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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101399
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】車載用バッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240722BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240722BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240722BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240722BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6554
B60K11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005361
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成毛 俊昭
【テーマコード(参考)】
3D038
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
5H031KK01
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】温調機構の損傷時にも電池セルの温調を維持する。
【解決手段】本発明に係る車載用バッテリーは、複数の電池セルが内部に配置された電池モジュールと、前記電池モジュールの近傍に位置され前記電池モジュールを冷却する温調機構と、を備え、前記温調機構の内部には冷却用の流動体が通過する流路が形成され、前記流路を形成する壁面のうちの前記電池モジュール側の面に凹部又は凸部が形成され、前記電池モジュールと前記温調機構の互いに対向する面が平面状に形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが内部に配置された電池モジュールと、
前記電池モジュールの近傍に位置され前記電池モジュールを冷却する温調機構と、を備え、
前記温調機構の内部には冷却用の流動体が通過する流路が形成され、
前記流路を形成する壁面のうちの前記電池モジュール側の面に凹部又は凸部が形成され、
前記電池モジュールと前記温調機構の互いに対向する面が平面状に形成されている
車載用バッテリー。
【請求項2】
伝熱性を有するとともに伸縮性を有する伝熱シートを備え、
前記電池セルは前記伝熱シートを挟んで前記電池モジュールに配置されている
請求項1に記載の車載用バッテリー。
【請求項3】
内部に前記電池モジュールと前記温調機構が配置されている電池パックを備え、
前記電池モジュールと前記温調機構の互いに対向する面同士が接触している
請求項1又は請求項2に記載の車載用バッテリー。
【請求項4】
前記電池モジュールが内部に配置されている電池パックを備え、
前記電池モジュールと前記温調機構が前記電池パックの壁面を挟んで対向して配置され、
前記電池パックの前記電池モジュールと接触する面が平面状に形成され、
前記電池パックの前記温調機構と接触する面が平面状に形成されている
請求項1又は請求項2に記載の車載用バッテリー。
【請求項5】
前記凹部又は前記凸部は前記流動体の流動方向に沿って形成されている
請求項1又は請求項2に記載の車載用バッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温調機構を備える車載用バッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車やハイブリッド自動車などの車両には、モーター駆動のための電力供給や回生された電力の蓄電、12V電源供給など様々な用途に用いられる車載用バッテリーが搭載されている。
車載用バッテリーは複数の電池セルが内蔵された電池モジュールを備えており、特許文献1では当該電池セルを冷却するための温調機構が車両の底面近傍に配置されている車載用バッテリーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-114460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、比較的大きな凹凸が存在する悪路や岩石路などを車両が走行した場合、路面の凸部が車両の底面に衝突してしまうことがある。この場合、車両の底面近傍に配置された温調機構が損傷し、電池セルの冷却等の温調が十分に行えなくなるおそれがある。
また、各電池セルの底面には凹凸のばらつきがあるため、それぞれを配置する際に電池モジュールの底面や温調機構に対して均一に接触できないことがある。この場合、各電池セルの放熱が十分に行われないおそれがある。
【0005】
