(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101326
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/405 20060101AFI20240722BHJP
H01R 4/34 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01R13/405
H01R4/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005255
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】二戸 彩香
(72)【発明者】
【氏名】安藤 基泰
【テーマコード(参考)】
5E012
5E087
【Fターム(参考)】
5E012BA14
5E012BA33
5E087EE11
5E087FF02
5E087GG02
5E087JJ01
5E087QQ04
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】インサート成型を含んだ製造方法の都合上、コネクタ本体に形状の制限が生じても、コネクタ本体の局所的な応力集中を生じ難くできるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、相手端子と電気接続されるバスバー3をモールド成型によって樹脂と一体形成したコネクタ本体10を備える。コネクタ1は、相手端子をバスバー3に固定するボルトを螺合するための多角形ナット18と、多角形ナット18を収容するためにコネクタ本体10のボディ11に形成された収容部19と、収容部19に収容された多角形ナット18の抜け止めとして収容部19に取付けられるカバー20と、を備える。カバー20は、多角形ナット18の側面34を収容部19の内側と協働して支持するナット支持部35を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子と電気接続されるバスバーをモールド成型によって樹脂と一体形成したコネクタ本体を備えたコネクタであって、
前記相手端子を前記バスバーに固定するボルトを螺合するための多角形ナットと、
前記多角形ナットを収容するために前記コネクタ本体のボディに形成された収容部と、
前記収容部に収容された前記多角形ナットの抜け止めとして前記収容部に取付けられるカバーと、を備え、
前記カバーは、前記多角形ナットの側面を前記収容部の内側と協働して支持するナット支持部を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記ナット支持部は、前記多角形ナットを両側から挟み込むように支持する一対の柱体である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記カバーは、前記柱体の基端に補強部を有する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記収容部は、
前記多角形ナットを載置する座部と、
前記柱体に対向配置されて設けられ、前記座部に乗った前記多角形ナットの前記側面を前記柱体とともに支持する支持壁部と、を有する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記多角形ナットは、四角ナットである、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記バスバーは、
少なくとも一部が前記ボディに埋設された端子本体部と、
前記相手端子を接続するために前記ボディから露出するとともに、前記端子本体部に対して直交する方向に曲げられた形状をとる端子連結部と、を有し、
前記ボディは、前記端子本体部を挟み込んで保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記多角形ナットにおいて前記ナット支持部が支持する前記側面とは別の側面を支持する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記カバーは、
前記ナット支持部としての第1支持部と、
前記多角形ナットにおいて前記第1支持部が支持する前記側面とは別の側面を支持する第2支持部と、を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記カバーは、前記相手端子に設けられた位置決め突起を嵌め込むための凹部を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記カバーは、前記収容部に取付けられたときに前記収容部と係合する係合部を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記多角形ナット、前記収容部、及び前記カバーの組は、前記ボルトを前記多角形ナットに挿し込む方向に対して直交する方向の平面に並んで複数設けられている、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、相手端子がナット及びボルトによって接続端子に固定されるコネクタ(いわゆる、端子台)が周知である。