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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101526
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】スマートバッテリー温度補償方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20240722BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240722BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240722BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G01R31/00
H01M10/48 301
H02J7/00 S
H02H7/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149364
(22)【出願日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】112101957
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
【住所又は居所原語表記】No.188,Wenhua 2nd Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】顏 維廷
【テーマコード(参考)】
2G036
5G053
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G036AA18
2G036BB08
5G053AA14
5G053BA01
5G053BA06
5G053CA04
5G053FA05
5G053FA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CB11
5G503DA04
5G503DA15
5G503FA18
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS14
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】複数の冷却動作を用いてバッテリー温度を模擬のバッテリー温度に一致させるバッテリー温度補償方法を提供する。
【解決手段】スマートバッテリー温度補償方法は、電子機器内のバッテリー装置のバッテリー温度を検出するステップと、バッテリー温度とバッテリー装置の模擬のバッテリー温度との差が許容値内であるかどうかを判定するステップであって、模擬のバッテリー温度は、電子機器の現在の消費電力に従って模擬されるステップと、バッテリー装置のバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内にないと判定した場合に、バッテリー装置のバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内になるまで、多段階の冷却動作を実行するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器内のバッテリー装置のバッテリー温度を検出するステップと、
前記バッテリー温度と前記バッテリー装置の模擬のバッテリー温度との差が許容値内であるかどうかを判定するステップであって、前記模擬のバッテリー温度は、前記電子機器の現在の消費電力に従って模擬されるステップと、
前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との差が前記許容値内にないと判定した場合に、前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との差が許容値内になるまで、多段階の冷却動作を実行するステップと、を含む、スマートバッテリー温度補償方法。
【請求項2】
前記多段階の冷却動作は、
前記電子機器の少なくとも1つの回転速度を増加させる第1の段階の冷却動作と、
前記電子機器のプロセッサの動作周波数を最大動作周波数の75%に設定する第2の段階の冷却動作と、
前記電子機器の前記プロセッサの前記動作周波数を前記最大動作周波数の50%に設定する第3の段階の冷却動作と、
前記電子機器の前記プロセッサの前記動作周波数を前記最大動作周波数の25%に設定する第4の段階の冷却動作と、
前記電子機器の前記プロセッサの前記動作周波数を前記最大動作周波数の25%未満に設定する第5の段階の冷却動作と、
前記電子機器のディスプレイの輝度を低下させる第6の段階の冷却動作と、
前記電子機器の複数のUSBポートを閉じる第7の段階の冷却動作と、を含み、
後続の各段階の冷却動作は、前の段階の冷却動作よりも高い冷却効果を有し、
前記多段階の冷却動作のうち何れかの段階の冷却動作の実行が、前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との差を前記許容値内に効果的に収めることができない場合に、前記多段階の冷却動作の次の段階の冷却動作が実行される、請求項1に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項3】
前記電子機器の前記現在の消費電力が軽負荷動作、中負荷動作又は高負荷動作にあるかどうかを判定するステップをさらに含み、
前記軽負荷動作は、前記電子機器の前記現在の消費電力が前記電子機器の最大消費電力の1%~35%の間である場合であり、
前記中負荷動作は、前記電子機器の前記現在の消費電力が前記電子機器の前記最大消費電力の36%~75%の間である場合であり、
前記高負荷動作は、前記電子機器の前記現在の消費電力が前記電子機器の前記最大消費電力の76%~100%の間である場合である、請求項2に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項4】
前記電子機器が前記軽負荷動作にあると判定された場合に、前記許容値は3℃以下である、請求項3に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項5】
前記電子機器が前記中負荷動作にあると判定された場合に、前記許容値は5℃以下である、請求項3に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項6】
前記電子機器が前記高負荷動作にあると判定された場合に、前記許容値は8℃以下である、請求項3に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項7】
