(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010150
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】テーブルゲームの不正監視システム及びテーブルゲームの不正監視プログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 1/06 20060101AFI20240116BHJP
A63F 1/18 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
A63F1/18
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187784
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2022160939の分割
【原出願日】2018-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2017198037
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不正行為の疑いがある怪しいパターンを検知することで不正行為による被害を予防する。
【解決手段】賭けチップ計測装置(19)の計測結果を用いて、ゲーム参加人(6)が遊技テーブル(4)に置いた遊技用代用貨幣(9)の位置と額とを、各ゲーム参加人(6)または遊技テーブル(4)のプレーヤポジション(45)毎の同一の人ごとに記憶する検知システムであり、管理制御装置(50)は所定のゲーム数が終了した時点における、現実の勝率及び総リターン額と、確率統計計算上の数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じているゲーム参加人(6)またはプレーヤポジション(45)、または遊技テーブル(4)、または遊技テーブル(4)の配置されているルームのいずれか一つを特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技テーブルにおけるテーブルゲームの不正監視システムであり、
前記複数の遊技テーブルの各々において各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、
各ゲームにおいて前記遊技テーブル上にゲーム参加者が賭けた遊技用代用貨幣の額を把握する賭けチップ計測装置と、
前記複数の遊技テーブルの各々において行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて前記賭けチップ計測装置の計測結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の位置と額とを各ゲーム参加人または遊技テーブルのプレーヤポジション毎に特定し記憶する管理制御装置と、を有し、
前記管理制御装置は、
前記遊技テーブル毎に、各ゲームの勝敗、リターン額を得て、各ゲームの勝敗、リターン額の少なくともいずれかに基づいて不正が疑われる前記遊技テーブルを特定する、テーブルゲームの不正監視システム。
【請求項2】
テーブルゲームの不正監視システムであり、
プレイングカードセットが充填された後に1枚ずつドローされるプレイングカードを読み取ることで各ゲームの勝敗結果を判定する機能を有するカード配布装置と、
各ゲームにおいて前記遊技テーブル上にゲーム参加者が賭けた遊技用代用貨幣の額を把握する賭けチップ計測装置と、
前記勝敗判定装置が判定した前記勝敗結果と、前記チップ計測装置が把握した遊技用代用貨幣の額とに基づいて、各ゲームのリターン額を計算する管理制御装置と、を有し、
前記管理制御装置は、
前記カード配置装置における前記プレイングカードセットの交換ごとに、前記リターン額の総額、及び前記勝敗結果から算出される勝率の少なくともいずれかに基づいて、不正が疑われるプレイイングカードセットを特定する、テーブルゲームの不正監視システム。
【請求項3】
前記管理制御装置は、各遊技ゲームにおけるディーラを特定する機能をさらに備え、前記有意差の生じている一連のゲームに関与したディーラを特定する計算機能を備えた、請求項1に記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項4】
前記管理制御装置は、前記有意差の生じた一連のゲームにおける総リターン額を因数分解し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、勝率によるものか、賭けチップの賭けた額の大小によるものかを特定する計算機能を備えた、請求項1または2に記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項5】
前記管理制御装置は、リターンの倍率が異なる賭け位置における各遊技ゲームの賭けチップ額を記憶し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、前記リターンの倍率が異なる賭け位置に関連するか否かを特定する計算機能を備えた、請求項1または2に記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項6】
前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に異なる種類の警告を発するものである、請求項1または2に記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項7】
前記管理制御装置は、所定のルールで区切られるゲーム数または所定のゲーム数毎に異なる有意差の判定基準を有し、異なる種類の警告を発するものである、請求項1または2に記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項8】
前記管理制御装置は、複数ゲームの進行に伴いゲーム毎に順次、あるいは所定のゲーム数経過毎に有意差があるか否かを判定し、有意差の判定基準を超えた段階で、警告を発するものである、請求項1から6のいずれかに記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項9】
