ50bに基づく移送速度と、の代表値が検出されてもよい。以下、第1のエリアセンサ50aを利用するものとして説明する。コントローラ80は、異なる二つのタイミングで(例えば、連続する2回のスキャンで)第1のエリアセンサ50aによって取得した二つの画像上の同一の対象物90について、その二つのタイミングの間の移動距離および移動時間に基づいて、移送速度V1,V2を算出する。
【0066】
図8は、移送速度V1,V2のそのような算出方法の一例を示す説明図である。図8では、N回目(Nは自然数)のスキャンで取得された画像上の対象物90を対象物93として示すとともに、N+1回目のスキャンで取得された画像上の対象物90(対象物93と同一の対象物90)を対象物94として示している。移送速度V1,V2を算出するために、コントローラ80は、まず、対象物93,94の重心93c,94cをそれぞれ算出する。重心93c,94cの算出方法は、上述した重心101の算出方法と同じである。
【0067】
次いで、コントローラ80は、第1の方向D1に対応するX方向、および、第2の方向D2に対応するY方向の各々について、重心93c,94c間の距離(換言すれば、1回のスキャンの間の対象物90の移動距離)を算出する。次いで、コントローラ80は、以下の式(1),(2)によって移送速度V1,V2を算出する。Tは、第1のエリアセンサ50aの1回のスキャンに要する時間を表している。
V1=L1/T ・・・(1)
V2=L2/T ・・・(2)
【0068】
代替実施形態では、移送速度V1,V2は、上述した方法以外の任意の方法で検出されてもよい。例えば、選別装置10は、異なる検出位置(移送経路上における対象物90の撮像位置)にそれぞれ配置された二つのラインセンサを備えていてもよい。そして、コントローラ80は、二つのラインセンサによって取得された二つの画像を比較し、当該二つの画像間での同一の対象物90の移動距離に基づいて、移送速度V1,V2を算出してもよい。あるいは、コントローラ80は、WO2021/177173に記載されているように、カラーラインセンサで取得される、色が異なる二つ以上の画像間の色ずれ量に基づいて、移送速度V1,V2を算出してもよい。
【0069】
次いで、コントローラ80は、移送速度V1および/または移送速度V2に基づいて、第1の画像100を補正する。そのような補正は、対象物90の粒ごとに行われる。まず、第2の方向D2の移送速度V2に基づく画像の補正について説明する。コントローラ80は、対象物90の第2の方向D2の移送速度V2と、第2の方向D2の移送速度V2に関する設計値(以下、基準値VRとも呼ぶ)と、の違いが画像(より具体的には、第2の方向D2に対応する方向の対象物90の画像の大きさ)に与える影響を低減または除去する方向に、第1のラインセンサ40aによって取得された画像上の対象物90の第2の方向D2に対応する方向(Y方向)の大きさを修正する。
【0070】
例えば、移送速度算出部83によって算出された第2の方向D2の移送速度V2が、基準値VRよりも大きい場合には、第2の方向D2に対応する方向の対象物90の画像上の大きさが実際の大きさよりも小さくなる。そのような場合には、コントローラ80は、その影響を低減または除去するために、第2の方向D2に対応する方向の対象物90の画像上の大きさが大きくなるように画像を補正する。
【0071】
逆に、移送速度算出部83によって算出された第2の方向D2の移送速度V2が基準値VRよりも小さい場合には、第2の方向D2に対応する方向の対象物90の画像上の大きさが実際の大きさよりも大きくなる。そのような場合には、コントローラ80は、その影響を低減または除去するために、第2の方向D2に対応する方向の対象物90の画像上の大きさが小さくなるように画像を補正する。
【0072】
上述の通り、対象物90の第2の方向D2の実際の移送速度V2と、第2の方向D2に対応する方向の対象物90の画像上の大きさと、は反比例の関係にあるので、第1のラインセンサ40aによって取得された対象物90の画像の第2の方向D2に対応する方向の寸法(すなわち、画素数)に比率V2/VRを乗じる補正を行えば、移送速度V2の変動による画像への影響を最小化できる(つまり、画像上の対象物90の大きさを実際の大きさに補正できる)。図9では、そのような補正の一例を示している。移送速度V2が基準値VRよりも小さい場合には、対象物96(補正前の対象物90の画像)を、第2の方向D2に対応するY方向についてのみ比率V2/VRで縮小して、対象物95(実寸大の対象物90の画像)が取得される。一方、移送速度V2が基準値VRよりも大きい場合には、対象物97(補正前の対象物90の画像)を、第2の方向D2に対応するY方向についてのみ比率V2/VRで拡大して、対象物95(実寸大の対象物90の画像)が取得される。このような画像補正によれば、ラインセンサの上述した第1の特徴の影響を低減または除去できるので、対象物90の状態をいっそう精度良く識別できる。
【0073】