前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との間の前記差が前記許容値内でない場合に、前記差が9℃以下であるかどうかを判定するステップと、
前記差が9℃以下であると判定された場合に、前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との前記差が前記許容値内になるまで、前記第5の段階の冷却動作から前記多段階の冷却動作を実行するステップと、をさらに含む、請求項6に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項8】
前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との間の前記差が前記許容値内でない場合に、前記差が10℃以下であるかどうかを判定するステップと、
前記差が10℃以下であると判定された場合に、前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との前記差が前記許容値内になるまで、前記第6の段階の冷却動作から前記多段階の冷却動作を実行するステップと、をさらに含む、請求項6に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項9】
前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との間の前記差が前記許容値内でない場合に、前記差が11℃以下であるかどうか判定するステップと、
前記差が11℃以下であると判定された場合に、前記バッテリー装置の前記バッテリー温度と前記模擬のバッテリー温度との前記差が前記許容値内になるまで、前記第7の段階の冷却動作から前記多段階の冷却動作を実行するステップと、をさらに含む、請求項6に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【請求項10】
前記差が11℃より大きいと判定した場合に、前記電子機器をオフにするステップをさらに含む、請求項9に記載のスマートバッテリー温度補償方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2023年1月17日に出願された台湾特許出願番号第112101957号についての優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0002】
本発明は、バッテリー温度補償方法に関し、特に、複数の冷却動作(cooling operation)を用いてバッテリー温度を模擬の(simulated)バッテリー温度に一致させるバッテリー温度補償方法に関する。
【背景技術】
【0003】
技術の発展に伴い、サーバー、電気自動車及びモバイル機器等の既存の電子機器の多くはバッテリー装置によって電力供給されている。温度センサーは、通常、バッテリー装置内に設置され、これらの電子機器内のバッテリー装置のバッテリー温度を検出する。検出されたバッテリー温度を、様々なアプリケーションに用いることができる。例えば、バッテリーが望ましくない高温になっているかどうかを判定することができ、これにより、様々な保護機構を用いて、バッテリーが損傷するのを防ぐことができる。
【0004】
しかしながら、既存の電子機器内のバッテリー装置は大きい面積を有し、温度センサーは、1つの検出点のみを用いてバッテリー装置のバッテリー温度を検出する。言い換えれば、温度センサーが検出したバッテリー温度は、全体のバッテリー装置の平均的なバッテリー温度ではないということである。従って、検出されたバッテリー温度を模擬のバッテリー温度に一致させる、バッテリー温度を補償する方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の冷却動作を用いてバッテリー温度を模擬のバッテリー温度に一致させるバッテリー温度補償方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、スマートバッテリー温度補償方法を提供する。スマートバッテリー温度補償方法は、電子機器内のバッテリー装置のバッテリー温度を検出するステップと、バッテリー温度とバッテリー装置の模擬のバッテリー温度との差が許容値内であるかどうかを判定するステップと、を含む。模擬のバッテリー温度は、電子機器の現在の消費電力に従って模擬される。スマートバッテリー温度補償方法は、バッテリー装置のバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内にないと判定した場合に、バッテリー装置のバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内になるまで、多段階の冷却動作を実行する。
【0007】
本発明の上述した、及び、その他の長所と特徴を得る方式を記述するため、上記の簡単に示された原理を、更に具体的に、図面で示される具体的な実施形態により説明する。これらの図面は、本発明の例を示すものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。本発明の原理は、図面の描写、及び、付加された特徴と詳細の解釈によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のいくつかの実施形態による電子機器の概略図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー装置の概略図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による電子機器の概略図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法のフローチャートであり、電子機器を軽負荷動作、中負荷動作又は高負荷動作にあるものとして分類する方法を示している。
図5】本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法のフローチャートであり、軽負荷動作での電子機器のバッテリー温度補償方法を示している。
図6】本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法のフローチャートであり、中負荷動作での電子機器のバッテリー温度補償方法を示している。
図7A】本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法のフローチャートであり、高負荷動作での電子機器のバッテリー温度補償方法を示している。
