IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101446
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】開閉装置用の安全装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
E06B7/36 F
E06B7/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005428
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】堤 賢司
(72)【発明者】
【氏名】久次米 稔之
(57)【要約】
【課題】上枠に固定された枠体側装置の落下を抑制できる開閉装置用の安全装置の取付構造を提供すること。
【解決手段】開閉装置1用の安全装置10の取付構造は、枠体側装置60と、枠体側装置60を上枠21に取り付ける取付部88と、を備え、上枠21は、貫通開口部253が形成された水平板部251を有し、取付部88は、第1引っ掛け可能部883と、第2引っ掛け可能部884と、を有し、第1引っ掛け可能部883は、貫通開口部253の長手方向の一方側において長手方向の外側に突出する長手方向突出部883cを有し、第2引っ掛け可能部884は、貫通開口部253の長手方向の他方側において長手方向に交差する方向の両方の外側に突出する一対の幅方向突出部884dを有し、枠体側装置60は、第1引っ掛け可能部883及び第2引っ掛け可能部884が貫通開口部253の縁部の上方に引っ掛け可能な状態で配置された状態で、上枠21に固定される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉装置用の安全装置の取付構造であって、
前記開閉装置は、戸体の開閉移動により開口部を開閉可能に構成され、
前記開閉装置は、上枠を有する枠体と、前記枠体に配置された戸体と、を備え、
前記安全装置は、枠体側装置と、前記枠体側装置を前記上枠に取り付ける取付部と、を備え、
前記上枠は、所定方向に延びる貫通開口部が形成された水平板部を有し、
前記取付部は、前記枠体側装置の上部に設けられており、一部が前記貫通開口部に配置された状態で、前記貫通開口部の長手方向の一方側に配置される第1引っ掛け可能部と、前記貫通開口部の長手方向の他方側に配置される第2引っ掛け可能部と、を有し、
前記第1引っ掛け可能部は、前記貫通開口部の長手方向の一方側において長手方向の外側に突出する長手方向突出部を有し、
第2引っ掛け可能部は、前記貫通開口部の長手方向の他方側において長手方向に交差する方向の両方の外側に突出する一対の幅方向突出部を有し、
前記枠体側装置は、前記第1引っ掛け可能部及び前記第2引っ掛け可能部が前記貫通開口部の縁部の上方に引っ掛け可能な状態で配置された状態で、前記上枠に固定される、開閉装置用の安全装置の取付構造。
【請求項2】
前記長手方向突出部は、前記貫通開口部における前記戸体を閉める方向の奥側に配置され、
前記一対の幅方向突出部は、前記貫通開口部における前記戸体を閉める方向の手前側に配置される、請求項1に記載の開閉装置用の安全装置の取付構造。
【請求項3】
前記水平板部の下面と前記枠体側装置との間に配置されるスペーサ部材を備える、請求項1又は2に記載の開閉装置用の安全装置の取付構造。
【請求項4】
前記長手方向突出部及び前記一対の幅方向突出部は、それぞれ、前記貫通開口部を下方から上方に貫通するように傾斜する傾斜部を介して、前記取付部の一方側又は他方側の端部に設けられる、請求項1又は2に記載の開閉装置用の安全装置の取付構造。
【請求項5】
前記水平板部は、前記貫通開口部の長手方向の一方側の縁に形成される第1縁部と、前記貫通開口部の長手方向の途中において前記貫通開口部の内側に突出して形成される第2縁部と、を有し、
前記枠体側装置が前記上枠に前記取付部を介して取り付けられた状態において、前記長手方向突出部は、前記第1縁部の上方に配置され、前記一対の幅方向突出部は、前記第2縁部の上方に配置される、請求項1又は2に記載の開閉装置用の安全装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉装置用の安全装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指挟み防止機構を備えた開閉装置用の安全装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された開閉装置用の安全装置は、枠に取り付けられる枠体側装置と、戸体に取り付けられる戸体側装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-57737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉装置用の安全装置において、枠体側装置が上枠の下面側にねじ固定されている場合には、ねじが全て抜けて外れた場合に、枠体側装置が上枠から落下する可能性がある。そのため、上枠に固定された枠体側装置が落下することを抑制できることが求められている。
【0005】
本開示は、上枠に固定された枠体側装置の落下を抑制できる開閉装置用の安全装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、開閉装置用の安全装置の取付構造であって、前記開閉装置は、戸体の開閉移動により開口部を開閉可能に構成され、前記開閉装置は、上枠を有する枠体と、前記枠体に配置された戸体と、を備え、前記安全装置は、枠体側装置と、前記枠体側装置を前記上枠に取り付ける取付部と、を備え、前記上枠は、所定方向に延びる貫通開口部が形成された水平板部を有し、前記取付部は、前記枠体側装置の上部に設けられており、一部が前記貫通開口部に配置された状態で、前記貫通開口部の長手方向の一方側に配置される第1引っ掛け可能部と、前記貫通開口部の長手方向の他方側に配置される第2引っ掛け可能部と、を有し、前記第1引っ掛け可能部は、前記貫通開口部の長手方向の一方側において長手方向の外側に突出する長手方向突出部を有し、第2引っ掛け可能部は、前記貫通開口部の長手方向の他方側において長手方向に交差する方向の両方の外側に突出する一対の幅方向突出部を有し、前記枠体側装置は、前記第1引っ掛け可能部及び前記第2引っ掛け可能部が前記貫通開口部の縁部の上方に引っ掛け可能な状態で配置された状態で、前記上枠に固定される、開閉装置用の安全装置の取付構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る開閉装置を室外側から見た場合の正面図である。
図2】本実施形態に係る開閉装置用の安全装置を室外側から見た図である。
図3】本実施形態に係る開閉装置用の安全装置を室外側の斜め上方側から見た図である。
図4】安全装置本体の断面図である。
図5】安全装置本体を斜め上方側から見た図である。
図6】安全装置本体を斜め下方側から見た図である。
図7】操作アーム部が戻り移動経路を移動する場合の傾斜ガイド部の開閉動作を示す図である。
図8】操作アーム部及び衝突スライダの構成を示す側面図である。
図9】衝突スライダの上面に摺動スペーサ部材が設けられている状態を示す斜視図である。
図10】上枠から取り外した安全装置本体を斜め上方側から見た斜視図である。
図11】上枠から取り外した安全装置本体を斜め下方側から見た斜視図である。
図12】安全装置本体の分解斜視図である。
図13】安全装置本体の斜視図である。
図14】上框に取り付けたストッパ部を斜め上方側から見た斜視図である。
図15】上框に取り付けたストッパ部を上方から見た図である。
図16】上框に取り付けたストッパ部を側方から見た図である。
図17】上框から取り外したストッパ部を斜め上方側から見た斜視図である。
図18】上框から取り外したストッパ部を上方から見た図である。
図19】上框から取り外したストッパ部を側方から見た図である。
図20】スペーサ金具及び受け金具を上框に取り付ける状態を示す図ある。
図21】安全装置において、アーム板の先端部が、途中で下方に移動して内障子が進む動作を説明する図である。
図22】安全装置において、アーム板の先端部がストッパ部に衝突して、内障子が一旦停止する動作を説明する図である。
図23】安全装置において、操作アーム部が戻り移動経路を戻る動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に配置された枠体20の開口部20aに納められた障子におけるガラスの面方向を意味し、「見込方向」とは、上記ガラスの厚さ方向(即ち、奥行き方向、室内外方向)を意味する。図面において、室外側を室外側Y1と記載し、室内側を室内側Y2と記載する。
【0009】
本実施形態の開閉装置1は、いわゆる引き違い窓であり、図1に示すように、枠体20と、枠体20内に開閉可能に嵌め込まれた内障子30(戸体)及び外障子40と、安全装置10と、を備える。開閉装置1は、内障子30及び外障子40の左右方向Xへの開閉移動により開口部20aを開閉可能である。安全装置10は、開閉装置1用である。
【0010】
枠体20は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。内障子30および外障子40は、いずれも引き戸であり、これらを見付方向にスライドさせることで、枠体20の開口部20aが開放又は閉鎖される、いわゆる引き違い窓を構成する。
【0011】
内障子30は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框31、下框32および左右の縦框である召内框33,戸先框34により矩形に枠組みされた框体35と、框体35内に嵌め込まれて固定されたガラス36と、を含んで構成される。
【0012】
外障子40は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框41、下框42および左右の縦框である召外框43,戸先框44により矩形に枠組みされた框体45と、框体45内に嵌め込まれて固定されたガラス46と、を含んで構成される。
【0013】
