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特開2024-101540青果物用日焼け抑制剤及び青果物の栽培方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101540
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】青果物用日焼け抑制剤及び青果物の栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A01G13/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209214
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2023005209
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000167897
【氏名又は名称】晃栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川村 直樹
(57)【要約】
【課題】従来の日焼け防止方法を実施しなくても、青果物の日焼けを抑制できる青果物用日焼け抑制剤及び青果物の栽培方法を提供すること。
【解決手段】青果物用日焼け抑制剤は、ベントナイトを含む。青果物用日焼け抑制剤において、ベントナイトの配合比は、例えば、30質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。青果物用日焼け抑制剤は、例えば、リン酸一カリウム、リグニンスルホン酸マグネシウム、及び硫酸マグネシウムのうちの1以上をさらに含む。青果物の栽培方法においては、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤を青果物がなる植物に散布する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤。
【請求項2】
請求項1に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
ベントナイトの配合比が30質量%以上である青果物用日焼け抑制剤。
【請求項3】
請求項1に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
ベントナイトの配合比が70質量%以上である青果物用日焼け抑制剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
リン酸一カリウム、リグニンスルホン酸マグネシウム、及び硫酸マグネシウムのうちの1以上をさらに含む青果物用日焼け抑制剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
青果物がなる植物に散布するときのベントナイトの濃度が、水1000L当たり0.1kg以上、10kg以下である青果物用日焼け抑制剤。
【請求項6】
ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤を青果物がなる植物に散布する青果物の栽培方法。
【請求項7】
請求項6に記載の青果物の栽培方法であって、
前記青果物用日焼け抑制剤を前記青果物がなる植物に散布するとき、前記青果物用日焼け抑制剤におけるベントナイトの濃度が、水1000L当たり0.1kg以上、10kg以下である青果物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は青果物用日焼け抑制剤及び青果物の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
果実に日焼けという現象が発生することがある。日焼けが発生した果実は日焼け果と呼ばれる。日焼けは、直射日光によって果皮が部分的に高温になり、蒸散が異常に促進されて乾燥状態になった結果、油胞が破壊されることが原因で発生するといわれている。日焼け果は商品価値が無くなる。特許文献1に日焼け防止剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-30980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の日焼け防止方法として、炭酸カルシウムを主成分とする日焼け防止剤を使用する方法が知られている。また、別の日焼け防止方法として、網や袋を果実に被せる方法が知られている。
前者の方法は、炭酸カルシウムの白い粉が果実の表面に残るという問題がある。後者の方法は、網や袋を果実に被せるために手間がかかるという問題がある。
【0005】
本開示の1つの局面では、従来の日焼け防止方法を実施しなくても、青果物の日焼けを抑制できる青果物用日焼け抑制剤及び青果物の栽培方法を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面は、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤である。本開示の青果物用日焼け抑制剤を用いれば、従来の日焼け防止方法を実施しなくても、青果物の日焼けを抑制できる。
