(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101442
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ダンパーアダプター及び押引きダンパー装置
(51)【国際特許分類】
F16F 9/54 20060101AFI20240722BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20240722BHJP
F24C 15/02 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
F16F9/54
F24C7/02 521A
F24C15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005421
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000236665
【氏名又は名称】不二ラテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】横尾 貴志
(72)【発明者】
【氏名】石原 一真
【テーマコード(参考)】
3J069
3L086
【Fターム(参考)】
3J069AA69
3J069CC07
3J069CC37
3J069CC40
3L086BC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】開動作及び閉動作の双方で抗力を必要とする場合には適用可能にするダンパーアダプター及び押引きダンパー装置を提供する。
【解決手段】ダンパーアダプター1は、直動ダンパーとの間及び相互間で相対動作可能であり直動ダンパーに沿って結合配置され得る第1、第2のアダプター部材3,5と第1、第2のアダプター部材3、5にそれぞれ備えられ直動ダンパーの各端に各別に対向し第1、第2のアダプター部材3、5の直動ダンパーに沿った押し引きの相対動作で直動ダンパーの各端部を押圧する各一対の当接部3a、3b、当接部5a、5bとを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直動ダンパーとの間及び相互間で相対動作可能であり直動ダンパーに沿って結合配置され得る第1、第2のアダプター部材と、
前記第1、第2のアダプター部材にそれぞれ備えられ前記直動ダンパーの各端に各別に対向し前記第1、第2のアダプター部材の直動ダンパーに沿った押し引きの相対動作で前記直動ダンパーの各端部を押圧する各一対の当接部と、
を備えたダンパーアダプター。
【請求項2】
請求項1のダンパーアダプターであって、
前記第1、第2のアダプター部材は、相互間を結合させる相互嵌合部を備えると共に前記直動ダンパーを嵌合保持するダンパー保持部を一方又は双方に備えた、
ダンパーアダプター。
【請求項3】
請求項2のダンパーアダプターであって、
前記第1、第2のアダプター部材は、前記直動ダンパーを挟むように側面に沿って対向配置され得る一対の長尺部材であり、
前記相互嵌合部は、前記直動ダンパーの両側で前記第1、第2のアダプター部材に分けて備えられる雌雄のスナップフィット部であり、
前記ダンパー保持部は、前記第1、第2のアダプター部材の少なくとも一方に備えられ前記直動ダンパーを側面から保持する突起部である、
ダンパーアダプター。
【請求項4】
請求項2のダンパーアダプターであって、
前記第1、第2のアダプター部材は、前記相互嵌合部を兼ね前記直動ダンパーを内包し得る2重の内外パイプ部材であり、
前記外パイプ部材である前記第1のアダプター部材は、前記直動ダンパーの一端に前記貫通部を通して対向する凸部を一端部に備え、
前記内パイプ部材である前記第2のアダプター部材は、前記直動ダンパーの一端に対向して貫通部を有する底部を一端部に備えると共に前記直動ダンパーの他端に遊動部材を介して対向する押圧部を他端部に備え、
前記凸部及び前記底部は、前記各一対の当接部の各一方を備えると共に前記誘導部材は、前記各一対の当接部の各他方を備え、
前記第1、第2のアダプター部材が引きの相対動作をするときは前記遊動部材が前記直動ダンパーの他端を押圧する方向へ移動するように前記第1のアダプター部材に対して連携させる連携部を備え、
前記第1、第2のアダプター部材が押しの相対動作をするときは前記遊動部材が前記直動ダンパーの他端を押圧する方向へ移動するように前記第2のアダプター部材の押圧部による押圧を受ける、
ダンパーアダプター。
【請求項5】
請求項2のダンパーアダプターであって、
