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▶ テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010153
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 60/04 20150101AFI20240116BHJP
   A63B 53/04 20150101ALI20240116BHJP
   A63B 53/06 20150101ALI20240116BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240116BHJP
【FI】
A63B60/04
A63B53/04 A
A63B53/06 B
A63B102:32
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187832
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2022076046の分割
【原出願日】2015-07-03
(31)【優先権主張番号】62/020,972
(32)【優先日】2014-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/065,552
(32)【優先日】2014-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/141,160
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
(71)【出願人】
【識別番号】502330377
【氏名又は名称】テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・ティー・サージェント
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・リーヴ・ニールソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョン・ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ピー・ビーチ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・バゼル
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ヴィンセント・グレアニー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・レーベル・ウェスター
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・リチャード・スライフィールド
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・ウィレット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クラブヘッドスイング速力の広い範囲に亘って効果を上げる設計を有するゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブの必要性がある。
【解決手段】ゴルフクラブヘッドは、フェースとクラウンとソール9316を有していてそれらが一体で内部キャビティを画定している本体を含んでいる。本体は、ソールに配置されていて概して本体のヒール端から本体のトゥ端へ延びているチャネル9320を有している。チャネル内には重り部材が、重り部材のチャンネル内での位置を調節することができるように、可動式に位置付けられていて、それにより本体の重心の場所が調節できるようになっている。加えて、重り部材の調節は、2mmより大きい最大x軸重心位置調節範囲(MaxΔCGx)と2mmより小さい最大z軸重心調節範囲(MaxΔCGz)を提供する。
【選択図】図19B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドにおいて、
フェースとクラウンとソールを有していてそれらが一体で内部キャビティを画定してい
る本体であって、
前記本体は、前記ソールに配置されていて概して当該本体のヒール端から当該本体のト
ゥ端へ延びているチャネル、を有しており、ここに、前記フェースの中心と交わる第1の
垂直平面と前記チャネルの間の距離は、前記チャネルの全長に亘って約50mmより小さ
い、本体と、
前記チャネル内に可動式に位置付けられている少なくとも1つの重りであって、当該少
なくとも1つの重りの前記チャネル内の位置は調節することが可能である、少なくとも1
つの重りと、
前記重りを装着するための装着キャビティであって、前記チャネルの使用可能部分へ組
み入れられている装着キャビティと、
前記チャネル内を概して前記チャネルのヒール端から前記チャネルのトゥ端へ延びてい
る少なくとも1つの棚部であって、前記少なくとも1つの重りが当該少なくとも1つの棚
部上へ締め付けられるように構成されている棚部と、を備えているゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記チャネルは、ヒール端、トゥ端、前チャネル壁、及び後チャネル壁、を含んでいる
、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記チャネルの前記使用可能部分は、前記チャネルの前記ヒール端から前記チャネルの
前記トゥ端へ延びている、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記装着キャビティは、前記重りの前記チャネル内への装着を容易にする陥凹面を含ん
でいる、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記少なくとも1つの棚部は、当該少なくとも1つの棚部の露出している面上に配置さ
れている複数の突起を含んでおり、前記重り部材は、前記突起に選択的に係合するように
適合されている複数のノッチを含んでいる、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記本体の前記ヒール端に配置されているヒール開口部であって、締結部材を受け入れ
るように構成されているヒール開口部と、
前記締結部材によってロック位置に固定されるスリーブを含んでいるヘッド対シャフト
接続システムであって、前記ゴルフクラブヘッドをゴルフクラブシャフトへ複数の異なっ
た位置で調節可能に取り付けできるようにしてロフト角、フェース角、又はライ角の異な
る組合せの調節性範囲をもたらすように構成されているヘッド対シャフト接続システムと
、を更に備えている請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記少なくとも1つの重りの移動は、前記調節性範囲全体を通して、少なくともMax
ΔCGxのヘッド原点x軸(CGx)座標における2mmの変化を現出させ、MaxΔC
Gzは前記調節性範囲全体を通して大凡2mmである、請求項1に記載のゴルフクラブヘ
ッド。
【請求項8】
前記MaxΔCGzは、前記調節性範囲全体を通して大凡1.5mmである、請求項7
に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記MaxΔCGzは、前記調節性範囲全体を通して大凡1.0mmである、請求項7
に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記MaxΔCGzは、前記調節性範囲全体を通して大凡0.5mmである、請求項7
に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ゴルフクラブヘッドは、約200ccより小さい体積を有している、請求項1に記
載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記ヒール開口部は前記チャネル内に配置されている、請求項6に記載のゴルフクラブ
ヘッド。
【請求項13】
前記ゴルフクラブヘッドは、約400ccより大きい体積を有している、請求項1に記
載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記チャネルの後方に配置されている少なくとも1つの重りポートを更に備えている、
請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記ゴルフクラブヘッドは、前記チャネル内で可動式に位置付けられる少なくとも2つ
の重りを含んでおり、各重りの前記チャネル内の位置は調節できる、請求項1に記載のゴ
ルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記内部キャビティの内部面上に提供されている少なくとも1つのリブであって、前記
チャネル内部面を前記本体の少なくとも1つの他の内部面へ接続している少なくとも1つ
のリブ、を更に備えている請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記クラウンは、約2g/ccより小さい密度を有する複合材料から形成され、約0.
195mmから約0.9mmまでの厚さを有し、前記本体へ固定されるように適合されて
いる、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
ゴルフクラブヘッドにおいて、
フェースとクラウンとソールを有していてそれらが一体で内部キャビティを画定してい
る本体であって、
前記本体は、前記ソールに配置されていて概して当該本体の前部分から当該本体の後部
分へ延びているチャネル、を有しており、前記チャネルは前チャネル壁と後チャネル壁を
含み、前記チャネルの幅は約8mmから約20mmの間であり、前記チャネルの深さは約
6mmから約20mmの間である、本体と、
前記チャネル内に可動式に位置付けられている少なくとも1つの重り組立体であって、
前記少なくとも1つの重り組立体の前記チャネル内の位置は調節することが可能であり、
前記少なくとも1つの重り組立体は、約5gから約25gの間の重量があり、ワッシャと
質量部材と締結用ボルトを含んでいる、少なくとも1つの重り組立体と、
前記重り組立体を前記チャネルに装着するための装着キャビティであって、前記前チャ
ネル壁と前記後チャネル壁の間に配置されている装着キャビティと、
前記チャネル内の少なくとも1つの棚部であって、前記少なくとも1つの重り組立体が
当該少なくとも1つの棚部上へ締め付けられるように構成されており、前記重り組立体が
前記少なくとも1つの棚部へ締め付けられるとき前記締結用ボルトは張力を掛けられる、
少なくとも1つの棚部と、
前記内部キャビティの内部面上に提供されている少なくとも1つのリブであって、前記
チャネル内部面を前記本体の少なくとも1つの他の内部面へ接続している少なくとも1つ
のリブと、を備えているゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
ゴルフクラブヘッドにおいて、
フェースとクラウンとソールを有していてそれらが一体で内部キャビティを画定してい
る本体であって、
前記本体は、前記ソールに配置されていて概して当該本体のヒール端から当該本体のト
ゥ端へ延びているチャネル、を有しており、前記チャネルは前チャネル壁と後チャネル壁
を含み、前記チャネルの幅は約8mmから約20mmの間である、本体と、
前記本体の前記ヒール端に配置されているヒール開口部であって、締結部材を受け入れ
るように構成されているヒール開口部と、
前記締結部材によってロック位置に固定されるスリーブを含んでいるヘッド対シャフト
接続システムであって、前記ゴルフクラブヘッドをゴルフクラブシャフトへ複数の異なっ
た位置で調節可能に取り付けできるようにしてロフト角、フェース角、又はライ角の異な
る組合せの調節性範囲をもたらすように構成されているヘッド対シャフト接続システムと

前記チャネルの後方に配置されている少なくとも1つの重りポートと、を備えており、
前記ゴルフクラブヘッドは約400ccより大きい体積を有している、ゴルフクラブヘ
ッド。
【請求項20】
前記チャネル内に可動式に位置付けられている少なくとも1つの重りであって、前記少
なくとも1つの重りの前記チャネル内の位置は調節することが可能である、少なくとも1
つの重りと、
前記重りを装着するための装着キャビティであって、前記チャネルの使用可能部分へ組
み入れられている装着キャビティと、
前記チャネル内を概して前記チャネルのヒール端から前記チャネルのトゥ端へ延びてい
る少なくとも1つの棚部であって、前記少なくとも1つの重りが当該少なくとも1つの棚
部上へ締め付けられる、棚部と、を更に備えている請求項19に記載のゴルフクラブヘッ
ド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ゴルフクラブヘッドの実施形態に、厳密には調節可能な構成要素を有するクラ
ブヘッドに、向けられている。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2014年7月3日出願の米国仮特許出願第62/020972号、2014
年10月17日出願の米国仮特許出願第62/065,552号、及び2015年3月3
1日出願の米国仮特許出願第62/141,160号の恩典を主張し、それら仮特許出願
をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【背景技術】
【0003】
所与の型式のゴルフクラブ(例えば、ドライバ、アイアン、パター、ウェッジ)につい
て、ゴルフをする消費者は、多種多様なものの中から選定することができる。この種類の
多さは、一部には、ゴルファーの間で身体的な特性とゴルフの技量に大きな差があること
と、ゴルファーが遭遇するプレイ条件が広範囲に異なるということから来ている。例えば
、背の高いゴルファーは、シャフトの長いクラブを必要とし、力の強いゴルファー、又は
風の強い条件の中で又はフェアウェイが堅いコースでプレイしているゴルファーは、シャ
フトの撓みが少ない(剛性が高い)クラブを欲し、或るゴルファーは、自分のスイングの
或る傾向に打ち勝つ特定のプレイ特性を有するクラブを欲する(例えば、軌道が低いショ
ットを打つ傾向のあるゴルファーは、ロフト角が大きいクラブを購入したがる)。シャフ
トの撓み、ロフト角、及び利き手(即ち、左打ち又は右打ち)が異なるだけで、テーラー
メイド社製r7 460ドライバの変種は24種にも上る。
【0004】
1つのゴルフクラブに対しこのように多数の変種が入手可能になっているため、ゴルフ
をする消費者は、自分の必要に合ったクラブヘッドとシャフトの組合せを有するクラブを
購入することができる。しかしながら、シャフトとクラブヘッドは一般に別々に製造され
ており、シャフトがクラブヘッドに、大抵は接着剤によって、一旦取り付けられてしまう
と、クラブヘッドか又はシャフトのどちらかを取り換えることは消費者が容易く行えるも
のではない。クラブを修正したいという動機には、ゴルファーの身体的条件の変化(例え
ば、若年ゴルファーの身長が伸びた場合)、ゴルファーの技量の向上、又はプレイ条件に
適応するため、が含まれる。典型的にこれらの修正はプロショップで技術者によってなさ
れざるを得ない。ゴルファーは、自分のクラブを修正したいと思う度に、付帯する費用と
クラブ無しに過ごさねばならない時間のために、それを思い留まり、最適とは言えないゴ
ルフを経験することになる。而して、ゴルフをする消費者が自分で組み立て及び分解する
ことのできるゴルフクラブを提供するために努力が払われてきた。
【0005】
これを目的に、機械的締結具によってシャフトへ取り外し可能に取り付けできるクラブ
ヘッドを有するゴルフクラブは、当技術では既知である。例えば、Cackettらへの米国特
許第7,083,529号(以下「Cackett」)は、入れ換え可能なヘッド対シャフト接
続を有するゴルフクラブを開示している。接続には、管、スリーブ、及び機械的締結具が
含まれている。スリーブが、シャフトの先端に装着される。次に、スリーブを装着された
シャフトが、クラブヘッド内に装着されている管に挿入される。機械的締結具が、スリー
ブを管に固定し、シャフトをクラブヘッドに接続された状態に保定する。スリーブは、管
の回転防止部分によって画定されているキー溝と相補的な構成を有するキー状部分を含む
下側部分を有している。キー溝は、管に対するスリーブの回転を防止するため非円形の断
面を有している。キー溝は、複数のスプラインを有している場合もあれば矩形又は六角形
の断面を有している場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,773,360号
【特許文献2】米国特許第6,800,038号
【特許文献3】米国特許第6,824,475号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Cackettに代表される型式の取り外し可能に取り付けできるゴルフクラブは、ゴルファ
ーがクラブヘッドをシャフトから分解できるようにはしているが、それらが更に従来型の
クラブヘッド対シャフト相互接続の完全性と剛性を備えたクラブヘッド対シャフト相互接
続を提供する、ということが必要である。例えば、クラブヘッド対シャフト相互接続の構
成要素間の回転運動を制限するやり方には、十分な荷重支承面積と剥ぎ取りに対する抵抗
がなくてはならない。従って、当技術には改良の余地がある。
【0008】
加えて、ゴルフクラブヘッドの重心(CG)は、クラブ性能の決定的パラメータである
。インパクト時、CGの位置は打たれたゴルフボールの打ち出し角度及び飛行軌道に大き
く影響する。而して、ゴルフクラブヘッドの重心の位置決めに対して多大な努力が払われ
てきた。それを目的に、現在のドライバ及びフェアウェイウッドのゴルフクラブヘッドは
、典型的に、鋼合金又はチタン合金の様な軽量でしかも耐久性のある材料で形成されてい
る。これらの材料は薄いクラブヘッド壁を形成するのに使用されるのが典型的である。薄
い壁ならより軽量であり、而して、結果的に裁量的重量即ちゴルフクラブヘッドの周りへ
の再配分に利用できる重量が大きくなる。裁量的重量が大きくなることで、ゴルフクラブ
製造業者は所望のゴルフクラブヘッド質量配分を実現するべくクラブ質量を割り当てる場
合により多くの余裕を持てるようになる。
【0009】
ゴルフスイングはゴルファー間で差がある。所与のゴルフクラブの質量特性(例えば、
CG場所、慣性モーメント、など)及び設計幾何学形状(例えば静的ロフト)が、比較的
高いスイング速力を有するゴルファーにとっては高レベルの性能を提供しても比較的低い
スイング速力を有するゴルファーにとってはそうではないということもある。
【0010】
故に、クラブヘッドスイング速力の広い範囲に亘って効果を上げる設計を有するゴルフ
クラブヘッド及びゴルフクラブの必要性がある。本願はこの必要性及び他の必要性を満た
す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態は、フェースとクラウンとソールを有していて
それらが一体で内部キャビティを画定している本体を備えており、本体は、ソールに配置
されていて概して本体のヒール端から本体のトゥ端へ延びているチャネルを有している。
フェースの中心と交わる垂直平面と前方チャネル又はトラックの間の最小距離は、チャネ
ルの全長に亘って約50mmより小さい。チャネル内には重り部材が、重り部材のチャネ
ル内での位置を調節することができるように、可動式に位置付けられていてもよい。
【0012】
これらの実施形態の幾つかでは、垂直平面とチャネルの間の距離は、チャネルの全長に
亘って約40mmより小さい。更に他の実施形態では、垂直平面とチャネルの間の距離は
、チャネルの全長に亘って約30mmより小さい。
【0013】
これらの実施形態の幾つかでは、チャネル内には、本体のヒール端から本体のトゥ端へ
棚部が延びている。棚部は、棚部の露出している面に設置されている複数のロック用突起
を含むことができる。これらの実施形態の幾つかでは、重り部材は、チャネル内に棚部に
接触して保定されている外部材と、チャネル内に保定されている内部材と、外部材を内部
材へ接続する締結用ボルトと、を含んでいる。これらの実施形態の幾つかでは、外部材は
、棚部の露出している面に配置されているロック用突起に選択式に係合するように適合さ
れている複数のロック用ノッチを含んでいる。これらの実施形態の幾つかでは、外部材は
、概してチャネルのヒール-トゥ方向に延びる長さLを有しており、各隣接対のロック用
突起同士は棚部に沿って距離D1だけ離隔されており、ここにL>D1である。
【0014】
これらの実施形態の幾つかでは、回転式に調節可能なソール部片が、ソール部片を通っ
て延びる中心軸に関して複数の回転位置のうちの1つでソールへ固定される。ソール部片
は、回転位置の各位置でソールから異なった軸方向距離を延びている。ソール部片をそれ
ら回転位置の異なった1つの位置へ調節することは、ゴルフクラブヘッドがアドレス位置
にあるときの当該ゴルフクラブヘッドのロフト角とは独立にゴルフクラブのフェース角を
変化させる。これらの実施形態の幾つかでは、解放可能なロック機構が、ソール部片をソ
ール上の回転位置の選択された1つの位置にロックするように構成されている。ロック機
構は、ソール部片を貫いてクラブヘッド本体のソールのねじの切られた開口の中へ延びる
ように適合されているねじを含むことができる。これらの実施形態の幾つかでは、ソール
部片は、ソール部片が各回転位置にあるとき底面がソールの先導側接触面のヒール-トゥ
湾曲に実質的に一致するヒール-トゥ湾曲を有するような凸状底面を有している。
【0015】
ゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態は、フェースとクラウンとソールを有していて
それらが一体で内部キャビティを画定している本体を含んでおり、本体は、ソールに配置
されていて概して本体のヒール端から本体のトゥ端へ延びているチャネルを有している。
チャネル内には重り部材が、重り部材のチャンネル内での位置を調節できるように、可動
式に位置付けられていてもよい。フェースは、座標系の原点を画定している中心フェース
位置を含んでおり、当該座標系では、本体が通常のアドレス位置にあるとき、x軸は中心
フェース場所でフェースに対して接線方向にあって地平面に平行であり、y軸はx軸に直
角に延び更に地平面に平行であり、z軸は地平面に直角に延びており、正のx軸は原点か
らヒール部分の方へ延び、正のy軸は原点から後方へ延び、正のz軸は原点から上方へ延
びている。重り部材の最大x軸位置調節範囲(Max Δx)は50mmより大きく、重
り部材の最大y軸位置調節範囲(Max Δy)は40mmより小さい。
【0016】
これらの実施形態の幾つかでは、重り部材は、質量(MWA)を有しており、積MWA
*Max Δxは、少なくとも250g・mmであり、例えば約250g・mmから約4
950g・mmの間などである。
【0017】
これらの実施形態の幾つかでは、積MWA*Max Δyは、1800g・mmより小
さく、例えば約0g・mmから約1800g・mmの間である。
【0018】
これらの実施形態の幾つかでは、本体の重心は、約0mmより小さいz軸座標(CGz
)を有している。
【0019】
ゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態は、フェースとクラウンとソールを有していて
それらが一体で内部キャビティを画定している本体を含んでおり、本体は、ソールに配置
されていて概して本体のヒール端から本体のトゥ端へ延びているチャネルを有している。
チャネル内には重り部材が、チャンネル内での重り部材の位置を調節できるように、可動
式に位置付けられていて、それにより本体の重心の場所を調節できるようになっていても
よい。フェースは、座標系の原点を画定している中心フェース場所を含んでおり、当該座
標系では、本体が通常のアドレス位置にあるとき、x軸は中心フェース場所でフェースに
対して接線方向にあって地平面に平行であり、y軸はx軸に直角に延び更に地平面に平行
であり、z軸は地平面に直角に延びており、正のx軸は原点からヒール部分の方へ延び、
正のy軸は原点から後方へ延び、正のz軸は原点から上方へ延びている。重り部材の調節
は、2mmより大きい最大x軸重心位置調節範囲(Max ΔCGx)と3mmより小さ
い最大y軸重心調節範囲(Max ΔCGy)を提供することができる。
【0020】
これらの実施形態の幾つかでは、本体の重心は、約0mmより小さいz軸座標(CGz
)を有している。
【0021】
本発明の上記及びその他の特徴と利点は、添付図面を参照しながら進められる次の詳細
な説明から更に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】別の実施形態による、取り外し可能なシャフトを有するゴルフクラブヘッドの拡大断面図である。
図1B】シャフトをクラブヘッドから取り外せるようにねじが緩められた状態の図1Aのゴルフクラブヘッドを示している。
図2図43に示されている組立体のシャフトスリーブの斜視図である。
図3図2のシャフトスリーブの側面図である。
図4図2のシャフトスリーブの底面図である。
図5図4の線47-47に沿った、シャフトスリーブの断面図である。
図6】シャフトスリーブの別の実施形態の断面図である。
図7】当該シャフトスリーブを受け入れるように適合されているホーゼル挿入部の上面図である。
図8】シャフトスリーブの別の実施形態の断面図である。
図9】当該シャフトスリーブを受け入れるように適合されているホーゼル挿入部の上面図である。
図10】別の実施形態による、取り外し可能なシャフトを有するゴルフクラブヘッドの拡大断面図である。
図11図10に示されている組立体のシャフトスリーブの前面図である。
図12図10に示されている組立体のシャフトスリーブの断面図である。
図13A】ゴルフクラブヘッドフェース板突出部の断面図である。
図13B】ゴルフクラブフェース板突出部の後面図である。
図14】工具の等角投影図である。
図15A】ゴルフクラブヘッドの等角投影図である。
図15B図15Aのゴルフクラブヘッドの分解図である。
図15C図15Aのゴルフクラブヘッドの側面図である。
図16】ゴルフクラブヘッドの等角投影図である。
図17】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解図である。
図18図17のゴルフクラブヘッドの組立後の図である。
図19A】或る実施形態によるゴルフクラブヘッドの前面図である。
図19B図19Aのゴルフクラブヘッドの底面図である。
図20A】分かり易くするために重り組立体が取り払われた状態の図19A図19Bのゴルフクラブヘッドのヒール側側面図である。
図20B図20Aの挿入線「B」に沿って取られた近接図である。
図21A】分かり易くするために重り組立体が取り払われた状態の図19A図19Bのゴルフクラブヘッドの底面図である。
図21B図21Aの挿入線「B」に沿って取られた近接図である。
図22A図19A図19Bのゴルフクラブヘッドの断面図である。
図22B図22Aの挿入線「B」に沿って取られた近接図である。
図23】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解図である。
図24】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解図である。
図25】ゴルフクラブヘッドの或る例示としての実施形態の前立面図である。
図26図25のゴルフクラブヘッドの上面図である。
図27図25のゴルフクラブヘッドのトゥ側からの側方立面図である。
図28図25のゴルフクラブヘッドの前立面図であって、クラブヘッド原点座標系及び重心原点座標系を描いている。
図29図25のゴルフクラブヘッドの上面図であって、クラブヘッド原点座標系及び重心原点座標系を描いている。
図30図25のゴルフクラブヘッドのトゥ側からの側方立面図であって、クラブヘッド原点座標系及び重心原点座標系を描いている。
図31図25のゴルフクラブヘッドのトゥ側からの側方立面図であって、ゴルフクラブヘッドフェース上への重心(CG)の投影を描いている。
図32】打球クラブフェースの幾何学的中心と整列したCGを有するドライバで叩かれたゴルフボールの軌道の模式的側視図である。
図33】打球クラブフェースの幾何学的中心より低いCGを有するドライバで叩かれたゴルフボールの軌道の模式的側視図である。
図34A】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの前面図である。
図34B図34Aのゴルフクラブヘッドの底面図である。
図34C図34Aのゴルフクラブヘッドのトゥ側側面図である。
図34D図34Aのゴルフクラブヘッドのヒール側側面図である。
図35A】分かり易くするために重り組立体が取り払われた状態の図34A図34Dのゴルフクラブヘッドのヒール側側面図である。
図35B図35Aの挿入線「B」に沿って取られた近接図である。
図36A図34A図34Dのゴルフクラブヘッドの上面図である。
図36B図36Aのゴルフクラブヘッドの線A-Aに沿った断面図である。
図36C図36Bのゴルフクラブヘッドの線B-Bに沿った断面図である。
図37A図36Bのゴルフクラブヘッドの線B-Bに沿った断面図である。
図37B】分かり易くするために重り組立体のボルト及びワッシャが取り払われた状態の図36Bのゴルフクラブヘッドの線B-Bに沿った近接断面図である。
図37C】分かり易くするために重り組立体のボルト及びワッシャが取り払われた状態の図36Bのゴルフクラブヘッドの線B-Bに沿った近接断面図である。
図37D】分かり易くするために重り組立体のボルト及びワッシャが取り払われた状態の図36Bのゴルフクラブヘッドの線B-Bに沿った近接断面図である。
図38A図34A図34Dのゴルフクラブヘッドの重り組立体と共に使用されるワッシャの上面斜視図及び底面斜視図を含んでいる。
図38B図34A図34Dのゴルフクラブヘッドの重り組立体と共に使用される質量部材の上面斜視図及び底面斜視図を含んでいる。
図39A図34A図34Dのゴルフクラブヘッドの前面図である。
図39B図39Aのゴルフクラブヘッドの線A-Aに沿った断面図であって、様々な構造的リブを示している。
図40】滑動式重り組立体の場所を変化させた際のゴルフクラブヘッドの異なった実施形態のそれぞれのCG値及びCG値を示すグラフである。
図41】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの斜視図である。
図42】更に別の実施形態による、単一重りの場所を変化させた場合及び2つ重りの場所を変化させた場合のそれぞれのCGz/CGy及びMOIを示すグラフである。
図43A】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図43B図43Aのゴルフクラブヘッドの線A-Aに沿った断面図である。
図44A】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図44B図44Aのゴルフクラブヘッドの線A-Aに沿った断面図である。
図45A】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図45B】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図45C図45Bのゴルフクラブヘッドの線A-A及び線B-Bに沿った断面図である。
図46】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図47】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図48A】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図48B図48Aのゴルフクラブヘッドの上面図である。
図48C図48Bのゴルフクラブヘッドの線48C-48Cに沿った断面図である。
図48D図48Bのゴルフクラブヘッドの線48D-48Dに沿った断面図である。
図48E図48Bのゴルフクラブヘッドの線48E-48Eに沿った断面図である。
図49】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図50】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図51】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図52図51のゴルフクラブヘッドのトゥ面図である。
図53図46のゴルフクラブヘッドの上面図である。
図54A図53のゴルフクラブヘッドの線54A-54Aに沿った断面図である。
図54B図54Aのゴルフクラブヘッドの近接断面図である。
図55A図46のゴルフクラブヘッドの分解クラウン面図である。
図55B】クラウンが取り払われた状態の図46のゴルフクラブヘッドのヒール面図である。
図55C図55Bのゴルフクラブヘッドの線55C-55Cに沿った断面図である。
図55D図55Bのゴルフクラブヘッドの線55C-55Cに沿った断面であって、見本リブ構成を示している。
図56A】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図56B図56Aのゴルフクラブヘッドの底面図である。
図56C図56Aのゴルフクラブヘッドのトゥ面図である。
図56D図56Aのゴルフクラブヘッドの上面図である。
図56E図56Dのゴルフクラブヘッドの線56E-56Eに沿った断面図である。
図57A】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図57B】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図57C】更に別の実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図である。
図57D図56Bのゴルフクラブヘッドの底面図である。
図58】或る実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図であって、複数の重り位置P1-P5を示している。
図59】或る実施形態によるゴルフクラブヘッドの底面図であって、複数の重り位置P1-P5を示している。
図60A】異なった実施形態による重り組立体の断面図である。
図60B】異なった実施形態による重り組立体の断面図である。
図60C】異なった実施形態による重り組立体の断面図である。
図60D】異なった実施形態による重り組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明的特徴は、ここに開示されている新規性及び進歩性のある全ての特徴を、単独にも
、また他の要素との新規的進歩的な組合せとしても、包含する。ここでの使用に際し、「
及び/又は」という語句は、「及び」、「又は」、そして「及び」と「又は」の両方、を
意味する。ここでの使用に際し、英文不定冠詞及び定冠詞の対訳である単数形「一」、「
或る」、及び「当該」は、文脈上明白に他に指定のない限り、1つ又は1つより多いこと
をいう。ここでの使用に際し、「含んでいる」という用語は、「備えている」を意味する
【0024】
概論
次に続く開示は、メタルウッド型式のクラブ(例えばメタルドライバ及びメタルフェア
ウェイウッド)向けのゴルフクラブヘッドのための実施形態を記載している。開示されて
いる実施形態は決して限定を課すものと解釈されてはならない。そうではなく、本開示は
、様々な開示されている実施形態の新規性及び進歩性のある全ての特徴に、単独としも、
また互いとの様々な組合せ及び部分的組合せとしても、着眼している。また、開示されて
いる実施形態の特徴及び態様は何れも互いとの様々な組合せ及び部分的組合せとして使用
することができる。開示されている実施形態は何れかの特定の態様又は特徴或いはその組
合せに限定されず、また、開示されている実施形態は実際に何れかの1つ又はそれ以上の
特定の利点がもたらされたり1つ又はそれ以上の特定の課題が解決されたりすることを要
件としているわけでもない。
【0025】
次に続く詳細な説明全体を通して、メタルウッド型式のクラブ(例えば、メタルドライ
バ及びメタルフェアウェイウッド)の実例として各種ゴルフクラブヘッドが提供されてい
る。それら実例中の関連特徴は異なった実例では同一若しくは類似のこともあれば似てい
ないこともある。簡潔さを期して、関連特徴を各実例中に冗長的に解説するということは
しない。そうではなく、関連特徴名称を使用することで、読み手に、或る関連特徴名称を
有している特徴は既に解説済みの実例中の関連特徴と類似であるとの合図が与えられるよ
うにしている。所与の実例に特定の特徴は当該特定の実例の中に説明されている。読み手
には、所与の特徴が何れかの所与の図又は所与の実例の中の関連特徴の具体的な描写と必
ずしも同じ又は類似であるとは限らないことを理解されたい。
【0026】
次に続く詳細な説明全体を通して、チャネル及びトラックを参照してゆく。時として、
滑動式に位置換え可能な重りを保持する特徴を書き表す用語、例えば前方チャネル又はト
ラックなどは、入れ替え可能に使用されることもある。また場合により、チャネルは周辺
部可撓性を改善するように設計されているクラブ内の特徴として言及されていることもあ
り、必ずしも重りを保持しているとは限らない。更に他の場合には、前方チャネル又はト
ラックは、取り付けられる重り組立体無しに示されていることもあるが、このことは重り
組立体がチャネル内に装着され得ないことを示唆するものではない。
【0027】
本開示は、その一部を形成している添付図面を参照しており、図面全体を通して、同様
の符号は同様の部分を表す。図面は特定の実施形態を描いているが、本開示の意図される
範囲から逸脱することなく、他の実施形態が形成されてもよいし、構造的変更がなされて
もよい。方向及び参照は、図面の論考を容易にするために使用されており、限定を課すこ
とを意図しているわけではない。例えば、「上」、「下」、「上側」、「下側」、「水平
」、「垂直」、「左」、「右」、など、の様な或る特定の用語が使用されることがあるか
もしれない。これらの用語は、特に例示されている実施形態に関して相対的な関係性を扱
う場合に説明の或る程度の明確さを提供するうえで適切な場合に使用されている。但し、
その様な用語は、絶対的な関係性、配置、及び/又は向き付けを暗示することを意図して
いない。従って、次に続く詳細な説明は限定を課す意味で解釈されてはならない。
【0028】
以下は、本記載の中で説明されているゴルフクラブヘッド技術の理解を更に手助けする
追加の背景情報を提供している。その後、図25図27を見ると、ゴルフクラブヘッド
10100の別の実施形態が、中空本体10110、クラウン10112、ソール101
14、スカート10116、及びは打球クラブフェース10118を含め、それまでの実
施形態の構造及び特徴の幾つかを含んでいる。
【0029】
A.通常のアドレス位置
ここに開示されているクラブヘッド及びそれらの物理的特性の多くは、他に指示されて
いない限り、「通常のアドレス位置」をクラブヘッド参照位置として使用し説明されてい
る。図25図27は、通常のアドレス位置のウッド型式ゴルフクラブヘッドの1つの実
施形態を描いている。図25は、ゴルフクラブヘッド10100の前立面図を描いており
図26はゴルフクラブヘッド10100の上面図を描いており、図27はゴルフクラブ
ヘッド10100のトゥ側からの側方立面図を描いている。予備説明として、ゴルフクラ
ブヘッド10100は打球クラブフェース10118を含んでいる。通常のアドレス位置
で、クラブヘッド10100は地平面10117より上の地平面10117に平行な平面
10125上に位置付けられている。
【0030】
ここでの使用に際し、「通常のアドレス位置」とは、クラブフェース10118に法線
方向のベクトルが実質的に第1の垂直平面(垂直平面は地平面10117に対して直角で
ある)内に位置し、クラブシャフトの中心線軸10121が実質的に第2の実質的垂直平
面内に位置し、第1の垂直平面と第2の実質的垂直平面が実質的に直角に交わっている、
クラブヘッド位置を意味する。
【0031】
B.クラブヘッドの諸特徴
図25図27に示されているゴルフクラブヘッド10100の様なウッド型式ゴルフ
クラブヘッドは、クラウン部分10112、ソール部分10114、スカート部分101
16、及び打球クラブフェース10118、を画定している中空本体10110を含んで
いる。打球クラブフェース10118は、本体1011と一体形成されていることもあれ
ば本体へ付着されていることもある。本体10110は、更に、ヒール部分10126、
トゥ部分10128、前部分10130、及び後部分10132、を含んでいる。本体1
0110は、更に、ゴルフクラブヘッドを受け入れるように適合されているホーゼル穴1
0124を画定しているホーゼル10120を含んでいる。幾つかの実施形態では、ゴル
フクラブシャフトは本体10110へ結着されていてもよい。代わりに、クラブヘッド1
0100は、シャフトをホーゼル10120へ連結するためのここに記載の調節可能なシ
ャフト接続システムの様な調節できるシャフト接続システムを含んでいてもよく、その詳
細はここでは繰り返されておらず、分かり易くするために図25図27には示されてい
ない。クラブヘッド10100は、更に、典型的には立方センチメートル(cm)で測
定される体積を有している。
【0032】
ここでの使用に際し、「クラウン」とは、上下方向に見たときにクラブヘッドの周辺輪
郭10134より上方で打球クラブフェース10118の打球面10122の最上部分の
後方のクラブヘッド上側部分を意味する。ここでの使用に際し、「ソール」とは、クラブ
ヘッド10100が通常のアドレス位置にあるときの最下点から上向きに延びているクラ
ブヘッド下側部分を意味する。幾つかの実施形では、ソール10114はクラブヘッドの
最下点からクラウン10112までの距離の大凡50%乃至60%を延びている。他の実
施形では、ソール10114はゴルフクラブヘッド10100の最下点から上向きにより
短い距離を延びている。更に、ソール10114は、通常のアドレス位置にあるときに地
面10117に対して実質的に水平に延びている実質的に平坦な部分を画定していること
もあれば、図1に示されている様にアーチ状又は凸形状を有していることもある。ここで
の使用に際し、「スカート」とは、クラウン10112とソール10114の間をトゥ部
分10128から後部分10132を廻ってヒール部分10126へとクラブヘッド10
100の周辺10134を跨いで延びている、クラブヘッドの打面10122を除外した
、側面部分を意味する。ここでの使用に際し、「打面」とは、ゴルフボールをインパクト
するように構成されている打球クラブフェース10118の前又は外部の表面を意味する
。幾つかの実施形態では、打面10122は、溶接の様な既知の付着技法を使用して本体
10110へ付着されている打球板のこともある。更に、打面10122は可変厚さを有
していることもある。一部の特定の実施形態では、打面10122はバルジ湾曲びロール
湾曲(以下により詳しく論じる)を有している。
【0033】
本体10110又はその何れかの部分は、合金(例えば、チタンの合金、鋼の合金、ア
ルミニウムの合金、及び/又はマグネシウムの合金)、複合材料(例えば、グラファイト
又は炭素繊維複合材)、セラミック材料、又はそれらの何らかの組合せ、から作ることが
できる。クラウン10112、ソール10114、スカート10116、及び打球クラブ
フェース10118は、成形、冷間成形、鋳込み、及び/又は鍛造、の様な技法を使用し
て一体に形成することができる。代わりに、クラウン10112、ソール10114、ス
カート10116、又は打球クラブフェース10118の何れか1つ又はそれ以上は、既
知の手段(例えば、接着剤結着、溶接、など)によって他方の構成要素へ付着されていて
もよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、打面10118は複合材料で作られており、一方、他の実施形
態では、打面10118は、合金(例えば、チタン、鋼、アルミニウム、及び/又はマグ
ネシウムの合金)、セラミック材料、又は複合材、合金、及び/又はセラミック材料の組
合せ、から作られている。
【0035】
通常のアドレス位置にあるとき、クラブヘッド10100はクラブシャフト軸1012
1に対して或るライ角10119(図25に示されている)に配置されており、クラブフ
ェースはロフト角10115(図27に示されている)を有している。図25を参照して
、ライ角10119は、通常のアドレス位置でのクラブシャフトの中心線軸10121と
地平面10117の間の角度をいう。図27を参照して、ロフト角10115は、通常の
アドレス位置で、クラブフェース10118に対する接線10127とフェースの幾何学
的中心を通る地平面に法線方向のベクトル10129の間の角度をいう。
【0036】
図28図30は、開示されているゴルフクラブヘッド実施形態の特徴を説明するのに
使用することのできる座標系を描いている。図28は、ゴルフクラブヘッド10100の
前立面図を描いており、図29はゴルフクラブヘッド10100の上面図を描いており、
図27はゴルフクラブヘッド10100のトゥ側からの側方立面図を描いている。図28
図30に示されている様に、中心10123が打面10122上に配置されている。本
開示の解釈上、中心10123は、打面122の高さ(HSS)の中点と幅(WSS)の
中点の交点と定義されている。HSSとWSSは共に、打面曲線(SSS)を使って確定
される。打面曲線は、フェースが実質的に均一なバルジ半径(フェースのヒール-トウ曲
率半径)及び実質的に均一なロール半径(フェースのクラウン-ソール曲率半径)から本
体へ移行している全ての点によってその周辺を境界付けられている。HSSは、フェース
の中心10123を通って延びる垂直平面内(地面に対し直角)に測定した、SSSのソ
ール部分に近接する周辺(クラブフェースの底部半径ともいう)からSSSのクラウン部
分に近接する周辺(クラブフェースの頂部半径ともいう)までの距離である(例えば、こ
の平面はx軸に実質的に法線方向にある)。同様に、WSSは、フェースの中心を通って
延びる水平面内(例えば、地面に実質的に平行)に測定した、SSSのヒール部分に近接
する周辺からSSSのトゥ部分に近接する周辺までの距離である(例えば、この平面はz
軸に実質的に法線方向にある)。換言するとz軸に沿った中心10123は、打面の頂部
半径のすぐ内側の(打面のx軸に沿って中心がある)点からフェース平面の底部半径のす
ぐ内側の(打面のx軸に沿って中心がある)点まで引いた線を二等分する点に対応してい
る。本開示の解釈上、中心10123は、ゴルフクラブ打面10122の「幾何学的中心
」とも呼称される。打面の幾何学的中心を測定する方法論については、U.S.G.A.
