(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101324
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】自走式電子機器
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240722BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240722BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240722BHJP
H01G 9/20 20060101ALI20240722BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20240722BHJP
H10K 30/50 20230101ALI20240722BHJP
H02S 40/38 20140101ALI20240722BHJP
H02S 10/40 20140101ALI20240722BHJP
【FI】
A47L9/28 E
H01M50/244 A
H01M10/44 P
H01G9/20 315
H01G9/20 311
H10K30/40
H10K30/50
H02S40/38
H02S10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005251
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】坪井 雅倫
【テーマコード(参考)】
3B057
5F151
5F251
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
3B057DA00
5F151AA11
5F151BA05
5F151JA28
5F251AA11
5F251BA05
5F251JA28
5F251XA32
5H030AS11
5H030BB07
5H040AS11
5H040AY02
(57)【要約】
【課題】デザインの自由度および広い受光面積を確保できる自走式電子機器を提供すること。
【解決手段】走行可能な筐体と、太陽電池とを備え、筐体は曲面を含む外面を有し、太陽電池は筐体の外面の少なくとも曲面の表面に沿って設けられている自走式電子機器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な筐体と、太陽電池とを備え、
筐体は曲面を含む外面を有し、太陽電池は筐体の外面の少なくとも曲面の表面に沿って設けられている自走式電子機器。
【請求項2】
太陽電池の表面が透光性を有する保護層にて覆われている、請求項1に記載の自走式電子機器。
【請求項3】
筐体の外面に発光部が設けられており、
太陽電池は、発光部を覆う透光性の発光部被覆部分を有しており、太陽電池の少なくとも発光部被覆部分が透光性を有する、請求項2に記載の自走式電子機器。
【請求項4】
太陽電池は、受光面と、受光面とは反対側の非受光面とを有し、
太陽電池の発光部被覆部分は、受光面が発光部に対向するように発光部と重なっている、請求項3に記載の自走式電子機器。
【請求項5】
太陽電池は、受光面と、受光面とは反対側の非受光面とを有し、
発光部被覆部分は、第1の太陽電池と第2の太陽電池とが重なり合ってなり、
第1の太陽電池の受光面が発光部に対向するように発光部と重なり、第2の太陽電池の非受光面が第1の太陽電池の非受光面と対向するように第1の太陽電池と重なる、請求項3に記載の自走式電子機器。
【請求項6】
筐体に設けられた、電気部品およびバッテリをさらに備え、
バッテリは太陽電池からの電力を充電可能であり、太陽電池およびバッテリの少なくとも一方から電気部品へ電力を供給可能である、請求項1~5のいずれか1つに記載の自走式電子機器。
【請求項7】
筐体が移動する領域のマップ情報を格納するマップ部と、筐体の周囲の照度を検知する照度センサと、所定時間ごとに筐体の現在位置および現在位置の照度を記憶する記憶部と、制御部とをさらに備え、
制御部は、筐体を第1移動させた後、第1移動中に記憶部に記憶された情報に基づいて、筐体を第2移動させるよう制御可能である、請求項6に記載の自走式電子機器。
【請求項8】
制御部は、記憶部に記憶された情報に基づいて、筐体が第1移動した経路のうちの最も高い照度の位置に筐体を第2移動させるよう制御可能である、請求項7に記載の自走式電子機器。
【請求項9】
制御部は、記憶部に記憶された情報に基づいて最も高い照度の位置に筐体を第2移動させた後、その周辺で筐体を第3移動させながら位置と照度を記憶部にて記憶させ、第3移動の後に、第3移動中に記憶部に記憶された情報に基づいて筐体を第4移動させるよう制御可能である、または、第1移動中と第3移動中に記憶部に記憶された情報に基づいて筐体を第4移動させるよう制御可能である、請求項8に記載の自走式電子機器。
【請求項10】
制御部は、第3移動中に記憶部に記憶された情報に基づいて最も高い照度の位置に筐体を第4移動させるよう制御可能である、または、第1移動中と第3移動中に記憶部に記憶された情報に基づいて最も高い照度の位置に筐体を第4移動させるよう制御可能である、請求項9に記載の自走式電子機器。
【請求項11】
制御部は、記憶部に記憶された情報に基づいて筐体を第2移動させた後、照度センサにて照度を検知させ、検知した照度が所定値未満である場合は、充電台が設置された充電場所に筐体を帰還移動させてバッテリを充電させるように制御可能である、請求項8に記載の自走式電子機器。
【請求項12】
時刻を特定する時計部をさらに備え、
記憶部は、位置および照度を関連付けて時刻を記憶可能であり、
制御部は、時刻および記憶部に記憶された情報に基づいて筐体を第2移動させるよう制御可能である、請求項8に記載の自走式電子機器。
【請求項13】
太陽電池が、透光性とフレキシブル性のうちの少なくともフレキシブル性を有する太陽電池、またはペロブスカイト太陽電池である、請求項1~5のいずれか1つに記載の自走式電子機器。
【請求項14】
集塵装置を備え、集塵装置は、集塵容器と、集塵容器に着脱可能なフィルタ部と、クリーニング機構と、集塵装置用太陽電池とを備え、
クリーニング機構は、集塵装置用太陽電池からの電力にてフィルタ部を振動可能な振動発生用モータと集塵装置用太陽電池からの電力にて点灯して集塵容器内に殺菌光を照射する殺菌ライトとのうちの少なくとも一方を備え、
筐体に装着された集塵装置の外面は外部に露出した露出面部を有しており、露出面部に集塵装置用太陽電池が設けられている、請求項6に記載の自走式電子機器。
【請求項15】
集塵装置は、集塵装置用太陽電池からの電力をクリーニング機構に供給可能とするスイッチ部を有する、請求項14に記載の自走式電子機器。
【請求項16】
太陽電池の表面が、筐体の外面の太陽電池周辺領域よりも陥没した位置にある、請求項1~5のいずれか1つに記載の自走式電子機器。
【請求項17】