前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に不正の可能性を有するゲーム参加人またはプレーヤポジションを特定して、異なる基準毎にスコア化し、警告をスコア表示またはランク表示するものである、請求項1から7のいずれかに記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項10】
前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定するのに用いる確率統計計算上の数字を、特定の要素を固定値とした場合の条件付き確率計算を用いて行うものである、請求項1から8のいずれかに記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項11】
前記管理制御装置は、プレイングカードあるいはダイスの出た目を一連のゲームにおいて順次把握する機能をさらに有し、有意差があると判定された場合の不正原因を一連のゲームにおいて出た目のデータを基にして推測し、可能性のある不正原因を列挙するものである、請求項1から9のいずれかに記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【請求項12】
前記管理制御装置は、有意差があると判定された場合の不正原因を、過去のゲームに関するビッグデータあるいは過去の不正のデータのいずれか一方または両者を用いて推測し、不正可能性のある原因を列挙するものである、請求項1から10のいずれかに記載のテーブルゲームの不正監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場におけるテーブルゲームの不正監視システムに関し、特に、不正行為を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カジノなどの遊技場では、様々な不正行為を防止する試みが行われている。遊技場は不正行為を監視するための監視カメラを備え、監視カメラより得た画像からゲームの不正や、勝敗結果と異なるチップの回収や償還による不正を判定するなどして不正の防止をしている。一方で、賭けられたチップの枚数や総額を把握するため各チップにICタグを付けてチップの額を把握することが提案されている。
【0003】
国際出願PCT/JP2015/000171に記載のカードゲームモニタリングシステムでは、遊技テーブル上に置かれたチップが勝敗結果通り回収あるいは償還されたか否かを、チップの動きを画像解析することで判定し、不正行為のモニタリングが行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カジノなどの遊技場では、監視カメラで遊技テーブルを記録し、ゲーム参加人が一度に勝った額が大きい場合には記録したVTRを再生して不正行為がなかったかを確認している。しかし、遊技テーブルにおける不正が高度化し、少額で勝ち続けるなど、単純に勝った額が多い、とかの検出では発見できない不正が存在するという課題がある。また、ディーラとプレーヤの共謀による不正行為も従来技術では防止が十分でない。
【0005】
本発明では、上記の課題を踏まえ、ゲーム参加人が賭けた金額と勝敗を継続的に監視し、確率統計計算のデータや過去の統計データと比較して、不正行為の疑いがある怪しいパターンを検知することで不正行為による被害を予防することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の従来の課題を解決するため、本発明の不正監視システムは、テーブルゲームの不正監視システムであり、遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、各ゲームにおいて前記遊技テーブル上にゲーム参加者が賭けた遊技用代用貨幣の額を把握する賭けチップ計測装置と、前記遊技テーブルにおいて行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて前記賭けチップ計測装置の計測結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の位置と額とを各ゲーム参加人または遊技テーブルのプレーヤポジション毎に特定し記憶する管理制御装置と、を有し、前記管理制御装置は、ゲーム参加人又はプレーヤポジション毎に同一の人が参加した総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームの勝敗、各ゲームで得たリターン額、を計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人又はプレーヤポジション毎の同一の人の現実の勝率及び総リターン額の結果と、確率統計計算上の数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じているゲーム参加人またはプレーヤポジション、または遊技テーブル、または遊技テーブルの配置されているルームのいずれか一つを特定する計算機能を備える。
【0007】
さらに前記管理制御装置は、各遊技ゲームにおけるディーラを特定する機能をさらに備え、前記有意差の生じている一連のゲームの担当ディーラを特定する機能を備えていてもよい。
【0008】
さらに前記管理制御装置は、前記有意差の生じた一連のゲームにおける総リターン額を因数分解し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、勝率によるものか、賭けチップの賭けた額の大小によるものかを特定する計算機能を備えていてもよい。
【0009】
さらに前記管理制御装置は、リターンの倍率が異なる賭け位置における各遊技ゲームの賭けチップ額を記憶し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、前記リターンの倍率が異なる賭け位置に関連するか否かを特定する計算機能を備えていてもよい。
