(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101529
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】推進装置
(51)【国際特許分類】
B64D 27/24 20240101AFI20240722BHJP
B64C 27/32 20060101ALI20240722BHJP
B64C 11/16 20060101ALI20240722BHJP
B64U 50/19 20230101ALI20240722BHJP
B64U 30/21 20230101ALI20240722BHJP
B64U 20/96 20230101ALI20240722BHJP
B64U 20/94 20230101ALI20240722BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240722BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240722BHJP
【FI】
B64D27/24
B64C27/32
B64C11/16
B64U50/19
B64U30/21
B64U20/96
B64U20/94
H02K7/14 A
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184834
(22)【出願日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2023005266
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】川津 信介
(72)【発明者】
【氏名】林 二郎
(72)【発明者】
【氏名】中田 真吾
【テーマコード(参考)】
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB13
5H607CC05
5H607CC07
5H607DD03
5H607EE36
5H607FF04
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】飛行体の安全性を高めることができ、且つ飛行体への搭載に適した推進装置を提供する。
【解決手段】推進装置15は、プロペラ20及びEPU50を有している。EPU50は、モータ装置60、インバータ装置80及びEPUハウジング55を有している。モータ装置60は、モータ61を有しており、eVTOLを推進させるために駆動する。インバータ装置80は、インバータ81及びインバータ制御部82を有しており、モータ装置60を駆動させる。EPUハウジング55は、モータ装置60及びインバータ装置80を収容している。EPU50では、インバータ装置80として、インバータ装置80A,80Bがモータ装置60に軸方向ADに並べられている。モータ装置60は、インバータ装置80A,80Bにより駆動される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラ(20)の回転により飛行体(10)を推進させる推進装置(15)であって、
モータ(61,61A,61B)を有し、前記飛行体を推進させるために駆動するモータ装置(60,60A,60B)と、
前記モータに供給される電力を変換する電力変換部(81,81A,81B)を有し、前記モータ装置を駆動させるモータ駆動装置(80,80A,80B)と、
前記モータ及び前記電力変換部を収容している装置ハウジング(55)と、
を備え、
前記モータ装置は、複数の前記モータ駆動装置により駆動されることが可能であり、
複数の前記モータ駆動装置は、それぞれが少なくとも1つの前記モータ装置を駆動することが可能であり、それぞれが前記モータの回転軸線(Cm)が延びる軸方向(AD)に前記モータ装置に並ぶように、且つ互いに前記軸方向に並ぶように設けられている、推進装置。
【請求項2】
複数の前記モータ駆動装置は、1つの前記モータ駆動装置が前記モータ装置に前記軸方向に隣り合うように、且つ互いに前記モータ装置を介さずに前記軸方向に隣り合うように並べられている、請求項1に記載の推進装置。
【請求項3】
前記装置ハウジングは、前記飛行体の機体(11)に固定されるハウジング固定部(58)を有しており、
少なくとも1つの前記モータ駆動装置は、前記軸方向において前記モータ駆動装置と前記ハウジング固定部との距離が前記モータ装置と前記ハウジング固定部との距離よりも大きくなる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項4】
前記装置ハウジングは、前記飛行体の機体(11)に固定されるハウジング固定部(58)を有しており、
前記モータ装置は、前記軸方向において前記モータ装置と前記ハウジング固定部との距離が前記モータ駆動装置と前記ハウジング固定部との距離よりも小さい位置に設けられている、請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項5】
前記装置ハウジングは、
前記モータ装置に含まれ、前記モータを収容しているモータハウジング(70,70A,70B)と、
前記モータ駆動装置に含まれ、前記電力変換部を収容しているモータ駆動ハウジング(90,90A,90B,90C)と、
を有している請求項1に記載の推進装置。
【請求項6】
前記モータ駆動ハウジングの強度は、前記モータハウジングの強度よりも低い、請求項5に記載の推進装置。
【請求項7】
前記装置ハウジングは、
前記モータ駆動ハウジングよりも強度が高い高ハウジング(105,70)と、
前記高ハウジングに設けられ、前記飛行体の機体(11)に固定されるハウジング固定部(58)と、
を有している請求項5又は6に記載の推進装置。
【請求項8】
前記モータ装置は、複数の前記モータ駆動装置の全てによる駆動と、少なくとも1つを除いて残りの前記モータ駆動装置による駆動と、に切り替え可能である、請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項9】
前記モータ装置は、1つの前記モータ駆動装置だけによる複数相としてのn相の駆動と、複数の前記モータ駆動装置の全てによる前記n相を自然数倍であるm倍したm×n相の駆動と、に切り替え可能である、請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項10】
前記モータ装置は、前記軸方向において前記プロペラと前記モータ駆動装置との間に設けられる、請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項11】
前記モータ装置及び前記モータ駆動装置は、前記装置ハウジングを冷却するために前記軸方向に空気を流す空冷ファン(110,111)に前記軸方向に並べられている、請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項12】
前記装置ハウジングを外周側から覆うように設けられ、前記装置ハウジングの外周面に沿って空気を流す外周流路(123a)を前記装置ハウジングとの間に形成している外周ダクト(120)、を備え、
前記空冷ファンは、空気が前記外周流路を前記軸方向に通過するように空気を流す、請求項11に記載の推進装置。
【請求項13】
前記空冷ファンとして、前記軸方向において前記プロペラが流す空気とは逆向きに空気を流す逆流ファン(111)、を備えている請求項11に記載の推進装置。
【請求項14】
前記逆流ファンは、前記軸方向において前記プロペラと前記装置ハウジングとの間に設けられている、請求項13に記載の推進装置。
【請求項15】
前記逆流ファンは、前記軸方向において前記モータ装置と前記モータ駆動装置との間に設けられている、請求項13に記載の推進装置。
【請求項16】
前記装置ハウジングを外周側から覆うように設けられ、前記装置ハウジングとの間に外周流路(123a)を形成している外周ダクト(120)と、
前記外周流路と前記プロペラとの間を遮るように、前記軸方向において前記プロペラと前記外周流路との間に設けられたダクトフード(130)と、
を備えている請求項13に記載の推進装置。
【請求項17】
前記装置ハウジングは、
前記逆流ファンの送風により気体が前記装置ハウジングの外部から前記装置ハウジングの内部空間(171)に流入するように、前記プロペラの回転により生じるプロペラ風(Wp)の風下側に向けて前記内部空間を前記装置ハウジングの外部に開放しているハウジング流入孔(175)、を有している請求項13に記載の推進装置。
【請求項18】
前記モータは、
前記装置ハウジングに固定されたステータ(62)と、
前記ステータに前記軸方向に並べられたロータ(64a,64b)と、
を有している請求項1又は2に記載の推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛行機等に搭載される駆動ユニットについて記載されている。この駆動ユニットは、モータ装置とインバータ装置とを1つずつ有している。1つのモータ装置と1つのインバータ装置とは、モータの回転軸線に沿って並べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、駆動ユニットがインバータ装置を1つしか有していないため、インバータ装置に異常が発生すると、駆動ユニットの駆動が停止することが懸念される。したがって、駆動ユニットが搭載された飛行体では、インバータ装置の異常発生に伴って飛行体の安全性が低下しやすい。
【0005】
本開示の1つの目的は、飛行体の安全性を高めることができ、且つ飛行体への搭載に適した推進装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するため、開示された態様は、
プロペラ(20)の回転により飛行体(10)を推進させる推進装置(15)であって、
モータ(61,61A,61B)を有し、飛行体を推進させるために駆動するモータ装置(60,60A,60B)と、
モータに供給される電力を変換する電力変換部(81,81A,81B)を有し、モータ装置を駆動させるモータ駆動装置(80,80A,80B)と、
モータ及び電力変換部を収容している装置ハウジング(55)と、
を備え、
モータ装置は、複数のモータ駆動装置により駆動されることが可能であり、
複数のモータ駆動装置は、それぞれが少なくとも1つのモータ装置を駆動することが可能であり、それぞれがモータの回転軸線(Cm)が延びる軸方向(AD)にモータ装置に並ぶように、且つ互いに軸方向に並ぶように設けられている、推進装置である。
【0008】
上記態様によれば、複数のモータ駆動装置は、それぞれが少なくとも1つのモータ装置を駆動する。この構成では、仮に1つのモータ駆動装置に異常が発生したとしても、残りのモータ駆動装置によりモータ装置を駆動させることができる。このため、推進装置の冗長性を複数のモータ駆動装置により高めることができる。
【0009】
しかも、複数のモータ駆動装置は、それぞれがモータ装置に軸方向に並ぶように、且つ互いに軸方向に並ぶように設けられている。この構成では、軸方向におけるモータ駆動装置とモータ装置との並び順として、装置ハウジングを軽量化するための並び順を採用することができる。このように推進装置の軽量化を図ることは、飛行体の軽量化にとって効果的である。
【0010】
以上のように、飛行体の安全性を推進装置により高めることができ、さらに、飛行体への搭載に適した推進装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態におけるeVTOLの構成を示す図。
【
図4】モータ装置及びインバータ装置の概略斜視図。
【
図6】第2実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図7】第3実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図8】第4実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図9】第5実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図10】第6実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図11】第7実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図13】第8実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図14】第9実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図15】第10実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図16】第11実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図17】第12実施形態における推進装置の概略断面図。
【
図18】第13実施形態における推進装置の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示す飛行システム30は、eVTOL10に搭載されている。eVTOL10は、電動垂直離着陸機である。電動垂直離着陸機は、電動式の垂直離着陸機であり、垂直離着陸することが可能である。eVTOLは、electric Vertical Take-Off and Landing aircraftの略称である。eVTOL10は、大気中を飛行する電動式の飛行体であり、電動飛行体と称されることがある。eVTOL10は、電動式の航空機でもあり、電動航空機と称されることがある。eVTOL10は、乗員が乗る有人飛行体、及び乗員が乗らない無人飛行体のいずれでもよい。eVTOL10は、操縦者としてのパイロットにより操縦される。パイロットは、乗員としてeVTOL10を操縦してもよく、eVTOL10に乗らずにeVTOL10を遠隔操作してもよい。飛行システム30は、eVTOL10を飛行させるために駆動するシステムである。飛行システム30は、推進システムと称されることがある。
【0014】
eVTOL10は、機体11及びプロペラ20を有している。機体11は、機体本体12、翼13を有している。機体本体12は、機体11の胴体であり、例えば前後に延びた形状になっている。機体本体12は、乗員が乗るための乗員室を有している。翼13は、機体本体12から延びており、機体本体12に複数設けられている。翼13は固定翼である。複数の翼13には、主翼、尾翼などが含まれている。
【0015】
プロペラ20は、機体11に複数設けられている。eVTOL10は、少なくとも3つのプロペラ20を有するマルチコプタである。例えばプロペラ20は、機体11に少なくとも4つ設けられている。プロペラ20は、機体本体12及び翼13のそれぞれに設けられている。プロペラ20は、プロペラ軸線を中心に回転する。プロペラ軸線は、例えばプロペラ20の中心線である。プロペラ20は、eVTOL10に推力や揚力を生じさせることが可能である。プロペラ20は、ロータや回転翼と称されることがある。
【0016】
プロペラ20は、ブレード21を有している。ブレード21は、プロペラ軸線の周方向に複数並べられている。プロペラ20では、複数のブレード21がボスにより連結されている。プロペラ20では、プロペラシャフトがボスからプロペラ軸線に沿って延びている。プロペラ20は、ピッチ可変式のプロペラである。プロペラ20では、プロペラ軸線に対するブレード21の角度を変更可能になっている。
【0017】
eVTOL10の飛行態様には、垂直離陸、垂直着陸、クルーズ及びホバリング等が含まれている。eVTOL10は、垂直離陸として、例えば滑走を行わずに垂直方向に上昇することで離陸地点から離陸することが可能である。eVTOL10は、垂直着陸として、例えば垂直方向に下降することで滑走せずに着陸地点に着地することが可能である。
【0018】
複数のプロペラ20には、リフト用プロペラ及びクルーズ用プロペラが含まれている。リフト用プロペラは、プロペラ軸線が上下方向に延びる向きで設けられている。リフト用プロペラは、eVTOL10に揚力を生じさせることが可能である。eVTOL10は、リフト用プロペラの駆動回転により上昇、下降及びホバリングなどが可能になっている。クルーズ用プロペラは、プロペラ軸線が前後方向に延びる向きで設けられている。クルーズ用プロペラは、eVTOL10に推力を生じさせることが可能である。eVTOL10は、クルーズ用プロペラの駆動回転によりクルーズなどが可能になっている。
【0019】
なお、eVTOL10は、チルトロータ機であってもよい。チルトロータ機においては、プロペラ20のチルト角が調整可能になっている。チルトロータ機においては、1つのプロペラ20をリフト用プロペラ及びクルーズ用プロペラの両方として機能させることが可能になっている。
【0020】
