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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101332
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240722BHJP
   H02M 7/487 20070101ALI20240722BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/487
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005267
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】荒木 清道
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘明
(72)【発明者】
【氏名】日南 圭二
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA04
5H770AA05
5H770AA21
5H770BA01
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA33
5H770DA34
5H770DA41
5H770JA11W
5H770JA18W
5H770PA11
5H770PA42
5H770PA43
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA12
5H770QA14
5H770QA16
5H770QA22
5H770QA27
(57)【要約】
【課題】インダクタンスが低減された電力変換装置を提供することである。
【解決手段】インバータ回路は、3レベルインバータ回路である。インバータ回路は、バッテリの高電位側端子に接続されたPバスバ71と、バッテリの低電位側端子に接続されたNバスバ72と、Pバスバ71とNバスバ72との間の電位となるMバスバ73を備えている。インバータ回路は、PバスバとMバスバに接続されたPMコンデンサ30と、NバスバとMバスバに接続されたMNコンデンサ40と、Mバスバに接続された半導体装置20と、を備えている。Mバスバは、半導体装置20と、PMコンデンサおよびMNコンデンサとの間の一部であり、PバスバとNバスバとの間に配置され、かつ、PバスバとNバスバに対向したベース部73aを有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力の直流電圧を複数の値に分割し、出力配線を介して複数レベルの電圧を出力可能な電力変換装置であって、
電源の正極に接続された高電位配線(71)と、
前記電源の負極に接続された低電位配線(72)と、
前記高電位配線と前記低電位配線の間の電位となる少なくとも一つの中点配線(73)と、
前記高電位配線と前記低電位配線と前記出力配線に接続された第1パワーモジュール(10)と、
前記高電位配線に接続された高電位側電極と、前記中点配線に接続された第1中点電極とを有した第1コンデンサ(30)と、
前記低電位配線に接続された低電位側電極と、前記中点配線に接続された第2中点電極とを有した第2コンデンサ(40)と、
前記中点配線と前記出力配線に接続された第2パワーモジュール(20)と、を備え、
少なくとも一つの前記中点配線は、前記第2パワーモジュールと、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサとの間の一部であり、前記高電位配線と前記低電位配線との間に配置され、かつ、前記高電位配線と前記低電位配線に対向した対向部(73a)を有している、電力変換装置。
【請求項2】
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサは、前記第1中点電極と前記第2中点電極とが対向配置され、
前記中点配線は、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとに挟み込まれ、前記第1中点電極と前記第2中点電極とに接続された接続部(73c)を有している、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記中点配線は、前記第1中点電極と前記第2中点電極とに接続された接続部(73c)と、前記接続部から突出し前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとに挟み込まれた部位を有している、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサは、前記第1中点電極と前記高電位側電極に連なる側面と、前記第2中点電極と前記低電位側電極に連なる側面とが対向するように配置され、
前記中点配線は、前記第1中点電極と前記第2中点電極とに接続された二つの接続部(73c)を有しており、二つの前記接続部を連結する部位が前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの間に配置されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサは、前記第1中点電極と前記低電位側電極、もしくは、前記第2中点電極と前記高電位側電極とが対向するように配置され、
前記中点配線は、前記第1中点電極と前記第2中点電極とに接続された二つの接続部(73c)を有しており、
一方の前記接続部は、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの対向領域に配置されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサは、前記第1中点電極と前記高電位側電極に連なる側面と、前記第2中点電極と前記低電位側電極に連なる側面とが対向するように配置され、
前記中点配線は、前記第1中点電極と前記第2中点電極とに接続された二つの接続部(73c)を有しており、二つの前記接続部を連結する部位が前記第1コンデンサと前記第2コンデンサの並び方向に沿って配置されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
二つ以上の前記中点配線は、それぞれ前記対向部(73a)を有している、請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記高電位配線と前記低電位配線に接続された少なくとも一つの第3コンデンサ(50)を備えている、請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチレベルインバータの一例として、特許文献1に開示された3レベルインバータがある。3レベルインバータは、冷却用フィンベース、第1のスイッチング機能素子、第1のダイオード、第2のスイッチング機能素子、第4のスイッチング機能素子、第2のダイオード、第3のスイッチング機能素子、接続板を備えている。また、3レベルインバータは、冷却用フィンベースの両面にそれぞれ背面を対向させて第1のスイッチング機能素子、第1のダイオード、第2のスイッチング機能素子と、第4のスイッチング機能素子、第2のダイオード、第3のスイッチング機能素子とが配設されている。そして、3レベルインバータは、冷却用フィンベースの三面と対向するように設けられた接続板によって、各スイッチング機能素子と各ダイオードが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-201249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3レベルインバータは、冷却用フィンベースを挟んで中点配線が二手に分割されている。このため、3レベルインバータは、高電位配線と低電位配線との間のインダクタンスが大きくなるという問題がある。また、上記観点において、または言及されていない他の観点において、電力変換装置にはさらなる改良が求められている。