【0010】
さらに前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に異なる種類の警告を発してもよい。
【0011】
さらに前記管理制御装置は、所定のルールで区切られるゲーム数または所定のゲーム数毎に異なる有意差の判定基準を有し、異なる種類の警告を発してもよい。
【0012】
さらに前記管理制御装置は、複数ゲームの進行に伴いゲーム毎に順次、あるいは所定のゲーム数経過毎に有意差があるか否かを判定し、有意差の判定基準を超えた段階で、警告を発してよい。
【0013】
さらに前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に不正の可能性を有するゲーム参加人またはプレーヤポジションを特定して、異なる基準毎にスコア化し、警告をスコア表示またはランク表示するものであってよい。
【0014】
さらに前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定するのに用いる確率統計計算上の数字を、特定の要素を固定値とした場合の条件付き確率計算を用いて行ってよい。
【0015】
さらに、前記管理制御装置は、プレイングカードあるいはダイスの出た目を一連のゲームにおいて順次把握する機能をさらに有し、有意差があると判定された場合の不正原因を一連のゲームにおいて出た目のデータを基にして推測し、可能性のある不正原因を列挙してよい。
【0016】
さらに前記管理制御装置は、有意差があると判定された場合の不正原因を、過去のゲームに関するビッグデータあるいは過去の不正のデータのいずれか一方または両者を用いて推測し、不正可能性のある原因を列挙してもよい。
【0017】
上記の従来の課題を解決するため、本発明の不正監視システムは以下の形態であってもよい。すなわち、テーブルゲームの不正監視システムであり、複数の遊技テーブルにおける各遊技テーブル毎のカジノ側の収入と支出を把握する収支把握装置と、前記各遊技テーブルにおいて行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて順次カジノ側の収入と支出の推移を把握し記憶する管理制御装置と、を有し、前記管理制御装置は、前記各遊技テーブルにおいて行われた総ゲーム数、各ゲームにおけるカジノ側の収入と支出の推移、を計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、カジノ側の収入額または支出額の結果と、確率統計計算上の数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じている遊技テーブル、または遊技テーブルの配置されているルームのいずれか一つを特定する計算機能を備えた、テーブルゲームの不正監視システム。
【0018】
上記の従来の課題を解決するため、本発明の不正監視システムは以下の形態であってもよい。すなわち、テーブルゲームの不正監視システムであり、遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、各ゲームにおいて前記遊技テーブル上にゲーム参加者が賭けた遊技用代用貨幣の額を把握する賭けチップ計測装置と、前記遊技テーブルにおいて行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて前記賭けチップ計測装置の計測結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の位置と額とを各ゲーム参加人または遊技テーブルのプレーヤポジション毎に特定し記憶する管理制御装置と、を有し、前記管理制御装置は、過去の不正なゲームのデータを教師データとして教示された人工知能を有し、更にゲーム参加人又はプレーヤポジション毎に同一の人が参加した総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームの勝敗、各ゲームで得たリターン額、を計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人またはプレーヤポジション、または遊技テーブル、または遊技テーブルの配置されているルームのいずれかで、不正の可能性のある有意差が生じているか否かを判定する計算機能を備えた、テーブルゲームの不正監視システム。
【0019】
さらに前記管理制御装置は、前記管理制御装置は、各遊技ゲームにおけるディーラを特定する機能をさらに備え、前記有意差の生じている一連のゲームの担当ディーラを特定する機能を備えていてもよい。
【0020】
さらに前記管理制御装置は、前記有意差の生じた一連のゲームにおける総リターン額を因数分解し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、勝率によるものか、賭けチップの賭けた額の大小によるものかを特定する計算機能を備えていてもよい。
【0021】
さらに前記管理制御装置は、リターンの倍率が異なる賭け位置における各遊技ゲームの賭けチップ額を記憶し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、前記リターンの倍率が異なる賭け位置に関連するか否かを特定する計算機能を備えていてもよい。
【0022】
さらに前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に異なる種類の警告を発してもよい。
【0023】
さらに前記管理制御装置は、所定のルールで区切られるゲーム数または所定のゲーム数毎に異なる有意差の判定基準を有し、異なる種類の警告を発してもよい。
【0024】
さらに前記管理制御装置は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に不正の可能性を有するゲーム参加人またはプレーヤポジションを特定して、異なる基準毎にスコア化し、警告をスコア表示またはランク表示してもよい。
【0025】
さらに前記管理制御装置は、プレイングカードあるいはダイスの出た目を一連のゲームにおいて順次把握する機能をさらに有し、有意差があると判定された場合の不正原因を一連のゲームにおいて出た目のデータを基にして推測し、可能性のある不正原因を列挙してもよい。
