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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101600
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】固形組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/13 20160101AFI20240723BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240723BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240723BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240723BHJP
   A61P 3/00 20060101ALN20240723BHJP
   A61P 39/06 20060101ALN20240723BHJP
   A61P 17/18 20060101ALN20240723BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20240723BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20240723BHJP
   A61P 9/04 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
A23L33/13
A61K31/706
A61K9/20
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/48
A61K47/46
A61K47/10
A61K47/22
A61K31/525
A61K36/185
A23L33/105
A61P3/00
A61P39/06
A61P17/18
A61P21/00
A61P25/28
A61P9/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005578
(22)【出願日】2023-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 靖生
(72)【発明者】
【氏名】市来 敏和
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD44
4B018MD52
4B018MD61
4B018ME10
4B018ME13
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076CC40
4C076DD38Q
4C076DD60Q
4C076DD67
4C076EE30
4C076EE31
4C076FF46
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA06
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZB21
4C086ZC21
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA08
4C088MA02
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA41
4C088MA43
4C088MA52
4C088NA03
4C088ZA89
4C088ZB21
(57)【要約】
【課題】
NMNの配合により生じる経時的変色を抑制した固形組成物を提供すること。
【解決手段】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、及び(b)ザクロエキスを含有する固形組成物(ただし、ソフトカプセルを除く)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、及び(b)ザクロエキスを含有する固形組成物(ただし、ソフトカプセルを除く)。
【請求項2】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、(b)ザクロエキス、及び(c)レスベラトロールを含有する固形組成物。
【請求項3】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、(b)ザクロエキス、(c)レスベラトロール、及び(d)ビタミンB2を含有する固形組成物。
【請求項4】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有量が、固形組成物全質量に対して11質量%以上である請求項1~3のいずれかに記載の固形組成物。
【請求項5】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド100質量部に対して、10~250質量部の(b)ザクロエキスを含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の固形組成物。
【請求項6】
カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤の形態である、請求項1~3のいずれかに記載の固形組成物。