そこで本発明として、電池セルの温調機能を維持又は向上させる温調機構を備える車載用バッテリーを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載用バッテリーは、複数の電池セルが内部に配置された電池モジュールと、前記電池モジュールの近傍に位置され前記電池モジュールを冷却する温調機構と、を備え、前記温調機構の内部には冷却用の流動体が通過する流路が形成され、前記流路を形成する壁面のうちの前記電池モジュール側の面に凹部又は凸部が形成され、前記電池モジュールと前記温調機構の互いに対向する面が平面状に形成されている。
【0007】
これにより、温調機構が変形し他の壁面が凹部又は凸部と接触した場合であっても、凹部又は凸部と他の壁面により流動体が通過するための空間が形成される。また、電池モジュールと温調機構を略隙間なく接触させることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温調機構の損傷時においても電池セルの温調を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の車両を底面から見た斜視図を模式的に示している。
図2】車載用バッテリーの天面図を模式的に示している。
図3】車載用バッテリーを左側面から見た断面図を模式的に示している。
図4】電池モジュールの構造を模式的に示している。
図5】温調機構の断面の斜視図を模式的に示している。
図6】車載用バッテリーの断面図の一部を模式的に示している。
図7】車載用バッテリーの断面図の一部を模式的に示している。
図8】車載用バッテリーを左側面から見た断面図を模式的に示している。
図9】車載用バッテリーの断面図の一部を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1から図9を参照して実施の形態を説明する。以下の説明では車両100の進行方向を前方として前後方向を示すものとし、当該進行方向を基準に左右方向を示すものとする。また車両100の底面側から天面側に向かう方向を上方として上下方向を示すものとする。具体的には各図面に示された方向を参照されたい。
【0011】
なお、各実施の形態の説明にあたり参照する図面に記載された構成は、各実施の形態を実現するにあたり必要な部分及びその周辺の構成を抽出して模式的に示したものである。従って、図面に記載された各構造の厚みと平面寸法の関係、比率等は一例に過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば設計などに応じて種々な変更が可能である。
【0012】
第1の実施の形態について図1から図7を参照して説明する。
図1に示す車両100は、例えばモーターの駆動力により駆動される電気自動車やモーター又はエンジンの駆動力により駆動されるハイブリッド自動車等である。
【0013】
車両100は車載用バッテリー1を備えている。車載用バッテリー1は車両100の底面101の近傍に配置されている。車両100のモーターは車載用バッテリー1から供給される電力により駆動され、当該モーターの駆動力により車両100のタイヤが回転する。なお、図1では車両100のモーター及びタイヤの図示を省略している。
【0014】
図2から図4に示すように、車載用バッテリー1は、電池モジュール2、温調機構3、電池パック4及び伝熱シート5を備えている。
【0015】
図2に示すように、車載用バッテリー1には行列状に複数の電池モジュール2が配置されている。電池モジュール2の近傍には電池モジュール2を調温する温調機構3が位置している。例えば車載用バッテリー1では横長の温調機構3が前後方向に複数配置され、各々の温調機構3の上方に複数の電池モジュール2が左右方向に配列されている。なお、本実施の形態では、主に温調機構3が電池モジュール2を冷却する温調を行う場合について説明する。
【0016】
なお、車載用バッテリー1に設けられる電池モジュール2の数は任意であり、図2に示すように8つに限定されることはない。また温調機構3は縦長に形成され左右方向に複数配置されていてもよい。
【0017】
図3に示すように、電池モジュール2及び温調機構3は電池パック4に内蔵されている。なお、図4に示すように、伝熱シート5は電池モジュール2の内部に配置されている。
【0018】
図4及び図5に示すように、電池モジュール2は、収納ケース21、複数の電池セル22,22,22,・・・及びカバー23を備えている。
【0019】
図4に示すように、収納ケース21は、上方に開口された横長の箱状に形成され、前後方向を向き前後に離隔して位置した横長の前面部24及び後面部25と、左右方向を向き左右に離隔した側面部26,26と、上下方向を向く横長の下面部27とを備えている。収納ケース21の内部空間は収納空間21aとして形成されている。
【0020】
下面部27の内面27aには平板状に形成された伝熱シート5が配置されている。伝熱シート5は伝熱性を有するとともに伸縮性を有しており、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂により形成されている。
