(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101358
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20240722BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240722BHJP
【FI】
H01R13/46 B
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005310
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】高村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 大悟
(72)【発明者】
【氏名】手塚 優太
(72)【発明者】
【氏名】岸端 裕矢
【テーマコード(参考)】
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF04
5E087FF05
5E087LL04
5E087MM04
5E087QQ04
5E087RR29
5E223AA21
5E223AC11
5E223BA01
5E223BA07
5E223CB21
5E223CB24
5E223DA33
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
(57)【要約】
【課題】ハウジングの製造に際してスライド金型を必要とせず、低コストで製造可能なコネクタを得ることを目的とする。
【解決手段】コネクタ1のハウジング12が、ペグ3を介して基板2に接続される。ハウジング12の側壁122には、ペグ3を支持する支持部126が設けられている。支持部126は、前後方向Xに延びる係止部1261と、係止部1261と側壁122とを接続する第一ブリッジ1261-1及び第二ブリッジ1261-2と、を備えている。第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2の間には、収容空間Sが設けられている。また、コネクタ1は、第一空間a1と、第二空間a2と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向一方側に開口し端子を収容する箱状のハウジングが、接続部材を介して基板に接続されるコネクタであって、
前記ハウジングの側壁には、前記接続部材を支持する支持部が設けられ、
前記支持部は、前記基板に対向し、前記側壁と間隔をあけて所定方向に延びる係止部と、前記係止部と前記側壁とを接続する第一ブリッジと、前記第一ブリッジと前記所定方向に間隔をあけて設けられ前記係止部と前記側壁とを接続する第二ブリッジと、を備え、
前記第一ブリッジと前記第二ブリッジは、前記所定方向に重ならない位置に配置され、
前記第一ブリッジと前記第二ブリッジとの間に設けられる収容空間と、
前記第一ブリッジから前記収容空間を介し前記第二ブリッジに沿って延び前記所定方向の他方側に開口する第一空間と、
前記第二ブリッジから前記収容空間を介し前記第一ブリッジに沿って延び前記所定方向の一方側に開口する第二空間と、を備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記支持部は、前記ハウジングの前記所定方向に延びる側壁に設けられ、
前記ハウジングの前記開口の縁部には、前記開口の外方に向かって広がるフランジ部が設けられ、
前記フランジ部には、前記第二空間に連通する金型抜孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記所定方向は、前記基板の板厚方向である高さ方向に交差する前後方向であり、
前記第一ブリッジおよび前記第二ブリッジは、板状に形成され、
前記第一ブリッジの上面は、前記第二ブリッジの下面と同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記所定方向は、前記基板の板厚方向である高さ方向に交差する前後方向であり、
前記第一ブリッジおよび前記第二ブリッジは、板状に形成され、
前記第一ブリッジの下面は、前記第二ブリッジの上面と同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記係止部は、前記所定方向に延びる板状に形成され、