本開示の別の局面は、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤を青果物がなる植物に散布する青果物の栽培方法である。本開示の青果物の栽培方法を用いれば、従来の日焼け防止方法を実施しなくても、青果物の日焼けを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の例示的な実施形態について説明する。
1.青果物用日焼け抑制剤の構成
青果物用日焼け抑制剤はベントナイトを含む。ベントナイトは粘土鉱物の一種である。ベントナイトは、モンモリロナイトを主成分とし、その他に、例えば、石英、雲母、長石、ゼオライト等を含む。
【0008】
青果物用日焼け抑制剤において、ベントナイトの配合比は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。青果物の日焼けを抑制する効果は、配合比が30質量%以上である場合に高く、配合比が50質量%以上である場合にさらに高く、配合比が70質量%以上である場合に特に高い。
【0009】
ベントナイトの配合比とは、青果物用日焼け抑制剤の全固形分を100質量%としたときの、ベントナイトの質量%濃度である。
青果物用日焼け抑制剤は、例えば、リン酸一カリウム、リグニンスルホン酸マグネシウム、及び硫酸マグネシウムのうちの1以上をさらに含む。青果物用日焼け抑制剤は、例えば、リン酸一カリウム、リグニンスルホン酸マグネシウム、及び硫酸マグネシウムの全てをさらに含む。
【0010】
青果物用日焼け抑制剤におけるリン酸一カリウムの配合比は、0.1質量%以上、30質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上、10質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、5質量%以下であることが特に好ましい。リン酸一カリウムの配合比とは、青果物用日焼け抑制剤の全固形分を100質量%としたときの、リン酸一カリウムの質量%濃度である。
【0011】
青果物用日焼け抑制剤におけるリグニンスルホン酸マグネシウムの配合比は、1質量%以上、30質量%以下であることが好ましく、2質量%以上、25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上、20質量%以下であることが特に好ましい。リグニンスルホン酸マグネシウムの配合比とは、青果物用日焼け抑制剤の全固形分を100質量%としたときの、リグニンスルホン酸マグネシウムの質量%濃度である。
【0012】
青果物用日焼け抑制剤における硫酸マグネシウムの配合比は、5質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、50質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上、40質量%以下であることが特に好ましい。硫酸マグネシウムの配合比とは、青果物用日焼け抑制剤の全固形分を100質量%としたときの、硫酸マグネシウムの質量%濃度である。
【0013】
青果物用日焼け抑制剤は、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分として、例えば、硫酸カルシウム等が挙げられる。それ以外にも、肥料の成分として公知の成分を適宜選択して青果物用日焼け抑制剤に配合することができる。
【0014】
青果物用日焼け抑制剤の剤形は、例えば、粉末、液状等とすることができる。青果物用日焼け抑制剤の使用対象である青果物として、例えば、果物と、野菜とが挙げられる。果物として、例えば、ミカン、リンゴ、柿、梨、桃等が挙げられる。野菜として、例えば、スイカ等が挙げられる。
【0015】
2.青果物用日焼け抑制剤の製造方法
例えば、青果物用日焼け抑制剤の各成分を混合することで、青果物用日焼け抑制剤を製造することができる。
【0016】
3.青果物の栽培方法
本開示の青果物の栽培方法では、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤を青果物がなる植物に散布する。青果物用日焼け抑制剤が粉末である場合、青果物用日焼け抑制剤を水等の溶媒に溶解又は分散して溶液又は分散液(以下ではまとめて散布液とする)を調製し、その散布液を青果物がなる植物の葉面に散布することができる。溶媒が水である場合、散布液は、水とベントナイトとを含む。
【0017】
青果物用日焼け抑制剤の剤形が液状である場合、そのまま、又は水等の溶媒で希釈して散布液を調製し、その散布液を青果物がなる植物の葉面に散布することができる。水で希釈する場合、散布液は、水とベントナイトとを含む。
【0018】
なお、散布液は、青果物用日焼け抑制剤の一形態である。散布液は、青果物がなる植物に散布するときの青果物用日焼け抑制剤である。
散布液の散布は、気温が高い時期に行うことが好ましい。北半球の場合、気温の高い時期は、例えば、6~9月である。散布は、一定の間隔をおいて、複数の回数繰り返すことが好ましい。間隔は、例えば、2週間以上2ヶ月以内であり、1ヶ月であることが好ましい。複数の回数は、例えば、2回以上6回以内であり、3回であることが好ましい。
【0019】
散布液が水とベントナイトとを含む場合、散布液におけるベントナイトの濃度は、水1000L当たり、0.1kg以上、10kg以下であることが好ましく、水1000L当たり、0.3kg以上5kg以下であることがさらに好ましい。これらの場合、青果物の日焼けを抑制する効果が一層高い。
【0020】
