(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101394
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】インバータ装置及びインバータユニット
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240722BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005356
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】390026088
【氏名又は名称】富士電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘子
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌大
(72)【発明者】
【氏名】吉川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】島 浩平
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA09
5H770CA02
5H770DA01
5H770DA11
5H770DA41
5H770JA19X
5H770PA21
5H770PA42
5H770QA08
5H770QA12
5H770QA14
5H770QA16
5H770QA17
(57)【要約】
【課題】寄生インダクタンスを低減可能なインバータ装置を提供する。
【解決手段】積層ブスバー48は、第1のダイオード26と第1のスイッチング素子28とを電気的に接続する第1のブスバー106と、第2のスイッチング素子30と第2のダイオード32とを電気的に接続する第2のブスバー152と、第3のダイオード34と第3のスイッチング素子36とを電気的に接続し、第2のブスバー152に中間絶縁フィルム90を介して積層される第3のブスバー108と、第4のスイッチング素子38と第4のダイオード40とを電気的に接続し、第1のブスバー106に中間絶縁フィルム90を介して積層される第4のブスバー154とを有する。積層ブスバー48を平面視した場合に、第1のブスバー106を流れる電流は、第4のブスバー154を流れる電流と逆方向であり、且つ第3のブスバー108を流れる電流は、第2のブスバー152を流れる電流と逆方向である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のダイオード、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、及び、第2のダイオードがこの順に直列接続された第1の直列回路と、
第3のダイオード、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子、及び、第4のダイオードがこの順に直列接続された第2の直列回路であって、前記第1の直列回路と並列接続された第2の直列回路と、
前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との接続点と、前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との接続点との間に電気的に接続される出力部と、
積層ブスバーと、を備え、
前記積層ブスバーは、
前記第1のダイオードと前記第1のスイッチング素子とを電気的に接続する第1のブスバーと、
前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとを電気的に接続する第2のブスバーと、
前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子とを電気的に接続し、前記第2のブスバーに第1の絶縁材を介して積層される第3のブスバーと、
前記第4のスイッチング素子と前記第4のダイオードとを電気的に接続し、前記第1のブスバーに第2の絶縁材を介して積層される第4のブスバーと、を有し、
前記積層ブスバーを平面視した場合に、前記第1のブスバーを流れる電流は、前記第4のブスバーを流れる電流と逆方向であり、且つ、前記第3のブスバーを流れる電流は、前記第2のブスバーを流れる電流と逆方向である
インバータ装置。
【請求項2】
前記積層ブスバーは、ラミネートブスバーで構成されている
請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記第1の直列回路では、前記第1のダイオード、並列接続された複数の前記第1のスイッチング素子、並列接続された複数の前記第2のスイッチング素子、及び、前記第2のダイオードがこの順に直列接続され、
前記第2の直列回路では、前記第3のダイオード、並列接続された複数の前記第3のスイッチング素子、並列接続された複数の前記第4のスイッチング素子、及び、前記第4のダイオードがこの順に直列接続されており、
前記第1のブスバーは、前記第1のダイオードと前記複数の第1のスイッチング素子との間を横切るように配置された第1のスリットを有し、
前記第2のブスバーは、前記第2のダイオードと前記複数の第2のスイッチング素子との間を横切るように配置された第2のスリットを有し、
前記第3のブスバーは、前記第3のダイオードと前記複数の第3のスイッチング素子との間を横切るように配置された第3のスリットを有し、
前記第4のブスバーは、前記第4のダイオードと前記複数の第4のスイッチング素子との間を横切るように配置された第4のスリットを有する
請求項1又は2に記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記第1のブスバー、前記第2のブスバー、前記第3のブスバー及び前記第4のブスバーの少なくとも1つの内部には、冷却用の流体が流れる流路が形成されている
請求項1又は2に記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記インバータ装置は、さらに、前記積層ブスバーの温度を検出するための温度センサを備える
請求項1又は2に記載のインバータ装置。
【請求項6】
直流側ブスバーと、
交流側ブスバーと、
前記直流側ブスバーと前記交流側ブスバーとの間に電気的に接続された、請求項1に記載の1以上のインバータ装置と、を備える
インバータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置及びこれを備えたインバータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電力負荷に交流電力を供給するための電源装置として、インバータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。インバータ装置は、三相交流電力を直流電力に変換する整流回路と、整流回路から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、インバータ回路から出力された交流電力を電力負荷に供給する出力回路とを備えている。インバータ回路は、複数のスイッチング素子がブリッジ状に接続されたフルブリッジ型のインバータ回路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したインバータ装置では、インバータ回路における寄生インダクタンスにより、各スイッチング素子のスイッチング動作時にリンギング(電流の振動)が発生するおそれが生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、寄生インダクタンスを低減することができるインバータ装置及びインバータユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るインバータ装置は、第1のダイオード、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、及び、第2のダイオードがこの順に直列接続された第1の直列回路と、第3のダイオード、第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子、及び、第4のダイオードがこの順に直列接続された第2の直列回路であって、前記第1の直列回路と並列接続された第2の直列回路と、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との接続点と、前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との接続点との間に電気的に接続される出力部と、積層ブスバーと、を備え、前記積層ブスバーは、前記第1のダイオードと前記第1のスイッチング素子とを電気的に接続する第1のブスバーと、前記第2のスイッチング素子と前記第2のダイオードとを電気的に接続する第2のブスバーと、前記第3のダイオードと前記第3のスイッチング素子とを電気的に接続し、前記第2のブスバーに第1の絶縁材を介して積層される第3のブスバーと、前記第4のスイッチング素子と前記第4のダイオードとを電気的に接続し、前記第1のブスバーに第2の絶縁材を介して積層される第4のブスバーと、を有し、前記積層ブスバーを平面視した場合に、前記第1のブスバーを流れる電流は、前記第4のブスバーを流れる電流と逆方向であり、且つ、前記第3のブスバーを流れる電流は、前記第2のブスバーを流れる電流と逆方向である。
