(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101494
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】水素製造プラント収益算出装置、水素製造プラント期待収益算出装置、水素製造量算出装置、水素製造プラント設備容量算出装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240722BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240722BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005504
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 和人
(72)【発明者】
【氏名】田丸 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 剛史
(72)【発明者】
【氏名】山根 史之
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】将来的な販売価格や補助金が存在する場合により最適な収益計算や設備容量の算出をする水素製造プラント収益算出装置、該期待収益算出装置、該設備容量算出装置及び水素製造量算出装置を提供する。
【解決手段】水素製造プラント収益算出装置1は、水素製造プラントにおける水素製造販売計画、水素製造プラントの運用パラメータ、水素製造プラントの設備容量計画及び水素製造の推定モデル構築データを取得する入力部と、水素製造販売計画に基づいて水素の販売収入を予測する販売収入計算部と、運用パラメータに基づいて水素製造に要する運用費を予測する運用費計算部と、設備容量計画に基づいて水素製造の設備に要する設備費を予測する設備費計算部と、販売収入、運用費及び設備費のうち少なくとも一以上に対する補助額を予測する補助計算部と、販売収入、運用費、設備費及び補助額に基づいて水素製造プラントの収益を予測する収益計算部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素製造プラントにおける水素製造販売計画、前記水素製造プラントの運用パラメータ、前記水素製造プラントの設備容量計画および水素製造の推定モデル構築データを取得する入力部と、
前記水素製造販売計画に基づいて水素の販売収入を予測する販売収入計算部と、
前記運用パラメータに基づいて水素製造に要する運用費を予測する運用費計算部と、
前記設備容量計画に基づいて前記水素製造の設備に要する設備費を予測する設備費計算部と、
前記販売収入、前記運用費および前記設備費のうち少なくとも一以上に対する補助額を予測する補助計算部と、
前記販売収入、前記運用費、前記設備費および前記補助額に基づいて水素製造プラントの収益を予測する収益計算部と、
を具備する水素製造プラント収益算出装置。
【請求項2】
前記補助計算部は、
前記販売収入に対する補助額を予測する販売収入補助計算部と、
前記運用費に対する補助額を予測する運用費補助計算部と、
前記設備費に対する補助額を予測する設備費補助計算部と、
を備える請求項1記載の水素製造プラント収益算出装置。
【請求項3】
販売収入計算部は、
前記推定モデル構築データに基づき販売価格の推定モデルを構築する販売価格推定モデル構築部と、
前記販売価格の推定モデルおよび水素製造販売計画に基づいて前記販売収入を予測する販売収入計算部と、を有し、
販売収入補助計算部は、
水素の販売価格に応じた補助額を予測する販売価格補助計算部と、
水素の販売量に応じた補助額を予測する販売量補助計算部と、を有し、
運用費計算部は、
前記推定モデル構築データに基づき前記運用費の推定モデルを構築する運用費推定モデル構築部と、
前記運用費の推定モデル、前記水素製造販売計画および前記運用パラメータに基づいて前記運用費を予測する運用費計算部と、を有し、
運用費用補助計算部は、
前記推定モデル構築データに基づき前記運用費に対する補助の推定モデルを構築する運用費補助推定モデル構築部と、
前記運用費に対する補助の推定モデル、前記水素製造販売計画および前記運用パラメータに基づき前記運用費に対する補助額を予測する運用費補助計算部と、を有し、
設備費補助計算部は、
前記推定モデル構築データに基づき前記設備費に対する補助の推定モデルを構築する
設備費補助推定モデル構築部と、
前記設備費に対する補助の推定モデルおよび前記水素製造プラントの設備容量計画に基づき前記設備費に対する補助額を予測する設備費補助計算部と、を有すること、
を特徴とする請求項2記載の水素製造プラント収益算出装置。
【請求項4】
前記販売価格補助計算部は、
前記推定モデル構築データに基づき前記水素の販売価格に応じた補助の推定モデルを構築する販売価格補助推定モデル構築部と、
前記水素の販売価格に応じた補助の推定モデルおよび前記水素製造販売計画に基づいて前記水素の販売価格に応じた補助額を予測する販売価格補助計算部と、を有し、
販売量補助計算部は、
前記推定モデル構築データに基づき前記水素の販売量に応じた補助の推定モデルを構築する販売量補助推定モデル構築部と、
前記水素の販売量に応じた補助の推定モデルおよび前記水素製造販売計画に基づいて前記水素の販売量に応じた補助額を予測する販売量補助計算部を、を有すること、
を特徴とする請求項3記載の水素製造プラント収益装置。
【請求項5】
前記販売価格補助計算部は、参照価格と基準価格に基づいて前記補助額を計算することを特徴とする請求項3記載の水素製造プラント収益算出装置。
【請求項6】
前記販売価格補助計算部は、前記参照価格として、水素の製造材料の価格を利用した補助額算出方法、水素の用途が類似した製品の価格を利用した補助額算出方法、水素の用途が類似した複数の製品の価格を利用した補助額算出方法、水素の実販売価格を利用した補助額算出方法、水素の市場価格を利用した補助額算出方法、二つの前記参照価格を組み合わせる補助額算出方法のいずれか一の方法を利用して前記補助額を計算することを特徴とする請求項5記載の水素製造プラント収益算出装置。
【請求項7】
前記販売価格補助計算部は、前記参照価格として水素の用途が類似した複数の製品の価格を利用して算出する場合に、入力データとして水素販売計画の出荷先を計算パラメータとして利用することを特徴とする請求項5記載の水素製造プラント収益算出装置。
【請求項8】
前記販売量補助計算部は、部分買取、残量買取、上限付き残量買取、販売量傾斜補助、のいずれか一の方法を使って前記補助額を算出することを特徴とする請求項3記載の水素製造プラント収益算出装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水素製造プラント収益算出装置であって、
前記運用費計算部は、前記水素製造販売計画、前記運用パラメータおよび前記設備容量計画から、運転コストを最小化する目的関数と、運転の制約を決定する制約条件からなる数理最適化問題を解くことにより、最小化した運用費を計算することを特徴とする水素製造プラント収益算出装置。
【請求項10】
水素製造プラントの運用パラメータ、前記水素製造プラントの設備容量計画および水素製造の推定モデル構築データを取得する入力部と、
前記運用パラメータおよび前記設備容量計画に基づいて水素製造量に対する水素製造単価を算出する水素製造単価計算部と、