本開示の青果物の栽培方法は、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤を青果物がなる植物に散布する点以外では、例えば、通常の栽培方法と同様に行うことができる。栽培する青果物として、例えば、果物、野菜等が挙げられる。果物として、例えば、ミカン、リンゴ、柿、梨、桃等が挙げられる。野菜として、例えば、スイカ等が挙げられる。
【0021】
4.青果物用日焼け抑制剤及び青果物の栽培方法が奏する効果
青果物用日焼け抑制剤を使用し、青果物を栽培することで、従来の日焼け防止方法を実施しなくても、青果物の日焼けを抑制することができる。青果物は、例えば、果物、又は野菜である。果物は、例えば、ミカン、リンゴ、柿、梨、桃等である。野菜は、例えば、スイカ等である。
【0022】
青果物用日焼け抑制剤を使用し、青果物を栽培する場合、炭酸カルシウムを主成分とする日焼け防止剤を使用する方法に比べて、青果物の表面に白い粉が残り難いという点で優れる。青果物用日焼け抑制剤を使用し、青果物を栽培する場合、網や袋を青果物に被せる方法に比べて、網や袋を青果物に被せるための手間が不要であるという点で優れる。
【0023】
5.実施例1
(5-1)青果物用日焼け抑制剤の製造
下記の表1に示す各成分を表1に示す配合比で混合することで、青果物用日焼け抑制剤S1~S11を製造した。表1に記載の数値は、対応する成分の配合量を表す。配合量の単位は質量部である。
【0024】
【表1】
【0025】
(5-2)散布液の調製
水250L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S1を水に投入して、散布液S1-250を調製した。また、水500L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S1を水に投入して、散布液S1-500を調製した。また、水1000L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S1を水に投入して、散布液S1-1000を調製した。
【0026】
青果物用日焼け抑制剤S2~S11についても、青果物用日焼け抑制剤S1の場合と同様に、それぞれ3種類の散布液を調製した。すなわち、青果物用日焼け抑制剤Siを用いて調製した散布液として、散布液Si-250、散布液Si-500、散布液Si-1000がある。iは2~11の任意の自然数である。
【0027】
例えば、iが2の場合、散布液は、散布液S2-250、散布液S2-500、散布液S2-1000である。散布液S2-250は、水250L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S2を水に投入して調製された散布液である。散布液S2-500は、水500L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S2を水に投入して調製された散布液である。散布液S2-1000は、水1000L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S2を水に投入して調製された散布液である。下記の表2に、調製した各散布液を示す。
【0028】
【表2】
【0029】
また、表2における「散布液におけるベントナイトの濃度(kg/水1000L)」の列に、各散布液におけるベントナイトの濃度を示す。ベントナイトの濃度とは、水1000L当たりのベントナイトの質量である。
【0030】
(5-3)ミカンの果樹に対する葉面散布の実施、及びミカンの栽培
表2に示すように、ミカンの果樹園を区画K1~K34に区分した。K1~K33の各区画では、それぞれの区画に対応する1種類の散布液を葉面に散布した。各区画に対応する散布液を表2に示す。K1~K33の全区画において、散布は、7月~9月の期間に、1ヶ月おきに3回行った。K1~K33の全区画において、1回の散布での散布液の散布量は、1反当たり400Lであった。区画K34は無処理の区画であった。全区画において、散布液の散布以外の点では通常の方法でミカンを栽培した。なお、ミカンの果樹は、ミカンがなる植物に対応する。ミカンの品種は日南1号であった。
【0031】
(5-4)日焼けの評価
各区画からミカンの果実を収穫し、区画ごとに、日焼け発生度Xを算出した。日焼け発生度Xの算出方法は以下のとおりである。1つの区画で収穫した全てのミカンを、それぞれ、以下の表3で示す基準でA~Dの4クラスに区分した。A~Dの4クラスを、日焼けの程度が低いクラスほど先となる順番で並べると、A、B、C、Dの順番となる。
【0032】
【表3】
【0033】
次に、下記式(1)により、区画ごとに、日焼け発生度X(%)を算出した。
式(1) X=((NA×0+NB×1+NC×2+ND×3)/(NA+NB+NC+ND))×100
式(1)において、NAは、1つの区画で収穫されたミカンのうち、Aのクラスに区分されたミカンの数である。NBは、1つの区画で収穫されたミカンのうち、Bのクラスに区分されたミカンの数である。NCは、1つの区画で収穫されたミカンのうち、Cのクラスに区分されたミカンの数である。NDは、1つの区画で収穫されたミカンのうち、Dのクラスに区分されたミカンの数である。(NA+NB+NC+ND)は、1つの区画で収穫されたミカンの総数である。日焼け発生度Xは、ミカンの果実に生じた日焼けの程度を示す値である。日焼け発生度Xが大きいほど、日焼けが著しい。
【0034】
