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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101398
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】足首運動装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20240722BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20240722BHJP
   A63B 23/08 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A61H1/02 N
A63B24/00
A63B23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005360
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】511058040
【氏名又は名称】株式会社坂井電機
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康秀
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA04
4C046AA10
4C046AA45
4C046AA46
4C046AA48
4C046BB09
4C046CC01
4C046DD02
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を向上させることが可能な足首運動装置を開示すること。
【解決手段】足首運動装置は、ユーザの左足が載置される左載置台と、ユーザの右足が載置される右載置台と、左足載置台及び右足載置台のそれぞれを内転方向に同時的に揺動可能に構成されていると共に左足載置台及び右足載置台のそれぞれを外転方向に同時的に揺動可能に構成されている第1の揺動機構と、第1の揺動機構に接続される第1のモータと、左足載置台及び右足載置台のそれぞれを背屈方向に同時的に揺動可能に構成されていると共に左足載置台及び右足載置台のそれぞれを座屈方向に同時的に揺動可能に構成されている第2の揺動機構と、第2の揺動機構に接続される第2のモータと、第1のモータと第2のモータとのそれぞれを独立して制御可能なコントローラと、を備えてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの足首を運動させるための足首運動装置であって、
前記ユーザの左足が載置される左載置台と、
前記ユーザの右足が載置される右載置台と、
前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを内転方向に同時的に揺動可能に構成されていると共に前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを外転方向に同時的に揺動可能に構成されている第1の揺動機構と、
前記第1の揺動機構に接続される第1のモータと、
前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを背屈方向に同時的に揺動可能に構成されていると共に前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを座屈方向に同時的に揺動可能に構成されている第2の揺動機構と、
前記第2の揺動機構に接続される第2のモータと、
前記第1のモータと前記第2のモータとのそれぞれを独立して制御可能なコントローラと、を備える、足首運動装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
メモリに記憶されている設定値に従った内転外転方向の可動範囲内で前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれが前記内転外転方向に揺動するように、前記第1のモータを制御し、
前記メモリに記憶されている前記設定値に従った背屈座屈方向の可動範囲内で前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれが前記背屈座屈方向に揺動するように、前記第2のモータを制御する、請求項1に記載の足首運動装置。
【請求項3】
前記足首運動装置は、前記ユーザの前記左足が前記左足載置台に載置されていると共に前記ユーザの前記右足が前記右足載置台に載置されている状態において、複数のモードのうちのいずれかのモードで動作可能であり、
前記足首運動装置が前記複数のモードのうちのフレイルモードで動作する場合に、前記コントローラは、
前記左足載置台及び前記右足載置台を前記内転方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を内転停止位置として決定し、
