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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101516
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】扉用シャッタ装置、扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/18 20060101AFI20240722BHJP
   E06B 7/21 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
E06B7/18 A
E06B7/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103531
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2023004876
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳一郎
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA08
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036EC03
2E036FA02
2E036FA04
2E036FB01
2E036HB02
(57)【要約】
【課題】 施錠し忘れによる不都合を解消する。
【解決手段】 本発明の扉用シャッタ装置は、隙間を遮蔽するシャッタ本体と、シャッタ本体に係止し、揺動によってシャッタ本体の位置を変化させる揺動体と、揺動体に接触して揺動体の揺動量を調整するスライド体と、スライド体に当接してスライド体を移動させる作動体を備えたものである。スライド体の内部には弾性体を設けてもよい。付勢体の引張力で扉を減速する引き寄せ装置を備えた扉に実装する場合、弾性体には付勢体の引張力よりも弾性力が弱いものを用いることができる。本発明の扉は、本発明の扉用シャッタ装置を備え、シャッタ本体、揺動体及びスライド体は扉に設けられ、作動体は扉の戸先側の戸枠に設けられている。付勢体の引張力で扉を減速する引き寄せ装置を備えている場合、弾性体には付勢体の引張力よりも弾性力が弱いものを用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置であって、
前記隙間を遮蔽するシャッタ本体と、
前記シャッタ本体に係止し、揺動によって当該シャッタ本体の位置を変化させる揺動体と、
前記揺動体に接触して当該揺動体の揺動量を調整するスライド体と、
前記スライド体に当接して当該スライド体を移動させる作動体を備えた、
ことを特徴とする扉用シャッタ装置。
【請求項2】
請求項1記載の扉用シャッタ装置において、
スライド体と作動体の双方又はいずれか一方にマグネットが設けられ、他方に前記マグネットに吸着する磁性部が設けられた、
ことを特徴とする扉用シャッタ装置。
【請求項3】
請求項1記載の扉用シャッタ装置において、
スライド体の内部に弾性体が設けられた、
ことを特徴とする扉用シャッタ装置。
【請求項4】
請求項3記載の扉用シャッタ装置において、
弾性体が、扉の移動方向に伸長するコイルスプリングである、
ことを特徴とする扉用シャッタ装置。
【請求項5】
請求項3記載の扉用シャッタ装置において、
付勢体の引張力で扉を減速する引き寄せ装置を備えた扉に実装されるものであり、
弾性体の弾性力は、前記引き寄せ装置の付勢体の引張力よりも弱い、
ことを特徴とする扉用シャッタ装置。
【請求項6】
扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置を備えた扉において、
前記扉用シャッタ装置が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の扉用シャッタ装置であり、
前記扉用シャッタ装置のうち、シャッタ本体、揺動体及びスライド体が前記扉に設けられ、作動体が当該扉の戸先側の戸枠に設けられた、
ことを特徴とする扉。
【請求項7】
請求項6記載の扉において、
付勢体の引張力で扉を減速する引き寄せ装置を備え、
弾性体の弾性力は、前記引き寄せ装置の付勢体の引張力よりも弱い、
ことを特徴とする扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置と、当該扉用シャッタ装置を備えた扉に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレなどの個室においては、衛生上の観点等から通気性の確保が求められ、扉を閉じた際に扉の周囲に隙間が生じるようにする必要がある。一方で、使用時に生じる音や臭気を気にする人も多く、扉の周囲の隙間から音や臭気が漏れないようにしてほしいという要請がある。
【0003】
