(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101408
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】小袋パック吸着供給装置。
(51)【国際特許分類】
B65G 47/08 20060101AFI20240722BHJP
B65G 47/86 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B65G47/08 A
B65G47/86 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005372
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】308032699
【氏名又は名称】日清食品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池上 徳恭
【テーマコード(参考)】
3F072
3F080
【Fターム(参考)】
3F072AA30
3F072GD05
3F072GE01
3F072GG16
3F072GG18
3F072JA03
3F072JA09
3F072KA07
3F072KC02
3F072KC07
3F072KC09
3F080AA43
3F080BA01
3F080BA02
3F080BA05
3F080BA07
3F080BC01
3F080BC08
3F080BD12
3F080BE10
3F080BF04
3F080CC13
3F080CC23
3F080CC26
3F080CE03
3F080CF22
3F080CG20
3F080DA09
3F080DA12
3F080DA15
(57)【要約】
【課題】 回転ドラムを利用した小袋パックの吸着供給装置において、回転ドラムへの小袋パックの供給を安定して実施できるようにして、小袋パックの吸着漏れを低減可能な装置とする。
【解決手段】 水平状に配置された回転ドラムであって、複数列の吸着部材が所定の間隔を隔てて側面周回りに装着された回転ドラムと、当該回転ドラムに対して小袋パックを連続的に供給し、前記複数列に対応する搬送路を有するフィーダ装置を備えた、小袋パック吸着供給装置において、回転ドラム側面部に近接するフィーダ装置の搬送路の端部領域を略水平状態に形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平状に配置された回転ドラムであって、複数列の吸着部材が所定の間隔を隔てて側面周回りに装着された回転ドラムと、
当該回転ドラムに対して小袋パックを連続的に供給し、前記複数列に対応する搬送路を有するフィーダ装置を備えた、小袋パック吸着供給装置において、
回転ドラム側面部に近接するフィーダ装置の搬送路の端部領域が略水平状態に形成されていることを特徴とする小袋パック吸着供給装置。
【請求項2】
前記回転ドラムに装着された吸着部材が、フィーダ装置の搬送路端部に設けられた所定間隔のスリット部を通過するように構成された請求項1に記載の小袋パック吸着供給装置。
【請求項3】
前記小袋パック吸着供給装置において、さらに搬送路端部付近の上方に回転式又は循環式の小袋パックならし装置を設けた請求項1又は2に記載の小袋パック吸着供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品工場において汎用される乾燥食品やスープ等の食品を封入した小袋パックを連続的に供給するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品の製造においては、種々の小袋パックに含まれた具材やスープ等を、当該小袋パックパックを使用した商品の製造ラインに順次供給していくことが必要な場合がある。このような場合において、大量に調製されて供給されてくる小袋パックを、食品の製造ライン等に所定数ごとに順次供給すること、すなわち供給量を制御することが必要な場合も多い。
【0003】
このような場合において、回転式ドラムに目的の小袋パックを吸着させて反転させる等して順次、目的の小袋パックを供給していく方法が知られている。
