(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101465
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】操作レバー及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240722BHJP
B60N 2/04 20060101ALI20240722BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20240722BHJP
B60N 2/20 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/04
B60N2/22
B60N2/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005469
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迫田 享大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 幸信
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】金属レバーと樹脂レバーとの間でガタ付きが生じないように寸法を簡単に管理することが可能な操作レバー及び車両用シートを得る。
【解決手段】金属レバー38は、凸部54A及び凸部56Aを含んで構成され、樹脂レバー36は、上壁面70、下壁面72、孔部78及び孔部82を含んで構成される。金属レバー38が樹脂レバー36に挿入された状態で、上壁面70、下壁面72には金属レバー38の凸部54A、56Aがそれぞれ当接する。孔部78、孔部82はそれぞれ上壁面70、下壁面72と繋がって形成され、孔部78、孔部82を通じて上壁面70、下壁面72の位置がそれぞれ分かる。このため、予め、樹脂レバー36の上壁面70と下壁面72の離間距離、及び金属レバー38の凸部54Aと凸部56Aの離間距離を測定することによって金属レバー38と樹脂レバー36との間でガタ付きが生じないように寸法を簡単に管理することが可能となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体におけるシート幅方向の外側部に設けられ前記シート本体を操作可能な操作レバーであって、
前記操作レバーの骨格部材とされる金属レバーと、
前記金属レバーが挿入され当該金属レバーと一体化されて前記操作レバーの意匠を構成する樹脂レバーと、
を備え、
前記金属レバーは、
前記樹脂レバーに挿入可能とされる挿入部と、
前記挿入部に形成され、当該挿入部の挿入方向に対して略直交する当該挿入部の幅方向の上端から上方側へ向かって突出する第1凸部と、
前記挿入部に形成され、当該挿入部の幅方向の下端から下方側へ向かって突出する第2凸部と、
を含んで構成され、
前記樹脂レバーは、
前記挿入部が挿入可能とされる被挿入部と、
前記被挿入部において前記挿入部の挿入方向に沿って形成され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入された状態で前記第1凸部が当接可能な上壁面と、
前記被挿入部において前記挿入部の挿入方向に沿って形成され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入された状態で前記第2凸部が当接可能な下壁面と、
前記被挿入部においてシート幅方向の内側を構成する内壁部に形成され、前記上壁面と繋がって形成され当該上壁面の一部が露出する第1孔部と、
前記内壁部に形成され、前記下壁面と繋がって形成され当該下壁面の一部が露出する第2孔部と、
を含んで構成されている操作レバー。
【請求項2】
前記第1孔部及び前記第2孔部は、前記挿入部の挿入方向の奥方に設けられている請求項1に記載の操作レバー。
【請求項3】
前記第1凸部と前記第2凸部は、前記挿入部の幅方向沿って設けられている請求項1に記載の操作レバー。
【請求項4】
前記第1孔部及び前記第2孔部は、前記挿入部の挿入方向に沿って矩形状を成している請求項1に記載の操作レバー。
【請求項5】
着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、
前記着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックと、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の前記操作レバーと、
を備えた車両用シート。
【請求項6】