このような事情に鑑み、本件出願人は、本件出願に先立ち、必要に応じて扉と床面との間に生じる隙間を遮蔽することのできる扉用シャッタ装置を開発し、特許を取得した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6655315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の扉用シャッタ装置では、扉と床面の隙間を開閉するためには施解錠の操作が必要であり、施錠し忘れると隙間を遮蔽することができず、この点に改善の余地があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、施錠し忘れによる不都合を解消できる扉用シャッタ装置と、当該扉用シャッタ装置を備えた扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[扉用シャッタ装置]
本発明の扉用シャッタ装置は、扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する装置であって、隙間を遮蔽するシャッタ本体と、シャッタ本体に係止し、揺動によって当該シャッタ本体の位置を変化させる揺動体と、揺動体に接触して当該揺動体の揺動量を調整するスライド体と、スライド体に当接して当該スライド体を移動させる作動体を備えたものである。
【0008】
前記扉用シャッタ装置では、スライド体と作動体の双方又はいずれか一方にマグネットを設け、他方にマグネットに吸着する磁性部を設けるようにすることもできる。
【0009】
前記扉用シャッタ装置では、スライド体の内部に弾性体を設けることもできる。この場合、弾性体には、扉の移動方向に伸長するコイルスプリングを用いることができる。
【0010】
前記扉用シャッタ装置は、付勢体の引張力で扉を減速する引き寄せ装置を備えた扉に実装することができる。この場合、弾性体には引き寄せ装置の付勢体の引張力よりも弾性力が弱いものを用いることができる。
【0011】
[扉]
本発明の扉は、扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置を備えた扉であって、扉用シャッタ装置として本発明の扉用シャッタ装置を備えたものである。扉用シャッタ装置のうち、シャッタ本体、揺動体及びスライド体は扉に設けられ、作動体は扉の戸先側の戸枠に設けられている。
【0012】
前記扉が付勢体の引張力で扉を減速する引き寄せ装置を備えたものである場合、弾性体には、引き寄せ装置の付勢体の引張力よりも弾性力が弱いものを用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、扉の開閉だけで隙間を開閉することができるため、施錠忘れによる不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】扉用シャッタ装置を備えた扉の一例を示すもの。
図2】(a)は扉を開いた状態の斜視図、(b)は扉を閉じた状態の斜視図。
図3】(a)は扉用シャッタ装置の一例を示す分解斜視図、(b)は揺動体の当接部の拡大説明図、(c)はスライド体の拡大説明図、(d)はシャッタガイドの拡大説明図。
図4】(a)~(c)は図3(a)の扉用シャッタ装置を正面から見た場合の動作説明図。
図5】(a)~(c)は図4(a)~(c)の部分拡大図。
図6】(a)は図5(a)のA-A矢視図、(b)は図5(b)のB-B矢視図、(c)は図5(c)のC-C矢視図。
図7】(a)は扉用シャッタ装置の他例を示す分解斜視図、(b)はスライド体の拡大説明図、(c)は保持体の拡大説明図。
図8】(a)~(c)は図7(a)の扉用シャッタ装置を正面から見た場合の動作説明図。
図9】(a)~(c)は図8(a)~(c)の部分拡大図。
図10】(a)は扉用シャッタ装置の他例を示す分解斜視図、(b)はスライド体の拡大説明図、(c)は保持体の拡大説明図。
図11】(a)~(c)は図10(a)の扉用シャッタ装置を正面から見た場合の動作説明図。
図12】(a)~(c)は図11(a)~(c)の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。図1及び図2(a)(b)に示すように、本発明の扉用シャッタ装置10は扉Dに実装して使用される。本発明の扉用シャッタ装置10は開き戸にも適用することができるが、ここでは、扉用シャッタ装置10を引戸に適用した場合を一例として説明する。
【0016】
図3(a)に示すように、この実施形態の扉用シャッタ装置10は、シャッタ本体11、シール材12、揺動体13、シャッタガイド14、シャッタケース15、スライド体16、シャッタキャップ17、作動体18を備えている。
【0017】
前記シャッタ本体11は、扉Dの下側の隙間を遮蔽する部材である。この実施形態のシャッタ本体11は扉Dの幅方向に長い部材であり、下面側に長溝状のシール材収まり部11aが、上面側に長溝状の収容溝11bが設けられている。
【0018】
シール材収まり部11aにはシール材12が収められている。シール材12は、ゴムやシリコンといった各種弾性材で構成することができる。この実施形態のシール材12はシャッタ本体11と同程度の長さの部材であり、下端側がシャッタ本体11の下端よりも下側に突出するように、当該シャッタ本体11のシール材収まり部11aに設けられている。
【0019】