前記接続部材は、前記係止部の上縁に引っ掛かるとともに、前記収容空間に収容されるフック部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記係止部は、前記接続部材の前記フック部が引っ掛かる部分およびその近傍が、他の部分よりも幅広の幅広部を備えていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子を保持する樹脂製箱状のハウジングを、ペグによって基板に固定する基板用コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の基板用コネクタでは、ハウジングの側壁に上下方に開口する略ポケット状の圧入部が形成されており、この圧入部にペグを圧入した状態で、ペグ下端を半田等で基板に固定することで、ハウジングが基板に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような基板用コネクタでは、前後方向に開口する箱状のハウジング側壁に上下方向に開口する圧入部を設ける構造上、ハウジングを樹脂成形する際に、例えば上下方向に開口を形成するためのスライド金型が必要となる。このため、1つの金型から成形できる製品の数である、取り数が少なくなることや、ハウジングの製造の工数が増加する等の問題が生じることがあり、ひいては基板用コネクタの製造コストが増加する。
【0005】
本発明の目的は、ハウジングの製造に際してスライド金型を必要とせず、低コストで製造可能なコネクタを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、コネクタは、所定方向一方側に開口し端子を収容する箱状のハウジングが、接続部材を介して基板に接続されるコネクタであって、前記ハウジングの側壁には、前記接続部材を支持する支持部が設けられ、前記支持部は、前記基板に対向し、前記側壁と間隔をあけて所定方向に延びる係止部と、前記係止部と前記側壁とを接続する第一ブリッジと、前記第一ブリッジと前記所定方向に間隔をあけて設けられ前記係止部と前記側壁とを接続する第二ブリッジと、を備え、前記第一ブリッジと前記第二ブリッジは、前記所定方向に重ならない位置に配置され、前記第一ブリッジと前記第二ブリッジとの間に設けられる収容空間と、前記第一ブリッジから前記収容空間を介し前記第二ブリッジに沿って延び前記所定方向の他方側に開口する第一空間と、前記第二ブリッジから前記収容空間を介し前記第一ブリッジに沿って延び前記所定方向の一方側に開口する第二空間と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハウジングの製造に際してスライド金型を必要とせず、低コストで製造可能なコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ、基板、及びペグの分解斜視図。
【
図2】(A)は、コネクタと基板をペグで接続した状態を示す斜視図であり、(B)は、
図2の領域Aの部分拡大図。
【
図3】(A)は、ハウジングの平面図であり、(B)は、ハウジングの側面図。
【
図4】(A)は、
図3(A)のA-A線矢視断面図であり、(B)は、樹脂成形途中のハウジングを示す概要図。
【
図5】樹脂成形途中のハウジングを上側から見た平面図。
【
図6】(A)は、基板に接続されたコネクタの平面図であり、(B)は、
図6(A)のB-B線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、コネクタ1について説明する。本実施形態のコネクタ1は、自動車等の車両に搭載される電子機器の基板2に、ペグ3(接続部材)を介して接続される基板用コネクタである。なお、図において、X、Y、Zは、互いに直交する方向である。そして、後述するハウジング12の奥行き方向を前後方向とし、「前後方向X」と記す。また、前後方向Xの一方側を「前側X1」、他方側を「後側X2」と記す。なお、前後方向Xは、本発明における所定方向でもある。
【0010】
そして、後述するハウジング12の幅方向を左右方向とし、「左右方向Y」と記す。また、左右方向Yの一方側を「左側Y1」、他方側を「右側Y2」と記す。また、基板2の板厚方向を高さ方向とし、「高さ方向Z」と記す。また、高さ方向Zの一方側を「上側Z1」、他方側を「下側Z2」と記す。これは、あくまでも説明の便宜のためであり、必ずしも実際の使用状態における方向と一致するとは限らず、実際の使用状態における方向を限定するものではない。
【0011】
コネクタ1は、
図1に示すように、基板2に接続される複数の端子11と、端子11を収容するハウジング12と、を備えている。端子11は、金属製の針金部材を2箇所で略直角に折り曲げ加工して、略L字状に形成されており、基板接続部111と、部品接続部112と、を備えている。基板接続部111は、端子11の後側X2の端部で構成され、基板2に接続される。部品接続部112は、端子11の前側X1の端部で構成され、ハウジング12内に挿し込まれ、ハウジング12に嵌合する不図示の相手コネクタの相手端子と接続される。
【0012】
ハウジング12は、前側X1(所定方向一方側)に開口し端子11を収容する樹脂製の箱状部材であり、底壁121と、側壁122と、上壁123と、後壁124と、フランジ部125と、支持部126と、を備えている。
【0013】
