IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カナオカホールディングスの特許一覧

<>
  • 特開-食品用包装体 図1
  • 特開-食品用包装体 図2
  • 特開-食品用包装体 図3
  • 特開-食品用包装体 図4
  • 特開-食品用包装体 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101482
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】食品用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/10 20060101AFI20240722BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20240722BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20240722BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20240722BHJP
【FI】
B65D65/10 A
B65D65/42 A
B65D85/50 140
A23L7/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005491
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】520495906
【氏名又は名称】株式会社カナオカホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 孝行
(72)【発明者】
【氏名】大金 優一
【テーマコード(参考)】
3E035
3E086
4B023
【Fターム(参考)】
3E035AA09
3E035BB08
3E035BC02
3E035CA07
3E086AB01
3E086AC15
3E086AC16
3E086AD13
3E086BA15
3E086BA33
3E086BB51
3E086CA02
4B023LE15
4B023LG01
4B023LP18
(57)【要約】
【課題】 カットテ-プを設けなくても引き裂きが失敗することなくワンタッチで開口部を容易に得られる成型米飯食品用包装体を提供する。
【解決手段】 短手方向に分割するための分断手段を有するとともに成型米飯食品を被包可能な大きさを有する略長方形の表側フィルム1に、短手方向に2分割した一対のフィルム片4A、4Bにより表側フィルムを覆う裏側フィルムを重ね合わせ、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた表側フィルムと裏側フィルムの周縁同士を接合することにより内部にシート状食品3を収容するためのポケット部を構成した包装体において、表側フィルムを一軸延伸フィルムとする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
短手方向に引き裂いて分割するための分断手段を有するとともに成型米飯食品を被包可能な大きさを有する略長方形の表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムを覆うとともに表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた表側フィルムと裏側フィルムの周縁同士を接合することにより内部にシート状食品を収容するためのポケット部を構成した包装体において、
表側フィルム端部の引き裂き開始位置に間隔を置いた一対の切り込みを設けて摘み片とするとにより、引き裂きのきっかけとなる手段とし、
表側フィルムをJISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である一軸延伸フィルムとすることにより引き裂き時の直進性を高めたことを特徴とする成型米飯食品用包装体。
【請求項2】
表側フィルム端部の一対の切り込み間の距離は切り込み開始位置に対して切り込み終了位置が広くなるように設定した請求項1記載の成型米飯食品用包装体。
【請求項3】
表側フィルムの表面にヒート用コーティング剤をパートコートした請求項1または2に記載の成型米飯食品用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばおにぎりなどの成型米飯食品の包装体に関し、より詳細には成型米飯食品に対し海苔などのシート状食品を隔離状態で被包しながら包装し、包装の開封および取り去りと同時にシート状食品が成型米飯食品の表面に巻き付けられる作用を生じる包装体において、ワンタッチで開口部を容易に得られることを可能とする易開封手段に関する。
【背景技術】
【0002】
三角形のおにぎりを被包可能な大きさを有するとともに、短手方向に分割するための帯状の切り取りによるカットテープなどの分断手段を有する長方形の表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムを覆うとともに表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた表側フィルムと裏側フィルムの周縁同士を接合することにより内部に海苔等のシート状食品を収容するためのポケット部を構成した食品用包装体が公知である(特許文献1~3)。
