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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010132
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ペットフード製品
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/147 20160101AFI20240116BHJP
   A23K 50/48 20160101ALI20240116BHJP
   A23K 10/20 20160101ALI20240116BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20240116BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20240116BHJP
   A23K 20/142 20160101ALI20240116BHJP
【FI】
A23K20/147
A23K50/48
A23K10/20
A23K10/30
A23K20/158
A23K20/142
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185563
(22)【出願日】2023-10-30
(62)【分割の表示】P 2020528245の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】1721627.6
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】スコット マクグレイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】アリス ディール
(72)【発明者】
【氏名】エミリー マーシャル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】嗜好性の改善された持続可能な材料から製造されたペットフード製品を提供する。
【解決手段】ペットフード製品の総質量に対し、2.0質量%~8.0質量%の量の脂肪成分およびペットフード製品の総質量に対し、6.0質量%~14.0質量%の量のタンパク質性成分を含み、該タンパク質性成分がポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が約0.45:1.0~約1.0:1.0であり、かつペットフード製品の総質量に対するペットフード製品中の遊離アミノ酸の量が少なくとも0.5質量%である、ペットフード製品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード製品の総質量に対し、2.0質量%~8.0質量%の量の脂肪成分およびペットフード製品の総質量に対し、6.0質量%~14.0質量%の量のタンパク質性成分を含み、該タンパク質性成分がポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が約0.45:1.0~約1.0:1.0であり、かつペットフード製品の総質量に対するペットフード製品中の遊離アミノ酸の量が少なくとも0.5質量%である、ペットフード製品。
【請求項2】
前記タンパク質性成分は、タンパク質性成分の総質量に対し、3質量%~50質量%、好ましくは12質量%~50質量%の量の遊離アミノ酸を含む、請求項1に記載のペットフード製品。
【請求項3】
前記タンパク質性成分は、タンパク質性成分の総質量に対し、75質量%~95質量%の量のポリペプチドおよびタンパク質性成分の総質量に対し、5質量%~50質量%の量の遊離アミノ酸を含み、好ましくは該タンパク質性成分は、タンパク質性成分の総質量に対し、75質量%~90質量%の量のポリペプチドおよびタンパク質性成分の総質量に対し、10質量%~25質量%の量の遊離アミノ酸を含む、請求項1に記載のペットフード製品。
【請求項4】
前記ペットフード製品は、ペットフード製品の総質量に対し、0.5質量%超、好ましくは少なくとも0.6質量%、好ましくは少なくとも0.7質量%および好ましくは最大で6.0質量%、好ましくは0.7質量%~2.5質量%の量の遊離アミノ酸を含む、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項5】
前記タンパク質性成分は、動物タンパク質および/または植物性タンパク質由来のポリペプチドを含む、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項6】
前記遊離アミノ酸は、アラニン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、セリンおよびスレオニンからなる群より選ばれる遊離アミノ酸を含む、請求項1~5のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項7】
前記遊離アミノ酸が、グリシンおよび必要に応じてアラニン、ヒスチジン、プロリン、セリンおよびスレオニンからなる群より選ばれる1または複数の遊離アミノ酸からなる、請求項1~6のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項8】
前記タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が、約0.5:1.0~約0.9:1.0である、請求項1~7のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項9】
前記タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が、約0.65:1.0~約0.75:1.0である、請求項1~8のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項10】
前記ペットフード製品の総質量に対する脂肪成分の量が、4.0質量%~7.0質量%である、請求項1~9のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項11】
