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特開2024-101554組織の医療処置用のプラズマプローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101554
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】組織の医療処置用のプラズマプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/04 20060101AFI20240722BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A61B18/04
A61B17/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024001484
(22)【出願日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】23152010
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ハイム
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルツ・マルティン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラズマ出口窓を処置対象組織に近づけることを可能にする、簡略化された構造タイプのプラズマプローブを提供する。
【解決手段】可撓性を有するプラズマプローブは、少なくとも1つのプラズマ出口窓26、27、28を有するヘッドピース12を備え、プラズマ出口窓26、27、28は、径方向でも軸方向でもなく、開口方向Oが縦中心軸Lに対して斜め方向を向いた状態で、ヘッドピース12の先細り端部セクション18内に配置されている。そのようなプラズマプローブにより、電極20と病変とをより近づけることが実現可能であるため、体腔内の生体組織、特に病変の処置が簡略化および改善される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織(10、11)の処置用、特に内視鏡用のプラズマプローブ(2)であって、
前記プラズマプローブ(2)の近位端部から遠位端部(9)まで縦中心軸(L)に沿って延在する可撓性を有するホース(6)を備え、前記ホース(6)の近位端部(7)は、ガス源(8a)に接続可能な管腔(14)を含み、
前記ホース(6)内に配置され、前記近位端部(7)から前記遠位端部(9)まで延在する、電気ジェネレータ(8b)に接続可能な導電体(21)を備え、
前記導電体(21)に接続されている電極(20)を備え、
前記ホース(6)の前記遠位端部(9)に取り付けられ、遠位方向に先細りしている端部セクション(18)を含むヘッドピース(12)を備え、
少なくとも1つのプラズマ出口窓(25)が前記ヘッドピース(12)内に構成されており、
前記プラズマ出口窓(25)は、前記先細り端部セクション(18)内に少なくとも部分的に配置されている
プラズマプローブ。
【請求項2】
前記ヘッドピース(12)は、耐熱性電気絶縁材料からなる
請求項1に記載のプラズマプローブ。
【請求項3】
前記プラズマ出口窓(25)は、前記縦中心軸(L)に対して直角方向を向いている
請求項1に記載のプラズマプローブ。
【請求項4】
前記ヘッドピース(12)は、同じ軸方向位置で周方向に互いに離れた複数のプラズマ出口窓(25~28)を含み、前記複数のプラズマ出口窓(25~28)は、例外なく前記先細り端部セクション(18)内に少なくとも部分的に配置されている
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項5】
前記先細り端部セクション(18)は、丸みを帯びている
請求項1に記載のプラズマプローブ。
【請求項6】
前記先細り端部セクション(18)は、縦方向に丸みを帯びている
請求項1に記載のプラズマプローブ。
【請求項7】
前記ヘッドピース(12)は、ある半径(R)の円形断面をホース側の端部に有し、前記半径(R)は、前記ホース側の端部(15)から、前記ホース(6)から離れて位置する端部(16)まで測定される長さ(D)よりも小さい
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項8】
前記電極(20)は、前記ホース(6)内に固定されている
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項9】
前記電極(20)は、前記ヘッドピース(12)内に固定されている
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項10】