【請求項7】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、及び(b)ザクロエキスを含有することを特徴とする、ニコチンアミドモノヌクレオチドの変色抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンアミドモノヌクレオチドを配合した固形組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンアミドモノヌクレオチド(以下、「NMN」ともいう)は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の合成中間体である。NAD+はヒトで経口摂取しても吸収されないが、NMNはNAD+への変換を通じて長寿遺伝子「サーチュイン」の活性をコントロールすること、NMNをマウスに投与すると抗老化作用が示されることが近年明らかにされた。さらに、NMNはヒトにおいても糖尿病、アルツハイマー病、心不全などの疾患の予防や症状改善、あるいは運動機能、特に歩行速度や握力の改善に効果があることも報告されている。このようなNMNには、機能性食品、医薬品等の成分としての用途が期待されている。
【0003】
一方で、NMNは経時変化により変色を生じやすいことが知られており、保存中に黄色や淡褐色に変色してしまい、製品の品質を維持できないという課題があった。
【0004】
ザクロエキスとは、ザクロから抽出されたエキスである。ザクロは古くはインドの伝承医学「アーユルヴェーダ」において、血液や神経系に作用して身体の調子を整える植物として利用されている。エラグ酸などのポリフェノールが多く含まれていることから、その抗酸化作用による老化防止、抗糖化、血管の健康促進作用などの機能が期待されている。エラグ酸の代謝物としてはウロリチンが知られており、中でもウロリチンAは細胞の恒常性を保ち、新陳代謝を促すオートファジーやサーチュイン遺伝子の活性化などにより、細胞を再活性化することが報告されている。ウロリチンAはサーチュイン遺伝子の活性化により、肌関連では紫外線により損傷を受けたDNAを修復することで皮膚の老化を防ぐ可能性や、シミそばかすなどの原因となるメラニンの産生抑制などが期待されている。また、ザクロエキスはエストロゲンも含んでいることから、女性特有の悩みに対しての機能も期待され、広く利用されている。
【0005】
ニコチンアミドモノヌクレオチドを含む食品組成物としてはこれまでに特許文献1に記載されたニコチンアミドモノヌクレオチド及びレスベラトロールを含有するハードカプセル剤が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2016/158212
【0007】
しかし、これまでにザクロエキスにNMNの変色を抑制する作用があることは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、NMNの配合により生じる経時的変色を抑制した固形組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、NMNにザクロエキスを配合した固形組成物とすることで、保存中の経時的変色が抑制されることを見出した。
【0010】
かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
(1)(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、及び(b)ザクロエキスを含有する固形組成物(ただし、ソフトカプセルを除く)。
(2)(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、(b)ザクロエキス、及び(c)レスベラトロールを含有する固形組成物。
(3)(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、(b)ザクロエキス、(c)レスベラトロール、及び(d)ビタミンB2を含有する固形組成物。
(4)(a)ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有量が固形組成物全質量に対して11質量%以上である(1)~(3)のいずれかに記載の固形組成物。
(5)ニコチンアミドモノヌクレオチド100質量部に対して、10~250質量部のザクロエキスを含有することを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の固形組成物。
(6)カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤の形態である、(1)~(5)のいずれかに記載の固形組成物。
(7)(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、及び(b)ザクロエキスを含有することを特徴とする、ニコチンアミドモノヌクレオチドの変色抑制方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、NMNを含有する固形組成物において、ザクロエキスを含有することで、保存中に経時的に生じる変色を抑制することができる。さらに、レスベラトロールやビタミンB2を併用することで、保存中に経時的に生じる変色がさらに抑制された固形組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において使用する「ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)」としては、抽出物、合成品など由来は特に制限されないが、合成品が好ましい。その純度は不純物含量が少ないことが望ましく、純度としては90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上である。NMNには、光学異性体としてα体、β体の2種類が含まれる。特に限定されるものではないが、β体が好ましい。また、NMNはその誘導体を使用することもできる。市販品としては、例えば、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(曙光ライフテック株式会社)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(ILS株式会社)、NMN(日本総合医療製薬株式会社)等を使用することができる。