前記左足載置台及び前記右足載置台を前記外転方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を外転停止位置として決定し、
前記左足載置台及び前記右足載置台を前記背屈方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を背屈停止位置として決定し、
前記左足載置台及び前記右足載置台を前記座屈方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を座屈停止位置として決定し、
前記設定値は、前記内転停止位置と前記外転停止位置と前記背屈停止位置と前記座屈停止位置とを示し、
前記足首運動装置が前記複数のモードのうちの特定のモードであって、前記フレイルモードとは異なる前記特定のモードで動作する場合に、前記コントローラは、
前記内転停止位置と前記外転停止位置との間を前記内転外転方向の可動範囲として前記第1のモータを制御し、
前記背屈停止位置と前記座屈停止位置との間を前記背屈座屈方向の可動範囲として前記第2のモータを制御する、請求項2に記載の足首運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ユーザの足首を運動させるための足首運動装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、足首回転装置が開示されている。この足首回転装置では、駆動部が平歯車を回転させると、左右の受け台が内転外転方向及び背屈座屈方向のそれぞれに同時的に揺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-261256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、1個の駆動部しか設けられていないので、受け台の運動パターンが限定的である。本明細書では、ユーザの利便性を向上させることが可能な足首運動装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、ユーザの足首を運動させるための足首運動装置を開示する。足首運動装置は、前記ユーザの左足が載置される左載置台と、前記ユーザの右足が載置される右載置台と、前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを内転方向に同時的に揺動可能に構成されていると共に前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを外転方向に同時的に揺動可能に構成されている第1の揺動機構と、前記第1の揺動機構に接続される第1のモータと、前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを背屈方向に同時的に揺動可能に構成されていると共に前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれを座屈方向に同時的に揺動可能に構成されている第2の揺動機構と、前記第2の揺動機構に接続される第2のモータと、前記第1のモータと前記第2のモータとのそれぞれを独立して制御可能なコントローラと、を備えてもよい。
【0006】
上記の構成によると、足首運動装置は、内転外転方向の揺動のための第1のモータと、背屈座屈方向の揺動のための第2のモータと、のそれぞれを独立して制御可能である。このために、足首運動装置は、様々な運動パターンで左足載置台及び右足載置台を動作させることができる。例えば、足首運動装置は、内転外転方向のみ又は背屈座屈方向のみに左足載置台及び右足載置台を揺動させることができるし、内転外転方向及び背屈座屈方向に同時的に左足載置台及び右足載置台を揺動させることができる。このために、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0007】
前記足首運動装置は、さらに、メモリを備えてもよい。前記コントローラは、前記メモリに記憶されている設定値に従った内転外転方向の可動範囲内で前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれが前記内転外転方向に揺動するように、前記第1のモータを制御し、前記メモリに記憶されている前記設定値に従った背屈座屈方向の可動範囲内で前記左足載置台及び前記右足載置台のそれぞれが前記背屈座屈方向に揺動するように、前記第2のモータを制御してもよい。
【0008】
上記の構成によると、足首運動装置は、ユーザに応じた設定値に従った可動範囲内で各載置台を各方向に揺動させることができる。
【0009】
