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特開2024-101551コンピュータ断層撮影用フラットパネルX線検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101551
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】コンピュータ断層撮影用フラットパネルX線検出器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/144 20060101AFI20240722BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240722BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20240722BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L27/144 K
H01L27/146 C
G01T1/20 G
G01T1/20 E
A61B6/42 530R
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000546
(22)【出願日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】18/097,841
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ・ビジュ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ワイドマン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・アルバグリ
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
4M118
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188CC09
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD16
2G188DD31
2G188DD47
2G188EE07
2G188FF13
4C093AA22
4C093CA06
4C093CA07
4C093CA08
4C093CA13
4C093EB12
4C093EB17
4C093EB24
4C093FA34
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA04
4M118BA05
4M118CA02
4M118CB06
4M118CB11
4M118FB03
4M118FB09
4M118FB13
4M118GA10
4M118GD20
4M118HA26
(57)【要約】
【課題】コンピュータ断層撮影(CT)用のフラットパネルX線検出器を提供する。
【解決手段】
X線検出器は、複数の検出器モジュールを含む。複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、X線光子を低エネルギーの光子に変換するように構成されたシンチレータ層を含む。複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、光フォトンを電子に変換するように構成された光イメージャ層も含み、光イメージャ層は、フォトダイオードのアレイを含む光イメージャパネルを含む。複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、電子をデジタル化されたピクセル値に変換する読み出し装置をさらに含み、フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、それぞれの専用データラインを介して読み出し装置のそれぞれの専用読み出しチャネルに結合され、読み出し装置は、フォトダイオードのアレイから電子を連続的に直接読み出すように構成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)システム(100)用のX線検出器であって、
複数の検出器モジュールを含み、
前記複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、
X線光子を低エネルギー光フォトンに変換するように構成されたシンチレータ層と、
前記光フォトンを電子に変換するように構成された光イメージャ層であって、該光イメージャ層は、フォトダイオードのアレイを含む光イメージャパネルを備える、光イメージャ層と、
前記電子をデジタル化されたピクセル値に変換する読み出し装置と、
を含み、
前記フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、各専用データラインを介して読み出し装置の各専用読み出しチャネルに結合され、
読み出し装置は、前記フォトダイオードのアレイから前記電子を連続的に直接読み出すように構成される、X線検出器。
【請求項2】
前記フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードが、前記読み出し装置への直流電流源として機能するように構成されている、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項3】
前記フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードがアモルファスシリコンを含む、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項4】
前記読み出し装置が特定用途向け集積回路を含む、請求項1記載のX線検出器。
【請求項5】
各専用読み出しチャンネルは電流積分増幅器を含む、請求項1記載のX線検出器。
【請求項6】
前記シンチレータ層が、結晶性オキシ硫化ガドリニウムを含むシンチレータパックを含む、請求項1記載のX線検出器。
【請求項7】
前記読み出し装置は、前記光イメージャ層の領域外のそれぞれの検出器モジュールの片側のみに配置され、それぞれの専用読み出しチャネルのすべてが前記読み出し装置にルーティングされる、請求項1記載のX線検出器。
【請求項8】
それぞれの専用データラインがトレースを含み、1つ以上のトレースが前記シンチレータ層のギャップの下に配置される、請求項1記載のX線検出器。
【請求項9】
それぞれの専用データラインがトレースを含み、1つ以上のトレースが前記フォトダイオードアレイの1つ以上のフォトダイオードの下に配置される、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項10】
前記ライトイメージャパネルは、前記トレースと前記1つ以上のフォトダイオードとの間に配置された絶縁層を備え、前記絶縁層は、前記トレースにおける容量性結合およびノイズを低減するように構成される、請求項9に記載のX線検出器。
【請求項11】
前記光イメージャパネルは、トランジスタと走査線の両方を欠いている、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項12】
前記読み出し装置が、前記フォトダイオードのアレイから電子を読み出すために異なる読み出しモードを利用するように構成されている、請求項1に記載のX線検出器。
【請求項13】
前記フォトダイオードのアレイは、高分解能中心ゾーンを挟む一対の標準分解能ゾーンに分割され、前記異なる読み出しモードは、前記一対の標準分解能ゾーンと前記高分解能中心ゾーンが同じ分解能で読み出される第1の読み出しモードと、前記高分解能中心ゾーンが第1の読み出しモードよりも高分解能で読み出される第2の読み出しモードとを含む、請求項12に記載のX線検出器。
【請求項14】
前記一対の標準分解能ゾーンの各標準分解能ゾーン内の各フォトダイオードは、前記第1の読み出しモードでは単一の画素として機能するように構成され、前記高分解能中心ゾーン内の各フォトダイオードのセットは、前記第1の読み出しモードでは単一の画素として機能し、前記第2の読み出しモードでは別々の画素として読み出されるように構成されている、請求項13に記載のX線検出器のX線検出器。
【請求項15】
前記一対の標準分解能ゾーンの各標準分解能ゾーン内の各フォトダイオードは、前記高分解能中心ゾーン内の各フォトダイオードよりも大きな面積を有する、請求項14に記載のX線検出器。
【請求項16】
前記フォトダイオードのアレイの少なくとも1つのフォトダイオードが、1つの画素として機能するように構成された修復されたフォトダイオードであり、前記修復されたフォトダイオードが、複数の機能するフォトダイオード片のそれぞれの機能するフォトダイオード片に結合されたそれぞれのトレースを介して並列に結合された複数の機能するフォトダイオード片と、複数の機能するフォトダイオード片に結合されていない欠陥のあるフォトダイオード片とを備える、請求項1に記載のX線検出器X線検出器。
