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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101396
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】筆記具又は塗布具
(51)【国際特許分類】
   B43K 3/00 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
B43K3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005358
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石郷岡 拓哉
(57)【要約】
【課題】軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を抑制可能な筆記具又は塗布具を提供することを目的とする。
【解決手段】筆記具又は塗布具は、軸方向に沿って延びる筒状部材である前軸と、前記前軸の前記軸方向における一方側の端部に連結される接続部材と、前記前軸の径方向外側に設けられ、前記前軸の少なくとも一部を覆う軟質部材と、前記前軸の周方向にて互いに離間して設けられ、前記前軸の外周面から径方向外側に向かってそれぞれ突出する複数の突起部と、を備え、前記軟質部材は、前記複数の突起部を覆うように設けられ、前記接続部材は、前記複数の突起部の各々の前記軸方向の前記一方側の端面である第1端面、及び、前記軟質部材の前記軸方向の前記一方側の端面の両方に当接する当接面を有する。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延びる筒状部材である前軸と、
前記前軸の前記軸方向における一方側の端部に連結される接続部材と、
前記前軸の径方向外側に設けられ、前記前軸の少なくとも一部を覆う軟質部材と、
前記前軸の周方向にて互いに離間して設けられ、前記前軸の外周面から径方向外側に向かってそれぞれ突出する複数の突起部と、
を備え、
前記軟質部材は、前記複数の突起部を覆うように設けられ、
前記接続部材は、前記複数の突起部の各々の前記軸方向の前記一方側の端面である第1端面、及び、前記軟質部材の前記軸方向の前記一方側の端面の両方に当接する当接面を有する
筆記具又は塗布具。
【請求項2】
前記複数の突起部は、前記軸方向における前記前軸の中央位置に至るまで軸方向に沿って延在する
請求項1に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項3】
前記前軸の前記軸方向における前方側の端部に連結される先部材と、
前記前軸の側方に設けられ、前記先部材からの筆記部の出没状態を切り替える操作が入力される操作部を備え、
前記複数の突起部は、前記軸方向において前記操作部とオーバーラップするように前記軸方向に沿って延びる
請求項1又は2に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項4】
前記突起部の前記第1端面と前記接続部材の前記当接面とが接触する領域の径方向における寸法は、前記突起部の高さの20%以上である
請求項1又は2に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項5】
前記複数の突起部は、前記前軸の前記一端側の端部のみに設けられる
請求項1に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項6】
前記突起部の前記軸方向における長さは、前記前軸の外周面を基準とする前記突起部の高さの2倍以上10倍以下である
請求項5に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項7】
前記突起部の前記周方向における長さは、前記突起部の前記軸方向における長さの150%以上250%以下である
請求項5又は6に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項8】
前記突起部の前記第1端面は、前記軟質部材の前記端面よりも、前記軸方向の前記一方側に位置する
請求項1、2、5又は6の何れか一項に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項9】
前記複数の突起部の各々は、前記軸方向における他方側の端面である第2端面を含む端部を含み、
前記端部は、前記軸方向にて前記他方側に向かうにしたがい前記前軸の中心軸に近づくように傾斜する傾斜部を有する。
請求項1、2、5又は6の何れか一項に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項10】
前記軟質部材は、前記軟質部材の前記端面よりも前記軸方向の前記一方側において前記接続部材の径方向内側に位置するとともに前記前軸を覆う延長部を含む
請求項1、2、5又は6の何れか一項に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項11】
前記延長部は、前記周方向にて前記突起部とずれた位置にて前記軸方向に延びる軸方向延在部を含む
請求項10に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項12】
前記前軸と前記接続部材とは、螺合により連結されている
請求項1、2、5又は6の何れか一項に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項13】
前記前軸と前記接続部材とは、嵌合により連結されている
請求項1、2、5又は6の何れか一項に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項14】
前記接続部材は、前記前軸の前記軸方向における前方の端部に連結される先部材を含む
請求項1、2、5又は6の何れか一項に記載の筆記具又は塗布具。
【請求項15】
前記接続部材は、前記前軸の前記軸方向における後方の端部に連結される筒状部材である後軸を含む
請求項1、2、5又は6の何れか一項に記載の筆記具又は塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筆記具又は塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
軸部材を覆う比較的軟質の軟質部材(グリップ等)を備えた筆記具が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、筒状の前軸と、弾性材料から形成され、前軸の外周に設けられたグリップと、前軸の後端側に接続される筒状の後軸と、を備えた筆記具が記載されている。この筆記具において、前軸の後端部には、前軸の外周面から径方向外側に突出する環状突起が設けられている。また、後軸は、該管状突起の後端面、及び、グリップの後端面の両方に接触するように設けられる押圧面を有する。このような押圧面を設けることにより、前軸と後軸との螺合による連結時等に、グリップが軸方向に押圧されて径方向外側へ膨出してしまうのを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6917489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筆記具や塗布具においては、筒状の軸部材(前軸等)を覆う軟質部材(グリップ等)の厚さが比較的薄いため、時間経過に伴い、手油、湿気又は紫外線等により軟質部材の膨潤がおこりやすい。軟質部材に膨潤が生じると、軟質部材が軸部材から剥離しやすくなる。このため、軟質部材の膨潤や、膨潤による剥離を抑制することが望まれる。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、軟質部材(グリップ等)の膨潤又は膨潤による剥離を抑制可能な筆記具又は塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係る筆記具又は塗布具は、
軸方向に沿って延びる筒状部材である前軸と、