また、このような回転ドラムを利用して、小物品を吸着する装置についての先行技術として以下の方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、このような回転ドラムによる吸着を利用した装置の場合、当該回転ドラムへの小袋パックの供給を有効に実施することが重要となってくる。そこで、本発明者らはこのような回転ドラムを利用した小袋パックの吸着供給装置において、回転ドラムへの小袋パックの供給を安定して実施できるようにして、小袋パックの吸着漏れを低減可能な方法を検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らの鋭意研究の結果、水平状に配置された回転ドラムであって、複数列の吸着部材が所定の間隔を隔てて側面周回りに装着された回転ドラムと、当該回転ドラムに対して小袋パックを連続的に供給し、前記複数列に対応する搬送路を有するフィーダ装置を備えた、小袋パック吸着供給装置において、回転ドラム側面部に近接するフィーダ装置の搬送路の端部領域が略水平状態に形成されているようにすることが重要であることを見出した。
【0007】
すなわち、本願第一の発明は、
“ 水平状に配置された回転ドラムであって、複数列の吸着部材が所定の間隔を隔てて側面周回りに装着された回転ドラムと、
当該回転ドラムに対して小袋パックを連続的に供給し、前記複数列に対応する搬送路を有するフィーダ装置を備えた、小袋パック吸着供給装置において、
回転ドラム側面部に近接するフィーダ装置の搬送路の端部領域が略水平状態に形成されていることを特徴とする小袋パック吸着供給装置。“、である。
【0008】
次に、上記の小袋パック吸着供給装置においては、前記回転ドラムに装着された吸着部材が、フィーダ装置の搬送路端部に設けられた所定間隔のスリット部を通過するように構成することが好ましい。
すなわち、本願第二の発明は、
“前記回転ドラムに装着された吸着部材が、フィーダ装置の搬送路端部に設けられた所定間隔のスリット部を通過するように構成された請求項1に記載の小袋パック吸着供給装置。”、である。
【0009】
次に、上記の小袋パック吸着供給装置においては、さらに搬送路端部付近の上方に回転式又は循環式の小袋パックならし装置を設けることが好ましい。
すなわち、本願第三の発明は、
“前記小袋パック吸着供給装置において、さらに搬送路端部付近の上方に回転式又は循環式の小袋パックならし装置を設けた請求項1又は2に記載の小袋パック吸着供給装置。”、である
【発明の効果】
【0010】
本発明の小袋パック吸着供給装置を利用することで、回転ドラムへの小袋パックの供給を安定して実施できるようになり、回転ドラム上の吸着漏れの割合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願発明の第一の実施態様の断面模式図である。
【
図2】本願発明の第一の実施態様の斜視模式図である。
【
図3】本願発明の第一の実施態様において小袋パックを実際に供給した場合の斜視模式図である。
【
図4】本発明における“搬送路の水平状態”を示す第一の例を示した断面模式図である。
【
図5】本発明における“搬送路の水平状態”を示す第二の例を示した断面模式図である。(A)下向きの傾斜を有する場合、(B)(A)の場合より傾斜が大きい場合
【
図6】本発明における“搬送路の水平状態”を示す第三の例を示した断面模式図である。
【
図7】本発明における“搬送路の水平状態”を示す第四の例を示した断面模式図である。(A)段差後において下向きの場合、(B)段差後において上向きの場合
【
図8】本発明の第一の実施態様において、フィーダ装置から小袋パックの吸着への動きを示した断面模式図である。
【
図9】本発明における検討事例の斜視模式図である。
【
図10】本発明における検討事例の断面模式図である。
【
図11】本発明の第一の実施態様において小袋パックならし装置を追加した場合の断面模式図である。
【
図12】本発明の小袋パックの吸着解除後の他の例を示した断面図(A)及び斜視模式図(B)である。
【符号の説明】
【0012】
1 小袋パック吸着供給装置
3 回転ドラム
5 吸着部材
7 フィーダ装置
9 搬送路
11 振動体
13 仕切板
15 スリット部
17 従来までの搬送路
19 小袋パックならし装置
21 スプロケット
23 コンベアベルト
25 羽根状部材
27 コンベアライン
29 スロープ
KP 小袋パック