【0021】
複数の電池セル22,22,22,・・・は、例えば厚み方向が左右方向とされる向きで左右に等間隔に並んだ状態で収納空間21aに収納されて収納ケース21に保持されている。
【0022】
電池セル22が保持された状態において、各電池セル22は伝熱シート5を挟んで下面部27に配置されている。これにより、電池セル22で発生した熱が伝熱シート5を介して収納ケース21に効率的に伝えられる。
【0023】
また下面部27の外面27bは、図5に示すように電池モジュール2が温調機構3の上に配置された状態において、後述する温調機構3の天面部33の外面33dと接触する面である。外面27bは前後方向及び左右方向に延びる平面状に形成されている。
【0024】
ここで、本開示における平面状に形成された面とは、面全域が完全に同一平面であることを含むがこれに限られず、面全体として平面性を維持している態様も含まれる。従って、平面状には、例えば上下方向に数ミリ程度の非常に小さい段差が形成されている態様や、面の一部に機能上必要な穴などの凹部が形成されている態様なども含まれる。また平面状には、面全域のうち少なくとも他の物体と接触している面が同一平面である態様も含まれる。
【0025】
図4に示すように、カバー23は横長の平板状に形成され、収納ケース21の上側の開口を閉塞する状態で収納ケース21に取り付けられている。なお、収納ケース21及びカバー23は樹脂又は鋼板等により形成されている。
【0026】
なお、電池モジュール2は例えば上方に開口された縦長の箱状に形成されていてもよい。この場合、複数の電池セル22,22,22,・・・は、例えば厚み方向が前後方向とされる向きで前後に等間隔に並んだ状態で収納空間21aに収納される。
【0027】
図5及び図6に示すように、温調機構3は、前後方向を向き前後に離隔して位置した横長の前面部31及び後面部32と、上下方向を向き上下に離隔して位置した横長の天面部33及び底面部34とを少なくとも備えている。
【0028】
温調機構3の内部空間は流動体200が通過する流路3aとして形成されている。流動体200は収納ケース21に配置された電池セル22を温調するための媒体であり、例えば水である。
【0029】
図示しないが、例えば温調機構3の左右方向における一端部には流路3aへの流動体200の流入口が設けられており、他端部には流路3aを通過した流動体200の流出口が設けられている。これにより、流動体200は、例えば図6の矢印で示すように、流入口から流出口に向かって主に左右方向に流動することになる。
【0030】
例えば電池モジュール2の温度が適正な温度よりも高いときには流動体200を温調機構3の流路3aに流入させ、電池モジュール2からの熱を流動体200に吸収させる。これにより、電池モジュール2が冷却され、電池モジュール2の温度が適正に保たれる。
【0031】
天面部33の内面33aには下方向に突出する複数の凸部33b,33b,33b,・・・が形成されている。各々の凸部33bは左右方向に延びて形成されており、それぞれが前後方向に隣り合うように設けられている。また隣り合う凸部33b,33bの間には左右方向に延びる凹部33cが形成される。
【0032】
天面部33の内面33aに凸部33bと凹部33cが形成されることで、内面33aが平面状に形成されている場合に比べて内面33aの表面積が大きくなる。
【0033】
図5に示す電池モジュール2に収納された電池セル22から生じた熱は、伝熱シート5及び収納ケース21を介して天面部33に伝達される。このとき、上記のように内面33aの表面積が大きくされることで流動体200との接触面積が増加する。従って、天面部33に伝達された熱の流動体200への熱伝導効率を向上させることができる。
【0034】
また流動体200は左右方向に流動することから、凸部33b及び凹部33cの形状は流動体200の流動方向に沿って形成されていると換言することもできる。
【0035】
凸部33b及び凹部33cの上記形状により、放熱を受けた流動体200は、凸部33b又は凹部33cにより流れを阻害されることなく図示しない流出口に向けて淀みなく流動する。従って、天面部33に伝達された熱を効率的に放熱することができる。
【0036】
また凸部33bの先端は底面部34の内面34aと離隔して位置している。底面部34の外面34bは電池パック4の底部41の内面41aと接しているため、例えば路面からの熱など電池パック4の外部からの熱が底面部34に伝達されることがある。
【0037】
そのため、凸部33bの先端と底面部34の内面34aとが接していると、例えば路面からの熱などが天面部33を介して電池モジュール2に伝達され、電池モジュール2に内蔵された電池セル22の冷却効率を阻害してしまうおそれがある。従って、凸部33bの先端と底面部34の内面34aとを離隔させ、外部からの熱が電池モジュール2に伝達されにくくなるようにしている。
【0038】
