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特開2024-101368異常監視装置およびロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101368
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】異常監視装置およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240722BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B25J19/00 J
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005328
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】福井 将司
(72)【発明者】
【氏名】川井 淳
(72)【発明者】
【氏名】中村 豪
(72)【発明者】
【氏名】小崎 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】豊福 祥平
(72)【発明者】
【氏名】原田 貴志
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707KS16
3C707KS20
3C707KS27
3C707KS37
3C707KV01
3C707KV04
3C707LW12
3C707MS21
(57)【要約】
【課題】ロボットの関節に位置している配線の異常を監視することが可能な異常監視装置を提供する。
【解決手段】この異常監視装置20は、ロボット10の関節JTに配置されるエンコーダ配線17の配線関連情報を受信する受信部22と、受信部22により受信された配線関連情報に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する制御部23と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの関節に配置される配線の配線関連情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記配線関連情報に基づいて、前記配線が異常であるか否かを監視する制御部と、を備える、異常監視装置。
【請求項2】
前記配線に信号を入力する信号入力部を備え、
前記受信部は、前記配線関連情報として、前記配線に入力された信号の反射波信号を受信し、
前記制御部は、受信された前記反射波信号に基づいて、前記配線が異常であるか否かを監視する、請求項1に記載の異常監視装置。
【請求項3】
前記関節は、前記関節の回転位置を検出するエンコーダを含み、
前記配線は、前記エンコーダに接続されるエンコーダ配線を含む、請求項1に記載の異常監視装置。
【請求項4】
前記関節は、ねじり回転する関節を含み、
前記制御部は、前記ねじり回転する関節に配置される前記配線からの前記配線関連情報に基づいて、前記エンコーダ配線が異常であるか否かを監視する、請求項3に記載の異常監視装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記配線の正常時の前記配線関連情報と、現在の前記配線の前記配線関連情報とに基づいて、前記配線が異常であるか否かを判定する判定制御部を含む、請求項1に記載の異常監視装置。
【請求項6】
正常である前記配線を有する前記ロボットの複数の姿勢の各々における、前記配線関連情報に基づく機械学習により生成された異常判定モデルを記憶する記憶部を備え、
前記判定制御部は、
前記異常判定モデルに基づいて、現在の前記ロボットの姿勢において前記配線関連情報を推定し、
推定された前記配線関連情報と、現在の前記ロボットの姿勢における実際の前記配線関連情報とを比較することにより、前記配線が異常であるか否かを判定する、請求項5に記載の異常監視装置。
【請求項7】
前記配線関連情報に基づく機械学習を実行するにより前記異常判定モデルを生成する機械学習部を備え、
前記機械学習部は、所定の期間ごとに前記機械学習を実行することにより前記異常判定モデルを更新し、
前記記憶部は、更新された前記異常判定モデルを記憶する、請求項6に記載の異常監視装置。
【請求項8】
前記配線に信号を入力する信号入力部を備え、
前記配線関連情報は、前記配線に入力された信号の反射波信号を含む、請求項6に記載の異常監視装置。
【請求項9】
前記配線関連情報は、前記反射波信号に加えて、前記ロボットの稼働時間、前記関節の総回転量、前記関節の最高速度、および、前記関節の最大加減速度のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の異常監視装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記配線が異常であるか否かの判定結果を報知部に出力する、請求項1に記載の異常監視装置。
【請求項11】
関節を含むロボットと、
前記ロボットの前記関節に配置される配線の異常を監視する異常監視装置と、を備え、
前記異常監視装置は、