前記前軸の前記軸方向における一方側の端部に連結される接続部材と、
前記前軸の径方向外側に設けられ、前記前軸の少なくとも一部を覆う軟質部材と、
前記前軸の周方向にて互いに離間して設けられ、前記前軸の外周面から径方向外側に向かってそれぞれ突出する複数の突起部と、
を備え、
前記軟質部材は、前記複数の突起部を覆うように設けられ、
前記接続部材は、前記複数の突起部の各々の前記軸方向の前記一方側の端面である第1端面、及び、前記軟質部材の前記軸方向の前記一方側の端面の両方に当接する当接面を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を抑制可能な筆記具又は塗布具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る筆記具の外観を示す図である。
図2図1のII-II断面を概略的に示す図である。
図3図1のIII-III断面を概略的に示す図である。
図4図1の筆記具の一部を示す斜視断面図である。
図5図1の筆記具の一部を示す断面図である。
図6図1に示す筆記具の幾つかの部品を示す分解斜視図である。
図7図1に示す筆記具の軸方向を含む断面図である。
図8】一実施形態に係る筆記具の前方の端部を示す図である。
図9】一実施形態に係る筆記具の前方の端部を示す図である。
図10】一実施形態に係る筆記具の前方の端部を示す図である。
図11】一実施形態に係る筆記具の前方の端部を示す図である。
図12】一実施形態に係る筆記具の後方の端部を示す図である。
図13】一実施形態に係る筆記具の径方向に沿った断面を示す図である。
図14】一実施形態に係る筆記具の径方向に沿った断面を示す図である。
図15】一実施形態に係る筆記具の前軸の径方向に沿った断面を示す図である。
図16】一実施形態に係る筆記具の前軸の径方向に沿った断面を示す図である。
図17】一実施形態に係る筆記具の前軸の径方向に沿った断面を示す図である。
図18】一実施形態に係る筆記具の前軸の径方向に沿った断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態に係る筆記具は、筆記具の先端からの筆記部の出没状態を切り替え可能な構造であれば特に限定されず、例えば、シャープペンシル、ボールペン、マーカーペン等であってもよい。幾つかの実施形態に係る塗布具は、塗布具の先端から塗布部の出没状態を切替え可能な構造であれば特に限定されず、例えば、画筆、化粧用具又はマーキングペン等であってもよい。以下においては図面を参照して筆記具について説明するが、塗布具についても同様の説明が適用できる。
【0012】
はじめに、図1~7を参照して、シャープペンシルとしての筆記具100について説明する。但し、図1~7を参照して以下で説明する内容は、シャープペンシル固有の機構及び構造を除き、任意の形式の筆記具100又は塗布具に当てはまる。
【0013】
図1は、一実施形態に係る筆記具の外観を示す図である。図2は、図1のII-II断面を概略的に示す図である。図3は、図1のIII-III断面を概略的に示す図である。なお、簡略化のため、図2及び図3には、筆記具を構成する前軸2及び軟質部材40のみが示されている。図4は、図1の筆記具の一部を示す斜視断面図である。図5は、図1の筆記具の一部を示す断面図である。なお、図4及び図5は、図2及び図3におけるA-Aで示す平面における筆記具の断面図である。図6は、図1に示す筆記具の幾つかの部品を示す分解斜視図である。図7は、図1に示す筆記具の軸方向を含む断面図であり、図2及び図3におけるB-Bで示す平面における筆記具の断面図である。
【0014】
なお、図1及び図4図7において、方向xは、筆記具100の中心軸に沿った筆記具100の軸方向であり、本明細書では筆記具100の前後方向とも称される。これに対し、図1及び図4図7において、方向rは、筆記具100の中心軸を基準とした径方向である。
また、本明細書において、説明の便宜上、筆記具100における各部材の位置関係を筆記具100の「前」、「前方」(または「後」、「後方」)と表記する場合がある。筆記具100の「前」又は「前方」とは、筆記具100の中心軸に沿った筆記具100の前後方向(軸方向)xにおける先部材20側を意味する。これに対し、筆記具100の「後」又は「後方」とは、筆記具100の中心軸(方向x)に沿った筆記具100の前後方向における先部材20とは反対側を意味する。
【0015】
幾つかの実施形態では、図1及び図4図7に示すように、筆記具100は、軸筒10と、軸筒10に結合される先部材20と、使用者による操作が入力される操作部30とを備える。軸筒10の外周は、後述の軟質部材40によって覆われる。軸筒10及び先部材20によって形成される筆記具100の内側空間には可動部材50が設けられる。可動部材50は、操作部30に連動して筆記具100の内側空間を前後方向に移動可能である。
なお、軸筒10と先部材20との結合は、螺着、圧入、嵌合等の任意の手段によって実現され得るが、図4図7には、軸筒10に先部材20を螺着した構造を例示している。
【0016】
軸筒10は、筆記具100の軸方向に沿って延在する1以上の筒状の中空部品によって構成される。
幾つかの実施形態では、軸筒10は、図1及び図7に示すように、前軸2と、前軸2よりも後方に位置するとともに前軸2に結合される後軸4とを含む。なお、前軸2と後軸4との結合は、螺着、圧入、嵌合等の任意の手段によって実現され得るが、図1及び図7には、後軸4に前軸2を嵌合した構造を例示している。
【0017】
他の実施形態では、軸筒10は単一の筒状部材によって構成される。さらに別の実施形態では、軸筒10は、3以上の筒状部材を筆記具100の前後方向に接続することで構成される。
【0018】
軸筒10の材質は特に限定されず、任意の材料によって構成され得る。軸筒10の構成材料として、例えば、金属、樹脂、セラミックス、又は、これらの複合材料が挙げられる。軸筒10の構成材料としての樹脂は、例えば、ポリカーボネート又はABS等の硬質樹脂であってもよい。
【0019】
図4及び図5に示す実施形態では、軸筒10(前軸2)は、第1ストッパ11と、軸筒10(前軸2)の外周に形成される雄ねじ12と、を有する。軸筒10の第1ストッパ11は、軸筒10における雄ねじ12の形成位置よりも前方に位置する。軸筒10の第1ストッパ11は、軸筒10に先部材20が結合された状態において、先部材20の内部空間に侵入している。
図6に示す例では、軸筒10(前軸2)の外周の雄ねじ12は、周方向に関して不連続であり、複数の雄ねじ12A,12Bに分割して形成される。すなわち、複数の雄ねじ12A,12Bが、周方向に間隔を空けて軸筒10の外周面に配置される。周方向に間隔を空けて配置された複数の雄ねじ12A,12Bは、ねじ山が通る螺旋状の軌跡は共通しており、各々の雄ねじ12A,12Bが後述する先部材20の雌ねじ22に螺合するようになっている。
【0020】
幾つかの実施形態では、図6に示すように、軸筒10(前軸2)は、後述の操作部30(サイドスライダ30A)を前後方向に案内するための案内溝13と、案内溝13の溝底に形成された係合窓14とを有する。
案内溝13は、筆記具100の軸方向に延在するように軸筒10(前軸2)の外周に設けられる。案内溝13の形状は特に限定されない。図1図4及び図6に示す例では、案内溝13は、互いに対向するように筆記具100の軸方向に沿って延在する一対の直線壁と、該一対の直線壁の前方端をそれぞれ接続する湾曲壁とによって形成されるトラック形状の溝である。
係合窓14は、後述の操作部30を取り付けるための開口であり、前軸2を貫通して前軸2の内部空間と外部とを連通するようになっている。
【0021】
軸筒10(前軸2)は、図1図4図6に示すように、案内溝13の後方における軸筒10(前軸2)の外周面から径方向外側に突出し、操作部30(サイドスライダ30A)の後退量を規制するための第2ストッパ15を有する。
第2ストッパ15は、前軸2の他の部位から隆起している。第2ストッパ15は、軟質部材40によって覆われずに筆記具100の外表面に露出していてもよい。この場合、第2ストッパ15は、筆記具100の意匠性に影響を与えるため、図1及び図6に示すとおり、案内溝13と、操作部30と、第2ストッパ15と、後軸4に設けられたクリップ6とを前後方向に整列させてもよい。そのために、後軸4の前端部には第2ストッパ15に対応する切欠き5(図1参照)が設けられ、前軸2に後軸4を結合した状態において、前軸2の第2ストッパ15を後軸4の切欠き5に若干の隙間を有しながらも係合させる。これにより、前軸2に対する後軸4の周方向の位置決めがなされ、上述した案内溝13、操作部30、第2ストッパ15およびクリップ6の整列を実現できる。