安全装置10について説明する。本実施形態においては、開閉装置1において、図1の左右方向を左右方向Xという。開閉装置1の左右方向Xは、内障子30の横方向でもある。開閉装置1の左右方向Xにおける一方側(図1における左側)をX1側といい、左右方向Xにおける他方側(図1における右側)をX2側という。また、上下方向を上下方向Zという。また、内障子30を枠体20のX2側(図1における右側)において閉める方向(X1側からX2側に移動される方向)を第1移動方向D1といい、内障子30を枠体20のX2側(図1の右側)において開ける方向(X2側からX1側に移動される方向)を第2移動方向D2という。
【0014】
安全装置10は、指などの挟み込み防止機構を備えている。安全装置10は、図1図3に示すように、安全装置本体60(枠体側装置)と、操作アーム部70(戸体側装置)と、を備える。安全装置本体60は、枠体20の上枠21の左右方向XのX2側の端部側に固定されることで、開口部20aの左右方向XのX2側の上部に固定される。操作アーム部70は、内障子30の上框31の左右方向XのX2側に固定されることで、内障子30の左右方向XのX2側の上部に固定される。操作アーム部70は、内障子30が開閉移動されることにより移動する。
【0015】
操作アーム部70は、図1に示すように、内障子30の上部に取り付けられる。操作アーム部70は、内障子30の上框31の左右方向XのX2側に配置される。操作アーム部70は、内障子30が左右方向XのX2側において閉まる側に移動された場合に、安全装置本体60に導入される。操作アーム部70は、図2及び図3に示すように、操作側ベース部材71と、アーム板72(アーム部材)と、先端側ピン73(ガイド部)と、を有する。アーム板72の先端は、長手方向の外側に向けて凸となる凸形状のアールを有する曲面状に形成される。操作アーム部70の詳細については後述する。
【0016】
安全装置本体60は、図2に示すように、ベース部材61と、傾斜ガイド部62と、経路延在板63と、ストッパ部80と、を有する。また、安全装置本体60は、操作アーム部70のアーム板72の先端部721が移動する移動経路として、第1移動経路K1(上流側経路)と、落下誘導連通部64(誘導部)と、第2移動経路K2(下流側経路)と、戻り移動経路K3(戻り経路)と、を有する。操作アーム部70のアーム板72は、操作アーム部70の先端側に設けられた先端側ピン73が傾斜ガイド部62の上面及び経路延在板63の上面に沿って移動することで、第1移動経路K1を移動する。
【0017】
図4図6に示すように、ベース部材61は、上面板611(上部構成部)と、側面板612と、を有する。上面板611は、見込方向に幅を有して左右方向Xに延びて形成される。側面板612は、上面板611の左右方向XのX1側において、上面板611の見込方向の室内側Y2の端部から下方に延びる。側面板612の室外側Y1の面には、傾斜ガイド部62が取り付けられる。
【0018】
傾斜ガイド部62は、ベース部材61の側面板612の左右方向XのX1側の室外側Y1の面に沿って配置される支持板621と、支持板621の下端から側方に突出する傾斜ガイド板622と、を有する。
【0019】
傾斜ガイド板622は、左右方向XのX1側からX2側に向かうに従って下方側から上方側に向かうように傾斜する傾斜板622aと、傾斜板622aの左右方向XのX2側の端部からX2側に延びる水平板622bと、を有する。支持板621は、ベース部材61の側面板612に、見込方向に延びる回転軸J3を中心に回転可能に接続される。支持板621の軸部材621aには、トーションばね623(ばね部材)が取り付けられている。
【0020】
図7の上図に示すように、傾斜ガイド部62は、第1移動経路K1と戻り移動経路K3とが合流する部分に配置され、トーションばね623に付勢されており、操作アーム部70の先端側ピン73が第1移動経路K1を移動する場合に、戻り移動経路K3を閉鎖して第1移動経路K1を形成する。また、図7の下図に示すように、操作アーム部70の先端側ピン73が戻り移動経路K3から第1移動経路K1に移動する場合に、トーションばね623の付勢力に抗して先端側ピン73が傾斜ガイド部62を下方から押し上げることで閉鎖位置から回転軸J3を中心に傾斜ガイド部62を上方側に回転させて、先端側ピン73が戻り移動経路K3から第1移動経路K1へ移動する経路を開放する。これにより、傾斜ガイド部62は、アーム板72が戻り移動経路K3を戻る際に、戻り移動経路K3の左右方向XのX1側が開閉されることで、戻り移動経路K3を開閉する開閉部として機能する。
【0021】
経路延在板63は、図4及び図6に示すように、ベース部材61の側面板612から見込方向の室外側Y1に水平に突出する平面板状に形成される。経路延在板63の上面は、傾斜ガイド部62が閉鎖位置に位置する場合には、傾斜ガイド部62の水平板622bの上面と同一平面上に位置する。これにより、操作アーム部70の先端側ピン73は、傾斜ガイド部62の上面と経路延在板63の上面とに沿って移動可能である。
【0022】
図4に示すように、第1移動経路K1は、傾斜ガイド部62の上面側、及び、経路延在板63の上面側を通り、ストッパ部80までの経路である。第1移動経路K1は、アーム板72の先端部721(移動部)がストッパ部80に向かう場合に、アーム板72の先端部721が第1移動方向D1に移動されることが可能な経路である。
【0023】
ストッパ部80は、第1移動経路K1の左右方向XのX2側に配置される。ストッパ部80は、ベース部材61の上面板611の下面に沿って配置される。ストッパ部80は、内障子30が所定速度以上の速度で移動された場合に、内障子30の開閉動作を一旦停止させるようにアーム板72の先端部721が衝突する。ストッパ部80は、アーム板72の先端部721の移動方向に移動可能な衝突スライダ81(スライダ部)と、衝突スライダ81に接続され内障子30の移動速度を減速させる減速装置85と、を有する。
【0024】
ストッパ部80の左右方向XのX1側の手前の下部には、第2移動経路K2に連通する落下誘導連通部64(誘導部)が形成されている。落下誘導連通部64は、ストッパ部80と経路延在板63の左右方向XのX2側の端部との間の隙間により構成される。
【0025】
第2移動経路K2(下流側経路)は、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部の下部に形成された落下誘導連通部64を介して、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部の下方に連通して形成され、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部の下方から、左右方向XのX2側に延びる。第2移動経路K2は、落下誘導連通部64により誘導された操作アーム部70のアーム板72の先端部721が第1移動方向D1に移動されることが可能な経路である。
【0026】
落下誘導連通部64は、内障子30が所定速度以上で移動された場合に、アーム板72の先端部721がストッパ部80の衝突スライダ81に衝突して減速装置85により衝撃を吸収した状態で内障子30の開閉動作を一旦停止させた後にアーム板72の先端部721を下方(交差方向)に誘導し、内障子30が所定速度よりも遅い速度で移動された場合に、内障子30の開閉動作を停止させずにストッパ部80の手前においてアーム板72の先端部721を下方(交差方向)に誘導する。
【0027】
落下誘導連通部64の隙間の左右方向Xの長さLは、先端側ピン73が通過可能な長さであって、内障子30が所定速度以上の速度で第1移動方向D1に移動して先端側ピン73が安全装置本体60に導入された場合に、先端側ピン73が、落下誘導連通部64の隙間から落下する前に、アーム板72の先端部721がストッパ部80の衝突スライダ81に衝突することが可能な長さに設定できる。
【0028】
戻り移動経路K3は、第2移動経路K2における第1移動方向D1側の端部と反対の端部側から第1移動経路K1側に延びて形成され、第1移動経路K1の上流側に合流する経路である。戻り移動経路K3は、左右方向XのX2側からX1側に水平方向に延びており、経路延在板63の下方側、及び、傾斜ガイド部62の下方側を通り、第1移動経路K1の上流側に合流する経路である。
【0029】
図4に示すように、衝突スライダ81は、第1移動経路K1の左右方向XのX2側の端部において、左右方向Xに移動可能に、減速装置85の左右方向XのX1側の端部に接続される。衝突スライダ81は、図6に示すように、ベース部材61の上面板611の左右方向XのX1側の下方に配置される。衝突スライダ81は、図6及び図8に示すように、左右方向XのX1側の端部側に形成される衝突部82と、衝突部82の左右方向XのX2側に形成されるスライド部83と、を有する。
【0030】
衝突部82は、衝突スライダ81の左右方向XのX1側の端部に形成される。衝突部82は、上下方向Zに厚みを有する板状のスライド部83の左右方向XのX1側の端部に形成される。図8に示すように、衝突部82は、左右方向XのX1側の端部に形成される衝突曲面部821と、上端角部円弧面部822と、下端角部円弧面部823(下端角部)と、を有する。
【0031】
衝突曲面部821は、左右方向XのX1側の斜め下方側を向く曲面状に形成される。衝突曲面部821は、側面視で、アーム板72の先端部721が衝突する際に、アーム板72の先端部721に対向して配置される部分が、左右方向XのX2側の斜め上方側に凹む凹形状のアールを有する曲面状に形成される。衝突曲面部821に衝突するアーム板72の先端は、長手方向の外側に向けて凸となる凸形状のアールを有する曲面状に形成される。
【0032】
衝突曲面部821におけるアーム板72の先端部721が衝突する部分は、衝突部分821aを構成する。衝突部分821aは、操作アーム部70のアーム板72の先端部721が衝突した場合に、ストッパ部80の衝突部分821aにおけるアーム板72の先端部721が衝突した際の荷重が作用する部分である。
【0033】
衝突曲面部821は、内障子30が第1移動方向D1に所定速度以上で移動された場合に、アーム板72の先端部721がストッパ部80の衝突スライダ81の衝突曲面部821に衝突した場合に、衝突スライダ81を第1移動方向D1に押して内障子30を一旦停止させ、その後、アーム板72の先端部721が落下誘導連通部64を介してスムーズに下方に移動される。アーム板72の左右方向XのX1側の端部は、衝突部82よりも下方の位置において回転可能に支持されている。
【0034】