【0005】
開示される一つの目的は、インダクタンスが低減された電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電力変換装置は、
入力の直流電圧を複数の値に分割し、出力配線を介して複数レベルの電圧を出力可能な電力変換装置であって、
電源の正極に接続された高電位配線(71)と、
電源の負極に接続された低電位配線(72)と、
高電位配線と低電位配線の間の電位となる少なくとも一つの中点配線(73)と、
高電位配線と低電位配線と出力配線に接続された第1パワーモジュール(10)と、
高電位配線に接続された高電位側電極と、中点配線に接続された第1中点電極とを有した第1コンデンサ(30)と、
低電位配線に接続された低電位側電極と、中点配線に接続された第2中点電極とを有した第2コンデンサ(40)と、
中点配線と出力配線に接続された第2パワーモジュール(20)と、を備え、
少なくとも一つの中点配線は、第2パワーモジュールと、第1コンデンサおよび第2コンデンサとの間の一部であり、高電位配線と低電位配線との間に配置され、かつ、高電位配線と低電位配線に対向した対向部(73a)を有していることを特徴とする。
【0007】
ここに開示された電力変換装置は、中点配線が高電位配線と低電位配線との間に配置され、かつ、高電位配線と低電位配線に対向した対向部を有している。このため、電力変換装置は、高電位配線と中点配線の対向部との間、および中点配線の対向部と低電位配線との間で磁界を打ち消すことができる。よって、電力変換装置は、インダクタンスを低減できる。
【0008】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるインバータ回路の概略構成を示す回路図である。
図2】インバータ回路の概略構成を示す断面図である。
図3図2のIII‐III線に沿う断面図である。
図4図2の矢印IV方向からの平面図である。
図5】インバータ回路の概略構成を示す透視図である。
図6】第2実施形態におけるコンデンサ装置の概略構成を示す断面図である。
図7】第3実施形態におけるコンデンサ装置の概略構成を示す断面図である。
図8】第4実施形態におけるコンデンサ装置の概略構成を示す断面図である。
図9】第5実施形態におけるコンデンサ装置の概略構成を示す平面図である。
図10図9のX‐X線に沿う断面図である。
図11図9のXI‐XI線に沿う断面図である。
図12】第6実施形態におけるコンデンサ装置の概略構成を示す平面図である。
図13】第7実施形態におけるインバータ回路の概略構成を示す回路図である。
図14】インバータ回路の概略構成を示す断面図である。
図15】コンデンサ装置の配置を示す斜視図である。
図16】第8実施形態におけるコンデンサ装置の配置を示す斜視図である。
図17】第9実施形態におけるインバータ回路の概略構成を示す断面図である。
図18】第10実施形態におけるインバータ回路の概略構成を示す断面図である。
図19】第11実施形態におけるインバータ回路の概略構成を示す断面図である。
図20】第12実施形態におけるインバータ回路の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0011】
(第1実施形態)
図1図5を用いて、第1実施形態のインバータ回路100に関して説明する。インバータ回路100は、入力の直流電圧を複数の値に分割し、複数レベルの電圧が出力可能に構成されている。インバータ回路100は、所謂マルチレベルインバータである。マルチレベルインバータは、2レベルのインバータがバッテリ200の電圧をEとすると+E、-E、0と0以外に2レベルの電圧出力ができるのに対して、3レベル以上の電圧出力ができる。本実施形態では、一例として、3レベルのインバータ回路100を採用している。
【0012】
インバータ回路100は、たとえば、車両や飛行体などの移動体に搭載可能である。図1に示すように、インバータ回路100は、バッテリ200とモータ300と電気的に接続されている。モータ300は、U相コイル301、V相コイル302、W相コイル303を備えた三相モータである。モータ300は、たとえば、モータジェネレータなどを採用できる。インバータ回路100は、バッテリ200が出力する直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力をモータ300に供給する。インバータ回路100は、電力変換装置に相当する。
【0013】
<インバータ回路100の回路構成>
図1を用いて、インバータ回路100の回路構成に関して説明する。インバータ回路100は、スイッチング素子11~16、U相ミドル部21、V相ミドル部22、W相ミドル部23、コンデンサ装置60などを備えている。なお、図1では、コンデンサ装置60に含まれているPMコンデンサ30、MNコンデンサ40を図示している。
【0014】
スイッチング素子11~16は、MOSFETやIGBTなどを採用できる。また、スイッチング素子11~16は、Siや、SiCなどのワイドバンドギャップ半導体を主成分として構成されたものを採用できる。スイッチング素子11~16は、図示を省略している電子制御装置に各ゲート電極が接続されている。そして、スイッチング素子11~16は、電子制御装置によって駆動制御される。
【0015】
スイッチング素子11~16は、U相上アーム素子11、U相下アーム素子12、V相上アーム素子13、V相下アーム素子14、W相上アーム素子15、W相下アーム素子16を含んでいる。
【0016】
U相上アーム素子11、U相下アーム素子12は、バッテリ200の高電位側端子(P)と、低電位側端子(N)との間で直列に接続されている。U相上アーム素子11のソース端子とU相下アーム素子12のドレイン端子は、U相コイル301に接続されている。U相上アーム素子11とU相下アーム素子12をまとめてU相アームともいえる。
【0017】
V相上アーム素子13、V相下アーム素子14は、バッテリ200の高電位側端子と、低電位側端子との間で直列に接続されている。V相上アーム素子13のソース端子とV相下アーム素子14のドレイン端子は、V相コイル302に接続されている。V相上アーム素子13とV相下アーム素子14をまとめてV相アームともいえる。
【0018】
W相上アーム素子15、W相下アーム素子16は、バッテリ200の高電位側端子と、低電位側端子との間で直列に接続されている。W相上アーム素子15のソース端子とW相下アーム素子16のドレイン端子は、W相コイル303に接続されている。W相上アーム素子15とW相下アーム素子16をまとめてV相アームともいえる。