図7B】本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法のフローチャートであり、高負荷動作での電子機器のバッテリー温度補償方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次の開示では、本発明の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態又は実施例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素及び複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、下記の開示において、第1の特徴が第2の特徴の上方(above)又は上(on)に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ、第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴の間に形成される複数の実施形態を含むこともできる。また、異なる実施形態では、繰り返される記号又はラベルが用いられる可能性があり、これらの繰り返しは、本開示を簡単且つ明確に説明ことのみを目的としており、説明した異なる実施形態及び/又は構造間に特定の関係があることを意味するものではない。
【0010】
詳細な説明の目的のために、具体的にそうではないと主張されない限り、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含み、「含む」という語は「含むが限定されない」を意味する。さらに、「約」、「ほとんど」、「実質的に」、「おおよそ」等の近似の語は、ここにおいては、例えば「~で、~近くで、ほとんど~で」、又は、「~の3~5%内で」、又は、「許容可能な製造公差」、又は、それらの任意の論理的な組合せの意味において用いられ得る。
【0011】
さらに、「下の方」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」及びこれらに類する語のように、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素又は特徴と、別の(複数の)要素又は(複数の)特徴との関係を記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用又は操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。例えば、図の装置が逆さにある場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「下の方」で記述される要素は、他の要素又は特徴の「上方」に方向を定められる。従って、例示的な用語「下方」は、上方と下方の両方向を含むことができる。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転又は他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0012】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するものであって、本発明を限定するものではない。本明細書では、単数形の「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」は、文脈によって他の明確な指示がされない限り、複数形も含む。さらに、「含む」、「有する」又はこれらの変形は、詳細な説明及び/又は特許請求の範囲で使用される限りにおいて、「備える」という用語と同様に包括的であることが意図される。
【0013】
特に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0014】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による電子機器100の概略図である。電子機器100は、プロセッサ102及びバッテリー装置104を含む。バッテリー装置104は、バッテリーセル106A、106B、106C、106D(総称してバッテリーセル106と呼ばれることがある)と、回路基板108と、温度センサー110A及び110B(総称して温度センサー110と呼ばれることがある)と、をさらに含む。バッテリー装置104は、プロセッサ102に結合されており、電子機器100と通信する。具体的には、バッテリーセル106は、回路基板108に接続されており、温度センサー110は、回路基板108上に配置されている。回路基板108は、プロセッサ102に結合されており、これにより、バッテリーセル106に蓄えられた電力を電子機器100のプロセッサ102に伝送することができ、温度センサー110によって感知されたバッテリー装置104のバッテリー温度を、電子機器100のプロセッサ102に伝送することができる。電子機器100では、他の構成及び異なるアイテムの包含又は省略が可能であり得ることを理解されたい。電子機器100は例示的なものであり、特許請求の範囲に明示的に記載されている以上のものを限定することを意図したものではない。
【0015】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、温度センサー110Aは回路基板108上に配置され、バッテリーセル(electric cells)106A及び106Bの右側に隣接して配置され、温度センサー110Bも回路基板108上に配置され、バッテリーセル106C及び106Dの左側に隣接して配置される。各温度センサー110は、バッテリーセル106のバッテリー温度を検出する検出点としてその位置を用いるだけであり、バッテリーセル106A、106B、106C、106Dは、それぞれ大きな面積を有する(温度センサー110A、110Bのそれぞれの検出点に対して)。従って、温度センサー110によって検出されたバッテリー装置104のバッテリー温度は、全体のバッテリー温度ではない。従って、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度と模擬の全体のバッテリー温度との間の差を減少するための温度補償方法が必要である。
【0016】
図2は、本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー装置104の概略図である。図2に示されるように、上述したバッテリー装置104は、バッテリーセル106と、温度センサー110と、管理チップ112と、感知抵抗器114と、充電トランジスタ116と、放電トランジスタ118と、サブ管理チップ120と、ヒューズ122と、をさらに含むことができる。バッテリー装置104では、他の構成及び異なるアイテムの包含又は省略が可能であり得ることを理解されたい。バッテリー装置104は例示的なものであり、特許請求の範囲に明示的に記載されている以上のものを限定することを意図したものではない。