筐体は曲面を有する外周部を有しており、太陽電池が外周部に設けられている、請求項1~5のいずれか1つに記載の自走式電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自走式電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行可能な筐体と、電動送風機に電力を供給する二次電池と、二次電池を充電可能な太陽電池とを備え、筐体の外面に太陽電池が設けられた自走式掃除機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池が一般的なシリコンタイプであると、太陽電池の設置箇所が筐体の外面の平坦部に制限されるため、太陽電池の受光面積を広く確保することが難しい。あるいは、シリコンタイプの太陽電池の受光面積を広く確保するために、筐体の外面に平坦部を多くするとデザインの自由度が狭くなる。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた自走式電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、走行可能な筐体と、太陽電池とを備え、筐体は曲面を含む外面を有し、太陽電池は筐体の外面の少なくとも曲面の表面に沿って設けられている自走式電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、太陽電池の受光面積を広く保ち、デザインの自由度が狭くなることを低減し、電気部品に電力を供給可能な太陽電池が外面に設けられた自走式電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態の自走式掃除機の概略斜視図である。
【
図2】第1実施形態の自走式掃除機の概略裏面図である。
【
図3】
図2に示した破線I-Iにおける自走式掃除機の概略断面図である。
【
図4】第1実施形態の自走式掃除機に備えられた電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】
図2に示した破線I-Iにおける自走式掃除機のバンパー上部の概略断面図である。
【
図6】第1実施形態の自走式掃除機の走行動作処理のフローチャートである。
【
図7】第1実施形態の自走式掃除機の走行動作処理の別のフローチャートである。
【
図8】第2実施形態の自走式掃除機の走行動作処理のフローチャートである。
【
図9】第3実施形態の自走式掃除機の走行動作処理のフローチャートである。
【
図11】第4実施形態の変形例1を示す
図5対応図である。
【
図12】第5実施形態の自走式掃除機のバンパー中間部の概略断面図である。
【
図14】第6実施形態の自走式掃除機の概略断面図である。
【
図15】
図14の自走式掃除機における集塵装置の概略断面図である。
【
図16】第7実施形態の自走式掃除機の概略断面図である。
【
図17】第8実施形態の自走式掃除機の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る自走式電子機器について説明する。この自走式電子機器は、バッテリと太陽電池を備え、バッテリのみの電力、太陽電池のみの電力、またはバッテリと太陽電池とを併用した電力によって駆動することができる。以下の実施形態では、自走式電子機器として、主として、自走式掃除機1の概略構成と動作について説明する。本発明に係る自走式電子機器は、自走式掃除機以外に、自走式イオン発生装置、自走式室内監視装置、自走式運搬装置等にも適用可能である。
図1は本発明の第1実施形態の自走式掃除機の概略斜視図である。なお、
図1において、自走式掃除機が前進する方向を前方として、自走式掃除機の前後左右上下方向を矢印にて示している。
【0010】
図1に示すように、自走式掃除機1は、走行可能な筐体2を備える。本実施形態では、筐体2は円盤型であるが、平面的に見て、楕円形、略正三角形、略正方形等の形状でもよい。筐体2は、平面的に見て、半円形の前外周部3と半円形の後外周部4とを有しており、前外周部3がバンパーとなっている。前外周部3および後外周部4は、外周側に膨らむように湾曲した外面を有しており、前外周部3および後外周部4のそれぞれの外面上部の表面に沿って帯状の太陽電池5が設けられている。前外周部3の3箇所には障害検知部6(例えば、超音波センサや赤外線センサ)が設けられ、中間の障害検知部6の左右両側には発光部7(例えば、LEDライト)が設けられている。
【0011】
さらに、筐体2は、前天面部8と、後天面部9と、開閉蓋として機能する前後中間位置の中間天面部10とを有し、これら前天面部8と後天面部9と中間天面部10は上方へ少し膨らむように湾曲した外面を有している。そして、前天面部8と後天面部9と中間天面部10の各外面の表面に沿って別の太陽電池5がそれぞれ設けられている。筐体2の外面に設けられた太陽電池5としては、少なくともフレキシブル性を有する太陽電池を用いることができ、具体的には、室内光でも発電可能なペロブスカイト太陽電池を用いることができる。前天面部8の前端には画像取得部11(例えば、CCDカメラ)が設けられ、自走式掃除機1の前方または360度周囲を撮影可能である。撮影の際、暗い室内では発光部7にて前方を照らすことができる。
【0012】
図2は第1実施形態の自走式掃除機の概略裏面図である。
図2に示すように、自走式掃除機1は、筐体2の底部21の前部に設けられた吸気口22と、吸気口22に回転可能に設けられた回転ブラシ23と、吸気口22の左右位置に回転可能に設けられた一対のサイドブラシ24と、一対のサイドブラシ24の後方に設けられた一対の駆動輪25と、底部21の前端に設けられた前輪26と、底部21の後端に設けられた後輪27とを備える。図示しないが、筐体2内には、回転ブラシ用モータ、サイドブラシ用モータ等の各動力部と、各動力部からの動力を回転ブラシ23や一対のサイドブラシ24に伝達する動力伝達機構等も設けられている。
【0013】
図3は
図2に示した破線I-Iにおける自走式掃除機の概略断面図である。
図3に示すように、自走式掃除機1の筐体2の内部には、中間天面部10の下方の収納凹部内に収納された集塵装置31と、集塵装置31の後方下部に設けられたバッテリ32と、バッテリ32の上方に設けられた制御基板33と、集塵装置31の前方に設けられた吸引モータ34と、集塵装置31の流入口35と吸気口22とを連通接続する吸気流路36と、集塵装置31の排出口37と吸引モータ34により回転させるファンとを連通接続する排気流路38と、吸引モータ34により回転させるファンからの排気を外部に排出する排気口39とを備える。排気口39は、前天面部8と中間天面部10との間に配置されている。筐体2内に大きなバッテリを収容すると筐体が大型化してしまう。そこで、本実施形態では、バッテリ32として小型の全固体電池を用いてもよい。これにより、筐体の小型化が可能となる。なお、筐体が大型化してもよい場合、バッテリ32としては、全固体電池に限定されず、従来から広く利用されている二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)を用いてもよい。