eVTOL10は、EPU50を有している。EPU50は、プロペラ20を駆動回転させるために駆動する装置であり、駆動装置に相当する。EPUは、Electric Propulsion Unitの略称である。EPU50は、電駆動装置及び電駆動システムと称されることがある。EPU50は、複数のプロペラ20のそれぞれに対して個別に設けられている。EPU50は、プロペラ軸線に沿ってプロペラ20に並べられている。複数のEPU50はいずれも、機体11に固定されている。EPU50は、プロペラ20を回転可能に支持している。EPU50は、プロペラ20に接続されている。プロペラ20は、EPU50を介して機体11に固定されている。
【0021】
プロペラ20は、EPU50の駆動に伴って回転する。プロペラ20は回転体に相当する。eVTOL10は、プロペラ20の回転により飛行する。すなわち、eVTOL10は、プロペラ20の回転により移動する。eVTOL10は、移動体に相当する。eVTOL10は、推進装置15を有している。推進装置15は、プロペラ20及びEPU50を有している。推進装置15は、プロペラ20の回転によりeVTOL10を推進させる。推進装置15は、プロペラ20とEPU50とが一体化された装置である。なお、プロペラ20及びEPU50のうちEPU50だけが推進装置と称されてもよい。
【0022】
図2に示すように、EPU50は、モータ装置60及びインバータ装置80を有している。モータ装置60及びインバータ装置80は、全体として短尺の円柱状に形成されており、軸方向ADに延びている。モータ装置60とインバータ装置80とは、軸方向ADに並べられている。モータ装置60とインバータ装置80とは、軸方向ADに重ねられた状態になっている。モータ装置60とインバータ装置80とは同軸に設けられている。インバータ装置80の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。モータ装置60は、軸方向ADにおいてインバータ装置80とプロペラ20との間に設けられている。
【0023】
モータ装置60は、モータ61及びモータハウジング70を有している。モータハウジング70は、筐体であり、モータ61を収容している。モータ61は、複数相の交流モータである。モータ装置60は、eVTOL10を推進させるために駆動する。モータ装置60は、eVTOL10の飛行駆動源であり、電動機として機能する。モータ装置60は、回転電機と称されることがある。
【0024】
モータ61は、ステータ62、ロータ64a,64b及びモータシャフト65を有している。モータ61は、ステータ62やロータ64a,64b、モータシャフト65などの機械部品を含んで構成されている。ステータ62は、固定子であり、モータハウジング70に固定されている。ステータ62は、モータコイル63(
図3参照)を有している。モータコイル63は、複数相のコイルである。モータコイル63は、巻線であり、電機子を形成している。
【0025】
ロータ64a,64aは、回転子であり、ステータ62に対して回転する。モータシャフト65は、ロータ64a,64bを支持している。モータシャフト65は、ロータ64a,64bと共に回転する。モータ61は、アキシャルギャップ式のモータである。モータ61では、ステータ62とロータ64a,64bとが軸方向ADに並べられている。また、モータ61は、ダブルロータ式のモータである。モータ61では、第1ロータ64aと第2ロータ64bとがステータ62を介して軸方向ADに並べられている。
【0026】
軸方向ADは、モータ軸線Cmが延びた方向である。モータ軸線Cmは、ロータ64a,64bの回転軸線である。ロータ64a,64bは、モータ軸線Cmを中心に回転する。モータ軸線Cmは、例えばロータ64a,64bの中心線である。モータ軸線Cmは、モータ61やステータ62、モータシャフト65の中心線でもある。モータ軸線Cmは、回転軸線に相当する。モータ軸線Cmについては、軸方向ADと径方向RDと周方向CDとが互いに直交している。なお、径方向RDの外側は、径方向外側や外周側と称されることがある。径方向RDの内側は、径方向内側や内周側と称されることがある。
【0027】
モータハウジング70は、モータ外周壁71、モータ対向壁73、モータフィン79を有している。モータ外周壁71、モータ対向壁73及びモータフィン79は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。モータ外周壁71は、周方向CDに環状に延びている。モータ外周壁71は、モータハウジング70の外周面を形成している。モータ外周壁71は、ステータ62及びロータ64a,64bを外周側から覆っている。モータ対向壁73は、軸方向ADに一対並べられている。一対のモータ対向壁73は、ステータ62、ロータ64a,64b及びモータ外周壁71を介して対向している。モータ対向壁73は、軸方向ADに直交する方向に延びている。モータ対向壁73は、モータ外周壁71に固定されている。
【0028】
モータフィン79は、モータ外周壁71に設けられている。モータフィン79は、モータハウジング70の熱をモータ装置60の外部に放出する。モータフィン79は、モータ外周壁71から外周側に延びた放熱フィンである。モータフィン79は、周方向CDに直交する方向に延びている。モータフィン79は、周方向CDに複数並べられている。
【0029】
モータ装置60は、モータベアリング66を有している。モータベアリング66は、モータシャフト65を回転可能に支持している。モータベアリング66は、軸受部材である。モータベアリング66は、軸方向ADに複数並べられている。モータベアリング66は、モータハウジング70に固定されている。例えば、モータベアリング66は、モータ対向壁73に固定されている。
【0030】
インバータ装置80は、モータ装置60を駆動させる。インバータ装置80は、モータ駆動装置に相当する。インバータ装置80は、インバータ81、インバータ制御部82及びインバータハウジング90を有している。インバータハウジング90は、筐体であり、インバータ81及びインバータ制御部82を収容している。インバータ81は、モータ61に供給される電力を変換することでモータ61を駆動させる。インバータ81は、電力変換部に相当する。
【0031】
インバータ81は、スイッチング素子やコンデンサ素子など複数の電子部品を含んで構成されている。インバータ81では、これら電子部品が回路基板等に実装されている。インバータ制御部82は、インバータ81の制御を行うことでモータ61の制御を行う。インバータ制御部82は、マイコンや、後述するプロセッサ83、メモリ84など複数の電子部品を含んで構成されている。インバータ制御部82では、これら電子部品が回路基板等に実装されている。インバータ装置80は、モータコイル63に供給される電力を制御する。インバータ装置80では、1つのインバータ81と1つのインバータ制御部82とが1つのインバータモジュールを形成している。なお、インバータ81及びインバータ制御部82は、共通の回路基板を含んで構成されていてもよい。
【0032】
インバータハウジング90は、インバータハウジング孔95を有している。インバータハウジング孔95は、インバータハウジング90を軸方向ADに貫通している。インバータハウジング孔95は、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延びている。インバータハウジング孔95は、インバータハウジング90の中央に設けられている。インバータハウジング孔95の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。インバータハウジング90は、モータ駆動ハウジングに相当する。
【0033】
インバータハウジング90は、インバータ外周壁91、インバータ内周壁92、インバータ対向壁93及びインバータフィン99を有している。インバータ外周壁91、インバータ内周壁92、インバータ対向壁93及びインバータフィン99は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。
【0034】
インバータ外周壁91及びインバータ内周壁92は、周方向CDに環状に延びている。インバータ外周壁91は、インバータハウジング90の外周面を形成している。インバータ内周壁92は、インバータハウジング90の内周面を形成している。インバータ内周壁92は、インバータハウジング孔95を形成している。インバータ外周壁91とインバータ内周壁92とは、径方向RDに並べられており、インバータ81及びインバータ制御部82を介して対向している。
【0035】
インバータ対向壁93は、軸方向ADに一対並べられている。一対のインバータ対向壁93は、インバータ81、インバータ制御部82、インバータ外周壁91及びインバータ内周壁92を介して対向している。インバータ対向壁93は、軸方向ADに直交する方向に延びている。インバータ対向壁93は、インバータ外周壁91及びインバータ内周壁92に固定されている。
【0036】
インバータフィン99は、インバータ外周壁91に設けられている。インバータフィン99は、インバータハウジング90の熱をインバータ装置80の外部に放出する。インバータフィン99は、インバータ外周壁91から外周側に延びた放熱フィンである。インバータフィン99は、周方向CDに直交する方向に延びている。インバータフィン99は、周方向CDに複数並べられている。
【0037】
モータ装置60とインバータ装置80とは、互いに固定されている。例えば、モータハウジング70とインバータハウジング90とがボルト等の固定具で固定されている。この固定具は、モータ外周壁71とインバータ外周壁91とを固定している。モータ外周壁71とインバータ外周壁91とは、軸方向ADに並べられている。例えば、モータ外周壁71及びインバータ外周壁91では、それぞれの外周面が面一になるように軸方向ADに並べられている。
【0038】
EPU50は、ギア装置100を有している。ギア装置100は、モータ装置60とプロペラ20とを機械的に接続している。ギア装置100は、モータ装置60の駆動をプロペラ20に伝達する。ギア装置100は、軸方向ADにおいてモータ装置60とプロペラ20との間に設けられている。ギア装置100は、ギアボックスと称されることがある。ギア装置100は、全体として短尺の円柱状に形成されており、軸方向ADに延びている。ギア装置100は、モータ装置60及びインバータ装置80に軸方向ADに並べられている。ギア装置100は、軸方向ADにおいてモータ装置60及びインバータ装置80とプロペラ20との間に設けられている。ギア装置100は、モータ装置60及びインバータ装置80に同軸に設けられている。ギア装置100の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。
【0039】
ギア装置100は、ギア101、ギアシャフト102及びギアハウジング105を有している。ギアシャフト102は、軸方向ADに延びており、モータシャフト65とプロペラ20とを接続している。ギア101は、減速機を有しており、ギアシャフト102に設けられている。
【0040】
ギアハウジング105は、ギア101を収容している。ギアハウジング105は、ギア外周壁106及びギア対向壁107を有している。ギア外周壁106は、周方向CDに環状に延びている。ギア外周壁106は、ギアハウジング105の外周面を形成している。ギア外周壁106は、ギア101を径方向外側から覆っている。ギア対向壁107は、軸方向ADに一対並べられている。一対のギア対向壁107は、ギア101を介して軸方向ADに並べられている。ギア外周壁106及びギア対向壁107は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。
【0041】
EPU50は、EPUシャフト51、EPUベアリング52及びEPUハウジング55を有している。EPUハウジング55は、筐体であり、モータ61、インバータ81、インバータ制御部82及びギア101を収容している。EPUハウジング55は、装置ハウジングに相当する。EPUハウジング55は、モータハウジング70、インバータハウジング90及びギアハウジング105を含んで構成されている。
【0042】
EPUハウジング55は、EPU外周壁56、EPU対向壁57、EPUフィン59を有している。EPU外周壁56は、周方向CDに環状に延びている。EPU外周壁56は、EPUハウジング55の外周面を形成している。EPU外周壁56は、モータ外周壁71、インバータ外周壁91及びギア外周壁106を含んで構成されている。EPU対向壁57は、軸方向ADに複数並べられている。EPU対向壁57は、モータ対向壁73やインバータ対向壁93、ギア対向壁107により形成されている。EPU対向壁57は、軸方向ADに直交する方向に延びている。EPU対向壁57は、EPU外周壁56に固定されている。EPU対向壁57は、EPUハウジング55の外面のうち端面を形成している。
【0043】
EPUシャフト51は、ロータ64a,64bとプロペラ20とを接続している。EPUシャフト51は、モータシャフト65及びギアシャフト102を含んで形成されている。EPUシャフト51は、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延びており、モータ軸線Cmを中心に回転する。EPUシャフト51は、EPUハウジング55を軸方向ADに貫通している。例えば、EPUシャフト51は、インバータハウジング孔95に挿通されている。
【0044】
EPUベアリング52は、EPUシャフト51を回転可能に支持している。EPUベアリング52は、軸受部材である。EPUベアリング52は、軸方向ADに複数並べられている。EPUベアリング52は、EPUハウジング55に固定されている。EPUベアリング52は、モータハウジング70やインバータハウジング90に固定されている。複数のEPUベアリング52には、モータベアリング66が含まれている。
【0045】
EPUフィン59は、EPU外周壁56に設けられている。EPUフィン59は、EPUハウジング55の熱をEPU50の外部に放出する。EPUフィン59は、EPU外周壁56から外周側に延びた放熱フィンである。EPUフィン59は、周方向CDに直交する方向に延びている。EPUフィン59は、周方向CDに複数並べられている。複数のEPUフィン59には、モータフィン79やインバータフィン99が含まれている。なお、EPUフィン59は、EPU対向壁57やインバータ内周壁92に設けられていてもよい。
【0046】
推進装置15は、ピッチコントローラ16を有している。ピッチコントローラ16は、EPUシャフト51に設けられている。ピッチコントローラ16は、プロペラ20のピッチを変更することが可能である。例えば、ピッチコントローラ16は、プロペラ軸線に対するブレード21の角度が変化するようにプロペラ20を回動させることが可能である。ピッチコントローラ16は、モータ等のアクチュエータを含んで構成されている。
【0047】
推進装置15では、プロペラ20の回転に伴ってプロペラ風が生じる。プロペラ風は、軸方向ADに流れる空気等の気体の流れである。プロペラ風は、プロペラ20からEPU50に向けて流れる。EPU50は、プロペラ20に対してプロペラ風の風下側に設けられている。
【0048】
EPU50は、EPUファン110及びEPUダクト120を有している。EPUファン110は、EPUハウジング55を冷却するために軸方向ADに空気を流すことが可能である。EPUファン110は、冷却風Faが軸方向ADに流れるように送風する。冷却風Faは、冷却風Faがプロペラ風と同じ向きに流れる。冷却風Faは、軸方向ADに流れる空気等の気体の流れである。冷却風Faは、プロペラ20及びEPUファン110の少なくともEPUファン110の回転に伴って生じる。EPUファン110は、プロペラ20に対して冷却風Faの風下側に設けられている。EPUファン110は、例えば軸流ファンであり、空冷ファンに相当する。EPUファン110は、EPUシャフト51に設けられている。EPUファン110は、モータ装置60の駆動に伴って、EPUシャフト51と共に回転する。
【0049】
EPUダクト120は、周方向CDに環状に延びている。EPUダクト120は、軸方向ADに延びている。EPUダクト120は、モータ装置60、インバータ装置80及びギア装置100を収容している。また、EPUダクト120は、EPUハウジング55を収容している。EPUダクト120は、EPUハウジング55を外周側から覆うように設けられている。EPUダクト120は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。
【0050】
EPUファン110は、EPUダクト120に収容されている。EPUダクト120では、EPUファン110の回転に伴って冷却風Faが流れる。EPUダクト120では、第1ダクト口121から流入した冷却風Faが第2ダクト口122から流出する。第1ダクト口121は、EPUダクト120が有する一対の開口のうちプロペラ20側の開口である。第2ダクト口122は、プロペラ20とは反対側の開口である。第1ダクト口121と第2ダクト口122とは、ダクト空間123を介して軸方向ADに並べられている。ダクト空間123は、EPUダクト120の内部空間である。
【0051】