底壁121は、基板2の実装面である上側Z1の面と対向し、当該面と平行に延びている。側壁122は、底壁121の左右方向Y両端縁から上側Z1に立ち上がり上側Z1及び前後方向Xに延びている。上壁123は、一方の側壁122の上端縁から他方の側壁122の上端縁まで左右方向Yに延び底壁121と高さ方向Zに対向している。上壁123には、上側Z1及び後側X2に開口する凹状の肉抜き部123aが、複数形成されている。肉抜き部123aは、ハウジング12を樹脂成形する際に、樹脂に含まれるガラスファイバー等の繊維の配向をランダムにするために形成されるものである。この肉抜き部123aの形成により、繊維の配向が一定でなくなることから、熱等の影響によるハウジング12の反りが防止されている。
【0014】
後壁124は、底壁121の後端縁から上側Z1に立ち上がりハウジング12の後側X2を閉じている。後壁124には、前後方向Xに貫通し、
図6に示すように端子11がそれぞれ挿通する不図示の挿通孔が複数形成されている。フランジ部125は、防水、または防塵等の目的で設けられる部分であり、ハウジング12の開口縁部に全周に亘って形成され、開口の外方に向かって広がっている。フランジ部125の左右方向Y両側には、前後方向Xに貫通する金型抜孔125aが貫通形成されている。
【0015】
金型抜孔125aは、後述する第二空間a2に連通している。なお、金型抜孔125aは、例えば、
図2(B)に示すように、左右方向Yの寸法S1が0.5mm、高さ方向Zの寸法S2が1.5mm等に設定されるとよく、IP40規格を考慮して、直径1mm以上の固形物が入らない寸法に設定されることがより好ましい。
【0016】
支持部126は、ハウジング12を基板2に接続する接続部材としてのペグ3を支持する部分であり、各側壁122にそれぞれ設けられている。支持部126は、
図3(A)に示すように、係止部1261と、第一ブリッジ1261-1と、第二ブリッジ1261-2と、を備えている。係止部1261は、平板状に形成され、下縁部が基板2に対して高さ方向Zに対向し、側壁122と左右方向Yに間隔をあけて前後方向Xに延びている。
【0017】
係止部1261の前側X1の部分は、
図3(B)に示すように、他の部分よりも高さ方向Zの寸法(幅寸法)が大きい幅広部1261aとなっている。幅広部1261aとなっている部分は、係止部1261のうち、ペグ3の後述するフック部32が引っ掛かる部分およびその近傍であり、この幅広部1261aの形成により、フック部32を支える強度を向上させている。
【0018】
第一ブリッジ1261-1は、係止部1261の前側X1の端部と側壁122とを接続する部材であり、
図3(A)に示すように、板状に形成されている。
【0019】
第二ブリッジ1261-2は、係止部1261の後側X2の端部と側壁122とを接続する部材であり、
図3(A)に示すように、第一ブリッジ1261-1と前後方向Xに間隔をあけて設けられ、板状に形成されている。
【0020】
図4(A)に示すように、第一ブリッジ1261-1と、第二ブリッジ1261-2と、は高さ方向Zに隣接して配置されている。すなわち、第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2は、前後方向Xに重ならない位置に配置されている。具体的には、第二ブリッジ1261-2の方が第一ブリッジ1261-1よりも上側Z1に配置され、第一ブリッジ1261-1の上面が第二ブリッジ1261-2の下面と同一平面上に位置している。なお、第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2の配置は、逆でもよい。すなわち、第一ブリッジ1261-1を第二ブリッジ1261-2よりも上側Z1に配置してもよい。この場合、第一ブリッジ1261-1の下面は、第二ブリッジ1261-2の上面と同一平面上に位置するようにするとよい。
【0021】
第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2の前後方向Xの間には、
図4(A)に示すように、収容空間Sが形成されている。この収容空間Sには、
図7に示すように、ペグ3の後述するフック部32が収容されることとなっている。また、
図4(A)に示すように、第二ブリッジ1261-2の下側Z2には、第一空間a1が形成され、第一ブリッジ1261-1の上側Z1には、第二空間a2が形成されている。
【0022】
第一空間a1は、第一ブリッジ1261-1から収容空間Sを介し、第二ブリッジ1261-2に沿って第二ブリッジ1261-2の下側Z2を前後方向Xに延び、後側X2に開口している。
【0023】
第二空間a2は、第二ブリッジ1261-2から収容空間Sを介し、第一ブリッジ1261-1に沿って第一ブリッジ1261-1の上側Z1を前後方向Xに延び、前側X1に開口している。
【0024】
次に、コネクタ1が接続される基板2について説明する。基板2は、例えば、板部材に電子部品がはんだ付けされたプリント回路基板であり、