次いで、第1の方向D1の移送速度V1に基づく画像100の補正について説明する。コントローラ80は、第1の方向D1の移送速度V1に起因して生じる画像のずれの分だけ、対象物90の画像を構成する複数の画素の第1の方向D1の座標値を修正する。具体的には、N回目(Nは自然数)のスキャンによって得られる対象物90の画像領域と、N+1回目のスキャンによって得られる対象物90の画像領域と、では、第1のラインセンサ40aでの1回のスキャン時間の間に対象物90が第1の方向D1に移動する距離L3だけ、第1の方向D1における対象物90の座標値がずれることになる。このため、コントローラ80は、一つの対象物90について行われる1回目のスキャンを基準として、2回目以降のスキャンによって得られる対象物90の画像の座標値を、基準からずれた分だけ元の位置に戻すように補正する。M回目(Mは2以上の整数)のスキャンによって得られる対象物90の画像領域の座標値の補正量(実際の距離)は、(M-1)×L3で表される。(M-1)×L3の値を、第1のラインセンサ40aの第1の方向D1の画素の大きさ(つまり、1画素当たりの大きさ)で除算すれば、画素数を単位とする補正量を算出できる。
【0074】
図10および図11は、そのような補正の一例を示している。図中の各格子は、画像を構成する1画素を表している。また、図中の数値は、第1の方向D1に対応するX方向と、第2の方向D2に対応するY方向と、によって定義されるXY座標系の座標値を示している。この例では、Y方向の座標値は、第1のラインセンサ40aのスキャンごとに割り当てられる。つまり、Y座標値は、何回目のスキャンによって取得されるライン状の画像領域であるかを示している。図10のハッチングを付した格子は、補正前の画像上の対象物90(対象物98として示す)を表す画素を示しており、図11のハッチングを付した格子は、補正後の画像上の対象物90(対象物99として示す)を表す画素を示している。
【0075】
また、図10および図11は、移送速度V1の方向がX座標の負方向に向けた方向であり、かつ、距離L3(1回のスキャン時間の間に対象物90が第1の方向D1に移動する距離)が、第1のラインセンサ40aの第1の方向D1の分解能に等しいと仮定した場合を示している。図示するように、図10に示す対象物98の画像(第1の方向D1の移送速度V1に起因して歪んだ形状に撮像された対象物90の画像)は、Y座標値が2のラインを基準として、Y座標値が1増えるにつき、X座標値がX座標の距離L3(ここでは、1画素分の距離)だけ増えるように修正され、それによって、図11に示す対象物99の画像(実際の形状の対象物90の画像)に補正されている。このような画像補正によれば、ラインセンサの上述した第2の特徴の影響を低減または除去できるので、対象物90の状態をいっそう精度良く識別できる。
【0076】
本実施形態では、対象物90の粒ごとに同定処理が行われるので、コントローラ80は、対象物90ごとに算出された移送速度V1,V2に基づいて、対応する対象物90の画像の補正を行うことができる。この構成によれば、コントローラ80は、個々の対象物90ごとに、当該対象物90に固有の正確な移送速度V1,V2を用いて、正確な補正を行うことができる。
【0077】
上述した選別装置10によれば、ラインセンサ40a,40bの第1の検出領域43と、エリアセンサ50a,50bの第2の検出領域53と、がオーバラップしているので、第1のラインセンサ40aと第1のエリアセンサ50aとを互いに比較的近い位置に配置できる。同様に、第2のラインセンサ40bと第2のエリアセンサ50bとを互いに比較的近い位置に配置できる。したがって、検出ユニット20、ひいては、選別装置10をコンパクト化できる。
【0078】
しかも、光源30a,30bは、ラインセンサ40a,40bとエリアセンサ50a,50bとの間で共用される。この構成も、第1のラインセンサ40a(または第2のラインセンサ40b)と第1のエリアセンサ50a(または第2のエリアセンサ50b)とを比較的近い位置に配置することに貢献している。
【0079】
しかも、対象物90を移送する移送部(上述の実施形態ではシュート73であるが、コンベアなどであってもよい)からの対象物90の落下軌跡上に、ラインセンサ40a,50aの第1の検出領域43およびエリアセンサ50a,50bの第2の検出領域53の両方が配置される。この配置も、第1の検出領域43および第2の検出領域53の一方が移送部上に位置し、他方が移送部からの落下軌跡上に位置する場合と比べて、第1のラインセンサ40a(または第2のラインセンサ40b)と第1のエリアセンサ50a(または第2のエリアセンサ50b)とを比較的近い位置に配置することに貢献している。
【0080】