【請求項17】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムであって、
X線ビームを放射するように構成された放射線源と、
フラットパネルX線検出器と、
を含み、
前記フラットパネルX線検出器は、
X線光子をより低エネルギーの光フォトンに変換するように構成されたシンチレータ層と、
前記光フォトンを電子に変換するように構成された光イメージャ層であって、該光イメージャ層は、フォトダイオードのアレイを含む光イメージャパネルを備える、光イメージャ層と、
前記電子をデジタル化されたピクセル値に変換する複数の読み出し装置と、
を含み、
前記フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、それぞれの専用データラインを介して、前記複数の読み出し装置のそれぞれの読み出し装置のそれぞれの専用読み出しチャネルに結合され、
前記複数の読み出し装置は、前記フォトダイオードのアレイから電子を連続的に直接読み出すように構成される、CT撮像システム。
【請求項18】
前記フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、アモルファスシリコンを含み、前記読み出し装置に対する直流源として作用するように構成され、各それぞれの専用データラインは、トレースを含み、各それぞれの専用データラインの各トレースは、シンチレータ層のギャップの下に位置する、請求項17に記載のCT撮像システム。
【請求項19】
前記複数の読み出し装置が、前記X線検出器の第1の側に位置する第1の読み出し装置と、前記第1の側とは反対側の前記X線検出器の第2の側に位置する第2の読み出し装置とを備え、それぞれの専用読み出しチャネルの第1のセットが第1の読み出し装置にルーティングされ、それぞれの専用読み出しチャネルの第2のセットが第2の読み出し装置にルーティングされる、請求項17に記載のCT撮像システム。
【請求項20】
コンピュータ断層撮影(CT)撮像システム用のフラットパネルX線検出器であって、
X線光子をより低エネルギーの光フォトンに変換するように構成されたシンチレータ層と、
前記光フォトンを電子に変換するように構成されたライトイメージャ層であって、該ライトイメージャ層は、フォトダイオードのアレイを含むライトイメージャパネルを備え、前記ライトイメージャパネルは、トランジスタとスキャンラインの両方を欠いている、ライトイメージャ層と、
前記電子をデジタル化されたピクセル値に変換する読み出し装置と、
を含み、
前記フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードが、それぞれの専用データラインを介して読み出し装置のそれぞれの専用読み出しチャネルに結合され、
前記読み出し装置が、前記フォトダイオードのアレイから前記電子を連続的に直接読み出すように構成され、
前記フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードはアモルファスシリコンを含み、前記読み出し装置への直流電流源として機能するように構成され、
各専用データラインはトレースを含み、
各専用データラインの各トレースは前記シンチレータ層のギャップの下に位置する、X線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、X線検出器に関し、より詳細には、コンピュータ断層撮影(CT)用のフラットパネルX線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲的イメージング技術により、対象(患者、製造品、手荷物、荷物、乗客)の内部構造や特徴の画像を、物理的な接触なしに得ることができる。
【0003】
例えば、X線ベースの撮像技術では、X線放射が人間の患者などの対象物を透過し、放射の一部が検出器に衝突して、強度データが収集される。デジタルX線システムでは、検出器は、検出器表面の離散的な画素領域(discrete pixel regions)に衝突した放射線の量又は強度を代表する信号を生成する。その後、この信号は、レビュー用に表示される画像を生成するために処理される。
【0004】
このようなX線に基づく技術の1つであるコンピュータ断層撮影(CT)として知られるものでは、スキャナは、X線源から扇形又は円錐形のX線ビームを、患者などの撮像対象物に対して多数の視野角位置(numerous view angle positions)に投射することができる。X線ビームは、対象物を横切る際に減衰され、検出器に到達した入射X線の強度又は数を表す信号を生成する検出器素子によって検出される。この信号は、X線経路に沿った対象物の線形減弱係数の線積分を表すデータを生成するために処理される。これらの信号は、通常「投影データ:projection data」または単に「投影:projections」と呼ばれる。フィルタ逆投影などの再構成技術を使用することにより、患者又は撮像対象物の関心領域の断面スライス又は三次元ボリュームを表す画像を生成することができる。医療関連では、再構成された画像又はレンダリングされたボリュームから、病理又は他の関心構造を特定することができる。
【0005】
現代の医療診断の主力製品であるにもかかわらず、CTシステムは高価であり、多くの人々にとって利用しやすいものではない。X線検出器はCTシステムのコストの大きな部分を占める。CTシステムでは通常、湾曲型X線検出器が使用される。フラットパネルX線検出器は、空間分解能が高く、低コストであるため、以前からCT装置への搭載が検討されてきたが、標準的なCT装置に比べて画質が劣るため、市場には普及していない。画質が劣る主な理由は、CTスペクトルにおけるフラットパネルシンチレータのX線阻止能の低さ(low X-ray stopping power)、シンチレータ、アモルファスシリコン(a-Si:amorphous silicon)薄膜トランジスタやダイオードに起因するイメージラグやゲインヒステリシス(image lag and gain hysteresis)、画素間のクロストーク、および薄膜トランジスタのスイッチングノイズに起因するチャネル間変動の大きさなどである。
【発明の概要】
【0006】
特許請求される本来の主題の範囲に相応する特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は、可能な実施形態の簡単な要約を提供することのみを意図する。実際、開示される主題は、以下に記載される実施形態に類似することも、異なることもある様々な形態を包含し得る。
【0007】
一実施形態では、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム(CT撮像システム)用のX線検出器が提供される。X線検出器は、複数の検出器モジュールを含む。複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、X線光子をより低エネルギーの光子(光フォトン:光光子)に変換する(convert X-ray photons into lower energy light photons)ように構成されたシンチレータ層を含む。複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、光光子を電子に変換するように構成された光イメージャ層も含み、光イメージャ層は、フォトダイオードのアレイを含む光イメージャパネル(light imager panel)を含む。複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、電子をデジタル化されたピクセル値に変換する読み出し装置をさらに含み、フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、それぞれの専用データラインを介して読み出し装置のそれぞれの専用読み出しチャネルに結合され、読み出し装置は、フォトダイオードのアレイから電子を連続的に直接読み出すように構成される。
【0008】
追加的な実施形態では、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムが提供される。CT撮像システムは、X線ビームを放出するように構成された放射線源を含む。CTシステムはまた、フラットパネルX線検出器を含む。フラットパネルX線検出器は、X線光子をより低エネルギーの光子に変換するように構成されたシンチレータ層を含む。フラットパネルX線検出器は、光フォトンを電子に変換するように構成された光イメージャ層も含み、光イメージャ層は、フォトダイオードのアレイを含む光イメージャパネルを含む。フラットパネルX線検出器は、電子をデジタル化されたピクセル値に変換する複数の読み出し装置をさらに含み、フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、それぞれの専用データラインを介して複数の読み出し装置のそれぞれの専用読み出しチャネルに結合され、複数の読み出し装置は、フォトダイオードのアレイから電子を連続的に直接読み出すように構成される。