前記足首運動装置は、前記ユーザの前記左足が前記左足載置台に載置されていると共に前記ユーザの前記右足が前記右足載置台に載置されている状態において、複数のモードのうちのいずれかのモードで動作可能であってもよい。前記足首運動装置が前記複数のモードのうちのフレイルモードで動作する場合に、前記コントローラは、前記左足載置台及び前記右足載置台を前記内転方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を内転停止位置として決定し、前記左足載置台及び前記右足載置台を前記外転方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を外転停止位置として決定し、前記左足載置台及び前記右足載置台を前記背屈方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を背屈停止位置として決定し、前記左足載置台及び前記右足載置台を前記座屈方向に揺動させて、当該揺動が停止する位置を座屈停止位置として決定してもよい。前記設定値は、前記内転停止位置と前記外転停止位置と前記背屈停止位置と前記座屈停止位置とを示してもよい。前記足首運動装置が前記複数のモードのうちの特定のモードであって、前記フレイルモードとは異なる前記特定のモードで動作する場合に、前記コントローラは、前記内転停止位置と前記外転停止位置との間を前記内転外転方向の可動範囲として前記第1のモータを制御し、前記背屈停止位置と前記座屈停止位置との間を前記背屈座屈方向の可動範囲として前記第2のモータを制御してもよい。
【0010】
上記の構成によると、足首運動装置は、フレイルモードで動作する場合に、ユーザに応じた各方向の各停止位置を決定し、特定のモードで動作する場合に、決定済みの各停止位置を示す設定値に従った可動範囲内で各載置台を各方向に揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】足首運動装置の斜視図を示す。
図2】カバーが取り外された状態の足首運動装置の斜視図を示す。
図3図2の状態から左足載置台及び右足載置台が取り外された状態の足首運動装置の斜視図を示す。
図4】各載置台が25度内転した状態の足首運動装置の平面図を示す。
図5】各載置台が10度内転した状態の足首運動装置の平面図を示す。
図6】各載置台が15度外転した状態の足首運動装置の平面図を示す。
図7】各載置台が5度外転した状態の足首運動装置の平面図を示す。
図8】各載置台が25度背屈した状態の足首運動装置の側面図を示す。
図9】各載置台が10度背屈した状態の足首運動装置の側面図を示す。
図10】各載置台が45度座屈した状態の足首運動装置の側面図を示す。
図11】各載置台が20度座屈した状態の足首運動装置の側面図を示す。
図12】支持台が取り外された状態の足首運動装置の斜視図を示す。
図13】ベッドに設置された足首運動装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、図1図3を参照して、足首運動装置10の構成を説明する。なお、以下で記述する方向は、ユーザが足首運動装置10を利用する状態において、ユーザから見た方向を意味する。
【0013】
図1に示されるように、足首運動装置10は、カバー部材20と、支持台30と、下フレーム32と、背面フレーム34と、左足載置台100と、右足載置台200と、を備える。足首運動装置10は、さらに、カバー部材20の内部に、コントローラ50とメモリ60とを備える。
【0014】
図2に示されるように、カバー部材20の内部には、左足載置台100及び右足載置台200を揺動させるための機構が設けられている。まず、左足載置台100及び右足載置台200を背屈座屈方向に揺動させる機構について説明する。
【0015】
足首運動装置10は、モータ300と、複数個のギア310,320と、回転シャフト330と、エンコーダ350と、を備える。モータ300は、左足載置台100及び右足載置台200を背屈座屈方向に揺動させるための駆動源である。モータ300の回転軸は、ギア310に接続されている。ギア310は、ギア320と噛み合っている。ギア320は、回転シャフト330に接続されている。回転シャフト330の一端は、左足載置台100に接続されており、回転シャフト330の他端は、右足載置台200に接続されている。
【0016】
上記の構成によると、モータ300が駆動されると、ギア310,320を介して、回転シャフト330が回転する。この結果、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれが背屈座屈方向に揺動する。
【0017】
足首運動装置10は、さらに、エンコーダ350を備える。エンコーダ350は、ギア320と接続されており、ギア320の回転位置(換言すると位相)を検出する。エンコーダ350の検出値は、コントローラ50に供給される。これにより、コントローラ50は、ギア320の回転位置、換言すると、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれの背屈座屈方向の現在の位置を知ることができる。
【0018】