さらに、ラインセンサ40a,40bの第1の検出領域43と、エリアセンサ50a,50bの第2の検出領域53と、がオーバラップする構成(以下、オーバラップ構成とも呼ぶ)によれば、対象物90の移送経路(換言すれば、必要な落下距離)を短くすることができる。したがって、選別装置10をコンパクト化できる。さらに、オーバラップ構成によれば、同一の対象物90の同一箇所に対して、ラインセンサ40a,40bによる撮像と、エリアセンサ50a,50bによる撮像と、を同時に行うことができる。つまり、第1の画像100が取得されるタイミングと、第2の画像110が取得されるタイミングと、の間には、対象物90の挙動が不明な期間(換言すれば、ラインセンサ40a,40bおよびエリアセンサ50a,50bのいずれにも撮像されることなく対象物90が移送される期間)が介在しないので、同定処理を効率的かつ精度良く行うことができる。
【0081】
しかも、オーバラップ構成に起因して、ラインセンサ40a,40bとエリアセンサ50a,50bとは、同一の対象物90を同時に撮像可能である。そのような構成も、第1のラインセンサ40a(または第2のラインセンサ40b)と第1のエリアセンサ50a(または第2のエリアセンサ50b)とを比較的近い位置に配置すること、および、同定処理を効率的かつ精度良く行うことに貢献している。
【0082】
ラインセンサ40a,40bとエリアセンサ50a,50bとが同一の対象物90を同時に撮像可能な構成は、上述のオーバラップ構成に限定されず、ラインセンサ40a,40bの第1の検出領域43と、エリアセンサ50a,50bの第2の検出領域53と、が第2の方向D2に離間している構成も含まれ得る。例えば、図12に示すように、移送中の対象物90の一部分が第1の検出領域43にあり、かつ、他の一部分が第2の検出領域53にある瞬間が存在するように、第1の検出領域43および第2の検出領域53が配置される構成も、ラインセンサ40a,40bとエリアセンサ50a,50bとが同一の対象物90を同時に撮像可能な構成に含まれ得る。
【0083】
代替実施形態では、オーバラップ構成に代えて、ラインセンサ40a,40bの第1の検出領域43と、エリアセンサ50a,50bの第2の検出領域53と、が隣接していてもよい。そのような構成によっても、第1のラインセンサ40a(または第2のラインセンサ40b)と第1のエリアセンサ50a(または第2のエリアセンサ50b)とを比較的近い位置に配置できるとともに、同定処理を効率的かつ精度良く行うことができる。
【0084】
ここでの「隣接」とは、例えば、単一の検出ユニット20によって第1の検出領域43および第2の検出領域53の両方が提供され得る程度に、第1の検出領域43と第2の検出領域53とが互いに近くに位置することと定義されてもよい。あるいは、「隣接」とは、光源30a,30bがラインセンサ40a,40bとエリアセンサ50a,50bとの間で共用され得る程度に、第1の検出領域43と第2の検出領域53とが互いに近くに位置することと定義されてもよい。あるいは、「隣接」とは、ラインセンサ40a,40bとエリアセンサ50a,50bとが同一の対象物90を同時に撮像可能である程度に、第1の検出領域43と第2の検出領域53とが互いに近くに位置することと定義されてもよい。あるいは、「隣接」とは、移送部からの対象物90の落下軌跡上に、第1の検出領域43および第2の検出領域53の両方が配置され得る程度に、第1の検出領域43と第2の検出領域53とが互いに近くに位置することと定義されてもよい。
【0085】
あるいは、「隣接」とは、図12に示すように、ラインセンサ40a,50aの複数の光検出素子が直線状に並ぶ方向(つまり、第1の方向D1)と直交する方向(つまり、第2の方向D2)における第1の検出領域43と第2の検出領域53との離間距離L4が、第2の検出領域53の第2の方向D2の幅L5以下であることと定義されてもよい。図12では、第1の検出領域43が第2の検出領域53よりも、対象物90の移送経路の下流側(換言すれば、下方)に位置する例を示しているが、第1の検出領域43は、第2の検出領域53よりも上流側(換言すれば、上方)に位置していてもよい。
【0086】
さらなる代替実施形態では、移送速度V1,V2は、エリアセンサ50a,50bを利用しない方法で検出されてもよい。この場合、移送速度V1,V2に基づく画像100の補正は、同定処理よりも前に実行されてもよい。つまり、補正された画像に基づいて同定処理が実行されてもよい。こうすれば、同定処理をさらに高精度に行うことができる。
【0087】
さらなる代替実施形態では、エリアセンサ50a,50bはカラーセンサであってもよい(ただし、カラーセンサに限定されるものではない)。コントローラ80は、同定処理によって同一であると判断された、第1の画像100上の対象物90と、第2の画像110上の対象物90と、の形状的および/または寸法的な整合性の程度を決定してもよい。整合性の程度は、例えば、第1の画像100上の対象物90と、第2の画像110上の対象物90と、の特徴量の比率によって評価されてもよい。この場合、特徴量は、例えば、面積、高さ、幅、外周長さ、円形度の少なくとも一つであってもよい。あるいは、整合性の程度は、あるいは、任意の類似度指標によって評価されてもよい。形状的および/または寸法的な整合性が所定の程度よりも低い場合(例えば、特徴量の比率が閾値よりも小さい場合)には、コントローラ80は、ラインセンサ40a,40bによって取得された第1の画像100に代えて、または、加えて、エリアセンサ50a,50bによって取得された第2の画像110に基づいて対象物90の色彩的な状態を識別してもよい。