「ゴルフクラブヘッドの可撓性を測定するための手法」(”Procedure of Measuring the
Flexibility of a Golf Clubhead”)2.0改定版を見られたし。
【0037】
C.ゴルフクラブヘッド座標
図28図30を参照して、クラブヘッドの様々な特徴の場所(クラブヘッド重心(C
G)10150を含む)を確定できるようにクラブヘッド原点座標系が定義されている。
クラブヘッド原点10160がクラブヘッド10100上の打面10122の中心101
23に置かれていることが描かれている。
【0038】
ヘッド原点10160に関して定義されているヘッド原点座標系は、3つの軸、即ち、
クラブヘッド10100が通常のアドレス位置にあるときに、ヘッド原点10160を通
って地面10117に対して略垂直方向に延びているz軸10165と、ヘッド原点10
160を通って打面10122に略平行(例えば中心10123で打面10122に対し
て略接線方向)で且つz軸10165に略直角なトゥ-ヒール方向に延びているx軸10
170と、ヘッド原点10160を通って前-後方向にx軸10170及びz軸1016
5に略直角に延びているy軸10175と、を含んでいる。x軸10170及びy軸10
175はどちらも、クラブヘッド10100が通常のアドレス位置にあるとき、地面10
117に対して略水平方向に延びている。x軸10170は正方向には原点10160か
らクラブヘッド10100のヒール10126に向かって延びている。y軸10175は
正方向にはヘッド原点10160からクラブヘッド10100の後部分10132に向か
って延びている。z軸10165は正方向には原点10160からクラウン10112に
向かって延びている。
【0039】
D.重心
概して、ゴルフクラブヘッドの重心(CG)は、ゴルフクラブヘッドの重量の平均場所
、又はゴルフクラブヘッドの全重量が集中していると考えられる点であって、この点で支
えたならヘッドが何れの位置でも平衡に保たれる点である。
【0040】
図28図30を参照して、CG10150が、クラブヘッド10100の本体101
10の内側の点として示されている。クラブCG10150の場所は、更に、クラブヘッ
ド原点座標系を参照して定義することができる。例えば、測定単位としてミリメートルを
用いれば、ヘッド原点10160からx軸に沿ってクラブヘッドのトゥに向かって3.2
mm、ヘッド原点10160からy軸に沿ってクラブヘッドの後部に向かって36.7m
m、ヘッド原点10160からz軸に沿ってクラブヘッドのソールに向かって4.1mm
、に位置するCG10150は、-3.2mmのCG、36.7mmのCG、及び-
4.1mmのCGを有していると定義することができる。
【0041】
CGは、更に、CGを座標系の原点とする座標系を定義するのにも使用することができ
る。例えば、図28図30に描かれている様に、CG原点10150に関して定義され
ているCG原点座標系は、3つの軸、即ち、クラブヘッド10100が通常のアドレス位
置にあるときに、CG10150を通って地面10117に対して略垂直方向に延びてい
るCGz軸10185と、CG10150を通って打面10122に略平行(例えばクラ
ブフェース中心10123で打面10122に対して略接線方向)で且つCGz軸101
85に略直角なトゥ-ヒール方向に延びているCGx軸10190と、CG10150を
通って前-後方向にCGx軸10190及びCGz軸10185に略直角に延びているC
Gy軸10195と、を含んでいる。CGx軸10190及びCGy軸10195はどち
らも、クラブヘッド10100が通常のアドレス位置にあるとき、地面10117に対し
て略水平方向に延びている。CGx軸10190は正方向にはCG原点10150からク
ラブヘッド10100のヒール10126に向かって延びている。CGy軸10195は
正方向にはCG原点10150からゴルフクラブヘッド10100の後部分10132に
向かって延びている。CGz軸10185は正方向にはCG原点10150からクラウン
10112に向かって延びている。而して、CG原点座標系の軸は、ヘッド原点座標系の
対応する軸に平行である。具体的には、CGz軸10185はz軸10165に平行であ
り、CGx軸10190はx軸10170に平行であり、CGy軸10195はy軸10
175に平行である。
【0042】
図30から最もよく分かる様に、図28図30は更にゴルフクラブヘッド打面101
22上の投影CG点10180を示している。投影CG点10180は、打球クラブフェ
ース10118の接線10127に法線方向であって且つCG10150を通っている線
と交わる打面10122上の点である。この投影CG点10180は、それがCG101
50と中心を合わせた打球クラブフェース10118上の点を示唆していることから「ゼ
ロトルク」点と呼称されることもある。而して、ゴルフボールがクラブフェース1011
8と投影CG点10180で接触したとしても、ゴルフボールのインパクトによってトル
クは発生したいため、ゴルフクラブヘッドは何れの回転軸周りにも捩れることはない。
【0043】
II.高ロフト低CGゴルフクラブヘッドの例示としての実施形態
A.Z軸ギヤ効果
ここに開示されている一部の特定の実施形態では、打球クラブフェース上の投影CG点
は、クラブフェースの幾何学的中心より下に位置している。換言すると、打球クラブフェ
ース上の投影CG点は、幾何学的中心よりもクラブフェースのソールにより近い。結果と
して、図31に描かれている様に、クラブヘッド10100がクラブヘッド中心1012
3でゴルフボール10200をインパクトするようにゴルフクラブが振られたとき、イン
パクトは投影CG点10180から「中心外れ」となり、ゴルフクラブヘッドの本体をC
Gx軸(図31では紙面に対し法線方向)周りに回転させる(又は捩じらせる)トルクを
生む。このゴルフクラブヘッドのx軸周りの回転は図31に矢印10202、10203
で描かれている。クラブフェースの回転は「z軸ギヤ効果」を生む。より厳密には、クラ
ブヘッドのCGx軸周りの回転はボールへのスピン成分を誘導する傾向がある。具体的に
は、ゴルフボールがインパクト時にクラブフェースに当てて押圧されることで起こるクラ
ブヘッドフェースの後方回転(矢印10202、10203で図示)は、ボールをクラブ
フェースの回転とは逆の方向に回転させることになり、2つのギヤが互いに相互作用し合
う様にそっくりである。而して、インパクト時のクラブフェースの後方回転は、ゴルフボ
ールの前方回転(矢印10204、10205で図示)の成分を生む。この効果は「z軸
ギヤ効果」と名付けられている。
【0044】
ゴルフクラブヘッドのロフトもまたゴルフクラブヘッドによってインパクトされたボー
ルに有意量のバックスピンを生じさせるので、z軸ギヤ効果からもたらされる前方回転は
、ゴルフボールのバックピンを完全に排除するには典型的に十分ではないが代わりにバッ
クスピンをゴルフボールが普通だったら受けるよりも小さくする。
【0045】
一般的に、z軸ギヤ効果からもたらされる前方回転(又はトップスピン)成分は、ゴル
フボールのインパクト点が打球クラブフェース上の投影CG点から上方へ(又は上方によ
り高く)動くにつれ増加する。加えて、ゴルフボールが受ける、ゴルフボールの打ち出し
条件を決定付けるゴルフクラブヘッドの有効ロフトは、ゴルフクラブヘッドの静的ロフト
とは別物である。インパクト時のゴルフクラブヘッドの有効ロフトとアドレス時のその静
的ロフト角の差は、「動的ロフト」と呼称され、数多くの要因からもたらされる。とはい
え一般的に、ゴルフクラブヘッドの有効ロフトはゴルフボールのインパクト点が打球クラ
ブフェース上の投影CG点から上方へ(又は上方により高く)動くにつれ静的ロフトから
増加する。
【0046】
図32は、打面の幾何学的中心と一致する投影CGを有するドライバによって叩かれた
ゴルフボールの軌道10800を描いている模式的側視図10800である。その様なド
ライバによって生み出される打ち出し条件は、典型的に、低い打ち出し角及び有意量のバ
ックスピンを含んでいる。ボールへのバックスピンはボールの高度を急速に上げさせ、よ
り垂直な軌道即ち空中への「吹き上がり(Ballooning)」を得させる。必然的に、ボール
は、前方推進力が垂直方向の推進力へ換わってしまうことからその前方推進力を急速に失
う傾向を呈し、結局、有意量のロールを生み出さない急こう配の下方軌道をもたらしてし
まう。図32によって描かれている様に、この場合、多少のバックスピンならゴルフボー
ルを垂直方向に「上昇」させ放物線軌道に抵抗できるようにすることからゴルフボールの
軌道にとっては有益となり得るが、あまりに多くのバックスピンはゴルフボールの前方推
進力を垂直方向の推進力に換えてしまうことによってゴルフボールに飛距離を失わせかね
ない。
【0047】
対照的に図33は、開示されている技術の実施形態に従ってより低い重心を有するドラ
イバによって叩かれたゴルフボールの軌道10900を描いている模式的側視図である。
図33では、ゴルフクラブヘッドの静的ロフトは、図32のドライバと同じであると仮定
しているが、静的ロフトは以下により詳しく解説されている様により高いこともある。よ
り低い重心を有するドライバから生み出される打ち出し条件は、打面の幾何学的中心と一
致する投影重心を有するドライバに対比して、より高い打ち出し角及びより少ないバック
スピンを含んでいる。図33に見ることができる様に、軌道1900は軌道10800よ
り少ない「バルーニング」を含んでいるが、なおもボールが多少の打ち上がりを持ち且つ
概してその打ち出し軌道をバックスピン無しのボールより長く維持するのに十分なバック
スピンを有している。結果として、軌道1900を有するゴルフボールは、軌道1080
0を有するゴルフボールよりも遠くへ伸びる。その上、ゴルフボールの水平方向推進力は
軌道10900のほうが軌道10800より大きいので、軌道10900を有するゴルフ
ボールが受けるロールは軌道10800よりも大きい。
【0048】
C.重心を低くするための裁量的質量の使用
より低い重心値は、クラブヘッド質量をゴルフクラブヘッドの特定の場所へ配分するこ
とによって獲得することができる。裁量的質量とは、概して、質量を提供する各種構造か
ら除去してクラブヘッド重心を定めるための何処か他の場所に配分することのできる材料
の質量をいう。
【0049】
クラブヘッド壁は裁量的質量の1つの源を提供する。壁厚さの削減は、壁質量を小さく
し、何処か他に配分することのできる質量を提供する。例えば、幾つかの実施形では、ク
ラブヘッドの1つ又はそれ以上の壁は、大凡0.7mmより小さい厚さを有するものとす
ることができる。幾つかの実施形態では、クラウン10112は、少なくともクラウンの
大半を通して大凡0.65mmの厚さを有するものとすることができる。加えて、スカー
ト10116も同様の厚さを有することができるのに対し、ソール10114はより大き
い厚さ(例えば大凡1.0mmより大きい)を有している。薄壁、特に薄いクラウン10
112は、有意な裁量的質量を提供する。
【0050】
クラブヘッド本体10110に薄いクラウン10112の様な薄壁を実現するのに、ク
ラブヘッド本体10110を鋼の合金又はチタンの合金から形成することができる。他の
実施形態では、クラブヘッド本体の薄壁は、複合材料、セラミック材料、熱可塑性プラス
チック、又はそれらの何らかの組合せ、の様な非金属材料で形成されている。例えば、一
部の特定の実施形態では、クラウン10112及びスカート10116は複合材料で形成
されている。
【0051】
重心をクラブヘッド本体10110内で低くするのに、ソール10114の1つ又はそ
れ以上の部分をクラウン10112及びスカート10116より高密度の材料で形成する
ことができる。例えば、ソール10114は、タングステン又はタングステン合金の様な
金属系材料で形成されていてもよい。ソール10114は、更に、所望に応じて重心が打
球クラブフェースにより近くなる形状又は打球クラブフェースからより遠くなる形状にす
ることができる。
【0052】
開示されている技術によるゴルフクラブヘッドは、更に、重心を所望のCG場所へ低
くするために1つ又はそれ以上の重り板、重りパッド、又は重りポートを使用することが
できる。例えば、開示されているゴルフクラブヘッドの一部の特定の実施形態は、ゴルフ
クラブヘッドのクラブヘッド重心を低くする(例えばゴルフクラブヘッドのソール内の)
所定場所に鋳込まれた1つ又はそれ以上の一体型重りパッドを有している。更に、所望の
重量配分を得るためにエポキシをクラブヘッドホーゼル開口部を通してクラブヘッドの内
部へ足すこともできる。代わりに、高密度材料(例えばタングステン又はタングステン合
金)で形成された1つ又はそれ以上の重りをソールへ取り付けることもできる。その様な
重りはクラブヘッドへ永久的に取り付けられていてもよい。また、その様な重りの形状は
様々であってよく、何れかの特定の形状に限定されない。例えば、重りは、円盤形状、楕
円形状、円柱形状、又は他の形状を有していてもよい。
【0053】
ゴルフクラブヘッド10100は、更に、1つ又はそれ以上の重りを受け入れるように
構成されている、本体10110に形成された1つ又はそれ以上の重りポートを画定して
いてもよい。例えば、1つ又はそれ以上の重りポートはソール10114に配置させるこ
とができる。重りポートは、ここに参考文献として援用されている米国特許第7,407
,477号及び同第7,419,441号に記載されている様な、多くの重り又は重り組
立体の何れかを受け入れ保定する多数の様々な構成の何れかを有していてもよい。これら
及び全ての他の言及されている特許及び出願は、ここに参考文献としてそっくりそのまま
援用される。また、参考文献としてここに援用されている文献中の用語の定義又は使用は
、ここに提供されている当該用語の定義と矛盾又は相反する場合、ここに提供されている
当該用語の定義が適用され、参考文献中の当該用語の定義は適用されない。
【0054】
1つ又はそれ以上の重りを(単数又は複数の)重りポートに含むことは、対応するカス
タマイズされた慣性モーメント及び重心場所を有するカスタマイズされたクラブヘッド質
量配分を提供する。(単数又は複数の)重りポートの場所及び重り及び/又は重り組立体
の質量を調節することは、様々な実現可能な重心場所及び様々な実現可能な質量慣性モー
メントを、同じクラブヘッドを使用して提供する。
【0055】
更なる実施形態では、ゴルフクラブヘッドの壁の1つ又はそれ以上の開口部が形成され
ている。例えば、ゴルフクラブヘッドのクラウンが開口部を含んでいてもよい。各開口部
内には開口部を閉じるために軽量パネルを配置させることができる。クラブヘッド本体を
形成するのに使用されている材料よりも密度の低い材料をパネル用に選択することによっ
て、開口部を占めたはずの本体材料の質量とパネルの質量の間の差分をクラブヘッドの何
処か他の場所に配置させることができる。例えば、開口部の数、大きさ、及び場所を戦略
的に選択することによって、ゴルフクラブヘッドの重心をクラブヘッド本体内の所望位置
へ低くすることができる。パネルは、例えば、炭素繊維エポキシ樹脂、炭素繊維強化プラ
スチック、ポリウレタン、又は疑似等方性複合材を備えていてもよい。パネルは、接着剤
又は何れかの他の適した技法を使用して取り付けることができる。
【0056】
以上に論じられている特定のクラブヘッドエンベロプ内部の質量の再配分に加えて、ク
ラブヘッド重心場所は更にクラブヘッド外部エンベロプを修正することによって調整する
ことができる。例えば、クラブヘッド本体10110が後方に引き伸ばされてもよいし、
その全高が削減されてもよい。一部の具体的な実施形態では、例えば、クラブヘッド本体
のクラウンが窪んでいるか又はそれ以外のやり方で少なくとも1つの部分的に凹んだ形状
部を含んでおり、それによりクラウンの重量がクラブヘッド本体へより低く配分されてい
る。
【0057】
D.質量慣性モーメント
図28図30を参照して、ゴルフクラブヘッド慣性モーメントは、典型的には、ゴル
フクラブヘッド重心10150を通って延びている3つのCG軸周りに定義される。例え
ば、ゴルフクラブヘッドCGx軸10190周り慣性モーメントは、次式、即ち、
【0058】
【数1】
【0059】
によって計算することができ、ここに、yはゴルフクラブヘッドCGxz平面から無限小
質量dmまでの距離、zはゴルフクラブヘッドCGxy平面から無限小質量dmまでの距
離である。ゴルフクラブヘッドCGxz平面は、ゴルフクラブヘッドCGx軸10190
とゴルフクラブヘッドCGz軸10185によって画定される平面である。CGxy平面
は、ゴルフクラブヘッドCGx軸10190とゴルフクラブヘッドCGy軸10195に
よって画定される平面である。
【0060】
CGx軸周り慣性モーメント(Ixx)はゴルフクラブヘッドのCGx軸周りの捩れに
抵抗する能力の指標である。より高いCGx軸周り慣性モーメント(Ixx)は、ゴルフ
クラブヘッド10100の、ゴルフボールとの高い及び低い中心外れインパクトに起因す
る上向き又は下向きの捩れに対するより高い抵抗を示唆する。
【0061】
開示されているゴルフクラブヘッドの一部の特定の実施形態では、慣性モーメントI
は少なくとも250kg-mmである。例えば、一部の特定の実施形態では、慣性モ
ーメントIxxは250kg-mmから800kg-mmの間である。開示されてい
るゴルフクラブヘッドの実施形態でクラブヘッドフェース上の投影CGが幾何学的中心よ
り低い実施形態について、より低い慣性モーメントは動的ロフトを増加させ、クラブの幾
何的中心で打たれたゴルフボールが受けるバックスピンを減少させることが観察されてい
る。而して、一部の特定の実施形態では、慣性モーメントIxxは相対的に低い(例えば
250kg-mmから500kg-mmの間)。その様な実施形態では、相対的に低
い慣性モーメントは、ゴルフボールスピンの軽減化に寄与し、それによりゴルフボールが
所望の高打ち出し低スピン軌道(例えば図33に示されているものに似た軌道)を得るの
を手助けする。更に他の実施形態では、慣性モーメントは250kg-mm未満(例え
ば、150kg-mmから250kg-mmの間、又は200kg-mmから25
0kg-mmの間)である。ゴルフクラブヘッドでの裁量的質量の場所をここに開示さ
れている方法を使用して調節することは、開示されているゴルフクラブヘッドの実施形態
での所望される慣性モーメントIxxを提供することができる。
【0062】
E.デルタ1
デルタ1(「Δ1」)は、CGがクラブヘッド本体10110中でどれほど後方に位置
しているかの尺度である。より具体的には、Δ1はCGとホーゼル軸の間のy軸(打面の
幾何学的中心からゴルフクラブヘッド本体の後部に向けた直線方向)に沿った距離である
。開示されているゴルフクラブヘッドの実施形態については、より小さいデルタ1値はク
ラブヘッドフェース上のより低い投影CGをもたらすことが観察されている。而して、開
示されている、打球クラブフェース上の投影CGが幾何学的中心より低いゴルフクラブヘ
ッドの実施形態については、デルタ1を小さくすることは、投影CGを低くし、幾何学的
中心と投影CGの間の距離を増加させることになる。より低い投影CGは、より低い動的
ロフトを生み、またz軸ギヤ効果に因るバックスピンをより軽減することを思い出して頂
きたい。クラブロフト角は静的であるとはいえ、Δが大であるとき、ゴルフクラブヘッ
ドのCGは使用中のクラブヘッドへの加増ロフトを生じさせる位置にある。これが起こる
のは、インパクト時にゴルフクラブヘッドのシャフト軸からのオフセットCGがx軸(ヒ
ールからトゥへの軸)周りのゴルフクラブヘッドのモーメントを生み出し、それがゴルフ
クラブヘッドのx軸周りの回転を生じさせるからである。Δが大きくなるほど、x軸周
りのモーメントを生成するモーメントアームはより大きくなる。従ってΔが特に大きけ
れば、x軸周りのゴルフクラブヘッドのより大きな回転が見られる。回転増加はインパク
ト時のロフト加増につながる。
【0063】
而して、開示されているゴルフクラブヘッドの特定の実施形態について、デルタ1値は
相対的に小さく、それによりゴルフボールのバックスピン量を小さくし、ゴルフボールが
所望の高打ち出し低スピン軌道(例えば、図33に示されているものに似た軌道)を得る
のを手助けする。例えば、一部の特定の実施形態では、デルタ1値は25mm又はそれよ
り小さい(例えば10-25mmの範囲)。ここに説明されている様にゴルフクラブヘッ
ドでの裁量的質量の場所を調節することは、所望のデルタ1値を提供することができる。
例えば、デルタ1は、CGより手前(よりフェースに近接)の質量をCGより後ろの質量
に対して変えることによって操作することができる。即ち、CGより後ろの質量をCGよ
り手前の質量に対して増加させることによって、デルタ1を増加させることができる。同
様の方式では、CGより手前の質量をCGより後ろの質量に対して増加させることによっ
て、デルタ1を減少させることができる。
【0064】
G.体積
ここに開示されている開示のゴルフクラブヘッドの実施形態は様々に異なる体積を有す
ることができる。例えば、開示されているゴルフクラブヘッドの一部の特定の実施形態は
、ドライバ向けであり、250cmから460cmの間のヘッド体積及び180グラ
ムから210グラムの間の重量を有している。開示されているゴルフクラブヘッドの他の
実施形態は、開示されている技術の何れか1つ又はそれ以上の態様を組み入れていて約1
30cmから約220cmの間の体積及び約190グラムから約225グラムの間の
重量を有しているフェアウェイウッドを含んでいるのに対し、開示されている技術の何れ
か1つ又はそれ以上の態様を組み入れているいわゆるハイブリッドウッドの実施形態は、
約80cmから約150cmの間の体積及び約210グラムから約240グラムの間
の重量を有していよう。開示されているゴルフクラブヘッドの他の実施形態は、460c
より大きい体積を有している。その様なクラブヘッドが所望される場合、打球板及び
ゴルフクラブヘッドの外殻の大きさを拡大することによって、ここに説明されている通り
に構築することができる。また、その様な「大きな」クラブヘッドでは、ゴルフクラブヘ
ッドでのより低いCGを実現できるチャンスがより大きくなる。更に理解しておきたい
こととして、クラブ及びボールに関する現在のU.S.G.A.規則を超過する体積及び
寸法を有するゴルフクラブヘッドも実施可能であり、本開示によって企図されている。
【0065】
H.低前方重心
最近まで、従来の見識はクラブヘッドの重心(「CG」)位置を後方へ動かそうとして
きたが、それというのもこのCG移動が一部の設計ではクラブヘッドの慣性モーメントを
増加させることになるからである。ここに説明されているゴルフクラブヘッド10000
は、クラブヘッドのCG位置を低く後方に動かしている一例である。また一方、重量をク
ラブヘッドの前方位置に置くと重心のフェース上への投影点はCGがフェースからより後
退している場合に比較してより低くなる、という幾つかの意外な利点がある。これは、翻
せば、Δが特に大きい場合のゴルフスイング中に起こるいわゆる「動的ロフティング」
の効果を低減することになる。
【0066】
動的ロフティングは状況に依っては所望されることもあり、例えば低後方CGが所望さ
れる設計要素とされる場合もあり得るが、それは結果としてのボール飛行に幾つかの負の
影響を生じさせかねない。第1に、動的ロフトの加増1度につき打ち出し角は0.5-0
.75°で増加する。第2に、動的ロフトの加増1度につきスピン速度は約200-25
0rpmで増加する。
【0067】
低前方CGの利点は、重心が中心フェースにより近く投影され、中心フェースインパク
トについてより低いスピン及びより大きいボール速力を与える、ということである。また
、低前方CGを有する場合、ゴルフクラブヘッドはインパクト時の動的ロフトがより小さ
く、そのためゴルファーはより高い静的ロフトを有するクラブを使用することが必要にな
る。例えば、-2mmより小さいCGz及び16mmより小さいデルタ1を有するクラブ
なら標準CG位置より高いロフトが必要になるかもしれない。一部の特定の実施形態では
、静的ロフトは11°から19°の間である。より好適には、400ccより大きい体積
を有するドライバについては14°から17°の間の静的ロフトを有するのが有利である
かもしれない。デルタ1は、より好適には14mmより小さい、なおいっそう好適には1
2mmより小さいということになろう。更に、CGは、より好適には-3mmより小さ
い、なおいっそう好適には-4mmより小さいということになろう。
【0068】
スピンレート増加には幾つかの要因がある。第1に、動的ロフティングが単純により高
いロフトを作り出せば、より高いロフトはより多いバックスピンの原因となる。第2のよ
り意外な解釈はギヤ効果である。後方CGのゴルフクラブヘッドのフェースへの投影は中
心フェース(中心フェースは殆どのゴルフクラブヘッドにとって理想的なインパクト場所
)より上に投影点を作り出す。ギヤ効果理論は、投影点が打球場所からオフセットしてい
る場合、ギヤ効果がゴルフボールの回転を投影点に向かって生じさせる、と述べている。
中心フェースは殆どのゴルフクラブヘッドにとって理想的なインパクト場所であるので、
投影点が中心フェースからオフセットしていることは、完璧に打たれたショットへギヤ効
果を生じさせることになりかねない。而して、ゴルフクラブヘッドのロフトは投影点を中
心フェースより上、即ち理想打球場所より上に仕向ける。これが中心打へのギヤ効果を引
き起こし、ボールにゴルフクラブヘッドのフェースを転がり上がるように仕向け、なおい
っそう大きなバックスピンを発生させることになる。バックスピンは、幾つかの設計では
、ボール飛行が「吹き上がり(balloon)」即ち換言するとあまりに急上昇し、結果とし
てのゴルフショットの進行距離が最適スピン条件の場合より短くなってしまうため、問題
となることもある。
【0069】
投影点が中心フェースと整列しないようなCGのオフセットに係る更なる考察事項は、
スピンによる潜在的なエネルギー損失である。前述のギヤ効果問題を理由に投影点を理想
打球場所以外の何処かに動かすと、より多くのエネルギーがスピンへ変換されてしまって
理想的な打球へのエネルギー伝達が小さくなってしまう。よって、投影点が理想打球場所
からオフセットしているゴルフクラブヘッドは、投影点が理想打球場所(中心フェースと
仮定)と整列しているゴルフクラブヘッドよりも、所与のショットでより少ない距離を呈
するかもしれない。
【0070】
滑動式に位置換え可能な重り
ここに説明されているゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態によれば、ゴルフクラブ
ヘッドは、滑動式に位置換え可能な重りを含んでいる。滑動式に位置換え可能な重りは、
他にも利点はあるが中でもとりわけ、ゴルフクラブの末端使用者がクラブヘッドのCGの
場所を位置換え可能な重りの位置に関係付けられる場所範囲に亘って調節でき易くする。
図19図24は、クラブヘッドのソールの前方領域に設けられているチャネル内に保定
されている滑動式に位置換え可能な重りを有する或る例示としてのゴルフクラブヘッドを
示している。重りは、チャネルのヒール端とトゥ端の間の複数の選択点に位置決めできる
ように滑動式に位置換え可能である。
【0071】
ここに説明され図19図24に示されている例示としてのゴルフクラブヘッドは、調
節可能なソール部片及び内部ソールリブ、調節可能なシャフト取り付けシステム、可変厚
さフェース板、薄壁本体構造、重りポートに挿入される可動式重り、及び/又はここに記
載の何れかの他のクラブヘッド特徴を含むことができる。本記述は、図19図24に示
されている具体的な実施形態に関して進められているが、これらの実施形態は一例にすぎ
ず、根底の概念の範囲を限定するものと考えられてはならない。例えば、例示されている
実例は多くの記載されている特徴を含んでいるが、代わりの実施形態は、これらの特徴及
び/又は追加の特徴の様々なサブセットを含むことができる。
【0072】
図19A図19Bは、或る例示としてのゴルフクラブヘッド9300の幾つかの図を
示している。ヘッド9300は、中空本体9302を備えている。本体9302(ひいて
はクラブヘッド9300全体)は、前部分9304、後部分9306、トゥ部分9308
、ヒール部分9310、ホーゼル9312、クラウン9314、及びソール9316、を
含んでいる。前部分9304は、ここに説明されている様に、可変厚さ、複合材、及び/
又は金属のフェース板であってもよいとされるフェース板9018を受け入れる開口部を
形成している。
【0073】
例示されているクラブヘッド9300は、更に、シャフトをホーゼル9312へ連結す
るための上述の調節可能なシャフト接続システムの様な調節できるシャフト接続システム
を備えることができ、その詳細はここでは繰り返されておらず分かり易くするために図1
9A-図19Bには示されていない。示されている実施形態には、例えば、取り付けねじ
(図示せず)を通すための通路9370が含まれている。
【0074】
調節可能なシャフト接続システムは、(限定するわけではないが)スリーブやフェルー
ルの様な様々な構成要素を含んでいてもよい(ホーゼル及び調節可能なシャフト接続シス
テムに関する更なる詳細は、例えば、米国特許第7,887,431号及び米国特許出願
第13/077,825号、同第12/986,030号、同第12,687,003号
、同第12/474,973号に見いだすことができ、当該特許及び特許出願をここに参
考文献としてそっくりそのまま援用する)。シャフト接続システムは、ホーゼル9312
と一体で、ここに詳細に説明されている様にクラブヘッド9300のシャフトに対する向
き付けを調節するのに使用することができる。例示されているクラブヘッド9300は、
更に、同じくここに詳細に説明されている様に調節可能なソール部片をソールポート又は
ポケットに含んでいてもよい。
【0075】
図19A図19Bに示されている実施形態では、クラブヘッド9302は、ソール9
316に、概してヒール部分9310寄りに配置されているヒール端9322からトゥ部
分9308寄りに配置されているトゥ端9324へ延びている細長いチャネル9320が
提供されている。チャネル9320内には前棚部9330と後棚部9332が配置されて
いて、チャネル9320内の前棚部9330及び後棚部9332上に重り組立体9440
が保定されている。示されている実施形態では、チャネル9320は、以上に論じられて
いるヘッド対シャフト接続組立体の一部を形成しているホーゼル開口部340と併合され
ている。
【0076】
次に図20A図20B及び図21A図21Bを見ると、チャネル9320と前棚部
9330及び後棚部9332に関する追加の詳細が例示の実施形態に示されているが、そ
れには分かり易くするために重り組立体9340は含まれていない。示されている実施形
態では、チャネル9320は、前チャネル壁9326、後チャネル壁9327、及び底チ
ャネル壁9328を含んでいる。前チャネル壁9326、後チャネル壁9327、及び底
チャネル壁9328は、共同で、重り組立体9340が保定されている内部チャネル体積
を画定している。前棚部9330は前チャネル壁9326から後方へ内部チャネル体積の
中へと延び、後棚部9332は後チャネル壁9327から前方へ内部チャネル体積の中へ
延びている。
【0077】
次に図20A図20B及び図21A図21Bを見ると、チャネル9320と前棚部
9330及び後棚部9332に関する追加の詳細が例示の実施形態に示されているが、そ
れには分かり易くするために重り組立体9340は含まれていない。示されている実施形
態では、チャネル9320は、前チャネル壁9326、後チャネル壁9327、及び底チ
ャネル壁9328を含んでいる。前チャネル壁9326、後チャネル壁9327、及び底
チャネル壁9328は、共同で、重り組立体9340が保定されている内部チャネル体積
を画定している。前棚部9330は前チャネル壁9326から後方へ内部チャネル体積の
中へと延び、後棚部9332は後チャネル壁9327から前方へ内部チャネル体積の中へ
延びている。
【0078】
幾つかの実施形態では、前棚部9330及び後棚部9332のうち1つ又はそれ以上の
棚部の面に複数のロック用突起9334が形成されている。示されている実施形態では、
ロック用突起9334は後棚部9332の外向面に設置されている。以下により詳しく説
明されている様に、ロック用突起9334の各々は、重り組立体9340側に形成されて
いる複数のロック用ノッチの1つに係合してそれによって重り組立体9340をチャネル
9320内の所望場所に保定するように適合された大きさ及び形状を有している。示され
ている実施形態では、各ロック用突起9334は略半球形状を有している。
【0079】
代わりの実施形態では、ロック用突起9334は、前棚部9330及び/又は後棚部9
332によって画定されている1つ又はそれ以上の他の面に配置されていてもよい。例え
ば、幾つかの実施形態では、ロック用突起は、前棚部9330の外向面に配置されており
、また一方、他の実施形態では、ロック用突起は前棚部9330と後棚部9332の一方
又は両方の棚部の内向面に配置されている。更なる実施形態では、重り組立体9340は
、ロック用突起の使用無しに、前棚部9330及び後棚部9332上に保定されている。
更に別の実施形態では、複数のロック用ノッチ(図には示されていない)が前棚部933
0及び後棚部9332の1つ又はそれ以上の面に配置されていて、重り組立体9340側
の係合部分に配置されているロック用突起に係合するように適合されている。全てのその
様な組合せ並びに他の組合せは、チャネル9320内の選択された場所に重り組立体93
40を保定するのに適しているであろう。
【0080】
代わりの実施形態では、複数の突起9334は重り組立体9340のチャネルに沿った
位置を定めるのを手助けするマーカー又は指標として働いており、如何なるロック機能も
果たしていない。代わりに、重り組立体9340はチャネルに沿った選択位置で、ボルト
9346を締めることによってその場にロックされる。これらの実施形態では、複数の突
起9334は、ワッシャ9342が突起9334の1つへ重ねて置かれたときに限定され
た量を動くことができるように、ワッシャ9342の陥凹9348の幅より小さい幅の大
きさである。
【0081】
次に図22A図22Bを見ると、チャネル9320と前棚部9330及び後棚部93
32に関する追加の詳細が例示の実施形態に示されているが、それには分かり易くするた
めに重り組立体9340は含まれていない。示されている実施形態では、チャネル932
0は、前チャネル壁9326、後チャネル壁9327、及び底チャネル壁9328を含ん
でいる。前チャネル壁9326、後チャネル壁9327、及び底チャネル壁9328は、
共同で、重り組立体9340が保定されている内部チャネル体積を画定している。前棚部
9330は前チャネル壁9326から後方へ内部チャネル体積の中へと延び、後棚部93
32は後チャネル壁9327から前方へ内部チャネル体積の中へ延びている。
【0082】
図に示されている実施形態では、チャネル9320は、X-Y平面内では実質的に直線
状であり(例えば図19B参照)、X-Z平面及びY-Z平面内では概してソール931
6の湾曲に追随している(例えば図19A図19Bを参照)。チャネル9320は、ソ
ール9316の前方領域、即ち、クラブヘッドの前部分9304寄りに配置されている。
例えば、幾つかの実施形態では、チャネル全体9320は、ソール9316の前方50%
領域に配置されており、例えば、ソール9316の前方40%領域、ソール9316の前
方30%領域、などに配置されている。言及されているソールの前方領域は、フェース板
9318の中心とクラブヘッドの後部分9306の最後部の点の間を延びる仮想線と交わ
る仮想垂直平面に関して定義されている。仮想垂直平面は、更に、シャフト50が正しい
ライ(即ち典型的には60度±5度)にあってソール9316が競技面70に載っている
(クラブが接地アドレス位置にある)ときのシャフト長手方向軸を内包する垂直平面に平
行である。仮想線は長さLが割り当てられている。従って、ソール9316の前方50%
領域とは、仮想垂直平面に対してクラブヘッドの前部分9304寄りに位置するソール9
316の領域であって、ここに当該仮想垂直平面は、フェース板9318の中心から0.