前記電極(20)は、前記ヘッドピース(12)に接触していない遠位端部(23)を含む
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項11】
前記ホース(6)は、1つの単一ガス搬送管腔(14)を含む
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項12】
前記ホース(6)は、複数のガス搬送管腔(14a、14b)を含む
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項13】
前記ヘッドピース(12)は、単一プラズマ出口窓(25)を1つのみ含む
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項14】
前記ヘッドピース(12)の前記先細りセクション(18)は、前記縦中心軸(L)に対して回転対称に構成されている
請求項1または3に記載のプラズマプローブ。
【請求項15】
前記ヘッドピース(12)の前記先細りセクション(18)は、前記縦中心軸(L)に対して非対称に構成されている
請求項1、5または6のいずれか1項に記載のプラズマプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の処置用、特に内視鏡用のプラズマプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマプローブ、特にアルゴンプラズマプローブは、組織の凝固または切除に使用されることが多い。そのようなプラズマプローブの構造の異なるタイプが、例えば、特許文献1から明らかである。したがって、軸方向および/または横方向プラズマ出口開口部を有するプラズマプローブが知られている。特に、ヘッドピースが遠位側に取り付けられた可撓性を有するホースからそのようなプラズマプローブを形成することが知られており、そのヘッドピースは、HF電圧が供給される電極を含む。ヘッドピースは、その遠位端部で丸みを帯びることができ、また、横方向および軸方向プラズマ出口開口部を有することができる。
【0003】
特許文献2には、可撓性を有するホースと、遠位端部の球状に丸みを帯びた端部ピースとを有するプラズマプローブが開示されている。端部ピースの円筒セクションには、横方向プラズマ出口開口部が設けられている。
【0004】
特許文献3には、ふるいとして構成された半球状に丸みを帯びた端部キャップを有するプラズマプローブが開示されている。特許文献4には、別の器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-301088号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第2573128号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0090644号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/055368号
【特許文献5】欧州特許第1397082号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プラズマ出口開口部を処置対象組織のできるだけ近くに配置するために、特許文献5には、円筒状の基本構造体と、それぞれらせん状の線に沿った2つの横方向プラズマ出口開口部とを有するプラズマプローブが開示されている。これらのプラズマ出口開口部の領域ではプローブ本体を曲げることができ、その結果、プローブの遠位端部を組織上に置き、それぞれの横方向の力をプローブに加えると、長尺形状のプローブと比較して、プラズマ出口開口部が組織により近づく曲げ位置がプラズマ出口開口部に形成される。これは、大腸ポリープまたは他の病変などの、他の組織よりも突出している病的な新組織形成物の処置中に特に有利である。しかしながら、この原理には、プローブがプラズマ出口開口部の領域において可撓性を有する必要があり、これは、構造上の課題になり得る。
【0007】
それらを起点とし、本発明の目的は、プラズマ出口窓を処置対象組織に近づけることを可能にする、簡略化された構造タイプのプラズマプローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載のプラズマプローブによって達成される。
【0009】