【0022】
先部材20は、前端に前端開口を有し、筆記具100の筆記可能状態において、筆記部200が先部材20の前端開口から突出するようになっている。
図4及び図5に示す実施形態では、先部材20は、シャープペンシル(筆記具100)の先金であり、筆記部200としての筆記芯が先部材20(先金)の前端開口に取り付けられた芯パイプ201から突出することで、シャープペンシル(筆記具100)が筆記可能な状態となる。なお、本実施形態においては、金属材質からなる先部材(先金)としているが、樹脂材質で成形した先部材としてもよい。
【0023】
先部材20の後端部21は、筆記部200が突出又は没入する前端開口とは反対側において、軸筒10の第1ストッパ11の外径よりも大きな直径の後端開口を有する。先部材20は、先部材20の後端開口と連通する内部空間を有し、先部材20の内部空間には後述する可動部材50が少なくとも部分的に収容される。
先部材20は、図4及び図5に示すように、先部材20の内周に形成された雌ねじ22を有する。雌ねじ22は、上述した雄ねじ12(12A,12B)とは対照的に、周方向に連続して設けられてもよい。
【0024】
操作部30は、先部材20からの筆記部200の出没状態を切り替えるための使用者の操作の入力を受けるように構成される。使用者による入力は、操作部30の具体的構造に応じて任意の形態をとり得る。例えば、使用者による入力は、操作部30の押圧(ノック)であってもよいし、操作部30のスライドであってもよい。
操作部30を介した使用者からの入力は、後述する可動部材50に伝達され、可動部材50の位置に応じて筆記部200の出没状態が切り替わる。操作部30の設置位置は特に限定されず、例えば、筆記具100の後端に設けられてもよいし、筆記具100の側面(軸筒10の外周)に設けられてもよい。図示する実施形態では、操作部30は、筆記具100の側面(軸筒10(前軸2)の外周)に設けられている。
【0025】
図1図4及び図6に示す実施形態では、操作部30は、軸筒10(前軸2)の外周に前後方向に摺動自在に設けられたサイドスライダ30Aである。サイドスライダ30Aは、案内溝13に嵌合可能なスライド板部32と、スライド板部32の裏面から径方向内側に突出した一対の係合爪34及び係合凸部36とを有する。
なお、スライド板部32の表面は、鏡面加工が施された平滑面であってもよいし、シボ加工によって微細な凹凸が形成された凹凸面であってもよい。
【0026】
スライド板部32は、案内溝13の前後方向の長さよりも小さい全長、および、案内溝13の溝幅に略対応する板幅を有する。
スライド板部32の具体的形状は特に限定されないが、統一感のあるデザインを実現する観点から案内溝13に対応した形状を有してもよい。図1及び図6に示す例では、サイドスライダ30Aのスライド板部32は、案内溝13に対応するトラック形状を有する。
【0027】
一対の係合爪34は、スライド板部32の幅方向における両端に設けられる。各々の係合爪34は、スライド板部32の裏面のうちスライド板部32の幅方向端部の位置から径方向内側に突出している。
一対の係合爪34は、サイドスライダ30Aの軸筒10(前軸2)への取付時、弾性変形しながら係合窓14の内部に押し込まれる。一対の係合爪34の係合窓14への押し込みが完了すると、係合窓14の幅方向における両縁に一対の係合爪34がそれぞれ係合する。これにより、サイドスライダ30Aの軸筒10(前軸2)からの脱落が防止される。
【0028】
一対の係合爪34の間には、上述の係合凸部36が設けられる。係合凸部36は、サイドスライダ30Aのスライド板部32の裏面のうち一対の係合爪34の間の位置から径方向内側に突出して設けられる。係合凸部36は、スライド板部32の板幅方向の略中央の位置において、スライド板部32の裏面から径方向内側に突出して設けられる。係合凸部36は、中継部材210の凹部213に係合する形状となっているため、サイドスライダ30Aが誤って前後逆向きに取り付けられそうになった際、中継部材210の凸部によって押し込みが阻害され、取り付けることができないようになっている。
【0029】
なお、筆記具100の前後方向において、各々の係合爪34は、係合窓14よりも小さな寸法を有する。すなわち、図6に示すように、各々の係合爪34の軸方向に沿った幅W1は、係合窓14の軸方向に沿った窓長W2よりも小さい。
このため、案内溝13内におけるサイドスライダ30Aの移動が許容される。
【0030】
係合爪34の前端34Aは、図4に示すように、操作部30を介した使用者からの入力を後述の可動部材50に伝達するための中継部材210の鍔部211に係合する。これにより、中継部材210は、操作部30に連動して筆記具100の前後方向に移動可能である。
なお、中継部材210は、前軸2と中継部材210との間に設けられるスプリング214によって後方に付勢されており、操作部30への入力が解除されると中継部材210はスプリング214の付勢力によって後退するようになっている。
【0031】
軟質部材40は、使用者による筆記具100の把持領域に設けられる弾性体である。
軟質部材40は、軸筒10(前軸2)の外周を少なくとも部分的に覆うように設けられる。図1に示す例示的な実施形態では、軟質部材40は、前軸2の大部分を覆うように前軸2の外周に設けられる。具体的には、前軸2の外周のうち案内溝13及び第2ストッパ15を除く領域が軟質部材40によって覆われる。
【0032】
軟質部材40を構成する弾性体は、エラストマ製であってもよい。
ここで、本明細書における「エラストマ」は、弾性を有する高分子の総称であり、例えば、シリコーンゴム、NBR、合成ゴム、天然ゴム等が含まれる。
【0033】
幾つかの実施形態では、図4図6に示すように、雄ねじ12(12A,12B)の後方で軸筒10(前軸2)を覆う軟質部材40は、可動部材50の後退時の衝撃を緩和するための第1緩衝部60に接続される接続部42を含む。接続部42を含む軟質部材40と第1緩衝部60とが、一体的に構成される。
【0034】
ここで、接続部42は、雄ねじ12(12A,12B)が形成される軸方向範囲を越えて筆記具100の前後方向に延在する。接続部42の前方端は、雄ねじ12(12A,12B)の前方に位置する第1緩衝部60に接続される。接続部42の後方端は、雄ねじ12(12A,12B)の後方に位置する軟質部材40に接続される。
図6に示す例では、接続部42は、周方向に分断された複数の雄ねじ12(12A,12B)の間を通過して前後方向に延在する。接続部42の外周面は、雄ねじ12(12A,12B)の谷よりも径方向内側に位置し、雄ねじ12(12A,12B)と雌ねじ22との螺合を阻害しないようになっている。
【0035】
幾つかの実施形態では、図1図4及び図6に示すように、筆記具100は、操作部30としてのサイドスライダ30Aの後退時の衝撃を緩和するための第2緩衝部70を備える。
第2緩衝部70は、筆記具100の前後方向において、操作部30(サイドスライダ)30Aと第2ストッパ15との間に設けられる。軟質部材40及び第2緩衝部70は、一体的に構成される。
【0036】
可動部材50は、軸筒10及び先部材20によって形成される筆記具100の内側空間に設けられ、操作部30に連動して前後方向に移動可能である。
幾つかの実施形態では、図1及び図4図6に示すように、筆記部200としての筆記芯を把持するためのチャックセット220(ボールチャックセット)が中継部材210の前方側に設けられ、可動部材50はチャックセット220の構成部品としてのチャック外筒110である。
【0037】
図4図6に示すチャックセット220では、筆記部200を把持するためにボールチャック機構を採用している。
チャックセット220は、少なくとも部分的に軸筒10(前軸2)に挿入されるチャック外筒110と、チャック外筒110の内部に収容された状態でチャック外筒110に対して前後に相対移動可能なチャック120とを含む。
【0038】