前記操作レバーは前記シートクッションを上下移動させるリフタレバーに適用されている請求項5に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 操作レバー及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートにおいて、例えば、下記特許文献1には、リクライニングレバーに関する技術が開示されている。この先行技術では、リクライニングレバーは、金属製のアーム部と、アーム部の前端部分に装着され樹脂製の把持部と、を含んで構成されており、把持部は、アーム部の前端部に差し込まれて(嵌合されて)一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術では、金属製のアーム(金属レバー)と樹脂製の把持部(樹脂レバー)は嵌合されるため、双方において高い寸法精度が求められ、寸法精度が低い場合、把持部を操作する際にガタ付きが生じ、品質上好ましくない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、金属レバーと樹脂レバーとの間でガタ付きが生じないように寸法を簡単に管理することが可能な操作レバー及び車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る操作レバーは、シート本体におけるシート幅方向の外側部に設けられ前記シート本体を操作可能な操作レバーであって、前記操作レバーの骨格部材とされる金属レバーと、前記金属レバーが挿入され当該金属レバーと一体化されて前記操作レバーの意匠を構成する樹脂レバーと、を備え、前記金属レバーは、前記樹脂レバーに挿入可能とされる挿入部と、前記挿入部に形成され、当該挿入部の挿入方向に対して略直交する当該挿入部の幅方向の上端から上方側へ向かって突出する第1凸部と、前記挿入部に形成され、当該挿入部の幅方向の下端から下方側へ向かって突出する第2凸部と、を含んで構成され、前記樹脂レバーは、前記挿入部が挿入可能とされる被挿入部と、前記被挿入部において前記挿入部の挿入方向に沿って形成され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入された状態で前記第1凸部が当接可能な上壁面と、前記被挿入部において前記挿入部の挿入方向に沿って形成され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入された状態で前記第2凸部が当接可能な下壁面と、前記被挿入部においてシート幅方向の内側を構成する内壁部に形成され、前記上壁面と繋がって形成され当該上壁面の一部が露出する第1孔部と、前記内壁部に形成され、前記下壁面と繋がって形成され当該下壁面の一部が露出する第2孔部と、を含んで構成されている。
【0007】
第1の態様に係る操作レバーでは、シート本体におけるシート幅方向の外側部に設けられ当該シート本体を操作可能とされている。操作レバーは、金属レバー及び樹脂レバーを備えており、金属レバーは、操作レバーの骨格部材とされている。一方、樹脂レバーは、金属レバーが挿入され当該金属レバーと一体化されて操作レバーの意匠を構成する。
【0008】
ここで、金属レバーは、挿入部、第1凸部及び第2凸部を含んで構成されており、挿入部は樹脂レバーに挿入される。第1凸部及び第2凸部は、挿入部にそれぞれ形成されており、第1凸部は、挿入部の挿入方向に対して略直交する当該挿入部の幅方向の上端から上方側へ向かって突出し、第2凸部は、挿入部の幅方向の下端から下方側へ向かって突出している。
【0009】
また、樹脂レバーは、被挿入部、上壁面、下壁面、第1孔部及び第2孔部を含んで構成されており、被挿入部は金属レバーの挿入部が挿入可能とされる。上壁面は、樹脂レバーの被挿入部において、金属レバーの挿入部の挿入方向に沿って形成されている。そして、金属レバーの挿入部が樹脂レバーの被挿入部に挿入された状態で、当該上壁面には、金属レバーの上端に形成された第1凸部が当接可能とされる。また、下壁部は、樹脂レバーの被挿入部において、金属レバーの挿入部の挿入方向に沿って形成されている。そして、金属レバーの挿入部が樹脂レバーの被挿入部に挿入された状態で、当該下壁面には、金属レバーの下端に形成された第2凸部が当接可能とされる。
【0010】
さらに、第1孔部及び第2孔部は、樹脂レバーの被挿入部において、シート幅方向の内側を構成する内壁部にそれぞれ形成されている。第1孔部は、樹脂レバーの被挿入部に形成された上壁面と繋がって形成されており、当該上壁面の一部が露出し、第2孔部は、樹脂レバーの被挿入部に形成された下壁面と繋がって形成されており、当該下壁面の一部が露出するように設定されている。
【0011】
ここで、樹脂レバーの被挿入部に対して金属レバーの挿入部が挿入されるため、樹脂レバーの被挿入部内は外部からは見えない。本態様では、樹脂レバーの被挿入部の内壁部において、被挿入部の上壁面と繋がる第1孔部、及び被挿入部の下壁面と繋がる第2孔部をそれぞれ形成することによって、当該第1孔部、第2孔部を通じて、上壁面、下壁面がそれぞれ露出可能とされる。
【0012】