前記配線の配線関連情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記配線関連情報に基づいて、前記配線が異常であるか否かを監視する制御部と、を含む、ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、異常監視装置およびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線の異常を監視する異常監視装置が開示されている。特許文献1では、溶接ロボットに取り付けられている溶接ガンに溶接電流を供給する給電ケーブルの異常を監視するケーブル診断装置が開示されている。このケーブル診断装置は、給電ケーブルにパルス信号を送信するパルス信号送信部と、給電ケーブルからの反射パルス信号を受信する反射パルス信号受信部と、を備える。特許文献1では、反射パルス信号受信部に受信された反射パルス信号の信号レベルに基づいて、給電ケーブルが劣化しているか否かが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-220460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、給電ケーブルの劣化が判定されている。一方、特許文献1に記載のようなロボットでは、ロボットの内部に信号線や動力線などの配線が配置されている。また、ロボットの姿勢の変化に伴って配線も変形するため、配線の異常が生じやすい。特に、ロボットの関節では、配線の変形量が大きいため、ロボットの関節に位置している配線の異常を監視することが望まれている。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、ロボットの関節に位置している配線の異常を監視することが可能な異常監視装置およびロボットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面による異常監視装置は、ロボットの関節に配置される配線の配線関連情報を受信する受信部と、受信部により受信された配線関連情報に基づいて、配線が異常であるか否かを監視する制御部と、を備える。
【0007】
この開示の第1の局面による異常監視装置は、上記のように、受信部は、ロボットの関節に配置される配線の配線関連情報を受信する。これにより、ロボットの関節に位置する配線からの配線関連情報を受信することができる。そして、制御部が、受信部により受信された配線関連情報に基づいて、配線が異常であるか否かを監視することにより、ロボットの関節に位置している配線の異常を監視することができる。
【0008】
この開示の第2の局面によるロボットシステムは、関節を含むロボットと、ロボットの関節に配置される配線の異常を監視する異常監視装置と、を備え、異常監視装置は、配線の配線関連情報を受信する受信部と、受信部により受信された配線関連情報に基づいて、配線が異常であるか否かを監視する制御部と、を含む。
【0009】
この開示の第2の局面によるロボットシステムでは、上記のように、受信部は、ロボットの関節に配置される配線の配線関連情報を受信する。これにより、ロボットの関節に位置する配線からの配線関連情報を受信することができる。そして、制御部が、受信部により受信された配線関連情報に基づいて、配線が異常であるか否かを監視することにより、ロボットの関節に位置している配線の異常を監視することが可能なロボットシステムを提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ロボットの関節に位置している配線の異常を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態によるロボットシステムのブロック図である。
図2】第1実施形態によるロボットを示す図である。
図3】第1実施形態によるエンコーダおよびエンコーダ配線を説明するための図である。
図4】第1実施形態によるエンコーダ配線およびシールド線を示す図である。
図5】第1実施形態による異常監視装置のブロック図である。
図6】ロボットのホーム姿勢状態における反射波信号を示す図である。
図7】ホーム姿勢からロボットの姿勢が変更された状態における反射波信号を示す図である。
図8】シールド線に異常が生じている状態の反射波信号を示す図である。
図9】第2実施形態による異常監視装置のブロック図である。
図10】変形例によるエンコーダおよびエンコーダ配線を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本開示を具体化した本開示の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット10と、異常監視装置20と、を備える。ロボットシステム100は、工場などの設備1に配置されている。設備1には、警報を報知する報知部2が配置されている。
【0014】
図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット10と、ロボットコントローラ12と、ティーチングペンダント13と、を含む。ロボット10は、ロボットアーム11と、エンドエフェクタ14と、駆動部15と、エンコーダ16と、を含む。図2に示すように、ロボット10は、たとえば、垂直多関節ロボットである。エンドエフェクタ14は、ロボットアーム11の先端に取り付けられている。エンドエフェクタ14は、たとえば、溶接を行うトーチやサーボガンである。
【0015】