5*Lの距離に位置している。ソールの前方40%領域とは、仮想垂直平面に対してクラ
ブヘッドの前部分9304寄りに位置するソール9316の領域であって、ここに当該仮
想垂直平面は、フェース板9318の中心から0.4*Lの距離に位置している。ソール
の前方30%領域とは、仮想垂直平面に対してクラブヘッドの前部分9304寄りに位置
するソール9316の領域であって、ここに当該仮想垂直平面は、フェース板9318の
中心から0.3*Lの距離に位置している。
【0083】
示されている実施形態では、フェース板9318の中心を通る垂直平面とフェース板9
318の中心と同じx座標におけるチャネル9320の間の最小距離は、約10mmから
約50mmの間であり、例えば、約20mmから約40mmの間、約25mmから約30
mmの間、などである。示されている実施形態では、チャネルの幅(即ち、前棚部933
0の場所に隣接する前チャネル壁9326と後棚部9332の場所に隣接する後チャネル
壁9327の間の水平距離)は、約8mmから約20mmの間とすることができ、例えば
約10mmから約18mmの間、約12mmから約16mmの間、などであってもよい。
示されている実施形態では、チャネルの深さ(即ち、底チャネル壁9328とソール93
16のチャネル9320の前棚部及び後棚部に隣接している領域を内包する仮想平面の間
の垂直距離)は、約6mmから約20mmの間とすることができ、例えば、約8mmから
約18mmの間、約10mmから約16mmの間、などであってもよい。示されている実
施形態では、チャネルの長さ(即ち、チャネルのヒール端9322とチャネルのトゥ端9
324の間の水平距離)は、約30mmから約120mmの間とすることができ、例えば
、約50mmから約100mmの間、約60mmから約90mmの間、などであってもよ
い。
【0084】
重り組立体9340及び重り組立体9340をチャネル9320内の前棚部9330及
び後棚部9332上に保定させるやり方が、図22A図22Bにより詳細に示されてい
る。示されている実施形態では、重り組立体9340は、ワッシャ9342と質量部材9
344と締結用ボルト9346という3つの構成要素を含んでいる。ワッシャ9342は
、内部チャネル体積の外側の部分内に配置され、前棚部9330と後棚部9322の外向
面に係合している。質量部材9344は、内部チャネル体積の内側の部分内に配置されて
いて、前棚部9330と後棚部9332の内向面に係合している。締結用ボルト9346
は、ワッシャ9342の中央開口9353を通って延び質量部材9344の中央開口93
61に設けられている噛み合い相手のねじ部に係合するねじの切られた軸部を有している
【0085】
ワッシャ3942と質量部材9344は、それぞれ、アルミニウム、チタン、ステンレ
ス鋼、タングステン、これらの材料を含有する合金、又はこれらの材料の組合せ、の様な
材料で形成することができる。締結用ボルト9346は、チタン合金又はステンレス鋼で
形成されているのが好ましい。示されている実施形態では、ワッシャ9342と質量要素
9344は、それぞれ、約8mmから約20mmの範囲、例えば、約10mmから約18
mm、約12mmから約16mm、などの範囲、の長さと幅を有している。図に示されて
いるワッシャ9342及び質量要素9344の実施形態の高さは、約2mmから約8mm
であり、例えば、約3mmから約7mm、約4mmから約6mm、などである。
【0086】
チャネル9320及び取り付けられている調節可能な重り組立体9340の追加が、ボ
ールをインパクトしたときのクラブが出す音を不快に変化させないとも限らない。従って
、ソールの内部面(即ちクラブヘッド9300の内部キャビティ内)に1つ又はそれ以上
のリブ9380が提供されている。ソールの内部面のリブ9380は、幾通りかの異なっ
た方向に向き付けられ、チャネル9320をクラブヘッド本体の他の強度のある構造、例
えば本体のソール及び/又はソールとクラウンの間のスカート領域など、へつなぐことが
できる。1つ又はそれ以上のリブは、ソールをなおいっそう安定させるために、ホーゼル
へつながれていてもよい。ソールの内部面へその様なリブが加えられることで、クラブヘ
ッドは、以上に調節可能なソール板ポートと関連付けられるリブに関して論じられている
様に、フェースでゴルフボールを打ったときに、より高い可聴周波数を現出させることが
できる。
【0087】
幾つかの実施形態では、重り組立体9340は、重り組立体9340をチャネルのトゥ
端9324に隣接して配置されている装着キャビティ9336の中へ設置することによっ
てチャネル9320の中へ装入される。装着キャビティ9336は、チャネル9320の
一部分であって、そこには前棚部9330と後棚部9332が延びていないため、組み立
てられた重り組立体9340のチャネル9320内への設置がやり易くなる。重り組立体
9340は、装着キャビティ9336の中へ一旦設置されると、ヒール端9322に向け
て位置をずらされ、前棚部9330及び後棚部9332と係合してゆく。重り組立体93
40が装着キャビティ9336から完全にずらされた後、随意的なキャップ又は栓(例え
図23参照)を装着キャビティ9336の中へ装入して重り組立体9340のチャネル
9320からの脱離を防止するようにしてもよい。
【0088】
図23に示されている実施形態は、更に、シャフトをホーゼル9312へ連結するため
の調節可能なシャフト取り付けシステムであって、スリーブ9920、ワッシャ9922
、ホーゼル挿入部9924、及びねじ9926の様な、様々な構成要素を含むシステムを
含んでいる(ホーゼル及び調節可能なシャフト接続システムに関する更なる詳細は、例え
ば、米国特許第7,887,431号及び米国特許出願第13/077,825号、同第
12/986,030号、同第12,687,003号、同第12/474,973号に
見いだすことができ、当該特許及び特許出願をここに参考文献としてそっくりそのまま援
用する)。シャフト接続システムは、ホーゼル9312と一体で、本明細書にもまたここ
で参考文献として援用されている特許及び特許出願にも詳細に説明されている様に、クラ
ブヘッド9302のシャフトに対する向き付けを調節するのに使用することができる。幾
つかの実施形態は複合フェース板を備えていてもよい。複合フェース板についての構造及
び製造プロセスに関わる更なる詳細は、米国特許第7,871,340号、及び米国特許
出願公開第2011/0275451号、同第2012/0083361号、及び同第2
012/0199282号に記載されている。複合フェース板は、クラブヘッドの前部分
9304の開口部に配置されている挿入部支持構造へ取り付けられる。挿入部支持構造に
関わる更なる詳細は、米国特許第RE43,801号に記載されている。
【0089】
滑動式に位置換え可能な重りを含む更なる実施形態
ここに説明され図34図59に示されている例示としてのゴルフクラブヘッドは、調
節可能なソール部片及び内部ソールリブ、調節可能なシャフト取り付けシステム、可変厚
さフェース板、薄壁本体構造、重りポートに挿入される可動式重り、及び/又はここに記
載の何れかの他のクラブヘッド特徴、を含むことができる。本記述は、図34図59
示されている特定の実施形態に関して進められているが、これらの実施形態は一例にすぎ
ず、根底の概念の範囲を限定するものと考えられてはならない。例えば、例示されている
実例は多くの記載されている特徴を含んでいるが、代わりの実施形態は、これらの特徴及
び/又は追加の特徴の様々なサブセットを含むことができる。
【0090】
図34A図34Dを見て、ゴルフクラブヘッドの別の例であるゴルフクラブヘッド1
2000をこれより説明してゆく。ゴルフクラブヘッド12000は、中空本体1200
2A、チャネル12020、及び滑動式重り組立体12040を含め、先の実施形態の構
造及び特徴の幾つかを含んでいる。本体12002A(ひいてはクラブヘッド12000
全体)は、前部分12004、後部分12006、トゥ部分12008、ヒール部分12
010、ホーゼル12012、クラウン12014、及びソール12016、を含んでい
る。前部分12004は、ここに説明されている様に、可変厚さ、複合材、及び/又は金
属のフェース板であってもよいとされるフェース板12018を受け入れる開口部を形成
している。
【0091】
例示されているクラブヘッド12000は、更に、シャフトをホーゼル12012へ連
結するための調節可能なシャフト接続システムを備えることができる。調節可能なシャフ
ト接続システムは、(限定するわけではないが)スリーブ及びフェルールの様な様々な構
成要素を含んでいてもよい(ホーゼル及び調節可能なシャフト接続システムに関する更な
る詳細は、例えば、米国特許第7,887,431号、及び米国特許出願第13/077
,825号、同第12/986,030号、同第12,687,003号、同第12/4
74,973号に見いだすことができ、当該特許及び特許出願をここに参考文献としてそ
っくりそのまま援用する)。
【0092】
クラブヘッド12000には、ホーゼル12012からクラブヘッドを貫いて延びてい
てクラブヘッドのソール又は底面に開口しているホーゼル開口部12070又は通路が形
成されている。ホーゼル開口部12070は、以上に論じられているヘッド対シャフト接
続組立体の一部を形成している取り付けねじ(図示せず)を通せるようにしている。シャ
フト接続システムは、ホーゼル12012と一体で、ここに説明されている様にクラブヘ
ッド12000のシャフトに対する向き付けを調節するのに使用することができる。例示
されているクラブヘッド12000は、更に、同じくここに説明されている様に調節可能
なソール部片をソールポート又はポケットに含んでいてもよい。
【0093】
図34A図34Dに示されている実施形態では、ゴルフクラブヘッド12000は、
ソール12016に、概してヒール部分12010寄りに配置されているヒール端120
22からトゥ部分12008寄りに配置されているトゥ端12024へ延びている細長い
チャネル12020が提供されている。チャネル12020内には前棚部12030と後
棚部12032が配置されていて、チャネル12020内の前棚部12030及び後棚部
12032上に重り組立体12040が保定されている。示されている実施形態では、チ
ャネル12020は、以上に論じられているヘッド対シャフト接続組立体の一部を形成し
ているホーゼル開口部12070と併合されている。
【0094】
幾つかの実施形態では、チャネル12020は、ソール12016の湾曲をなぞってい
てもよい。これは、滑動式重りが低い前方位置を維持できるようにし、ひいてはCGがよ
り低くより前方になるように仕向ける。我々は、重り組立体を低く前方に位置決めするこ
とにより、これがバックスピンの少ないボール飛行を現出させることを見いだした。
【0095】
更に、我々は、重りをチャネルに沿って滑動させることは、ゴルファーがクラブヘッド
のCGxを位置換えすることによって自身のショット形状をより適切に制御することを可
能にさせることを見いだした。重りをクラブのトゥに向かって動かすことはフェードバイ
アスを促すようにCGxを位置換えする。同様に重りをクラブのヒールに向かって動かす
ことは、ドローバイアスを促すようにCGxを位置換えする。
【0096】
また一方で、我々は重り組立体がCGzに不適切に効果を及ぼしかねないことを見いだ
した。CGzへの影響力は重り組立体が極トゥ位置又は極ヒール位置にあるときが最も有
意である。これらの極位置では、CGはフェース上により高く投影され、結果的にショッ
ト形状制御と低CGの間でトレードオフを来たす。従って、幾つかの実施形態では、重り
を滑動させることがCGzへ与える影響力がより小さくなるようにチャネルを平坦化する
のが望ましいこともある。
【0097】
図34Aに示されている様に、クラブヘッドのソールは、トゥ側ウィングレット120
34とヒール側ウィングレット12036を含んでいる。ソールのこれらの増成部分はヒ
ール/トゥ方向のチャネル曲率半径をソールの曲率半径と異ならせることができる。典型
的には、ソールは相対的に丸い例えば50-100mmのヒール/トゥ半径を有しており
、(単数又は複数の)重りがヒール位置及びトゥ位置に置かれている場合にチャネルが重
りをより低い垂直高さに維持するためにはより大きい曲率半径例えば100-150mm
の曲率半径を有しているのが望ましいかもしれない。これは重り組立体がチャネルに沿っ
て滑動する際に一定して低いCGzを維持するのに役立つ。
【0098】
幾つかの実施形態では、前チャネル棚部及び後チャネル棚部は、50mm-400mm
の範囲の半径及び0.5mmから3.0mmの間のチャネル棚部厚さを有していてもよい
。他の実施形態では、前チャネル棚部及び後チャネル棚部は平坦であってもよい。他の実
施形態では、前チャネル棚部及び後チャネル棚部は、平坦部分と丸部分の組合せを含んで
いてもよい。以上に論じられている様に、より平らなチャネル又は大きい半径を有するチ
ャネルは、CGzへの影響力のより少ないチャネルに沿った移動を可能にさせる。これは
CGが低く前方に留まれるようにして、打球フェース上へより低く投影されるCGを可能
にさせる。
【0099】
次に図35A図35Bを見ると、チャネル12020と前棚部12030及び後棚部
12032に関する追加の詳細が例示の実施形態に示されているが、それには分かり易く
するために重り組立体12040は含まれていない。示されている実施形態では、チャネ
ル12020は、前チャネル壁12026、後チャネル壁12027、及び底チャネル壁
12028を含んでいる。前チャネル壁12026、後チャネル壁12027、及び底チ
ャネル壁12028は、共同で、重り組立体12040が保定されている内部チャネル体
積を画定している。前棚部12030は前チャネル壁12026から後方へ内部チャネル
体積の中へと延び、後棚部12032は後チャネル壁12027から前方へ内部チャネル
体積の中へ延びている。示されている様に、チャネル12020は、重り組立体1204
0を滑動させる開口部分を別にして密閉構造であってもよい。チャネル12020は、鋳
放し又は機械加工された特徴であってもよい。
【0100】
図34A図34Dに示されている実施形態では、チャネル12020は、ソール12
016の前方領域、即ち、クラブヘッドの前部分12004寄りに配置されている。例え
ば、幾つかの実施形態では、チャネル全体12020は、ソール12016の前方50%
領域に配置されており、例えば、ソール12016の前方40%領域、ソール12016
の前方30%領域、などに配置されている。言及されているソールの前方領域は、フェー
ス板12018の中心とクラブヘッドの後部分12006の最後部の点の間を延びる仮想
線と交わる仮想垂直平面に関して定義されている。仮想垂直平面は、更に、シャフト50
が正しいライ(即ち典型的には60度±5度)にあってソール12016が競技面70に
載っている(クラブが接地アドレス位置にある)ときのシャフト長手方向軸を内包する垂
直平面に平行である。仮想線は長さLが割り当てられている。従って、ソールの前方50
%領域とは、仮想垂直平面に対してクラブヘッドの前部分12004寄りに位置するソー
ル12016の領域であって、ここに当該仮想垂直平面は、フェース板12018の中心
から0.5*Lの距離に位置している。ソールの前方40%領域とは、仮想垂直平面に対
してクラブヘッドの前部分12004寄りに位置するソール12016の領域であって、
ここに当該仮想垂直平面は、フェース板12018の中心から0.4*Lの距離に位置し
ている。ソールの前方30%領域とは、仮想垂直平面に対してクラブヘッドの前部分12
004寄りに位置するソール12016の領域であって、ここに当該仮想垂直平面は、フ
ェース板12018の中心から0.3*Lの距離に位置している。
【0101】
示されている実施形態では、フェース板12018の中心と同じx座標での重り組立体
12040のCGとフェース板12018の中心を通る第1垂直平面の間の距離は、約5
mmから約50mmの間であり、例えば、約10mmから約40mmの間、約25mmか
ら約30mmの間、などであってもよい。示されている実施形態では、チャネルの幅(即
ち、前棚部12030の場所に隣接する前チャネル壁12026と後棚部12032の場
所に隣接する後チャネル壁12027の間の水平距離)は、約8mmから約20mmの間
とすることができ、例えば、約10mmから約18mmの間、約12mmから約16mm
の間、などであってもよい。示されている実施形態では、チャネルの深さ(即ち、底チャ
ネル壁12028とチャネル12020の前棚部及び後棚部に隣接するソール12016
の領域を内包する仮想平面の間の垂直距離)は、約6mmから約20mmの間とすること
ができ、例えば、約8mmから約18mmの間、約10mmから約16mmの間、などで
あってもよい。示されている実施形態では、チャネルの長さ(即ち、チャネルのヒール端
12022とチャネルのトゥ端12024の間の水平距離)は、約30mmから約120
mmの間とすることができ、例えば、約50mmから約100mmの間、約60mmから
約90mmの間、などであってもよい。
【0102】
重り組立体12040及び重り組立体12040をチャネル12020内の前棚部12
030及び後棚部12032上に保定させるやり方が、図36A図36C及び図37A
図37Dにより詳細に示されている。示されている実施形態では、重り組立体1204
0は、ワッシャ12042と質量部材12044と締結用ボルト12046という3つの
構成要素を含んでいる。ワッシャ12042は、内部チャネル体積の外側の部分内に配置
されていて、前棚部12030と後棚部12032の外向面に係合している。質量部材1
2044は、内部チャネル体積の内側の部分内に配置されていて、前棚部12030と後
棚部12032の内向面に係合している。締結用ボルト12046は、ワッシャ1204
2の中央開口を通って延び質量部材12044の中央開口12061に設けられている噛
み合い相手のねじ部に係合するねじの切られた軸部を有している。これは、重り組立体を
固定するための張力システムである。代わりに、ワッシャは中央開口に噛み合いねじ部を
有し、締結用ボルトは質量部材の中央開口を通って進むようになっていて、ボルトの露出
している外面への駆動によって締められるようになっていてもよいであろう。この実施形
態では、締める間、ボルトの頭部は質量部材の内面に捕えられてその場に保持されること
になる。
【0103】
幾つかの実施形態では、ワッシャ12040は、質量部材12044より重くてもよい
し、その逆であってもよい。或いは、ワッシャ12042と質量部材12044は似通っ
た質量を有していてもよい。ワッシャを質量部材より重くすることの利点は、なおいっそ
う低いCGである。ワッシャ及び/又は質量部材は、1gから50gの範囲の質量を有し
ていてもよい。
【0104】
図38Aに示されている様に、及びクラブヘッド9300に関して論じられている重り
組立体と同様に、ワッシャ12042は、内向面12050と外向面12052を含んで
いる。ワッシャ12042は、重り組立体12040がチャネル12020内に保定され
るときに後棚部12032側に配置されているロック用突起12034(突出部及び/又
は窪みのどちらか)に係合するのに適合するような複数のロック用ノッチ12048(突
出部及び/又は窪みのどちらか)をワッシャの内向面12050に沿って配置させて含ん
でいてもよい。
【0105】
ワッシャ12042は、更に、隆起した中央リッジ12054を内向面12050側に
含んでいる。隆起した中央リッジ12054は、前棚部12030と後棚部12032の
間の離隔距離よりも僅かに小さい幅寸法を有しており、その結果、中央リッジ12054
は、チャネル12020内を前棚部12030及び後棚部12032によって横方向に拘
束されながらヒール-トゥ方向に滑動できるようになっている。
【0106】
質量部材12044の或る実施形態が図38Bに示されている。質量部材12044は
、内向面12056及び外向面12058と、外向面12058を通って延びる中央リッ
ジ12060と、を含んでいる。隆起した中央リッジ12060は、前棚部12030と
後棚部12032の間の離隔距離よりも僅かに小さい幅寸法を有しており、その結果、中
央リッジ12060は、チャネル12020内を、前棚部12030及び後棚部1203
2によって横方向に拘束されながらヒール-トゥ方向に滑動できるようになっている。質
量部材12044は、更に、締結用ボルト12046のねじの切られた軸部を通して配置
させるねじの切られた中央開口12061を有している。
【0107】
幾つかの実施形態では、ワッシャは質量部材より重い。これはCGをなおいっそう低く
させる。加えて、これは、重いほうの部片(例えばワッシャ)を取り外して異なる重りに
置き換えることをより少ない工程数で行えるようにする。締結ボルトをねじって外すだけ
でワッシャの取り外しができ、ワッシャを使用者の選好に依存してより重い又はより軽い
重りと置き換えることができる。このことは、典型的に、重りを取り外すこと又は置き換
えることに関わる追加の工程を有する他の設計に勝る重要な改善である。例えば、他の設
計は典型的に重りの脱離を防止するために、滑動式重りトラック内に又はトラックに沿っ
て又はトラックに隣接して装着されている何か、例えばキャップ又は栓、を有している。
他の設計は、この二次的な物体が重りの直接的な取り外しをできなくしているために、重
りを取り外すとなると少なくとも1つの追加の工程を要する。更に、これらの設計は典型
的に滑動式重りトラックを一杯に使用することを許容しておらず、というのも、重りの脱
離を防止している物品が典型的に滑動式重りトラックを一杯に使用することを何らかのや
り方で妨害しているからである。また一方、本設計は幾つかの実施形態では実質的に使用
不能部分無しにチャネルを一杯に使用することを可能にさせる。
【0108】
これらの代わりの設計に係る別の懸念は、重りを保持する部分が失陥してゴルフのラウ
ンド中にクラブヘッドとの係合を維持できなくなってしまうことである。場合によっては
、このことが結果的にプレイヤーのトーナメント失格を招くこともある。従って、本設計
は、追加の部片を排除し、重り取り外しのための追加の工程を排除し、チャネルを実質的
に一杯に使用できるようにし、ここに説明されている不具合の起こる可能性を排除するこ
とによって、より初期の設計を改良している。
【0109】
幾つかの実施形態では、重り組立体12040は、重り組立体12040をチャネル1
2020のヒール端12022に隣接して配置されている装着キャビティ12038の中
へ設置することによってチャネル12020の中へ装入される。装着キャビティ1203
8は、チャネル12020の一部分であって、そこには前棚部12030と後棚部120
32が延びているため、チャネルに沿った実質的に使用不能な部分無しにチャネル120
20を一杯に使用することを可能にさせる。重り組立体12040は、装着キャビティ1
2038の中へ一旦設置されたら、前棚部12030及び後棚部12032と係合させら
れてもよいし、又は重り組立体12040は、チャネル12020に沿って別の位置へず
らされ、次いで前棚部12030及び後棚部12032と係合させられてもよい。
【0110】
代わりに、図37A-37Dに示されている様に、重り組立体12040は、最初に質
量部材12044をチャネル12020のヒール端12022に隣接して配置されている
装着キャビティ12038の中へ設置し、次いで締結ボルト12046をワッシャ120
42の中央開口12053に通し、質量部材12044側に設けられている噛み合いねじ
部に係合させることによって、チャネル12020の中へ装入されてもよい。
【0111】
図37A-37Dに示されている様に、質量部材12044の装着キャビティ1203
8内への設置は、最初に質量部材12044をチャネルに対して傾ける段階(図37B
照)と、次いで質量部材12044を後棚部12032の下に質量部材12044がチャ
ネル12020内の所定位置へ回り込めるように十分な距離だけ挿入する段階(図37C
参照)と、を要する。質量部材12044は、十分な距離だけ挿入されないと、チャネル
12020の前棚部12030との起こり得る干渉のせいでチャネル12020内の所定
位置へ回り込むことができない。ひとたび質量部材12044が所定位置へ回り込んだら
、次いで締結ボルト12046を使用してワッシャ12042を質量部材12044へ取
り付けることができる。図37Dは、質量部材がチャネルに沿って滑らされてゆくときに
どの様に前棚部に向かって僅かに移行するのかを示している。
【0112】
同様に、重り組立体12040A全体が、説明されているのと同じ方法を使用して装着
されていてもよい。最初に締結ボルトに組立体を一体に緩く保持させる必要があり、次に
挿入に向けて組立体全体にチャネルに対して角度を付けさせなくてはならず、次いで質量
部材とワッシャが後棚部の一部を間に挟むようにして組立体をチャネルの中へ挿入し、次
に組立体を所定位置へ回し入れ、重り組立体が前棚部と後棚部の両方を質量部材とワッシ
ャの間に挟んでいるように調節したら、次いで重り組立体をチャネルに沿って所望の位置
へ滑らせてゆき、最終的に締結ボルトを締めてチャネルにしっかり係合させるようにする
【0113】
幾つかの実施形態では、装着キャビティ12038は、質量部材12044のチャネル
12020内装着を容易にするために陥凹している又は窪んでいる面12039を含んで
いてもよい。示されている様に、陥凹面12039は後棚部12032と底チャネル壁1
2028の間に配置されていてもよい。追加的又は代替的に、装着キャビティ12038
及び陥凹面12039は、チャネル12020のトゥ端12024に配置されていてもよ
い。追加的又は代替的に、陥凹面12039は、チャネル12020の全長さを延びて、
チャネルの全長さに沿っての装着を可能にさせていてもよい。追加的又は代替的に、陥凹
面12039は、前棚部12030と底チャネル壁12028の間に配置されていてもよ
い。
【0114】
陥凹は、チャネルの全長さを延びているにせよチャネルの一部分のみを延びているにせ
よ、質量部材又は重り組立体を受容するのに適切な大きさでなくてはならない。典型的に
は、これは、質量部材がチャネル内で殆ど抵抗無しに滑動することができるようにチャネ
ル寸法を質量部材より僅かに大きくすることによって達成させることができる。示されて
いる実施形態では、質量部材は或る厚さを有する矩形の形状であるが、質量部材は他の幾
何学形状の形態をしていてなおチャネルに係合するようになっていてもよい。例えば、質
量部材は、円錐台形、円形、三角形、台形、六角形、又は何か他の形状とすることもでき
る。
【0115】
既に論じられている様に、この装着方法は、装着キャビティ12038がチャネル12
020の使用可能部分の中へ組み入れられているので、チャネルを一杯に使用することを
可能させる。加えて、幾つかの実施形態では、重り組立体を取り外すために、クラブヘッ
ド、質量部材、又は重り組立体を回転させなくてはならない。これは質量部材又は重り組
立体が意図せずしてチャネルから係合解除されるのを未然に防ぐ。
【0116】
質量部材は、多くの異なるやり方でチャネルから取り外されるようになっていてもよく
、次に続く説明は、使用者が質量部材をチャネルから取り外す場合の1つのやり方である
が、唯一のやり方というわけではなく、設計依存である。質量部材をチャネルから取り外
す場合、使用者はソールが上方例えば空の方を向くようにそしてクラブのトゥが使用者の
方を向くようにクラブを回転させ、次いで使用者はボルトを回し外してボルトとワッシャ
を取り外したら、次に質量部材を装着キャビティ内に位置付け、次いで使用者はクラブを
時計回りにゆっくりと質量部材が抜け落ちるまで回転させてゆく。チャネル及び装着キャ
ビティの設計にも依るが、質量部材はひとたびチャネルが水平平面例えば地面に対して約
90度又はそれ以下の角度を成したらチャネルから抜け落ちるであろう。この説明は、チ
ャネルの一部分だけに沿った装着キャビティを有しているチャネルに特定であり、装着キ
ャビティは後方棚部に沿っている。
【0117】
図に示されている調節可能な重りシステムを使用するのに、使用者は(ここに説明され
ているトルクレンチ6600の様な)工具の係合端を使用して重り組立体12040の締
結用ボルト12046を緩めてもよい。締結用ボルト12046が緩められたら、重り組
立体12040をチャネル12020内で所望の方向に滑動させることによって、重り組
立体12040をトゥ部分12008寄り又はヒール部分12010寄りに調節すればよ
い。重り組立体12040が所望の場所に置かれたら、締結用ボルト12046を、前棚
部12030及び/又は後棚部12032へ掛かるワッシャ12042と質量部材120
44の間の締め付け力が重り組立体12040を所定場所に拘束するのに十分になるまで
締めてゆく。
【0118】
チャネル12020及び取り付けられている調節可能な重り組立体12040の追加が
、ボールとのインパクト時にクラブが出す音を不快に変化させないとも限らない。従って
図39A図39Bに示されている様に、ソール及び/又はクラウンの内部面(即ちク
ラブヘッド12000の内部キャビティ内)に1つ又はそれ以上のリブ12080が提供
されていてもよい。ソールの内部面のリブ12080は、幾通りかの異なった方向に向き
付けられ、チャネル12020をクラブヘッド本体の他の強度のある構造、例えば本体の
ソール及び/又はソールとクラウンの間のスカート領域などへつなぐことができる。1つ
又はそれ以上のリブは、ソールをなおいっそう安定させるために、ホーゼルへつながれて
いてもよい。追加的又は代替的に、リブは、チャネルを横切って走っていてもよく、フェ
ース又はフェースリップの前の低い部分へ接続していてもよいし、接続していなくてもよ
い。ソールの内部面へその様なリブが加えられることで、クラブヘッドは、以上に調節可
能なソール板ポートと関連付けられるリブに関して論じられている様に、フェースでゴル
フボールを打ったときに、好適には2500Hより大きい、更に好適には3000H
より大きい、最も好適には3400Hより大きい、より高い可聴周波数を現出させるこ
とができる。
【0119】
滑動式に位置換え可能な重り押圧システム
図41を見て、ゴルフクラブ本体の別の例であるゴルフクラブヘッド12000Bをこ
れより説明してゆく。ゴルフクラブヘッド12000Bは、ゴルフクラブヘッド1200
0と類似の又は同一の多くの特徴を類のない独特なやり方で組み合わせて含んでいる。而
して、簡潔さを期し、ゴルフクラブヘッド12000Bの各特徴を冗長的に解説すること
はしない。むしろゴルフクラブヘッド12000Bとゴルフクラブヘッド12000の間
の主要な相違を詳細に説明することにし、読み手には2つのゴルフクラブヘッド間の実質
的に類似の特徴については以上の論考を参照されたい。
【0120】
図41に示されている様に、本体12002B(ひいてはクラブヘッド12000B全
体)は、前部分12004、後部分12006、トゥ部分12008、ヒール部分120
10、ホーゼル12012、クラウン、及びソール12016、を含んでいる。ゴルフク
ラブヘッド12000Bは、一端又は両端に開口しているチャネル12020Bを含み、
重り組立体12040Bがチャネル12020Bに沿って所定位置へ自由に滑り込めるよ
うにしていてもよい。既に論じられている他の実施形態と同様に、チャネル12020B
は、ホーゼル開口部12070Bと合流していてもよい。重り組立体は、滑動式重り12
072と止めねじ(図示せず)を含んでいてもよい。止めねじを締めることで、重り組立
体12040Bがチャネル12020B内に固定される。止めねじは、チャネルを押し付
けて圧迫状態にし、それによって滑動式重りがチャネルの後方部分に当てて押圧される。
これは、重り組立体を固定するための押圧システムである。追加的又は代替的に、開口し
ているチャネルは、重り組立体がチャネルから滑り出てしまうのを防ぐように開口120
80へ固着されているバンパを含んでいてもよい。これは、万一止めねじが使用中に緩ん
だ場合に重要になろう。
【0121】
追加的又は代替的に、チャネル12020Bは、ヒール端及びトゥ端に閉鎖されていて
、代わりに以上にチャネル12020に関して論じられているのと類似の装着キャビティ
を含んでいてもよい。その場合、滑動式重り12072は以上に論じられている質量部材
12044により似通った設計となるであろう。滑動式重り12072が一旦チャネルに
装着されたら、ねじを締めればよく、するとねじがチャネルの底に押し付けられ、対応し
て滑動式重りがチャネル棚部に押し付けられ、それにより重りはその場に固定されること
になる。
【0122】
以上に論じられている様に、チャネルは使用者にフェードバイアスか又はドローバイア
スのどちらかを促すようにクラブヘッドCGを調節できる能力を提供する。チャネルは必
ずしも直線状でなくてもよく、多少の湾曲を有していてもよい。湾曲はクラブヘッドの前
部分又は後部分のどちらかに整合していてもよい。或いは、湾曲は部分円又は全円の形状
の様な別の形態をとっていてもよい。
【0123】
例示されているクラブヘッドは、更に、シャフトをホーゼルへ連結するための以上に説
明されている調節可能なシャフト接続システムの様な調節できるシャフト接続システムを
備えることができ、その詳細はここでは繰り返されておらず分かり易くするために示され
ていない。
【0124】
重りポートを有する滑動式に位置換え可能な重り
次に続く論考は、図42図47に示されている実施形態を理解するための重要な背景
を提供している。ウッド型式ゴルフクラブヘッドの低前方重心は、以上に論じられている
様々な理由で好都合である。また、高打ち出しと低スピンの組合せは、特にウッド型式ゴ
ルフクラブヘッドからは望ましい。
【0125】
ウッド型式ゴルフクラブヘッドに低前方重心場所を有することは、スピンを軽減し打ち
出し角を増加させることによって理想的な打ち出し条件の実現を支援する。しかしながら
、一部の特定の状況では、低前方重心は、質量の実質部分がゴルフクラブヘッドの1つの
領域に集中していればゴルフクラブヘッドの慣性モーメントを低下させかねない。200
7年9月27日出願の「ゴルフクラブヘッド」という名称の米国特許第7,731,60
3号に記載されている様に、慣性モーメントを増加させることは、中心外れの接触につい
てゴルフクラブヘッドの安定性を改善するのに有益であろう。例えば、ゴルフクラブヘッ
ドの質量の実質部分を低く前方に配置させれば、ゴルフクラブヘッドの重心は実質的に動
かされることになる。しかしながら、慣性モーメントは、質量と質量から慣性モーメント
が測定される軸までの距離の二乗の関数である。質量と慣性モーメント軸の間の距離が変
化すると、本体の慣性モーメントは二次関数的に変化する。よって、1つの区域に集中し
ている質量を有するゴルフクラブヘッドは、場合によっては、特に低い慣性モーメントを
有することもある。
【0126】
特に低い慣性モーメントは場合によっては不利なこともある。特に下手な打ち方及び/
又は中心外れの打ち方をした場合に関しては、ゴルフクラブヘッドの低い慣性モーメント
は捩れの原因となり得る。重心x軸に沿った慣性モーメントに関し、低い慣性モーメント
は、中心外れの打ち方をした場合についての飛行特性を変化させないとも限らない。現在
の論考では、重心がゴルフクラブヘッドの特に低く前方にあるとき、重心より実質的に上
で打った場合は相対的に大きいモーメントアームと捩れの恐れにつながる。ゴルフクラブ
ヘッドの重心x軸周り慣性モーメント(これ以後「Ixx」)が特に低い場合、高い捩れ
が原因でエネルギーはゴルフボールへ伝達されて距離を生むのではなく捩れ中に失われて
しまう結果となりかねない。よって、低前方重心は、より良い打ち出し条件を作り出すに
は有益であるが、実践が拙いと特定の状況ではとりわけ不寛容なゴルフクラブヘッドとな
ってしまうこともある。
【0127】
ゴルフクラブヘッドの低前方重心場所は有利な飛行条件をもたらす、というのも低前方
重心場所は正接フェース平面に法線方向の重心投影を生じさせるからである(ここに参考
文献としてそっくりそのまま援用されている2013年3月15日出願の「ゴルフクラブ
」という名称の米国特許出願第13/839,727号に記載されている正接フェース平
面と重心投影の論考を見られたし)。ボールとのインパクト時、重心投影は結果的により
高い又はより低いスピン及び打ち出し角をもたらす垂直方向ギヤ効果を決定付ける。重心
をゴルフクラブヘッド中に低く動かすことはゴルフクラブヘッドのロフトのせいでより低
い重心投影をもたらし、重心を前方へ動かすこともまた重心のより低い投影を提供するこ
とになる。低い重心で且つ前方の重心という組み合わせは、低い重心投影を実現するうえ
で非常に効率的なやり方である。しかしながら前方重心がIxxを必要以上に低くしてし
まうことがある。一般的には慣性モーメント―厳密にはIxx―への有害効果無しに低C
G投影を実現する質量配分なら、有利な飛行条件及び中心外れの当たりへのより大きい寛
容性の両方を実現するうえで最も有益であるはずだ。重心投影の実効性を説明するのに助
けとなるパラメータは、CG(中心フェースからz軸に沿って測定した重心の垂直距離
)対CG(中心フェースから後方にy軸に沿って測定した重心の距離)の比である。C
/CG比がより大きい負になるほど、重心投影は典型的により低くなり、結果とし
て改善された飛行条件をもたらすはずである。
【0128】
よって、次のクラブヘッド実施形態は、中心外れ―具体的には中心より上―の打ち方を
した場合(より高いIxxを示唆)についてのゴルフクラブヘッドの寛容性を実質的に低
下させること無くCG/CGとしての大きい負の数(低いCG投影を示唆)の恩恵を
有するゴルフクラブヘッドを提供することを目指している。所望の結果を実現するために