NMNの含有量は、特に限定されないが、NMNの含有量が多くなるにつれて変色の課題が大きくなるため、固形組成物中におけるNMNの含有量が多いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、本発明の固形組成物全体に対して1~90質量%が好ましく、より好ましくは5~80質量%、さらに好ましくは11~50%、特に好ましくは15~50質量%である 。さらには、20~50質量%としてもよい。
【0013】
本発明において使用する「ザクロエキス」は、ザクロ(英名:pomegranate)から抽出することができ、特に果実、種子、果皮から抽出調製することができる。抽出溶媒としては、水、エタノール、超臨界二酸化炭素などを用いることができ、あるいはこれらの2種以上による混合溶媒等を用いることができる。溶媒抽出したザクロエキスは、エキス末や液体など使用する形態は特に制限されないが、NMNの安定性を考慮するとエキス末などの粉末が好ましい。エキス末として使用する場合、溶媒抽出したザクロエキスに対し、加熱処理、凍結乾燥、噴霧乾燥、あるいは減圧乾燥などの粉末化処理を行い、得られたものを使用すればよい。また、使用するザクロエキスは、好ましくは、ポリフェノール類が30%以上に濃縮されており、50%以上に濃縮されていることがより好ましい。ポリフェノール類の中でも特に、エラグ酸が80%以上に濃縮されていることが好ましい。市販品としては、例えばザクロエラグ酸(株式会社サビンサジャパンコーポレーション)、ザクロエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社)、ポマノックス(株式会社エヌ・シー・コーポレーション)等を使用することができる。
本発明に用いられるザクロエキスの含有量は、特に限定されないが、本発明の固形組成物全体に対して0.01~80質量%が好ましく、より好ましくは1~70質量%、さらに好ましくは、3~60質量%、特に好ましくは5~50質量%である。
【0014】
「レスベラトロール」としては、抽出物、合成品など由来は特に制限されるものではないが、抽出物が好ましい。抽出物を使用する場合、特に限定されるものではないが、ブドウの果皮、赤ワイン、ピーナッツの皮、イタドリ、グネモンなどから抽出することができ、ブドウの果皮から抽出されたものが好ましい。その純度は不純物含量が少ないことが望ましく、純度としては90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上である。レスベラトロールには、トランス及びシス異性体、トランス-シス異性体混合物、二量体、メチル化レスベラトロール等のレスベラトロール誘導体が含まれる。特に限定されるものではないが、熱に対して安定なトランス異性体が好ましい。市販品としては、例えばトランスレスベラトロール(テクノサイエンス株式会社)、resVida(DSM株式会社)等を使用することができる。
本発明に用いられるレスベラトロールの含有量は、特に限定されないが、本発明の固形組成物全体に対して0.01~80質量%が好ましく、より好ましくは1~70質量%、特に好ましくは5~50質量%である。
【0015】
「ビタミンB2」は、抽出物、合成品など由来は特に制限されない。市販品としては、例えばリボフラビンFP(BASFジャパン株式会社)、リボフラビン(DSM株式会社)等を使用することができる。
本発明に用いられるビタミンB2の含有量は、特に限定されないが、本発明の固形組成物全体に対して0.01~20質量%が好ましく、より好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは、0.5~5質量%、特に好ましくは1.6~5質量%である。
【0016】
本発明におけるNMNに対するザクロエキスの配合比は、NMN100質量部に対して、10~250質量部が好ましく、より好ましくは10~100質量部、さらに好ましくは50~100質量部のザクロエキスを含有することで経時的に生じる変色を抑制することができる。
【0017】
本発明の「固形組成物」は、特に限定されるものではないが、食品、医薬部外品、又は医薬品に利用することができる。好ましくは食品である。食品の場合、例えば、一般の食品に加え、各種の健康食品(特定保健用食品、栄養機能食品、特別用途食品、機能性表示食品、健康補助食品(サプリメント))、又は食品用製剤などがある。医薬品の場合、経口医薬品、経口医薬部外品などがある。
【0018】
本発明の「固形組成物」には、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲で、通常用いられる他の成分を配合することができる。食品の場合、各種食品成分やエキス、食品添加物、ビタミン類(ビタミンB1、ビタミンB6等)、ミネラル類、賦形剤(デキストリン・乳糖等の糖質、結晶セルロースなどの繊維系等)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロースカルシウム等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース等)、滑沢剤(ステアリン酸カルシウム等)、流動化剤(二酸化ケイ素等)などを添加することができる。医薬品の場合、必要に応じて公知の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤などを添加することができる。
【0019】
さらに本発明の固形組成物の用途は特に制限されない。しかし好ましくは、本発明の製剤は内服用固形組成物である。内服用固形組成物の場合、本発明の固形組成物は、固形組成物としてそのまま摂取することができる。
【0020】