【0009】
更なる実施形態では、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム用のフラットパネルX線検出器が提供される。フラットパネルX線検出器は、X線光子をより低エネルギーの光子に変換するように構成されたシンチレータ層を含む。フラットパネルX線検出器は、光フォトンを電子に変換するように構成された光イメージャ層も含み、光イメージャ層は、フォトダイオードのアレイを含む光イメージャパネルを含み、光イメージャパネルは、トランジスタと走査線の両方を欠く。フラットパネルX線検出器は、電子をデジタル化されたピクセル値に変換する読み出し装置をさらに含み、フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、それぞれの専用データラインを介して読み出し装置のそれぞれの専用読み出しチャネルに結合され、読み出し装置は、フォトダイオードのアレイから電子を連続的に直接読み出すように構成される。フォトダイオードアレイの各フォトダイオードはアモルファスシリコンを含み、読み出し装置への直流電流源として機能するように構成され、各専用データラインはトレースを含み、各専用データラインの各トレースはシンチレータ層のギャップの下に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本主題のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を、図面全体にわたって同種の文字が同種の部品を表す添付図面を参照しながら読むと、よりよく理解されるであろう。
【0011】
図1】本開示の特定の態様によるコンピュータ断層撮影システムの構成要素を示す図である。
図2】本開示の態様による、フラットパネルアーキテクチャを有するイメージャパネル(例えば、ライトイメージャパネル)を有するX線検出器の上面図の概略図である。
図3】本開示の態様による、図2のX線検出器の検出器モジュールの上面図の概略図である。
図4】本開示の態様による、複数の検出器モジュール(例えば、図3の検出器モジュール)の上面図の概略図である。
図5】本開示の態様による、読み出し装置が取り付けられていない図3の検出器モジュールの上面図の概略図である。
図6】本開示の態様による、図3の検出器モジュールのアクティブエリアの側面図の概略図である。
図7】本開示の態様による、読み出し装置のない図3の検出器モジュールの上面図と、検出器モジュール上のいくつかのフォトダイオード(例えば、フォトダイオード間のギャップに位置するトレースを有する)の上面図とを示す概略図である。
図8】本開示の態様による、検出器モジュールのアクティブエリアの一部の側面図と、アクティブエリアの一部のフォトダイオードの上面図とを示す概略図である。
図9】本開示の態様による、読み出し装置のない図3の検出器モジュールの上面図と、検出器モジュール上のいくつかのフォトダイオード(例えば、フォトダイオードの下に位置するトレースを有する)の上面図とを示す概略図である。
図10】本開示の態様に従った、線10-10に沿って取った、図9のトレースの断面図である。
図11】本開示の態様に従って、図9のトレースの寸法と静電容量とを関連付けた表である。
図12】本開示の態様による、線10-10に沿ってとられた図9のトレース(例えば、トレース上に配置されたポリイミドを有する)の断面図である。
図13】本開示の態様による、トレースを介して読み出し装置に結合されたフォトダイオードの概略図である。
図14】本開示の態様による、単一のイメージャパネルを有するX線検出器の概略図である。
図15】本開示の態様に従って、X線検出器で利用される異なる分解能ゾーンおよび異なる読み出しモードを有する、図14のX線検出器の一部の概略図である。
図16】本開示の態様による、修復された画素(フォトダイオード)の概略図である。
図17】本開示の態様による、図14のX線検出器のアクティブエリア(例えば、湾曲X線検出器)の側面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、1つまたは複数の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装のすべての特徴は、本明細書には記載されない場合がある。このような実際の実装の開発では、あらゆるエンジニアリングまたは設計プロジェクトと同様に、システム関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、実装ごとに異なる多数の実装固有の決定を行わなければならないことが理解されるべきである。さらに、このような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する通常の技術者にとっては、設計、製造、および製造の日常的な事業であることが理解されるべきである。
【0013】
本主題の様々な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素が1つ以上あることを意味することを意図している。「comprising:含む」、「including:備える」、および「having:有する」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。さらに、以下の議論における任意の数値例は、非限定的であることを意図しており、したがって、追加の数値値、範囲、およびパーセンテージは、開示される実施形態の範囲内である。
【0014】
以下の議論は、一般に、医用撮像の文脈で提供されるが、本発明の技術は、そのような医用文脈に限定されないことが理解されるべきである。実際、このような医学的文脈における実施例及び説明の提供は、現実の実施例及び応用例を提供することによって説明を容易にするためだけである。しかしながら、本アプローチは、製造された部品または商品の非破壊検査(すなわち、品質管理または品質審査用途)、および/またはパッケージ、箱、荷物などの非侵襲的検査(すなわち、セキュリティまたはスクリーニング用途)などの他の文脈でも利用することができる。一般に、本アプローチは、フラットパネルX線検出器が利用されるあらゆる撮像またはスクリーニングの状況において望ましい場合がある。
【0015】
本開示は、コンピュータ断層撮影システム用のX線検出器(例えば、フラットパネルX線検出器)を提供する。開示される実施形態の検出器アーキテクチャは、標準的なコンピュータ断層撮影検出器の画質を保持することを目指しながら、フラットパネルX線検出器の低コスト及び高空間分解能を活用する。特に、コンピュータ断層撮影用シンチレータ及び読み出し装置(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit))は、フラットパネル内の個々のダイオードを直接読み出すフラットパネルダイオードアレイと共に利用される(スイッチドマトリックスフラットパネルダイオードアレイ(switched matrix flat panel diode array)を利用する代わりに)。
【0016】
特定の実施形態では、X線検出器は、イメージャを形成する複数の検出器モジュールを含む。特定の実施形態では、X線検出器のイメージャは(モノリシックアプローチ(monolithic approach)では)単一のイメージャパネル(例えば、フラットイメージャパネル)として作られる。複数の検出器モジュール(又は単一のイメージャパネル)の各検出器モジュールは、X線光子をより低エネルギーの光子に変換するように構成されたシンチレータ層を含む。複数の検出器モジュール(又は単一のイメージャパネル)の各検出器モジュールは、光フォトンを電子に変換するように構成された光イメージャ層も含み、光イメージャ層は、フォトダイオード(例えば、アモルファスシリコン製のフォトダイオード)のアレイを含む光イメージャパネルを含む。複数の検出器モジュールの各検出器モジュールは、電子をデジタル化されたピクセル値に変換する読み出し装置をさらに含み、フォトダイオードのアレイの各フォトダイオードは、それぞれの専用データラインを介して読み出し装置のそれぞれの専用読み出しチャネル(例えば、電荷再分配の問題を回避するための電流積分アンプ)に結合され、読み出し装置は、フォトダイオードのアレイから電子を連続的に直接読み出すように構成される。特定の実施形態では、単一のイメージャパネルは、十分な専用読み出しチャネルを提供するためにフォトダイオードに結合される多数の読み出し装置を含む。各フォトダイオードは、読み出し装置への直流電流源として機能するように構成される。また、ライトイメージャ層(light imager layer)にはトランジスタとスキャンラインの両方がないため、X線検出器は標準的なX線パネルよりも大幅に単純化される。さらに、開示された実施形態は、画質を犠牲にすることなく、広範な視野(FOV:field of view)を必要とすることなく、大幅に低いコストでX線検出器を提供する。
