IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社センシンロボティクスの特許一覧 ▶ 中部電力パワーグリッド株式会社の特許一覧 ▶ 中部電力株式会社の特許一覧

特開2024-101467情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図8
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図9
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図10
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図11
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図12
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図13
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図14
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図15
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図16
  • 特開-情報処理方法、情報処理システム及びプログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101467
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240722BHJP
   B64U 20/87 20230101ALI20240722BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H04N23/60
B64U20/87
H02G1/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005471
(22)【出願日】2023-01-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】518156358
【氏名又は名称】株式会社センシンロボティクス
(71)【出願人】
【識別番号】520320446
【氏名又は名称】中部電力パワーグリッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】益田 尚弥
(72)【発明者】
【氏名】深見 兼太郎
(72)【発明者】
【氏名】丸目 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜司
【テーマコード(参考)】
5C122
5G352
【Fターム(参考)】
5C122DA12
5C122EA01
5C122FA01
5C122FA13
5C122GD11
5C122HB01
5G352AA01
5G352AM01
5G352AM05
(57)【要約】
【課題】飛行体が多導体方式の電力線及び径間スペーサを死角がより少なくなるように撮影することを可能にする情報処理方法等を提供する。
【解決手段】本実施の形態によれば、第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法が提供される。情報処理方法は、飛行体を少なくとも第1方向に飛行させて第1の撮影角度で電力線及び径間スペーサを撮影する第1ステップ(S11)と、飛行体を少なくとも第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップ(S12)と、飛行体を再度少なくとも第1方向に飛行させて第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で電力線及び径間スペーサを撮影する第3ステップ(S13)とを含む。
【選択図】図17


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法であって、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を再度少なくとも前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
前記第1の撮影角度と前記第2の撮影角度とは、少なくとも前記第1方向に対して互いに異なる角度である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第2ステップでは、前記飛行体による前記電力線及び前記径間スペーサの撮影を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理システムであって、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を再度少なくとも前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、