チャック外筒110の後端側には、中継部材210が摺動可能に挿入されている。チャック外筒110は、後端側の内周面にテーパ112を有し、操作部30による筆記部200の繰り出し操作に伴い、中継部材210はテーパ112(図3参照)によって先細りとなるチャック外筒110の内部空間内を奥側(前方)へと摺動し、中継部材210の隆起部212とチャック外筒110との嵌合がきつくなっていく。こうして、チャック外筒110の後端側の内周面にテーパ112を形成することで、操作部30の前後方向の移動量に応じて、中継部材210の隆起部212とチャック外筒110との嵌合力を切り替えることが可能である。
チャック外筒110は、前端側の外周面にフランジ114を有する。チャック外筒110は、先部材20の内部の段差面とフランジ114との間に設けられたスプリング115によって後方に付勢される。このため、操作部30への入力が解除された状態において、チャック外筒110は、軸筒10(前軸2)の第1ストッパ11によって規制される原位置まで後退する。かかるチャック外筒110の後退状態では、後述の第1緩衝部60がチャック外筒110のフランジ114と軸筒10の第1ストッパ11との間に介在している。
チャック外筒110は内部に空洞を有し、この空洞にチャック120を収容可能になっている。チャック外筒110内の空洞には、チャック120に加えて、チャック120を後方に向けて付勢するためのスプリング118が収容される。
【0039】
操作部30(サイドスライダ30A)の操作に伴い中継部材210が前進すると、チャック外筒110は、チャック外筒110の前端が先部材20の内部の段差面に接触するまで前方に移動する。
その後、操作部(サイドスライダ30A)の操作量がさらに増えると、中継部材210は、それ以上前進できないチャック外筒110の内部を前方に移動し、チャック外筒110の内部でチャック120を前方へと押圧する。その結果、チャック120は、チャック外筒110に対して相対的に前方へと移動する。
【0040】
チャック120は、複数のチャック片に分割され、チャック片間の隙間の増減によってチャック120の開状態と閉状態とが切替可能になっている。
チャック120には、前端側の外周面に凹部132が設けられる。凹部132には、ボール134が嵌合する。ボール134は、チャック120の前端部を覆うチャックリング136とチャック120との間に保持される。チャックリング136は、チャック外筒110に固定されており、前方に向かって拡径するテーパ部を有する。ボール134は、径方向外側でチャックリング136のテーパ部に当接し、径方向内側で凹部132の凹面に当接する。
チャック120の閉状態において、スプリング118によってチャック120は後方に付勢され、チャックリング136のテーパ部の楔効果によって各チャック片は、ボール134から径方向内側への押圧力を受けてチャック120は閉じられる。他方、チャック外筒110に固定されたチャックリング136に対してチャック120が相対的に前進すると、ボール134がチャックリング136のテーパ部上を前方に向かって転がり、チャック片間の隙間が広がり、チャック120は開状態に移行する。
なお、チャックリング136の前方の開口には、チャックストッパ138が嵌合する。
【0041】
第1緩衝部60は、軸筒10(前軸2)及び先部材20によって形成される筆記具100の内側空間内に位置し、チャック外筒110(可動部材50)の後退時の衝撃を緩和する。
上述のとおり、チャック外筒110(可動部材50)は、操作部30の操作に連動して先部材20の内部の段差面に当接するまで前進可能である。この状態で、操作部30への入力が解除されると、チャック外筒110及びチャック外筒110に嵌合された中継部材210が、スプリング115,214の付勢力によって後退し、チャック外筒110のフランジ114は軸筒10(前軸2)の第1ストッパ11に衝突しようとする。この際、第1緩衝部60が、チャック外筒110のフランジ114と軸筒10の第1ストッパ11との間に介在するため、フランジ114の第1ストッパ11への直接的な衝突が防止され、チャック外筒110(可動部材50)の後退時の衝撃が緩和される。
【0042】
第2緩衝部70は、軸筒10(前軸2)の外周側に位置し、操作部30(サイドスライダ30A)の後退時の衝撃を緩和する。
使用者からの入力によって操作部30(サイドスライダ30A)は案内溝13に沿って前方に移動可能である。この状態で、操作部30(サイドスライダ30A)への入力が解除されると、係合爪34の前端34Aが鍔部211に係合することで中継部材210に連動するサイドスライダ30Aは、スプリング214の付勢力によって後退し、サイドスライダ30Aの後端部が第2ストッパ15に衝突しようとする。この際、第2緩衝部70が、操作部30(サイドスライダ30A)と第2ストッパ15との間に介在するため、操作部30(サイドスライダ30A)の第2ストッパ15への直接的な衝突が防止され、サイドスライダ30A(操作部30)の後退時の衝撃が緩和される。
【0043】
図1及び図7に示すように、後軸4の後端部は、栓64によって閉塞されている。図7に示すように。栓64は筒状の形状を有しており、その内部に棒状の消しゴム66が収容されるようになっている。消しゴム66の一端部は、消しゴム受け67に収容されている。また、栓64には、軸方向に沿って延在するスリット(不図示)が設けられている。消しゴム受け67の凸部(不図示)と後軸4の内側の螺旋溝4aが係合しており、栓64を周方向に回転させると、栓64に設けられたスリットに沿って消しゴム66が繰り出されるようになっている。
【0044】
軸筒10を構成する前軸2と、前軸2を少なくとも部分的に覆う軟質部材40は、二色成形によって形成されていてもよい。この場合、前軸2を一次側とし、軟質部材40を二次側として、二段階で射出成形を行うことにより、前軸2及び軟質部材40が互いに溶着された成形品を得てもよい。
【0045】
ここで、軟質部材40は、前軸2の材料よりも硬度が小さい材料から形成される。
【0046】
前軸2及び軟質部材40を二色成形で得る場合、前軸2の材料は、ポリカーボネート又はABS等の硬質樹脂であってもよく、軟質部材40の材料は、熱可塑性エラストマであってもよい。
【0047】
以下、幾つかの実施形態に係る筆記具100について、より具体的に説明する。図8図12は、それぞれ、一実施形態に係る筆記具の一部を示す断面図であり、図2及び図3におけるB-Bで示す平面における筆記具の断面図である。なお、図8図11は、それぞれ、一実施形態に係る筆記具100の前方の端部を示す図であり、図12は、一実施形態に係る筆記具100の後方の端部を示す図である。
【0048】
幾つかの実施形態では、例えば図2図3及び図7図12に示すように、筆記具100は、軸方向に沿って延びる筒状部材である上述の前軸2と、前軸2の軸方向における一方側(前方側又は後方側)の端部に連結される接続部材3(図示する実施形態においては先部材20又は後軸4)と、前軸2の径方向外側に設けられ、前軸2の少なくとも一部を覆う上述の軟質部材40と、前軸2の外周面2aから径方向外側に向かってそれぞれ突出する複数の突起部80と、を備える。複数の突起部80は、前軸2の周方向にて互いに離間して設けられる。また、軟質部材40は、複数の突起部80を覆うように設けられる。すなわち、軟質部材40は、複数の突起部80の外周側に設けられる。そして、図7図11に示すように、接続部材3は、複数の突起部80の各々の軸方向の前記一方側の端面である第1端面84(84A又は84B;以下、第1端面84と総称する)、及び、軟質部材40の前記一方側の端面44(44A又は44B;以下、端面44と総称する)の両方に当接する当接面24(24A又は24B;以下、当接面24と総称する)を有する。
【0049】
図2及び図3に示すように、前軸2には、周方向にて互いに離間して設けられる2つの突起部80が設けられていてもよい。あるいは、前軸2には、周方向にて互いに離間して設けられる3つ以上の突起部80が設けられていてもよい。
【0050】
上述の接続部材3は、前軸2の軸方向における前方側の端部に連結される先部材20であってもよい。図7図11に示す例示的な実施形態では、筆記具100は、接続部材3としての先部材20を含む。接続部材3としての先部材20は、複数の突起部80の各々の軸方向の前方側の端面である第1端面84A、及び、軟質部材40の前方側の端面44Aの両方に当接する当接面24A又を有する。