衝突曲面部821は、アールを有する曲面状に形成されているため、アールを有する曲面状に形成されたアーム板72の先端部721が衝突する場合に、アールを有する曲面状の部分同士が衝突するため、アーム板72の先端部721が衝突する衝突部分821aの位置が多少ずれてもよく、衝突可能範囲が、衝突曲面部821の所定の円弧の範囲に許容される。本実施形態においては、衝突部82の衝突曲面部821のアールの曲率半径などは、アーム板72の先端部721の曲率半径よりも大きく形成される。衝突部82の衝突曲面部821の曲面のアールにおける曲率半径、曲面の向き及び曲面の円弧の長さは、アーム板72の先端部721の移動範囲や曲面のアールなどを考慮して、適宜設定される。
【0035】
衝突曲面部821は、アーム板72の先端部721が衝突した場合に、アーム板72の先端部721が上方側に移動しないように、上部に被せ曲面部821b(被せ部分)を有する。被せ曲面部821bは、衝突曲面部821の左右方向XのX1側の上側の部分により構成される。被せ曲面部821bは、アーム板72の先端部721がストッパ部80の衝突スライダ81の衝突曲面部821に衝突した場合にアーム板72の先端部721の上方に被さるように、左右方向XのX1側に張り出して形成される。被せ曲面部821bは、アーム板72の先端部721が上方側へ移動することを規制する。
【0036】
上端角部円弧面部822は、衝突スライダ81の左右方向XのX1側の端部の上端角部を面取りした円弧状に形成される。下端角部円弧面部823は、衝突スライダ81におけるアーム板72の先端部721側の端部の角部において、アールを有する曲面状に形成される。下端角部円弧面部823を設けることで、衝突曲面部821に衝突したアーム板72の先端部721は、落下誘導連通部64を介して下方に移動される際に、下端角部円弧面部823に沿って移動されるため、第1移動方向D1にスムーズに移動される。
【0037】
スライド部83は、図6及び図8に示すように、衝突スライダ81の左右方向XのX2側に連続して形成される。スライド部83は、上下方向Zの厚みを有する板状に形成され、見込方向の所定幅を有して、左右方向Xに延びる。
【0038】
スライド部83の左右方向XのX2側の端部には、減速装置85が接続される。減速装置85の取付構造については後述する。スライド部83の上面には、図8に示すように、凹み部831が形成される(図12参照)。凹み部831には、図8及び図9に示すように、摺動スペーサ部材84(スペーサ部材)が配置されて固定される。摺動スペーサ部材84は、スライド部83の上面とベース部材61の上面板611の下面との間に配置される。摺動スペーサ部材84は、平面視で方形状に形成されると共に、凹み部831から上方に突出する厚みを有する板状に形成される。
【0039】
摺動スペーサ部材84は、スライド部83が左右方向Xに移動する場合に、ベース部材61の上面板611の下面に接触した状態で移動する。摺動スペーサ部材84は、例えば、樹脂材料で形成される。摺動スペーサ部材84が樹脂材料で形成されることで、衝突スライダ81の衝突部82にアーム板72の先端部721が衝突した場合に衝突スライダ81に上方側への衝撃の力が作用しても、摺動スペーサ部材84により、衝突音が軽減される。
【0040】
本実施形態においては、摺動スペーサ部材84を樹脂材料で構成し、上枠21の材料をアルミニウム材料で構成している。摺動スペーサ部材84及び上枠21の互いの材料を異種材料で構成することで、同種材料で構成される場合には互いが滑りにくくなるのに対して、摺動性を向上させることができる。なお、本実施形態においては、摺動スペーサ部材84を樹脂材料で構成し、上枠21の材料をアルミニウム材料で構成したが、これに限定されない。例えば、一方の材料を銅と亜鉛の合金の黄銅の材料で構成し、他方の材料をアルミニウム材料で構成することで、互いの材料を異種材料で構成してもよい。
【0041】
安全装置本体60の取付構造について説明する。図10に示すように、安全装置本体60は、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化された状態で、安全装置本体60の上部に配置されたダンパーカバー88(取付部)を介して、スペーサ部材89を挟んで、上枠21に取り付けられる。ダンパーカバー88は、安全装置本体60を上枠21に取り付ける。
【0042】
図10図13に示すように、ストッパ部80の減速装置85は、左右方向XのX1側の端部に衝突スライダ81が取り付けられた状態で、ベース部材61の上面板611の下方に固定されている。ベース部材61の左右方向XのX1側には、傾斜ガイド部62が取り付けられている。
【0043】
減速装置85は、ストッパ部80の左右方向XのX2側に配置され、アーム板72の先端部721が衝突スライダ81に衝突した場合に、アーム板72の先端部721が衝突した際の衝突スライダ81からの衝撃を吸収する。減速装置85は、図10及び図12に示すように、一部がベース部材61の上面板611のベース部材開口部613に挿入された状態で、上面板611の下面に固定される。減速装置85は、図12及び図13に示すように、ダンパーケース86と、2つのダンパー部87と、ダンパーカバー88(取付部)と、を有する。
【0044】
2つのダンパー部87は、ダンパーケース86に収容される。ダンパーケース86は、上下方向Zに厚みを有する板状に形成され、見込方向に幅を有すると共に左右方向Xに延びて形成される。ダンパーケース86は、図12に示すように、上面に、2つのダンパー収容部861と、衝突スライダ収容部862と、を有する。
【0045】
2つのダンパー収容部861は、ダンパーケース86の中央付近において、見込方向に並んで配置され、上方が開放して下方に凹んだ円弧状に形成され、左右方向Xに延びる。衝突スライダ収容部862は、ダンパーケース86の左右方向XのX1側において、上方が開放して形成される。衝突スライダ収容部862は、スライダ本体配置凹部862aと、スライダ本体配置凹部862aの左右方向XのX2側に形成される一対の摺動溝862bと、一対の摺動溝862bの間に配置される凸条部862cと、を有する。
【0046】
衝突スライダ収容部862には、衝突スライダ81が収容される。図12に示すように、衝突スライダ81のスライド部83は、スライド部本体832と、ガイド溝833と、一対の摺動突起834と、を有する。
【0047】
ガイド溝833は、スライド部本体832の左右方向XのX2側の端部の下面において、上方側に凹んで左右方向Xに延びる溝状に形成される。ガイド溝833には、衝突スライダ収容部862の凸条部862cが左右方向Xに移動可能に配置される。一対の摺動突起834は、スライド部本体832の左右方向XのX2側の端部から見込方向の室外側Y1及び室内側Y2に突出する。一対の摺動突起834は、減速装置85のダンパーケース86の左右方向XのX1側に形成される衝突スライダ収容部862の一対の摺動溝862bに左右方向Xに移動可能に配置される。
【0048】
アーム板72の先端部721が衝突スライダ81に衝突した場合に、衝突スライダ81のスライド部83のガイド溝833及び一対の摺動突起834が左右方向Xに移動可能に配置されることで、衝突スライダ81のスライド部83は、左右方向Xに移動可能に構成されている。
【0049】
ダンパー部87は、ダンパーケース86のダンパー収容部861に収容される。ダンパー部87は、左右方向Xに延びる円筒状の緩衝部871と、緩衝部871の左右方向XのX1側の端部に設けられるロッド部872と、を有する。
【0050】
ダンパーカバー88は、ダンパーケース86に収容された2つのダンパー部87を上方側から覆うように配置される。ダンパーカバー88は、ダンパーケース86に収容された2つのダンパー部87を覆うように配置された状態で、図10に示すように、ベース部材61の上面板611と減速装置85のダンパーケース86とに挟み込まれて固定される。
【0051】
ダンパーカバー88は、図12に示すように、上面板部881と、上面板部881の見込方向の両端部に形成される一対の側板部882と、上面板部881の左右方向XのX2側の端部に形成される第1延在引っ掛け可能部883(引っ掛け可能部、第1引っ掛け可能部)と、上面板部881の左右方向XのX1側の端部に形成される第2延在引っ掛け可能部884(引っ掛け可能部、第2引っ掛け可能部)と、を有する。上面板部881は、上下方向Zに厚みを有する板状に形成され、左右方向Xに水平に延びる。
【0052】
一対の側板部882は、上面板部881の見込方向の外側の端部から見込方向の外側に下り傾斜で所定長さ延びる下り傾斜板882aと、下り傾斜板882aの見込方向の外側の端部から水平方向に所定長さ延びる底板882bと、を有する。
【0053】
第1延在引っ掛け可能部883及び第2延在引っ掛け可能部884は、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60を、上枠21に取り付けた場合には、図5に示すように、上枠21の上面板211に配置された裏板部材25の裏板251に形成された裏板貫通開口部253(貫通開口部)の縁部に引っ掛け可能な状態で、裏板251の裏板貫通開口部253の縁部の上方に配置される。
【0054】
第1延在引っ掛け可能部883は、図10及び図12に示すように、上面板部881の左右方向XのX2側の端部から上面板部881の見込方向の幅よりも小さい幅で左右方向XのX2側に上面板部881を延長するように延びる延在板883aと、延在板883aの左右方向XのX2側の端部から左右方向XのX2側に上り傾斜で所定長さ延びる上り傾斜板883b(傾斜部)と、上り傾斜板883bの左右方向XのX2側の端部から左右方向XのX2側の外側に突出する一対の長手方向突出板883c(長手方向突出部)と、を有する。
【0055】
上り傾斜板883bは、図4及び図5に示すように、裏板部材25の裏板貫通開口部253を下方から上方に貫通するように傾斜して延びる。延在板883aと一対の長手方向突出板883cとの間に上り傾斜板883bを設けることで、一対の長手方向突出板883cを上方側に突出させている。これにより、安全装置本体60を上枠21に取り付けた場合、一対の長手方向突出板883cを裏板貫通開口部253の左右方向XのX2側の縁部254a(第1縁部)(後述)の上方側に配置して引っ掛けやすくできると共に、上枠21の上面板211の下面と安全装置本体60との間に配置されるスペーサ部材89(後述)の厚みにも対応できる。
【0056】
