(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101580
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】掘削機
(51)【国際特許分類】
E21B 4/12 20060101AFI20240723BHJP
E21B 6/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
E21B4/12
E21B6/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005537
(22)【出願日】2023-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社エステックYoutubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCGGG5Pe585255cPIh1Oopsw 令和4年6月20日 〔刊行物等〕 公開先 ジャパンパイル株式会社広島支店,令和4年12月15日 〔刊行物等〕 株式会社エステックホームページ http://www.k-estech.co.jp/ja-jp/機械紹介/,令和4年12月16日 〔刊行物等〕 公開先 オオタニ設計事務所,令和4年12月22日
(71)【出願人】
【識別番号】522345087
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】鈴江 秀吉
(72)【発明者】
【氏名】鈴江 寿礼
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129AB16
2D129BA03
2D129BA07
2D129BA23
(57)【要約】
【課題】従来の掘削機とは異なる新規な構造を有しエネルギー効率に優れる掘削機を提供する。
【解決手段】パイプ状のケーシング100と、ビット12を備えるハンマーヘッド10と、前記ハンマーヘッド10に打撃力を付与する起振機構20と、前記ハンマーヘッド10を回転させる回転機構55と、前記起振機構20及び前記回転機構55を駆動する、モーター67及び減速機70を備える駆動装置65と、を備え、前記ハンマーヘッド10、前記起振機構20、前記回転機構55及び前記駆動装置65が、前記ケーシング100内に搭載されてなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状のケーシングと、
ビットを備えるハンマーヘッドと、
前記ハンマーヘッドに打撃力を付与する起振機構と、
前記ハンマーヘッドを回転させる回転機構と、
前記起振機構及び前記回転機構を駆動する、モーター及び減速機を備える駆動装置と、
を備え、
前記ハンマーヘッド、前記起振機構、前記回転機構及び前記駆動装置が、前記ケーシング内に搭載されてなることを特徴とする掘削機。
【請求項2】
前記減速機は、前記起振機構を駆動する第1出力軸と、前記回転機構を駆動する第2出力軸と、を有し、
第1出力軸の回転数N1>第2出力軸の回転数N2であることを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項3】
前記起振機構は、前記ケーシングの中心軸線に平行に回転する、回転方向が相反しかつ上死点及び下死点のタイミングが一致する一対の回転振り子を有することを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項4】
前記回転機構は、前記起振機構を上下方向に案内するガイド体を備え、
前記起振機構は、前記回転機構と係合し、前記ハンマーヘッド及び前記起振機構が一体的に回転数N2で回転しつつ上下動することを特徴とする請求項2に記載の掘削機。
【請求項5】
前記ケーシングの内側に配置された、本体の外周面にスクリューを備え掘削土を搬送する搬送手段を備え、
前記起振機構及び前記回転機構は、前記搬送手段の本体の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項6】
前記ケーシングの後端に、継ぎ足し使用される延長用ケーシング及びジョイント管を接続可能な接続手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩盤層など硬い地盤を掘削する掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
岩盤層など硬い地盤を掘削する装置の1つにダウンザホールハンマーがある。代表的なダウンザホールハンマーは、ハンマーピストン及びハンマーヘッドを備え、地上から供給される圧縮空気によりハンマーピストンを進退させ、先端部のハンマーヘッドに打撃力を与える。ハンマーヘッドは、先端部にビットを備え、該ビッドで地盤を掘削する。
【0003】
ダウンザホールハンマーを使用するときは、地上にダウンザホールハンマーを回転させるための装置が設置され、掘削の際は、該装置を介してダウンザホールハンマーが回転させられる。例えば、オーガ軸の先端にダウンザホールハンマーを取り付け、オーガ軸とともに回転させる方法、ロータリーテーブル等の回転駆動装置で回転させる方法などがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のダウンザホールハンマーは、回転駆動装置が地上にあるため、掘削深度が深くなると回転駆動装置とハンマーヘッドとの距離が長くなり、ハンマーヘッドへの駆動力の伝達効率が悪くなる。またハンマーピストンを動作させる圧縮空気は、地上に設置されたコンプレッサからパイプを介して圧送されるが、圧縮空気は圧力も高く、流量も多いことからパイプの取り回しも容易ではない。さらに掘削深度が深くなると圧縮空気を供給のための圧力損失も大きくなる。またダウンザホールハンマーは、圧縮空気によりハンマーピストンを進退させ、先端部のハンマーハッドに打撃を与えるため大きな振動、騒音が発生する。
