(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101456
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/378 20150101AFI20240722BHJP
【FI】
H01Q5/378
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005442
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小島 優
(57)【要約】
【課題】指向性を有し、小型化可能な構造をもつ、デュアルバンドに対応したアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置10aは、第1周波数及び第1周波数よりも高い第2周波数の2つのバンドの信号を送受信する指向性を有するアンテナ装置であって、板状の第1アンテナ素子112、及び、第1アンテナ素子112と給電点を介して配置され、第1アンテナ素子112よりも幅が小さい第2アンテナ素子122を有する放射器13と、無給電の反射板14とを備え、第1アンテナ素子112には、y軸方向に第1アンテナ素子112を部分的に2分する空隙112aが設けられ、第2アンテナ素子122は、線状に延びる延出部122aと、延出部122aの先端に接続された渦巻状のパターンコイル部122bとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数及び前記第1周波数よりも高い第2周波数の2つのバンドの信号を送受信し、給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置であって、
第1方向に幅を有し前記第1方向に直交する第2方向に延びる板状の第1アンテナ素子、及び、前記第1アンテナ素子よりも幅が小さく、前記第1アンテナ素子の一辺に前記給電部を介して接続される一辺を有する第2アンテナ素子を有する放射器と、
前記放射器に対向する平面に配置され、前記第1方向に幅を有し前記第2方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板とを備え、
前記第1アンテナ素子には、前記第1アンテナ素子に対する平面視で、前記第2方向に前記第1アンテナ素子を部分的に2分する空隙又は切り欠きが設けられ、
前記第2アンテナ素子は、前記給電部に接続される前記第2アンテナ素子の前記一辺から前記第2方向に線状に延びる延出部と、前記延出部の先端に接続された渦巻状のパターンコイル部とを含み、
前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とで前記第1周波数に対する放射器を構成し、
前記空隙又は前記切り欠きによって2分された前記第1アンテナ素子の2つの領域のうち前記給電部に近い領域である内側領域と前記延出部とで前記第2周波数に対する放射器を構成し、
前記反射板の前記第2方向の長さは、前記放射器の前記第2方向の長さよりも長く、
前記放射器と前記反射板とは、電磁結合できる間隔を有する、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記空隙又は前記切り欠きは、前記第1アンテナ素子に対する平面視で、前記給電部に接続される前記第1アンテナ素子の前記一辺に向けて開放されたU字状又はL字状の形状を有する、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記延出部の幅は、前記パターンコイル部の幅よりも大きい、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記延出部は、前記給電部に接続される前記第2アンテナ素子の一辺と前記パターンコイル部とを接続する線状の幹パターン部と、前記幹パターン部から分岐して延びる枝パターン部とを含む、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項5】
さらに、前記放射器と同一平面上で、かつ、前記放射器に接続されることなく配置される無給電素子であって、前記第1方向に前記無給電素子を見た場合に、少なくとも前記第2アンテナ素子と重なる位置に配置されている無給電素子を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関し、特に、指向性を有し、小型化可能な構造をもつ、デュアルバンドに対応したアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界中でIoT(Internet of Things)端末の普及が急速に進んでいる。IoT端末用アンテナは、デザイン性やモバイル性の観点から小型化が要望される。また、アンテナ近傍に人体や金属物などがあると、その性能が低下するため、周囲物体に強いことが必要である。周囲の金属物などの影響を低減するためには、単一指向性を有するアンテナが有効である。したがって、IoT端末用アンテナは、小型で単一指向性を有することが望ましい。
【0003】
そこで、従来、放射器と対向して無給電の反射板を設け、放射器と反射板との電磁結合により、反射板と逆側への指向性を強めた小型化可能な構造を有するアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のアンテナ装置は、指向性を強めた小型化が可能な構造を有するものの、単一のバンドに対応するアンテナ装置であり、マルチバンドに対応していないという問題がある。
【0006】
