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特開2024-101543後方散乱を通じてモバイル電子機器と通信する無線電力通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101543
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】後方散乱を通じてモバイル電子機器と通信する無線電力通信システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/23 20160101AFI20240722BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H02J50/23
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210033
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】63/439,363
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513045518
【氏名又は名称】オッシア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハテム ゼイン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB08
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】後方散乱を通じてモバイル電子機器と通信する無線電力通信システムを提供する。
【解決手段】無線電力通信システムは、コントローラ及び送信器アレイを含む。送信器アレイは、モバイル電子機器に電力を供給する第1のアンテナを含む。送信器アレイは、電力が供給されている間、モバイル電子機器からの後方散乱信号内のビットパターン通信を含むダウンリンクを受信する第2のアンテナを含む。第2のアンテナはまた、電力が供給されている間、通信信号を含むアップリンクをモバイル電子機器に送信する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力通信システムであって、
コントローラと、
送信器アレイであって、
モバイル電子機器に電力を供給するように構成された少なくとも1つの第1のアンテナと、
少なくとも1つの第2のアンテナであって、
前記電力が供給されている間、前記モバイル電子機器からの後方散乱信号内のビットパターン通信を備えたダウンリンクを受信し、
前記電力が供給されている間、前記モバイル電子機器に通信信号を備えたアップリンクを送信する、
ように構成された、該第2のアンテナと、
を備えた該送信器アレイと、
を備える、無線電力通信システム。
【請求項2】
前記モバイル電子機器は、後方散乱動作を介して前記後方散乱信号を生成するように構成される、請求項1に記載の無線電力通信システム。
【請求項3】
前記後方散乱動作は、前記後方散乱信号を送信するために前記電力の入射無線周波数信号を利用することを備える、請求項2に記載の無線電力通信システム。
【請求項4】
前記送信器アレイは、ビーコンを受信し、前記モバイル電子機器からの前記後方散乱信号を受信するために前記送信器アレイを較正するための位相を取り込むように構成される、請求項1に記載の無線電力通信システム。
【請求項5】
前記送信器アレイは、前記通信信号の電力信号周波数を変調するように構成される、請求項1に記載の無線電力通信システム。
【請求項6】
前記送信器アレイは、前記通信信号の垂直偏波電力強度及び水平偏波電力強度を変更するように構成される、請求項1に記載の無線電力通信システム。
【請求項7】
前記モバイル電子機器は、ドローンを含む、請求項1に記載の無線電力通信システム。
【請求項8】
送信器アレイであって、
モバイル電子機器に電力を供給するように構成された少なくとも1つの第1のアンテナと、
少なくとも1つの第2のアンテナであって、
前記電力が供給されている間、前記モバイル電子機器からの後方散乱信号内のビットパターン通信を、ダウンリンクとして受信し、
前記電力が供給されている間、前記モバイル電子機器に前記電力を、アップリンクとして送信する、
ように構成された、該第2のアンテナと、
を備えた該送信器アレイと、
を備える、送信器アレイ。
【請求項9】
前記モバイル電子機器は、後方散乱動作を介して前記後方散乱信号を生成するように構成される、請求項8に記載の送信器アレイ。
【請求項10】
前記後方散乱動作は、前記後方散乱信号を送信するために前記電力の入射無線周波数信号を利用することを備える、請求項9に記載の送信器アレイ。
【請求項11】
前記送信器アレイは、ビーコンを受信し、前記モバイル電子機器からの前記後方散乱信号を受信するために前記送信器アレイを較正するための位相を取り込むように構成される、請求項8に記載の送信器アレイ。
【請求項12】
前記送信器アレイは、通信信号の電力信号周波数を変調するように構成される、請求項8に記載の送信器アレイ。
【請求項13】
前記送信器アレイは、通信信号の垂直偏波電力強度及び水平偏波電力強度を変更するように構成される、請求項8に記載の送信器アレイ。
【請求項14】
前記モバイル電子機器は、ドローンを含む、請求項8に記載の送信器アレイ。
【請求項15】
方法であって、
送信器アレイの少なくとも1つの第1のアンテナによって、モバイル電子機器に電力を供給することと、
前記電力が供給されている間、前記送信器アレイの少なくとも1つの第2のアンテナによって、前記モバイル電子機器からの後方散乱信号内のビットパターン通信を備えたダウンリンクを受信することと、
前記電力が供給されている間、前記送信器アレイの少なくとも1つの前記第2のアンテナによって、前記モバイル電子機器に通信信号を備えたアップリンクを送信することと、
を備える、方法。
【請求項16】
前記モバイル電子機器は、後方散乱動作を介して前記後方散乱信号を生成するように構成され、