続いて、左足載置台100及び右足載置台200を内転外転方向に揺動させる機構について説明する。足首運動装置10は、さらに、モータ300とは異なるモータ400を備える。モータ400は、左足載置台100及び右足載置台200を内転外転方向に揺動させるための駆動源である。
【0019】
図3に示されるように、足首運動装置10は、さらに、複数個のギア402,410,412,414,430,450と、複数個のラック420,440と、を備える。モータ400の回転軸は、ギア402に接続されている。ギア402は、ギア410と噛み合っている。ギア410の回転軸には、ギア412が固定されている。ギア412は、ラック440と噛み合っており、ラック440を左右方向(即ち図3の上下方向)に移動させるピニオンとして機能する。ラック440は、ギア450と噛み合っている。ギア450の回転軸452には、右足載置台200が固定されている。ギア412は、さらに、ギア414と噛み合っている。ギア414は、ラック420と噛み合っており、ラック420を左右方向に移動させるピニオンとして機能する。ラック420は、ギア430と噛み合っている。ギア430の回転軸432には、左足載置台100が固定されている。
【0020】
上記の構成によると、モータ400が駆動されると、ギア402,410,410,414を介して、ラック420,440が左右方向(即ち図3の上下方向)に移動する。例えばギア410,412が反時計回りに回転すると、ラック440が右方向(即ち図3の上方向)に移動する。この結果、ギア450が反時計回りに回転し、右足載置台200が内転方向に揺動する。ギア410,412が反時計回りに回転すると、さらに、ギア414が時計回りに回転し、ラック420が右方向(即ち図3の上方向)に移動する。この結果、ギア430が時計回りに回転し、左足載置台100が内転方向に揺動する。即ち、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれが同時的に内転方向に揺動する。また、例えばギア410,412が時計回りに回転すると、ラック440が左方向(即ち図3の下方向)に移動する。この結果、ギア450が時計回りに回転し、右足載置台200が外転方向に揺動する。ギア410,412が時計回りに回転すると、さらに、ギア414が反時計回りに回転し、ラック420が左方向(即ち図3の下方向)に移動する。この結果、ギア430が反時計回りに回転し、左足載置台100が外転方向に揺動する。即ち、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれが同時的に外転方向に揺動する。
【0021】
足首運動装置10は、さらに、エンコーダ470を備える。エンコーダ470は、ギア430と接続されており、ギア430の回転位置(換言すると位相)を検出する。エンコーダ470の検出値は、コントローラ50に供給される。これにより、コントローラ50は、ギア430の回転位置、換言すると、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれの内転外転方向の現在の位置を知ることができる。
【0022】
コントローラ50は、各モータ300,400を独立して駆動可能である。例えば、コントローラ50は、モータ400のみを駆動して、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれを内転外転方向のみに揺動させることができる。これにより、ユーザの右足首及び左足首を内転外転方向に運動させることができる。以下では、当該運動のことを「内転外転運動」と記載する。コントローラ50は、モータ300のみを駆動して、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれを背屈座屈方向のみに揺動させることができる。これにより、ユーザの右足首及び左足首を背屈座屈方向に運動させることができる。以下では、当該運動のことを「背屈座屈運動」と記載する。コントローラ50は、モータ300,400を同時的に駆動して、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれを内転外転方向及び背屈座屈方向に同時的に揺動させることができる。この場合、左足載置台100及び右足載置台200のそれぞれが円を描くような軌道で回転する。これにより、ユーザの右足首及び左足首を内転外転方向及び背屈座屈方向に同時的に運動させることができる。以下では、当該運動のことを「回転運動」と記載する。
【0023】
図4に示されるように、各載置台100,200の内転方向の揺動の限界位置は25度に設定されている。限界位置は、コントローラ50による制御によって実現されてもよいし、機械的な構成で実現されてもよい。また、限界位置の角度は適宜変更可能である。以下の他の限界位置も同様である。図5は、各載置台100,200が10度内転した状態である。
【0024】