ロボット10は、基端から先端に向かって、特にねじり回転する第1関節JT1、第2関節JT2、第3関節JT3、特にねじり回転する第4関節JT4、第5関節JT5および第6関節JT6が配置される6軸の垂直多関節ロボットを含む。以下では、第1関節JT1から第6関節JT6までをまとめて関節JTと呼ぶ。関節JTの数は、6個以外でもよい。図1に示すように、各関節JTは、各々、駆動部15を含む。駆動部15は、たとえば、サーボモータである。駆動部15は、各関節JTを駆動させる。
【0016】
ロボットコントローラ12は、操作者がティーチングペンダント13を用いて教示した動作に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御する。ロボットコントローラ12は、メイン制御部12aとサーボ制御部12bとを含む。サーボ制御部12bは、メイン制御部12aからの指令に基づいて駆動部15の動作を制御する。
【0017】
図1に示すように、ティーチングペンダント13は、ロボット10に動作を教示する操作を受け付ける。ティーチングペンダント13は、動作プログラムなどが表示される表示部13aを含む。
【0018】
図3に示すように、各関節JTは、各関節JTの回転位置を検出するエンコーダ16を含む。エンコーダ16は、各関節JTに配置されている。エンコーダ16には、エンコーダ配線17が接続されている。エンコーダ配線17は、エンコーダ16によって検知された各関節JTの回転位置に関する信号を、ロボットコントローラ12に伝達する。エンコーダ配線17は、配線の一例である。
【0019】
図4に示すように、エンコーダ配線17は、ケーブルCに含まれている。ケーブルCには、エンコーダ配線17を取り囲むようにシールド線18が配置されている。シールド線18は、たとえば、銅またはアルミニウムなどの金属が編み込まれることにより形成されている。シールド線18は、エンコーダ配線17へのノイズの侵入を抑制するとともに、エンコーダ配線17からの電磁波の放出を抑制する機能を有する。エンコーダ配線17とシールド線18との間には、絶縁層19aが配置されている。また、シールド線18を取り囲むように絶縁層19bが配置されている。ケーブルCは多芯ケーブルであってもよい。
【0020】
図5に示すように、異常監視装置20は、信号入力部21と、受信部22と、制御部23と、記憶部24と、ランプ25と、を備えている。
【0021】
第1実施形態では、信号入力部21は、エンコーダ配線17に信号を入力する。具体的には、信号入力部21は、高周波を発生するパルスジェネレータであり、エンコーダ配線17に高周波のパルスを入力する。詳細には、図3に示すように、エンコーダ配線17の基端側にスイッチング回路30が接続されている。スイッチング回路30は、たとえば、ロータリスイッチである。また、エンコーダ配線17は、各関節JTごとに配置されている。これらのエンコーダ配線17を、各々、エンコーダ配線17a、17b、17c、17d、17eおよび17fとする。エンコーダ配線17aから17fまでが、各々、スイッチング回路30に接続されている。スイッチング回路30は、エンコーダ配線17aから17fまでのいずれかと、異常監視装置20の後述するVNAとを接続する。なお、図3に示す例では、スイッチング回路30および異常監視装置20のVNAは、6つの関節JTに対して1つ配置されている。
【0022】
異常監視装置20の受信部22は、スイッチング回路30を介して、エンコーダ配線17の配線関連情報を受信する。具体的には、受信部22は、配線関連情報として、エンコーダ配線17に入力された信号の反射波信号を受信する。エンコーダ配線17に異常な箇所が生じている場合、エンコーダ配線17に入力された信号は、エンコーダ配線17の異常な箇所において反射される。受信部22は、異常な箇所から反射された信号である反射波信号を受信する。反射波信号の大きさや反射波信号が返ってくるまでの時間に基づいて、エンコーダ配線17の異常の有無が検知される。このような異常の有無を検出する方法は、TDR(時間領域反射)法とよばれる。
【0023】
第1実施形態では、制御部23は、受信部22により受信された反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する。具体的には、制御部23は、マイコン23aと、パーソナルコンピュータ(PC)23bと、を含む。なお、信号入力部21と、受信部22と、マイコン23aとして、たとえば、VNA(ベクトルネットワークアナライザ)を用いてもよい。マイコン23aは、受信部22により受信された反射波信号を、高速フーリエ変換(FFT)する。マイコン23aは、反射波信号の大きさや反射波信号が返ってくるまでの時間を算出する。PC23bは、マイコン23aにより算出された反射波信号の大きさや反射波信号が返ってくるまでの時間に基づいて、シールド線18が異常であるか否かを監視する。PC23bは、判定制御部の一例である。
【0024】
エンコーダ配線17からの反射波信号の挙動について説明する。図6は、エンコーダ配線17に異常が生じていない場合での、ロボット10のホーム姿勢状態における反射波信号が示されている。なお、図6図7および図8の縦軸は、反射波信号の大きさを表し、横軸は、エンコーダ配線17の長さを表している。ロボット10のホーム姿勢状態とは、ロボット10の基本姿勢である。ロボット10のホーム姿勢の状態では、反射波信号の強度の変化は比較的小さい。また、反射波信号の強度は、L=0であるシールド線18の基端から先端に向かうにしたがって徐々に小さくなる。図7は、エンコーダ配線17に異常が生じていない場合での、ホーム姿勢からロボット10の姿勢が変更された状態における反射波信号が示されている。ロボット10の姿勢が変更された状態では、ホーム姿勢の場合の反射波信号の強度と比較して、反射波信号の強度の変化が大きくなる。図8は、ロボット10がホーム姿勢状態であり、かつ、距離L1および距離L2の位置で、エンコーダ配線17に異常が生じている状態の反射波信号が示されている。距離L1および距離L2の位置で、図6の反射波信号に比べて、反射波信号が大きくなっている。距離L1および距離L2とは、エンコーダ配線17に異常監視装置20が接続されている点からの距離を意味する。