【0051】
あるいは、上述の接続部材3は、前軸2の軸方向における後方側の端部に連結される後軸4であってもよい。図7及び図12に示す例示的な実施形態では、筆記具100は、接続部材3としての後軸4を含む。接続部材3としての後軸4は、複数の突起部80の各々の軸方向の後方側の端面である第1端面84B、及び、軟質部材40の後方側の端面44Bの両方に当接する当接面24B又を有する。
【0052】
なお、図7に示す例示的な実施形態では、先部材20及び後軸4の各々が、複数の突起部80の各々の第1端面84(84A又は84B)、及び、軟質部材40の端面44(44A又は44B)の両方に当接する当接面24(24A又は24B)を有する接続部材3である。幾つかの実施形態に係る筆記具100では、先部材20又は後軸4の一方のみが、複数の突起部80の各々の第1端面84(84A又は84B)、及び、軟質部材40の端面44(44A又は44B)の両方に当接する当接面24(24A又は24B)を有する接続部材3であってもよい。
【0053】
上述の実施形態では、筆記具100は、周方向にて互いに離間して設けられ、前軸2の外周面2aから径方向外側に向かってそれぞれ突出する複数の突起部80を備え、前軸2に連結される接続部材3(先部材20又は後軸4)は、複数の突起部80の各々の軸方向の端面(第1端面84)、及び、軟質部材40の軸方向の端面44の両方に当接する当接面24を有する。よって、前軸2と接続部材3との連結時等に、軟質部材40が軸方向に押圧されて径方向外側へ膨出してしまうのを効果的に抑制することができる。
また、上述の実施形態では、上述の複数の突起部80が設けられる。これにより、周方向において、複数の突起部80を含む前軸2と軟質部材40との接触面積が大きくなり、アンカー効果が高まるため、前軸2と軟質部材40とが強固に固着しやすくなる。よって、軟質部材40の膨潤が起きたとしても、軟質部材40の前軸2からの剥離が起き難い。また、周方向において突起部80が存在しない位置において軟質部材40の厚さが比較的厚くなるため、軟質部材40の膨潤の進行を抑制することができる。
よって、上述の実施形態によれば、軟質部材40の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。
なお、本例においては、一実施形態に係る筆記具としてシャープペンシルを例示したが、別の一実施形態に係る筆記具は、先部材の先端にボールペンチップを取り付けたボールペンであってもよい。あるいは、一実施形態に係る筆記具又は塗布具は、先部材の先端に画筆のような繊維束体を取り付けた化粧用具であってもよいし、さらには、先部材の先端にフェルト状のペン先を取り付けたマーキングペンであってもよい。
【0054】
幾つかの実施形態では、例えば図2図3図7及び図8図12等に示すように、軟質部材40の少なくとも一部は、突起部80の径方向外側面80aよりも径方向外側に位置する。
【0055】
この場合、軟質部材40の少なくとも一部は突起部80の径方向外側面80aよりも径方向外側に位置するので、突起部の露出を抑制できる。これにより、筆記具の外観が良好となる。
【0056】
幾つかの実施形態では、突起部80の第1端面84と接続部材3の当接面24とが接触する領域の径方向における寸法は、突起部80の高さH(図2参照)の20%以上である。
【0057】
この場合、突起部80の第1端面84と接続部材3の当接面24とが接触する領域の径方向における寸法が、突起部80の高さHの20%以上であるので、第1端面84と当接面24との接触面積をある程度確保できる。したがって、前軸2に接続部材3を螺合や嵌合で接続する際に、接続部材3で突起部80が押圧されても、第1端面84と当接面24との接触を維持しやすい。よって、軟質部材40の膨潤又は膨潤による剥離をより効果的に抑制することができる。
【0058】
なお、図8図12に示す例示的な実施形態では、径方向における突起部80の延在範囲の全体に亘り、第1端面84と当接面24とが接触しており、第1端面84と当接面24とが接触する領域の径方向における寸法は、突起部80の高さHの100%である。他の実施形態では、例えば、当接面24が形成される接続部材3の端部に面取りが施されることがある。この場合、径方向における突起部80の延在範囲の一部において、第1端面84と当接面24とが接触することになり、第1端面84と当接面24とが接触する領域の径方向における寸法は、突起部80の高さHの100%未満となる。
【0059】
幾つかの実施形態では、例えば図7及び図8に示すように、突起部80は、軸方向の広い範囲に亘って延在するように設けられる。
【0060】
例えば、突起部80は、第1端面84から、軸方向における前軸2の中央位置Pc(図7参照)に至るまで軸方向に沿って延在してもよい。なお、図7におけるPaは、前軸2の前端の位置を示し、Pbは、前軸2の後端の位置を示す。Pcは、軸方向において、Paまでの距離とPbまでの距離が等しい位置である。図7に示す例示的な実施形態では、突起部80は、先部材20の当接面24Aに当接する第1端面84Aから中央位置Pcに至るまで軸方向に沿って延びている。また、図7に示す例示的な実施形態では、突起部80は、後軸4の当接面24Bに当接する第1端面84Bから中央位置Pcに至るまで軸方向に沿って延びている。
【0061】
あるいは、突起部80は、軸方向において操作部30(図示する例ではサイドスライダ30A;図1及び図4参照)とオーバーラップするように軸方向に沿って延在してもよい。なお、図7において、操作部30の軸方向における延在領域(移動可能な範囲)R1が示されている。図7に示す例示的な実施形態では、突起部80は、軸方向において、操作部30の延在領域とオーバーラップするように設けられている。
【0062】
あるいは、突起部80は、図7に示すように、先部材20と後軸4との間を軸方向に沿って延在してもよい。すなわち、突起部80の軸方向における両端面が、先部材20及び後軸4にそれぞれ対向するようになっていてもよい。
【0063】
上述の幾つかの実施形態では、複数の突起部80が軸方向において比較的広い領域を延在する。よって、突起部80と軟質部材40との接触面積が大きくなるため、軟質部材40の膨潤又は膨潤による剥離をより効果的に抑制することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、例えば図9図11に示すように、複数の突起部80は、前軸2の一端側(図9図11では前方側)の端部のみに設けられる。
【0065】
突起部80の材質によっては、筆記具100を把持したときに、軟質部材40を介して突起部80の感触が指に伝わってくる場合がある。この点、上述のように、複数の突起部80を前軸2の端部のみに設けることで、軸方向における端部を除く比較的広い領域において、突起部80が存在せず、前軸2を覆う軟質部材40の厚さが周方向にて一様になりやすい。よって、筆記具100を把持したときに均質な質感が得られやすい。
【0066】
より具体的には、突起部80の軸方向における長さL(図9参照)は、前軸2の外周面2aを基準とする突起部80の高さH(図2参照)の2倍以上4倍以下であってもよい。
【0067】
この場合、突起部80の軸方向の長さLが突起部80の高さHの2倍以上であるので、突起部80を含む前軸2と軟質部材40との接触面積を大きくしやすい。よって、軟質部材40の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。また、突起部80の軸方向の長さLが突起部80の高さHの4倍以下であるので、突起部80が前軸2の端部にのみ位置する。このため、軸方向における端部を除く比較的広い領域において、突起部80が存在せず、前軸2を覆う軟質部材40の厚さが周方向において一様になりやすい。よって、筆記具100を把持したときに均質な質感が得られやすい。
【0068】
あるいは、突起部80の周方向における長さWは、突起部80の軸方向における長さLの150%以上250%以下であってもよい。
【0069】