【0026】
さらに前記管理制御装置は、有意差があると判定された場合の不正原因を、過去のゲームに関するビッグデータを追加項目として用いて推測し、不正可能性のある原因を列挙してもよい。
【0027】
上記の従来の課題を解決するため、本発明の不正監視システムは以下の形態であってもよい。すなわち、テーブルゲームの不正監視システムであり、複数の遊技テーブルにおける各遊技テーブル毎のカジノ側の収入と支出を把握する収支把握装置と、前記各遊技テーブルにおいて行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて順次カジノ側の収入と支出の推移を把握し記憶する管理制御装置と、を有し、前記管理制御装置は、前記管理制御装置は、過去の不正なゲームのデータを教師データとして教示された人工知能を有し、更に前記各遊技テーブルにおいて行われた総ゲーム数、各ゲームにおけるカジノ側の収入と支出の推移、を計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、カジノ側の収入額または支出額の結果と、過去の不正なゲームのデータを教師データとして教示された人工知能の計算上の数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じている遊技テーブル、または遊技テーブルの配置されているルームのいずれかにおいて不正の発生する可能性を判定する計算機能を備えた、テーブルゲームの不正監視システム。
【0028】
上記の従来の課題を解決するため、本発明の不正監視システムは以下の形態であってもよい。すなわち、テーブルゲームの不正監視プログラムであり、遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を把握する勝敗判定ステップと、各ゲームにおいて前記遊技テーブル上にゲーム参加者が賭けた遊技用代用貨幣の額を把握する賭けチップ把握ステップと、前記遊技テーブルにおいて行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて前記賭けチップ把握ステップの賭けチップの推移データを用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の賭けパターンを各ゲーム参加人または遊技テーブルのプレーヤポジション毎に特定し記憶するゲーム進行把握管理ステップと、不正行為発生可能性検証ステップと、を有し、前記不正行為発生可能性検証ステップは、ゲーム参加人又はプレーヤポジション毎に同一の人が参加した総ゲーム数、賭けチップ額の推移、ゲーム毎のリターン額、を把握して計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人又はプレーヤポジション毎の同一の人の現実の勝率を計算するステップ及び総リターン額の計算ステップを有し、得られた勝率及び総リターン額と、所定のゲーム数における、確率統計計算上あるいは過去のデータを基にした勝率及び総リターン額とを比較して両者に有意差があるか否かを判定する有意差判定ステップと、有意差の生じているゲーム参加人またはプレーヤポジション、または遊技テーブル、または遊技テーブルの配置されているルームのいずれか一つを特定する異常個所決定ステップと、を備えたことを特徴とする、テーブルゲームの不正監視プログラム。
【0029】
さらに前記不正行為発生可能性検証ステップは、各遊技ゲームにおけるディーラを特定するディーラ特定ステップをさらに備え、前記異常個所決定ステップにおいて、有意差の生じている一連のゲームの担当ディーラを特定するステップを備えていてもよい。
【0030】
さらに前記不正行為発生可能性検証ステップは、過去の不正なゲームのデータを教師データとして学習する人工知能学習ステップをさらに有していてもよい。
【0031】
さらに前記テーブルゲームの不正監視システムは、遊技ゲームテーブルの前記ゲーム参加人を、顔認証システム又は使用したクレジットカードの情報から特定する装置をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0032】
以上の構成により、本発明では、ゲーム参加人が賭けた金額と勝敗を継続的に監視し、確率統計計算のデータや過去の統計データと比較して、不正行為の疑いがある怪しいパターンを検知することで不正行為による被害を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の遊技テーブルを有する遊技場における不正監視システムの全体の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態において把握されるチップの重ね状態の例を示すチップの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態における遊技用代用貨幣の正面断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態において把握されるチップの異なる重ね状態の例を示すチップの斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態における、複数の遊技テーブルを有するカジノ施設の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態におけるゲーム参加人ごとのリターン額を示すグラフの例である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態におけるゲーム参加人の勝率を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態におけるゲーム参加人の勝率を示す別のグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の別の実施の形態の遊技テーブルおける不正監視システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に図面を参照して遊技場でのテーブルゲームの不正監視システム10の概要を説明する。ここで、テーブルゲームとはバカラ、ブラックジャック、ポーカー、ブリッジ、ルーレット、ダイス等の各種テーブルゲームを含む。以下では代表してバカラゲームを例にして説明を行う。