【0007】
本態様によれば、第3のブスバーは、第2のブスバーに第1の絶縁材を介して積層され、積層ブスバーを平面視した場合に、第3のブスバーを流れる電流は、第2のブスバーを流れる電流と逆方向である。これにより、第3のブスバーを流れる電流に起因する磁界と、第2のブスバーを流れる電流に起因する磁界とが打ち消し合うようになる。また、第4のブスバーは、第1のブスバーに第2の絶縁材を介して積層され、積層ブスバーを平面視した場合に、第1のブスバーを流れる電流は、第4のブスバーを流れる電流と逆方向である。これにより、第1のブスバーを流れる電流に起因する磁界と、第4のブスバーを流れる電流に起因する磁界とが打ち消し合うようになる。その結果、インバータ装置における寄生インダクタンスを低減することができ、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子の各スイッチング動作時にリンギングが発生するのを低減することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係るインバータ装置では、第1の態様において、前記積層ブスバーは、ラミネートブスバーで構成されているように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、インバータ装置の小型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係るインバータ装置では、第1の態様又は第2の態様において、前記第1の直列回路では、前記第1のダイオード、並列接続された複数の前記第1のスイッチング素子、並列接続された複数の前記第2のスイッチング素子、及び、前記第2のダイオードがこの順に直列接続され、前記第2の直列回路では、前記第3のダイオード、並列接続された複数の前記第3のスイッチング素子、並列接続された複数の前記第4のスイッチング素子、及び、前記第4のダイオードがこの順に直列接続されており、前記第1のブスバーは、前記第1のダイオードと前記複数の第1のスイッチング素子との間を横切るように配置された第1のスリットを有し、前記第2のブスバーは、前記第2のダイオードと前記複数の第2のスイッチング素子との間を横切るように配置された第2のスリットを有し、前記第3のブスバーは、前記第3のダイオードと前記複数の第3のスイッチング素子との間を横切るように配置された第3のスリットを有し、前記第4のブスバーは、前記第4のダイオードと前記複数の第4のスイッチング素子との間を横切るように配置された第4のスリットを有するように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、第1のブスバーは第1のスリットを有しているので、第1のダイオードからの電流を複数の第1のスイッチング素子の各々にバランス良く供給することができる。また、第4のブスバーは第4のスリットを有しているので、複数の第4のスイッチング素子の各々から第4のダイオードに供給される電流を、第1のブスバーを流れる電流と逆方向にすることができる。また、第3のブスバーは第3のスリットを有しているので、第3のダイオードからの電流を複数の第3のスイッチング素子の各々にバランス良く供給することができる。また、第2のブスバーは第2のスリットを有しているので、複数の第2のスイッチング素子の各々から第2のダイオードに供給される電流を、第3のブスバーを流れる電流と逆方向にすることができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係るインバータ装置では、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様において、前記第1のブスバー、前記第2のブスバー、前記第3のブスバー及び前記第4のブスバーの少なくとも1つの内部には、冷却用の流体が流れる流路が形成されているように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、インバータ装置における発熱部品を効率良く放熱することができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係るインバータ装置では、第1の態様~第4の態様のいずれか一態様において、前記インバータ装置は、さらに、前記積層ブスバーの温度を検出するための温度センサを備えるように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、温度センサからの検出信号を監視しておくことにより、積層ブスバーの温度が急激に上昇した場合に、例えばインバータ装置において急峻な立ち上がりの電流が発生したことを検出することができる。
【0016】
また、本発明の第6の態様に係るインバータユニットは、直流側ブスバーと、交流側ブスバーと、前記直流側ブスバーと前記交流側ブスバーとの間に電気的に接続された、第1の態様~第5の態様のいずれか一態様に係る1以上のインバータ装置と、を備える。
【0017】
本態様によれば、インバータ装置の数を変更することにより、インバータユニットの定格出力を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係るインバータ装置によれば、寄生インダクタンスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態に係る誘導加熱装置の回路構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係るインバータ装置の斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るインバータ装置の分解斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るインバータ装置の回路ユニットを示す平面図である。
【
図5】実施の形態に係るインバータ装置の積層ブスバーを示す分解斜視図である。
【
図6】
図5の積層ブスバーの上流側ブスバー層を示す平面図である。
【
図7】
図5の積層ブスバーの下流側ブスバー層を示す平面図である。
【
図8】実施の形態に係るインバータ装置の出力ブスバーを示す側面図である。
【
図9】実施の形態に係るインバータ装置の出力ブスバーを示す底面図である。
【
図10】実施の形態に係るインバータユニットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0021】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、特許請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0022】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0023】
(実施の形態)
[1.誘導加熱装置の回路構成]
まず、
図1を参照しながら、実施の形態に係る誘導加熱装置2の回路構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る誘導加熱装置2の回路構成を示す図である。
【0024】
図1に示すように、誘導加熱装置2は、被加熱物4を例えば数kHz~数百kHzの高周波で誘導加熱(いわゆる、高周波焼き入れ)するための装置である。なお、高周波焼き入れとは、高周波の電磁誘導を起こすことにより、被加熱物4の表面を加熱させて焼き入れを行う熱処理である。被加熱物4は、例えば車両又は工作機械等に用いられる管状の金属部品等である。