このコネクタは、相手端子と電気接続される複数の接続端子をコネクタハウジングに有する。ナットは、各接続端子と組をなすように複数設けられるとともに、コネクタハウジングに形成された収容部に収容されている。ナットは、収容部に収容されたとき、収容部の開口がナットカバーによって閉じられることにより、抜け止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタの接続端子への相手端子の固定時、ボルトをナットに締結するときには、ボルトからナットに対して回転方向の負荷がかかる。このため、ナットが回らないようにナットを収容部の内部で支持しておく必要がある。特許文献1の場合は、ナットの側面を収容部の壁面によって支持する構造がとられている。このため、ボルトをナットに締結するとき、ナットにかかる回転方向の負荷が収容部の壁面によって支持されるため、ナットが回ってしまうことがない。
【0005】
しかし、場合によっては、収容部の壁面を十分な面積で形成することができないことがある。特に、コネクタの接続端子をインサート成型によって樹脂と一体形成する場合、金型の成型方法によっては、収容部の壁面を高くとることができないこともある。こうなると、ナットの回転方向の負荷を、限られた面積の壁面でしか受けることができないため、負荷が局所的にかかってしまう。よって、壁面の変形や欠けの原因になってしまう可能性があった。
【0006】
本開示の目的は、インサート成型を含んだ製造方法の都合上、コネクタ本体に形状の制限が生じても、コネクタ本体の局所的な応力集中を生じ難くできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するコネクタは、相手端子と電気接続されるバスバーをモールド成型によって樹脂と一体形成したコネクタ本体を備えた構成であって、前記相手端子を前記バスバーに固定するボルトを螺合するための多角形ナットと、前記多角形ナットを収容するために前記コネクタ本体のボディに形成された収容部と、前記収容部に収容された前記多角形ナットの抜け止めとして前記収容部に取付けられるカバーと、を備え、前記カバーは、前記多角形ナットの側面を前記収容部の内側と協働して支持するナット支持部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、インサート成型を含んだ製造方法の都合上、コネクタ本体に形状の制限が生じても、コネクタ本体の局所的な応力集中を生じ難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図4は、コネクタにおいてカバーを取付ける箇所の拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、収容部を背面から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1に示すVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタは、相手端子と電気接続されるバスバーをモールド成型によって樹脂と一体形成したコネクタ本体を備えた構成であって、前記相手端子を前記バスバーに固定するボルトを螺合するための多角形ナットと、前記多角形ナットを収容するために前記コネクタ本体のボディに形成された収容部と、前記収容部に収容された前記多角形ナットの抜け止めとして前記収容部に取付けられるカバーと、を備える。前記カバーは、前記多角形ナットの側面を前記収容部の内側と協働して支持するナット支持部を有する。
【0011】
本構成によれば、カバーにナット支持部を設けたので、ボルト締結時にボルトから多角形ナットに付与される回転方向の負荷を、ボディ及びカバーの両方で受けることが可能となる。ところで、コネクタ本体の製造方法によっては、多角形ナットの回転方向の負荷を支える箇所を、十分な面積でボディに設けることができないこともある。しかし、本構成の場合、多角形ナットの回転方向の負荷を、ボディ及びカバーの両方という広い面積で受けることが可能となる。よって、製造方法の都合上、コネクタ本体に形状の制限が生じても、ボディ及びカバーの両方で多角形ナットの回転方向の負荷を受ける構造をとることにより、コネクタ本体の局所的な応力集中を生じ難くすることが可能となる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記ナット支持部は、前記多角形ナットを両側から挟み込むように支持する一対の柱体である。この構成によれば、多角形ナットを両側から一対の柱体でしっかりと支持することが可能となる。よって、コネクタ本体の局所的な応力集中の抑制に一層寄与する。
【0013】
[3]上記[2]において、前記カバーは、前記柱体の基端に補強部を有する。この構成によれば、柱体の基端の強度が向上されるので、柱体を折れ難くすることが可能となる。
【0014】