本発明に係るプラズマプローブは、遠位端部に剛性を有するヘッドピースが設けられている可撓性を有するホースを備え、そのヘッドピースは、遠位方向に先細りしている端部セクションを含む。ヘッドピースは、ヘッドピースの先細り端部セクション内に少なくとも部分的に延在する1以上のプラズマ出口窓を含む。電極もヘッドピース内に延在し、その電極は、導電体を介してHFジェネレータに接続することができ、電極には、HFジェネレータによって適切なHF電圧を供給することができる。電極によってイオン化されているホースを流れるガスが、プラズマ流を形成し、そのプラズマ流は、電極に対して直角方向のプラズマ出口窓から、プラズマプローブの縦方向に対して横方向に流出する。プラズマ出口窓は、端部ピースの先細り端部セクション内に位置するか、またはこの端部セクション内に少なくとも延在するため、組織病変を特に処置することができる。電極と処置対象組織との距離は、非常に小さく保つことができ、同時に、処置の目標位置を非常に正確に定めることができる。ヘッドピースの先細りは、1以上のプラズマ出口窓の近位端部から始まることが好ましい。
【0010】
プラズマプローブは、モノポーラ方式で構成されることが好ましく、すなわち、プラズマプローブは、単一電極を1つのみ備え、電流は、電極から処置対象組織まで流れ、そして、処置対象組織から、患者に取り付けられた中性電極を介してジェネレータに戻る。本発明による設計により電極と組織との距離が最小限に抑えられるため、プラズマジェットの作用位置を正確に定めることができるだけでなく、必要以上に組織損傷を引き起こさないように、プラズマプローブも操作でき、比較的低いパワーで組織に作用を及ぼすことができる。
【0011】
本発明に係るプラズマプローブは、特に、細い中空管での使用に適しており、プローブは、例えば内視鏡によって、その細い中空管を通って体腔の延在部と略平行に案内され、内視鏡およびプラズマプローブの端部のみが、処置される部位に向かってわずかに角度が付けられている。それにより、丸みを帯びたヘッドピースは、プローブの遠位端部が処置対象組織上を摺動し、ひいてはスキッドのように機能することを可能にする。このことは、特に、先細り端部セクションが半球状に丸みを帯びているだけでなく、さらにわずかに縦方向に丸みを帯びて構成されている場合に当てはまる。端部ピースは、縦断面において、角のない丸みを帯びた輪郭を有することが好ましい。縦断面は、表面線が円弧状に延びるように、尖っていない丸みを帯びた円錐、すなわち、丸みを帯びた先端部またはさらに丸みを帯びた側面を備えた円錐の形状を有し得る。実際、この形状を用いると、特に良好な効果が得られる。
【0012】
プラズマプローブは、プラズマ出口方向がプラズマプローブの縦方向に対して直角方向を向いているが、それによってわずかに斜め方向を向いている横方向プラズマ出口窓のみを備えることが好ましい。そのため、本発明に係るプラズマプローブは、遠位端部で閉じていることが好ましい。これは、出口方向が軸方向のプラズマ出口開口部は設けられていないことを意味する。プラズマ出口窓間には、軸方向に延在する分離ウェブが配置されている。周方向に測定すると、プラズマ出口窓の幅の合計は、プラズマ出口窓間に設けられたウェブの幅の合計よりも長く、好ましくは著しく長い。
【0013】
ヘッドピースは、同じ軸方向位置で周方向に互いに離れた複数のプラズマ出口窓を含むことが好ましく、それらのプラズマ出口窓は、例外なく先細り端部セクション内に少なくとも部分的に配置されている。さらに好ましくは、プラズマ出口窓からなる単一環が1つのみ、ヘッドピースに設けられており、すなわち、すべてのプラズマ出口窓は、同じ軸方向位置に配置されている。
【0014】
電極は、ヘッドピース内に固定することができ、例えば、この目的のためにヘッドピース内の遠位端部に固定することができる。しかしながら、現在好ましい別の実施の形態では、電極とヘッドピースの絶縁材との直接的な熱接触が生じないように、電極の端部は覆われていない。そうすることで、組織への付着を避けるためにヘッドピースの外側の温度を低く保つことができる。
【0015】
電極は、適切なホルダ、例えば、ホース内部、ヘッドピースの管状延在部内、またはホースおよびヘッドピース内でホース管腔(ルーメン)と交差する板金ピースによって保持することができる。それにより、電極はプラズマプローブの遠位端部に近接してセンタリングされているため、プラズマプローブは、すべての横方向に等しく動作することができる。
【0016】
ホースは、ホースの近位端部からヘッドピースまで延在するガス搬送管腔を少なくとも含む。ホースの近位端部に取り付けられた適切な接続手段を介して、管腔をガス源に接続することができ、ひいては、適切なガス、好ましくはアルゴンが管腔を通って縦方向に流れることができるようになる。あるいは、ホースは、ホースの近位端部から遠位端部まで延在し、かつ一般にヘッドピース内に開口する複数のガス搬送管腔を含むことができる。
【0017】
本発明の有利な実施の形態のさらなる詳細は、特許請求の範囲の主題、ならびに、図面および関連する説明の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、供給装置に接続された本発明に係るプローブを有する内視鏡の概略図である。