前記ペットフード製品の総質量に対するタンパク質性成分の量が、7.0質量%~12.0質量%、または7.0質量%~11.0質量%である、請求項1~10のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項12】
前記ペットフード製品が、前記遊離アミノ酸を、ペットフード製品の総質量に対し、1.0質量%~2.5質量%、または1.0質量%~2.0質量%の量で含む、請求項1~11のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項13】
前記ペットフード製品がウェットペットフード製品である、請求項1~12のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項14】
単一ピースのペットフード製品の形態のローフまたはパテ製品であり、好ましくは約20~約2,000cm3のピース体積を有する、請求項1~13のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項15】
前記ペットフード製品が、再構成された動物性材料のチャンクを含み、さらにソースを含むチャンクインソースウェットペットフード製品、特にチャンクイングレイビーまたはチャンクインゼリーウェットペットフード製品である、請求項1~13のいずれかに記載のペットフード製品。
【請求項16】
再構成された動物性材料の総質量に対し、前記再構成された動物性材料のタンパク質含量が約5~約40質量%の範囲であり、かつ前記再構成された動物性材料の脂肪含量が約5~約40質量%の範囲であり、好ましくは前記再構成された動物性材料の含水率が約20質量%~約75質量%である、請求項15に記載のペットフード製品。
【請求項17】
前記再構成された動物性材料:ソースの比が約20:80~約90:10、好ましくは少なくとも約30:70、好ましくは少なくとも約40:60、好ましくは少なくとも約 50:50、好ましくは少なくとも約60:40である、請求項15または16に記載のペットフード製品。
【請求項18】
前記ソースがソースの総質量に対し、少なくとも約80質量%の含水率を示す、請求項15、16または17に記載のペットフード製品。
【請求項19】
遊離アミノ酸をペットフード製品の総質量に対し、0.5質量%~6.0質量%の量で含むペットフード製品を提供し得る量で、遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物がソース中に存在する、請求項15、16、17または18に記載のペットフード製品。
【請求項20】
再構成された動物性材料のチャンクおよびソースを含むウェットペットフード製品の嗜好性を改善するための遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物の使用であって、
前記ウェットペットフード製品は、ウェットペットフード製品の総質量に対し、2.0質量%~8.0質量%の量の脂肪成分および6.0質量%~14.0質量%の量のタンパク質性成分を含み、該タンパク質性成分はポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が約0.45:1.0~約1.0:1.0であり、前記ペットフード製品中の遊離アミノ酸の量が、ペットフード製品の総質量に対し、少なくとも0.5質量%であり、かつ該遊離アミノ酸含有タンパク質性成分がソース中に存在する、使用。
【請求項21】
ウェットペットフード製品の既存のレシピのタンパク質性成分の一部をタンパク質性添加物で置き換えることによる、前記タンパク質性添加物が既存のペットフード製品の嗜好性を改善するために使用される、請求項20の使用。
【請求項22】
再構成された動物性材料のチャンクおよびソースを含むウェットペットフード製品の嗜好性を改善する方法であって、
該方法は、再構成された動物性材料のチャンクおよびソースを準備する工程を含み、該方法は、ウェットペットフード製品が、ウェットペットフード製品の総質量に対し、2.0質量%~8.0質量%の量の脂肪成分および6.0質量%~14.0質量%の量のタンパク質性成分を含むようにタンパク質性添加物を前記ソースに添加する工程をさらに含み、
タンパク質性成分に対する脂肪成分の比は約0.45:1.0~約1.0:1.0であり、該タンパク質性成分はポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含有し、かつペットフード製品中の遊離アミノ酸の量は、ペットフード製品の総質量に対し、少なくとも0.5質量%である、方法。
【請求項23】
ウェットペットフード製品の嗜好性改善するためにソースにタンパク質性添加物を添加する工程は、本発明のウェットペットフード製品をもたらすために、ウェットペットフード製品の既存のレシピのタンパク質性成分の一部をタンパク質性添加物に置き換えることで行われる、請求項22の方法。
【請求項24】
再構成された動物性材料を含む製品に遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物を添加する工程を含み、好ましくは、該タンパク質性添加物を、チャンクインソースウェットペットフード製品のソース成分に添加する、請求項1~19のいずれかに記載のウェットペットフード製品の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフード製品の嗜好性を改善するための遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物の使用、および特定の脂肪対タンパク質比を有し、かつ遊離アミノ酸含有タンパク質性成分を含むペットフード製品に関する。
【背景技術】
【0002】