【0025】
第1実施形態では、図3に示すように、制御部23は、ねじり回転する第1関節JT1およびねじり回転する第4関節JT4に位置するエンコーダ配線17からの反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する。制御部23は、第1関節JT1および第4関節JT4の各々に対応する距離Lからの反射波信号を監視する。第1関節JT1には、第1関節JT1から第6関節JT6までの全ての関節JTに配置されるエンコーダ16から延びるエンコーダ配線17aから17fまでの全てが配置されている。これにより、制御部23は、第1関節JT1に位置するエンコーダ配線17aから17fまでの全てからの反射波信号を監視することができる。すなわち、エンコーダ配線17aから17fまでの全ての第1関節JT1における異常を監視することができる。また、第4関節JT4には、第5関節JT5および第6関節JT6に各々配置されるエンコーダ16から延びるエンコーダ配線17eおよび17fが配置されている。これにより、制御部23は、第4関節JT4に位置するエンコーダ配線17eおよび17fからの反射波信号を監視することができる。すなわち、エンコーダ配線17eおよび17fの第4関節JT4における異常を監視することができる。なお、第1関節JT1において、駆動部15は、第1関節JT1により接続される部分同士のうちの回転する側に配置されるため、第1関節JT1においてエンコーダ配線17がねじられる。
【0026】
また、第1実施形態では、PC23bは、エンコーダ配線17の正常時の反射波信号と、現在のエンコーダ配線17の反射波信号とに基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定する。たとえば、PC23bは、エンコーダ配線17の正常時の反射波信号と、現在のエンコーダ配線17の反射波信号との差分値を算出する。PC23bは、差分値に基づいて、エンコーダ配線17が異常であると判定する。
【0027】
また、第1実施形態では、図5に示すように、記憶部24は、正常であるエンコーダ配線17を有するロボット10の複数の姿勢の各々における、反射波信号に基づく機械学習により生成された異常判定モデル24aを記憶している。機械学習には、たとえば、AI(artificial intelligence)が用いられる。AIとして、たとえば、オートエンコーダ(自己符号化器:Autoencoder)などのニューラルネットワークが用いられる。オートエンコーダとは、入力されたデータを一度圧縮し、重要な特徴量だけを残した後、再度もとの次元に復元処理をするアルゴリズムを意味する。入力されるデータは、正常であるエンコーダ配線17を有するロボット10の複数の姿勢の各々における反射波信号である。異常判定モデル24aは、異常監視装置20とは別個に配置されたPCなどにより予め生成される。生成された異常判定モデル24aが異常監視装置20の記憶部24に記憶されている。また、異常判定モデル24aを生成するために入力されるデータは、反射波信号に加えて、ロボット10の各関節JTの角度値も入力される。ロボット10の各関節JTの角度値とは、各関節JTのエンコーダ16により検出された検出値である。これにより、ロボット10の複数の姿勢の各々に対応する異常判定モデル24aが生成される。
【0028】
また、PC23bは、異常判定モデル24aに基づいて、現在のロボット10の姿勢において反射波信号を推定する。具体的には、PC23bは、現在のロボット10の姿勢の各関節JTの角度値を異常判定モデル24aに入力する。これにより、異常判定モデル24aによって現在のロボット10の姿勢における反射波信号が推定される。そして、PC23bは、推定された反射波信号と、現在のロボット10の姿勢における実際の反射波信号とを比較することにより、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定する。エンコーダ配線17に異常が生じていない場合、推定された反射波信号と実際の反射波信号との差は小さいため、差分値が所定の閾値以下となる。このため、PC23bは、エンコーダ配線17は異常でないと判定する。エンコーダ配線17に異常が生じている場合、推定された反射波信号と実際の反射波信号との差が大きくなり、差分値が所定の閾値を超える。このため、PC23bは、エンコーダ配線17は異常であると判定する。
【0029】