【0035】
図1、
図2は不正監視システム10の全体を示す図である。遊技テーブル4は、バカラ用のテーブルであって、7人のゲーム参加人6のそれぞれのベットエリア44が設けられている。各ゲーム参加人6のベットエリア44には、プレーヤ(PLAYER)441、バンカー(BANKER)442、タイ(TIE)443、プレーヤペア(P)444、及びバンカーペア(B)445の各エリアが含まれる。各ゲーム参加人6は、ベットする対象に対応する各エリアにベットする額の遊技用代用貨幣9を置くことで、ベットを行う。
【0036】
遊技テーブル4において各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置には、カード配布装置3が利用される。カード配布装置3は、すでに当業者で使われているいわゆる電子シューであり、あらかじめゲームのルールがプログラムされており、配布されるプレイングカードの情報を読み取って、ゲームの勝敗を判定することができる構造となっている。たとえばバカラゲームでは、バンカーの勝、プレーヤの勝、タイ(引き分け)およびペアー(プレーヤまたはバンカーの手札のランクが同じ)が、基本的に2-3枚のカードのランクにより決定され、判定結果(勝敗結果)は結果表示ランプ13にて表示される。また、カード配布装置3は、判定したゲームの勝敗結果を管理制御装置50に送る。
【0037】
ただし、別の実施例として、カード配布装置3の代わりに、ドローされたプレイングカードをカメラ装置2によって画像認識し、勝敗を判定することで勝敗判定装置としてもよい。
【0038】
カメラ装置2は、遊技テーブル4の上方に設けられて、ベットエリア44を撮影する。本実施の形態の遊技用テーブル4には、7つのプレーヤポジション45(
図1の「1」、「2」、「3」、「5」、「6」、「7」、「8」)が設けられており、7名のゲーム参加人6がゲームに参加できる。カメラ装置2は、すべてのプレーヤポジション45のベットエリア44を撮影する。なお、1つのカメラ装置2によってすべてのプレーヤポジション45のベットエリア44を撮影しなくてもよく、複数のカメラ装置2によって分担してすべてのベットエリア44を撮影するようにしてもよい。
【0039】
遊技用代用貨幣9は、表面及び/又は側面からその種類(価値)を特定可能な表記、模様及び/又は色を有し、賭けチップ計測装置19は、カメラ装置2で撮影された画像に基づいて、遊技用代用貨幣9の側面の縁の色等から、ベットエリア44に置かれた遊技用代用貨幣9の位置(ベット対象)、種類、枚数を特定する。このとき、賭けチップ計測装置19は既存の人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術による、自己学習機能等を用いて、遊技用代用貨幣9の死角による隠れ等(一枚のチップの一部が隠れる場合、あるいはチップ全体が隠れる場合)を認識して、正確に位置と枚数等を把握可能なように構成されていてもよい。
【0040】
さらに、遊技用代用貨幣9は、
図4に示すように、複数の色の異なるプラスチックの層が積層され、少なくとも中間に着色層121を備え、着色層121を挟んで両側に白色層もしくは薄色層120を積層して、側面に積層方向の縞模様を形成し、前記着色層により遊技用代用貨幣9の種類が特定可能な構成を有していてもよい。この場合には、着色層121の色を変える(赤色、緑色、黄色や青色等)ことにより遊技用代用貨幣9の種類(10ポイント、20ポイント、100ポイント、1000ポイントなど)を特定できるようにしている。
【0041】
このような場合、
図4に示すように(
図2に示す従来チップに比べて)積層した多層構造になっており、側面に積層方向の縞模様がくっきりと形成されているので、賭けチップ計測装置19は容易に遊技用代用貨幣9の種類および枚数の測定を正確に行うことが可能となる。
【0042】
あるいは、遊技用代用貨幣9の賭けエリア8における位置8および種類を検知する構造はこれに限定されず、例えば
図3に示すように、遊技用代用貨幣9に少なくともその種類を特定可能な情報を記憶したRFID125が埋め込まれており、遊技テーブル4に設置されたRFIDアンテナ(図示せず)によってIDを読取ってベットエリア44に置かれた遊技用代用貨幣9の位置(ベット対象)、種類、枚数を特定する検知するように構成されていてもよい。
【0043】
遊技テーブル4のディーラ5の前には、ディーラ5がその遊技用代用貨幣9を収容するための遊技用代用貨幣トレイ17が設けられる。遊技用代用貨幣トレイ17は、少なくともその一部が遊技テーブル4に埋め込まれている。遊技用代用貨幣トレイ17においては、横方向に積層された遊技用代用貨幣9を賭けチップ計測装置19が分析計測することで、遊技用代用貨幣9の種類と枚数が判定可能である。この場合にも、賭けチップ計測装置19は、カメラ装置2で撮影された画像に基づいて、遊技用代用貨幣9の側面の縁の色等から、遊技用代用貨幣トレイ17に収容された遊技用代用貨幣9の位置(ベット対象)、種類、枚数を特定してもよいし、例えば
図3に示すように、遊技用代用貨幣9に少なくともその種類を特定可能な情報を記憶したRFID125が埋め込まれており、遊技テーブル4に設置されたRFIDアンテナ(図示せず)によってIDを読取って遊技用代用貨幣トレイ17に収容された遊技用代用貨幣9の位置(ベット対象)、種類、枚数を特定する検知するように構成されていてもよい。
【0044】
管理制御装置50は、賭けチップ計測装置19によって得た遊技テーブル4上の遊技用代用貨幣9の位置と種類と枚数とを把握するとともに、勝敗判定装置としてのカード配布装置3から得た勝敗結果を用いて遊技テーブル4におけるカジノ側の収支計算を行う機能を備え、遊技テーブル4において行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて賭けチップ計測装置19の計測結果を用いて、ゲーム参加人6が遊技テーブル4上に置いた遊技用代用貨幣9の位置と額とを各ゲーム参加人6または遊技テーブル4のプレーヤポジション45毎に特定し記憶する。