図2図2は、処置を必要とする生体組織に使用中の内視鏡の遠位端部およびプローブの図である。
図3図3は、本発明に係るプローブの遠位端部の側面図である。
図4図4は、縦方向に切断された図3によるプローブの図である。
図5図5は、図4のIV-IV線に沿って切断された図3および図4によるプローブの図である。
図6図6は、図3および図4によるプローブのヘッドピースの縦切断図である。
図7図7は、図2図3および図4によるプローブの使用中の図である。
図8図8は、本発明に係るプローブの変更形態における概略側面図である。
図9図9は、プローブのホースの変更形態における直角方向切断図である。
図10図10は、プラズマ出口窓を1つのみ有する本発明に係る非対称プローブの概略側面図である。
図11図11は、回転対称ヘッドピースと、1つの単一横方向プラズマ出口窓とを有する本発明に係るプラズマプローブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、カテーテル1と、そのカテーテル1のワーキングチャネル内に配置されたプラズマプローブ2とを有する、組織、特に体腔の表面のプラズマ処置用の装置を示す。カテーテル1は、その遠位端部4の曲がる動きを制御することができるコントロールヘッド3を近位端部に含む。さらに、カテーテル3は、例えば、遠位端部4で撮影された画像を表示する、かつ/または適切な作動媒体、例えばガス、フラッシング液などをカテーテル1に供給するように構成されている装置5に接続することができる。
【0020】
プラズマプローブ2は、ホース6を含み、ホース6の近位端部は接続可能であり、適切な接続手段7によって装置8に接続されており、装置8は、プラズマプローブ2に電流およびガスを供給するように構成されている。その装置は、ガス、例えば不活性ガスの出力用のガス源8aと、外科電流の生成用のジェネレータとを含む。
【0021】
図1から、および特に図2からも明らかなように、プラズマプローブは、組織表面10、特に組織表面上にある処置を必要とする部位11、いわゆる病変を処置するためにカテーテル1のワーキングチャネルから縦方向に出ることができる遠位端部9を備える。処置を必要とするそのような部位は、良性の可能性もあるが、特に悪性の増殖またはその前段階、例えば、結腸または他の中空器官内のいわゆるポリープの可能性もある。
【0022】
プラズマプローブ2の特定の構成を説明するために、プラズマプローブ2の遠位端部9を図3および図4に個々に示す。好ましくはプラスチックからなる可撓性を有するホース6の開口している遠位端部において明らかなように、管状延在部13(図4)が突出しているヘッドピース12が、ホース6を貫通して全長に沿って縦方向に延在する管腔14内に挿入されている。この実施の形態において、ホース6は、内部分離のない単一管腔ホースである。
【0023】
ヘッドピース12は、セラミックまたは非常に温度安定性の高いプラスチックなどの耐熱性電気絶縁材料からなることが好ましい。ヘッドピース12は、好ましくは滑らかな、すなわち段差のない接合部15でホース6の外側に隣接し、ヘッドピース12の丸みを帯びた遠位先端部16まで先細りしている。先細りは、既に接合部15から始まることができ、またはさらに図3に示すように遠位方向へある特定の距離離れたところから、例えば図3の破線で示した線17からのみ始まることもできる。ヘッドピース12は、先端部16と破線17との間に、遠位方向に先細りしている端部セクション18を含み、端部セクション18は、丸みを帯びた円錐の形状を有し得る。端部セクション18の半径および直径は、遠位先端部16まで遠位方向に連続的に、すなわち、好ましくは無段階に減少している。先端部16から端部セクション18を通って接合部15に向かう方向に延在する表面線は、例えば、楕円状、放物線状、または他の形状に湾曲させることができる。
【0024】
端部ピース12は、先端部16で閉じているが、それ以外は中空に構成されており、管腔14と連通している内部19(図4)を取り囲み、管腔14内に電極20が突出している。
【0025】
電極20は、例えばステンレス鋼からなる金属ピンによって形成され、また、例えば融点がステンレス鋼よりも低く、かつ酸化を受けにくい、銀などの金属のコーティングを施すことができる。ライン21を介して、電極20は、電極20の電流印加用のジェネレータを含む装置8に接続されている。電極20はまた、ライン21の非絶縁遠位端部によって形成することもできる。電極20の対極は、中性電極22(図1を参照)に接続され、中性電極22は、患者の処置のために患者の適切な部位に広範囲に取り付けられる。
【0026】