第2延在引っ掛け可能部884は、図10及び図12に示すように、上面板部881の左右方向XのX1側の端部から上面板部881の見込方向の幅よりも小さい幅で左右方向XのX1側に上面板部881を延長するように延びる延在板884aと、延在板884aの左右方向XのX1側の端部から左右方向XのX1側に上り傾斜で所定長さ延びる上り傾斜板884b(傾斜部)と、上り傾斜板884bの左右方向XのX1側の端部から左右方向XのX1側に所定長さ延びる上段延在板884cと、上段延在板884cの左右方向XのX1側の端部において見込方向(長手方向に交差する方向)の両方の外側に突出する一対の幅方向突出板884d(幅方向突出部)と、を有する。
【0057】
上り傾斜板884bは、図4及び図5に示すように、裏板部材25の裏板貫通開口部253を下方から上方に貫通するように傾斜して延びる。延在板884aと一対の幅方向突出板884dとの間に上り傾斜板884bを設けることで、一対の幅方向突出板884dを上方側に突出させている。これにより、一対の幅方向突出板884dを裏板貫通開口部253の左右方向XのX1側の一対の突出片255a(第2縁部)(後述)の上方側に配置して引っ掛けやすくできると共に、上枠21の上面板211の下面と安全装置本体60との間に配置されるスペーサ部材89(後述)の厚みにも対応できる。
【0058】
ストッパ部80を組み立てる場合には、図12に示すように、2つのダンパー部87をダンパーケース86の2つのダンパー収容部861に収容すると共に、摺動スペーサ部材84を取り付けた衝突スライダ81をダンパーケース86の衝突スライダ収容部862に収容する。ダンパーカバー88は、ダンパーケース86に収容された2つのダンパー部87を覆うように配置され、ベース部材61の上面板611のベース部材開口部613に挿入された状態で取り付けられる。
【0059】
ストッパ部80をベース部材61の上面板611のベース部材開口部613に取り付ける構造について説明する。ベース部材開口部613は、ベース部材61の上面板611の左右方向XのX2側において、上下方向Zに貫通して開口する。ベース部材開口部613は、左右方向XのX2側に形成され見込方向に幅を有し左右方向Xに延びる長方形の長方形状開口部613aと、長方形状開口部613aの左右方向XのX1側に連続して形成され長方形状開口部613aよりも見込方向の幅が狭い幅狭開口部613bと、を有する。
【0060】
ストッパ部80をベース部材61の上面板611のベース部材開口部613に取り付ける場合には、図12に示す状態から、ダンパーカバー88を第2延在引っ掛け可能部884側が上方側に位置するように傾けて、ダンパーカバー88の第2延在引っ掛け可能部884を、ベース部材開口部613の長方形状開口部613aに挿入する。
【0061】
そして、第2延在引っ掛け可能部884において、一対の幅方向突出板884dをベース部材開口部613の幅狭開口部613bの上方側に貫通させた状態で、一対の幅方向突出板884dの基端側の幅が狭い部分(延在板884a、上り傾斜板884b及び上段延在板884c)を、ベース部材開口部613の幅狭開口部613bの左右方向XのX1側の端部に移動させながら、ダンパーカバー88が水平になるように持ち上げて、ダンパーカバー88の上面板部881及び第2延在引っ掛け可能部884をベース部材開口部613の長方形状開口部613aに挿入する。その後、ダンパーカバー88を左右方向XのX2側に水平に移動させる。
【0062】
ストッパ部80をベース部材61の上面板611のベース部材開口部613に取り付けた場合には、ダンパーカバー88は、図10に示すように、ダンパーケース86に収容された2つのダンパー部87を覆うように取り付けた状態で、一部がベース部材61の上面板611に形成されたベース部材開口部613に配置される。この状態で、ダンパーカバー88は、ベース部材61の上面板611と減速装置85のダンパーケース86とに挟み込まれる。ダンパーカバー88の側板部882の底板882bは、ベース部材61の上面板611におけるベース部材開口部613の見込方向の端部側の部分の下方側に配置されて、上方側からベース部材61の上面板611に押さえられる。
【0063】
ストッパ部80をベース部材61の上面板611のベース部材開口部613に取り付けた状態において、図10及び図12に示すように、ストッパ部80の左右方向XのX2側の部分が、ネジ611aにより固定される。ネジ611aは、ベース部材61の上面板611の左右方向XのX2側の部分を上方側から下方側に向けて貫通し、ダンパーカバー88の第1延在引っ掛け可能部883の一対の長手方向突出板883cの間の隙間883dを通り、ダンパーケース86の左右方向XのX2側の部分の上面にネジ込まれる。このようにネジ611aにより固定されることで、安全装置本体60は、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成される。
【0064】
この状態においては、図10に示すように、第1延在引っ掛け可能部883、第2延在引っ掛け可能部884、上面板部881及び側板部882の一部が、ベース部材開口部613に挿入されてベース部材61の上面板611の上方側に配置された状態で、ダンパーカバー88の左右方向XのX2側において、第1延在引っ掛け可能部883の一対の長手方向突出板883cが、ベース部材開口部613の長方形状開口部613aの左右方向XのX2側の端部の縁部の上方に配置され、ダンパーカバー88の左右方向XのX1側において、第2延在引っ掛け可能部884の一対の幅方向突出板884dが、ベース部材開口部613の幅狭開口部613bの見込方向の両側の縁部の上方に配置される。
【0065】
これにより、第1延在引っ掛け可能部883の一対の長手方向突出板883cが、左右方向XのX2側において、長方形状開口部613aの左右方向XのX2側の端部の縁部に引っ掛け可能な状態で配置され、第2延在引っ掛け可能部884の一対の幅方向突出板884dが、左右方向XのX1側において、ベース部材開口部613の幅狭開口部613bの見込方向の両側の縁部に引っ掛け可能な状態で配置される。
【0066】
ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60を、上枠21に取り付ける構造について説明する。
【0067】
ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60においては、安全装置本体60の上部には、ダンパーカバー88が設けられる。安全装置本体60を上枠21に取り付ける場合には、上枠21の上面板211の下面と安全装置本体60との間にスペーサ部材89を挟んだ状態で、ダンパーカバー88を上枠21の裏板部材25の裏板貫通開口部253において引っ掛けて、その後、安全装置本体60を上枠21にネジ60aで固定する。
【0068】
図5及び図6に示すように、スペーサ部材89は、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60において、上枠21の上面板211の下面と安全装置本体60との間に配置される。スペーサ部材89は、上下方向Zに厚みを有する板状に形成され、左右方向Xに延びる。
【0069】
スペーサ部材89には、図11及び図12に示すように、上枠21の上面板211に形成された貫通開口部211aと同じ位置に同程度の大きさの貫通開口部891が形成されている。貫通開口部891は、スペーサ部材89がベース部材61の上面板611の上面と上枠21の上面板211の下面との間に配置された場合に、ベース部材61の上面板611から上方に突出する部分などを避けるように開口している。
【0070】
スペーサ部材89を設けた理由について説明する。上枠21には、安全装置本体60が取り付けられており、内障子30の上框31には、操作アーム部70が取り付けられている。そのため、安全装置本体60と操作アーム部70との上下の位置関係が良好になるように、開閉装置1の建て付けに応じて、スペーサ部材89を設けたり、スペーサ部材89を設けなかったり、厚みを調整したスペーサ部材89を設けることで、安全装置本体60と操作アーム部70との上下の位置を調整可能である。
【0071】
詳細には、枠体20内に内障子30及び外障子40を建て込んだ場合に、建て付けなどに応じて、戸車などの調整が行われて、枠体20と、内障子30及び外障子40との距離を調整するように構成されているのが一般的である。本実施形態においては、操作アーム部70と安全装置本体60との位置関係が重要になるが、内障子30の上框31に配置した操作アーム部70と上枠21に配置した安全装置本体6とにおいて、例えば、傾斜ガイド部62の下端が内障子30の上框31に接触しない位置になるように、かつ、操作アーム部70のアーム板72の先端が安全装置本体60の傾斜ガイド部62に誘導される位置になるように調整できる。
【0072】
上枠21の上面板211には、図11に示すように、左右方向Xに延びる長方形状の貫通開口部211aが形成されている。上枠21の上面板211の上面には、上面板211の貫通開口部211aよりも大きい外形の裏板部材25が固定されている。裏板部材25は、上下方向Zに厚みで左右方向Xに延びる板状の裏板251(水平板部)と、裏板251の左右方向XのX2側の端部に形成される下方突出片252と、を有する。
【0073】
裏板部材25は、図11に示すように、下方突出片252が上枠21の上面板211に形成された取付溝211bに挿入された状態で、ネジ25aにより固定される。裏板251には、上枠21の上面板211に形成された貫通開口部211aと同じ位置に同程度の大きさの裏板貫通開口部253(貫通開口部)が形成されている。
【0074】
裏板貫通開口部253は、図10に示すように、上下方向Zに貫通して開口して形成され、左右方向Xに延びる。裏板貫通開口部253は、左右方向XのX2側に形成され左右方向Xの長さが長い長方形状に開口する第1開口部254と、第1開口部254の左右方向XのX1側に幅狭開口部255を介して連続して形成され第1開口部254よりも左右方向Xの長さが短い第2開口部256と、を有する。
【0075】
第1開口部254の左右方向Xの長さは、ダンパーカバー88の上面板部881及び第1延在引っ掛け可能部883の左右方向Xの長さを合計した左右方向Xの長さよりも長く形成される。第2開口部256の左右方向Xの長さは、第2延在引っ掛け可能部884の一対の幅方向突出板884dの左右方向Xの長さよりも長く形成される。