【0045】
さらに、管理制御装置50は、各ゲームの清算額(遊技テーブル4におけるカジノ側の収支計算)をゲーム毎に行う計算機能を備え、遊技テーブル4のディーラ5の遊技用代用貨幣トレイ17における遊技用代用貨幣9の総額が、各ゲームの後に各ゲーム参加人6の賭けた遊技用代用貨幣9との清算が行われて清算した後に、清算に対応した遊技用代用貨幣の増減が正しいか否かを、比較計算可能な構造となっている。管理制御装置50は、遊技用代用貨幣トレイ17の遊技用代用貨幣9の総額を常に(もしくは所定の時間間隔で)検証できる。
【0046】
管理制御装置50は、各ゲーム参加人6又はプレーヤポジション45毎の同一の人の参加した総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームで得たリターン額、を記憶する。リターン額とは、ゲーム参加人6が賭けの結果得た金額のことである。管理制御装置50は、総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームで得たリターン額を計算の基礎として、
図7のように各ゲーム終了時の勝率を計算し、各ゲームで得たリターン額を集計し、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人6又はプレーヤポジション45毎の同一の人の現実の勝率及び総リターン額の結果を得る。管理制御装置50は得た現実の勝率及び総リターン額と、確率統計計算上の数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じているゲーム参加人6またはプレーヤポジション45、または遊技テーブル4、または遊技テーブル4の配置されているルームのいずれか一つを特定する計算機能を備える。
【0047】
具体的には、管理制御装置50は、例えば、ゲーム数に対する勝率の比が確率統計計算上の数字と比較して所定の閾値以上に高い場合に有意差があると判断してよく、ゲーム数に対する総リターン額の比が確率統計計算上の数字と比較して所定の閾値以上に高い場合に有意差があると判断してよく、勝率に対する総リターン額の比が確率統計計算上の数字と比較して所定の閾値以上に高い場合に有意差があると判断してよく、一人が得た総リターン額が確率統計計算上の数字と比較して所定の閾値以上に高い場合に有意差があると判断してよく、あるいは他の基準によって有意差があると判断してもよい。
【0048】
図5は複数の遊技テーブル4を有する部屋の全体図を示している。管理制御装置50は各複数の遊技テーブル4のゲーム参加人6又はプレーヤポジション45毎の同一の人ごとに総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームで得たリターン額を記憶し、勝率及び総リターン額を得る。管理制御装置50はさらに、遊技テーブル4ごと、部屋ごとに総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームで得たリターン額を記憶し、勝率及び総リターン額を得てもよい。そうすることで、ゲームテーブル全体または部屋全体で協力した不正行為を検知することができる。
【0049】
管理制御装置50は、各遊技ゲームにおけるディーラ5を特定する機能をさらに備え、前記有意差の生じている一連のゲームの担当ディーラ5を特定する機能を備えていてもよい。また、管理制御装置50はディーラ5ごとに総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームで得たリターン額を記憶し、勝率及び総リターン額を得て、不正行為を主導している可能性の高いディーラ5を検知することができる。
【0050】
図6は各ゲーム参加人6の総リターン額の時間による推移を示した図であり、確率計算上のデータや過去の統計データと比較、あるいはゲーム参加人6の間で互いに比較することで不正行為を行っている可能性が高いゲーム参加人6を検知できる。
【0051】
管理制御装置50は、有意差の生じた一連のゲームにおける総リターン額を因数分解し、有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、勝率によるものか、賭けチップの賭けた額の大小によるものかを特定する計算機能を備える。すなわち、勝つ時と負ける時のどちらも同じ程度の金額を賭けており、単純に勝つ確率が多いため、総リターン額が大きいのか、もしくは勝つ確率はそれほど高くないが、勝つ時には大きい金額を賭け、負ける時には小さい金額を賭けることで、総リターン額が大きいのか、を判断することができる。
【0052】
さらに管理制御装置50は、リターンの倍率が異なる賭け位置における各遊技ゲームの賭けチップ額を記憶し、有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、リターンの倍率が異なる賭け位置に関連するか否かを特定する計算機能を備える。例えばバカラでは、リターンの倍率が、プレーヤ/バンカーの場合は2倍、タイは8倍、ペアーは11倍である。従って、不正行為である可能性が高い、タイまたはペアーのようなリターンの倍率の高い賭け方のみで勝つという賭け方を検知することができる。特に、タイは10もしくは絵札(J、Q、K)が連続していれば成立するため、不正行為として有名である。
【0053】
さらに管理制御装置50は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に異なる種類の警告を発する。例えば、検出された有意差が3日に1回程度の頻度で起こりうる有意差であれば第一段階目の警告を発し、検出された有意差が1週間に1回程度の頻度で起こりうる有意差であれば第二段階目の警告を発し、検出された有意差が1か月に1回程度の頻度で起こりうる有意差であれば第三段階目の警告を発する。不正検知時には、勝敗判定装置3もしくは遊技テーブル4の両方にそれぞれ設けた異常表示ランプ16を点灯させ、カジノ管理部門等に不正の検知を無線・有線で出力15する。判定結果を受けて警告または表示を行うモニタまたはランプをさらに別の場所に備えていてもよい。また、警告を受けたときにカメラ装置2に記録されたVTRを再生できる構成になっていてよい。