各区画で算出された日焼け発生度Xを表2に示す。青果物用日焼け抑制剤S1~S7を使用し、ミカンを栽培した区画K1~K21では、他の区画に比べて、日焼け発生度Xが顕著に低かった。青果物用日焼け抑制剤S1~S7は、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤である。よって、本実施例の評価結果により、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S1~S7が、ミカンの日焼けを抑制することが確認できた。また、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S1~S7をミカンの果樹に散布する青果物の栽培方法を用いれば、ミカンの日焼けを抑制できることが確認できた。
【0035】
6.実施例2
(6-1)青果物用日焼け抑制剤の製造
下記の表4に示す各成分を表4に示す配合比で混合することで、青果物用日焼け抑制剤S12~S14を製造した。表4に記載の数値は、対応する成分の配合量を表す。配合量の単位は質量部である。
【0036】
【表4】
【0037】
(6-2)散布液の調製
水250L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S12を水に投入して、散布液S12-250を調製した。また、水500L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S12を水に投入して、散布液S12-500を調製した。また、水1000L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S12を水に投入して、散布液S12-1000を調製した。
【0038】
青果物用日焼け抑制剤S13~S14についても、青果物用日焼け抑制剤S12の場合と同様に、それぞれ3種類の散布液を調製した。すなわち、青果物用日焼け抑制剤Siを用いて調製した散布液として、散布液Si-250、散布液Si-500、散布液Si-1000がある。iは13~14の任意の自然数である。
【0039】
例えば、iが13の場合、散布液は、散布液S13-250、散布液S13-500、散布液S13-1000である。散布液S13-250は、水250L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S13を水に投入して調製された散布液である。散布液S13-500は、水500L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S13を水に投入して調製された散布液である。散布液S13-1000は、水1000L当たり1kgの比率で、青果物用日焼け抑制剤S13を水に投入して調製された散布液である。下記の表5に、調製した各散布液を示す。
【0040】
【表5】
【0041】
また、表5における「散布液におけるベントナイトの濃度(kg/水1000L)」の列に、各散布液におけるベントナイトの濃度を示す。ベントナイトの濃度とは、水1000L当たりのベントナイトの質量である。
【0042】
(6-3)ミカンの果樹に対する葉面散布の実施、及びミカンの栽培
表5に示すように、ミカンの果樹園を区画K35~K44に区分した。K35~K43の各区画では、それぞれの区画に対応する1種類の散布液を葉面に散布した。各区画に対応する散布液を表5に示す。K35~K43の全区画において、散布は、7月~9月の期間に、1ヶ月おきに3回行った。K35~K43の全区画において、1回の散布での散布液の散布量は、1反当たり400Lであった。区画K44は無処理の区画であった。全区画において、散布液の散布以外の点では通常の方法でミカンを栽培した。ミカンの品種は日南1号であった。
【0043】
(6-4)日焼けの評価
各区画について、実施例1と同様に、日焼け発生度Xを算出した。各区画で算出された日焼け発生度Xを表5に示す。青果物用日焼け抑制剤S12~S14を使用し、ミカンを栽培した区画K35~K43では、無処理の区画K44に比べて、日焼け発生度Xが顕著に低かった。青果物用日焼け抑制剤S12~S14は、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤である。よって、本実施例の評価結果により、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S12~S14が、ミカンの日焼けを抑制することが確認できた。また、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S12~S14をミカンの果樹に散布する青果物の栽培方法を用いれば、ミカンの日焼けを抑制できることが確認できた。
【0044】
7.実施例3
(7-1)散布液の調製
実施例1、2と同様にして、表6に示す散布液を調製した。
【0045】
【表6】
【0046】
(7-2)リンゴの果樹に対する葉面散布の実施、及びリンゴの栽培
表6に示すように、リンゴの果樹園を区画KA1~KA43に区分した。KA1~KA42の各区画では、それぞれの区画に対応する1種類の散布液を葉面に散布した。各区画に対応する散布液を表6に示す。KA1~KA42の全区画において、散布は、7月に1回行い、8月に2回行った。散布の合計回数は3回であった。KA1~KA42の全区画において、1回の散布での散布液の散布量は、1反当たり400Lであった。区画KA43は無処理の区画であった。全区画において、散布液の散布以外の点では通常の方法でリンゴを栽培した。なお、リンゴの果樹は、リンゴがなる植物に対応する。リンゴの品種はつがるであった。
【0047】