この場合、突起部80の周方向の長さWが突起部80の軸方向における長さLの250%以下であるので、突起部80を含む前軸2と軟質部材40との接触面積を大きくしやすい。よって、軟質部材40の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。また、突起部80の周方向の長さWが突起部80の軸方向における長さLの250%以上であるので、突起部80が前軸2の端部にのみ位置する。このため、軸方向における端部を除く比較的広い領域において、突起部80が存在せず、前軸2を覆う軟質部材40の厚さが周方向にて一様になりやすい。よって、筆記具を把持したときに均質な質感が得られやすい。
【0070】
幾つかの実施形態では、前軸2の外周面2aを基準とする突起部80の高さHは、前軸2の外周面2aの直径D(図2参照)の3%以上15%以下であってもよい。
【0071】
この場合、前軸2の外周面2aを基準とする突起部80の高さHが、前軸2の外周面2aの直径の15%以上であるので、突起部80を含む前軸2と軟質部材40との接触面積を大きくしやすい。よって、軟質部材40の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。また、前軸2の外周面2aを基準とする突起部80の高さHが、前軸2の外周面2aの直径Dの40%以下であるので、突起部80の径方向外側に位置する軟質部材40の厚さを維持しやすい。このため、軟質部材40の膨潤の進行をより効果的に抑制することができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、例えば図11に示すように、突起部80の第1端面84(図11では第1端面84A)は、軟質部材40の端面44(図11では端面44A)よりも、軸方向の前記一方側(図11では前方側)に位置する。なお、この場合、当接面24(図11では当接面24A)は、軟質部材40の端面44に当接する部分24a(図11では部分24Aa)と、該部分24aよりも前記一方側(図11では前方側)にて突起部80の第1端面84に当接する部分24b(図11では部分24Ab)と、を含む。
【0073】
上述の実施形態では、突起部80の第1端面84(図11では第1端面84A)を含む端部が、軸方向にて軟質部材40の端面44(図11では端面44A)よりも前記一方側(図11では前方側)に突出している。よって、突起部80を含む前軸2と、軟質部材40とを二色成形によって成形する場合に、バリが生じ難く、成形しやすい。
【0074】
すなわち、突起部80を含む前軸2(一次側の部材)を射出成型した後に軟質部材40(二次側の部材)を射出成形する際に、突起部80が二次側の金型よりも軸方向に突出しているため、突起部80の第1端面84側に二次側の材料が入り込むのが抑制される。このためバリができ難く、成形性が良好となる。
【0075】
幾つかの実施形態では、例えば図10に示すように、突起部80は、軸方向における他方側(図10では後方側;第1端面84とは反対側)の端面である第2端面86(図10参照)を含む端部を含む。そして該端部は、軸方向にて他方側(図10では後方側)に向かうにしたがい前軸2の中心軸に近づくように傾斜する傾斜部87を有する。
【0076】
上述の実施形態によれば、突起部80の第1端面84とは反対側の第2端面86を含む端部は、軸方向にて他方側(図10では後方側)に向かうにしたがい(即ち第2端面86に近づくにしたがい)前軸2の中心軸に近づくように傾斜する傾斜部87を有する。すなわち、突起部80の該端部において厚みが徐々に変化するため、成形時におけるヒケを防止することができる。よって、意図した形状の突起部80を有する筆記具が得られやすい。
【0077】
なお、幾つかの実施形態では、例えば図9又は図11に示すように、突起部80の他方側(図9及び図11では後方側)の第2端面86は、軸方向に直交する面に沿って延在していてもよい。
【0078】
突起部80の形状は、特に限定されない。突起部の形状に応じて筆記具100を把持したときの感触(把持感)が変わるため、突起部の形状をユーザーの好み等に合わせて選択することができる。
【0079】
ここで、図13及び図14は、それぞれ、一実施形態に係る筆記具100の径方向に沿った断面を示す図であり、図2の変形例を示すものである。図15~18は、それぞれ、一実施形態に係る筆記具100の前軸2の径方向に沿った断面を示す図である。
【0080】
突起部80は、径方向に沿った断面の形状が、例えば図2及び図3に示すように円環の一部を切り取った形状であってもよく、あるいは、図13に示すように三角形であってもよい。また、特に図示しないが、突起部80の径方向に沿った断面の形状は、台形、半円、又は、半楕円等であってもよい。
【0081】
また、突起部80は、周方向に配列される複数の部分を有してもよい。例えば、図14に示す突起部80は、周方向に配列される3つの部分88a,88b,88cを含む。
【0082】
また、突起部80の軸方向に沿った断面の形状は、例えば図7に示すように、軸方向に沿って延びる直線状の形状を有していてもよいし、あるいは、図15図17に示すように、突起部80の表面が凹凸を有していてもよい。図15に示す例では、軸方向断面において、突起部80の表面が、複数の凸部82及び凹部83を含む波形形状を有している。図16に示す例では、突起部80は、該突起部80の表面から突出する複数の凸部85を有している。図17に示す例では、突起部80は、該突起部80の表面から凹む複数の凹部89を有している。幾つかの実施形態では、突起部80は、該突起部80の表面から突出する凸部及び該突起部80の表面から凹む凹部の両方を有していてもよい。
【0083】
また、例えば図18に示すように、前軸2は、接続部材3(先部材20又は後軸4)の当接面24に当接する第1端面84を有する突起部80に加え、前軸2の外周面から径方向外側に突出する凸部81を有していてもよい。図18に示す例では、前軸2には、軸方向に配列される複数の凸部81が設けられている。このように、突起部80以外の凸部81を設けることによっても、筆記具100の把持感を調節することができる。
【0084】
幾つかの実施形態では、軟質部材40は、軟質部材40の端面44よりも軸方向の前記一方側において接続部材3の径方向内側に位置するとともに前軸2を覆う延長部を含む。例えば、図4図8に示す例示的な実施形態では、軟質部材40は、端面44Aよりも軸方向の前方側において先部材20(接続部材3)の径方向内側に位置するとともに前軸2を覆う上述の接続部42(延長部)を含む。なお、図4図8において、接続部42(延長部)は、軟質部材40の端面44に当接する先部材20の当接面24A(すなわち、先部材20の後端面)よりも前方に位置している。
【0085】
上述の実施形態では、先部材20(接続部材3)の当接面24に当接する軟質部材40の端面44よりも前方側(即ち接続部材3側)において、先部材20(接続部材3)の径方向内側にて前軸2を覆う接続部42(延長部)を設けたので、前軸2と軟質部材40との接触面積をより大きくすることができる。よって、軟質部材40の膨潤による剥離をより効果的に抑制することができる。
【0086】
上述の延長部は、周方向にて突起部80とずれた位置にて軸方向に延びる軸方向延在部を含んでもよい。図4図8に示す例示的な実施形態では、接続部42(延長部)は、例えば図6に示されるように、周方向に分断された複数の雄ねじ12(12A,12B)の間を通過して前後方向(軸方向)に延在する軸方向延在部を含む。図4図8からわかるように、この軸方向延在部(接続部42)は、周方向において突起部80とはずれて位置している。
【0087】
この場合、延長部の軸方向延在部(接続部42)と、突起部80とが周方向にてずれて位置する。すなわち、延長部(軟質部材40)の軸方向延在部(接続部42)は、周方向にて突起部80が存在しない領域に設けられるため、突起部80を覆い、かつ、延長部(接続部42)を有する軟質部材40を適切に成形することができる。
【0088】
なお、前軸2と後軸4との嵌合による連結は、以下のように説明できる。
図12に示すように、後軸4には、後軸4の内周面から径方向内側に向かって突出する嵌合リブ94が設けられる。なお、周方向において互いに離間するように複数の嵌合リブ94が設けられていてもよい。また、前軸2には、前軸2の外周面から凹むように設けられる嵌合溝部90が設けられる。嵌合溝部90は、前軸2の外周面の全周に亘り円周状に設けられていてもよい。
【0089】