【0076】
第1開口部254及び第2開口部256は、見込方向の幅が同じ大きさに形成され、第1開口部254及び第2開口部256よりも見込方向の幅が小さい幅狭開口部255を介して接続されている。幅狭開口部255は、裏板貫通開口部253の左右方向XのX1側の途中において、裏板貫通開口部253の見込方向の両側の縁部から見込方向の内側に突出する一対の突出片255aにより、裏板貫通開口部253の左右方向Xの途中において、見込方向の幅が小さく狭められている。
【0077】
図10に示すように、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60を、上枠21に取り付ける場合には、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60を、上枠21の上面板211の下方側から上方側に移動させて、スペーサ部材89を介在させて、上枠21の上面板211に固定する。
【0078】
この場合、ダンパーカバー88をスペーサ部材89の貫通開口部891に挿通させて、ダンパーカバー88の左右方向XのX1側において、ダンパーカバー88の第2延在引っ掛け可能部884の一対の幅方向突出板884dを、上枠21の裏板部材25の裏板貫通開口部253の第2開口部256に挿入すると共に、ダンパーカバー88の左右方向XのX2側において、ダンパーカバー88の上面板部881、一対の側板部882及び第1延在引っ掛け可能部883を、上枠21の裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254に挿通させる。
【0079】
そして、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60を、左右方向XのX2側に移動させることで、図5に示すように、左右方向XのX2側において、第1延在引っ掛け可能部883を裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254の左右方向XのX2側の縁部254a(第1縁部)の上方側に配置すると共に、第2延在引っ掛け可能部884を一対の突出片255a(縁部、第2縁部)の上方側に配置するように取り付ける。
【0080】
この状態においては、左右方向XのX2側において、第1延在引っ掛け可能部883の長手方向突出板883cが裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254の左右方向XのX2側の縁部254aの上方に配置されると共に、第2延在引っ掛け可能部884の一対の幅方向突出板884dが、一対の突出片255aの上方に配置される。そのため、安全装置本体60を上枠21に取り付ける際に、安全装置本体60から手を離しても、左右方向XのX2側において、第1延在引っ掛け可能部883が裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254の左右方向XのX2側の縁部254aに引っ掛かっていると共に、第2延在引っ掛け可能部884が一対の突出片255aに引っ掛かっているため、仮置きされた状態である。
【0081】
そして、ベース部材61、傾斜ガイド部62及びストッパ部80が一体化されて構成された安全装置本体60を仮置きした状態で、安全装置本体60を、図10に示すように、上枠21にネジ60aにより固定する。そのため、安全装置本体60を上枠21に固定する作業が容易である。安全装置本体60を上枠21に固定した状態においては、図5に示すように、ダンパーカバー88の一部がスペーサ部材89の貫通開口部891に配置された状態で、第1延在引っ掛け可能部883は、裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254の左右方向XのX2側の縁部254aから離れて上方側に位置しており縁部254aに引っ掛け可能な状態であり、第2延在引っ掛け可能部884は、一対の突出片255aから離れて上方側に位置しており一対の突出片255aに引っ掛け可能な状態である。
【0082】
これにより、第1延在引っ掛け可能部883が、裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254の左右方向XのX2側の縁部254aから離れて上方側に位置し、第2延在引っ掛け可能部884が、一対の突出片255aから離れて上方側に位置しているため、安全装置本体60を上枠21に取り付けた後において、仮にネジ60aが全て外れたとしても、左右方向XのX2側において、第1延在引っ掛け可能部883を裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254の左右方向XのX2側の縁部254aに引っ掛かることが可能であり、第2延在引っ掛け可能部884を一対の突出片255aに引っ掛かることが可能である。よって、ネジ60aが全て外れた場合においても、第1延在引っ掛け可能部883が裏板部材25の裏板貫通開口部253の第1開口部254の左右方向XのX2側の縁部254aに引っ掛かると共に、第2延在引っ掛け可能部884が一対の突出片255aに引っ掛かるため、安全装置本体60が落下することを抑制できる。
【0083】
また、第1延在引っ掛け可能部883は、裏板部材25の裏板貫通開口部253における内障子30を閉める方向の奥側に配置されている。第2延在引っ掛け可能部883は、裏板部材25の裏板貫通開口部253における内障子30を閉める方向の手前側に配置されている。
【0084】
そのため、アーム板72の先端部721が安全装置本体60に衝突した場合に、長手方向突出板883cが内障子30を閉める方向に移動するため、第1延在引っ掛け可能部883の長手方向突出板883cが裏板貫通開口部253の縁部254aから脱落することが抑制される。仮に、第2延在引っ掛け可能部884の長手方向に交差する方向の両方の外側に突出する一対の幅方向突出板884dが、裏板部材25の裏板貫通開口部253における内障子30を閉める方向の奥側に配置された場合には、裏板貫通開口部253の長手方向の途中において見込方向の内側に突出する縁部から脱落する可能性がある。よって、第1延在引っ掛け可能部883の長手方向の外側に突出する長手方向突出板883cが、裏板部材25の裏板貫通開口部253における内障子30を閉める方向の奥側に配置されることにより、安全装置本体60が落下することを一層抑制できる。
【0085】
操作アーム部70の詳細について説明する。操作アーム部70は、前述したように、図2及び図3に示すように、操作側ベース部材71と、アーム板72(アーム部材)と、先端側ピン73(ガイド部)と、を有する。操作側ベース部材71は、図2及び図3に示すように、左右方向Xに延びて形成される。操作側ベース部材71は、傾斜ガイド部62よりも室外側Y1にずれた位置に配置され、内障子30が左右方向Xに移動されることで、安全装置本体60の傾斜ガイド部62に沿って左右方向Xに移動する。
【0086】
操作側ベース部材71は、図14図16に示すように、下面板711と、一対の側面板712と、L字状取付片75と、を有する。下面板711は、複数の下面板部材711aが、間隔を空けて左右方向Xに並んで配置されることで下面板を構成する。一対の側面板712は、複数の下面板711の見込方向の両端部から上方に立ち上がる。
【0087】
アーム板72は、長尺の複数の板材が重ねられた板状に形成され、操作側ベース部材71に取り付けられる。アーム板72は、傾斜ガイド部62よりも室外側Y1にずれた位置において操作側ベース部材71に取り付けられ、内障子30が左右方向Xに移動されることで、安全装置本体60の傾斜ガイド部62に沿って左右方向Xに移動する。アーム板72は、操作アーム部70が安全装置本体60に導入される前の状態において、左右方向Xに延びる。
【0088】
アーム板72は、回転軸J1を中心に回転可能に構成される。回転軸J1は、図2に示すように、回転軸J1方向に見た場合に、ストッパ部80の衝突部82よりも下方に配置される。これにより、アーム板72の先端部721は、ストッパ部80の衝突部82よりも下方に位置する回転軸J1において回転可能に支持される。衝突部82は、アーム板72の先端部721が衝突する部分であり、アーム板72の先端部721が衝突した際の荷重が作用する部分である。よって、アーム板72の先端部721が衝突部82への衝突時に、アーム板72の先端部721が下方に一層移動しにくくなるため、アーム板72の先端部721を上方側に移動しにくくなり、ベース部材61の上面板611の下面に当たることが抑制される。従って、内障子30を一旦停止させる動作の確実性を向上させることができる。
【0089】
アーム板72の基端側は、図14図16に示すように、回転軸J1を中心に回転可能に操作側ベース部材71に接続される。アーム板72の先端には、先端部721(移動部)が形成される。図14に示すように、アーム板72の先端側の下方において、下面板711の上面には、クッション材722が取り付けられている。アーム板72が上方側から下面板711に落下しても、クッション材722に衝突するため、衝突音を低減できる。先端部721は、側面視で、先端が凸形状のアールを有する曲面状に形成される。アーム板72の先端側には、見込方向の室内側Y2に突出する先端側ピン73が設けられている。
【0090】
先端側ピン73は、ピン状に形成され、アーム板72の先端側において、アーム板72の室内側Y2の面から室内側Y2に突出する。先端側ピン73は、見込方向に見た場合に、アーム板72の先端部721よりもアーム板72の内部側の基端側に配置される。先端側ピン73は、見込方向に延びる中心軸J2を中心に回転可能である。
【0091】
先端側ピン73は、アーム板72の先端側に設けられており、操作アーム部70が第1移動方向D1に移動した場合に、アーム板72が回転軸J1を中心に回転するため、傾斜ガイド部62の上面に沿って移動される。これにより、先端側ピン73は、アーム板72の先端部721の移動をガイドする。先端側ピン73は、アーム板72の先端部721を、内障子30が移動する第1移動方向D1及び内障子30の上下方向Z(第1移動方向D1に交差する交差方向)に移動させるようにガイドする。
【0092】
