IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社PFUの特許一覧

特開2024-101605情報処理システム、方法及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図8
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図9
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図10
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図11
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図12
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図13
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図14
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図15
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図16
  • 特開-情報処理システム、方法及びプログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101605
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240723BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20240723BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240723BHJP
   H04N 1/48 20060101ALI20240723BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20240723BHJP
   G06F 3/04847 20220101ALI20240723BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/407 740
H04N1/387 200
H04N1/387 101
H04N1/48
H04N1/60
G06F3/04847
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005597
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】服部 克洋
(72)【発明者】
【氏名】高野 明
(72)【発明者】
【氏名】近江 国彦
【テーマコード(参考)】
5C062
5C076
5C077
5C079
5E555
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC05
5C062AC07
5C062AC08
5C062AC09
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC61
5C062AF09
5C062AF10
5C062AF11
5C062AF15
5C062BA04
5C076AA02
5C076AA21
5C076AA22
5C076BA06
5C077LL17
5C077MM27
5C077PP02
5C077PP20
5C077PP21
5C077PP51
5C077PP54
5C077PQ19
5C077SS01
5C077SS06
5C079HA16
5C079JA10
5C079LA01
5C079LA12
5C079LB01
5C079NA18
5C079NA23
5C079PA02
5E555AA07
5E555AA45
5E555AA59
5E555BA27
5E555BB27
5E555BC04
5E555CA12
5E555CB14
5E555CB33
5E555CB45
5E555CC01
5E555DB03
5E555DC13
5E555DD12
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザが所望する画像を取得するための設定を容易に特定することを課題とする。
【解決手段】情報処理システムに、第一画像読取手段によって原稿が読み取られたことで生成された読取画像に対して第一画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる画像である第一の画像を取得する第一画像取得部と、第二画像読取手段によって原稿が読み取られたことで生成された読取画像又は該読取画像に対して第二画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる画像である、第二の画像を取得する第二画像取得部と、第二の画像が得られた際の設定とは異なる推奨設定であって、該推奨設定が適用された上で第二画像読取手段及び第二画像処理手段を用いて前記原稿から得られる画像が第二の画像と比べてより第一の画像に近づくような前記推奨設定を、第一の画像及び第二の画像を用いた比較解析を行うことで決定する解析部と、を備えた。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一画像読取手段によって1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像に対して第一画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である1又は複数の第一の画像を取得する第一画像取得手段と、
第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像、又は、前記第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された前記1又は複数の読取画像に対して第二画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である、1又は複数の第二の画像を取得する第二画像取得手段と、
前記第二画像読取手段及び/又は前記第二画像処理手段における前記1又は複数の第二の画像が得られた際の設定とは異なる推奨設定であって、該推奨設定が適用された上で前記第二画像読取手段及び前記第二画像処理手段を用いて前記1又は複数枚の原稿から得られる1又は複数の第三の画像が、前記1又は複数の第二の画像と比べてより前記1又は複数の第一の画像に近づくような前記推奨設定を、前記1又は複数の第一の画像及び前記1又は複数の第二の画像を用いた比較解析を行うことで決定する解析手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記解析手段は、