シャッタ本体11の収容溝11bには、シャッタ本体11を昇降させる(シャッタ本体11の位置を変化させる)ための揺動体13が設けられている。この実施形態の揺動体13は上辺が山形に形成された横長の横向き梯子状部材であり、長手方向一端側には後述するスライド体16と当接する当接部13aが、他端側にはシャッタ本体11の一部に係止する係止突起13bが設けられている。
【0020】
この実施形態の当接部13aは、薄板部13cと薄板部13cの厚さ方向両面側に突出した突出部13dを備えている。図3(a)(b)に示すように、突出部13dには、後述するスライド体16の規制凸部16e(図3(c))に当接する上ガイド面13e及び斜めガイド面13fが設けられている。この実施形態では、上ガイド面13eは水平面、斜めガイド面13fは戸先側から戸尻側に向けて下り傾斜としてある。
【0021】
揺動体13の長手方向中央よりも当接部13a側に偏芯した位置であって、揺動体13の上端側の位置には、支持ピン挿通孔13gが設けられている。この支持ピン挿通孔13gは、揺動体13をシャッタケース15内に支持する際に用いる揺動体支持ピン13hを挿通するための筒状部である。
【0022】
シャッタ本体11の収容溝11bのうち、揺動体13の長手方向両外側にはシャッタガイド14が一つずつ設けられている。シャッタガイド14は、シャッタ本体11を水平に上下動させるためのガイド部材である。
【0023】
図3(a)(d)に示すように、各シャッタガイド14は、ビス孔14aを有する筒状部14bと、ガイド長孔14cを有するガイド部14dを備えている。各シャッタガイド14は図示しないビスによって、シャッタ本体11の収容溝11b内に固定されている。
【0024】
各シャッタガイド14のガイド長孔14c内には、円筒状のスペーサ部材14eが挿通されている。各スペーサ部材14eは後述するシャッタケース15の長手方向に交差する向きで配置されている。
【0025】
各スペーサ部材14eには固定ピン14fが挿通され、当該固定ピン14fがシャッタケース15の両対向面15a、15bに係止されることで、各スペーサ部材14eがシャッタケース15の所定位置に保持されている。
【0026】
前記シャッタケース15はシャッタ本体11や揺動体13、スライド体16等が収まる空間を備えた長尺部材である。この実施形態のシャッタケース15は対向面15a、15bを有する下向きコ字状の部材であり、下側にはシャッタ本体11が出入りするための開口が設けられている。
【0027】
シャッタケース15内に収められた揺動体13は、シャッタケース15の両対向面15a、15bの間に配置され、両対向面15a、15bに形成された第一挿通孔15c及び揺動体13の支持ピン挿通孔13gに挿通された揺動体支持ピン13hで揺動可能に支持されている。
【0028】
また、シャッタケース15内に収められたシャッタ本体11は、シャッタケース15の両対向面15a、15bの間に配置され、両対向面15a、15bに形成された第二挿通孔15d及び各シャッタガイド14のガイド長孔14cに挿通されたスペーサ部材14eで軸支されている。
【0029】
戸先側のシャッタガイド14の上方であって、揺動体13の戸先側の位置には、スライド体16が設けられている。スライド体16は、揺動体13の当接部13aに当接して、揺動体13を揺動させる(揺動体13に接触して揺動体13の揺動量を調整する)ための部材である。
【0030】
この実施形態のスライド体16は、扉Dの移動方向に長い細長のブロック状部材である。図3(c)に示すように、スライド体16の内部は、第一空間16a、第二空間16b、第三空間16cの三つの空間に仕切られている。
【0031】
第一空間16aはマグネット16dが収容される空間、第二空間16bはシャッタガイド14が収まる空間、第三空間16cは揺動体13の当接部13aが収まる空間である。第三空間16cは対向する対向壁部の間に形成された上下開口の空間であり、揺動体13は下側の開口から第三空間16c内に入り込むようにしてある。
【0032】
図3(c)及び図6(a)~(c)に示すように、第三空間16cを形成する両対向壁部の戸尻側の位置には、対向する他方の対向壁部側に向けて規制凸部16eが突設されている。規制凸部16eは、揺動体13の当接部13aに形成された上ガイド面13eに当接する部分である。
【0033】
規制凸部16eが揺動体13の上ガイド面13eと当接している場合、規制凸部16eによって揺動体13の当接部13a側が上がらないように抑えられ、揺動体13が水平又は略水平の状態で保持される。このとき、揺動体13に係止したシャッタ本体11は、揺動体13によって支持され、シャッタケース15内に隠れている。
【0034】
一方、規制凸部16eが揺動体13の斜めガイド面13fと当接している場合、規制凸部16eによる揺動体13の支持が解除され、揺動体13の当接部13a側が上方に上がり始める。このとき、揺動体13に係止したシャッタ本体11は、揺動体13の動きに伴って下がり始め、揺動体13の戸先側が最上位に到達するとシャッタ本体11が最下部まで下がり、扉Dの下の隙間が遮蔽される。
【0035】