【0017】
前述の議論を念頭に置いて、図1は、本明細書で議論される構造及びアプローチに従って画像データを取得及び処理するための撮像システム10の一実施形態を示す。すなわち、描かれているタイプの撮像システム10は、本明細書で説明される技術に従って作られた構成要素から利益を得るか、そうでなければ利用することができる1つのタイプの撮像システムの例である。しかし、本明細書で述べたように、他のタイプのシステム(例えば、非撮像システム、非医療システムなど:non-imaging systems, non-medical systems, and so forth)も、本明細書で述べた技術に従って作られた構成要素を利用することができる。
【0018】
図示の実施例では、システム10は、X線投影データを取得し、投影データを表示及び分析用の体積再構成に再構成するように設計されたコンピュータ断層撮影(CT)システムである。CT撮像システム10は、撮像セッション中に1つ又は複数のエネルギースペクトルでのX線発生を可能にする1つ又は複数のX線管又は固体放出構造(solid-state emission structures)などの1つ又は複数のX線源12を含む。
【0019】
特定の実施態様では、線源12は、X線ビーム20の形状(例えば、オフ・アングル・エミッションを制限することによって)及び/又はX線ビーム20の高輝度領域の範囲を規定するため、X線ビーム20のエネルギープロファイルを制御又は規定するため、及び/又は関心領域内にない患者24の部分のX線被曝を制限するために、X線ビーム20を誘導するために使用され得る患者前コリメータ及び/又はフィルタ・アセンブリ22に近接して配置され得る。実際には、フィルタアセンブリ又はビーム整形器(ビームシェイパ)22は、ガントリ内に、線源12と撮像体積との間に組み込むことができる。
【0020】
X線ビーム20は、被写体(例えば、患者24)又は対象物(例えば、製造された部品、手荷物、パッケージ等)が配置された領域に通過する。被検体は、X線光子20の少なくとも一部を減衰させ、その結果、減衰したX線光子26が、アレイ状に配置された複数の検出器素子(例えば、画素)によって形成された検出器28(例えば、画素化検出器アレイ28)に衝突する。描かれている実施例では、減衰したX線光子26は、検出器アレイ28に到達する前にコリメータ18(例えば、散乱防止グリッド又はポストペイシェントコリメータ)を通過する。本明細書で説明するように、コリメータ18は、検出器アレイ28の表面に対して実質的に垂直に整列され、角度外れに進行するX線光子26(例えば、散乱X線)が検出器アレイ28に到達するのを制限又は防止する減衰材料から形成された複数のブレード又は他の要素から構成されることがある。検出器アレイ28に到達した電気信号は検出され、1つ以上の投影データセットを生成するために処理される。描かれている実施例では、検出器28は、検出器28によって生成されたデジタル信号の取得を指令するシステムコントローラ30に結合されている。
【0021】
システムコントローラ30は、フィルタリング、検査及び/又は較正プロトコル(filtration, examination and/or calibration protocols)を実行するためにイメージングシステム10の動作を指令し、取得されたデータを処理することができる。X線源12に関して、システム制御装置30は、X線検査シーケンスのための電力、焦点位置、制御信号等を供給する。特定の実施形態に従って、システムコントローラ30は、フィルタアセンブリ22、CTガントリ(又はX線源12及び検出器28が取り付けられる他の構造的支持体)の動作、及び/又は検査経過にわたる患者支持体の移動及び/又は傾斜を制御することができる。
【0022】
さらに、システム制御装置30は、モータ制御装置(motor controller)36を介して、患者24及び/又は撮像システム10の構成要素をそれぞれ移動させるために使用される線形位置決めサブシステム(linear positioning subsystem)32及び/又は回転サブシステム(rotational subsystem)34の動作を制御することができる。例えば、CTシステムでは、放射線源12及び検出器28は、対象物(例えば、患者24)に対して回転して、角度ビューの範囲にわたってX線透過データを取得する。従って、実際の実施態様では、撮像システム10は、関心対象の走査領域全体をカバーする複数の角度位置(例えば、360°、180°+ファンビーム角度(α)等)の各々に対応するX線透過データを生成するように構成される。
【0023】
システムコントローラ30は、信号処理回路及び関連するメモリ回路を含むことができる。そのような実施形態では、メモリ回路は、X線源12及び/又はフィルタアセンブリ22を含む撮像システム10を動作させ、検出器28によって取得されたデジタル測定値を処理するために、システムコントローラ30によって実行されるプログラム、ルーチン、及び/又は符号化されたアルゴリズムを記憶することができる。一実施形態では、システムコントローラ30は、プロセッサベースのシステムの全部又は一部として実装することができる。
【0024】
線源12は、システムコントローラ30内に含まれるX線コントローラ38によって制御されることがある。X線コントローラ38は、電力、タイミング信号、及び/又は焦点スポットサイズ及びスポット位置を線源12に供給するように構成されることがある。さらに、幾つかの実施形態では、X線コントローラ38は、システム10内の異なる位置にある管又はエミッタを互いに同期して又は互いに独立して作動させるように、又は撮影セッション中に異なるエネルギープロファイルに線源を切り替えるように、線源12を選択的に作動させるように構成されることがある。
【0025】
システムコントローラ30は、データ収集システム(DAS)40を含むことができる。DAS40は、検出器28からのデジタル信号など、検出器28の読み出し電子機器によって収集されたデータを受信する。その後、DAS40は、コンピュータ42などのプロセッサベースのシステムによるその後の処理のためにデータを変換および/または処理することができる。本明細書で説明する特定の実施態様では、検出器28内の回路は、データ収集システム40への送信前に、検出器のアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。コンピュータ42は、コンピュータ42によって処理されるデータ、コンピュータ42によって処理されるデータ、またはコンピュータ42の画像処理回路44によって実行される命令を記憶することができる1つまたは複数の非一過性メモリ装置46を含むか、またはこれらと通信することができる。例えば、コンピュータ42のプロセッサは、コンピュータ42のメモリ、プロセッサのメモリ、ファームウェア、または同様のインスタンスであってもよいメモリ46に記憶された1つまたは複数の命令セットを実行することができる。一例として、コンピュータ42の画像処理回路44は、診断画像を生成するように構成されてもよい。
【0026】
コンピュータ42はまた、オペレータワークステーション48を介してオペレータによって提供されるコマンド及び走査パラメータに応答するなどして、システムコントローラ30によって可能にされる機能(すなわち、走査動作及びデータ取得)を制御するように適合され得る。システム10はまた、オペレータが関連するシステムデータ、撮像パラメータ、生の撮像データ、再構成されたデータ又は画像等を見ることを可能にするオペレータワークステーション48に結合されたディスプレイ50を含むことができる。さらに、システム10は、オペレータワークステーション48に結合され、任意の所望の測定結果を印刷するように構成されたプリンタ52を含むことができる。ディスプレイ50およびプリンタ52はまた、(図1に示すように)コンピュータ42に直接接続されてもよいし、オペレータワークステーション48を介して接続されてもよい。さらに、オペレータワークステーション48は、画像保存通信システム(PACS:picture archiving and communications system)54を含むか、またはこれに結合されることがある。PACS54は、遠隔システム又はクライアント56、放射線科情報システム(RIS:radiology department information system)、病院情報システム(HIS:hospital information system)、又は内部又は外部ネットワークに結合され、異なる場所にいる他の人が画像データにアクセスできるようにすることができる。
【0027】
