(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101412
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】車両充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240722BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240722BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/02 G
H02J7/00 P
H02J7/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005377
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝資
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ アル タミミ
(72)【発明者】
【氏名】成田 瞳
(72)【発明者】
【氏名】桐原 敬
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA10
5G503CC02
5G503CC08
5G503FA06
5G503FA07
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】 先に充電コネクタに接続された車両の充電を優先するが、満充電に至らなくても所定の充電条件を満たしたら、他の車両の充電を並行して実施する。
【解決手段】 直流電源部30と、直流電源部30が出力する電力を車両Mに供給する4つの充電コネクタ6と、車両Mへの充電を制御する制御部9とを有し、制御部9は充電コネクタ6に先に接続された第1の車両Mに対しては、他の充電コネクタ6に2台目の第2の車両Mが接続されても、その後3台目の第3の車両Mが充電コネクタ6に接続されなければ、所定の条件を満たすまで直流電源部30の最大出力で充電する第1優先充電を実施し、3台の車両Mが充電コネクタ6に接続されたら、第1の車両Mの第1優先充電を解除し、第2の車両Mに対して直流電源部30の出力の10%の電力を供給し、残りの電力を前記第1の車両Mに供給する第2優先充電を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置されて個々に直流電力を出力する複数の直流電源ユニットを備えた直流電源部と、前記直流電源部が出力する電力を車両に供給する3つ或いは4つの充電コネクタと、前記充電コネクタに接続された車両への充電を制御する充電制御部とを有し、複数車両の同時充電が可能な車両充電装置であって、
前記充電制御部は、充電コネクタに1台のみ接続された第1の車両に対しては、他の充電コネクタに2台目の第2の車両が接続されても優先充電を実施し、
その後3台目の第3の車両が充電コネクタに接続されなければ、所定の条件を満たすまで前記直流電源部の最大出力で充電する第1優先充電を実施し、
前記所定の条件を満たしたら、前記第2の車両の充電を並行して実施することを特徴とする車両充電装置。
【請求項2】
前記充電制御部は、前記第1の車両の充電が前記所定の条件を満たしていない状態で、前記第3の車両が充電コネクタに接続されて、3台の車両が充電コネクタに接続されたら、前記第1の車両の前記第1優先充電を解除し、前記第2の車両に対して前記直流電源部の出力の50%未満の所定の電力を供給し、残りの電力を前記第1の車両に供給する第2優先充電を開始し、
前記第1の車両の充電が前記所定の条件を満たすまで、前記第3の車両の充電を開始しないことを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【請求項3】
前記充電制御部は、2台或いは3台の車両が充電コネクタに接続された状態で、前記第1の車両の充電が前記所定の条件を満たしたら、前記第1の車両の優先充電を解除して他の車両と合わせて均等充電に移行することを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【請求項4】
前記充電制御部は、3台の車両が充電コネクタに接続された状態で、前記第1の車両が充電コネクタから外されたら、前記第2の車両の前記第1優先充電を開始することを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【請求項5】
4つの充電コネクタを有し、
前記充電制御部は、前記第1の車両の充電が前記所定の条件を満たしていない状態で、4台目の第4の車両が充電コネクタに接続されて全ての充電コネクタに車両が接続されたら、前記第1の車両の前記第2優先充電を継続する一方で、前記第2の車両及び前記第3の車両に対して、前記直流電源部の出力の50%未満の電力を同一比率で分割して供給する充電を開始し、