電極20は、ヘッドピース12内の中心に保持されることが好ましく、縦方向に、かつプラズマプローブ2の縦中心軸Lに同軸に延在する。電極20は、その先端部23が内部19内で覆われずに浮かんだ状態で保持することができる。あるいは、先端部23は、この目的のために設けられた、図4に示されていないポケットと係合配置することができ、そのポケットは、いずれの場合も中心に保持されたままであるように、縦方向Lに延在する中心軸上の中心に配置されている。
【0027】
さらに、または代替として、図4に示すように、板金部として構成できる電極ホルダ24を設けることができる。図5は、ホース6の管腔14内部における電極ホルダ24の配置を示す。
【0028】
ヘッドピース12は、少なくとも1つ、好ましくは複数のプラズマ出口窓25、26、27、28を含み、それらのプラズマ出口窓は、特に、図3から特に明らかな先細り端部セクション18内に延在するか、または、プラズマ出口窓の近位端部は、端部セクション18の近位端部と位置合わせされている。電極20は、ヘッドピース12の先細り端部セクション18内に延在することが好ましく、それによって、電極は、プラズマ出口窓25の軸方向縦延在部の半分以上に沿って延在することが、実施の形態のすべてに対して当てはまる。そうすることで、プラズマ出口窓の位置でプラズマが生成され、それによって、ヘッドピース12へ伝達される熱は、ごくわずかしかない。したがって、プラズマプローブ2は、広範囲な熱プラズマの生成および組織への照射に特に適している。プラズマ温度は、40℃、60℃もしくは100℃よりも高く、またはさらに高くすることができる。したがって、プラズマプローブは、コールドプラズマ照射だけでなく、ウォームまたはホットプラズマの照射にも適している。
【0029】
プラズマ出口窓25~28は、互いに同一に構成されることが好ましく、縦方向Lに対して等しい位置に配置されている。これまでのところ、ヘッドピース12は、4つの窓を有する構成の場合には、縦方向に延在する中心軸の周りに90°回転することで先行の位置と一致する位置に再び移行できることから、回転対称性を有する。2つ窓プローブの場合には、180°の回転対称性がもたらされ、3つ窓プローブの場合には、120°の回転対称性がもたらされる。
【0030】
窓25~28間には、ウェブ29~32が形成され(図3および図4を参照)、ウェブ29~32の縦方向Lに測定された長さは、周方向に測定された幅よりも長いことが好ましい。さらに、各ウェブ29~32の幅は、周方向に測定された各プラズマ出口窓25~28の幅よりも短いことが好ましい。各プラズマ出口窓25~28の形状は、丸みを帯びたものにすることができる。例えば、形状は、丸みを帯びた角および/または丸みを帯びたエッジを有する、多角形、例えば三角形または台形によって規定することができる。
【0031】
プラズマ出口窓25~28は、ヘッドピース12の先細り端部セクション18内に少なくとも部分的に配置されていることから、縦方向を向いた中心軸Lに対して斜め方向を向いている。近位境界から遠位境界へ延在する仮想線33(図4)は、中心軸に対して鋭角αをなす。したがって、縦方向Lに対して直角方向に延在するプラズマ出口窓25~28の開口方向Oは、縦方向Lに対して90°未満の角度で傾いている。
【0032】
また、図4に破線で示した端部セクションの輪郭35は、各開口部25~28の延在部に沿ってその半径が減少している。これは、プラズマ出口窓28の半径r1と、プラズマ出口窓28の遠位エッジにおける半径r2とが示されている図6から特に明らかである。
【0033】
同図から、縦ヘッドピース12は、少なくとも好ましくは、その半径Rよりも長く、特に、断面で測定される最長の半径よりも長い、接合部15から先端部16まで測定される長さDを有することが明らかである。それによって、ヘッドピース12は良好な摺動特性を得るため、プラズマプローブ2は、細い体腔内にも良好かつ容易に入ることができる。
【0034】
これまで説明したプラズマプローブ2は、図7に関して以下のように動作する。
【0035】
手術中、管腔14には、ガス源8aによって、適切なガス、例えば不活性ガス、特にアルゴンが適用され、その結果、ガス流が導体21に沿って生成され、プラズマ出口窓25~28から逃げる。電極20には、ジェネレータ8bによってHF電圧が供給され、その結果、ガスがイオン化され、生体組織10へ向かうプラズマ流が形成される。理想的な場合、プラズマ流の流れ方向は、開口方向(図4)とほぼ一致する。
【0036】