、重りはIxx増加を実現するうえで最良の質量配列を推進するやり方でゴルフクラブに
配分されてもよく、但し質量はCG/CGとしての実質的に大きい負の数を推進する
ように設置される。
【0129】
図42によって描かれている様に、CG/CGは、CGがゴルフクラブヘッドのフ
ェース上にどれほど低く投影されるかの尺度を提供する。CG/CGは様々な数であ
ってよいが、図42のチャートは同じゴルフクラブヘッド幾何学形状で1つの質量を有す
る場合と分割質量を有する場合を表示している。単体質量については、ゴルフクラブヘッ
ド全体を通し単体質量を極めて前方寄りから極めて後方寄りまでで変えてゆき、変化する
MOIを実現させた。分割質量の場合、2つの質量をゴルフクラブヘッドの周辺に設置し
、質量の量を前に全質量から後ろに全質量までで変えていった。見て分かる様に、単体質
量曲線と分割質量曲線は両端で互いに近づいている。これは分割質量がよりバランス悪く
一端又は他端へ偏るにつれ、その配分が単体質量のそれに近づくからである。とはいえ、
分割質量の場合はより高いMOIをより低いCG/CG比で実現できることに注目す
ることが重要である。有効にも、これは比較的高いMOIを維持しながらにCG投影をゴ
ルフクラブヘッド中により低く動かせるようになることを意味する。この差の実効性は、
各ゴルフクラブヘッドの特定の幾何学形状及び利用される質量によって決まってくる。
【0130】
加えて、米国特許出願第13/839,727号は、CGy距離が判れば、ゴルフクラ
ブヘッド空間に関してCGの場所を書き表すのにCG実効性積の使用が可能になる、と論
じている。CG実効性積は、CGをゴルフクラブヘッドの低く前方に配置させることの実
効性の尺度である。CG実効性積(CGeff)は、次式、即ち、
【0131】
【数2】
【0132】
を用いて計算され、現実施形態では、距離の二乗(mm)の単位で測定されている。
【0133】
この式では、CGeffが小さいほど、クラブヘッドの質量を低く前方に位置換えする
実効性は高い。この尺度は、ゴルフクラブヘッド内のCG場所を、CGをフェース上へ投
影すること無しに、適確に書き表す。よって、異なったロフト、異なったフェース高さ、
及び異なった中心フェース場所、を有しているゴルフクラブヘッド同士の比較を可能にさ
せる。Δz及びZアップは入れ替え可能に使用することができるものと理解されたい。C
G実効性積は、クラブヘッドの体積に依存して変わってくる。一般的に、250ccより
下の様なより小さいクラブヘッド体積は、より小さいCG実効性積を有することになる。
より大きいクラブヘッド体積ならより大きいといったように同様である。ここに論じられ
ている実施形態で250ccより小さいクラブヘッド体積を有する実施形態について、C
は約12mmから約20mmの範囲及びΔzは約12mmから約18mmの範囲であ
ってもよい。そうすると250ccより小さいクラブヘッド体積を有する実施形態のCG
effは、約144mmから約360mmの範囲となる。より厳密には、200cc
より小さい体積を有するクラブヘッドについて、CGeffは約180mmから約30
0mmの範囲となろう。ここに論じられている実施形態で250ccより大きいクラブ
ヘッド体積を有する実施形態について、CGは約20mmから約32mmの範囲、及び
Δzは約20mmから約30mmの範囲であってもよい。そうすると250ccより小さ
いクラブヘッド体積を有する実施形態のCGeffは、約400mmから約960mm
の範囲となる。より厳密には、400ccより大きい体積を有するクラブヘッドについ
て、CGeffは、約690mmから約750mmの範囲となろう。
【0134】
(単数又は複数の)前後重りポートと一体での滑動式に位置換え可能な重り
図44Aを見て、ゴルフクラブヘッドの別の例であるゴルフクラブヘッド12000D
をこれより説明してゆく。ゴルフクラブヘッド12000Dは、ゴルフクラブヘッド12
000と類似の又は同一の多くの特徴を類のない独特なやり方で組み合わせて含んでいる
。而して、簡潔さを期し、ゴルフクラブヘッド12000Dの各特徴を冗長的に解説する
ことはしない。むしろゴルフクラブヘッド12000Dとゴルフクラブヘッド12000
の間の主要な相違を詳細に説明することにし、読み手には2つのゴルフクラブヘッド間の
実質的に類似の特徴については以上の論考を参照されたい。
【0135】
本体12002D(ひいてはクラブヘッド12000D全体)は、前部分12004、
後部分12006、トゥ部分12008、ヒール部分12010、ホーゼル12012、
クラウン、及びソール12016、を含んでいる。ゴルフクラブヘッド12000Dは、
先に論じられているチャネルと類似のチャネルを含んでおり、加えて、1つ又はそれ以上
の前方重りポート12074A及び1つ又はそれ以上の後方重りポート12074B(図
示せず)をソールに含んでいる。当該1つ又はそれ以上の重りポートは、1gから50g
の範囲の1つ又はそれ以上の重り12076を収容することができるようになっていても
よい。加えて、重りポート用の重り12076は、チャネル12020と共に使用される
重り組立体12040の一部を形成しているワッシャと両立可能及び入れ換え可能であっ
てもよい。追加的又は代替的に、重りポート用の重りは、チャネル12020と共に使用
される重り組立体12040と両立可能及び入れ換え可能であってもよい。
【0136】
図44Bを見ると、断面Aは、重りポート及び装着されたワッシャ12042Dの断面
図を示しており、当該断面は、円形、三角形、又は矩形、又は何らかの他の形状であって
もよい。示されている様に、ボルト12046はソール12016のねじの切られた穴部
12084へ留められ、それによりワッシャ12042を固定している。重りがクラブヘ
ッドから取り外されるときにボルトとワッシャを一体に引き留めるためにゴムワッシャ1
2088又はグロメットが使用されていてもよい。ボルト12046を締める間にゴムワ
ッシャ12088が圧縮されて予荷重損失の原因となってしまうのを防止するためにギャ
ップ12090が含まれていてもよい。ワッシャが円形であれば、ボルトとワッシャは1
つの統一部片へ一体化されていてもよく、別々である必要はない。
【0137】
ねじの切られた穴部12084は、貫通孔であっても盲孔であってもよい。穴部が貫通
孔であれば、クラウンか又はフェース板のどちらかをゴルフクラブヘッドへ取り付ける前
に、キャップ12086がソールの下側へ固着されてもよい。キャップ12086は、キ
ャップをソールへ糊付け、螺合、押圧、又は溶接することによって、又は類似の方法及び
組合せによって、固着することができる。貫通孔は、製造するのがより容易く、盲孔より
多少の費用節減をもたらすことができよう。穴部12084をキャップすることは、クラ
ブヘッドの中への水の侵入を回避するうえで及び/又は起こり得るUSGA規則違反を回
避するうえで望ましいであろう。
【0138】
クラウン、ソール、又はフェースの様な、ヘッドへ結着されている構成要素がある場合
には、完全溶接金属ヘッドとは対照的に、キャップを貫通孔の後ろ側へ適用するためのア
クセスを得るのがより容易い。
【0139】
例示されているクラブヘッドは、更に、シャフトをホーゼルへ連結するためのここに説
明されている調節可能なシャフト接続システムの様な調節できるシャフト接続システムを
備えることができ、その詳細はここでは繰り返されておらず分かり易くするために示され
ていない。
【0140】
重りポートは、使用者が、ゴルフクラブヘッドの全体としてのMOIを、及び相応して
ボールへ付与されるスピンを、増加させられるようにする。例えば、重い重り(例えば、
10-30グラム)をクラブの後部に設置し、軽い重量のワッシャ(例えば、1-5グラ
ム)をクラブの前部に使用することによって、MOIを増加させ、CGを後方に動かすと
、結果的に動的ロフティング効果に因ってスピンが増加することになる。重りをクラブの
後部へ動かせばゴルフボールのスピンが増すことになるが、スピンのかかりがより低いボ
ールを現出させるクラブよりも捩れに抵抗する高MOIクラブを好む使用者もいるであろ
う。加えて、図33に示されている低前方CGのゴルフクラブによって現出される低い棒
球のボール飛行よりも図32に示されているより従来的なボール飛行を好む使用者もいる
であろう。1つ又はそれ以上の重りポートをソールの後方部分に提供することは、使用者
に、より従来的なボール飛行を現出させるスピンの多い高MOIクラブか又はより棒球の
ボール飛行を現出させるスピンの少ないクラブかの間で選択するオプションを許容する。
【0141】
意外にもこの組合せはスピンを大幅に増加させること無しにより高いMOIを呈するク
ラブを現出させる。従来、高いMOIは、重りを全てクラブの後部へ動かすことによって
達成されてきた。しかしながら、これはMOIを増加させるのみならず不都合なことにバ
ックスピンも増加させる。スピンの増加はデルタ1の増加が原因であり、それはCGがフ
ェース上に投影される場所に因ってより大きいギヤ効果を生じさせる。慣例から逸れ、一
部の重りをクラブヘッドの前部に設置し、一部を後部に設置することによって、我々はよ
り高いMOIとより小さいデルタ1に因るより低いスピンの両方を有するドライバを実現
した。より小さいデルタ1とMOI増加は2つの重りがCGの互いに反対側に置かれてい
ることに因る。
【0142】
例えば、30グラムをクラブの後部に設置するのではなく、15グラムをクラブの後部
に置き、そして15グラムをクラブの前部に置くようにしてもよいし、使用者の選好に依
存して何か他の組合せにしてもよい。加えて、重りポートは、更に、振り重み調節を可能
にさせる。
【0143】
先の実施形態について、ゴルフクラブヘッド12000C及び12000Dは、追加的
又は代替的に、ホーゼル開口部12070を使用してシャフトをホーゼルヘ連結するため
の入れ換え可能な又は調節可能なシャフト取り付けシステムを含んでいる。
【0144】
調節可能なシャフト取り付けシステムを組み入れることは、プレイヤーがクラブヘッド
の静的ロフトをより高くか又はより低くのどちらかに調節できるようにする。追加的又は
代替的に、その様なシステムは、プレイヤーが選好及びスイングパラメータに依存してシ
ャフトを容易く入れ換えできるようにする。例えば、低前方CGを有するクラブヘッドを
叩く使用者は、概して、クラブヘッドのロフトを増加させてゴルフボールをより高く打ち
出し最適距離を実現したいと思っているはずである。しかしながら、CGを後方に動かし
てMOIが増加すれば、打ち出し角が動的ロフティングのせいでより高くなり、バックス
ピンが増加するであろう。この場合、使用者は、クラブのロフトを減少させて、有効ロフ
ト及びバックスピン量を小さくすることによって最適距離を実現したいと思うかもしれな
い。代わりに、最適距離に係らず特定のボール飛行を好む使用者もいる。調節可能なシャ
フトシステムを提供することは、様々な使用者の選好により大きな便宜を図る。
【0145】
(単数又は複数の)多方向の滑動式に位置換え可能な重り
図45A図45Cを見て、ゴルフクラブヘッドの別の例であるゴルフクラブヘッド1
2000Eをこれより説明してゆく。ゴルフクラブヘッド12000Eは、ゴルフクラブ
ヘッド12000と類似の又は同一の多くの特徴を類のない独特なやり方で組み合わせて
含んでいる。而して、簡潔さを期し、ゴルフクラブヘッド12000Eの各特徴を冗長的
に解説することはしない。むしろゴルフクラブヘッド12000Eとゴルフクラブヘッド
12000の間の主要な相違を詳細に説明することにし、読み手には2つのゴルフクラブ
ヘッド間の実質的に類似の特徴については以上の論考を参照されたい。
【0146】
本体12000E(ひいてはクラブヘッド12000E全体)は、前部分12004、
後部分12006、トゥ部分12008、ヒール部分12010、ホーゼル12012、
クラウン、及びソール12016、を含んでいる。ゴルフクラブヘッド12000Eは、
先に論じられているチャネルと類似の後方トラック12020Eを含んでおり、但し、こ
のチャネルはフェースから離れて後方に延びている。示されている実施形態では、2つの
チャネルは合流してT字形状のチャネルを成している。後方トラックは、重り組立体12
040Eをチャネル12020Eに沿って後方に滑動させることによるクラブヘッドのM
OIの調節を可能にさせる。2つのチャネルを有することはMOIの調節及びショット形
状の調節を可能にさせる。重り組立体12040と重り組立体12040Eは入れ換え可
能であってもよい。追加的又は代替的に、重り組立体は、前方チャネル12020(ヒー
ル/トゥ)に使用されていてもよいし、又は後方トラック12020Eに使用されていて
もよい。
【0147】
ソールの湾曲に因り、後方チャネル12020Eも同様に僅かに曲線状であってもよい
図45Cは、前方及び後方のトラック幾何学形状並びに重り組立体の2つの断面図を示
している。断面Bは前方チャネル12020を通って取られており、断面Aは後方チャネ
ル12020Eを通って取られている。断面Bは、先の図に論じられ示されているものと
同じ幾何学形状である。また一方、断面Aに示されている様に、ワッシャ12042及び
質量部材12044はソールの湾曲に適合するように僅かな湾曲を有している。換言する
と、ワッシャ及び質量部材は、一方向には比較的平坦であり、もう一方の方向には多少の
湾曲を有している。これは、重り組立体12040及び重り組立体12040Eが前方ト
ラックと後方トラックの間で滑動できるようにし、入れ換え可能となるようにしている。
加えて、代わりのチャネル幾何学形状、例えば曲線状のチャネルなど、に適合するように
ワッシャ及び質量部材の湾曲が修正されてもよい。
【0148】
機能上、当該2つの重り組立体は以上に論じられているのと同じやり方で効力を発揮す
る。図129Cの断面Aに示されている様に、ボルト12046を締めてゆくと重り組立
体がヒール側チャネル棚部12078及びトゥ側チャネル棚部12080上へ締め付けら
れる。加えて、重り組立体12040Eは、インパクト時に受ける高いG力に逆らって重
り組立体をなおいっそう確実に固定するために以上に論じられているものに類似のロック
用突起を含んでいてもよい。
【0149】
前方チャネルと同様に、後方トラック12020Eは、多少の湾曲を有していてもよく
、直線状である必要はない。幾つかの実施形態では、後方チャネル12020Eは、前方
チャネル12020に対して角度を付けられていてもよい。例えば、チャネル全体は、後
方トラックの角度に因ってT字形状というよりむしろ(数字の)7の形状に似ていてもよ
い。
【0150】
例示されているクラブヘッドは、更に、シャフトをホーゼルへ連結するためのここに説
明されている調節可能なシャフト接続システムの様な調節できるシャフト接続システムを
備えることができ、その詳細はここでは繰り返されておらず分かり易くするために示され
ていない。
【0151】
後方トラックは、重りが中心フェースの後方125mmに及んで移動できるようにして
いてもよい。第2の重りは、先にヒールチャネル及びトゥチャネル12020に関して論
じられているのと同じやり方で挿入されるようになっていてもよい。追加的又は代替的に
、後方トラックは、挿入キャビティを含んでいるか又は後方端に開口していて、重りをチ
ャネル12020E内の所定位置へ滑り込ませられるようにしていてもよい。追加的又は
代替的に、どちらの重り組立体もこの開口部で装着されるようになっていてもよい。
【0152】
図46に目を向けると、ゴルフクラブヘッド12000Fは、先に論じられているチャ
ネルと類似の後方トラック12020Fを含んでいるが、このチャネルは前方チャネルと
合流していない。これは、重り組立体12040Fをチャネル12020Fに沿って後方
に滑動させることによるクラブヘッドのMOIの調節を可能にさせる。前方チャネル及び
後方チャネルを有することはMOIの調節及びショット形状の調節を可能にさせる。重り
組立体12040と重り組立体12040Fは入れ換え可能であってもよい。追加的又は
代替的に、重り組立体は、前方チャネル12020(ヒール/トゥ)に使用されていても
よいし、又は後方トラック12020Fに使用されていてもよい。
【0153】
フェアウェイ用の(単数又は複数の)滑動式に位置換え可能な重り
図47に目を向けて、ゴルフクラブヘッドの別の例であるゴルフクラブヘッド1300
0をこれより説明してゆく。ゴルフクラブヘッド13000とゴルフクラブヘッド120
00A-12000Fの間の最も顕著な相違は体積である。ゴルフクラブヘッド1300
0は、110cmから250cmの体積範囲を有しているのに対し、ゴルフクラブヘ
ッド12000A-12000Fは250cmから500cmの体積範囲を有してい
る。
【0154】
ゴルフクラブヘッド13000Aは、中空本体13002A、チャネル13020、及
び滑動式重り組立体13040を含め、先の実施形態の構造及び特徴の幾つかを含んでい
る。本体13002A(ひいてはクラブヘッド13000全体)は、前部分13004、
後部分13006、トゥ部分13008、ヒール部分13010、ホーゼル13012、
クラウン13014、及びソール13016、を含んでいる。前部分13004は、ここ
に説明されている様に、可変厚さ、複合材、及び/又は金属のフェース板であってもよい
とされるフェース板13018を受け入れる開口部を形成している。
【0155】
複数の重り組立体
図48図49に目を向けると、前チャネル及び/又は後チャネルに装着された複数の
重り組立体を有するゴルフクラブヘッドの様々な構成が示されている。ゴルフクラブヘッ
ド15000は、ゴルフクラブヘッド12000と類似の又は同一の多くの特徴を類のな
い独特なやり方で組み合わせて含んでいる。而して、簡潔さを期し、ゴルフクラブヘッド
15000の各特徴を冗長的に解説することはしない。むしろゴルフクラブヘッド150
00とゴルフクラブヘッド12000の間の重要な相違を詳細に説明することにし、読み
手には2つのゴルフクラブヘッド間の実質的に類似の特徴については以上の論考を参照さ
れたい。
【0156】
ゴルフクラブヘッド15000は、中空本体15002A、チャネル15020、及び
滑動式重り組立体15040を含んでいる。本体15002A(ひいてはクラブヘッド1
5000全体)は、前部分15004、後部分15006、トゥ部分15008、ヒール
部分15010、ホーゼル15012、クラウン15014、及びソール15016、を
含んでいる。前部分15004は、ここに説明されている様に、可変厚さ、複合材、及び
/又は金属のフェース板であってもよいとされるフェース板15018を受け入れる開口
部を形成している。
【0157】
例示されているクラブヘッド15000は、更に、シャフトをホーゼル15012へホ
ーゼル開口部15070を介して連結するための調節可能なシャフト接続システム150
94を備えていてもよい。調節可能なシャフト接続システムは、更に、ゴルフクラブヘッ
ド15002Aのロフト及びライを調節するのに使用されてもよい。加えて、クラブヘッ
ド15000は、更に、調節可能なソール部片をソールポートに含んでいてもよい。これ
らの特徴は、参考文献として援用されている特許の中に詳細に記載されている。
【0158】
上記の実施形態と同様に、ゴルフクラブヘッド15000は、概してヒール部分150
10寄りに配置されているヒール端15022からトゥ部分15008寄りに配置されて
いるトゥ端15024へ延びている細長いチャネル15020をソール15016に含ん
でいる。チャネル15020内には前棚部15030と後棚部15032が配置されてい
て、チャネル15020内の前棚部15030及び後棚部15032上に1つ又はそれ以
上の重り組立体15040が保定されていてもよい。重り組立体15040は、既にここ
に説明されているものと同様の様式でチャネル15020の中へ装着されるようになって
いてもよい。示されている実施形態では、チャネル15020は、以上に論じられている
ヘッド対シャフト接続組立体の一部を形成しているホーゼル開口部15070と併合され
ている。
【0159】
この説明全体を通して論じられている実施形態の各々では、複数の重り組立体が前方チ
ャネル及び/又は後方トラックに使用されていてもよい。例えば、ゴルフクラブヘッド1
2000及びゴルフクラブヘッド13000は、複数の重り組立体を前方トラック及び/
又は後方トラックに含むことができる。
【0160】
1つより多い重り組立体を使用することは、クラブヘッドの全体としての調節性を高め
る。例えば、ゴルフクラブヘッドCGを更に低くするために、振り重みを調節するために
、スピンを調節するために、及び/又はゴルフクラブヘッドの慣性を調節するために、追
加の重り組立体を使用することができる。
【0161】
図136に示されている様に、ゴルフクラブヘッド15002Aは第2の重り組立体を
前方チャネルに含み、追加の調節性を提供している。例えば、使用者は、第1の重り組立
体を極ヒール位置に、第2の重り組立体を極トゥ位置に位置決めし、それによってゴルフ
クラブヘッドのy軸周り慣性モーメント(Iyy)及びz軸周り慣性モーメント(Izz
)を増加させることができる。この構成は、一部の人がより「寛容性のある」ゴルフクラ
ブヘッドと考えるものを、主にz軸周りの慣性増加に因って現出させることができる。代
わりに、使用者は、両方の重りを中央位置に位置決めすることもでき、そうすればゴルフ
クラブヘッドのCGが下がり、結果的としてゴルフボールのスピンが軽減されることにな
る。
【0162】
2つの重り組立体が示されているが、チャネルは、追加の重り組立体、例えば、3つ又
はそれ以上、4つ又はそれ以上、5つ又はそれ以上、6つ又はそれ以上、及び/又は7つ
又はそれ以上、など、の重り組立体を保持していてもよい。複数の重り組立体は、より低
いCGを有するより重いゴルフクラブヘッドを現出させる。代わりに、一部の使用者がよ
り軽いゴルフクラブヘッドを好む場合もあり、その場合には重り組立体をチャネルから完
全に取り除き、チャネルを空にしておくことができる。
【0163】
図48Bは、ゴルフクラブヘッド15002Aの上面図即ちクラウン図を示している。
断面136C-断面136Eは、ゴルフクラブヘッド15002Aの様々な特徴を実地説
明するために取られている。図48Cは、複数の重り組立体15040、調節可能なシャ
フト接続システム15094、リブ15080、及び重り装着キャビティ、を示している
図48Dは装着された重り組立体及びリブを示している。図48Eはチャネル棚部に装
着されたワッシャ15042を示している。示されている様に、ワッシャは、チャネル棚
部側の突出部及び/又は窪みのどちらかに対応する突出部及び/又は窪みのどちらかを含
んでいてもよい。これらの特徴は、重り組立体をチャネル内により適切に位置決めするの
を手助けする。図48Eに示されている様に、ワッシャ側のノッチは棚部側の複数の突出
部の間に納まる。また一方、他の配置では、ワッシャ側の窪みが棚部の突起部/窪みに係
合するようになっていてもよい。
【0164】
図49を見ると、複数の重り組立体が以上に論じられている実施形態と共にどの様に使
用されるかの別の例が示されている。この構成は、使用者が、より多くの重りをクラブの
後部に位置決めできるようにしており、それによりゴルフクラブヘッドのx軸方向及びz
軸方向のMOIを増加させることができる。加えて、これはスピンを増加させる場合もあ
り、その方が一部の使用者にとってはスピンのかかりがより低いクラブから現出される棒
球のボール飛行よりも好ましいボール飛行である場合もある。
【0165】
追加の重り組立体は、重量が1gから50gの範囲であってもよい。各重り組立体は、
その重量を指示する表示を含んでいてもよい。例えば、重り組立体は、重量を指示すのに
文字、数字、模様で印を付けられていてもよいし、色分けされていてもよいし、又はそれ
らの何れの組合せであってもよい。ワッシャ及び/又は質量部材はそれぞれ重量識別表示
を含んでいてもよい。
【0166】
I.調節可能なフェース角
幾つかの実施形態では、フェース角とホーゼル/シャフトロフトの間の関係を「切り離
す」、即ち、ゴルフクラブのスクエアロフとフェース角の別々の調節を可能にさせるため
の調節可能な機構がソール上に提供されている。例えば、ゴルフクラブヘッドの幾つかの
実施形態は、クラブヘッドの後端を地面に対して上げ下げするようにクラブヘッド本体に
対して調節できる調節可能なソール部分を含んでいる。調節可能なソール部分に関する更
なる詳細は、米国特許出願公開第2011/0312347号に提供されており、当該出
願公開をここに参考文献として援用する。
【0167】
加えて、2012年11月27日に「ゴルフクラブ」という名称で出願され、ここに参
考文献としてそっくりそのまま援用されているの米国特許出願第13/686,677号
に詳細に記載されている様に、回転式に調節可能なソール部片(ASP)が、実施形態の
幾つかに含まれていてもよく、フェース角を調節するのに有益であろう。
【0168】
回転式に調節可能なソール部片は、ソール部片を通って延びる中心に位置する軸に関し
て複数の回転位置の1つの位置でソールへ固定されるようになっていてもよい。ソール部
片は、回転位置のそれぞれの位置で、ソールから異なった軸方向距離を延びている。ソー
ル部片を回転位置の異なった1つの位置に調節すると、ゴルフクラブヘッドがアドレス位
置にあるときのゴルフクラブヘッドのフェース角がゴルクラブヘッドのロフト角とは独立
に変化する。これらの実施形態の幾つかでは、解放可能なロック機構が、ソール部片をソ
ール上で回転位置の選択された1つの位置にロックするように構成されている。ロック機
構は、ソール部片を通ってクラブヘッド本体のソールのねじの切られた開口部の中へ延び
るように適合されているねじを含んでいてもよい。これらの実施形態の幾つかでは、ソー
ル部片は、ソール部片が各回転位置にあるとき底面がソールの先導側接触面のヒール-ト
ゥ湾曲に実質的に一致するヒール-トゥ湾曲を有するような凸状底面を有している。
【0169】
ゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態は、ソール部片を貫いて延びる中心軸に対して
3つ又はそれ以上の回転位置でソールへ固定されるように構成されている回転式に調節可
能なソール部片を備えており、当該ソール部片は、回転位置の各位置でソールから異なっ
た軸方向距離を延びている。調節可能なソール部片は、概して、三角形、方形、五角形、
円形、又は何か他の形状とすることができ、3つ又はそれ以上の別々の選択可能な位置で
ソールへ固定させることができる。調節可能なソール部片は、ソール部片の中心軸に対し
て互いに実質的に対称である3つ又はそれ以上の壁部分を含んでいる環状側壁を含むこと
ができる。幾つかの実施形態では、ソール部片の回転位置を調節すれば、ゴルフクラブヘ
ッドがアドレス位置にあるときのゴルフクラブヘッドのフェース角がゴルフクラブヘッド
のロフト角とは独立に変化する。
【0170】
ゴルフクラブヘッドは、更に、ゴルフクラブヘッドのソールに陥凹ソールポートを含ん
でいてもよい。回転式に調節可能なソール部片は、少なくとも部分的にソールポート内に
受け入れられるようになっていてもよい。ソール部片は、ソールポートに接触するように
なっている複数の面を有する中央本体を備えていて、当該面は中央本体を貫いて延びる中
心軸に沿って互いからオフセットされていてもよい。ソール部片は、少なくとも部分的に
ソールポート内で中心軸に関して3つ又はそれ以上の回転位置及び軸方向位置に位置決め
することができる。各々の回転位置で、中央本体の複数の面の少なくとも1つがソールポ
ートと接触してソール部片の軸方向位置を設定する。ソールポート及びソール部片は、そ
れぞれ、ゴルフクラブヘッドの底から見て概して三角形、四角形、五角形、円形、又は他
の何かの形状であってもよい。
【0171】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブ本体は、更に、ソール部片を通って延びる軸に関
して3つ又はそれ以上、4つ又はそれ以上、5つ又はそれ以上、6つ又はそれ以上、及び
/又は7つ又はそれ以上の異なった別々の回転及び軸方向位置でクラブヘッドのソールへ
固定することのできる調節可能なソール部片を備えていてもよく、ここにクラブヘッドの
フェース角はソール部片の各位置で異なる。幾つかの実施形態では、ソール部片は、ソー
ル部片がソールへ固定されるときにソール部片が回転するのを防止するようにクラブヘッ
ドのソール上の対応するリッジと係合するように構成されている複数のノッチを含む外壁
を備えている。幾つかの実施形態では、ソール部片を異なった別々の回転及び軸方向位置
の間で調節することは、クラブヘッドのスクエアロフト角に実質的な変化を引き起こさな
い。幾つかの実施形態では、ソール部片を異なった別々の回転及び軸方向位置の間で調節
することは、クラブヘッドのフェース角を少なくとも8°の範囲に亘って調節できるよう
にする。幾つかの実施形態では、ソール部片は、ソール部片が各回転位置にあるとき底面
がソールの先導側表面部分のヒール-トゥ湾曲に実質的に一致するヒール-トゥ湾曲を有
するような凸状底面を有している。幾つかの実施形態では、ソール部片は、複数の壁部分
を中心軸周りに角アレイ状に備えている略円柱形段状壁を備えており、壁部分は、少なく
とも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、及び/又は少なくとも7
つの上面トリオを備えており、各上面トリオは、ソール部片をソールに対して異なった軸
方向位置に設定するべく本体のソールポートと噛み合うように構成されている。
【0172】
幾つかの実施形態では、調節可能なソール部片(ASP)は、重りへ組み入れられてい
てもよく、可動式重りへ組み入れることも実施可能であろう。例えば、図50に示されて
いる様に、ゴルフクラブヘッド15002Bは、後方重りポート15100、及び装着さ
れたASP15104を有する前方重りポート15102を含んでいる。示されている様
に、露出している後方重りポート内には隆起したプラットホーム15106があり、それ
は幾何学的には重りポートに中心合わせされている。プラットホーム15106は、中心
柱15108と、中心柱の互いに反対の側面から延びているASPに係合するように設計
された2つ又はそれ以上の張り出した突出部又は突起又は耳部15110と、を含んでい
てもよい。示されている様に、プラットホームは、3つの突出部を含んでいるが、それよ
り多い又はそれより少ない突出部がASPに係合するのに使用されていてもよい。
【0173】
同様に、前方重りポート15102は、更に、ASPに係合するための類似のプラット
ホームを含み、ASPが前方重りポートと後方重りポートの間で入れ換え可能となるよう
にしていてもよい。更に図50に示されている様に、重り組立体15040、調節可能な
ソール部片15102、及び調節可能なホーゼルねじ15096は、どれも、例えば、ね
じ回し、トルクスレンチ、又はアラン(allan)レンチの様な単一工具に係合されるよう
になっているローブを有するソケットを含んでいてもよい。
【0174】
重りポートは、概して、ゴルフクラブヘッドクラウン、ゴルフクラブヘッドスカート、
ゴルフクラブヘッドソール、又はそれらの任意の組合せへ連結されている構造であって、
ゴルフクラブヘッド上、クラブヘッド周り、又はクラブヘッド内に、陥凹、キャビティ、
又は穴を画定している構造と言い表すことができる。重りポート底部は、重り15102
の取り付けのためのねじの切られた開口部15112を画定している。ねじの切られた開
口部15112は、重り組立体のねじの切られた本体15102を受け入れ固定するよう
に構成されている。ねじの切られた本体はM2-M10の範囲であってもよく、好適な実
施形態はM5×0.8のねじ部を有している。ねじの切られた開口部は、更に、重りポー
トに対して内向又は外向のどちらかに延びているボスによって画定されていてもよい。好
適には、ボスは、ねじ本体の長さの少なくとも半分の長さを有しており、より好適には、
ボスはねじ本体の直径の1.5倍の長さを有している。代わりに、ねじの切られた開口部
は、ボス無しに形成されていてもよい。
【0175】
以上に言及されている諸出願に更に詳細に論じられている様に、ASPを回転させると
、ASPの異なった部分が突出部に係合するように仕向けられ、それによりASPはソー
ルから異なった軸方向距離を延びるように仕向けられる。各軸方向距離はフェース角の変
化に対応している。1つの実施形態では、ASPは突出部に係合し軸方向距離調節を可能
にさせる様々な高さの複数の段を含んでいる。
【0176】
具体的には示されていないが、前方重りポートは、更に、ASPに係合するように設計
されている突出部を含んでいてもよい。これは組合せ型ASP及び可動式重りを可能にさ
せる。前方位置では、使用者は、フェース角を改変し、前方重りに因るスピンの低いドラ
イバを実現することができる。追加的又は代替的に、使用者は、ASPと重りの組合せを
後方ポートへ動かし、それによりMOIを増加させ、スピンを増加させ、同じフェース角
調節性を維持することもできる。注目すべきことに、フェース調節は、ロフト調節及び/
又はライ調節と独立に成すことができる。
【0177】
幾つかの実施形態では、前方重りポート及び後方重りポートはどちらもASPに係合す
るように設計されていてもよく、前方ASP及び後方ASPは協働してフェース角を調節
するようになっていてもよい。他の実施形態では、フェース角は、前方重りポートか又は
後方重りポートのどちらかに配置されている単一のASPによって調節されるようになっ
ていてもよい。例えば、1グラムの様な軽い重りを使用して、前方重りポートか又は後方
重りポートのどちらか使用されていない方を覆うようにしてもよい。
【0178】
ASPに係合するものとして重りポート内の複数の突出部が示されているが、多くの他
の設計であってもフェース角を改変するはずである。例えば、楔又は台形の形状が代わり
に使用されていてもよい。楔を軸周りに回転させると、地面と接触している楔の変化する
距離に因りフェース角に変化が引き起こされるようになっていてもよい。
【0179】
ASPは、大きさと重量に範囲を有していよう。ASPは、重量が1gから50gまで
の範囲であってもよい。各組合せ型重り及びASPは、その重量を指示する表示、例えば
文字、数字、模様などを含んでいてもよいし、重量を指示するように色分けされていても
よいし、又はそれらの何れかの組合せであってもよい。追加的又は代替的に、各組合せ型
重り及びASPは、「ニュートラル」、「オープン」、及び「クローズド」の様な、フェ
ース角に対する調節を指示する表示を含んでいてもよい。
【0180】
ASPは、オープン位置とクローズド位置の間の調節範囲を可能にさせ、使用者がフェ
ースを開かせる又は閉じさせる量を変えられるようにする。ASPは、ゴルフクラブヘッ
ドのフェース角を約0.5乃至約12度変化させることができる。例えば、使用者は、フ
ェース角をニュートラルから2°オープン又は4°オープンへ調節することができる。
【0181】
重りトラック15020の滑動式重り15040と組み合わされた複数の重りポート及
びASPは、追加の調節性を提供する。示されている重り組立体は、窓を含んでおり、窓
は様々な表示を滑動式重りトラックに沿って際立たせるのに使用することができる。表示
は様々なドローバイアス度又はフェードバイアス度を指示していてもよい。ゴルフクラブ
ヘッドは、更に、調節可能なホーゼル15094及び調節可能なホーゼルを固定するため
のねじ15096を含んでいる。調節可能なホーゼルは、更に、FCTホーゼルと呼称さ
れることもあり、FCTとは飛行制御技術(Flight Control Techn
ology)を表す。飛行制御技術は、ロフト角、ライ角、及び/又はフェース角の調節
を可能にさせる。調節可能なホーゼルは、使用者がゴルフクラブヘッドのロフト及び/又
はライを調節できるようにしている。
【0182】
図51及び図52を見ると、図50に示されているゴルフクラブヘッド15002B実
施形態と殆どの点で類似している別の実施形態のゴルフクラブヘッド15002Cが示さ
れている。有意な違いは、ゴルフクラブヘッド15002Cが後部ウィングレット151
60を含んでいることである。後部ウィングレット15160は、ソールの湾曲から逸れ
、CGを低くするプラットホームを提供している。当該プラットホームは、単に追加のソ
ールであってもよいし、重り又は組合せ型ASP及び重りのどちらかを受容するように設
計されていてもよい。図52から最もよく分かる様に、後部ウィングレット15160は
、ソールから逸れ、CGを更に低くするためのプラットホームを提供している。
【0183】
後部ウィングレット15160から作成されている延長ソールは、MOIを最大化する
のを手助けし、特にそれが追加の重り又はASP重りを保持している場合はそうである。
加えて、後部ウィングレットはソールから逸れているので、そこに追加の重りが設置され
たとしてもフェース上へのCG投影には最小限の影響力しかないはずである。加えて、ウ
ィングレットがそこなら、ソール全体をより低くした場合よりもクラブの空気力学に対す
る乱れは少ない。また、ソール全体をより低くしたなら、ヘッドの全体としての体積が増
加してしまい、現USGA体積制限とぶつかるかもしれない。
【0184】
複合材料
メタルウッドクラブヘッドの構造的質量を削減することへの幾つかの現在の手法は、ク
ラブヘッドの少なくとも一部分を代わりの材料で作ることに向けられている。現在の殆ど
のメタルウッドの本体及びフェース板はチタン合金で作られているのに対し、少なくとも
部分的に、グラファイト/エポキシどちらかの複合材(又は他の適した複合材料)と合金
から形成された構成要素で作られている幾つかのクラブヘッドが入手可能である。グラフ
ァイト複合材は、約4.5g/cmの密度を有しているチタン合金に比較して、約1.