EPUダクト120は、外周流路123a及び介在流路123bを有している。外周流路123a及び介在流路123bは、ダクト空間123に含まれている。外周流路123aは、径方向RDにおいてEPUハウジング55とEPUダクト120との間に形成されている。外周流路123aは、周方向CDに環状に延びた流路である。また、外周流路123aは、EPUハウジング55の外周面に沿って軸方向ADに延びている。外周流路123aは、第1ダクト口121と第2ダクト口122とにかけ渡されるように軸方向ADに延びている。外周流路123aには、EPUフィン59としてモータフィン79及びインバータフィン99が設けられている。EPUダクト120は、EPUハウジング55との間に外周流路123aを形成している。EPUダクト120は、外周ダクトに相当する。
【0052】
EPUハウジング55は、複数のハウジング部に分割された状態になっている。例えば、EPUハウジング55は、2つのハウジング部を有している。2つのハウジング部は、軸方向ADに並べられている。2つのハウジング部のうち一方は、ギアハウジング105により形成されており、他方は、モータハウジング70及びインバータハウジング90により形成されている。EPUハウジング55では、ギアハウジング105とモータハウジング70とが軸方向ADに離れた位置にある。ギアハウジング105とモータハウジング70とは、図示しない連結部材により互いに連結されている。
【0053】
介在流路123bは、軸方向ADにおいて2つのハウジング部の間に形成された流路である。例えば、介在流路123bは、軸方向ADにおいてギアハウジング105とモータハウジング70との間にある。介在流路123bは、外周流路123aから径方向内側に向けて延びている。ギアハウジング105とモータハウジング70とは、介在流路123bを介して軸方向ADに隣り合う位置にある。
【0054】
EPUファン110は、介在流路123bに設けられている。EPUファン110は、軸方向ADに隣り合う2つのハウジング部の間にある。例えば、EPUファン110は、ギアハウジング105とモータハウジング70との間にある。EPUファン110は、モータハウジング70及びインバータハウジング90の風上に設けられている。すなわち、EPUファン110は、軸方向ADにおいてモータ装置60及びインバータ装置80とプロペラ20との間に設けられている。
【0055】
外周流路123aでは、EPUファン110の回転に伴って冷却風Faが軸方向ADに流れる。冷却風Faは、第1ダクト口121から外周流路123aに流入し、第2ダクト口122から外部に流出する。冷却風Faは、EPUファン110に吸い込まれるようにして第1ダクト口121から外周流路123aに流入する。また、冷却風Faは、EPUファン110に押し出されるようにして第2ダクト口122から外部に流出する。
【0056】
EPU50は、EPU固定部58を有している。EPU固定部58は、EPU50を機体11に固定する部位である。EPU固定部58は、ボルト等の固定具により機体11に固定されている。EPU固定部58は、EPUハウジング55に含まれている。EPU固定部58は、ハウジング固定部に相当する。EPU固定部58は、EPU外周壁56に設けられている。EPU固定部58は、EPU外周壁56の外周面に設けられた凸部である。EPU固定部58は、EPUダクト120を貫通してEPUダクト120の外周側に突出している。EPU固定部58は、周方向CDに複数並べられている。なお、EPU固定部58は、周方向CDに環状に延びていてもよい。
【0057】
EPU固定部58は、軸方向ADにおいてプロペラ20とインバータ装置80との間に設けられている。例えば、EPU固定部58は、軸方向ADにおいてプロペラ20とモータ装置60との間に設けられている。EPU固定部58は、インバータ装置80よりもモータ装置60に近い位置に設けられている。軸方向ADでは、EPU固定部58とモータ装置60との距離が、EPU固定部58とインバータ装置80との距離よりも小さい。
【0058】
EPU固定部58は、EPUハウジング55において強度が高い部位に設けられている。EPUハウジング55では、強度が異なる複数の部位が軸方向ADに並べられている。EPUハウジング55では、ギアハウジング105とモータハウジング70とインバータハウジング90とで強度が異なっている。例えば、ギアハウジング105の強度は、インバータハウジング90の強度よりも高い。ギアハウジング105が高ハウジングに相当する。また、インバータハウジング90の強度は、モータハウジング70の強度よりも低い。ギアハウジング105及びモータハウジング70では、一方の強度が他方の強度より高くてもよく、一方の強度と他方の強度とが同じでもよい。
【0059】
EPU50では、EPU外周壁56の強度が高いほどEPUハウジング55の強度が高くなりやすい。EPU固定部58は、EPU外周壁56において強度が高い部位に設けられている。EPU外周壁56は、強度が異なる複数の部位が軸方向ADに並べられている。EPU外周壁56では、ギア外周壁106とモータ外周壁71とインバータ外周壁91とで強度が異なっている。例えば、ギア外周壁106の強度は、インバータ外周壁91の強度よりも高い。また、インバータ外周壁91の強度は、モータ外周壁71の強度よりも低い。ギア外周壁106及びモータ外周壁71では、一方の強度が他方の強度より高くてもよく、一方の強度と他方の強度とが同じでもよい。
【0060】
EPU外周壁56では、径方向RDの厚さ寸法が大きいほど強度が高くなりやすい。EPUハウジング55では、EPU外周壁56が厚い部位ほどEPU外周壁56の強度が高い。EPU外周壁56では、ギア外周壁106とモータ外周壁71とインバータ外周壁91とで厚さが異なっている。例えば、ギア外周壁106の厚さ寸法は、インバータ外周壁91の厚さ寸法よりも大きい。また、インバータ外周壁91の厚さ寸法は、モータ外周壁71の厚さ寸法よりも小さい。ギア外周壁106及びモータ外周壁71では、一方の厚さ寸法が他方の厚さ寸法より大きくてもよく、一方の厚さ寸法と他方の厚さ寸法とが同じでもよい。なお、
図2では、図示の便宜上、ギア外周壁106、モータ外周壁71及びインバータ外周壁91のそれぞれの厚さがほぼ同じになっている。
【0061】
EPU50では、モータ61やギア101が比較的重い。例えば、モータ61の重量やギア101の重量は、インバータ81やインバータ制御部82の重量よりも大きい。EPUハウジング55では、モータハウジング70の強度がモータ61の重量に対して不足しないように、例えば、モータハウジング70の強度がインバータハウジング90の強度よりも高い。また、EPUハウジング55では、ギアハウジング105の強度がギア101の重量に対して不足しないように、例えば、ギアハウジング105の強度がインバータハウジング90の強度よりも高い。
【0062】
EPUハウジング55では、インバータ81やインバータ制御部82の重量が比較的軽い。このため、インバータハウジング90の強度がモータハウジング70の強度やギアハウジング105の強度より低くても、インバータハウジング90の強度がインバータ81やインバータ制御部82の重量に対して不足しにくい。
【0063】
EPU固定部58は、ギアハウジング105に含まれている。EPU固定部58は、ギア外周壁106に設けられている。EPU固定部58は、ギア外周壁106においてプロペラ20側の端部よりもモータ装置60側の端部に近い位置に設けられている。例えば、EPU固定部58は、ギア外周壁106においてモータ装置60側の端部に設けられている。
【0064】
図3に示すように、eVTOL10は、統括制御部40を有している。統括制御部40は、eVTOL10を飛行させるための飛行制御を行う。統括制御部40は、eVTOL10に搭載されたEPU50等の各種装置を統括して制御する。飛行制御には、EPU50を駆動させるためのEPU制御が含まれている。EPU制御には、モータ61を駆動させるためのモータ制御が含まれている。統括制御部40は、飛行制御装置である。また、統括制御部40は、ピッチコントローラ16の駆動を制御する。統括制御部40は、ピッチコントローラ16を介してプロペラ20のピッチを調整する。
【0065】
統括制御部40は、例えばECUである。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。統括制御部40は、プロセッサ41、メモリ42及びプログラム43を有している。統括制御部40は、コンピュータを主体として構成されている。このコンピュータは、プロセッサ41、メモリ42、入出力インターフェース、これらを接続するバス等を有している。メモリ42には、プログラム43が記憶されている。プログラム43は、飛行制御を行うためのプログラムである。
【0066】
プロセッサ41は、メモリ42に結合された演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ41は、メモリ42へのアクセスにより飛行制御処理等の各種処理を実行する。メモリ42は、制御プログラム等を記憶した記憶媒体である。例えば、メモリ42は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。非遷移的実体的記憶媒体は、non-transitory tangible storage mediumであり、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。プログラム43は、プロセッサ41に様々な機能を実行させるコンピュータ可読命令を含んでいる。プロセッサ41は、プログラム43に含まれる命令を実行することで、所定の処理を実行する処理部である。
【0067】
統括制御部40は、インバータ制御部82に通信可能に接続されている。統括制御部40は、各種センサの検出結果などに応じて飛行制御を行う。この飛行制御には、推進装置15を駆動するための推進制御などが含まれている。推進制御には、EPU50を駆動するためのEPU制御や、モータ61を駆動するためのモータ制御などが含まれている。統括制御部40は、インバータ制御部82に対して指令信号などを出力する。
【0068】
インバータ制御部82は、モータ装置60を駆動させるためのモータ制御を行う。インバータ制御部82は、モータ制御として、インバータ81からモータコイル63に供給される電力を制御する。例えば、モータ制御では、モータコイル63への通電が制御される。インバータ制御部82は、統括制御部40からの指令信号などに応じてモータ制御を行う。
【0069】
インバータ制御部82は、例えばECUである。インバータ制御部82は、プロセッサ83、メモリ84及びプログラム85を有している。インバータ制御部82は、コンピュータを主体として構成されている。このコンピュータは、プロセッサ83、メモリ84、入出力インターフェース、これらを接続するバス等を有している。メモリ84には、プログラム85が記憶されている。プログラム85は、飛行制御を行うためのプログラムである。
【0070】
プロセッサ83は、メモリ84に結合された演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ83は、メモリ84へのアクセスにより飛行制御処理等の各種処理を実行する。メモリ84は、制御プログラム等を記憶した記憶媒体である。例えば、メモリ84は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。プログラム85は、プロセッサ83に様々な機能を実行させるコンピュータ可読命令を含んでいる。プロセッサ83は、プログラム85に含まれる命令を実行することで、所定の処理を実行する処理部である。
【0071】
モータコイル63は、複数の個別コイルを有している。個別コイルは、複数相のコイルである。個別コイルは、n相のコイルである。nは自然数である。モータコイル63は、m個の個別コイルを有している。mは自然数である。モータコイル63は、n相の個別コイルをm個有しており、m×n相のコイルである。m個の個別コイルに電力が供給された場合、モータ61は、m×n相のモータとして駆動する。モータ61は、少なくとも1つの個別コイルに電力が供給されることで駆動可能である。例えば、1つの個別コイルに電力が供給された場合、モータ61は、1×n相のモータとして駆動する。
【0072】
本実施形態では、モータコイル63が2個の個別コイルを有している。また、2個の個別コイルは、それぞれ3相のコイルである。このため、モータコイル63は6相のコイルであり、モータ61は6相のモータである。1個のコイルだけに電力が供給された場合、モータコイル63は3相のコイルになり、モータ61は3相のモータになる。
【0073】
モータコイル63は、2個の個別コイルとして、第1コイル63a及び第2コイル63bを有している。コイル63a,63bは、それぞれ複数相のコイルである。コイル63a,63bは、それぞれ3相のコイルである。モータコイル63では、第1コイル63aと第2コイル63bとが周方向CDに並べられている。例えば、第1コイル63aを形成する複数のコイル部と、第2コイル63bを形成する複数のコイル部と、が周方向CDに交互に並べられている。
【0074】
EPU50は、インバータ装置80として、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bを有している。第1インバータ装置80Aは、インバータ81としての第1インバータ81Aと、インバータ制御部82としての第1インバータ制御部82Aとを有している。第2インバータ装置80Bは、インバータ81としての第2インバータ81Bと、インバータ制御部82としての第2インバータ制御部82Bとを有している。第1インバータ制御部82Aは、モータ制御として、第1コイル63aに供給される電力を制御する。第2インバータ制御部82Bは、モータ制御として、第2コイル63bに供給される電力を制御する。
【0075】
EPU50では、第1インバータ制御部82A及び第2インバータ制御部82Bの両方がモータ制御を行うと、モータ61が6相駆動する。6相駆動では、モータ61が6相モータとして駆動する。また、EPU50では、第1インバータ制御部82A及び第2インバータ制御部82Bのうち一方だけがモータ制御を行うと、モータ61が3相駆動する。3相駆動では、モータ61が3相モータとして駆動する。統括制御部40は、インバータ制御部82A,82Bを制御することで、モータ61の6相駆動と3相駆動とを切り替え可能である。
【0076】
なお、
図3では、プロペラ20をPP、ギア装置100をGear、と図示している。また、統括制御部40をECU、プロセッサ41をPRO、メモリ42をMEM、プログラム43をPG、と図示している。モータ装置60をeMOT、第1コイル63aをCL1、第2コイル63bをCL2、第1ロータ64aをRot1、第2ロータ64bをRot2、と図示している。第1インバータ装置80AをMCU1、第1インバータ81AをINV1、第1インバータ制御部82AをICD1、と図示している。第2インバータ装置80BをMCU2、第2インバータ81BをINV2、第2インバータ制御部82BをICD2、と図示している。インバータ制御部82A,82Bでは、プロセッサ83をPRO、メモリ84をMEM、プログラム85をPG、と図示している。
【0077】
図2、
図4に示すように、インバータ装置80A,80Bは、モータ装置60を介してプロペラ20とは反対側に設けられている。第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとは、軸方向ADに並べられている。第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとは、モータ装置60を介さずに隣り合う位置に設けられている。第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとは、互いに重ねられた状態になっている。第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとは、同軸に設けられている。
【0078】
第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとは、互いに固定されている。第1インバータ装置80Aは、インバータハウジング90として第1インバータハウジング90Aを有している。第2インバータ装置80Bは、インバータハウジング90として第2インバータハウジング90Bを有している。第1インバータハウジング90Aと第2インバータハウジング90Bとは、軸方向ADに重ねられた状態になっている。
【0079】
第1インバータハウジング90A及び第2インバータハウジング90Bでは、それぞれのインバータ対向壁93が互いに重ねられている。第1インバータハウジング90Aと第2インバータハウジング90Bとの境界部には、それぞれのインバータ対向壁93が設けられている。これらインバータ対向壁93は、第1インバータハウジング90Aの内部空間と第2インバータハウジング90Bの内部空間とを仕切っている。これらインバータ対向壁93は、第1インバータ81A及び第1インバータ制御部82Aと、第2インバータ81B及び第2インバータ制御部82Bとの間にある。