つまり、本態様では、第1孔部、第2孔部を通じて、上壁面、下壁面の位置がそれぞれ分かるため、樹脂レバーの被挿入部において、金属レバーの挿入部を挿入させる前に、上壁面と下壁面の離間距離(寸法L1)を測定することが可能となる。このため、金属レバーの挿入部における第1凸部と第2凸部の離間距離(寸法L2)を測定することによって、寸法L2が寸法L1に対して嵌合可能か否かの判定が可能となる。
【0013】
このように、予め、樹脂レバーの被挿入部における上壁面と下壁面の離間距離(寸法L1)、及び金属レバーの挿入部における第1凸部と第2凸部の離間距離(寸法L2)を測定することによって、金属レバーと樹脂レバーとの間でガタ付きが生じないように寸法を簡単に管理することが可能となる。
【0014】
第2の態様に係る操作レバーは、第1の態様に係る操作レバーにおいて、前記第1孔部及び前記第2孔部は、前記挿入部の挿入方向の奥方に設けられている。
【0015】
第2の態様に係る操作レバーでは、第1孔部及び第2孔部は、挿入部の挿入方向の奥方に設けられることによって、樹脂レバーの被挿入部の奥方における上壁面と下壁面の離間距離を測定することが可能となる。
【0016】
第3の態様に係る操作レバーは、第1の態様又は第2の態様に係る操作レバーにおいて、前記第1凸部と前記第2凸部は、前記挿入部の幅方向沿って設けられている。
【0017】
第3の態様に係る操作レバーでは、第1凸部と第2凸部が金属レバーの挿入部の幅方向沿って設けられることによって、第1凸部と第2凸部が金属レバーの挿入方向に沿って異なる位置に形成された場合と比較して、第1凸部と第2凸部の離間距離が測定しやすくなる。
【0018】
第4の態様に係る操作レバーは、第1の態様~第3の態様の何れか1の態様に係る操作レバーにおいて、前記第1孔部及び前記第2孔部は、前記挿入部の挿入方向に沿って矩形状を成している。
【0019】
第4の態様に係る操作レバーでは、第1孔部及び第2孔部は、金属レバーの挿入部の挿入方向に沿って矩形状を成すことによって、例えば、当該挿入方向に沿って円弧状に形成された場合(比較例)と比較して、挿入方向に沿ったどの位置を測定しても第1孔部、第2孔部を通じて測定される上壁面と下壁面の離間距離を略同じにすることができる。つまり、本態様では、比較例よりも測定精度を向上させることが可能となる。
【0020】
第5の態様に係る車両用シートは、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションと、前記着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックと、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の前記操作レバーと、を備えている。
【0021】
第5の態様に係る車両用シートでは、第1の態様~第4の態様の何れか1の態様に係る操作レバーを用いたことによって、金属レバーと樹脂レバーとの間で寸法を簡単に管理することができ、その分コストダウンを図ることが可能となる。
【0022】
第6の態様に係る車両用シートは、第5の態様に係る車両用シートにおいて、前記操作レバーは前記シートクッションを上下移動させるリフタレバーに適用されている。
【0023】
第6の態様に係る車両用シートでは、操作レバーはリフタレバーとされ、当該リフタレバーによってシートクッションを上下移動させる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように、本発明に係る操作レバー及び車両用シートは、金属レバーと樹脂レバーとの間でガタ付きが生じないように寸法を簡単に管理することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施の形態に係る車両用シートを示す斜視図である。
【
図2】本実施の形態に係る車両用シートの要部を拡大して示す斜視図である。
【
図3】本実施の形態に係る車両用シートのリフタレバーを構成する樹脂レバーと金属レバーを示す分解斜視図である。
【
図4】本実施の形態に係る車両用シートのリフタレバーを構成する樹脂レバーと金属レバーを示す側面図である。
【
図5】(A)は、本実施の形態に係る車両用シートのリフタレバーを構成する樹脂レバーと金属レバーの作用を説明するための要部拡大側面図であり、(B)は、(A)に対応する比較例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シートについて説明する。なお、以下の図において適宜示される矢印FRは、車両前後方向の前方向(着座者の向く方向)を示しており、矢印UPは車両上下方向の上方向を示し、矢印RHは車両幅方向の右方向を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、車両の進行方向を向いた場合のシート幅方向の左右を示すものとする。
【0027】