【0017】
バッテリーセル106は、電力を蓄えることができる。本実施形態では、バッテリーセル106は、リチウムイオン電池であってもよい。リチウムイオン電池は、正極と負極の間でリチウムイオンを移動させることで動作する充電可能な電池(二次電池)である。リチウムイオン電池の正極は、一般にリチウムイオンを含む金属酸化物で構成され、負極は、一般にグラファイトで構成される格子である。充電中、リチウムイオンは、グラファイトの格子に向かって移動する。正極(金属酸化物)に入るリチウムイオンのプロセスはインターカレーションと呼ばれ、出ていくプロセスはデインターカレーションと呼ばれる。負極(グラファイトの格子)に入るリチウムイオンのプロセスは挿入(insertion)と呼ばれ、出ていくプロセスは脱離(extraction)と呼ばれる。
【0018】
管理チップ112は、バッテリーセル106に接続されており、バッテリーセル106の電圧又は容量を検出する。充電トランジスタ116及び放電トランジスタ118は、バッテリーセル106とバッテリー装置104の正極P+との間に結合される。管理チップ112は、充電トランジスタ116及び放電トランジスタ118に接続されており、充電トランジスタ116及び放電トランジスタ118を制御し、これにより、バッテリー装置104の充電及び放電を制御する。例えば、充電トランジスタ116は、制御線124を介して管理チップ112によって送信された制御信号に従って、その状態を変える。例えば、制御線124の制御信号が「0」の場合、充電トランジスタ116は、電流がノードBからノードAに流れることのみを許可し、電流がノードAからノードBに流れることを禁止する。制御線124の制御信号が「1」の場合、充電トランジスタ116は、完全にオンになる。いくつかの実施形態では、放電トランジスタ118は、制御線126を介して管理チップ112によって送信された制御信号に従って、その状態を変える。例えば、制御線126の制御信号が「0」の場合、放電トランジスタ118は、電流がノードAからノードBに流れることのみを許可し、電流がノードBからノードAに流れることを禁止する。制御線126の制御信号が「1」の場合、放電トランジスタ118は、完全にオンになる。
【0019】
バッテリー装置104が外部電源(例えば、直流電源、又は、交流電源から変換された直流電源)に接続された場合、管理チップ112は、制御信号「1」を充電トランジスタ116に送信し、制御信号「0」を放電トランジスタ118に送信し、バッテリーセル106は外部電源に接続されることができ、これにより、受け取った電力がバッテリーセル106に蓄えられることができる。管理チップ112が充電トランジスタ116に制御信号「0」を送信し、放電トランジスタ118に制御信号「0」を送信した場合、バッテリーセル106は外部電源から断たれることができ、これにより、バッテリー装置104が充電されるのを停止する。
【0020】
管理チップ112が充電トランジスタ116に制御信号「0」を送信し、放電トランジスタ118に制御信号「1」を送信した場合、バッテリーセル106は、電子機器100のプロセッサ102に接続されることができ、これにより、バッテリー装置104が電子機器100に電力を供給することができる。管理チップ112が充電トランジスタ116に制御信号「0」を送信し、放電トランジスタ118に制御信号「0」を送信した場合、バッテリーセル106は、電子機器100から断たれることができ、これにより、バッテリー装置104が電力の供給を停止する。
【0021】
管理チップ112は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、メモリ、他の適切な集積回路、又は、それらの組み合わせを含む集積回路装置である。管理チップ112は、バッテリーセル106(又はバッテリー装置104)の電圧、容量等を検出し、検出されたデータに従ってバッテリー装置104を制御することができる。
【0022】
感知抵抗器114は、バッテリーセル106、管理チップ112、及び、バッテリー装置104の負極P-に結合される。感知抵抗器114は、バッテリー装置104の放電電流を検出することができる。いくつかの実施形態では、バッテリー装置104が電子機器100のプロセッサ102に接続された場合、管理チップ112は、感知抵抗器114によって検出されたバッテリー装置104の放電電流が保護値を超えるかどうかをチェックすることができる。バッテリー装置104の放電電流が保護値を超えた場合、管理チップ112は、充電トランジスタ116及び放電トランジスタ118を制御して、バッテリー装置104が電力を供給することを停止し、バッテリー装置104への損傷又は危険を回避することができる。
【0023】
ヒューズ122は、バッテリーセル106と充電トランジスタ116との間に接続されている。サブ管理チップ120は、ヒューズ122、管理チップ112、及び、バッテリーセル106に結合されている。サブ管理チップ120及びヒューズ122は、バッテリー装置104の二次保護として機能する。例えば、メイン管理チップ112が、充電トランジスタ116及び放電トランジスタ118が故障してオフにできなくなり、バッテリー装置104が電力の供給を停止したことを検出した場合、管理チップ112がサブ管理チップ120にヒューズ122を切断するように指示し、バッテリー装置104が電力の供給を停止するようにする。サブ管理チップ120は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、メモリ、他の適切な集積回路、又は、それらの組み合わせを含むことができる集積回路デバイスでもある。
【0024】
本実施形態では、バッテリー装置104は複数のピンをさらに含む。図2に示されるように、バッテリー装置104は、クロックピンSMBUS_CLOCKと、データピンSMBUS_DATAと、識別ピンBattery_IDと、識別ピンSystem_IDと、をさらに含む。バッテリー装置104は、クロックピンSMBUS_CLOCK及びデータピンSMBUS_DATAを介して電子機器100のプロセッサ102と通信することができる。識別ピンBattery_IDは、電子機器100がバッテリー装置104によって電力供給され、バッテリー装置104を識別するようにさせる。識別ピンSystem_IDは、バッテリー装置104がバッテリー装置104によって電力供給された電子機器100を識別するようにさせる。
【0025】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による電子機器100の概略図である。図3に示されるように、上述した電子機器100は、プロセッサ102と、バッテリー装置104と、セレクタ202と、バッテリー充電器204と、ホスト電源ユニット206と、電力管理ユニット208と、少なくとも1つのファン210と、ディスプレイ212と、複数のユニバーサルシリアルバス(USB)ポート214と、をさらに含むことができる。