【0019】
このように、各アームは、後ほど説明するPバスバ71とNバスバ72との間で直列に接続されている。なお、スイッチング素子11~16の構造に関しては、後ほど説明するバッテリ200は、電源に相当する。高電位側端子は、正極に相当する。低電位側端子は、負極に相当する。
【0020】
U相ミドル部21、V相ミドル部22、W相ミドル部23は、高電位と低電位との間の中点(中性点)Mと各アームとに接続されている。各ミドル部21~23は、二つのスイッチング素子を含んでいる。スイッチング素子は、上記スイッチング素子11~16と同様のものを採用できる。スイッチング素子は、電子制御装置に各ゲート電極が接続されている。そして、スイッチング素子は、電子制御装置によって駆動制御される。なお、中点Mは、高電位と低電位との中間電位の部位といえる。また、中点Mは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40との間の部位である。
【0021】
U相ミドル部21は、スイッチング素子として第1U相ミドル素子21aと第2U相ミドル素子21bとを含んでいる。第1U相ミドル素子21aは、ドレイン端子が中点Mに接続され、ソース端子が第2U相ミドル素子21bのソース端子に接続されている。第2U相ミドル素子21bのドレイン端子は、U相上アーム素子11のソース端子とU相下アーム素子12のドレイン端子に接続されている。
【0022】
V相ミドル部22は、スイッチング素子として第1V相ミドル素子22aと第2V相ミドル素子22bとを含んでいる。第1V相ミドル素子22aは、ドレイン端子が中点Mに接続され、ソース端子が第2V相ミドル素子22bのソース端子に接続されている。第2V相ミドル素子22bのドレイン端子は、V相上アーム素子13のソース端子とV相下アーム素子14のドレイン端子に接続されている。
【0023】
W相ミドル部23は、スイッチング素子として第1W相ミドル素子23aと第2W相ミドル素子23bとを含んでいる。第1W相ミドル素子23aは、ドレイン端子が中点Mに接続され、ソース端子が第2W相ミドル素子23bのソース端子に接続されている。第2W相ミドル素子23bのドレイン端子は、W相上アーム素子15のソース端子とW相下アーム素子16のドレイン端子に接続されている。なお、U相ミドル部21、V相ミドル部22、W相ミドル部23の構造に関しては、後ほど説明する。
【0024】
コンデンサ装置60は、平滑コンデンサとして、PMコンデンサ30、MNコンデンサ40を含んでいる。PMコンデンサ30は、高電位側端子と中点Mとに接続されている。MNコンデンサ40は、中点Mと低電位側端子とに接続されている。よって、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、直列に接続されている。
【0025】
PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、主に、電圧安定化と電流リプル吸収のために設けられている。言い換えると、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、中点Mの許容電圧変動を抑えるため、およびインバータ回路100の外部に流出する電流リプルを減らすために設けられている。PMコンデンサ30は第1コンデンサに相当する。MNコンデンサ40は第2コンデンサに相当する。
【0026】
なお、本開示は、ダイオードクランプ型(T形)のインバータ回路100であっても適用できる。本開示、Nレベル(N=4)以上のインバータ回路100であっても採用できる。この場合、中間電位は、N-2となる。
【0027】
<インバータ回路100の構造>
図2図5を用いて、インバータ回路100の構造に関して説明する。インバータ回路100は、コンデンサ装置60と、半導体装置10,20と冷却器90とが一体的に組付けられた構造体とが並んで配置されている。図面では、コンデンサ装置60と構造体の並び方向を矢印ADで示している。
【0028】
また、図2図5などに示すように、インバータ回路100は、各コンデンサ30~50と各半導体装置10,20とを接続するバスバ71~74を備えている。バスバ71~74は、銅などを主成分とする導電性の部材である。バスバ71~74は、平板形状の部材である。バスバ71~74のそれぞれは、一枚の平板形状の部材で構成されている。また、バスバ71~74のそれぞれは、たとえば、一枚の金属板を屈曲させて形成されているともいえる。
【0029】
Pバスバ71は、高電位側端子に接続されている。高電位側端子に接続されている端子は、Pバスバ71に接続されていることになる。Pバスバ71は、高電位配線に相当する。
【0030】
図2図4に示すように、Pバスバ71は、ベース部71aと、ベース部71aに連なるスイッチ側接続部71bと、ベース部71aに連なるコンデンサ側接続部71cとを有している。ベース部71aは、スイッチ側接続部71bとコンデンサ側接続部71cとに連なる基部である。スイッチ側接続部71bは、後ほど説明する半導体装置10のP端子1に接続される。コンデンサ側接続部71cは、後ほど説明するPMコンデンサ30の第1PM端子31に接続される。
【0031】
Nバスバ72は、低電位側端子に接続されている。低電位側端子に接続されている端子は、Nバスバ72に接続されていることになる。Nバスバ72は、低電位配線に相当する。
【0032】
図2図4に示すように、Nバスバ72は、ベース部72aと、ベース部72aに連なるスイッチ側接続部72bと、ベース部72aに連なるコンデンサ側接続部72cとを有している。ベース部72aは、スイッチ側接続部72bとコンデンサ側接続部72cとに連なる基部である。スイッチ側接続部72bは、半導体装置10のN端子2に接続される。コンデンサ側接続部72cは、後ほど説明するMNコンデンサ40の第2MN端子42に接続される。
【0033】
さらに、図5に示すように、Nバスバ72は、延設部72dを有している。延設部72dは、ベース部72aに連なる部位であり、かつ、Oバスバ74上まで延設された部位である。延設部72dは、Oバスバ74と対向配置されている。なお、図4では、図面を簡略化するために、延設部72dの図示を省略している。Nバスバ72は、延設部72dを有していなくてもよい。
【0034】
Mバスバ73は、中点Mを構成している。Mバスバ73は、Pバスバ71とNバスバ72の間の電位となる。Mバスバ73は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とに接続されている。中点Mに接続されている端子は、Mバスバ73に接続されていることになる。Mバスバ73は、中点配線に相当する。本実施形態では、一つのMバスバ73を備えた構成を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。Mバスバ73は、少なくとも一つ備えていればよい。Mバスバ73は、インバータ回路100の出力レベル数に応じて数が異なる。
【0035】