[4]上記[2]において、前記収容部は、前記多角形ナットを載置する座部と、前記柱体に対向配置されて設けられ、前記座部に乗った前記多角形ナットの前記側面を前記柱体とともに支持する支持壁部と、を有する。この構成によれば、汎用的な形状(サイズ)の多角形ナットであっても、座部でかさ上げして相手端子に極力近づけて配置することが可能となる。また、座部に乗った多角形ナットを、支持壁部によって側方から支持することも可能となる。
【0015】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記多角形ナットは、四角ナットである。この構成によれば、汎用的な四角ナットを用いて、相手端子をボルトとともにバスバーに固定することが可能となる。
【0016】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記バスバーは、少なくとも一部が前記ボディに埋設された端子本体部と、前記相手端子を接続するために前記ボディから露出するとともに、前記端子本体部に対して直交する方向に曲げられた形状をとる端子連結部と、を有し、前記ボディは、前記端子本体部を挟み込んで保持する保持部を有し、前記保持部は、前記多角形ナットにおいて前記ナット支持部が支持する前記側面とは別の側面を支持する。この構成によれば、ボディの保持部によっても多角形ナットの側面を支持することが可能となる。よって、多角形ナットの回転方向の負荷を、一層広い面積で受けることが可能となるので、コネクタ本体の局所的な応力集中の抑制に一層寄与する。
【0017】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記カバーは、前記ナット支持部としての第1支持部と、前記多角形ナットにおいて前記第1支持部が支持する前記側面とは別の側面を支持する第2支持部と、を有する。この構成によれば、カバーの第2支持部によっても多角形ナットの側面を支持することが可能となる。よって、多角形ナットの回転方向の負荷を、一層広い面積で受けることが可能となるので、コネクタ本体の局所的な応力集中の抑制に一層寄与する。
【0018】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記カバーは、前記相手端子に設けられた位置決め突起を嵌め込むための凹部を有する。この構成によれば、相手端子をバスバーに固定するときに、バスバーに対し、相手端子を容易に位置合わせすることが可能となる。
【0019】
[9]上記[1]から[8]のいずれかにおいて、前記カバーは、前記収容部に取付けられたときに前記収容部と係合する係合部を有する。この構成によれば、カバーを係合部によって収容部に係合するため、カバーを収容部から抜け難くすることが可能となる。
【0020】
[10]上記[1]から[9]のいずれかにおいて、前記多角形ナット、前記収容部、及び前記カバーの組は、前記ボルトを前記多角形ナットに挿し込む方向に対して直交する方向の平面に並んで複数設けられている。この構成によれば、コネクタ本体の形状を、多角形ナット、収容部、及びカバーの組が平面方向に並んだ簡素な形状とすることが可能となる。よって、複雑な製造方法を用いなくとも、コネクタ本体を簡易に製造することが可能となる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0022】
(コネクタ1)
図1に示すように、コネクタ1は、相手端子2と電気接続される複数(本例は、5つ)のバスバー3を備える。コネクタ1は、例えば、各々のバスバー3に相手端子2がボルト4によって固定される端子台である。コネクタ1は、取付片5の孔6に入れたカラー7に留め具(図示略)を通しつつ、この留め具を取付け先(図示略)に固定することによって、取付け先に取付けられる。コネクタ1は、例えば、車載用であることが好ましい。
【0023】
(コネクタ本体10)
図2に示す通り、コネクタ1は、バスバー3をモールド成型によって樹脂と一体形成したコネクタ本体10を備える。本例の場合、コネクタ本体10は、例えば、複数のバスバー3を金型にセットして樹脂を流し込むモールド成型によって、樹脂と一体形成されている。このように、コネクタ本体10は、樹脂モールド成型品である。本例の場合、コネクタ本体10は、複数のバスバー3と、これらバスバー3が一体となった樹脂製のボディ11と、を有する。取付片5は、ボディ11の下方に形成されている。
【0024】
(バスバー3)
図3に示すように、バスバー3は、少なくとも一部がボディ11に埋設された端子本体部13と、相手端子2が接続される端子連結部14と、を有する。端子連結部14は、ボディ11から露出するとともに、端子本体部13に対して直交する方向に曲げられた形状をとる。バスバー3は、例えば、英文字略L字状に形成されている。端子連結部14の先端には、ボルト4を通すための孔15が形成されている。
【0025】
(コネクタ1におけるバスバー3の周囲の構造)
図2に示す通り、コネクタ1は、ボルト4を螺合するための多角形ナット18と、多角形ナット18を収容するためにコネクタ本体10のボディ11に形成された収容部19と、収容部19に収容された多角形ナット18の抜け止めとして収容部19に取付けられるカバー20と、を備える。多角形ナット18は、例えば、四角ナットであることが好ましい。多角形ナット18、収容部19、及びカバー20の組は、ボルト4を多角形ナット18に挿し込む方向(