前記水素製造単価に基づき収益を最大化する前記水素製造量を算出する水素製造量計算部と、を具備する水素製造量算出装置。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水素製造プラント収益算出装置と、
複数の入力データのそれぞれに確率を付与したデータ群からなるシナリオを入力し、入力データごとの収益と確率から期待収益を計算する期待値計算部と、
を具備する水素製造プラント期待収益算出装置。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水素製造プラント収益算出装置と、
複数の期間と確率を付与した入力データの組からなるシナリオを入力し、入力データごとの全期間の収益と確率から全期間の期待収益を計算する期待値計算部と
を具備する水素製造プラント期待収益算出装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12記載の水素製造プラント期待収益算出装置と、
複数のシナリオから算出した期待収益を比較部で比較して選択し、そのシナリオの設備量を出力する比較部と、
を具備する水素製造プラント設備容量算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素製造プラントなどの水素製造プラント収益算出装置、水素製造プラント期待収益算出装置、水素製造量算出装置、水素製造プラント設備容量算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラル社会実現に向けて、水素の製造及び利活用が検討されている。この中で、CO2の排出を抑えた水素(以下、グリーン水素と呼ぶ)の製造技術が重要な役割を担うものと期待されている。一般に、グリーン水素の製造にはコストがかかるとされるため、市場原理に任せていては普及が進まない可能性がある。そこで、グリーン水素の製造事業者などに対する補助制度を導入することで、グリーン水素の普及を加速しようとする動きがある。
【0003】
水素製造プラントのようなプラントに投資をする場合、設備費用や運転コスト、生産物の販売量などを想定して収益を推定し、設備容量や運転方法などを決定する。これを支援するシステムとして、CO2排出量や製造コストに配慮した最適なエネルギー流量及び設備容量を算出することができるエネルギーシステム最適化装置が提案されている。ここで、エネルギーシステムは、水素製造工場などを、エネルギー流量とは、その製造に要する消費電力などを示している。このような最適化装置では、工場での最適な運用コストおよび設備容量を、数理最適化の手法を用いて算出している。
【0004】
このようなエネルギーシステム最適化装置では、工場の生産物の現在から将来にわたる販売価格や補助金について考慮していない。また、その生産物の販売価格や販売量に応じて得られる可能性がある補助金についても考慮されていない。販売価格や補助金などは、販売する商品の代替品の価格や社会情勢によって将来的に変化する可能性があるため、エネルギーシステムの設備容量や運用方法を最適化するには、それらの変化を考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の水素製造プラント収益算出装置、水素製造プラント期待収益算出装置、水素製造量算出装置、水素製造プラント設備容量算出装置は、将来の販売価格や得られ得る補助金、それらの変化について想定していないという問題がある。本発明の目的は、グリーン水素を生産する水素製造プラントにおいて、将来的な販売価格や補助金が存在する場合に、より最適な収益計算や設備容量の算出を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の水素製造プラント収益算出装置は、水素製造プラントにおける水素製造販売計画、水素製造プラントの運用パラメータ、水素製造プラントの設備容量計画および水素製造の推定モデル構築データを取得する入力部と、水素製造販売計画に基づいて水素の販売収入を予測する販売収入計算部と、運用パラメータに基づいて水素製造に要する運用費を予測する運用費計算部と、設備容量計画に基づいて水素製造の設備に要する設備費を予測する設備費計算部と、販売収入、運用費および設備費のうち少なくとも一以上に対する補助額を予測する補助計算部と、販売収入、運用費、設備費および補助額に基づいて水素製造プラントの収益を予測する収益計算部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1および第2実施形態の水素製造プラント収益算出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】第1および第2実施形態の販売収入計算部の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】第1および第2実施形態の販売補助計算部の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】第1および第2実施形態の販売価格補助計算部の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】原材料の価格を利用した補助額算出方法の例を示す図である。
【
図9】用途が類似した製品の価格を利用した補助額算出方法の例を示す図である。
【
図10】用途が類似した複数の製品の価格を利用した補助額算出方法の例を示す図である。
【
図11】水素の実販売価格を利用した補助額算出方法の例を示す図である。
【
図12】水素市場価格を利用した補助額算出方法の例を示す図である。
【
図13】二つの参照価格を組み合わせる場合の補助額算出方法の例を示す図である。
【
図14】第1および第2実施形態の販売量補助計算部の機能構成を示す図である。
【
図19】第1および第2実施形態の運用費計算部の機能構成を示すブロック図である。
【
図20】第1および第2実施形態の運用費補助計算部の機能構成を示すブロック図である。
【
図22】第1および第2実施形態の設備費補助計算部の機能構成を示すブロック図である。
【
図23】第3実施形態の水素製造量算出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図24】水素製造量と水素製造単価の関係の算出例を示す図である。
【
図25】水素製造量と年間設備費水素単価の関係の算出例を示す図である。
【
図26】製造費と設備費の回収に必要な水素単価の例を示す図である。
【
図27】水素製造量と収入、支出、収益の関係を示す図である。
【
図28】補助額固定の場合の水素製造量と収入、支出、収益の関係を示す図である。
【
図29】第4実施形態の水素製造プラント期待収益算出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図30】第5実施形態の多年度のわたる水素製造プラント期待収益算出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図31】第6実施形態の水素製造プラント設備容量算出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図32】期待収益の分布を利用したシナリオの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る運転計画立案装置の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る水素製造プラント収益算出装置1の機能構成を示している。