を実行する制御部を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに対して、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を再度少なくとも前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する)が産業に利用され始めている。こうした中で、特許文献1には、飛行体により電力線を撮影して検査するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-196355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、飛行体による電力線の撮影は、飛行体に搭載されたカメラの撮影方向を電力線に正対させた状態で(電力線の延伸方向に対するカメラの撮影角度を概ね垂直にした状態で)、飛行体を電力線の延伸方向に沿って飛行させることによって行われている。
【0005】
電力線を支持する鉄塔等の支持物の各々の腕金に架線される電力線が1本の電力線で構成されている場合には、飛行体の1回の飛行時にその単線の電力線が撮影される。各腕金に架線される電力線が2本以上の電力線(導体)で構成される多導体方式の電力線である場合には、飛行体の1回の飛行時にそれら2本以上の電力線を一度に撮影できることが望ましい。多導体方式の電力線では、各々の電力線が径間スペーサによって互いの間隔を一定に保った状態で保持される。
【0006】
そのような複数の電力線を含む多導体方式の電力線を飛行体によって撮影する場合、特に径間スペーサについてはその側面を撮影することになり、各電力線を保持する径間スペーサの把持部は死角となって撮影することができない。
【0007】
一方で、カメラの撮像方向を電力線の延伸方向に対して進行方向斜め前方に向けて電力線を撮影することで、各電力線を保持する径間スペーサも含めて、複数の電力線と径間スペーサの状態を一度に撮影することが可能である。しかしながら、カメラの撮像方向を当初からそのように飛行体の進行方向斜め前方に向けて撮影を開始すると、飛行開始地点の飛行体の真横に位置する電力線の領域がカメラの死角となり、その領域における電力線及び径間スペーサを撮影できない。
【0008】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、飛行体が多導体方式の電力線及び径間スペーサを死角がより少なくなるように撮影することを可能にする情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法であって、飛行体を少なくとも第1方向に飛行させて第1の撮影角度で電力線及び径間スペーサを撮影する第1ステップと、飛行体を少なくとも第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、飛行体を再度少なくとも第1方向に飛行させて第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で電力線及び径間スペーサを撮影する第3ステップと、を含むことを特徴とする、情報処理方法等である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に、飛行体が多導体方式の電力線及び径間スペーサを死角がより少なくなるように撮影することを可能にする情報処理方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態にかかる情報処理システムの構成を示す図である。
図2図1の管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図1のユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図1の飛行体のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図1の管理サーバの機能を示すブロック図である。
図6図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図7】多導体方式の電力線において用いられる径間スペーサの種々の例を例示する図である。
図8図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図9図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図10図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図11図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図12図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図13図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図14図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図15図1の管理サーバによる処理を説明するための概念図の一例である。
図16】フライト情報設定部により設定された飛行体の飛行経路及び撮像角度の一例を示す図である。
図17】本発明の実施の形態にかかる情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、例えば、以下のような構成を備える。
[項目1]