5g/cmの密度を有しており、このことは、クラブヘッド中により多い裁量的質量を
提供することへの期待をかきたてる展望を提供する。例えば、クラウン、ソール、及び/
又はフェース板を複合材料で作ることによって相当な質量節減分を持てるようになる。
【0185】
メタルウッドクラブヘッド構成要素を作るのに有用である複合材料は、繊維部分と樹脂
部分を含んでいる場合が多い。一般的に、樹脂部分が「マトリクス」の働きをし、その中
に繊維が定義されたやり方で埋め込まれている。クラブヘッドのための複合材では、繊維
部分は樹脂成分を含浸させる複数の繊維質層又はプライとして構成されていてもよい。
【0186】
例えば、その様なクラブヘッドの1つの群では、本体の一部分は炭素繊維(グラファイ
ト)/エポキシ複合材で作られており、チタン合金が主フェース板材料として使用されて
いる。他のクラブヘッドは、全体を1つ又はそれ以上の複合材料で作られている。フェー
ス板の構築により軽量の複合材料を利用できるということは、更に、幾つかの有意な重量
及び他の性能に関する利点をもたらすことができる。
【0187】
ポリマー材料を設計の一体的成分として含んでいるゴルフクラブヘッド構築は、どちら
かというとこれまで殆どなかった。その様な材料は有意な重量節減分を提供するうえでの
必要条件である軽い重量を持ってはいても、これらの材料をゴルフボールの高速インパク
トから引き起こされる応力に曝されるクラブヘッド区域に利用するのは難しい場合が多い
【0188】
クラウンを構築するのに使用されるポリマー材料は何れも、広い温度範囲に亘って高い
強度及び剛性を呈すると共に十分な疲労挙動及び摩耗挙動を呈し、応力割れへの耐久性が
なくてはならない。その様な性質は、
a)引張強度:約50kspiから約1,000kpsi、好適には約150MPaか
ら約500MPa、より好適には約200Mpaから約400MPa(ASTM D63
8、又はISO527により測定)、
b)引張弾性率:約2GPaから約100GPa、好適には約10GPaから約80G
Pa、より好適には約10GPaから70GPa(ASTM D638、又はISO52
7により測定)、
c)曲げ強さ:約50MPaから約1,000MPa、より好適には約100MPaか
ら約750MPa、なおいっそう好適には約150MPaから約500MPa(ASTM
D790又はISO178によって測定)、
d)曲げ弾性率:約2GPaから約50GPa、より好適には約5Gpaから約40G
pa、更により好適には約7Gpaから約30GPa(ASTM D790又はISO1
78により測定)、
e)引張伸び率:ASTM D638又はISO527により測定して、約1%より大
きい、好適には約1.5%より大きい、なおいっそう好適には約3%より大きい、
を含んでいる。
【0189】
例示としてのポリマーには、限定するわけではないが、合成及び天然ゴム類、熱硬化性
ポリウレタン又は熱硬化性ポリウレアの様な熱硬化性ポリマー並びに熱可塑性ポリウレタ
ンや熱可塑性ポリウレアの様な熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性ポリマー、メタロセ
ン触媒ポリマー、ユニモーダルエチレン/カルボン酸コポリマー、ユニモーダルエチレン
/カルボン酸/カルボン酸塩ターポリマー、バイモーダルエチレン/カルボン酸コポリマ
ー、バイモーダルエチレン/カルボン酸/カルボン酸塩ターポリマー、ポリアミド(PA
)、ポリケトン(PK)、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポ
リオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン[例えば、塩素化ポリエチレン(CPE)]、
ハロゲン化ポリアルキレン化合物、ポリアルケナマ、ポリフェニレンオキシド、ポリフェ
ニレンスルフィド、ジアリルフタレートポリマー、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリア
ミド‐アイオノマー、ポリウレタンアイオノマー、ポリビニルアルコール、ポリアリレー
ト、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性改良ポリフェニレンエーテル
、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンコポ
リマー、スチレン‐アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル‐スチレン‐アクリ
ロニトリル、スチレン‐無水マレイン酸(S/MA)ポリマー、スチレン‐ブタジエン‐
スチレン(SBS)及びスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレン(SEBS)及びスチ
レン‐エチレン‐プロピレン‐スチレン(SEPS)を含むスチレンブロックコポリマー
、スチレン系ターポリマー、水酸化官能化スチレン系コポリマー及びターポリマーを含む
官能化スチレン系ブロックコポリマー、セルロース系ポリマー、液晶ポリマー(LCP)
、エチレン‐プロピレン‐ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン‐ビニルアセテー
トコポリマー(EVA)、エチレン‐プロピレンコポリマー、ポロピレンエラストマー(
内容全体がここに参考文献として援用されているKimらへの米国特許第6,525,1
57号に記載のものなど)、エチレンビニルアセテート、ポリウレア、及びポリシロキサ
ン、及びそれらのありとあらゆる組合せ、を含めることができる。
【0190】
これらのうち、最も好適なのは、ポリアミド(PA)、ポリフタルイミド(PPA)、
ポリケトン(PK)、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート
、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリフ
ェニレンオキシド、ジアリルフタレートポリマー、ポリアリレート、ポリアクリレート、
ポリフェニレンエーテル、及び耐衝撃性改良ポリフェニレンエーテル、及びそれらのあり
とあらゆる組合せである。
【0191】
幾つかの実施形態では、クラウンは、複数プライ又は複数層の繊維質材料(例えば、グ
ラファイト、又は乱層又はグラファイト状炭素繊維又はグラファイト状部分と乱層部分の
両方が存在するハイブリッド構造を含む炭素繊維)を含む複合材で作られている炭素複合
材の様な複合材料から形成されていてもよい。メタルウッドゴルフクラブに使用するため
のこれらの複合材料の幾つかの例及びその製作手順は、米国特許出願第10/442,3
48号(現在米国特許第7,267,620号)、同第10/831,496号(現在米
国特許第7,140,974号)、同第11/642,310号、同第11/825,1
38号、同第11/998,436号、同第11/895,195号、同第11/823
,638号、同第12/004,386号、同第12/004,387号、同第11/9
60,609号、同第11/960,610号、及び同第12/156,947号に記載
されており、それら出願をここに参考文献として援用する。複合材料は、少なくとも、米
国特許出願第11/825,138号に記載されている方法に従って製造されていてもよ
く、同出願の内容全体をここに参考文献として援用する。
【0192】
代わりに、クラウンは、先に言及されているポリマーの短繊維又は長繊維強化配合物か
ら形成されていてもよい。例示としての配合物には、RTP社からRTP285という商
標名で市販されている30%炭素繊維充填型のナイロン6/6ポリアミド配合物が挙げら
れる。当該材料は、ASTM D638による測定で35000psi(241MPa)
の引張強度、ASTM D638による測定で2.0-3.0%の引張伸び率、ASTM
D638による測定で3.30×10psi(22754MPa)の引張弾性率、A
STM D790による測定で50000psi(345MPa)の曲げ強度、及びAS
TM D790による測定で2.60×10psi(17927MPa)の曲げ弾性率
、を有している。
【0193】
更に、RTP社からRTP4087UPという商標名で市販されている40%炭素繊維
充填型のポリフタルアミド(PPA)配合物が挙げられる。この材料は、ISO527に
よる測定で360MPaの引張強度、ISO527による測定で1.4%の引張伸び率、
ISO527による測定で41500MPaの引張弾性率、ISO178による測定で5
80MPaの曲げ強度、及びISO178による測定で34500MPaの曲げ弾性率、
を有している。
【0194】
更に、RTP社からRTP1385UPという商標名で市販されている30%炭素繊維
充填型のポリフェニレンスルフィド(PPS)配合物が挙げられる。この材料は、ISO
527による測定で255MPaの引張強度、ISO527による測定で1.3%の引張
伸び率、ISO527による測定で28500MPaの引張弾性率、ISO178による
測定で385MPaの曲げ強度、及びISO178による測定で23,000MPaの曲
げ弾性率、を有している。
【0195】
他の実施形態では、クラウンは、射出成形されている内層と熱可塑性複合積層物を備え
る外層と、を備えている二層構造として形成されている。射出成形の内層は、熱可塑性ポ
リマーから調製されていてもよく、好適な材料には、ポリアミド(PA)又は熱可塑性ウ
レタン(TPU)又はポリフェニレンスルフィド(PPS)が含まれる。典型的には、外
層を調製するのに使用される熱可塑性複合積層物構造は、連続繊維強化熱可塑性樹脂であ
る。連続繊維は、ガラス繊維(ロービングガラス及びフィラメントガラスの両方)並びに
アラミド繊維及び炭素繊維を含む。これらの繊維へ含浸されて積層物材料を作る熱可塑性
樹脂には、ポリアミド(限定するわけではないが、PA、PA6、PA12、及びPA6
を含む)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタン又はポリウレア(TPU)、
及びポリフェニレンスルフィド(PPS)、が含まれる。
【0196】
積層物は、熱可塑性マトリクスポリマーと個々の繊維構造層を高圧下に一体に融合させ
て単一の固結積層物にする連続プロセスで形成することができ、最終積層物を形成するよ
うに融合させる層の数と最終積層物の厚さは共に変えられてもよい。典型的には、積層物
シートは、二重ベルト積層プレスで固結され、その結果、2パーセント未満の空隙含有率
及び35パーセントから55パーセントの間のどこかの範囲の繊維体積を有する、薄くて
0.5mm程度乃至厚くて6.0mm程度の厚さの生成物となり、20層にも及ぶ層を含
んでいよう。その様な積層物構造の構造及び調製の方法についての更なる情報は、Bon
d Laminates GMBHへの2009年2月25日発行の欧州特許第EP19
23420B1号に開示されており、同特許の内容全体を参考文献としてここに援用する
【0197】
外層の複合積層物構造は、更に、Bond Laminates社から市販されている
TEPEX(登録商標)系の樹脂積層物から形成されていてもよく、その好適な例は、T
EPEX(登録商標)dynalite201、即ち、強化用炭素繊維を有するPA66
ポリアミド配合物であり、当該配合物は、1.4g/cmの密度、45vol%の繊維
含有量、ASTM D638による測定で785MPaの引張強度、ASTM D638
による測定で53GPaの引張弾性率、ASTM D790による測定で760MPaの
曲げ強度、及びASTM D790による測定で45GPaの曲げ弾性率、を有している
【0198】
別の好適な例は、TEPEX(登録商標)dynalite208、即ち、強化用炭素
繊維を有する熱可塑性ポリウレタン(TPU)ベースの配合物であり、当該配合物は、1
.5g/cmの密度、45vol%の繊維含有量、ASTM D638による測定で7
10MPaの引張強度、ASTM D638による測定で48GPaの引張弾性率、AS
TM D790による測定で745MPaの曲げ強度、及びASTM D790による測
定で41GPaの曲げ弾性率、を有している。
【0199】
別の好適な例は、TEPEX(登録商標)dynalite207、即ち、強化用炭素
繊維を有するポリウレタンスルフィド(PPS)ベースの配合物であり、当該配合物は、
1.6g/cmの密度、45vol%の繊維含有量、ASTM D638による測定で
710MPaの引張強度、ASTM D638による測定で55GPaの引張弾性率、A
STM D790による測定で650MPaの曲げ強度、及びASTM D790による
測定で40GPaの曲げ弾性率、を有している。
【0200】
多層型複合クラウンを形成するやり方には様々なやり方がある。幾つかの実施形態では
、外層は、射出成形の内層の形成とは分離して個別に形成される。外層は、熱可塑性複合
積層物を諸部分へと形状付けするための既知の技法を使用して形成することができ、その
様な技法には、限定するわけではないが、圧縮成形、又はゴム及びマッチドメタルプレス
成形、又はダイヤフラム成形が含まれる。
【0201】
内層は、従来の技法を使用して射出成形され、外側のクラウン層へ当技術では既知の結
着方法によって固定することができ、その様な結着方法には、限定するわけではないが、
糊付けを含む接着剤結着、溶接(好適な溶接プロセスは、超音波溶接、ホットエレメント
溶接、振動溶接、回転摩擦溶接、又は高周波溶接である(プラスチックハンドブック、3
/4巻、106-107頁、カール・ハンサー・フェアラーク、ミュンヘン&ウィーン
1998年(Plastics Handbook, Vol.3/4, pages 106-107, Carl Hanser Verlag Munich
& Vienna 1998))、又はカレンダリング、又はリベット締めやねじ式相互作用を含む機
械的締結、が含まれる。
【0202】
内層が外層へ固定される前に、内層の外側の表面及び/又は外層の内側の表面は、次の
プロセス(アーレンシュタイン、“Handbuch Kunstsoff-Verbi
ndungstechnik”、カール・ハンサー・フェアラーク ミュンヘン 200
4年、 494-504頁(Ehrenstein, “Handbuch Kunststoff-Verbindungstechnik
”, Carl Hanser Verlag Munich 2004, pages 494-504)により詳細に開示されている)
の1つ又はそれ以上を用いて前処理されてもよく、即ち、
・機械的処理、好適にはブラシかけ又は研ぎ出しによる処理
・液体、好適には表面堆積物除去用水溶液又は有機溶剤、を用いた洗浄
・火炎処理、好適にはプロパンガス、天然ガス、都市ガス、又はブタンを用いた火炎処

・コロナ処理(電位負荷大気圧プラズマ)
・無電位大気圧プラズマ処理
・低圧プラズマ処理(空気及びO雰囲気)
・UV光処理
・化学的前処理、例えば気相前処理による湿式化学による前処理
・下塗剤及び結合剤
のうちの1つ又はそれ以上を用いて前処理されてもよい。
【0203】
特に好適な調製方法の中で、複合積層物の外層を射出成形の内層へインサート成形して
追加の強度を提供する所謂ハイブリッド成形プロセスが使用されてもよい。典型的には、
複合積層物構造は、加熱された平坦なシートとして又は好適には予成形品として射出成形
用金型の中へ導入される。射出成形中、次いで内層の熱可塑性材料が複合積層物構造の内
側の表面へ成形され、材料は一体に融合されて一体化部品としてクラウンを形成する。典
型的には、射出成形の内層は、良好な溶接結着を確保するために、外層を形成するのに使
用されている複合積層物構造の形成に使用されるマトリクス材料と同じポリマー系から調
製される。
【0204】
熱可塑性内層は、クラブヘッドの後部本体のための所望形状に形成されることに加えて
、更に、強度及び/又は所望の音響性質を付与する1つ又はそれ以上の補剛リブ、並びに
追加のタングステン(又は他の金属)の重りを設置できるようにする1つ又はそれ以上の
重りポート、を含む追加の特徴を備えて形成されてもよい。
【0205】
内層の厚さは、典型的には約0.25mmから約2mm、好適には約0.5mmから約
1.25mmである。
【0206】
外層を形成するのに使用されている複合積層物構造の厚さは、典型的には約0.25m
mから約2mm、好適には約0.5mmから約1.25mm、なおいっそう好適には0.
5mmから1mmである。
【0207】
「製造のための方法及びゴルフクラブヘッド」という名称で2001年6月11日に出
願されていて参考文献としてここにそっくりそのまま援用されている米国特許第6,62
3,378号に詳細に記載されている様に、クラウン又は外殻は、例えば、炭素繊維強化
エポキシ、炭素繊維強化ポリマー、又はポリマーの様な、複合材料で作られていてもよい
。加えて、米国特許出願第10/316,453号及び同第10/634,023号は、
軽量クラウンを有するゴルフクラブヘッドを記載している。更に、米国特許出願第12/
974,437号(現在米国特許第8,608,591号)は、軽量のクラウン及びソー
ルを有するゴルフクラブヘッドを記載している。
【0208】
クラウンを構築するのに使用される複合材料は、広い温度範囲に亘って高い強度及び剛
性を呈すると共に十分な疲労挙動及び摩耗挙動を呈し、応力割れへの耐久性がなくてはな
らない。その様な性質は、
a)室温での引張強度:約7ksiから約330ksi、好適には約8ksiから約3
05ksi、より好適には約200ksiから約300ksi、なおいっそう好適には約
250ksiから300ksi(ASTM D638及び/又はASTM D3039に
より測定)、
b)室温での引張弾性率:約0.4Msiから約23Msi、好適には約0.46Ms
iから約21Msi、より好適には約0.46Msiから約19Msi(ASTM D6
38及び/又はASTM D3039により測定)、
c)室温での曲げ強度:約13ksiから約300ksi、約14ksiから約290
ksi、より好適には約50ksiから約285ksi、なおいっそう好適には約100
ksiから280ksi(ASTM D790により測定)、
d)室温での曲げ弾性率:約0.4Msiから約21Msi、約0.5Msiから約2
0Msi、より好適には約10Msiから約19Msi(ASTM D790により測定
)、
を含んでいる。
【0209】
クラブヘッド構成要素を作るために有用である複合材料は、繊維部分と樹脂部分を備え
ている。一般的に、樹脂部分は「マトリクス」の働きをし、その中に繊維が定義されたや
り方で埋め込まれている。クラブヘッドのための複合材では、繊維部分は、樹脂成分を含
浸させる複数の繊維質層又はプライとして構成されている。各層中の繊維はそれぞれの配
向を有しており、配向は典型的には1つの層と次の層とでは異なり、精密に制御されてい
る。打球フェースのための通常の層数はかなり大きく、例えば40又はそれ以上である。
また一方、ソール又はクラウンについては、層数は、例えば、3又はそれ以上、4又はそ
れ以上、5又はそれ以上、6又はそれ以上へ、実質的に減らすことができ、その例が以下
に提供されている。複合材料の製作中、それらの層(各層は未硬化又は部分的硬化樹脂中
に含浸されているそれぞれに配向された繊維を備えており、その様な層それぞれは「プリ
プレグ」層と呼ばれる)は「積層編成(lay-up)」方式で重ね合わせに置かれる。プリプ
レグ積層編成を形成した後に、樹脂を堅い状態へ硬化させる。関心があれば、引張強度を
材料密度で除算することにより固有の強度を計算することもできる。これは強度対重量比
又は強度/重量比としても知られている。
【0210】
一部の特定のクラブヘッド構成に関わる試験では、相対的に低い繊維面積重量(FAW
)を有するプリプレグプライで形成されている複合部分は、衝撃抵抗性、耐久性、及び全
体としてのクラブ性能の様な、幾つかの領分での優れた特質を提供することが判明してい
る。(FAWは、g/mを単位とする所与量のプリプレグの繊維部分の重量である。)
100g/mより下、更に望ましくは70g/mより下のFAW値が、とりわけ有効
であろう。プリプレグプライ作製での使用に特に適した繊維質材料は指摘されている様に
炭素繊維である。1つより多い繊維質材料を使用することもできる。とはいえ、他の実施
形態では、70g/mより下のFAW値及び100g/mより上のFAW値を有する
プリプレグプライが使用されることもある。概して、70g/mより下のFAW値を有
するプリプレグプライでは、費用が主たる阻害要因である。
【0211】
一部の特定の実施形態では、複数の低FAWプリプレグプライを積層させ、なおも積層
プライの厚さに亘って比較的均一な繊維分布を有することができている。対照的に、匹敵
する樹脂含有量(R/C、単位はパーセント)レベルで、より高いFAWを有するプリプ
レグ材料の積層プライは、低FAW材料の積層プライより、より有意な樹脂豊富領域を特
に隣接するプライ同士の界面に有する傾向がある。樹脂豊富領域は繊維強化の効能を低減
させるきらいがあり、というのも具体的にいうとゴルフボールインパクトから生じる力は
概して繊維強化の繊維の配向に横断方向にあるからである。パネルを形成するのに使用さ
れるプリプレグプライは、エポキシの様な適した樹脂を含浸させた炭素繊維を備えている
のが望ましい。一例としての炭素繊維は、234Gpa(34Msi)の引張弾性率と4
500Mpa(650Ksi)の引張強度を有する「34-700」炭素繊維(カリフォ
ルニア州、サクラメントのGrafil社から入手可能)である。使用することのできる
別のGrafil繊維は、「TR50S」炭素繊維であって、240Gpa(35Msi
)の引張弾性率と4900Mpa(710ksi)の引張強度を有している。適したエポ
キシ樹脂は、型式「301」及び型式「350」(カリフォルニア州、アーバインのNe
wport Adhesives and Composites社から入手可能)であ
る。例示としての樹脂含有量(R/C)は、33%から40%の間であり、好適には35
%から40%の間、より好適には36%から38%の間である。
【0212】
本出願全体を通して論じられているゴルフクラブヘッドの各々は、複合材であってもよ
いとされる別体のクラウン、ソール、及び/又はフェース、例えば炭素繊維強化エポキシ
又は炭素繊維強化ポリマー又はポリマーのクラウン、ソール、及び/又はフェース、を含
んでいてもよいし、又は含んでいてもよい。代わりに、クラウン、ソール、及び/又はフ
ェースは、例えばチタン又はアルミニウムの様な密度のより小さい材料から作られていて
もよい。一例として、図53は複合クラウン12014を有するゴルフクラブヘッド12
002Fの上面図を示しており、図54Aは幾何学形状を詳示する断面図を示している。
図54及び図55に示されている様に、ソール、フェース、及びクラウンの一部分は、全
て、鋼(~8.05g/cm)又はチタン(~4.43g/cm)のどちらかから鋳
造されており、一方、クラウンの大部分は密度のより小さい材料、例えば約1.5g/c
の密度を有する材料又は約4.43g/cmより小さい密度を有する何か他の材料
から作られていてもよい。換言すると、クラウンは、何か他の金属又は複合材とすること
もできよう。追加的又は代替的に、フェースはソールの一部として鋳造されるのではなく
その場に溶接されていてもよい。
【0213】
クラウン、ソール、及び/又はフェースを密度のより小さい材料から作ることにより、
費用削減をもたらすことができ、又は重量をクラウン、ソール、及び/又はフェースから
クラブヘッドの例えば低い及び/又は前方といった様な他の区域へ配分し直せるようにな
る。
【0214】
米国特許第8,163,119号は、複合品及び複合品を作る方法を開示しており、当
該特許を参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。この特許は、打球板のための
通常の層数がかなり多く、50又はそれ以上であることを開示している。しかしながら、
層を30層から50層の間へ減らすことができるように技術的に改善がなされてきた。ソ
ール及び/又はクラウンについて既に論じられている様に、層は実質的に3、4、5、6
、7、又はそれより多い層数へ減少させることができる。
【0215】
下表は実施可能な積層編成の例を提供している。これらの積層編成は、織りプライと注
記されていない限り、一方向性プライを使用している実施可能なクラウン及び/又はソー
ル構築を示している。示されている構築は、疑似等方性積層編成についてである。単層プ
ライは、70gsmの標準FAWについて約36%乃至約40%の樹脂含有量で約0.0
65mmから約0.080mmの範囲の厚さを有している。個々のプライそれぞれの厚さ
は、FAW又は樹脂含有量のどちらかを調節することによって改変することができ、従っ
て積層編成全体の厚さはこれらのパラメータを調節することによって改変することができ
る。
【0216】
【表1】
【0217】
面積重量(AW)は、密度×厚さの乗算によって計算される。複合材料から作られた以
上に示されているプライについて密度は約1.5g/cmであり、チタンについて密度
は約4.5g/cmである。使用材料及びプライ数に依存して、複合クラウン及び/又
はソール厚さは、約0.195mmから約0.9mm、好適には約0.25mmから約0
.75mm、より好適には約0.3mmから約0.65mm、なおいっそう好適には約0
.36mmから約0.56mmの範囲である。これらの範囲は、クラウンとソールの両者
一体に対して与えられているが、必ずしもクラウンとソールが同じ厚さを有する又は同じ
材料から作られることを意味するものではないことを理解されたい。一部の特定の実施形
態では、ソールはチタン合金か又は鋼合金のどちらかから作られていてもよい。同様に、
クラブ主本体はチタン合金か又は鋼合金のどちらかから作られていてもよい。チタンは、
典型的には、0.4mmから約0.9mm、好適には0.4mmから約0.8mm、より
好適には0.4mmから約0.7mm、なおいっそう好適には0.45mmから約0.6
mmの範囲となろう。幾つかの事例では、クラウン及び/又はソールは、例えば0.45
mmから約0.55mmの間で厚さが変わっている様な非均一厚さを有していてもよい。
【0218】
クラウン及び/又はソールに複合材料を使用することにより、特にクラブの他の部分の
薄壁チタン構造(0.4mm乃至0.9mm)と組み合わせて使用されたなら、多くの裁
量的質量を空けることができる。薄壁チタン構造では、製造の難易度が上がり、結局のと
ころ一度に鋳造できる部品数が少なくなる。過去には、100余りのヘッドをたった1回
で鋳造することができていたが、薄い乃至より薄い壁構造のせいで、高歩留まりと低材料
使用量の所望の組合せを実現するとなるとクラスタ当たり鋳造ヘッドはより少なくなる。
【0219】
ここに参考文献としてそっくりそのまま援用されている米国特許第7,513,296
号に論じられている様に、より多くの裁量的質量を得るための重要な戦略は、クラブヘッ
ドの壁厚さを削ることである。460cm(即ちドライバ)の体積と100cmのク
ラウン面積を有する典型的チタン合金「メタルウッド」クラブヘッドについて、クラウン
の厚さは典型的に約0.8mmであり、クラウンの質量は約36gである。而して、壁厚
さを0.2mm(例えば1mmから0.8mmへ)削減することは、9.0gの裁量的質
量「節減分」を生む。
【0220】
以下の例は、チタン合金クラウンではなく複合クラウンを作ることによって実施可能な
裁量的質量「節減分」を説明するうえで役立つであろう。例えば、材料の厚さを約0.7
3mmまで削減することは、0.8mmチタン合金クラウンに勝ること約25.0gの追
加の裁量的質量「節減分」を生む。例えば、材料の厚さを約0.73mmまで削減するこ
とは、0.8mmチタン合金クラウンに勝ること約25.0gの又は1.0mmチタン合
金クラウンに勝ること約34gの追加の裁量的質量「節減分」を生む。加えて、0.6m
m複合クラウンは、0.8mmチタン合金クラウンに勝ること約27gの追加の裁量的質
量「節減分」を生む。また、0.4mm複合クラウンは、0.8mmチタン合金クラウン
に勝ること約30gの追加の裁量的質量「節減分」を生む。なおいっそう大きい重量節減
分を実現するにはクラウンをなおいっそう薄く、例えば、約0.32mm厚、約0.26
mm厚、約0.195mm厚、などにすればよい。しかしながら、クラウン厚さは正規使
用時及び誤使用時のクラウンの全体としての耐久性と釣り合いが取れていなくてはならな
い。例えば、保護されていないクラウン、即ちヘッドカバー無しクラウンなら、潜在的に
、ゴルフバッグ中の他のウッドやアイアンとのぶつかりから損傷することもあり得る。
【0221】
以上に言及されている特許に論じられている様に、また図54及び図55から最もよく
分かる様に、外殻又は複合クラウン12014は、好適には、打球板/ソール板組合せ体
12120へ取り付けられている。複合クラウン12014と打球板/ソール板組合せ体
12120の間の接続の強度を改善するため、複合クラウン12014と打球板/ソール
板組合せ体12120は、図54Bに追加的に示されているインターロック接合部121
36を含んでいるのが好適である。
【0222】
例示されている実施形態では、接合部12136は、複合クラウン12014側と打球
板/ソール板組合せ体12120側にそれぞれ形成されている噛み合い部分12138A
、12138Bを備えている。各噛み合い部分12138A、12138Bは、好適には
、複合クラウン12014の外面12123に横断方向の当接面12139A、1213
9Bを含んでいる。更に好適には、当接面は、複合クラウン12014の外面12123
に実質的に法線方向に広がっている。当接12139A、12139B面は、複合クラウ
ン12014を打球板/ソール板組合せ体12120と整列させるのを手助けし、及びこ
れら2つの構成要素12014、12120の互いに対する側方運動を防止するのを手助
けする。
【0223】
各噛み合い部分12138Bは、好適には、複合クラウン12014の厚さの少なくと
も2倍、好適には4倍の幅の付着面を含んでいる。例えば、棚部長さ即ち噛み合い部分1
2138Bの長さは、約3mmから約8mm、好適には約4mmから約7mm、より好適
には約5.5mmから約6.5mmの範囲であってもよい。加えて、噛み合い部分121
38Aは、厚さ約0.3mmから約2mm、好適には約0.5mmから約1.2mm、よ
り好適には約0.6mmから約1.0mm、なおいっそう好適には約0.6mmから約0
.8mmの範囲であってもよい。
【0224】
付着面は、好適には、接着剤のための面を提供しており、概して複合クラウン1201
4の外面12123に平行で、複合クラウン12014の内面12121と外面1212
3の間の中途にある。この配列は、接合部12136の強度及び複合クラウン12014
の打球板/ソール板組合せ体12120との間の結着をそれぞれ増加させるより長い付着
面とより厚い噛み合い部分12138A、12138Bを許容するので好適である。付着
面は、複合クラウン12014の全周囲(360度)に沿って延びていてもよい。代わり
に、示されている重ね継ぎの代わりに、複合クラウンをクラブ本体にかぶせ、次いで嵌合
及び仕上げのために研磨するようにしてもよい。
【0225】
噛み合い部分12138A、12138Bは、複合クラウン12014と打球板/ソー
ル板組合せ体12120の間の界面に沿ってくまなく延びているのが望ましい。とはいえ
、或る修正された配列では、噛み合い部分12138A、12138Bが複合クラウン1
2014と打球板/ソール板組合せ体12120との間の界面に沿って部分的にしか延び
ていないこともあり得るものと理解されたい。例示されている配列では、各部片1213
8A、12138Bは、付着面によって分離されている2つの当接面12139A、12
139Bを含んでいる。つまり、当接面と付着面はインターロックの段を形成しているわ
けである。とはいえ、噛み合い部分は、複合クラウン12014と打球板/ソール板組合
せ体12120との間の安全確保された接続を提供することの優先性を十分に考慮して、
様々な他の形状へ形成されていてもよいものと認識されたい。例えば、噛み合い部分12
138A、12138Bは、各々が当接面と付着面を含んでいるインターロック式さねは
ぎ配列又は整合式斜面配列を備えていてもよい。
【0226】
複合クラウン12014を打球板/ソール板組合せ体12120と永久的に固定するの
に、例えばエポキシの様な接着剤が一方又は両方の噛み合い部分12138A、1213
8Bへ好適には付着面に沿って塗布される。或る修正された配列では、複合クラウン12
014は、接合部12136を貫いて延びている締結具によって打球板/ソール板組合せ
体12120と固定される。幾つかの実施形態では、打球板/ソール板組合せ体1212
0は、クラウンの位置を定めるのを手助けするバンプ又はパッドを含んでいてもよい。バ
ンプは、結着ギャップを提供し、面一嵌りを実現するうえで助けとなる。バンプ又はパッ
ドは、高さ約0.1mmから約0.4mmの範囲、好適には高さ約0.15mmである。
似てはいるが代わりのやり方として、スペーサを使用してもクラウンと打球板/ソール板
組合せ体12120との間の面一嵌りを実現するのに助けとなろう。スペーサ又はバンプ
のどちらかを使用することの別の利点は、打球板/ソール板組合せ体12120のばらつ
き及び複合クラウン12014のばらつきのせいで必要になる研削がより少ないことであ
る。
【0227】
図55Aを見ると、打球板/ソール板組合せ体12120と一体での複合クラウン12
014の拡大図が示されている。更に、この図には、調節可能なロフト、ライ、及び/又
はフェース角(FCT)ホーゼル15094も見えている。
【0228】
全体としては、複合クラウン及び薄壁部分を使用することによって、質量節減分は、少
なくとも25gであり、例えば、少なくとも30g、少なくとも35g、少なくとも40
g、少なくとも45g、少なくとも50g、少なくとも55g、などである。この重量の
多くは、クラブヘッドへ、前後滑動式重りトラック即ち短縮してT字トラックの形態で戻
された。前後滑動式重りトラックをソールへ組み入れることは、構造のための大量の質量
を要するのみならず、クラブの音を2900Hzより上に改善するための追加の質量を要
した。
【0229】
クラブの音は、幾つかのやり方で改善することができる。1つのやり方は、壁厚さを増
加させることであるが、裁量的質量のより効率的な使用はリブを使用するというものであ
る。適正なリブ設置によって、第1モード周波数は、2900Hzよりかなり下から少な
くとも2900Hzへ上げることができ、例えば、少なくとも3000Hz、少なくとも
3100Hz、少なくとも3200Hz、少なくとも3300Hz、少なくとも3400
Hz、少なくとも3500Hz、少なくとも3600Hz、などへ上げることができる。
【0230】
図55Aに示されている様に、クラウンが取り払われた状態で幾つかのリブが見えてい
る。図55Bは、クラウンが完全に取り払われていることを示しており、図55Cに示さ
れている断面図を生成するのに使用されている。図55Cを見ると、可変フェース厚さ即
ちVFT(同心円)を有するフェース板12018の裏側が示されており、加えて、前滑
動式重りトラック12020及び後方滑動式重りトラック12020Fのための構造が見
えている。示されている様に、幾つかのリブ12080は重りトラックへ付着されている
。これは、構造全体を補剛し、第1モード周波数を少なくとも3400Hzへ上げるため
である。
【0231】
各リブは、周波数(Hz)改善という観点で関連付けられる質量及び関連付けられる益
を有している。従って、全体としてのクラブ重量を削減するためなら、より少ないリブを
使用することもできるが、但しそうなると第1モード周波数が影響を受けることになり殆
どの場合で下がってしまう。見本リブパターンが図55Dに示されており、それは図55
Cに示されているものに類似している。下表14は、1度にリブ1つを選択的に除去する
ことの影響を示している。例えば、リブ13を除去することは、第1モード周波数に34