図1に示すように、この実施形態の収益算出装置は、入力部10と、計算部20と、記憶部30と、出力部40とを備えている。
【0010】
入力部10は、水素製造販売計画10a、水素製造装置の運用パラメータ10b、水素製造装置の設備容量計画10c、モデル構築用データ10dなどの情報を取得するインタフェースである。水素製造プラント収益算出装置1は、これらの情報を用いて水素製造プラントの収益を計算する。入力部10は、他の装置から情報を受ける送受信装置、ユーザから直接情報を受けるキーボードやマウスなどが例示される。
【0011】
計算部20は、入力部10が取得した情報および記憶部30に記憶した情報を用いて演算を実行する演算ブロックである。計算部20は、演算結果を記憶部30に記憶させるとともに出力部40に渡す。
【0012】
記憶部30は、計算部20から渡されたデータを一時記憶し、計算部20に提供する記憶媒体である。記憶部30は、例えば不揮発性メモリやハードディスクドライブなどにより実現することができる。
【0013】
出力部40は、計算部20が演算した算出結果を出力するインタフェースである。出力部40は、例えばユーザに情報を提供するディスプレイ装置、プリンタ装置、他の装置へ情報を送る送受信装置などが例示される。
【0014】
水素製造プラント収益算出装置1は、例えばコンピュータ装置やサーバ装置などにより実現することができる。水素製造プラント収益算出装置1は、図示しないネットワークにより他の装置と接続されてもよい。
【0015】
図1に示すように、計算部20は、販売収入計算部211、販売収入補助計算部221、運用費計算部231、運用費補助計算部241、設備費計算部251と、設備費補助計算部261と、収益計算部271などの機能要素を有する。これらの機能要素は、コンピュータ装置にコンピュータプログラムをロードし実行させることで実現することができる。
【0016】
(1)販売収入計算部211
図2に示すように、販売収入計算部211は、推定モデル構築データ10dと水素製造販売計画10aに基づき販売収入を算出する演算ブロックである。販売収入計算部211は、機能要素として、販売価格推定モデル構築部212および販売収入算出部213を有する。
【0017】
販売価格推定モデル構築部は212、モデル構築データ10dから、将来の販売価格を推定するモデルを構築する。推定するモデルの構築は、例えば、モデル構築データ10dとして過去の水素販売単価を入力とし、この値が全て同一であった場合にその単価を出力するモデルとすることができる。過去の水素販売単価が変動していた場合は、自身の過去データから将来を予測する自己回帰モデル等の技術を用いて予測値を算出してもよい。
【0018】
推定するモデルの構築としては、他の時系列データから予測するモデルを構築してもよい。例えば、天然ガス価格や為替の動向から、多変量解析技術や深層学習などの技術を用いて、将来の水素販売単価を予測するモデルを構築することができる。
【0019】
また、FIT(Feed in Tariff)のように固定価格買取制度が導入された環境下では、その買取価格を示すモデルを構築してもよい。FIP(Feed in premium)のように、水素市場単価に対して、プレミアムが付与される環境下では、水素市場単価予測モデルを水素市場単価の過去データから構築し、この値にプレミアムを付与した額をもとに水素販売単価推定モデルを作成してもよい。このとき構築されたモデルは、将来のある時点tの水素販売単価を算出する「販売価格推定モデル(t)」と表現する。
【0020】
販売収入算出部213は、以下の式を用いて販売価格の推定モデルと水素製造販売計画10aから販売収入を計算する。
販売収入(t) = 販売価格推定モデル(t) × 水素販売計画(t) …(1)
さらに、この販売収入(t)の値を積分することで、ある将来期間の販売収入を計算することができる。なお、販売価格が販売量vに応じて変動する場合は、「販売価格推定モデル(t, v)」として、販売収入を以下の式により求めてもよい。
販売収入(t) = 販売価格推定モデル(t, 水素販売計画(t)) ×水素販売計画(t) …(2)
【0021】
なお、以降の説明では、販売量に応じて変動する場合の価格推定モデルを省略するが、販売価格推定モデルの構築にあたっては、かかる考え方も合わせて適用される。
【0022】
(推定モデルの構築方法)
ここで、ある時系列データの将来の値(例えば、販売価格の将来の値)を推定するモデルの構築方法について説明する。
【0023】
推定したい時系列をy(t)とする。tは将来の時刻で、t-1までの値が既知とする。自己回帰モデルは、y(t)の値をy(t-1), y(t-2), … という過去の値を利用して算出する。自己回帰モデルの中の手法であるAR(Auto Regressive)モデルでは、
y(t)=φ1y(t-1)+φ2y(t-2)+ … +φpy(t-p) …(3)
という式でy(t)を推定する。このとき、モデルに利用される計数φ1~φpは、過去の事例の値を使って学習する。自己回帰モデルの他の例としては、MA(Moving Average)モデル、ARMA(Auto Regressive Moving Average)モデル、ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average)モデルなどが例示される。
【0024】
次に、自己の時系列だけでなく、他の時系列データも用いて将来の値を予測する手法について説明する。この方法は、以下の式で予測できる。
y(t)=φ1X(t-1)+φ2X(t-2)+ … + φpX(t-p) …(4)
ここで、Φはベクトル、Xは多変量の時系列であり、例えば、yを水素販売価格、Xを天然ガスと為替の時系列とすると、水素販売価格を天然ガスと為替から予測することとなる。Φは過去の事例から学習して決めることになり、その方法としては一般に広く知られている重回帰分析のパラメータ算出手法を用いることができる。
【0025】
バリエーションとして、Xの中にyを含んでもよく、また、Xに関しては将来の予測値が与えられている場合は、t ≧ 0 の値を利用することも可能となる。
【0026】
上記数式(4)の左辺に、指数型分布族とよばれる関数g()を施したモデリング手法は、一般化線形回帰と呼ばれる。
g(y(t))=φ1X(t-1)+φ2X(t-2)+ … +φpX(t-p) …(5)
数式(5)は、g()の形式によって、ロジスティック回帰、ポアソン回帰などの手法となり、これらのモデリング技術を使うことで、非線形な推定が行えることになる。
【0027】
予測手法として、ツリー状の条件分岐を利用する方法も知られている。代表的な例として回帰木が例示される。これは、予測に用いる変数を使って条件分岐を行うツリーを作成し、leafに到達した値を予測結果とする方法である。
図3は、回帰木による予測の様子を示す図である。回帰木のツリーを作成するアルゴリズムとしては、C4.5やCARTが知られている。複数の回帰木を作成して予測をおこなうRandom Forestアルゴリズムでも同様の予測を行うことができる。
【0028】
また、予測手法として、深層学習を利用することもできる。