スライド体16の戸先側の下側には、スペーサ19が設けられている。この実施形態のスペーサ19は円筒状の部材であり、スライド体16のスライド方向に交差する向きで設けられている。
【0036】
スペーサ19には固定ピン19aが挿通され、当該固定ピン19aがシャッタケース15の両対向面15a、15bに係止されることで、スペーサ19がシャッタケース15の所定位置に保持されている。
【0037】
スペーサ19はスペーサ部材14eと同じ高さに設けられ、スライド体16が作動体18に突き当たっていない間は、これらスペーサ16及びスペーサ部材14eによってスライド体16が水平に支持されるようにしてある。
【0038】
シャッタ本体11、揺動体13、シャッタガイド14が収められたシャッタケース15の長手方向両端部には、シャッタケース15の長手方向両端の開口を閉塞するシャッタキャップ17が設けられている。
【0039】
戸先側のシャッタキャップ17aは、閉塞面17bと当該閉塞面17bの周縁から突設したU字状の壁部17cを備えている。戸先側のシャッタキャップ17aは、壁部17cをシャッタケース15の端面から押し込むだけで装着できるように構成されている。閉塞面17bには、作動体18の作動凸部18bが通過する通過孔17dが設けられている。
【0040】
戸尻側のシャッタキャップ17eは、閉塞面17fと当該閉塞面17fから突設された嵌合部17gが設けられている。戸尻側のシャッタキャップ17eは、嵌合部17gをシャッタケース15の端面から押し込むだけで装着できるように構成されている。
【0041】
シャッタ本体11、揺動体13、シャッタガイド14、スライド体16が収められ、シャッタキャップ17が装着されたシャッタケース15は、戸先側のシャッタキャップ17aの閉塞面17bが扉Dの端面に宛がわれるように配置され、図示しない止めネジで止めることで扉Dに固定することができる。
【0042】
前記作動体18は、スライド体16に当接してスライド体16を移動させる(戸尻側にスライドさせる)ための部材である。この実施形態の作動体18は、縦長の取付け面18aと取付け面18aの一面側から戸尻側に向けて突出した作動凸部18bを備えている。作動体18は、作動凸部18bがシャッタキャップ17の通過孔17dを通過するように、止めネジ18cで戸枠F(図2(a)(b))に固定される。
【0043】
この実施形態の作動体18は、マグネット16dに吸着する素材(磁性体)で構成されている。なお、作動体18はマグネット16dに吸着する部分(磁性部)を備えていればよい。たとえば、作動体18は作動凸部18bだけを磁性体材料で構成し、それ以外の部分を非磁性体で構成したり、非磁性体で構成した作動凸部18bに磁性体の部材を取り付けて構成したりすることもできる。
【0044】
スライド体16にマグネット16dを設けると共に、作動体18を磁性部を備えた構成とすることで、閉じた状態の扉Dを開く際にスライド体16が作動体18の磁性部に吸着してその場にとどまり、揺動体13を水平状態に復帰させることができる。これにより、扉Dを開くだけで揺動体13及びスライド体16が初期状態に復帰し、次の閉動作に備えることができる。
【0045】
この実施形態では、スライド体16をマグネット16dを備えた構成とし、作動体18を磁性部を備えた構成とする場合を一例としているが、これとは反対に、スライド体16を磁性部を備えた構成とし、作動体18をマグネットを備えた構成することもできる。
【0046】
なお、この実施形態のように、スライド体16と作動体18が吸着する構成とした場合、両者が吸着しない場合に比べると、扉Dを開く際に若干の抵抗が加わるが、この実施形態の扉用シャッタ装置10では、揺動体支持ピン13hを支点、当接部13aを力点、係止突起13bを作用点とする梃子の原理を利用しているため、扉Dの開閉操作への影響は極めて小さい。
【0047】
また、扉用シャッタ装置10は取り付ける扉Dのサイズに合わせて長さをカットする必要があり、様々なサイズの扉Dに対応できるように、カット可能な領域は広い方が良いとされる。本実施形態では、シャッタ本体11を上げ下げするための機構が扉Dの戸先側に収まっていると共に、作動体18が戸先側の戸枠Fに設けられているため、シャッタ本体11やシャッタケース15のうち、戸尻側のシャッタガイド14よりも戸尻側の範囲をカット可能な領域として使うことができ、様々なサイズの扉Dに対応することができる。
【0048】
ここで説明した扉用シャッタ装置10の構成は一例である。本発明の扉用シャッタ装置10の構成はこの実施形態の構成に限定されるものではなく、所期の目的を達成できる範囲で、構成の省略や追加、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0049】
(実施形態1の扉用シャッタ装置の動作)
次に、実施形態1の扉用シャッタ装置10の動作について説明する。ここでは、扉Dの下の隙間をシャッタ本体11で遮蔽する場合の動作と、扉Dの下の隙間を開放する場合の動作に分けて説明する。
【0050】
<扉の下の隙間をシャッタ本体で遮蔽する場合の動作>
はじめに、扉Dの下の隙間をシャッタ本体11で遮蔽する場合の動作について説明する。