イヌやネコの伴侶動物の多くは、食べ物にうるさいことがある。特にネコはイヌよりも好みが激しく、ネコ用の新しいペットフード製品の開発がとりわけ必要とされる。動物は、それまでしばらく受け入れてきた餌を摂食しなくなったり、必要最低限量の餌しか摂食しなくなったりすることがよくある。この事態は、飼料の組成の微妙な変化を一因とすることがある。それを購入する人間はこのような変化に気づかないかもしれないが、嗅覚および味覚系の違いにより、イヌやネコの伴侶動物はこれらの違いを敏感に察知し得る。このような感覚的差異は、使用される原料の自然なばらつきのせい、または材料の不足により、持続可能な材料などの代替物に置換せざるを得ないせいであったりする。これは飼い主にとってかなり悩ましいことであり、飼い主に、その動物が満たされてなく、その餌を楽しんでいないと思わせてしまうことがある。動物は、供された餌を十分な量で摂食しなければ、必要量の必須栄養素が摂取できないこともある。したがって、伴侶動物に与えられる餌の摂食を促す方法が必要とされている。多種多様の味および/またはテクスチャーで多くの市販のペットフードが提供されている。しかしながら、伴侶動物の飼い主は、その伴侶動物が、はっきりした理由もなく、最も好きだろうと思った製品を突然拒否することを知るであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ペットフード製品は、食肉(meat)を含んでいてもよく、また人間の食肉需要と競合することなくペットに必要な栄養プロファイルをもたらす高品質の食物を調製するために、通常は多量の動物副産物および非動物由来の材料も含み得る。世界の人口が増加するにつれて、食肉を含む高タンパク質食品の世界的な需要が高まると予想されるため、ペットの栄養需要を満たしながら代替タンパク質から調製されたペットフードの必要性が高まることが期待される。特に森林減少および気候変動に関して、人口増加による環境への影響を増加させることなく(好ましくは減少させながら)これらの需要を満たすことが望まれる。より持続可能な材料から製造されたペットフード製品の嗜好性を改善することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した問題に鑑みて、特定の原材料の使用に限定されず、またはそれに依存することなく、少なくとも既存製品の嗜好性を維持し、とりわけペットフード製品の嗜好性が改善された、新しいペットフード製品の提供が望まれる。具体的に、より持続可能な材料から調製された新しいペットフード製品を提供し、より持続可能な材料から調製されるペットフード製品の嗜好性を改善する方法を提供することが望まれる。また、新製品は、既存のレシピの一般的な枠組みの中で、かつ既存の処理設備を使用して調製されることが望ましく、既存のペットフード製品の嗜好性を改善する方法を提供することも望まれる。
【0005】
本発明者らは、伴侶動物が脂肪およびタンパク質の含量が異なるペットフード製品を区別できるかどうか、およびペットフード製品のタンパク質性成分の変更の影響を研究した。驚いたことに、本発明者らは、伴侶動物が脂肪対タンパク質比の異なる製品を区別し得ること、および伴侶動物が、タンパク質の一部が遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物であるかまたは置換/代替されている製品を好むことを見出した。予想外にも、本発明者らは、遊離アミノ酸が製品の嗜好性に及ぼす影響は、製品の脂肪対タンパク質比に依存することを発見した。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】給餌試験(試験A)の結果を示す。
図2】給餌試験(試験B)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、ペットフード製品の総質量に対し、約2.0質量%~約8.0質量%の量の脂肪成分、およびペットフード製品の総質量に対し、約6.0質量%~約14.0質量%の量のタンパク質性成分を含み、該タンパク質性成分がポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が0.45:1.0~約1.0:1.0であり、かつペットフード製品中の遊離アミノ酸の含量がペットフード製品の総質量に対し、少なくとも 0.5質量%である、ペットフード製品が提供される。
【0008】
本発明者らは、脂肪およびタンパク質を含むペットフード製品の嗜好性は、遊離アミノ酸の添加により改善し得ることを見出した。したがって、本発明は、脂肪成分およびタンパク質性成分を含み、該タンパク質性成分がポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含むペットフード製品に関する。遊離アミノ酸としては、1または複数種の遊離アミノ酸が挙げられる。遊離アミノ酸は、好ましくはアラニン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、セリンおよびスレオニンからなる群より選ばれる。より好ましくは、遊離アミノ酸は、少なくともグリシン、および任意に、好ましくはアラニン、ヒスチジン、プロリン、セリンおよびスレオニンから選ばれる1または複数の他のアミノ酸からなるか含む。一実施態様において、遊離アミノ酸はグリシンからなる。
【0009】
遊離アミノ酸は、タンパク質加水分解物から誘導されても、またはそのものでもよい。同様に、遊離アミノ酸は、酵母抽出物から誘導されても、またはそのものでもよい。
【0010】
「タンパク質性」という語は、遊離アミノ酸およびポリペプチドなど、アミノ酸を含むあらゆる物質をいう。本明細書における「ポリペプチド」という語は、本明細書で「ペプチド」と称されることもある「短いポリペプチド」を含む。本発明のペットフードのタンパク質性成分は、ポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、ポリペプチドおよび遊離アミノ酸からなっていてもよい。
【0011】
本明細書における「タンパク質性添加物」という語は、遊離アミノ酸を含む物質をいう。タンパク質性添加物は、遊離アミノ酸からなるか、本質的にそれからなり得る。タンパク質性添加物は、タンパク質加水分解物または酵母抽出物の形態でも、またはそれらから誘導されてもよい。タンパク質加水分解物または酵母抽出物、特に酵母抽出物は、任意でポリペプチドをさらに含み得る。
【0012】
本明細書における「タンパク質」という語は、遊離アミノ酸を含んでも含まなくてもよいタンパク質性成分をいい、例えば、「タンパク質」という語は、ポリペプチドからなる物質を称してもよい。
【0013】