前記後方散乱動作は、前記後方散乱信号を送信するために前記電力の入射無線周波数信号を利用する1つ又は複数のアンテナを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記送信器アレイは、ビーコンを受信し、前記モバイル電子機器からの前記後方散乱信号を受信するために前記送信器アレイを較正するための位相を取り込むように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記送信器アレイは、前記通信信号の電力信号周波数を変調するように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記送信器アレイは、前記通信信号の垂直偏波電力強度及び水平偏波電力強度を変更するように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記モバイル電子機器は、ドローンを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、後方散乱を通じてモバイル電子機器と通信する無線電力通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2023年1月17日に出願された米国仮出願第63/439363号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
機器(例えば、ラップトップコンピュータ、モバイル機器、又はドローン)は、無線システムからの電力送信を受信するための回路を含む。しかしながら、機器の任意の高感度な通信装置が電力送信によって妨害、阻害、不具合、又は破壊されるため、機器が電力送信を受信しているとき、機器と無線システムとの間の通常の通信は非常に困難であり、時には不可能である。
【0004】
例えば、ドローンは、無線システムから(出力送信として)1キロワット(kW)又はそれ以上の電力を受信することができる。機器の高感度な通信回路、例えば、その中に配置されたアンテナは、かなり低い電力、典型的には-70デシベル・ミリワット(dBmW又はdBm)で信号を取り込む。1kWの電力は60dBmに相当する。60dBwと-70dBmのおおよその大きさの差は、13オーダーであることに留意されたい。したがって、現在のところ、ドローンが1kW又はそれ以上の電力を受信している間、そのような高感度な通信回路を妨害、阻害、不具合、又は破壊することなく、ドローンと無線システムとの間で通常の通信を行う方法はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ドローンが1kW又はそれ以上の電力を受信している間、高感度な通信回路を妨害、阻害、不具合、又は破壊することなく、ドローンとの通信を可能にする無線電力通信システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
無線電力通信システムは、コントローラ及び送信器アレイを含む。送信器アレイは、モバイル電子機器に電力を供給する第1のアンテナを含む。送信器アレイは、電力が供給されている間、モバイル電子機器からの後方散乱信号内のビットパターン通信を含むダウンリンクを受信する第2のアンテナを含む。第2のアンテナはまた、電力が供給されている間、通信信号を含むアップリンクをモバイル電子機器に送信する。無線電力通信システムは、装置、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品として実装されることができる。
【0007】
これら、及び、他の特徴は、以下の明細書及び図面をさらに参照すれば、容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】1つ又は複数の実施形態による、無線電力通信システムの一実施形態の環境透視図である。
図1B】1つ又は複数の実施形態による、無線電力通信システムの一実施形態の環境透視図である。
図2A】1つ又は複数の実施形態による、無線電力通信システムにおけるマイクロ波送信器用のフェーズドアレイネットアンテナの透視図である。
図2B】1つ又は複数の実施形態による、無線電力通信システムにおける電力送信ノードの概略図である。
図3A】1つ又は複数の実施形態による、無線電力通信システムの一実施形態のブロック図である。
図3B】1つ又は複数の実施形態による、無線電力通信システムの一実施形態のブロック図である。
図4】1つ又は複数の実施形態による、電力送信器の一実施形態のブロック図である。
図5】1つ又は複数の実施形態による、電力送信器の一実施形態のブロック図である。
図6】1つ又は複数の実施形態による、コントローラのブロック図である。
図7】1つ又は複数の実施形態による、受信器のブロック図である。
図8】1つ又は複数の実施形態による、受信器のブロック図である。
図9】1つ又は複数の実施形態による、環境のブロック図である。
図10】1つ又は複数の実施形態による、方法を示す図である。
【0009】
同様の符号は、添付の図面全体を通して一貫して対応する特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
無線電力通信システムは、電子/電気機器に電力が供給されている間、後方散乱によって電子/電気機器と通信するシステムである。無線電力通信システムは、通信信号と電力を供給する複数のアンテナ(電力アレイと通信アレイ)を含む。例えば、通信アレイは、電力が供給されている間、ダウンリンクとして、電子/電気機器からの後方散乱信号内のビットパターン通信を受信する。電子/電気機器による後方散乱により、ビットパターン通信と後方散乱信号が生成される。さらに、通信アレイは、電力が供給されている間、アップリンクとして、通信信号を電子/電気機器に送信する。このように、無線電力通信システム、その中の複数のアンテナ、及び電子/電気機器による後方散乱は、電力が電子/電気機器に供給される間、電子/電気機器の敏感な通信回路を妨害、阻害、不具合、又は破壊することなく、電子/電気機器と無線電力通信システムとの間の通信の技術的効果、利点、及び利益を可能にする。
【0011】
図1に示されるように、本発明は、マイクロ波エネルギーを介して、電子/電気機器、例えば、機器102(例えば、ラップトップコンピュータ、モバイル機器、又はドローン)、又は他の機器と通信するためのシステム100を含む。システム100では、送信グリッド101(又は代替の送信グリッド)は、電源コードPを電源コンセントOに差し込むことにより、A.C.主電源から動作電力を得ることができる。マイクロ波送信周波数は、好ましくは、適切な波長を有する利用可能なFCC規制対象外周波数である。