11Hzから3006Hzへの404Hz分の有害作用を生じさせるのに対し、リブ5を
除去することは第1モード周波数を34Hz改善した。数々の満足できる設計があり、選
ばれた1つの設計は、リブ5、リブ11、及びリブ17を除去して3421Hzの第1モ
ード周波数を実現するというものであった。
【0232】
【表2】
【0233】
留意することとして、打球板又はフェース板15018は、以上に言及されている特許
に論じられているソール板を含む他の構造と併せて1つの部片として鋳造されてもよいし
、又はフェース板15018はゴルフクラブ本体へ溶接されてもよい。単一鋳造構造は多
少の費用節減を有し、また一方、別体の溶接フェースはより大きなカスタマイズ化を可能
にさせる。
【0234】
前方スロット及び後方トラック
幾つかの実施形では、ゴルフクラブヘッドの反発係数を増加させるのにチャネル、スロ
ット、又は何か他の部材が提供されていてもよい。例えば、ゴルフクラブヘッドの幾つか
の実施形態は、ゴルフクラブヘッドの反発係数(COR)及び/又は特性時間を増加させ
るために、ゴルフクラブヘッドの打球フェースの周縁部可撓性を増加又は増進するチャネ
ル、スロット、又は他の部材を含んでいてもよい。
【0235】
幾つかの事例では、チャネル、スロット、又は他の機構は、クラブヘッドのソールの前
方部分に、ソールの最前方縁に隣接して又はその付近に配置されている。ゴルフクラブヘ
ッドのCORを増加又は増進させるこれらの特徴に関する更なる詳細は、何れも「フェア
ウェイウッドCG投影」という名称であって、参考文献としてここにそっくりそのまま援
用されている、2011年12月27日出願の米国特許出願第13/338,197号、
2012年5月10日出願の同第13/469,031号、及び2013年3月14日出
願の同第13/828,675号に提供されている。CORを増加又は増進させるこれら
の特徴に関する追加の詳細は、2013年3月15日に「反発係数機構を有するゴルフク
ラブ」という名称で出願され、参考文献としてここにそっくりそのまま援用されている米
国特許出願第13/839,727号にも見いだすことができる。
【0236】
幾つかの事例では、チャネル、スロット、又は他の機構は、クラブヘッドのクラウンの
前方部分に、クラウンの最前方縁に隣接して又はその付近に配置されている。これらの特
徴に関する更なる詳細は、2010年6月1日に「中空ゴルフクラブヘッド」という名称
で出願され、参考文献としてここにそっくりそのまま援用されている米国特許第8,23
5,844号、2011年12月13日に「ソール応力低減機構を有する中空ゴルフクラ
ブヘッド」という名称で出願され、参考文献としてここにそっくりそのまま援用されてい
る米国特許第8,241,143号、及び2011年12月14日に「クラウン応力低減
機構を有する中空ゴルフクラブヘッド」という名称で出願され、参考文献としてここにそ
っくりそのまま援用されている米国特許第8,241,144号、に提供されている。
【0237】
図56A図56Eに目を向けると、ゴルフクラブヘッド18002Aは、ゴルフクラ
ブヘッド12000と類似の又は同一の多くの特徴を類のない独特なやり方で組み合わせ
て含んでいる。而して、簡潔さを期し、ゴルフクラブヘッド18002Aの各特徴を冗長
的に解説することはしない。むしろゴルフクラブヘッド18002Aとゴルフクラブヘッ
ド12000の間の主要な相違を詳細に説明することにし、読み手には2つのゴルフクラ
ブヘッド間の実質的に類似の特徴については以上の論考を参照されたい。
【0238】
図56Aは、クラブヘッドのソールに前方チャネル18020及び後方重りトラック1
8020Fを有するゴルフクラブヘッド18002Aの実施形態を示している。前方チャ
ネル18020は、より大きな周辺部可撓性を可能にさせてCORを増加させ、スピンを
減らすことを可能にさせ、また他の打ち出し条件にも影響を与え得る。後方重り1802
0Fトラックは、使用者がゴルフクラブヘッドのCG位置を調節できるようにし、ひいて
はボールスピン及びMOIを含む多くの因子を調節できるようにする。
【0239】
ゴルフクラブヘッド18000は、中空本体18002A、前方チャネル18020、
後方トラック18020F、及び滑動式重り組立体18040を含め、先の実施形態の構
造及び特徴の幾つかを含んでいる。本体18002A(ひいてはクラブヘッド18000
全体)は、前部分18004、後部分18006、トゥ部分18008、ヒール部分18
010、ホーゼル18012、クラウン18014、及びソール18016、を含んでい
る。前部分18004は、ここに説明されている、可変厚さ、複合材、及び/又は金属の
フェース板であってもよいとされるフェース板18018を受け入れる開口部を形成して
いる。例示されているクラブヘッド18000は、更に、シャフトをホーゼル18012
へホーゼル開口部18070を介して連結するための調節可能なシャフト接続システムを
備えることができる。
【0240】
図56Bに示されている様に、後方重りトラック18020Fは、フェース板1801
8の中心と交わる垂直平面18142に対して角度18140を成していてもよい。後方
重りトラック18020Fの特定の角度は、ゴルフクラブヘッド幾何学形状に依存するこ
とになる。幾つかの実施形態では、トラックに角度を付けることはゴルフクラブヘッドの
y軸に平行なトラックに比較して何らかのドローバイアス又はフェードバイアスを小さく
するうえで助けとなり、特に重りを後方重りトラック18020Fに沿って位置をずらし
てゆく場合はそうである。角度18140は、約0度から約180度の間であり、例えば
、約20度から約160度の間、約40度から約140度の間、約60度から約120度
の間、約70度から約110度の間、などである。
【0241】
図144Cに示されている様に、ゴルフクラブヘッド18002Aは、後部ウィングレ
ット18160を含んでいる。後部ウィングレット18160は、ソールの湾曲から逸れ
、CGを低くするプラットホームを提供している。図56Cから最もよく分かる様に、後
部ウィングレット18160は、ソールから逸れ、滑動式重り組立体18040を後方へ
滑動させたときにCGを更に低くするプラットホームを提供している。
【0242】
後方重りトラックは、使用者に追加の調節性を提供する。以上に論じられている様に、
重りを打球フェースにより近く動かすことは、より低くより前方のCGのせいでスピンの
かかりがより低いボールを現出させる。これは、更に、使用者がクラブヘッドのロフトを
増加させられるようにしており、一般的にロフトがより高いクラブは当てるのが「より容
易い」と考えられている。重りをクラブの後部に向かって後方に動かすことは、MOI増
加及びスピンのかかりが高いボールを可能にさせる。より高いMOIを有するクラブは、
概して、当てるのが「より容易い」と考えられている。従って、後方重りトラックは少な
くともスピンとMOIの両方の調節を可能にさせる。
【0243】
示されている実施形態では、また図56B及び図56Eから最もはっきりと分かる様に
、前方チャネルは、フェースから前方チャネルオフセット距離18146だけオフセット
しており、当該前方チャネルオフセット距離は、フェース板18018の中心を通る第1
垂直平面とフェース板18010の中心と同じx座標における前方チャネル18020の
間の最小距離であって、約5mmから約50mmの間であり、例えば、約10mmから約
40mmの間、約25mmから約30mmの間、などである。同様に、後方トラックは、
フェースから後方トラックオフセット距離18154だけオフセットしており、当該後方
トラックオフセット距離は、フェース板18018の中心を通る第1垂直平面とフェース
板18018の中心と同じx座標における後方トラック18020Fの間の最小距離であ
り、約12mmから約50mmの間であり、例えば、約15mmから約40mmの間、約
20mmから約30mmの間、などである。
【0244】
示されている実施形態では、前方チャネル18020及び後方トラック18020Fは
どちらもそれぞれ特定のチャネル幅18144/トラック幅18152を有している。チ
ャネル幅/トラック幅は、第1チャネル壁と第2チャネル壁の間の水平距離として測定す
ることができる。前方チャネル及び後方トラックの両方について、幅18144及び幅1
8152は、約5mmから約20mmの間であってもよく、例えば、約10mmから約1
8mmの間、約12mmから約16mmの間、などであってもよい。示されている実施形
態では、チャネル又はトラックの深さ(即ち、底チャネル壁とソールのチャネル前縁及び
チャネル後縁に隣接している領域を内包する仮想平面の間の垂直距離)は、約6mmから
約20mmの間であってもよく、例えば、約8mmから約18mmの間、約10mmから
約16mmの間、などであってもよい。
【0245】
示されている実施形態では、前方チャネル18020及び後方トラック18020Fは
どちらもそれぞれ特定のチャネル長さ18148/トラック長さ18150を有している
。チャネル長さ/トラック長さは、第3チャネル壁と第4チャネル壁の間の水平距離とし
て測定することができる。前方チャネル及び後方トラックの両方について、長さ1814
8及び長さ18150は、約30mmから約120mmの間であってもよく、例えば、約
50mmから約100mmの間、例えば約60mmから約90mmの間、などであっても
よい。
【0246】
追加的又は代替的に、チャネルの長さは、打球フェース長さの或る割合であってもよい
。例えば、チャネルは、打球フェース長さの約30%から約100%の間であってもよく
、例えば、打球フェース長さの約50%から約90%の間、約60%から約80%の間、
などであってもよい。
【0247】
図56Dは、ゴルフクラブヘッド18002Aのクラウン図を示している。図56E
、クラウンと後方トラックを貫いて取られている断面図である。図56Eは、後方トラッ
クと後方トラック内の滑動式重り組立体と前方チャネルの別の図を示している。幾つかの
事例では、前方チャネルは滑動式重りを保持していてもよいし、又はそれはフェースを横
切る反発係数を改善及び/又は増加させる特徴(COR機構)であってもよい。COR機
構に関して、チャネルは、チャネル又は貫通スロットの様な様々な形態を呈していてもよ
い。
【0248】
図57A図57Cは、後重りトラックを含む追加の実施形態を示している。図57A
に示されている様に、ゴルフクラブヘッド18002Bは、後重りトラック18020F
を、前方位置の少なくとも1つの重り組立体18040Cと共に含んでいる。1つより多
い重りが前方位置に使用されていてもよく、及び/又はクラブヘッド本体側に戦略的に設
置されている数個の重りポートがあってもよい。例えば、ゴルフクラブヘッド18002
Bは、トゥ重りポート及びヒール重りポートを含んでいてもよい。そうすると使用者はド
ローバイアスか又はフェードバイアスのどちらかを促進するようにより多くの重りをトゥ
かヒールのどちらかへ動かすことができよう。加えて、以上に論じられている様に、裁量
的質量を前方位置と後方位置の間で分割することはより高いMOIのクラブを現出させる
のに対し、重り全てをクラブの前方部分へ動かすことは低前方CGを有するゴルフクラブ
を現出させる。従って、使用者は、「寛容性のある」より高いMOIのクラブか又はスピ
ンのかかりがより低いボールを現出させるクラブかの間で選択することができよう。
【0249】
図57Bは、後重りトラック18020Fを前方スロット18162と一体に示してい
る。前方スロット18162は、より大きな周縁部可撓性を可能にさせ、それにより打球
フェースを横切るCORを維持及び/又は増加させる。追加的又は代替的に、トゥ重りポ
ート及びヒール重りポートがこの実施形態に含まれていてもよい。
【0250】
図57Cは、後重りトラック18020Fを前方スロット18162及び前方重り18
040Cと一体に示している。前方スロットは、ゴルフクラブのフェースを横切るCOR
を増進させる。前方重りは、クラブの前方位置に追加の重量を提供する。前方重りは前方
スロットの上に覆いかぶさっている。以上に論じられている様に、これは、滑動式重りを
後方位置へ動かすことによって高いMOIのクラブを可能にさせ、又は滑動重りを前方位
置へ動かすことによって低前方CGゴルフクラブを可能にさせることができる。追加的又
は代替的に、トゥ重りポート及びヒール重りポートがこの実施形態に含まれていてもよい
【0251】
追加的又は代替的に、前方重りは滑動式重りと入れ換え可能であってもよく、及び/又
は当該重りは重りポートに装着される他の重りと入れ換え可能であってもよい。前方重り
又は滑動式重りのどちらかは、1gから50gの範囲であってもよい。重りの範囲は、他
にもあるが中でも特に振り重み調節性、より大きいMOI調節、及び/又はスピン調節を
可能にさせる。
【0252】
図57B及び図57Cに示されているスロットは、以上に論じられておりまた2013
年3月15日に「反発係数機構を有するゴルフクラブ」という名称で出願されている米国
特許出願第13/839,727号にも論じられている貫通スロットであってもよい。当
該スロットは、スロット幅18164、スロット長さ18166、及びスロット周長18
168を含んでいてもよい。
【0253】
示されている実施形態では、スロット幅18164は、約5mmから約20mmの間で
あってもよく、例えば、約10mmから約18mmの間、約12mmから約16mmの間
、などであってもよく、又はそれより大きくてもよいし又は小さくてもよい。スロット長
さ18166は、約30mmから約120mmの間であってもよく、例えば、約50mm
から約100mmの間、約60mmから約90mmの間、などであってもよく、又はそれ
より大きくてもよいし又はそれより小さくてもよい。スロット周長18168は、約70
mmから約280mmの間であってもよく、例えば、約120mmから約240mmの間
、約160mmから約200mmの間、などであってもよく、又はそれより大きくてもよ
いし又はそれより小さくてもよい。
【0254】
示されている実施形態では、フェース板18018の中心と交わる垂直平面18142
とフェース板18018の中心と同じx座標におけるスロット18162の間の距離18
170は、約5mmから約25mmの間であってもよく、例えば、約8mmから約18m
mの間、約10mmから約15mmの間、などであってもよい。
【0255】
追加的又は代替的に、スロットの長さは、打球フェース長さの或る割合であってもよい
。例えば、スロットは、打球フェース長さの約30%から約100%の間であってもよく
、例えば、打球フェース長さの約50%から約90%の間、約60%から約80%mmの
間、などであってもよい。
【0256】
スロットは、曲線状の部分から構成されていてもよく、又は曲線状の線分と直線状の線
分の組合せである数個の線分から構成されていてもよい。スロットはヘッドの中へ機械加
工されているか又は鋳込まれていてもよい。スロットは、クラブのソールにあるものとし
て示されているが、クラブのクラウンへ組み入れられていてもよい。
【0257】
スロット又はチャネルは、砂利や他の岩屑類のスロット又はチャネルへの入り込みを防
止するため、またことによると貫通スロットの場合にはクラブヘッドのキャビティへの入
り込みを防止するために、材料を充填されていてもよい。充填材料は、ポリウレタン、エ
ラストマーゴム、ポリマー、各種のゴム、発泡体、及び充填材を含め、何れの比較的低弾
性率の材料であってもよい。施栓材料は実質的に使用時のゴルフクラブヘッドの変形を妨
げるようなことがあってはならず、というのも、もしそうなら周辺部可撓性が無効になっ
てしまうからである。
【0258】
後方トラックの幾何学形状は、前方トラックの幾何学形状に類似している。加えて、重
りを後方トラックに装着する方法は、以上に前方トラックに関して既に論じられている方
法と同様である。留意すべきこととして、後方トラック幾何学形状及び重り幾何学形状は
ソールの湾曲に適合するように設計されなくてはならない。
【0259】
周縁部可撓性
以上に論じられている様に、前方チャネル12020は、追加の周縁部可撓性を提供す
ることができる。しかしながら、周縁部可撓性は、装着されている重り組立体12040
との相互作用に因り影響を受けることがある。図60Aに示されている様に、前チャネル
壁12026と重り組立体12040の間には殆どギャップがない。幾つかの事例では、
重り組立体がチャネルを跨ぐ橋となって重り組立体を横切る荷重をクラブヘッドの後部分
へ伝達しかねないことが判明している。これは、周縁部可撓性がどれほど高くなり得るか
を、重り組立体が局所化された剛性区域を生じさせてしまうせいで制限する。結果として
、幾つかの事例では、チャネル内の重り位置に依存して、ゴルフクラブヘッドの反発係数
(COR)及び/又は特性時間がチャネルに沿って変わってくる。従って、重り組立体の
周縁部可撓性への起こり得る影響力を制限又は排除して、重り位置とは独立にチャネルに
沿ってより一定したCOR/CTを得られるようにするのが望ましい。
【0260】
装着されている重り組立体の周縁部可撓性への効果を制限又は排除するための手法には
多数の手法が存在する。以下は当該問題に対する実施可能な解の例である。
【0261】
第1の手法は、重り組立体12040を後部又は後チャネル棚部12032へのみ固定
するというものである。この構成は図60Bに示されている。ワッシャ12042と質量
部材12044の一方又は両方の前方端の突出部12170が、締める間中、後チャネル
棚部12032と重り組立体12040締め付け面の間の平削り盤(planer)接触を維持
するように設計されている。これは、重り組立体の周縁部可撓性との何らかの相互作用を
排除するはずである。但し、重り組立体は一端が非支持となることから、片持ち梁となっ
てしまい、経時的に緩んだりインパクト時の振動的鳴り響きに見舞われたりし易くなる。
【0262】
締めている間、確実に片持ち式重りが回転することのないようにするうえで助けとなる
1つの方法は、随意的に、図60Bに示されている様に後チャネル棚部12032に対し
て横断方向に延びるリッジ12172を含むことであり、重り組立体の一方の側には噛み
合い相手の溝12174を持たせることになる。この噛み合い式リッジ/溝システムは、
締めている間の回転を最小限にするはずであり、そうすれば確実に重り組立体12040
の前方部分とチャネル12020の間の工学的ギャップ12176は、締めた後又は使用
後に接触して堅さを増加させることのないように十分に広いままでいられる。
【0263】
第2の手法は、重り組立体のチャネルとの相互作用を制限するというものである。これ
は、締め付け力の大半を後チャネル棚部12032へ伝達させるようにすること(即ち金
属対金属接触)によって、及び前チャネル棚部12030と重り組立体12040の間に
ギャップ12180を提供することよって、成し遂げることができる。ギャップ1218
0と組み合わせての前チャネル棚部12030への締め付け荷重低減化により、チャネル
はインパクト時により多く撓めるようになる。また一方で、重り組立体の一部分はなおも
前チャネル棚部によって支持されていてもよい。重り組立体の前チャネル棚部によって支
持されている部分がより軟質(即ち、重り組立体に使用されている金属より低硬度)の材
料12178を含んでいるなら、チャネルを横切って前後方向の堅さを実質的に加増する
ことなく横断方向の撓み及び振動を低減できるはずである。この構成は図60Cに示され
ている。
【0264】
ワッシャ12042と質量部材12044の一方又は両方の前方端上の突出部1207
0は、締める間の後棚部と重り組立体締め付け面の間の平削り盤接触を維持するべく設計
されればよく、そうすればより軟質の材料側に有意な締め付け力が発達する前に底に達す
るはずである。この手法もまたここに説明され図60Dに示されている回転防止リッジ1
2172及び溝12174システムから恩恵を受けることができよう。
【0265】
(単数又は複数の)滑動式に位置換え可能な重りを有するゴルフクラブヘッドについて
の設計パラメータ
次に続く論考は、ゴルフクラブヘッド12000及びその変型(例えば、12002A
-12002F)に関係する特徴を挙げているが、以下に論じられている多くの設計パラ
メータは実質的にクラブヘッドの共通の特徴であることからゴルフクラブヘッド9300
、13000、15000、及び18000に適用する。そのことを念頭に置き、ここに
記載されているゴルフクラブの幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド9300、1
3000、15000、及び18000の様なゴルフクラブヘッドの諸特徴の場所、位置
、又は向き付けは、固定基準点、例えばゴルフクラブヘッド原点、他の特徴の場所、又は
特徴の角度方位、に対して参照することができる。重り及び重り組立体9340、120
40A-12040F、13040、15040、及び18040A-18040Fの様
な重り組立体の場所又は位置は、典型的には、重りの又は重り組立体の重心の場所又は位
置に関して定義されている。重り又は重り組立体が、別の重り又は重り組立体の場所まで
の距離、即ちベクトル距離(或る基準又は特徴点から別の基準又は特徴点まで延びる直線
の長さとして定義)を求めるための基準点として使用されている場合、基準点は典型的に
は重り又は重り組立体の重心である。
【0266】
ゴルフクラブヘッド上の重り組立体の場所は、ヘッド原点座標系上のその座標によって
近似表示することができる。ヘッド原点座標系は、打面10122(図1A参照)の幾何
学的中心に配置されているゴルフクラブヘッドの理想インパクト場所10160に原点を
含んでいる。以上に説明されている様に、ヘッド原点座標系は、x軸とy軸を含んでいる
。原点x軸は、ヘッドが理想的に位置決めされたとき、原点でフェース板に対し接線方向
に概して地面に平行に延びており、正のx軸は、原点からゴルフクラブヘッドのヒールに
向かって延び、負のx軸は、原点からゴルフクラブヘッドのトゥに向かって延びている。
原点y軸は、ヘッドが理想的に位置決めされたとき、概して原点x軸に直角に地面に平行
に延びており、正のy軸はヘッド原点からゴルフクラブの後部分に向かって延びている。
ヘッド原点は、更に、原点x軸及び原点y軸に直角に延びている原点z軸を含むものであ
って、正のz軸は原点からゴルクラブヘッドの最上部分へ向かって延び、負のz軸は原点
からゴルフクラブヘッドの底部分に向かって延びている。
【0267】
以上に説明されている様に、ここに記載のゴルフクラブヘッド12000の幾つかの実
施形態では、チャネル12020は、概してヒール部分12010寄りに配置されている
ヒール端12022からトゥ部分12008寄りに配置されているトゥ端12024へ延
びており、ヒール端12022とトゥ端12024は共にクラブヘッドの前部分から同距
離又はほぼ同距離にある。結果として、これらの実施形態では、チャネル12020内に
滑動可能に保定されている重り組立体12040は、x軸の方向には相対的に大きい調節
量が可能であるのに対しy軸の方向には相対的に小さい調節量を有している。幾つかの代
わりの実施形態では、ヒール端12022とトゥ端12024は、例えばヒール端120
22がトゥ端12024より更に後方にあるとかトゥ端12024がヒール端12022
より更に後方にあるといった様に、前部分から異なった距離に配置されていることもある
。これらの代わりの実施形態では、チャネル12020内に滑動可能に保定されている重
り組立体12040は、x軸の方向には相対的に大きい調節量が可能であり、更にy軸の
方向にも小量乃至はやや大きめの調節量を有している。
【0268】
例えば、チャネル12020内に調節可能に位置付けられている重り組立体12040
を有するゴルフクラブヘッド12000の幾つかの実施形態では、重り組立体12040
は、チャネル12020内の重り組立体の場所に依存して、約-50mmから約65mm
の間の原点x軸座標を有することができる。具体的な実施形態では、重り組立体1204
0は、約-45mmから約60mmの間、又は約-40mmから約55mmの間、又は約
-35mmから約50mmの間、又は約-30mmから約45mmの間、又は約-25m
から約40mmの間、又は約-20mmから約35mmの間、の原点x軸座標を有するこ
とができる。而して、幾つかの実施形態では、重り組立体12040には、50mmより
大きい最大x軸調節範囲(Max Δx)が提供されており、例えば、60mmより大き
い、70mmより大きい、80mmより大きい、90mmより大きい、100mmより大
きい、110mmより大きい、など、の最大x軸調節範囲が提供されている。
【0269】
他方、チャネル12020内に調節可能に位置付けられている重り組立体12040を
有するゴルフクラブヘッド12000の幾つかの実施形態では、重り組立体12040は
、約5mmから約60mmの間の原点y軸座標を有することができる。より具体的には、
一部の特定の実施形態では、重り組立体12040は、約5mmから約50mmの間、約
5mmから約45mmの間、又は約5mmから約40mmの間、又は約10mmから約4
0mmの間、又は約5mmから約35mmの間、の原点y軸座標を有することができる。
而して、幾つかの実施形態では、重り組立体12040には、40mmより小さい最大y
軸調節範囲(Max Δy)が提供されており、例えば、30mmより小さい、20mm
より小さい、10mmより小さい、5mmより小さい、3mmより小さい、など、の最大
y軸調節範囲が提供されている。追加的又は代替的に、後方トラックを有する幾つかの実
施形態では、重り組立体12040には、110mmより小さい最大y軸調節範囲(Ma
x Δy)が提供されており、例えば、80mmより小さい、60mmより小さい、40
mmより小さい、30mmより小さい、15mmより小さい、など、の最大y軸調節範囲
が提供されている。
【0270】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、重り組立体を原点x方向及び原点y方
向に調節できる相対距離に関して制約を有するように構成されていてもよい。その様な制
約は、最大y軸調節範囲(Max Δy)を最大x軸調節範囲(Max Δx)で除算し
たものと定義されていてもよい。幾つかの実施形態によれば、比(Max Δy)/(M
ax Δx)の値は0から約0.8の間である。具体的な実施形態では、比(Max Δ
y)/(Max Δx)の値は、0から約0.5の間、又は0から約0.2の間、又は0
から約0.15の間、又は0から約0.10の間、又は0から約0.08の間、又は0か
ら約0.05の間、又は0から約0.03の間、又は0から約0.01の間、である。
【0271】
以上に論じられている様に、幾つかの実施形態では、重り組立体12040の質量は、
約1gから約50gの間であり、例えば、約3gから約40gの間、約5gから約25g
の間、などである。幾つかの代わりの実施形態では、重り組立体12040の質量は、約
5gから約45gの間であり、例えば、約9gから約35gの間、約9gから約30gの
間、約9gから約25gの間、などである。
【0272】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、重り組立体の質量と重り組立体を原点
x方向及び/又は原点y方向に調節できる相対距離の積に関する制約を有するように構成
されていてもよい。1つのその様な制約は、重り組立体の質量(MWA)を最大x軸調節
範囲(Max Δx)で乗算したものと定義されていてもよい。幾つかの実施形態によれ
ば、積MWA×(Max Δx)の値は、約250g・mmから約4950g・mmの間
である。具体的な実施形態では、積MWA×(Max Δx)の値は、約500g・mm
から約4950g・mmの間、又は約1000g・mmから約4950g・mmの間、又
は約1500g・mmから約4950g・mmの間、又は約2000g・mmから約49
50g・mmの間、又は約2500g・mmから約4950g・mmの間、又は約300
0g・mmから約4950g・mmの間、又は約3500g・mmから約4950g・m
mの間、又は約4000g・mmから約4950g・mmの間、である。
【0273】
重り組立体の質量と重り組立体を原点x方向及び/又は原点y方向に調節できる相対距
離の積に関する別の制約は、重り組立体の質量(MWA)を最大y軸調節範囲(Max
Δy)で乗算したものと定義されていてもよい。幾つかの実施形態によれば、積MWA×
(Max Δy)の値は、約0g・mmから約1800g・mmの間である。具体的な実
施形態では、積MWA×(Max Δy)の値は、約0g・mmから約1500g・mm
の間、又は約0g・mmから約1000g・mmの間、又は約0g・mmから約500g
・mmの間、又は約0g・mmから約250g・mmの間、又は約0g・mmから約15
0g・mmの間、又は約0g・mmから約100g・mmの間、又は約0g・mmから約
50g・mmの間、又は約0g・mmから約25g・mmの間、である。
【0274】
以上に指摘されている様に、重り組立体12040を有するゴルフクラブヘッド120
00の様な、滑動式に位置換え可能な重り組立体を有するゴルフクラブヘッドを用いて手
に入る1つの利点は、ゴルフクラブの末端使用者に、クラブヘッドのCGの場所を位置換
え可能な重りの位置に関係付けられる位置範囲に亘って調節できる機能が提供されること
である。具体的には、本発明には、ここに記載の重り組立体12040の様な重り組立体
を含んでいない同等なゴルフクラブに対比して、より低くより前方のクラブヘッド重心を
提供することへの隔絶した優位性のあることが判明している。
【0275】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド12000は、約-10mmから約10m
mの間のヘッド原点x軸座標(CGx)、例えば、約-4mmから約9mmの間、約-3
mmから約8mmの間、約-2mmから約5mmの間、約-0.8mmから約8mmの間
、約0mmから約8mmの間、など、のヘッド原点x軸座標(CGx)、を有するCGを
有している。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド12000は、約15mmより
大きく約50mmより小さいヘッド原点y軸座標(CGy)、例えば、約22mmから約
43mmの間、約24mmから約40mmの間、約26mmから約35mmの間、など、
のヘッド原点y軸座標(CGy)、を有するCGを有している。幾つかの実施形態では、
ゴルフクラブヘッド12000は、約-8mmより大きく約3mmより小さいヘッド原点
z軸座標(CGz)、例えば約-6mmから約0mmの間など、のヘッド原点z軸座標(
CGz)、を有するCGを有している。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド12
000は、0mmより小さいヘッド原点z軸座標(CGz)、例えば、-2mmより小さ
い、-4mmより小さい、-5mmより小さい、-6mmより小さい、など、のヘッド原
点z軸座標(CGz)、を有するCGを有している。
【0276】
ここに説明されている様に、ゴルフクラブヘッド12000のチャネル12020内で
滑動式重り組立体12040を位置換えすることによって、クラブヘッドのCGの場所が
調節される。例えば、チャネル12020内に調節可能に位置付けられている重り組立体
12040を有するゴルフクラブヘッド12000の幾つかの実施形態では、クラブヘッ
ドには、重り組立体12040の位置換えに帰する、2mmより大きい最大CGx調節範
囲(Max ΔCGx)、例えば、3mmより大きい、4mmより大きい、5mmより大
きい、6mmより大きい、8mmより大きい、10mmより大きい、など、の最大CGx
調節範囲(Max ΔCGx)、が提供されている。
【0277】
更に、前方チャネル12020内に調節可能に位置付けられている重り組立体1204
0を有するゴルフクラブヘッド12000の幾つかの実施形態では、クラブヘッドには、
6mmより小さいCGy調節範囲(Max ΔCGy)、例えば、3mmより小さい、1
mmより小さい、0.5mmより小さい、0.25mmより小さい、0.1mmより小さ
い、など、のCGy調節範囲(Max ΔCGy)が提供されている。また一方、後重り
ポート及び/又は後方重りトラックが設けられている幾つかの場合では、クラブヘッドに
は、2mmより大きいCGy調節範囲(Max ΔCGy)、例えば、約3mmより大き
い、約4mmより大きい、約5mmより大きい、約6mmより大きい、約8mmより大き
い、約10mmより大きい、約12mmより大きい、など、のCGy調節範囲(Max
ΔCGy)が提供されよう。
【0278】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、CGを原点x方向及び原点y方向に調
節できる相対量に関する制約を有するように構成されていてもよい。その様な制約は、最
大CGy調節範囲(Max ΔCGy)を最大CGx調節範囲(Max ΔCGx)で除
算したものと定義されていてもよい。幾つかの実施形態によれば、比(Max ΔCGy
)/(Max ΔCGx)の値は、0から約0.8の間である。具体的な実施形態では、
比(Max ΔCGy)/(Max ΔCGx)の値は、0から約0.5の間、又は0か
ら約0.2の間、又は0から約0.15の間、又は0から約0.10の間、又は0から約
0.08の間、又は0から約0.05の間、又は0から約0.03の間、又は0から約0
.01の間、である。
【0279】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは上記制約の1つだけが適用されるように
構成されていてもよい。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、上記制約の2つ以上
が適用されるように構成されていてもよい。更に他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド
は、上記制約全てが適用されるように構成されていてもよい。
【0280】
下表15は、チャネル内に保定されている重り組立体を有するゴルフクラブヘッド93
00、12000、及び13000の様々な特性を一覧にまとめている。
【0281】
【表3】
【0282】
加えて、図40は、重り組立体がクラブヘッド9300、12000、ウィングレット
有りの12000、及び13000(フェアウェイ)のチャネル内での様々な位置を通し
て調節されてゆく際のCGのx軸及びz軸移動量を示している。
【0283】
示されている様に、クラブヘッド9300では、CGxについての調節範囲は、ヒール
付近の5.8mmからトゥ付近の0.5mmまでであり、5.3mmのMax ΔCGx
が提供されている。加えて、CGzについての調節範囲は、ヒール付近の-1.1mmか
らトゥ付近の-2.2mmまでであり、1.1mmのMax ΔCGzが提供されている
。更に、CGyについての調節範囲は27.3mmから28.9mmまでであり、1.6
mmのMax ΔCGyが提供されている。
【0284】
示されている様に、クラブヘッド12000では、CGxについての調節範囲は、ヒー
ル付近の6.6mmからトゥ付近の-0.7mmまでであり、7.3mmのMax ΔC
Gxが提供されている。加えて、CGzについての調節範囲は、ヒール付近の-2.3m
mからトゥ付近の-3.5mmまでであり、1.2mmのMax ΔCGzが提供されて
いる。また、CGyについての調節範囲は26.4mmから26.6mmまでであり、0
.2mmのMax ΔCGyが提供されている。
【0285】
示されている様に、ウィングレット有りのクラブヘッド12000では、CGxについ
ての調節範囲は、ヒール付近の5.8mmからトゥ付近の-0.7mmまでであり、6.
5mmのMax ΔCGxが提供されている。加えて、CGzについての調節範囲は、ヒ
ール付近の-3.6mmからトゥ付近の-4.0mmまでであり、0.4mmのMax
ΔCGzが提供されている。更に、CGyについての調節範囲は25.3mmから25.