【0025】
誘導加熱装置2は、回路構成として、整流回路6と、チョークコイル8,10と、インバータ装置12と、整合回路14と、誘導コイル16とを有している。
【0026】
整流回路6は、例えば6個のサイリスタ18を用いた全波整流回路であり、電源20からの交流電力を直流電力に変換する。なお、電源20は、例えば商用電源等の3相交流電源であり、3相60Hz(又は50Hz)の交流電力を供給する。
【0027】
チョークコイル8,10はそれぞれ、整流回路6の出力側(直流側)におけるプラス側及びマイナス側に電気的に接続されており、整流回路6からの直流電力を平滑化する。
【0028】
インバータ装置12は、所定の周波数の高周波電流を出力するための発振器であり、例えば単相フルブリッジ型のインバータ回路である。インバータ装置12は、チョークコイル8,10を介して整流回路6の出力側に電気的に接続されており、平滑化された直流電力を単相の高周波電力に変換する。これにより、インバータ装置12は、所定の周波数の高周波電流を生成する。
【0029】
インバータ装置12は、第1の直列回路22と、第2の直列回路24とを有している。第1の直列回路22と第2の直列回路24とは、電気的に並列接続されている。
【0030】
第1の直列回路22は、第1のダイオード26と、複数(本実施の形態では4個)の第1のスイッチング素子28と、複数(本実施の形態では4個)の第2のスイッチング素子30と、第2のダイオード32とがこの順に電気的に直列接続されることにより構成されている。
【0031】
第1のダイオード26のアノード側は、チョークコイル8に電気的に接続され、第1のダイオード26のカソード側は、複数の第1のスイッチング素子28の各々に電気的に接続されている。
【0032】
複数の第1のスイッチング素子28は、電気的に並列接続されている。複数の第1のスイッチング素子28の各々は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成されており、ドレイン端子28dと、ソース端子28sと、ゲート端子28gとを有している。複数の第1のスイッチング素子28の各々では、ゲート端子28gに入力される電圧に応じて、ドレイン端子28dとソース端子28sとの間の導通が制御される。複数の第1のスイッチング素子28の各ドレイン端子28dは、第1のダイオード26のカソード側に電気的に接続され、複数の第1のスイッチング素子28の各ソース端子28sは、複数の第2のスイッチング素子30の各々に電気的に接続されている。
【0033】
複数の第2のスイッチング素子30は、電気的に並列接続されている。複数の第2のスイッチング素子30の各々は、例えばMOSFETで構成されており、ドレイン端子30dと、ソース端子30sと、ゲート端子30gとを有している。複数の第2のスイッチング素子30の各々では、ゲート端子30gに入力される電圧に応じて、ドレイン端子30dとソース端子30sとの間の導通が制御される。複数の第2のスイッチング素子30の各ドレイン端子30dは、複数の第1のスイッチング素子28の各ソース端子28sに電気的に接続され、複数の第2のスイッチング素子30の各ソース端子30sは、第2のダイオード32に電気的に接続されている。
【0034】
第2のダイオード32のアノード側は、複数の第2のスイッチング素子30の各ソース端子30sに電気的に接続され、第2のダイオード32のカソード側は、チョークコイル10に電気的に接続されている。
【0035】
第2の直列回路24は、第3のダイオード34と、複数(本実施の形態では4個)の第3のスイッチング素子36と、複数(本実施の形態では4個)の第4のスイッチング素子38と、第4のダイオード40とがこの順に電気的に直列接続されることにより構成されている。
【0036】
第3のダイオード34のアノード側は、チョークコイル8に電気的に接続され、第3のダイオード34のカソード側は、複数の第3のスイッチング素子36の各々に電気的に接続されている。
【0037】
複数の第3のスイッチング素子36は、電気的に並列接続されている。複数の第3のスイッチング素子36の各々は、例えばMOSFETで構成されており、ドレイン端子36dと、ソース端子36sと、ゲート端子36gとを有している。複数の第3のスイッチング素子36の各々では、ゲート端子36gに入力される電圧に応じて、ドレイン端子36dとソース端子36sとの間の導通が制御される。複数の第3のスイッチング素子36の各ドレイン端子36dは、第3のダイオード34のカソード側に電気的に接続され、複数の第3のスイッチング素子36の各ソース端子36sは、複数の第4のスイッチング素子38の各々に電気的に接続されている。
【0038】
複数の第4のスイッチング素子38は、電気的に並列接続されている。複数の第4のスイッチング素子38の各々は、例えばMOSFETで構成されており、ドレイン端子38dと、ソース端子38sと、ゲート端子38gとを有している。複数の第4のスイッチング素子38の各々では、ゲート端子38gに入力される電圧に応じて、ドレイン端子38dとソース端子38sとの間の導通が制御される。複数の第4のスイッチング素子38の各ドレイン端子38dは、複数の第3のスイッチング素子36の各ソース端子36sに電気的に接続され、複数の第4のスイッチング素子38の各ソース端子38sは、第4のダイオード40に電気的に接続されている。
【0039】
第4のダイオード40のアノード側は、複数の第4のスイッチング素子38の各ソース端子38sに電気的に接続され、第4のダイオード40のカソード側は、チョークコイル10に電気的に接続されている。
【0040】
なお、本実施の形態では、複数の第1のスイッチング素子28、複数の第2のスイッチング素子30、複数の第3のスイッチング素子36及び複数の第4のスイッチング素子38の各々をMOSFETで構成したが、これに限定されず、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタ等で構成してもよい。IGBTは、コレクタ端子と、エミッタ端子と、ゲート端子とを有しており、ゲート端子に入力される電流に応じて、コレクタ端子とエミッタ端子との間の導通が制御される。また、バイポーラトランジスタは、コレクタ端子と、エミッタ端子と、ベース端子とを有しており、ベース端子に入力される電流に応じて、コレクタ端子とエミッタ端子との間の導通が制御される。
【0041】
整合回路14は、インバータ装置12により生成された有効電力を高効率で誘導コイル16に供給するためのものである。整合回路14の入力側は、インバータ装置12の交流側、すなわち、複数の第1のスイッチング素子28の各ソース端子28sと複数の第2のスイッチング素子30の各ドレイン端子30dとの接続点と、複数の第3のスイッチング素子36の各ソース端子36sと複数の第4のスイッチング素子38の各ドレイン端子38dとの接続点との間に電気的に接続されている。整合回路14は、コンデンサ42及び整合トランス44で構成された並列共振回路である。
【0042】
誘導コイル16は、整合回路14の出力側に電気的に接続されている。誘導コイル16は、被加熱物4を誘導加熱するためのものであり、被加熱物4の外周面を取り囲むように配置される。インバータ装置12からの高周波電流が整合回路14を介して誘導コイル16に供給されることにより、被加熱物4が誘導加熱される。
【0043】
上述したインバータ装置12は、図示しないコントローラにより、第1の状態と第2の状態とに高周波で切り替えられるように制御される。第1の状態では、複数の第1のスイッチング素子28及び複数の第4のスイッチング素子38の各々が導通(ターンオン)され、複数の第2のスイッチング素子30及び複数の第3のスイッチング素子36の各々が非導通(ターンオフ)にされる。これにより、
図1において黒塗りの矢印Pで示すように、第1のダイオード26→複数の第1のスイッチング素子28→整合回路14→誘導コイル16→整合回路14→複数の第4のスイッチング素子38→第4のダイオード40の順に、電流が流れるようになる。
【0044】
一方、第2の状態では、複数の第2のスイッチング素子30及び複数の第3のスイッチング素子36の各々が導通され、複数の第1のスイッチング素子28及び複数の第4のスイッチング素子38の各々が非導通にされる。これにより、