【0080】
第1インバータハウジング90Aと第2インバータハウジング90Bとは、ボルト等の固定具で固定されている。この固定具は、第1インバータハウジング90A及び第2インバータハウジング90Bのそれぞれのインバータ外周壁91を固定している。これらインバータ外周壁91は、軸方向ADに並べられている。例えば、これらインバータ外周壁91のそれぞれの外周面は、互いに面一になるように軸方向ADに並べられている。第1インバータハウジング90A及び第2インバータハウジング90Bは、モータ駆動ハウジングに相当する。
【0081】
第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bのうち、一方が他方とモータ装置60との間に設けられている。例えば、第2インバータ装置80Bは、第1インバータ装置80Aとモータ装置60との間に設けられている。第2インバータ装置80Bとモータ装置60とは、互いに固定されている。第2インバータハウジング90Bとモータハウジング70とは、ボルト等の固定具により固定されている。第1インバータ装置80Aは、第2ダクト口122から第2インバータ装置80B側に離れた位置に設けられている。
【0082】
統括制御部40は、飛行制御のために飛行制御処理を実行する。飛行制御処理について、
図5のフローチャートを参照しつつ説明する。統括制御部40は、飛行制御処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。統括制御部40は、飛行制御処理の各ステップの処理を実行する機能を有している。
【0083】
統括制御部40は、ステップS101において、各種センサの検出結果などを用いて、EPU50が正常であるか否かを判定する。EPU50が正常である場合、統括制御部40は、ステップS104に進み、通常運転処理を行う。通常運転処理は、モータ61を6相モータとして駆動させるための処理である。統括制御部40は、インバータ制御部82A,82Bの両方がモータ制御を行うように、インバータ制御部82A,82Bを制御する。通常運転処理では、モータ61が6相駆動することで、モータ装置60の性能が最大限発揮される。
【0084】
EPU50が正常でない場合、統括制御部40は、EPU50に異常が発生したとして、ステップS102に進む。統括制御部40は、ステップS102において、各種センサの検出結果などを用いて、EPU50に第1異常が発生しているか否かを判定する。第1異常が発生した場合、第1コイル63aに関する異常が発生している一方で、第2コイル63bに関する異常が発生していない。
【0085】
第1コイル63aに関する異常としては、第1コイル63aの異常や第1インバータ装置80Aの異常などがある。第1コイル63aの異常が発生した場合としては、第1コイル63aの温度や電流、電圧などが許容範囲から外れた場合などがある。第1インバータ装置80Aの異常が発生した場合としては、第1インバータ81Aや第1インバータ制御部82Aの温度が許容範囲から外れた場合や、第1インバータ81Aの電流や電圧が許容範囲から外れた場合などがある。
【0086】
第2コイル63bに関する異常としては、第2コイル63bの異常や第2インバータ装置80Bの異常などがある。第2コイル63bの異常が発生した場合としては、第2コイル63bの温度や電流、電圧などが許容範囲から外れた場合などがある。第2インバータ装置80Bの異常が発生した場合としては、第2インバータ81Bや第2インバータ制御部82Bの温度が許容範囲から外れた場合や、第2インバータ81Bの電流や電圧が許容範囲から外れた場合などがある。
【0087】
EPU50に第1異常が発生した場合、統括制御部40は、ステップS105に進む。統括制御部40は、ステップS105において、第2運転処理を行う。第2運転処理は、モータ61を3相モータとして駆動させるための処理である。第2運転処理では、第2コイル63bによりモータ61を3相モータとして駆動させる。統括制御部40は、第2インバータ装置80Bによる第2コイル63bへの電力供給を実行する一方で、第1インバータ装置80Aによる第1コイル63aへの電力供給を停止する。
【0088】
EPU50の異常が第1異常でない場合、統括制御部40は、ステップS103に進む。統括制御部40は、ステップS103において、各種センサの検出信号などを用いて、EPU50に第2異常が発生したか否かを判定する。第2異常が発生した場合、第2コイル63bに関する異常が発生している一方で、第1コイル63aに関する異常が発生していない。
【0089】
EPU50に第2異常が発生した場合、統括制御部40は、ステップS106に進む。統括制御部40は、ステップS106において、第1運転処理を行う。第1運転処理は、モータ61を3相モータとして駆動させるための処理である。第1運転処理では、第1コイル63aによりモータ61を3相モータとして駆動させる。統括制御部40は、第1インバータ装置80Aによる第1コイル63aへの電力供給を実行する一方で、第2インバータ装置80Bによる第2コイル63bへの電力供給を停止する。
【0090】
EPU50の異常が第1異常及び第2異常のいずれでもない場合、統括制御部40は、第1コイル63aに関する異常及び第2コイル63bに関する異常の両方が発生したとして、ステップS107に進む。統括制御部40は、ステップS107において停止処理を行う。停止処理は、モータ61の駆動を停止させるための処理である。停止処理では、第1インバータ装置80Aによる第1コイル63aへの電力供給を停止させ、且つ第2インバータ装置80Bによる第2コイル63bへの電力供給を停止させる。
【0091】
ここまで説明した本実施形態によれば、複数のインバータ装置80は、それぞれがモータ装置60を駆動する。この構成では、仮に1つのインバータ装置80に異常が発生したとしても、残りのインバータ装置80によりモータ装置60を駆動させることができる。このため、推進装置15の冗長性を複数のインバータ装置80により高めることができる。例えば、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bの一方に異常が発生したとしても、他方によりモータ装置60を駆動させることができる。このため、推進装置15の冗長性を第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bにより高めることができる。これらのように、複数のインバータ装置80のいずれかに異常が発生したとしても、モータ装置60の駆動が停止してしまうという事態を回避できる。
【0092】
しかも、複数のインバータ装置80は、それぞれがモータ装置60に軸方向ADに並ぶように、且つ互いに軸方向ADに並ぶように設けられている。この構成では、軸方向ADにおけるインバータ装置80とモータ装置60との並び順として、EPUハウジング55を軽量化するための並び順を採用することができる。このようにEPU50の軽量化を図ることは、eVTOL10の軽量化にとって効果的である。
【0093】
以上のように、eVTOL10の安全性をEPU50により高めることができ、さらに、eVTOL10への搭載に適したEPU50を実現することができる。
【0094】
高い安全性が求められる航空用のEPU50では、冗長性の確保が求められる。1つのEPU50が複数のインバータ装置80を有することで、冗長性を確保することが可能になるが、重量の増加が問題になりやすい。
【0095】
これに対して、本実施形態では、モータ装置60と複数のインバータ装置80とが同軸上に配置されている。このため、モータ装置60と複数のインバータ装置80とをコンパクトに一体化することができる。したがって、EPU50について、冗長性を確保しつつ重量増加を抑制できる。また、同軸上にモータ装置60と複数のインバータ装置80とが配置されると、例えば複数のインバータ装置80が個別に配置される構成に比べて、複数のインバータ装置80をコンパクトに一体化でき、eVTOL10への固定や配線が容易になる。このため、EPU50のトータルの体格や重量の増加を抑制しつつ冗長性を確保できる。
【0096】
EPU50では、モータ装置60及び複数のインバータ装置80といった複数のコンポーネントが同軸上に配置されている。このため、複数のコンポーネントをコンパクトに一体化でき、複数のコンポーネントについてeVTOL10への固定や配線が容易になる。したがって、複数のコンポーネントを有するEPU50について、トータルの体格や重量の増加を抑制でき、さらに、複数のコンポーネントにより冗長性を確保できる。
【0097】
本実施形態によれば、複数のインバータ装置80は、1つのモータ装置60に軸方向ADに隣り合うように、且つ互いにモータ装置60を介さずに軸方向ADに隣り合うように並べられている。この構成では、インバータ装置80を構成する部品や機器について、複数のインバータ装置80で共通化することが可能である。このように部品や機器を複数のインバータ装置80で共通化することにより、インバータ装置80の軽量化を図ることができる。例えば、インバータ装置80とモータ装置60とを通電可能に接続する電気配線を、複数のインバータ装置80で共通化することが可能である。また、軸方向ADに隣り合う2つのインバータ装置80の境界部では、2つのインバータ装置80のそれぞれのインバータ対向壁93を共通化したり非設置にしたりすることが可能である。これらのように、複数のインバータ装置80を軸方向ADに隣接配置することで、インバータ装置80の間の配線や通信を簡素化でき、軽量化に寄与できる。
【0098】
本実施形態によれば、少なくとも1つのインバータ装置80は、軸方向ADにおいてインバータ装置80とEPU固定部58との距離がモータ装置60とEPU固定部58との距離よりも大きくなる位置に設けられている。この構成では、EPU固定部58に対して、モータ装置60よりも遠い位置に設けられたインバータ装置80は、モータ装置60を支持しない状態になっている。このため、このインバータ装置80については、モータ装置60を支持しない分だけ、インバータハウジング90の強度をモータハウジング70の強度に比べて低くすることが可能である。このように、モータ装置60を支持しない状態になっているインバータ装置80については、インバータハウジング90の強度を低くできる分だけ軽量化することができる。
【0099】
本実施形態によれば、モータ装置60は、軸方向ADにおいてモータ装置60とEPU固定部58との距離がインバータ装置80とEPU固定部58との距離よりも小さくなる位置に設けられている。この構成では、モータ装置60は、EPU固定部58を介して機体11に固定された状態で、インバータ装置80を支持している。このため、インバータ装置80がモータ装置60を支持する必要がない。すなわち、モータ装置60を支持するための強度をインバータハウジング90に付与する、という必要がない。このようにインバータハウジング90がモータ装置60を支持する必要がない分だけ、インバータ装置80を軽量化することができる。
【0100】
本実施形態によれば、EPUハウジング55では、モータハウジング70がモータ61を収容しており、インバータハウジング90がインバータ81を収容している。この構成では、EPUハウジング55において、モータ装置60に含まれるモータハウジング70と、インバータ装置80に含まれるインバータハウジング90とについて、個別に強度を設定することができる。このため、モータハウジング70において、モータ61などの重量に対して不足しないように強度を確保すること、及びインバータハウジング90において、軽量化を図るために強度を極力低くすること、の両方を実現できる。
【0101】
本実施形態によれば、インバータハウジング90の強度がモータハウジング70の強度よりも低い。この構成では、EPUハウジング55の強度が不足することをモータハウジング70の強度により抑制しつつ、EPUハウジング55の軽量化をインバータハウジング90の軽量化により実現できる。
【0102】
本実施形態によれば、EPU固定部58は、ギアハウジング105に設けられている。ギアハウジング105の強度がインバータハウジング90の強度よりも高いため、EPU固定部58がEPU50を支持する上でギアハウジング105の強度が不足するということを抑制できる。
【0103】
本実施形態によれば、モータ装置60は、複数のインバータ装置80の全てによる駆動と、少なくとも1つを除いて残りのインバータ装置80による駆動と、に切り替え可能である。この構成では、例えば1つのインバータ装置80に異常が発生した場合に、残りのインバータ装置80によりモータ装置60を駆動させることができる。例えば、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bのうち一方に異常が発生した場合に、他方によりモータ装置60を駆動させることができる。
【0104】
主に機械部品により構成されているモータ装置60については、主に電子部品により構成されているインバータ装置80に比べて、故障などの異常が発生しにくい。そこで、1つのモータ装置60が複数のインバータ装置80により制御されるように構成することで、EPU50の冗長性を実現することができる。例えば、1つのインバータ装置80に故障などの異常が発生したとしても、残りのインバータ装置80でモータ装置60を制御することが可能である。この構成では、例えば、モータ装置60とインバータ装置80とを1つずつ有するセットが2セット設けられた構成に比べて、モータ装置60が1つ少ないことにより軽量化を実現できる。したがって、モータ装置60の数が少ないことで重量増加を抑えつつ、モータ装置60の数が少なくても冗長性を実現できる。
【0105】
本実施形態によれば、モータ装置60は、複数のインバータ装置80によるm×n相の駆動と、1つのインバータ装置80によるn相の駆動とに切り替え可能である。この構成では、複数のインバータ装置80のいずれかに異常が発生した場合に、異常が発生していないインバータ装置80によりモータ装置60をn相駆動させることができる。この場合、モータ装置60の駆動態様を変更することで、モータ装置60の駆動が停止してしまうという事態を回避できる。
【0106】
例えば、モータ装置60は、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bの両方による6相駆動と、一方による3相駆動と、に切り替え可能である。この構成では、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bのうち一方に異常が発生した場合に、他方によりモータ装置60を3相駆動させることができる。この場合、モータ装置60の駆動態様を6相駆動から3相駆動に切り替えることで、モータ装置60の駆動が停止してしまうという事態を回避できる。
【0107】
本実施形態では、複数のインバータ装置80が共通のモータ装置60を駆動させるため、1つのインバータ装置80あたりの出力性能を抑えることができる。このため、1つのインバータ装置80あたり体格や重量を抑制できる。しかも、複数のインバータ装置80のいずれかに異常が発生した場合には、残りのインバータ装置80がモータ装置60を制御することで、異常時でもモータ装置60の出力を完全に失うということを防止できる。これらのことからして、複数のインバータ装置80が共通のモータ装置60を駆動することで、軽量化と冗長性をバランスよく実現できる。
【0108】
本実施形態によれば、モータ装置60は、軸方向ADにおいてプロペラ20とインバータ装置80との間に設けられている。この構成では、プロペラ20の回転に伴って応力が生じたとしても、この応力がインバータ装置80よりもモータ装置60に付与されやすい。モータ装置60では、モータハウジング70の強度がモータ装置60に付与される応力に対して不足しないように十分に高くなっている。このため、プロペラ20からの応力がモータ装置60に付与されたとしても、その応力に対してモータハウジング70の強度が不足しにくい。
【0109】
また、この構成では、プロペラ20からの応力がインバータ装置80に付与されにくい。このため、インバータハウジング90の強度をプロペラ20からの応力に対して不足しないように高くする、という必要がない。したがって、インバータ装置80とプロペラ20及びモータ装置60との位置関係により、インバータ装置80の軽量化を実現できる。
【0110】
本実施形態では、EPU50においてモータ装置60側にプロペラ20を接続することで、プロペラ20にて発生する強い力が付与されやすい位置にモータ装置60を配置できる。このため、EPUハウジング55において強固な部位やEPU固定部58を、インバータ装置80よりもモータ装置60に近い位置に寄せることができる。すなわち、EPUハウジング55において強固な部位やEPU固定部58をインバータ装置80から遠ざけることができる。したがって、インバータ装置80についてインバータハウジング90などの軽量化を実現できる。
【0111】