5mmまでであり、0.2mmのMax ΔCGyが提供されている。より軽い重りが使
用されている場合及び/又はチャネルがより短い場合には、Max ΔCGxは大凡5m
m、4mm、又は3mmになることもあり得る。Max ΔCGxが3mm未満の場合に
は、チャネルの極位置間に実質的な性能差はない。同様に、より重い重りが使用されてい
る場合及び/又はチャネルがより小さい曲率半径を有している場合には、Max ΔCG
zは大凡2mm、1.5mm、1mm、又は0.5mmになることもあり得る。
【0286】
示されている様に、クラブヘッド12000C-12000Fでは、CGxについての
調節範囲は、ヒール付近の6.9mmからトゥ付近の0.6mmまでであり、6.3mm
のMax ΔCGxが提供されている。加えて、CGzについての調節範囲は、ヒール付
近の-3.1mmからトゥ付近の-3.7mmまでであり、0.6mmのMax ΔCG
zが提供されている。また、CGyについての調節範囲は32.3mmから28mmまで
であり、4.3mmのMax ΔCGyが提供されている。より軽い重りが使用されてい
る場合又は重りポートがより近く寄り合っている場合には、Max ΔCGyは3mm、
又は2mmにあることもあり得る。より重い重りが使用されている場合又は重りポートが
より遠く離間されている場合には、Max ΔCGyは5mm又は6mmになることもあ
り得る。
【0287】
注目すべきことに、ウィングレット有り12000についてのIxx値及びIzz値を
追加の可動式重り有り12000に比較すると有意な改善を示している。Ixxは229
kg・mmから300kg・mmへ改善され、Izzは366kg・mmから44
0kg・mmへ改善されている。
【0288】
示されている様に、クラブヘッド13000では、CGxについての調節範囲は、ヒー
ル付近の6.9mmからトゥ付近の0.6mmまでであり、6.3mmのMax ΔCG
xが提供されている。加えて、CGzについての調節範囲は、ヒール付近の-3.1mm
からトゥ付近の-3.7mmまでであり、0.6mmのMax ΔCGzが提供されてい
る。また、CGyについての調節範囲は13.3mmから13.3mmまでであり、0.
0mmのMax ΔCGyが提供されている。
【0289】
意外なことに、重り支承チャネルがクラブヘッド前部分に置かれていることは、ゴルフ
クラブ性能の予期せぬ相乗効果に繋がることがある。第1に、Δ1(デルタ1)が相対的
に小さいので、ダイナミックロフティングが低減され、それにより、距離を削りかねない
スピンが低減される。加えて、CGの投影が中心フェースより下になるので、ギヤ効果が
ゴルフボールを付勢してCG投影に向かって回転させ、即ち換言すると前方スピンで回転
させる。これにゴルフクラブヘッドのロフトがバックスピンを付与することによって対抗
する。全体としての効果は、相対的に低いスピンプロファイルである。しかしながら、C
Gはz軸に沿って測定して中心フェースより下(それにより理想的インパクト場所より下
)であるため、ゴルフボールはインパクト時により高く上がる傾向があろう。結果は、き
れいに打たれたショットでの高い打ち出しではあるがスピンのかかりがより低いゴルフシ
ョットであり、スピンによるエネルギー損失がより少ないおかげでより多い距離を有する
より優良なボール飛行(より高くよりソフトな着地)に繋がる。
【0290】
下表16は、ゴルフクラブヘッド9300のロボット試験時に取られた様々な測定値を
一覧にまとめている。ロボット試験では、30g重りをゴルフクラブヘッドのソールに沿
った5通りの異なる位置に位置付けし、次いでそれを使用して中心フェースで多くのショ
ットを叩かせた。図58は、30g重りを5通りの位置P1-P5に配したゴルフクラブ
ヘッド9300を示している。
【0291】
【表4】
【0292】
表16から分かる様に、30g重りの前から後ろへの移動は、デルタ1の9mm増加及
びrpmの800rpm超の増加を生じさせた。これは、結果的にボール速力の約5mp
hの低下及び予測飛距離の約20ヤードの損失を生じさせた。加えて、最も長い予測飛距
離のショットは、30g重りが前方位置にあるときに起こった。注目すべきことに、CG
xはヒール位置からトゥ位置に向けて約9mm動いており、当該範囲に亘ってのCGzの
変化は約2.5mm未満であった。
【0293】
重要なことに、Izz及びIxxは、それぞれ、重りをクラブの前から後へ動かすこと
によって約100kg・mm増加した。しかしながら、これがより「寛容性のある」位
置であるにも関わらず、予測飛距離は、恐らくはスピン増加とボール速力低下が原因で、
最も短かった。
【0294】
表16に示されている様に、30g重りを有するクラブヘッド9300では、CGxに
ついての調節範囲は、ヒール付近の6.3mmからトゥ付近の-2.5mmまでであり、
8.8mmのMax ΔCGxが提供されている。加えて、CGzについての調節範囲は
、ヒール付近の-1mmから中心付近の-3.5mmまでであり、2.5mmのMax
ΔCGzが提供されている。更に、CGyについての調節範囲は27.4mmから36.
4mmまでであり、9mmのMax ΔCGyが提供されている。より軽い重りが使用さ
れている場合又はチャネルがより短い場合には、Max ΔCGxは大凡5mm、4mm
、又は3mmになることもあり得る。Max ΔCGxが3mm未満である場合には、チ
ャネルの極位置間に実質的な性能差はない。同様に、より重い重りが使用されている場合
又はチャネルがより小さい曲率半径を有している場合には、Max ΔCGzは大凡4m
m、3mm、2mm、1.5mm、1mm、又は0.5mmになることもあり得る。
【0295】
下表17は、15g重りを前トラックにそして15g重りを後トラックに使用している
ゴルフクラブヘッド18000についての様々なパラメータを一覧にまとめている。図5
9は、15gの重りを5通りの位置P1-P5に配したゴルフクラブヘッド18000を
示している。
【0296】
【表5】
【0297】
表17から分かる様に、15g重りの位置1-位置3(前)から位置5(後)までの移
動は、結果としてデルタ1の約4.3mmの増加をもたらし、これは、ダイナミックロフ
ティングとCGzの変化の組合せに因る予想rpmの約350rpmの増加となるはずで
ある。注目すべきことに、CGxは、位置1(トゥ)から位置3(ヒール)へ約4.4m
m移動しており、当該範囲に亘るCGzの変化は約0.7mmより少ない。
【0298】
重要なことに、Izz及びIxxのは、それぞれ、後方トラックの15gの重りを位置
1-位置3(前)から位置5(後)へ動かすことによって約60kg・mm増加する。
位置4及び位置5では、クラブはより「寛容性」があると考えられよう。しかしながら、
このクラブは、位置4及び位置5に重りを有するクラブ9300と比べると、「寛容性」
が僅かに劣る。とはいえ、寛容性は、結果としてクラブ9300のロボット試験から表1
6に取得されたデータによって証明されている様に、距離をもたらさない。従って、この
クラブは、位置4及び位置5で、クラブ9300と比べて、フェース上のより低いCG投
影(5.3vs2.6)及びより小さいデルタ1値(21.1vs17.1)に因り、よ
り高い効果を上げるものと予想される。
【0299】
表17に示されている様に、15g重り2つを有するクラブヘッド18000では、C
Gxについての調節範囲は、ヒール付近の5.74mmからトゥ付近の1.35mmまで
であり、4.4mmのMax ΔCGxが提供されている。加えて、CGzについての調
節範囲は、ヒール付近の-3.81mmから中心付近の-4.53mmまでであり、0.
7mmのMax ΔCGzが提供されている。また、CGyについての調節範囲は28.
4mmから32.8mmまでであり、4.4mmのMax ΔCGyが提供されている。
より軽い重りが使用される場合又はチャネルがより短い場合には、Max ΔCGxは大
凡5mm、4mm、又は3mmとなることもあり得る。Max ΔCGxが3mm未満で
ある場合には、チャネルの極位置間には実質的な性能差はない。同様に、より重い重りが
使用されている場合又はチャネルがより小さい曲率半径を有している場合には、Max
ΔCGzは大凡3mm、2mm、1.5mm、1mm、又は0.5mmとなることもあり
得る。
【0300】
追加の詳細事項
以下は、以上に論じられている実施形態の中へ組み入れることのできる又は既に組み入
れられている構造についての追加の詳細である。幾つかの事例では、次に続く論考はより
深く掘り下げられた論考を提供している。以下に説明されている特徴は以上に論じられて
いる実施形態と両立可能であるものと理解されたい。例えば、以上に論じられている実施
形態のそれぞれは、以下に論じられているライ/ロフト調節可能接続組立体を含んでいて
もよいし、含んでいなくてもよい。加えて、以上に論じられている実施形態のそれぞれは
、以下に論じられている複合フェース挿入部を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよ
い。
【0301】
ライ/ロフト調節可能接続組立体
ここでの使用に際し、クラブヘッドへ「取り外し可能に取り付けられ」ているシャフト
とは、接着剤を使わずにねじ又はねじの切られたフェルールの様な1つ又はそれ以上の機
械的締結具を使ってシャフトをクラブヘッドへ接続することができ、2つの構成要素の間
の接着結合を破壊する必要無しに1つ又はそれ以上の機械的締結具を緩めるか又は取り外
すことによってシャフトをヘッドから切り離す又は分離することができることを意味する
【0302】
図1Aは、シャフトロフト及び/又はクラブのライ角をヘッドに対して変えるように様
々な位置で支持できる取り外し可能なシャフトを有するゴルフクラブ組立体の或る実施形
態を示している。組立体は、ホーゼル開口部3004を画定するホーゼル3002を有す
るクラブヘッド3000を備えている。ホーゼル開口部3004は、シャフトスリーブ3
006を受け入れる寸法であり、シャフトスリーブ自体はシャフト3008の下端部分へ
固定されている。シャフトスリーブ3006は、シャフト3008の下端部分に、接着剤
結着されるか、溶接されるか、又は同等様式で固定されている。別の実施形態では、シャ
フトスリーブ3006はシャフト3008と一体に形成されている。示されている様に、
フェルール3010がシャフトのシャフトスリーブ3006のすぐ上側に配置されていて
、シャフトスリーブとシャフト3008の外面の間の移行部片を提供していてもよい。
【0303】
ホーゼル開口部3004は、更に、ホーゼル挿入部200を受け入れるようになってお
り、同挿入部はクラブヘッド内部の環状肩部3012上に位置付けることができる。ホー
ゼル挿入部200は、溶接、接着剤、又は他の適した技法によって、その場に固定するこ
とができる。代わりに、挿入部は、ホーゼル開口部に一体に形成されていてもよい。クラ
ブヘッド3000は、更に、ねじ400を受け入れる大きさの開口部3014を、クラブ
ヘッドの底又はソールに含んでいる。ねじ400は、開口部3014の中へ挿入され、肩
部3012内の開口部を通して、シャフトスリーブ3006の中へ締め付けられ、シャフ
トをクラブヘッドへ固定する。加えて、シャフトスリーブ3006は、所望のシャフトロ
フト及び/又はライ角を実現するようにシャフトをクラブヘッドに対して異なった位置に
支持するように構成されている。
【0304】
所望の場合、例えばOリング又はワッシャ3036などの形態をしているねじ捕捉装置
をねじ400の肩部3012より上の軸に設置して、シャフトをクラブヘッドから取り外
せるようにねじを緩めたときにねじがクラブヘッド内でその場に保定されるようにしても
よい。リング3036は、ねじのねじ部に摩擦係合する寸法であり、リング3036が開
口部を抜けて落下することの無いように、肩部3012の中央開口部より大きい外径を有
しているのが望ましい。図1Aに描かれている様に、シャフトをクラブヘッドに固定する
ためにねじ400が締められたとき、リング3036が、肩部3012とシャフトスリー
ブ3006の隣接する下面の間で圧縮されないようになっているのが望ましい。図1B
、シャフトをクラブヘッドから取り外せるようにするため、ねじ400がシャフトスリー
ブ3006から取り外された状態を示している。示されている様に、分解された状態では
、リング3036は、ねじの遠位端を捕捉して、ねじをクラブヘッド内に保定し、ねじの
紛失を防いでいる。リング3036は、ゴム、ヴァイトン、ネオプレン、シリコン、又は
類似材料の様な、ポリマー又はエラストマー材料を備えているのが望ましい。リング30
36は、例示されている実施形態に描かれている円形断面形状を有するOリングであって
もよい。代わりに、リング3036は、方形又は矩形の断面形状を有する平ワッシャであ
ってもよい。他の実施形態では、リング3036は、他の様々な断面外形をしていてもよ
い。
【0305】
シャフトスリーブ3006は、図44図47に更に詳細に示されている。例示されて
いる実施形態のシャフトスリーブ3006は、シャフトの下端部分を受け入れるための上
側開口部3018を有する上側部分3016と、シャフトの下端部分より下側に位置する
下側部分3020と、を備えている。下側部分3020は、ねじ400のねじの切られた
軸部を受け入れるための、ねじの切られた開口部3034を有している。スリーブの下側
部分3020は、シャフトとクラブヘッドの間の相対回転を制限するため、ホーゼル挿入
部200の回転防止部分と噛み合うように構成されている回転防止部分を備えていてもよ
い。示されている様に、回転防止部分は、ホーゼル挿入部200の対応する内スプライン
240と噛み合うように適合されている複数の長手方向に延びる外スプライン500を備
えていてもよい。
【0306】
スリーブの上側部分3016は下側部分3020に対してオフセット角3022で延び
ている。図43に示されている様に、クラブヘッド内に挿入されたとき、下側部分302
0はホーゼル挿入部200及びホーゼル開口部3004と同軸に整列し、共同で、長手方
向軸Bを画定する。シャフトスリーブ3006の上側部分3016は、長手方向軸Aを画
定しており、シャフト3008を、長手方向軸Bからオフセット角3022だけずれた軸
Aに沿って支持するのに有効である。シャフトスリーブを、ホーゼル挿入部に対して異な
る角度位置で挿入することには、シャフトロフト及び/又はライ角を調節するのに有効で
あり、これについては以下に更に詳しく説明する。
【0307】
図5に最も分かり易く示されている様に、シャフトスリーブの上側部分3016は、開
口部3018の下端からシャフトスリーブの上端まで一定した壁厚さを有しているのが望
ましい。テーパの付けられた面部分3026が、上側部分3016と下側部分3020の
間を延びている。シャフトスリーブの上側部分3016は、ホーゼル3002の上面30
32(図43)に接触する環状支承面3030を画定する拡大頭部分3028を有してい
る。支承面3030は、シャフトスリーブがホーゼルの中へ挿入されたとき、支承面30
30がホーゼルの相対する面3032と全360度に亘って完全に接触することができる
ように、長手方向軸Bに対して90度の角度に向き付けられているのが望ましい。
【0308】
図43に更に示されている様に、ホーゼル開口部3004は、スリーブの上側部分30
16の外面とクラブヘッドの相対する内面の間にギャップ3024が形成される寸法であ
るのが望ましい。上側部分3016はホーゼル開口部の周囲の内側の面と同軸に整列して
いないので、ギャップ3024は、下側部分が長手方向軸Bに対して各実施可能角度位置
でホーゼル挿入部の中まで延びた状態でシャフトスリーブをホーゼル開口部に挿入するこ
とができるように十分に大きいことが望ましい。例えば、例示されている実施形態では、
シャフトスリーブは、ホーゼル挿入部200の8つの内スプライン240の間に受け入れ
られる8つの外スプライン500を有している。
【0309】
シャフトスリーブにとっての長手方向軸Bに対する多数の実施可能角度位置を変えるの
に他のシャフトスリーブとホーゼル挿入部構成を使用することもできる。例えば、図48
及び図49は、シャフトスリーブ3006がホーゼル挿入部200の等間隔に離間された
8つのスプライン240の間に受け入れられる半径方向側壁502を有する等間隔に離間
された8つのスプライン500を有している代わりのシャフトスリーブ及びホーゼル挿入
部の構成を示している。各スプライン500は、隣接のスプラインから、幅Wを有する
ホーゼル挿入部のスプライン240を受け入れる寸法に設定された間隔Sだけ離して配
置されている。これにより、シャフトスリーブの下側部分3020を、ホーゼル挿入部2
00の中へ、長手方向軸B周りに角度を空けて配置されている8つの位置で挿入すること
ができるようになる。或る特定の実施形態では、間隔Sは約23度であり、各スプライ
ン500の円弧角は約22度であり、幅Wは約22.5度である。
【0310】
図50及び図51は、シャフトスリーブ及びホーゼル挿入部の構成の別の実施形態を示
している。図50及び図51の実施形態では、シャフトスリーブ3006(図8)は、ス
プラインからスプラインまでの間隔SとSが交互になるように離間されている8つの
スプライン500を有しており、ここに、SはSより大きい。各スプラインは、先に
半径方向側壁について説明されているのと同じ利点をもたらす半径方向側壁502を有し
ている。同様に、ホーゼル挿入部200(図9)は、スプライン間隔SとSよりそれ
ぞれ僅かに小さい幅WとWが交互になるように配置された8つのスプライン240を
有していて、幅Wの各スプライン240がシャフトスリーブの間隔S内に受け入れら
れ、幅Wの各スプライン240がシャフトスリーブの間隔S内に受け入れられるよう
にしている。これにより、シャフトスリーブの下側部分3020を、ホーゼル挿入部20
0の中へ、長手方向軸B周りに角度を空けて配置されている4つの位置で挿入できるよう
になる。或る特定の実施形態では、間隔Sは約19.5度、間隔Sは約29.5度、
各スプライン500の円弧角は約20.5度、幅Wは約19度、幅Wは約29度であ
る。加えて、使用するシャフトスリーブ側のスプライン及びホーゼル挿入部側の噛み合い
相手のスプラインの数を多くするなり少なくするなりして、シャフトスリーブにとっての
実行可能位置の数を増やすなり減らすなりすることができる。
【0311】
理解される様に、図43図51に示されている組立体は、シャフトロフト及び/又は
ライ角を変えるために、シャフトがクラブヘッドに対して異なった向き付けに支持される
ことを可能にするという点で同じである。図43図51の組立体の利点は、部品数がよ
り少なく、従って製造するのに費用が少なくてすみ質量が抑えられる(全体重量の軽減化
を可能にさせる)ことである。
【0312】
図10は、図1Aに示されている実施形態と類似のゴルフクラブ組立体の別の実施形態
を示している。図10の実施形態は、ホーゼル開口部3054を画定しているホーゼル3
052を有するクラブヘッド3050を含んでおり、ホーゼル開口部自体はホーゼル挿入
部200を受け入れるように適合されている。ホーゼル開口部3054は、更に、ここに
記載されているシャフト(図10には図示せず)の下端部分に取り付けられているシャフ
トスリーブ3056を受け入れるように適合されている。
【0313】
シャフトスリーブ3056は、ホーゼル挿入部200のスプラインと噛み合うスプライ
ンを含んでいる下側部分3058と、中間部分3060と、上側頭部分3062と、を有
している。中間部分3060と頭部分3062は、シャフトの先端部分を受け入れるため
の内穴3064を画定している。例示されている実施形態では、シャフトスリーブの中間
部分3060は、ホーゼル開口部3054の内側円筒面と同心である円筒状の外面を有し
ている。このやり方では、シャフトスリーブの下側及び中間の部分3058、3060と
ホーゼル開口部3054とで、長手方向軸Bを画定している。シャフトスリーブの穴30
64は、長手方向軸Aを画定しており、シャフトが、軸Bから穴3064によって決まる
所定の角度3066だけずれた軸Aに沿って支持されるようにしている。ここに説明され
ている様に、シャフトスリーブ3056を、ホーゼル挿入部200に対して異なる角度位
置で挿入することは、シャフトロフト及び/又はライ角を調節するのに有効である。
【0314】
この実施形態では、中間部分3060はホーゼル開口部3054と同心なので、図10
に描かれているように、中間部3060の外面はホーゼル開口部の隣接する面に接触する
ことができる。これにより、シャフト装着時の組立体の噛み合い機構を容易に整列させる
ことができ、更には製造プロセス及び効率を改善することができる。図11及び図12
、シャフトスリーブ3056の拡大図である。示されている様に、シャフトスリーブの頭
部分3062(ホーゼル3052より上側に延びている部分)を中間部分3060に対し
て角度3066だけ傾斜させ、シャフトと頭部分3062が共に軸Aに沿って整列するよ
うにすることができる。代わりの実施形態では、頭部分3062は、中間部分3060及
び下側部分3058と平行になるように、軸Bに沿って整列させることができる。
【0315】
材料
本明細書に開示されているヘッド対シャフト接続組立体の構成要素は、各種の適した金
属、合金、ポリマー、複合材、又はそれらの各種組合せの何れから形成されていてもよい
【0316】
以上に記されているものに加え、接続組立体の構成要素を形成するのに使用することが
できる金属及び合金の幾つかの例として、限定するわけではないが、炭素鋼(例えば、1
020又は8620炭素鋼)、ステンレス鋼(例えば、304又は410ステンレス鋼)
、PH(析出硬化性)合金(例えば、17-4、C450、又はC455合金)、チタン
合金(例えば、3-2.5、6-4、SP700、15-3-3-3、10-2-3、又
は他のアルファ/ニアアルファ、アルファ-ベータ、及びベータ/ニアベータチタン合金
)、アルミニウム/アルミニウム合金(例えば、3000シリーズ合金、5000シリー
ズ合金、6061-T6の様な6000シリーズ合金、7075の様な7000シリーズ
合金)、マグネシウム合金、銅合金、及びニッケル合金が挙げられる。
【0317】
構成要素を形成するのに使用することができる複合材の幾つかの例として、限定するわ
けではないが、ガラス繊維強化ポリマー(GFRP)、炭素繊維強化ポリマー(CFRP
)、金属マトリクス複合材(MMC)、セラミックマトリクス複合材(CMC)、及び天
然複合材(例えば、複合木材)が挙げられる。
【0318】
構成要素を形成するのに用いられるポリマーの幾つかの例として、限定するわけではな
いが、熱可塑性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル
、PVC、ABS、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリフェニレンオキシド(PPO
)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、及
びエンジニアリング熱可塑性プラスチック)、熱硬化性材料(例えば、ポリウレタン、エ
ポキシ、及びポリエステル)、コポリマー、及びエラストマー(例えば、天然又は合成ゴ
ム、EPDM、及びTflon(登録商標))が挙げられる。
【0319】
質量特性
ゴルフクラブヘッドは、本体と重りポートと重りとの組み合わされた質量と定義される
ヘッド質量を有している。総重り質量は、ゴルフクラブヘッドへ装着された単数又は複数
の重りの組み合わされた質量である。総重りポート質量は、重りポートとリブの様な何ら
かの重りポート支持構造の組み合わされた質量である。
【0320】
1つの実施形態では、後部重り6304は、約15グラムから約20グラムの間にある
最も重い重りである。一部の特定の実施形態では、より軽い重りは、約1グラムから約6
グラムとすることができる。1つの実施形態では、16gの重い重り1つと1gのより軽
い重り2つが好適とされる。
【0321】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドには、約1gから約12gの間の総重りポ
ート質量を有する3つの重りポートが設けられている。一部の特定の実施形態では、リブ
無しの重りポート質量は、約9gの組み合わされた重りポート質量となるように約3gで
ある。幾つかの実施形態では、リブ有りでの総重りポート質量は、約15グラムから約1
8gの組み合わされた重りポート質量になるように約5gから約6gである。
【0322】
体積特性
本願のゴルフクラブヘッドは、クラブヘッド本体の体積的押し退け量に等しい体積を有
している。幾つかの実施形態では、本願のゴルフクラブヘッドは、約110cmから約
600cmの間のヘッド体積を有するように構成することができる。より具体的な実施
形態では、ヘッド体積は、約250cmから約500cmの間、400cmから約
500cmの間、390cmから約420cmの間、又は約420cmから47
5cmの間、である。1つの例示としての実施形態では、ヘッド体積は、約390乃至
約410cmである。
【0323】
慣性モーメント及びCG場所
ゴルフクラブヘッド慣性モーメントは、ゴルフクラブヘッドCGを通って延びる軸を中
心に定義される。ここでの使用に際し、ゴルフクラブヘッドCG場所は、ゴルフクラブヘ
ッド原点座標系上のその位置を参照して提供されるものである。ゴルフクラブヘッド原点
は、フェース板上の大凡の幾何学的中心に、即ちフェース板の高さと幅の中点の交わる所
に位置付けられている。
【0324】
ヘッド原点座標系は、x軸とy軸を含んでいる。原点x軸は、ヘッドが理想的に位置付
けされているとき、フェース板に対し接線方向に概して地面に平行に延びており、正のx
軸は原点からゴルフクラブヘッドのヒールに向かって延び、負のx軸は原点からゴルフク
ラブヘッドのトゥへ延びている。原点y軸は、ヘッドが理想的に位置付けられたとき、概
して原点x軸に直角に地面に平行に延びており、正のy軸はヘッド原点からゴルフクラブ
の後部分に向かって延びている。ヘッド原点は、更に、原点x軸及び原点y軸に直角に延
びている原点z軸を含むものであって、正のz軸は原点からゴルクラブヘッドの最上部分
へ向かって延び、負のz軸は原点からゴルフクラブヘッドの底部分に向かって延びている
【0325】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、約-10mmから約10mmの間のヘ
ッド原点x軸(CGx)座標と約15mmより大きいか又は約50mmより小さいヘッド
原点y軸(CGy)座標を有するCGを有している。一部の特定の実施形態では、クラブ
ヘッドは、約-5mmから約5mmの間の原点x軸座標と、約0mmより大きい原点y軸
座標と、約0mmより小さい原点z軸(CGz)座標と、を有するCGを有している。
【0326】
より厳密には、特定の構成を有するゴルフクラブヘッドの具体的な実施形態では、ゴル
フクラブヘッドは、下表8に近似表示されている座標を有するCGを有している。表8の
ゴルフクラブヘッドは、3つの重りポートと3つの重りを有している。構成1では、最も
重い重りは、最も後ろ即ち後部重りポートに設置されている。最も重い重りは構成2では
ヒール重りポートに設置されており、最も重い重りは構成3ではトゥ重りポートに設置さ
れている。
【0327】
【表6】
【0328】
表8は、可動式重りを動かすことによって可能となり得るCG変化量を強調している。
1つの実施形態では、ここに説明されている実施可能なロフト角、ライ角、及びフェース
角の調節を相殺するか又は強化するうえで有意な性能変化を作り出すのに十分に大きいC
G変化を実現するために、可動式重り変化はx方向(ヒール-トゥ)方向に約2mmから
約10mmの間のCG変化を提供する。CGの実質的変化は、異なった重りポートの間で
動かされる重りの差を大きくし、CG変化を実現するように十分に間隔を空けて重りポー
トを離間させることによって、達成される。一部の特定の実施形態では、CGは、0より
小さいCGzの中心フェースより下に位置している。CGxは、約-2mm(トゥ寄り)
から8mm(ヒール寄り)の間であり、或いはなおいっそう好適には、約0mmから約6
mmの間である。また、CGyは、約25mmから約40mmの間(中心フェースの後部
)とすることができる。
【0329】
ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントは、原点が重心CGに置かれていることを別にす
れば原点座標系と同様の軸であるCGx軸、CGy軸、及びCGz軸を中心に測定される
【0330】
一部の特定の実施形態では、本発明のゴルフクラブヘッドは、約70kg・mmから
約400kg・mmの間のゴルクラブヘッドCGx軸周り慣性モーメント(Ixx)を
有することができる。より厳密には、一部の特定の実施形態は、約200kg・mm
ら約300kg・mmの間又は約200kg・mmから約500kg・mmの間の
CGx軸周り慣性モーメントを有している。
【0331】
幾つかの実施形態では、本発明のゴルフクラブヘッドは、約200kg・mmから約
600kg・mmの間のゴルクラブヘッドCGz軸周り慣性モーメント(Izz)を有
することができる。より厳密には、一部の特定の実施形態は、約400kg・mmから
約500kg・mmの間又は約350kg・mmから約600kg・mmの間のC
Gz軸周り慣性モーメントを有している。
【0332】
幾つかの実施形態では、本発明のゴルフクラブヘッドは、約200kg・mmから約
400kg・mmの間のゴルクラブヘッドCGy軸周り慣性モーメント(Iyy)を有
することができる。一部の特定の実施形態では、ゴルフクラブヘッドCGy軸周り慣性モ
ーメントは、約250kg・mmから約350kg・mmの間である。
【0333】
慣性モーメントは、下表9に示されている様に最も重い可動式重りの場所に依存して変
化することになる。ここでもやはり、構成1では、最も重い重りは、最も後ろ即ち後部重
りポートに設置されている。最も重い重りは構成2ではヒール重りポートに設置されてお
り、最も重い重りは構成3ではトゥ重りポートに設置されている。
【0334】
【表7】
【0335】
薄壁構造
本願のゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態によれば、ゴルフクラブヘッドは薄壁構
造を有している。薄壁構造は、他にも利点はあるが中でもとりわけ、クラブヘッドの一部
分からクラブヘッドの別の部分への材料の再配分を実現し易くする。再配分される材料は
或る特定の質量を有しているので、当該材料をゴルフクラブヘッドの例えばCG位置や慣
性モーメントの大きさの様な質量配分に関係のある性能パラメータを強化する場所に再配
分することができる。クラブヘッドの構造的完全性に影響すること無しに再配分できるク
ラブヘッド材料は、一般に、裁量的重量と呼ばれている。本発明の幾つかの実施形態では
、薄壁構造は、裁量的重量を、打球板、クラウン、スカート、又はソール、のうちの1つ
又は組合せから取り去って、重りポート及び対応する重りの形態で再配分させることを可
能にする。
【0336】
薄壁構造は、薄いソール構造、即ち約0.9mmより小さいが約0.4mmより大きい
厚さをソール表面積の少なくとも約50%に亘って有するソール、及び/又は薄いスカー
ト構造、即ち約0.8mmより小さいが約0.4mmより大きい厚さをスカート表面積の
少なくとも約50%に亘って有するスカート、及び/又は薄いクラウン構造、即ち約0.
8mmより小さいが約0.4mmより大きい厚さをクラウン表面積の少なくとも約50%
に亘って有するクラウン、を含むことができる。1つの実施形態では、クラブヘッドは、
チタンで作られており、所望のCG位置を実現するのに十分な重量を空けるために、0.
65mmより小さい厚さをクラウンの少なくとも50%に亘って有している。
【0337】
より厳密には、薄いソール構造と少なくとも1つの重り及び少なくとも2つの重りポー
トを有するゴルフクラブの一部の特定の実施形態では、ソール、クラウン、及びスカート
は、それぞれ、各々の表面の少なくとも約50%に亘って、約0.4mmから約0.9m
mの間、約0.8mmから約0.9mmの間、約0.7mmから約0.8mmの間、約0
.6mmから約0.7mmの間、又は約0.6mm未満、の厚さを持つことができる。薄
いスカート構造を有するゴルフクラブの或る具体的な実施形態によれば、スカート表面積
の少なくとも約50%に亘るスカート厚さは、約0.4mmから約0.8mmの間、約0
.6mmから約0.7mmの間、又は約0.6mm未満、とすることができる。
【0338】
薄壁構造は、下の式(数式5)、即ち、
【0339】
【数3】
【0340】
によって定義されている面積重量に従って記述することができる。
【0341】
上の式では、AWは面積重量、ρは密度、tは材料の厚さ、と定義されている。1つの
例示としての実施形態では、ゴルクラブヘッドは、約4.5g/cm又はそれより小さ
い密度ρを有する材料で作られている。1つの実施形態では、クラウン又はソール部分の
厚さは、約0.04cmから約0.09cmの間である。従って、クラウン又はソール部
分の面積重量は、約0.18g/cmから約0.41g/cmの間である。幾つかの
実施形態では、クラウン又はソール部分の面積重量は、クラウン又はソール表面積の少な
くとも約50%に亘って、0.41g/cmより小さい。他の実施形態では、クラウン
又はソールの面積重量は、クラウン又はソール表面積全体の少なくとも約50%に亘って
約0.36g/cmより小さい。
【0342】
一部の特定の実施形態では、薄壁構造は、米国特許出願第11/870,913号及び
米国特許第7,186,190号に従って実施されており、当該特許出願及び特許を参考
文献としてここにそっくりそのまま援用する。
【0343】
可変厚さのフェース板
幾つかの実施形態によれば、ゴルフクラブヘッドフェース板は、可変厚さのフェース板
を含むことができる。フェース板の厚さを変えることは、一般にはゴルフクラブヘッドの
スイートスポットと呼ばれるクラブヘッドCORゾーンの大きさを増加させ、ゴルフクラ
ブヘッドでゴルフボールを打ったときにフェース板のより広い面積が一貫して高いゴルフ
ボール速度とショット寛容性を叶えられるようにする。更に、フェース板の厚さを変化さ
せることは、クラブヘッドの別の区域への再割り付けのためにフェース領域の重量を削減
する上で好都合であろう。
【0344】
図13A及び図13Bに例示されているゴルクラブヘッドの1つの実施形態による可変
厚さのフェース板6500は、ゴルフクラブヘッドの後部分に向けて内部キャビティの中
へ延びる略円形の突出部6502を含んでいる。図13Aに示されている断面で見たとき
に、突出部6502は、フェース板6500の外側部分6508から中間部分6504に
向けて厚さが増加してゆく部分を含んでいる。突出部6502は、更に、中間部分650
4から好適にはゴルフクラブヘッド原点に近接する突出部中央にほぼ位置する内側部分6
506に向けて厚さが減少してゆく部分を含んでいる。原点x軸6512と原点z軸65
10は、x-z平面を横切って内側部分6506付近で交わっている。また一方で、原点
x軸6512、原点z軸6510、及び原点y軸6514は、フェース板の打面に位置す
る理想インパクト位置6501を通っている。一部の特定の実施形態では、内側部分65
06は、x-z平面に関して理想インパクト位置と整列している。
【0345】
突出部の有るフェース板を有するゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態では、最大フ
ェース板厚さは約4.8mmより大きく、最小フェース板厚さは約2.3mmより小さい
。一部の特定の実施形態では、最大フェース板厚さは約5mmから約5.4mmの間で、
最小フェース板厚さは約1.8mmから約2.2mmの間である。一部のなおいっそう特
定的な実施形態では、最大フェース板厚さは約5.2mmで、最小フェース板厚さは約2
mmである。フェース厚さは、重量を節約すると共に中心外れの当たりでのより高いボー
ル速力を実現するためには、フェースに亘って少なくとも25%の厚さ変化(最厚肉部と
最薄肉部を比較)を有していなくてはならない。
【0346】
突出部の有るフェース板と薄いソール構造及び薄いスカート構造を有するゴルフクラブ
ヘッドの幾つかの実施形態では、最大フェース板厚さは約3.0mmより大きく、最小フ
ェース板厚さは約3.0mmより小さい。一部の特定の実施形態では、最大フェース板厚
さは、約3.0mmから約4.0mmの間、約4.0mmから約5.0mmの間、約5.
0mmから約6.0mmの間であるか、又は約6.0mmより大きく、最小フェース板厚
さは、約2.5mmから約3.0mmの間、約2.0mmから約2.5mmの間、約1.