図2図4に示すように、Mバスバ73は、ベース部73aと、ベース部73aに連なるスイッチ側接続部73bと、ベース部73aに連なるコンデンサ側接続部73cとを有している。ベース部73aは、スイッチ側接続部73bとコンデンサ側接続部73cとに連なる基部である。スイッチ側接続部73bは、後ほど説明する半導体装置20のM端子4に接続される。
【0036】
コンデンサ側接続部73cは、PMコンデンサ30の第2PM端子32およびMNコンデンサ40の第1MN端子41に接続される。つまり、コンデンサ側接続部73cは、一方の面が第2PM端子32に接続され、反対面が第1MN端子41に接続される。コンデンサ側接続部73cは、PMコンデンサ30MNコンデンサ40に共通に接続されている。このように、本実施形態では、一例として、コンデンサ側接続部73cが一つのみ設けられたMバスバ73を採用している。なお、各バスバ71~73の位置関係に関して、後ほど詳しく説明する。
【0037】
Oバスバ74は、半導体装置10のO端子3に接続される。出力配線である。インバータ回路100は、U相コイル301、V相コイル302、W相コイル303のそれぞれと接続されたOバスバ74を備えている。Oバスバ74は、出力配線に相当する。
【0038】
なお、本実施形態では、一例として、構成要素間を電気的に絶縁するために、絶縁部材80が設けられた例を採用している。絶縁部材80は、Pバスバ71とMバスバ73との間、および各バスバ71,73とPMコンデンサ30との間に設けられている。また、絶縁部材80は、Mバスバ73とNバスバ72との間、および各バスバ72,73とMNコンデンサ40との間に設けられている。しかしながら、電気的に絶縁可能であれば絶縁部材80を設ける必要はない。
【0039】
半導体装置10,20は、たとえば、ベアチップ状の二つのスイッチング素子が接続された状態で、電気絶縁性の封止樹脂で覆われている。また、図2図4などに示すように、半導体装置10,20は、各端子1~5の先端が封止樹脂から突出して設けられている。インバータ回路100は、複数の半導体装置10と、複数の半導体装置20とを備えている。各半導体装置10,20は、並んで配置され、冷却器90に組付けられている。なお、図4では、図面を簡略化するために、冷却器90を省略している。
【0040】
インバータ回路100は、各アームを構成する三つの半導体装置10を備えている。U相アームの半導体装置10は、U相上アーム素子11とU相下アーム素子12とを備えている。V相アームの半導体装置10は、V相上アーム素子13とV相下アーム素子14とを備えている。W相アームの半導体装置10は、W相上アーム素子15とW相下アーム素子16とを備えている。また、半導体装置10は、P端子1、N端子2、O端子3、信号端子5を備えている。なお、半導体装置10は、アーム装置ともいえる。半導体装置10は、第1パワーモジュールに相当する。
【0041】
インバータ回路100は、各ミドル部21~23を構成する三つの半導体装置20を備えている。U相ミドル部21の半導体装置20は、第1U相ミドル素子21aと第2U相ミドル素子21bとを備えている。V相ミドル部22の半導体装置20は、第1V相ミドル素子22aと第2V相ミドル素子22bとを備えている。W相ミドル部23の半導体装置20は、第1W相ミドル素子23aと第2W相ミドル素子23bとを備えている。また、半導体装置20は、O端子3、M端子4、信号端子5を備えている。なお、半導体装置20は、ミドル装置ともいえる。半導体装置20は、第2パワーモジュールに相当する。
【0042】
図4に示すように、P端子1は、Pバスバ71に接続されている。N端子2は、Nバスバ72に接続されている。O端子3は、Oバスバ74に接続されている。M端子4は、Mバスバ73に接続されている。図2に示すように、信号端子5は、配線基板110に接続されている。なお、配線基板110は、樹脂などの絶縁基材に導電性の配線が設けられた基板である。配線基板110は、電子制御装置と接続されている。
【0043】
冷却器90は、各半導体装置10,20を冷却するために、水などの冷媒が循環するように構成されている。冷却器90は、冷媒が流れる部位によって各半導体装置10,20を挟み込んでいる。
【0044】
このため、バスバ71~74は、各端子1~4との接続部位であるスイッチ側接続部71b~73bが冷却器90の近くに配置されることになる。また、バスバ71~74は、上記のように、冷却器90で冷却されている半導体装置10,20の各端子1~4と接続されている。そのため、バスバ71~74は、半導体装置10,20とともに、冷却器90によって冷却される。なお、バスバ71~73は、一端が構造体に接続され、他端がコンデンサ装置60に接続されているともいえる。
【0045】
図2図3に示すように、コンデンサ装置60は、コンデンサ30,40とコンデンサケース61と封止樹脂部63とを備えている。コンデンサケース61は、コンデンサ30,40を収容するものであり、一部に開口部62が設けられたケースである。コンデンサケース61は、コンデンサ30,40を収容した状態で封止樹脂部63が設けられている。つまり、コンデンサケース61は、収容空間に、コンデンサ30,40と封止樹脂部63とが設けられている。コンデンサ30,40は、封止樹脂部63で封止されている。
【0046】
また、コンデンサケース61内には、コンデンサ30,40と接続するために、Pバスバ71、Nバスバ72、Mバスバ73の一部が配置されている。Pバスバ71、Nバスバ72、Mバスバ73は、コンデンサケース61内に配置された部位が封止樹脂部63で封止されている。また、図3に示すように、Pバスバ71、Nバスバ72、Mバスバ73は、開口部62から突出している。
【0047】
このように、コンデンサ装置60は、二つのコンデンサ30,40が一体的に保持されている。コンデンサ装置60は、コンデンサ構造体ともいえる。また、コンデンサ30,40は、一つのコンデンサ素子で構成されていてもよいし、複数のコンデンサ素子で構成されていてもよい。なお、ここでのコンデンサ素子は、フィルムコンデンサである。
【0048】
図2に示すように、PMコンデンサ30は、第1PM端子31、第2PM端子32を備えている。第1PM端子31は、Pバスバ71に接続されている。第2PM端子32は、Mバスバ73に接続されている。PMコンデンサ30は、第1コンデンサに相当する。第1PM端子31は、高電位側電極に相当する。第2PM端子32は、第1中点電極に相当する。
【0049】
MNコンデンサ40は、第1MN端子41、第2MN端子42を備えている。第1MN端子41は、Mバスバ73に接続されている。第2MN端子42は、Nバスバ72に接続されている。MNコンデンサ40は、第2コンデンサに相当する。第1MN端子41は、第2中点電極に相当する。第2MN端子42は、低電位側電極に相当する。
【0050】
さらに、図2図5に示すように、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並び方向ADに交差する方向に積層配置されている。本実施形態では、一例として、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並び方向ADに直交する方向に積層配置されている。
【0051】
詳述すると、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、PMコンデンサ30の第2PM端子32と、MNコンデンサ40の第1MN端子41とが対向するように積層配置されている。つまり、第2PM端子32と第1MN端子41は、対向配置されている。