図1において白抜きの矢印Qで示すように、第3のダイオード34→複数の第3のスイッチング素子36→整合回路14→誘導コイル16→整合回路14→複数の第2のスイッチング素子30→第2のダイオード32の順に、電流が流れるようになる。
【0045】
[2.インバータ装置のモジュール構造]
次に、
図2~
図9を参照しながら、インバータ装置12のモジュール構造について説明する。
図2は、実施の形態に係るインバータ装置12の斜視図である。
図3は、実施の形態に係るインバータ装置12の分解斜視図である。
図4は、実施の形態に係るインバータ装置12の回路ユニット46を示す平面図である。
図5は、実施の形態に係るインバータ装置12の積層ブスバー48を示す分解斜視図である。
図6は、
図5の積層ブスバー48の上流側ブスバー層88を示す平面図である。
図7は、
図5の積層ブスバー48の下流側ブスバー層92を示す平面図である。
図8は、実施の形態に係るインバータ装置12の出力ブスバー50を示す側面図である。
図9は、実施の形態に係るインバータ装置12の出力ブスバー50を示す底面図である。
【0046】
なお、
図2~
図9において、インバータ装置12の左右方向をX軸、インバータ装置12の前後方向をY軸、インバータ装置12の高さ方向をZ軸とする。また、以下の説明において、Z軸のプラス側を「上」、Z軸のマイナス側を「下」とする。
【0047】
図2及び
図3に示すように、インバータ装置12は、モジュール構造として、回路ユニット46と、積層ブスバー48と、出力ブスバー50(出力部の一例)とを備えている。すなわち、インバータ装置12は、回路ユニット46と積層ブスバー48と出力ブスバー50とが組み合わされることにより、モジュール化されている。
【0048】
図4に示すように、回路ユニット46は、ヒートシンク52と、第1のダイオード26と、複数の第1のスイッチング素子28と、複数の第2のスイッチング素子30と、第2のダイオード32と、第3のダイオード34と、複数の第3のスイッチング素子36と、複数の第4のスイッチング素子38と、第4のダイオード40とを有している。
【0049】
ヒートシンク52は、平面視で矩形状の板状に形成され、例えばアルミニウム等の放熱性の高い金属で形成されている。ヒートシンク52の内部には、冷却水が流れる流路(図示せず)が形成されている。また、ヒートシンク52の上面には、第1のダイオード26、複数の第1のスイッチング素子28、複数の第2のスイッチング素子30、第2のダイオード32、第3のダイオード34、複数の第3のスイッチング素子36、複数の第4のスイッチング素子38及び第4のダイオード40が熱伝達可能に支持され、且つ、第1の列、第2の列、第3列及び第4の列をなして配置されている。なお、第1の列~第4の列は、ヒートシンク52の一端部(Y軸のプラス側の端部)から他端部(Y軸のマイナス側の端部)にかけて、この順に間隔を置いて配置されている。
【0050】
図4に示すように、第1の列には、第1のダイオード26と第4のダイオード40とが左右方向(X軸方向)に並んで配置されている。なお、第1のダイオード26及び第4のダイオード40は、ヒートシンク52の左右方向における中央部に配置されている。また、第2の列には、第1のスイッチング素子28と第4のスイッチング素子38とが左右方向に交互に並んで配置されている。また、第3の列には、第2のスイッチング素子30と第3のスイッチング素子36とが左右方向に交互に並んで配置されている。また、第4の列には、第2のダイオード32と第3のダイオード34とが左右方向に並んで配置されている。なお、第2のダイオード32及び第3のダイオード34は、ヒートシンク52の左右方向における中央部に配置されている。
【0051】
第1のダイオード26、複数の第1のスイッチング素子28、複数の第2のスイッチング素子30、第2のダイオード32、第3のダイオード34、複数の第3のスイッチング素子36、複数の第4のスイッチング素子38及び第4のダイオード40の各々で発生した熱は、ヒートシンク52を介して、ヒートシンク52の内部の流路を流れる冷却水に伝達されることにより放熱される。
【0052】
なお、本実施の形態では、ヒートシンク52による放熱形式を水冷式としたが、これに限定されず、空冷式としてもよい。この場合、ヒートシンク52の下面に複数の放熱フィン(図示せず)を形成してもよい。
【0053】
第1のダイオード26は、パッケージ54と、一対のアノード端子56と、一対のカソード端子58とを有している。パッケージ54は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。一対のアノード端子56は、パッケージ54の上面における一端部(第2の列から遠い側の端部)に配置されている。一対のカソード端子58は、パッケージ54の上面における他端部(第2の列に近い側の端部)に配置されている。
【0054】
第4のダイオード40は、パッケージ60と、一対のアノード端子62と、一対のカソード端子64とを有している。パッケージ60は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。一対のアノード端子62は、パッケージ60の上面における一端部(第2の列に近い側の端部)に配置されている。一対のカソード端子64は、パッケージ60の上面における他端部(第2の列から遠い側の端部)に配置されている。
【0055】
複数の第1のスイッチング素子28の各々は、パッケージ66と、ドレイン端子28dと、ソース端子28sと、ゲート端子28gとを有している。パッケージ66は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。ドレイン端子28dは、パッケージ66の上面における一端部(第1の列に近い側の端部)に配置されている。ソース端子28sは、パッケージ66の上面における他端部(第1の列から遠い側の端部)に配置されている。
【0056】
複数の第4のスイッチング素子38の各々は、パッケージ68と、ドレイン端子38dと、ソース端子38sと、ゲート端子38gとを有している。パッケージ68は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。ドレイン端子38dは、パッケージ68の上面における一端部(第1の列から遠い側の端部)に配置されている。ソース端子38sは、パッケージ68の上面における他端部(第1の列に近い側の端部)に配置されている。
【0057】
複数の第2のスイッチング素子30の各々は、パッケージ70と、ドレイン端子30dと、ソース端子30sと、ゲート端子30gとを有している。パッケージ70は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。ドレイン端子30dは、パッケージ70の上面における一端部(第4の列から遠い側の端部)に配置されている。ソース端子30sは、パッケージ70の上面における他端部(第4の列に近い側の端部)に配置されている。
【0058】
複数の第3のスイッチング素子36の各々は、パッケージ72と、ドレイン端子36dと、ソース端子36sと、ゲート端子36gとを有している。パッケージ72は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。ドレイン端子36dは、パッケージ72の上面における一端部(第4の列に近い側の端部)に配置されている。ソース端子36sは、パッケージ72の上面における他端部(第4の列から遠い側の端部)に配置されている。
【0059】
第2のダイオード32は、パッケージ74と、一対のアノード端子76と、一対のカソード端子78とを有している。パッケージ74は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。一対のアノード端子76は、パッケージ74の上面における一端部(第3の列に近い側の端部)に配置されている。一対のカソード端子78は、パッケージ74の上面における他端部(第3の列から遠い側の端部)に配置されている。
【0060】
第3のダイオード34は、パッケージ80と、一対のアノード端子82と、一対のカソード端子84とを有している。パッケージ80は、例えば樹脂等の絶縁材で形成されている。一対のアノード端子82は、パッケージ80の上面における一端部(第3の列から遠い側の端部)に配置されている。一対のカソード端子84は、パッケージ80の上面における他端部(第3の列に近い側の端部)に配置されている。
【0061】
図2及び