本明細書における「脂肪対タンパク質比」という語は、ペットフード製品中のタンパク質性成分総量に対するペットフード製品中の脂肪成分総量の比をいう。「脂肪対タンパク質」比は、本明細書において「F:P」と略されることがある。
【0014】
例として、ペットフード製品の脂肪含量に変更がない場合、ペットフード製品にタンパク質性添加物を添加すると、遊離アミノ酸が製品中のタンパク質性物質の総量に寄与するため、脂肪対タンパク質比(F:P)が低下する。本発明者らは、タンパク質性添加剤の添加がペットフード製品の嗜好性を変化させ得ることを見出した。また一方、本発明者らはまた、動物がF:P比の変化に敏感であり、タンパク質性添加物をレシピに追加しても必ずしも嗜好性が改善されるわけではないことも観察した。予想外にも、本発明者らは、タンパク質の一部を遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物で置き換えることにより、ウェットペットフード製品の嗜好性が著しく改善されることを見出した。このシナリオでは、製品中のタンパク質性材料の総量は置換によって変化しないため、タンパク質性添加物の添加によりF:P比は低下しない。
【0015】
最も注目すべきことに、本発明者らは、ペットフード製品は、(i)遊離アミノ酸含有タンパク質性成分を含み、(ii)タンパク質性成分に対する脂肪成分の比(F:P)が約0.45:1.0~約1.0:1.0であるとき、嗜好性が最も顕著に改善されることを見出した。ペットフード製品のF:P比は、好ましくは約0.9未満:1.0、好ましくは約0.8以下:1.0、好ましくは約0.75以下:1.0、好ましくは少なくとも約0.5:1.0、好ましくは少なくとも約0.6:1.0、好ましくは少なくとも約0.65:1.0であり、そして好ましくはF:P比は約0.7:1.0である。
【0016】
参照または既存のペットフード製品中のタンパク質の一部を遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物で置換すると、参照/既存のものに比べてタンパク質性成分中に遊離アミノ酸の割合が高い、さらに以下に述べるように、具体的に、タンパク質性成分が、タンパク質性成分の総質量に対し3質量%~50質量%、より好ましくは12質量%~50質量%の量で遊離アミノ酸を含む、本発明のペットフード製品が得られる。
【0017】
ペットフードは、通常、その含水率に基づいて分類される:
(1)乾燥または低含水率製品(本明細書では15質量%未満の含水率を示すものとして定義される)。これら製品は、通常、高栄養価でかつ利便性が高い。
(2)セミモイストまたはセミドライまたはソフトドライまたは中間または中程度の水分含有量の製品(本明細書では15~50質量%の含水率を示すものとして定義される)。
(3)ウェットまたは高含水率の製品(本明細書では50質量%超の含水率を示すものとして定義される)。これら製品は、一般的にペットにとって最も口当たりがよい。
【0018】
本明細書における「ペットフード」という語は、ペットが摂取するために設計された食品組成物をいう。本明細書に記載のウェットペットフードは、ペットに必要なすべての必須栄養素を適切な量で提供するために、栄養バランスのとれた食品であることが好ましい。
【0019】
ペットフードは、ペットの健康および/または栄養に有益なペットフード、たとえば、体重管理ペットフード、満腹ペットフードおよび/またはペットの腎機能を改善することができるペットフードであり得る。
【0020】
ペットフード製品およびその中に使用される成分は、ペットによる消費のために選択されており、人間による消費は意図されていない。本明細書における「ペット」という語は、好ましくは、飼育動物、好ましくは伴侶動物、特にネコまたはイヌを指し、好ましい実施形態ではネコをいう。
【0021】
ウェットペットフード製品は、通常、動物副産物の再構成からの再構成肉材料を含む。本発明は、特に、ウェットペットフードに関し、それには2つの主なタイプがある。
【0022】
第1のタイプのウェットペットフード製品は、「パテ」または「ローフ」として知られており、通常、食用成分の混合物を加熱処理して、熱凝固タンパク質で構成される均質な半固体の塊(mass)を作る。この均質な塊は、通常、シングルサーブまたはマルチサーブの容器内にパックされ、その後、密封および滅菌される。パックされた均質な塊が容器の形状になる。
【0023】
第2のタイプのウェットペットフード製品は、ソース成分の性質に応じて、「チャンクイングレイビー」、「チャンクインゼリー」または「チャンクインムース」として知られており、これらのタイプの製品は、本明細書では「チャンクインソース」製品と総称される。チャンクは、肉片またはより典型的には、見た目の良い再構築もしくは再構成された肉チャンクを含む。より詳細には後述するように、再構成肉チャンクは、通常、熱硬化性成分を含む肉エマルションを作成し、熱エネルギーを適用してエマルションを「硬化」させ、所望の形状にすることによって調製される。製品片は、シングルサーブまたはマルチサーブの容器内でソース(たとえば、グレイビー、ゼリーまたはムース)と組み合わされ、その後、容器は密封され滅菌される。
【0024】
本発明は、特に「チャンクインソース」ウェットペットフード製品、特に「チャンクイングレイビー」および「チャンクインゼリー」ウェットペットフード製品に関する。
【0025】
再構成された動物性材料は、再構成肉およびウェットペットフード製品の製造で従来使用されている脂肪、抗酸化剤、炭水化物源、繊維源、追加のタンパク源(植物性タンパク質を含む)、調味料、着色料、香料、ミネラル、防腐剤、ビタミン、乳化剤、デンプン質材料、およびそれらの組み合わせなどの材料のどれでも含むことができる。
【0026】
再構成された動物性材料は、「代用肉」と呼ばれることもある。
【0027】
再構成された動物性材料は、当技術分野で知られている従来の技術に従って、高温での押出プロセスによって調製することができる。
【0028】
好ましい一実施態様では、再構成された動物性材料は、たとえば、国際公開第00/69276号および国際公開第2018/125615号に記載されているような高水分押出技術または溶融技術によって調製することができる。再構成された動物性材料を製造ための他の好ましい方法は、米国特許第4,247,562号明細書に記載されている。一般的にいえば、加熱型押出機を使用して、通常は水とともに、材料を混合する。混合物を可塑化し、加熱して、高温で粘性があり、少なくともある程度溶融した塊を形成する。押出機は、混合物を混合し、加熱し、凝固させ、膨張させ、剪断して肉のような塊にし、次にそれを押し出して、所望の形状に成形する。