【0014】
集塵装置31は、流入口35を前面に有する集塵容器310と、集塵容器310の上部に設けられた開口に着脱可能なフィルタ311と、フィルタ311を覆うように集塵容器310に開閉可能に取付けられるカバー312とを備えている。排出口37はカバー312の前面に設けられている。この集塵装置31によれば、吸引モータ34が駆動すると、被清掃面上の塵埃が空気と共に吸気口22から吸気流路36および流入口35を介して集塵容器310内に流入する。フィルタ311によって塵埃Dは捕捉され、塵埃Dが除去された空気が排気流路38および吸引モータ34により回転させるファンを介して排気口39から外部へ排出される。なお、吸引モータ34により回転させるファンを合わせて、電動送風機と呼ぶこともある。
【0015】
図4は第1実施形態の自走式掃除機に備えられた電気的構成を示すブロック図である。
図4を参照しながら、自走式掃除機1の電気的構成について説明する。制御部41は、自走式掃除機1の各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。CPUは、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各ハードウェアを有機的に動作させて、後述するような検知機能、算出機能、駆動機能などを実行する。
【0016】
駆動輪25は、筐体2を走行させる。
走行制御部42は、自走式掃除機1の自律走行の制御を行い、主として駆動輪25の回転を制御して筐体2を自律的に走行させる。走行制御部42は、一対の駆動輪25を駆動又は停止させることにより、自走式掃除機1の前進、後退、回転、静止などの動作を行わせる。
【0017】
障害検知部6は、自走式掃除機1の周囲に存在する机や椅子などの障害物を検知し、例えば、超音波センサ、赤外線測距センサ等からなる測距センサが用いられる。制御部41のCPUは、障害検知部6から出力された信号に基づいて、障害物の存在する位置を認識する。CPUは、認識された障害物の位置情報に基づいて、その障害物に接触しないように回避して次に走行すべき方向を決定する。なお、自走式掃除機1は、障害検知部6に加えて、自走式掃除機1のバンパーが障害物に接触したことを検知する接触センサを備えてもよい。
【0018】
バッテリ32は、自走式掃除機1の各機能要素に対して電力を供給する部分であり、主として、撮影機能および走行制御等を行うための電力を供給する。バッテリ32としては、例えば、全固体電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、Ni-Cd電池などの充電池が用いられる。自走式掃除機1と充電台60とを接続した状態でバッテリ32の充電が行われる。自走式掃除機1と充電台60との接続は、自走式掃除機1に外部露出状に設けられた充電用接続部43と充電台60に設けられた充電端子部61とを電気的に接触させることにより行う。
【0019】
バッテリ32は太陽電池5からの電力も充電可能である。自走式掃除機1による清掃および移動の際、吸引モータ34の回転数、エンコーダによる移動量、バッテリ32の残量、室内の照度などに基づいて、制御部41が、太陽電池5の発電のみで動作可能と判断した場合にはそのようにしてバッテリ32の消費を抑え、太陽電池5のみでの動作が不可と判断した場合はバッテリ32を併用するようにしてもよい。例えば、フローリング清掃の場合、清掃に関わる動力部(吸引モータ34、回転ブラシ用モータ、サイドブラシ用モータ等)への負荷は比較的小さいので太陽電池5の発電のみで駆動し、絨毯清掃の場合、清掃に関わる動力部への負荷はフローリングよりも大きいので太陽電池5とバッテリ32を併用してもよい。太陽電池5とバッテリ32を併用する場合、太陽電池5の電力とバッテリ32の電力を自走式掃除機1の駆動系に供給してもよく、あるいはバッテリ32の電力を自走式掃除機1の駆動系に供給しながら太陽電池5の電力にてバッテリ32を充電してもよい。いずれの場合でも、太陽電池5の電力を利用できるため、バッテリ32の消耗を抑え、自走式掃除機1の長時間運転が可能となる。
【0020】
帯電粒子発生装置であるイオン発生部44は、筐体2内部に収容され、イオンを発生する部分である。具体的には、放電により空気中の水分子を電離し、正イオンとしてH
+(H
2O)m(mは任意の自然数)、負イオンとしてO
2
-(H
2O)n(nは任意の自然数)を生成する。イオン発生部412は、排気経路に臨む部分に、正負のイオンを生成する場合、それぞれのイオン放出部を有している。イオン発生部44で発生したイオンは、集塵装置31のフィルタ311を通過した清浄な空気中に放出され、該空気と共に排気口39から外部へ吹き出される(
図3参照)。自走式掃除機1によって塵埃が取り除かれた空気を排気口39からイオンと共に排出するので、床面の掃除に加えて、排気によってイオンを部屋に行き渡らせることができる。帯電粒子発生装置としては、放電により、イオン、電子、オゾン、ラジカル、活性種などを発生させる放電装置であればよい。また、帯電粒子発生装置がイオンを発生させる場合は、正イオンと負イオンの両方を発生させる構成であっても、正イオンあるいは負イオンの何れか一方を発生させる構成であってもよい。また、本発明において、帯電粒子には空気イオンのほかに帯電微粒子水も含むものとする。このとき、帯電粒子発生装置を例えば静電霧化装置によって構成してもよい。静電霧化装置によってラジカル成分を含む帯電微粒子水が生成される。すなわち、静電霧化装置に設けた放電電極をペルチェ素子により冷却することで放電電極の表面に結露水が生じる。次に、放電電極に負の高電圧を印加すると、結露水から負イオンを含む帯電微粒子水が生成される。また、放電電極に正の高電圧を印加すると、結露水から正イオンを含む帯電微粒子水が生成される。
【0021】
吸引制御部45は、吸引モータ34の駆動を制御する。なお、集塵装置31は、制御部41にて制御されるものでなく、集塵装置31が筐体2内の収容凹部に収容されたか否かを検知する検知手段(機械式スイッチ、光検知スイッチ等)の検知信号を、制御部41へ送るものとして
図4に図示している。
【0022】
記憶部46は、自走式掃除機1の各種機能を実現するために必要な情報や、プログラムや、自走式掃除機1の走行中に取得した取得画像データ47、自機位置データ48、照度データ49、時刻データ410等の取得データを記憶し、RAM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶媒体が用いられる。記憶部46には、音声認識、撮影、通信などの機能、その他の機能を実行するときに必要な情報が一時的に記憶されてもよい。
【0023】
記憶部46には、自機位置データ48に関係する走行特性情報411が記憶される。走行特性情報411は、筐体2の走行特性に関するデータであり、例えば、筐体2の位置座標、走行距離、カウント数CN及び方向転換時の回転角度のデータである。筐体2の走行距離または回転角度は、走行または回転に要したカウント数CNとともに走行特性情報411に記憶される。このようにして、自走式掃除機1の走行履歴を記憶することができる。ここで、記憶部46は、本発明に係る走行履歴保持部の一例である。