【0026】
電源200は、電子機器100のセレクタ202に接続されている。セレクタ202は、バッテリー充電器204及びホスト電源ユニット206に結合されており、電源200によって供給された電力をバッテリー充電器204又はホスト電源ユニット206に伝送することを選択する。セレクタ202がバッテリー充電器204に電力を送信した場合、バッテリー充電器204は、バッテリー装置104に電力をさらに伝送し、バッテリー装置104を充電する。セレクタ202がホスト電源ユニット206に電力を伝送した場合、ホスト電源ユニット206は、電力管理ユニット208にさらに電力を伝送し、これにより、電力管理ユニット208が次いでプロセッサ102に電力を伝送し、電子機器100に電力を供給する。電源200と電子機器100との接続が切断される、又は、電源200が電力供給を停止した場合、バッテリー装置104は、バッテリー充電器204、セレクタ202、ホスト電源ユニット206及び電力管理ユニット208を介してプロセッサ102に電力を伝送し、電子機器100に電力を供給する。バッテリー装置104は、信号線218を介してプロセッサ102にも接続される。信号線218は、バッテリー装置104がプロセッサ102と通信することを可能にするだけであり、バッテリー装置104がプロセッサ102に電力を伝送することを可能にするものではないことに留意されたい。さらに、図3に示されるように、バッテリー充電器204は、信号線216を介してプロセッサ102にも接続されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ102は、ファン210、ディスプレイ212及びUSBポート214にも接続されている。
【0027】
上述したように、本開示は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度と模擬の全体のバッテリー温度(模擬のバッテリー温度と呼ばれることもある)との間の差を減少するための温度補償方法を実施し、これにより、検出されたバッテリー温度が模擬のバッテリー温度を超えすぎないようにする。具体的には、プロセッサ102は、電子機器100の現在の消費電力に従って、バッテリー装置104の模擬のバッテリー温度を模擬することができ、バッテリー装置104の温度センサー110(図2に示された)は、バッテリー装置104のバッテリー温度を検出する。次いで、バッテリー装置104の管理チップ112(図2に示された)は、模擬のバッテリー温度を温度センサー110によって検出されたバッテリー温度と比較する。管理チップ112が、検出されたバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内にないと判定した場合、電子機器100は、バッテリー装置104の検出されたバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内になるまで、多段階(multi-level)の冷却動作を実行する。
【0028】
本開示の実施形態における多段階の冷却動作は、第1の段階の冷却動作、第2の段階の冷却動作、第3の段階の冷却動作、第4の段階の冷却動作、第5の段階の冷却動作、第6の段階の冷却動作、及び、第7の段階の冷却動作を含む。後続の各段階の冷却動作は、前の段階の冷却動作よりも高い冷却効果を有する。例えば、第5の段階の冷却動作は、第4の段階の冷却動作よりも高い冷却効果を有する。電子機器100によって実行された多段階の冷却動作のうち何れかの段階の冷却動作が、バッテリー装置104の検出されたバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差を許容値内に効果的に収めることができない場合、電子機器100は、バッテリー装置104の検出されたバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内に収まるまで、多段階の冷却動作の次の冷却動作を実行することができる。いくつかの実施形態では、多段階の冷却動作のうち何れかの段階の冷却動作を実行した後、60秒の間隔の後、検出されたバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内であるかどうかが判定され、次いで、次の段階の冷却動作を実行するかどうかが決定される。
【0029】
電子機器100が第1の段階の冷却動作を実行する場合、プロセッサ102は、ファン210の回転速度を増加させる。例えば、ファン210の回転速度は、1500RPMから3500RPMに増加する。
【0030】
電子機器100が第2の段階の冷却動作を実行する場合、バッテリー装置104は、信号線218を介して、プロセッサ102に、プロセッサ102の動作周波数をプロセッサ102の最大動作周波数の75%に設定するように指示する。例えば、プロセッサ102の最大動作周波数が1200MHzである場合、電子機器100が第2の段階の冷却動作を実行するときに、プロセッサ102の動作周波数は900MHzに設定される。
【0031】
電子機器100が第3の段階の冷却動作を実行する場合、バッテリー装置104は、信号線218を介して、プロセッサ102に、プロセッサ102の動作周波数をプロセッサ102の最大動作周波数の50%に設定するように指示する。例えば、プロセッサ102の最大動作周波数が1200MHzである場合、電子機器100が第3の段階の冷却動作を実行するときに、プロセッサ102の動作周波数は600MHzに設定される。
【0032】
電子機器100が第4の段階の冷却動作を実行する場合、バッテリー装置104は、信号線218を介して、プロセッサ102に、プロセッサ102の動作周波数をプロセッサ102の最大動作周波数の25%に設定するように指示する。例えば、プロセッサ102の最大動作周波数が1200MHzである場合、電子機器100が第4の段階の冷却動作を実行するときに、プロセッサ102の動作周波数は300MHzに設定される。
【0033】
電子機器100が第5の段階の冷却動作を実行する場合、バッテリー装置104は、信号線216を介して、プロセッサ102に、プロセッサ102の動作周波数をプロセッサ102の最大動作周波数の25%以下に設定するように指示する。例えば、プロセッサ102の最大動作周波数が1200MHzである場合、電子機器100が第5の段階の冷却動作を実行するときに、プロセッサ102の動作周波数は300MHz未満に設定される。
【0034】