【0029】
さらに好ましい実施態様において、再構成された動物性材料は、以下の工程を含む方法により調製される:
(a)ミンチした動物性材料(動物性材料片を挽いてミンチした動物性材料を調製することにより適切に調製され、該動物性材料は食肉、動物副産物およびそれらの組み合わせから選択される)を準備する工程;
(b)前記ミンチした動物性材料を、熱硬化性バインダーおよび必要に応じて添加材料、たとえば前述の再構成肉およびウェットペットフード製品の製造に従来使用されている材料とともに混合してスラリーを調製する工程;
(c)前記スラリーに剪断条件を課してエマルションを生成する工程;
(d)エマルション層を形成する工程;
(e)前記エマルション層を、内部温度70℃以上(好ましくは約80℃以上)に加熱する工程;および
(f)前記層を切断または細断して再構成された動物性材料のバラバラの断片にする工程。
これは、本発明のペットフード製品の好ましい製造方法である。
【0030】
材料は、当該技術分野で慣用される任意の適切な装置、たとえば、加熱型押出機またはジャケット付きパドルミキサーを使用して、必要に応じて材料を水と組み合わせて混合することができる。
【0031】
上記方法では、スラリーは、好ましくは約50~約99質量% (好ましくは約60~約99質量%、好ましくは約65~約99質量%、かつ好ましくは約95質量%以下または約90質量%以下または約85質量%以下)のミンチした動物性材料を含む。
【0032】
スラリーの乳化は、回転ナイフと所定径(たとえば、約0.5mm~約10mm)の材料が通過する孔を有するダイプレートとの組み合わせを含む任意の慣用装置内、たとえばボウルチョッパーまたは肉挽き器などで行うことができる。必要に応じて、得られる材料は、その後ミキサーに移され、そこに水、乾燥材料(たとえば、植物性の粉末状タンパク質)および液体材料が添加されてもよい。
【0033】
この方法で形成されるエマルションの層は、たとえば、シート、スラブ、リボンまたはひもの形をとることができる。
【0034】
エマルションの層は、該層を運搬する連続ベルトの下側に蒸気を適用することによって下から、および/または蒸気をエマルションの層に直接接触させることによって上から適切に加熱される。好ましくは、エマルションは、通常、コンベヤーシステム(コンベヤーベルトなど)を備え、上部または下部から注入された飽和蒸気または過熱蒸気でエマルションをブランチングまたは加熱調理する蒸気トンネル内で加熱調理され、それにより、エマルションを継続的かつ均一に蒸気に暴露して、完全に調理されて固まらせる。エマルションは、加熱工程の間、別々のチャンクの形態であってもよいが、通常、加熱工程の後にチャンクに切断される。
【0035】
本明細書における「エマルション」という語は、水および食肉または肉副産物などの原材料に由来する他の物質の濃厚な混合物をいう。このような「エマルション」は、水、可溶化肉タンパク質、細胞成分およびその他材料で構成される複合相における脂肪粒子と気泡の分散系である。このエマルションは、肉「生地」または肉「スラリー」とも呼ばれる。これら用語は、当技術分野でよく理解されており、同義的に使用される。エマルションは、通常、可溶性タンパク質、可溶性筋肉成分、筋肉繊維の断片、結合組織繊維、骨など、および必要に応じて植物由来のタンパク質および/またはデンプンおよび/または繊維などの材料の材料 および/またはミネラル、さらに当技術分野で慣用の添加剤を含む水性媒体の連続相からなる。
【0036】
再構成された動物性材料の総タンパク質含量は、好ましくは約5~約40質量%の範囲の量であり、好ましくは少なくとも約10質量%、好ましくは少なくとも約15質量%、典型的には約36質量%以下であり、好ましくは約25質量%~約36質量%である。タンパク質は、動物性タンパク質、植物性タンパク質またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。動物タンパク質、再構成された動物材料のタンパク質画分の総質量に対し、好ましくは少なくとも50質量%の動物性タンパク質、好ましくは少なくとも約60質量%、好ましくは少なくとも約70質量%、好ましくは少なくとも約80質量%、好ましくは少なくとも約90質量%の動物性タンパク質を含む。動物性タンパク質としては、任意の動物源タンパク質(脊椎動物および無脊椎動物のタンパク質を含む)、たとえば、哺乳動物、家禽、魚および昆虫に由来するタンパク質が挙げられる。適切な動物性タンパク質の例としては、鶏、七面鳥、牛、羊、豚、鹿、水牛、鴨、カンガルー、貝類、甲殻類、サケ、マグロ、白身魚などに由来するものが挙げられる。それらは、筋肉肉、臓器、腱、骨などから適切に得られる。さらに適切な動物性タンパク質としては、乳または卵由来のタンパク質が挙げられる。植物性タンパク質としては、小麦、トウモロコシ、エンドウ豆、ルピナス、ジャガイモ、豆、レンズ豆など由来のタンパク質、たとえば小麦グルテン、およびヒマワリ、カボチャ、菜種、ピーナツ、ヘーゼルナッツ、クルミ、麻などの、油製造のための種子およびナッツのプレスケーキからのタンパク質が挙げられる。タンパク質は、特に制限されることなく、単離されたまたは部分的に単離された、濃縮されたまたはミンチされた任意の適切な形態であればよい。
【0037】
本発明の利点は、異なるタンパク質源を含む各種製品について、タンパク質の一部をタンパク質性添加物で置換することによる嗜好性の向上が観察されることである。したがって、本発明は、より持続可能な原材料(たとえば、人間の食物連鎖において高い需要があるか、あるいは環境的理由のために食肉材料の使用を減らすため)から作られた製品の嗜好性を高める方法を提供する。本発明は、魚を含まないキャットフード製品など、嗜好性向上によって恩恵を受ける製品の嗜好性を改善するためにも特に有用である。
【0038】