【0024】
マップ部412は、筐体2が移動する領域のマップ情報を格納する。例えば、自走式掃除機1のユーザーの部屋の間取りがマップ情報としてマップ部412に格納されている。照度センサ413は、自走式掃除機1の周囲の照度を検知し、例えば、筐体2の前天面部8の一部、後天面部9の一部、外周部の一部等に設けられる。照度センサ413として、可視光線と紫外線の両方を検知可能なセンサを用いてもよく、あるいは可視光線を検知可能なセンサと紫外線を検知可能なセンサの2つを用いてもよい。時計部414は、自走式掃除機1の駆動時の時刻を認識する部分である。
【0025】
操作入力部415は、ユーザーが自走式掃除機1の動作を指示入力する部分であり、例えば、自走式掃除機1の筐体2の後天面部9の表面(
図1参照)に操作パネルまたは操作ボタンとして設けられる。この場合、操作入力部415を避けた位置に太陽電池5が設けられる。筐体2とは別にリモコンユニットを設け、リモコンユニットに設けられた操作ボタンを押すことによって赤外線や無線電波信号を送出し、無線通信により動作の指示入力をしてもよい。操作入力部415としては、例えば、電源スイッチ、起動スイッチ、充電要求スイッチ、その他のスイッチ(運転モードスイッチ,タイマスイッチ)などが設けられる。
【0026】
画像取得部11は、筐体2の外部の画像を取得し、例えば、CCDカメラが利用される。なお、画像取得部11は、対象までの距離を測定するために、筐体2の前方左右に2個(合計4個)設けてもよい。画像取得部11から取得された画像は、例えば、AD変換され、所定のデジタル画像フォーマットで、取得画像データ47として記憶部46に記憶される。取得する画像は、静止画であっても動画であってもよい。画像認識部416は、取得された画像を認識し、画像取得部11から取得された画像(取得画像データ47)からその画像に含まれる指定標識あるいは人物を認識し特定する。
【0027】
発光部7は、自走式掃除機1の周囲を照明する部分であり、例えば、LEDライトが利用される。発光部7は、例えば、画像取得部11であるカメラの起動と連動され、当該カメラによる撮影を行う前に点灯される。
【0028】
誘導信号受信部417は、例えばビーコン等、赤外線を受信するための赤外線センサであり、筐体2の前部に配置される。誘導信号受信部417は、充電台60に設けられたLEDなどの誘導信号送信部62から出射された位置標識信号(ビーコン)を受信する。
【0029】
カウンタ418は、駆動輪25を駆動するモータの回転角度に基づくエンコード信号をカウントする。なお、モータの回転角度に基づくエンコーダのほか、駆動輪25がパルスモータ駆動であれば、そのパルスをカウントしてもよい。駆動輪25の回転中、その回転角度はカウンタ418により計測されたカウント数CNに比例し、駆動輪25と床面との間にすべりの影響が全くない場合、筐体2の走行距離は駆動輪25自体の回転角度と比例関係にあるので、カウント数CNから筐体2の走行距離を見積もることができる。
【0030】
通信部419は、ネットワークを介して、外部装置と通信する。すなわち、通信部419は、自走式掃除機1以外の外部装置に対して、バッテリ32の残量、前回運転時の情報(運転日時、運転モード、走行距離、物体回避回数、物体接触回数、段差回避回数、消費バッテリ量、発電量等)、総走行距離、実行した運転モードの回数、カメラによる撮影画像、集塵装置のゴミ量、マップ情報、照度情報、総発電量等の種々の情報を送信し、その外部装置から動作要求等のデータを受信する。ネットワークとしては、LAN、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、専用の通信回線などいずれのネットワークを利用してもよい。その無線通信規格としては、例えば、Bluetooth(登録商標)や無線LANの標準規格であるIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等が挙げられる。例えば、外部装置から画像撮影要求が受信された場合など、所定の画像送信条件が満たされた場合に、通信部419が、画像取得部11によって取得した取得画像データ47を外部装置へ送信する。外部装置としては、例えば、図示しないPC、携帯端末、サーバなどがある。
【0031】
図5は
図2に示した破線I-Iにおける自走式掃除機のバンパー上部の概略断面図である。筐体2の外面に設けられた太陽電池5はフレキシブル性を有しているため、例えば
図5に示すように前外周部3の曲面に接着剤を用いて太陽電池5を接着することができる。この際、太陽電池5の受光面51は外側に向けられる。太陽電池5の受光面51に設けられた受光面電極および非受光面52に設けられた非受光面電極にはそれぞれ端子が設けられている。また、筐体2には、太陽電池5の各端子を挿入する複数の貫通孔が設けられている。筐体2の外面側から各貫通孔に挿入された太陽電池5の各端子の先端は、筐体2内に設けられた複数の導電部材(コネクタ、リード線等)と電気的に接続されている。複数の導電部材は、充電用接続部43に設けられた充電回路と電気的に接続されている(
図4参照)。
【0032】
太陽電池5の表面は透光性の保護層53によって覆うことが、外部の衝撃から太陽電池5を保護する上で好ましい。保護層53としては、透明な樹脂フィルムを用いることができ、割れにくい透明なガラスフィルムを用いてもよい。これらの点については、前外周部3以外の部分に設けられた太陽電池5についても同様である。本実施形態の場合、
図5に示すように筐体2の前外周部3の湾曲した上部外面に太陽電池5が設けられているため、バンパーとしての前外周部3が垂直な壁面に当接しても太陽電池5に壁面は接触しないようになっている。
【0033】
<自走式掃除機の動作手順の具体例>
次に、
図6および
図7に基づき、自走式掃除機1の動作手順の具体例について説明する。
図6は第1実施形態の自走式掃除機の走行動作処理のフローチャートである。
図7は第1実施形態の自走式掃除機の走行動作処理の別のフローチャートである。第1実施形態では、主として、自走式掃除機1の清掃後の動作について説明する。第1実施形態では、自走集塵後(第1移動後)、自走集塵の走行経路中で最も照度が高かった位置に、自走式掃除機1を第2移動させることにより、筐体2に設けられた太陽電池5によって発電した電力をバッテリ32に効率よく充電させる。
【0034】
図6を参照しながら説明すると、自走式掃除機1を運転開始する命令により、制御部41は、ステップS1においてマップ部413に格納された室内のマップ情報を確認し、ステップS3において記憶部47の自機位置データに基づいて自機位置を確認し、ステップS5において時計部415の現在日時情報を確認し、その後、ステップS7において筐体2を走行させて第1移動を開始させる。この第1移動では、例えば、予め設定された走行モード(ランダムモード、ジグザグモード、スパイラルモード等)で筐体2を走行させながら清掃する、あるいは予め設定された経路で筐体2を走行させながら清掃することができる。ここで、ジグザグモードとは、位置をずらしながら往復走行するモードである。