また天面部33の内面33aに凸部33bを形成することで、温調機構3が変形した場合であっても温調機構3の放熱機能を維持することができる。例えば車両100が凹凸の大きい悪路や岩石路などを走行する場合に、路面に存在する石や突出物が車両100の底面101に衝突することがある。ここで下方からの衝撃が車両100に作用すると、図7に示すように、電池パック4の底部41及び温調機構3の底面部34が変形し、温調機構3の底面部34がその天面部33に接触してしまうことがある。
【0039】
このとき、本実施の形態では天面部33に形成された複数の凸部33b,33b,33b,・・・の表面は曲面であるため、天面部33と底面部34が接触した状態において凹部33cと底面部34の内面34aとの間に隙間3bが形成される。
【0040】
このように隙間3bが形成されることで、温調機構3の変形後も流動体200の流路3aを隙間3bにより確保することができ、天面部33に伝達された熱の放熱効率を維持することができる。なお、本実施の形態では凸部33bの断面形状が半円状である例について説明したが、凸部33bの形状は、底面部34が天面部33に接触した状態において隙間3bが生じるものであればよく、例えば凸部33bの断面形状を矩形状や三角形状等、様々な形状になるように設けてもよい。
【0041】
また図5に示すように、温調機構3の天面部33の外面33dは、電池モジュール2が温調機構3の上方に配置された状態において、電池モジュール2の下面部27の外面27bと接触している。外面33dは前後方向及び左右方向に延びる平面状に形成されている。
【0042】
外面27b及び外面33dは互いに平面状に形成されているため、外面27bと外面33dは略隙間なく接触している状態となる。これにより、電池セル22からの熱を下面部27から天面部33に効率よく伝達することができる。従って、電池セル22の冷却効率を向上させることができる。
【0043】
なお、温調機構3は前後方向に延びる縦長に形成されていてもよい。この場合、例えば温調機構3の前後方向における一端部には流路3aへの流動体200の流入口が設けられ、他端部には流路3aを通過した流動体200の流出口が設けられることになる。このとき流動体200は流入口から流出口に向けて主に前後方向に流動することになる。
【0044】
第2の実施の形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、以降の説明において、第1の実施の形態の車載用バッテリー1と共通する構成については説明を省略する。
【0045】
本実施の形態の車載用バッテリー1Aは、図8に示すように、温調機構3が電池パック4の外側に配置されている点で第1の実施の形態と構成が異なる。電池モジュール2が電池パック4に内蔵され、電池モジュール2と温調機構3は電池パック4を介して互いに対向するように配置されている。
【0046】
このように温調機構3を電池パック4の外側に配置することで、例えば車両100の下方から衝撃により温調機構3が破損し、温調機構3から流動体200が漏れ出した場合であっても、その流動体200が電池モジュール2の活電部である電池セル22等に流入してしまうことを防止することができる。
【0047】
また図9に示すように、電池モジュール2の下面部27の外面27bは、電池パック4の底部41の内面41aと接触している。このとき外面27bと内面41aは互いに平面状に形成され、略隙間なく接触した状態とされている。
【0048】
加えて温調機構3の天面部33の外面33dは、電池パック4の底部41の外面41bと接触している。このとき外面33dと外面41bは互いに平面状に形成され、略隙間なく接触した状態とされている。
【0049】
従って、電池モジュール2、電池パック4及び温調機構3が略隙間なく接触された状態となる。これにより、電池セル22から生じた熱が、下面部27から底部41を介して天面部33に効率よく伝達される。従って、電池パック4の外部に温調機構3を配置した状態における電池セル22の冷却効率を向上させることができる。
【0050】
以上の各実施の形態のまとめ及び変形例を記載する。
各実施の形態の車載用バッテリー1,1Aは、図2図3図8等に示すように、複数の電池セル22,22,22,・・・が内部に配置された電池モジュール2と、電池モジュール2の近傍に位置され電池モジュール2を冷却する温調機構3と、を備えている。
【0051】
また図5図6図9等に示すように、温調機構3の内部には冷却用の流動体200が通過する流路3aが形成されている。流路3aを形成する前面部31、後面部32、天面部33及び底面部34等の壁面のうち、電池モジュール2側の天面部33の内面33aには凸部33b、凹部33cが形成されている。
【0052】
これにより、図7に示すように、温調機構3が変形して底面部34が天面部33に接触した場合であっても、天面部33の内面33aに形成された凸部33b、凹部33cにより隙間3bが形成され、流動体200の流路3aが確保される。
【0053】
従って、例えば車両100が下方から衝撃を受けることにより車両100の底面101の近傍に配置された温調機構3が変形してしまった場合であっても、電池モジュール2から天面部33に伝達された熱の放熱効率を維持することができる。
【0054】