本発明の固形組成物の剤形は特に制限されず、通常使用され得る任意の剤形をとることができる。食品の場合、例えば、カプセル剤(ソフトカプセル又はハードカプセル)、錠剤、顆粒剤、散剤などの医薬品的な剤形や、菓子類(飴、ガム、チョコレート、和菓子等)、パン、麺類、穀類加工品、調味料、粉末飲料などが挙げられるが、継続的な摂取の観点より、好ましくはカプセル剤(ソフトカプセル除く)、錠剤、顆粒剤、散剤である。医薬品の場合、錠剤(素錠、糖衣錠、口腔内速崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤、フィルムコーティング錠などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤(ハードカプセル又はソフトカプセル)、ドライシロップ剤であり、より好ましくはカプセル剤(ソフトカプセル除く)、錠剤、顆粒剤、散剤である。医薬品、食品等で使用されるカプセルの基剤は特に限定されるものではないが、ゼラチン、寒天、セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カラギーナン、プルラン等を用いることができる。好ましくはHPMCまたはゼラチンで、より好ましくはHPMCを使用することができる。
【0021】
本発明の固形組成物は、当該技術分野における慣用の方法をそのまま又は適宜応用して製造することができ、その方法は特に限定されない。例えばハードカプセルの場合、NMN及びザクロエキスに加え、レスベラトロール、ビタミンB2及び任意で通常使用される賦形剤などの添加剤を加えて混和して均一としたもの、または適切な方法(例えば、乾式造粒や湿式造粒など)で造粒したものを、カプセルにそのまままたは軽く成形して充填し製造することができる。錠剤の場合、NMN及びザクロエキスに加え、レスベラトロール、ビタミンB2及び任意で通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤などの添加剤を加えて混和して均一としたものを直接圧縮成形するか、水又は結合剤を含む溶液を用いて適切な方法(例えば、乾式造粒や湿式造粒など)で造粒した後、滑沢剤などを加えて混和し、圧縮成形し製造することができる。顆粒剤の場合、NMN及びザクロエキスに加え、レスベラトロール、ビタミンB2及び任意で通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤などの添加剤を加えて混和して均一としたものを、水又は結合剤を含む溶液を用いて適切な方法(例えば、乾式造粒や湿式造粒など)で造粒することで製造することができる。散剤の場合、NMN及びザクロエキスに加え、レスベラトロール、ビタミンB2及び任意で通常使用される賦形剤、流動化剤、滑沢剤などの添加剤を加えて混和して均一としたものを分包することで製造することができる。
【0022】
固形組成物の投与量は、製剤の用途、患者の年齢、性別、治療もしくは改善したい症状の程度、及び投与方法により適宜調整可能であるが、固形組成物に含まれているNMNの量として、成人に対する1日あたりの投与量が通常50~2000mg、より好ましくは100~1250mg程度となる割合を挙げることができる。この投与範囲であれば、1日に1~数回に分けて投与することもできる。
【実施例0023】
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。
【0024】
(固形組成物の調製)
表1及び表2記載の成分比率にて各成分を秤量し、乳鉢で混合粉砕することで比較例1~7、実施例1~8の組成物を調製した。
【0025】
(色差測定)
調製したサンプル各2gをガラス瓶に入れ密封し、65℃条件下で7日間保存した。保存後のサンプルの色彩度について分光式色差計(SE6000:日本電色工業株式会社)にて測定し、あらかじめ測定しておいた調製直後のサンプルの色彩度との差分を算出した。その結果を色差(ΔE*(ab))として表1に示す。
【0026】
色差(ΔE*(ab))はその値が小さいほど、変色の程度が少ないことを示す。色差(ΔE*(ab))は、一般に5以下であれば目視で違いを認識できず、十分な抑制効果があったと判定される。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
表1より、NMN単味では保存後に大きな色差が確認され(比較例1)、65℃では変色しない賦形剤で希釈した組成物でも大きな色差が確認された(比較例2~4)。これに対し、表2のNMN及びザクロエキスを含む組成物ではいずれにおいても保存後の変色が抑制された(実施例1~8)。NMN、ザクロエキス、及びレスベラトロールを含む組成物においても保存後の変色抑制効果が得られた(実施例4)。さらに、NMN、ザクロエキス、レスベラトロール、及びビタミンB2を含む組成物ではより高い変色抑制効果が得られた(実施例5、6)。
【0030】
(製剤例)
【0031】
本発明の製剤例を以下表3に示す。以下の表3の組成のように、本願発明の(a)~(d)成分、賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、滑沢剤等を組み合わせ、秤量、混合、充填、粉砕、造粒、打錠を行うことで、ハードカプセル、顆粒剤、錠剤、散剤等を製造することができる。
【0032】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明により、NMNの保存中の変色を抑え、製品の品質を確保したNMN含有固形組成物を提供することが可能となった。よって、食品や医薬品等の関連産業の発達が期待される。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド、(b)ザクロエキス、及び(c)レスベラトロールを含有し、(a)ニコチンアミドモノヌクレオチド100質量部に対して、10~250質量部の(b)ザクロエキスを含有し、(a)ニコチンアミドモノヌクレオチドの含有量が、固形組成物全質量に対して11質量%以上である固形組成物。
【請求項2】
さらに、(d)ビタミンB2を含有する、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤の形態である、請求項1又は2に記載の固形組成物。
【請求項4】
(b)ザクロエキスを添加することによって、(a)ニコチンアミドモノヌクレオチドを含有する固形組成物の変色を抑制する方法。