【0012】
図1-3Bに示されるように、マイクロ波エネルギーは、1つ又は複数の適応位相マイクロ波アレイエミッタ204、即ち、アンテナ又は放射体に接続された電源300によって機器102上に集束される。1つ又は複数の実施形態によれば、適応位相マイクロ波アレイエミッタ204からのマイクロ波エネルギーは、機器上に集束され得る。図1及び3A-3Bに示されるように、好ましくは、機器102内の高効率レクテナ340(レクテナは、マイクロ波エネルギーを直流(D.C.)電気に直接変換する整流アンテナである)が、マイクロ波エネルギーを受信する。一実施形態では、無線電源100と機器102内の電力受信器330bとの間に、電力を伝送するために使用される周波数以外の周波数で通信チャネルが開設される。
【0013】
機器102は、通信チャネル110を通して、レクテナ340において受信されたビーム信号の強度を、電力受信器330bにおける通信デバイス360の送信器部からの信号を介して、システム100の電力送信器330aにおける通信デバイス320の受信器部に中継する。この情報は、システム100の制御ロジック310によって使用され、機器102によって報告されるように、最大マイクロ波エネルギービーム301がアレイ110によって放射されるまで、マイクロ波アレイエミッタノード204のパワーアップ、パワーダウン、及び送信位相の調整を行う。
【0014】
各エミッタ204は、所望の送信周波数の単一のソースに接続され、λ/2の倍数である特定の位相差で信号を送信することができる。λ/2の位相増分は例示的なものであり、他の位相増分、例えばλ/4、λ/8、λ/16、及び他の増分が可能である。好ましくは、電力は調整されないが、エミッタ204をオフにしたり、所望の位相にオンにしたりすることは可能である。
【0015】
図2A-2Bに最も明確に示されているように、垂直及び水平ケーブルは各アレイノード204で交差する。この構成はアレイ101に適用される。垂直ケーブル202内では、ワイヤ210は、ゼロ(0)λ相給電線である。ワイヤ212は1/2λ相給電線であり、ワイヤ209は垂直制御線である。同様に、水平ケーブル200内では、ワイヤ214がλ相給電線である。ワイヤ216は3/2λ相給電線であり、ワイヤ211は水平制御線である。制御線209及び211は、任意のノード204でどの位相がアクティブであるかを制御するために、コントローラ310に接続されることができる。単一アンテナ制御はチップ206上で行われることができ、実際のノード放射体又はアンテナ208はノード204の幾何学的中心を取り囲む円形要素として形成され得る。単一のコントローラ又は複数のコントローラのいずれかは、送信グリッドの1つ又は複数を制御し得ることが理解されるべきである。
【0016】
システム100の制御ロジック310の例示的なアルゴリズムは、以下であり得る。(1)電力受信器330が、通信チャネル110を使用して、近傍の任意の送信器330aにその存在を通知することができ、(2)電力送信器330aは、通信チャネル110を通して、その存在を通信し、そのアンテナ208又はノード204のうちの1つだけを使用して送信を開始してよく、(3)電力受信器330bは、通信チャネル110を通して微弱な信号を受信していることを確認してよく、(4)電力送信器330aは、ゼロのデフォルト位相で別のアンテナ208又はノード204のスイッチをオンにし、通信チャネル110を通して受信器330bに信号強度を尋ねてよく、(5)電力受信器330bは、受信した信号が前よりも高い、同じ、又は低いことを示す信号を送り返してもよく、(6)信号が前よりも低い、又は前と同じである場合、コントローラ310は、ノード204における位相を1/2λだけ増加させ、別の信号強度の送信を要求してもよく、(7)ステップ5及び6がすべての位相について繰り返され、(8)信号強度の増加が観察されない場合、その特定のノード204がオフに切り替えられ、別のノードがプロセスで使用され、ステップ4から繰り返され、(9)ステップ4-6が、すべてのエミッタノードが使用されるまで繰り返される。
【0017】
別の例では、ステップ(6)は、0、λ/2、及び5λ/4ラジアンを含む3相サイクルにわたって位相を増加させることを含み得る。このようにして、正弦曲線全体のおおよその形状が決定され得る。従って、ピーク電力の位相角が決定され得る。また、同調アンテナを加算する場合、次に加算されるアンテナの受信電力は、全受信電力に占める割合が小さい場合であり得る。従って、2番目のアンテナを追加すると電力が4倍増加するが、101番目のアンテナを追加すると電力が2%増加し、1001番目のアンテナを追加すると0.2%増加し得る。これは、試験されたアンテナからの実際の電力利得/損失を検出することが難しくなる可能性がある。そのため、試験サイクル中は数本のアンテナにしか電源を入れず、試験された各アンテナの位相は記憶され得る。アレイ全体の位相が決まったら、全要素のスイッチをオンにして電力が供給され得る。
【0018】
代替的に、送信された電力における全てのアンテナは、場合によっては、それらの位相を現在の値の近傍でわずかに移動させることによって再同調され、受信信号への影響を検出し得る。一方向に改善された場合(例えば、位相を進めたり遅らせたりした場合)、位相は、どちらにも改善が見られなくなるまで、サイクル/増加を続け得る。これは、大規模なアレイの受信電力レベルの変化を検出する能力に依存する。さもなくば、アレイ全体のスイッチを切り、ゼロから位相を再設定する必要があり得る。
【0019】
別の実施形態では、図2B及び図3Bに最も明確に示されているように、各アレイ要素又はノード204は、電力受信システム330b内の較正送信器460から較正信号を受信するように設定されることができる。各アレイ要素又はノード204は、そのノード204で検出された受信較正信号を、データ線303を介して制御ロジック310に送信することができる。その後、コントローラ310、コントローラ206のいずれか、又は両方のコントローラを組み合わせて、最適化された電力送信301を電力受信器330bに送り返すために、各アレイ要素又はノード204を、その要素の検出された位相が送信位相として設定し得る。実施形態100では、機器102と最初に通信することなく、アレイが特定の場所又は「ホットスポット」に電力を送信することを可能にするために、構成メモリ機器が制御ロジック310と動作可能に通信され得る。この機能は、機器102に通信チャネル110を確立するための予備電力がない場合に、機器102に電力送信301を送信する際に有用である。