<車両用シートの構成>
まず、本実施形態に係る車両用シートの構成について説明する。
【0028】
図1に示されるように、本実施の形態に係る車両用シート10は、乗員が着座するためのシートクッション12と、当該シートクッション12の後端部に下端部が接続されて乗員の上体を支持するシートバック14と、を備えており、シートバック14の上端部には、ヘッドレスト16が取り付けられている。
【0029】
ここで、車両用シート10は、シートバック14の下端部にリクライニング機構18を備えている。このリクライング機構を介して、シートバック14の下端部がシートクッション12の後端部に連結される。また、リクライニング機構18には、リクライニングレバー20が備わっており、当該リクライニングレバー20を操作することによって、シートクッション12に対してシートバック14が回動可能とされている。
【0030】
また、車両用シート10は、シートクッション12の下部にシートスライド機構22を備えている。このシートスライド機構22には、スライドレバー24が備わっており、当該スライドレバー24を操作することによって、車両用シート10は、シートスライド機構22を構成する左右一対のスライドレール26に沿って車両前後方向に移動可能とされている。
【0031】
さらに、車両用シート10は、シートクッション12の骨格部材とされるシートクッションフレーム28を備えており、当該シートクッションフレーム28とシートスライド機構22との間にシートリフタ機構30を備えている。シートリフタ機構30には、リフタレバー(操作レバー)32が備わっており、当該リフタレバー32を回動させることによって、シートクッション12がスライドレール26に対して上下移動可能とされる。
【0032】
当該シートクッション12の外側部には、シート前後方向に沿って延在された長板状のサイドフィニッシャ34が設けられている。このサイドフィニッシャ34は、例えば、樹脂材料から成り、射出成型によって所定の形状に形成されている。また、当該サイドフィニッシャ34は、シートクッション12の幅方向の両外側に設けられており、シートクッションフレーム28の両側部を構成しシート前後方向に沿って延在されたシートサイドフレーム(図示省略)を外方から覆っている。
【0033】
なお、本実施形態では、車両用シート10の右側のサイドフィニッシャ34にリクライニングレバー20及びリフタレバー32が設けられているが、これに限るものではない。例えば、助手席側では、左側のサイドフィニッシャ34にリクライニングレバー20が設けられている。また、左ハンドル仕様車では左側のサイドフィニッシャ34にリクライニングレバー20及びリフタレバー32が設けられている。
【0034】
ここで、リフタレバー32について説明する。
図1、
図2に示されるように、リフタレバー32は、当該リフタレバー32の意匠を構成する樹脂で形成された樹脂レバー36と、当該リフタレバー32の骨格部材を構成する金属で形成された金属レバー38と、を含んで構成されている。
【0035】
図3は、リフタレバー32を構成する樹脂レバー36及び金属レバー38をシート幅方向の内側かつ斜め後方側から見たリフタレバー32の分解斜視図が示されている。また、
図4は、リフタレバー32をシート幅方向の内側から見た略側面図が示されている。
【0036】
図3、
図4に示されるように、金属レバー38はクランク状に形成されており、金属レバー38におけるシート前後方向の後端部には軸支板40が設けられシート幅方向に沿って設けられた図示しない軸部を中心に回動可能に支持されている。
【0037】
一方、金属レバー38におけるシート前後方向の前端部は、挿入部42とされており、シート前後方向に沿って形成され、樹脂レバー36に設けられた被挿入部44内に挿入可能とされている。挿入部42の先端部には丸孔部46が形成されており、丸孔部46のシート後方側には、矩形状の突設部48がシート幅方向の内側に設けられている。挿入部42と軸支板40の間には、略L字状に屈曲する屈曲部50が設けられており、屈曲部50には屈曲部50の形状に沿って略L字状の凸ビード52が形成されている。この凸ビード52は、金属レバー38の板厚方向に沿ってシート幅方向の外側へ向かって突出しており、板厚を厚くすることによって屈曲部50の剛性を向上させている。
【0038】
一方、金属レバー38の挿入部42には、突設部48のシート後方側には、挿入部42の上端54にシート上方側へ向かって突出する凸部(第1凸部)54Aが設けられており、挿入部42の下端56には、シート下方側へ向かって突出する凸部(第2凸部)56Aが設けられている。
【0039】
つまり、凸部54Aは、挿入部42の挿入方向に対して略直交する当該挿入部42の幅方向の上端54から上方側へ向かって突出し、凸部56Aは、挿入部42の幅方向の下端56から下方側へ向かって突出している。そして、凸部54Aと凸部56Aは、挿入部42の幅方向に沿って設けられている。