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法であって、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を再度少なくとも前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
[項目2]
前記第1の撮影角度と前記第2の撮影角度とは、少なくとも前記第1方向に対して互いに異なる角度である、
ことを特徴とする項目1に記載の情報処理方法。
[項目3]
前記第2ステップでは、前記飛行体による前記電力線及び前記径間スペーサの撮影を行う、
ことを特徴とする項目1または2に記載の情報処理方法。
[項目4]
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理システムであって、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を再度少なくとも前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、
を実行する制御部を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目5]
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに対して、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を少なくとも前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を再度少なくとも前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0013】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による情報処理方法等についての実施の形態を説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0014】
<構成>
図1に示されるように、本実施の形態における情報処理システムは、管理サーバ1と、一以上のユーザ端末2と、一以上の飛行体4とを有している。管理サーバ1と、ユーザ端末2と、飛行体4は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。なお、図示された構成は一例であり、これに限らない。
【0015】
<管理サーバ1>
図2は、管理サーバ1のハードウェア構成を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0016】
図示されるように、管理サーバ1は、複数のユーザ端末2と、飛行体4と接続され本システムの一部を構成する。管理サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0017】
管理サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0018】
プロセッサ10は、管理サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)および/またはGPU(Graphics Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開された本システムのためのプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0019】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、管理サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0020】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよい。
【0021】
送受信部13は、管理サーバ1をネットワークに接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0022】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0023】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0024】
<ユーザ端末2>
図3に示されるユーザ端末2もまた、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。各要素の機能は、上述した管理サーバ1と同様に構成することが可能であることから、各要素の詳細な説明は省略する。
【0025】
<飛行体4>
図4は、飛行体4のハードウェア構成を示すブロック図である。フライトコントローラ41は、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。
【0026】
また、フライトコントローラ41は、メモリ411を有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリ411は、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。また、フライトコントローラ41は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)等のセンサ類412を含みうる。
【0027】