【0020】
代替的に、別の実施形態は、例えば送受信器内の受信器と各送信器アンテナの双方向機能を利用するために、以下のように動作してもよい。コントローラは、電力受信器(即ち、充電される機器)からビーコン信号を受信するために、すべての送受信器を準備してよい。次に、充電される機器は、充電される機器と電力送信器との間のすべての開いたパスを横断するビーコン信号(例えば、クロックを同期させるためのアレイと電力受信器との間の無線通信を介して、フェーズドアレイの同じ周波数であり得る較正信号)を送信する。電力送信器での受信信号は、電力送信器の各アンテナに接続する受信器と送信器のアンテナ間のすべての開いたパスの合計と等価であり、各パスの合計は、すべての特定の電力送信器のアンテナで特定の電力レベルと位相に加算される。
【0021】
送信器アレイにおける各アンテナは、受信信号を内部信号と比較して受信位相を検出する。すべての送信器のアンテナにより受信位相が確定すると、各アンテナは受信位相の複素共役で、全電力で送り返す。
【0022】
加えて、上記のアレイの同調は、すべての可能なパスを考慮するため(例えば、アレイと受信器との間に直接開いたパスがあることや、受信器が環境内で滑らかで直線的な動きで移動することを仮定していない)、環境の構成が変化すると、受信器が移動したり、電力送信器アレイの物理的な構成が変更されたりすることと同じになり得る。そのため、アレイの頻繁な再同調が常に必要となり得る(例えば、1秒間に10回以上)。
【0023】
アンテナアレイの再同調は、受信器のビーコン信号を「リスン」するために送信されている電力を遮断する必要があるため、アレイに電力を供給するために使用できたであろう時間が失われ得る。従って、受信器での電力レベルが大きく変化しない場合、アレイは再同調の頻度を減らし、受信器への電力供給を最大化してもよい。受信器の電力が低下した場合、受信器の電力が再び安定するまで、アレイは更新の周波数を増加させてもよい。同調の頻度には、例えば最小で10tps(毎秒同調)~最大で500tpsといった特定の制限が設けられてもよい。
【0024】
代替的に、数(n)のアンテナの同調は、以下のように実行され得る。全てのn個のアンテナはオフにされ得る。次に、n個のアンテナのうちの1個がオンにされ、他のn個のアンテナの各々に対して同調するための基準としてオンにされたままにされる。その後、残りのn個のアンテナがそれぞれオンにされ、最適な位相が記録された後、オフにされる。このシーケンスをn番目のアンテナで実行すると、すべてのアンテナがそれぞれの最適位相でオンになる。
【0025】
移動する受信器を有する図1の実施形態に関して、全ての送信器アンテナは、例えば、それらの位相を現在の値の近傍でわずかに移動させ、受信信号への影響を検出することにより、再同調される必要があり得る。一方向に改善された場合、位相の循環/増加が、どちらにも改善が見られなくなるまで続けられる。これは、大規模なアレイの場合、受信電力レベルの変化を検出できるかどうかに左右され得る。さもなくば、アレイ全体のスイッチをオフにし、最初から位相を再設定する必要があり得る。
【0026】
例示的なアレイ101は、一辺が約1メートルの30×30のグリッドネットとすることができ、ワイヤの各交点は単一の送信アンテナ204を有する。好ましくは、アレイグリッド101は、可撓性/軟質材料で製作される。グリッド材料の柔軟性により、ユーザーは、例えば、平坦な2次元アレイによって生じるミラー焦点や、離散的な位相差を有する平坦で規則的に配置されたアレイで通常生じる盲点を最小化するために、マイクロ波アレイエミッタグリッド101を実質的に均一でない非平面的な態様、すなわち、広がっているが平坦でない態様で物理的に構成することが可能となる。
【0027】
本明細書に述べられる通信の機構は、送信器と受信器とが互いに通信状態にあるとき、及び受信器に通信する電力がないときに動作することができる(後方散乱の動作的性質によって)。
【0028】
送信器アンテナはまた、回路を単一のチップに含み、チップをワイヤでデイジーチェーン接続して、様々な形状及び設計で構成及び使用され得る「フェーズドワイヤ」の長いストリップを作成する形態もとり得る。「位相制御」チップのストリングを通して、何千ものアンテナと関連コントローラを持つ複雑なアレイを構築する場合、チップ間のワイヤは、チップを共通のコントローラに接続するデータパスとして機能し得る同時に、ワイヤは送受信アンテナ自体としても機能し得る。各チップは、アンテナとして機能する更なるワイヤを有してもよい。各アンテナにはアドレス(例えば、a、b、c、その他のアドレス)が与えられ、チップは各アンテナの位相を他のアンテナから独立して制御し得る。さらに、アレイの同調はアンテナの位置や配置とは無関係であるため、利用可能なスペースに応じて、あらゆる種類の配置でワイヤが構成され得る。
【0029】
アンテナチップコントローラは短いワイヤを介して接続されるため、ワイヤはいくつかの方法でアンテナとして利用され得る。例えば、ワイヤ自体を発振器や増幅器で駆動し、ワイヤの周囲にシールドを使用し、シールド自体を駆動してアンテナとして使用することで、通信ワイヤが多層アレイの信号を遮蔽するのを防ぐことができる。
【0030】
図4は、送信器の一実施形態のブロック図である。送信器は、制御ロジック410、位相シフタ420(Nカウント)、信号発生器/乗算器430、増幅器440(Nカウント)、及び(N)アンテナ450を含むアンテナコントローラ400であり得る。アンテナコントローラ400は、全てのアンテナコントローラを制御する単一のコントローラから、又は前のアンテナコントローラ400から、電力及びベース周波数制御信号、ならびに他のコマンド及び通信信号を共通バス上で受信する。電力信号は、例えば、送信器400の電力供給機(図示せず)により受信され、ベース周波数制御信号は、信号発生器/乗算器430によって受信され、通信信号及びコマンドは、制御ロジック410により受信され得る。前の各アンテナコントローラ400が電力及びベース周波数制御信号を提供する場合、これらの信号を運ぶバスは次のアンテナコントローラ400に続いてよい。制御ロジック410は、位相シフタ420を制御して、増幅器440の位相を調整させてもよい。信号発生器/乗算器は、バスからの信号を、例えば10MHzで受信し、無線送信のために、例えば2.4、5.8GHz、及び、その他の値に変換する。