【0052】
PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の間には、Mバスバ73の一部であるコンデンサ側接続部73cが配置されている。コンデンサ側接続部73cは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とに挟み込まれている。コンデンサ側接続部73cは、第2PM端子32と第1MN端子41とに接続されている。つまり、第2PM端子32と第1MN端子41は、同一のMバスバ73に接続されている。コンデンサ側接続部73cは、接続部に相当する。
【0053】
よって、図2の二点鎖線で示すように、Mバスバ73は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40と並走するコンデンサ側接続部73cを備えている。つまり、コンデンサ側接続部73cは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とに対向配置されている。また、コンデンサ側接続部73cは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とに接続されている。このため、コンデンサ側接続部73cとPMコンデンサ30、コンデンサ側接続部73cとMNコンデンサ40は、磁界を打ち消せる程度の位置に配置されているといえる。これにより、インバータ回路100は、第2PM端子32と第1MN端子41間におけるインダクタンスを低減できる。
【0054】
このため、インバータ回路100は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40が並び方向ADに沿って配置された構成よりも、並び方向ADに沿う体格を小型化できる。また、インバータ回路100は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の積層方向に直交する方向の体格を小型化できるともいえる。なお、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、両コンデンサ30,40の厚み方向に積層されているともいえる。さらに、単に、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、積層配置されているともいえる。
【0055】
厚み方向は、各端子31,32におけるバスバ71,73との接続面に直交する方向である。また、厚み方向は、各端子41,42におけるバスバ72,73との接続面に直交する方向でもある。
【0056】
<各バスバ71~73の位置関係>
図2図3図5に示すように、Mバスバ73のベース部73aは、半導体装置20とコンデンサ30,40との間の配置されている。ベース部73aの一部は、Pバスバ71とNバスバ72との間に配置され、かつ、Pバスバ71とNバスバ72に対向している。また、ベース部73aは、Pバスバ71のベース部71aおよびNバスバ72のベース部72aと対向する部位を含んでいる。ベース部73aの一部は、封止樹脂部63の外部において、ベース部71aおよびベース部72aと対向配置されている。さらに、ベース部73aの一部は、封止樹脂部63の内部においても、ベース部71aおよびベース部72aと対向配置されている。
【0057】
ベース部73aの一部は、Pバスバ71の一部およびNバスバ72の一部と並走しているともいえる。ベース部73aは、絶縁部材80を介して、ベース部71aおよびベース部72aと積層配置されているともいえる。ベース部73aは、ベース部71aおよびベース部72aと近距離で積層配置(対向配置)されている。近距離とは、磁界を打ち消すことができる程度の距離である。ベース部73aの一部は、対向部に相当するとみなせる。また、ベース部73aにおける対向部に相当する部位は、ベース部71aおよびベース部72aと近距離となる範囲内において対向している部位とみなせる。
【0058】
<効果>
インバータ回路100は、図2の二点鎖線で示すように、Mバスバ73がPバスバ71とNバスバ72との間に配置され、かつ、Pバスバ71とNバスバ72に対向したベース部73aを有している。このため、インバータ回路100は、Pバスバ71とMバスバ73のベース部73aとの間、およびベース部73aとNバスバ72との間で磁界を打ち消すことができる。よって、インバータ回路100は、インダクタンスを低減できる。つまり、インバータ回路100は、Pバスバ71とMバスバ73間、およびMバスバ73とNバスバ72間のそれぞれでインダクタンスを低減できる。また、インバータ回路100は、インダクタンスを低減できるためサージ電圧を抑えることができる。よって、インバータ回路100は、損失を低減できる。
【0059】
なお、ベース部73aの一部が、Pバスバ71とNバスバ72との間に配置され、かつ、Pバスバ71とNバスバ72に対向している点は、他の実施形態でも同様である。よって、他の実施形態は、本実施形態と同様、インダクタンスを低減できる。
【0060】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態~第12実施形態に関して説明する。上記実施形態および第2実施形態~第12実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0061】
なお、以下の実施形態では、主に、先行して説明している実施形態との相違点に関して説明する。第2実施形態~第6実施形態は、主に、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の位置関係、バスバ71~73の構成が第1実施形態と異なる。第7実施形態は、主に、PNコンデンサ50を備えている点が第1実施形態と異なる。
【0062】
(第2実施形態)
図6を用いて、第2実施形態のインバータ回路100に関して説明する。なお、図6では、バスバ71~73を部分的に図示している。この点は、後ほど説明する第3実施形態~第6実施形態でも同様である。
【0063】
PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並び方向ADに対する直交方向に積層配置されている。また、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、側壁が対向するように配置されている。PMコンデンサ30の側壁は、第1PM端子31と第2PM端子32とに連なる壁面である。MNコンデンサ40は、第1MN端子41と第2MN端子42とに連なる壁面である。
【0064】
第2PM端子32と第1MN端子41は、並び方向ADに直交する仮想平面に沿って配置されている。同様に、第1PM端子31と第2MN端子42は、並び方向ADに直交する別の仮想平面に沿って配置されている。第2PM端子32と第1MN端子41は、第1PM端子31と第2MN端子42よりもコンデンサケース61の底側に配置されている。コンデンサケース61の底は、開口部62に対向する部位である。
【0065】