図7による実施の形態では、プラズマ出口窓25は、組織10と、処置を必要とする組織領域11とに面している。処置を必要とする領域11と、プラズマ出口窓25の後方に位置する電極とが近接していることから、ここで集中的なプラズマ流が生じ、特に、処置を必要とする部位11に主に衝突する。同時に、プラズマプローブ2を組織10に沿って組織10上を摺動可能に案内することができる。それにより、プラズマプローブ2は、組織10の表面に対して平角(すなわち、鋭角)に案内され、この方法ですべての病変に到達し得る。また、プラズマプローブ2は、細い管腔に適しており、特に軸方向のガス出口開口部がないため、細い管腔内に良好かつ容易に入ることができる。プラズマ出口窓25~28の位置が傾いていることで電極20と組織10との距離が小さいため、組織10は、低いプラズマパワーで手術し、ひいては慎重に処置することができる。
【0037】
これまで説明したプラズマプローブ2に対して多くの変更が可能である。図9は、ホース6’を有する、ホース6の構成に関して変更された実施の形態を示す。ホース6’は、分離壁によって互いに分離されている2以上の管腔14a、14bを含む。分離壁は、中間セクション35からホース6’の壁まで延在し、それによって、ホース6の近位端部7から遠位端部まで途切れることなく延在する。中間セクション35は、導電体21を含み、同時に、電極ホルダとして働くことができる。そのことを除いて、図1図7による実施の形態の説明が適宜当てはまるが、サブ管腔14a、14bを互いに分離する2つの壁がヘッドピース12の延在部13の領域で取り外されていることを条件とする。そのようなホースは、小さい曲げ半径に特に適している。管腔が座屈して、その管腔を通るガスの流れを阻害する危険性は、著しく低下する。異なる可能性のある個々のサブ管腔14a、14b内に導入されるガス流は、ヘッドピース12内で合流する。内部19、特に内部19の延在部13内にある部分は、これまでのところ、ガス収集・平衡化チャンバを形成し得る。
【0038】
図8は、ヘッドピース12を有するプラズマプローブ2の実施の形態を示し、ヘッドピース12の端部セクション18は、丸みを帯びた先端部16を有する直円錐として構成されている。プラズマ出口窓25(および、例えば、さらなる26~28)は、アーク三角形状窓として構成することができる。さらに、それらのプラズマ出口窓は、完全に先細り端部セクション18内に配置することができる。
【0039】
図10は、非対称ヘッドピース12を有する別の変更されたプラズマプローブ2を示す。その非対称ヘッドピース12は、単一プラズマ出口窓25を1つのみ含む。遠位先端部16は、縦中心軸Lから離れて位置する。プラズマ出口窓25は、先細り端部セクション18内部に配置されており、それによって、その開口方向Oは、図10に示すように縦中心軸Lに対して直角に方向付けるか、または他の実施の形態のように縦中心軸Lに対して鋭角に方向付けることができる。
【0040】
次に、図11は、遠位先端部16が縦中心軸Lに対して中央に配置されているヘッドピース12を有するプラズマプローブ2の実施の形態を示す。図1図9に関して行った説明が図11による実施の形態に適宜当てはまるが、単一プラズマ出口窓25が1つしか設けられていないことを条件とする。開口方向Oは、図4に関して既に詳しく説明したように、縦中心軸Lに対して鋭角に方向付けられている。プラズマ出口開口部25は、先細り端部セクション18内に部分的に、または図示したように完全に配置することができる。
【0041】
可撓性を有するプラズマプローブは、少なくとも1つのプラズマ出口窓25を有するヘッドピース12を備え、そのプラズマ出口窓25は、径方向でも軸方向でもなく、開口方向Oが縦中心軸Lに対して斜め方向を向いた状態で、ヘッドピースの先細り端部セクション18内に配置されている。そのようなプラズマプローブ10により、電極20と病変11とをより近づけることが実現可能であるため、体腔内の生体組織、特に病変11の処置が簡略化および改善される。
【符号の説明】
【0042】
1 カテーテル
2 プラズマプローブ
3 コントロールヘッド
4 カテーテル1の遠位端部
5 装置
6 ホース(図9の6’)
7 近位ホース端部の接続手段
8 プラズマプローブ2の動作用の装置
8a 装置8内のガス源
8b 装置8内のジェネレータ
9 プラズマプローブ2の遠位端部
10 組織表面
11 処置を必要とする部位
12 ヘッドピース
13 ヘッドピースの管状延在部
14 ホース6の管腔(図9の14a、14b)
15 接合部
16 先端部
17 図3の破線
18 端部セクション
19 内部
20 電極
21 導体
22 中性電極
L プラズマプローブ2の縦方向および縦中心軸
23 電極20の先端部
24 電極ホルダ
25~28 プラズマ出口窓
29~32 プラズマ出口窓間のウェブ
33 仮想線
α 鋭角
34 破線/輪郭
35 ホース6’の中間セクション
O プラズマ出口窓25の開口方向
図1
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【外国語明細書】
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