(1)図4(a)及び図5(a)は、扉Dが開いた状態を示すものである。この状態では、揺動体13の当接部13aの上ガイド面13eが、スライド体16の規制凸部16eに当接して水平に支持され、シャッタ本体11がシャッタケース15内に収まっている。
(2)前記(1)の状態から更に扉Dを閉める方向に移動させると、作動凸部18bによってスライド体16が戸尻側にスライドする(図4(b)及び図5(b))。この状態では、当接部13aの斜めガイド面13fがスライド体16の規制凸部16eに当接するようになり、揺動体13の戸先側が上方に上がり始める。揺動体13の戸先側が上方に上がり始めると、その動きに伴って、当該揺動体13の他端側の係止突起13bに係止したシャッタ本体11が下がり始め、扉Dの下の隙間が半分程度遮蔽される。
(3)前記(2)の状態から更に扉Dを完全に閉じる位置まで移動させると、作動凸部18bによってスライド体16が戸尻側までスライドしきる(図4(c)及び図5(c))。この状態では、当接部13aの斜めガイド面13fがスライド体16の規制凸部16eに当接しながら、揺動体13の戸先側が最上位まで上がる。揺動体13の戸先側が最上位まで上がると、この動作に伴ってシャッタ本体11が最下部まで下がり、扉Dの下の隙間が遮蔽される。
【0051】
<扉の下の隙間を開放する場合の動作>
次に、扉Dの下の隙間を開放する場合の動作について説明する。
(1)図4(c)及び図5(c)は、扉Dが閉じた状態を示すものである。この状態では、揺動体13の戸先側が最上位に位置し、シャッタ本体11によって扉Dの下の隙間が遮蔽されている。
(2)前記(1)の状態で扉Dを開く方向に移動させると、揺動体13が同方向に移動し始める。このとき、スライド体16の内部に設けられたマグネット16dが作動凸部18bに吸着して、スライド体16がその場に留まる(図4(b)及び図5(b))。この結果、揺動体13の斜めガイド面13fとスライド体16の規制凸部16eの当接位置が徐々に変化し、揺動体13の戸先側が下方に下がり始める。揺動体13の戸先側が下方に下がり始めると、その動作に伴って、揺動体13の他端側の係止突起13bに係止したシャッタ本体11が持ち上がり始める。
(3)前記(2)の状態で更に扉Dを開く方向に移動させると、揺動体13の斜めガイド面13fがスライド体16の規制凸部16eから抜け、上ガイド面13eに当接する(図4(a)及び図5(a))。この状態では、揺動体13が水平に支持され、シャッタ本体11がシャッタケース15内に収まる。
【0052】
(実施形態2)
本発明の実施形態の他例を、図面を参照して説明する。この実施形態の扉用シャッタ装置10の基本的な構成は実施形態1と同様である。実施形態1との主な相違点は、スライド体16の構造、マグネット16dが設けられていない点、スプリング20が設けられた点、及び、スプリング20を保持する保持体21が設けられた点である。以下では、実施形態1と異なる点を中心に説明し、実施形態1と共通する事項については説明を適宜省略する。
【0053】
図7(a)~(c)に示すように、この実施形態のスライド体16は、前記実施形態1のスライド体16と同様、扉Dの移動方向に長い細長のブロック状部材であり、内部が、第二空間16b及び第三空間16cの二つの空間に仕切られている。
【0054】
第二空間16bは保持体21及びスプリング20が収まる空間、第三空間16cは揺動体13の当接部13aが収まる空間である。第二空間16bの底面には開口が設けられ、その開口から保持体21をセットできるようにしてある。
【0055】
第二空間16bの内面16gには、スプリング20を支持する第一支持突起16fが内向きに(第三空間16c側に向けて)突出して設けられている。第一支持突起16fにはスプリング20の一端側が被さるようにセットされ、スプリング20の他端側を支持する第二支持突起21fと協働してスプリング20が保持される。
【0056】
前記保持体21は、スプリング20を保持するための部材である。この実施形態のスプリング保持体21は、扉の移動方向に長いベース部21a及びベース部21aの長手方向一端側から上向きに立ち上がった立設部21bを備えた正面視L字状の部材である。
【0057】
前記ベース部21aは、シャッタ本体11が上昇する際の衝突音を抑える機能を果たす部分である。この実施形態のベース部21aは、長方形状の長板部21cと長板部21cの長手方向両端に筒部(以下、一方の筒部を「第一筒部21d」、他方の筒部を「第二筒部21e」という)を備えている。
【0058】
この実施形態では、長板部21cが平板状の場合を一例としているが、長板部21cは下向きに凸となるように湾曲させておくこともできる。長板部21cをこのような形状とした場合、シャッタ本体11が衝突した際に長板部21cが弾性変形するため、平板状の場合に比べて緩衝効果が高くなる。
【0059】
第一筒部21d及び第二筒部21eは、保持体21がスライド体16の第二空間16bに収容された際にスライド体16内には収容されず、スライド体16の底面よりも下側に突出するようにしてある。なお、保持体21は、第一筒部21dに挿通される固定ピン19aによってシャッタケース15に保持されている。
【0060】