図4は、深層学習による予測の様子を示す図である。深層学習では、入力データに対して、多層のニューラルネットの構造で規定された演算を行い、その解を求める手法であり、ニューラルネットの重みづけを過去のデータを用いて実施することにより予測モデルを構築することができる。
【0029】
以上、代表的な機械学習の方法について説明したが、これらには限定されない。これ以外の手法でも適用することが可能である。上記した手法は、推定モデルの構築において利用される。
【0030】
(2)販売収入補助計算部221
販売収入補助計算部221は、グリーン水素の製造に係る補助額を算出する演算ブロックである。
図5に示すように、販売収入補助計算部221は、水素販売価格に応じた補助額を決定する販売価格補助計算部222と、水素販売量に応じた補助額を計算する販売量補助計算部223を有する。
【0031】
(2a)販売価格補助計算部222
図6に示すように、販売価格補助計算部222は、販売価格補助推定モデル構築部224と、販売価格補助算出部225を有する。販売価格補助推定モデル構築部224は、水素販売単価に対する販売価格補助額推定モデルを構築し、販売価格補助算出部225は、販売価格補助額推定モデルを用いて販売価格補助を計算する。
【0032】
以下、
図7を参照して、補助額決定方法の例として、基準価格と参照価格を用いた補助額算出方法について説明する。基準価格とは、ある水素製造プラントが投資回収可能な水素販売単価、または、投資回収可能金額に利益を乗せた単価である。参照価格とは、ある時点での市場水素販売単価の基準値であり、水素の市場単価でもよく、別の指標から算出した値を用いてもよい。このとき補助額は、基準価格と参照価格の差で決定される。例えば、基準価格より参照価格が低い場合は、その差分が補助され、基準価格より参照価格が高い場合は、その差分を返還することになる。
【0033】
基準価格は、後述する運用費計算部で計算した運用費の年間分と、同じく設備費計算部で計算した年間分の設備費を、水素製造販売計画の中の年間水素販売量で割った値、または、これに利益相当分を足した値を採用することができる。
【0034】
参照価格は、水素製造に必要な原材料の価格を利用する方法(i)、用途が類似した製品を参照する方法(ii)、用途が類似した製品を複数参照する方法(iii)、実際の販売価格を利用する方法(iv)、市場価格を利用する方法(v)、炭素価格を利用する方法、複数の指標を組み合わせる方法(vi)がある。ここでは、それぞれの計算方法の実施例を示していく。
【0035】
(i)原材料の価格を利用する方法
図8に示すように、原材料の価格を利用する方法は、例えば電力価格をベンチマークとして参照価格を決定するものである。販売価格補助推定モデル構築部224の入力は、例えば、過去の参照価格の推移データと電力価格のデータである。これらの関係性をモデル化し、電力価格の将来予測から参照価格推定モデルを構築する。将来のある時点tの販売価格補助単価を「販売価格補助推定モデル(t)」とすると、販売価格補助算出部225では、水素販売計画(t)を入力として、以下の式によりある時点tの販売価格補助(t)を計算する。
販売価格補助(t) = 販売価格補助推定モデル(t) × 水素販売計画(t) …(6)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売価格補助が計算できる。
【0036】
(ii)用途が類似した製品の価格を参照する方法
用途が類似した製品の価格を利用する方法は、例えば
図9に示すように、天然ガス価格をベンチマークとして参照価格を決定するものである。販売価格補助推定モデル構築部224の入力は、例えば、過去の天然ガス価格推移のデータである。天然ガス価格推移のデータから将来の天然ガス価格推移を例えば自己回帰モデル等の技術を用いてモデル化し、販売価格補助推定モデルを構築する。これを「販売価格補助推定モデル(t)」とすると、販売価格補助算出部225では、水素販売計画を入力とし、以下の式によりある時点tの販売価格補助(t)を計算する。
販売価格補助(t) = 販売価格補助推定モデル(t) × 水素販売計画(t) …(7)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売価格補助が計算できる。
【0037】
(iii)用途が類似した製品を複数参照する方法
用途が類似した複数の製品の価格を利用する方法は、例えば
図10に示すように、天然ガス価格とガソリン価格をベンチマークとして二つの参照価格を決定するものである。販売価格補助推定モデル構築部224の内部では、二つの参照価格のモデルが構築される。天然ガス価格を参照価格とするモデルの構築では、入力は、過去の天然ガス価格推移のデータとなり、自己回帰モデル等の技術を用いて、将来の天然ガス価格推移の推定モデルを構築する。また、ガソリン価格を参照価格とするモデルの構築では、入力は、過去のガソリン価格推移のデータとなり、自己回帰モデル等の技術を用いて、将来のガソリン価格推移の推定モデルを構築する。この二つのモデルを「販売価格補助推定モデル_ガソリン(t)」、「販売価格補助推定モデル_天然ガス(t)」とし、販売価格補助算出部225は、将来の時刻tにおけるガソリンの代替として運輸セクターに販売する水素販売計画を「水素販売計画_ガソリン(t)」、天然ガスの代替として暖房用セクターに販売する水素販売計画を「水素販売計画_天然ガス(t)」として、以下の式によりある時点tの販売価格補助(t)を計算する。
販売価格補助(t) =
販売価格補助推定モデル_ガソリン(t) × 水素販売計画_ガソリン(t)
+ 販売価格補助推定モデル_天然ガス(t) × 水素販売計画_天然ガス(t) …(8)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売価格補助が計算できる。なお、複数の参照価格を用いて補助を計算する方法では、水素製造販売計画10aとして、販売セクターごとに作成したデータを利用する必要がある。
【0038】
(iv)実際の販売価格を利用する方法
実際の販売価格を利用する方法は、例えば
図11に示すように、ある水素製造プラントの水素販売価格を参照価格とするものである。参照価格はプラントごとに異なっていてもよい。販売価格補助推定モデル構築部224の入力は、例えば、過去のある水素製造プラントの水素販売価格推移のデータである。このデータから将来の水素販売価格推移を例えば自己回帰モデル等の技術を用いてモデル化し、販売価格補助推定モデルを構築する。これを「販売価格補助推定モデル(t)」とすると、販売価格補助算出部225では、水素販売計画を入力とし、以下の式によりある時点tの販売価格補助(t)を計算する。
販売価格補助(t) = 販売価格補助推定モデル(t) × 水素販売計画(t) …(9)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売価格補助が計算できる。
【0039】
(v)市場価格を利用する方法
市場価格を利用する方法は、例えば
図12に示すように、水素取引市場が開設された場合、その水素市場価格を参照価格とする方法である。販売価格補助推定モデル構築部224の入力は、例えば、過去のある水素市場価格の推移のデータである。このデータから将来の水素市場価格を例えば自己回帰モデル等の技術を用いてモデル化し、販売価格補助推定モデルを構築する。これを「販売価格補助推定モデル(t)」とすると、販売価格補助算出部225では、水素販売計画を入力とし、以下の式によりある時点tの販売価格補助(t)を計算する。