エンコーダ配線17の異常を正確に見分けるための機械学習の必要性について説明する。エンコーダ配線17に異常がない場合でも、複数のエンコーダ配線17の枝分かれる部分や、エンコーダ配線17がクランプされる部分、エンコーダ配線17が曲がった部分、および、エンコーダ配線17がねじれた部分において、エンコーダ配線17のインピーダンスが局所的に不連続になる。また、エンコーダ配線17は、関節JTの回転に伴って、屈曲回転、ねじり回転、または、屈曲回転およびねじり回転の複合回転する。特に、エンコーダ配線17が複合回転する場合、エンコーダ配線17のインピーダンスが局所的に不連続になり易い。このため、エンコーダ配線17に異常がない場合でも、エンコーダ配線17から多くの反射波信号が発生する。さらに、ロボット10の姿勢が変化することにより、エンコーダ配線17から不連続的に反射波信号が発生する。また、エンコーダ配線17における異常の発生に伴って、エンコーダ配線17の異常が生じた場所において反射波が発生する。図7に示すように、ロボット10の姿勢が変化すると、エンコーダ配線17が正常である場合でも、反射波信号の形状が変化する。なお、エンコーダ配線17に入力された信号の反射波信号に基づいてエンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する場合、ロボット10が停止している必要がある。また、ロボット10が停止している状態の各姿勢によって、各関節JTのエンコーダ16により検出された検出値が異なる。そこで、ロボット10の姿勢を変化させて、ロボット10が停止している状態での、各々の姿勢における各関節JTのエンコーダ16の検出値、および、各々の姿勢において発生する反射波信号のデータを全て記憶する必要がある。人手によって記憶した各関節JTのエンコーダ16の検出値および反射波のデータを解析するのは困難である。そのため、記憶した各関節JTのエンコーダ16の検出値および反射波信号のデータのパターンを機械学習により解析して、解析したパターンから異常判定モデル24aを生成することにより、異常に起因する反射波信号を正確にかつ精度よく見分けることが可能になる。
【0030】
なお、図5では、記憶部24が、PC23bの内部に配置されているが、記憶部24が、PC23bの外部に配置されていてもよい。また、異常監視装置20に外部接続端子26を配置して、外部接続端子26を介して、エンコーダ配線17の異常を判定するために必要な情報の入出力が行われてもよい。異常を判定するために必要な情報とは、たとえば、ロボット10の各関節JTの回転角度などである。
【0031】
また、第1実施形態では、図5に示すように、PC23bは、エンコーダ配線17が異常であるか否かの判定結果を報知部に出力する。たとえば、PC23bは、エンコーダ配線17が異常である場合、異常監視装置20に配置されたランプ25を点灯させるように制御する。また、図1に示すように、PC23bは、ロボットコントローラ12にエンコーダ配線17が異常である旨の信号を出力する。ロボットコントローラ12は、ティーチングペンダント13の表示部13aに、エンコーダ配線17が異常である旨を表示されるように制御する。また、PC23bは、ロボットシステム100が配置されている設備1に配置された報知部2にエンコーダ配線17が異常である旨を出力する。ランプ25、および、ティーチングペンダント13の表示部13aは、報知部の一例である。
【0032】
[第1実施形態の効果]
受信部22は、ロボット10の関節JTに配置されるエンコーダ配線17の配線関連情報を受信する。これにより、ロボット10の関節JTに位置するエンコーダ配線17からの配線関連情報を受信することができる。そして、制御部23が、受信部22により受信された配線関連情報に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視することにより、ロボット10の関節JTに位置しているエンコーダ配線17の異常を監視することができる。
【0033】
異常監視装置20は、エンコーダ配線17に信号を入力する信号入力部21を備える。受信部22は、反射波信号として、エンコーダ配線17に入力された信号の反射波信号を受信し、制御部23は、受信された反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する。これにより、シールド線18に異常が生じている場所から異常を反映した反射波信号が反射されるので、シールド線18の異常が生じている場所を特定できる。
【0034】
ロボット10は、ねじり回転する第1関節JT1およびねじり回転する第4関節JT4を含む。制御部23は、第1関節JT1および第4関節JT4に位置するエンコーダ配線17からの反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する。ここで、6軸の垂直多関節ロボットでは、ねじり回転する第1関節JT1およびねじり回転する第4関節JT4の回転の頻度が高い場合がある。この場合、第1関節JT1および第4関節JT4においてエンコーダ配線17の異常が生じやすい。第1実施形態では、制御部23が、第1関節JT1および第4関節JT4に位置するエンコーダ配線17からの反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視することにより、異常が生じやすい関節JTに位置するエンコーダ配線17の部分の異常を適切に監視することができる。
【0035】
PC23bは、エンコーダ配線17の正常時の反射波信号と、現在のエンコーダ配線17の反射波信号とに基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定する。これにより、エンコーダ配線17の異常時の反射波信号は、エンコーダ配線17の正常時の反射波信号と異なるので、エンコーダ配線17の正常時の反射波信号と、現在のエンコーダ配線17の反射波信号とに基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを容易に判定することができる。