前記第1、第2のアダプター部材は、前記直動ダンパーを内包し得る窓部をそれぞれ備えて相互に重ね合わされた一対の長尺板材であり、
前記相互嵌合部及びダンパー保持部は、前記第1、第2のアダプター部材を相対移動可能に拘束し前記直動ダンパーに固定し得るガイド部であり、
前記各窓部は、一端及び他端に前記一対の当接部をそれぞれ備えた、
ダンパーアダプター。
【請求項6】
請求項1~5のダンパーアダプターを用いた押引きダンパー装置であって、
前記直動ダンパーと、
前記直動ダンパーに沿って結合配置された前記第1、第2のアダプター部材と、
前記第1、第2のアダプター部材にそれぞれ備えられた前記各一対の当接部と、
を含む押引きダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波加熱器などに供されるダンパーアダプター及び押引きダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の引きダンパー装置がある。この引きダンパー装置は、ショックアブソーバーと、ベース・アダプター及び可動アダプターとを備えている。
【0003】
この引きダンパー装置は、例えば、ベース・アダプターを自動車のグローブ・ボックス本体側に取り付け、可動アダプターをグローブ・ボックスの蓋体側に取り付けて用いられる。
【0004】
グローブ・ボックスの蓋体が開動作して可動アダプターが力を受けると、ベース・アダプターに対して引き出される。このとき、ショックアブソーバーのロッドがシリンダー内へ進入して抗力を発生するので蓋体の開動作の途中で手を放しても蓋体を静かに開かせることができる。
【0005】
グローブ・ボックスの蓋体を閉動作させるときは、可動アダプターがベース・アダプター内に戻り、この戻りに伴ってショックアブソーバーのロッドがシリンダーから引き出され、ピストンが抗力を受けることなく移動する。したがって、グローブ・ボックスの蓋体を無理なく閉動作させることができる。
【0006】
しかし、高周波加熱器のドアなどのように開動作及び閉動作の双方で抗力を必要とする場合には適用できず、或いは閉動作用のショックアブソーバーを別途必要とし、構造が複雑になるという問題があった。
【0007】
かかる問題は、高周波加熱器のドアに限らず、冷蔵庫、その他種々の収納庫などでも同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、開動作及び閉動作の双方で抗力を必要とする場合には適用できなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明のダンパーアダプターは、開動作及び閉動作の双方で抗力を必要とする場合には適用可能とするために、直動ダンパーとの間及び相互間で相対動作可能であり直動ダンパーに沿って結合配置され得る第1、第2のアダプター部材と、前記第1、第2のアダプター部材にそれぞれ備えられ前記直動ダンパーの各端に各別に対向し前記第1、第2のアダプター部材の直動ダンパーに沿った押し引きの相対動作で前記直動ダンパーの各端部を押圧する各一対の当接部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本願発明の押引きダンパー装置は、前記直動ダンパーと、前記直動ダンパーに沿って結合配置された前記第1、第2のアダプター部材と、前記第1、第2のアダプター部材にそれぞれ備えられた前記各一対の当接部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明のダンパーアダプターは、上記構成であるから、直動ダンパーを組み合わせることで開動作及び閉動作の双方で抗力を必要とする場合に適用させる押引きダンパー装置を簡単な構造で提供することができる。
【0013】
本願発明の押引きダンパー装置は、上記構成であるから、簡単な構造で開動作及び閉動作の双方で抗力を必要とする場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1に係り、ダンパーアダプターの側面図である。
【
図2】実施例1に係り、ダンパーアダプターの斜視図である。
【
図3】実施例1に係り、アダプター部材の斜視図である。
【
図4】実施例1に係り、アダプター部材の平面図である。
【
図5】実施例1に係り、(A)は、押引きダンパー装置を高周波加熱器に組付けた状態におけるドアの全閉時、全開時を重ねて示す側面図、(B)は、押引きダンパー装置を高周波加熱器に組付けた状態におけるドアの全閉時を示す側面図、(C)は、押引きダンパー装置を高周波加熱器に組付けた状態におけるドアの全開時を示す側面図である。
【
図6】実施例1に係り、