【0035】
続くステップ9において、制御部41は、操作入力部44から走行終了または走行停止命令を受けたか否かを判定する。制御部41は、ステップS9において走行終了または走行停止命令を受けていないと判定した場合(ステップS9の判定がNoの場合)、ステップS11へ進む。一方、制御部41は、ステップS9において走行終了または走行停止命令を受けたと判定した場合(ステップS9の判定がYesの場合)、ステップS13へ進む。
【0036】
次に、ステップS11において、制御部41は、記憶部47の走行特性情報419(位置座標、走行距離、モータの回転角度、カウント数CN)から自機が前回確認したときの位置から走行して位置が変わったか否かを判定する。制御部41は、ステップS11において自機位置が変わったと判定した場合(ステップS11の判定がYesの場合)、ステップS15において走行特性情報に基づいて自機位置を確認する。一方、制御部41は、ステップS11において自機位置が変わっていないと判定した場合(ステップS11の判定がNoの場合)、ステップS17へ進む。自機位置が変わっていない状況とは、前回照度を測定した位置から、次回照度を測定する位置までまだ達していない状況である。この場合、まだ自機位置が変わっていないと判定し、次回照度を測定する位置まで移動を行う。
【0037】
ステップS15の後、制御部41は、ステップS19において照度センサ414からの検知信号に基づいて照度を確認し、ステップS21において時計部415からの現在時刻情報に基づいて現在時刻を確認し、ステップS23において自機位置データ(自機位置情報)と照度データ(照度情報)を時刻データ(時刻情報)と合わせて記憶部47にて記憶させる。ステップS23の後、制御部41は、ステップS25において走行開始(ステップS7)から所定時間経過したか否かを時計部415によるステップS5での時刻情報と現在の時刻情報とから判定する。このとき、所定時間としては、特に限定されず、例えば、1~10秒の範囲内とすることができる。所定時間経過したと判定した場合(ステップS25の判定がYesの場合)、制御部41は、ステップS11へ戻る。一方、所定時間経過していないと判定した場合(ステップS25の判定がNoの場合)、制御部41は、ステップS17へ進む。
【0038】
ステップS17において、制御部41は、筐体2の第1移動を継続させ、ステップS27へ進む。ステップS27において、制御部41は、操作入力部44から走行終了または走行停止命令を受けたか否かを判定する。制御部41は、ステップS27において走行終了または走行停止命令を受けていないと判定した場合(ステップS27の判定がNoの場合)、ステップS25へ進む。一方、制御部41は、ステップS27において走行終了または走行停止命令を受けたと判定した場合(ステップS27の判定がYesの場合)、ステップS13へ進む。ステップS13において、制御部41は、筐体2を停止させて第1移動を終了する。このとき、制御部41は、清掃に関わる動力部(吸引モータ34、回転ブラシ用モータ、サイドブラシ用モータ等)も停止させる。
【0039】
図7を参照しながらさらに説明すると、ステップS13の後、ステップS27において、制御部41は、第1移動中に記憶した第1移動の走行経路の中で最も照度の高い位置へ移動するか否かを判定する。このとき、制御部41は、例えば、筐体2が走行できる場合は移動すると判定し、走行できない、あるいは走行しない場合は移動しないと判定する。移動すると判定した場合(ステップS27の判定がYesの場合)、制御部41は、ステップS29において記憶情報から最も照度の高い位置を特定する。一方、何らかの理由で移動しないと判定した場合(ステップS27の判定がNoの場合)、制御部41は、自走式掃除機1の動作ステップを終了する。ステップS27において、制御部41が移動しないと判定する状況としては、例えば、ユーザーが自走式掃除機1を充電台60まで持ち運んで充電させる状況や、ユーザーが自走式掃除機1に対して照度の最も高い位置での充電を実施させないように指示をしている場合、あるいは、自走式掃除機1が段差に落ち込んで移動できない状況等が想定される。
【0040】
ステップS29の後、ステップS31において、制御部41は、第1移動中に記憶部47に記憶された記憶情報(自機位置データ、照度データ、時刻データ等)に基づいて、筐体2を走行させて最も照度が高い位置へ第2移動させる。ステップS31の後、ステップS33において、制御部41は、室内のマップ情報、走行特性情報等に基づいて第2移動が完了したか否かを判定する。ステップS33において、制御部41は、第2移動が完了していないと判定した場合(ステップS33の判定がNoの場合)、ステップS31へ戻る。一方、ステップS33において、制御部41は、第2移動が完了したと判定した場合(ステップS33の判定がYesの場合)、筐体2を停止させて第2移動を終了し、自走式掃除機1の清掃後の動作が終了する。
【0041】
ステップS29で特定した最も照度の高い位置に停止した自走式掃除機1は、筐体2に設けられた各太陽電池5によって発電した電力をバッテリ32に効率よく充電することができる。したがって、バッテリ32の充電に商用電源を直接用いずに自然エネルギーである太陽光、または、部屋で使用中の蛍光灯などの室内光を用いるため、省エネルギーに貢献できる。さらに、この自走式掃除機1は、第2移動終了に至るまでの間も各太陽電池5によるバッテリ32の充電が可能である。そのため、日光や室内灯にて照らされた清掃場所を自走式掃除機1が清掃および移動する際、各太陽電池5にて発電しながらバッテリ32の電力を使用するため、バッテリ32の消費電力を抑え、自走式掃除機1の使用可能時間を延長することができる。清掃作業を終えた自走式掃除機1の第2移動のみの消費電力は比較的少なくて済むため、この間はバッテリ32の電力は使用せず、各太陽電池5からの電力のみによって自走式掃除機1を移動させるようにしてもよい。
【0042】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態のステップS29以降において、制御部41は、第1移動時の記憶情報から第1移動の走行経路の中で最も照度が高い位置以外の位置、例えば、2番目に照度が高い位置を特定し、その特定した位置へ筐体2を第2移動させるようにしてもよい。このような状況としては、何らかの理由、例えば、第1移動の走行経路の中で最も照度が高い位置であった場所に、第1移動中にはなかった荷物などの障害物が自走式電子機器の所有者などにより置かれてしまった場合、筐体2が障害物によって最も照度が高い位置に進めないため、筐体2を2番目に照度が高い位置へ移動させるような状況が想定される。
【0043】
(第2実施形態)
