(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101341
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】室外機冷却システム
(51)【国際特許分類】
F24F 1/42 20110101AFI20240722BHJP
F24F 1/58 20110101ALI20240722BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
F24F1/42
F24F1/58
F25B39/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005280
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】森 豊
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA02
3L054BB03
3L054BD07
(57)【要約】
【課題】室外機の劣化を抑制することが可能な室外機冷却システムを提供する。
【解決手段】通気性を有し、空調装置の室外機1の吸気口4に対向して配置される通気性部材110と、前記通気性部材110に対して散水するノズル130と、を具備した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有し、空調装置の室外機の吸気口に対向して配置される通気性部材と、
前記通気性部材に対して散水する散水装置と、
を具備する室外機冷却システム。
【請求項2】
前記通気性部材は、
網目状に形成されている、
請求項1に記載の室外機冷却システム。
【請求項3】
前記通気性部材は、
熱伝導性を有する支持部材を介して前記室外機に取り付けられている、
請求項2に記載の室外機冷却システム。
【請求項4】
前記散水装置へと供給するための水を用いて前記室外機の冷却を行う冷却装置をさらに具備する、
請求項1に記載の室外機冷却システム。
【請求項5】
前記室外機に設けられ、太陽光を反射する反射材をさらに具備する、
請求項1に記載の室外機冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の室外機に散水する散水システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置の室外機に散水する散水システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の冷却システムは、室外機に設けられた熱交換器に対して散水可能な散水機構を具備している。特許文献1に記載の冷却システムは、熱交換器に対して散水を行うことで、熱交換器中を流通する冷媒の冷却を促進することができ、ひいては空調装置の運転コスト(消費電力)の削減を図ることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、室外機(熱交換器)に直接水が付着するように散水が行われるため、室外機の腐食やスケールの付着が生じ、室外機の劣化を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、室外機の劣化を抑制することが可能な室外機冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、通気性を有し、空調装置の室外機の吸気口に対向して配置される通気性部材と、前記通気性部材に対して散水する散水装置と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記通気性部材は、網目状に形成されているものである。
【0010】
請求項3においては、前記通気性部材は、熱伝導性を有する支持部材を介して前記室外機に取り付けられているものである。
【0011】
請求項4においては、前記散水装置へと供給するための水を用いて前記室外機の冷却を行う冷却装置をさらに具備するものである。
【0012】
請求項5においては、前記室外機に設けられ、太陽光を反射する反射材をさらに具備するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
本発明においては、室外機の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】室外機、及び、本発明の一実施形態に係る室外機冷却システムを示した斜視図。
【
図2】室外機、及び、本発明の一実施形態に係る室外機冷却システムを示した平面断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、前後方向、及び左右方向をそれぞれ定義する。
【0017】
以下では、本発明の一実施形態に係る室外機冷却システム100について説明する。
【0018】
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施形態で例示する室外機1について簡単に説明する。
【0019】
室外機1は、室内機(不図示)と共に、室内の空調を行うための空調装置を構成している。室外機1は、冷媒を介して室内機(不図示)と熱をやり取りすることができる。また室外機1は、外気との間で熱をやり取りすることができる。例えば室内の冷房を行う場合、室内機において室内の空気から取り除かれた熱は、冷媒を介して室外機1へと案内され、室外機1から大気中へと排出される。
【0020】
本実施形態では、室外機1は箱状の筐体2を具備し、筐体2の内部に配置されたファン等の送風機3によって、筐体2の背面に形成された吸気口4から空気(外気)を吸引し、筐体2の前面に形成された排出口5から空気を排出する。この際、筐体2の内部において、外気と冷媒との間で熱交換を行うことができる。
【0021】
ここで、室内の冷房を行う場合、室外機1を冷却することで冷媒の冷却を促進することができ、ひいては空調装置の消費電力の低減(省エネ化)を図ることができる。そこで本実施形態では、室外機冷却システム100を用いて室外機1を冷却可能としている。以下、室外機冷却システム100について説明する。