本実施形態によれば、モータ装置60及びインバータ装置80は、EPUファン110に軸方向ADに並べられている。この構成では、EPUファン110の回転に伴って軸方向ADに流れる冷却風Faにより、モータ装置60及びインバータ装置80を冷却することができる。モータ装置60やインバータ装置80では、モータ61やインバータ81の出力が熱により低下する、または発熱を抑制するために出力を下げざるを得なくなる、ということを冷却風Faにより抑制できる。このように、モータ装置60やインバータ装置80の出力が高められるため、モータ装置60やインバータ装置80については、出力性能を過剰に高める必要がなく、小型化や軽量化を実現しやすい。
【0112】
本実施形態によれば、EPUファン110は、冷却風Faが外周流路123aを軸方向ADに通過するように送風する。外周流路123aは、EPUハウジング55とEPUダクト120との間に形成された流路であるため、冷却風FaをEPUハウジング55の外周面に沿って流れやすい構成を実現できる。このため、冷却風Faによるモータ装置60及びインバータ装置80の冷却効果を高めることができる。
【0113】
本実施形態によれば、モータ61では、ステータ62とロータ64a,64bとが軸方向ADに並べられている。すなわち、モータ61として、アキシャルギャップ式のモータが採用されている。このため、モータ装置60において軸方向ADの高さ寸法を低減しやすい。例えば、ステータとロータとが径方向RDに並べられたラジアルギャップ式のモータに比べて、軸方向ADの高さ寸法を小さくできる。したがって、モータ装置60とインバータ装置80とを軸方向ADに並べても、軸方向ADでのEPU50の高さ寸法を低減しやすい。このようにEPU50の低背化を図ることで、EPU50の体格や重量を抑制できる。
【0114】
本実施形態では、ステータ62が第1ロータ64aと第2ロータ64bとの間に設けられている。すなわち、アキシャルギャップ式のモータ61として、ダブルロータ式のモータが採用されている。このモータ61では、軸方向ADにコンパクトで大きな出力を得ることができる。したがって、モータ装置60やEPU50の体格や重量を更に抑制できる。
【0115】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、EPUファン110が、軸方向ADにおいてモータ装置60及びインバータ装置80とプロペラ20との間に設けられていた。これに対して、第2実施形態では、EPUファン110が、軸方向ADにおいてモータ装置60及びインバータ装置80を介してプロペラ20とは反対側に設けられている。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第2本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0116】
図6に示すように、ギア装置100とモータ装置60とは、軸方向ADに重ねられた状態になっている。ギア装置100とモータ装置60とは、互いに固定されている。例えば、ギアハウジング105とモータハウジング70とは、ボルト等の固定具で固定されている。この固定具は、ギア外周壁106とモータ外周壁71とを固定している。ギア外周壁106とモータ外周壁71とは、軸方向ADに並べられている。例えば、ギア外周壁106及びモータ外周壁71では、それぞれの外周面が面一になるように軸方向ADに並べられている。
【0117】
EPUファン110は、モータ装置60及びインバータ装置80の風下に設けられている。EPUファン110は、モータ装置60及びインバータ装置80を介してギア装置100とは反対側に設けられている。EPUファン110は、モータハウジング70及びインバータハウジング90を介してプロペラ20の反対側にある。EPUファン110は、第2ダクト口122からインバータ装置80側に離れた位置にある。冷却風Faは、EPUファン110に吸い込まれるようにして、外周流路123aをEPUハウジング55の外周面に沿って軸方向ADに流れる。
【0118】
本実施形態では、EPUファン110がモータ装置60及びインバータ装置80の下流側に設けられているため、冷却風Faは、EPUファン110がダクト上流から空気を引き込んだような空気流になる。このため、冷却風Faが外周流路123aを流れる際の圧力損失が小さくなりやすい。例えば、EPUファン110がモータ装置60及びインバータ装置80の上流側に設けられ、EPUファン110が空気を押し込むように冷却風Faを流す構成に比べて、冷却風Faの圧力損失を低減できる。このため、EPUファン110を少ない動力で回転させることができ、少ない動力で効率的に冷却風Faを流すことができる。このため、EPUファン110の構造を簡素にでき、その結果、EPUファン110などの軽量化が可能になる。
【0119】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、複数のインバータ装置80が個別にインバータハウジング90を有していた。これに対して、第3実施形態では、インバータハウジング90が複数のインバータ装置80で共通化されている。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0120】
なお、第3実施形態では、上記第2実施形態と同様に、EPUファン110がモータ装置60及びインバータ装置80を介してプロペラ20とは反対側に設けられている。EPUファン110の位置については、第4~第6実施形態でも同様である。
【0121】
図7に示すように、EPUハウジング55は、インバータハウジング90として共通インバータハウジング90Cを有している。共通インバータハウジング90Cは、第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとで共通化されている。共通インバータハウジング90Cにおいて、第1インバータ装置80Aに含まれた部位は第1インバータハウジング90Aを形成しており、第2インバータ装置80Bに含まれた部位は第2インバータハウジング90Bを形成している。
【0122】
共通インバータハウジング90Cでは、第1インバータハウジング90Aの内部空間と第2インバータハウジング90Bの内部空間とが連続した空間になっている。共通インバータハウジング90Cでは、第1インバータハウジング90Aと第2インバータハウジング90Bとの境界部にインバータ対向壁93が設けられていない。共通インバータハウジング90Cでは、第1インバータ81A及び第1インバータ制御部82Aと第2インバータ81B及び第2インバータ制御部82Bとの間にインバータ対向壁93が設けられていない。
【0123】
本実施形態では、共通インバータハウジング90Cが複数のインバータ装置80で共通化されたインバータハウジング90である。インバータ装置80では、熱設計の観点において、モータ装置60からの受熱による影響が大きい。これに対して、共通インバータハウジング90Cが複数のインバータ装置80で共有されているため、複数のインバータ装置80でのインバータ81やインバータ制御部82の配置に関する自由度を高めることができる。例えば、複数のインバータ装置80で回路基板を共通化させることができる。この場合、複数のインバータ装置80のそれぞれのインバータ81やインバータ制御部82で回路基板を共通化させることができる。
【0124】
本実施形態では、共通インバータハウジング90Cが第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとで共通化されている。このため、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bという2チャネル分の内部部品について、配置に関する自由度を高めることができる。すなわち、共通インバータハウジング90Cの内部において、第1インバータ81Aや第1インバータ制御部82A、第2インバータ81B、第2インバータ制御部82Bの配置に関する設計自由度を高めることができる。例えば、インバータ81A,81Bやインバータ制御部82A,82Bを構成する部品のうち、熱的に弱めの部品をモータ装置60から遠い位置に配置することで、熱的に弱めの部品を熱的に保護することが可能になる。このように、インバータ装置80A,80Bの部品配置に関して熱設計の最適化により軽量化できる。そして、熱設計の最適化により、並列素子数の削減などが可能になる。
【0125】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、モータ装置60が、軸方向ADにおいてプロペラ20と複数のインバータ装置80との間に設けられていた。これに対して、第4実施形態では、モータ装置60が、軸方向ADにおいて隣り合う2つのインバータ装置80の間に設けられている。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第4本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0126】
図8に示すように、モータ装置60は、第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとの間に設けられている。モータ装置60は、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bのそれぞれに固定されている。モータハウジング70は、第1インバータハウジング90A及び第2インバータハウジング90Bのそれぞれに固定されている。
【0127】
本実施形態では、EPU固定部58が、モータハウジング70よりも第2インバータハウジング90Bに近い位置に設けられている。軸方向ADでは、EPU固定部58と第2インバータハウジング90Bとの距離が、EPU固定部58とモータハウジング70との距離よりも小さい。第2インバータハウジング90Bは、EPU固定部58とモータハウジング70との間に設けられている。
【0128】
第2インバータハウジング90Bは、EPU固定部58に対して固定された状態で、モータ装置60及び第1インバータ装置80Aを支持している。第2インバータハウジング90Bは、モータ装置60及び第1インバータ装置80Aを支持するために必要な強度を有している。例えば、第2インバータハウジング90Bの強度は、第1インバータハウジング90Aの強度よりも高い。また、第2インバータハウジング90Bの強度は、モータハウジング70の強度よりも高い、又はモータハウジング70の強度とほぼ同じである。
【0129】
第2インバータハウジング90Bでは、インバータ外周壁91がモータ装置60及び第1インバータ装置80Aを支持するために必要な強度を有している。例えば、第2インバータハウジング90Bでは、インバータ外周壁91の強度がモータ外周壁71の強度以上である。また、第2インバータハウジング90Bでは、インバータ外周壁91の厚さ寸法がモータ外周壁71の厚さ寸法以上である。なお、インバータ外周壁91の厚さ寸法がモータ外周壁71の厚さ寸法以上である構成には、インバータ外周壁91の厚さ寸法がモータ外周壁71の厚さ寸法とほぼ同じである構成が含まれる。
【0130】
第1インバータハウジング90Aよりも第2インバータハウジング90Bの方が、インバータ外周壁91の強度が高い。例えば、第1インバータハウジング90Aよりも第2インバータハウジング90Bの方が、インバータ外周壁91の厚さ寸法が大きい。本実施形態では、モータ装置60を支持するための強度が第2インバータハウジング90Bにより確保される一方で、第1インバータハウジング90Aの軽量化によりEPU50の軽量化が実現される。
【0131】
本実施形態では、第2インバータハウジング90Bがモータ装置60を支持した状態になっている。このため、第2インバータハウジング90Bの強度を確保しなければならないなど、第2インバータハウジング90Bの軽量化を図るという観点では不利な点が生じやすい。その一方で、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bの両方が、軸方向ADにおいてモータ装置60に隣接している。この構成では、第1インバータ装置80Aとモータ装置60とを接続する電気配線等と、第2インバータ装置80Bとモータ装置60とを接続する電気配線等と、の両方を短尺化できる。このため、EPU50での電気配線等を簡素化するという観点では有利である。
【0132】
<第5実施形態>
上記第4実施形態では、モータ装置60が、軸方向ADにおいて隣り合う2つのインバータ装置80の間に設けられていた。これに対して、第5実施形態では、複数のインバータ装置80が、軸方向ADにおいてプロペラ20とモータ装置60との間に設けられている。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第5本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0133】
図9に示すように、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bは、軸方向ADにおいてプロペラ20とモータ装置60との間に設けられている。軸方向ADでは、モータ装置60と第1インバータ装置80Aとが隣り合う位置にある。モータ装置60は、第1インバータ装置80Aに固定されている。モータハウジング70は、第1インバータハウジング90Aに固定されている。
【0134】
本実施形態では、EPU固定部58が、モータハウジング70よりもインバータハウジング90A,90Bに近い位置に設けられている。軸方向ADでは、EPU固定部58とインバータハウジング90A,90Bとの距離が、EPU固定部58とモータハウジング70との距離よりも小さい。インバータハウジング90A,90Bは、EPU固定部58とモータハウジング70との間に設けられている。
【0135】
インバータハウジング90A,90Bは、EPU固定部58に対して固定された状態で、モータ装置60を支持している。インバータハウジング90A,90Bは、モータ装置60を支持するために必要な強度を有している。例えば、インバータハウジング90A,90Bの強度は、モータハウジング70の強度よりも高い、又はモータハウジング70の強度とほぼ同じである。
【0136】
インバータハウジング90A,90Bでは、インバータ外周壁91がモータ装置60を支持するために必要な強度を有している。例えば、インバータハウジング90A,90Bでは、インバータ外周壁91の強度がモータ外周壁71の強度以上である。また、インバータハウジング90A,90Bでは、インバータ外周壁91の厚さ寸法がモータ外周壁71の厚さ寸法以上である。
【0137】
本実施形態では、インバータハウジング90A,90Bの両方がモータ装置60を支持した状態になっている。このため、インバータハウジング90A,90Bの両方について強度を確保しなければならないなど、インバータハウジング90A,90Bの軽量化を図るという観点では不利な点が生じやすい。その一方で、EPUハウジング55において、軸方向ADの端部にモータハウジング70が配置されているため、モータハウジング70から熱が放出されやすい。例えば、モータハウジング70では、一方のモータ対向壁73が外気に晒されていることで、そのモータ対向壁73から外気に熱が放出されやすい。このため、モータ装置60の放熱効果を高めることができる。
【0138】
また、第1インバータ装置80A及び第2インバータ装置80Bの両方が、モータ装置60を介さずにギア装置100に軸方向ADに並べられている。このため、インバータ装置80A,80Bとギア装置100とを接続する電気配線等がモータ61を避けるように迂回する、という必要がない。したがって、インバータ装置80A,80B及びギア装置100に接続される電気配線等を簡素化するという観点では有利である。
【0139】
<第6実施形態>
上記第1実施形態では、EPU固定部58がギア装置100に設けられていた。これに対して、第6実施形態では、EPU固定部58が軸方向ADにおいてプロペラ20とモータ装置60との間に設けられている。第6実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第6本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0140】
図10に示すように、EPU固定部58は、モータハウジング70に含まれている。EPU固定部58は、モータ外周壁71に設けられている。EPU固定部58は、モータ外周壁71から径方向外側に向けて延びている。例えば、EPU固定部58は、モータ外周壁71においてインバータ装置80とは反対側の端部に設けられている。なお、EPU固定部58は、EPUダクト120から軸方向ADに離れた位置に設けられていてもよい。この構成では、EPU固定部58がEPUダクト120を貫通する必要がない。
【0141】
モータハウジング70は、EPU固定部58を介して機体11に固定された状態で、インバータ装置80A,80Bを支持している。モータハウジング70は、モータ装置60の自重や、インバータ装置80A,80Bを支持するために必要な強度を有している。モータハウジング70の強度は、インバータハウジング90A,90Bの強度よりも高い。モータハウジング70は、高ハウジングに相当する。