第1実施形態で説明した第2移動を完了した位置は、第1移動中に記憶した最も照度が高い位置であるが、最も照度が高い位置を記憶した時刻から第2移動を完了した時刻までの間に時間差がある。そのため、第2移動を完了した位置は、自走式掃除機が第1移動した経路中において最も照度が高い位置ではなくなっている可能性がある。例えば、日光が差し込む室内では、時間が経過すると日光の入射角度や入射方向が変化するため、時間経過とともに最も照度が高い位置が少しずつ変化する可能性がある。そこで、第2実施形態の自走式掃除機は、第1実施形態とは一部異なる動作をする。
【0044】
図8は第2実施形態の自走式掃除機の走行動作処理のフローチャートである。第2実施形態の自走式掃除機は、第1実施形態の自走式掃除機と構造は同じである。以下、
図4、
図8を参照しながら、第2実施形態の第1実施形態とは動作が異なる点を主に説明する。
【0045】
第2実施形態では、
図8に示すように、ステップS33までは第1実施形態と同様である(
図7参照)。第2実施形態の場合、ステップS33において、制御部41は、第2移動が完了したと判定すると(ステップS33の判定がYesの場合)、ステップS113において、第2移動が完了した位置の周辺を第3移動するように筐体2を走行させる。このとき、例えば、自走式掃除機1は第2移動を完了した位置を中心とした半径1m以内をスパイラルモードまたはジグザグモードで走行する。ステップS113に引き続き、制御部41は、ステップS115において自機位置を確認し、ステップS119において照度を確認し、ステップS121において現在時刻を確認し、ステップS123において自機位置情報と照度情報を現在時刻と合わせて記憶部47に記憶させる。
【0046】
次に、ステップS125において、制御部41は、第1所定時間経過したか否かを判定する。この際、制御部41は、時計部415によって計測した第3移動開始時刻から現在時刻までの経過時間に基づいて第1所定時間経過したか否かを判定することができる。第1所定時間は、第3移動開始直後から最初に自機位置情報と照度情報を現在時刻と合わせて記憶するまでの時間であり、この時間間隔で2回目以降も自機位置情報と照度情報を現在時刻と合わせて記憶する。第1所定時間としては、特に限定されず、例えば、1~5秒の範囲内とすることができる。制御部41は、第1所定時間経過したと判定した場合(ステップS125の判定がYesの場合)、ステップS115に戻る。一方、制御部41は、第1所定時間経過していないと判定した場合(ステップS125の判定がNoの場合)、第2所定時間経過したか否かを判定する(ステップS41)。この際、制御部41は、時計部415によって計測した第3移動開始時刻から現在時刻までの経過時間に基づいて第2所定時間経過したか否かを判定することができる。このときの第2所定時間としては、特に限定されず、例えば、10秒~3分の範囲内とすることができる。第2所定時間は、自走式掃除機1が第3移動している時間であり、例えば、第2移動を完了した位置を中心とした半径1m以内の比較的狭い範囲を移動するための時間である。制御部41は、第2所定時間経過していないと判定した場合(ステップS41の判定がNoの場合)、ステップS125に戻る。一方、制御部41は、第2所定時間経過したと判定した場合(ステップS41の判定がYesの場合)、第3移動中の記憶情報に基づいて第3移動中の最も照度が高い位置を特定する(ステップS43)。
【0047】
ステップS43の後、ステップS45において、制御部41は、特定した位置へ筐体2を第4移動させる。次に、ステップS47において、制御部41は、第4移動が完了したか否かを判定する。制御部41は、第4移動が完了していないと判定すると(ステップS47の判定がNoの場合)、ステップS45に戻る。一方、制御部41は、第4移動が完了したと判定すると(ステップS47の判定がYesの場合)、ステップS49において第4移動を終了し、筐体2の動作ステップを終了する。
【0048】
第2実施形態によれば、清掃中(第1移動中)に記憶した最も照度が高い位置が時間経過とともに異なる位置に変化しても、清掃後の最も照度が最も高い位置へ自走式掃除機1を移動させて効率的な太陽電池5による発電およびバッテリ32の充電を行うことができる。
【0049】
(第2実施形態の変形例1)
図8に示す第2実施形態のステップS45以降では、制御部41は、第3移動中の記憶情報に基づいて最も照度が高い位置を特定し、その特定した位置へ筐体2を第4移動させているが、次のようにしてもよい。第2実施形態のステップS45以降において、制御部41は、第1移動中に記憶した第1移動の走行経路の中で最も照度が高い位置を特定し、その特定した位置へ筐体2を第4移動させてもよい。つまり、第3移動の後に、制御部41は、筐体2を第2移動完了位置へ戻すようにしてもよい。このような状況としては、例えば、第3移動中に記憶した照度が、第1移動中に記憶した最も高い照度以下の場合が想定される。
【0050】
(第2実施形態の変形例2)
図8に示す第2実施形態のステップS45以降において、制御部41は、次のように筐体2を移動させてもよい。制御部41は、ステップS45において第3移動中の記憶情報に基づいて第3移動の走行経路の中で最も照度が高い位置へ筐体2を第4移動させるが、第1移動の走行経路の中で2番目に照度が高い位置で第4移動を終了させてもよい。このような状況としては、何らかの理由、例えば、第3移動の走行経路の中で最も照度が高い位置であった場所に、第3移動中にはなかった荷物などの障害物が自走式電子機器の所有者などにより置かれてしまった場合、さらに、第1移動の走行経路の中で最も照度が高い位置であった場所にも、第1移動中にはなかった荷物などの障害物が自走式電子機器の所有者などにより置かれてしまった場合、制御部41は、第1移動中の記憶情報に基づいて筐体2を第1移動の走行経路の中で2番目に照度が高い位置へ移動させる、というような状況が想定される。
【0051】
(第3実施形態)
第1実施形態で説明した第2移動を完了した位置は、第1移動中に記憶した最も照度が高い位置であるが、第2移動を完了した時点ではもはや自走式掃除機の太陽電池が効率よく発電できる程度の照度が得られない可能性がある。例えば、清掃時に室内が照明器具によって照らされていたが、清掃後に照明器具が消灯した場合、第2移動完了位置では自走式掃除機の太陽電池が効率よく発電できない。そこで、第3実施形態の自走式掃除機は、第1実施形態とは一部異なる動作をする。
【0052】
図9は第3実施形態の自走式掃除機の走行動作処理のフローチャートである。第3実施形態の自走式掃除機は、第1実施形態の自走式掃除機と構造は同じである。以下、
図9を参照しながら、第3実施形態の第1実施形態とは動作が異なる点を主に説明する。
【0053】
第3実施形態では、
図9に示すように、ステップS33までは第1実施形態と概ね同様である(