【0006】
本発明の目的は、従来の掘削機とは異なる新規な構造を有しエネルギー効率に優れる掘削機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パイプ状のケーシングと、ビットを備えるハンマーヘッドと、前記ハンマーヘッドに打撃力を付与する起振機構と、前記ハンマーヘッドを回転させる回転機構と、前記起振機構及び前記回転機構を駆動する、モーター及び減速機を備える駆動装置と、を備え、前記ハンマーヘッド、前記起振機構、前記回転機構及び前記駆動装置が、前記ケーシング内に搭載されてなることを特徴とする掘削機である。
【0008】
本発明に係る掘削機において、前記減速機は、前記起振機構を駆動する第1出力軸と、前記回転機構を駆動する第2出力軸と、を有し、第1出力軸の回転数N1>第2出力軸の回転数N2であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る掘削機において、前記起振機構は、前記ケーシングの中心軸線に平行に回転する、回転方向が相反しかつ上死点及び下死点のタイミングが一致する一対の回転振り子を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る掘削機において、前記回転機構は、前記起振機構を上下方向に案内するガイド体を備え、前記起振機構は、前記回転機構と係合し、前記ハンマーヘッド及び前記起振機構が一体的に回転数N2で回転しつつ上下動することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る掘削機は、前記ケーシングの内側に配置された、本体の外周面にスクリューを備え掘削土を搬送する搬送手段を備え、前記起振機構及び前記回転機構は、前記搬送手段の本体の内側に位置することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る掘削機は、前記ケーシングの後端に、継ぎ足し使用される延長用ケーシング及びジョイント管を接続可能な接続手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来の掘削機とは異なる新規な構造を有しエネルギー効率に優れる掘削機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の掘削機1の縦断面図及びハンマーヘッド10の正面図である。
【
図2】
図1において切断線A-Aで切断した掘削機1の断面図及び切断線B-Bで切断した掘削機1の断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の掘削機1の縦断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の掘削機1の回転振り子30の動きを説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の掘削機1の緩衝手段40の構成を説明するための図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の掘削機1の減速機70の構造図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の掘削機1の減速機70の断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の掘削機1の使用例を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の掘削機1の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(a)は、本発明の第1実施形態の掘削機1の縦断面図、
図1(b)は、ハンマーヘッド10の正面図である。
図2は、
図1において切断線A-Aで切断した掘削機1の断面図及び切断線B-Bで切断した掘削機1の断面図である。
図3は、本発明の第1実施形態の掘削機1の縦断面図であり、
図1の縦断面図と直交する方向の縦断面図である。
図4及び
図5は、本発明の第1実施形態の掘削機1の回転振り子30の動き及び緩衝手段40の構成を説明するための図である。
図6及び
図7は、本発明の第1実施形態の掘削機1の減速機70の構造図及び断面図である。
【0016】
以下の説明において掘削機1の下方は、ハンマーヘッド10側であり、
図1では左側である。また掘削機1の下方は、掘削機1の前側、先端側でもある。掘削機1の軸方向は中心軸線Mに平行な方向であり上下方向である。半径方向は中心軸線Mに直交する方向、周方向は中心軸線Mを中心に円弧に沿う方向、内側は中心軸線側をいう。
【0017】
本発明の第1実施形態の掘削機1は、岩盤層など硬い地盤の掘削に好適な掘削機であって、ビット12を備えるハンマーヘッド10と、ハンマーヘッド10に打撃力を付与する起振機構20と、ハンマーヘッド10を回転させる回転機構55と、起振機構20及び回転機構55を駆動する、モーター67及び減速機70を備える駆動装置65と、それらが搭載されるパイプ状のケーシング100と、を主に構成される。
【0018】
ハンマーヘッド10は、外周面に地盤を掘削するための複数のビット12を備え、後端部が起振機構20のホイールケース22に固定され、全体がケーシング100の先端部101から突出するように配されている。ハンマーヘッド10は、連結する起振機構20を介して上下動し、また連結する回転機構55を介して中心軸線Mの周方向に回転しながら地盤を掘削する。
【0019】