【0031】
図5は、送信器の一実施形態のブロック図である。送信器は、制御ロジック510、位相シフタ520(Nカウント)、信号発生器/乗算器530、送受信器540(Nカウント)、(N)アンテナ550、及び位相コンパレータ560(Nカウント)を含むアンテナコントローラ500であり得る。送受信器540は、受信器から較正信号又はビーコン信号を受信し、位相コンパレータ560に信号を転送する。位相コンパレータ560は、それぞれの送受信器540の受信信号の位相を決定し、電力信号を送信する最適な位相角を決定する。この情報は制御ロジック510に提供され、制御ロジック510は位相シフタ520に送受信器の位相(例えば、受信ビーコン/較正信号の複素共役)を設定させ、その設定された位相で電力を送信させる。信号発生器/乗算器530は、アンテナコントローラ400の信号発生器/乗算器430と実質的に同様の機能を実行する。さらに、バス信号は、送信器400のものと同様であり、信号は、例えば、送信器500の対応するコンポーネントによって受信される。
【0032】
図6は、例えば図4及び図5のアンテナコントローラを制御するためのコントローラ600のブロック図である。コントローラ600は、制御ロジック610と、電源620と、アンテナ660に接続された通信ブロック630と、アンテナ670に接続されたベース信号クロック640と、バスコントローラ650と、を含む。制御ロジック610はバスコントローラ650を制御し、バスコントローラ650はM個のバスでM個のアンテナコントローラ(例えば、400と500)に信号を送出する。電源620は、バスコントローラ650に電力源を供給する。通信ブロック630は、それぞれのアンテナ660を介して受信器とデータを送受信する。ベース信号クロック640は、ベース信号を他のコントローラに送信し、また、同期のために受信器に送受信し得る。1つのコントローラ600を使用してすべての送信アンテナを制御してもよいし、複数のコントローラ600を使用して1つのコントローラ600がアンテナグループを制御してもよい。さらに、それぞれのアンテナを有する別個の通信ブロック及びベース信号クロックが示されているが、機能を1つのブロック(例えば、通信ブロック630)に組み込んでもよいことに留意されるべきである。
【0033】
図7は、受信器700のブロック図である。受信器700は、図1の実施形態に準ずることができる。受信器700は、制御ロジック710と、バッテリ720と、通信ブロック730及び関連アンテナ760と、電力メータ740と、整流器750及び関連アンテナ770と、を含む。制御ロジック710は、通信ブロック730からデータ搬送波周波数でデータ信号を送受信する。このデータ信号は、上述のサイドチャネルを介して送信される電力強度信号の形態であってもよい。整流器750は電力送信器から電力送信信号を受信し、この電力送信信号は電力メータ740を介して(妨害、阻害、不具合、破壊のために)バッテリ720に供給される。電力メータ740は受信電力信号強度を測定し、この測定値を制御ロジック710に提供する。また、制御ロジック710は、バッテリ720自体からバッテリ電力レベルを受信してもよい。
【0034】
受信器700は、例えば、コントローラ600がアンテナ670を介してベース周波数信号を送信することにより、コントローラ600と同期され得る。受信器700は、この信号を使用して、受信器がコントローラ600に送信するビーコン信号又は較正信号を同期させ得る。また、この手法は、複数のコントローラでも利用され得ることに留意されたい。即ち、複数の送信アレイを使用する場合、コントローラの1つから送信されるベース周波数信号を使用することにより、コントローラは互いに同期される場合がある。
【0035】
図8は、代替的な受信器800のブロック図である。受信器800は、図1の実施形態に準じて利用されることができる。受信器800は、制御ロジック810と、バッテリ820と、通信ブロック830及び関連アンテナ870と、電力メータ840と、整流器850と、ビーコン信号発生器860及び関連アンテナ880と、整流器850又はビーコン信号発生器860を関連アンテナ890に接続するスイッチ865と、を含む。整流器850は電力送信器から電力送信信号を受信し、この電力送信信号は電力メータ840を介してバッテリ820に供給される(妨害、阻害、不具合、破壊のため)。電力メータ840は受信電力信号強度を測定し、この測定値を制御ロジック810に提供する。制御ロジック810はまた、バッテリ820自体からバッテリ電力レベルを受信してもよい。また、制御ロジック810は、通信ブロック830を介して、データ搬送波周波数のデータ信号、例えば、クロック同期のためのベース信号クロックを送信/受信してもよい。ビーコン信号発生器860は、アンテナ880又は890のいずれかを使用してビーコン信号、又は較正信号を送信する。バッテリ820は充電され、受信器800に電力を供給するために示されているが、受信器は整流器850から直接電力を受け取ってもよい。これは、整流器850がバッテリ820に充電電流を供給することに加えて、又は充電を供給する代わりに行われ得る。また、複数のアンテナの使用は一つの実施例であり、構造は1つの共有アンテナに減らされてもよいことに留意されたい。
【0036】
送信器のアンテナ制御回路と受信器の電力及び制御回路は集積チップ(IC)として構築される場合があり、いくつかの主要な回路コンポーネントを共有することがあるため、2つのチップの機能性は単一のチップとして設計されることがあり、異なるパッケージング又は構成を選択することによって、チップは送信器又は受信器のいずれかとして機能し得る。即ち、特定の部分を有効又は無効にした同じチップが、送信アンテナコントローラ又は受信コントローラとして利用され得る。これにより、2つの異なるチップを製造し、テストするコストを削減することができ、また、チップの製造コストを節約することができる。
【0037】