立設部21bには、第一支持突起16fに対向する向きに突出する第二支持突起21fが設けられている。保持体21がスライド体16の第二空間16bにセットされると、スライド体16の内面に設けられた第一支持突起16fと第二支持突起21fが正対し、それら第一支持突起16f及び第二支持突起21fによってスプリング20が保持される。
【0061】
前記スプリング20は、扉Dの開操作をサポートする部材である。スプリング20には、たとえばコイルスプリングを用いることができる。スプリング20はコイルスプリング以外であっても良い。また、スプリング以外のバネ等、スプリング20に代えて他の弾性体を用いることもできる。
【0062】
スプリング20は、扉Dに実装される他の部材との兼ね合いを考慮して選定するのが好ましい。たとえば、扉Dが全閉する手前の制動開始位置に至ったときに、付勢ばね(付勢体)の引張力で扉Dを引き寄せながら減速して閉止する引き寄せ装置(例えば、特許第5982420号の引戸制動装置)が扉Dに実装されている場合、当該引き寄せ装置の付勢体の引張力よりも力(弾性力)の弱いスプリングを選定するのが好ましい。なお、引き寄せ装置がばね以外の付勢体を備えている場合には、当該付勢体の引張力よりも力の弱いものを選定するのが好ましい。
【0063】
引き寄せ装置が実装された扉Dは、付勢体の力に抗って扉Dを開く必要があるため、引き寄せ装置を備えない扉Dに比べて、開く方向への操作が重くなる。このため、引き寄せ装置が扉Dの付勢体の引張力よりも力の強いスプリング20を用いると、扉Dが閉まらない。
【0064】
この点、引き寄せ装置の引張力よりも力の弱いスプリングを用いることで、扉Dが閉まらなくなるという弊害を回避することができる。他の実施形態と同様、この実施形態の扉用シャッタ装置10も、引き寄せ装置の有無にかかわらず用いることができるが、扉Dに引き寄せ装置が実装されている場合に特に好適に用いることができる。
【0065】
(実施形態2の扉用シャッタ装置の動作)
次に、実施形態2の扉用シャッタ装置10の動作について説明する。ここでは、実施形態2のシャッタ装置10が、引き寄せ装置が実装された扉Dに設けられた場合を一例とする。なお、実施形態1の場合と同様、扉Dの下の隙間をシャッタ本体11で遮蔽する場合の動作と、扉Dの下の隙間を開放する場合の動作に分けて説明する。
【0066】
<扉の下の隙間をシャッタ本体で遮蔽する場合の動作>
はじめに、扉Dの下の隙間をシャッタ本体11で遮蔽する場合の動作について説明する。
(1)図8(a)及び図9(a)は、扉Dが開いた状態を示すものである。この状態では、揺動体13の当接部13aの上ガイド面13eがスライド体16の規制凸部16eに当接して水平に支持され、シャッタ本体11がシャッタケース15内に収まった状態となる。このとき、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離は最も広く、両者間のスプリング20は最も伸長した状態にある。
(2)前記(1)の状態から扉Dを閉める方向に移動させると、スライド体16の戸先側の端面が作動体18の作動凸部18bに当接し、スライド体16が戸尻側にスライドする(図8(b)及び図9(b))。このとき、スライド体16の戸尻側へのスライドによって保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離が前記(1)の状態よりも狭くなり、スプリング20が圧縮されはじめる。この状態では、当接部13aの斜めガイド面13fとスライド体16の規制凸部16eが当接し、揺動体13の戸先側が上がり始める。揺動体13の戸先側が上がり始めると、その動きに伴って、当該揺動体13の他端側の係止突起13bに係止したシャッタ本体11が下がり始め、扉Dの下の隙間が半分程度遮蔽される。
(3)前記(2)の状態から扉Dを閉じる方向に更に移動させると、作動凸部18bによってスライド体16が戸尻側にスライドする(図8(c)及び図9(c))。このとき、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離は前記(2)の状態よりも狭くなり、スプリング20が最も圧縮された状態になる。この状態では、当接部13aの斜めガイド面13fがスライド体16の規制凸部16eに当接しながら、揺動体13の戸先側が最上位まで上がる。揺動体13の戸先側が最上位まで上がると、シャッタ本体11が最下部まで下がり、扉Dの下の隙間が遮蔽される。なお、閉じられた扉Dは引き寄せ装置によって、閉じた位置で維持される。
【0067】
<扉の下の隙間を開放する場合の動作>
次に、扉Dの下の隙間を開放する場合の動作について説明する。
(1)図8(c)及び図9(c)は、扉Dが閉じた状態を示すものである。この状態では、揺動体13の戸先側が最上位に位置し、シャッタ本体11によって扉Dの下の隙間が遮蔽されている。また、扉Dが閉じた状態では、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離は最も狭く、スプリング20が最も圧縮されている。