ハンマーヘッド10は、特に限定されるものではなく、種々の形態・構造のハンマーヘッドを使用することができる。また本実施形態のようにハンマーヘッド10をホイールケース22に対して着脱可能に固定すれば、掘削する地盤に適した構造、形状のハンマーヘッド10を取付け使用することができ好適である。
【0020】
起振機構20は、ハンマーヘッド10に付与する打撃力を発生させる起振手段21と、起振手段21に連結し衝撃を吸収する緩衝手段40と、回転機構55に係合する係合手段50とを備える。
【0021】
起振手段21は、打撃力の源泉となる遠心力を発生させる回転振り子30(30a、30b)と、回転振り子30を支持する支持台であるホイールケース22と、回転振り子30を回転させる駆動軸35とを含み、ハンマーヘッド10に地盤を掘削するための打撃力を付与する。
【0022】
ホイールケース22は、前部にハンマーヘッド取付部24、中央から後部に回転振り子取付部25を有する本体23と、回転振り子取付部25を覆うように本体23に取付けられた円筒状のケース29とを備える。ハンマーヘッド取付部24は、前部がケーシング100の先端部101から突出するように設けられている。本実施形態ではケース29が本体23にボルト止めされているが、ケース29を本体23と一体的に設けてもよい。
【0023】
回転振り子取付部25には、中心軸線Mに直交する支軸27が取付けられ、支軸27に回転振り子30が回転自在に取付けられている。また回転振り子取付部25には、駆動軸35が挿通する挿通孔26が上下方向に設けられている。挿通孔26の上端には駆動軸35を回転自在に支持する軸受28が取り付けられている。
【0024】
ホイールケース22は、ケーシング100内に配置され、連結するハンマーヘッド10及び支持する回転振り子30と一体的に回転しつつ上下動する。これについての詳細は後述する。
【0025】
回転振り子30は、一対の回転振り子30a、30bからなる。回転振り子30aと回転振り子30bとは同一形状、同一構造からなる。以下、回転振り子30aを用いて形状、構造を説明する。
【0026】
回転振り子30aは、肉厚板状の部材であり扇形状を有する(
図4参照)。回転振り子30aは、扇の中心点から離れるに従って体積が大きくなり、中心点から離れた扇部分がウエイトとして機能し、回転することで大きな遠心力を生み出す。このような回転振り子30は、偏心ロータ、偏心重錘、フライホイールと言い換えることができる。
【0027】
回転振り子30aは、扇の中心点近傍に支軸26に挿通する挿通孔を備え、挿通孔にボールベアリング33aが装着され、回転振り子30aは、ボールベアリング33aを介し支軸27に回転自在に取り付けられている。また回転振り子30aには、支軸27に挿通可能な傘歯車32aが取り付けられている。この傘歯車32aは、駆動軸35の先端に取り付けられた傘歯車36と噛み合う。
【0028】
一対の回転振り子30a、30bの回転方向、位相は以下のとおりである。一対の回転振り子30a、30bは、中心軸線Mを挟み相反する位置に配置され、駆動軸35の回転に伴い支軸27を中心に中心軸線Mに平行に回転する。一対の回転振り子30a、30bは、1つの傘歯車36と噛み合うため回転方向は逆向きとなる。また一対の回転振り子30a、30bは、同位相で回転するように支軸27に取り付けられている。このため一対の回転振り子30a、30bは、下死点及び上死点が一致する(
図4(A),(C)参照)。
【0029】
このように構成される一対の回転振り子30a、30bが回転することで上下方向に大きな遠心力が発生し、これがハンマーヘッド10の打撃力の源泉となる。回転振り子30a、30bの回転により生じる水平方向の荷重は、回転振り子30a、30bの回転が逆向きゆえ相殺される。
【0030】
回転振り子30は、ハンマーヘッド10に付与する打撃力の源泉となる遠心力を生み出すことができればよく、形態は本実施形態に限定されるものではない。例えばアームの先端に重りを取り付けた回転振り子、円板の周縁部近傍に重りを取り付け支軸27への挿通孔31を中心点から偏心させた偏心ロータなどであってもよい。
【0031】
駆動軸35は、減速機70の第1出力軸71の回転を回転振り子30に伝達する部材であり、前端に傘歯車36を備え、後端に軸継手37が設けられ、第1出力軸71と連結する。駆動軸35は、中間部が軸受28で回転自在に支持され、傘歯車36が回転振り子30に傘歯車32(32a、32b)と噛み合う。軸継手37は、第1出力軸71に対して駆動軸35を軸方向に移動自在に接続する継手であり、本実施形態ではボールスプライン継手である。軸継手37は、第1出力軸71の回転を確実に駆動軸35に伝達可能で、かつ第1出力軸71に対して駆動軸35を軸方向に移動自在に接続できれば他の形態、構造であってもよい。
【0032】
緩衝手段40は、起振手段21及び回転機構55に連結するスプリングホルダー41と、スプリングホルダー41に装着される圧縮ばね47とを含み、起振手段21が移動規制手段に衝突する際の衝撃を吸収する。緩衝手段40は、回転機構55に対し、係合手段50を介して連結する。
【0033】
スプリングホルダー41は、円筒状の本体の前部にフランジ部42、中央から後部にかけて圧縮ばね47を収容するばね収容部43を有する。スプリングホルダー41は、フランジ部42がホイールケース22の後端にボルト止めされ、ホイールケース22と連結する。駆動軸35は、スプリングホルダー41の本体内に位置する。
【0034】
ばね収容部43は、本体の外側に位置し、ここに圧縮ばね47を収容する収容孔44が設けられている。収容孔44は、ばね収容部43を軸方向に貫通する孔であり、下端に内側に突出する段部を備える。収容孔44は、ばね収容部43の周方向に等間隔で複数個設けられている。本実施形態において、収容孔44の数は8であるが、個数はこれに限定されるものではない。