【0142】
本実施形態によれば、EPU固定部58は、モータハウジング70に設けられている。モータハウジング70の強度がインバータハウジング90A,90Bの強度よりも高いため、EPU固定部58がEPU50を支持する上でモータハウジング70の強度が不足するということを抑制できる。
【0143】
本実施形態では、EPU50がギア装置100を有していない。なお、EPU50がギア装置100を有する構成であるか否かに関係なく、EPU固定部58がモータハウジング70に設けられていてもよい。例えば、EPU50がギア装置100を有する構成で、EPU固定部58がモータハウジング70に設けられていてもよい。
【0144】
また、EPU固定部58は、インバータ装置80に設けられていてもよい。例えば、EPU固定部58は、インバータ外周壁91に設けられていてもよい。この構成のインバータハウジング90は、EPU固定部58を介して機体11に固定された状態でモータ装置60を支持している。このインバータハウジング90は、モータ装置60を支持するために必要な強度を有している。例えば、EPU50がギア装置100を有している構成では、インバータハウジング90は、モータ装置60に加えてギア装置100を支持するために必要な強度を有している。
【0145】
<第7実施形態>
上記第1実施形態では、EPU50がモータ装置60を1つだけ有していた。これに対して、第7実施形態では、EPU50がモータ装置60を複数有している。第7実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第7本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0146】
図11、
図12に示すように、EPU50は、モータ装置60として、第1モータ装置60A及び第2モータ装置60Bを有している。第1モータ装置60Aは、モータ61として第1モータ61Aを有している。第2モータ装置60Bは、モータ61として第2モータ61Bを有している。
【0147】
本実施形態では、第1インバータ装置80Aが第1モータ装置60Aを駆動する。例えば、第1インバータ制御部82Aが第1インバータ81Aを介して第1モータ61Aを駆動する。第2インバータ装置80Bが第2モータ装置60Bを駆動する。例えば、第2インバータ制御部82Bが第2インバータ81Bを介して第2モータ61Bを駆動する。なお、
図12では、第1モータ装置60AをeMOT1、第2モータ装置60BをeMOT2、と図示している。
【0148】
第1モータ61A及び第2モータ61Bは、個別コイルを1個ずつ有している。上記第1実施形態と同様に、個別コイルはn相のコイルである。第1モータ61A及び第2モータ61Bのそれぞれでは、モータコイル63が1×n相のコイルである。第1モータ61A及び第2モータ61Bは、1×n相のモータとして駆動する。本実施形態では、第1モータ61A及び第2モータ61Bのそれぞれにおいて、モータコイル63が3相のコイルである。そして、第1モータ61A及び第2モータ61Bのそれぞれが3相モータである。
【0149】
図11に示すように、モータ装置60A,60Bは、軸方向ADにおいてプロペラ20とインバータ装置80A,80Bとの間に設けられている。第1モータ装置60Aと第2モータ装置60Bとは、軸方向ADに並べられている。第1インバータ装置80Aと第2インバータ装置80Bとは、インバータ装置80A,80Bを介さずに隣り合う位置に設けられている。第1モータ装置60Aと第2モータ装置60Bとは、互いに重ねられた状態になっている。第1モータ装置60Aと第2モータ装置60Bとは、同軸に設けられている。第1モータ装置60Aの中心線と第2モータ装置60Bの中心線とは、モータ軸線Cmに一致している。
【0150】
第1モータ装置60Aと第2モータ装置60Bとは、互いに固定されている。第1モータ装置60Aは、モータハウジング70として第1モータハウジング70Aを有している。第2モータ装置60Bは、モータハウジング70として第2モータハウジング70Bを有している。第1モータハウジング70Aと第2モータハウジング70Bとは、軸方向ADに重ねられた状態になっている。
【0151】
第1モータハウジング70A及び第2モータハウジング70Bでは、それぞれのモータ対向壁73が互いに重ねられている。第1モータハウジング70Aと第2モータハウジング70Bとの境界部には、それぞれのモータ対向壁73が設けられている。これらモータ対向壁73は、第1モータハウジング70Aの内部空間と第2モータハウジング70Bの内部空間とを仕切っている。これらモータ対向壁73は、第1モータ61Aと第2モータ61Bとの間にある。
【0152】
第1モータハウジング70Aと第2モータハウジング70Bとは、ボルト等の固定具で固定されている。この固定具は、第1モータハウジング70A及び第2モータハウジング70Bのそれぞれのモータ外周壁71を固定している。これらモータ外周壁71は、軸方向ADに並べられている。例えば、これらモータ外周壁71のそれぞれの外周面は、互いに面一になるように軸方向ADに並べられている。
【0153】
第1モータ装置60A及び第2モータ装置60Bのうち、一方がインバータ装置80A,80B側に設けられ、他方がギア装置100側に設けられている。例えば、第1モータ装置60Aは、軸方向ADにおいて第2インバータ装置80Bと第2モータ装置60Bとの間に設けられている。第1モータ装置60Aは、第2インバータ装置80Bに固定されている。第2モータ装置60Bは、ギア装置100に固定されている。
【0154】
第2モータ装置60Bは、EPU固定部58に固定された状態で、第1モータ装置60Aを支持している。第2モータハウジング70Bの強度は、第1モータハウジング70Aの強度以上になっている。例えば、第2モータハウジング70Bのモータ外周壁71は、第1モータハウジング70Aのモータ外周壁71よりも高い強度を有している。第2モータハウジング70Bの強度は、第1モータ装置60Aを支持する上で不足しない強度になっている。本実施形態では、第1モータハウジング70Aの強度が第2モータハウジング70Bの強度よりも低くされることで、EPU50の軽量化が実現される。
【0155】
EPU50では、少なくとも1つのモータ装置60がプロペラ20を回転させる。例えば、統括制御部40は、EPU50が正常である場合、第1モータ装置60A及び第2モータ装置60Bの両方を駆動させることで、プロペラ20を回転させる。統括制御部40は、第1モータ装置60Aが駆動するように第1インバータ装置80Aを制御し、且つ第2モータ装置60Bが駆動するように第2インバータ装置80Bを制御する。
【0156】
一方、EPU50が正常でない場合、統括制御部40は、第1モータ装置60A及び第2モータ装置60Bの少なくとも一方の駆動を停止させる。例えば、第1モータ装置60A及び第2モータ装置60Bのうち第1モータ装置60Aに関する異常だけが発生した場合、統括制御部40は、第1モータ装置60Aの駆動を停止させる一方で、第2モータ装置60Bを駆動させる。また、第2モータ装置60Bに関する異常だけが発生した場合、統括制御部40は、第1モータ装置60Aを駆動させる一方で、第2モータ装置60Bの駆動を停止させる。さらに、第1モータ装置60Aに関する異常及び第2モータ装置60Bに関する異常の両方が発生した場合、統括制御部40は、第1モータ装置60A及び第2モータ装置60Bの両方の駆動を停止させる。
【0157】
第1モータ装置60Aに関する異常としては、第1モータ装置60Aの異常や第1インバータ装置80Aの異常などがある。第2モータ装置60Bに関する異常としては、第2モータ装置60Bの異常や第2インバータ装置80Bの異常などがある。
【0158】
<第8実施形態>
上記第1実施形態では、EPUファン110により生じる冷却風Faがプロペラ風と同じ向きに流れる。これに対して、第8実施形態では、空冷ファンにより生じる風がプロペラ風とは逆向きに流れる。第8実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第8本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0159】
図13に示すように、EPU50は、逆流ファン111を有している。逆流ファン111は、EPUハウジング55を冷却するために軸方向ADに空気を流すことが可能である。逆流ファン111は、逆冷却風Fbが軸方向ADに流れるように送風する。逆冷却風Fbは、上記第1実施形態の冷却風Faとは逆向きに流れる。すなわち、逆冷却風Fbは、プロペラ風Wpとは逆向きに流れる。逆冷却風Fbは、軸方向ADに流れる気体の流れである。逆冷却風Fbは、逆流ファン111の回転に伴って生じる。プロペラ風Wpにとっては、逆流ファン111がプロペラ20の風下側に設けられている。逆流ファン111は、空冷ファンに相当する。逆流ファン111は、EPUシャフト51に設けられている。逆流ファン111は、モータ装置60の駆動に伴って、EPUシャフト51と共に回転する。
【0160】
逆流ファン111は、逆冷却風FbにとってEPUダクト120の下流側に設けられている。逆流ファン111は、ダクト空間123の気体を吸い込むように送風することで、外周流路123aに逆冷却風Fbを流す。逆流ファン111は、ダクト空間123にて吸い込んだ逆冷却風Fbを径方向外側に向けてEPUダクト120の外側に放出する。逆冷却風Fbは、軸方向ADにおいてEPUダクト120とEPU固定部58及び機体11との間から径方向外側に向けて放出される。なお、EPUダクト120には、逆冷却風Fbを径方向外側に向けて放出するための放出孔が設けられていてもよい。
【0161】
EPU50は、ダクトフード130を有している。ダクトフード130は、EPUダクト120及び逆流ファン111をプロペラ20側から覆うように設けられている。ダクトフード130は、軸方向ADにおいて逆流ファン111とプロペラ20との間に設けられている。ダクトフード130は、逆冷却風Fbを径方向外側に向けて案内するように、軸方向ADに直交する方向に延びている。例えば、ダクトフード130は、ギアハウジング105から径方向外側に向けて延びている。ダクトフード130は、プロペラ風Wpがダクト空間123に流れ込まないように、プロペラ風Wpを遮蔽している。ダクトフード130は、プロペラ風Wpが逆冷却風Fbに干渉することを規制している。プロペラ風Wpを遮蔽する機能は、EPU固定部58が有していてもよい。
【0162】
なお、EPUダクト120や逆流ファン111は、外周流路123aに逆冷却風Fbが生じるのであれば、どのように設けられていてもよい。例えば、逆流ファン111は、モータハウジング70やインバータハウジング90に対して逆冷却風Fbにとっての下流側に設けられていてもよい。逆流ファン111は、ギアハウジング105に対して逆冷却風Fbにとっての上流側に設けられていてもよい。この構成では、ギアハウジング105がEPUダクト120に収容されていることが好ましい。また、逆流ファン111は、EPUダクト120の内部に設けられていてもよい。
【0163】
本実施形態によれば、逆流ファン111は、軸方向ADにおいてプロペラ風Wpとは逆向きに逆冷却風Fbを流す。この構成では、水滴や塵等の異物が逆冷却風Fbの流れに乗って軸方向ADに流れることを、プロペラ風Wpにより規制しやすい。逆冷却風Fbは、EPU50を冷却するための風であるため、プロペラ風Wpよりも弱くなりやすい。このため、EPU50の周辺では、異物が逆冷却風Fbの流れに乗ってモータ装置60やインバータ装置80に接近したり接触したりすることよりも、異物がプロペラ風Wpにより吹き飛ばされることの方が発生しやすい。したがって、EPU50では、異物がモータ装置60やインバータ装置80に接近したり接触したりすることで異常等の不都合が発生する、ということが抑制される。
【0164】
本実施形態によれば、外周流路123aでは、プロペラ風Wpと逆冷却風Fbとが軸方向ADにおいて互いに逆向きに流れる。この構成では、第2ダクト口122の周辺に異物が存在していたとしても、この異物は、プロペラ風Wpにより第2ダクト口122から遠ざかるように吹き飛ばされやすい。すなわち、異物が逆冷却風Fbと共に第2ダクト口122から外周流路123aに進入することがプロペラ風Wpにより規制される。したがって、外周流路123aに異物が溜まることなどによりEPU50の冷却効果が低下する、ということをプロペラ風Wpにより抑制できる。
【0165】
本実施形態によれば、逆流ファン111は、軸方向ADにおいてプロペラ20とEPUハウジング55との間に設けられている。この構成では、逆流ファン111がプロペラ風Wpに抗してEPUハウジング55周辺の気体をプロペラ20側に吸い込むように送風することで、EPUハウジング55に沿って逆冷却風Fbが流れる。このため、逆冷却風Fbにより生じる圧力損失を低減できる。したがって、異物が外周流路123aに流入してくることを抑えつつ、より効果的に逆冷却風Fbを流すことができる。その結果、逆流ファン111とプロペラ20及びEPUハウジング55との位置関係により、eVTOL10の安全性を向上させることができる。
【0166】
例えば本実施形態とは異なり、逆流ファン111がEPUハウジング55を介してプロペラ20とは反対側に設けられた構成を想定する。この構成では、逆流ファン111がEPUハウジング55周辺の気体をプロペラ20側に押し込むように送風することになるため、逆冷却風Fbにより生じる圧力損失が増加しやすい。
【0167】
なお、EPUシャフト51は、プロペラ20とモータ装置60とを接続しており、接続部と称されることがある。逆流ファン111は、軸方向ADにおいて接続部とEPUハウジング55との間に設けられている。すなわち、逆流ファン111は、軸方向ADにおいて逆流ファン111と接続部との距離がEPUハウジング55と接続部との距離よりも小さくなる位置に設けられている。
【0168】
本実施形態によれば、ダクトフード130は、外周流路123aとプロペラ20との間を遮るように、軸方向ADにおいてプロペラ20と外周流路123aとの間に設けられている。この構成では、プロペラ風Wpが逆冷却風Fbに抗して第1ダクト口121から外周流路123aに流入することを、ダクトフード130により規制できる。このため、外周流路123aにおいてプロペラ風Wpが逆冷却風Fbに干渉し、逆冷却風FbによるEPU50の冷却効果が低下する、ということをダクトフード130により抑制できる。プロペラ風Wpが逆冷却風Fbに干渉した場合、外周流路123aを流れる逆冷却風Fbの流量がプロペラ風Wpの分だけ減少することや、逆冷却風Fbが外周流路123aを流れにくくなることなどが生じる。また、この構成では、異物がプロペラ風Wpと共に外周流路123aに進入する、ということをダクトフード130により抑制できる。
【0169】
<第9実施形態>
上記第8実施形態では、EPU50がダクトフード130を有している。これに対して、第9実施形態では、EPU50がダクトフード130を有していない。第9実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第8実施形態と同様である。第9本実施形態では、上記第8実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0170】
図14に示すように、上記第8実施形態とは異なり、軸方向ADにおいてEPUハウジング55及びEPUダクト120とプロペラ20との間にダクトフード130が設けられていない。このため、推進装置15では、外周流路123aとプロペラ20との間がダクトフード130により遮られた構成になっていない。なお、推進装置15では、ダクトフード130が存在しなくても、プロペラ風Wpが第1ダクト口121から外周流路123aに流入しにくい構成になっていてもよい。例えば、ブレード21の形状や角度などが、プロペラ風Wpが第1ダクト口121に流入しにくいように設定されていてもよい。
【0171】
<第10実施形態>
上記第8実施形態では、EPU50においてモータ装置60とインバータ装置80との数が異なっている。これに対して、第10実施形態では、EPU50においてモータ装置60とインバータ装置80との数が同じになっている。第10実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第8実施形態と同様である。第10本実施形態では、上記第8実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0172】
図15に示すように、1つのEPU50がモータ装置60とインバータ装置80とを1つずつ有している。このため、EPU50では、1つのインバータ装置80が1つのモータ装置60を駆動させる。なお、モータ装置60とインバータ装置80との位置関係はどのようになっていてもよい。例えば、軸方向ADにおいてモータ装置60とプロペラ20との間にインバータ装置80が設けられていてもよい。
【0173】
<第11実施形態>