【0054】
図7は、ゲーム参加人6の勝率のゲーム数ごとの変化を示すグラフである。例えばこの場合に、100~200ゲーム目で勝率が高いが、ゲーム数が少ないと確率計算上起こりうる範囲内なので、第一段階の警告を発す。その後勝率が下がっているので、一旦警告が消えるが、1000ゲーム目で再び勝率が上昇する。この場合には、ゲーム数が多いにも関わらず勝率が高いので、確率計算上、起こりにくい事象であり、第三段階の警告を発する。
【0055】
さらに管理制御装置50は、所定のルールで区切られるゲーム数または所定のゲーム数毎に異なる有意差の判定基準を有し、異なる種類の警告を発する。例えば、バカラのようなシャッフルプレイングカードを使用したテーブルゲームでは、8~10デッキ分のプレイングカードがシャッフルされて箱に収納されたシャッフルプレイングカードをカード配布装置3にセットしてゲームを行う。
図8では、ゲームで使用されるシャッフルプレイングカードの箱(これをシューと呼ぶ)ごとに区切った(シュー1S、シュー2S、シュー3Sの)勝率のデータを集計したグラフを示す。このことによって、全体の勝率を監視するだけでは検知できない、特定のシャッフルプレイングカードの箱の中の並び順を知っているというような不正行為を検知することができる。
図8上段の勝率全体を継続的に監視したグラフでは、最初に勝率が高く、後は特徴がないように見える。しかし、
図8下段のシューごとに区切ったグラフを見ると、シュー3Sで勝率が高くなっており、不正行為の可能性が高いことを検知できる。また、シュー1Sとシュー3Sで同じような勝率のグラフになっており、不正行為の可能性が高いことを検知できる。
【0056】
さらに管理制御装置50は、複数ゲームの進行に伴いゲーム毎に順次、あるいは所定のゲーム数経過毎に有意差があるか否かを判定し、有意差の判定基準を超えた段階で、警告を発する。例えば、50ゲーム行った場合に勝率が7割であっても有意差があるとは判定しにくいが、500ゲーム行って勝率が7割であれば、有意差があると判定され、不正行為の疑いが高くなる。
【0057】
管理制御装置50は、ゲーム単位毎に発生確率を計算し、有意差があるかどうかを判定することができる。ゲーム単位毎が例えば75ゲーム単位であれば、1~75回目の結果が連続する確率を計算し、次に2~76ゲーム目の結果が連続する確率を計算する、というように順次計算し、発生確率が有意差の判定基準を超えるときに警告を出力する。ゲーム単位は75ゲームに限らず、100ゲーム、300ゲームなどのゲーム単位でよい。また、管理制御装置50はベット種類毎、ボックスナンバー別、に発生確率を計算することができる。
【0058】
さらに管理制御装置50は、有意差があるか否かを判定する基準を複数個有し、各基準毎に不正の可能性を有するゲーム参加人6またはプレーヤポジション45を特定して、異なる基準毎にスコア化し、警告をスコア表示またはランク表示することができる。
【0059】
さらに管理制御装置50は、有意差があるか否かを判定するのに用いる確率統計計算上の数字を、特定の要素を固定値とした場合の条件付き確率計算を用いて行うことができる。例えば、ゲーム数を固定として、条件付き確率計算を用いて計算してよい。
【0060】
管理制御装置50は、プレイングカードあるいはダイスの出た目を一連のゲームにおいて順次把握する機能をさらに有し、有意差があると判定された場合の不正原因を一連のゲームにおいて出た目のデータを基にして推測し、可能性のある不正原因を列挙することができる。例えば、一連のゲームにおいて出た目のデータを基に、最初に引かれたプレイングカードの数字が9の時に勝っていることが分かれば、9のプレイングカードの位置が分かっていることが不正原因であると推測できる。
【0061】
さらに管理制御装置50は、有意差があると判定された場合の不正原因を、過去のゲームに関するビッグデータあるいは過去の不正のデータのいずれか一方または両者を用いて推測し、不正可能性のある原因を列挙してもよい。
【0062】
また、管理制御装置50は、各遊技テーブル4において行われた総ゲーム数、各ゲームにおけるカジノ側の収入と支出の推移、を計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、カジノ側の収入額または支出額の結果と、確率統計計算上の数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じている遊技テーブル4、または遊技テーブル4の配置されているルームのいずれか一つを特定する計算機能を備えていてもよい。この場合には、ゲーム参加人6ごとの賭け金を把握する必要はなく、遊技用代用貨幣トレイの収支のみを把握すればよい。
【0063】
さらにテーブルゲームの不正監視システムは、遊技テーブル4のゲーム参加人6を、顔認証システム又は使用したIDカード、クレジットカード等の情報から特定する装置をさらに有してもよい。
【0064】
顔認証システムの場合には、顔の画像を特徴点抽出等により得、アイデンティティ番号(ID等)を付して特定しておく。そして特定されたゲーム参加人6が、離席して別の遊技テーブルに着いたとき、当該別の遊技テーブルに当該特定プレーヤの存在を知らせる警告機能を有する。具体的には、各遊技テーブル4を管理するピットマネージャや各テーブル責任者に警告することができる。
【0065】
本発明の別の実施例では、管理制御装置50は、各ゲーム参加人6又はプレーヤポジション45毎の同一の人の参加した総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームで得たリターン額、を記憶する。リターン額とは、ゲーム参加人6が賭けの結果得た金額のことである。管理制御装置50は、過去の不正なゲームのデータを教師データとして教示された人工知能を有し、総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームで得たリターン額を計算の基礎として、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人6またはプレーヤポジション45、または遊技テーブル4、または遊技テーブル4の配置されているルームのいずれかで不正の可能性のある有意差が生じているか否かを判定する計算機能を備える。