Pバスバ71は、ベース部71aの一端から屈曲してコンデンサ側接続部71cが設けられている。コンデンサ側接続部71cは、第1PM端子31に接続されている。コンデンサ側接続部71cと第1PM端子31は、溶接などによって接続されている。
【0066】
Nバスバ72は、ベース部72aの一端から屈曲してコンデンサ側接続部72cが設けられている。コンデンサ側接続部72cは、第2MN端子42に接続されている。コンデンサ側接続部72cと第2MN端子42は、溶接などによって接続されている。
【0067】
Mバスバ73は、ベース部73aの一部が並び方向ADに沿って設けられている。Mバスバ73は、ベース部73aの先端にコンデンサ側接続部73cが設けられている。Mバスバ73は、第2PM端子32に接続されたコンデンサ側接続部73cと、第1MN端子41に接続されたコンデンサ側接続部73cとが設けられている。つまり、Mバスバ73は、二つのコンデンサ側接続部73cが設けられている。二つのコンデンサ側接続部73cは、並び方向ADに直行して設けられている。コンデンサ側接続部73cは、第2PM端子32および第1MN端子41と溶接によって接続されている。
【0068】
ベース部73aは、二つのコンデンサ側接続部73cの間から突出して設けられている。ベース部73aは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とに挟み込まれた部位を有している。つまり、ベース部73aの一部は、PMコンデンサ30の側壁とMNコンデンサ40の側壁との間に配置されている。なお、ベース部73aは、その側壁には接触していない。
【0069】
インバータ回路100は、PMコンデンサ30の端子31,32とMNコンデンサ40の端子41,42とが対向配置されていない。このため、インバータ回路100は、各端子31,32,41,42と各コンデンサ側接続部71c~73cとを接続しやすい。
【0070】
(第3実施形態)
図7を用いて、第3実施形態のインバータ回路100に関して説明する。PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並び方向ADに沿って横並びで配置されている。また、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、側壁が対向するように配置されている。第2PM端子32と第2MN端子42は、並び方向ADに沿って配置されている。同様に、第1PM端子31と第1MN端子41は、並び方向ADに沿って配置されている。つまり、第2PM端子32と第2MN端子42は、並び方向ADに沿う同一仮想平面上に配置されている。第1PM端子31と第1MN端子41は、並び方向ADに沿う同一仮想平面上に配置されている。両仮想平面は、並び方向ADに直交する方向における位置が異なる。MNコンデンサ40は、PMコンデンサ30よりもコンデンサケース61の底側に配置されている。
【0071】
Mバスバ73は、第2PM端子32に接続されたコンデンサ側接続部73cと、第1MN端子41に接続されたコンデンサ側接続部73cとが設けられている。つまり、Mバスバ73は、二つのコンデンサ側接続部73cが設けられている。Mバスバ73は、一方のコンデンサ側接続部73cに対して屈曲した部位を介して他方のコンデンサ側接続部73cが設けられている。Mバスバ73は、二つのコンデンサ側接続部73cを連結する部位(連結部)を有している。連結部は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40との間に配置されている。なお、二つのコンデンサ側接続部73cは、一枚の金属板の異なる部位である。よって、連結部は、二つのコンデンサ側接続部73cの間にある中間部ともいえる。
【0072】
インバータ回路100は、図7の二点鎖線で示すように、PMコンデンサ30上において、ベース部72aとコンデンサ側接続部73cとを対向配置できる。よって、インバータ回路100は、Nバスバ72とMバスバ73間のインダクタンスをより一層低減できる。
【0073】
さらに、インバータ回路100は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40が並び方向ADに沿って配置されている。このため、インバータ回路100は、並び方向ADに対する直交方向において低背化できる。
【0074】
(第4実施形態)
図8を用いて、第4実施形態のインバータ回路100に関して説明する。PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並び方向ADに対する直交方向に積層配置されている。また、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、第1PM端子31と第1MN端子41とが対向するように積層配置されている。
【0075】
Mバスバ73は、第2PM端子32に接続されたコンデンサ側接続部73cと、第1MN端子41に接続されたコンデンサ側接続部73cとが設けられている。Mバスバ73は、二つのコンデンサ側接続部73cを連結する部位(連結部)を有している。第1MN端子41に接続されたコンデンサ側接続部73cは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の対向領域に配置されている。また、連結部およびベース部72aは、コンデンサ30,40とコンデンサケース61の底との間に配置されている。
【0076】
インバータ回路100は、図8の二点鎖線で示すように、コンデンサ30,40間において、コンデンサ側接続部71cとコンデンサ側接続部73cとを対向配置できる。よって、インバータ回路100は、Pバスバ71とMバスバ73間のインダクタンスをより一層低減できる。
【0077】
さらに、インバータ回路100は、コンデンサ30,40とコンデンサケース61の底との間において、Nバスバ72のベース部72aとMバスバ73の連結部とを対向配置できる。よって、インバータ回路100は、Nバスバ72とMバスバ73間のインダクタンスをより一層低減できる。なお、インバータ回路100は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40が、第2PM端子32と第2MN端子42とが対向するように積層配置されていても同様の効果を奏することができる。
【0078】
(第5実施形態)
図9~11を用いて、第6実施形態のインバータ回路100に関して説明する。なお、図9では、図面を簡略化するためにコンデンサケース61、封止樹脂部63の図示を省略している。
【0079】
図9に示すように、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並び方向ADに対する直交方向に横並びで配置されている。また、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、側壁が対向するように配置されている。第2PM端子32と第2MN端子42は、直交方向に沿って配置されている。同様に、第1PM端子31と第1MN端子41は、直交方向に沿って配置されている。PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、コンデンサケース61の深さ方向において同等の位置に配置されている。
【0080】