再構成された動物性材料の脂肪含量は、好ましくは約15質量%未満、好ましくは約13質量%以下、好ましくは約12質量%以下、好ましくは約10質量%以下、好ましくは約8質量%以下、好ましくは少なくとも約2質量%、好ましくは少なくとも約4質量%である。本明細書における「脂肪」という語は、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドおよびリン脂質などの脂肪酸のエステルをいう。脂肪は、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも70質量%のトリグリセリドを含む。脂肪は、動物性脂肪、植物油、海産油およびそれらの組み合わせを適切に含み得る。脂肪は、通常、少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも30質量%およびもっとも好ましくは少なくとも50質量%の動物性脂肪を含む。動物性脂肪は、好ましくは牛、豚、羊、山羊、家禽、魚およびそれらの組み合わせから選ばれる動物由来である。
【0039】
再構成された動物性材料の含水率は、再構成された動物性材料の総質量に対し、通常、最大で約75質量%、または最大で約65質量%であり、また通常、少なくとも約20質量%または少なくとも約30質量%または少なくとも約40質量%または少なくとも約50質量%であり、好ましくは約50~約55質量%の範囲である。
【0040】
再構成された動物性材料の繊維および炭水化物の含量は、通常、再構成された動物性材料の総質量に対し、最大で約20質量%である。再構成された動物性材料は、好ましくは再構成された動物性材料の総質量に対し、約10質量%以下の繊維を含み、好ましくは約5質量%以下、好ましくは約2質量%以下、通常約1質量%以下であり、好ましくは少なくとも約0.5質量%含む。
【0041】
ペットフード製品がウェットペットフード製品である場合、ローフまたはチャンクを形成する再構成された動物性材料は、通常、約0.8~約1.2g/mlの密度を示す。
【0042】
再構成された動物性材料のサイズは、ペットフードを消費する動物および/またはペットフードのフォーマットによって変化する。再構成された動物性材料の最長寸法は、通常、約5mm~約200mm、好ましくは少なくとも約10mm、好ましくは約150mm以下である再構成された動物性材料がチャンクインソースに適したチャンクである場合には、最長寸法は、好ましくは約50mm以下、より好ましくは約40mm以下、より好ましくは約30mm以下であり、好ましい実施態様では、約5mm~25mm、好ましくは約8~約16mmである。
【0043】
本発明ウェットペットフードは、ローフ(またはパテ)製品であり得る。上述のとおり、そのような製品は、通常、缶、ポーチ、トレイなどの容器にパッケージされた単一片の再構成された動物性材料の形態である。このような形態片の再構成された動物性材料は、ウェットペットフード製品がイヌを対象とする場合には、通常、片の体積は、約20~約2,000cm3、より好ましくは 約30~約1,500cm3、たとえば約500~約1200cm3であり、またウェットペットフード製品がネコを対象とする場合には、通常、約35~約450cm3である。パッケージまたは密封後、上記製品は、好ましくはたとえばレトルト殺菌により、パッケージ内で滅菌される。
【0044】
本発明のウェットペットフード製品は、好ましくはチャンクインソースである。本明細書において、「ソース」という語は、グレイビー、ゼリーおよびムースを包含し、好ましくは、液体、ペースト、ゲルまたはムースの形態の組成物を指す。前記ソースは、水などの液状担体、脂肪または油を含む。前記組成物は、好ましくは水性組成物である。チャンクインソースは、再構成された動物性材料片とソースとを混合し、混合物をパーケージに詰め、密封し、パーケージをたとえばレトルト殺菌により滅菌することにより調製される。再構成された動物性材料片は、ソース、たとえば片を温め、トラップされたガスがパーケージ密封前に排出されるようにする加熱ソースが片に注がれている間にパーケージに加えられてもよい。あるいは、各材料が再構成された動物性材料に加えられ、パーケージされ、ここで、各材料は、通常の滅菌プロセスにおいて、パッケージ内で再構成された動物性材料と混合されたソースの形態となる。
【0045】
パーケージの密封は、超音波、熱または真空シーリングを用いて行うことができ、好ましくは超音波または熱シーリングを用いて行う。
【0046】
レトルト殺菌は、商業的に無菌の製品を製造するために、好ましくは約115℃~約130℃の範囲のレトルト温度で、好ましくは約20~120分間行われる。
【0047】
パーケージは、缶(またはブリキ)またはジャー(たとえば、ガラス)、あるいはプラスチック、金属、ホイルポーチ、またはフレキシホイルであり得る。
【0048】
ウェットペットフード製品は、ウェットペットフード製品の総質量に対して、最大で100質量%の再構成された動物性材料、好ましくは少なくとも約5質量%の再構成された動物性材料を含むことができる。換言すれば、ウェットペットフード製品は、再構成された動物性材料を含有するか、本質的に再構成された動物性材料からなるか、またはそれからなっていてもよい。ローフ製品は、好適には、本質的に再構成された動物性材料からなるか、またはそれからなる。チャンクインソース製品は、好ましくは再構成された動物性材料:ソースの比が約20:80~約90:10、好ましくは少なくとも約30:70、好ましくは少なくとも約40:60、好ましくは少なくとも約50:50、好ましくは少なくとも約60:40で構成される。
【0049】
ウェットペットフード製品のソース成分は、ウェットペットフードの技術分野で慣用されている任意の適切なソースでよく、通常、ソースの総質量に対し、少なくとも約80質量%、通常は少なくとも約90質量%、通常は約98質量%以下の含水率を示す。ソースは、通常、その粘度を調整するために使用される増粘剤を含む。ソースの調製に使用され得る増粘剤またはゲル化剤としては、カラギーナン、キサンタン、グアーガム、カッシアガム、デンプン、ゼラチン、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよびそれらの組み合わせが挙げられる。ソースは、通常、再構成された動物性材料を被うコーティングである。
【0050】
ソースは、ウェットペットフード製品の製造で従来使用されている添加材料、たとえば脂肪、抗酸化剤、炭水化物、調味料、着色料、香料、ミネラル、保存料、ビタミン、乳化剤、デンプン質の材料、およびそれらの組み合わせなどを含むことができる。