図2は、フラットパネルアーキテクチャを有するイメージャパネル57(例えば、光イメージャパネル)を有するX線検出器28(例えば、フラットパネルX線検出器)の上面図の概略図である。X線検出器28は、イメージャパネル57を形成する複数の検出器モジュール58を含む。特定の実施形態では、X線検出器28のイメージャパネル57は(モノリシックアプローチでは)単一のイメージャパネル(例えば、フラットイメージャパネル)として製造される。後にさらに詳細に説明するように、各検出器モジュール58(または単一のイメージャパネル)は、光イメージャ層の上に配置されたシンチレータ層を含む。図3は、個々の検出器モジュール58を示している。図4は、図3の複数の個別検出器モジュール58を含む検出器モジュールを示す。X線検出器28を形成する検出器モジュール58の数は変化してもよい。図2に描かれているように、X線検出器28は5つの検出器モジュール58を含む。特定の実施形態では、X線検出器28は平坦である。特定の実施形態では、X線検出器28は、CTイメージング・システムのガントリのガントリレール(X線検出器28が結合され得る)のプロファイルに一致するように湾曲している。
【0028】
各検出器モジュール58は、複数の画素(pixels)60(例えば、検出素子:detector elements)を含む。以下により詳細に説明するように、各画素60はフォトダイオードである。各検出器モジュール58は、Z方向に延びる画素60の複数の列またはチャネル62を含む。図2および図3に描かれているように、各検出器モジュール58は32個のチャネル62を含む。各チャネル62は8個の画素60を含む。各チャネル62の画素60の数は異なってもよい。各検出器モジュール58は、X方向に延びる画素60の複数の行64を含む。図2および図3に描かれているように、各検出器モジュール58は32個の画素60を含む。各列の画素60の数は異なってもよい。全ての整列された検出器モジュール58の画素60の共線列(Co-linear rows)64は、X線検出器28のスライス66を形成する。図2に描かれているように、X線検出器28は8つのスライス66を含む。X線検出器28のスライス66の数は変化してもよい。単一のイメージャパネルの構造は、検出器モジュール58の構造と同様である。
【0029】
X線検出器28のカバー範囲(coverage)68は様々であってよい。特定の実施形態では、カバー範囲68はZ方向に変化することがある。X線検出器28の寸法(dimension)70もX方向に変化することがある。カバー範囲68及び寸法70は、X線検出器28の撮像のためのアクティブエリア71を画定する。活性領域(アクティブ領域)71と非活性領域74(フィンガー(例えば、接点)を含む)を含むイメージャパネルの幅は、2.5cm未満である。したがって、40cm×40cmの支持体であれば、約15個のイメージャパネルを同時に製造することができる。これにより、標準的なフラットパネルを製造するよりも複雑さが軽減され(製造する必要があるのはダイオードだけで、トランジスタは不要なため)、イメージャパネルのカバー範囲が狭くなるため、コストが削減される。
【0030】
それぞれの検出器モジュール58の各画素60は、専用のデータライン(例えば、金属トレース)を介して、検出器モジュール58に結合された読み出し電子機器または読み出し装置72のそれぞれの専用の読み出しチャネルに結合され、画素60の並列読み出しを可能にする。単一の読み出し装置72が、各検出器モジュール58に結合される。特に、各読み出し装置72は、検出器モジュール58の非活性領域74に(例えば、ギャップパッド(gap pad)76(図5参照)を介して)結合される。特定の実施形態では、読み出し装置72は特定用途向け集積回路(ASIC)である。各読み出し装置72(例えば、ASIC)は、それぞれの検出器モジュール58の256個の画素のための256個の読み出しチャネルを含むことができる。特定の実施形態では、各読み出しチャネルは電流積分増幅器である。全ての画素60のトレースは、イメージャパネル57の同じ側にルーティングされる。特定の実施形態(例えば、検出器モジュールを使用しない大型のイメージャパネル)では、画素60のトレースは複数の側面に配線されてもよい。例えば、Z方向に2倍の大きさのイメージャパネルでは、トレースは、反対側(例えば、正のZ方向及び負のZ方向の両方)に配線されてもよい。特定の実施形態では、トレースは、画素60間のシンチレータ層の間隙(例えば、カーフ:kerfs)の下に配線されてもよい。特定の実施形態では、トレースは画素60の下に配線されてもよい。各画素60(例えば、フォトダイオード)が専用の読み出しチャネル(例えば、専用のASICチャネル)を有するので、読み出し装置(例えば、ASIC)の数は、画素60の数に比例して増加する。
【0031】
特定の実施形態では、X線検出器28のカバー範囲68(及びスライス66の数)は、図2の検出器モジュール58と同数の追加の検出器モジュール58をZ方向に隣接させることによって増加させることができる。追加の検出器モジュール58の画素60は、図2に描かれているそれらの読み出し装置72とはX線検出器28の反対側に位置するそれぞれの読み出し装置72にルーティングされる。
【0032】
図6は、図3の検出器モジュール58の活性領域(アクティブエリア)71の一部の側面図の概略図である。単一のイメージャパネルの構造は、検出器モジュール58の構造と同様である。検出器モジュール58は、X線光子をより低エネルギーの光子に変換するように構成されたシンチレータ層78を含む。各検出器モジュール58について、シンチレータ層78は、結晶シンチレータパック80によって形成される。特に、特定の実施形態では、シンチレータパック80は、結晶性オキシ硫化ガドリニウム(GOS:crystalline gadolinium oxysulfide)で作られている。特定の実施形態では、シンチレータ層78は、シンチレータシートで作られてもよい。特定の実施形態では、シンチレータ層78は、少なくとも1.5mmの厚さ81を有する。特定の実施形態では、シンチレータ層78の厚さ81は約2mm以上である。散乱防止グリッド(例えば、図1のコリメータ18)が利用される場合、散乱グリッドのピッチは、大きくしてもよいし、大きくしなくてもよい(may or may not be increased)。
【0033】
シンチレータ層78は、光イメージャ層84上に(例えば、矢印82で示すようにX線が受光される方向に対して上方に)配置されている。光イメージャ層86は、光フォトンを電子に変換するように構成されている。光イメージャ層86は光イメージャパネル88を含む。光イメージャパネル88は、ベースプレート92上(例えば、上方)に配置された(半導体層の一部としての)フォトダイオードアレイ90を含む。特定の実施形態では、ベースプレート92はガラスであってもよい。
【0034】
フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、画素または検出素子(例えば、図3の画素60)として機能する。特定の実施形態では、フォトダイオードアレイ90のいくつかのフォトダイオードは、サブピクセルとして機能し得る。フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、読み出し装置(例えば、図2の読み出し装置72)に対する直流電流源として機能するように構成される。ライトイメージャパネル88には、トランジスタと走査線の両方が欠けている。各画素に専用の読み出しチャネルを持たせることにより、一般的なフラットパネル検出器において電荷積分トランジスタを利用することに伴う電荷再分配の問題を回避することができる。
【0035】
特定の実施形態では、フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、アモルファスシリコン(a-Si)で作られている。フォトダイオードがアモルファスシリコンで作られている特定の実施形態では、ラグを低減するために、5V~15Vの範囲の一般的なバイアス電圧よりも高いバイアス電圧がフォトダイオードに印加される。電荷読み出しを使用する一般的なフラットパネル検出器では、画素が順次読み出されるときに電圧が切り替わるため、画素とデータラインとの間の容量結合が問題となる。開示された実施形態では、フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードの並列電流読み出しを利用することにより、すべてのフォトダイオード(画素)およびデータラインが実質的に一定の電圧に維持され、それにより、スイッチングノイズが除去されるだけでなく、校正で除去することが困難なトランジスタからのトラップ電流およびデトラップ電流(trapping and de-trapping currents)も除去される。特定の実施形態では、フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、N型金属酸化物半導体(NMOS:N-type metal oxide semiconductor)で作られている。