【0036】
異常監視装置20は、正常であるエンコーダ配線17を有するロボット10の複数の姿勢の各々における、反射波信号に基づく機械学習により生成された異常判定モデル24aを記憶する記憶部24を備える。PC23bは、異常判定モデル24aに基づいて、現在のロボット10の姿勢において反射波信号を推定し、推定された反射波信号と、現在のロボット10の姿勢における実際の反射波信号とを比較することにより、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定する。ノイズなどに影響により、作業者が反射波信号を視認してもエンコーダ配線17が異常であるか否かを判定することが困難な場合がある。第1実施形態では、機械学習により生成された異常判定モデル24aに基づいて、PC23bが、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定することによって、作業者による異常の判定が困難な場合でも、容易に、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定することができる。
【0037】
制御部23のPC23bは、エンコーダ配線17が異常であるか否かの判定結果を、ランプ25、ティーチングペンダント13の表示部13a、および、設備1に配置された報知部2に出力する。これにより、ランプ25、ティーチングペンダント13の表示部13a、および、設備1に配置された報知部2による報知に基づいて、作業者はエンコーダ配線17が異常であることを容易に認識できる。
【0038】
[第2実施形態]
図9を参照して、本開示の第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態では、異常監視装置120に機械学習部121が備えられている。
【0039】
異常監視装置120は、反射波信号に基づく機械学習を実行するにより異常判定モデル24aを生成する機械学習部121を備えている。機械学習部121は、所定の期間ごとに機械学習を実行することにより異常判定モデル24aを更新する。記憶部24は、更新された異常判定モデル24aを記憶する。具体的には、PC23bの記憶部24に、機械学習部121としての機械学習用のソフトがインストールされる。機械学習部121は、反射波信号に基づいて、自動的に機械学習を行う。たとえば、機械学習部121は、ロボット10の姿勢を複数変化させた際に生じる反射波信号に基づいて機械学習を行う。この時、エンコーダ配線17は、正常であるとされる。また、機械学習用のソフトのインストールは、新しいロボット10に取り付けられる異常監視装置120に対しても実行されるし、既に出荷されたロボット10に後付けされた異常監視装置120に対しても実行することが可能である。すなわち、機械学習部121のレトロフィットも可能である。
【0040】
機械学習部121の機械学習のタイミングは、たとえば、以下の通りである。機械学習部121は、ロボット10が最初に起動した際に、反射波信号に基づいて、機械学習により異常判定モデル24aを生成する。また、機械学習部121は、機械学習部121を駆動するためのプログラムが変更された際に、反射波信号に基づいて、異常判定モデル24aを生成する。また、機械学習部121は、エンコーダ配線17の交換時に、反射波信号に基づいて、異常判定モデル24aを生成する。すなわち、機械学習部121は、異常判定モデル24aをキャリブレーションする。また、機械学習部121は、異常監視装置120が取り付けられるロボット10に対して、個別に機械学習を実行する。つまり、生成される異常判定モデル24aは、ロボット10ごとに互いに異なる。
【0041】
[第2実施形態の効果]
異常監視装置120は、反射波信号に基づく機械学習を実行するにより異常判定モデル24aを生成する機械学習部121を備える。機械学習部121は、所定の期間ごとに機械学習を実行することにより異常判定モデル24aを更新し、記憶部24は、更新された異常判定モデル24aを記憶する。これにより、異常監視装置120が機械学習部121を備えることによって、既に出荷されたロボット10に対しても異常監視装置120により異常判定モデル24aを生成することができるので、既に出荷されたロボット10に配置されるエンコーダ配線17に対しても異常を監視することができる。
【0042】
[第3実施形態]
本開示の第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態では、配線関連情報は、エンコーダ配線17からの反射波信号以外の情報を含む。
【0043】
第3実施形態では、配線関連情報は、反射波信号に加えて、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度のうちの少なくとも1つを含む。たとえば、配線関連情報は、反射波信号と、ロボット10の稼働時間と、関節JTの総回転量と、関節JTの最高速度と、関節JTの最大加減速度と、の全てを含む。PC23bは、異常判定モデル24aに基づいた、エンコーダ配線17が異常であるか否かの判定に加えて、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度を判定の参考データとする。PC23bは、異常判定モデル24aに基づいてエンコーダ配線17が異常でないと判定される場合でも、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度に基づいて、エンコーダ配線17が異常であると判定する場合がある。たとえば、PC23bは、ロボット10の稼働時間が所定の時間を超えていれば、異常判定モデル24aに基づいてエンコーダ配線17が異常でないと判定される場合でも、エンコーダ配線17が異常であると判定する。