図3に示すように、積層ブスバー48は、XY平面視で略コの字状に形成され、回路ユニット46のヒートシンク52の上面に対向するように配置される。積層ブスバー48は、例えばラミネートブスバーで構成されている。具体的には、
図5に示すように、積層ブスバー48は、外側絶縁フィルム86、上流側ブスバー層88、中間絶縁フィルム90、下流側ブスバー層92及び外側絶縁フィルム94がこの順に積層された構造を有している。
【0062】
なお、本明細書において、「上流側」とは、インバータ装置12における電流の流れの上流側を意味し、「下流側」とは、インバータ装置12における電流の流れの下流側を意味するものとする。
【0063】
図5に示すように、外側絶縁フィルム86は、上流側ブスバー層88の下面を電気的に絶縁するための絶縁フィルムである。外側絶縁フィルム86は、XY平面視で略コの字状に形成され、上流側ブスバー層88の下面を被覆するように配置される。すなわち、上流側ブスバー層88の下面は、外側絶縁フィルム86によってラミネートされている。外側絶縁フィルム86には、第1のダイオード26、第2のダイオード32、第3のダイオード34及び第4のダイオード40をそれぞれ露出させるための矩形状の複数の開口部96,98,100,102が形成されている。
【0064】
図5及び
図6に示すように、上流側ブスバー層88は、プラス側ブスバー104と、第1のブスバー106と、第3のブスバー108とを有している。プラス側ブスバー104、第1のブスバー106及び第3のブスバー108は、同一平面上に配置され、且つ、互いに電気的に絶縁されている。
【0065】
プラス側ブスバー104は、例えば銅等の金属で形成され、例えば約2~3mmの厚みを有している。プラス側ブスバー104は、第1の接続部104aと、第2の接続部104bと、第3の接続部104cとを有している。
【0066】
第1の接続部104aは、第2の接続部104b及び第3の接続部104cの各長手方向における一端部から上方に延在し、チョークコイル8(
図1参照)に電気的に接続される。
【0067】
第2の接続部104bは、XY平面視で略L字状に形成されている。第2の接続部104bの長手方向における一端部は、第1の接続部104aを介してチョークコイル8に電気的に接続される。第2の接続部104bの長手方向における他端部には、第1のダイオード26の一対のアノード端子56をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔110が形成されている。ネジ112(
図2参照)が貫通孔110を通してアノード端子56にねじ込まれることにより、第2の接続部104bの長手方向における他端部は、第1のダイオード26の一対のアノード端子56に電気的に接続される。これにより、第1のダイオード26の一対のアノード端子56は、第1の接続部104a及び第2の接続部104bを介して、チョークコイル8に電気的に接続される。
【0068】
第3の接続部104cは、XY平面視で略L字状に形成されている。第3の接続部104cの長手方向における一端部は、第1の接続部104aを介してチョークコイル8に電気的に接続される。第3の接続部104cの長手方向における他端部には、第3のダイオード34の一対のアノード端子82をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔114が形成されている。ネジ116(
図2参照)が貫通孔114を通してアノード端子82にねじ込まれることにより、第3の接続部104cの長手方向における他端部は、第3のダイオード34の一対のアノード端子82に電気的に接続される。これにより、第3のダイオード34の一対のアノード端子82は、第1の接続部104a及び第3の接続部104cを介して、チョークコイル8に電気的に接続される。
【0069】
第1のブスバー106は、例えば銅等の金属で形成され、例えば約2~3mmの厚みを有している。第1のブスバー106は、XY平面視で、回路ユニット46(
図4参照)の第1の列と第2の列との間において左右方向に延在している。第1のブスバー106の短手方向(Y軸方向)における一端部には、第1のダイオード26の一対のカソード端子58をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔118が形成されている。ネジ120(
図2参照)が貫通孔118を通してカソード端子58にねじ込まれることにより、第1のブスバー106の短手方向における一端部は、第1のダイオード26の一対のカソード端子58に電気的に接続される。
【0070】
また、第1のブスバー106の短手方向における他端部には、複数の突部122が形成されている。複数の突部122は、複数の第1のスイッチング素子28の各ドレイン端子28dの配置間隔に対応して、第1のブスバー106の長手方向(X軸方向)に沿って間隔を置いて配置されている。複数の突部122の各々には、第1のスイッチング素子28のドレイン端子28dを露出させるための円形状の貫通孔124が形成されている。ネジ126(
図3参照)が貫通孔124を通してドレイン端子28dにねじ込まれることにより、第1のブスバー106の短手方向における他端部は、複数の第1のスイッチング素子28の各ドレイン端子28dに電気的に接続される。
【0071】
これにより、第1のブスバー106は、第1のダイオード26の一対のカソード端子58の各々と、複数の第1のスイッチング素子28の各ドレイン端子28dとを電気的に接続する。また、第1のブスバー106には、第1のブスバー106をその厚み方向(Z軸方向)に貫通する第1のスリット128が形成されている。第1のスリット128は、XY平面視で、第1のダイオード26と複数の第1のスイッチング素子28との間を横切るように左右方向に延在している。
【0072】
第3のブスバー108は、例えば銅等の金属で形成され、例えば約2~3mmの厚みを有している。第3のブスバー108は、XY平面視で、回路ユニット46の第3の列と第4の列との間において左右方向に延在している。第3のブスバー108の短手方向(Y軸方向)における一端部には、第3のダイオード34の一対のカソード端子84をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔130が形成されている。ネジ132(
図2参照)が貫通孔130を通してカソード端子84にねじ込まれることにより、第3のブスバー108の短手方向における一端部は、第3のダイオード34の一対のカソード端子84に電気的に接続される。
【0073】
また、第3のブスバー108の短手方向における他端部には、複数の突部134が形成されている。複数の突部134は、複数の第3のスイッチング素子36の各ドレイン端子36dの配置間隔に対応して、第3のブスバー108の長手方向(X軸方向)に沿って間隔を置いて配置されている。複数の突部134の各々には、第3のスイッチング素子36のドレイン端子36dを露出させるための円形状の貫通孔136が形成されている。ネジ138(
図3参照)が貫通孔136を通してドレイン端子36dにねじ込まれることにより、第3のブスバー108の短手方向における他端部は、複数の第3のスイッチング素子36の各ドレイン端子36dに電気的に接続される。
【0074】
これにより、第3のブスバー108は、第3のダイオード34の一対のカソード端子84の各々と、複数の第3のスイッチング素子36の各ドレイン端子36dとを電気的に接続する。また、第3のブスバー108には、第3のブスバー108をその厚み方向(Z軸方向)に貫通する第3のスリット140が形成されている。第3のスリット140は、XY平面視で、第3のダイオード34と複数の第3のスイッチング素子36との間を横切るように左右方向に延在している。
【0075】
図5に示すように、中間絶縁フィルム90は、上流側ブスバー層88の上面及び下流側ブスバー層92の下面を電気的に絶縁するための絶縁フィルムである。中間絶縁フィルム90は、XY平面視で略コの字状に形成され、上流側ブスバー層88の上面及び下流側ブスバー層92の下面をそれぞれ被覆するように配置される。すなわち、上流側ブスバー層88の上面及び下流側ブスバー層92の下面は、中間絶縁フィルム90によってラミネートされている。中間絶縁フィルム90には、第2のダイオード32及び第4のダイオード40をそれぞれ露出させるための矩形状の複数の開口部142,144が形成されている。また、中間絶縁フィルム90には、第1のダイオード26の一対のアノード端子56及び一対のカソード端子58をそれぞれ露出させるための円形状の複数の貫通孔146が形成されている。また、中間絶縁フィルム90には、第3のダイオード34の一対のアノード端子82及び一対のカソード端子84をそれぞれ露出させるための円形状の複数の貫通孔148が形成されている。