前記第4の車両に対しては、前記第1の車両の充電が前記所定の条件を満たすまで充電を開始しないことを特徴とする請求項2記載の車両充電装置。
【請求項6】
前記充電制御部は、4台の車両が充電コネクタに接続された状態で、前記第1の車両の充電が前記所定の条件を満たしたら、前記第1の車両の優先充電を解除して4台の車両の均等充電に移行することを特徴とする請求項5記載の車両充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の蓄電池を備えた車両を充電する車両充電装置に関し、特に3台以上の車両の同時充電が可能な車両充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数車両の急速充電を可能とした車両充電装置がある。例えば、特許文献1では出力容量が同一の複数の直流電源ユニットと車両に接続される複数の充電コネクタを備え、1台目の車両からの充電指示情報を基に、必要な数の直流電源ユニットを選択して電力を供給した。そして、2台目の車両が接続されたら、使用していない直流電源ユニットを使用して電力を供給した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造の車両充電装置は、直流電源ユニットを複数備えることで、複数台の車両の同時充電が可能であった。しかしながら、最初に充電コネクタに接続された車両の充電が最後まで優先されるため、直流電源ユニットの多くが最初の車両充電に使用されたら、2台目の充電電力に使用される直流電源ユニットは少ないか無い場合が発生した。こうなると、2台目の充電は1台目の充電が終了するまで待たなければならず、充電の完了まで時間を要した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、先に充電コネクタに接続された車両の充電を優先するが、満充電に至らなくても所定の充電条件を満たしたら優先制御を終了し、他の車両の充電を並行して実施する車両充電制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明に係る車両充電装置は、並列に配置されて個々に直流電力を出力する複数の直流電源ユニットを備えた直流電源部と、直流電源部が出力する電力を車両に供給する3つ或いは4つの充電コネクタと、充電コネクタに接続された車両への充電を制御する充電制御部とを有し、複数車両の同時充電が可能な車両充電装置であって、充電制御部は、充電コネクタに1台のみ接続された第1の車両に対しては、他の充電コネクタに2台目の第2の車両が接続されても優先充電を実施し、その後3台目の第3の車両が充電コネクタに接続されなければ、所定の条件を満たすまで直流電源部の最大出力で充電する第1優先充電を実施し、所定の条件を満たしたら、第2の車両の充電を並行して実施することを特徴とする。
この構成によれば、充電コネクタに先に接続された第1の車両は、2台目の車両が接続されても所定の条件を満たすまでは最大電力が供給されるため、先に接続された車両は一定量の充電を短時間で実施できる。また、所定の条件を満たしたら、第2の車両の充電が開始されるため、待ち時間が長くならない。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、充電制御部は、第1の車両の充電が所定の条件を満たしていない状態で、第3の車両が充電コネクタに接続されて3台の車両が充電コネクタに接続されたら、第1の車両の第1優先充電を解除し、第2の車両に対して直流電源部の出力の50%未満の所定の電力を供給し、残りの電力を第1の車両に供給する第2優先充電を開始し、第1の車両の充電が所定の条件を満たすまで、第3の車両の充電を開始しないことを特徴とする。
この構成によれば、3台目の車両が接続されても、所定の条件を満たすまでは第1の車両の充電が優先されるため、第1の車両の充電は良好に実施される。一方で、3台目の車両が接続されたら、第1の車両の充電状態に関わらず第2の車両充電が開始されるため、充電待ち渋滞の解消に有効である。
【0008】
本発明の別の態様は、上記構成において、充電制御部は、2台或いは3台の車両が充電コネクタに接続された状態で、第1の車両の充電が所定の条件を満たしたら、第1の車両の優先充電を解除して他の車両と合わせて均等充電に移行することを特徴とする。
この構成によれば、第1の車両の充電が所定の条件を満たしたら、充電コネクタに接続されている他の車両と共に均等充電に移行するため、第2の車両、第3の車両の充電も比較的待ち時間が少なくできるし、第1の車両の充電が継続されるため、利便性が良い。
【0009】
本発明の別の態様は、上記構成において、充電制御部は、3台の車両が充電コネクタに接続された状態で、第1の車両が充電コネクタから外されたら、第2の車両の第1優先充電を開始することを特徴とする。