【0035】
圧縮ばね47は、両端に段部を有する円柱状のガイドシャフト48に挿通された状態で収容孔44に装着されている。ガイドシャフト48に挿通された圧縮ばね47は、ガイドシャフト48の両端の段部に間に位置する。圧縮ばね47の外径は、ガイドシャフト48の段部の外径よりも大きく、収容孔44の内径よりも小さく設定されている。
【0036】
ガイドシャフト48の長さは、収容孔44よりも長く、収容孔44に装着されたガイドシャフト48の両端部は、収容孔44から突出している。一方、圧縮ばね47の長さは、収容孔44の長さよりも短く、収容孔44に装着された圧縮ばね47は、収容孔44内に位置する。
【0037】
ガイドシャフト48に挿通された圧縮ばね47が装着された各収容孔44の上端には、ストッパーフランジ49が取付けられる。ストッパーフランジ49の外径は、収容孔44の内径よりも大きく、ストッパーフランジ49の内径は、ガイドシャフト48の段部の外径よりも僅かに大きい。このためガイドシャフト48は、ストッパーフランジ49を挿通可能である。
【0038】
ばね収容部43には、係合手段50を構成する伝達シャフト51を取付けるための取付座46が設けられている。取付座46は、ばね収容部43の半径方向に設けられた凹溝であり、ばね収容部43の周方向に等間隔で複数個、ばね収容部43の横断面において隣り合う収容孔44の間に設けられている。
【0039】
係合手段50は、回転機構55と起振機構20とに係合し、回転機構55の回転を起振機構20に伝達する。また係合手段50は、起振機構20の軸方向の移動をサポートする手段としても機能する。係合手段50は、円柱状の伝達シャフト51と、伝達シャフト51の上部に取り付けられる軸受52と、カラー53とを備える。
【0040】
伝達シャフト51は、ばね収容部43の取付座46に下半分が嵌め込まれ、上半分はばね収容部43から突出するように取り付けられている。ばね収容部43から突出する伝達シャフト51には、軸受52を介してカラー53が回転自在に取付けられている。伝達シャフト51を含む軸受52及びカラー53は、ローラーガイド56のガイド溝60に嵌り込む。
【0041】
回転機構55は、駆動装置65を構成する減速機70の第2出力軸72に固定されたローラーガイド56を備え、ローラーガイド56と係合手段50とを係合させ、起振機構20及びハンマーヘッド10を回転させる。また回転機構55は、ローラーガイド56の下端に取付けられたばね受けフランジ62を備える。ばね受けフランジ62は、ローラーガイド56のフランジ部58とで起振機構20の軸方向の移動距離を規制する移動規制手段を構成する。
【0042】
ローラーガイド56は、円筒状の本体57の後端にフランジ部58を有し、本体57の中央から前端にかけて本体57の外側に設けられたガイド部59を有する。ローラーガイド56は、フランジ部58が減速機70の第2出力軸72にボルト止めされ、本体57がスプリングホルダー41のばね収容部43を覆うように配置されている。
【0043】
ガイド部59は、本体57の外側に位置し、ここにカラー53が取付けられた伝達シャフト51が摺動自在に嵌り込むガイド溝60が設けられている。ガイド溝60は、ガイド部59の内周面に臨む軸方向(上下方向)に伸びる凹溝である。ガイド溝60は、ガイド部59の周方向に各伝達シャフト51がそれぞれ嵌り込むように複数個、本実施形態では8個設けられている。
【0044】
駆動装置65は、起振機構20及び回転機構55を駆動する装置であり、モーター67及び減速機70を主に構成され、ケーシング100内に固定されている。本実施形態の掘削機1では、運搬する際の大きさ(寸法)を考慮し、起振機構20及び回転機構55を格納するケーシング100aと、駆動装置65を格納するケーシング100bとが分割可能に構成されている。これにより大型の掘削機1であっても運搬が容易となる。但し、起振機構20及び回転機構55と駆動装置65とが1つのケーシング100に格納されていてもよい。
【0045】
モーター67は、特に限定されるものではなく、公知のモーターを使用することができる。モーター67及び減速機70は、ケーシング100の内側に設けられた冷却装置(図示省略)で冷却される。冷却装置には、モーター67及び減速機70の外周面を覆うように配置されたコイル状の冷却管、又はジャケットに冷却水を流通させ冷却する間接式の冷却装置を使用することができる。
【0046】
減速機70は、モーター67の出力軸に直結しモーター67の出力軸68と同じ回転数で回転する第1出力軸71と、第1出力軸71に比較して低速で回転する第2出力軸72とを備える。第1出力軸71の回転数をN1、第2出力軸72の回転数をN2とすると、N1>N2である。第1出力軸71は、モーター67の出力軸と直結するため高速で回転する。第1出力軸71の先端部には駆動軸35の軸継手37に係合する軸継手73を備える。
【0047】
減速機70は、第1出力軸71と、第1出力軸71と比較して減速された第2出力軸72とを備えれば特に限定されるものではないが、減速機70は、ケーシング100内に固定し使用されるためコンパクトであり、さらにハンマーヘッド10を回転駆動するものであるから高トルクのものが好ましい。好適な減速機70を
図6及び
図7に示す。
図7は、
図6のA-A断面図である。
【0048】
図6に示す減速機70は、偏心揺動型の減速機であり、入力回転体75と、入力回転体75の外周面に固定された偏心カム76と、複数の外歯歯車77と、複数の伝達棒78と、複数の出力フランジ79と、複数のキャリアピン80と、内歯歯車81と、出力回転体72と、ケーシング82とを主に構成される。
【0049】