図5における高周波加熱器に組付けた押引きダンパー装置の動作を示し、(A)は、引き動作終了時、(B)は、中間時、(C)は、押し動作終了時の断面図である。
【
図7】実施例2に係り、押引きダンパー装置の動作を示し、(A)は、引き動作終了時、(B)は、引き方向空走区間時、(C)は、中間時、(D)は、押し方向空走区間時、(E)は、押し動作終了時の断面図である。
【
図8】実施例2に係り、押引きダンパー装置を高周波加熱器に組付けた状態におけるドアの全閉時、全開時を重ねて示す側面図である。
【
図9】実施例3に係り、引出しに組付けた押引きダンパー装置の動作を示し、(A)は、引き動作終了時、(B)は、押し動作終了時の断面図である。
【
図10】実施例4に係り、押引きダンパー装置の動作を示し、(A)は、引き動作終了時、(B)は、中間時、(C)は、押し動作終了時の断面図である。
【
図11】実施例4に係り、押引きダンパー装置をオーブントースターに組付けた状態を示し、(A)は、全閉時、(B)は、全開時のそれぞれ一部を省略した概略斜視図である。
【
図12】実施例5に係り、押引きダンパー装置の断面図である。
【
図13】実施例5に係り、ダンパーアダプター斜視図である。
【
図14】実施例5に係り、ダンパーアダプターの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、開動作及び閉動作の双方で抗力を必要とする場合に適用可能にするという目的を、以下のように実現した。
【0016】
図のように、ダンパーアダプターは、直動ダンパーとの間及び相互間で相対動作可能であり直動ダンパーに沿って結合配置され得る第1、第2のアダプター部材と、前記第1、第2のアダプター部材にそれぞれ備えられ前記直動ダンパーの各端に各別に対向し前記第1、第2のアダプター部材の直動ダンパーに沿った押し引きの相対動作で前記直動ダンパーの各端部を押圧する各一対の当接部とを備える形態とした。
【0017】
前記ダンパーアダプターであって、前記第1、第2のアダプター部材は、相互間を結合させる相互嵌合部を備えると共に前記直動ダンパーを嵌合保持するダンパー保持部を一方又は双方に備えた形態とした。
【0018】
前記ダンパーアダプターであって、前記第1、第2のアダプター部材は、前記直動ダンパーを挟むように側面に沿って対向配置され得る一対の長尺部材であり、前記相互嵌合部は、前記直動ダンパーの両側で前記第1、第2のアダプター部材に分けて備えられる雌雄のスナップフィット部であり、前記ダンパー保持部は、前記第1、第2のアダプター部材の少なくとも一方に備えられ前記直動ダンパーを側面から保持する突起部である形態とした。
【0019】
前記ダンパーアダプターであって、前記第1、第2のアダプター部材は、前記相互嵌合部を兼ね前記直動ダンパーを内包し得る2重の内外パイプ部材であり、前記内パイプ部材である前記第1のアダプター部材は、前記直動ダンパーの一端に対向して貫通部を有する底部を一端部に備えると共に前記直動ダンパーの他端に遊動部材を介して対向する押圧部を他端部に備え、前記外パイプ部材である前記第2のアダプター部材は、前記直動ダンパーの一端に前記貫通部を通して対向する凸部を一端部に備え、前記凸部及び前記底部は、前記各一対の当接部の各一方を備えると共に前記誘導部材は、前記各一対の当接部の各他方を備え、前記第1、第2のアダプター部材が引きの相対動作をするときは前記遊動部材が前記直動ダンパーの他端を押圧する方向へ移動するように前記第2のアダプター部材に対して連携させる連携部を備え、前記第1、第2のアダプター部材が押しの相対動作をするときは前記遊動部材が前記直動ダンパーの他端を押圧する方向へ移動するように前記第1のアダプター部材の押圧部による押圧を受ける形態とした。
【0020】
前記ダンパーアダプターであって、前記第1、第2のアダプター部材は、前記直動ダンパーを内包し得る窓部をそれぞれ備えて相互に重ね合わされた一対の長尺板材であり、前記相互嵌合部及びダンパー保持部は、前記第1、第2のアダプター部材を相対移動可能に拘束し前記直動ダンパーに固定し得るガイド部であり、前記各窓部は、一端及び他端に前記一対の当接部をそれぞれ備えた形態とした。
【0021】
前記ダンパーアダプターを用いた押引きダンパー装置であって、前記直動ダンパーと、前記直動ダンパーに沿って結合配置された前記第1、第2のアダプター部材と、前記第1、第2のアダプター部材にそれぞれ備えられた前記各一対の当接部とを含む形態とした。
【0022】
押引きダンパー装置は、押引きの緩衝を必要とするものであれば、取付対象は限定されない。
【実施例0023】
[ダンパーアダプター]
図1は、実施例1に係り、ダンパーアダプターの側面図である。