上記第8実施形態では、EPU50においてインバータ装置80が軸方向ADに複数並べられている。これに対して、第11実施形態では、EPU50においてインバータ装置80が周方向CDに複数並べられている。第11実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第8実施形態と同様である。第11本実施形態では、上記第8実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0174】
図16に示すように、EPU50では、複数のインバータ装置80が周方向CDに並べられている。複数のインバータ装置80はいずれも、モータ装置60に軸方向ADに隣り合う位置にある。EPU50では、インバータハウジング90が周方向CDに複数並べられている。EPU50が2つのインバータ装置80を有する構成では、半環状に形成されたインバータハウジング90が周方向CDに2つ並べられている。EPU50では、複数のインバータハウジング90が組み合わされることでインバータハウジング孔95が形成されている。EPU50では、インバータ81及びインバータ制御部82が周方向CDに複数ずつ並べられている。なお、インバータ装置80は、径方向RDに複数並べられていてもよい。
【0175】
<第12実施形態>
第12実施形態では、モータハウジング70の内部を気体が流れるようになっている。第12実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第8実施形態と同様である。第12本実施形態では、上記第8実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0176】
図17に示すように、逆流ファン111は、モータシャフト65に設けられている。逆流ファン111は、モータシャフト65と共に回転する。逆流ファン111は、逆流ブレード112を有している。逆流ブレード112は、モータシャフト65に設けられている。逆流ブレード112は、モータシャフト65から径方向外側に向けて延びている。逆流ブレード112は、周方向CDに複数並べられている。複数の逆流ブレード112は、モータシャフト65により連結されている。
【0177】
逆流ファン111では、逆冷却風Fbがプロペラ風Wpとは逆向きに流れるように、逆流ファン111の回転向きや逆流ブレード112の向きが設定されている。例えば、逆流ファン111では、逆流ファン111の回転向きがプロペラ20の回転向きに同じである一方で、逆流ブレード112の向きがプロペラ20のブレード21の向きとは逆である。逆流ファン111では、モータ軸線Cmに対して逆流ブレード112が周方向CDに傾斜した向きが、モータ軸線Cmに対してブレード21が周方向CDに傾斜した向きとは逆である。逆冷却風Fbにとっては、EPU50がプロペラ20の風上側にある。
【0178】
図17に示すように、モータハウジング70は、モータ空間171を有している。モータ空間171は、モータハウジング70の内部空間である。モータ61は、モータ空間171に収容されている。モータハウジング70は、モータ外壁74を有している。モータ外壁74は、モータハウジング70の外面及び内面を形成している。モータ外壁74は、モータ空間171を形成している。モータ外壁74は、モータ外周壁71及びモータ対向壁73を含んで形成されている。
【0179】
モータ外壁74は、モータ外面76及びモータ内面77を有している。モータ外面76は、モータ外壁74の外面である。モータ内面77は、モータ外壁74の内面である。モータ内面77は、モータ空間171を形成している。モータ外面76は、モータ内面77の外側に設けられている。モータ外面76には、モータフィン79が設けられている。
【0180】
モータ装置60では、モータ空間171を気体が流れるようになっている。モータ空間171には、逆流ファン111の回転に伴って逆内部風Fcが流れる。逆内部風Fcは、外気等の気体の流れである。逆内部風Fcは、モータ空間171を通過するように流れることで、モータ61の熱などをモータ装置60の外部に放出可能である。
【0181】
モータハウジング70は、モータ流入孔175及びモータ流出孔176を有している。モータ流入孔175は、気体をモータ空間171に流入させるための孔である。例えば、逆内部風Fcは、モータ流入孔175からモータ空間171に流入する。モータ流入孔175は、モータ空間171をモータハウジング70の外部に開放するように、モータ外壁74を貫通している。モータ流入孔175は、モータ空間171をプロペラ風Wpにとっての風下側に向けて開放している。モータ流入孔175は、ハウジング流入孔に相当する。
【0182】
モータ流入孔175は、一対のモータ対向壁73のうち、プロペラ風Wpにとって風下側にあるモータ対向壁73に設けられている。例えば、モータ流入孔175は、一対のモータ対向壁73のうち、プロペラ20とは反対側に設けられたモータ対向壁73に設けられている。モータ流入孔175は、モータ対向壁73を軸方向ADに貫通している。モータ流入孔175は、モータ外面76とモータ内面77とにかけ渡されるように軸方向ADに延びている。
【0183】
モータ流入孔175は、モータ対向壁73の中央に設けられている。モータ流入孔175は、モータ外周壁71から内周側に離れた位置にある。すなわち、モータ流入孔175は、径方向RDにおいてモータ流出孔176から内周側に離れた位置にある。モータ流入孔175は、径方向RDにおいてモータ外周壁71よりもモータ軸線Cmに近い位置にある。径方向RDにおいて、モータ流入孔175とモータ軸線Cmとの距離は、モータ流出孔176とモータ軸線Cmとの距離よりも小さい。
【0184】
モータ流出孔176は、気体をモータ空間171からモータハウジング70の外部に流出させるための孔である。例えば、逆内部風Fcは、モータ空間171からモータ流出孔176を通って流出する。モータ流出孔176は、モータ空間171をモータハウジング70の外部に開放するように、モータ外壁74を貫通している。モータ流出孔176は、モータ空間171を外周流路123aに向けて開放している。モータ流出孔176は、モータ空間171と外周流路123aとを通気可能に接続している。モータ流出孔176は、ハウジング流出孔に相当する。モータ流出孔176は、モータ61の熱を外部に排出するための排出孔でもある。
【0185】
逆流ファン111は、逆内部風Fcがモータ空間171からモータ流出孔176を通って外周流路123aに流出するように送風する。逆流ファン111は、気体が流れるように送風する。逆流ファン111は、送風ファンに相当する。EPUダクト120は、モータ流出孔176が外周側に露出しないように、モータ流出孔176を外側から覆っている。EPUダクト120は、外側ダクトに相当する。
【0186】
モータ流出孔176は、モータ外周壁71に設けられている。モータ流出孔176は、モータ外周壁71を径方向RDに貫通している。モータ流出孔176は、モータ外周壁71においてモータ外周外面76aとモータ外周内面77aとにかけ渡された状態になっている。モータ流出孔176は、周方向CDに複数並べられている。モータ流出孔176は、モータフィン79に軸方向ADに並べられている。モータ流出孔176は、軸方向ADに複数並べられている。モータフィン79は、軸方向ADに隣り合う2つのモータ流出孔176の間に設けられている。
【0187】
モータ装置60は、モータシール181を有している。モータシール181は、モータ流出孔176を開閉可能な状態でモータハウジング70に設けられている。モータシール181は、弁部材や開閉部材、リップシールなどにより形成されている。モータシール181は、複数のモータ流出孔176のそれぞれに個別に設けられている。
【0188】
モータシール181は、モータ流出孔176を閉鎖した閉鎖状態と、モータ流出孔176を開放した開放状態と、に移行可能である。モータシール181は、閉鎖状態にある場合に、モータ流出孔176の通気を規制している。この場合、逆内部風Fcがモータ流出孔176から外周流路123aに流出することが、モータシール181により規制される。モータシール181の閉鎖状態は、規制状態に相当する。モータシール181は、流出規制部に相当する。
【0189】
モータシール181は、開放状態にある場合に、モータ流出孔176の通気が可能になるようにモータ流出孔176を開放している。この場合、逆内部風Fcがモータ流出孔176から外周流路123aに流出することが、モータシール181により許可される。モータシール181の開放状態は、許可状態に相当する。
【0190】
モータシール181は、樹脂材料やゴム材料等により弾性変形可能に形成されている。モータシール181は、通気を遮断する通気遮断性を有している。モータシール181は、モータ流出孔176を外周流路123a側から覆っている。モータシール181は、閉鎖状態と開放状態とに移行可能な状態でモータ外壁74に固定されている。モータシール181は、モータ流出孔176を覆うようにモータ外面76に沿って延びている。
【0191】
モータシール181は、モータ外壁74に固定された固定端と、モータ外壁74に固定されていない自由端とを有している。モータシール181は、自由端がモータ外壁74から外側に離れるように弾性変形することで、閉鎖状態から開放状態に移行する。モータシール181は、弾性規制部に相当する。
【0192】
モータシール181は、逆冷却風Fbや逆内部風Fcにより外力が付与されることで、閉鎖状態から開放状態に移行するように弾性変形する。例えば、逆内部風Fcがモータシール181を外周側に向けて押した場合、モータシール181は、逆内部風Fcの押圧力により閉鎖状態から開放状態に移行する。そして、逆内部風Fcの押圧力がモータシール181の復元力より小さくなった場合、モータシール181は、自身の復元力により開放状態から閉鎖状態に移行する。
【0193】
モータハウジング70では、モータシール181が弾性変形するほどに内圧が外圧より高くなった場合、モータシール181は、内圧により閉鎖状態から開放状態に移行する。内圧は、モータ空間171での気体の圧力である。外圧は、外周流路123aでの気体の圧力である。そして、モータシール181の復元力が発揮されるほどに内圧が低下した場合、モータシール181は、自身の復元力により開放状態から閉鎖状態に移行する。
【0194】
逆冷却風Fbの流れが強い場合、逆冷却風Fbがモータシール181を外周流路123a側に吸い寄せるような力がモータシール181に働くことで、モータシール181が閉鎖状態から開放状態に移行する。また、この場合、逆冷却風Fbがモータ空間171の気体を逆内部風Fcとしてモータ流出孔176から引き出すような状態になりやすい。逆冷却風Fbの強さは、逆冷却風Fbの量や速度などにより規定される。逆冷却風Fbの流れが強い場合としては、モータシール181が閉鎖状態から開放状態に移行するほどに逆冷却風Fbの量や速度が大きい場合などがある。そして、逆冷却風Fbの流れが弱くなった場合、モータシール181は、自身の復元力により開放状態から閉鎖状態に移行する。
【0195】
また、逆冷却風Fbの流れが強い場合、逆冷却風Fbがモータシール181の自由端をモータ外面76から浮かすようにモータシール181をめくった状態になることで、モータシール181が閉鎖状態から開放状態に移行する。この場合でも、逆冷却風Fbがモータ流出孔176から逆内部風Fcを引き出すような状態になることで、逆内部風Fcが流れる。
【0196】
EPU50では、逆内部風Fcがモータ流入孔175からモータシャフト65の内部空間を介してモータ空間171に流入するようになっている。モータシャフト65は、全体として筒状に形成されている。モータシャフト65は、シャフト空間165を有している。シャフト空間165は、モータシャフト65の内部空間である。モータ空間171は、シャフト空間165を介してEPU50の外部に開放されている。
【0197】
モータシャフト65は、全体として筒状に形成されている。モータシャフト65は、シャフト外壁161を有している。シャフト外壁161は、モータシャフト65の外壁である。シャフト外壁161は、モータシャフト65の外面及び内面を形成している。シャフト外壁161は、シャフト空間165を形成している。シャフト外壁161は、モータシャフト65の外面及び内面に沿って壁状に延びている。シャフト外壁161は、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延びている。
【0198】
モータシャフト65は、モータハウジング70を軸方向ADに貫通した状態になっている。モータシャフト65では、モータハウジング70からプロペラ20側に延びた部位に逆流ファン111が設けられている。また、モータシャフト65では、モータ流入孔175を介してシャフト外壁161の端部がモータハウジング70の外部に露出した状態になっている。例えば、モータシャフト65では、シャフト外壁161がモータ流入孔175に入り込んだ状態になっている。
【0199】
モータシャフト65は、シャフト流入孔166及びシャフト流出孔167を有している。シャフト流入孔166及びシャフト流出孔167は、シャフト外壁161に設けられている。シャフト流入孔166は、シャフト外壁161を軸方向ADに貫通している。シャフト流入孔166は、モータ外壁74においてモータハウジング70の外部に露出した部位に設けられている。シャフト流入孔166は、シャフト空間165をモータハウジング70の外部に開放している。シャフト流入孔166を通じてシャフト空間165に流入する気体は、モータ流入孔175を通じてモータ空間171に流入することになる。
【0200】
シャフト流入孔166及びモータ流入孔175は、インバータハウジング孔95を介してEPU50の外部に開放されている。シャフト流入孔166及びモータ流入孔175は、インバータハウジング孔95に軸方向ADに並べられている。シャフト流入孔166は、インバータハウジング孔95の内部空間とシャフト空間165とを通気可能に接続している。逆内部風Fcは、インバータハウジング孔95を通ってシャフト流入孔166からシャフト空間165に流入する。モータ流入孔175は、インバータハウジング孔95の内部空間とモータ空間171とを通気可能に接続している。逆内部風Fcは、インバータハウジング孔95を通ってモータ流入孔175からモータ空間171に流入する。
【0201】
シャフト流出孔167は、シャフト外壁161を径方向RDに貫通している。シャフト流出孔167は、モータ外壁74においてモータ空間171に収容された部位に設けられている。シャフト流出孔167は、シャフト空間165をモータ空間171に開放している。すなわち、シャフト流出孔167は、シャフト空間165とモータ空間171とを通気可能に接続している。シャフト流出孔167は、周方向CDに複数並べられている。シャフト流出孔167は、軸方向ADに複数並べられている。シャフト流入孔166からシャフト空間165に流入した逆内部風Fcは、シャフト流出孔167からモータ空間171に流出する。
【0202】
EPU50は、エアフィルタ185を有している。エアフィルタ185は、気体を通過させる一方で、この気体から水や埃、塵等の異物を除去可能である。例えば、エアフィルタ185は、逆内部風Fcがモータ流入孔175からモータ空間171に流入することを許可する一方で、逆内部風Fcと共に異物がモータ流入孔175からモータ空間171に流入することを規制する。エアフィルタ185は、不織布等のフィルタ部材によりシート状に形成されている。エアフィルタ185は、異物規制部に相当する。エアフィルタ185は、防塵フィルタと称されることがある。
【0203】
エアフィルタ185は、モータ流入孔175及びシャフト流入孔166を軸方向ADから覆うように設けられている。例えば、エアフィルタ185は、インバータハウジング孔95を介してモータ流入孔175を軸方向ADから覆っている。エアフィルタ185は、インバータハウジング孔95をプロペラ20とは反対側から覆うように、インバータハウジング90に設けられている。エアフィルタ185は、インバータ対向壁93に接着材等により固定されている。エアフィルタ185は、軸方向ADに直交する方向に延びている。
【0204】
本実施形態によれば、モータ流入孔175は、モータ空間171をモータハウジング70の外部に開放している。この構成では、モータハウジング70の外部から逆内部風Fcがモータ空間171に流入することで、この逆内部風Fcによりモータ61の放熱が促進される。このため、モータ流入孔175により推進装置15の放熱効果を高めることができる。しかも、モータ流入孔175は、プロペラ風Wpの風下側に向けてモータ空間171を開放している。この構成では、プロペラ風Wpが直接的にモータ流入孔175に流れ込むということが生じにくい。このため、異物がプロペラ風Wpと共にモータ流入孔175からモータ空間171に進入するということを抑制できる。したがって、モータハウジング70内に気体が流入する一方で異物が流入する事態を防ぐこと、及びモータ61を効果的に冷やすこと、の両方を実現できる。
【0205】
<第13実施形態>