アーム板72の先端部721は、先端側ピン73が傾斜ガイド部62の上面に沿ってガイドされることで、内障子30の開閉移動に伴って内障子30が移動する第1移動方向D1に移動可能に構成される。アーム板72の先端部721は、アーム板72の回転軸J1を中心に円弧を描きながら上下方向Zに移動可能に構成される。
【0093】
これにより、図2に示すように、アーム板72の先端部721は、内障子30の開閉移動に伴って内障子30が移動する第1移動方向D1に移動可能に構成されると共に、内障子30の上下方向Z(第1移動方向D1に交差する交差方向)に移動可能である。アーム板72の先端部721は、先端側ピン73が落下誘導連通部64により下方に誘導される場合に、アーム板72の先端部721の自重により下方に誘導される。
【0094】
操作アーム部70の取付構造について説明する。図14図16に示すように、安全装置10は、上框31の上面板311の上面に固定された受け金具51(受け部材)を備え、操作アーム部70は、受け金具51に引っ掛けた状態で取り付けられる。そして、操作アーム部70を、上框31の上面板311の上面に固定された受け金具51に引っ掛けることで取付位置を規制して、戸先框34の内側縦側面板341の上部において、内側縦側面板341の左右方向XのX2側の外側の側方から、補強部材37により補強した状態で、左右方向XのX2側からX1側に向けてネジ70aをネジ込むことで、内障子30に固定する。
【0095】
補強部材37は、左右方向Xに厚みを有する板状に形成され、見込方向及び上下方向Zに延びる。補強部材37は、図17及び図18に示すように、戸先框34の内側縦側面板341の左右方向XのX2側の面に沿って配置されている。内側縦側面板341は、戸先框34の左右方向XのX1側において、左右方向Xに厚みを有する板状に形成され、見込方向及び上下方向Zに延びる。
【0096】
補強部材37は、内障子30の戸先框34(縦框)と上框31(横框)との接続を補強する。補強部材37は、図17及び図18に示すように、ネジ37aにより、戸先框34の内側縦側面板341と共締めされた状態で、戸先框34と上框31の左右方向XのX2側に形成されるビスホール317(図20参照)に固定される。これにより、内障子30の戸先框34の上端部と上框31の左右方向XのX2側の端部とは、補強部材37に補強された状態で接続されている。
【0097】
操作アーム部70を戸先框34に取り付ける場合に、図17に示すように、操作アーム部70を左右方向Xに移動する際の妨げにならないように、戸先框34の左右方向XのX2側は開放されている。
【0098】
上框31の上面板311の上面に固定される受け金具51について説明する。受け金具51は、図17図20に示すように、スペーサ金具55(スペーサ)を介して、上框31の上面板311に固定されている。スペーサ金具55は、上框31の上面板311と受け金具51との間に配置されている。
【0099】
上框31は、図20に示すように、中空部315を有する枠状に形成され、左右方向Xに延びる。上框31は、上面板311と、上面板311の室外側Y1の端部から上方に突出する室外側壁部312と、を有する。上面板311の左右方向XのX2側の端部側には、スペーサ金具55を介して、受け金具51が固定されている。
【0100】
受け金具51は、図17図20に示すように、基板部52と、引っ掛け突出部53(引っ掛け部)と、ガイド延出部54と、を有する。基板部52は、上框31の上面板311の上面に、スペーサ金具55を介して配置された状態で、ネジ51aにより固定される。
【0101】
スペーサ金具55は、平板状に形成され、上框31の上面板311の上面と受け金具51との間に配置される。受け金具51は、スペーサ金具55の板厚の分だけ、上框31の上面板311の上面から離れた位置に配置される。これにより、引っ掛け突出部53は、上框31の上面板311の上面からスペーサ金具55の板厚分だけ上方に位置されるため、操作アーム部70の操作側ベース部材71の下面板711に引っ掛かりやすい。
【0102】
スペーサ金具55は、左右方向XのX1側の端部の室外側Y1の端部の角部において、方形状に切り欠かれた切り欠き部551を有する。切り欠き部551に、基板部52に形成される突出片521が配置された場合にのみ、受け金具51とスペーサ金具55とが正しく組み合わされた状態に配置できるように構成される。スペーサ金具55の切り欠き部551及び基板部52の突出片521の位置を合わせて組み合わせることで、組み付けの誤りを防止できる。
【0103】
基板部52、スペーサ金具55、上框31の上面板311、及び、上框31の中空部315の内部に配置され断面形状がL字状で左右方向Xに延びるL字状裏板部材316(裏板部材)が、上方側から下方側に向かって貫通されるネジ51aにより共締めされることで、基板部52は、上框31に固定される。L字状裏板部材316の左右方向XのX1側の端部側においては、上框31の上面板311及びL字状裏板部材316は、ネジ31aにより共締めされる。
【0104】
引っ掛け突出部53は、操作アーム部70を引っ掛けることが可能である。引っ掛け突出部53は、基板部52の室内側Y2において、見込方向に幅を有して、基板部52の左右方向XのX2側の端部からX2側に突出して所定長さ延びる。
【0105】
引っ掛け突出部53が基板部52の左右方向XのX2側の端部からX2側に突出して所定長さ延びて形成されるため、操作アーム部70を、受け金具51の引っ掛け突出部53に対して左右方向XのX1側からX2側に水平方向に移動させることにより、操作アーム部70を、受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛けることが可能である。
【0106】
引っ掛け突出部53は、基板部52から左右方向XのX2側に水平方向に延びる基端側水平板531(水平部)と、基端側水平板531の左右方向XのX2側に連続して形成される先端側上り傾斜片532(傾斜部)と、を有する。基端側水平板531は、操作アーム部70とは反対側に配置される。先端側上り傾斜片532は、操作アーム部70側に配置される。先端側上り傾斜片532は、操作アーム部70側に向かうに従って上り傾斜で傾斜して形成され、左右方向XのX1側からX2側に向かうに従って上り傾斜で傾斜して延びる。
【0107】
引っ掛け突出部53は、受け金具51に操作アーム部70が取り付けられた場合に、操作アーム部70の操作側ベース部材71の下面板711に引っ掛かって配置される。操作アーム部70を引っ掛け突出部53に挿入した場合には、先端側上り傾斜片532には、操作アーム部70の操作側ベース部材71の下面板711に引っ掛かる。操作アーム部70を更に奥に押すことで、先端側上り傾斜片532にガイドされることで、基端側水平板531の下側に、操作アーム部70の操作側ベース部材71の下面板711が入り込んで引っ掛かる。このようにして、操作アーム部70は、受け金具51側に移動された場合に、引っ掛け突出部53の先端側上り傾斜片532にガイドされて基端側水平板531に引っ掛けられる。
【0108】
ガイド延出部54は、基板部52の室外側Y1において、見込方向に幅を有して、引っ掛け突出部53よりも長い長さで、基板部52の左右方向XのX2側の端部からX2側に延出して所定長さ延びる。ガイド延出部54の室内側Y2の端部には、左右方向Xに延びるガイド辺54a(ガイド部)が形成される。ガイド辺54aは、操作アーム部70の移動方向に沿って延びて形成され、操作アーム部70が引っ掛け突出部53に向かって移動する場合に、操作アーム部70の移動をガイドする。
【0109】
ガイド延出部54は、見込方向の幅が所定幅で基板部52から左右方向XのX2側に水平に延びる基板側延在部541と、基板側延在部541よりも見込方向の幅が小さい所定幅で基板側延在部541の左右方向XのX2側の端部からX2側に下り傾斜で延びる傾斜板部542と、傾斜板部542の左右方向XのX2側の端部からX2側に水平に突出する先端接触部543と、を有する。
【0110】
基板側延在部541は、スペーサ金具55により板厚分だけ上方側に位置された受け金具51から左右方向XのX2側に水平に延びるため、スペーサ金具55の板厚分だけ上框31の上面板311の上面から上方側に浮いた状態で、左右方向Xに水平に延びる。
【0111】
傾斜板部542は、左右方向XのX1側からX2側に向かうに従って、下り傾斜で傾斜して延びる。先端接触部543は、傾斜板部542の左右方向XのX2側の端部からX2側に水平に突出する。先端接触部543は、上框31の上面板311の上面に接触した状態で、上框31の上面板311の上面に沿って配置される。先端接触部543が上框31の上面板311の上面に水平状態で接触することで、ガイド延出部54の左右方向XのX2側の先端を安定して支持できる。これにより、ガイド延出部54を安定させて配置できると共に、ガイド延出部54のガイド辺54aにより、操作アーム部70の移動をガイドすることができる。
【0112】
ガイド延出部54のX2側の端部において、傾斜板部542及び先端接触部543の室外側Y1には、左右方向Xに延びて切り欠かれる切り欠き部544が形成される。
【0113】
切り欠き部544は、図17に示すように、上框31の室外側壁部312の下端部の肉厚の円弧状部分312aを避けるように、室外側Y1の端部において、見込方向の幅が所定幅でガイド延出部54の左右方向Xに沿って切り欠かれている。上框31の室外側壁部312は、強度を向上させるために、下端部に、肉厚の円弧状部分312aを形成している。これにより、ガイド延出部54の先端接触部543を、肉厚の円弧状部分312aを避けて配置することができる。よって、先端接触部543を、上框31の上面板311の上面に確実に接触させることができる。
【0114】
操作アーム部70を、受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛ける場合には、操作アーム部70を上框31の上面板311の上面において、操作アーム部70を、受け金具51のガイド延出部54のガイド辺54a(ガイド部)に沿って引っ掛け突出部53側に移動させる。これにより、操作アーム部70を、受け金具51の引っ掛け突出部53に向けてスムーズにガイドして誘導できる。そして、操作アーム部70の左右方向XのX2側の下面板711を、受け金具51の引っ掛け突出部53に容易に引っ掛けることができる。
【0115】