メモリ411は、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラ/センサ類42から取得したデータは、メモリ411に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録されてもよいが、これに限らず、カメラ/センサ42または内蔵メモリからネットワークNWを介して、少なくとも管理サーバ1やユーザ端末2のいずれかに1つに記録されてもよい。カメラ42は飛行体4にジンバル43を介して設置される。
【0028】
フライトコントローラ41は、飛行体の状態を制御するように構成された図示しない制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ、θ及びθ)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために、ESC44(Electric Speed Controller)を経由して飛行体の推進機構(モータ45等)を制御する。バッテリー48から給電されるモータ45によりプロペラ46が回転することで飛行体の揚力を生じさせる。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0029】
フライトコントローラ41は、1つ以上の外部のデバイス(例えば、送受信機(プロポ)49、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部47と通信可能である。送受信機49は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。
【0030】
例えば、送受信部47は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。
【0031】
送受信部47は、センサ類42で取得したデータ、フライトコントローラ41が生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0032】
本実施の形態によるセンサ類42は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0033】
<管理サーバの機能>
図5は、管理サーバ1に実装される機能を例示したブロック図である。本実施の形態においては、管理サーバ1は、プロセッサ10、送受信部13、記憶部200を備えている。プロセッサ10は、支持物座標取得部110、中間座標算出部120、中間点電力線高さ座標取得部130、斜弛度算出部140、任意点弛度算出部150、任意点電力線高さ座標算出部160、折返し点高さ座標算出部170、ウェイポイント高さ座標設定部180、フライト情報設定部190、フライト実行部195を備えている。また、記憶部200は、支持物関連情報記憶部210、フライト情報記憶部220の各種データベースを含む。
【0034】
支持物座標取得部110は、各支持物の腕金の電力線取付位置に関する高さ座標を含む第1及び第2の支持物座標(例えば、腕金の先端から下がる懸垂碍子の電力線引留点A、Bの三次元座標(XYZ座標)等)を支持物関連情報記憶部210からそれぞれ取得する。より具体的には、図6等に例示される支持物P、Qの腕金の電力線取付位置A、Bの三次元座標(XYZ座標)についてそれぞれ取得する。支持物座標は、例えば、予め飛行体4を飛行させて各種センサの取得情報(例えば、GPSの位置情報、気圧センサ情報や撮影情報、レーザ等のセンサ情報など)に基づき直接または間接的に算出されて記憶されていてもよいし、予めユーザがユーザ端末2上に表示される地図情報から選択操作により腕金の先端位置を選択することにより記憶される水平面上二次元座標(XY座標)情報と、予め記憶された支持物に関連する高さ情報(例えば、支持物の高さ情報、腕金の先端の高さ情報、上記電力線を支持する懸垂碍子の電力線引留点の高さ情報など)に基づき直接または間接的に設定されてもよいし、これら以外の方法で予め記憶されていてもよい。
【0035】
本実施の形態において説明する電力線は、1本の導体からなる電力線の他、複数の導体からなる多導体方式の電力線を含む。本明細書及び特許請求の範囲において「電力線」と記載された場合には、そのうちの特定の導線に関する説明であることが明示されていない限り、1本又は複数の導体からなる電力線全体を指す。多導体方式の電力線では、各々の電力線が径間スペーサによって互いの間隔を一定に保った状態で保持される。
【0036】
図7に、多導体方式の電力線において用いられる径間スペーサの種々の例を例示する。図7(a)は2本の電力線を保持する径間スペーサの構成例であり、図7(a)に示す径間スペーサ300は、1本の間隔体310と、その両端に固定された2つの把持部320とを備えている。各把持部320は、間隔体310の長さの分だけ導体間の間隔をおいて導体をそれぞれ保持する。図7(b)は4本の導体を保持する径間スペーサの構成例であり、図7(b)に示す径間スペーサ300は、矩形を成すように組まれた4本の間隔体310と、その矩形の4つの角部にそれぞれ固定された4つの把持部320とを備えている。また、図7(c)は6本の導体を保持する径間スペーサの構成例であり、図7(c)に示す径間スペーサ300は、六角形に形成された間隔体310と、その六角形の間隔体310の周囲に等間隔に配置固定された6つの把持部320とを備えている。図7に示した径間スペーサの構成は例示的なものに過ぎず、電力線が備える導体の本数に応じて、その他の多角形形状等の適宜異なる構成を備えることができる。径間スペーサ300は、電力線の延伸方向において例えば一定の間隔をおいて設置され、導体同士が接触すること等を防止する。