上記第12実施形態では、逆流ファン111がモータ装置60とプロペラ20との間に設けられている。これに対して、第13実施形態では、逆流ファン111がモータ装置60を介してプロペラ20とは反対側に設けられている。第13実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第12実施形態と同様である。第13本実施形態では、上記第12実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0206】
図18に示すように、逆流ファン111は、軸方向ADにおいてモータ装置60とインバータ装置80との間に設けられている。すなわち、逆流ファン111は、軸方向ADにおいてモータハウジング70とインバータハウジング90との間に設けられている。モータハウジング70とインバータハウジング90とは、逆流ファン111を介して軸方向ADに並べられている。モータシャフト65は、モータハウジング70からインバータハウジング90側に向けて突出している。逆流ファン111は、モータシャフト65においてモータハウジング70からインバータハウジング90側に向けて突出した部位に設けられている。
【0207】
本実施形態によれば、逆流ファン111は、軸方向ADにおいてモータ装置60とインバータ装置80との間に設けられている。また、逆流ファン111は、モータ装置60を介してプロペラ20とは反対側に設けられている。この構成では、逆流ファン111がプロペラ風Wpに抗してインバータ装置80周辺の気体をプロペラ20側に吸い込むように送風することで、インバータ装置80に沿って逆冷却風Fbが流れる。このため、インバータ装置80周辺を流れる逆冷却風Fbについて圧力損失を低減できる。したがって、外周流路123aにおいて異物がインバータ装置80を通過してくることを抑えつつ、より効果的に逆冷却風Fbを流すことができる。
【0208】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0209】
上記各実施形態において、EPU固定部58は、EPUハウジング55のどの部位に設けられていてもよい。EPU固定部58は、ギアハウジング105、モータハウジング70及びインバータハウジング90の少なくとも1つに設けられていてもよい。例えば、EPU固定部58は、ギアハウジング105及びモータハウジング70のそれぞれに個別に設けられていてもよい。また、EPU固定部58は、インバータハウジング90に設けられていてもよい。この構成では、EPU固定部58がEPU50を支持する上でインバータハウジング90の強度が不足しないように、インバータハウジング90が十分に高い強度を有していることが好ましい。
【0210】
上記各実施形態において、EPU固定部58は、EPUハウジング55のどの部位であってもよい。例えば、EPU外周壁56に固定用孔が設けられた構成では、その固定用孔と、EPU外周壁56における固定用孔の周辺部位と、がEPU固定部58に含まれる。この構成では、EPU固定部58が凸部を有していなくてもよい。
【0211】
上記各実施形態において、複数のモータ装置60でモータハウジング70が共通化されていてもよい。例えば、上記第7実施形態において、第1モータ装置60Aと第2モータ装置60Bとでモータハウジング70が共通化されていてもよい。この構成では、第1モータ61Aと第2モータ61Bとの間にモータ対向壁73が設けられていない。複数のインバータ装置80については、上記第3実施形態のように、インバータハウジング90が共通化されていてもよい。また、モータ装置60とインバータ装置80とでハウジングが共通化されていてもよい。例えば、モータ61とインバータ81及びインバータ制御部82との間にモータ対向壁73及びインバータ対向壁93が設けられていなくてもよい。
【0212】
上記各実施形態において、複数のコンポーネントは、EPU50においてどのように配置されていてもよい。例えば、軸方向ADにおいてモータ装置60とインバータ装置80との間に、ギア装置100やEPUファン110が設けられていてもよい。また、軸方向ADに隣り合う2つのモータ装置60の間にギア装置100やEPUファン110、インバータ装置80が設けられていてもよい。さらに、軸方向ADに隣り合う2つのインバータ装置80の間にギア装置100やEPUファン110、モータ装置60が設けられていてもよい。
【0213】
加えて、軸方向ADに隣り合う2つのコンポーネントは、軸方向ADに互いに離れた位置に設けられていてもよい。例えば、軸方向ADに隣り合う2つのモータ装置60は、軸方向ADに互いに離れた位置に設けられていてもよい。また、軸方向ADに隣り合う2つのインバータ装置80は、軸方向ADに互いに離れた位置に設けられていてもよい。
【0214】
上記各実施形態において、EPU50は、少なくとも1つのモータ装置60と複数のインバータ装置80とを有していればよい。例えば、EPU50は、複数のモータ装置60と、モータ装置60よりも多いインバータ装置80を有していてもよい。また、1つのインバータ装置80が複数のモータ装置60を駆動してもよい。例えば、上記第7実施形態では、インバータ装置80A,80Bのうち一方に異常が発生した場合、他方がモータ装置60A,60Bの両方を駆動してもよい。
【0215】
上記各実施形態において、EPUファン110は、EPUダクト120に収容されていなくてもよい。例えば、EPUファン110は、軸方向ADにおいてEPUダクト120の風上や風下に設けられていてもよい。また、EPUダクト120は、ギア装置100、モータ装置60及びインバータ装置80の全てを収容していなくてもよい。例えば、EPUダクト120は、ギア装置100、モータ装置60及びインバータ装置80の少なくとも1つを収容していてもよい。さらに、EPU50は、EPUファン110やEPUダクト120を有していなくてもよい。加えて、EPUダクト120は、樹脂材料やゴム材料等により形成されていてもよい。
【0216】
上記各実施形態において、モータ61は、ダブルロータ式のモータでなくてもよい。例えば、モータ61は、シングルロータ式のモータでもよい。また、モータ61は、アキシャルギャップ式のモータでなくてもよい。例えば、モータ61は、ラジアルギャップ式のモータでもよい。ラジアルギャップ式のモータでは、ロータとステータとが径方向RDに並べられている。
【0217】
上記各実施形態において、飛行制御装置は、統括制御部40及びインバータ制御部82の少なくとも一方を有していればよい。例えば、飛行制御装置は、統括制御部40及びインバータ制御部82のうちインバータ制御部82だけを有していてもよい。この構成では、インバータ制御部82が飛行制御処理を行う。
【0218】
上記各実施形態において、推進装置15が搭載される垂直離着陸機は、少なくとも1つのプロペラ20を少なくとも1つのEPU50が駆動するという電動式の垂直離着陸機であればよい。例えば、1つのプロペラ20を複数のEPU50が駆動する構成でもよく、複数のプロペラ20を1つのEPU50が駆動する構成でもよい。
【0219】
上記各実施形態において、推進装置15が搭載される飛行体は、電動式であれば、垂直離着陸機でなくてもよい。例えば、飛行体は、電動航空機として、滑走を伴う離着陸が可能な飛行体でもよい。さらに、飛行体は、回転翼機又は固定翼機でもよい。飛行体は、人が乗らない無人飛行体でもよい。
【0220】
上記各実施形態において、推進装置15が搭載される移動体は、回転体の回転により移動可能であれば、飛行体でなくてもよい。例えば、移動体は、車両、船舶、建設機械、農業機械であってもよい。飛行体では、プロペラ20がモータ装置60の駆動に伴って回転する回転体に相当し、EPU固定部58等のハウジング固定部が機体11に固定される。例えば、移動体が車両や建設機械などである場合、移動用の車輪などが回転体に相当し、ハウジング固定部が車体に固定される。この場合、EPU50は、車輪の内側に設けられていてもよい。
【0221】
上記各実施形態において、統括制御部40及びインバータ制御部82は、少なくとも1つのコンピュータを含む制御システムによって提供される。制御システムは、ハードウェアである少なくとも1つのプロセッサを含む。このプロセッサをハードウェアプロセッサと称すると、ハードウェアプロセッサは、下記(i)、(ii)、又は(iii)により提供することができる。
【0222】
(i)ハードウェアプロセッサは、ハードウェア論理回路である場合がある。この場合、コンピュータは、プログラムされた多数の論理ユニット(ゲート回路)を含むデジタル回路によって提供される。デジタル回路は、プログラム及びデータの少なくとも一方を格納したメモリを備える場合がある。コンピュータは、アナログ回路によって提供される場合がある。コンピュータは、デジタル回路とアナログ回路との組み合わせによって提供される場合がある。
【0223】
(ii)ハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに格納されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサコアである場合がある。この場合、コンピュータは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサコアとによって提供される。プロセッサコアは、例えばCPUと称される。メモリは、記憶媒体とも称される。メモリは、プロセッサによって読み取り可能な「プログラム及びデータの少なくとも一方」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。
【0224】
(iii)ハードウェアプロセッサは、上記(i)と上記(ii)との組み合わせである場合がある。(i)と(ii)とは、異なるチップの上、又は共通のチップの上に配置される。
【0225】
すなわち、統括制御部40及びインバータ制御部82が提供する手段及び機能の少なくとも一方は、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組み合わせにより提供することができる。
【0226】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0227】
(技術的思想1)
プロペラ(20)の回転により飛行体(10)を推進させる推進装置(15)であって、
モータ(61,61A,61B)を有し、前記飛行体を推進させるために駆動するモータ装置(60,60A,60B)と、
前記モータに供給される電力を変換する電力変換部(81,81A,81B)を有し、前記モータ装置を駆動させるモータ駆動装置(80,80A,80B)と、
前記モータ及び前記電力変換部を収容している装置ハウジング(55)と、
を備え、
前記モータ装置は、複数の前記モータ駆動装置により駆動されることが可能であり、
複数の前記モータ駆動装置は、それぞれが少なくとも1つの前記モータ装置を駆動することが可能であり、それぞれが前記モータの回転軸線(Cm)が延びる軸方向(AD)に前記モータ装置に並ぶように、且つ互いに前記軸方向に並ぶように設けられている、推進装置。
【0228】
(技術的思想2)
複数の前記モータ駆動装置は、1つの前記モータ駆動装置が前記モータ装置に前記軸方向に隣り合うように、且つ互いに前記モータ装置を介さずに前記軸方向に隣り合うように並べられている、技術的思想1に記載の推進装置。
【0229】
(技術的思想3)
前記装置ハウジングは、前記飛行体の機体(11)に固定されるハウジング固定部(58)を有しており、
少なくとも1つの前記モータ駆動装置は、前記軸方向において前記モータ駆動装置と前記ハウジング固定部との距離が前記モータ装置と前記ハウジング固定部との距離よりも大きくなる位置に設けられている、技術的思想1又は2に記載の推進装置。
【0230】
(技術的思想4)
前記装置ハウジングは、前記飛行体の機体(11)に固定されるハウジング固定部(58)を有しており、
前記モータ装置は、前記軸方向において前記モータ装置と前記ハウジング固定部との距離が前記モータ駆動装置と前記ハウジング固定部との距離よりも小さい位置に設けられている、技術的思想1~3のいずれか1つに記載の推進装置。
【0231】
(技術的思想5)
前記装置ハウジングは、
前記モータ装置に含まれ、前記モータを収容しているモータハウジング(70,70A,70B)と、
前記モータ駆動装置に含まれ、前記電力変換部を収容しているモータ駆動ハウジング(90,90A,90B,90C)と、
を有している技術的思想1~4のいずれか1つに記載の推進装置。
【0232】
(技術的思想6)
前記モータ駆動ハウジングの強度は、前記モータハウジングの強度よりも低い、技術的思想5に記載の推進装置。
【0233】
(技術的思想7)
前記装置ハウジングは、
前記モータ駆動ハウジングよりも強度が高い高ハウジング(105,70)と、
前記高ハウジングに設けられ、前記飛行体の機体(11)に固定されるハウジング固定部(58)と、
を有している技術的思想5又は6に記載の推進装置。
【0234】
(技術的思想8)
前記モータ装置は、複数の前記モータ駆動装置の全てによる駆動と、少なくとも1つを除いて残りの前記モータ駆動装置による駆動と、に切り替え可能である、技術的思想1~7のいずれか1つに記載の推進装置。
【0235】
(技術的思想9)
前記モータ装置は、1つの前記モータ駆動装置だけによる複数相としてのn相の駆動と、複数の前記モータ駆動装置の全てによる前記n相を自然数倍であるm倍したm×n相の駆動と、に切り替え可能である、技術的思想1~8のいずれか1つに記載の推進装置。
【0236】
(技術的思想10)
前記モータ装置は、前記軸方向において前記プロペラと前記モータ駆動装置との間に設けられる、技術的思想1~9のいずれか1つに記載の推進装置。
【0237】
(技術的思想11)
前記モータ装置及び前記モータ駆動装置は、前記装置ハウジングを冷却するために前記軸方向に空気を流す空冷ファン(110,111)に前記軸方向に並べられている、技術的思想1~10のいずれか1つに記載の推進装置。
【0238】
(技術的思想12)
前記装置ハウジングを外周側から覆うように設けられ、前記装置ハウジングの外周面に沿って空気を流す外周流路(123a)を前記装置ハウジングとの間に形成している外周ダクト(120)、を備え、
前記空冷ファンは、空気が前記外周流路を前記軸方向に通過するように空気を流す、技術的思想11に記載の推進装置。
【0239】
(技術的思想13)
前記空冷ファンとして、前記軸方向において前記プロペラが流す空気とは逆向きに空気を流す逆流ファン(111)、を備えている技術的思想11又は12に記載の推進装置。
【0240】
(技術的思想14)
前記逆流ファンは、前記軸方向において前記プロペラと前記装置ハウジングとの間に設けられている、技術的思想13に記載の推進装置。
【0241】
(技術的思想15)
前記逆流ファンは、前記軸方向において前記モータ装置と前記モータ駆動装置との間に設けられている、技術的思想13又は14に記載の推進装置。
【0242】
(技術的思想16)
前記装置ハウジングを外周側から覆うように設けられ、前記装置ハウジングとの間に外周流路(123a)を形成している外周ダクト(120)と、
前記外周流路と前記プロペラとの間を遮るように、前記軸方向において前記プロペラと前記外周流路との間に設けられたダクトフード(130)と、
を備えている技術的思想13~15のいずれか1つに記載の推進装置。
【0243】
(技術的思想17)
前記装置ハウジングは、
前記逆流ファンの送風により気体が前記装置ハウジングの外部から前記装置ハウジングの内部空間(171)に流入するように、前記プロペラの回転により生じるプロペラ風(Wp)の風下側に向けて前記内部空間を前記装置ハウジングの外部に開放しているハウジング流入孔(175)、を有している技術的思想13~16のいずれか1つに記載の推進装置。
【0244】
(技術的思想18)
前記モータは、
前記装置ハウジングに固定されたステータ(62)と、
前記ステータに前記軸方向に並べられたロータ(64a,64b)と、
を有している技術的思想1~17のいずれか1つに記載の推進装置。
【符号の説明】
【0245】
10…飛行体としてのeVTOL、11…機体、15…推進装置、20…プロペラ、55…装置ハウジングとしてのEPUハウジング、58…ハウジング固定部としてのEPU固定部、60…モータ装置、60A…第1モータ装置、60B…第2モータ装置、61…モータ、61A…第1モータ、61B…第2モータ、62…ステータ、64a…第1ロータ、64b…第2ロータ、70…高ハウジングとしてのモータハウジング、70A…第1モータハウジング、70B…第2モータハウジング、80…インバータ装置、80A…第1インバータ装置、80B…第2インバータ装置、81…インバータ、81A…第1インバータ、81B…第2インバータ、90…インバータハウジング、90A…第1インバータハウジング、90B…第2インバータハウジング、90C…共通インバータハウジング、105…高ハウジングとしてのギアハウジング、110…空冷ファンとしてのEPUファン、111…空冷ファンとしての逆流ファン、120…外周ダクトとしてのEPUダクト、123a…外周流路、130…ダクトフード、171…内部空間としてのモータ空間、175…ハウジング流入孔としてのモータ流入孔、Wp…プロペラ風、Cm…回転軸線としてのモータ軸線、AD…軸方向。