販売価格補助(t) = 販売価格補助推定モデル(t) × 水素販売計画(t) …(10)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売価格補助が計算できる。
【0040】
(vi)複数の指標を組み合わせる方法
図13は、複数の指標を組み合わせる場合の補助額算出方法の概要を示す。複数の指標として、ここでは天然ガス価格と実際の販売価格を利用し、二つの指標の大きい方を参照指標とする。個々の参照価格の算出方法は、天然ガスの販売価格補助推定モデルと、販売実績の販売価格補助推定モデルを、それぞれ「販売価格補助推定モデル_天然ガス(t)」、「販売価格補助推定モデル_販売価格(t)」とおく。販売価格補助算出部225は、水素販売計画を入力とし、以下の式によりある時点tの販売価格補助(t)を計算する。
販売価格補助(t) = 水素販売計画(t)
× max(販売価格補助推定モデル_天然ガス(t),販売価格補助推定モデル_販売価格(t)) …(11)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売価格補助が計算できる。
【0041】
(2b)販売量補助計算部
図14に示すように、販売量補助計算部223は、販売量補助推定モデル構築部226と、販売量補助算出部227を有する。販売量補助推定モデル構築部226は、水素販売単価に対する販売量補助額推定モデルを計算し、販売量補助算出部227は、販売量補助額推定モデルを用いて販売量補助を計算する。販売量補助計算の方法は、部分買取(i)、残量買取(ii)、上限付き残量買取(iii)、販売量傾斜補助(iv)、等が例示される。
【0042】
(i)部分買取の説明
図15に示すように、部分買取は、あらかじめ定めた一定量を公的機関が買い取る方法である。販売量補助推定モデル構築部226は、公的機関買取量モデルと公的機関買取価格モデルを構築する。
【0043】
公的機関買取量モデルは、あらかじめ買取量が決まっている場合はその量を推定モデルとし、決まっていない場合は、例えば、過去の買取量から自己回帰モデル等の方法を用いて、将来のある時点(t)の買取量を推定する。公的機関買取価格モデルは、あらかじめ買取価格が決まっている場合はその価格を推定モデルとし、決まっていない場合は、例えば、過去の買取価格から自己回帰モデル等の方法を用いて、将来のある時点(t)の買取価格を推定する。これらのモデルを「公的機関買取量推定モデル(t)」、「公的機関買取価格推定モデル(t)」とすると、販売量補助算出部227は、水素販売計画を入力とし、以下の数式によりある時点tの販売量補助(t)を計算する。
販売量補助(t) = 公的機関買取量推定モデル(t)x公的機関買取価格推定モデル(t) …(12)
さらに、これを積分することで、ある将来期間の販売量補助が計算できる。
【0044】
(ii)残量買取の説明
図16に示すように、残量買取は、水素販売量がプラント設備容量に満たない場合、残りの部分を公的機関が買い取る方法である。この方法においては、販売量補助推定モデル構築部226は、公的機関買取価格モデルを構築する。公的機関買取価格モデルは、あらかじめ買取価格が決まっている場合はその価格を推定モデルとし、決まっていない場合は、例えば、過去の買取価格から自己回帰モデル等の方法を用いて、将来のある時点(t)の買取量を推定する。販売量補助算出部227は、「公的機関買取価格推定モデル(t)」について、水素販売計画と設備容量を入力とし、以下の数式を用いることで、ある時点tの販売量補助(t)を計算することができる。
販売量補助(t) = 水素販売価格推定モデル(t) ×( 設備容量 - 水素販売計画(t) ) …(13)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売量補助が計算できる。
【0045】
(iii)上限付き残量買取の説明
図17に示すように、上限付き残量買取は、あらかじめ定めた一定量を公的機関が買い取る方法である。販売量補助推定モデル構築部226は、水素販売価格推定モデルと公的機関買取量モデルと公的機関買取額モデルを構築する。公的機関買取量モデルは、あらかじめ買取量が決まっている場合はその量を推定モデルとし、決まっていない場合は、例えば、過去の買取量から自己回帰モデル等の方法を用いて、将来のある時点(t)の買取量を推定する。公的機関買取価格モデルは、あらかじめ買取価格が決まっている場合はその価格を推定モデルとし、決まっていない場合は、例えば、過去の買取価格から自己回帰モデル等の方法を用いて、将来のある時点(t)の買取価格を推定する。販売量補助算出部227は、「公的機関買取量推定モデル(t)」および「公的機関買取額推定モデル(t)」について、水素販売計画を入力とし、以下の数式によりある時点tの販売量補助(t)を計算する。
公的機関買取量推定モデル(t) < 水素販売計画(t) の場合
販売量補助(t) = 0
公的機関買取量推定モデル(t) >= 水素販売計画(t) の場合
販売量補助(t) = 公的機関買取価格推定モデル(t)
×(公的機関買取量推定モデル(t) - 水素販売計画(t) ) …(14)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売量補助が計算できる。
【0046】
(iv)販売量傾斜補助の説明
図18に示すように、販売量傾斜補助は、販売量に応じて販売単価に補助を設ける方法である。販売量が少ない場合は、プラントの投資回収が困難となるため、販売単価に補助を加える。販売量補助推定モデル構築部226は、水素単価補助額推定モデルを構築する。
【0047】
水素単価補助額推定モデルは、水素単価補助額と販売量の関係が決まっている場合は、販売量に応じてその額を返すモデルとすればよく、未定の場合は、過去の水素単価補助額推定と販売量の関係から重回帰モデル等の方法を用いて、将来のある時点tの販売量vに対する水素単価補助額を推定する。販売量補助算出部227は、「水素単価補助額推定モデル(t, v)」について、水素販売計画を入力とし、以下の数式によりある時点tの販売量補助(t)を計算することができる。
販売量補助(t) = 水素販売計画(t) ×水素単価補助額推定モデル(t, 水素販売計画(t)) …(15)
さらに、これをtについて積分することで、ある将来期間の販売量補助が計算できる。
【0048】
(3)運用費計算部
運用費計算部231は、水素製造プラントなどの運用費用を算出する演算ブロックである。
図19に示すように、運用費計算部231は、運用費推定モデル構築部232と、運用費算出部233を有する。
【0049】
運用費推定モデル構築部232は、推定モデル構築データから将来の運用費を推定するモデルを構築し、このモデルと水素製造販売計画と運用パラメータから運用費を計算する。運用費推定モデルの一例としては、消費電力量推定モデル(v)や消費水道量推定モデル(v)、製造日数推定モデル(v)があげられる。ここで、vは水素製造量である。
【0050】
消費電力量推定モデル(v)は、過去の水素製造量と消費電力量を例えば線形回帰モデルを使ってモデル化する。また、一般化線形回帰モデルや深層学習のような非線形のモデル化技術を使ってもよい。消費水道量推定モデル(v)は、過去の水素製造量と消費水道量を例えば線形回帰モデルを使ってモデル化する。また、一般化線形回帰モデルや深層学習のような非線形のモデル化技術を使ってもよい。製造日数推定モデル(v)は、過去の水素製造量と製造日数を例えば線形回帰モデルを使ってモデル化する。また、一般化線形回帰モデルや深層学習のような非線形のモデル化技術を使ってもよい。これらを、「消費電力量推定モデル(v)」、「消費水道量推定モデル(v)」、「製造日数推定モデル(v)」と表すことにする。