入力回転体75は、軸受を介してケーシング82の中心に回転自在に取り付けられている。入力回転体75は、モーター67の出力軸68と連結し、入力回転数N1で回転する。本実施形態では、入力回転体75の一部をケーシング82から突出させ、これを第1出力軸71としている。第1出力軸71は、入力回転体75と別体であってもよく、軸部材を入力回転体75と連結させこれを第1出力軸71としてもよい。
【0050】
偏心カム76は、入力回転体75の回転軸から偏心した回転軸を有し、入力回転体75と一体的に回転し、伝達棒78を介して外歯歯車77を揺動回転させる。外歯歯車77は、円環状の部材であり、軸受及び伝達棒78を介して偏心カム76と回転自在に連結する。外歯歯車77は、内周面が円形であり、外周面に外歯が設けられている。外歯歯車77の歯数は、MOである。
【0051】
伝達棒78は、偏心カム76の動きを外歯歯車77に伝達するための部材であり、一端が偏心カム76に取付けられた軸受の外周面に、他端が外歯歯車77の内周面に接するように、放射状に配置される。出力フランジ79は、隣り合う外歯歯車77の間に配置され、キャリアピン80と連結する。出力フランジ79は、円環状の部材であり、スプライン継手を介して出力回転体72に連結し、キャリアピン80を介して伝達される動力を出力回転体72に伝達する。
【0052】
内歯歯車81は、円筒状のケーシング本体82の内周面に設けられている。内歯歯車81の歯数は、MIである。
【0053】
出力回転体72は、円筒状の本体を有し、入力回転体75を覆うように配置され、軸受を介してケーシング82に回転自在に取り付けられている。出力回転体72には、伝達棒78を挿通する挿通孔が設けられ、外周面には、スプライン継手のキーが設けられている。本実施形態では、出力回転体72が第2出力軸72であり、第2出力軸72と第1出力軸71の回転軸は一致する。
【0054】
入力回転体75が回転すると、外歯歯車77は、内歯歯車81に噛み合いながら揺動回転する。内歯歯車81の歯数M
Iが外歯歯車77の歯数M
Oよりも多いため、外歯歯車77は、入力回転体75の回転数N
1に対して入力回転体75の回転方向とは逆方向に(M
I-M
O)/M
Oの割合で回転する。つまり減速機70の減速比はM
O/(M
I-M
O)となる。外歯歯車77の回転は、当該動力がキャリアピン80に伝達され、出力フランジ79を介して出力回転体72に伝達される。この結果、第2出力軸72の回転数N
2は、第1出力軸71の回転数N
1に(M
I-M
O)/M
Oを乗じた値となる。
図6に示す減速機70の詳細構造は、特許第7191353号公報参照のこと。
【0055】
以上からなる駆動装置65は、第1出力軸71が軸継手73を介して駆動軸35と連結し、駆動軸35を回転数N1で回転させる。また駆動装置65は、減速機70の第2出力軸72がローラーガイド56と連結し、回転機構55さらには起振機構20及びハンマーヘッド10を回転数N2で回転させる。
【0056】
掘削機1は、さらにハンマーヘッド10が掘削した掘削土を搬送するスクリューケーシング86を備える。スクリューケーシング86は、掘削土の搬送手段であり、掘削土をスクリューケーシング86の上部まで持ち上げる。スクリューケーシング86は、円筒状の本体87を備え、本体87の下端部には内側に突出するフランジ部88を有する。また本体87の外壁面には、掘削土を搬送するスクリュー89が設けられている。
【0057】
スクリューケーシング86は、本体87の上端部がリングキー90を介してローラーガイド56と連結する。これによりスクリューケーシング86は、ローラーガイド56と一体的に回転数N2で回転する。
【0058】
本体87の内径は、ホイールケース22のケース29の外径よりも僅かに大きく、ホイールケース22は、本体87の内側に位置する。また本体87の内径は、ローラーガイド56のガイド部59の外径よりも大きく、ローラーガイド56は、本体87の内側に位置する。
【0059】
スクリュー89の外径は、ケーシング100aの内径と略同一であり、スクリュー89の外周面がケーシング100の内面に摺動自在に接する。スクリュー89の外径をケーシング100aの内径よりも僅かに小さく設定し、スクリュー89の外周面をケーシング100の内面に接触させることなく近接した状態としてもよい。これらによりケーシング100の内周面と本体87の外周面との間に掘削土の搬送路が形成され、スクリューケーシング86を回転させることで掘削土を減速機70側に搬送することができる。
【0060】
スクリューケーシング86は、ローラーガイド56に連結した状態でフランジ部88の先端面がケーシング100aの先端部101と同じ高さにある。フランジ部88は、中央部にホイールケース22のハンマーヘッド取付部24が挿通する円孔が設けられ、円孔の内周面にはブッシュ91が嵌め込まれている。ブッシュ91は、ハンマーヘッド取付部24の外周面に摺動自在に接し、ホイールケース22の回転及び上下動をガイドする。
【0061】
スクリューケーシング86が搬送する掘削土は、真空排土装置150により吸引される。これについては後述する。
【0062】
本実施形態の掘削機1は、掘削深度に応じて継ぎ足し使用する延長用のケーシング110及び各種配管を集合させたジョイント管115を接続可能に構成されている。掘削機1は、掘削機1に配置された送気管などの各種配管と新たに接続されるジョイント管115とを接続するための配管室105を備える。配管室105は、モーター67及び減速機70が収納されたケーシング100bの上端に設けられている。
【0063】
配管室105は、ケーシング100と同じ外径のパイプ状のケーシングを有する。配管室105のケーシングの上端には、延長用のケーシング110を連結するための連結部112、ジョイント管115を連結するための連結部117が設けられ、この連結部112、117により延長用のケーシング110及びジョイント管115を容易に連結し、また取外すことができる。