【0044】
[第3実施形態の効果]
配線関連情報は、反射波信号に加えて、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度のうちの少なくとも1つを含む。これにより、反射波信号に加えて、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度のうちの少なくとも1つに基づいて異常が判定されるので、異常を判定の精度を向上できる。
【0045】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0046】
上記第1~第3実施形態では、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ロボット10の関節JTに配置されるエンコーダ配線17以外の動力線などの異常を監視するために本開示を適用してもよい。
【0047】
上記第1~第3実施形態では、エンコーダ配線17に入力された信号の反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、エンコーダ配線17の配線関連情報として、シールド線18に入力された信号の反射波信号を用いてもよい。そして、シールド線18に入力された信号の反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視してもよい。シールド線18は、エンコーダ配線17を取り囲むように配置される。エンコーダ配線17を取り囲むように配置されるシールド線18は、エンコーダ配線17よりも先に異常が発生する。そこで、シールド線18の反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視することにより、エンコーダ配線17に異常が発生する前に、エンコーダ配線17の異常を予測できる。また、エンコーダ配線17の周囲にシールド線18でない配線を配置して、この配線に入力された信号の反射波信号に基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを監視してもよい。
【0048】
上記第1~第3実施形態では、エンコーダ配線17の異常の有無の検知にTDR法が用いられる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、エンコーダ配線17の異常の有無の検知に、TDR法以外の方法を用いてもよい。
【0049】
上記第1~第3実施形態では、ロボット10が6軸の垂直多関節ロボットである例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、6軸の垂直多関節ロボット以外の水平多関節ロボットなどにも本開示を適用することも可能である。
【0050】
上記第1~第3実施形態では、ねじり回転する第1関節JT1およびねじり回転する第4関節JT4に位置するエンコーダ配線17からの反射波信号に基づいてエンコーダ配線17の異常を監視する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、図10に示すように、第1関節JT1、第5関節JT5および第6関節JT6に位置するエンコーダ配線17からの反射波信号に基づいてエンコーダ配線17の異常を監視してもよい。上記のように、第1関節JT1には、エンコーダ配線17aから17fまでの全てが配置されている。第5関節JT5および第6関節JT6には、エンドエフェクタ14から延びるエンコーダ配線17gが配置されている。これにより、エンコーダ配線17aから17fまでの第1関節JT1における異常に加えて、エンドエフェクタ14から延びるエンコーダ配線17gの異常も監視することができる。また、エンドエフェクタ14から延びるエンコーダ配線17gの、第5関節JT5および第6関節JT6における異常も監視することができる。
【0051】
上記第1~第3実施形態では、PC23bが、機械学習により生成された異常判定モデル24aに基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、PC23bは、異常判定モデル24aを用いずに、正常時の反射波信号と、現在の反射波信号との差分値が、所定の閾値を超えているか否かに基づいて、エンコーダ配線17が異常であるか否かを判定してもよい。
【0052】
上記第1~第3実施形態では、異常監視装置20のVNAは、6つの関節JTに対して1つ配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、異常監視装置20のVNAが、複数の関節JTごとに配置されていてもよい。この場合、スイッチング回路30は不要である。異常監視装置20のVNAを、6つの関節JTに対して1つ配置するのではなく、2つや3つの関節JTごと1つ配置してもよい。この場合、VNAは、複数配置されることになる。
【0053】