【0036】
図7は、読み出し装置のない図3の検出器モジュール58の上面図と、検出器モジュール58上のいくつかのフォトダイオード94の上面図とを示す概略図である。検出器モジュール58は、図3で説明した通りである。図7の右側は、検出器モジュール58の部分98(例えば、破線ボックス)の上部に位置する画素60(例えば、フォトダイオード94)の第1の(例えば、上部)行(row)96と、部分98の下部に位置する画素60(例えば、フォトダイオード94)の第2の(例えば、下部)行100とを示す。各フォトダイオード94は、読み出し装置(例えば、図3の読み出し装置72)への直接ラインまたは専用データライン(例えば、トレース)102を含む。図7に描かれているように、カラム62内の各フォトダイオード94の専用データライン102は、フォトダイオード94(例えば、隣接するカラム(columns)62の)間のギャップ(間隙)104内を走っている。
【0037】
図8は、検出器モジュール58のアクティブエリア71の一部の側面図と、アクティブエリア71の一部のフォトダイオード94の上面図とを示す概略図である。アクティブエリア71は、図6で説明した通りである。図7で上述したように、列内の各フォトダイオード94のためのトレースまたは専用データライン(例えば、図7の専用データライン102)は、フォトダイオード94間のギャップ104で走行する。特に、トレースは、シンチレータ層78のギャップ104(例えばカーフ)の下を走る(または、その下に隠れる)。特定の実施形態では、シンチレータ層78のギャップ104は、ポストペイシェントコリメータ(例えば、図1の散乱防止グリッド又はポストペイシェントコリメータ18)のコリメータブレードの真下に位置する。従って、これらのギャップ104の下の領域はX線に対して感度がない。加えて、これらのギャップ104は光学的分離を提供する。特定の実施形態では、各ギャップ104は、約5~100マイクロメートル(μm)の範囲の幅106を有することができる。特定の実施形態では、各ギャップ104は、より小さい幅106(例えば、約80μm)を含んでもよい。特定の実施形態では、ギャップ104内に配置された各専用データラインは、ライン(線)ごとに約10μmの幅を利用する(例えば、ライン自体に5μm、スペースに5μm)。
【0038】
X線検出器の解像度が上がると、同じ範囲をカバーするためにZ方向の画素数が増え、必要なトレース数が増える。ギャップが小さくなると、増加したトレース数を収容できなくなるため、ピクセルの下にトレースを配線する必要が生じる。図9は、読み出し装置のない図3の検出器モジュール58の上面図と、検出器モジュール58上のいくつかのフォトダイオード94(例えば、フォトダイオード94の下に位置するトレースを有する)の上面図とを示す概略図である。図9の右側は、検出器モジュール58の部分98(例えば、破線ボックス)の上部に位置する画素60(例えば、フォトダイオード94)の第1の(例えば、上部)行96と、部分98の下部に位置する画素60(例えば、フォトダイオード94)の第2の(例えば、下部)行100とを示す。各フォトダイオード94は、読み出し装置(例えば、図3の読み出し装置72)への直接ラインまたは専用データライン(例えば、トレース)102を含む。図9に描かれているように、列62の各フォトダイオード94の専用データライン102は、フォトダイオード94(例えば、専用データライン102が結合されるフォトダイオード94の列62の)の下をZ方向に走る(すなわち、配線される)。各フォトダイオード94は、対応する専用データライン102に結合するビアまたは電気的接続を含む。フォトダイオード94の下を通る専用データライン102は、集光効率に影響を与えない。
【0039】
図10は、図9のトレースまたは専用データライン102を線10-10に沿って取った断面図である。上述したように、トレース102は、フォトダイオード94の下に配線される(図10では、フォトダイオード94の導電層113(例えば、金属層)のみが示されている)。図10に描かれているように、トレース102は半導体層108上に配置されている。半導体層108は、a-Siで作られてもよい。各トレース102は、隣接するトレース102からギャップ110だけ離間している。各ギャップ110は幅112を有する。各トレース102は、高さ114および幅116を含む。特定の実施形態では、厚い層118(例えば、レベリング層および絶縁層:leveling and insulating layer)がトレース102上に配置される。厚膜層118は高さ119を有する。厚い層118は、フォトダイオード94とトレース102との間に配置され、トレース102における容量性結合およびノイズを低減する。図10に描かれているように、厚い層118は窒化ケイ素(高い誘電率Er>6を有する)である。特定の実施形態では、厚膜層118に異なる材料(例えば、酸化シリコン、ポリイミド:silicon oxide, polyimide(図12参照)、または別の材料)を利用してもよい。
【0040】
図11は、図9のトレース102の寸法と静電容量とを関連付けた表120である。特定の実施形態では、ギャップ110の幅112は6μmであってよい。特定の実施形態では、ギャップ110の幅112は3μmであってよい。特定の実施形態では、ギャップ110の幅112は、表120に示す寸法と異なっていてもよい。特定の実施形態において、各トレース102の高さ114は、0.5μmであってよい。特定の実施形態では、各トレース102の高さ114は、0.25μmであってよい。特定の実施形態では、各トレース102の高さ114は、表120に示された寸法と異なっていてもよい。特定の実施形態では、各トレース102の幅116は、6μmであってよい。特定の実施形態では、各トレース102の幅116は3μmであってよい。特定の実施形態では、各トレース102の幅116は、表120に示す寸法と異なっていてもよい。特定の実施形態では、厚い層118(例えば、窒化ケイ素)の高さ119は2μmである。トレースキャパシタンス(トレース容量)を決定する目的で、トレース寸法の異なる組み合わせのそれぞれについて、2cmのトレース長を分析した。表120に示されているように、トレース寸法の異なる組み合わせについて、トレースキャパシタンスは4.9~8.6ピコファラッド(pF)の範囲であった。
【0041】
窒化シリコン層は均一な厚さの層として堆積されるかもしれないが、平坦化されないかもしれない。その代わりに、窒化シリコン層はコンフォーマル(conformal)であり、上面のトポロジーはその下の金属トレースのトポロジーを模倣する(これはフォトダイオードにラグとリーク(lag and leakage)をもたらし、最大バイアス電圧を制限する可能性がある)。さらに、窒化シリコン層の厚さが制限される場合があり(すなわち、2μm以下)、特定の実施形態では、容量性結合を低減する効果が制限される場合がある。したがって、特定の実施形態では、代わりにポリイミドを利用することができる。ポリイミドは誘電率が低く(εr約3:εr of approximately 3:イプシロンアール)、はるかに厚くすることができる。従って、ポリイミド層は容量性結合(capacitive coupling)を低減するのに効果的である。ポリイミド層は平坦化され(すなわち、下層の金属トレースのトポロジーとは無関係に上面が平坦になり)、その結果、リークとラグが少なくなり、許容バイアス電圧が高くなる。図12は、図9のトレースまたは専用データライン102を線10-10に沿って撮影した断面図である。上述のように、トレース102は、フォトダイオード94の下に配線される(図12では、フォトダイオード94の導電層113(例えば、金属層)のみが示されている)。図12に描かれているように、トレース102は半導体層108上に配置されている。半導体層108は、a-Siで作られてもよい。各トレース102は、隣接するトレース102からギャップ110によって離間されている。ギャップ110は幅112を有する。各トレース102は、高さ114および幅116を含む。特定の実施形態において、厚い層118(例えば、レベリング層および絶縁層)は、トレース102上に配置される。厚膜層118は高さ122を有する。厚膜層118は、フォトダイオード94とトレース102との間に配置され、トレース102の容量性結合およびノイズを低減する。図12に描かれているように、厚い層118はポリイミドである。図12における厚い層118(例えば、ポリイミド)の高さ122は、図10における厚い層118(例えば、窒化ケイ素:silicon nitride)の高さ119よりも大きい。ポリイミドの厚い層118の高さ122は、最大4μmであってもよい。
【0042】