操作アーム部70は、図16に示すように、受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛けられた状態で、ネジ70aにより、内障子30に固定される。操作アーム部70の操作側ベース部材71の左右方向XのX2側の端部には、L字状取付片75が形成される。L字状取付片75は、操作アーム部70の操作側ベース部材71の下面板711(後述)の左右方向XのX2側の端部に接続される。L字状取付片75は、内障子30の左右方向XのX1側及び下方側に開放するL字形状に形成される。
【0116】
L字状取付片75は、図17に示すように、横板751と、縦板752と、を有する。横板751は、左右方向X及び見込方向に平行な板状に形成される。縦板752は、横板751の左右方向XのX2側の端部から下方に延び、見込方向及び上下方向Zに平行な板状に形成される。L字状取付片75の縦板752には、スロープ部品76が取り付けられている。
【0117】
スロープ部品76は、図17図19に示すように、底面板761と、底面板761の見込方向の室内側Y2において左右方向XのX2側の端部から上方に突出する立壁板762と、立壁板762の上端部から左右方向XのX1側の斜め上方に傾斜して所定長さ延びる傾斜板763と、傾斜板763の上端部から左右方向XのX1側に突出する突出板764と、底面板761の見込方向の室外側Y1において左右方向XのX1側の端部から上方に突出する取付板765と、を有する。
【0118】
本実施形態においては、前述したように、枠体20内に内障子30及び外障子40を建て込んだ場合に、建て付けなどに応じて、安全装置本体60を、スペーサ部材89を介して、上枠21に取り付ける構成について説明している。一方で、建て付けなどにより上枠21に近い位置に内障子30が配置される場合には、図2及び図3に示すように、操作アーム部70が移動した場合に、例えば、図14に示す内障子30の上框31の左右方向XのX1側の端部の端面に配置した補強部材37などが、安全装置本体60の傾斜ガイド部62に衝突する可能性がある。図14に示す内障子30の上框31の左右方向XのX1側の端部の端面に配置した補強部材37などが、安全装置本体60の傾斜ガイド部62に衝突した場合には、傾斜ガイド部62や内障子30が破損する可能性がある。
【0119】
これに対して、本実施形態においては、傾斜ガイド部62や内障子30の破損を最小限に抑えるために、上框31の左右方向XのX1側の端部の端面に、スロープ部品76を設けた。これにより、建て付けなどにより上枠21と内障子30の上框31との距離が近くなり、安全装置本体60の傾斜ガイド部62が下方側に位置した場合においても、傾斜ガイド部62をスロープ部品76の傾斜板763に沿って上方側に移動させることができるため、傾斜ガイド部62や内障子30の破損を最小限に抑制できる。なお、本実施形態においては、スロープ部品76を設けたが、これに限定されない。スロープ部品を設けなくてもよい。
【0120】
操作アーム部70及びスロープ部品76は、図17に示すように、ネジ70aにより、内障子30の左右方向XのX2側の上部の角部に固定される。ネジ70aは、操作アーム部70を受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛けた後に、L字状取付片75の縦板752にスロープ部品76の取付板765を重ねて配置した状態で、内障子30の左右方向XのX2側の外側から、スロープ部品76に向けて移動されて、スロープ部品76の取付板765、L字状取付片75の縦板752、補強部材37及び戸先框34の内側縦側面板341にこの順で貫通される。
【0121】
これにより、操作アーム部70及びスロープ部品76は、スロープ部品76の取付板765、操作アーム部70のL字状取付片75の縦板752、補強部材37及び戸先框34の内側縦側面板341が、ネジ70aにより共締めされて固定されることで、内障子30に固定される。ネジ70aは、上框31が延びる水平方向の横方向に延びる。そのため、操作アーム部70を、受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛けた状態で、ネジ70aを、上框31の左右方向XのX2側の外側から、X2側からX1側に移動させることで、操作アーム部70を内障子30に容易に固定できる。
【0122】
以上の操作アーム部70は、内障子30を、枠体20に、いわゆるケンドン式にて建て込んだ後に、内障子30に取り付けることができる。内障子30をケンドン式で枠体20内に組み込む場合には、内障子30の上端部を、枠体20の上枠21の下方から内部に挿入するように傾けて、内障子30を徐々に立てながら、上方側に持ち上げた後に、内障子30を下方側に下ろす。
【0123】
内障子30を枠体20内に建て込んだ後に、図17に示すように、内障子30の上端部に、内障子30の左右方向XのX2側の端部の外側から、操作アーム部70を移動させて、内障子30の左右方向XのX2側の上部側に配置する。
【0124】
そして、操作アーム部70の左右方向XのX2側の下面板711が、受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛かるように、操作アーム部70を受け金具51の引っ掛け突出部53に対して水平方向の移動により、操作アーム部70を上框31の上面板311の上面に沿って移動させる。操作アーム部70を左右方向XのX2側からX1側に移動させることで、ガイド延出部54のガイド辺54aに沿って移動させる。これにより、操作アーム部70の左右方向XのX2側の下面板711を、受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛ける(引っ掛け工程)。
【0125】
そして、図17図19に示すように、操作アーム部70を、内障子30の上部に固定する(固定工程)。具体的には、操作アーム部70を、受け金具51の引っ掛け突出部53に引っ掛けた状態で、ネジ70aを、上框31の左右方向XのX2側の外側から、X2側からX1側に移動させることで、スロープ部品76(後述)の取付板765、操作アーム部70のL字状取付片75の縦板752、補強部材37及び戸先框34の内側縦側面板341に、ネジ70aを貫通させて共締めする。これにより、操作アーム部70を内障子30に容易に固定できる。
【0126】
このように、内障子30を枠体20内に配置した後に、操作アーム部70を内障子30に取り付けることができるため、操作アーム部70を内障子30に容易に取り付けることができる。また、メンテナンス時において、内障子30を枠体20から取り外さずに、操作アーム部70を容易に交換できる。このように、操作アーム部70は、内障子30が開閉装置1に取り付けられた状態において、内障子30に着脱可能に固定される。
【0127】
次に、本実施形態の開閉装置1用の安全装置10の動作について説明する。まず、図21及び図20に示すように、内障子30を開位置から第1移動方向D1に移動させて、内障子30を閉める場合について説明する。
【0128】
内障子30を閉めることで、内障子30に取り付けられた操作アーム部70は、安全装置本体60に向けて第1移動方向D1に移動される。これにより、図21の上段の図に示すように、操作アーム部70のアーム板72の先端部721は、安全装置本体60に導入される。安全装置本体60に導入されたアーム板72の先端部721は、アーム板72の回転軸J1を中心に円弧を描きながら上下方向Zに移動可能な状態である。
【0129】
内障子30が所定速度よりも遅い速度で閉められた場合には、図21の上段の図において、安全装置本体60に導入された操作アーム部70のアーム板72の先端部721は、先端側ピン73が傾斜ガイド部62にガイドされることで、第1移動経路K1において傾斜ガイド部62の上面に沿って移動する。そして、図21の中段の図に示すように、先端側ピン73は、落下誘導連通部64の隙間から、アーム板72の先端部721が衝突曲面部821に接触せずに又は接触して、図21の下段の図に示すように、下方側の第2移動経路K2に落下して、内障子30は、停止せずに第1移動方向D1に移動される。そして、内障子30は、図21の下段の図に示すように、第1移動方向D1に移動されて、閉められる。
【0130】
内障子30が停止せずに閉められる所定速度よりも遅い速度とは、例えば、内障子30を閉める際に内障子30が勢いよく閉まる速度よりも遅い速度を意味する。本実施形態においては、内障子30が所定速度よりも遅い速度で閉められた場合には、アーム板72の先端部721が衝突曲面部821に勢いよく衝突せずに、内障子30は停止せずに閉められる。
【0131】
一方、内障子30が所定速度以上で閉められた場合に、安全装置本体60に導入された操作アーム部70のアーム板72の先端部721は、第1移動経路K1において傾斜ガイド部62の上面に沿って移動し、図22の上段の図に示すように、ストッパ部80の衝突部82に衝突する。
【0132】
ここで、アーム板72の先端部721は、図8に示すように、側面視で、先端が凸形状のアールを有する曲面状に形成され、ストッパ部80の衝突部82は、側面視で、アーム板72の先端部721の先端が衝突する際にアーム板72の先端部721の先端に対向して配置される部分が、凹形状のアールを有する曲面状に形成される。
【0133】
これにより、アーム板72の先端部721が衝突部82の凹形状のアールを有する曲面状の部分に沿って誘導されるため、アーム板72の先端部721が上方側にずれることが抑制され、ベース部材61の上面板611の下面に当たることが抑制される。よって、内障子30を一旦停止させる動作の確実性を向上させた状態で、内障子30を一旦停止させることができる。また、内障子30を一旦停止させた後に、アーム板72の先端部721が衝突部82の凹形状のアールを有する曲面状の部分に沿って誘導されるため、内障子30をスムーズに閉めることができる。従って、所定速度よりも速く内障子30を閉めた場合にアーム板72の先端部721がストッパ部80に衝突して内障子30を一旦停止させる構成において、内障子30を一旦停止させる動作の確実性を向上させることができ、かつ、その後、内障子30をスムーズに閉めることができる。
【0134】
本実施形態においては、ストッパ部80の衝突曲面部821の左右方向XのX2側には、減速装置85が配置されている。そのため、図22の中段の図に示すように、操作アーム部70のアーム板72の先端部721が衝突曲面部821の衝突部分821aに衝突して押し込まれた場合に、減速装置85のダンパー部87が、衝突部82に作用した衝撃を吸収して、衝撃を緩和できる。