前記第二画像読取手段及び/又は前記第二画像処理手段における複数の設定項目の夫々についての前記推奨設定を決定し、
他の設定項目の設定内容によってその推奨設定の決定に影響を受ける設定項目についての前記推奨設定を決定する場合、予め前記他の設定項目についての前記推奨設定を決定し、決定された該推奨設定が前記1又は複数の第二の画像に反映された上で前記1又は複数の第一の画像と前記1又は複数の第二の画像との前記比較解析を行うことにより、前記影響を受ける設定項目についての前記推奨設定を決定することで、前記複数の設定項目についての前記推奨設定を段階的に決定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記複数の設定項目を第一グループから第NグループまでのN個(Nは2以上の自然数)のグループに分類した分類定義を記憶する分類定義記憶手段を更に備え、
前記N個のグループに含まれる前記第一グループは他の設定項目の設定内容によってその推奨設定の決定に影響を受けない設定項目が属するグループであり、
前記N個のグループに含まれる第nグループ(nは2以上N以下の自然数)は少なくとも第n-1グループに属する設定項目の設定の内容によってその推奨設定の決定に影響を受ける設定項目が属するグループであり、
前記解析手段は、
前記第一グループに属する設定項目についての前記推奨設定を、前記1又は複数の第一の画像と前記1又は複数の第二の画像との前記比較解析を行うことで決定し、
前記第nグループに属する設定項目についての前記推奨設定を、第n-1グループまでのグループに属する設定項目についての前記推奨設定が前記1又は複数の第二の画像に反映された上で前記1又は複数の第一の画像と前記1又は複数の第二の画像との前記比較解析を行うことで決定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像についての特徴を取得し、前記比較対象である画像間で前記特徴を比較することにより、前記推奨設定を決定する、
請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記特徴は、画像サイズであり、
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間で前記画像サイズを比較し、比較結果と、前記第二画像読取手段又は前記第二画像処理手段における解像度についての設定状況とに基づき、前記解像度についての前記推奨設定を決定する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記解析手段は、前記第一の画像の画像サイズと、推定された前記解像度についての前記推奨設定に基づき、用紙サイズについての前記推奨設定を決定する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記特徴は、画像内の所定の領域における画素値のばらつき度合いであり、
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間で前記ばらつき度合いを比較することにより、平滑化機能についての前記推奨設定を決定する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記特徴は、明るさヒストグラムであり、
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間で前記明るさヒストグラムを比較することにより、明るさ調整についての前記推奨設定を決定する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記1又は複数枚の原稿は、複数枚の原稿であり、
前記特徴は、画像枚数及びアスペクト比であり、
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像間で、前記画像枚数及びアスペクト比を比較することにより、表裏合成機能及び上下分割機能の少なくとも一方についての前記推奨設定を決定する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記1又は複数枚の原稿は、複数枚の原稿であり、
前記特徴は、明るさヒストグラムであり、
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間で前記明るさヒストグラムを比較することで得られる、該同一の原稿に係る画像間の明るさの対応関係を原稿間で比較することにより、明るさ自動補正機能についての前記推奨設定を決定する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記1又は複数枚の原稿は、複数枚の原稿であり、
前記特徴は、画像枚数であり、
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像間で、前記画像枚数が一致するか否かを判定することにより、読み取り面及びブランクページ削除機能の少なくとも一方についての前記推奨設定を決定する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記解析手段は、前記比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像の少なくとも一方の画像に対して、設定項目の設定値を変更しながら該設定項目についての処理を1又は複数回実行し、該処理が実行された上での前記同一の原稿に係る画像同士の類似度合いに基づき前記設定項目についての前記推奨設定を決定する、
請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記第一グループには、カラーモード、解像度、自動クロップ、用紙サイズ、読み取り面、ブランクページ削除、表裏合成及び上下分割の少なくとも何れかに関する設定項目を含む、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記第nグループには、パンチ穴除去、向き補正、明るさ調整、明るさ自動補正、平滑化、地紋除去、ノイズ除去及び色味の少なくとも何れかに関する設定項目を含む、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項15】
決定された前記推奨設定をユーザに提示する提示手段を更に備える、
請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記提示手段は、前記1又は複数の第二の画像に、決定された前記推奨設定による処理が施されたことで得られる1又は複数の画像を更にユーザに提示する、
請求項15に記載の情報処理システム
【請求項17】
コンピュータが、
第一画像読取手段によって1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像に対して第一画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である1又は複数の第一の画像を取得する第一画像取得ステップと、