【0088】
形状的および/または寸法的な整合性が低い場合には、ラインセンサ40a,40bによって取得された第1の画像100上の対象物90が、撮像された時の対象物90の向きに起因して、対象物90全体のうちのより狭い範囲(例えば、最も小さい側面)しか撮像されてない可能性が高い。この代替実施形態によれば、そのような場合には、エリアセンサ50a,50bによって取得された第2の画像110(換言すれば、対象物90の全体が撮像されやすい画像)に基づいて対象物90の色彩的な状態が識別されるので、識別精度の低下を抑制できる。この代替実施形態は、上述の実施形態(例えば、第1の検出領域43と第2の検出領域53との上述した種々の位置関係)とは独立して実施されてもよい。
【0089】
さらなる代替実施形態では、エリアセンサ50a,50bはカラーセンサであってもよい(ただし、カラーセンサに限定されるものではない)。コントローラ80は形状的および/または寸法的な整合性の程度を決定してもよい。コントローラ80は、ラインセンサ40a,40bによって取得された第1の画像100に基づいて識別された対象物90の状態と、エリアセンサ50a,50bによって取得された第2の画像110に基づいて識別された対象物90の状態と、上述の形状的および/または寸法的な整合性と、に選択的に基づいて、対象物90の選別を行ってもよい。この代替実施形態によれば、識別精度および/または選別精度を向上できる。
【0090】
例えば、選別装置10が多段に構成されている場合(並列ではないN次(Nは2以上の整数)の選別系統を有している場合)、コントローラ80は、M(Mは1~Nのいずれか)次の選別系統において整合性が所定の程度よりも低いときは、M次以外の選別系統で撮像、識別および選別の機会が再度得られるように、第1の画像100および/または第2の画像110に基づく良品/不良品の判断を行うことなく、当該整合性が低い対象物90のM次の選別系統からの供給先(換言すれば、このM次の選別系統で除去対象とするか否か)を決定してもよい。コントローラ80は、M次の選別系統において整合性が所定の程度以上であるときは、第1の画像100および/または第2の画像110に基づく良品/不良品の判断を行い、その判断結果に基づいて、選別を行ってもよい。このような構成によれば、第1の画像100と第2の画像110とで形状的および/または寸法的な整合性が低く、それによって、対象物90が良品か不良品かの判断が難しい場合であっても、撮像、識別および選別の機会が再度得られるので、選別精度を向上できる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上記した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0092】
例えば、選別装置10は、可視光光源(上述の例では、光源30a,30b)に代えて、または、加えて、任意の波長を有する電磁波を対象物90に照射する電磁波照射源を備えていてもよい。そのような電磁波は、例えば、X線および近赤外線の少なくとも一方であってもよい。この場合、選別装置10は、電磁波照射源によって照射される電磁波の波長に対応する複数の電磁波検出素子を有するラインセンサおよびエリアセンサを備えていてもよい。
【0093】
本発明は、選別装置に限られず、種々の形態で実現可能である。例えば、本発明は、対象物の状態を測定するための測定装置として実現されてもよい。そのような測定装置は、例えば、図1に示した選別装置10から選別部60が取り除かれた形態を備えていてもよい。この場合、コントローラ80は、対象物90の状態(あるいは、その統計量)を、任意のデバイス(例えば、ディスプレイ、通信インタフェース、記憶媒体、印刷装置など)に出力してもよい。
【符号の説明】
【0094】
10...光学式選別装置
20...検出ユニット
30a...第1の光源
30b...第2の光源
31a...第1の光
31b...第2の光
40a...第1のラインセンサ
40b...第2のラインセンサ
41a...光
42a...ミラー
43...第1の検出領域
50a...第1のエリアセンサ
50b...第2のエリアセンサ
51a...画角
53...第2の検出領域
60...選別部
61...ノズル
62...バルブ
63...エア
71...貯留タンク
72...フィーダ
73...シュート
74...良品排出樋
75...不良品排出樋
80...コントローラ
81...識別部
82...同定処理部
83...移送速度算出部
90~99...対象物
93c,94c...重心
100...第1の画像
101,101a,101b,101c...重心
110...第2の画像
111,111a,111b,111c...外接矩形
D1...第1の方向
D2...第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12