また図6等に示すように、天面部33の内面33aに形成された凸部33b、凹部33cは流動体200の流動方向に沿って延在している。
【0055】
これにより、放熱を受けた流動体200が凸部33b又は凹部33cにより流れを阻害されることなく流路3aを通過する。従って、温調機構3の放熱効率を向上させることができる。
【0056】
なお、各実施の形態では図5図9に示すように、天面部33の内面33aに複数の凸部33b,33b,33b,・・・を設けることで凹部33cを形成する例について説明したが、例えば凸部33bを設けずに内面33aに溝を形成することで凹部33cを形成してもよい。
【0057】
第1の実施の形態の車載用バッテリー1は、図3図5等に示すように、電池モジュール2と温調機構3が内部に配置されている電池パック4を備えている。また電池モジュール2と温調機構3の互いに対向する外面27b及び外面33dは平面状に形成され、外面27bが外面33dに接触されている。
【0058】
これにより、外面27bと外面33dが略隙間なく接触した状態となり、電池セル22から伝達された熱を下面部27から天面部33に効率よく伝達することができる。従って、温調機構3による電池モジュール2の冷却効率を向上させることができる。
【0059】
一方、第2の実施の形態の車載用バッテリー1Aは、図8図9に示すように、電池モジュール2が内部に配置されている電池パック4を備え、電池モジュール2と温調機構3が電池パック4の壁面である底部41を挟んで対向して配置されている。
【0060】
これにより、外部からの衝撃等の要因により温調機構3が破損し流動体200が漏れ出した場合であっても、電池モジュール2が電池パック4に内蔵されているため、漏れ出した流動体200が電池モジュール2の電池セル22等の活電部に流入することがなくなる。従って、温調機構3が故障した場合等に電池モジュール2の活電部を保護することができる。
【0061】
また電池パック4の外部に温調機構3を配置することで、破損した温調機構3を交換する際にも、電池パック4を取り外すことなく温調機構3のみを取り外して交換することができる。従って、車載用バッテリー1Aの修理における工程を削減し、作業性を向上させることができる。
【0062】
また車載用バッテリー1Aでは、図9等に示すように、電池パック4の電池モジュール2と接触する底部41の内面41aが平面状に形成され、電池パック4の温調機構3と接触する外面41bが平面状に形成されている。
【0063】
これにより、電池モジュール2の下面部27と電池パック4の底部41が略隙間なく接触された状態となり、かつ電池パック4の底部41と温調機構3の天面部33が略隙間なく接触された状態となる。従って、互いの接触面積を確保することができるため、電池モジュール2から発生した熱を、電池パック4を介して温調機構3に効率的に伝達することができるようになる。
【0064】
また各実施の形態における車載用バッテリー1,1Aは、図4図5図9等に示すように、伝熱性を有するとともに弾性又は塑性を有する伝熱シート5を備え、電池セル22が伝熱シート5を挟んで電池モジュール2に配置されている。
【0065】
伝熱シート5は電池セル22から生じる熱を、収納ケース21を介して温調機構3に効率的に伝達することができる。従って、発熱する電池セル22を適温に保つことができる。
【0066】
このとき伝熱シート5は電池セル22に接しているため、電池セル22から生じる熱を直接吸収することができる。これは特に、故障等により電池セル22が急激に発熱した場合にも直に熱を吸収できるため有効である。
【0067】
また伝熱シート5は例えばゲル又はゴム状に形成され弾性又は塑性を有しているため、伝熱シート5に配列した各電池セル22の底面の凹凸を吸収する。従って、収納ケース21に複数の電池セル22,22,22,・・・を安定して配置することができる。
【0068】
また伝熱シート5は熱容量が多いため、例えば車外が寒冷環境下において車両100が停車した場合などにおいて、電池セル22の温度が適正な温度より低くなることを一定時間抑えることができる。例えば車両100が停車した状態においては温調機構3の温調機能も停止するが、このような場合であっても停止前に吸収していた伝熱シート5の熱により、各電池セル22を適温に保つことができる。
【0069】
最後に、本開示に記載された効果はあくまで例示でありこれに限定されるものではなく、他の効果を奏するものであってもよいし、本開示に記載された効果の一部を奏するものであってもよい。また、実施の形態で説明されている構成の組み合わせの全てが課題の解決に必須であるとは限らない。
【符号の説明】
【0070】
1,1A 車載用バッテリー
2 電池モジュール
3 温調機構
3a 流路
3b 隙間
4 電池パック
5 伝熱シート
22 電池セル
27 底面部
27b 外面
33 天面部
33a 内面
33b 凸部
33c 凹部
33d 外面
41 底部
41a 内面
41b 外面
100 車両
101 底面
200 流動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9