(7-3)日焼けの評価
各区画について、実施例1と同様に、日焼け発生度Xを算出した。各区画で算出された日焼け発生度Xを表6に示す。青果物用日焼け抑制剤S1~S7又はS12~S14を使用し、リンゴを栽培した区画KA1~KA21及びKA34~KA42では、他の区画に比べて、日焼け発生度Xが顕著に低かった。青果物用日焼け抑制剤S1~S7及びS12~S14は、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤である。よって、本実施例の評価結果により、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S1~S7及びS12~S14が、リンゴの日焼けを抑制することが確認できた。また、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S1~S7及びS12~S14をリンゴの果樹に散布する青果物の栽培方法を用いれば、リンゴの日焼けを抑制できることが確認できた。
【0048】
8.実施例4
(8-1)散布液の調製
実施例1、2と同様にして、表7に示す散布液を調製した。
【0049】
【表7】
【0050】
(8-2)スイカがなる植物に対する葉面散布の実施、及びスイカの栽培
表7に示すように、スイカの農園を区画KW1~KW43に区分した。KW1~KW42の各区画では、それぞれの区画に対応する1種類の散布液を葉面に散布した。各区画に対応する散布液を表7に示す。KW1~KW42の全区画において、散布は、6月~8月の期間に、1月おきに3回行った。KW1~KW42の全区画において、1回の散布での散布液の散布量は、1反当たり150Lであった。区画KWA43は無処理の区画であった。全区画において、散布液の散布以外の点では通常の方法でスイカを栽培した。スイカの品種はひとりじめであった。
【0051】
(8-3)日焼けの評価
各区画について、実施例1と同様に、日焼け発生度Xを算出した。各区画で算出された日焼け発生度Xを表7に示す。青果物用日焼け抑制剤S1~S7又はS12~S14を使用し、スイカを栽培した区画KW1~KW21及びKW34~KW42では、他の区画に比べて、日焼け発生度Xが顕著に低かった。青果物用日焼け抑制剤S1~S7及びS12~S14は、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤である。よって、本実施例の評価結果により、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S1~S7及びS12~S14が、スイカの日焼けを抑制することが確認できた。また、ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤S1~S7及びS12~S14をスイカがなる植物に散布する青果物の栽培方法を用いれば、スイカの日焼けを抑制できることが確認できた。
【0052】
9.他の実施形態
(1)青果物用日焼け抑制剤における各成分の配合比は適宜設定することができる。
(2)散布液を調製するときの、水と青果物用日焼け抑制剤との混合比は適宜設定することができる。例えば、水1000Lと、0.1~10kgの青果物用日焼け抑制剤とを混合することが好ましい。この場合、青果物の日焼けを抑制する効果が一層高い。
【0053】
(3)本開示の青果物用日焼け抑制剤、及び青果物の栽培方法を、従来の日焼け防止方法と併用してもよい。従来の日焼け防止方法として、例えば、炭酸カルシウムを主成分とする日焼け防止剤を使用する方法、網や袋を青果物に被せる方法等が挙げられる。
【0054】
(4)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0055】
(5)上述した青果物用日焼け抑制剤の他、当該青果物用日焼け抑制剤を構成要素とする製品セット、青果物における日焼けの抑制方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0056】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤。
[項目2]
項目1に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
ベントナイトの配合比が30質量%以上である青果物用日焼け抑制剤。
[項目3]
項目1に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
ベントナイトの配合比が70質量%以上である青果物用日焼け抑制剤。
[項目4]
項目1又は2に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
リン酸一カリウム、リグニンスルホン酸マグネシウム、及び硫酸マグネシウムのうちの1以上をさらに含む青果物用日焼け抑制剤。
[項目5]
項目1~4のいずれか1つの項目に記載の青果物用日焼け抑制剤であって、
青果物がなる植物に散布するときのベントナイトの濃度が、水1000L当たり0.1kg以上、10kg以下である青果物用日焼け抑制剤。
[項目6]
ベントナイトを含む青果物用日焼け抑制剤を青果物がなる植物に散布する青果物の栽培方法。
[項目7]
項目6に記載の青果物の栽培方法であって、
前記青果物用日焼け抑制剤を前記青果物がなる植物に散布するとき、前記青果物用日焼け抑制剤におけるベントナイトの濃度が、水1000L当たり0.1kg以上、10kg以下である青果物の栽培方法。