図1に示すように、パッド部21と、端子接続部22と、を備えている。パッド部21は、ペグ3の後述する固定部33をはんだ付けするための部分であり、銅箔で構成されている。端子接続部22は、上述の端子11の基板接続部111が接続される部分であり、各端子11に対応するよう、複数形成されている。
【0025】
次に、コネクタ1を基板2に固定するペグ3について説明する。ペグ3は、金属製の板部材を折り曲げ加工等して形成され、
図1に示すように、平板部31と、フック部32と、固定部33と、を備えている。平板部31は、ハウジング12の側壁122と対向し前後方向Xに延びている。フック部32は、平板部31の上縁部からハウジング12側に折り返されて形成されている。このフック部32は、ハウジング12に取り付けられる際、支持部126の係止部1261の上縁に引っ掛かり、収容空間Sに収容される。
【0026】
フック部32におけるハウジング12の側壁122と対向する壁面には、当該壁面に向かって突出する突起32aが形成されている。突起32aは、
図7に示すように、フック部32が係止部1261に取り付けられた際に、側壁122に食い込んで、ペグ3を固定している。固定部33は、基板2のパッド部21にはんだ付けされる部分であり、フック部32と反対側、すなわち左右方向Y外方に向かって折り返されて形成されている。
【0027】
次に、コネクタ1のハウジング12の成形について説明する。ハウジング12は、例えば、樹脂成形により成形される。この場合、上述のとおり、ハウジング12は前側X1に開口し、第一空間a1は後側X2に開口し、第二空間a2は前側X1に開口し、肉抜き部123aは後側X2に開口していることから、これらの開口方向が全て前後方向Xに揃うこととなる。このため、ハウジング12を成形する金型は、前後方向Xに開くように配置される。
【0028】
図4(B)は、樹脂成形途中のハウジング12を示す概要図であり、支持部126を成形する金型が図示されている。ここでは、第一空間a1の開口が形成される部分から前側X1に向かって、第一ブリッジ1261-1の後側X2の端部が形成される位置まで前後方向Xに延びる第一金型D1が閉じられている。そして、金型抜孔125aが形成される部分を介し、第二空間a2が形成される部分から後側X2に向かって、第二ブリッジ1261-2の前側X1の端部が形成される位置まで前後方向Xに延びる第二金型D2が閉じられている。
【0029】
ここで、第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2とは前後方向Xに重ならない配置であることから、第一金型D1と第二金型D2とは、互いに前後方向Xに干渉しない。一方で、第一ブリッジ1261-1は第二ブリッジ1261-2に沿って延び、第二ブリッジ1261-2は第一ブリッジ1261-1に沿って延びることから、第一金型D1と第二金型D2とは、一部が高さ方向Zに重なって隣接することとなる。
【0030】
図5は、樹脂成形途中のハウジング12を上側Z1から見た平面図であり、上壁123を成形する金型が図示されている。ここでは、肉抜き部123aの後側X2の開口が形成される部分から、前側X1に向かって、肉抜き部123aの前側X1の端部が形成される位置まで、前後方向Xに延びる第三金型D3が複数閉じられている。
【0031】
そして、第一金型D1、第二金型D2、及び第三金型D3を上述のように閉じた状態で、樹脂を注入し、冷却して固めた後、第一金型D1及び第三金型D3を後側X2に開き、第二金型D2を前側X1に開くことで、ハウジング12が成形される。この際、
図4(A)に示すように、第一金型D1と第二金型D2の重なっていた部分に収容空間Sが形成される。また、
図4(B)に示すように、第一金型D1の前側X1の端部と第二金型D2の下側Z2の端面に囲まれた部分に第一ブリッジ1261-1が成形される。また、第二金型D2の後側X2の端部と、第一金型D1の上側Z1の端面に囲まれた部分に第二ブリッジ1261-2が成形される。
【0032】
そして、
図4(A)に示すように、第一ブリッジ1261-1の後側X2には、収容空間Sを介し第二ブリッジ1261-2に沿って延び後側X2に開口する第一空間a1が形成される。また、第二ブリッジ1261-2の前側X1には、収容空間Sを介し第一ブリッジ1261-1に沿って延び前側X1に開口する第二空間a2が形成される。
【0033】
このように、ハウジング12が、第一ブリッジ1261-1、収容空間S、第二ブリッジ1261-2等を備えていても、その成形時に、スライド金型を用いることなく、ハウジング12を成形することができる。すなわち、本実施形態のコネクタ1は、ハウジング12の成形に際してスライド金型を必要としないスライドレスコネクタとして構成されている。
【0034】