そこで、本開示は、指向性を有し、小型化可能な構造をもつ、デュアルバンドに対応したアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るアンテナ装置は、第1周波数及び前記第1周波数よりも高い第2周波数の2つのバンドの信号を送受信し、給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置であって、第1方向に幅を有し前記第1方向に直交する第2方向に延びる板状の第1アンテナ素子、及び、前記第1アンテナ素子よりも幅が小さく、前記第1アンテナ素子の一辺に前記給電部を介して接続される一辺を有する第2アンテナ素子を有する放射器と、前記放射器に対向する平面に配置され、前記第1方向に幅を有し前記第2方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板とを備え、前記第1アンテナ素子には、前記第1アンテナ素子に対する平面視で、前記第2方向に前記第1アンテナ素子を部分的に2分する空隙又は切り欠きが設けられ、前記第2アンテナ素子は、前記給電部に接続される前記第2アンテナ素子の前記一辺から前記第2方向に線状に延びる延出部と、前記延出部の先端に接続された渦巻状のパターンコイル部とを含み、前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とで前記第1周波数に対する放射器を構成し、前記空隙又は前記切り欠きによって2分された前記第1アンテナ素子の2つの領域のうち前記給電部に近い領域である内側領域と前記延出部とで前記第2周波数に対する放射器を構成し、前記反射板の前記第2方向の長さは、前記放射器の前記第2方向の長さよりも長く、前記放射器と前記反射板とは、電磁結合できる間隔を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、指向性を有し、小型化可能な構造をもつ、デュアルバンドに対応したアンテナ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1参考例に係る2.4GHz帯のアンテナ装置の構造を示す外観図である。
【
図2】
図2は、第1参考例に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
【
図3】
図3は、第2参考例に係る5GHz帯のアンテナ装置の構造を示す外観図である。
【
図4】
図4は、第2参考例に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態4に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
【
図12】
図12は、実施の形態4に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態1~4に係るアンテナ装置が備える第1アンテナ素子の変形例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態4に係るアンテナ装置が備える無給電素子の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(参考例に係るアンテナ装置)
本開示の実施の形態を説明する前に、特許文献1に係る技術に基づくアンテナ装置を参考例として説明する。周波数帯は、WLAN(Wireless Local Area Network)の2.4GHz帯(2400-2483.5MHz)、及び、5GHz帯(W52帯(5150-5250MHz)、W53帯(5250-5350MHz)、W56帯(5470-5725MHz))である。2.4GHz帯のアンテナ装置を第1参考例として、5GHz帯のアンテナ装置を第2参考例として、説明する。
【0011】
(第1参考例)
図1は、第1参考例に係る2.4GHz帯のアンテナ装置9aの構造を示す外観図である。より詳しくは、
図1の(a)~(f)は、それぞれ、アンテナ装置9aの上面を見た斜視図、上面図、底面図、側面図、上面における寸法図、底面における寸法図である。アンテナ装置9aは、全体として、長尺状の方形である。幅方向をx軸(「第1方向」ともいう)、x軸に直交し、長尺に延びる方向をy軸(「第2方向」ともいう)、x軸及びy軸に直交する方向をz軸と定義する。単に「長さ」と記載した場合には、y軸方向の長さをいう。
【0012】
アンテナ装置9aは、給電部(図示せず)に接続されて用いられる指向性を有するアンテナであって、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状の第1アンテナ素子110、及び、第1アンテナ素子110と同一平面上に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状であって、第1アンテナ素子110よりも幅が小さく、第1アンテナ素子110の一辺11aに給電部(図示せず)を介して接続される一辺12aを有する第2アンテナ素子120を有する放射器13と、放射器13に対向する平面に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板14とを備える。なお、第2アンテナ素子120は逆L形であってよく、その形状はストレートに限定されない。また、第2アンテナ素子120は、必ずしも第1アンテナ素子110と同一平面上に配置されなくてもよい。
【0013】
ここで、反射板14は、放射器13よりも長い長さを有し、第2アンテナ素子120は、使用周波数の波長の1/4よりも短い長さを有し、放射器13と反射板14とは、電磁結合できる間隔を有する。なお、反射板14は、反射板として機能する長さであってよく、使用周波数の波長の1/2以上の長さであってもよい。アンテナ装置9aの共振周波数、特に入力インピーダンスの抵抗成分は、第1アンテナ素子110の長さによって調整され、アンテナ装置9aの入力インピーダンスのリアクタンス成分は、第2アンテナ素子120の長さによって調整される。本参考例での使用周波数は、2.4GHz帯の略中心周波数2.45GHz(「第1周波数」ともいう)である。
【0014】