【0037】
以下、支持物間の電力線を撮影する際のウェイポイント設定のための一例の機能部及びウェイポイント設定方法について説明する。説明においては、複数の電力線のうちの1つの電力線のみを基準の電力線として抜粋している。
【0038】
中間座標算出部120は、各支持物座標から所定方向に所定距離ずれた2つの基準座標の中間座標(少なくとも水平面上二次元座標XY座標)を算出し、支持物関連情報記憶部210に記憶する。所定方向は、例えば、電力線の外側方向であり、特に、水平方向において各支持物座標から上記電力線の延伸方向に対して直交する方向(図8参照)であり得る。所定距離は、ユーザが設定した値であって、電力線からの安全な離隔距離であり得る。より具体的には、図8等に例示される支持物P、Qの腕金の電力線取付位置A、Bの三次元座標(XYZ座標)のうち高さ座標を所定値(例えば、高さ座標を0)とした位置A’、B’に対して、所定方向に所定距離L(例えば、離隔距離10mなど)ずれた位置A”、B”の三次元座標の中間点Cの中間座標(XYZ座標)を算出する。
【0039】
中間点電力線高さ座標取得部130は、中間点Cから上記所定方向とは逆方向に上記所定距離ずれた水平位置に対応する電力線の位置の第1の電力線高さ座標(少なくともZ座標)を取得し、支持物関連情報記憶部210に記憶する。より具体的には、図9等に例示される中間点Cから上記所定方向とは逆方向に所定距離Lずれた点D’の直上にある電力線の位置Dの高さ座標を取得する。位置Dの高さ座標の取得は、例えば上述の飛行体4のレーザセンサ等のセンサを用いた方法などであり、この場合には、中間点Cから飛行体4により垂直に浮上し、位置Dと同じ高さで上記センサを使用することで位置Dの高さ座標を取得することが可能である。さらには、この時、上記レーザセンサの値のみならず、飛行体4の高度情報(気圧センサの情報)も参照情報として用いることで、より精度の高い位置Dの高さ座標を取得することが可能である。
【0040】
なお、電力線が多導体方式である場合には、一例として、電力線が複数備える導体のうち、中間点Cから垂直に浮上する飛行体4に面する、所定の高さ位置に位置するいずれかの導体の高さを取得して、それを上記位置Dの高さ座標としてもよい。例えば、電力線が図7(a)に示すスペーサで保持される2導体方式である場合には、飛行体4に面する側の一方の導体の高さが上記位置Dの高さ座標として取得される。また、電力線が図7(b)に示すスペーサで保持される4導体方式である場合には、飛行体4に面する側の上下2本の導体のうち、下側の導体あるいは上側の導体のいずれか予め定められる導体の高さが上記位置Dの高さ座標として取得される。さらに、電力線が図7(c)に示すスペーサで保持される6導体方式である場合には、飛行体4に面する側の上中下の3本の導体のうち、下側の導体、中間の導体あるいは上側の導体のいずれか予め定められる導体の高さが上記位置Dの高さ座標として取得される。
【0041】
斜弛度算出部140は、第1及び第2の支持物座標(特に高さ座標)並びに第1の電力線高さ座標に基づき斜弛度を算出し、支持物関連情報記憶部210に記憶する。より具体的には、斜弛度とは、図9等に例示される電力線の位置Dから支持物P、Qの位置A、B間を結んだ仮想線までの垂直線の距離dであって、例えば、支持物P、Qの位置A、Bの中間点D”の高さ座標から位置Dの高さ座標を引いた値の絶対値を距離dの値としてもよい。
【0042】
任意点弛度算出部150は、各支持物の位置A、B間の第1の距離、および、一方の支持物の位置Aから第1の距離の中心までの距離から同支持物の位置Aから第1または第2の任意ポイントまでの第2または第3の距離の差分値(絶対値)、並びに、上記斜弛度に基づき、上記第1または第2の任意ポイントにおける第1または第2の任意点弛度を算出し、支持物関連情報記憶部210に記憶する。より具体的には、図10等に例示される各支持物の位置A、B間の径間長S、および、支持物Pの腕金の電力線取付位置Aから径間長Sの中間点D”までの距離Sから同支持物Pの腕金の電力線取付位置Aから第1の任意ポイントDx1または第2の任意ポイントDx2までの第2の距離Sx1または第3の距離Sx2(例えば、いずれも径間長Sに平行な距離)の差分値(絶対値)、並びに、上記斜弛度dに基づき、下記式1により、第1または第2の任意ポイントDx1、Dx2における第1または第2の任意点弛度dx1、dx2を算出する。なお、任意ポイントはさらに追加して複数ポイント設けてもよい。なお、任意点弛度dx1、dx2の計算について、その他の計算方法で求めてもよい。
【0043】
=d×(1-(2|S-S|/S))(式1)
【0044】
任意点電力線高さ座標算出部160は、上記第1及び第2の任意点弛度、および、各支持物の位置A、B間の第1の距離、上記第1及び第2の支持物座標、並びに、上記2つの支持物位置の一方から第1及び第2の任意ポイントまでの第2及び第3の距離に基づき、第1及び第2の任意ポイントの第2及び第3の電力線高さ座標Zを算出し、支持物関連情報記憶部210に記憶する。より具体的には、図10等に例示される第1及び第2の任意点弛度dx1、dx2、および、支持物の位置A、Bの上記第1及び第2の支持物座標(特に高さ座標)、並びに、2つの支持物の位置A、Bの一方(A)から第1及び第2の任意ポイントまでの第2及び第3の距離(Sx1、Sx2)に基づき、下記式2により、第1及び第2の任意ポイントDx1、Dx2の第2及び第3の電力線高さ座標Zx1、Zx2を算出する。