【0064】
延長用のケーシング110は、ケーシング100と同じ外径を有する所定の長さを有する円筒状の部材であり、順次延長用のケーシング110を継ぎ足し可能に構成されている。ジョイント管115は、吸引パイプ、送泥管、送気管、電線などをコンパクトにまとめた延長管であり、順次ジョイント管115を継ぎ足し可能に構成されている。ジョイント管115の外径は、延長用のケーシング110の内径よりも小さくケーシング110内に配置される。
【0065】
掘削機1の使用方法を説明する。
図8は、掘削機1を用いた乾式真空工法である。乾式真空工法は、ハンマーヘッド10に泥水を供給することなく掘削する工法であり、地盤が盛土など比較的柔らかい土壌の掘削に適している。
【0066】
掘削機1は、ケーシング100又は延長用のケーシング110が地上200に設置された反力装置130に把持される。反力装置130は、操作盤132及び油圧ユニット134と接続し、ケーシング100又は延長用のケーシング110を回転不能にかつ上下方向に移動可能に支持する。
【0067】
掘削機1には連結されたジョイント管115に送気管142が接続され、地上に設置されたコンプレッサ140からシール用の空気が供給される。このシール用空気は、ケーシングパイプ100a内に供給され、起振機構20及び回転機構55に掘削土が入り込まないようにケーシング100a内をシールし、ハンマーヘッド取付部24の先端に取付けられた逆止弁14からハンマーヘッド10側に出る。
【0068】
また掘削機1には連結されたジョイント管115に吸引パイプ154が接続される。吸引パイプ154は、地上に設置された真空タンク152及び真空排土装置150と接続し、スクリューケーシング86が搬送する掘削土を吸引する。
【0069】
掘削機1は、適宜延長用のケーシング110及びジョイント管115が接続され、掘削機1を先導体とし、先端に位置するハンマーヘッド10が低速(回転数N2)で回転しつつ上下動し地盤を掘削する。具体的な動作は次のとおりである。
【0070】
モーター67を稼動させると、第1出力軸71に連結する駆動軸35が高速(回転数N1)で回転し、一対の回転振り子30a、30bを回転させる。回転振り子30a、30bの回転に伴い、回転振り子30a、30bを支持するホイールケース22が上下動する。このときホイールケース22と連結するスプリングホルダー41に装着された伝達シャフト51が、ローラーガイド56のガイド溝60に嵌り込み、起振機構20は、ガイド溝60に案内され上下動する。
【0071】
ホイールケース22が上下動すると、ホイールケース22と連結するスプリングホルダー41に装着されたガイドシャフト48の下端がばね受けフランジ62に衝突し、またガイドシャフト48の上端がローラーガイド56のフランジ部58に衝突し、装着された圧縮ばね47が衝撃を吸収する。圧縮ばね47は、圧縮状態から伸長することで起振機構20の上下動を付勢する。
【0072】
上記の動作により起振機構20は、連結されたヘッドハンマー10と一体的に上下動しヘッドハンマー10に打撃力を付与する。
【0073】
またモーター67を稼動させると、第1出力軸71と一緒に第2出力軸72も回転数N2で回転する。第2出力軸72が回転することで第2出力軸72に連結されたローラーガイド56も一体的に回転数N2で回転する。ローラーガイド56と起振機構20とは直接的には連結されていないが、スプリングホルダー41に取付けられた伝達シャフト51がローラーガイド56のガイド溝60に嵌り込んでいるため、ローラーガイド56の回転が伝達シャフト51を介して起振機構20に伝達される。
【0074】
これにより回転機構55が回転数N2で回転すると、起振機構20及びそれに連結されたハンマーヘッド10も一体的に回転数N2で回転する。回転機構55は、ローラーガイド56が減速機70の第2出力軸72に連結され、伝達シャフト51がガイド溝60に上下動可能に係合するため起振機構20が上下動しても上下動しない。
【0075】
以上により起振機構20及びヘッドハンマー10が一体的に回転数N2で回転しつつ上下動し、地盤を掘削する。
【0076】
ハンマーヘッド10が掘削する掘削土は、以下の要領で地上に排出される。スクリューケーシング86は、リングキー90を介してローラーガイト56と連結する。このためモーター67を稼動させると、スクリューケーシング86は回転数N2で回転し、掘削土を減速機70側に搬送する。この掘削土は、さらに吸引パイプ154に吸引され地上に運ばれる。
【0077】
掘削深度に応じて延長用のケーシング110及びジョイント管115を順次継ぎ足し、掘削する。掘削が完了すると、反力装置130を介して延長用のケーシング110、ジョイント管115及び掘削機1を地上に引き上げ回収する。
【0078】
掘削機1の他の使用方法を説明する。
図9は、掘削機1を用いた泥水還流工法である。泥水還流工法は、ハンマーヘッド10に泥水を供給しつつ、泥水を掘削土と共に回収し、掘削土と分離した泥水を循環使用する掘削する工法であり、岩盤など硬質の地盤の掘削に適している。
図8の掘削機1を用いた乾式真空工法と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
泥水還流工法では、地上200に泥水循環装置160が設置される。泥水循環装置160は、泥水送水ポンプ162を備え、送泥管164がジョイント管115に接続され、ハンマーヘッド10に泥水が送られる。ハンマーヘッド10には先端面に泥水を送るノズル(図示省略)が設けられ、ここから泥水が排出する。また泥水循環装置160は、サンドポンプ170から送られる掘削土を含む泥水から掘削土を分離する分離機166を備え、ここで掘削土が分離され、泥水は循環使用される。
【0080】