この構成によれば、充電コネクタに先に接続された車両が充電コネクタから外されたら、2台目の車両の優先充電が開始されるため、充電コネクタへの接続順に優先充電制御が行われ、後から接続された車両の充電が先に終了するようなことがない。
【0010】
本発明の別の態様は、上記構成において、4つの充電コネクタを有し、充電制御部は、第1の車両の充電が所定の条件を満たしていない状態で、4台目の第4の車両が充電コネクタに接続されて全ての充電コネクタに車両が接続されたら、第1の車両の第2優先充電を継続する一方で、第2の車両及び第3の車両に対して、直流電源部の出力の50%未満の電力を同一比率で分割して供給する充電を開始し、第4の車両に対しては、第1の車両の充電が所定の条件を満たすまで充電を開始しないことを特徴とする。
この構成によれば、充電コネクタに先に接続された第1の車両の優先充電中であっても、4台目の車両が充電コネクタに接続されたら、2台目に加えて3台目の車両も充電が開始されるため、充電待ち状態の解消を促進することができる。
【0011】
本発明の別の態様は、上記構成において、充電制御部は、4台の車両が充電コネクタに接続された状態で、第1の車両の充電が所定の条件を満たしたら、第1の車両の優先充電を解除して4台の車両の均等充電に移行することを特徴とする。
この構成によれば、第1の車両の充電が所定の条件を満たしたら、充電コネクタに接続されている他の車両と共に均等充電に移行するため、第2~4の車両の充電も比較的待ち時間を短くできるし、第1の車両の充電が継続されるため、利便性が良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充電コネクタに先に接続された第1の車両は、2台目の車両が接続されても所定の条件を満たすまでは最大電力が供給されるため、先に接続された車両は一定量の充電を短時間で実施できる。また、所定の条件を満たしたら、第2の車両の充電が開始されるため、待ち時間が長くならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る車両充電装置の一例を示す構成図である。
【
図2】充電制御の一例を示し、車両毎の充電電力と経過時間の関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る車両充電装置の一例を示すブロック図である。
車両充電装置1は、商用電力である三相交流電力Wを直流電力に変換するAC/DCコンバータ2、並列接続された複数の直流電源ユニット3を備えた直流電源部30、車両充電のための直流電力を蓄電する蓄電池部4、車両Mと通信する車両充電用通信部5、車両Mに充電電力を供給する4つの充電コネクタ6、直流電源部30の出力を4つの出力電路に分配する電路選択リレー部7、出力電路L1と充電コネクタ6を備えた充電ケーブルL2との接続をオン/オフする出力リレー部8、直流電源ユニット3の組合せを制御すると共に、車両充電装置1を制御する制御部9等を備えている。
【0015】
AC/DCコンバータ2は、商用電力(交流電力)を所定の電圧の直流に変換する。制御部9から指示を受けて車両充電のための直流電力を生成する。出力容量は、例えば100kWである。
【0016】
直流電源部30は、並列に配置された10台の直流電源ユニット3、各直流電源ユニットを管理する直流電源管理部31を備えている。個々の直流電源ユニット3は、DC/DCコンバータで構成され、例えば出力容量を10kWで構成され、全体で100kWの出力を可能としている。
【0017】
直流電源管理部31は、車両充電用通信部5からの制御信号を受けて、直流電源ユニット3の出力を制御し、車両Mが要求する電力を出力させる。
【0018】
蓄電池部4は、直列接続された複数の電池モジュールにより構成され、各電池モジュールを管理する管理部4aを備えている。蓄電池部4の充放電は制御部9により制御され、充分な充電量がある場合は、直流電源部30に蓄電電力を供給して車両充電に使用される。
また、車両Mの充電が行われない場合、或いは車両充電中であってもAC/DCコンバータ2の出力に余裕がある場合は、商用電力による充電が行われる。
【0019】
車両充電用通信部5は、充電コネクタ6毎に設置され、充電コネクタ6を介して車両Mと通信し、車両Mから要求電力を含む充電指示情報を取得し、取得した情報を直流電源管理部31及び制御部9に通知する。
【0020】
充電コネクタ6は、直流電源ユニット3から出力電路L1、充電ケーブルL2を介して供給された直流電力を車両Mに供給する。また、車両Mとの通信を管理する管理部(図示せず)を備えており、管理部から充電ケーブルL2を経由して車両充電用通信部5へ運転状態、車両Mとの通信情報が通知される。この情報は、車両充電用通信部5から制御部9、直流電源管理部31へ通知される。
【0021】