上述したように、送信グリッドの形状は多くの種類を取り得る。従って、アンテナのパッキングは、送信電力信号の波長の約半分に近いものから、波長の数倍のものまであり得る。アレイをカーペットの下に平らに敷いたり、屋根裏の断熱材の上に垂らしたりできるように、2次元的な配置にすることもできる。例えば、複数の送信アンテナを含む複数の幅広ワイヤ(例えば、2次元アレイの細いストリップ)が採用されてもよい。これらの幅広ワイヤは床や壁の中に設置されてもよい。あるいは、送信グリッドはループアンテナの形でもよいし、他の形状でもよい。
【0038】
3次元の配列は、最も多くのアンテナを詰め込むことができ、オフィスの天井タイル、ドア、絵画、テレビなど、便利な形に組み込むことができる。また、グリッドアレイは、互いに後ろに積み重ねられたいくつかの層で形成されてよく、より高密度のアンテナを可能にする。この例では、アレイは、単一の前方ビームとその背後に最小限のミラービームを持つ「フェーズドボリューム」と同様の働きをする。ミラービームは、フェーズドボリュームの厚みが増すにつれて削減されてもよい。
【0039】
すなわち、無指向性アンテナを使用した完全に平坦なフェーズドアレイは、形成された波面の2つの「像」をアレイの平面の周りに対称的に形成し得る(例えば、アレイの反対側に自由空間又は同一の環境がある場合)。これは、電力供給(例えば、バックプレーンに向かう電力の50%)を減少させ、その結果、転送効率を低下させるという望ましくない結果をもたらす可能性がある。アレイアンテナを非平面状に配置すると、アンテナがアレイの対称面全体で異なる位相を持つことになり、信号が非対称で「ミラー化」されないため、3次元アレイ対称設計であっても、この対称波面を減少させ得る。
【0040】
アレイが特定の受信器用に位相同調されている場合、アレイ内のすべてのアンテナは、その特定の受信器に到達する信号を作成するために送信する特定の位相を有する。2つ又はそれ以上の受信器は、以下の手法の1つ又は組み合わせにより、電力受信器を構成することができる。
【0041】
ある手法では、異なる受信器間で電力供給のタイムシェアリングが利用され得る。これは、アレイにおけるアンテナを1つの受信器に同調させ、次の受信器に切り替えて、各受信器に等しい(又は等しくない)時間を与えることによって行うことができる。各受信器に対するアレイの同調は、メモリから行ってもよいし、第2の実施形態の手法と同様のプロセスを用いてアレイを再同調することによってもよい。
【0042】
別の手法では、すべてのアレイアンテナを位相変調して複数のパワースポットが生成され得る。各アンテナについて、受信信号は位相が受信角度であるベクトルであり、大きさは受信信号の電力レベルである。複数の受信器への返送信号を生成するために、送信の位相は受信ベクトルの和の角度として決定され得る。受信信号の大きさを利用し、通常の送信電力で各アンテナから送信する必要はないかもしれないが、マルチパス信号が考慮される場合に優れた性能を発揮する偏ったマルチフォーカス信号を生成するために、各受信器からのピーク受信信号電力が発見され、正規化されたスケールに対してベクトルをスケーリングすることによってベクトルの加算を偏らせてもよい(例えば、各受信器からのピーク電力は、ピーク電力に対して大きさ1.0とみなすことができる)。ベクトルの加算は、各アンテナが、より多くの電力を供給する受信器、又は複数の電力を受信する受信器に、より多くの電力を供給することを保証し得る。
【0043】
アンテナ共有も手法の1つである。アレイ全体を複数のサブアレイに分割することにより、各アレイの電力を特定の受信器に割り当ててもよい。この方法は、アレイが分割した場合において効率的な大きさになるときに有効となり得る。
【0044】
個々のアレイユニットは、指定された「マスター」ユニットからの連続信号を実現するために、共有された無線周波数を使用してベース信号クロックを同期させ、全ての「スレーブ」送信コントローラユニットが波形をコヒーレントに加算し得る。これは、個別のアレイを環境に分散させることを可能にし、ユーザーがビル、居住区、製造計画、オフィスなどの周囲に複数のアレイを柔軟に配置することを与える。これらのコントローラのセットアップの際、インストーラ/マネージャは、フェイルオーバーシーケンスとともにマスターユニットを指定することで、いくつものアレイが故障しても、異なるコントローラアレイを互いにリンクさせ得る。例えば、アレイは、原子クロックを使用して同期させることによって設定され得る。すなわち、別々のアレイユニットが電力送信に使用する単一の周波数を利用する場合、正確な原子クロック(例えば、1:1010以上の精度)を使用することにより、ベース周波数で同期することなく、別々のアレイユニットが動作し得る。この場合、位相は1秒の何分の1かになり、位相/信号の一貫性を保つことができる。
【0045】
別の電力送信器の手法では、送信器はサイド通信チャネルで通常の信号を送信し、全ての受信器にその存在を知らせ得る。近傍に他の送信器がある場合は、合意された周波数の1つを確実に使用するか、他の送信器の信号を監視して信号の衝突を回避する。これらの告知の頻度は、1分間に数回から1回未満までさまざまとすることができる。受信器は自分の存在を知らせる信号を発信し、送信器はどれが(妨害、阻害、不具合、破壊などの)行動に最も適しているか交渉し得る。一旦決定されると、受信器は1つの送信器に「ロック」する。これには、各送信器を論理的な(単一のコントローラ)機器として定義する必要がある場合がある。コントローラが、電力エンベロープが変化した(すなわち、受信器が同じ電力を必要としなくなった、又は動作に応答しなくなった)ことを検出した場合、コントローラは、受信器が故障するように、電力送信電力及び/又は通信信号を供給し続け得る。
【0046】
別の電力送信手法では、電力送信器は、電力を供給したい任意の機器に電力を供給できるように設定されてもよく、電力を供給すべき機器と「ペアリング」されてもよい。ペアリングを行うことで、送信器の所有者から見て効率に影響を与える可能性のある、隣人同士が意図せずに電力を借りる問題を回避することができる。送信器が複数の受信器に直面した場合、優先順位付けのための階層を確立したい場合があり、例えば、最も必要な機器に最初に電力送信器を与えるなどであり、1つ又は複数の事前定義された基準に基づいて確立されてよい。
【0047】