(2)前記(1)の状態から、図8(b)及び図9(b)のように、引き寄せ装置の付勢ばねの引張力に抗って扉Dを開く方向に移動させる。扉Dの移動によってスライド体16が作動凸部18bから離れると、スプリング20が伸長してスライド体16が戸先方向に移動し、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離が広がる。このときのスプリング20の弾性力によって、扉Dに開く方向の力が働く。この力により、扉Dの開く方向への操作がサポートされ、扉Dを開く操作が軽くなる。なお、扉Dの開く方向への移動に伴って、揺動体13の斜めガイド面13fとスライド体16の規制凸部16eの当接位置が徐々に変化し、揺動体13の戸先側が下がり始める。揺動体13の戸先側が下がり始めると、その動きに伴って、揺動体13の他端側の係止突起13bに係止したシャッタ本体11が持ち上がり始める。
(3)前記(2)の状態で扉Dを開く方向に更に移動させると、揺動体13の斜めガイド面13fがスライド体16の規制凸部16eから抜け、上ガイド面13eが規制凸部16eに当接する(図8(a)及び図9(a))。この状態では、揺動体13が水平に支持され、シャッタ本体11がシャッタケース15内に収まる。なお、このときも、スライド体16の戸先方向への移動に伴ってスプリング20が伸長し、その際のスプリング20の弾性力によって扉Dに開く方向の力が働く。この力により、扉Dの開く方向への操作がサポートされ、扉Dを開く操作が軽くなる。
【0068】
なお、ここでは、実施形態2の扉用シャッタ装置10が引き寄せ装置が実装された扉Dに設けられた場合を一例としているが、実施形態2の扉用シャッタ装置10は、引き寄せ装置が実装されていない扉Dに設けて使用することもできる。この場合、閉じた扉Dを離したときに、スプリング20の弾性力によって扉Dが開いてしまう可能性がある。この場合、扉Dを閉じた位置で保持するためのストッパーを戸枠に設ける等の対応を取ることができる。
【0069】
(実施形態3)
本発明の実施形態の他例を、図面を参照して説明する。この実施形態の扉用シャッタ装置10は、前記実施形態1と2を組み合わせたものであり、スプリング20とマグネット16dの双方を備えたものである。
【0070】
この実施形態の扉用シャッタ装置10の基本的な構成は実施形態2と同様である。実施形態2との主な相違点は、スライド体16の構造、及び、スライド体16内にマグネット16dが設けられた点である。以下では、実施形態2と異なる点を中心に説明し、実施形態2と共通する事項については説明を適宜省略する。
【0071】
図10(a)~(c)に示すように、この実施形態のスライド体16は、前記実施形態1のスライド体16と同様、扉Dの移動方向に長い細長のブロック状部材であり、内部が、第一空間16a、第二空間16b及び第三空間16cの二つの空間に仕切られている。
【0072】
第一空間16aはマグネット16dが収容される空間、第二空間16bは保持体21及びスプリング20が収まる空間、第三空間16cは揺動体13の当接部13aが収まる空間である。第一空間16aにはマグネット16dが、第二空間16bには保持体21及びスプリング20が収容されている。マグネット16d及び作動体18の構成は、実施形態1と同様である。
【0073】
なお、実施形態1の場合と同様、スライド体16にマグネット16dを設ける代わりに、作動体18(より詳細には、作動凸部18b)にマグネットを設けることもできる。この場合、スライド体16を磁性体を備えた構成とすればよい。
【0074】
(実施形態3の扉用シャッタ装置の動作)
次に、実施形態3の扉用シャッタ装置10の動作について説明する。実施形態1及び2の場合と同様、扉Dの下の隙間をシャッタ本体11で遮蔽する場合の動作と、扉Dの下の隙間を開放する場合の動作に分けて説明する。
【0075】
<扉の下の隙間をシャッタ本体で遮蔽する場合の動作>
はじめに、扉Dの下の隙間をシャッタ本体11で遮蔽する場合の動作について説明する。
(1)図11(a)及び図12(a)は、扉Dが開いた状態を示すものである。この状態では、揺動体13の当接部13aの上ガイド面13eがスライド体16の規制凸部16eに当接して水平に支持され、シャッタ本体11がシャッタケース15内に収まった状態となる。このとき、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離は最も広く、両者間のスプリング20は最も伸長した状態にある。
(2)前記(1)の状態から扉Dを閉める方向に移動させると、スライド体16の戸先側の端面が作動体18の作動凸部18bに当接してマグネット16と作動凸部18が吸着し、スライド体16が戸尻側にスライドする(図11(b)及び図12(b))。このとき、スライド体16の戸尻側へのスライドによって保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離が前記(1)の状態よりも狭くなり、スプリング20が圧縮されはじめる。この状態では、当接部13aの斜めガイド面13fとスライド体16の規制凸部16eが当接し、揺動体13の戸先側が上がり始める。揺動体13の戸先側が上がり始めると、その動きに伴って、当該揺動体13の他端側の係止突起13bに係止したシャッタ本体11が下がり始め、扉Dの下の隙間が半分程度遮蔽される。