図2は、同ダンパーアダプターの斜視図である。
図3は、同アダプター部材の斜視図である。
図4は、同アダプター部材の平面図である。なお、押し方向とは、ダンパーアダプター1の両側を長手方向に押圧する方向、引き方向とは、ダンパーアダプター1の両側を長手方向に引く方向を意味する。
【0024】
図1、
図2のように、実施例1のダンパーアダプター1は、第1、第2のアダプター部材3、5と、各一対の当接部3a、3b、当接部5a、5bを備えている。
【0025】
前記第1、第2のアダプター部材3、5は、同一構造であり、直動ダンパーとの間及び相互間で相対動作可能であり、向かい合わせで直動ダンパーに沿って結合配置され得る形状となっている。
【0026】
第1、第2のアダプター部材3、5は、相互間を結合させる相互嵌合部7、9を備えると共に直動ダンパーを嵌合保持するダンパー保持部11、13を双方に備えている。ダンパー保持部11、13は、直動ダンパーを嵌合保持できればよく、一方のみで実施することもできる。
【0027】
第1、第2のアダプター部材3、5は、直動ダンパーを挟むように側面に沿って対向配置され得る一対の長尺部材である。相互嵌合部9は、直動ダンパーの両側で前記第1、第2のアダプター部材3、5に分けて備えられる雌雄のスナップフィット部である。前記ダンパー保持部11は、前記第1、第2のアダプター部材3、5の少なくとも一方、実施例では双方に備えられ直動ダンパーを側面から保持する突起部である。
【0028】
前記各一対の当接部3a、3b、当接部5a、5bは、第1、第2のアダプター部材3、5にそれぞれ備えられ直動ダンパーの各端に各別に対向する。これら各一対の当接部3a、3b、当接部5a、5bは、第1、第2のアダプター部材3、5の直動ダンパーに沿った押し引きの相対動作で直動ダンパーの各端部を押圧する。
【0029】
第1、第2のアダプター部材3、5の具体的形状は同一である。このため、第1のアダプター部材3について説明し、第2のアダプター部材5は、第1のアダプター部材3の説明に代える。
【0030】
図3、
図4のように、第1のアダプター部材3は、直動ダンパーに沿った長尺の本体部15の両端部に凸部9a、凹部9bを備えている。スナップフィット部9、9の雌雄の一方をそれぞれ構成する。
【0031】
前記本体部15は、直動ダンパーの円形断面に沿って側面に沿う断面形状であり、直動ダンパーの円形断面に対向する湾曲断面形状に形成されている。本体部15の一方の端部に、結合端17が備えられている。結合端17には、結合用の貫通孔17aが備えられている。結合端17には、段部17bが形成されている。段部17bは、第2のアダプター部材5の端面に間隔を持って対向している。かかる間隔により第1、第2のアダプター部材3、5の押し方向の動作を許容する。
【0032】
前記スナップフィット部9の凸部9aは、押し引き方向では均一断面であり、第2のアダプター部材5の凹部9bに篏合する方向で断面の先端が相対的に肥大する形状となっている。凸部9a、の断面外形は、曲面により対称形状且つ先端に向かって肥大形状に形成されている。前記スナップフィット部9の凹部9bは、押し引き方向では均一断面であり、凸部9aの外面形状に対応する湾曲した内面形状を有し、断面方向で対称形状に形成されている。
【0033】
したがって、第1、第2のアダプター部材3、5を向かい合わせで
図1のように組付けると、第1のアダプター部材3の凹部9bが第2のアダプター部材5の凸部9aにスナップフィットし、第1のアダプター部材3の凸部9aに第2のアダプター部材5の凹部9bがスナップフィットして第1、第2のアダプター部材3、5が
図1のように結合配置される。
【0034】
前記ダンパー保持部11は、凹部9bに隣接して本体部15に突設されている。ダンパー保持部11は、突起部であり、直動ダンパーを側面から保持する。突起部11は、押し引き方向では均一断面であり、直動ダンパーの円形の外面形状に対応する湾曲した内面形状を有し、断面方向で対称形状に湾曲形成されている。突起部11は、直動ダンパーの円形の外面形状に対し、スナップフィットする。
【0035】
前記当接部3aは、本体部15に向かう凸部9aの端面に備えられ、当接部3bは、本体部15に向かう凹部9bの端面に備えられている。当接部3bは、ダンパー保持部11に保持される直動ダンパーの端面に対向する。前記当接部5a、5bは、第2のアダプター部材5に対応して同様に備えられている。
【0036】
かかるダンパーアダプター1に対し直動ダンパーを組付けることで押引きダンパー装置を構成することができる。
【0037】