【0040】
一方、樹脂レバー36は、シート幅方向の外側に配置される外壁部58と、外壁部58と対向可能に配置され、シート幅方向の内側に配置される内壁部60と、外壁部58と内壁部60を繋ぎ上端部を構成する上壁部62と、上壁部62と対向可能に配置され、外壁部58と内壁部60を繋ぎ下端部を構成する下壁部64と、を含んで構成され、シート後方側を開口とする箱状を成している。外壁部58と内壁部60の間にはリブ66が架け渡されており、シート上下方向に沿って複数配置され、樹脂レバー36の変形を抑制し剛性を向上させている。
【0041】
ここで、内壁部60には、金属レバー38の挿入部42が挿入可能な被挿入部44が設けられている。被挿入部44は、内壁部60と、当該内壁部60と対向可能とされ内壁部60よりもシート幅方向の内側に配置された被挿入部内壁68と、を含んで構成されている。
【0042】
さらに、被挿入部44には、金属レバー38の挿入部42における上端54と対向可能な上壁面70と下端56と対向可能な下壁面72が形成され、上壁面70及び下壁面72によって金属レバー38の挿入部42は被挿入部44の奥方へ案内される。
【0043】
また、被挿入部内壁68には、被挿入部44の奥方に矩形状の係合孔74が形成されており、当該係合孔74に対して金属レバー38の突設部48が係合可能とされる。このように、金属レバー38の突設部48が係合孔74に係合された状態で、樹脂レバー36に対して金属レバー38が固定される。
【0044】
ここで、
図3、
図5(A)に示されるように、被挿入部内壁68には、上壁面70側にシート前後方向に沿って延在されたスリット76が形成されており、スリット76の奥端には、シート上方側へ向かって突出し上壁面70と繋がる矩形状の孔部(第1孔部)78が形成されている。つまり、この孔部78を通じて、上壁面70が露出可能とされ上壁面70の位置が分かるようになっている。
【0045】
また、被挿入部内壁68の下壁面72側にはシート前後方向に沿って延在されたスリット80が形成されており、スリット80の奥端には、シート下方側へ向かって突出し下壁面72と繋がる矩形状の孔部(第2孔部)82が形成されている。つまり、この孔部82を通じて、下壁面72が露出可能とされ下壁面72の位置が分かるようになっている。
【0046】
さらに、樹脂レバー36の内壁部60には、被挿入部内壁68側へ向かって突出し金属レバー38の挿入方向に沿って一対のガイドリブ84が設けられている。一対のガイドリブ84によって被挿入部44の剛性を向上可能としている。
【0047】
<車両用シートの作用及び効果>
次に、本実施形態に係る車両用シートの作用及び効果について説明する。
【0048】
図2に示されるように、本実施形態では、車両用シート10のリフタレバー32は、金属レバー38及び樹脂レバー36を備えており、金属レバー38は、リフタレバー32の骨格部材とされ、樹脂レバー36は、金属レバー38が挿入され当該金属レバー38と一体化されてリフタレバー32の意匠を構成する。
【0049】
ここで、
図3、
図4に示されるように、金属レバー38は、挿入部42、凸部54A及び凸部56Aを含んで構成されており、挿入部42は樹脂レバー36の被挿入部44に挿入される。凸部54A及び凸部56Aは、金属レバー38の挿入部42にそれぞれ形成されており、凸部54Aは、挿入部42の挿入方向に対して略直交する当該挿入部42の幅方向の上端54から上方側へ向かって突出し、凸部56Aは、挿入部42の幅方向の下端56から下方側へ向かって突出している。
【0050】
また、樹脂レバー36は、被挿入部44、上壁面70、下壁面72、孔部78及び孔部82を含んで構成されており、被挿入部44には金属レバー38の挿入部42が挿入可能とされる。
【0051】
当該上壁面70は、樹脂レバー36の被挿入部44において、金属レバー38の挿入部42の挿入方向に沿って形成されている。そして、金属レバー38の挿入部42が樹脂レバー36の被挿入部44に挿入された状態で、当該上壁面70には、金属レバー38の上端54に形成された凸部54Aが当接される。
【0052】
また、当該下壁面72は、樹脂レバー36の被挿入部44において、金属レバー38の挿入部42の挿入方向に沿って形成されている。そして、金属レバー38の挿入部42が樹脂レバー36の被挿入部44に挿入された状態で、当該下壁面72には、金属レバー38の下端56に形成された凸部56Aが当接される。
【0053】
さらに、孔部78及び孔部82は、樹脂レバー36の被挿入部44において、シート幅方向の内側を構成する被挿入部内壁68にそれぞれ形成されている。孔部78は、樹脂レバー36の被挿入部44に形成された上壁面70と繋がって形成されており、当該上壁面70の一部が露出し、孔部82は、樹脂レバー36の被挿入部44に形成された下壁面72と繋がって形成されており、当該下壁面72の一部が露出するように設定されている。
【0054】