上述したように、特定の実施形態では、フォトダイオードに結合されたそれぞれの専用読み出しチャネルは、電流積分増幅器を含む。図13は、それぞれのトレース102(例えば、専用データライン)を介して読み出し装置72に結合されたそれぞれのフォトダイオード94の概略図である。X線検出器のフォトダイオードのアレイのそれぞれのフォトダイオード94は、読み出し装置72(例えば、ASIC)のそれぞれの読み出しチャネル124に結合される。フォトダイオードのアレイの各フォトダイオード94は、読み出し装置72に対する直流電流源として機能するように構成されている。専用読み出しチャネル124は、電流積分増幅器(current integrating amplifier)126を含む。構成されるように、X線検出器は、CTスキャン中に画像データを取得する電流読み出しアプローチを可能にする。
【0043】
図14は、単一イメージャパネル(single imager panel)128を有するX線検出器28の概略図である。単一イメージャパネル128は、図2図6で上述したX線検出器モジュール58と構造的に類似している。単一イメージャパネル128は、複数の画素(例えば、検出器素子)を含む。各画素はフォトダイオードである。単一イメージャパネル128は、Z方向に延びる画素の複数の列又はチャネルを含む。単一イメージャパネル128は、X方向に延びる画素の複数の行を含む。単一イメージャパネル128の画素の行は、X線検出器28のスライスを形成する。特定の実施形態では、単一イメージャパネル128は、64スライスの直接読み出しを可能にすることができる(例えば、500μm幅の画素を有する)。特定の実施形態では、さらに大きな画素を有する場合、単一イメージャパネル128は、64以上のスライスを含むことができる。
【0044】
図14に描かれた単一イメージャパネル128のカバー範囲68は、Z方向の64画素によって規定される。図14に描かれた単一イメージャパネル128のX方向の寸法70は40cmである。カバー範囲68と寸法129は、単一イメージャパネル128のアクティブエリア71を規定する。
【0045】
単一イメージャパネル128の各画素は、専用データライン(例えば、金属トレース)を介して、単一イメージャパネル128に結合された読み出し電子回路又は読み出し装置72のそれぞれの専用読み出しチャネルに結合され、画素の並列読み出しを可能にする。複数の読み出し装置72(例えば、ASIC)は、単一イメージャパネル128の第1の側面(first side)130と、第1の側面130の反対側に配置された単一イメージャパネル128の第2の側面(second side)132とに配置される。特定の実施形態では(例えば、より小さいカバー範囲(例えば、Z方向に32画素)を有するX線検出器28の場合)、ASICは、イメージパネル128の単一の側(例えば、側130または側132)にのみ配置されてもよい。特に、各読み出し装置72は、X線検出器28の非活性領域74に結合されている。各読み出し装置72(例えば、ASIC)は、単一イメージャパネル128上の256の画素に対して256の読み出しチャネルを含むことができる。各画素(例えば、フォトダイオード)が専用の読み出しチャネル(例えば、専用のASICチャネル)を有するので、読み出し装置72(例えば、ASIC)の数は、画素の数に比例して増加する。上述したように、各読み出しチャネルは電流積分増幅器である。単一イメージャパネル128の第1の面130に隣接するすべての画素のトレースは、単一イメージャパネル128の同じ面130上の読み出し装置72にルーティングされる。単一イメージャパネル128の第2の側面132に隣接する全ての画素のトレースは、単一イメージャパネル128の同じ側面132上の読み出し装置72に配線される。特定の実施形態では、トレースは、画素間のシンチレータ層の隙間(例えば、カーフ)の下に配線されてもよい。特定の実施形態では、トレースは、画素(例えば、フォトダイオード)の下に配線されてもよい。
【0046】
ピクセルごとに専用の読み出し(ASICなど)チャンネルを使用する場合、解像度が上がるにつれて読み出しチャンネルの数は急速に増加する。コスト削減のため、画素のサイズを変えたり、画素をビニング(pixels may be binned)したりすることもある。さらに、外側スライスの解像度を低下させることにより、画素の下に一定数のトレースしか配線できない場合に、カバー範囲を増加させることもできる。X線検出器28は、異なる構成に対して構成可能であってもよい。ある構成では、X線検出器28は、500μmピクセルの32スライスを含むことができる。別の構成では、X線検出器28は、1000μm四方のピクセルを有する64個のスライスを含み、500μmピクセルを有する32個のスライスを有する構成よりも4倍のカバー範囲を提供することができる。
【0047】
X線検出器28の異なるゾーンまたは領域は、異なる分解能用に構成することができる。図15は、X線検出器28で利用される異なる分解能ゾーンおよび異なる読み出しモード(different resolution zones and different readout modes)を有する図14のX線検出器28の一部の概略図である。X線検出器28は、一対の標準分解能ゾーン134、136(例えば、外側ゾーン)と高分解能中央ゾーン138との間に分割されたピクセル60(例えば、フォトダイオード94、143)を含む。一対の標準解像度ゾーン134、136は、高解像度中心ゾーン138を挟んでいる。破線枠139は、高解像度中心ゾーン138及び標準解像度ゾーン136内の画素60の一部を示す。複数のフォトダイオード143が、高分解能中心ゾーン138の各画素領域又は領域140(シンチレータによって規定される)に配置される。描かれているように、フォトダイオード143のセット141(例えば、4つのフォトダイオード143)が、高解像度中心ゾーン138の各画素領域140に配置される。特定の実施形態では、高解像度中心ゾーン138内の各画素領域140内のフォトダイオード143の数は、図15に描かれているものと異なっていてもよい。標準解像度ゾーン134、136の各画素領域又は領域140には、単一のフォトダイオード94が配置される。各フォトダイオード94は、読み出し装置72への直接のライン(例えば、トレース102)を有する。図15に描かれているように、トレース102は、X線検出器28の画素60の数のために、フォトダイオード94の下を走っている。標準分解能ゾーン134、136の各フォトダイオード94は、高分解能中央ゾーン138のフォトダイオード143の面積144よりも大きな面積142を有する。
【0048】
X線検出器28のパネルは、固定された分解能設定(すなわち、高分解能センターゾーン読み出しまたは標準分解能フルカバレッジ読み出し(high-resolution center zone readout or standard-resolution full coverage readout)のいずれか)で読み出されるように構成されている。読み出し装置72(例えば、複数のASIC)は、異なる読み出しモードで動作するように構成されている。読み出し装置72は、第1の読み出しモード146(例えば、標準解像度フルカバレッジ読み出し)および第2の読み出しモード148(例えば、高解像度センターゾーン読み出し)で動作するように構成される。異なる読み出しモード146、148の間の設定(または変更)は、読み出し装置72内に統合されてもよいし、別個の装置149に配置されてもよい。第1の読み出しモード146では、一対の標準解像度ゾーン134、136と高解像度ゾーン138が同じ解像度で読み出される。第1の読み出しモード146では、フォトダイオード143の各セット141は、単一の画素60として機能する。フォトダイオード143のそれぞれのセット141内のフォトダイオード143のトレース102内の信号は、単一の読み出しチャネルに単一の信号を供給するために、読み出し装置72の前に結合される(例えば、合計される)。第2の読み出しモード148では、高分解能ゾーン138のみが読み出され、第1の読み出しモード146における分解能よりも高い分解能で読み出される。第2の読み出しモード148では、フォトダイオード143の各セット141の各フォトダイオード143は、別個の画素60として機能し、それぞれのトレース102を介して、読み出し装置72内の別個の読み出しチャネルに結合される。高解像度ゾーン138では、読み出しチャネルの数は、フォトダイオード143の数に少なくとも等しい必要があることに留意すべきである。さらに、第2の読み出しモード148では、高解像度ゾーン138のみが読み出されるため、Zカバー範囲が小さくなる。読み出される画素数、したがって必要とされる最大データレートは、第1の読み出しモード146と第2の読み出しモード148の両方で同様または同じ(similar or the same)にすることができる。これにより、データ転送やデータ保存など、他のシステム構成要素を最適化することができる。
【0049】