第2の段階の冷却動作から第4の段階の冷却動作は、バッテリー装置104が信号線218を介してプロセッサ102に指示することにより実行され、第5の段階の冷却動作は、バッテリー充電器204が信号線216を介してプロセッサ102に指示することにより実行されることに留意されたい。プロセッサ102がバッテリー装置104から指示を受け取った場合、プロセッサ102は、ソフトウェア機構を用いてプロセッサ102の動作周波数を設定し、プロセッサ102がバッテリー充電器204から指示を受け取った場合、プロセッサ102は、ハードウェア機構によりプロセッサ102の動作周波数を設定する。ソフトウェア機構に比べ、ハードウェア機構による動作周波数の設定速度は速い。従って、第5の段階の冷却動作は、バッテリー装置104のバッテリー温度をより迅速且つ効果的に低下させることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、プロセッサ102の現在の動作周波数が冷却動作用に設定される動作周波数よりも既に低い場合、次の段階の冷却動作が実行される。例えば、上述したように、プロセッサ102の最大動作周波数が1200MHzである場合、電子機器100が第3の段階の冷却動作を実行するときに、プロセッサ102の動作周波数は600MHzに設定される。しかしながら、第3の段階の冷却動作が実行されたときに、プロセッサ102の現在の動作周波数が既に600MHz以下(例えば、500MHz)である場合、次の段階の冷却動作(例えば、第4の段階の冷却動作)が実行され、プロセッサ102の動作周波数は300MHzに設定される。
【0036】
電子機器100が第6の段階の冷却動作を実行する場合、プロセッサ102はディスプレイ212の輝度を低下させる。例えば、ディスプレイ212の輝度は80から50に減少される。
【0037】
電子機器100が第7の段階の冷却動作を実行する場合、プロセッサ102はUSBポート214を閉じる。例えば、USBポート214を閉じ、これにより、USBポート214を介して電子機器100に接続された外部装置(例えば、キーボード、マウス、マイク、外付けハードドライブ、USBストレージデバイス等)が電子機器100から切断される。
【0038】
図4は、本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法300のフローチャートであり、電子機器100を軽負荷動作、中負荷動作又は高負荷動作にあるものとして分類する方法を示している。動作302では、プロセッサ102は、電子機器100の現在の消費電力が軽負荷動作、中負荷動作又は高負荷動作にあるかどうかを判定する。具体的には、電子機器100の現在の消費電力が電子機器100の最大消費電力の1%~35%の間である場合、プロセッサ102は、電子機器100が軽負荷動作にあると判定する。具体的には、電子機器100の現在の消費電力が電子機器100の最大消費電力の36%~75%の間である場合、プロセッサ102は、電子機器100が中負荷動作にあると判定する。具体的には、電子機器100の現在の消費電力が電子機器100の最大消費電力の76%~100%の間である場合、プロセッサ102は、電子機器100が高負荷動作にあると判定する。換言すれば、軽負荷動作は、電子機器100の最大消費電力の1%~35%の間として定義され、中負荷動作は、電子機器100の最大消費電力の36%~75%の間として定義され、高負荷動作は、電子機器100の最大消費電力の76%~100%の間として定義される。
【0039】
図4に示されるように、電子機器100が軽負荷動作で動作していると判定された場合、バッテリー温度補償方法400が実行される。電子機器100が中負荷動作で動作していると判定された場合、バッテリー温度補償方法500が実行される。電子機器100が高負荷動作で動作していると判定された場合、バッテリー温度補償方法600が実行される。図5は、本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法のフローチャートであり、軽負荷動作での電子機器100のバッテリー温度補償方法を示している。動作402では、電子機器100内のバッテリー装置104のバッテリー温度が検出される。具体的には、バッテリー装置104内の温度センサー110は、バッテリー装置104のバッテリー温度を検出することができる。いくつかの実施形態では、温度センサー110は、60秒ごとにバッテリー装置104のバッテリー温度を検出する。
【0040】
動作404では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が40℃以下であるかどうかを判定する。40℃以下の場合、バッテリー温度補償方法400は動作406に進み、40℃以下でない場合、バッテリー温度補償方法400は動作410に進む。
【0041】
動作406では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が許容値内であるかどうかを判定する。許容値内の場合、バッテリー温度補償方法400は動作408に進み、許容値内でない場合、バッテリー温度補償方法400は動作410に進む。いくつかの実施形態では、軽負荷動作でのこの許容値は3℃以下に設定されるが、これに限定されない。例えば、バッテリー装置104の模擬のバッテリー温度が33℃であると仮定し、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が35℃であるとき、その差は許容値内であり、バッテリー温度補償方法400は動作408に進む。反対に、バッテリー装置104の模擬のバッテリー温度が33℃であると仮定し、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が37℃である場合、その差は許容値内でなく、バッテリー温度補償方法400は動作410に進む。いくつかの実施形態では、バッテリー装置104の模擬のバッテリー温度は、電子機器100の現在の消費電力に従ってプロセッサ102によって模擬される。他の実施形態では、バッテリー装置104の模擬のバッテリー温度は、予め電子機器100に格納された模擬前のデータである。
【0042】
動作408では、バッテリー装置104の温度センサー110によって検出されたバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が許容値内(例えば、3℃以下)であると判定された場合、温度センサー110は、バッテリー装置104のバッテリー温度を持続的に検出する。換言すれば、動作402に戻り、バッテリー装置104のバッテリー温度を検出することができる。いくつかの実施形態では、バッテリー温度補償方法300の動作302に戻り、電子機器100の現在の消費電力が軽負荷動作、中負荷動作又は高負荷動作にあるかどうかを再判定することができる。
【0043】