【0045】
任意ポイントDの電力線高さ座標Z=(支持物位置Bの高さ座標Z-支持物位置Aの高さ座標Z)×(任意ポイントDまでの距離S/径間長S)+支持物位置Aの高さ座標Z-任意点弛度d(式2)
【0046】
さらに、任意点電力線高さ座標算出部160は、図11に示されるように任意ポイントDの一つとして、上記式1及び式2から飛行開始点Dの電力線高さ座標Zを算出して、支持物関連情報記憶部210に記憶する。飛行開始点Dまでの距離Sは、支持物位置Aからの任意の離隔距離(例えば、10mまたは15mなど)であってもよい。そして、上述のとおり式1及び式2を用いることで、飛行開始点Dの電力線高さ座標Zが導出される。なお、飛行開始点Dは、これに限定されるものではなく、例えば支持物Pの腕金の電力線取付位置A(特に高さ座標Z)を飛行体4の飛行開始点Dの基準位置として記憶してもよい。
【0047】
また、図12に示されるように、飛行終了点Dの電力線高さ座標Zについては、式1及び式2で算出された任意ポイントDx2の電力線高さ座標Zx2と支持物Qの腕金の電力線取付位置Bの高さ座標Zに基づき、下記式3により支持物Qからの離隔距離を考慮して算出する。
【0048】
飛行終了点Dの電力線高さ座標Z=(支持物位置Bの高さ座標Z-任意ポイントDx2の電力線高さ座標Zx2)/(径間長S-任意ポイントDx2までの距離Sx2)×(径間長S-任意ポイントDまでの距離Sx2+(支持物Qからの離隔距離×tan(90度-撮像角度)))+任意ポイントDx2の電力線高さ座標Zx2(式3)
【0049】
折返し点高さ座標算出部170は、飛行体4が飛行開始点Dから電力線に正対して所定距離だけ移動した後に飛行開始点Dへ向けて一度戻る折返し点RP(DRP)の高さ座標を算出し、支持物関連情報記憶部210に記憶する。支持物Pの腕金の電力線取付位置Aを飛行体4の飛行開始点とする場合、図13等に示すように、折返し点RP(DRP)を任意ポイントとして、上述した位置Aから折り返し点DRPまでの距離Sx3を用いて、式1から第3の任意点弛度dx3
が得られ、さらに式2から折り返し点RP(DRP)の電力線高さ座標Zx3を得ることができる。
【0050】
ここで、飛行開始点から折返し点RPまでの水平方向の所定距離Sx3は、一例として、各支持物の位置A、Bを結ぶ仮想線からの所定の離隔距離(図10等に示す距離L)と同じであってもよい。
【0051】
ウェイポイント高さ座標設定部180は、第1及び第2の支持物座標(特に高さ座標)、第1ないし第3の電力線高さ座標、並びに、折返し点の高さ座標に基づき、飛行体4の各ウェイポイントの高さ座標として設定し、フライト情報記憶部220に記憶する。より具体的には、例えば複数の電力線を上から撮影する場合には、図14に例示される支持物の位置A、Bの高さ座標、第1・第2・第3の電力線高さ座標(任意ポイントD、Dx1、Dx2の高さ座標)、並びに、折返し点RPの高さ座標に任意の離隔高さ座標H(Hは0でもよい)を加えた高さ座標を、飛行体4の各ウェイポイントWの高さ座標として設定してもよい。その他、例えば複数の電力線を横から撮影する場合には、図15に例示されるように、支持物の位置A、Bの高さ座標、第1・第2・第3の電力線高さ座標(任意ポイントD、Dx1、Dx2の高さ座標)、並びに、折返し点RPの高さ座標を、そのまま飛行体4の各ウェイポイントWの高さ座標として設定してもよい。
【0052】
フライト情報記憶部220は、例えば支持物、電力線及び径間スペーサなどの点検等を目的とするフライトにおいて用いられるフライト情報を記憶している。フライト情報は、例えば、飛行経路情報(ウェイポイント情報を含む)、飛行速度、最低飛行高度、撮像条件情報(撮像画角、撮像角度、撮像画像のオーバーラップ率など)、フライト時取得情報(例えば、画像情報や映像情報等)などを含む。特にウェイポイント情報として、各ウェイポイントの高さ座標情報(Z座標)はウェイポイント高さ座標設定部180により設定された情報を利用し、各ウェイポイントの水平座標情報(XY座標)は、例えば、支持物の位置A、Bの水平座標情報、位置Aから各ポイントまでの水平距離(S、Sx1、Sx2)、径間長S、または、径間長Sの中点までの距離などを用いてそれぞれ算出及び設定してもよいし、さらに図15のように位置A”,B” を結ぶ仮想線まで水平移動させた水平座標情報を利用してもよいし、予めユーザがユーザ端末2上に表示される地図情報から選択操作により選択された各ウェイポイント位置を利用してもよい。
【0053】
フライト情報設定部190は、飛行体4の飛行経路として少なくとも以下の第1~第3の飛行段階を含む飛行経路情報を設定し、フライト情報記憶部220に記憶する。
(1)位置Aから位置Bへ向かう電力線の延伸方向である第1の方向に、支持物Pの位置Aに対応する飛行開始点であるウェイポイントWから、折返し点RPに対応するウェイポイントWまで移動(第1の飛行段階)
(2)上記第1の方向とは反対方向である第2の方向に、折返し点RPに対応するウェイポイントWから位置Aに対応する飛行開始点であるウェイポイントWまで移動(第2の飛行段階)
(3)第1の方向に、飛行開始点であるウェイポイントWからウェイポイントW,W,W,Wを順次経て、支持物Qの位置Bに対応する飛行終了点であるウェイポイントWまで移動(第3の飛行段階)
【0054】
フライト情報設定部190は、また、飛行体4のカメラ42による撮像角度として以下の撮像条件情報を設定し、フライト情報記憶部220に記憶する。