図2の-X軸方向)に対して直交する方向の平面(
図2のX-Y軸平面)に並んで複数(本例は、5組)設けられている。
【0026】
図4に示すように、収容部19は、多角形ナット18の収容空間となる収容凹部22を有する。このように、収容部19は、内側に収容室を有する枠体である。収容部19は、収容凹部22内において、多角形ナット18を載置する座部23が設けられている。座部23は、例えば、コネクタ本体10の幅方向(
図4のY軸方向)において対向するように一対設けられている。多角形ナット18は、座部23に載置されたとき、バスバー3と
図4のZ軸方向において対向配置される。
【0027】
コネクタ本体10において、各収容部19の上面には、隣のバスバー3との接触を避けるための絶縁用突起24が形成されている。絶縁用突起24の各々は、収容部19において組をなすバスバー3の両側に一対配置されている。絶縁用突起24の各々は、例えば、略四角板状に形成されている。
【0028】
図5に示すように、収容部19においてバスバー3の背面には、バスバー3を背面から支える補強リブ25が形成されている。補強リブ25は、高さ方向に延びる形状のものが、コネクタ本体10の幅方向(
図5のY軸方向)に並ぶようにして一対形成されている。
【0029】
(カバー20)
図4に示す通り、カバー20は、収容部19に取付けられたときに収容部19と係合する係合部28を有する。係合部28は、例えば、カバー20の幅方向(
図4のY軸方向)において並ぶように一対設けられている。係合部28は、先端に爪を有する形状に形成されている。係合部28は、収容部19の壁面に形成された挿入穴29に挿入されるとともに、挿入穴29の奥に設けられた溝(図示略)に爪が係合される。
【0030】
カバー20は、相手端子2に設けられた位置決め突起30を嵌め込むための凹部31を有する。凹部31は、カバー20の壁面の一部を肉取りした凹形状に形成されている。本例の場合、凹部31は、例えば、相手端子2の取付け向きごとに複数設けられている。複数の凹部31は、相手端子2の取付向きに応じて、選択使用される。
【0031】
(多角形ナット18の支持構造)
図4に示す通り、カバー20は、多角形ナット18の側面34を収容部19の内側と協働して支持するナット支持部35(以降、第1支持部36と記す)を有する。第1支持部36は、例えば、多角形ナット18を両側から挟み込むように支持する一対の柱体である。柱体は、例えば、断面四角形状に形成されている。多角形ナット18の側面34は、例えば多角形ナット18が四角ナットの場合、4側面のうち、多角形ナット18の幅方向(
図4のY軸方向)の両側に位置する2つの壁面である。ナット支持部35は、多角形ナット18とともに収容凹部22に収容される。
【0032】
収容部19は、カバー20のナット支持部35(本例は、第1支持部36)と協働して多角形ナット18の側面34を支持する支持壁部39を有する。支持壁部39は、例えば、収容部19に取付けられたカバー20の第1支持部36と対向配置される位置に設けられ、座部23に乗った多角形ナット18の側面34を第1支持部36とともに支持する。このように、カバー20が収容部19に取付けられたとき、カバー20の第1支持部36と収容部19の支持壁部39とによって、多角形ナット18の側面34が支持される。
【0033】
カバー20は、第1支持部36の基端に補強部40を有する。補強部40は、例えば、第1支持部36の基端裏面において膨出する形状に形成されている。収容部19には、カバー20が収容部19に取付けられたときに補強部40が干渉しないようにするために、凹部41が形成されている。凹部41は、例えば、収容凹部22内において第1支持部36が載置される載置部43の入口を凹ませた段状に形成されている。載置部43は、例えば、支持壁部39の上面である。
【0034】
図3、
図6及び
図7に示すように、カバー20は、多角形ナット18において第1支持部36が支持する側面34とは別の側面44(
図3に図示)を支持する第2支持部45を有する。第2支持部45は、カバー本体20aの内面において、突状に形成されている。側面44は、例えば、多角形ナット18が四角ナットの場合、手前の壁面である。第2支持部45の下部には、カバー20が収容部19に取付けられたときに、多角形ナット18を下から支えるナット支え46が形成されている。
【0035】
図3に示す通り、ボディ11は、端子本体部13を挟み込んで保持する保持部49を有する。保持部49は、多角形ナット18において第1支持部36が支持する側面34とは別の側面50を支持する。本例の場合、保持部49は、ボディ11の一部分により構成されている。側面50は、例えば、多角形ナット18が四角ナットの場合、奥側の壁面である。
【0036】
収容部19(収容凹部22)の内部には、カバー20を収容部19にきつく固定するための潰しリブ51が形成されている。潰しリブ51は、例えば、挿入されるカバー20によって潰される部位であって、カバー20の挿入方向(