【0051】
運用パラメータ10bの一例としては、電気や水のような水素製造における原材料の単価があげられる。これらを、電力量単価(t)、水道量単価(t)、人件費単価(t)とする。ここで、tは将来のある時点を表す。運用費推定モデルと運用パラメータを用いると、運用費算出部233は、運用費を以下の数式により算出することができる。
運用費(t) = 消費電力量推定モデル(v) × 電力量単価(t)
+ 消費水道量推定モデル(v) × 水道量単価(t)
+ 製造日数推定モデル(v) × 人件費単価(t) …(16)
ここで、v = 水素製造量(t)である。
【0052】
運用費の算出にあたっては、変動費として考えられる他の項を加えてもよい。運用費をtについて積分することで、ある将来期間の運用費が計算できる。
【0053】
(4)運用費補助計算部
運用費補助計算部241は、グリーン水素の製造に係る運用費の補助額を算出する演算ブロックである。
図20に示すように、運用費補助計算部241は、運用費補助推定モデル構築部242と、運用費補助算出部243を有する。
【0054】
運用費補助推定モデル構築部242は、推定モデル構築データから、将来の運用費補助を推定するモデルを構築し、このモデルと水素販売計画、電気や水のような水素製造における原材料の単価から、運用費補助を計算する。運用費補助推定モデルの一例としては、消費電力量単価補助推定モデル(t)や消費水道量単価補助推定モデル(t)があげられる。ここでtは、将来のある時点を表す。
【0055】
消費電力量単価補助推定モデルは、過去の消費電力量単価補助履歴がある場合は、例えば、自己回帰モデル等の技術を用いて、ある時点tの値を計算するモデルを構築する。消費水道量単価補助推定モデルは、過去の消費水道量単価補助履歴がある場合は、例えば、自己回帰モデル等の技術を用いて、ある時点tの値を計算するモデルを構築する。これらを、「消費電力量単価補助推定モデル(t)」および「消費水道量単価補助推定モデル(t)」と表すことにする。運用パラメータの一例としては、電力量単価(t)、水道量単価(t)、人件費単価(t)を利用する。ここで、tは将来のある時点を表す。
【0056】
運用費計算部231から、消費電力量推定モデル(v)と消費水道量推定モデル(v)について記憶部30を介して取得することで、運用費補助算出部243は、将来の時点tの運用費補助を以下の数式により算出することができる。
運用費補助(t) =消費電力量補助推定モデル(電力量単価(t)) × 消費電力量推定モデル(v)
+ 消費水道量補助推定モデル(水道量単価(t)) × 消費水道量推定モデル(v) …(17)
ここで、v = 水素製造量(t)である。
【0057】
(5)設備費計算部
設備費計算部は、設備容量計画から単位時間あたり(例えば年あたりの設備費)の設備費を計算する演算ブロックである。例えば、水素製造プラントが
図21に示すように電力系統52、水電解装置54、水素貯蔵タンク56および出荷装置58からなる構成をとるとすると、水電解装置54の費用、水素貯蔵タンク56の費用、出荷装置58の費用、および、その他費用を、それぞれの耐用年数で割った値が、以下に示すように設備費となる。
設備費 = 水電解装置の費用 / 水電解装置の耐用年数
+ 水素貯蔵タンクの費用 / 水素貯蔵タンクの耐用年数
+ 出荷装置の費用 / 出荷装置の耐用年数
+ その他設備費用 / その他設備費用の耐用年数 …(18)
【0058】
(6)設備費補助計算部
設備費補助計算部261は、設備費に対する補助額を計算する演算ユニットである。例えば、水素容量市場が開設されたとすると、その時に得られる価値が設備費補助に相当する。また、公的機関が設備費、あるいは、水素製造可能容量に対する補助を設定していれば、その額が設備費補助となる。
図22に示すように、設備費補助計算部261は、設備費補助推定モデル構築部262と、設備費補助算出部263を有する。
【0059】
設備費補助推定モデル構築部262は、モデル構築データから将来の設備費補助を推定するモデルを構築し、このモデルと設備容量計画から設備費を計算する。設備費補助推定モデルの一例としては、水素容量市場推定モデル(t)があげられる。ここで、tは或る将来の時点である。水素容量市場が開設され、その過去データが蓄積されていれば、例えば自己回帰モデル等を利用して、将来の水素容量市場のモデルを構築すればよい。これを「水素容量市場モデル(t)」とし、その単位は、単位設備容量あたりの金額とすると、設備費補助算出部263は、設備費補助を以下の数式により算出することができる。
設備費補助(t) = 水素容量市場モデル(t) × 設備容量計画 …(19)
公的機関から設備容量あたりの補助額が公開されている場合は、その値を用いてもよい。
【0060】
(7)収益計算部
収益計算部271は、グリーン水素の製造に係る収益額を算出する演算ブロックである。収益計算部271は、販売収入計算部211、販売収入補助計算部221、運用費計算部231、運用費補助計算部241、設備費計算部251、設備費補助計算部261、によって計算された、ある期間における販売収入、販売収入補助、運用費、運用費補助、設備費、設備費補助を以下の数式により集計することで、水素製造プラントの収益を計算する。
水製造プラント収益(T) = 販売収入(T) + 販売収入補助(T)
- 運用費(T) + 運用費補助(T) - 設備費(T) + 設備費補助(T) …(20)
【0061】
以上説明した方法により、グリーン水素の販売価格や量、および、その補助やその原料となる電気や水に対する補助を将来の変動を含めて考慮することにより、水素製造プラントの収益を算出することが可能となる。
【0062】
(第2実施形態)
続いて、第1実施形態の運用費計算部の演算に数理最適化技術を適用した第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と共通する構成に共通の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0063】
(1)運用費計算部
数理最適化技術では、目的関数と最適化変数を用いた制約式を用いてプラントの運用をモデル化し、目的関数を最小とする運用を求めることで、運用費を算出する。以下に、定数、最適化変数、目的関数、制約式、の順に数理最適化モデルの構築方法を示す。tは時刻、dは日を表す。
【0064】
(2)定数
T: 計算対象時刻の集合(t∈T)
D: 計算対象日の集合(d∈D)
a: kWを30分kWhに変換する定数
C_ELCOST(t): 購入電力コスト単価
C_WACOST(t): 購入水道コスト単価
C_H2OUT(d): 一日の水素出荷量
C_ECGAS_EF: EC効率(Nm3/kWh)
C_ECEL_LL: 水電解装置下限電力(kW)
C_ECEL_UL: 水電解装置上限電力(kW)
C_H2ST_LL: H2タンク貯蔵下限容量(Nm3)
C_H2ST_UL: H2タンク貯蔵上限容量(Nm3)
【0065】
(3)最適化変数(下限は0、上限は∞)
X_ECEL(t) : EC電力(kW)
X_ECWA(t) : EC水道(m3)
X_ECH2(t) : EC水素製造量(Nm3)