図10図11に示すように、Mバスバ73は、第2PM端子32に接続されたコンデンサ側接続部73cと、第1MN端子41に接続されたコンデンサ側接続部73cとが設けられている。Mバスバ73は、二つのコンデンサ側接続部73cを連結する部位(連結部)を有している。連結部は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の並び方向に沿って配置されている。インバータ回路100は、第1実施形態よりも小型化できる。
【0081】
(第6実施形態)
図12を用いて、第6実施形態のインバータ回路100に関して説明する。本実施形態では、4レベルのインバータ回路100を採用している。インバータ回路100は、PMコンデンサ30、MNコンデンサ40に加えて、MMコンデンサ40aを備えている。MMコンデンサ40aは、PMコンデンサ30、MNコンデンサ40と直列に接続されている。MMコンデンサ40aは、第1MM端子41aと第2MM端子42aとを備えている。第1MM端子41aは、第2PM端子32と対向配置されている。第2MM端子42aは、第1MN端子41と対向配置されている。
【0082】
インバータ回路100は、二つのMバスバ73を備えている。一方のMバスバ73は、コンデンサ側接続部73cが第2PM端子32と第1MM端子41aとに接続されている。他方のMバスバ73は、コンデンサ側接続部73cが第1MN端子41と第2MM端子42aとに接続されている。
【0083】
二つのMバスバ73のベース部73aは、半導体装置20とコンデンサ30,40との間の配置されている。ベース部73aの一部は、Pバスバ71とNバスバ72との間に配置され、かつ、Pバスバ71とNバスバ72に対向している。よって、二つのMバスバ73は、それぞれ対向部を有しているといえる。インバータ回路100は、4レベル以上のマルチレベルインバータであっても適用できる。
【0084】
(第7実施形態)
図13図15を用いて、第7実施形態のインバータ回路100aの構造に関して説明する。インバータ回路100aは、PNコンデンサ50を備える点がインバータ回路100と異なる。なお、図15では、バスバ71~73、絶縁部材80などの図示を省略している。後ほど説明する図16に関しても同様である。
【0085】
図13図14に示すように、インバータ回路100aは、Pバスバ71とNバスバ72との間に、PNコンデンサ50が接続されている。PNコンデンサ50は、高電位側端子と低電位側端子とに接続されている。よって、PNコンデンサ50は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40に対して並列に接続されている。PNコンデンサ50は、電流リプル吸収のために設けられている。言い換えると、PNコンデンサ50は、インバータ回路100aの外部に流出する電流リプルを減らすために設けられている。PNコンデンサ50は、第3コンデンサに相当する。
【0086】
インバータ回路100aでは、中点Mの許容電圧変動を抑えるために必要なコンデンサ容量が低いのに対し、外部に流出する電流リプルを減らすために必要なコンデンサ容量が大きい。そこで、インバータ回路100aは、PNコンデンサ50が設けられている。このPNコンデンサ50は、上記のようにPMコンデンサ30とMNコンデンサ40と並列に接続されている。このため、インバータ回路100aは、PMコンデンサ30、MNコンデンサ40、PNコンデンサ50の総容量を低減できる。よって、インバータ回路100aは、PMコンデンサ30、MNコンデンサ40、PNコンデンサ50の体格を小型化できる。
【0087】
図14に示すように、コンデンサ装置60は、PMコンデンサ30と、MNコンデンサ40と、コンデンサケース61と、封止樹脂部63に加えて、PNコンデンサ50を備えている。PNコンデンサ50は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とともにコンデンサケース61に収容されている。PNコンデンサ50は、封止樹脂部63で封止されている。さらに、図14図15に示すように、PNコンデンサ50は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40に対して、並び方向ADに配置されている。
【0088】
PNコンデンサ50は、第1PN端子51、第2PN端子52を備えている。第1PN端子51は、Pバスバ71に接続されている。第2PN端子52は、Nバスバ72に接続されている。
【0089】
PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、PNコンデンサ50よりも冷却器90の近くに配置されている。本実施形態では、一例として、並び方向ADに沿って、冷却器90、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40、PNコンデンサ50の順で配列されている。このため、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、PNコンデンサ50よりも、冷却器90によって冷却されやすい。なお、インバータ回路100aは、PNコンデンサ50よりも、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の方が、冷却力が強化されているといえる。
【0090】
また、Pバスバ71は、構造体との接続部位からPMコンデンサ30との接続部位までの長さが、構造体との接続部位からPNコンデンサ50との接続部位までの長さよりも短い。よって、PMコンデンサ30は、冷却器90で冷却されたPバスバ71によって、PNコンデンサ50よりも冷却されやすい。
【0091】
一方、Nバスバ72は、構造体との接続部位からMNコンデンサ40との接続部位までの長さが、構造体との接続部位からPNコンデンサ50との接続部位までの長さよりも短い。よって、MNコンデンサ40は、冷却器90で冷却されたNバスバ72によって、PNコンデンサ50よりも冷却されやすい。
【0092】
ところで、発熱に起因するリプル電流は、PNコンデンサ50よりも、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の方が大きい。そこで、本開示では、PNコンデンサ50よりもPMコンデンサ30とMNコンデンサ40を冷却器90の近くに配置している。このため、インバータ回路100aは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の熱を抑えることができる。よって、インバータ回路100aは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の許容電流を増加できる。つまり、インバータ回路100aは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40よりもPNコンデンサ50の方が冷却器90に近い構成よりも許容電流を増加できる。なお、ここまでに説明した、冷却器90と各コンデンサ30~50との位置関係は、他の実施形態にも適用できる。
【0093】