第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像、又は、前記第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された前記1又は複数の読取画像に対して第二画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である、1又は複数の第二の画像を取得する第二画像取得ステップと、
前記第二画像読取手段及び/又は前記第二画像処理手段における前記1又は複数の第二の画像が得られた際の設定とは異なる推奨設定であって、該推奨設定が適用された上で前記第二画像読取手段及び前記第二画像処理手段を用いて前記1又は複数枚の原稿から得られる1又は複数の第三の画像が、前記1又は複数の第二の画像と比べてより前記1又は複数の第一の画像に近づくような前記推奨設定を、前記1又は複数の第一の画像及び前記1又は複数の第二の画像を用いた比較解析を行うことで決定する解析ステップと、
を実行する方法。
【請求項18】
コンピュータを、
第一画像読取手段によって1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像に対して第一画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である1又は複数の第一の画像を取得する第一画像取得手段と、
第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像、又は、前記第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された前記1又は複数の読取画像に対して第二画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である、1又は複数の第二の画像を取得する第二画像取得手段と、
前記第二画像読取手段及び/又は前記第二画像処理手段における前記1又は複数の第二の画像が得られた際の設定とは異なる推奨設定であって、該推奨設定が適用された上で前記第二画像読取手段及び前記第二画像処理手段を用いて前記1又は複数枚の原稿から得られる1又は複数の第三の画像が、前記1又は複数の第二の画像と比べてより前記1又は複数の第一の画像に近づくような前記推奨設定を、前記1又は複数の第一の画像及び前記1又は複数の第二の画像を用いた比較解析を行うことで決定する解析手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装置の設定を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目標印刷物の読取画像データを取得する画像読取部と、画像読取部から得られる第1の色空間の信号値とデバイス非依存色空間である第2の色空間の色度値との対応関係を表す第1の色変換テーブルを用いて色変換する第1の色変換部と、読取画像データ又は色度値に変換された読取色度値画像データと原稿画像データとの位置関係を対応付ける画像対応付け部と、原稿画像データと読取画像の色度値との対応関係に基づき、原稿画像データの第3の色空間と第2の色空間との多次元の対応関係を表す第2の色変換テーブルを作成する色変換テーブル作成部とを備え、第1の画像データを基に印刷装置によって印刷された第1の印刷物を画像読取部によって読み取ることにより、出力デバイス色変換テーブルを作成する装置(特許文献1を参照)が提案されている。
【0003】
また、画像処理制御情報取得手段が、使用する画像入力手段の入力特性情報および画像出力手段の出力特性情報を取得し、画像入力手段から入力された入力画像(処理対象画像)の状態を解析して画像解析情報を取得し、画像出力手段から出力される画像に対するオペレータの希望を意図情報として取得し、画像処理パラメータ推論決定手段が、取得した各画像処理制御情報に基づいて、所定の画像処理のための画像処理パラメータを推論決定し、画像処理手段が、推論決定された画像処理パラメータに応じて画像処理を実行してそのデータを画像出力手段に出力し、画像出力手段が、画像処理手段から出力された画像データを画像として出力する装置(特許文献2を参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-98630号公報
【特許文献2】特開平11-150656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、スキャナ等の画像読取装置(画像読取システム)において、他の画像読取装置(画像読取システム)からの出力画像と同等な出力画像を取得したい場合がある。このように、画像読取装置を用いて得られる画像を他の画像読取装置を用いて得られる画像に近づけたい場合に、様々な設定をユーザが手動で設定することがある。しかし、このような場合、所望の画像を得るための設定をユーザ自身が推定(特定)するという手間が生じてしまう。
【0006】
本開示は、上記した問題に鑑み、ユーザが所望する画像を取得するための設定を容易に特定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例は、第一画像読取手段によって1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像に対して第一画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である1又は複数の第一の画像を取得する第一画像取得手段と、第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像、又は、前記第二画像読取手段によって前記1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された前記1又は複数の読取画像に対して第二画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である、1又は複数の第二の画像を取得する第二画像取得手段と、前記第二画像読取手段及び/又は前記第二画像処理手段における前記1又は複数の第二の画像が得られた際の設定とは異なる推奨設定であって、該推奨設定が適用された上で前記第二画像読取手段及び前記第二画像処理手段を用いて前記1又は複数枚の原稿から得られる1又は複数の第三の画像が、前記1又は複数の第二の画像と比べてより前記1又は複数の第一の画像に近づくような前記推奨設定を、前記1又は複数の第一の画像及び前記1又は複数の第二の画像を用いた比較解析を行うことで決定する解析手段と、を備える情報処理システムである。
【0008】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピュータによって実行される方法またはコンピュータに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザが所望する画像を取得するための設定を容易に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一の実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。