【0076】
図5及び
図7に示すように、下流側ブスバー層92は、マイナス側ブスバー150と、第2のブスバー152と、第4のブスバー154とを有している。マイナス側ブスバー150、第2のブスバー152及び第4のブスバー154は、同一平面上に配置され、且つ、互いに電気的に絶縁されている。
【0077】
マイナス側ブスバー150は、例えば銅等の金属で形成され、例えば約2~3mmの厚みを有している。マイナス側ブスバー150は、第1の接続部150aと、第2の接続部150bと、第3の接続部150cとを有している。
【0078】
第1の接続部150aは、第2の接続部150b及び第3の接続部150cの各長手方向における一端部から上方に延在し、チョークコイル10(
図1参照)に電気的に接続される。
【0079】
第2の接続部150bは、XY平面視で略L字状に形成されている。第2の接続部150bの長手方向における一端部は、第1の接続部150aを介してチョークコイル10に電気的に接続される。第2の接続部150bの長手方向における他端部には、第4のダイオード40の一対のカソード端子64をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔156が形成されている。ネジ158(
図2参照)が貫通孔156を通してカソード端子64にねじ込まれることにより、第2の接続部150bの長手方向における他端部は、第4のダイオード40の一対のカソード端子64に電気的に接続される。これにより、第4のダイオード40の一対のカソード端子64は、第1の接続部150a及び第2の接続部150bを介して、チョークコイル10に電気的に接続される。
【0080】
第3の接続部150cは、XY平面視で略L字状に形成されている。第3の接続部150cの長手方向における一端部は、第1の接続部150aを介してチョークコイル10に電気的に接続される。第3の接続部150cの長手方向における他端部には、第2のダイオード32の一対のカソード端子78をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔160が形成されている。ネジ162(
図2参照)が貫通孔160を通してカソード端子78にねじ込まれることにより、第3の接続部150cの長手方向における他端部は、第2のダイオード32の一対のカソード端子78に電気的に接続される。これにより、第2のダイオード32の一対のカソード端子78は、第1の接続部150a及び第3の接続部150cを介して、チョークコイル10に電気的に接続される。
【0081】
第4のブスバー154は、例えば銅等の金属で形成され、例えば約2~3mmの厚みを有している。第4のブスバー154は、XY平面視で、第1のブスバー106(
図6参照)と重なるように、回路ユニット46の第1の列と第2の列との間において左右方向に延在している。すなわち、第4のブスバー154は、中間絶縁フィルム90(第2の絶縁材の一例)を介して、第1のブスバー106に積層されている。
【0082】
第4のブスバー154の短手方向(Y軸方向)における一端部には、第4のダイオード40の一対のアノード端子62をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔164が形成されている。ネジ166(
図2参照)が貫通孔164を通してアノード端子62にねじ込まれることにより、第4のブスバー154の短手方向における一端部は、第4のダイオード40の一対のアノード端子62に電気的に接続される。
【0083】
また、第4のブスバー154の短手方向における他端部には、複数の突部168が形成されている。複数の突部168は、複数の第4のスイッチング素子38の各ソース端子38sの配置間隔に対応して、第4のブスバー154の長手方向(X軸方向)に沿って間隔を置いて配置されている。複数の突部168の各々には、第4のスイッチング素子38のソース端子38sを露出させるための円形状の貫通孔170が形成されている。ネジ172(
図3参照)が貫通孔170を通してソース端子38sにねじ込まれることにより、第4のブスバー154の短手方向における他端部は、複数の第4のスイッチング素子38の各ソース端子38sに電気的に接続される。
【0084】
これにより、第4のブスバー154は、第4のダイオード40の一対のアノード端子62の各々と、複数の第4のスイッチング素子38の各ソース端子38sとを電気的に接続する。また、第4のブスバー154には、第4のブスバー154をその厚み方向(Z軸方向)に貫通する第4のスリット174が形成されている。第4のスリット174は、XY平面視で、第4のダイオード40と複数の第4のスイッチング素子38との間を横切るように左右方向に延在している。
【0085】
第2のブスバー152は、例えば銅等の金属で形成され、例えば約2~3mmの厚みを有している。第2のブスバー152は、XY平面視で、第3のブスバー108(
図6参照)と重なるように、回路ユニット46の第3の列と第4の列との間において左右方向に延在している。すなわち、第2のブスバー152は、中間絶縁フィルム90(第1の絶縁材の一例)を介して、第3のブスバー108に積層されている。
【0086】
第2のブスバー152の短手方向(Y軸方向)における一端部には、第2のダイオード32の一対のアノード端子76をそれぞれ露出させるための円形状の一対の貫通孔176が形成されている。ネジ178(
図2参照)が貫通孔176を通してアノード端子76にねじ込まれることにより、第2のブスバー152の短手方向における一端部は、第2のダイオード32の一対のアノード端子76に電気的に接続される。
【0087】
また、第2のブスバー152の短手方向における他端部には、複数の突部180が形成されている。複数の突部180は、複数の第2のスイッチング素子30の各ソース端子30sの配置間隔に対応して、第2のブスバー152の長手方向(X軸方向)に沿って間隔を置いて配置されている。複数の突部180の各々には、第2のスイッチング素子30のソース端子30sを露出させるための円形状の貫通孔182が形成されている。ネジ184(
図3参照)が貫通孔182を通してソース端子30sにねじ込まれることにより、第2のブスバー152の短手方向における他端部は、複数の第2のスイッチング素子30の各ソース端子30sに電気的に接続される。
【0088】
これにより、第2のブスバー152は、第2のダイオード32の一対のアノード端子76の各々と、複数の第2のスイッチング素子30の各ソース端子30sとを電気的に接続する。また、第2のブスバー152には、第2のブスバー152をその厚み方向(Z軸方向)に貫通する第2のスリット186が形成されている。第2のスリットは、XY平面視で、第2のダイオード32と複数の第2のスイッチング素子30との間を横切るように左右方向に延在している。
【0089】
図5に示すように、外側絶縁フィルム94は、下流側ブスバー層92の上面を電気的に絶縁するための絶縁フィルムである。外側絶縁フィルム94は、XY平面視で略コの字状に形成され、下流側ブスバー層92の上面を被覆するように配置される。すなわち、下流側ブスバー層92の上面は、外側絶縁フィルム94によってラミネートされている。外側絶縁フィルム94には、第1のダイオード26の一対のアノード端子56及び一対のカソード端子58をそれぞれ露出させるための円形状の複数の貫通孔188が形成されている。また、外側絶縁フィルム94には、第2のダイオード32の一対のアノード端子76及び一対のカソード端子78をそれぞれ露出させるための円形状の複数の貫通孔190が形成されている。また、外側絶縁フィルム94には、第3のダイオード34の一対のアノード端子82及び一対のカソード端子84をそれぞれ露出させるための円形状の複数の貫通孔192が形成されている。また、外側絶縁フィルム94には、第4のダイオード40の一対のアノード端子62及び一対のカソード端子64をそれぞれ露出させるための円形状の複数の貫通孔194が形成されている。
【0090】
ここで、インバータ装置12が第1の状態に切り替えられた状態での、積層ブスバー48における電流の流れについて説明する。
図6において黒塗りの矢印P1で示すように、チョークコイル8からの電流は、プラス側ブスバー104の第1の接続部104a及び第2の接続部104bを流れて、第1のダイオード26の一対のアノード端子56に供給される。
【0091】
次いで、