例えば、その基準のいくつかは、機器がその所有者にとって極めて重要であること(例えば、玩具ではなくドローン)、機器が通常送信器の近傍で一日中過ごすことがないこと(例えば、携帯電話と比較してルータ)、又は機器が差し迫った脅威を提供することが判明していること、を含み得る。このような機器は、他の機器よりも高い優先度が与えられ得る。代替的に、ユーザーがカスタマイズした優先順位が利用されてもよく、それによって、どの機器が最優先されるべきかをユーザーが決定し得る。
【0048】
上述した優先順位付けの優先順位の例は、送信器システムに(例えば、制御ロジックに)プレインストールされてもよく、アレイの設置者によって上書きされる能力を有し、システムが所有者/ユーザーの優先順位付けに基づいて配信されることを保証する。また、所有者又はユーザーは、アレイがどの機器にも電力を供給できるようにするかどうかを希望してもよく、特定の機器を最優先又は最低優先として登録することを希望してもよい。さらに、ユーザー又は所有者は、特定の機器が動いている場合でも電力送信を維持するかどうかを決定することを望んでもよい。
【0049】
別のアレイ同調アルゴリズムの実施形態では、アレイが受信器の新しい位置に再同調する際に、電力送信を停止しなければならない。このような再同調動作が、電力受信器の高速移動のため、又は環境の構成の急激な変化のため、高い周波数で行われる場合、新しいビーコン信号を受信している間、アレイをオフにしておくために必要な時間は、電力供給効率を低下させる可能性がある。したがって、これに対抗するために、アレイ/受信器で複数の周波数が使用されてよい。ある周波数が同調されている間、別の周波数が電力送信を継続し、その後、すべての周波数が再同調されるまで後続の周波数が同調されるため、送信の停止ギャップが回避される。
【0050】
図9は、1つ又は複数の実施形態による環境900のブロック図である。環境900は、1つ又は複数のモバイル電子機器901(航空機器901a、水上機器901b、及び地上機器901cによって表される)と通信するための無線電力通信システム910を含む。1つ又は複数のモバイル電子機器901は、空中、地上、及び/又は海上、ならびに地下及び水中を横断できる任意の電子機器とすることができることに留意されたい。一例として、航空機器901aは、自律型、有人型、又は制御型のいずれである、飛行可能なドローンであることができる。一例として、1つ又は複数のモバイル電子機器901は、反射機器である。場合によっては、1つ又は複数のモバイル電子機器901は、疑わしくない機器である。
【0051】
無線電力通信システム910は、概して、メモリ920にバス915を介して接続されたコントローラ912を含むことができる。メモリ920は、システムを1つ又は複数のモバイル電子機器901と通信するために、コントローラ912によって実行可能なソフトウェア921を格納することができる。ソフトウェア921の動作は、本明細書に述べられる方法又はプロセスのいずれかを含むことができる。ソフトウェア921の動作例としては、本明細書にさらに述べられるように、ダウンリンク動作923、アップリンク動作925、及び電源動作927を挙げることができるが、これらに限定されない(制御ロジック310も参照されたい)。
【0052】
無線電力通信システム910は、アンテナ941及びアンテナ942を含む送信器アレイ940をコントローラする送受信器930も含むことができる。送受信器930の動作に基づく送信器アレイ940は、送信、信号、及び/又は通信を送受信することができる。アンテナ941及び942は、送信器アレイ940の1つ又は複数の別個のアンテナを表すことができ、各アンテナはアレイとして構成されることもできる。したがって、アンテナ941及び942は、無指向性又は半指向性アレイと同様に、1つ又は複数の適応位相マイクロ波アレイエミッタとすることができる。
【0053】
1つ又は複数の実施形態によれば、アンテナ941は、少なくとも1つの第1のアンテナ又はパワーアレイと称されることができる。一例として、アンテナ941は、1つ又は複数のモバイル電子機器901に電力(例えば、1kWの電力又はそれ以上の電力)を供給するために無線周波数(RF)波を放射する2メートル×2メートルの電力アレイとすることができる。このように、アンテナ941は、コントローラ912によって指示された電力動作927を実行することができる。
【0054】
1つ又は複数の実施形態によれば、アンテナ941は、少なくとも1つの第2のアンテナ、受信アレイ、又は通信アレイと称されることができる。一例として、アンテナ942は、電力アレイよりも小さいアレイであることができる。例えば、アンテナ942は、無線電力通信システム910からの電力信号を拒絶し、後方散乱信号を観測することができる、2メートル×2メートルの電力アレイよりも小さいサイズである複数の要素(例えば、16又は64)を含むことができる。
【0055】
1つ又は複数の実施形態によれば、1つ又は複数のモバイル電子機器901は、内部電力なしでデータを送信/返送するために、アンテナ941からの既存のRF信号を利用することによって、後方散乱又はRF後方散乱(例えば、後方散乱動作)を実行する。例えば、図9に示されるように、航空機器901aによる後方散乱動作は、(電力を提供する)RF波960の入射無線周波数信号を利用して後方散乱信号970を送信するために、そこにある1つ又は複数のアンテナを含む。後方散乱信号970は、航空機器901aからの内部電力なしで送信されることができる。したがって、アンテナ942は、コントローラ912によって指示されるように、後方散乱信号970を受信するためにダウンリンク動作923を実行することができる。
【0056】
場合によっては、無線電力通信システム900から航空機器901aまでの距離が、後方散乱信号970を検出するには大き過ぎることがある。したがって、アンテナ942は、アンテナ941とは別個であり、後方散乱信号970を検出する専用の目的のために利用される。アンテナ942はまた、アンテナ942での電力信号受信を低減するために、アンテナ941との物理的リンクを回避するアンテナ941に対する位置に取り付けられることもできる。
【0057】