図6に示されるように、各載置台100,200の外転方向の揺動の限界位置は15度に設定されている。図7は、各載置台100,200が5度外転した状態である。図8に示されるように、各載置台100,200の背屈方向の揺動の限界位置は25度に設定されている。図9は、各載置台100,200が10度背屈した状態である。図10に示されるように、各載置台100,200の座屈方向の揺動の限界位置は45度に設定されている。図11は、各載置台100,200が20度座屈した状態である。
【0025】
足首運動装置10は、ユーザの左足が左足載置台100に載置されていると共にユーザの右足が右足載置台200に載置されている状態において、複数のモードのうちのいずれかのモードで動作可能である。複数のモードは、フレイル(Frail)モードとストレッチモードと筋力トレーニングモード(以下では「筋トレモード」と記載する)とを含む。フレイルモードは、個々のユーザの左足及び右足の可動限界を特定するためのモードである。ストレッチモードは、ユーザが筋力をほぼ使うことなく、内転外転運動、背屈座屈運動、及び、回転運動のいずれかをユーザに行わせるためのモードである。筋トレモードは、ユーザが筋力を使いながら、内転外転運動及び背屈座屈運動のどちらかをユーザに行わせるためのモードである。以下、各モードの詳細を説明する
【0026】
まず、フレイルモードについて説明する。ユーザは、足首運動装置10を利用するための事前準備として、所定のアプリケーションを携帯端末(例えばスマートフォン、タブレットPC等)にインストールしておく。所定のアプリケーションは、足首運動装置10を利用するための様々な画面を携帯端末に表示させて、ユーザ操作に応じた指示を足首運動装置10に送信するためのプログラムである。足首運動装置10は、図示省略のBluetooth(登録商標)インターフェースを備え、Bluetoothインターフェースを介して、携帯端末との通信を実行可能である。なお、当該通信は、Bluetooth通信に限られず、変形例では、Wi-Fi通信、NFC(Near Field Communication)通信等の他の無線通信であってもよい。また、別の変形例では、当該通信は、無線通信に限られず、有線通信であってもよい。
【0027】
ユーザは、椅子に座った状態において、足首運動装置10の各載置台100,200に両足を載置させる。そして、ユーザは、携帯端末において、上記の所定のアプリケーションを起動させる。これにより、携帯端末は、Bluetooth通信を実行して、足首運動装置10との通信リンクを確立する。これにより、携帯端末と足首運動装置10との間で様々な情報のBluetooth通信を実行可能な状態になる。
【0028】
携帯端末の所定のアプリケーションは、ホーム画面を表示する。ホーム画面は、フレイルモードとストレッチモードと筋トレモードとのそれぞれを示すモードアイコンを含む。所定のアプリケーションは、フレイルモードを示すモードアイコンが選択されると、Bluetooth通信を利用して、ユーザを識別する識別情報と、フレイルモードを示すモード情報と、を足首運動装置10に送信する。当該識別情報は、各ユーザに提供されるQRコード(登録商標)によって表わされる専用IDである。変形例では、当該識別情報は、他のIDであってもよい。
【0029】
足首運動装置10は、携帯端末から、識別情報と、フレイルモードを示すモード情報と、を受信すると、フレイルモードで動作する。この時点では、各載置台100,200は、内転外転方向においてゼロ度の状態であると共に、背屈座屈方向においてゼロ度の状態(即ち図1及び図2の状態)である。以下では、この状態のことを「初期状態」と記載する。コントローラ50は、まず、極めて小さいトルクでモータ400を制御して、各載置台100,200を初期状態から内転方向に揺動させることを試みる。コントローラ50は、エンコーダ470の検出値がゼロ度から変化するまでモータ400のトルクを徐々に上げていく。なお、ここでのトルクの増大は、コントローラ50が自動的に実行するものでなくてもよく、ユーザが携帯端末を操作することに応じてコントローラ50が実行するものであってもよい。コントローラ50は、エンコーダ470の検出値がゼロ度から変化すると、その際のトルクを維持する。コントローラ50は、ユーザの足首が動きにくくなって、エンコーダ470の検出値の変化が徐々に小さくなると、モータ400のトルクを小さくしてユーザへの負荷を少なくする。コントローラ50は、エンコーダ470の検出値の変化がなくなると、各載置台100,200の内転方向の揺動が停止したと判断する。コントローラ50は、内転方向の揺動が停止した位置(例えば図5の10度)を内転停止位置として決定する。そして、コントローラ50は、上記の識別情報に対応付けて、エンコーダ470の現在の検出値を内転停止位置としてメモリ60に記憶させる。
【0030】