X_H2ST(t) : 水素タンク貯蔵量(Nm3)
X_H2OUT(t) : 水素出荷量(Nm3)
【0066】
(4)目的関数
目的関数は、OBJ の最小化である。OBJは、系統から購入する電気代と水道代の和である。
【0067】
【0068】
(5)制約式
制約式は以下の通り(t ∈ Tにて作成)。
水電解装置の消費電力と水素製造量の関係
X_ECH2(t) = X_ECEL(t) × C_ECGASEF × a
X_ECEL(t) ≧ C_ECEL_LL
X_ECEL(t) ≦ C_ECEL_UL …(22)
水電解装置の消費水道量と水素製造量の関係
X_ECWA(t) = X_ECH2(t) × C_GAS_WA …(23)
水素タンクの収支
X_H2ST(t) = X_H2TANK(t-1) + X_ECH2(t) - X_H2OUT(t)
X_H2ST(t) ≧ C_H2ST_LL
X_H2ST(t) ≦ C_H2ST_UL …(24)
水素タンクからの水素出荷量に関する制約、ここでt∈dは、dに含まれる時刻を意味する。
【0069】
【0070】
制約式中、水電解装置の制約式では、水電解装置の入力電力と水素製造量の関係、および、水電解装置入力電力の上下限を制約を記載している。消費水道量の制約式では、製造水素量と利用する水道量の関係を記載している。水素タンクの制約式では、タンクの残量と水素製造量、水素出荷量の収支、および、水素タンクの上下限を制約としている。
【0071】
以上の数理モデルを解くことで、目的関数を最小とする最適化変数の値を求めることができ、同時に、水素製造プラントの運用費を求めることができる。なお、数理モデルの解を求める場合には、汎用の数理最適化パッケージを用いて、線形計画問題、または、混合整数計画問題を解けばよい。本実施例により、プラントのスペックに合わせたより精度の高い運用費の計算が可能となる。
【0072】
(第3実施形態)
第1実施形態や第2実施形態の水素プラント収益算出装置1のうち、計算部20の構成を変更した第3実施形態について説明する。第3実施形態の水素製造量算出装置3は、プラントの設備容量が与えられた場合に収益最大化を実現する水素製造のための最適な水素製造量を算出するものである。以下の説明において、第1実施形態および第2実施形態と共通する構成に共通の符号を付して示し重複する説明を省略する。
【0073】
図23は、第3実施形態に係る水素製造量算出装置3の機能構成を示している。
図23に示すように、この実施形態の水素製造量算出装置は、入力部13と、計算部23と、記憶部30と、出力部40とを備えている。
【0074】
入力部13は、水素製造装置の運用パラメータ10b、水素製造装置の設備容量計画10c、モデル構築用データ10dなどの情報を取得するインタフェースである。水素製造量算出装置3は、これらの情報を用いて水素製造プラントの水素製造量を計算する。入力部13は、他の装置から情報を受ける送受信装置、ユーザから直接情報を受けるキーボードやマウスなどが例示される。
【0075】
計算部23は、入力部13が取得した情報および記憶部30に記憶した情報を用いて演算を実行する演算ブロックである。計算部23は、演算結果を記憶部30に記憶させるとともに出力部40に渡す。
【0076】
記憶部30は、計算部23から渡されたデータを一時記憶し、計算部23に提供する記憶媒体である。記憶部30は、例えば不揮発性メモリやハードディスクドライブなどにより実現することができる。記憶部30は、第1実施形態や第2実施形態の水素プラント収益算出装置1と情報のやりとりをも可能とする。
【0077】
出力部40は、計算部23が演算した算出結果を出力するインタフェースである。出力部40は、例えばユーザに情報を提供するディスプレイ装置、プリンタ装置、他の装置へ情報を送る送受信装置などが例示される。
【0078】
水素製造量算出装置3は、例えばコンピュータ装置やサーバ装置などにより実現することができる。水素製造量算出装置3は、図示しないネットワークにより他の装置と接続されてもよい。
【0079】
図23に示すように、計算部23は、水素製造単価計算部281、水素製造量計算部291などの機能要素を有する。これらの機能要素は、コンピュータ装置にコンピュータプログラムをロードし実行させることで実現することができる。
【0080】
水素製造単価計算部281は、設備容量を上限とする年間水素製造量を複数与えた場合の、それぞれの水素製造量に対する水素製造単価と各種補助額を計算する演算ブロックである。水素製造量計算部291は、水素製造単価と各種補助額から水素製造量ごとの水素製造プラントの支出、収入、収益を計算し、収入を最大化する水素製造量を求める演算ブロックである。
【0081】
(1)水素製造単価計算部281
水素製造単価計算部281が計算に用いる入力は、プラントの設備容量、電力の単価、水道料金の単価などである。ここで、設備容量以下の水素製造量を複数想定し、それぞれの水素製造量に対して、水素製造プラント収益算出装置1を利用して水素製造単価、および各種補助額を求める。ここで水素製造単価は、変動費と固定費に分けられる。変動費に相当する水素製造単価を可視化すると
図24のようになる。横軸は水素製造量(vとする)で、縦軸は水素製造単価(v)である。
【0082】
図24において、水素製造量を増加させると単価が上がっているのは、例えば電気料金が変動料金の場合、水素製造量が少なければ安い電気料金の時間に水素製造を行えるが、水素製造量が多くなるに従って、高い電気料金を支払う必要が生じるためである。
【0083】
次に、固定費(例えば年間設備費)を水素製造量で除した値(年間設備費水素単価と呼ぶ)を計算する。
図25は、水素製造量と年間設備費水素単価の関係を示している。計算は以下の数式により実現できる。
年間設備費水素単価(v) = 年間設備費 / v …(26)
【0084】
この単価は、年間の設備費用を賄うために、水素製造量1Nm3あたりに負担しなければならない金額である。水素製造量が多いほど負担額は少なくて済む。なお、この金額に水素製造に関わる固定費を含めてもよい。
【0085】
次に、水素製造単価と年間設備費水素単価を合計した値(製造費設備費回収水素単価と呼ぶ)、これに利益を想定した補助を加算した値(利益付き製造費設備費回収水素単価と呼ぶ)、さらに加算後の値に上限を設けた値(利益上限付き製造費設備費回収水素単価と呼ぶ)を計算する。
図26は、製造費と設備費の回収に必要な水素単価を示している。計算は以下の数式により実現できる。
製造費設備費回収水素単価(v) = 水素製造単価(v)+年間設備費水素単価(v)
利益付き製造費設備費回収水素単価(v) = 製造費設備費回収水素単価(v)×倍率
利益上限付き製造費設備費回収水素単価(v)
= min(利益付き製造費設備費回収水素単価(v), 上限) …(27)
【0086】
ここで、利益上限付き製造費設備費回収水素単価から水素販売単価を引いた値が補助額となる。
補助額(v) = 利益上限付き製造費設備費回収水素単価(v)-水素販売単価(v) …(28)
なお、ここで求めた補助額の計算方法一例であり、また、補助額は、水素製造プラント収益装置1で計算した値を利用してもよく、水素製造量算出装置3で計算してもよい。
【0087】
(2)水素製造量計算部291
水素製造量計算部291は、水素製造単価計算部281の算出結果を用いて、水素製造量あたりの収益、または、補助が与えられた場合の水素製造プラントの収益を、以下のように計算する。