図3の紙面左右方向)に延びる細長い突状部である。潰しリブ51は、例えば、収容部19の高さ方向(
図3の紙面上下方向)に2つ並んで形成されている。
【0037】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態のコネクタ1の作用について説明する。
図4に示す通り、コネクタ本体10の収容部19に対し、多角形ナット18を同図の矢印A方向に挿入することにより、多角形ナット18を収容部19内に収容する。続いて、カバー20をコネクタ本体10に取付ける。具体的には、第1支持部36を支持壁部39の載置部43に載せるとともに、係合部28を挿入穴29に挿入することにより、カバー20をコネクタ本体10に取付ける。なお、カバー20は、係合部28の先端の爪が挿入穴29の内部の溝に係合するまで挿入される。以上のようにして、多角形ナット18及びカバー20がコネクタ本体10に取付けられる。
【0038】
ところで、
図5に示す通り、コネクタ本体10をインサート成型によって製造する場合、インサート成型の都合上、バスバー3の曲げ部分で樹脂を食い切ることができないため、樹脂面(具体的には、載置部43の面)を上げることができない。このため、バスバー3と樹脂面(具体的には、載置部43の面)との間に、大きな空間が生じてしまう。このため、ボルト4を多角形ナット18に締結するとき、多角形ナット18に生じる回転方向の負荷を支える箇所が少なくなってしまい、ボディ11の変形や欠けに繋がる可能性が生じてしまう。
【0039】
そこで、本例の場合、
図8に示すように、カバー20に第1支持部36を形成したので、この第1支持部36によって、多角形ナット18の回転方向の負荷を受けることが可能となる。特に、本例においては、第1支持部36及び支持壁部39の両方によって、多角形ナット18の側面34のほぼ全面を支持することが可能となる。よって、ボルト締結時に多角形ナット18に生じる回転方向の負荷をしっかりと支えることが可能となるので、ボディ11の変形や欠けを生じ難くすることが可能となる。
【0040】
図3に示す通り、カバー20には、多角形ナット18の手前壁面である側面44を支持する第2支持部45が形成されている。従って、この第2支持部45によっても、多角形ナット18の回転を支持することが可能となる。また、コネクタ本体10には、多角形ナット18の奥側壁面である側面50を支持する保持部49が形成されている。従って、この保持部49によっても、多角形ナット18の回転を支持することが可能となる。
【0041】
本例の場合、多角形ナット18の一対の側面34をカバー20の第1支持部36と収容部19の支持壁部39で支持し、多角形ナット18の側面44をカバー20の第2支持部45で支持し、さらに、多角形ナット18の側面50をボディ11の保持部49で支持する。このように、多角形ナット18の4面の全周が支持される構造をとるため、多角形ナット18に生じる回転方向の負荷を、4面の全てで受けることが可能となる。よって、この点からも、ボディ11の変形や欠けに対する耐性が高いと言える。
【0042】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)コネクタ1は、相手端子2と電気接続されるバスバー3をモールド成型によって樹脂と一体形成したコネクタ本体10を備える。コネクタ1は、相手端子2をバスバー3に固定するボルト4を螺合するための多角形ナット18と、多角形ナット18を収容するためにコネクタ本体10のボディ11に形成された収容部19と、収容部19に収容された多角形ナット18の抜け止めとして収容部19に取付けられるカバー20と、を備える。カバー20は、多角形ナット18の側面34を収容部19の内側と協働して支持するナット支持部35を有する。
【0043】
本構成によれば、カバー20にナット支持部35を設けたので、ボルト締結時にボルト4から多角形ナット18に付与される回転方向の負荷を、ボディ11及びカバー20の両方で受けることが可能となる。ところで、コネクタ本体10の製造方法によっては、多角形ナット18の回転方向の負荷を支える箇所を、十分な面積でボディ11に設けることができないこともある。しかし、本構成の場合、多角形ナット18の回転方向の負荷を、ボディ11及びカバー20の両方という広い面積で受けることが可能となる。よって、製造方法の都合上、コネクタ本体10に形状の制限が生じても、ボディ11及びカバー20の両方で多角形ナット18の回転方向の負荷を受ける構造をとることにより、コネクタ本体10の局所的な応力集中を生じ難くすることができる。
【0044】
(2)ナット支持部35は、多角形ナット18を両側から挟み込むように支持する一対の柱体である。この構成によれば、多角形ナット18を両側から一対の柱体でしっかりと支持することが可能となる。よって、コネクタ本体10の局所的な応力集中の抑制に一層寄与する。
【0045】
(3)カバー20は、柱体の基端に補強部40を有する。この構成によれば、柱体の基端の強度が向上されるので、柱体を折れ難くすることができる。