後軸4の嵌合リブ94と、前軸2の嵌合溝部90とが係合すると、係合部98において、嵌合リブ94の斜面96及び嵌合溝部90の斜面92を介して、嵌合リブ94の箇所に圧縮方向の力がかかることになり、後軸4の内部では、軸方向前方向きの応力(嵌合力)が発生する。このように後軸4の内部で発生した応力は、当接面24を介して前軸2の突起部80で受け止められる。この嵌合力により、前軸2と後軸4とが連結され、前軸2と後軸4との外れが防止される。
【0090】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0091】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る筆記具(100)又は塗布具は、
軸方向に沿って延びる筒状部材である前軸(2)と、
前記前軸の前記軸方向における一方側の端部に連結される接続部材(3)と、
前記前軸の径方向外側に設けられ、前記前軸の少なくとも一部を覆う軟質部材(40)と、
前記前軸の周方向にて互いに離間して設けられ、前記前軸の外周面から径方向外側に向かってそれぞれ突出する複数の突起部(80)と、
を備え、
前記軟質部材は、前記複数の突起部を覆うように設けられ、
前記接続部材は、前記複数の突起部の各々の前記軸方向の前記一方側の端面である第1端面(84)、及び、前記軟質部材の前記軸方向の前記一方側の端面(44)の両方に当接する当接面(24)を有する。
【0092】
上記(1)の構成では、筆記具又は塗布具は、周方向にて互いに離間して設けられ、前軸の外周面から径方向外側に向かってそれぞれ突出する複数の突起部を備え、前軸に連結される接続部材は、複数の突起部の各々の軸方向の端面(第1端面)、及び、軟質部材の軸方向の端面の両方に当接する当接面を有する。よって、前軸と接続部材との連結時等に、軟質部材が軸方向に押圧されて径方向外側へ膨出してしまうのを効果的に抑制することができる。
また、上記(1)の構成では、上述の複数の突起部が設けられる。これにより、周方向において、複数の突起部を含む前軸と軟質部材との接触面積が大きくなり、アンカー効果が高まるため、前軸と軟質部材とが強固に固着しやすくなる。よって、軟質部材の膨潤が起きたとしても、軟質部材の前軸からの剥離が起き難い。また、周方向において突起部が存在しない位置において軟質部材の厚さが比較的厚くなるため、軟質部材の膨潤の進行を抑制することができる。
よって、上記(1)の構成によれば、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。
【0093】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記複数の突起部は、前記軸方向における前記前軸の中央位置(Pc)に至るまで軸方向に沿って延在する。
【0094】
上記(2)の構成では、複数の突起部は、軸方向における前軸の端部から中央位置に至るまで軸方向に沿って延在する。即ち、上記(2)の構成では、複数の突起部が軸方向において比較的広い領域を延在する。よって、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離をより効果的に抑制することができる。
【0095】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記前軸の前記軸方向における前方側の端部に連結される先部材(20)と、
前記前軸の側方に設けられ、前記先部材からの筆記部の出没状態を切り替える操作が入力される操作部(30)を備え、
前記複数の突起部は、前記軸方向において前記操作部とオーバーラップするように前記軸方向に沿って延びる。
【0096】
筆記部の出没状態を切替えるための操作部(ノック部やスライダ部等)は、前軸の側方に設けられる場合、軸方向における前軸の中央位置の近傍に設けられる。上記(3)の構成では、複数の突起部は、軸方向において操作部とオーバーラップするように軸方向に沿って延在する。即ち、上記(3)の構成では、複数の突起部が軸方向において比較的広い領域を延在する。よって、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離をより効果的に抑制することができる。
【0097】
(3’)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記軟質部材の少なくとも一部は、前記突起部の径方向外側面(80a)よりも径方向外側に位置する。
【0098】
上記(3’)の構成によれば、軟質部材の少なくとも一部は突起部の径方向外側面よりも径方向外側に位置するので、突起部の露出を抑制できる。これにより、筆記具又は塗布具の外観が良好となる。
【0099】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3’)の何れかの構成において、
前記突起部の前記第1端面と前記接続部材の前記当接面とが接触する領域の径方向における寸法は、前記突起部の高さの20%以上である。
【0100】
上記(4)の構成によれば、突起部の第1端面と接続部材の当接面とが接触する領域の径方向における寸法が、突起部の高さの20%以上であるので、第1端面と当接面との接触面積をある程度確保できる。したがって、前軸に接続部材を螺合や嵌合で接続する際に、接続部材で突起部が押圧されても、第1端面と当接面との接触を維持しやすい。よって、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離をより効果的に抑制することができる。
【0101】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)、(3’)又は(4)の構成において、
前記複数の突起部は、前記前軸の前記一端側の端部のみに設けられる。
【0102】
突起部の材質によっては、筆記具又は塗布具を把持したときに、軟質部材を介して突起部の感触が指に伝わってくる場合がある。この点、上記(5)の構成によれば、複数の突起部が前軸の端部のみに設けられるので、軸方向における端部を除く比較的広い領域において、突起部が存在せず、前軸を覆う軟質部材の厚さが一様になりやすい。よって、筆記具又は塗布具を把持したときに均質な質感が得られやすい。
【0103】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記突起部の前記軸方向における長さ(L)は、前記前軸の外周面を基準とする前記突起部の高さ(H)の2倍以上4倍以下である。
【0104】
上記(6)の構成では、突起部の軸方向の長さが突起部の高さの2倍以上であるので、突起部を含む前軸と軟質部材との接触面積を大きくしやすい。よって、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。また、上記(6)の構成では、突起部の軸方向の長さが突起部の高さの4倍以下であるので、突起部が前軸の端部にのみ位置する。このため、軸方向における端部を除く比較的広い領域において、突起部が存在せず、前軸を覆う軟質部材の厚さが周方向において一様になりやすい。よって、筆記具又は塗布具を把持したときに均質な質感が得られやすい。よって、上記(6)の構成によれば、筆記具又は塗布具を把持したときに均質な質感が得られやすくなるとともに、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。
【0105】
(6’)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記外周面を基準とする前記突起部の高さ(H)は、前記前軸の前記外周面の直径(D)の3%以上15%以下である。
【0106】
上記(6’)の構成では、前軸の外周面を基準とする突起部の高さは、前軸の外周面の直径の3%以上であるので、突起部を含む前軸と軟質部材との接触面積を大きくしやすい。よって、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。また、上記(6’)の構成では、前軸の外周面を基準とする突起部の高さは、前軸の外周面の直径の15%以下であるので、突起部の径方向外側に位置する軟質部材の厚さを維持しやすい。このため、軟質部材の膨潤の進行をより効果的に抑制することができる。よって、上記(6’)の構成によれば、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。