図5は、実施例1に係り、(A)は、押引きダンパー装置を高周波加熱器に組付けた状態におけるドアの全閉時、全開時を重ねて示す側面図、(B)は、押引きダンパー装置を高周波加熱器に組付けた状態におけるドアの全閉時を示す側面図、(C)は、押引きダンパー装置を高周波加熱器に組付けた状態におけるドアの全開時を示す側面図である。
図6は、5における高周波加熱器に組付けた押引きダンパー装置の動作を示し、(A)は、引き動作終了時、(B)は、中間時、(C)は、押し動作終了時の断面図である。
【0038】
図5、
図6で示される押引きダンパー装置D1は、
図1に示すダンパーアダプター1に直動ダンパー19を組付けたものである。例えば、
図3で示す第1のアダプター部材3に対し直動ダンパー19を組付け、第2のアダプター部材5を第1のアダプター部材3に対し向かい合わせで
図1のように組付けると、第1のアダプター部材3の凹部9bが第2のアダプター部材5の凸部9aにスナップフィットし、第1のアダプター部材3の凸部9aに第2のアダプター部材5の凹部9bがスナップフィットして第1、第2のアダプター部材3、5及び直動ダンパー19が
図5、
図6のように結合される。
【0039】
この組付け状態では、
図6(B)のように直動ダンパー19のピストンロッド頭部が第1のアダプター部材3の当接部3a及び第2のアダプター部材5の当接部5bに当接又は対向し、同シリンダー底部が第1のアダプター部材3の当接部3b及び第2のアダプター部材5の当接部5aに当接又は対向する。
【0040】
図5の押引きダンパー装置D1の取付状態では、押引きダンパー装置D1の第2のアダプター部材5が一方の結合端17において高周波加熱器21の本体23に回転自在に結合されている。押引きダンパー装置D1の第2のアダプター部材5は、他方の結合端17において取り付け長さを設定し高周波加熱器21のドア25に回転自在に結合されている。なお、第1のアダプター部材3を本体23に結合し、第2のアダプター部材5をドア25に結合することもできる。
【0041】
図5の取付状態においてドア25の
図5(A)、(B)の全開時は、
図6(A)のように押引きダンパー装置D1の第1、第2のアダプター部材3、5が引かれ、ドア25の
図5(A)、(C)の全閉時は、
図6(C)のように第1、第2のアダプター部材3、5が押し込められる。
【0042】
図6(A)、(C)の全開全閉時は、当接部3b、5b又は当接部3a、5aにより直動ダンパー19が収縮状態となる。
【0043】
図5のフリー区間Aでは、
図6(B)のように押引きダンパー装置D1の当接部3b、5b及び当接部3a、5aが直動ダンパー19のシリンダー底部及びピストンロッド頭部に対向して中立位置となる。この中立位置では、直動ダンパー19が伸長状態となる。
【0044】
図5のドア25を全閉時から全開時へ向かって開くときは、ドア25がソフトクローズ区間B、フリー区間A、ソフトオープン区間Cを順に経る動作を行う。
【0045】
図5のドア25を全開時から全閉時へ向かって閉じるときは、ドア25がソフトオープン区間C、フリー区間A、ソフトクローズ区間Bを順に経る動作を行う。
【0046】
ドア25の開動作では、ソフトクローズ区間Bからフリー区間Aを経てソフトオープン区間Cに至るまで
図6(C)から
図6(B)のように直動ダンパー19が伸長動作し、直動ダンパー19による抗力は働かない。
【0047】
ドア25の開動作においてソフトオープン区間Cでは、
図6(B)から
図6(A)のように直動ダンパー19が収縮動作し、直動ダンパー19による抗力が働く。
【0048】
ドア25の閉動作では、ソフトオープン区間Cからフリー区間Aを経てソフトクローズ区間Bに至るまで
図6(A)から
図6(B)のように直動ダンパー19が伸長動作し、直動ダンパー19による抗力は働かない。
【0049】
ドア25の閉動作においてソフトクロース区間Bでは、
図6(B)から
図6(C)のように直動ダンパー19が収縮動作し、直動ダンパー19による抗力が働く。
【0050】
したがって、1本の直動ダンパー19によりドア25の開閉の何れの方向にも抗力を働かせることができる。且つ開動作初期からソフトオープン区間Cに至るまで、或いは閉動作初期からソフトクローズ区間Bに至るまでは直動ダンパー19による抗力は働かないようにすることができる。したがって、ドア25の開閉の円滑さを損なわずにドア25のソフトオープン、ソフトクローズを実現することができる。
【0051】
しかも、1本の直動ダンパー19を用いるだけであるため、構造が簡単となり、コスト低減を図ることができる。
また、本実施例2の押引きダンパー装置D1は、空走区間Sの存在により第1、第2のアダプター部材3、5の結合端17間のストロークを実施例1よりも拡大することができ、取り付け自由度を拡げることができる。