動作410では、上述した多段階の冷却動作が実行される。いくつかの実施形態では、バッテリー装置104の管理チップ112が、温度センサー110によって検出されたバッテリーの温度が40℃以下でないと判定した場合、上述した多段階の冷却動作は、バッテリー装置104のバッテリー温度が40℃以下に低下されるまで実行される。他の実施形態では、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との間の差が許容値内(例えば、3℃以上)でないと判定された場合、上述した多段階の冷却動作は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が許容値内(例えば、3℃以下)になるまで実行される。
【0044】
図6は、本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法500のフローチャートであり、中負荷動作での電子機器100のバッテリー温度補償方法を示している。動作502では、電子機器100内のバッテリー装置104のバッテリー温度が検出される。具体的には、バッテリー装置104内の温度センサー110は、バッテリー装置104のバッテリー温度を検出することができる。いくつかの実施形態では、温度センサー110は、60秒ごとにバッテリー装置104のバッテリー温度を検出する。
【0045】
動作504では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が40℃以下であるかどうかを判定する。40℃以下の場合、バッテリー温度補償方法500は動作518に進み、40℃以下でない場合、バッテリー温度補償方法500は動作506に進む。
【0046】
動作506では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が40℃~50℃の間であるかどうかを判定する。40℃~50℃の間である場合、バッテリー温度補償方法500は動作520に進み、40℃~50℃の間でない場合、バッテリー温度補償方法500は動作508に進む。
【0047】
動作508では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が50℃~60℃の間であるかどうかを判定する。50℃~60℃の間である場合、バッテリー温度補償方法500は動作522に進み、50℃~60℃の間でない場合、バッテリー温度補償方法500は動作510に進む。
【0048】
動作510では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が60℃以上であるかどうかを判定する。60℃以上の場合、バッテリー温度補償方法500は動作512に進み、60℃以上でない場合、動作508でバッテリー温度が50℃~60℃の間でないと判定されたため、検出でエラーが発生した可能性があり、バッテリー温度補償方法500は動作502に進み、電子機器100内のバッテリー装置104のバッテリー温度を再度検出する。
【0049】
動作512では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が63℃以上であるかどうかを判定する。63℃以上の場合、バッテリー温度補償方法500は動作516に進み、63℃以上でない場合、バッテリー温度補償方法500は動作514に進む。
【0050】
動作514では、上述した多段階の冷却動作が実行される。しかしながら、バッテリー装置104のバッテリー温度が60℃を超えているため、バッテリー温度を迅速且つ効果的に低下させる必要があることに留意されたい。従って、動作514では、プロセッサ102は、USBポート214を閉じて、第7の段階の冷却動作から多段階の冷却動作を実行する。
【0051】
動作516では、バッテリー装置104のバッテリー温度が63℃を超えているため、バッテリー装置104への損傷、又は、バッテリー装置104に起因する電子機器100への損傷を避けるために、電子機器100をシャットダウンする必要がある。
【0052】
操作518、520、522では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が許容値内であるかどうかを判定する。許容値内である場合、バッテリー温度補償方法500は動作524に進み、許容値内でない場合、バッテリー温度補償方法500は動作526に進む。いくつかの実施形態では、中負荷動作におけるこの許容値は5℃以下に設定されるが、これに限定されない。
【0053】
動作524では、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が許容値内(例えば、5℃以下)であると判定された場合、温度センサー110は、バッテリー装置104のバッテリー温度を持続的に検出する。換言すれば、動作502に戻り、バッテリー装置104のバッテリー温度を検出することができる。いくつかの実施形態では、バッテリー温度補償方法300の動作302に戻り、電子機器100の現在の消費電力が軽負荷動作、中負荷動作又は高負荷動作にあるかどうかを再判定することができる。
【0054】
動作526では、上述した多段階の冷却動作が実行される。他の実施形態では、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が許容値内(例えば、5℃以上)でないと判定された場合、上述した多段階の冷却動作は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が許容値内(例えば、5℃以下)になるまで実行される。
【0055】
図7A及び図7Bは、本開示のいくつかの実施形態によるバッテリー温度補償方法600のフローチャートであり、高負荷動作での電子機器100のバッテリー温度補償方法を示している。動作602では、電子機器100内のバッテリー装置104のバッテリー温度が検出される。具体的には、バッテリー装置104内の温度センサー110は、バッテリー装置104のバッテリー温度を検出することができる。いくつかの実施形態では、温度センサー110は、60秒ごとにバッテリー装置104のバッテリー温度を検出する。
【0056】
動作604では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が40℃~50℃の間であるかどうかを判定する。40℃~50℃の間である場合、バッテリー温度補償方法600は動作610に進み、40℃~50℃の間でない場合、バッテリー温度補償方法600は動作606に進む。
【0057】
動作606では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が50℃~60℃の間であるかどうかを判定する。50℃~60℃の間である場合、バッテリー温度補償方法600は動作612に進み、50℃~60℃の間でない場合、バッテリー温度補償方法600は動作608に進む。