電路選択リレー部7は、個々の直流電源ユニット3に対して、並列に配置した4つのリレーを備えて構成されている。制御部9により開閉制御され、直流電源ユニット3の出力を、4系統から成る出力電路L1の何れかに接続させる。
【0022】
出力リレー部8は、出力電路L1と充電ケーブルL2との接続をオン/オフする。制御部9により制御され、充電開始時にオンされ、完了するとオフされる。
【0023】
制御部9は、車両充電用通信部5と通信して車両Mから情報を入手し、AC/DCコンバータ2、直流電源部30、電路選択リレー部7、出力リレー部8を制御して車両充電を制御する。直流電源部30の制御においては、直流電源ユニット3の組合せを制御する。
【0024】
上記の如く構成された車両充電装置1の充電は以下のように実施される。
図2は、車両M毎の充電電力と経過時間の関係を示すグラフ図であり、この
図2を参照して説明する。
図2では、充電コネクタ6に最初に車両Mが接続された時間をスタート時間として、約70分間の充電制御の流れを示している。この間、複数の車両Mが接続されたり切断された場合を示し、以下時間を追って説明する。
尚、ここでは優先充電の条件(所定の条件)を充電時間で設定し、充電開始から15分間は優先された車両Mを直流電源部30の最大出力で充電(第1優先充電)、或いは50%を超える電力で充電(第2優先充電)するものとする。
【0025】
最初に接続された車両Mが優先順位は1位となり、制御部9の制御により第1優先充電が開始される。以下、この最初に充電コネクタ6に接続された車両Mを第1の車両M1とし、その後接続された車両を順に第2の車両M2、第3の車両M3・・・として説明する。第1の車両M1に対しては第1優先充電制御が開始され、直流電源部30の100%の出力電力の供給が開始される。
尚、最初ではない場合でも、充電コネクタ6に接続されている車両Mが1台になった場合は、その車両Mが優先順位1位の車両となり、最初の車両Mと同様の制御が実施される。
【0026】
カウントを開始してから3分後に第2の車両M2が接続される。この場合、第1の車両M1は15分経過していないため、第1優先充電を継続し、第2の車両M2は直ぐに充電が開始されずに保留状態となる。尚、この第2の車両M2には自動的に第2位の優先順位が付与される。
また、約7分後に第3の車両M3が接続されるが、制御部9がそれを検知すると、第1の車両M1の第1優先充電を終了して第2優先充電を開始する。
この第2優先充電は、直流電源部30の最大出力の50%を超える電力を引き続き第1の車両M1に供給する制御であり、残りの電力を第2の車両M2の充電電力として第2の車両M2の充電を開始する。
ここでは、直流電源部30の最大出力の10%を第2の車両M2に割り当てて充電を開始する。そのため、第1の車両M1の充電電力は、直流電源部の出力100%から90%となる。
【0027】
10分後に第4の車両M4が接続されると、それを検知した制御部9は、充電が保留されていた第3の車両M3の充電を開始する。この場合も、第2の車両M2の充電と同様に直流電源部30の最大出力の10%の電力が割り当てられて充電が開始される。結果、第1の車両M1へ供給される電力は直流電源部30の最大出力の80%となる。
そして、第4の車両M4は、第1の車両M1に対する所定の条件が満たされていないため、優先充電が継続され、15分(残り5分)が経過するまで待機状態となる。
【0028】
所定時間である15分が経過すると、第1の車両M1に対する優先充電制御が解除され、接続されている4台の車両M1~M4に対して均等充電が開始される。ここでは、各車両Mに直流電源部30の最大出力の25%がそれぞれに供給される。
【0029】
このように、充電コネクタ6に先に(最初に)接続された車両Mは、次に接続された2台目の車両Mが接続されても所定の条件を満たすまでは最大電力が供給されるため、最初の車両Mは一定量の充電を短時間で実施できる。また、所定の条件を満たしたら、2番目の車両Mの充電が開始されるため、待ち時間が長くならない。
そして、3台目の車両Mが接続されても、所定の条件を満たすまでは最初の車両Mの充電が優先されるため、最初の車両Mの充電は良好に実施される。一方で、3番目の車両Mが接続されたら、最初の車両Mの充電状態に関わらず2番目の車両Mの充電が開始されるため、充電待ち渋滞の解消に有効である。
加えて、最初の車両Mの充電が所定の条件を満たしたら、充電コネクタ6に接続されている他の車両と共に均等充電に移行するため、2番目の車両M、3番目の車両Mの充電も比較的待ち時間が少なくできるし、最初の車両Mの充電が継続されるため、利便性が良い。
また、充電コネクタ6に最初に接続された車両Mの優先充電中であっても、4台目の車両が充電コネクタ6に接続されたら、2台目に加えて3台目の車両Mも充電が開始されるため、充電待ち状態の解消を促進することができる。
【0030】
そして、
図2ではカウントを開始してから25分後に、第1の車両M1が充電コネクタ6から切り離されたことを示している。これを検知した制御部9は、均等充電を終了して第2の車両M2の優先制御を開始する。