なお、各部材の長さ又は幅を使用周波数の波長(λ)を用いて規定する場合、波長(λ)は各部材の比誘電率に応じて定まる波長短縮率を乗じた値(電気長)を用いてよい。また、板状とは、厚さに比べて長さ又は幅が十分に大きい(例えば、2倍以上の)平板を意味し、平面視の外形は方形に限られず、楕円等の任意の形であってもよい。方形とは、矩形(長方形)を意味する。なお、単に「平面視」と記載した場合には、アンテナ装置に対する平面視を意味する。
【0015】
アンテナ装置9aの具体的な構造は、以下の通りである。
【0016】
比誘電率εr=4.6のFR-4(Flame Retardant Type 4)の基板15を用いている。基板15の外形寸法は、長さL50mm×幅W8mm×厚さt1.6mmである。放射器13(第1アンテナ素子110及び第2アンテナ素子120)と反射板14とは、ともに基板15上の銅箔で形成している。
【0017】
アンテナ装置9aは、長さl1×幅w1の第1アンテナ素子110と長さl2×幅w2の第2アンテナ素子120との間隙gに給電部(図示せず)が接続されて構成される放射器13と、長さl3×幅w3の反射板14とで構成される。基板端(基板15のy軸正方向における端)から第1アンテナ素子110までの距離をd、また、基板端から0.5mm(基板15の両面における四方の端から中心に向かって0.5mm)の領域は、銅箔パターンの禁止領域である。
【0018】
アンテナ装置9aの共振周波数については、アンテナ装置9aの共振周波数、特にインピーダンスの抵抗成分を第1アンテナ素子110の長さl1で制御し、アンテナ装置9aのインピーダンスのリアクタンス成分を第2アンテナ素子120の長さl2で制御することにより、チューニングをおこなうことができる。
【0019】
本参考例に係るアンテナ装置9aでは、第1アンテナ素子110の一辺11aの端部11bが第2アンテナ素子120の一辺12aと対向するように、第2アンテナ素子120が配置されている。各寸法は、例えば、L=50mm、W=8mm、t=1.6mm、l1=25mm、l2=12mm、l3=49mm、w1=7mm、w2=0.5mm、w3=7mm、g=0.5mm、d=18.5mmである。
【0020】
これらの各寸法について、使用周波数(2.45GHz)の波長λ(約122mm、電気長約57mm(=122/√4.6))との関係で説明すると、第1アンテナ素子110の長さl1(=25mm)は、約0.44(=25/57)λであり、第2アンテナ素子120の長さl2(=12mm)は、約0.21(=12/57)λである。
【0021】
なお、給電部(図示せず)から放射器13への給電は、アンテナ装置9aの上面側から行われる。給電部(図示せず)と接続される第1アンテナ素子110の一辺11aと第2アンテナ素子120の一辺12aとで挟まれた間隙を「給電点」ともいう。
【0022】
図2は、
図1に示された第1参考例に係るアンテナ装置9aのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、
図2の(a)は、第1参考例に係るアンテナ装置9aのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図2の(b)は、第1参考例に係るアンテナ装置9aのVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示す。図中の点m1~m3は、それぞれ、2.4GHz、2.45GHz、2.5GHzに対応する。
【0023】
図2から分かるように、第1参考例に係るアンテナ装置9aは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。
【0024】
(第2参考例)
図3は、第2参考例に係る5GHz帯のアンテナ装置9bの構造を示す外観図である。より詳しくは、
図5の(a)~(f)は、それぞれ、アンテナ装置9bの上面を見た斜視図、上面図、底面図、側面図、上面における寸法図、底面における寸法図である。アンテナ装置9bは、放射器13(第1アンテナ素子111及び第2アンテナ素子121)のサイズを除いて、第1参考例に係るアンテナ装置9aと同じ構成を備える。
【0025】
各寸法は、例えば、L=50mm、W=8mm、t=1.6mm、l1=11mm、l2=4.25mm、l3=49mm、w1=7mm、w2=0.5mm、w3=7mm、g=0.5mm、d=18.5mmである。本参考例での使用周波数は、5GHz帯の略中心周波数5.4GHz(「第2周波数」ともいう)である。
【0026】
これらの各寸法について、使用周波数(5.4GHz)の波長λ(約56mm、電気長約26mm(=56/√4.6))との関係で説明すると、第1アンテナ素子111の長さl1(=11mm)は、約0.42(=11/26)λであり、第2アンテナ素子121の長さl2(=4.25mm)は、約0.16(=4.25/26)λである。
【0027】
図4は、
図3に示された第2参考例に係るアンテナ装置9bのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、
図4の(a)は、第2参考例に係るアンテナ装置9bのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図4の(b)は、第2参考例に係るアンテナ装置9bのVSWR特性を示す。図中の点m4~m8は、それぞれ、5.15GHz、5.25GHz、5.35GHz、5.47GHz、5.725GHzに対応する。
【0028】
図4から分かるように、第2参考例に係るアンテナ装置9bは、使用周波数(5.4GHz)において、共振している。
【0029】
このように、第1参考例に係るアンテナ装置9a及び第2参考例に係るアンテナ装置9bは、反射板14が設けられることで、周囲の金属物などの影響を低減させることが可能な指向性を有し、かつ、小型化された構造を有する。
【0030】
(実施の形態に係るアンテナ装置)
以下では、第1参考例に係る2.4GHz帯のアンテナ装置9a及び第2参考例に係る5GHz帯のアンテナ装置9bの両方の機能を併せ持つデュアルバンドに対応した実施の形態に係るアンテナ装置を説明する。