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本願発明を実施する形態を説明する。
図1は本願発明の第一の実施態様の断面模式図を示したものである。次に、
図2は本願発明の第一の実施態様の斜視模式図を示したものである。次に、
図3は本願発明の第一の実施態様において小袋パックを実際に供給した場合の斜視模式図である。
本願第一の発明は、“水平状に配置された回転ドラムであって、複数列の吸着部材が所定の間隔を隔てて側面周回りに装着された回転ドラムと、
【0014】
当該回転ドラムに対して小袋パックを連続的に供給し、前記複数列に対応する搬送路を有するフィーダ装置を備えた、小袋パック吸着供給装置において、
回転ドラム側面部に近接するフィーダ装置の搬送路の端部領域が略水平状態に形成されていることを特徴とする小袋パック吸着供給装置。“である。
以下、この内容を説明する。
【0015】
〇小袋パック吸引供給装置
本発明の小袋パック吸引装置1とは、大量に供給されてくる小袋パックKPを次の工程に必要なタイミングで必要量を供給するための装置である。食品の製造においては、具材やスープを柔軟性のある素材に封入した種々の小袋パックKPを利用する場合が多い。
当該具材パックやスープパック等を商品の製造ラインに順次供給していくことが必要な場合がある。例えば、即席カップ麺や即席カップライスに使用される、具材パックやスープパックが例として挙げられる。
【0016】
一方、このような場合においては大量に調製されて供給されてくる小袋パックKPを、食品の製造ラインに順次、ある程度の所定の数量で供給することが必要な場合がある。本発明の小袋パック吸着供給装置1はこのような場合に好適に利用することができる装置である。
【0017】
〇水平状に配置された回転ドラム
本発明の吸着供給装置1においては、水平状に配置された回転ドラム3を利用して、小袋パックKPを当該回転ドラム上に設けられた吸着部材5に吸着させて、反転後、吸着を解除して、各小袋パックKPを下方に落としてさせて別工程に移載する。
尚、図には示さないが回転ドラム3は回転のために回転軸が所定のモータ等の動力装置に連結されている。
【0018】
〇複数列の吸着部材
本発明の第一の実施態様においては、
図1~3に示すように複数の吸着部材5が各列状に均等に配置されている。各吸着部材は所定の吸引機構に連結されており、回転ドラム3の回転位置に応じて、空気の吸引及び吸引の解除等の制御が可能となるように構成されている。また、図には示さないが空気の吸引・解除については公知の方法を利用すれば可能である。
【0019】
尚、本発明の小袋パック吸着供給装置の動作時における回転ドラム3における小袋パックKPの吸着状態については、すべての吸着部材5に小袋パックKPが吸着することが必要ではなく、
図3に示すように小袋パックKPの吸着が無い部分が存在してもよいことは勿論である。
【0020】
〇フィーダ装置
本発明におけるフィーダ装置7は、回転ドラム3に対して小袋パックKPを順次供給するための装置である。搬送路9を前後に振動させることで搬送路上の小袋パックを順次、回転ドラム3に供給するように構成されている。
本発明の第一の実施態様における
図2の搬送路9の下部において振動体11が設置されており、搬送路9を振動させることによって搬送路上の積層状態の小袋パックKPを回転ドラム3に向かって搬送するように構成されている。尚、本発明の第一の実施態様における搬送路9は回転ドラム3に向かって軽度に下向きに(水平に対して下向きに2°程度)傾斜している。
【0021】
また、特に本願第一の実施態様においては、搬送路の出口端部に設けられた仕切板13に設けられた所定間隔のスリット部15が設けられている。
そして、当該スリット部15を前記回転ドラム3に設けられた吸着部材5の先端部分が通過するように構成されている。但し、
図2に示す態様は構成の一例であり、他の構成であってもよいことは勿論である。
【0022】
〇フィーダ装置の搬送路の端部領域が略水平状態に形成されている点について
本発明においては、
図1~3に示すように、搬送路9の排出端部が回転ドラム3に近接しておりフィーダ装置7から供給される小袋パックKPを回転ドラム3に供給するように構成されている。
次に、本発明においては、当該フィーダ装置7の搬送路9の端部領域が略水平状態に形成されていることを特徴とする。