【0051】
本発明では、遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物がチャンクインソースのソースに添加され、そこに含まれていることが好ましい。本発明のペットフード製品がローフ製品である場合、タンパク質性添加物は、再構成された動物性材料に添加され、そこに含まれていることが好ましい。しかしながら、本発明の好ましいペットフード製品は、遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物がソースに添加され、そこに含まれているチャンクインソースウェットペットフード製品である。したがって、タンパク質性添加物の遊離アミノ酸は、好ましくはチャンクインソースウェットペットフード製品のソース中に存在する。
【0052】
ペットフード製品の総脂肪含量は、好ましくは約2.0質量%~約8.0質量%の範囲の量であり、好ましくは約7.0質量%未満、好ましくは約6.0質量%以下、好ましくは少なくとも約3.0質量%、好ましくは少なくとも約4.0質量%であり、好ましくは約4.0質量%~約7.0質量%である。
【0053】
ペットフード製品の総タンパク質含量は、約6.0~約14.0質量%の範囲であり、好ましくは少なくとも約6.5質量%、好ましくは6.5質量%超、好ましくは少なくとも約7.0質量%であり、好ましくは約12.0質量%以下、通常、約11.5質量%以下、好ましくは約10.0質量%以下であり、好ましくは約6.0質量%~約12.0質量%、好ましくは約6.5質量%~約12.0質量%、好ましくは6.5質量%超~約12.0質量%、特に好ましくは約6.0質量%~約10.0質量%、好ましくは約6.5質量%~約10.0質量%、好ましくは6.5質量%超~約10.0質量%であり、特にペットフード製品はSFMプロセスにより製造される。有利なことに、本発明のペットフード製品の少なくとも6.0質量%、好ましくは少なくとも6.5質量%または超のタンパク質含量は、完全な栄養製品を提供する。
【0054】
ペットフード製品中の遊離アミノ酸の含量は、ペットフード製品の総質量に対し、少なくとも0.5質量%である。ペットフード製品中の遊離アミノ酸の含量は、ペットフード製品の総質量に対し、好ましくは最大で約6.0質量%、または最大で約4.0質量%であり、好ましくは約0.5質量%超、好ましくは少なくとも0.6質量%、好ましくは少なくとも0.7質量%であり、好ましくは約0.7質量%~約2.5質量%の範囲である。遊離アミノ酸がグリシンを含む場合、ペットフード製品中のグリシンの含量は、通常、最大で約3.5質量%、または最大で約2.5質量%、または好ましくは最大で約2.0質量%であり、好ましくは少なくとも約0.5質量%または少なくとも約0.7質量%であり、好ましくはペットフード製品の総質量に対し、約1.0質量%~約1.5質量%の範囲である。
【0055】
ウェットペットフード製品のタンパク質性成分中に存在する遊離アミノ酸量は、ペットフード製品のタンパク質性成分の総質量に対し、好ましくは少なくとも約4質量%、好ましくは少なくとも約5質量%、好ましくは少なくとも約10質量%、好ましくは少なくとも約12質量%、好ましくは少なくとも約14質量%、好ましくは少なくとも約15質量%であり、好ましくは約50質量%以下、好ましくは45質量%以下、好ましくは約40質量%以下、好ましくは約30質量%以下、好ましくは約25質量%以下である。好ましい範囲は、ペットフード製品のタンパク質性成分の総質量に対し、約5質量%~約50質量%、約5質量%~約30質量%、好ましくは約10質量%~約25質量%である。より好ましい範囲は、ペットフード製品のタンパク質性成分の総質量に対し、約12質量%~約50質量%、好ましくは約14質量%~約25質量%である。
【0056】
好ましいチャンクインソースウェットペットフード製品の場合、遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物は、好ましくは、ペットフード製品の総質量に対し、0.5質量%~6.0質量%の量または直前に記載の好ましい量の遊離アミノ酸を含むペットフード製品を提供し得る量でソース中に存在する。
【0057】
ペットフード製品中の遊離アミノ酸の好ましくは少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、好ましくは少なくとも99質量%は、タンパク質性添加物によって提供される。したがって、チャンクインソースウェットペットフード製品の好ましい実施態様では、ペットフード製品中の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、好ましくは少なくとも99質量%の遊離アミノ酸は、ソース中に添加され、そこに含まれるタンパク質性添加物によってもたらされる。
【0058】
ペットフード製品の総繊維含量は、製品の総質量に対し、好ましくは約5質量%以下、好ましくは約2質量%以下、好ましくは約1質量%以下、好ましくは少なくとも約0.1質量%である。
【0059】
本発明の第二の態様によれば、再構成された動物性材料のチャンクおよびソースを含むウェットペットフード製品の嗜好性を改善するための遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物の使用が提供され、ここで、前記ウェットペットフード製品は、ウェットペットフード製品の総質量に対し、2.0質量%~8.0質量%の量の脂肪成分および6.0質量%~14.0質量%の量のタンパク質性成分を含み、該タンパク質性成分はポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が約0.45:1.0~約1.0:1.0であり、ペットフード製品中の遊離アミノ酸の含量がペットフード製品の総質量に対し、少なくとも 0.5質量%であり、かつ遊離アミノ酸を含有する該タンパク質性成分がソース中に存在する。
【0060】
本発明の第二の態様において、ウェットペットフード製品の既存のレシピのタンパク質性成分の一部をタンパク質性添加物で置き換えることにより、既存のペットフード製品の嗜好性を改善するためにタンパク質性添加物を使用して、本発明のウェットペットフード製品をもたらすことが好ましい。