図6において黒塗りの矢印P2で示すように、第1のダイオード26の一対のカソード端子58からの電流は、第1のブスバー106を流れて第1のスイッチング素子28の各ドレイン端子28dに供給される。この時、第1のダイオード26の一対のカソード端子58からの電流は、第1のスリット128で遮られることにより、第1のスリット128の長手方向(X軸方向)における両端部に向けてそれぞれ流れるようになる。そして、電流は、第1のスリット128の長手方向における両端部からそれぞれ、複数の第1のスイッチング素子28の各ドレイン端子28dに向けて流れる。これにより、複数の第1のスイッチング素子28の各ドレイン端子28dに電流をバランス良く供給することができる。
【0092】
次いで、
図7において黒塗りの矢印P3で示すように、第4のスイッチング素子38の各ソース端子38sからの電流は、第4のブスバー154を流れて第4のダイオード40の一対のアノード端子62に供給される。この時、第4のブスバー154には第4のスリット174が形成されているので、XY平面視で、第4のブスバー154における電流の経路は、第1のブスバー106における電流の経路と重なるようになる。すなわち、積層ブスバー48をXY平面視した場合に、
図6において黒塗りの矢印P2で示す第1のブスバー106を流れる電流は、
図7において黒塗りの矢印P3で示す第4のブスバー154を流れる電流と逆方向となる。
【0093】
次いで、
図7において黒塗りの矢印P4で示すように、第4のダイオード40の一対のカソード端子64からの電流は、マイナス側ブスバー150の第2の接続部150b及び第1の接続部150aを流れて、チョークコイル10に供給される。この時、積層ブスバー48をXY平面視した場合に、
図6において黒塗りの矢印P1で示すプラス側ブスバー104を流れる電流は、
図7において黒塗りの矢印P4で示すマイナス側ブスバー150を流れる電流と逆方向となる。
【0094】
次に、インバータ装置12が第2の状態に切り替えられた状態での、積層ブスバー48における電流の流れについて説明する。
図6において白抜きの矢印Q1で示すように、チョークコイル8からの電流は、プラス側ブスバー104の第1の接続部104a及び第3の接続部104cを流れて、第3のダイオード34の一対のアノード端子82に供給される。
【0095】
次いで、
図6において白抜きの矢印Q2で示すように、第3のダイオード34の一対のカソード端子84からの電流は、第3のブスバー108を流れて第3のスイッチング素子36の各ドレイン端子36dに供給される。この時、第3のダイオード34の一対のカソード端子84からの電流は、第3のスリット140で遮られることにより、第3のスリット140の長手方向(X軸方向)における両端部に向けてそれぞれ流れるようになる。そして、電流は、第3のスリット140の長手方向における両端部からそれぞれ、複数の第3のスイッチング素子36の各ドレイン端子36dに向けて流れる。これにより、複数の第3のスイッチング素子36の各ドレイン端子36dに電流をバランス良く供給することができる。
【0096】
次いで、
図7において白抜きの矢印Q3で示すように、第2のスイッチング素子30の各ソース端子30sからの電流は、第2のブスバー152を流れて第2のダイオード32の一対のアノード端子76に供給される。この時、第2のブスバー152には第2のスリット186が形成されているので、XY平面視で、第2のブスバー152における電流の経路は、第3のブスバー108における電流の経路と重なるようになる。すなわち、積層ブスバー48をXY平面視した場合に、
図6において白抜きの矢印Q2で示す第3のブスバー108を流れる電流は、
図7において白抜きの矢印Q3で示す第2のブスバー152を流れる電流と逆方向となる。
【0097】
次いで、
図7において白抜きの矢印Q4で示すように、第2のダイオード32の一対のカソード端子78からの電流は、マイナス側ブスバー150の第3の接続部150c及び第1の接続部150aを流れて、チョークコイル10に供給される。この時、積層ブスバー48をXY平面視した場合に、
図6において白抜きの矢印Q1で示すプラス側ブスバー104を流れる電流は、
図7において白抜きの矢印Q4で示すマイナス側ブスバー150を流れる電流と逆方向となる。
【0098】
図2、
図3、
図8及び
図9に示すように、出力ブスバー50は、XY平面視で回路ユニット46の第2の列と第3の列との間において左右方向に延在し、且つ、XZ側面視で回路ユニット46の上面から上方に立設している。出力ブスバー50は、第1の出力ブスバー196と、第2の出力ブスバー198と、絶縁フィルム200とを有している。
【0099】
第1の出力ブスバー196は、例えば銅等の金属で形成され、横長の板状に形成されている。第1の出力ブスバー196は、整合回路14(
図1参照)に電気的に接続される。第1の出力ブスバー196の下端部には、一方側(Y軸のプラス側)に突出する複数の脚部202、及び、他方側(Y軸のマイナス側)に突出する複数の脚部204が形成されている。
【0100】
複数の脚部202は、複数の第1のスイッチング素子28の各ソース端子28sの配置間隔に対応して、第1の出力ブスバー196の長手方向(X軸方向)に沿って間隔を置いて配置されている。複数の脚部202の各々には、第1のスイッチング素子28のソース端子28sを露出させるための円形状の貫通孔206が形成されている。ネジ(図示せず)が貫通孔206を通してソース端子28sにねじ込まれることにより、第1の出力ブスバー196は、複数の第1のスイッチング素子28の各ソース端子28sに電気的に接続される。
【0101】
また、複数の脚部204は、複数の第2のスイッチング素子30の各ドレイン端子30dの配置間隔に対応して、第1の出力ブスバー196の長手方向に沿って間隔を置いて配置されている。複数の脚部204の各々には、第2のスイッチング素子30のドレイン端子30dを露出させるための円形状の貫通孔208が形成されている。ネジ209(
図2参照)が貫通孔208を通してドレイン端子30dにねじ込まれることにより、第1の出力ブスバー196は、複数の第2のスイッチング素子30の各ドレイン端子30dに電気的に接続される。
【0102】
第2の出力ブスバー198は、例えば銅等の金属で形成され、横長の板状に形成されている。第2の出力ブスバー198は、絶縁フィルム200を介して第1の出力ブスバー196に積層されており、整合回路14に電気的に接続される。第2の出力ブスバー198の下端部には、一方側(Y軸のプラス側)に突出する複数の脚部210、及び、他方側(Y軸のマイナス側)に突出する複数の脚部212が形成されている。
【0103】
複数の脚部210は、複数の第4のスイッチング素子38の各ドレイン端子38dの配置間隔に対応して、第2の出力ブスバー198の長手方向(X軸方向)に沿って間隔を置いて配置されている。複数の脚部210の各々には、第4のスイッチング素子38のドレイン端子38dを露出させるための円形状の貫通孔214が形成されている。ネジ(図示せず)が貫通孔214を通してドレイン端子38dにねじ込まれることにより、第2の出力ブスバー198は、複数の第4のスイッチング素子38の各ドレイン端子38dに電気的に接続される。
【0104】
また、複数の脚部212は、複数の第3のスイッチング素子36の各ソース端子36sの配置間隔に対応して、第2の出力ブスバー198の長手方向に沿って間隔を置いて配置されている。複数の脚部212の各々には、第3のスイッチング素子36のソース端子36sを露出させるための円形状の貫通孔216が形成されている。ネジ217(
図2参照)が貫通孔216を通してソース端子36sにねじ込まれることにより、第2の出力ブスバー198は、複数の第3のスイッチング素子36の各ソース端子36sに電気的に接続される。
【0105】
すなわち、出力ブスバー50は、複数の第1のスイッチング素子28の各ソース端子28sと複数の第2のスイッチング素子30の各ドレイン端子30dとの接続点と、複数の第3のスイッチング素子36の各ソース端子36sと複数の第4のスイッチング素子38の各ドレイン端子38dとの接続点との間に電気的に接続されている。
【0106】
ここで、インバータ装置12が第1の状態に切り替えられた状態での、出力ブスバー50における電流の流れについて説明する。複数の第1のスイッチング素子28の各ソース端子28sからの電流は、第1の出力ブスバー196を流れて整合回路14に供給される。次いで、誘導コイル16を経て整合回路14から戻ってきた電流は、第2の出力ブスバー198を流れて複数の第4のスイッチング素子38の各ドレイン端子38dに供給される。この時、第1の出力ブスバー196を流れる電流は、第2の出力ブスバー198を流れる電流と逆方向となる。