【0023】
尚、この場合の搬送路の端部領域とは
図2や
図3に示すように搬送路が底面部と側面部からなる場合においてはその底面部の端部領域をいう。また、本発明にいう“略水平状態”とは、
図4に示すように完全な水平状態を含む。
但し、さらに、
図5に示すように水平状態より、回転ドラム側に向かって下向き(
図5)又は上向き(
図6)でもよい。さらに、
図7に示すように軽微な段差等の凹凸を有してもよい。
【0024】
また、本発明における“略水平状態”については前述のように完全な水平状態を含むとともに回転ドラムに向かって下向き又は上向きでもよいが、より具体的には、概ね水平面に対して回転ドラム3に向かって下向きを“-”、上向きを“+”で表記すると、概ね-25°~20°の範囲程度が可能である。このように上下の角度の傾斜を有する場合であっても可能である。但し、-20°~0°程度が好ましい。さらに、-10°~-1°がより好ましい。
【0025】
尚、搬送路9の端部領域が略水平状態に形成されていればよく、搬送路9の全体が略水平である必要はないことは勿論である。また、本発明においてはフィーダ装置7より供給されてくる小袋パックKPの状態にもよるが、フィーダ装置7の端部領域を略水平状態にしておくことで、
図8に示すように、吸着部材5の先端部によって小袋パックKPを起立に近い状態にさせながら吸着部材5に吸着させる場合が多い。
【0026】
また、本発明者らの検討においては、従来においては、
図9及び
図10に示すように、フィーダ装置7の搬送路17の出口端部を窪み状態にしておき、小袋パックKPを略垂直方向に向く状態としておき、吸着させる態様としていたところ、当該態様においては、小袋パックKPの詰まり状態等の問題が生じる場合があり、これを改良することによって本発明に至ったものである。
【0027】
〇フィーダ装置の搬送路端部のスリット部
本発明の
図1~3に示す実施態様においては、各吸着部材5が、フィーダ装置7の搬送路端部に設けられた所定間隔のスリット部15を通過するように構成されている。本発明においてはこのようなスリット部を設けることが好ましい。
具体的には搬送路端部の仕切板13と、搬送路9の端部にスリット部15が設けられている。尚、搬送路端部の仕切板13を有さない構成も可能である。
【0028】
〇小袋パックならし装置
次に、本発明の第一の実施態様の小袋パック吸着供給装置においては、
図11に示すように、さらに搬送路端部付近の上方から、搬送路9の搬送経路及び/又は回転ドラム3による小袋パックKPの吸着部付近を摺接するための回転式又は循環式の小袋パックならし装置19を設けることも好ましい。
【0029】
図11に示す第一の実施態様の小袋パックならし装置19においては、一組のスプロケット21の間に装着されたコンベアベルト23の面上に、所定間隔で羽根状部材25が複数枚装着されており、循環して搬送路9の搬送経路近及び/又は回転ドラム3による小袋パックKPの吸着部付近を、小袋パックKPの搬送方向とは逆方向に摺接するように構成されている。
【0030】
当該摺接によって、搬送路の搬送経路又は回転ドラム上による小袋パックKPの吸着部付近における小袋パックKPのイレギュラーな重なり等を排除することができる。
尚、羽根状部材25については、先端領域が柔軟性のあるプラスチック素材から構成されており、小袋パックKPに対する接触の際に屈曲することが可能となっている。
【0031】
〇回転ドラムでの搬送後の小袋パックについて
本発明の第一の実施態様における小袋パック吸着供給装置1によって吸着後の小袋パックKPは、
図1、
図11に示すように概ね吸着された状態で1/2~2/3程度、回転した後、吸着が解除され下方に設けられたコンベアライン27に供給される。
図1、
図11に示す本願の第一の実施態様においては、回転ドラム3の各列ごとに対応するスロープ29が設置されており、吸着が解除され落下した小袋パックKPがスロープ29を滑り下り、コンベア搬送等されて別工程に移行する。
【0032】
尚、吸着の解除のタイミングはこれに限られず、例えば、
図12に示すように、3/4程度、回転した後、落下するタイプも可能である。そして、下方部においてコンベア、スロープ又はフィーダ等の移動装置で次の工程に移る場合もある。このように、吸着を解除するタイミングは必要に応じて変更できることは勿論である。