【0022】
図1から
図3までに示す室外機冷却システム100は、空調装置の室外機1に対して間接的に散水を行うことで、空調装置の省エネ化(消費電力の低減)を図るものである。室外機冷却システム100は、主として通気性部材110、支持部材120、ノズル130、配管パネル140、断熱材150及び反射材160を具備する。
【0023】
図1及び
図2に示す通気性部材110は、空気を通過させることが可能な素材により形成された部材である。本実施形態では、通気性部材110として、厚さが比較的薄いシート状の部材を用いている。通気性部材110は、透かしのある網目状に形成されることで、当該透かしの部分を介して空気を通過させることができる。また本実施形態では、比較的熱伝導性が高い素材(例えば、金属)により通気性部材110を形成している。
【0024】
通気性部材110は、室外機1の吸気口4と対向するように配置される。具体的には、通気性部材110は、背面視において、室外機1の背面と概ね同様の形状(略矩形状)に形成される。通気性部材110は、室外機1の後方に、室外機1の背面と所定の間隔を空けて配置される。通気性部材110は、後述する支持部材120を介して室外機1の筐体2に固定される。これによって通気性部材110は、背面視において室外機1の吸気口4と重複するように配置される。
【0025】
支持部材120は、通気性部材110を支持するためのものである。支持部材120は、上下に延びる長手状に形成される。支持部材120は、室外機1の筐体2の背面の左右両端部にそれぞれ固定される。また支持部材120は、通気性部材110の左右両端部をそれぞれ支持する。この際、支持部材120は、室外機1の背面と通気性部材110との間に所定の間隔を空けるように、通気性部材110を支持する。本実施形態では、比較的熱伝導性が高い素材(例えば、金属)により支持部材120を形成している。
【0026】
ノズル130は、水を噴出する噴出口である。ノズル130としては、各種のノズル(一流体ノズル、二流体ノズル等)を用いることができる。ノズル130は、後述する配管パネル140を介して供給される水を噴出することができる。
【0027】
ノズル130は、室外機1の筐体2の上部に固定される。具体的には、ノズル130は筐体2の背面の上部に固定される。ノズル130は、筐体2の背面と通気性部材110の間に配置される。ノズル130は、通気性部材110に対して水を噴出することができる。なお、ノズル130から噴出された水が、極力、通気性部材110の全体に付着するように、ノズル130からの水の噴出方向が適宜設定される。
【0028】
図1及び
図3に示す配管パネル140は、水道等からノズル130へと水を供給するためのものである。配管パネル140は、薄い板状の筐体141に配管142を収容することで形成される。配管パネル140(筐体141)は、平面視において室外機1の筐体2と略同一形状(矩形状)に形成される。配管142は、平面視において、筐体141の略全域に亘るように形成される。本実施形態では、配管142は、筐体141内を左右に何度も往復するように形成される。これによって、配管142の全長が長くなるように構成されている。配管142の一端(下流側端部)はノズル130に接続される。配管142の他端(上流側端部)は、水道等の水供給源に接続される(不図示)。配管パネル140は、室外機1の筐体2の上面に固定される。
【0029】
配管パネル140(配管142)には、電磁弁(不図示)が連結される。例えば電磁弁は、配管142の上流側や、配管142の中途部に設けることができる。前記電磁弁の開閉を制御することにより、任意のタイミングでノズル130から水を噴出することができる。
【0030】
図1に示す断熱材150は、熱を遮断するためのものである。断熱材150は、熱の伝達を遮断することが可能な適宜の材料(例えば、繊維系、発泡プラスチック系、天然素材系など)により形成される。断熱材150は、平面視において室外機1の筐体2と略同一形状(矩形状)に形成される。断熱材150は、配管パネル140の上面に固定される。これによって、後述する反射材160から配管パネル140への熱の伝達を抑制することができる。
【0031】
反射材160は、太陽光を反射するためのものである。反射材160は、太陽光を反射することが可能な適宜の材料により形成される。反射材160は、平面視において室外機1の筐体2と略同一形状(矩形状)に形成される。反射材160は、断熱材150の上面に固定される。これによって反射材160は、室外機1に照射される太陽光を反射し、室外機1の温度上昇を抑制することができる。
【0032】
以下では、上述のように構成された室外機冷却システム100の動作態様について説明する。
【0033】
前記電磁弁が開かれると、配管パネル140の配管142(
図3参照)に水が供給される。この際、配管142を流通する水と、室外機1の筐体2との間で熱交換が行われ、室外機1が冷却される。特に本実施形態では、配管142の全長が長くなるように、配管142を筐体141の全域に亘るように形成しているため、水と室外機1との間での熱交換を効率的に行うことができる。
【0034】
図1に示すように、配管142を流通した水はノズル130から噴出(散水)され、室外機1と離れて配置された通気性部材110に付着する。通気性部材110に付着した水による気化冷却によって、室外機1の吸気口4から吸引される空気の温度を低下させることができる。これによって室外機1の熱効率を向上させることができ、ひいては空調装置の消費電力(特に、冷房を行う際の消費電力)の低減を図ることができる。この際、ノズル130から散水された水は室外機1に直接付着することがないため、室外機1の腐食やスケールの発生を防止し、ひいては室外機1の劣化を抑制することができる。
【0035】