Pバスバ71とNバスバ72は、PNコンデンサ50に接続された部位の熱伝導率よりも、PMコンデンサ30およびMNコンデンサ40に接続された部位の熱伝導率の方が高いものであってもよい。たとえば、PNコンデンサ50に接続された部位は、銅を主成分として構成される。一方、PMコンデンサ30およびMNコンデンサ40に接続された部位は、銀を主成分として構成される。これによっても、インバータ回路100aは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の許容電流を増加できる。
【0094】
以下の実施形態では、主に、第7実施形態と異なる箇所に関して説明する。
【0095】
(第8実施形態)
図16を用いて、第8実施形態のインバータ回路100aに関して説明する。本実施形態は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の位置関係が第7実施形態と異なる。
【0096】
PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並列配置されている。PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、第1PM端子31と第1MN端子41とが同一仮想平面上に配置されている。PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、第2PM端子32と第2MN端子42とが別の同一仮想平面上に配置されている。
【0097】
よって、インバータ回路100aは、両コンデンサ30,40が積層配置された構成よりも、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40のコンデンサ配置方向に直交する方向の体格を小型化できる。また、インバータ回路100aは、第1実施形態と同様、各コンデンサ30~50の体格を小型化できる。なお、PNコンデンサ50は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の両方と並列配置されている。第1PN端子51は、第1PM端子31と第1MN端子41と同一仮想平面上に配置されている。第2PN端子52は、第2PM端子32と第2MN端子42と同一仮想平面上に配置されている。
【0098】
(第9実施形態)
図17を用いて、第9実施形態のインバータ回路100aに関して説明する。本実施形態は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の位置関係が第1実施形態と異なる。PMコンデンサ30とMNコンデンサ40は、並び方向ADにおいてずらして配置されている。インバータ回路100aは、第7実施形態と同様、各コンデンサ30~50の体格を小型化できる。
【0099】
(第10実施形態)
図18を用いて、第10実施形態のインバータ回路100aに関して説明する。本実施形態では、主に、第8実施形態と異なる箇所に関して説明する。本実施形態は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40に対するPNコンデンサ50の位置関係が第8実施形態と異なる。
【0100】
PNコンデンサ50は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とともに並列配置されている。つまり、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とPNコンデンサ50は、直線状に配置されている。
【0101】
よって、インバータ回路100aは、コンデンサ30~50が積層配置された構成よりも、コンデンサ30~50のコンデンサ配置方向に直交する方向の体格を小型化できる。また、インバータ回路100aは、第7実施形態と同様、各コンデンサ30~50の体格を小型化できる。
【0102】
(第11実施形態)
図19を用いて、第11実施形態のインバータ回路100aに関して説明する。本実施形態は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40に対するPNコンデンサ50の位置関係が第7実施形態と異なる。
【0103】
PNコンデンサ50は、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40とともに積層配置されている。また、各コンデンサ30~50は、互いの端子が対向しないように配置されている。第1PN端子51は、第1PM端子31と第1MN端子41と同一仮想平面に対して平行に配置されている。第2PN端子52は、第2PM端子32と第2MN端子42と同一仮想平面に対して平行に配置されている。インバータ回路100aは、コンデンサ30~50が並列配置された構成よりも、コンデンサ30~50のコンデンサ配置方向に直交する方向の体格を小型化できる。また、インバータ回路100aは、第7実施形態と同様、各コンデンサ30~50の体格を小型化できる。
【0104】
(第12実施形態)
図20を用いて、第12実施形態のインバータ回路100aに関して説明する。本実施形態は、Pバスバ71とNバスバ72の構成が第7実施形態と異なる。
【0105】
Pバスバ71は、PMコンデンサ30に接続されたPMバスバ部71mと、PNコンデンサ50に接続されたPNバスバ部71pとを含んでいる。Nバスバ72は、MNコンデンサ40に接続されたMNバスバ部72mと、PNコンデンサ50に接続されたPNバスバ部72pとを含んでいる。PMバスバ部71mは、PNバスバ部71pよりも断面積が大きい。MNバスバ部72mは、PNバスバ部72pよりも断面積が大きい。
【0106】
これによっても、インバータ回路100aは、PMコンデンサ30とMNコンデンサ40の許容電流を増加できる。また、インバータ回路100aは、第7実施形態と同様、各コンデンサ30~50の体格を小型化できる。
【0107】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0108】
100…インバータ回路、1…P端子、2…N端子、3…O端子、4…M端子、5…信号端子、10,20…半導体装置、11~16…スイッチング素子、11…U相上アーム素子、12…U相下アーム素子、13…V相上アーム素子、14…V相下アーム素子、15…W相上アーム素子、16…W相下アーム素子、21…U相ミドル部、22…V相ミドル部、23…W相ミドル部、21a…第1U相ミドル素子、21b…第2U相ミドル素子、22a…第1V相ミドル素子、22b…第2V相ミドル素子、23a…第1W相ミドル素子、23b…第2W相ミドル素子、30…PMコンデンサ、31…第1PM端子、32…第2PM端子、40…MNコンデンサ、41…第1MN端子、42…第2MN端子、50…PNコンデンサ、51…第1PN端子、52…第2PN端子、60…コンデンサ装置、61…コンデンサケース、62…開口部、63…封止樹脂部、71…Pバスバ、71m…PMバスバ部、71p…PNバスバ部、72…Nバスバ、72m…MNバスバ部、72p…PNバスバ部、73…Mバスバ、74…Oバスバ、80…絶縁部材、90…冷却器、110…配線基板、200…バッテリ、300…モータ、301…U相コイル、302…V相コイル、303…W相コイル
図1
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