【0031】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。また、用語の意味、及び、xyz軸等については、第1参考例に係るアンテナ装置9a及び第2参考例に係るアンテナ装置9bの説明と同じである。「上」、「下」、「左」、「右」は、図示された状態における相対的な位置関係を示す。
【0032】
いずれの実施の形態も、第1参考例に係るアンテナ装置9a及び第2参考例に係るアンテナ装置9bをベースとし、改良点を有する。以下、その改良点を中心に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
【0034】
図5は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの構造を示す外観図である。より詳しくは、
図5の(a)及び(b)は、それぞれ、アンテナ装置10aの上面図及び底面図である。アンテナ装置10aは、第1周波数(ここでは、2.45GHz)及び第1周波数よりも高い第2周波数(ここでは、5.4GHz)の2つのバンド(ここでは、2.4GHz帯及び5GHz帯)の信号を送受信し、給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置である。アンテナ装置10aは、
図1に示される第1参考例に係るアンテナ装置9aをベースとし、放射器13が、第1周波数及び第2周波数で共振するための特徴的な第1アンテナ素子112及び第2アンテナ素子122で構成される。
【0035】
第1アンテナ素子112には、第1アンテナ素子112に対する平面視で、y軸方向に第1アンテナ素子112を部分的に2分する空隙112aが設けられている。ここで、「部分的に2分する」とは、第1アンテナ素子112がy軸方向に2分される箇所と、y軸方向に2分されない箇所があることを意味する。空隙112aは、本実施の形態では、第1アンテナ素子112に対する平面視で、給電部に接続される第1アンテナ素子112の一辺11aに向けて開放された、角があるU字状の形状を有する。
【0036】
第2アンテナ素子122は、給電部に接続される第2アンテナ素子122の一辺12aからy軸方向に線状に延びる延出部122aと、延出部122aの先端に接続された渦巻状のパターンコイル部122bとを含む。延出部122a及びパターンコイル部122bは、基板15上の銅箔パターンで形成している。パターンコイル部122bは、5GHz帯の電流に対して大きなインダクタンスをもつチョークコイルとして作用する、つまり、2.4GHz帯の電流を流し、5GHz帯の電流を遮断する。
【0037】
第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子122(つまり、延出部122a及びパターンコイル部122b)とで第1周波数に対する放射器を構成している。また、空隙112aによって2分された第1アンテナ素子112の2つの領域(外側領域112b及び内側領域112c)のうち給電部に近い領域である内側領域112cと延出部122aとで第2周波数に対する放射器を構成している。
【0038】
具体的な寸法については、
図5に示されるように、第1アンテナ素子112の長さが20mm、幅が7mm、第1アンテナ素子112の一辺11aから3mm離れて形成された空隙112aの幅が0.25mm、空隙112aと第1アンテナ素子112の長辺との間隔が0.5mm、第1アンテナ素子112の内側領域112cの長さが10.25mmである。
【0039】
また、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子122との間隙(つまり、給電部(図示せず)用の間隙)が0.5mm、延出部122aの長さが3.5mm、幅が0.25mm、パターンコイル部122bのy軸方向の長さが3.5mm、線幅が0.25mm、渦巻における間隔が0.25mmである。本実施の形態では、延出部122aの幅及びパターンコイル部122bの線幅は、同一の0.25mmである。
【0040】
第1アンテナ素子112の内側領域112cの長さ及び第2アンテナ素子122の延出部122aの長さについて、第2周波数(5.4GHz)の波長λ(約56mm、電気長約26mm(=56/√4.6))との関係で説明すると、第1アンテナ素子112の内側領域112cの長さ10.25mmは、約0.39(=10.25/26)λであり、第2アンテナ素子122の延出部122aの長さ3.5mmは、約0.13(=3.5/26)λである。このように、第2周波数(5.4GHz)に対する第2アンテナ素子122の延出部122aの長さは、波長の1/4よりも短い。
【0041】
第1アンテナ素子112の長さ及び反射板14の長さについて、第1周波数(2.45GHz)の波長λ(約122mm、電気長約57mm(=122/√4.6))との関係で説明すると、第1アンテナ素子112の長さ20mmは、約0.35(=20/57)λであり、反射板14の長さ49mmは、約0.86(=49/57)λである。パターンコイル部122bは延出部122aの先端に接続されるが、反射板14は放射器13よりも長い長さを有する。また、第1周波数(2.45GHz)に対する第2アンテナ素子122は、5GHz帯で波長の1/4よりも短い素子(つまり、延出部122a)の先端に、2.4GHz帯の電流を通し、かつ、5GHz帯の電流を遮断するパターンコイル122bが接続されたもので構成される。
【0042】
図6は、
図5に示された実施の形態1に係るアンテナ装置10aのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、
図6の(a)は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの2.4GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図6の(b)は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの2.4GHz帯でのVSWR特性を示し、