コントローラ50は、内転停止位置を決定する場合と同様に、モータ400のトルクを徐々に上げていって各載置台100,200を初期状態から外転方向に揺動させ、エンコーダ470の検出値の変化がなくなった位置(例えば図7の5度)を外転停止位置として決定する。そして、コントローラ50は、上記の識別情報に対応付けて、エンコーダ470の現在の検出値を外転停止位置としてメモリ60に記憶させる。同様に、コントローラ50は、モータ300のトルクを徐々に上げていって各載置台100,200を初期状態から背屈方向に揺動させ、エンコーダ350の検出値の変化がなくなった位置(例えば図9の10度)を背屈停止位置として決定する。そして、コントローラ50は、上記の識別情報に対応付けて、エンコーダ350の現在の検出値を背屈停止位置としてメモリ60に記憶させる。最後に、コントローラ50は、モータ300のトルクを徐々に上げていって各載置台100,200を初期状態から座屈方向に揺動させ、エンコーダ350の検出値の変化がなくなった位置(例えば図11の20度)を座屈停止位置として決定する。そして、コントローラ50は、上記の識別情報に対応付けて、エンコーダ350の現在の検出値を座屈停止位置としてメモリ60に記憶させる。
【0031】
次いで、コントローラ50は、筋トレモードで利用される各運動のトルクの初期値を決定する。コントローラ50は、まず、各載置台100,200を外転方向に揺動させるための極めて小さいトルクでモータ300を制御する。ユーザは、当該トルクに抗って各載置台100,200を内転方向に揺動させることを試みる。内転方向への揺動が成功すると、コントローラ50がトルクを大きくし、ユーザが当該トルクに抗って各載置台100,200を内転方向に揺動させることを試みる。このように、コントローラ50は、ユーザが各載置台100,200を内転方向に揺動させることができなくなるまで、トルクを徐々に大きくしていく。コントローラ50は、或るトルクでの内転方向への揺動が成功し、次のトルクでの内転方向への揺動が失敗すると、当該或るトルクを筋トレモードにおける内転運動のトルクの初期値として決定する。そして、コントローラ50は、上記の識別情報に対応付けて、内転運動のトルクの初期値をメモリ60に記憶させる。
【0032】
上記の内転運動のトルクの初期値を決定する場合と同様に、コントローラ50は、逆方向のトルクで各モータ300,400を制御して、外転運動のトルクの初期値と、背屈運動のトルクの初期値と、座屈運動のトルクの初期値と、を順に決定する。そして、コントローラ50は、上記の識別情報に対応付けて、これらの初期値のそれぞれをメモリ60に記憶させる。
【0033】
なお、携帯端末の所定のアプリケーションは、上記の各方向の停止位置が決定される際、及び、上記の各運動のトルクの初期値が決定される際に、画面を切り替えながら、ユーザに案内情報を通知してもよい。例えば、所定のアプリケーションは、内転停止位置が決定される際に、各載置台100,200が内転方向に揺動することを示す画面を表示し、次いで、外転停止位置が決定される際に、各載置台100,200が外転方向に揺動することを示す画面を表示してもよい。
【0034】
コントローラ50は、上記の識別情報に対応付けて、各方向の停止位置(即ち各エンコーダ350,470の検出値)を示す設定値と、各運動のトルクの初期値と、をメモリ60に記憶させる。その後、コントローラ50は、これらの情報を携帯端末に送信し、携帯端末は、これらの情報を予め決められているクラウドサーバに送信する。これにより、これらの情報がクラウドサーバのメモリに記憶される。これにより、コントローラ50は、後述のストレッチモード及び筋トレモードにおいて、携帯端末から設定値及び初期値を受信することによって、設定値に従った可動範囲内かつ初期値に従ったトルクで各載置台100,200を揺動させることができる。
【0035】
次いで、ストレッチモードについて説明する。携帯端末の所定のアプリケーションは、ホーム画面に含まれるストレッチモードを示すモードアイコンが選択されると、ストレッチ運動の種類を選択するための選択画面を表示する。当該選択画面は、内転外転運動と背屈座屈運動と回転運動とのそれぞれを示す種類アイコンを含む。所定のアプリケーションは、選択画面に含まれるいずれかの種類アイコンが選択されると、上記の識別情報をクラウドサーバに送信して、クラウドサーバから上記の識別情報に対応する設定値及び初期値を受信する。そして、所定のアプリケーションは、Bluetooth通信を利用して、上記の識別情報と、ストレッチモードを示すモード情報と、選択済みのストレッチ運動の種類を示す種類情報と、設定値と、初期値と、を足首運動装置10に送信する。
【0036】
足首運動装置10は、携帯端末から上記の各情報を受信すると、ストレッチモードで動作する。コントローラ50は、受信済みの種類情報によって示される運動の種類に応じて、モータ300及び/又は400を駆動する。具体的には、コントローラ50は、内転外転運動を示す種類情報が受信される場合には、モータ400を駆動し、背屈座屈運動を示す種類情報が受信される場合には、モータ300を駆動する。コントローラ50は、回転運動を示す種類情報が受信される場合には、モータ300及びモータ400の両方を駆動する。