【0058】
動作608では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度が60℃以上であるかどうかを判定する。60℃以上の場合、バッテリー温度補償方法600は動作614に進み、60℃以上でない場合、動作508でバッテリー温度が50℃~60℃の間でないと判定されたため、検出でエラーが発生した可能性があり、バッテリー温度補償方法600は動作602に進み、電子機器100内のバッテリー装置104のバッテリー温度を再度検出する。
【0059】
操作610、612、614では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が第1の許容値内であるかどうかを判定する。許容値内である場合、バッテリー温度補償方法600は動作616に進み、許容値内でない場合、バッテリー温度補償方法600は動作618に進む。いくつかの実施形態では、高負荷動作におけるこの第1の許容値は8℃以下に設定されるが、これに限定されない。
【0060】
動作606では、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が許容値内(例えば、8℃以下)であると判定された場合、温度センサー110は、バッテリー装置104のバッテリー温度を持続的に検出する。換言すれば、動作602に戻り、バッテリー装置104のバッテリー温度を検出することができる。いくつかの実施形態では、バッテリー温度補償方法300の動作302に戻り、電子機器100の現在の消費電力が軽負荷動作、中負荷動作又は高負荷動作にあるかどうかを再判定することができる。
【0061】
動作618では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との間の差が第2の許容値内であるかどうかを判定する。第2の許容値内である場合、バッテリー温度補償方法600は動作620に進み、許容値内でない場合、バッテリー温度補償方法600は動作622に進む。いくつかの実施形態では、高負荷動作におけるこの第2の許容値は9℃以下に設定されるが、これに限定されない。
【0062】
動作620では、上述した多段階の冷却動作が実行される。しかしながら、バッテリー温度を迅速且つ効果的に低下させるために、動作620では、多段階の冷却動作が第5の段階の冷却動作から実行され、プロセッサ102の動作周波数がプロセッサ102の最大動作周波数の25%以下に設定されることに留意されたい。
【0063】
動作622では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との間の差が第3の許容値内であるかどうかを判定する。第2の許容値内である場合、バッテリー温度補償方法600は動作624に進み、第2の許容値内でない場合、バッテリー温度補償方法600は動作626に進む。いくつかの実施形態では、高負荷動作におけるこの第3の許容値は10℃以下に設定されるが、これに限定されない。
【0064】
動作624では、上述した多段階の冷却動作が実行される。しかしながら、バッテリー温度を迅速且つ効果的に低下させるために、動作624では、多段階の冷却動作が第6の段階の冷却動作から実行され、ディスプレイ212の輝度を低下させることに留意されたい。
【0065】
動作626では、バッテリー装置104の管理チップ112は、温度センサー110によって検出されたバッテリー温度とバッテリー装置104の模擬のバッテリー温度との差が第4の許容値内であるかどうかを判定する。第4の許容値内である場合、バッテリー温度補償方法600は動作628に進み、第4の許容値内でない場合、バッテリー温度補償方法600は動作630に進む。いくつかの実施形態では、高負荷動作におけるこの第4の許容値は11℃以下に設定されるが、これに限定されない。
【0066】
動作628では、上述した多段階の冷却動作が実行される。しかしながら、バッテリー温度を迅速且つ効果的に低下させるために、動作628では、多段階の冷却動作が第7の段階の冷却動作から実行され、プロセッサ102はUSBポート214を閉じることに留意されたい。
【0067】
動作630では、バッテリー装置104のバッテリー温度が60℃を超え、且つ、バッテリー装置104のバッテリー温度と模擬のバッテリー温度との差が11℃より大きい(バッテリー温度が71℃を超えている)ため、バッテリー装置104への損傷、又は、バッテリー装置104に起因する電子機器100への損傷を避けるために、電子機器100をシャットダウンする必要がある。
【0068】
本開示の実施形態は、従来の技術に比べていくつかの利点を提供するが、他の実施形態が異なる利点を提供する可能性があり、必ずしも全ての利点が本明細書で説明されるわけではなく、全ての実施形態に特定の利点が要求されるわけではないことを理解されたい。本開示の実施形態を用いることにより、本開示の装置及び方法は、バッテリー装置のバッテリー温度を迅速に補償して、検出されたバッテリー温度を模擬のバッテリー温度に一致させることができる。
【0069】
上記の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、及び/又は、本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できる。また、当業者は、そのような同等の構造が本開示の趣旨及び範囲から逸脱せず、且つ、それらは、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換及び代替を行うことができることを理解するべきである。
【符号の説明】
【0070】
100…電子機器
102…プロセッサ
104…バッテリー装置
106、106A、106B、106C、106D…バッテリーセル
108…回路基板
110、110A、110B…温度センサー
112…管理チップ
114…感知抵抗器
116…充電トランジスタ
118…放電トランジスタ
120…サブ管理チップ
122…ヒューズ
124…制御線
126…制御線
200…電源
202…セレクタ
204…バッテリー充電器
206…ホスト電源ユニット
208…電力管理ユニット
210…ファン
212…ディスプレイ
214…USBポート
216…信号線
218…信号線
300…バッテリー温度補償方法
302…動作
400…バッテリー温度補償方法
402~410…動作
500…バッテリー温度補償方法
502~526…動作
600…バッテリー温度補償方法
602~630…動作
A…ノード
B…ノード
P+…正極
P-…負極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B