図6の(c)は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの5GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図6の(d)は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの5GHz帯でのVSWR特性を示す。
【0043】
図6から分かるように、実施の形態1に係るアンテナ装置10aは、第1周波数(2.45GHz)及び第2周波数(5.4GHz)において、共振している。
【0044】
これらから分かるように、実施の形態1に係るアンテナ装置10aは、第1参考例に係る単一バンド対応のアンテナ装置9aと略同じサイズの小型化された指向性を有するアンテナ装置でありながら、2.4GHz帯及び5GHz帯のデュアルバンドに対応したアンテナ装置になっている。
【0045】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10aは第1周波数及び第1周波数よりも高い第2周波数の2つのバンドの信号を送受信し、給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置であって、x軸方向に幅を有しx軸方向に直交するy軸方向に延びる板状の第1アンテナ素子112、及び、第1アンテナ素子112と同一平面上に配置され、第1アンテナ素子112よりも幅が小さく、第1アンテナ素子112の一辺11aに給電部を介して接続される一辺12aを有する第2アンテナ素子122を有する放射器13と、放射器13に対向する平面に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板14とを備え、第1アンテナ素子112には、第1アンテナ素子112に対する平面視で、y軸方向に第1アンテナ素子112を部分的に2分する空隙112aが設けられ、第2アンテナ素子122は、給電部に接続される第2アンテナ素子122の一辺12aからy軸方向に線状に延びる延出部122aと、延出部122aの先端に接続された渦巻状のパターンコイル部122bとを含み、第1アンテナ素子112と第2アンテナ素子122とで第1周波数に対する放射器を構成し、空隙112aによって2分された第1アンテナ素子112の2つの領域(外側領域112b及び内側領域112c)のうち給電部に近い領域である内側領域112cと延出部122aとで第2周波数に対する放射器を構成し、反射板14のy軸方向の長さは、放射器13のy軸方向の長さよりも長く、放射器13と反射板14とは、電磁結合できる間隔を有する。
【0046】
これにより、第1アンテナ素子112には空隙112aが形成され、一方、第2アンテナ素子122が延出部122aとパターンコイル部122bとで構成されるので、第1参考例に係る単一バンド対応のアンテナ装置9aと略同じサイズの小型化と指向性を維持したまま、デュアルバンドに対応したアンテナ装置が実現される。
【0047】
また、空隙112aは、第1アンテナ素子112に対する平面視で、給電部に接続される第1アンテナ素子112の一辺11aに向けて開放されたU字状の形状を有する。これにより、第1アンテナ素子112が2つの領域(外側領域112b及び内側領域112c)に2分され、容易に、第1アンテナ素子112がデュアルバンドに対応した構成に加工され得る。
【0048】
なお、本実施の形態に係るアンテナ装置10aでは、第2アンテナ素子122は、第1アンテナ素子112の一辺11aの端部11bに対向する位置に設けられたが、この位置に限られず、第1アンテナ素子112の一辺11aのx軸方向における基端、中央、先端等のいずれに対向する位置に設けられてもよい。
【0049】
また、本実施の形態に係るアンテナ装置10aでは、第1アンテナ素子112を部分的に2分する空隙112aが設けられたが、空隙112aに代えて、
図13を用いて後述するような切り欠きが設けられてもよい。
【0050】
また、本実施の形態に係るアンテナ装置10aでは、第2アンテナ素子122の延出部122aは、y軸方向に直線状に延びたが、これに限られず、S字状に延びてもよいし、L字状に延びてもよい。つまり、延出部122aの形状は限定されない。この場合、延出部122aの長さとして、延出部122aの全長を用いて、アンテナ装置10aが第1周波数及び第2周波数で共振するようにチューニングすればよい。
【0051】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2に係るアンテナ装置について説明する。
【0052】
図7は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの構造を示す外観図である。より詳しくは、
図7は、アンテナ装置10bの上面図である。アンテナ装置10bは、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの変形例に相当し、実施の形態1に係るアンテナ装置10aと比べ、第2アンテナ素子123を構成する延出部123aの幅が大きい点が異なる。以下、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0053】
本実施の形態では、第2アンテナ素子123を構成する延出部123aは、実施の形態1における第2アンテナ素子122を構成する延出部122aに比べ、長さが同じ(つまり、3.5mm)であるが、幅が大きい(つまり、実施の形態1では0.25mm、実施の形態2では0.5mm)。言い換えると、本実施の形態では、第2アンテナ素子123において、延出部123aの幅は、パターンコイル部122bの幅よりも大きい。これにより、
図8で後述するように、より好適にデュアルバンドに対応したチューニングができる。
【0054】