収入(補助なし) = 水素販売単価(v)×v
収入(補助あり) = 利益上限付き製造費設備費回収水素単価(v)×v
支出 = 水素製造単価(v)×v + 年間設備費
収益 = 収入(補助あり) - 支出 …(29)
ここで、年間収益が最大となるvが、設備容量に対する適切な水素製造量となる。以上の関係を
図27に示す。
【0088】
次に、水素製造量計算部291は、補助額が固定された場合の水素製造プラントの収益を算出する。
図27に示す方法では、補助額は水素製造量に依存する形態をとるが、実際に補助を受ける場合は、事前に申請した水素製造量に対して補助が決まり、実際の水素製造量に補助額が依存しないケースが考えられる。このように、固定された補助額に対して収益を最大化する水素製造量を求める計算方法は以下の通りである。このケースにおいて以下の式の与えられる補助額は、利益上限付き製造費設備費回収水素単価(v)において収支が最大となるvのときの値である。
収入(補助あり) = 与えられた補助額 ×v
支出 = 水素製造単価(v)×v + 年間設備費
収益 = 収入(補助あり) - 支出 …(30)
以上の関係を
図28に示す。収益が最大となるのは、
図27のケースより少ない水素製造量の場合になる。
【0089】
上記説明した方法を用いることで、プラントの設備容量に対して、水素製造量によって変動する補助額や、固定的に与えられる補助額を考慮した適切な水素製造量を算出することが可能となる。なお、本手法の説明で利用したグラフをユーザに提示してもよく、これにより、ユーザに有益な情報を得ることが可能となる。
【0090】
(第4実施形態)
第1実施形態や第2実施形態の水素製造プラント収益算出装置を用いて、プラント収益の期待値を算出する第4実施形態について説明する。
図29は、第4実施形態に係る水素製造プラント収益期待値算出装置4の構成を示している。
【0091】
水素製造プラント収益期待値算出装置4は、第1実施形態や第2実施形態の水素製造プラント収益算出装置1に期待値計算部60をさらに備え、入力データとして発生確率および必要に応じてモデル構築方法を追加したものである。第1実施形態や第2実施形態と共通する構成について共通の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0092】
第4実施形態の水素製造プラント期待収益算出装置4では、入力データ群を複数持つシナリオを入力とし、個々の入力データに対する収益を第1実施形態や第2実施形態と同様にして算出し、得られた結果と入力データの発生確率を用いて期待値計算部60が期待収益を計算する。期待値計算部60は、確率演算を実現する演算ブロックである。
【0093】
第4実施形態における具体的な算出ステップは、以下の通りである。
Step 1:入力データiごとの収益を計算して収益(i)とする
Step 2:入力データiの発生確率をp(i)とする
【0094】
【0095】
以上で、例えば、設備容量をシナリオ内で固定し、運用パラメータの電気料金とその発生確率をデータ群ごとに変えて期待収益を求めれば、電気料金の想定値が幅を持つ場合の期待収益を計算できる。同様に、モデル構築データやモデル構築方法を変化させて期待収益を求めれば、各種補助額の想定値が幅を持つ場合の期待集積を計算できる。
【0096】
ここで、第1実施形態や第2実施形態の水素製造プラント収益算出装置1に替えて、第3実施形態の水素製造量算出装置3を備えてもよい。この場合、期待収益に加えて、補助額を固定した場合の期待収益が計算されることになり、収益の代わりに収益を最大化する期待水素製造量を出力することが可能になる。
【0097】
(第5実施形態)
第4実施形態の水素製造プラント収益期待値算出装置を多年度にわたって算出して期待収益を算出する第5実施形態について説明する。
図30は、第5実施形態に係る水素製造プラント収益期待値算出装置5の構成を示す。
【0098】
第5実施形態は、第4実施形態と入力するデータが異なる。
図30に示すように、この実施形態では、第4実施形態における各入力データ10x~10zが、それぞれ期間ごと(図中T1~T3)に分割されており、全体としてシナリオ10hを構成している。
【0099】
この実施形態においては、水素製造プラント収益算出装置1が入力データ内の期間ごとに収益を計算し、これをもとに収益を合計し、さらに、複数の入力データに対して発生確率を乗じて全体の期待値を計算することで、最終的なシナリオの期待収益を算出する。
【0100】
第5実施形態における具体的な算出ステップは、以下の通りである。
Step 1:入力データiごと、期間jごとの収益を計算して期間収益(i,j)とする
Step 2:入力データiごとに、全ての期間で合計して全期間収益(i)とする
Step 3:入力データiの発生確率をp(i)とする
【0101】
【0102】
ここで、第1実施形態や第2実施形態の水素製造プラント収益算出装置1に替えて第3実施形態の水素製造量算出装置3を備えてもよい。この場合、全期間期待収益に加えて、補助額を固定した場合の全期間期待収益が計算されることになり、さらに、収益の代わりに、収益を最大化する期間ごとやシナリオごとの期待水素製造量を出力することも可能となる。
【0103】
(第6実施形態)
第4実施形態の水素製造プラント期待収益算出装置4を用いて、水素製造プラントの適切な設備容量を算出する第6実施形態について説明する。
図31に、第6実施形態の水素製造プラント設備容量算出装置6の構成を示す。
【0104】
この実施形態に係る水素製造プラント設備容量算出装置6は、第4実施形態または第5実施形態におけるシナリオに発生確率を付与し、このシナリオ群を入力として個々のシナリオに対する期待収益を第4実施形態または第5実施形態の方法で算出する。そして、この算出結果とシナリオの発生確率を用いて、個々のシナリオの期待収益を計算する。さらに、比較部で期待収益が最大のものを選択し、そのシナリオの設備容量を算出する。
【0105】
第6実施形態における具体的な算出ステップは、以下の通りである。
Step 1: 入力シナリオkごとの収益を計算して期待収益(k)とする
Step 2: 期待収益のうち、最大のシナリオの設備容量を出力する
以上の方法で、複数の設備容量シナリオのうち、期待値が最小となる設備容量を算出することができる。
【0106】
なお、第4実施形態または第5実施形態における期待値計算部は、確率と収益の組を出力としてもよい。この場合、第6実施形態では、確率と収益の組の比較を比較部で行うことになる。例えば、シナリオAとシナリオBの分布が
図32のようになったとき、期待収益ではシナリオAが選択されるが、シナリオAは裾野の広い分布のため、収益が少なくなるリスクもある。このような場合に、ある閾値1より収益が少なくなる確率を求め、その確率が閾値2(例えば5%)より大きい場合にはそのシナリオを選択しない、という手法をとることで、収益が少なくなるリスクを回避することができる。
【0107】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1…水素製造プラント収益算出装置、3…水素製造量算出装置、4,5…水素製造プラント期待収益算出装置、6…水素製造プラント設備容量算出装置、10…入力部、20…計算部、30…記憶部、40…出力部、211…販売収入計算部、221…販売収入補助計算部、231…運用費計算部、241…運用費補助計算部、251…設備費計算部、261…設備費補助計算部、271…収益計算部。