【0107】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)乃至(6’)の何れかの構成において、
前記突起部の前記周方向における長さ(W)は、前記突起部の前記軸方向における長さ(L)の150%以上250%以下である。
【0108】
上記(7)の構成では、突起部の周方向における長さが突起部の軸方向における長さの250%以下であるので、突起部を含む前軸と軟質部材との接触面積を大きくしやすい。よって、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。また、上記(7)の構成では、突起部の周方向における長さが突起部の軸方向における長さの150%以上であるので、突起部が前軸の端部にのみ位置する。このため、軸方向における端部を除く比較的広い領域において、突起部が存在せず、前軸を覆う軟質部材の厚さが周方向において一様になりやすい。よって、筆記具又は塗布具を把持したときに均質な質感が得られやすい。よって、上記(7)の構成によれば、筆記具又は塗布具を把持したときに均質な質感が得られやすくなるとともに、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。
【0109】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、
前記突起部の前記第1端面は、前記軟質部材の前記端面よりも、前記軸方向の前記一方側に位置する。
【0110】
上記(8)の構成によれば、突起部の第1端面が軟質部材の端面よりも軸方向の一方側に位置する。すなわち、突起部の第1端面を含む端部が、軸方向にて軟質部材よりも突出している。よって、突起部を含む前軸と、軟質部材とを二色成形によって成形する場合に、バリが生じ難く、成形しやすい。
【0111】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記複数の突起部の各々は、前記軸方向における他方側の端面である第2端面(86)を含む端部を含み、
前記端部は、前記軸方向にて前記他方側に向かうにしたがい前記前軸の中心軸に近づくように傾斜する傾斜部(87)を有する。
【0112】
上記(9)の構成によれば、突起部の第1端面とは反対側の第2端面を含む端部は、軸方向にて他方側に向かうにしたがい(即ち第2端面に近づくにしたがい)前軸の中心軸に近づくように傾斜する傾斜部を有する。すなわち、突起部の端部において厚みが徐々に変化するため、成形時におけるヒケを防止することができる。よって、意図した形状の突起部を有する筆記具又は塗布具が得られやすい。
【0113】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記軟質部材は、前記軟質部材の前記端面よりも前記軸方向の前記一方側において前記接続部材の径方向内側に位置するとともに前記前軸を覆う延長部(例えば上述の接続部42)を含む。
【0114】
上記(10)の構成では、接続部材の当接面に当接する軟質部材の端面よりも一方側(即ち接続部材側)において、接続部材の径方向内側にて前軸を覆う延長部を設けたので、前軸と軟質部材との接触面積をより大きくすることができる。よって、上記(10)の構成によれば、軟質部材の膨潤による剥離をより効果的に抑制することができる。
【0115】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、
前記延長部は、前記周方向にて前記突起部とずれた位置にて前記軸方向に延びる軸方向延在部(例えば上述の接続部42)を含む。
【0116】
上記(11)の構成によれば、延長部の軸方向延在部と、突起部とが周方向にてずれて位置する。すなわち、延長部(軟質部材)の軸方向延在部は、周方向にて突起部が存在しない領域に設けられるため、突起部を覆い、かつ、延長部を有する軟質部材を適切に成形することができる。
【0117】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れかの構成において、
前記前軸と前記接続部材(例えば上述の先部材20)とは、螺合により連結されている。
【0118】
上記(12)の構成によれば、前軸と接続部材とが螺合により連結される筆記具又は塗布具において、上記(1)で述べたように、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。
【0119】
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(12)の何れかの構成において、
前記前軸と前記接続部材(例えば上述の後軸4)とは、嵌合により連結されている。
【0120】
上記(13)の構成によれば、前軸と接続部材とが嵌合により連結される筆記具又は塗布具において、上記(1)で述べたように、軟質部材の膨潤又は膨潤による剥離を効果的に抑制することができる。
【0121】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(13)の何れかの構成において、
前記接続部材は、前記前軸の前記軸方向における前方の端部に連結される先部材(20)を含む。
【0122】
上記(14)の構成によれば、接続部材は、前軸の前方の端部に連結される先部材を含み、該先部材は、複数の突起部の各々の軸方向の端面(第1端面)、及び、軟質部材の軸方向の端面の両方に当接する当接面を有する。よって、前軸と先部材との連結時等に、軟質部材が軸方向に押圧されて径方向外側へ膨出してしまうのを効果的に抑制することができる。
【0123】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(14)の何れかの構成において、
前記接続部材は、前記前軸の前記軸方向における後方の端部に連結される筒状部材である後軸(4)を含む。
【0124】
上記(15)の構成によれば、接続部材は、前軸の後方の端部に連結される後軸を含み、該後軸は、複数の突起部の各々の軸方向の端面(第1端面)、及び、軟質部材の軸方向の端面の両方に当接する当接面を有する。よって、前軸と後軸との連結時等に、軟質部材が軸方向に押圧されて径方向外側へ膨出してしまうのを効果的に抑制することができる。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0126】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0127】
2 前軸
2a 外周面
3 接続部材
4 後軸
4a 螺旋溝
5 切欠き
6 クリップ
10 軸筒
11 第1ストッパ
12 雄ねじ
12A 雄ねじ
12B 雄ねじ
13 案内溝
14 係合窓
15 第2ストッパ
20 先部材
21 後端部
22 雌ねじ
24 当接面
24A 当接面
24Aa 部分
24Ab 部分
24B 当接面
24a 部分
24b 部分
30 操作部
30A サイドスライダ
32 スライド板部
34 係合爪
34A 前端
36 係合凸部
40 軟質部材
42 接続部
44 端面
44A 端面
44B 端面
50 可動部材
60 第1緩衝部
64 栓
66 消しゴム
67 消しゴム受け
70 第2緩衝部
80 突起部
80a 径方向外側面
81 凸部
82 凸部
83 凹部
84 第1端面
84A 第1端面
84B 第1端面
85 凸部
86 第2端面
87 傾斜部
88a 部分
88b 部分
88c 部分
89 凹部
90 嵌合溝部
92 斜面
94 嵌合リブ
96 斜面
98 係合部
100 筆記具
110 チャック外筒
112 テーパ
114 フランジ
115 スプリング
118 スプリング
120 チャック
132 凹部
134 ボール
136 チャックリング
138 チャックストッパ
200 筆記部
201 芯パイプ
210 中継部材
211 鍔部
212 隆起部
213 凹部
214 スプリング
220 チャックセット
H 高さ
Pc 中央位置
W2 窓長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17
図18