なお、第2アンテナ素子123のパターンコイル部122bについては、面積を小さくできるメリットを生かすために、実施の形態1と同じ線幅0.25mm及び間隔0.25mmが採用されている。
【0055】
図8は、
図7に示された実施の形態2に係るアンテナ装置10bのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、
図8の(a)は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの2.4GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図8の(b)は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの2.4GHz帯でのVSWR特性を示し、
図8の(c)は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの5GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図8の(d)は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの5GHz帯でのVSWR特性を示す。
【0056】
図8から分かるように、実施の形態2に係るアンテナ装置10bは、第1周波数(2.45GHz)及び第2周波数(5.4GHz)において、共振している。
【0057】
図6の(b)と
図8の(b)、及び
図6の(d)と
図8の(d)とを比較して分かるように、本実施の形態に係るアンテナ装置10bは、2.4GHz帯及び5GHz帯でのVSWRが略3以下となり、実施の形態1に係るアンテナ装置10aに比べ、帯域幅が広くなっている。
【0058】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10bは、第2アンテナ素子123において、延出部123aの幅は、パターンコイル部122bの幅よりも大きい。これにより、延出部123aの幅とパターンコイル部122bの幅とを同一にする場合に比べ、より好適にデュアルバンドに対応したチューニングをすることが可能になる。
【0059】
なお、本実施の形態では、第2アンテナ素子123の延出部123aの幅を調整することで、デュアルバンドに対応したチューニングをしたが、これに代えて、あるいは、これに加えて、延出部123aの長さを調整することで、デュアルバンドに対応したチューニングをしてもよい。
【0060】
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3に係るアンテナ装置について説明する。
【0061】
図9は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの構造を示す外観図である。より詳しくは、
図9の(a)及び(b)は、それぞれ、アンテナ装置10cの上面図及び底面図である。アンテナ装置10cは、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの変形例に相当し、実施の形態2に係るアンテナ装置10bと比べ、第2アンテナ素子124を構成する延出部124aの形状が異なる。以下、実施の形態2と同一の構成については同一の符号を付し、実施の形態2との相違点を中心に説明する。
【0062】
本実施の形態では、第2アンテナ素子124を構成する延出部124aは、給電部(図示せず)に接続される第2アンテナ素子124の一辺12aとパターンコイル部122bとを接続する線状の幹パターン部124bと、幹パターン部124bから分岐して延びる枝パターン部124cとで構成される。
【0063】
幹パターン部124bは、長さが2.25mm、幅が0.5mmである。枝パターン部124cは、幹パターン部124bからx軸方向に線状に延び、線幅が0.25mmである。
【0064】
第1アンテナ素子112及び第2アンテナ素子124における延出部124aとパターンコイル部122bにより、第1周波数に対する放射器を構成する。また、空隙112aによって2分された第1アンテナ素子112の2つの領域(外側領域112b及び内側領域112c)のうち給電部に近い領域である内側領域112c、及び、第2アンテナ素子124における延出部124a(つまり、幹パターン部124bと枝パターン部124c)により、第2周波数に対する放射器を構成する。
【0065】
第2アンテナ素子124を構成する延出部124aは、2.4GHz帯のチューニング及び5GHz帯のチューニングに用いられるが、本実施の形態のように、幹パターン部124bと枝パターン部124cとで構成することで、2.4GHz帯と5GHz帯とを別々にチューニングでき、設計し易いというメリットがある。例えば、パターンコイル部122bに接続される幹パターン部124bの長さ及び幅の調整によって2.4GHz帯のチューニングをし、その後、枝パターン部124cの線長及び線幅の調整によって5GHz帯のチューニングをすることができる。
【0066】
なお、第2アンテナ素子124のパターンコイル部122bについては、面積を小さくできるメリットを生かすために、実施の形態2と同じ線幅0.25mm及び間隔0.25mmが採用されている。
【0067】
図10は、
図9に示された実施の形態3に係るアンテナ装置10cのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、
図10の(a)は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの2.4GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図10の(b)は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの2.4GHz帯でのVSWR特性を示し、