以上、上述した実施形態によれば、コネクタ1は、前側X1(所定方向一方側)に開口し端子11を収容する箱状のハウジング12が、ペグ3(接続部材)を介して基板2に接続されるコネクタ1である。ハウジング12の側壁122には、ペグ3を支持する支持部126が設けられている。支持部126は、基板2に対向し、側壁122と間隔をあけて前後方向X(所定方向)に延びる係止部1261と、係止部1261と側壁122とを接続する第一ブリッジ1261-1と、第一ブリッジ1261-1と前後方向Xに間隔をあけて設けられ係止部1261と側壁122とを接続する第二ブリッジ1261-2と、を備えている。第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2は、前後方向Xに重ならない位置に配置されている。そして、コネクタ1は、第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2との間に設けられる収容空間Sと、第一ブリッジ1261-1から収容空間Sを介し第二ブリッジ1261-2に沿って延び後側X2(所定方向の他方側)に開口する第一空間a1と、第二ブリッジ1261-2から収容空間Sを介し第一ブリッジ1261-1に沿って前側X1(前記所定方向の一方側)に開口する第二空間a2と、を備えている。
【0035】
このような構成によれば、ハウジング12は前側X1に開口し、第一空間a1は後側X2に開口し、第二空間a2は前側X1に開口し、これら開口全てが前後方向Xに揃うため、ハウジング12を成形する金型は、前後方向Xに開閉するように設けることができる。そして、第一ブリッジ1261-1、第二ブリッジ1261-2、収容空間S、第一空間a1、及び第二空間a2の配置や形状によれば、上述のように第一金型D1と第二金型D2とを前後方向Xに閉じることができる。この場合、第一金型D1と第二金型D2とを閉じた状態で、樹脂を注入及び冷却し、第一金型D1と第二金型D2とを前後方向Xに開くことで、第一金型D1と第二金型D2の重なっていた部分に収容空間Sを成形することができる。また、第一金型D1の前側X1の端部と第二金型D2の下側Z2の端面に囲まれた部分に第一ブリッジ1261-1を成形することができる。また、第二金型D2の後側X2の端部と第一金型D1の下上側Z1の端面に囲まれた部分に第二ブリッジ1261-2を成形することができる。このように、スライド金型を用いることなく、第一ブリッジ1261-1、第二ブリッジ1261-2、収容空間Sを有する支持部126を備えたハウジング12を成形することができる。したがって、ハウジング12の製造に際してスライド金型を必要とせず、低コストで製造可能なコネクタ1を得ることができる。
【0036】
また、上述の実施形態では、ハウジング12にフランジ部125を設けたことで、ハウジング12内に水滴や塵が入ることを防止することができ、コネクタ1の防水性および防塵性を向上することができる。また、このようにフランジ部125を設けた場合にも、フランジ部125には、第二空間a2に連通する金型抜孔125aが設けられているので、この金型抜孔125aを介して金型を前後方向Xに開閉することができる。したがって、防水性および防塵性を向上したコネクタ1においても、ハウジング12の製造に際してスライド金型を必要とせず、低コストで製造可能とすることができる。
【0037】
また、第一ブリッジ1261-1の上面は、第二ブリッジ1261-2の下面と同一平面上に位置することとした。このような構成によれば、第一空間a1の位置と第二空間a2の位置とが、高さ方向Zにずれることとなるので、第一空間a1及び第二空間a2が形成される部分で開閉される金型の干渉を、互いに抑制することができる。
【0038】
また、ペグ3をハウジング12に取り付ける際には、ペグ3のフック部32を、係止部1261の上縁に引っ掛けることでペグ3をハウジング12に固定することができる。この際、フック部32を収容する収容空間S内、すなわち第一ブリッジ1261-1と第二ブリッジ1261-2との間であれば、どこでもペグ3を係止部1261に固定することができる。したがって、従来のように、略ポケット状の圧入部にペグを圧入する構成と比較して、ペグ3の配置の自由度を向上することができる。
【0039】
また、係止部1261には、幅広部1261aを設けたことで、ペグ3のフック部32が引っ掛かる部分およびその近傍における係止部1261の強度を向上することができる。したがって、ペグ3をハウジング12に固定した状態を、安定して維持することができる。
【0040】
以上、コネクタ1の実施の形態および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
a1 第一空間
a2 第二空間
S 収容空間
X 前後方向(所定方向)
X1 前側(一方側)
X2 後側(他方側)
1 コネクタ
11 端子
12 ハウジング
122 側壁
126 支持部
1261 係止部
1261-1 第一ブリッジ
1261-2 第二ブリッジ
2 基板
3 ペグ(接続部材)