5mmから約2.0mmの間であるか、又は約1.5mmより小さい。
【0347】
一部の特定の実施形態では、可変厚さフェース外形は、米国特許出願第12/006,
060号、米国特許第6,997,820号、同第6,800,038号、及び同第6,
824,475号に従って実施されており、当該特許出願及び特許をここに参考文献とし
てそっくりそのまま援用する。
【0348】
重りポート間距離
少なくとも2つの重りポートを有するゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態では、第
1重りポートと第2重りポートの間の距離は、約5mmから約200mmの間である。よ
り具体的な実施形態では、第1重りポートと第2重りポートの間の距離は、約5mmから
約100mmの間、約50mmから約100mmの間、又は約70mmから約90mmの
間である。幾つかの具体的な実施形態では、第1重りポートはゴルフクラブヘッドのトゥ
部分に近接して配置され、第2重りポートはゴルフクラブヘッドのヒール部分に近接して
配置されている。
【0349】
第1、第2、及び第3の重りポートを有するゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態で
は、第1重りポートと第2重りポートの間の距離は約40mmから約100mmの間であ
り、第1重りポートと第3重りポートの間の距離及び第2重りポートと第3重りポートの
間の距離は約30mmから約90mmの間である。一部の特定の実施形態では、第1重り
ポートと第2重りポートの間の距離は約60mmから約80mmの間であり、第1重りポ
ートと第3重りポートの間の距離及び第2重りポートと第3重りポートの間の距離は約5
0mmから約80mmの間である。或る具体的な例では、第1重りポートと第2重りポー
トの間の距離は約80mmから約90mmの間であり、第1重りポートと第3重りポート
の間の距離及び第2重りポートと第3重りポートの間の距離は約70mmから約80mm
の間である。幾つかの実施形態では、第1重りポートはゴルフクラブヘッドのトゥ部分に
近接して配置され、第2重りポートはゴルフクラブヘッドのヒール部分に近接して配置さ
れ、第3重りポートはゴルフクラブヘッドの後部分に近接して配置されている。
【0350】
第1、第2、第3、及び第4の重りポートを有するゴルフクラブヘッドの幾つかの実施
形態では、第1重りポートと第2重りポートの間の距離、第1重りポートと第4重りポー
トの間の距離、及び第2重りポートと第3重りポートの間の距離は、約40mmから約1
00mmの間であり、第3重りポートと第4重りポートの間の距離は10mmから80m
mの間であり、第1重りポートと第3重りポートの間の距離及び第2重りポートと第4重
りポートの間の距離は約30mmから約90mmの間である。一部のより具体的な実施形
態では、第1重りポートと第2重りポートの間の距離、第1重りポートと第4重りポート
の間の距離、及び第2重りポートと第3重りポートの間の距離は、約60mmから約80
mmの間であり、第1重りポートと第3重りポートの間の距離及び第2重りポートと第4
重りポートの間の距離は約50mmから約70mmの間であり、第3重りポートと第4重
りポートの間の距離は約30mmから約50mmの間である。一部のより具体的な実施形
態では、第1重りポートはゴルフクラブヘッドの前トゥ部分に近接して配置され、第2重
りポートはゴルフクラブヘッドの前ヒール部分に近接して配置され、第3重りポートはゴ
ルフクラブヘッドの後トゥ部分に近接して配置され、第4の重りポートはゴルフクラブヘ
ッドの後ヒール部分に近接して配置されている。
【0351】
重りポート間距離と最大重りの積
以上に言及されている様に、重りポート間距離と重りの大きさは、ここに説明されてい
るスリーブ組立体を有するシステム内で実施可能となるCG変化量に寄与する。
【0352】
2つ、3つ又は4つの重りを有する本願のゴルフクラブヘッドの幾つかの実施形態では
、最大重り質量に最大重りと最小重りの間の距離を乗算したものは、約450g・mmか
ら約2,000g・mmの間、又は約200g・mmから2,000g・mmの間である
。より厳密には、一部の特定の実施形態では、最大重り質量に重り離隔距離を乗算したも
のは、約500g・mmから約1,500g・mmの間、又は約1,200g・mmから
1,400g・mmの間である。
【0353】
重り又は重りポートが、別の重り又は重りポートまでの距離、即ちベクトル距離(或る
基準又は特徴点から別の基準又は特徴点まで延びる直線の長さとして定義)を求めるため
の基準点として使用されている場合、基準点は典型的には重りポートの体積中心である。
【0354】
可動式重りクラブヘッドとスリーブ組立体が組み合わされた場合、最高レベルのクラブ
軌道修正の実現が可能になると同時にアドレス時のクラブの所望の外観を実現することが
可能になる。例えば、プレイヤーがアドレス時に開いたクラブフェース外観を持つことを
好む場合、プレイヤーはクラブを「R」即ち開いたフェース位置に入れればよい。当該プ
レイヤーは、このとき、(フェースが開いているため)フェードショットを叩くが、直線
ショット又は軽いドローを叩きたいと思えば、同じクラブを取り、重い重りをヒールポー
トへ動かしてドローバイアスを増進させることが可能である。従って、プレイヤーは、ア
ドレス時の所望の外観(この事例では開いたフェース)と所望の軌道(この事例では直線
又は軽いドロー)を持つことが可能となる。
【0355】
更に別の利点では、可動式重りの概念を調節可能なスリーブ位置(ロフト角、ライ角、
フェース角に作用)と組み合わせることによって、プレイヤーが実現しようと試みる所望
の軌道バイアスを増幅することが可能である。
【0356】
例えば、プレイヤーが可能最大ドローを実現したいと望む場合、プレイヤーはスリーブ
位置を閉じたフェース位置即ち「L」位置に調節し、更に、重い重りをヒールポートに入
れればよい。重りとスリーブ位置が一体に機能して、なし得るより大きなドローバイアス
を実現させる。他方、最も大きなフェードバイアスを実現するには、スリーブ位置を開い
たフェース即ち「R」位置に設定し、重い重りをトップポートに設置する。
【0357】
重りポート間距離と最大重りと最大ロフト変化の積
ここに説明されている様に、大きなCG変化(最も重い重りにポート間距離を乗算)と
大きなロフト変化(2つのスリーブ位置の間での最大可能ロフト変化Δloftにより測
定)の組合せは、結果として、最高レベルの軌道調節性をもたらす。而して、少なくとも
2つの重りポート間の距離と最大重りと最大ロフト変化の積は、ここに記載の実施形態に
よって実現される恩恵を説明する上で重要である。
【0358】
1つの実施形態では、少なくとも2つの重りポート間の距離と最大重りと最大ロフト変
化の積は、約50mm・g・度から約6,000mm・g・度の間、又はなおいっそう好
適には約500mm・g・度から約3,000mm・g・度の間である。換言すると、一
部の特定の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、次の数式6及び数式7、即ち、
【0359】
【数4】
【0360】
【数5】
【0361】
を満たす。
【0362】
上の数式では、Dwpは2つの重りポート中心間距離(mm)、Mhwは最も重い重り
の質量(g)、そしてΔloftは少なくとも2つのスリーブ位置の間での最大ロフト変
化(度)である。ここに説明されている範囲内のゴルフクラブヘッドは、最高レベルの軌
道調節性を確約するであろう。
【0363】
トルクレンチ
図14に関連して、トルクレンチ6600は、グリップ6602、シャンク6606、
及びトルクレンチ内部に収納されているトルク制限機構、を含んでいる。グリップ660
2とシャンク6606はT形状を形成しており、トルク制限機構はグリップ6602とシ
ャンク6606の間の中間領域6604に配置されている。トルク制限機構は、ここに記
載されている実施形態の可動式重り、調節可能なスリーブ、及び調節可能なソールの各特
徴の過剰な締め付けを防止する。使用時、トルク限界に達すると、例示としての実施形態
のトルク制限機構はグリップ6602をシャンク6606から回転係合解除させることに
なる。レンチ6600は、約30インチ-ポンドから約50インチ-ポンドの間のトルク
に制限されているのが好ましい。より厳密には、限界は約35インチ-ポンドから約45
インチ-ポンドの間のトルクである。1つの例示としての実施形態では、レンチ6600
は、約40インチ-ポンドのトルクに制限されている。
【0364】
可動式重り、調節可能なスリーブ又は調節可能なロフトシステム、及び調節可能なソー
ルの各特徴、を調節する場合の単一工具即ちトルクレンチ6600の使用は、使用者が所
望の調節を果たすのに複数の工具又は付属品を携行する必要がないという点で比類のない
利点をもたらす。
【0365】
シャンク6606は、ここに記載されている可動式重り、調節可能なスリーブ、及び調
節可能なソールの各特徴と作動可能に噛み合うように構成されている係合端、即ち先端6
610に終端している。1つの実施形態では、係合端又は先端6610は、可動式重り、
調節可能なスリーブ、及び調節可能なソールの各特徴を調節するに当たり噛み合い構成を
たった1つ有しているビット型式のねじ回し先端である。係合端は、先端の周囲周りに等
距離に離間されているローブとフルートで構成されていてもよい。
【0366】
一部の特定の実施形態では、単一工具6600は、ソール角及び調節可能なスリーブ(
即ち、ロフト角、ライ角、又はフェース角に作用する)のみを調節するのに提供されてい
る。別の実施形態では、単一工具6600は、調節可能なスリーブ及び可動式重りのみを
調節するのに提供されている。更に他の実施形態では、単一工具6600は、可動式重り
及びソール角のみを調節するのに提供されている。
【0367】
複合フェース挿入部
図15Aは、クラウン部分6702、ソール部分6720、後部分6718、前部分6
716、トゥ領域6704、ヒール領域6706、及びスリーブ6708、を含んでいる
ゴルフクラブヘッド6700の等角投影図を示している。前部分6716に設けられてい
る前開口部内壁6714の中へフェース挿入部6710が挿入されている。フェース挿入
部6710は、複数のスコアラインを含んでいてもよい。
【0368】
図15Bは、ゴルフクラブヘッド6700と、複合フェース挿入体6722及び金属キ
ャップ6724を含むフェース挿入部6710と、の分解組立図を示している。一部の特
定の実施形態では、金属キャップ6724は、6-4チタン又はCPチタンの様なチタン
合金である。幾つかの実施形態では、金属キャップ6725は、複合挿入体6722の側
壁6734の一部分を覆うリム部分6732を含んでいる。
【0369】
他の実施形態では、金属キャップ6724は、リム部分6732を有しておらず、複合
挿入体6722の側壁6734と実質的に面一又は同一面内である外周縁を含んでいる。
金属キャップ6724上には複数のスコアライン6712が配置されていてもよい。複合
フェース挿入部6710は、可変厚さを有しており、前開口部内に設けられていて前開口
部内径6714へ接続されている挿入部用耳部6726へ接着式又は機械式に付着される
。挿入部用耳部6726及び複合フェース挿入部6710は、米国特許出願第11/64
2,310号、同第11/825,138号、同第11/960,609号、同第11/
960,610号、並びに米国特許第7,267,620号、同第RE42,544号、
同第7,874,936号、同第7,874,937号、及び同第7,985,146号
、に記載されている型式とすることができ、当該特許出願及び特許を参考文献としてここ
にそっくりそのまま援用する。
【0370】
図15Bは、クラブヘッド6700のヒール領域6706に配置されているヒール開口
部6730を更に示している。ヒール開口部6730の中へは、以上に説明されている様
々な実施形態の中に示されている様にスリーブ6708をロック位置に固定するべく締結
部材6728が挿入される。一部の特定の実施形態では、スリーブ6708は、ここに開
示されている具体的な設計パラメータの何れを有していてもよく、ここに説明されている
様々なフェース角及びロフト角の向き付けを提供することができる。
【0371】
図16は、ここに詳しく説明されているスリーブ6808、ヒール領域6806、前領
域6816、後領域6818、ホーゼル開口部6828、前開口部内壁6814、及び挿
入部用耳部6826、を有する或る代わりの実施形態を示している。但し、図16は、前
カバー6824付きの複合フェース挿入体6822を含むフェース挿入部6810を示し
ている。1つの実施形態では、前カバー6824はポリマー材料である。フェース挿入部
6810は、ポリマーカバー6824又は複合フェース挿入体6822上に配置されてい
るスコアラインを含んでいてもよい。
【0372】
図15A図15C及び図16に記載されている実施形態のクラブヘッドは、約200
gから約210g又は約190gから約200gの質量を有することができる。一部の特
定の実施形態では、クラブヘッドの質量は約205g未満である。1つの実施形態では、
質量は少なくとも約190gである。一部の特定の実施形態では、ホーゼル開口部及び挿
入部用耳部によって加増される追加の質量が、表10及び表11に示されている様に慣性
モーメントと重心の値に影響を及ぼすであろう。
【0373】
【表8】
【0374】
【表9】
【0375】
調節可能なロフト及びライ角を複合フェース挿入部と併せて有するゴルフクラブは、表
10及び表11に掲載されている慣性モーメント及びCG場所を実現することができる。
一部の特定の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、調節可能なスリーブシステム及び複
合フェースに加え可動式の重りを含むことができる。可動式重りが実施されている実施形
態では、ここで既に説明されている同様の慣性モーメント値及びCG値を実現させること
ができる。
【0376】
ここに記載されているゴルフクラブヘッド実施形態は、可動式重りシステム及び調節可
能なロフト、ライ、フェース角システムによって加増される追加重量に対する解を提供し
ている。ゴルフクラブへの望ましからざる重量の加増は、所望のヘッド寸法、慣性モーメ
ント、及び公称重心場所を実現し難くする。
【0377】
一部の特定の実施形態では、超薄壁鋳造技術と、高強度可変フェース厚さと、戦略的に
設置されているコンパクト且つ軽量な可動式重りポートと、軽量で調節可能なロフト、ラ
イ、及びフェース角システムと、の組合せが、高い効果を上げる慣性モーメント、重心、
及びヘッド寸法の値を実現することを可能にする。
【0378】
更に、ここに記載のスリーブ実施形態の個別の位置の都合の良さが、耐久性の増したよ
りユーザーフレンドリーなシステムを可能にさせる。
【0379】
回転式に調節可能なソール部分
以上に論じられている様に、従来のゴルフクラブは、ホーゼル/シャフトロフト72の
調節をフェース角30に相応の変化を生じさせること無しにはなし得ない。フェース角と
ホーゼル/シャフトロフト(ひいてはスクエアロフト)の間の関係を「切り離す」ように
構成されていることにより、即ちスクエアロフト20とフェース角30の別々の調節を可
能にさせる。
【0380】
特定の実施形態では、ねじ8016と調節可能なソール部分8010の組み合わされた
質量は、約2グラムから約11グラムの間、望ましくは約4.1グラムから約4.9グラ
ムの間である。また、陥凹キャビティ8014と突起8054は、ソールが陥凹キャビテ
ィ8014に代えて平滑な0.6mm厚のチタン壁を有している場合に比べて、約1グラ
ムから約10グラムの追加の質量をソール8022へ加えることになろう。合計で、ゴル
フクラブヘッド8000(ソール部分8010を含む)は、ゴルフクラブヘッドが陥凹キ
ャビティ8014と調節可能なソール部分8010とねじ8016に代えて平滑な0.6
mm厚のチタン壁を有する従来のソールを有している場合に比べて、約3グラムから約2
1グラムの追加の質量を備えることになろう。
【0381】
他の特定の実施形態では、クラブヘッド本体8002のクラウン8021の少なくとも
50%は、約0.7mm未満の厚さを有している。
【0382】
更に他の特定の実施形態では、ゴルフクラブ本体8002は、内部キャビティ(図示せ
ず)を画定しており、ゴルフクラブヘッド8000は、約2mmより大きく約8mmより
小さいヘッド原点x軸座標と約25mmより大きく約40mmより小さいヘッド原点y軸
座標を有する重心を有しており、ここに正のy軸は内部キャビティに向かって延びている
。少なくともこれらの実施形態では、ゴルフクラブヘッド8000の重心は、約0mmよ
り小さいヘッド原点z軸座標を有していよう。
【0383】
他の特定の実施形態では、ゴルフクラブヘッド8000は、原点x軸に略平行なヘッド
重心x軸周りの慣性モーメントが約200kg・mmから約500kg・mmの間と
され、ゴルフクラブヘッドが理想的に位置決めされたときに地面に略直角なヘッド重心z
軸周りの慣性モーメントが約350kg・mmから約600kg・mmの間とされて
いる。
【0384】
一部の特定の実施形態では、ゴルフクラブヘッド8000は、約400ccより大きな
体積と約220グラムより小さい質量を有することができる。
【0385】
下表12は、ゴルフクラブヘッド8000の1つの特定の実施形態の様々な特性を一覧
にしている。
【0386】
【表10】
【0387】
内部リブ
図17図18は、調節可能なソール部片と、ソールの内面に配置されている複数のリ
ブと、を有する或る例示としてのゴルフクラブヘッドを示している。リブは、ソールを、
特に外部の調節可能なソール部片が取り付けられるソールの区域を補強及び安定化させ、
クラブがゴルフボールを打ったときに出す音を改善することができる。
【0388】
陥凹ソールポートと取り付けられる調節可能なソール部片の追加が、ボーとのインパク
ト時にクラブが出す音を不快に変化させないとも限らない。例えば、調節可能なソール部
片を持たない類似のクラブに比較して、ソール部片の追加は、3,000Hzより下及び
/又は2,000Hzより下の第1モード可聴周波数の様なより低い可聴周波数と0.0
9秒又はそれ以上の様なより長い音持続時間を生じさせかねない。低く長い可聴周波数は
ゴルファーの気を散らせる。ソールの内部面のリブを幾つかの異なった方向に向き付け、
ソールポートをクラブヘッド本体の他の強度のある構造、例えば本体のソール及び/又は
ヒールの重りポート及び/又はソールとクラウンの間のスカート領域など、へつなぐよう
にすることができる。更に、1つ又はそれ以上のリブは、ソールを更に安定化させるため
に、ホーゼルへつながれていてもよい。ソールの内部面へその様なリブが加えられること
で、クラブヘッドは、フェースでゴルフボールを打ったときに、2,500Hzより上、
3,000Hzより上、及び/又は3,500Hzより上、の様なより高い可聴周波数を
、更に0.05秒未満の様なより短い音持続時間で、発生させることができ、ゴルファー
にとってはより望ましいものとなろう。加えて、説明されているリブを備えることで、ソ
ールは、2,500Hzより大きい及び/又は3,000Hzより大きい、第1基本ソー
ルモードの固有周波数の様な周波数を持つことができ、ここに、ソールモードとはソール
上の場所に関連付けられる振動周波数である。典型的には、この場所は、ゴルフボールを
打つことによって引き起こされる最大級の撓みを呈するソール上の場所である。
【0389】
図17図28に示されている様に、ここに記載されている例示としてのゴルフクラブ
ヘッドは、調節可能なソール部片と内部ソールリブを含んでいる。その様な例示としての
ゴルフクラブヘッドは、更に、本体のトゥ及び/又はヒールの調節可能な重り、調節可能
なシャフト取り付けシステム、可変厚さフェース板、薄壁本体構造、及び/又はここに記
載の何れかの他のクラブヘッド特徴、を含むことができる。本記述は、図17図19
示されている特定の実施形態に関して進められているが、本実施形態は一例にすぎず、根
底の概念の範囲を限定するものと考えられてはならない。例えば、例示されている実例は
多くの記載されている特徴を含んでいるが、代わりの実施形態は、これらの特徴及び/又
は追加の特徴の様々なサブセットを含むことができる。
【0390】
図17は、或る例示としてのゴルフクラブヘッド9000の分解図を示しており、図1
8は、組み立てられたヘッドを示している。ヘッド9000は中空本体9002を備えて
いる。本体9002(ひいてはクラブヘッド9000全体)は、前部分9004、後部分
9006、トゥ部分9008、ヒール部分9010、ホーゼル9012、クラウン901
4、及びソール9016、を含んでいる。前部分9004は、ここに説明されている様に
可変厚さ、複合材、及び/又は金属のフェース板であってもよいとされるフェース板90
18を受け入れる開口部を形成している。例示されているクラブヘッド9000は、更に
、シャフトをホーゼル9012へ連結するための調節可能なシャフト接続システム902
0を備えることができ、当該システムは、スリーブ9022及びフェルール9024の様
な様々な構成要素を含んでいる(ホーゼル及び調節可能なシャフト接続システムに関する
更なる詳細は、例えば、米国特許第7,887,431号及び米国特許出願第13/07
7,825号、同第12/986,030号、同第12,687,003号、同第12/
474,973号に見いだすことができ、当該特許及び特許出願をここに参考文献として
そっくりそのまま援用する)。シャフト接続システム9020は、ホーゼル9012と一
体で、ここに詳細に説明されている様にクラブヘッド9000のシャフトに対する向き付
けを調節するのに使用することができる。
【0391】
例示されているクラブヘッド9000は、更に、ここに説明されている様に、トゥ重り
ポート9026の調節可能なトゥ重り9028、ヒール重りポート9030の調節可能な
ヒール重り9032、及びソールポート又はポケット9034の調節可能なソール部片9
036、を備えている。
【0392】
図18に示されている様に、ゴルフクラブヘッド9000のCGは、クラブヘッドを、
4つの象限、即ち、CGの前方ヒール側である前-ヒール象限と、CGの前方トゥ側であ
る前-トゥ象限と、CGの後方ヒール側である後-ヒール象限と、CGの後方トゥ側であ
る後-トゥ象限と、に分割している。ソールポート9034の中心、例えば開口9052
は、CG(図18に示されている)のヒール側後方又は換言すればクラブヘッドの後-ヒ
ール象限に配置されている。よって、ソール部片9036の大部分とソールポート903
4の大部分はクラブヘッドの後-ヒール象限に配置されていることになるが、ソール部片
の一部分及び/又はソールポートの一部分は同時にクラブヘッドの後-トゥ象限に配置さ
れていることになる。幾つかの実施形態では、ソール部片全てとソールポート全てがCG
の後方にある。
【0393】
開口9052が後-ヒール象限に置かれている場合、少なくとも2つのリブは開口90
52付近の収束場所に収束している。幾つかの実施形態では、少なくとも3つのリブ又は
少なくとも4つのリブが、クラブヘッドの後-ヒール象限に位置する収束場所に収束して
いる。後-ヒール象限に収束しているリブ数は、合計で2から10の間のリブ数とするこ
とができるものと理解している。
【0394】
1つ又はそれ以上のリブは、ソール9016の内部面に配置されている。リブは、以上
に詳細に説明されている様に金属又は合金の様な、ソール9016及び/又は本体の残部
を形成している同じ材料の部分であってもよい。リブは、例えば鋳造などによって、リブ
とソールが同じモノリシック構造となるようにソールの一体部分として形成されていても
よい。リブの底はソールへ一体的に接続されていてもよく、そうすれば溶接又は他の付着
方法の必要はない。他の実施形態では、リブの1つ又はそれ以上は、少なくとも部分的に
ソールとは分離して形成され、その後ソールへ溶接などによって付着されていてもよい。
【0395】
リブのうちの1つ又はそれ以上は、リブの全長さに沿って一定又はほぼ一定した幅寸法
を有していてもよい。例示されている実施形態の様な幾つかの実施形態では、リブのそれ
ぞれは同一の一定した幅、例えば、約0.8mm、又は0.5mmより大きく約1.5m
mより小さい、などの幅を有している。1つの実施形態では、リブは約0.7mmの幅を
有している。他の実施形態では、それぞれ異なったリブは異なった幅を有していてもよい
。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上のリブの幅は、リブの端部分に近いほど太く
中間部分では細いといった様に、リブの長さに沿って変化していてもよい。一般的には、
リブの幅はリブの高さより小さい。
【0396】
リブのうちの1つ又はそれ以上は、クラブヘッド9000がアドレス位置にあるとき、
地面に平行な平面上へ投影したときに直線を形成していてもよい。換言すると、リブのう
ちの1つ又はそれ以上は、それぞれの終点間を二次元の経路に沿って延びていてもよい。
幾つかの実施形態では、リブは、上から見て、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少
なくとも6つの異なった方向にソールを横切って延びていてもよい。リブそれぞれの方向
は、ソール9016を当該方向へ安定化させるのを手助けする。而して、リブを複数の方
向に有することは、ソールの複数の方向への安定化を手助けし望ましい。
【0397】
ここに説明されている内部のソールリブは、ソール外部面の陥凹溝に対応しているソー
ルの隆起部分ではないことに留意されたい。そうではなく、ここに説明されているリブは
、ソールの内部面より上側に配置されている追加の構造材料を備えている。換言すると、
リブが取り去られたなら、平滑な内部ソール面が残るはずである。
【0398】
図18に示されている様に、ソール9016は、ソールポート9034に隣接して、例
えばソールポートのすぐ後ろ側などに、マーカー9092を含んでいてもよい。三角形ソ
ール部片9036は、「O」、「N」、及び「C」の様な3つの表示を含んでいおり、そ
れら表示は、どの表示がマーカー9092に隣接しているかに依って、フェース角が「オ
ープン(開いている)」、「ニュートラル」、及び「クローズド(閉じている)」それぞ
れになるように、ソール部片が設定されていることを指し示している。同様に、五角形ソ
ール部片9080の下壁9082の底面は、フェース角設定を指し示す5つの表示a、b
、c、d、及びeを含むことができる。五角形ソール部片9080が、ソールポート90
34(図18に類似)へ固定されるとき、表示a、b、c、d、及びeの1つをマーカー
9092と整列させ、すると当該表示は、どの面対A-E又はどの面トリオがプラットホ
ーム9072と接触しているかを、ひいてはどのフェース角設定がソール部片の当該位置
付けに対応しているかを指し示すことになる。例えば、ソール部片の底の表示「d」がマ
ーカー9092と整列していれば、それは、面Dがプラットホーム9072と接触してい
て、ソール部片は、アドレス位置にあるときのフェース角度が-2°閉じた状態となるよ
うに位置決めされていることを指し示すものである。表示a、b、c、d、及びeは、そ
れぞれ、例えば、「+4°」、「+2°」、「0°」、「-2°」、及び「-4°」とさ
れていてもよいし、又は特定の表示をマーカー9092と整列させることによってどのフ
ェース角設定が生じるかを当人に表す何か他の表示スキームであってもよい。
【0399】
調節可能なソール部片の形状に関係なく(円形、楕円形、多角形、三角形、四角形、五
角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、又は何れかの他の形状の如何を問わず
)、ソール部片の底面の湾曲は、ソール9016の前部の前接触面9041の湾曲に一致
するように選択されればよい。ソール部片9036の接触面9041と底面は、クラブヘ
ッドがアドレス位置にあるときに、唯一、地面に接触する2つの面となる。前接触面90
41とソール部片9036の中央開口9086の間の横方向距離は、約45mmから約6
0mm、例えば約52mmなど、であってもよい。
【0400】
I.総括
例示されている実施形態の原理を示し説明してきたが、当業者には、それら実施形態は
その様な原理から逸脱することなく配列及び詳細を修正され得ることが自明であろう。例
えば、以上に開示されている実施形態は、主にドライバ及びドライビングウッド型式のク
ラブに関連してなされているが、開示されている技術の何れかの態様はより小さい体積及
び/又はより大きい質量を有するフェアウェイウッドへ組み入れることもできる。例えば
、開示されている低CG特性及び/又は静的高ロフト特性の何れかを有するフェアウェイ
ウッド又はレスキューウッドは本開示の範囲内にあるものと考えられる。例えば、開示さ
れている技術の何れか1つ又はそれ以上の態様を組み入れているフェアウェイウッドの実
施形態は、約110cmから約250cmの間の体積及び約190グラムから約22
5グラムの間の重量を有し、また一方開示されている技術の何れか1つ又はそれ以上の態
様を組み入れているハイブリッドウッドの実施形態は、約80cmから約150cm
の間の体積及び約210グラムから約240グラムの間の重量を有している。
【0401】
以上の開示は独立した実用性を有する複数の個別の発明を網羅している。これらの発明
のそれぞれは特定の形態に開示されているが、以上に開示され例示されている具体的な実
施形態は、多数の変型が実施可能であることから、限定を課す意味で考えられてはならな
い。発明の主題は、以上に開示されている及びその様な発明に関連する当業者に固有であ
る様々な要素、特徴、機能、及び/又は性質の全ての新規性及び進歩性のある組合せ及び
部分的組み合わせを含む。本開示又はそれに続けて提起されている特許請求の範囲が、「
一」要素、「第1の」要素、又は何れかのその様な同等の用語を記述している場合、当該
開示又は特許請求の範囲は1つ又はそれ以上のその様な要素を組み入れていると理解され
るべきであり、2つ又はそれ以上のその様な要素を要件としているわけでもなければ除外
しているわけでもない。
【0402】
出願人(出願人ら)は、新規性及び進歩性があると確信される開示されている発明の組
合せ及び部分的組み合わせに向けられた特許請求の範囲を提出する権利を留保する。特徴
、機能、要素、及び/又は性質の他の組合せ及び部分的組合せに具現化された発明が、本
出願又は関連出願でのそれらの特許請求の範囲の補正又は新たな特許請求の範囲の提示を
通じて請求されるかもしれない。その様な補正された又は新たな特許請求の範囲は、それ
らが同じ発明に向けられているにせよ異なった発明に向けられているにせよ、またそれら
が原特許請求の範囲に対し範囲が異なる、より広い、より狭い、又は等しいかどうかを問
わず、ここに記載の発明の主題内と見なされるものとする。
【0403】
開示されている発明の原理を適用することのできる多くの実現され得る実施形態に照ら
し、例示されている実施形態は本発明の好適な実例にすぎず、本発明の範囲を限定するも
のと取られてはならないことを認識されたい。むしろ、本発明の範囲は次に続く特許請求
の範囲及びそれらの等価物によって定義される。よって我々は、これらの特許請求の範囲
及びそれらの等価物の範囲及び精神に入る全てを我々の発明として請求する。
【符号の説明】
【0404】
200 ホーゼル挿入部
240 内スプライン
400 ねじ
500 外スプライン
502 半径方向側壁
9000 ゴルフクラブヘッド
9002 中空本体
9004 前部分
9006 後部分
9008 トゥ部分
9010 ヒール部分
9012 ホーゼル
9014 クラウン
9016 ソール
9018 フェース板
9020 シャフト接続システム
9022 スリーブ
9024 フェルール
9026 トゥ重りポート
9028 調節可能なトゥ重り
9030 ヒール重りポート
9032 調節可能なヒール重り
9034 ソールポート又はポケット
9036 調節可能なソール部片
9041 接触ゾーン、接触面
9052 開口
9072 プラットホーム
9080 ソール部片
9082 下壁
9086 中央開口
9092 マーカー
9300 ゴルフクラブヘッド
9302 中空本体
9304 前部分
9306 後部分
9308 トゥ部分
9310 ヒール部分
9312 ホーゼル
9314 クラウン
9316 ソール
9318 フェース板
9320 チャネル
9322 チャネルのヒール端
9324 チャネルのトゥ端
9326 前チャネル壁
9327 後チャネル壁
9328 底チャネル壁
9330 前棚部
9332 後棚部
9334 ロック用突起
9336 装着キャビティ
9340 重り組立体
9342 ワッシャ
9344 質量部材
9346 締結用ボルト
9348 陥凹
9353 ワッシャの中央開口
9361 質量部材の中央開口
9370 通路
9380 リブ
10110 ゴルフクラブヘッド、ヘッド本体
10112 クラウン
10114 ソール
10115 ロフト角
10117 地平面、地面
10118 打球クラブフェース
10119 ライ角
10120 ホーゼル
10121 クラブシャフトの中心線軸
10122 打球面、打面
10123 中心
10124 ホーゼル穴
10125 地平面より上方の地平面に平行な平面
10126 ヒール部分
10127 クラブフェースに対する接線
10128 トゥ部分
10129 地平面に法線方向のベクトル
10130 前部分
10132 後部分
10134 クラブヘッドの周辺輪郭
10150 クラブヘッド重心(CG)
10160 クラブヘッド原点
10165 ヘッド原点座標系のz軸
10170 ヘッド原点座標系のx軸
10175 ヘッド原点座標系のy軸
10180 投影CG点
10185 重心原点座標系のCGz軸
10190 重心原点座標系のCGx軸
10195 重心原点座標系のCGy軸
10200 ゴルフボール
10202、10203 フェースの後方回転
10204、10205 ボールの前方回転
10800 幾何学的中心に重心のあるドライバによるボール軌道
10900 低重心のドライバによるボール軌道
12000 ゴルフクラブヘッド
12002A、12002B、12002C、12002D、12002E、120
02F 中空本体
12004 前部分
12006 後部分
12008 トゥ部分
12010 ヒール部分
12012 ホーゼル
12014 クラウン
12016 ソール
12018 フェース板
12020、12020B、12020E、12020F チャネル、滑動重りトラ
ック
12022 ヒール端
12024 トゥ端
12026 前チャネル壁
12027 後チャネル壁
12028 底チャネル壁
12030 前棚部
12032 後棚部
12034 トゥ側ウィングレット、ロック用突起
12036 ヒール側ウィングレット
12038 装着キャビティ
12039 陥凹面
12040、12040B、12040C、12040D、12040E、1204
0F 重り組立体
12042 ワッシャ
12044 質量部材
12046 締結ボルト
12048 ロック用ノッチ
12050 ワッシャの内向面
12052 ワッシャの外向面
12053 ワッシャの中央開口
12054 内向面の中央リッジ
12056 質量部材の内向面
12058 質量部材の外向面
12060 質量部材の中央リッジ
12061 ワッシャの中央開口
12070、12070B ホーゼル開口部
12072 滑動式の重り
12074A 前方重りポート
12074B 後方重りポート
12076 重りポート用の重り
12078 ヒール側チャネル棚部
12080 リブ、トゥ側チャネル棚部
12084 ねじの切られた穴部
12086 キャップ
12088 ゴムワッシャ
12090 ギャップ
12120 打球板/ソール板組合せ体
12121 複合クラウンの内面
12123 複合クラウンの外面
12136 インターロック接合部
12138A、12138B 噛み合い部分
12139A、12139B 当接面
12170 突出部
12172 回転防止リッジ
12174 溝
12176 工学的ギャップ
12178 軟質材料
12180 ギャップ
13000 ゴルフクラブヘッド
13006 後部分
13008 トゥ部分
13010 ヒール部分
13016 ソール
13020 チャネル
13040 滑動式重り組立体
15000 ゴルフクラブヘッド
15002A、15002B、15002C 中空本体
15004 前部分
15006 後部分
15008 トゥ部分
15010 ヒール部分
15012 ホーゼル
15014 クラウン
15016 ソール
15018 フェース板
15020 チャネル
15022 チャネルのヒール端
15024 チャネルのトゥ端
15030 前棚部
15032 後棚部
15040 滑動式重り組立体
15042 ワッシャ
15070 ホーゼル開口部
15080 リブ
15094 調節可能なシャフト接続システム
15096 ホーゼルねじ
15100 後方重りポート
15102 前方重りポート
15104 回転式に調節可能なソール部片(ASP)
15106 プラットホーム
15108 中心柱
15110 突出部
15112 ねじの切られた開口部
15160 後部ウィングレット
18002A、18002B ゴルフクラブヘッド
18004 前部分
18006 後部分
18008 トゥ部分
18010 ヒール部分
18012 ホーゼル
18014 クラウン
18016 ソール
18018 フェース板
18020 前方チャネル
18020F 後方重りトラック
18040 滑動式重り組立体
18040C 前方重り
18070 ホーゼル開口部
18140 角度
18142 フェース板の中心と交わる垂直平面
18144 チャネル幅
18146 前方チャネルオフセット距離
18148 チャネル長さ
18150 トラック長さ
18152 トラック幅
18154 後方トラックオフセット距離
18160 後部ウィングレット
18162 前方スロット
18164 スロット幅
18166 スロット長さ
18168 スロット周長
18170 フェース板の中心と交わる垂直平面とフェース板中心と同じx座標にお
けるスロットの間の距離
A 長手方向軸
B 長手方向軸
D 距離
R 半径
S 間隔
W 幅
H 高さ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図34C
図34D
図35A
図35B
図36A
図36B
図36C
図37A
図37B
図37C
図37D
図38A
図38B
図39A
図39B
図40
図41
図42
図43A
図43B
図44A
図44B
図45A
図45B
図45C
図46
図47
図48A
図48B
図48C
図48D
図48E
図49
図50
図51
図52
図53
図54A
図54B
図55A
図55B
図55C
図55D
図56A
図56B
図56C
図56D
図56E
図57A
図57B
図57C
図57D
図58
図59
図60A
図60B
図60C
図60D
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドにおいて、
フェースとクラウンとソールを有していてそれらが一体で内部キャビティを画定している本体であって、
前記本体は、前記ソールに配置されていて概して当該本体のヒール端から当該本体のトゥ端へ延びているチャネル、を有しており、ここに、前記フェースの中心と交わる第1の垂直平面と前記チャネルの間の距離は、前記チャネルの全長に亘って約50mmより小さい、本体と、
前記チャネル内に可動式に位置付けられている少なくとも1つの重りであって、当該少なくとも1つの重りの前記チャネル内の位置は調節することが可能である、少なくとも1つの重りと、
前記重りを装着するための装着キャビティであって、前記チャネルの使用可能部分へ組み入れられている装着キャビティと、
前記チャネル内を概して前記チャネルのヒール端から前記チャネルのトゥ端へ延びている少なくとも1つの棚部であって、前記少なくとも1つの重りが当該少なくとも1つの棚部上へ締め付けられるように構成されている棚部と、を備えているゴルフクラブヘッド。