泥水還流工法では、地上に設置したサンドポンプ170を介して掘削土を含む泥水を回収する。
【0081】
泥水還流工法における掘削機1の起振機構20、ハンマーヘッド10などの動きは、
図8に示す乾式真空工法と基本同じであるが、泥水を供給しつつ掘削し、掘削した掘削土及び泥水をケーシング100、延長用のケーシング110の外側から回収する点で乾式真空工法と異なる。泥水還流工法で使用する掘削機1の場合には、スクリューケーシング86、又はスクリュー89を省略してもよい。
【0082】
以上からなる第1実施形態の掘削機1の特徴をダウンザホールハンマーと比較しつつ説明する。第1実施形態の掘削機1は、先端部のハンマーヘッド10を回転させつつ上下動させることができるため岩盤層などの硬い地盤も掘削できる点でダウンザホールハンマーと共通する。一方、以下に説明のとおり、装置構造の違いに起因しダウンザホールハンマーとは作用効果が異なる。
【0083】
ダウンザホールハンマーは、打撃のための駆動源(コンプレッサ)が地上にあり、動作媒体である圧縮空気は、パイプを介してハンマーピストンに供給される。このため掘削深度が深くなると圧縮空気を供給するための圧力損失も大きくなり、エネルギーロスが増大しエネルギー効率が悪くなる。また圧縮空気を供給するパイプの取り回しも容易ではない。
【0084】
これに対して掘削機1は、同じケーシング100内にハンマーヘッド10と、ハンマーヘッド10の駆動装置65が組み込まれているので、ハンマーヘッド10と駆動装置65とが常に一体となって移動する。このため駆動装置65の駆動力がハンマーヘッド10に効率的に伝達され、掘削深度が深くなってもエネルギーの伝達効率が低下しない。このため掘削機1は、エネルギー効率に優れ、省エネルギーである。
【0085】
また掘削機1は、1つのモーター67でハンマーヘッド10の回転と打撃を実現させるので装置をコンパクト化することができる。また掘削機1は、ダウンザホールハンマーとは異なり、ケーシング(掘削パイプに相当)が回転しないため装置本体を回転させるための回転装置を地上に設置する必要がなく省スペース化を実現できる。また掘削機1は、ケーシングが回転しないため安全である。
【0086】
ダウンザホールハンマーは、通常、ハンマーピストンを駆動させた後の圧縮空気を利用して掘削土等を地上に噴出させるため周辺環境が悪化する。これに対して掘削機1は、吸引パイプ又は排泥管を通じて掘削土等を地上に排出するので周辺環境に悪影響を与えない。また掘削機1は、
図8及び
図9に示すように施工場所・土質によって掘削方法を選択することができるので使い勝手がよい。
【0087】
ダウンザホールハンマーは、通常、ハンマーの打撃に圧縮空気を使用するため振動、騒音が発生するなど周辺環境に悪影響を及ぼす。これに対して掘削機1は、回転振り子30を用い機械的に上下動を発生させる起振機構20がケーシング100に組み込まれ、これがハンマーヘッド10を上下動させるため地上での振動、騒音は非常に小さい。
【0088】
また掘削機1は、回転振り子30を用い機械的に上下動を発生させるので、ピストンに比較して大きな打撃力が得られる。
【0089】
以上、第1実施形態の掘削機1を用いて説明のとおり本発明に係る掘削機は、従来の掘削機とは異なる新規な構造を有しエネルギー効率に優れる。本発明に係る掘削機は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
【0090】
図面を参照しながら好適な掘削機について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0091】
1 掘削機
10 ハンマーヘッド
12 ビット
20 起振機構
21 起振手段
30、30a、30b 回転振り子
35 駆動軸
40 緩衝手段
47 圧縮ばね
50 係合手段
51 伝達シャフト
55 回転機構
60 ガイド溝
65 駆動装置
67 モーター
70 減速機
71 第1出力軸
72 第2出力軸
86 スクリューケーシング
89 スクリュー
100,100a、100b ケーシング
105 配管室
110 延長用のケーシング
112 連結部
115 ジョイント管
117 連結部
M 中心軸線
【手続補正書】
【提出日】2023-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状のケーシングと、
ビットを備えるハンマーヘッドと、
前記ハンマーヘッドに打撃力を付与する起振機構と、
前記ハンマーヘッドを回転させる回転機構と、
前記起振機構及び前記回転機構を駆動する、モーター及び減速機を備える駆動装置と、
を備え、
前記ハンマーヘッド、前記起振機構、前記回転機構及び前記駆動装置が、前記ケーシングに搭載されてなることを特徴とする掘削機。
【請求項2】
前記ハンマーヘッドは、連結する前記起振機構と一体的に上下動し、かつ中心軸線の周方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項3】
前記減速機は、前記起振機構を駆動する第1出力軸と、前記回転機構を駆動する第2出力軸と、を有し、
第1出力軸の回転数N1>第2出力軸の回転数N2であることを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項4】
前記起振機構は、前記ケーシングの中心軸線に平行に回転する、回転方向が相反しかつ上死点及び下死点のタイミングが一致する一対の回転振り子を有することを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項5】
前記回転機構は、前記起振機構を上下方向に案内するガイド体を備え、
前記起振機構は、前記回転機構と係合し、前記ハンマーヘッド及び前記起振機構が一体的に回転数N2で回転しつつ上下動することを特徴とする請求項3に記載の掘削機。