【0003】
この包装体は裏側フィルム側をおにぎり側に接触させておにぎりを包装するものであるが、具体的にはおにぎりの底面を包装体の前後の中央付近に位置させるとともに包装体の後半分でおにぎりの背面を覆った後、前半分で正面を覆う。そして、開封にあたっては表側フィルムに施された分断手段をおにぎりの正面側から引っ張り上げることにより表側フィルムを左右に順次分断する。この場合、裏側フィルムは既に一対のフィルム片により左右に分割されているのであるから、包装体は結局左右に分割されることとなり、左右に引くことによりポケット部に収容されたシート状食品を残して包装体は取り去られ、シート状食品のみがおにぎりの表面に包装されて残ることとなる。
【特許文献1】実公平5-36390号公報
【特許文献2】実用新案登録第3001212号公報
【特許文献3】特許第3061517号公報
【特許文献4】特開2002-225917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては引き裂きにより短手方向に分割するにあたっては開封誘導のためのカットテープが必須であった。カットテープが無いと表側シート長手方向に垂直に端部より横断するようにカットすることが難しく、また開封途中で曲がって切れる、摘み部が千切れるなどの問題が発生してしまうということがあった。
【0005】
いうまでもなくカットテ-プを設けることは部材や工程が増えることを意味し、製造コストがアップする要因となった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明はカットテ-プを設けなくても引き裂きが失敗することなくワンタッチで開口部を容易に得られる成型米飯食品用包装体を提供することを目的としたものであり、短手方向に引き裂いて分割するための分断手段を有するとともに成型米飯食品を被包可能な大きさを有する略長方形の表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムを覆うとともに表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた表側フィルムと裏側フィルムの周縁同士を接合することにより内部にシート状食品を収容するためのポケット部を構成した包装体において、
表側フィルム端部の引き裂き開始位置に間隔を置いた一対の切り込みを設けて摘み片とするとにより、引き裂きのきっかけとなる手段とし、
表側フィルムを、JISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である一軸延伸フィルムとすることにより引き裂き時の直進性を高めたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明は前記の食品用包装体において、表側フィルム端部の一対の切り込み間の距離は切り込み開始位置に対して切り込み終了位置が広くなるように設定したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は前記の食品用包装体において、表側フィルムの表面にヒート用コーティング剤をパートコートしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の食品用包装体によれば、おにぎりの正面側から表側フィルムと分断用帯体の始端の一対の切り込み間の部分を摘んで引っ張り上げることにより表側フィルムを左右に順次分断する。この場合、表側フィルムは引き先の方向性を有するJISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である一軸延伸フィルムなので、表側フィルムの引き裂きは直線方向に沿って誘導され、予期しない方向に引き裂かれてしまうことが防止される。
【0010】
以上のように本願発明の食品用包装体によればカットテ-プを設けなくても引き裂きが失敗することなくワンタッチで開口部を容易に得られるので、カットテ-プを設けることによる部材や工程の増大を防止でき、製造コストを下げることが可能となる。
【0011】
また、大きな開口部を得るには開封端の一対の切り込みの間隔を広くことで対応することができる。この場合、一対の切り込みの間隔を広くとると、包装にあたっておにぎりの底面を包装体の前後の中央付近に位置させるとともに包装体の後半分でおにぎりの背面を覆った後、前半分で正面を覆い、さらに余剰部分をおにぎりの背面を覆っている包装体の後半分の上に折り返して重ねた際に、切り込みの始端が背面側に回り込んで摘みにくくなってしまうおそれある。そこで請求項2記載の発明においては、切り込み間の距離は切り込み開始位置に対して切り込み終了位置が広くなるように設定することにより、切り込み開始位置においては切り込み間の距離を狭くして裏側に回り込んでしまうことを防止している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願発明の食品用包装体の平面図。
図2】同上、分解状態の斜視図。
図3】同上、包装の過程を示す斜視図。
図4】同上、包装の過程を示す斜視図。