図7参照)。第3実施形態では、ステップS51において、制御部41は、筐体2を停止させて第2移動を終了し、その後、ステップS53において第2移動完了位置の照度を計測する。次に、制御部41は、ステップS55において第2移動完了位置の照度が所定値未満であるか否かを判定する。この際、記憶部47には予め判断基準となる照度の所定値が記憶されており、制御部41は、第2移動完了位置の照度の値と判断基準となる照度の所定値とを比較する。制御部41は、ステップS55において第2移動完了位置の照度が所定値未満でないと判定した場合(ステップS55の判定がNoの場合)、筐体2の停止状態を維持して動作ステップを終了する。一方、制御部41は、ステップS55において第2移動完了位置の照度が所定値未満であると判定した場合(ステップS55の判定がYesの場合)、ステップS57において筐体2を充電台60が設置された充電場所へ帰還移動させる。
【0054】
次に、ステップS59において、制御部41は、帰還移動が完了したか否かを判定する。ステップS59において、制御部41は、帰還移動が完了していないと判定すると(ステップS59の判定がNoの場合)、ステップS57へ戻る。一方、ステップS59において、制御部41は、帰還移動が完了したと判定すると(ステップS59の判定がYesの場合)、筐体2を停止させて帰還移動を終了し、自走式掃除機1の動作ステップが終了する。筐体2が帰還移動を完了したとの判定は、筐体2に設けられた充電用接続部43が充電台60の充電端子部61と電気的に接続されて充電台60からの電力によってバッテリ32の充電が開始されたことを制御部41が確認することにより行われる(
図4参照)。
【0055】
第3実施形態によれば、太陽電池5が効率よく発電できない暗い室内で自走式掃除機1が停止状態を維持することなく、清掃後の消耗したバッテリ32を商用電源にて効率よく充電することができる。
【0056】
(第4実施形態)
図10は第4実施形態を示す
図5対応図である。
図10において、
図5中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。第4実施形態の場合、第1実施形態で説明した自走式掃除機1の構造と概ね同様であるが、次の点が異なる。第1実施形態(
図5参照)の場合、筐体2の前外周部3の上部に設けた太陽電池5の表面は、前外周部3の外面の太陽電池周辺領域よりも隆起した位置にある。これに対し、
図10に示す第4実施形態の場合、筐体の外周部3の上部に設けた太陽電池5の表面(受光面51)は、前外周部3の外面の太陽電池周辺領域よりも陥没した位置にある。具体的には、前外周部3の上部に凹部101を設け、凹部101の底面に太陽電池5を設けている。第4実施形態において、後外周部の太陽電池も同様である。
【0057】
この構成によれば、自走式掃除機の移動時に垂直な壁に太陽電池5が接触しない位置に設けられていることに加え、太陽電池5の表面が前外周部3の外面の太陽電池周辺領域よりも陥没した位置にあることでより外部の物体に接触しにくくなっている。そのため、第4実施形態では、太陽電池5を保護層にて覆っていない。
【0058】
(第4実施形態の変形例1)
図11は第4実施形態の変形例1を示す
図5対応図である。
図11に示すように、第4実施形態における太陽電池5を透光性を有する保護層53にて覆ってもよい。
【0059】
(第4実施形態の変形例2)
第4実施形態における凹部101(
図11参照)の代わりに、前外周部3の外面の太陽電池周辺領域にリブ(図示省略)を設けてもよい。変形例2において、後外周部の太陽電池も同様である。
【0060】
(第5実施形態)
図12は第5実施形態の自走式掃除機のバンパー中間部の概略断面図である。第1実施形態(
図1参照)の自走式掃除機1の発光部7は、筐体2の前外周部3の前端に設けた貫通孔を通して外部に光を照射する。
図12に示す第5実施形態では、筐体2に設けられた太陽電池は、フレキシブル性に加えて、透光性を有し、発光部7を覆う発光部被覆部分を有する。この発光部被覆部分は、発光部7の光照射面に設けられた太陽電池121である。この場合、太陽電池121の受光面122が発光部7の光照射面と対向するように太陽電池121が発光部7に重ねられる。よって、太陽電池121の非受光面123は外側に向けられる。この構成によれば、発光部7の光が太陽電池121を透過して外部を照明することに加え、発光部7の光によって太陽電池121が発電してバッテリを充電することができる。この場合、発光部7の光照射面(表面)は平面であっても曲面であってもよい。なお、太陽電池121の非受光面123を透光性を有する保護層にて覆ってもよい。
【0061】
(第5実施形態の変形例1)
図13は第5実施形態の変形例1を示す
図12対応図である。第5実施形態の変形例1は、
図13に示すように、発光部7を覆う透光性の太陽電池の発光部被覆部分が、フレキシブル性に加えて透光性をそれぞれ有する第1の太陽電池131と第2の太陽電池132とが重なった二重構造となっている。この場合、第1の太陽電池131の受光面133が発光部7と対向するように発光部7と重なり、第2の太陽電池132の非受光面134が第1の太陽電池131の非受光面135と対向するように第1の太陽電池131と重なる。第2の太陽電池132の受光面136は外側に向いている。この構成によれば、第1の太陽電池131は発光部7の光にて効率よく発電し、第2の太陽電池132は外部(室内)の光によって効率よく発電することができる。なお、第2の太陽電池132の受光面136を透光性を有する保護層にて覆ってもよい。なお、
図5に示した筐体2における太陽電池5が設けられた位置に発光部を設けてもよい。この場合、太陽電池5と重なるように筐体2の前外周部3の曲面に貫通孔を設け、その貫通孔を通して発光部7の光が太陽電池、保護層を透過して外部を照明することに加え、発光部7の光によって太陽電池が発電してバッテリを充電することができる。さらにこの場合、貫通孔の位置のみならず、その周囲にも太陽電池が存在するため、太陽電池の受光面積を拡大することができる。
【0062】
(第5実施形態の変形例2)
第1実施形態(
図1参照)の自走式掃除機1の筐体2の後天面部9の曲面部分に、時刻、運転可能時間、エラーコード等を数字や文字(アルファベット)で表示可能な発光表示部(例えば、7セグメントLEDや液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ)を設け、発光表示部の表面に第5実施形態またはその変形例1のように太陽電池の発光部被覆部分を設けてもよい。この場合、太陽電池の外側から発光表示部の数字または文字を目視可能である。また、発光表示部の表面は平面であっても曲面であってもよい。
【0063】
(第6実施形態)
図14は第6実施形態の自走式掃除機の概略断面図である。
図15は
図14の自走式掃除機における集塵装置の概略断面図である。なお、
図14において、
図3中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。第1実施形態1の自走式掃除機1(
図3参照)では、集塵装置31を筐体2に対して収納または取り出す際に開閉する中間天面部10(開閉蓋)を設けた場合を例示したが、