【請求項6】
前記ケーシングの内側に配置された、本体の外周面にスクリューを備え掘削土を搬送する搬送手段を備え、
前記起振機構及び前記回転機構は、前記搬送手段の本体の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【請求項7】
前記ケーシングの後端に、継ぎ足し使用される延長用ケーシング及びジョイント管を接続可能な接続手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の掘削機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
従来のダウンザホールハンマーは、回転駆動装置が地上にあるため、掘削深度が深くなると回転駆動装置とハンマーヘッドとの距離が長くなり、ハンマーヘッドへの駆動力の伝達効率が悪くなる。またハンマーピストンを動作させる圧縮空気は、地上に設置されたコンプレッサからパイプを介して圧送されるが、圧縮空気は圧力も高く、流量も多いことからパイプの取り回しも容易ではない。さらに掘削深度が深くなると圧縮空気を供給するための圧力損失も大きくなる。またダウンザホールハンマーは、圧縮空気によりハンマーピストンを進退させ、先端部のハンマーハッドに打撃を与えるため大きな振動、騒音が発生する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、パイプ状のケーシングと、ビットを備えるハンマーヘッドと、前記ハンマーヘッドに打撃力を付与する起振機構と、前記ハンマーヘッドを回転させる回転機構と、前記起振機構及び前記回転機構を駆動する、モーター及び減速機を備える駆動装置と、を備え、前記ハンマーヘッド、前記起振機構、前記回転機構及び前記駆動装置が、前記ケーシングに搭載されてなることを特徴とする掘削機である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係る掘削機において、前記ハンマーヘッドは、連結する前記起振機構と一体的に上下動し、かつ中心軸線の周方向に回転することを特徴とする。
本発明に係る掘削機において、前記減速機は、前記起振機構を駆動する第1出力軸と、前記回転機構を駆動する第2出力軸と、を有し、第1出力軸の回転数N1>第2出力軸の回転数N2であることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
回転振り子30aは、扇の中心点近傍に支軸27に挿通する挿通孔を備え、挿通孔にボールベアリング33aが装着され、回転振り子30aは、ボールベアリング33aを介し支軸27に回転自在に取り付けられている。また回転振り子30aには、支軸27に挿通可能な傘歯車32aが取り付けられている。この傘歯車32aは、駆動軸35の先端に取り付けられた傘歯車36と噛み合う。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
駆動軸35は、減速機70の第1出力軸71の回転を回転振り子30に伝達する部材であり、前端に傘歯車36を備え、後端に軸継手37が設けられ、第1出力軸71と連結する。駆動軸35は、中間部が軸受28で回転自在に支持され、傘歯車36が回転振り子30の傘歯車32(32a、32b)と噛み合う。軸継手37は、第1出力軸71に対して駆動軸35を軸方向に移動自在に接続する継手であり、本実施形態ではボールスプライン継手である。軸継手37は、第1出力軸71の回転を確実に駆動軸35に伝達可能で、かつ第1出力軸71に対して駆動軸35を軸方向に移動自在に接続できれば他の形態、構造であってもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
上記の動作により起振機構20は、連結されたハンマーヘッド10と一体的に上下動しハンマーヘッド10に打撃力を付与する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
これに対して掘削機1は、同じケーシング100にハンマーヘッド10と、ハンマーヘッド10の駆動装置65が組み込まれているので、ハンマーヘッド10と駆動装置65とが常に一体となって移動する。このため駆動装置65の駆動力がハンマーヘッド10に効率的に伝達され、掘削深度が深くなってもエネルギーの伝達効率が低下しない。このため掘削機1は、エネルギー効率に優れ、省エネルギーである。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
パイプ状のケーシングと、
地盤を掘削するためのビットを備えるハンマーヘッドと、
前記ハンマーヘッドに打撃力を付与する起振機構と、
前記ハンマーヘッドを回転させる回転機構と、
前記起振機構及び前記回転機構を駆動する駆動装置であって、モーターと、当該モーターの出力軸に接続され、互いに異なる回転数で回転する複数の出力軸を具備する減速機とを含んでなる駆動装置と、
を備え、
前記ハンマーヘッド、前記起振機構、前記回転機構及び前記駆動装置が、前記ケーシングに搭載されてなることを特徴とする掘削機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、パイプ状のケーシングと、地盤を掘削するためのビットを備えるハンマーヘッドと、前記ハンマーヘッドに打撃力を付与する起振機構と、前記ハンマーヘッドを回転させる回転機構と、前記起振機構及び前記回転機構を駆動する駆動装置であって、モーターと、当該モーターの出力軸に接続され、互いに異なる回転数で回転する複数の出力軸を具備する減速機とを含んでなる駆動装置と、を備え、前記ハンマーヘッド、前記起振機構、前記回転機構及び前記駆動装置が、前記ケーシングに搭載されてなることを特徴とする掘削機である。