【0037】
ストレッチモードでは、コントローラ50は、ユーザの両足が各載置台100,200に載置されていない状態で準備動作を実行する。具体的には、コントローラ50は、受信済みの種類情報によって示される運動の種類に対応するモータ300及び/又は400を駆動し、受信済みの設定値によって示される停止位置で各載置台100,200を停止させる。次いで、コントローラ50は、当該停止位置を超えて各載置台100,200を揺動させないためのエンドストッパを取り付けるべき旨のメッセージを携帯端末に送信する。これにより、ユーザは、エンドストッパを取り付けることができる。ここで、エンドストッパは、各載置台100,200を揺動させないための物理的なストッパであり、どのような仕組みで実現されてもよい。これにより、仮にエンコーダ等の故障が起こったとしても、停止位置を超えて各載置台100,200が揺動しないので、ユーザの安全が保障される。この点は、後述の筋トレモードでも同様である。
【0038】
次いで、コントローラ50は、ユーザの両足が各載置台100,200に載置されている状態において、予め決められている速度及び予め決められているトルクでモータ300及び/又は400を制御する。なお、コントローラ50は、携帯端末から各運動のトルクの初期値を受信するが、ストレッチモードでは当該初期値を利用しない。コントローラ50は、受信済みの設定値によって示される各停止位置に応じた可動範囲内で各載置台100,200が揺動するように、モータ300及び/又は400を制御する。例えば、コントローラ50は、内転外転運動のストレッチをユーザに実行させる際には、内転停止位置と外転停止位置との間を内転外転方向の可動範囲内としてモータ400を制御する。コントローラ50は、背屈座屈運動のストレッチをユーザに実行させる際には、背屈停止位置と座屈停止位置との間を背屈座屈方向の可動範囲内としてモータ300を制御する。また、コントローラ50は、回転運動のストレッチをユーザに実行させる際には、内転停止位置と外転停止位置との間を内転外転方向の可動範囲内としてモータ400を制御すると共に、背屈停止位置と座屈停止位置との間を背屈座屈方向の可動範囲内としてモータ300を制御する。このように、足首運動装置10は、ユーザに応じた可動範囲内で各載置台100,200を揺動させることができる。
【0039】
所定のアプリケーションは、ストレッチモードにおいて、ユーザから、速度及び/又はトルクの変更の指示を受け付けることが可能である。この場合、所定のアプリケーションは、変更後の速度及び/又は変更後のトルクを示す情報を足首運動装置10に送信する。コントローラ50は、当該情報に従って速度及び/又はトルクを変更する。このように、足首運動装置10は、ユーザの意図に応じた速度及び/又はトルクでストレッチをユーザに行わせることができる。
【0040】
次いで、筋トレモードについて説明する。携帯端末の所定のアプリケーションは、ホーム画面に含まれる筋トレモードを示すモードアイコンが選択されると、トレーニング運動の種類を選択するための選択画面を表示する。当該選択画面は、内転運動と外転運動と背屈運動と座屈運動とのそれぞれを示す種類アイコンを含む。当該選択画面では、内転運動と外転運動とが分かれている点と、背屈運動と座屈運動とが分かれている点と、回転運動を示す種類アイコンを含まない点と、がストレッチモードの選択画面とは異なる。所定のアプリケーションは、選択画面に含まれるいずれかの種類アイコンが選択されると、上記の識別情報をクラウドサーバに送信して、クラウドサーバから上記の識別情報に対応する設定値及び初期値を受信する。そして、所定のアプリケーションは、Bluetooth通信を利用して、ユーザを識別する識別情報と、筋トレモードを示すモード情報と、選択済みのトレーニング運動の種類を示す種類情報と、設定値と、初期値と、を足首運動装置10に送信する。
【0041】
足首運動装置10は、携帯端末から上記の各情報を受信すると、筋トレモードで動作する。コントローラ50は、受信済みの種類情報によって示されるトレーニング運動の種類に応じて、モータ300又は400を駆動する。具体的には、コントローラ50は、内転運動又は外転運動を示す種類情報が受信される場合には、モータ400を駆動し、背屈運動又は座屈運動を示す種類情報が受信される場合には、モータ300を駆動する。
【0042】
筋トレモードでは、コントローラ50は、予め決められている速度及び受信済みのトルクの初期値でモータ300又は400を制御する。そして、コントローラ50は、受信済みの設定値によって示される各停止位置に応じた可動範囲内で各載置台100,200が揺動するように、モータ300又は400を制御する。例えば、コントローラ50は、内転運動又は外転運動のトレーニングをユーザに実行させる際には、内転停止位置と外転停止位置との間を内転外転方向の可動範囲内としてモータ400を制御する。コントローラ50は、背屈運動又は座屈運動のトレーニングをユーザに実行させる際には、背屈停止位置と座屈停止位置との間を背屈座屈方向の可動範囲内としてモータ300を制御する。