特定の実施形態では、上述したX線検出器の画素が不良画素になることがある。特定の実施形態では、X線検出器の不良画素を修復することができる。特に、ダイオードを複数のピースに分割して、サブピクセルとして機能させることができる。例えば、顕微鏡で見える点欠陥(point defect visible under a microscope)の場合、ピクセルの一部(すなわち、元のフォトダイオードの不良部分)を切り離すことが可能であろう。これらの複数のフォトダイオードの各部分は、これらのサブピクセルを結合して単一の機能する修復されたピクセルを形成するために、ピクセルの端部で局所的に一緒に接続されるそれぞれのトレース又はラインを含むことができる。図16は、修復された画素60(フォトダイオード94)の概略図である。描かれているように、(不良画素60であった)元のフォトダイオード94は、複数のフォトダイオード片(photodiodes pieces)150に分割される。図16に描かれているように、10個のフォトダイオード片150がある。特定の実施形態では、フォトダイオード94が分割されるフォトダイオード片150の数は異なってもよい。機能するフォトダイオード片152は、それぞれのトレース154を介して、画素60の端部156(図16に描写されるように)の単一のトレース102に並列に結合される。特定の実施形態では、機能するフォトダイオード片152からのそれぞれのトレース154は、異なる位置(例えば、中央または他の場所)で単一のトレース102に結合されるかもしれない。機能するフォトダイオード片152は、カーフ又は別の場所で単一トレース102に結合される。従って、(例えば、切断された欠陥のあるフォトダイオード片158による)最小の線量ペナルティ(minimal dose penalty)で修理を行うことができる。図16に描かれているように、欠陥のあるフォトダイオード片158は、他のフォトダイオード片150(すなわち、機能しているフォトダイオード片152)と単一のトレース102に結合されていない。特定の実施形態では、複数のフォトダイオード片150が欠陥であり、他のフォトダイオード片150と単一トレース102に結合されないことがある。
【0050】
図17は、図14のX線検出器28のアクティブエリア71の側面図の概略図である。特に、この側面図は、単一イメージャパネル128の側面図である。描かれているように、単一イメージャパネル128は、X線光子をより低いエネルギーの光子に変換するように構成されたシンチレータ層78を含む。シンチレータ層78は、結晶シンチレータパック80によって形成される。特に、特定の実施形態では、シンチレータパック80は、結晶性オキシ硫化ガドリニウム(GOS:crystalline gadolinium oxysulfide)で作られている。
【0051】
シンチレータ層78は、光イメージャ層84上に(例えば、矢印82で示すようにX線が受光される方向に対して上方に)配置されている。光イメージャ層86は、光フォトンを電子に変換するように構成されている。光イメージャ層86は光イメージャパネル88を含む。光イメージャパネル88は、ベースプレート92上(例えば、上方)に配置された(半導体層の一部としての)フォトダイオードアレイ90を含む。特定の実施形態では、ベースプレート92はガラスであってもよい。
【0052】
フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、画素または検出素子として機能する。特定の実施形態では、フォトダイオードアレイ90のいくつかのフォトダイオードは、サブピクセルとして機能し得る。フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、読み出し装置への直流電流源として機能するように構成される。ライトイメージャパネル88には、トランジスタと走査線の両方を欠いている(lack both transistors and scan lines)。各画素が専用の読み出しチャネルを有することにより、一般的なフラットパネル検出器において電荷積分トランジスタを利用することに伴う電荷再分配の問題(charge redistribution issues)が回避される。
【0053】
特定の実施形態では、フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、アモルファスシリコン(a-Si)で作られている。開示された実施形態では、フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードの並列電流読み出しを利用することにより、全てのフォトダイオード(画素)及びデータラインは実質的に一定の電圧のままであり、それにより、スイッチングノイズが除去されるとともに、a-Siからのあらゆるノイズが捕捉される。特定の実施形態では、フォトダイオードアレイ90の各フォトダイオードは、N型金属酸化物半導体(NMOS:N-type metal oxide semiconductor)で作られている。
【0054】
図17に描かれているように、単一イメージャパネル128は湾曲している。単一イメージャパネル128は、検出器要素(特に、シンチレータ及びそのカーフ)がX線源(例えば、X線管)の焦点スポットに向かって整列されるように、CT撮像システムのガントリのガントリレール(X線検出器28が結合され得る)のプロファイルに一致するように湾曲される。
【0055】
開示される実施形態の技術的効果には、良好な画質を提供しつつコストを低減したコンピュータ断層撮影装置用のX線検出器(例えば、フラットパネルX線検出器)を提供することが含まれる。開示される実施形態の検出器アーキテクチャは、標準的なコンピュータ断層撮影検出器の画質と同等でありながら、フラットパネルX線検出器の低コスト及び高空間分解能を活用する。特に、コンピュータ断層撮影用シンチレータ及び読み出し装置(例えば、ASIC)が、フラットパネル内の個々のダイオードを直接読み出すフラットパネルダイオードアレイと共に利用される。X線検出器のライトイメージャー層には、トランジスタとスキャンラインの両方がないため、X線検出器は標準的なX線パネルの約半分の複雑さになる。
【0056】
本明細書で提示され、特許請求される技術は、現在の技術分野を実証的に改善する実用的な性質の物質的対象物および具体例に参照され、適用されるものであり、そのようなものとして、抽象的、無形的、または純粋に理論的なものではない。さらに、本明細書の末尾に付された請求項に、「[機能]を[実行]するための手段...」または「[機能]を[実行]するためのステップ...」と指定された1つまたは複数の要素が含まれる場合、かかる要素は35U.S.C.112(f)に基づいて解釈されることが意図される。ただし、その他の方法で指定された要素を含むクレームについては、当該要素は35U.S.C.112(f)に基づいて解釈されないことが意図されている。
【0057】
本明細書は、最良の態様を含む本主題を開示するため、また、任意の装置またはシステムの製造および使用、ならびに組み込まれた方法の実行を含め、当業者が本主題を実施できるようにするために、実施例を用いて説明する。本主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
10:CT撮像システム 12:X線源 18:コリメータ 20:X線ビーム 22:ビーム整形器 24:患者 26:減衰X線光子 28:検出器アレイ 30:システムコントローラ 32:線形位置決めサブシステム 34:回転サブシステム 36:モータ制御装置 38:X線コントローラ 40:DAS 42:コンピュータ 44:画像処理回路 46:メモリ 48:オペレータワークステーション 50:ディスプレイ 52:プリンタ 54:PACS 56:遠隔システム 57:イメージャパネル 58:検出器モジュール 60:画素 62:チャネル 64:共線列 66:スライス 68:カバー範囲 70:寸法 71:活性領域 72:読み出し装置 74:非活性領域 76:ギャップパッド 78:シンチレータ層 80:シンチレータパック 81:厚さ 82:矢印 84:光撮像層 86:光撮像体層 88:光撮像パネル 90:フォトダイオードアレイ 92:ベースプレート 94:フォトダイオード 96:列 98:部分 100:列 102:専用データライン 104:ギャップ 106:幅 108:半導体層 110:ギャップ 112:幅 113:導電層 114:高さ 116:幅 118:厚い層 119:高さ 120:表 122:高さ 124:読み出しチャネル 126:電流積分増幅器 128:単一イメージャパネル 130:第1の側面 132:第2の側面 134、136:標準分解能ゾーン 138:高解像度センターゾーン 139:破線ボックス 140:領域 141:セット 142:面積 143:フォトダイオード 144:面積 146、148:読み出しモード 149:別個のデバイス 150、152:フォトダイオード片 154:トレース 156:エッジ 158:欠陥フォトダイオード片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【外国語明細書】