特に本実施形態では、通気性部材110及び支持部材120は熱伝導性が高い素材により形成されているため、支持部材120を介して室外機1(筐体2)の熱を通気性部材110に伝えることで、通気性部材110に付着した水の気化を促進することができる。また、通気性部材110に付着した水の気化冷却によって通気性部材110が冷却されることで、支持部材120を介して室外機1(筐体2)を間接的に冷却することができる。
【0036】
また本実施形態では、反射材160によって太陽光を反射することにより、室外機1の温度上昇を抑制することができる。さらに断熱材150によって反射材160から室外機1への熱の伝達を抑制することができ、室外機1の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0037】
以上の如く、本実施形態に係る室外機冷却システム100は、
通気性を有し、空調装置の室外機1の吸気口4に対向して配置される通気性部材110と、
前記通気性部材110に対して散水するノズル130(散水装置)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、室外機1の劣化を抑制することができる。すなわち、室外機1に直接水が付着することがないため、室外機1の腐食やスケールの発生を防止することができる。このように、散水によって室外機1(空調装置)の消費電力の低減を図りながらも、室外機1の劣化を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る前記通気性部材110は、
網目状に形成されているものである。
このように構成することにより、室外機1が吸引する空気を効率的に冷却することができる。すなわち、メッシュ状に形成された通気性部材110に水を付着させることで、水と通気性部材110との接触面積(通気性部材110の表面積)を大きく確保することができ、水の気化冷却によって効率的に通気性部材110を冷却することができる。また、室外機1に吸引される空気と通気性部材110との接触面積も大きく確保することができるため、室外機1が吸引する空気を効率的に冷却することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る前記通気性部材110は、
熱伝導性を有する支持部材120を介して前記室外機1に取り付けられているものである。
このように構成することにより、室外機1からの熱によって通気性部材110に付着した水の気化を促進することができる。また、通気性部材110に付着した水の気化冷却によって、室外機1を冷却することができる。
【0040】
また、室外機冷却システム100は、
前記ノズル130へと供給するための水を用いて前記室外機1の冷却を行う配管パネル140(冷却装置)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、ノズル130へと供給される水の顕熱を用いて室外機1を冷却することができ、室外機1(空調装置)の消費電力の低減を図ることができる。
【0041】
また、室外機冷却システム100は、
前記室外機1に設けられ、太陽光を反射する反射材160をさらに具備するものである。
このように構成することにより、室外機1の温度上昇を抑制することができる。
【0042】
なお、本実施形態に係るノズル130は、本発明に係る散水装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る配管パネル140は、本発明に係る冷却装置の実施の一形態である。
【0043】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、本実施形態では背面に吸気口4が形成された室外機1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず種々の形状を有する室外機1に適用することが可能である。なお、どのような形状の室外機1に室外機冷却システム100を適用する場合であっても、室外機1の吸気口4に対向するように通気性部材110を配置することが望ましい。
【0045】
また本実施形態の支持部材120は、左右一対設けられ、通気性部材110の左右両端を支持するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち支持部材120は、室外機1(筐体2)と離間した位置で、通気性部材110を支持できるものであればよい。例えば支持部材120を、通気性部材110の全周を囲むような矩形枠状に形成することも可能である。
【0046】
また本実施形態では、通気性部材110及び支持部材120を熱伝導性の高い素材で形成するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、通気性部材110及び支持部材120を熱伝導性を有しない(熱伝導性が低い)素材で形成することも可能である。
【0047】
また本実施形態の通気性部材110は、網目状に形成されているものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば通気性部材110は、水を付着させることができ、かつ、室外機1へと吸引される空気を通過させることができるものであればよく、例えばスポンジ状に形成することも可能である。
【0048】
また本実施形態のノズル130の構成は一例であり、例えばノズル130は任意の位置に配置することが可能である。また、ノズル130を複数設けることも可能である。
【0049】
また本実施形態では、室外機1の上面に配管パネル140、断熱材150及び反射材160を配置した例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、配管パネル140等は任意の位置(例えば、室外機1の側面等)に配置することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 室外機
100 室外機冷却システム
110 通気性部材
120 支持部材
130 ノズル
140 配管パネル
150 断熱材
160 反射材