【0043】
コントローラ50は、内転運動のトレーニングをユーザに実行させる際には、内転運動のトルク(即ち各載置台100,200を外転方向に揺動させるトルク)の初期値でモータ400を制御する。これにより、ユーザは、当該トルクに抗って各載置台100,200を内転方向に揺動させるトレーニングを行なうことができる。同様に、コントローラ50は、他の運動(例えば背屈運動)のトレーニングをユーザに実行させる際には、当該他の運動(例えば背屈運動)のトルクの初期値でモータ300又は400を制御する。これにより、ユーザは、当該他の運動のトレーニングを行なうことができる。
【0044】
所定のアプリケーションは、ストレッチモードの場合と同様に、筋トレモードにおいて、ユーザから、速度及び/又はトルクの変更の指示を受け付けて、変更後の速度及び/又は変更後のトルクを示す情報を足首運動装置10に送信することができる。これにより、足首運動装置10は、ユーザの意図に応じた速度及び/又はトルクでトレーニングをユーザに行なわせることができる。
【0045】
続いて、ユーザが仰向けで寝ている状態で足首運動装置10を利用する例を説明する。図12に示されるように、ユーザは、下フレーム32から支持台30を取り外すことができる。支持台30は、突起部30a,30bを備える。背面フレーム34は、長孔34a,34bを備える。ユーザは、突起部30aを長孔34aに挿入すると共に突起部30bを長孔34bに挿入して、各突起部30a,30bを背面フレーム34にピン差しによって固定する。これにより、支持台30が背面フレーム34に固定される。図13に示されるように、支持台30をベッド2の上面に設置すると、ユーザは、仰向けで寝ている状態で足首運動装置10を利用することができる。
【0046】
上述したように、本実施例の足首運動装置10は、内転外転方向の揺動のためのモータ400と、背屈座屈方向の揺動のためのモータ400と、のそれぞれを独立して制御可能である。このために、足首運動装置10は、様々な運動パターンで各載置台100,200を動作させることができる。このために、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0047】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0048】
(変形例1)携帯端末は、フレイルモードで動作する足首運動装置10から、各方向の停止位置を示す設定値及び各運動のトルクの初期値を受信する場合に、これらの値をクラウドサーバに送信せずに自身のメモリに記憶しておいてもよい。本変形例では、携帯端末のメモリが請求項の「メモリ」の一例である。別の変形例では、足首運動装置10は、設定値及びトルクの初期値を自身のメモリ60に記憶しておき、ストレッチモード又は筋トレモードにおいて、メモリ60から設定値及びトルクの初期値を取得してもよい。本変形例では、メモリ60が請求項の「メモリ」の一例である。
【0049】
(変形例2)メモリ60は、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザを識別する識別情報に対応付けて、各方向の停止位置を示す設定値と各運動のトルクの初期値とを記憶可能であってもよい。この構成によると、複数のユーザが足首運動装置10を共用する場合に、足首運動装置10は、各ユーザに応じた設定値及び初期値でストレッチモード又は筋トレモードを実現することができる。
【0050】
(変形例3)上記の実施例では、ストレッチモード又は筋トレモードが請求項の「特定のモード」の一例である。これに代えて、ストレッチモードが設けられずに、筋トレモードのみが設けられてもよい。この場合、筋トレモードが「第2のモード」の一例である。また、筋トレモードが設けられずに、ストレッチモードのみが設けられてもよい。この場合、ストレッチモードが「第2のモード」の一例である。
【0051】
(変形例4)フレイルモードが設けられなくてもよい。この場合、コントローラ50は、ストレッチモード又は筋トレモードにおいて、ユーザによって携帯端末に入力される速度及びトルクで各モータ300,400を制御してもよい。一般的に言うと、請求項の「メモリ」は設定値を記憶しなくてもよい。
【0052】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0053】
10:足首運動装置、20:カバー部材、30:支持台、32:下フレーム、34:背面フレーム、50:コントローラ、60:メモリ、100:左足載置台、200:右足載置台、300:モータ、350:エンコーダ、400:モータ、470:エンコーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13