図10の(c)は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの5GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図10の(d)は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの5GHz帯でのVSWR特性を示す。
【0068】
図10から分かるように、実施の形態3に係るアンテナ装置10cは、第1周波数(2.45GHz)及び第2周波数(5.4GHz)において、共振している。
【0069】
図6の(b)と
図10の(b)、及び
図6の(d)と
図10の(d)とを比較して分かるように、本実施の形態に係るアンテナ装置10cは、2.4GHz帯及び5GHz帯でのVSWRが3以下となり、実施の形態1に係るアンテナ装置10aに比べ、帯域幅が広くなっている。
【0070】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10cは、第2アンテナ素子124において、延出部124aは、給電部(図示せず)に接続される第2アンテナ素子124の一辺12aとパターンコイル部122bとを接続する線状の幹パターン部124bと、幹パターン部124bから分岐して延びる枝パターン部124cとを含む。これにより、第1周波数と第2周波数とで共振するように2つのバンドに対して別々にチューニングでき、設計し易いというメリットがある。
【0071】
なお、本実施の形態に係るアンテナ装置10cは、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの延出部122aに枝パターン部124cを追加した構成を備えたが、このような組み合わせに限られず、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの延出部123aに枝パターン部124cを追加した構成を備えてもよい。
【0072】
(実施の形態4)
次に、本開示の実施の形態4に係るアンテナ装置について説明する。
【0073】
図11は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの構造を示す外観図である。より詳しくは、
図11の(a)及び(b)は、それぞれ、アンテナ装置10dの上面図及び底面図である。アンテナ装置10dは、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの変形例に相当し、実施の形態3に係るアンテナ装置10cと比べ、構成要素として、放射器13と同一平面上に無給電素子125が追加された構成を備える。なお、寸法については、第1アンテナ素子112の内側領域112cの長さが9mm、第2アンテナ素子124の延出部124aを構成する幹パターン部124bの長さが1.5mmである点で、実施の形態3と異なる。以下、実施の形態3との相違点を中心に説明する。
【0074】
無給電素子125は、基板15上の銅箔で形成され、第1アンテナ素子112の一辺11aと0.5mmの間隔を空けて配置され、x軸方向に無給電素子125を見た場合に、少なくとも第2アンテナ素子124と重なる位置に配置されている。
【0075】
無給電素子125には、無給電素子125に対する平面視で、y軸方向に無給電素子125を部分的に2分(外側領域125b及び内側領域125cに2分)する切り欠き125aが設けられている。切り欠き125aは、幅が0.25mmで、無給電素子125の上辺に開口を有し、第2アンテナ素子124を囲うように、L字を左右反転した形状を有する。無給電素子125の内側領域125cのy軸方向の長さは、9mmである。
【0076】
第1アンテナ素子112の内側領域112cの長さ9mm、及び、無給電素子125の内側領域125cのy軸方向の長さ9mmは、第2周波数(5.4GHz)の波長λ(約56mm、電気長約26mm(=56/√4.6))との関係で説明すると、いずれも、約0.35(=9/26)λである。
【0077】
図12は、
図11に示された実施の形態4に係るアンテナ装置10dのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、
図12の(a)は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの2.4GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図12の(b)は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの2.4GHz帯でのVSWR特性を示し、
図12の(c)は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの5GHz帯でのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、
図12の(d)は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの5GHz帯でのVSWR特性を示す。
【0078】
図12から分かるように、実施の形態4に係るアンテナ装置10dは、第1周波数(2.45GHz)及び第2周波数(5.4GHz)において、共振している。
図10の(b)と
図12の(b)、及び
図10の(d)と
図12の(d)とを比較して分かるように、本実施の形態に係るアンテナ装置10dは、2.4GHz帯及び5GHz帯でのVSWRが略2以下となり、実施の形態3に係るアンテナ装置10cに比べ、帯域幅が広くなっている。これは、無給電素子125が追加された効果である。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10dは、放射器13と同一平面上で、かつ、放射器13に接続されることなく配置される無給電素子であって、x軸方向に無給電素子125を見た場合に、少なくとも第2アンテナ素子124と重なる位置に配置されている無給電素子125を備える。これにより、第2周波数のバンドが広帯域化される。