図14に示す第6実施形態では筐体141から中間天面部を省略している。さらに、第6実施形態における集塵装置142は、第1実施形態における集塵装置31の構成に加えて、クリーニング機構143(
図15参照)と、集塵装置用太陽電池144とを備えている。以下、第6実施形態の自走式掃除機145の構成について、第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0064】
図14に示すように、集塵装置142は、フィルタ311を覆うカバー146の上面が筐体141の前天面部8および後天面部9と同じ程度の高さ位置にあり、カバー146の外部に露出した露出面部(上面)に集塵装置用太陽電池144が設けられている。集塵装置用太陽電池144が設けられるカバー146の露出面部は、平坦面であっても湾曲面であってもよい。なお、集塵装置用太陽電池144は保護層にて覆われていてもよい。
【0065】
図15に示すように、クリーニング機構143は、集塵装置用太陽電池144からの電力にてフィルタ311を振動可能な振動発生用モータ147を備える。本実施形態の場合、集塵装置142は、さらに、振動発生用モータ147に電力を供給可能な集塵装置用バッテリ148と、集塵装置用バッテリ148からの電力をクリーニング機構143の振動発生用モータ147に供給可能とするスイッチ部(不図示)とを有する。
【0066】
振動発生用モータ147は、例えば、カバー146の側壁内面に上下二段で設けたリブ151の間に固定されている。集塵装置用バッテリ148は、例えば、上段のリブ151とカバー146の上壁との間に固定されている。この場合、集塵装置用バッテリ148には小型の全固体電池の使用が好適である。振動発生用モータ147の出力軸には板カム状の錘152が固着されており、フィルタ311の上端の一部には突起片153が設けられている。集塵装置用太陽電池144は、図示しない充電回路を介して集塵装置用バッテリ148と電気的に接続されており、集塵装置用太陽電池144によって発電して集塵装置用バッテリ148を充電することができる。
【0067】
振動発生用モータ147の出力軸と共に錘152が回転することおよび錘152が回転して間欠的に突起片153に衝突し続けることにより、フィルタ311が振動し、フィルタ311の下面に付着した塵埃が集塵容器310内へ振るい落とされる。この際、図示しないスイッチ部をONする(例えば、押しボタンスイッチを1回押す)と集塵装置用バッテリ148から電力にて振動発生用モータ147の出力軸が回転してフィルタ311が振動し、スイッチ部をOFFする(例えば、押しボタンスイッチをさらに1回押す)とフィルタ311の振動が停止する。
【0068】
この構成によれば、フィルタ311の目詰まりを抑制し、自走式掃除機の吸引力低下を抑制できることに加え、筐体2内のバッテリ32から電力を振動発生用モータ147へ供給するための配線が不要となる。さらに、スイッチ部を例えばカバー146の上面に設ければ、集塵装置142を筐体141から取り出さなくてもスイッチ部を押して手軽にフィルタ311の除塵を行うことができる。
【0069】
(第6実施形態の変形例1)
第6実施形態における振動発生用モータ147の駆動に必要な電力が小さくて済む場合は、集塵装置用バッテリ148を省略してもよい。この場合、集塵装置用太陽電池144が発電可能な照度を有する室内において、スイッチ部をONすると集塵装置用太陽電池144からの電力を振動発生用モータ147へ供給し、スイッチ部をOFFすると集塵装置用太陽電池144からの電力の振動発生用モータ147の供給を停止することができる。
【0070】
(第6実施形態の変形例2)
第6実施形態およびその変形例1におけるクリーニング機構は、振動発生用モータ147の代わりに、集塵装置用太陽電池144からの電力にて点灯して集塵容器310内に殺菌光を照射する殺菌ライトであってもよい。この構成によれば、集塵容器310内の細菌やウイルス等を死滅させることが可能となる。
【0071】
(第6実施形態の変形例3)
第6実施形態のクリーニング機構は、振動発生用モータ147と殺菌ライトとが組み合わされたものであってもよい。
【0072】
(第7実施形態および第8実施形態)
図16は第7実施形態の自走式掃除機160の概略断面図である。
図17は第8実施形態の自走式掃除機170の概略断面図である。なお、
図16と
図17において、
図3中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。第2実施形態の自走式掃除機145(
図14参照)は、筐体141の前後方向の中間位置に集塵装置142を設けた場合を例示したが、
図16に示すように集塵装置161を筐体162の後端へ設けてもよい。この構成によれば、集塵装置161の上面と後端面に集塵装置用太陽電池163を設けて集塵装置用太陽電池163の受光面積を広げることができる。この場合、集塵装置161の上面と後端面の間に凸状の湾曲面を設けて1枚の集塵装置用太陽電池を上面と湾曲面と後端面に貼り付けるようにしてもよい。あるいは、
図17に示すように集塵装置171を筐体172の前端へ設けてもよい。この構成によれば、集塵装置171の上面と前端面に集塵装置用太陽電池173を設けて集塵装置用太陽電池173の受光面積を広げることができる。この場合、集塵装置171の上面と前端面の間に凸状の湾曲面を設けて1枚の集塵装置用太陽電池を上面と湾曲面と前端面に貼り付けるようにしてもよい。
【0073】
(他の実施形態)
上述の各実施形態では筐体内にバッテリを設けた場合を例示したが、これらのバッテリは省略されてもよい。また、上述の各実施形態では自走式電子機器として自走式掃除機の場合を例示したが、自走式イオン発生装置、自走式室内監視装置等であってもよい。また、上述の各実施形態では平面的に見て円形の筐体の場合を例示したが、筐体は平面的に見て角部に丸みを有する略正三角形あるいは略正方形等の形状でもよく、さらに、平面的に見た筐体の略正三角形または略正方形の外周部の湾曲面と平坦面の少なくとも一方に太陽電池が設けられてもよい。
【0074】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、特許請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0075】
1,145,160,170:自走式掃除機(自走式電子機器)、 2,141,162,172:筐体、 3:前外周部、 4:後外周部、 5,121:太陽電池、 7:発光部、 31,142,161,171:集塵装置、 32:バッテリ、 34:吸引モータ、 51,122,133,136:受光面、 52,123,134,135:非受光面、 53:保護層、 60:充電台、 131:第1の太陽電池、 132:第2の太陽電池、 143:クリーニング機構、 144,163,173:集塵装置用太陽電池、 147:振動発生用モータ、 148:集塵装置用バッテリ、 310:集塵容器、 311:フィルタ、 312:カバー、 412:マップ部、 413:照度センサ、 414:時計部