(1)上記第1の飛行段階では、電力線の延伸方向に対する撮像角度は第1の角度(例えば、約90°)
(2)上記第2の飛行段階では、電力線の延伸方向に対する撮像角度は任意の角度
(3)上記第1の飛行段階では、電力線の延伸方向に対する撮像角度は、第1の角度とは異なる第2の角度(例えば、上述した離隔距離Lと、折返し点RPの電力線取付位置Aからの距離Sとが同じ距離である場合には約45°)
【0055】
ここで、飛行体4のカメラ42による撮像角度に関し、飛行体4の機首方向とカメラ42の撮像方向とが同じでありこれらの方向が互いに固定されている場合には、飛行体4は、機首を進行方向から所定の撮像角度だけ電力線側に向けた状態で電力線の延伸方向に沿って移動する。あるいは、カメラ42の撮像方向を飛行体4の機首方向に対して回転可能に構成されている場合には、飛行体4は、カメラ42のみを所定の撮像角度だけ回転させた状態で電力線の延伸方向に沿って移動する。
【0056】
図14は、本実施の形態におけるフライト情報設定部190により設定された飛行体4の飛行経路及び撮像角度の一例を示す平面図である。図16(a)は第1の飛行段階における撮像角度を示しており、飛行開始点であるウェイポイントWから折返し点RPに対応するウェイポイントWまで最初に移動する第1の飛行段階では、カメラ42のよる撮像角度は第1の角度(例えば、約90°)である。図16(b)は第2の飛行段階を示しており、折返し点RPに対応するウェイポイントWから飛行開始点であるウェイポイントWに戻る第2の飛行段階では、カメラ42の撮像角度は任意である。また、第2の飛行段階では、電力線の情報を取得するために電力線の撮影動作を実行してもよいし、重複した範囲の電力線の情報取得をなくすために電力線の撮影動作を実行しなくてもよい。図16(c)は第3の飛行段階における撮像角度を示しており、飛行開始点のウェイポイントWから終了点のウェイポイントWまで順次移動する第3の飛行段階では、電力線の延伸方向に対する撮像角度は第2の角度(例えば、約45°)である。
【0057】
なお、上記の第1及び第2の撮像角度の具体的な角度の数値は例示であり、それらの角度に限定されない。特に第2の撮像角度は、例えば、上述した離隔距離Lと折返し点RPの電力線取付位置Aからの距離Sとの関係に応じて異なり得る。
【0058】
フライト実行部195は、フライト情報記憶部220に記憶された各種フライト情報に基づき、点検等を目的とするフライトを実行する。フライト実行部195は、特に、飛行体4及びそれに搭載されたセンサ類42(カメラ)の動作を制御する制御部として機能する。
【0059】
<フライト実行部195(制御部)により実行される情報処理方法>
図17等を参照して、本実施の形態におけるフライト実行部195により実行される情報処理方法について説明する。図17には、本実施形態にかかる情報処理方法のフローチャートが例示されている。
【0060】
まず、管理サーバ1のフライト実行部195は、フライト情報記憶部220に記憶されたフライト情報に基づき、飛行体4を第1の飛行段階に従って飛行させる(ステップS11、図16(a)参照)。
【0061】
ステップS11において実行される第1の飛行段階によれば、飛行体4は、電力線取付位置Aから電力線取付位置Bへ向かう電力線の延伸方向である第1の方向に、支持物Pの位置Aに対応する飛行開始点であるウェイポイントWから、折返し点RPに対応するウェイポイントWまで移動する。図16(a)を参照して説明したように、第1の飛行段階での飛行中は、飛行体4のカメラ42による撮像角度は、電力線の延伸方向に対して第1の角度(例えば、約90°)に保たれる。したがって、飛行体4が第1の飛行段階で飛行開始点であるウェイポイントWから折返し点RPに対応するウェイポイントWまで最初に移動する際には、飛行体4のカメラ42は、電力線の延伸方向に対してほぼ正対する撮像角度で電力線及び径間スペーサを撮影する。
【0062】
次に、管理サーバ1のフライト実行部195は、フライト情報記憶部220に記憶されたフライト情報に基づき、飛行体4を第2の飛行段階に従って飛行させる(ステップS12、図16(b)参照)。
【0063】
ステップS12において実行される第2の飛行段階によれば、飛行体4は、上記の第1の方向とは反対方向である第2の方向に移動し、折返し点RPに対応するウェイポイントWから位置Aに対応する飛行開始点であるウェイポイントWまで戻る。第2の飛行段階における飛行体4の移動中は、電力線の延伸方向に対するカメラ42の撮像角度は任意の角度としてよい。
【0064】
最後に、管理サーバ1のフライト実行部195は、フライト情報記憶部220に記憶されたフライト情報に基づき、飛行体4を第3の飛行段階に従って飛行させる(ステップS13、図16(c)参照)。
【0065】
ステップS13において実行される第3の飛行段階によれば、飛行体4は、上記第1の方向に、飛行開始点であるウェイポイントWからウェイポイントW,W,W,Wを順次経て、支持物Qの位置Bに対応する飛行終了点であるウェイポイントWまで移動する。
【0066】
図16(c)を参照して説明したように、第3の飛行段階での飛行中は、飛行体4のカメラ42による撮像角度は、電力線の延伸方向に対して第2の角度(例えば、約45°)に保たれる。したがって、飛行体4が第3の飛行段階で飛行開始点であるウェイポイントWから飛行終了点であるウェイポイントWまで移動する際には、飛行体4のカメラ42は、電力線の延伸方向に対して斜めに傾いた撮像角度で電力線及び径間スペーサを撮影する。このときカメラ42は、電力線の各電力線と径間スペーサをできるだけ拡大した状態で撮影する倍率となるようにズームインすることが好ましい。