【0080】
なお、本実施の形態に係るアンテナ装置10dは、実施の形態3に係るアンテナ装置10cに無給電素子125が追加された構成を備えたが、このような組み合わせに限られず、実施の形態1又は2に係るアンテナ装置に無給電素子125が追加された構成を備えてもよい。
【0081】
なお、本実施の形態に係るアンテナ装置10dでは、無給電素子125を部分的に2分する切り欠き125aが設けられたが、切り欠き125aに代えて、
図14を用いて後述するような空隙が設けられてもよい。
【0082】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態1~4の変形例を、その他の実施の形態として、説明する。
【0083】
図13は、実施の形態1~4に係るアンテナ装置が備える第1アンテナ素子112の変形例を示す図である。なお、
図13の(a)は、参考として、実施の形態1~4のアンテナ装置が備える第1アンテナ素子112を示している。
【0084】
図13の(b)は、外側領域113bと内側領域113cとに2分する空隙113aが形成された変形例に係る第1アンテナ素子113を示している。空隙113aは、第1アンテナ素子113に対する平面視で、給電部(図示せず)に接続される第1アンテナ素子113の一辺11aに向けて開放された、丸みをもつU字状の形状を有する。
【0085】
図13の(c)は、外側領域114bと内側領域114cとに2分する空隙114aが形成された変形例に係る第1アンテナ素子114を示している。空隙114aは、第1アンテナ素子114に対する平面視で、給電部(図示せず)に接続される第1アンテナ素子114の一辺11aに向けて開放され徐々に広がる、角があるU字状の形状を有する。
【0086】
図13の(d)は、外側領域115bと内側領域115cとに2分する空隙115aが形成された変形例に係る第1アンテナ素子115を示している。空隙115aは、第1アンテナ素子115に対する平面視で、給電部(図示せず)に接続される第1アンテナ素子115の一辺11aに向けて開放され徐々に狭まる、角があるU字状の形状を有する。
【0087】
図13の(e)は、外側領域116bと内側領域116cとに2分する切り欠き116aが形成された変形例に係る第1アンテナ素子116を示している。切り欠き116aは、第1アンテナ素子116に対する平面視で、第1アンテナ素子116の下辺に開口を有し、上下に反転したL字状の形状を有する。
【0088】
図13の(f)は、外側領域117bと内側領域117cとに2分する切り欠き117aが形成された変形例に係る第1アンテナ素子117を示している。切り欠き117aは、第1アンテナ素子117に対する平面視で、第1アンテナ素子117の上辺に開口を有し、L字状の形状を有する。
【0089】
図13の(g)は、外側領域118bと内側領域118cとに2分する2つの切り欠き118aが形成された変形例に係る第1アンテナ素子118を示している。2つの切り欠き118aは、第1アンテナ素子118に対する平面視で、それぞれ、第1アンテナ素子118の上辺に開口を有するL字状の形状を有する切り欠き、及び、第1アンテナ素子118の下辺に開口を有する上下に反転したL字状の形状を有する切り欠きである。
【0090】
図14は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dが備える無給電素子125の変形例を示す図である。なお、
図14の(a)は、参考として、実施の形態4のアンテナ装置10dが備える無給電素子125を示している。
【0091】
図14の(b)は、外側領域126bと内側領域126cとに2分する空隙126aが形成された変形例に係る無給電素子126を示している。空隙126aは、無給電素子126に対する平面視で、第2アンテナ素子124を囲うように、第2アンテナ素子124に向けて開放された角があるU字状の形状を有する。
【0092】
以上、本開示に係るアンテナ装置について、実施の形態1~4及びその他の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したものや、各実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0093】
例えば、上記実施の形態では、2.4GHz帯及び5GHz帯のデュアルバンドに対応したアンテナ装置を説明したが、このようなバンドに限られず、他のバンドを含むデュアルバンドに対応したアンテナ装置であってもよい。
【0094】
また、上記実施の形態に係るアンテナ装置では、一枚の基板15の上面に放射器13及び無給電素子125が形成され、下面に反射板14が形成されたが、このような一枚基板の構成に限られず、放射器13及び無給電素子125と反射板14とが電磁結合できる間隔を有するという制約を実現するために、異なる基板の一方に放射器13と無給電素子とが形成され、他方に反射板14が形成されてもよい。また、反射板は薄い金属板から形成されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
9a、9b、10a~10d アンテナ装置
110、111、112~118 第1アンテナ素子
11a 第1アンテナ素子の一辺
11b 第1アンテナ素子の一辺の端部
112a~115a、126a 空隙
116a~118a、125a 切り欠き
112b~118b 第1アンテナ素子の外側領域
112c~118c 第1アンテナ素子の内側領域
120、121、122、123、124 第2アンテナ素子
12a 第2アンテナ素子の一辺
122a、123a、124a 延出部
122b パターンコイル部
124b 幹パターン部
124c 枝パターン部
13 放射器
14 反射板
15 基板
125、126 無給電素子
125b、126b 無給電素子の外側領域
125c、126c 無給電素子の内側領域