(3)前記(2)の状態から扉Dを閉じる方向に更に移動させると、作動凸部18bによってスライド体16が戸尻側にスライドする(図11(c)及び図12(c))。このとき、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離は前記(2)の状態よりも狭くなり、スプリング20が最も圧縮された状態になる。この状態では、当接部13aの斜めガイド面13fがスライド体16の規制凸部16eに当接しながら、揺動体13の戸先側が最上位まで上がる。揺動体13の戸先側が最上位まで上がると、シャッタ本体11が最下部まで下がり、扉Dの下の隙間が遮蔽される。
【0076】
<扉の下の隙間を開放する場合の動作>
次に、扉Dの下の隙間を開放する場合の動作について説明する。
(1)図11(c)及び図12(c)は、扉Dが閉じた状態を示すものである。この状態では、揺動体13の戸先側が最上位に位置し、シャッタ本体11によって扉Dの下の隙間が遮蔽されている。また、扉Dが閉じた状態では、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離は最も狭く、スプリング20が最も圧縮されている。なお、この状態では、スライド体16の内部に設けられたマグネット16dが作動凸部18bに吸着している。
(2)前記(1)の状態から、図11(b)及び図12(b)のように、扉Dを開く方向に移動させる。扉Dの移動によって、マグネット16gと作動凸部18bの吸着が解け、スライド体16が作動凸部18bから離れると、スプリング20が伸長してスライド体16が戸先方向に移動し、保持体21の立設部21bとスライド体16の内面16gの距離が広がる。このときのスプリング20の弾性力によって扉Dに開く方向の力が働く。この力により、扉Dの開く方向への操作がサポートされ、扉Dを開く操作が軽くなる。なお、扉Dの開く方向への移動に伴って、揺動体13の斜めガイド面13fとスライド体16の規制凸部16eの当接位置が徐々に変化し、揺動体13の戸先側が下がり始める。揺動体13の戸先側が下がり始めると、その動きに伴って、揺動体13の他端側の係止突起13bに係止したシャッタ本体11が持ち上がり始める。
(3)前記(2)の状態で扉Dを開く方向に更に移動させると、揺動体13の斜めガイド面13fがスライド体16の規制凸部16eから抜け、上ガイド面13eが規制凸部16eに当接する(図11(a)及び図12(a))。この状態では、揺動体13が水平に支持され、シャッタ本体11がシャッタケース15内に収まる。なお、このときも、スライド体16の戸先方向への移動に伴ってスプリング20が伸長し、その際のスプリング20の弾性力によって扉Dに開く方向の力が働く。この力により、扉Dの開く方向への操作がサポートされ、扉Dを開く操作が軽くなる。
【0077】
なお、ここでは実施形態3の扉用シャッタ装置10が、引き寄せ装置が実装されていない扉Dに設けられた場合を一例としているが、実施形態2の扉用シャッタ装置10と同様、実施形態3の扉用シャッタ装置10も、引き寄せ装置が実装された扉Dに設けて使用することができる。
【0078】
前記各実施形態は一例であり、本発明の扉用シャッタ装置及び扉用シャッタ装置を備えた扉の構成は、前記各実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の扉用シャッタ装置及び扉用シャッタ装置を備えた扉の構成は、所期の目的を達成できる範囲で、適宜、構成の追加、入れ替え、省略といった変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の扉用シャッタ装置10は、隙間の開放と遮蔽の切替えが必要な各種扉Dに実装して利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 扉用シャッタ装置
11 シャッタ本体
11a シール材収まり部
11b 収容溝
12 シール材
13 揺動体
13a 当接部
13b 係止突起
13c 薄板部
13d 突出部
13e 上ガイド面
13f 斜めガイド面
13g 支持ピン挿通孔
13h 揺動体支持ピン
14 シャッタガイド
14a ビス孔
14b 筒状部
14c ガイド長孔
14d ガイド部
14e スペーサ部材
14f 固定ピン
15 シャッタケース
15a、15b 対向面
15c 第一挿通孔
15d 第二挿通孔
16 スライド体
16a 第一空間
16b 第二空間
16c 第三空間
16d マグネット
16e 規制凸部
16f 第一支持突起
16g 内面
17 シャッタキャップ
17a 戸先側のシャッタキャップ
17b 閉塞面
17c 壁部
17d 通過孔
17e 戸尻側のシャッタキャップ
17f 閉塞面
17g 嵌合部
18 作動体
18a 取付け面
18b 作動凸部
18c 止めネジ
19 スペーサ
19a 固定ピン
20 スプリング
21 保持体
21a ベース部
21b 立設部
21c 長板部
21d 第一筒部
21e 第二筒部
21f 第二支持突起
D 扉
F 戸枠
図1
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図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12