上記第1~第3実施形態では、エンコーダ配線17の基端側にスイッチング回路30が接続されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、各関節JTのエンコーダ配線17の所定の位置から配線を分岐させて、この配線の先端にスイッチング回路30を接続してもよい。
【0054】
上記第3実施形態では、PC23bは、異常判定モデル24aに基づいた、エンコーダ配線17が異常であるか否かの判定に加えて、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度を判定の参考データとする例を示した。すなわち、第3実施形態では、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度は、異常判定モデル24aの生成には用いられていない。一方、本願では、たとえば、異常判定モデル24aの生成に、反射波信号、および、各関節JTのエンコーダ16により検出された検出値に加えて、ロボット10の稼働時間、関節JTの総回転量、関節JTの最高速度、および、関節JTの最大加減速度を用いてもよい。これにより、異常判定モデル24aの判定の精度を高めることができる。
【0055】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0056】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0057】
(項目1)
ロボットの関節に配置される配線の配線関連情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記配線関連情報に基づいて、前記配線が異常であるか否かを監視する制御部と、を備える、異常監視装置。
【0058】
(項目2)
前記配線に信号を入力する信号入力部を備え、
前記受信部は、前記配線関連情報として、前記配線に入力された信号の反射波信号を受信し、
前記制御部は、受信された前記反射波信号に基づいて、前記配線が異常であるか否かを監視する、項目1に記載の異常監視装置。
【0059】
(項目3)
前記関節は、前記関節の回転位置を検出するエンコーダを含み、
前記配線は、前記エンコーダに接続されるエンコーダ配線を含む、項目1または項目2に記載の異常監視装置。
【0060】
(項目4)
前記関節は、ねじり回転する関節を含み、
前記制御部は、前記ねじり回転する関節に配置される前記配線からの前記配線関連情報に基づいて、前記エンコーダ配線が異常であるか否かを監視する、項目3に記載の異常監視装置。
【0061】
(項目5)
前記制御部は、前記配線の正常時の前記配線関連情報と、現在の前記配線の前記配線関連情報とに基づいて、前記配線が異常であるか否かを判定する判定制御部を含む、項目1から項目4までのいずれか1項に記載の異常監視装置。
【0062】
(項目6)
正常である前記配線を有する前記ロボットの複数の姿勢の各々における、前記配線関連情報に基づく機械学習により生成された異常判定モデルを記憶する記憶部を備え、
前記判定制御部は、
前記異常判定モデルに基づいて、現在の前記ロボットの姿勢において前記配線関連情報を推定し、
推定された前記配線関連情報と、現在の前記ロボットの姿勢における実際の前記配線関連情報とを比較することにより、前記配線が異常であるか否かを判定する、項目5に記載の異常監視装置。
【0063】
(項目7)
前記配線関連情報に基づく機械学習を実行するにより前記異常判定モデルを生成する機械学習部を備え、
前記機械学習部は、所定の期間ごとに前記機械学習を実行することにより前記異常判定モデルを更新し、
前記記憶部は、更新された前記異常判定モデルを記憶する、項目6に記載の異常監視装置。
【0064】
(項目8)
前記配線に信号を入力する信号入力部を備え、
前記配線関連情報は、前記配線に入力された信号の反射波信号を含む、項目6または項目7に記載の異常監視装置。
【0065】
(項目9)
前記配線関連情報は、前記反射波信号に加えて、前記ロボットの稼働時間、前記関節の総回転量、前記関節の最高速度、および、前記関節の最大加減速度のうちの少なくとも1つを含む、項目8に記載の異常監視装置。
【0066】
(項目10)
前記制御部は、前記配線が異常であるか否かの判定結果を報知部に出力する、項目1から項目9までのいずれか1項に記載の異常監視装置。
【0067】
(項目11)
関節を含むロボットと、
前記ロボットの前記関節に配置される配線の異常を監視する異常監視装置と、を備え、
前記異常監視装置は、
前記配線の配線関連情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記配線関連情報に基づいて、前記配線が異常であるか否かを監視する制御部と、を含む、ロボットシステム。
【符号の説明】
【0068】
2 報知部
10 ロボット
13a 表示部(報知部)
16 エンコーダ
17 エンコーダ配線(配線)
20 異常監視装置
21 信号入力部
22 受信部
23 制御部
23b PC(判定制御部)
24 記憶部
24a 異常判定モデル
25 ランプ(報知部)
100 ロボットシステム
121 機械学習部
JT 関節
JT1 第1関節
JT2 第2関節
JT3 第3関節
JT4 第4関節
JT5 第5関節
JT6 第6関節

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10