【0067】
飛行体4は、第2の飛行段階において電力線との離隔距離を第1の飛行段階における離隔距離と同じ距離に維持したまま飛行開始点であるウェイポイントWに戻り、そこから電力線との離隔距離を同じ距離に維持して第3の飛行段階を実行してもよい。この場合は、飛行体4の飛行経路を上から見たときに、飛行体4は1つの直線上を移動する。
【0068】
このように、本実施の形態によれば、飛行開始点であるウェイポイントWから折り返し点RPのウェイポイントWまでの区間はカメラ42により第1の撮像角度(約90°)で電力線と径間スペーサが撮影される。飛行開始点であるウェイポイントWからカメラ42の撮像方向を斜め前方に向けた状態で撮影した場合には、ウェイポイントWの飛行体4の真横の領域に位置する電力線及び径間スペーサがカメラ42の死角となり、その領域における電力線及び径間スペーサを撮影できないが、本実施の形態によれば、第1の飛行段階において、カメラ42が電力線にほぼ正対する撮像方向で電力線及び径間スペーサが撮影されるので、ウェイポイントWからウェイポイントWまでの区間の電力線及び径間スペーサの撮影漏れを防ぐことができる。
【0069】
さらに、本実施の形態によれば、飛行開始点であるウェイポイントWから飛行終了点であるウェイポイントWまでカメラ42により第2の撮像角度(約45°)で電力線と径間スペーサが撮影される。これにより、ウェイポイントWから第2の撮像角度で斜め前方に見たポイント(上記の例では、折返し点RP)から飛行終了点Bまでの区間については、電力線及び径間スペーサが真横からではなく斜めに覗き込むようにカメラ42で撮影されるので、径間スペーサは各電力線を保持する把持部の状態も含めて撮影することができる。
【0070】
このように、本発明は、飛行体が多導体方式の電力線及び径間スペーサを死角がより少なくなるように撮影することを可能にする情報処理方法等を提供することができる。
【0071】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。上記実施の形態では、撮影対象が電力線である場合を説明したが、この他にも例えばロープウェイ等の撮影対象に対しても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 管理サーバ
2 ユーザ端末
4 飛行体


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法であって、
前記飛行体を、撮影開始点である第1のウェイポイントから第2のウェイポイントまで、前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を、前記第2のウェイポイントから前記第1のウェイポイントまで、前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を、前記第1のウェイポイントから所定のウェイポイントまで、前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、を含み
前記第1の撮影角度は、前記電力線の前記第1方向に対して正対する角度であり、
前記第2の撮影角度は、前記電力線の前記第1方向に対して斜めに傾いた角度である、
情報処理方法。
【請求項2】
前記第2ステップでは、前記飛行体による前記電力線及び前記径間スペーサの撮影を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理システムであって、
前記飛行体を、撮影開始点である第1のウェイポイントから第2のウェイポイントまで、前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を、前記第2のウェイポイントから前記第1のウェイポイントまで、前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を、前記第1のウェイポイントから所定のウェイポイントまで、前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、を実行する制御部を備え
前記第1の撮影角度は、前記電力線の前記第1方向に対して正対する角度であり、
前記第2の撮影角度は、前記電力線の前記第1方向に対して斜めに傾いた角度である、
情報処理システム。
【請求項4】
第1方向に延伸する複数の電力線及び径間スペーサを飛行体により撮影する情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに対して、
前記飛行体を、撮影開始点である第1のウェイポイントから第2のウェイポイントまで、前記第1方向に飛行させて第1の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第1ステップと、
前記飛行体を、前記第2のウェイポイントから前記第1のウェイポイントまで、前記第1方向の逆方向に飛行しながら撮影する第2ステップと、
前記飛行体を、前記第1のウェイポイントから所定のウェイポイントまで、前記第1方向に飛行させて前記第1の撮影角度とは異なる第2の撮影角度で前記電力線及び前記径間スペーサを撮影する第3ステップと、を実行させ、
前記第1の撮影角度は、前記電力線の前記第1方向に対して正対する角度であり、
前記第2の撮影角度は、前記電力線の前記第1方向に対して斜めに傾いた角度である、
プログラム。