図5】本願発明の食品用包装体を用いて包装したおにぎりの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。図1~5は本願発明を三角おにぎり包装用の包装体に実施した例を示す図であり、図1は食品用包装体、図2はその分解状態を示す。本願発明の包装体Pは短手方向に引き裂いて分割するための分断手段を有する略長方形の表側フィルム1に、短手方向に2分割した一対のフィルム片4A、4Bにより表側フィルムを覆うとともに表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた表側フィルムと裏側フィルムの周縁同士を接合することにより内部にシート状食品3を収容するためのポケット部を構するように重合した構成からなる。表側フィルム1はおにぎりOを被包可能な大きさの長方形からなり、短手方向に分割するための分断手段を有する。
【0014】
図中符号2、2は前記の分断手段を構成する一対の切り込みである。上記一対の切り込み2、2に挟まれた摘み片を摘んで引き上げることにより、引き裂きのきっかけとなる。そして、表側フィルムは引き先の方向性を有するJISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である一軸延伸フィルムとすることにより直線カット性を持たせ、表側フィルムの引き裂きを直進方向に誘導し、予期しない方向に引き裂かれてしまうことを防止する。
【0015】
ここでは、左右一対の切り込み2、2間の距離は切り込み開始位置に対して切り込み終了位置が広くなるように設定される。仮に一対の切り込みの間隔を広くとると、包装にあたっておにぎりの底面を包装体の前後の中央付近に位置させるとともに包装体の後半分でおにぎりの背面を覆った後、前半分で正面を覆い、さらに余剰部分をおにぎりの背面を覆っている包装体の後半分の上に折り返して重ねた際に、切り込みの始端が背面側に回り込んでしまうおそれある。前記構成においては、切り込み開始位置に対して切り込み終了位置が広くなるように切り込み間の距離を設定することにより、切り込み開始位置においては切り込み間の距離を狭くして裏側に回り込んでしまうことを防止している。
【0016】
ここでは、裏側フィルムに使用する引き先の方向性を有するJISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である一軸延伸フィルムとしてフタムラ化学のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムであるMCMD-HWを採用している。また、上記フィルム20μを表側フィルム1の表面に用いて、成型米飯食品が接する裏面には2枚もしくは3枚のマットフィルム25μを積層している。
【0017】
また、表側フィルム1の表面には商品表示、成分表示のサーマルラベルRが貼付されるが、ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの表面はヒートシール性が弱いため、サーマルラベルは貼る前のヒートシールでの接着強度が出難く、適宜必要な接着性を出すためにヒートシール剤をパートコートして設ける。
【0018】
表側フィルム1と裏側フィルム4A、4Bは、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた周縁四方にヒートシールなどの手段による接合部Sを設けて重合されることにより内部にシート状食品3を収容するためのポケット部を構成する。尚、この実施例においてはシート状食品3として海苔を想定しているが、シート状食品は海苔に限定されないことは勿論である。
【0019】
図3~5は本願発明の包装体によるおにぎりの包装の過程を示す図である。先ず、ポケット部にシート状食品3を収容した包装体の前後の中央付近に三角形のおにぎりOの底部を位置させるとともに包装体の後半分でおにぎりの背面を覆う(図3参照)。次いで、包装体の前半分でおにぎりOの正面を覆うが、この場合、おにぎりは三角形であるのに対し包装体は長方形であるので包装体の左右に包装体の前方の角部を頂点とした一部切り欠き三角部分A、Aが残る。そこで、この三角部分A、AをおにぎりOの背面を覆っている包装体の後半分の上に折り返して重ね、更に包装状態を固定する(図4図5参照)。
【0020】
前記において三角部分A、AをおにぎりOの背面を覆っている包装体の後半分の上に折り返して重ねた後にスポット的にヒートシールを行なって仮止めする。図中符号11はこのヒートシールである。この場合、本願発明の一軸延伸フィルムはヒートシール開始温度(融点)が高く前記のヒートシールができない。そこで、ここでは表側フィルムの表面の前記ヒートシールを予定している領域10にヒート用コーティング剤をパートコートしている。
【0021】
以上の包装体の開封にあたっては表側フィルム1に施された分断手段である始端の左右一対の切り込み2、2間を摘んでおにぎりOの正面側から引っ張り上げることにより表側フィルムは左右に順次分断され、この場合、裏側フィルム4A、4Bは既に一対のフィルム片により左右に分割されているのであるから、包装体は結局左右に分割されることとなる。そこで、先ず分割された一方の包装体を押さえて他方の包装体を引くことにより、シート状食品3がおにぎりRの表面に接触した状態で表れ、今度は表れたシート状食品を押さえて他方の包装体を引くことによりシート状食品の残りの部分がおにぎりの表面に接触した状態で表れ開封が完了する。
【符号の説明】
【0022】
P 包装体
O おにぎり
S 接合部
1 表側フィルム
2 切り込み
4A 裏側フィルム
4B 裏側フィルム
10 ヒート用コーティング剤がパートコートされる領域
11 スポット的に行なうヒートシールヒート個所
図1
図2
図3
図4
図5