この場合、第3及び第4の車両M3,M4は、既に充電が開始されているため、第2の車両M2に対して第2優先充電を開始する。従って、直流電源部30の最大出力の80%が第2の車両M2に供給され、第3及び第4の車両M3,M4にはそれぞれ10%の電力が供給される。
尚、このとき、第3の車両M3の優先順位は3位から2位へ、第4の車両の優先順位は4位から3位へ変更される。
【0031】
このように、優先順位1位の車両Mが充電コネクタ6から外されたら、その次に接続された車両Mが優先順位1位となり優先充電が開始されるため、充電コネクタ6への接続順に優先充電制御が行われ、後から接続された車両の充電が先に終了するようなことがない。
【0032】
カウントを開始してから約33分後には第5の車両M5が接続されるが、第2の車両M2の優先充電が15分経過していないため、第5の車両M5の充電は開始されない。
更に約37分後には第3の車両M3の接続が解除される。この段階で充電コネクタ6に接続されている車両Mは、第2、第4、第5の車両M2,M4,M5の3台となり、第4の車両M4の優先順位は3位から2位へ、第5の車両M5の優先順位は4位から3位へ変更される。
但し、第5の車両M5は、新しい車両Mが接続されるまで、或いは優先順位1位の第2の車両M2の15分の優先時間が終了するまで待機する事になる。
結果、第2の車両M2は第2優先充電を実施して、第2の車両M2の充電電力に第3の車両M3の分が追加され、直流電源部30の最大出力の90%、第4の車両には10%が供給される。
【0033】
カウントを開始してから40分後は、第2の車両M2の優先が15分の経過で終了となるため、第2、第4、第5の車両M2,M4,M5の3台が均等充電され、各車両Mに直流電源部30の最大出力の33%がそれぞれ供給される。
【0034】
50分経過後に第2の車両M2が切断され、残りは第4の車両M4と第5の車両M5の2台となる。この結果、第4の車両M4の優先順位は2位から1位へ、第5の車両M5の優先順位は3位から2位へ移行する。第5の車両M5は次の車両Mが接続されないため充電されず、第4の車両M4の優先充電制御が開始され、直流電源部30の最大出力で充電が開始される。
約57分後、第6の車両M6が接続されると、第4の車両M4の優先充電制御が第2優先充電に移行し、第5の車両M5に直流電源部30の最大出力の10%の電力で充電が開始される。第4の車両M4の充電電力は直流電源部30の最大出力の90%となる。
【0035】
65分経過後、第4の車両M4の優先時間である15分が経過するため、優先充電が終了となる。結果、第4の車両M4、第5の車両M5、第6の車両M6の3台が均等充電に移行する(各車両に直流電源部の最大出力電力の33%がそれぞれに供給される)。
70分経過後、第6の車両M6が切り離される。結果、車両Mの残りは第4の車両M4、第5の車両M5となる。この場合、第4の車両M4は既に15分の優先充電が終了しているため、優先されることがなく、第5の車両M5が優先順位1位になり優先充電(第2優先充電)の対象となる。そのため、第4の車両M4は直流電源部30の最大出力の10%で充電が継続される。
こうして順次優先制御される車両Mが切り替わって充電が継続される。
【0036】
このように、優先順位1位の車両Mの充電が所定の条件を満たしたら、充電コネクタ6に接続されている他の車両Mと共に均等充電に移行するため、充電待ちの他の車両Mの充電も比較的待ち時間を短くできるし、最初の車両Mの充電が継続されるため、利便性が良い。
【0037】
尚、上記実施形態では、充電コネクタ6を4台備えた構成を説明したが、3台であっても良く、同様の制御を実施できる。
また、第2優先充電の制御では、優先充電車両M以外の車両Mには1台あたり直流電源部30の最大出力の10%を供給しているが、10%でなくとも良い。優先充電車両Mに供給される電力が直流電源部30の最大出力の50%を超える数値(他の車両に対しては合計が50%未満の数値)であれば良く、3台の車両Mが充電コネクタ6に接続されている場合は1台当たり20%としても良い。この場合、2台の車両Mに供給しても40%であり、優先充電車両Mに対しては60%の電力を供給できる。
更に、所定の条件を15分の充電時間で設定しているが、この時間は一例であり、10分としても良いし20分であっても良い。また、所定の条件を時間で設定するのでは無く、SOC(車両Mの充電率)で設定しても良い。例えば、充電開始からSOCが充電開始時より25%等一定の割合増加したら優先充電制御を終了としても良い。
【符号の説明】
【0038】
1・・車両充電装置、2・・AC/DCコンバータ、3・・直流電源ユニット、4・・蓄電池部、5・・車両充電用通信部、6・・充電コネクタ、7・・電路選択リレー部、8・出力リレー部、9・・制御部(充電制御部)、30・・直流電源部、L2・・充電ケーブル、M・・車両。