【0135】
ここで、図22の中段の図に示すように、アーム板72の先端部721は、アーム板72の基端の回転軸J1がストッパ部80の衝突部82よりも下方に配置されている。そのため、アーム板72の先端部721がストッパ部80に衝突した場合に、第1移動経路K1の左右方向XのX2側に移動されることで、アーム板72の先端部721がストッパ部80に衝突した状態で斜め上方側に荷重が作用する。また、図8に示すように、衝突曲面部821の手前側の上部に設けられる被せ曲面部821bにより、アーム板72の先端部721は、上方側へ移動することが規制される。これにより、アーム板72の先端部721は、下方側に落ちにくい。よって、アーム板72の先端部721がストッパ部80に衝突した状態が保持されやすく、内障子30を一旦停止させやすい。
【0136】
その後、アーム板72の先端部721は、ストッパ部80に衝突した状態で斜め上方側に作用する荷重が緩むことで、図22の下段の図に示すように、自重によりアーム板72の基端の回転軸J1を中心に回転して、落下誘導連通部64を通して、先端側ピン73が、落下誘導連通部64の隙間から、下方側の第2移動経路K2に落下する。アーム板72の先端部721が第2移動経路K2に誘導された後には、減速装置85のダンパー部87は、縮んだ状態から元の状態に戻る。これにより、ストッパ部80は、元の位置に戻される。そして、アーム板72の先端部721が第2移動経路K2を移動することで、内障子30は、第1移動方向D1に移動されて、閉められる。
【0137】
内障子30が一旦停止する所定速度以上とは、例えば、仮に安全装置10が存在しない場合に、内障子30が勢いよく閉まる速度以上を意味する。本実施形態においては、内障子30が所定速度以上で閉められた場合には、先端側ピン73が衝突曲面部821に衝突することで、内障子30が枠体20の縦枠24に勢いよく衝突することが抑制されて、内障子30は一旦停止する。
【0138】
次に、図23の上段に示す内障子30の閉位置から、左右方向XのX1側の第2移動方向D2に移動させて、内障子30を開ける場合について説明する。
【0139】
内障子30を開ける場合には、図23の上段に示す内障子30の閉位置から、内障子30を第2移動方向D2に移動させることで、操作アーム部70は、第2移動経路K2において、第2移動方向D2に移動され、戻り移動経路K3に導入される。
【0140】
戻り移動経路K3に導入された操作アーム部70は、戻り移動経路K3を移動されて、第1移動経路K1に合流される。操作アーム部70が戻り移動経路K3から第1移動経路K1に移動する場合に、図23の下段の図に示すように、アーム板72の先端に設けられた先端側ピン73は、傾斜ガイド部62に接触して傾斜ガイド部62を回転軸J3を中心に回転させて押し上げることにより、戻り移動経路K3から第1移動経路K1へ移動する経路を開放する。そして、操作アーム部70が第1移動経路K1の途中に合流して戻る方向に移動されることで、内障子30を第2移動方向D2に移動させて、内障子30を開けることができる。
【0141】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の開閉装置1用の安全装置10の取付構造は、安全装置本体60と、上枠21に安全装置本体60を取り付けるダンパーカバー88と、を備え、上枠21は、所定方向に延びる裏板貫通開口部253が形成された裏板251を有し、ダンパーカバー88は、第1延在引っ掛け可能部883と、第2延在引っ掛け可能部884と、を有し、第1延在引っ掛け可能部883は、裏板貫通開口部253の長手方向の一方側において長手方向の外側に突出する長手方向突出板883cを有し、第2延在引っ掛け可能部884は、裏板貫通開口部253の長手方向の他方側において長手方向に交差する方向の両方の外側に突出する一対の幅方向突出板884dを有し、安全装置本体60は、第1引っ掛け可能部883及び第2引っ掛け可能部884が裏板貫通開口部253の縁部の上方に引っ掛け可能な状態で配置された状態で、上枠21に固定される。これにより、第1引っ掛け可能部883及び第2引っ掛け可能部884が裏板貫通開口部253の縁部の上方に引っ掛け可能な状態で配置された状態で、上枠21に固定されるため、上枠21に固定された安全装置本体60の落下を抑制できる。
【0142】
また、本実施形態においては、長手方向突出板883cは、裏板貫通開口部253における内障子30を閉める方向の奥側に配置され、一対の幅方向突出板884dは、裏板貫通開口部253における内障子30を閉める方向の手前側に配置される。これにより、第1延在引っ掛け可能部883の長手方向の外側に突出する長手方向突出板883cが、裏板部材25の裏板貫通開口部253における内障子30を閉める方向の奥側に配置されているため、アーム板72の先端部721が安全装置本体60に衝突した場合に、長手方向突出板883cが内障子30を閉める方向に移動するため、第1延在引っ掛け可能部883の長手方向突出板883cが裏板貫通開口部253の縁部254aから脱落することが抑制される。
【0143】
また、本実施形態においては、裏板251の下面と安全装置本体60との間に配置されるスペーサ部材89を備える。これにより、安全装置本体60と操作アーム部70との上下の位置関係が良好になるように、開閉装置1の建て付けに応じて、スペーサ部材89を設けたり、スペーサ部材89を設けなかったり、厚みを調整したスペーサ部材89を設けることで、安全装置本体60と操作アーム部70との上下の位置を調整可能である。
【0144】
また、本実施形態においては、長手方向突出板883c及び一対の幅方向突出板884dは、それぞれ、裏板貫通開口部253を下方から上方に貫通するように傾斜する傾斜板883b,883bを介して、ダンパーカバー88の一方側又は他方側の端部に設けられる。これにより、長手方向突出板883c及び一対の幅方向突出板884dを上方側に突出させている。よって、長手方向突出板883c及び一対の幅方向突出板884dを、裏板貫通開口部253の縁部254a(第1縁部)や一対の突出片255a(第2縁部)に引っ掛けやすくできると共に、上枠21の上面板211の下面と安全装置本体60との間に配置されるスペーサ部材89(後述)の厚みにも対応できる。
【0145】
また、本実施形態においては、安全装置本体60が上枠21にダンパーカバー88を介して取り付けられた状態において、長手方向突出板883cは、縁部254a(第1縁部)の上方に配置され、一対の幅方向突出板884dは、一対の突出片255a(第2縁部)の上方に配置される。これにより、第1引っ掛け可能部883及び第2引っ掛け可能部884を裏板貫通開口部253の縁部に引っ掛け可能な構成を簡単に実現できる。
【0146】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0147】
例えば、前記実施形態においては、内障子30を閉める場合について説明したが、これに限定されない。例えば、安全装置10のアーム板72を内障子30の戸元側に設けると共に、安全装置10の安全装置本体60を枠体20の上枠21の左右方向XのX1側の端部側に設けることで、枠体20の左右方向XのX1側において内障子30を開ける場合に用いる安全装置としてもよい。
【0148】
前記実施形態においては、戸体を内障子30で構成したが、これに限定されず、戸体を、框体及びガラスを有していない扉で構成してもよい。また、例えば、戸体を、ドアで構成してもよい。
【0149】
自動ドアなどの電動で開閉する扉に適用することで、電動部分が故障して手動で扉を開閉する場合にも、本開示の開閉装置を使用可能である。また、開閉時に緩やかに閉まるソフトクローズの開閉装置にも適用可能である。
【0150】
前記実施形態においては、開閉装置1を、引き違い窓で構成したが、これに限定されず、例えば、片引き窓で構成してもよい。
【0151】
前記実施形態において、安全装置本体60(ストッパ部80)を上枠21の左右方向XのX2側の端部側に配置し、操作アーム部70を内障子30の左右方向XのX2側に配置したが、これに限定されない。例えば、安全装置本体60(ストッパ部80)を上枠21の左右方向Xの中央側に配置し、操作アーム部70を内障子30の左右方向Xにおける安全装置本体60(ストッパ部80)に対応した位置(例えば、内障子30の左右方向Xの中央側)に配置してもよい。
【0152】
前記実施形態においては、安全装置本体60(ストッパ部80)を1つ設けることで、内障子(戸体)が一旦停止する左右方向Xの位置を1箇所としたが、これに限定されない。安全装置本体60(ストッパ部80)を左右方向Xの複数箇所に設けることで、左右方向Xの複数の位置において、内障子30を一旦停止させるように構成してもよい。
【0153】
また、安全装置本体60(ストッパ部80)を複数箇所に設ける他の形態として、例えば、3枚建てや4枚建ての引き違いの引戸同士の間に安全装置本体60(ストッパ部80)を取り付けることで、引戸同士の間での指挟みを防止してもよい。
【0154】
前記実施形態においては、先端側ピン73を、中心軸を回転軸として回転可能に構成したが、これに限定されず、先端側ピン73は、回転しない構成でもよい。
【0155】
前記実施形態においては、アーム板72の先端部721をストッパ部80に衝突させるように構成したが、これに限定されない。アーム板72の先端にローラを設けて、アーム板の先端に設けたローラをストッパ部に衝突させるように構成してもよい。この場合、アーム板72の先端に設けたローラを、アーム板72の移動をガイドするピンとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0156】
1 開閉装置、10 安全装置、20 枠体、20a 開口部、21 上枠、30 内障子(戸体)、60 安全装置本体(枠体側装置)、88 ダンパーカバー(取付部)、89 スペーサ部材、251 裏板(水平板部)、253 裏板貫通開口部(貫通開口部)、254a 縁部(第1縁部)、255a 突出片(第2縁部)、883 第1延在引っ掛け可能部(第1引っ掛け可能部)、883b 傾斜板(傾斜部)、883c 長手方向突出板(長手方向突出部)、884 第2延在引っ掛け可能部(第2引っ掛け可能部)、884b 傾斜板(傾斜部)、884d 幅方向突出板(幅方向突出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23