(4)収容部19は、多角形ナット18を載置する座部23と、支持壁部39と、を有する。支持壁部39は、柱体に対向配置されて設けられ、座部23に乗った多角形ナット18の側面34を柱体とともに支持する。この構成によれば、汎用的な形状(サイズ)の多角形ナット18であっても、座部23でかさ上げして相手端子2に極力近づけて配置することができる。また、座部23に乗った多角形ナット18を、支持壁部39によって側方から支持することもできる。
【0046】
(5)多角形ナット18は、四角ナットである。この構成によれば、汎用的な四角ナットを用いて、相手端子2をボルト4とともにバスバー3に固定することができる。
(6)バスバー3は、少なくとも一部がボディ11に埋設された端子本体部13と、端子連結部14と、を有する。端子連結部14は、相手端子2を接続するためにボディ11から露出するとともに、端子本体部13に対して直交する方向に曲げられた形状をとる。ボディ11は、端子本体部13を挟み込んで保持する保持部49を有する。保持部49は、多角形ナット18においてナット支持部35が支持する側面34とは別の側面50を支持する。この構成によれば、ボディ11の保持部49によっても多角形ナット18の側面50を支持することが可能となる。よって、多角形ナット18の回転方向の負荷を、一層広い面積で受けることが可能となるので、コネクタ本体10の局所的な応力集中の抑制に一層寄与する。
【0047】
(7)カバー20は、ナット支持部35としての第1支持部36と、多角形ナット18において第1支持部36が支持する側面34とは別の側面44を支持する第2支持部45と、を有する。この構成によれば、カバー20の第2支持部45によっても多角形ナット18の側面44を支持することが可能となる。よって、多角形ナット18の回転方向の負荷を、一層広い面積で受けることが可能となるので、コネクタ本体10の局所的な応力集中の抑制に一層寄与する。
【0048】
(8)カバー20は、相手端子2に設けられた位置決め突起30を嵌め込むための凹部31を有する。この構成によれば、相手端子2をバスバー3に固定するときに、バスバー3に対し、相手端子2を容易に位置合わせすることができる。
【0049】
(9)カバー20は、収容部19に取付けられたときに収容部19と係合する係合部28を有する。この構成によれば、カバー20を係合部28によって収容部19に係合するため、カバー20を収容部19から抜け難くすることができる。
【0050】
(10)多角形ナット18、収容部19、及びカバー20の組は、ボルト4を多角形ナット18に挿し込む方向に対して直交する方向の平面に並んで複数設けられている。この構成によれば、コネクタ本体10の形状を、多角形ナット18、収容部19、及びカバー20の組が平面方向に並んだ簡素な形状とすることが可能となる。よって、複雑な製造方法を用いなくとも、コネクタ本体10を簡易に製造できる。
【0051】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
・第1支持部36の先端に斜面部(又は、テーパ部)を形成してもよい。こうすれば、第1支持部36を収容凹部22に挿し込み易くなる。
・多角形ナット18は、四角ナットに限定されず、例えば六角ナット等の他の種類のナットに変更してもよい。
【0053】
・複数の収容部19は、コネクタ本体10において平面方向に並んで形成されることに限定されない。例えば、複数の収容部19は、コネクタ本体10の高さ方向において、異なる位置に配置されるように設けられてもよい。
【0054】
・ナット支持部35である柱体は、一対形成されることに限らず、1つのみとしてもよい。
・ナット支持部35は、柱体に限定されず、多角形ナット18を支持できる形状のものであればよい。
【0055】
・カバー20の抜け止め構造は、一対の爪を係合する構造に限定されず、収容部19に固定できる構造であればよい。
・カバー20の形状は、実施例以外の他の形状に適宜変更してもよい。
【0056】
・バスバー3は、途中で折り曲げられた英文字略L字状に限らず、例えば、直線形状や、曲げ部分を複数有する形状など、他の形状に変更してもよい。
・バスバー3は、複数設けられることに限らず、1つのみとしてもよい。
【0057】
・多角形ナット18、収容部19、及びカバー20の組は、1組のみとしてもよい。
・コネクタ1は、車両用に限定されず、他の機器や装置に使用されてもよい。
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0058】
1 コネクタ
2 相手端子
3 バスバー
4 ボルト
5 取付片
6 孔
7 カラー
10 コネクタ本体
11 ボディ
13 端子本体部
14 端子連結部
15 孔
18 多角形ナット
19 収容部
20 カバー
20a カバー本体
22 収容凹部
23 座部
24 絶縁用突起
25 補強リブ
28 係合部
29 挿入穴
30 位置決め突起
31 凹部
34 側面
35 ナット支持部
36 第1支持部
39 支持壁部
40 補強部
41 凹部
43 載置部
44 側面
45 第2支持部
46 ナット支え
49 保持部
50 側面
51 潰しリブ