【0107】
次に、インバータ装置12が第2の状態に切り替えられた状態での、出力ブスバー50における電流の流れについて説明する。複数の第3のスイッチング素子36の各ソース端子36sからの電流は、第2の出力ブスバー198を流れて整合回路14に供給される。次いで、誘導コイル16を経て整合回路14から戻ってきた電流は、第1の出力ブスバー196を流れて複数の第2のスイッチング素子30の各ドレイン端子30dに供給される。この時、上述した第1の状態と同様に、第1の出力ブスバー196を流れる電流は、第2の出力ブスバー198を流れる電流と逆方向となる。
【0108】
[3.インバータユニットの構造]
次に、
図10を参照しながら、実施の形態に係るインバータユニット218の構造について説明する。
図10は、実施の形態に係るインバータユニット218を示す側面図である。
【0109】
図10に示すように、実施の形態に係るインバータユニット218は、一対の直流側ブスバー220,222と、一対の交流側ブスバー224,226と、一対の直流側ブスバー220,222と一対の交流側ブスバー224,226との間に電気的に並列接続された複数のインバータ装置12とを備えている。
【0110】
一対の直流側ブスバー220,222はそれぞれ、コイル228,230を介して各インバータ装置12の第1の接続部104a,150aに電気的に接続されている。コイル228,230はそれぞれ、一対の直流側ブスバー220,222の各々とインバータ装置12との間を流れる電流量のバランスを取るためのものであり、例えば1ターン巻回された銅パイプ等で構成されている。また、一対の直流側ブスバー220,222はそれぞれ、チョークコイル8,10(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0111】
一対の交流側ブスバー224,226はそれぞれ、各インバータ装置12の第1の出力ブスバー196及び第2の出力ブスバー198に電気的に接続されている。また、一対の交流側ブスバー224,226は、整合回路14(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0112】
上述したインバータユニット218では、モジュール化されたインバータ装置12の数を変更することにより、インバータユニット218の定格出力を容易に変更することができる。なお、本実施の形態では、インバータユニット218は複数のインバータ装置12を備えるようにしたが、これに限定されず、例えばインバータユニット218の定格出力が比較的低い場合には、1つのインバータ装置12を備えるようにしてもよい。
【0113】
[4.効果]
本実施の形態では、上述したように、インバータ装置12が第1の状態に切り替えられた状態では、積層ブスバー48をXY平面視した場合に、第1のブスバー106を流れる電流は、第4のブスバー154を流れる電流と逆方向となる。これにより、第1のブスバー106を流れる電流に起因する磁界と、第4のブスバー154を流れる電流に起因する磁界とが打ち消し合うようになる。
【0114】
また、インバータ装置12が第2の状態に切り替えられた状態では、積層ブスバー48をXY平面視した場合に、第3のブスバー108を流れる電流は、第2のブスバー152を流れる電流と逆方向となる。これにより、第3のブスバー108を流れる電流に起因する磁界と、第2のブスバー152を流れる電流に起因する磁界とが打ち消し合うようになる。
【0115】
その結果、インバータ装置12における寄生インダクタンスを低減することができ、複数の第1のスイッチング素子28、複数の第2のスイッチング素子30、複数の第3のスイッチング素子36及び複数の第4のスイッチング素子38の各スイッチング動作時に、リンギングが発生するのを低減することができる。
【0116】
[5.変形例]
インバータ装置12の積層ブスバー48は、3Dプリンタで作製するようにしてもよい。これにより、第1のブスバー106、第2のブスバー152、第3のブスバー108及び第4のブスバー154の少なくとも1つの内部に、冷却用の流体(例えば冷却水)が流れる流路を容易に形成することができる。各ブスバーの厚み方向における流路の大きさは、例えば約1mmである。このような構成により、複数の第1のスイッチング素子28、複数の第2のスイッチング素子30、複数の第3のスイッチング素子36及び複数の第4のスイッチング素子38の各々で発生した熱を効率良く放熱することができる。
【0117】
また、インバータ装置12は、上述した構成要素に加えて、積層ブスバー48の温度を検出するためのサーミスタ等の温度センサを備えていてもよい。温度センサからの検出信号を監視しておくことにより、積層ブスバー48の温度が急激に上昇した場合に、例えばインバータ装置12において急峻な立ち上がりの電流が発生したことを検出することができる。
【0118】
(他の変形例等)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係るインバータ装置及びインバータユニットについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0119】
上記実施の形態では、インバータ装置12を誘導加熱装置2に適用したが、これに限定されず、例えば産業用機械又は家電機器等の各種装置に適用してもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、インバータ装置12は、複数の第1のスイッチング素子28、複数の第2のスイッチング素子30、複数の第3のスイッチング素子36及び複数の第4のスイッチング素子38を備えるようにしたが、これに限定されず、1個の第1のスイッチング素子28、1個の第2のスイッチング素子30、1個の第3のスイッチング素子36及び1個の第4のスイッチング素子38を備えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係るインバータ装置は、例えば金属部品の高周波焼き入れを行うための誘導加熱装置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
2 誘導加熱装置
4 被加熱物
6 整流回路
8,10 チョークコイル
12 インバータ装置
14 整合回路
16 誘導コイル
18 サイリスタ
20 電源
22 第1の直列回路
24 第2の直列回路
26 第1のダイオード
28 第1のスイッチング素子
28d,30d,36d,38d ドレイン端子
28s,30s,36s,38s ソース端子
28g,30g,36g,38g ゲート端子
30 第2のスイッチング素子
32 第2のダイオード
34 第3のダイオード
36 第3のスイッチング素子
38 第4のスイッチング素子
40 第4のダイオード
42 コンデンサ
44 整合トランス
46 回路ユニット
48 積層ブスバー
50 出力ブスバー
52 ヒートシンク
54,60,66,68,70,72,74,80 パッケージ
56,62,76,82 アノード端子
58,64,78,84 カソード端子
86,94 外側絶縁フィルム
88 上流側ブスバー層
90 中間絶縁フィルム
92 下流側ブスバー層
96,98,100,102,142,144 開口部
104 プラス側ブスバー
104a,150a 第1の接続部
104b,150b 第2の接続部
104c,150c 第3の接続部
106 第1のブスバー
108 第3のブスバー
110,114,118,124,130,136,146,148,156,160,164,170,176,182,188,190,192,194,206,208,214,216 貫通孔
112,116,120,126,132,138,158,162,166,172,178,184,209,217 ネジ
122,134,168,180 突部
128 第1のスリット
140 第3のスリット
150 マイナス側ブスバー
152 第2のブスバー
154 第4のブスバー
174 第4のスリット
186 第2のスリット
196 第1の出力ブスバー
198 第2の出力ブスバー
200 絶縁フィルム
202,204,210,212 脚部
218 インバータユニット
220,222 直流側ブスバー
224,226 交流側ブスバー
228,230 コイル