【0061】
本発明の第三の態様によれば、再構成された動物性材料のチャンクおよびソースを含むウェットペットフード製品の嗜好性を改善する方法であって、該方法は、再構成された動物性材料のチャンクおよびソースを準備する工程を含み、該方法は、ウェットペットフード製品が、ウェットペットフード製品の総質量に対し、2.0質量%~8.0質量%の量の脂肪成分および6.0質量%~14.0質量%の量のタンパク質性成分を含むようにタンパク質性添加物をソースに添加する工程をさらに含み、タンパク質性成分に対する脂肪成分の比は約0.45:1.0~約1.0:1.0であり、ペットフード製品中の遊離アミノ酸の含量は、ペットフード製品の総質量に対し、少なくとも0.5 質量%であり、かつ該タンパク質性成分はポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含有する、方法が提供される。
【0062】
本発明の第三の態様において、ウェットペットフード製品の嗜好性改善するためにソースにタンパク質性添加物を添加する工程は、ウェットペットフード製品の既存のレシピのタンパク質性成分の一部をタンパク質性添加物で置き換えることで行われ、本発明のウェットペットフード製品をもたらすことが好ましい。
【0063】
本発明の第四の態様によれば、本発明の第一の態様に係るウェットペットフード製品の調製方法が提供され、該方法は、再構成された動物性材料を含む製品に遊離アミノ酸含有タンパク質性添加物を添加する工程を含む。好ましくは、タンパク質性添加物は、チャンクインソースウェットペットフード製品のソース成分に添加する。
【0064】
本発明の第一の態様についての説明および選好は、本発明の第二、第三および第四の態様にも適用される。
【0065】
本発明を、以下の非限定的な実施例を参照して説明する。
【実施例0066】
給餌試験プロトコル
試験製品(実施例1-6)の嗜好性を、ランキング試験を用いて評価した。各試験製品の摂取量(g)を測定し、各試験製品の平均摂取量(g)を決定し、分析した。
【0067】
実施例1-4(図1:試験A)
再構成された動物性材料およびグレイビーを含むウェットキャットフード製品(実施例1~4)、すなわちチャンクインソースタイプ製品を典型的なレシピと従来の調製技術を用いて調製した。実施例2は、本発明に係る実施例である。実施例1、3および4は参照実施例である。
【0068】
実施例1は、ペットフード製品の全組成物中のF:P比として算出される脂肪対タンパク質(F:P)比が0.7であった。ウェットキャットフード製品中のこのF:P比は、タンパク質の添加(実施例3)、またはタンパク質性添加物であるグリシンの添加(実施例2および4)によりタンパク質性材料の量を増加することにより変化した。タンパク質性添加物はソース中に添加した。
【0069】
4つのウェットキャットフード製品(実施例1~4)の嗜好性を、上述の給餌試験プロトコルに従ってネコが摂食した製品の量を測定することにより、給餌試験で比較した。結果は図1に示すとおり、嗜好性の向上と、タンパク質性材料の量の増加と、F:P比の低下との間に直接的な相関関係がないことを示す。しかしながら驚いたことに、データは、実施例3よりも実施例2の製品に対して統計的に有意な選好があったことを示し、タンパク質性添加物の添加と組み合わせて総タンパク質含量を低減すると、嗜好性が改善されることを示す。実施例4に対する実施例2の統計的に有意な選好は、嗜好性を著しく改善するために、タンパク質性添加物を比較的高いF:P比で添加しなければならないことを示している。
【0070】
各ペットフード製品の特性を以下の表1に示す。すべての実施例の外観は同じであった。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例5-6(図2:試験B)
チャンクインソースウェットキャットフード製品(実施例5および6)を上述した方法と同様にして調製した。実施例5は、本発明に係る実施例である。実施例6は参照実施例である。
【0073】
実施例5の製品は、実施例1のタンパク質性材料の一部をグリシンで置換したことを除き、実施例1に対応する。タンパク質性成分の総量は実施例1と同じであるので、実施例1と5のF:P比は同じであった。同様に、実施例6の製品は、実施例3のタンパク質性材料の一部をグリシンで置換したことを除いて、実施例3に対応する。タンパク質性成分の総量は実施例3と同じであるので、実施例3と6のF:P比は同じであった。
【0074】
この試験では、実施例1、3、5および6を評価し、4つのウェットキャットフード製品の嗜好性を上述の給餌試験で比較した。結果は図2に示すとおり、タンパク質の一部を遊離アミノ酸で置換すると、製品の嗜好性が向上することを示している。しかしながら, 予想外にも、タンパク質の一部を遊離アミノ酸で置換することにより嗜好性が改善される効果は、F:P比が0.35(実施例6)に比べると0.7(実施例5)である場合にのみ統計的に有意であり、これはネコがF:P比の異なる製品を区別でき、かつF:P比が重要であることを示す。データはまた、実施例5の製品が実施例3よりも著しく好まれたことを示し、タンパク質性添加物の添加と組み合わせて総タンパク質含量を低減することは、嗜好性を改善することを示す。とりわけ、実施例3から実施例5への嗜好性の改善は、実施例3と実施例2との間の試験Aで観察された嗜好性の改善と比較して向上し、増加したF:P比が嗜好性の改善に寄与することを示している。
【0075】
各製品の特性を以下の表2に示す。すべての実施例の外観は同じであった。
【0076】
【表2】
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード製品の総質量に対し、2.0質量%~8.0質量%の量の脂肪成分およびペットフード製品の総質量に対し、6.0質量%~14.0質量%の量のタンパク質性成分を含み、該タンパク質性成分がポリペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、タンパク質性成分に対する脂肪成分の比が約0.45:1.0~約1.0:1.0であり、かつペットフード製品の総質量に対するペットフード製品中の遊離アミノ酸の量が少なくとも0.5質量%である、ペットフード製品。