ここで、樹脂レバー36の被挿入部44に対して金属レバー38の挿入部42が挿入されるため、樹脂レバー36の被挿入部44内は外部からは見えない。本実施形態では、樹脂レバー36の被挿入部44の被挿入部内壁68において、被挿入部44の上壁面70と繋がる孔部78、及び被挿入部44の下壁面72と繋がる孔部82をそれぞれ形成することによって、当該孔部78、孔部82を通じて、上壁面70、下壁面72がそれぞれ露出可能とされる。
【0055】
つまり、本実施形態では、
図3、
図4、
図5(A)に示されるように、孔部78、孔部82を通じて、上壁面70、下壁面72の位置がそれぞれ分かるため、樹脂レバー36の被挿入部44において、金属レバー38の挿入部42を挿入させる前に、上壁面70と下壁面72の離間距離(寸法L1)を測定することが可能となる。
【0056】
そして、金属レバー38の挿入部42における凸部54Aと凸部56Aの離間距離(寸法L2)を測定することによって、金属レバー38の挿入部42が樹脂レバー36の被挿入部44に対して嵌合可能か否かの判定が可能となる。
【0057】
このように、予め、樹脂レバー36の被挿入部44における上壁面70と下壁面72の離間距離(寸法L1)、及び金属レバー38の挿入部42における凸部54Aと凸部56Aの離間距離(寸法L2)を測定することによって、金属レバー38と樹脂レバー36との間でガタ付きが生じないように寸法を簡単に管理することが可能となる。
【0058】
このため、金属レバー38と樹脂レバー36に組み付けた後にガタ付きをチェックする場合と比較して作業性がよく、その分、リフタレバー32においてコストダウンを図ることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、樹脂レバー36の被挿入部44の被挿入部内壁68に孔部78及び孔部82を形成することによって、当該被挿入部44内の上壁面70と下壁面72の離間距離(寸法L1)を測定することができるため便利である。
【0060】
さらに、本実施形態では、孔部78及び孔部82は、挿入部42の挿入方向の奥方に設けられることによって、樹脂レバー36の被挿入部44の奥方における上壁面70と下壁面72の離間距離(寸法L1)を測定することが可能となる。
【0061】
さらにまた、本実施形態では、凸部54Aと凸部56Aが金属レバー38の挿入部42の幅方向沿って設けられることによって、凸部54Aと凸部56Aが金属レバー38の挿入方向に沿って異なる位置に形成された場合と比較して、凸部54Aと凸部56Aの離間距離(寸法L2)が測定しやすくなる。
【0062】
本実施形態では、前述のように、金属レバー38の挿入部42において、上端54に凸部54Aを設けると共に下端56に凸部56Aを設け、当該凸部54A、56Aがそれぞれ樹脂レバー36の被挿入部44の上壁面70、下壁面72に当接するように設定している。
【0063】
これにより、本実施形態では、金属レバー38は、凸部54A、56Aにおいて寸法精度を確保すればよい。つまり、挿入部42の上端54及び下端56の寸法精度についてはラフでよいため、上端54、下端56を上壁面70、下壁面72に当接させる場合と比較して、寸法精度を要求される箇所を狭くすることができ、その分コストを下げることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、
図3、
図5(A)に示されるように、孔部78及び孔部82は、金属レバー38の挿入部42の挿入方向に沿って矩形状を成している。例えば、比較例として、
図5(B)に示されるように、金属レバー38の挿入部42の挿入方向に沿って孔部100、102が円弧状に形成された場合、孔部100、102の位置によって、離間距離がL3、L4、L5となり、それぞれ寸法が異なってしまう。
【0065】
これに対して、本実施形態では、
図5(A)に示されるように、孔部78及び孔部82は、金属レバー38の挿入部42の挿入方向に沿って矩形状を成しているため、金属レバー38の挿入部42の挿入方向に沿ったどの位置を測定しても孔部78、孔部82を通じて測定される上壁面70と下壁面72の離間距離L1を略同じにすることができる。つまり、本態様では、比較例よりも測定精度を向上させることが可能となる。
【0066】
なお、以上の実施形態では、操作レバーとして、
図1に示すリフタレバー32に適用された例について説明したが、これに限るものではない。例えば、リクライニングレバー20に適用されてもよい。
【0067】
また、本発明は、上記実施形態に限るものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
32 リフタレバー(操作レバー)
36 樹脂レバー
38 金属レバー
42 挿入部
44 被挿入部
54 上端
54A 凸部(第1凸部)
56 下端
56A 凸部(第2凸部)
70 上壁面
72 下壁面
78 孔部(第1孔部)
82 孔部(第2孔部)