【0066】
例えば、管理制御装置50は、知能型の制御装置であって、遊技テーブル4において賭けた遊技用代用貨幣9の位置(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)と額(種類と枚数)を把握し、各ゲームの勝敗結果により得られる各ゲーム参加人6の勝敗履歴と得たチップの額(勝った額)を、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)として抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。典型的にはある額(100万ドル)以上の勝ち額の発生や、ある遊技テーブル4のプレー位置7において、負けた時の賭けチップの額が少なく、勝った時の賭けチップの額が多い状態が数ゲーム続き、それが過去のゲームの統計データ(ビッグデータ等)と比較して特異な状況としてこれを抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造の管理制御装置50を備えるものである。さらに、管理制御装置50は過去のゲームの統計データと比較して、不正行為の原因がなにかを特定することができる。
【0067】
管理制御装置50は、過去の不正なゲームのデータを教師データとして教示された人工知能を有しているため、人工知能によって新しく検知される種類の不正行為を検知することができる。
【0068】
管理制御装置50は、有意差があると判定された場合の不正原因を、過去のゲームに関するビッグデータを追加項目として用いて推測し、不正可能性のある原因を列挙する。
【0069】
また、本発明の別の実施例の不正監視システムにおいて、管理制御装置50は、過去の不正なゲームのデータを教師データとして教示された人工知能を有し、更にゲーム参加人6又はプレーヤポジション45毎に同一の人が参加した総ゲーム数、各ゲームの賭けチップ額の推移、各ゲームの勝敗、各ゲームで得たリターン額、を計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人6またはプレーヤポジション45、または遊技テーブル4、または遊技テーブル4の配置されているルームのいずれかで、不正の可能性のある有意差が生じているか否かを判定する計算機能を備えている。
【0070】
本発明のさらに別の実施例では、テーブルゲームの不正監視プログラムが、遊技テーブル4において各ゲームの勝敗結果を把握する勝敗判定ステップと、各ゲームにおいて前記遊技テーブル4上にゲーム参加者6が賭けた遊技用代用貨幣9の額を把握する賭けチップ把握ステップと、遊技テーブル4において行われたゲーム数を記憶すると共に、各ゲームにおいて賭けチップ把握ステップの賭けチップの推移データを用いて、ゲーム参加人6が遊技テーブル4上に置いた遊技用代用貨幣9の賭けパターンを各ゲーム参加人6または遊技テーブル4のプレーヤポジション45毎に特定し記憶するゲーム進行把握管理ステップと、不正行為発生可能性検証ステップと、を有し、不正行為発生可能性検証ステップは、ゲーム参加人6又はプレーヤポジション45毎に同一の人が参加した総ゲーム数、賭けチップ額の推移、ゲーム毎のリターン額、を把握して計算の基礎とし、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人又はプレーヤポジション毎の同一の人の現実の勝率を計算するステップ及び総リターン額の計算ステップを有し、得られた勝率及び総リターン額と、所定のゲーム数における、確率統計計算上あるいは過去のデータを基にした勝率及び総リターン額とを比較して両者に有意差があるか否かを判定する有意差判定ステップと、有意差の生じているゲーム参加人またはプレーヤポジション、または遊技テーブル、または遊技テーブルの配置されているルームのいずれか一つを特定する異常個所決定ステップと、を備える。
【0071】
不正行為発生可能性検証ステップは、各遊技ゲームにおけるディーラ5を特定するディーラ特定ステップをさらに備え、異常個所決定ステップにおいて、有意差の生じている一連のゲームの担当ディーラ5を特定するステップを備える。
【0072】
不正行為発生可能性検証ステップは、過去の不正なゲームのデータを教師データとして学習する人工知能学習ステップをさらに有する。
【0073】
テーブルゲームの不正監視システムは、遊技テーブル4のゲーム参加人6を、顔認証システム又は使用したクレジットカードの情報から特定する装置をさらに有する。
【0074】
以上ではバカラを例に説明したが、テーブルゲームは
図9に示すようなルーレットでもよい。ルーレットではプレーヤごとに色が異なる一種類の遊技用代用貨幣9が使用され、各ゲーム参加人6はベットエリア54にそれぞれ異なる色の遊技用代用貨幣9を置くことで賭けを行う。カメラ装置2はベットエリア54に賭けられた遊技用代用貨幣9の枚数と金額を把握し、遊技用代用貨幣9の色を認識することで、遊技用代用貨幣9を置いたゲーム参加人6を把握する。ルーレットにおける勝敗判定は、カメラ装置2が、ホイール57内でボール59が入ったポケット58を認識することで行われる。またはディーラ5が手入力で行う勝敗判定装置を有していてもよい。
【0075】
他にも、詳細は説明しないが、ブラックジャック、ポーカー、ブリッジ、ダイス等の各種テーブルゲームでもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 プレイングカード
2 カメラ、監視カメラ
3 カード配布装置
4 遊技テーブル
5 ディーラ
6 ゲーム参加人
9 チップ(遊技用代用貨幣)
44 ベットエリア
441 プレーヤエリア
442 バンカーエリア
443 タイエリア
444 プレーヤペアエリア
445 バンカーペアエリア
121 着色層
122 白色層または薄色層
125 RFID