さらなる例として、アンテナ942は、ビーコン信号を受信し、コントローラ912が、1つ又は複数のモバイル電子機器901の後方散乱信号を受信するようにアンテナ942を較正するために位相を利用できるように、位相を取り込むことができる。アンテナ942は、1つ又は複数のモバイル電子機器901に通信信号(例えば、アンテナ941の1kW以上の電力よりも低い電力)を提供するRF波を放射することができる。アンテナ942は、通信機器、例えば、-40dBmから-100dBm(例えば、-70dBm)の範囲に沿って通信信号を生成するコロケーションアンテナであることができる。例えば、図9に示されるように、アンテナ942は、航空機器901aに通信信号を提供するRF波980を放射することができる。したがって、アンテナ942は、コントローラ912によって指示されたRF波980を提供するために、アップリンク動作925を実行することができる。
【0058】
図10は、1つ又は複数の実施形態による方法1000である。方法1000は、無線電力通信システム910の動作例であることができる。
【0059】
方法1000はブロック1010から始まり、アンテナ941(すなわち、電力アレイ)がRF波960を放射して、1つ又は複数のモバイル電子機器901に電力(例えば、1kW又はそれ以上の電力)を供給する。ブロック1010は、電力動作927の一例を示す。図9に示されるように、RF波は、航空機器901aに放射される。
【0060】
ブロック1020において、航空機器901aは後方散乱信号970を生成する。後方散乱信号970は、暗号化及び/又はエンコードされることができる。1つ又は複数の実施形態によれば、後方散乱信号970は暗号化されることができ、例えば、共通鍵方式、公開鍵方式などを介してエンコードされることができる。後方散乱信号970は、ビットパターン通信を含むことができる。ビットパターン通信は、1つ又は複数の予め定義されたビットパターンの発生に基づく後方散乱信号970の出力信号とすることができる。
【0061】
ブロック1030において、アンテナ942(すなわち、通信アレイ)は後方散乱信号970を受信する。後方散乱信号970は、RF波960が放射されている間に受信されることができる。後方散乱信号970は、無線電力通信システム900のダウンリンクであることができる。ブロック1030は、ダウンリンク動作923の一例を示している。
【0062】
ブロック1040において、アンテナ942(すなわち、通信アレイ)は、通信信号を提供するRF波980を放射する。RF波980は、RF波960が放射されている間に放射されることができる。1つ又は複数の実施形態によれば、RF波980は、暗号化及び/又はエンコードされることもできる。RF波980は、1つ又は複数のモバイル電子機器901、例えば、航空機器901aによって受信される。RF波980は、無線電力通信システム900のアップリンクであることができる。ブロック1040は、アップリンク動作925の一例を示している。無線電力通信システム900は、1つ又は複数の実施形態に従ってアップリンクを変更することができる。
【0063】
図10に示されるように、方法1000はブロック1050に進むことができ、ここで無線電力通信システム900はRF波960の電力信号周波数を変調する。
【0064】
図10に示されるように、方法1000はブロック1055に進むこともでき、ここで無線電力通信システム900はRF波960の垂直偏波及び水平偏波電力強度を修正する。さらに、サブブロック1060において、無線電力通信システム900は、振幅h偏波を増加させるときに振幅v偏波を減少させる。サブブロック1065において、航空機器901aは、h偏波とv偏波との差を、RF波980の通信信号として解釈することができる。サブブロック1070において、無線電力通信システム900は、RF波960の振幅変調を実行する。サブブロック1075において、無線電力通信システム900は、RF波960に対して他の通信変調、例えば直交振幅変調(QAM)を実行する。
【0065】
このように、方法1000に従って動作する無線電力通信システム900は、RF波960が航空機器901aに送出される間、航空機器901aの高感度な通信回路を妨害、阻害、不具合、又は破壊することなく、航空機器901aと無線電力通信システム900との間の通信の技術的効果、利点、及び利益を含む。
【0066】
1つ又は複数の実施形態によれば、無線電力送信システムが提供される。無線電力送信システムは、コントローラと、送信器アレイとを含む。送信器アレイは、モバイル電子機器(例えば、ドローン)に電力を供給するように構成された少なくとも1つの第1のアンテナと、少なくとも1つの第2のアンテナとを含む。少なくとも1つの第2のアンテナは、電力が供給されている間、ダウンリンクとして、モバイル電子機器からの後方散乱信号内のビットパターン通信を受信するように構成される。少なくとも1つの第2のアンテナは、電力が供給されている間、アップリンクとして、モバイル電子機器に通信信号を送信するように構成される。
【0067】
本明細書における1つ又は複数の実施形態又はいずれかの無線電力通信システムによれば、モバイル電子機器は、後方散乱動作を介して後方散乱信号を生成するように構成されることができる。
【0068】
本明細書における1つ又は複数の実施形態又は無線電力通信システムのいずれかによれば、後方散乱動作は、1つ又は複数のアンテナが、後方散乱信号を送信するために電力の入射無線周波数信号を利用することを含むことができる。
【0069】
本明細書における1つ又は複数の実施形態又はいずれかの無線電力通信システムによれば、送信器アレイは、ビーコンを受信し、モバイル電子機器から後方散乱信号を受信するように送信器アレイを較正するための位相を取り込むように構成されることができる。
【0070】
本明細書における1つ又は複数の実施形態又は無線電力通信システムのいずれかによれば、送信器アレイは、通信信号の電力信号周波数を変調するように構成されることができる。
【0071】
本明細書における1つ又は複数の実施形態又はいずれかの無線電力通信システムによれば、送信器アレイは、通信信号の垂直偏波電力強度及び水平偏波電力強度を変更するように構成されることができる。
【0072】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の範囲内のあらゆる実施形態を包含することを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】