図2】第一の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
図3】実施形態に係るスキャナAにおいて明るさ自動補正機能がOFFの場合の各原稿における画像間のLUTの一例を示す図である。
図4】実施形態に係るスキャナAにおいて明るさ自動補正機能がONの場合の各原稿における画像間のLUTの一例を示す図である。
図5】実施形態に係る平滑化機能についての推奨設定を決定する方法を説明するための図である。
図6】実施形態に係る推奨設定生成画面(開始時)の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る推奨設定生成画面(解析開始時)の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る推奨設定生成画面(解析中)の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る推奨設定生成画面(推奨設定提示時)の一例を示す図である。
図10】実施形態に係る推奨設定決定処理(Nグループ時)の流れの概要を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係る推奨設定決定処理の流れの概要を示すフローチャート(1)である。
図12】実施形態に係る推奨設定決定処理の流れの概要を示すフローチャート(2)である。
図13】第二の実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。
図14】第二の実施形態に係るサーバの機能構成の概略を示す図である。
図15】第三の実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。
図16】第三の実施形態に係るスキャナの機能構成の概略を示す図である。
図17】リプレース前後の出力画像間の色の対応関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0012】
[第一の実施形態]
本実施形態では、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムを、スキャナのリプレース時に、リプレース後のスキャナにおいてリプレース前のスキャナにより得られる画像(画像出力結果)と同等の画像(画像出力結果)を得るための設定を推定するためのシステムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムは、他のスキャナにより得られる画像(画像出力結果)と同等の画像(画像出力結果)を得るための設定を推定するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。
【0013】
従来、老朽化や故障等により、スキャナのリプレース(新しいスキャナへの取り替え)が必要になる場合がある。このような場合、ユーザはできる限り少ない手間でリプレースを行いたいと希望する場合が多い。また、リプレース後にも、リプレース前のスキャナによる出力画像と同等の画像が得られることを望むユーザは多い。
【0014】
これに対して、従来、画像形成装置が出力する色調をもう一方の画像形成装置の色調に合わせる技術が提案されている。しかし、例えば、リプレース前の画像読取装置において原稿全体の明るさに応じて画像全体の明るさを調整する機能が使用されていた場合、ある原稿においてリプレース前後の出力画像の色の対応関係を作成しただけでは、他の原稿ではその対応関係が成り立たない。また、例えば、リプレース前の画像読取装置において平滑化処理が行われていた場合を想定する。平滑化を行うと、ある範囲の類似色が1色のように出力される。そのため、リプレース前の画像読取装置では平滑化処理が行われているにも関わらずリプレース後の画像読取装置では平滑化処理が行われていない場合に両出力画像間の色の対応関係を求めると、複数色対1色の対応関係が得られてしまう。
【0015】
図17は、リプレース前後の出力画像間の色の対応関係を説明するための図である。図17には、同一原稿の同一領域についてのリプレース前の出力画像及びリプレース後の出力画像を示す。リプレース前の画像読取装置では平滑化処理が行われており、図17に示すリプレース前の出力画像は平滑化処理が行われた後の出力画像である。一方、リプレース後の画像読取装置では平滑化処理が行われておらず、図17に示すリプレース後の出力画像は平滑化処理が行われていない出力画像である。この場合に画像間で対応する位置の色の対応関係を求めると、図17に示される通り、リプレース前の出力画像の1色とリプレース後の出力画像の複数色とが対応し、複数色対1色の対応関係が得られてしまう。この場合、平滑化が行われていない別領域(画素)や他の原稿で、色の対応関係に矛盾が発生してしまう。
【0016】
このように、色味を合わせる場合に、単純な色の対応関係による色調の調整のみならず、画像処理設定(平滑化処理の有無)を合わせることが望ましい場合がある。つまり、両装置において平滑化処理が行われているもしくは両装置において平滑化処理が行われない状態で色の対応関係を作成することが望ましい。このように、リプレース後の画像読取装置により取得される画像をリプレース前の画像読取装置により取得される画像に合わせたい場合には、画像処理設定や画像読取設定をリプレース前の画像読取装置の設定に合わせる(模倣する)ことが望ましい。
【0017】
しかし、同じ設定項目であっても装置間で機能名(項目名)や項目値が異なる場合や、両装置のデフォルト設定が異なる場合等には、リプレース前の出力画像と同等の画像を得るための設定にユーザが苦慮してしまうことが想定される。つまり、ユーザが所望する画像を取得するための設定の推定(特定)に手間が生じてしまうという問題がある。
【0018】
このような状況に鑑み、本実施形態に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムでは、同一の原稿についてリプレース前のスキャナを用いて得られた第一の画像及びリプレース後のスキャナを用いて得られた第二の画像を用いた比較解析を行うことで、リプレース後のスキャナを用いて得られる画像がリプレース前のスキャナを用いて得られた第一の画像により近づくような推奨設定を決定することで、ユーザが所望する画像を取得するための設定を容易に特定することを可能とする。これより、ユーザはリプレース前の画像読取装置に関する設定(画像読取設定及び/又は画像処理設定)を意識することなく、スムーズにリプレースを実施することを可能とする。
【0019】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステム9の構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステム9では、ネットワーク又はその他の通信手段を介して互いに通信可能に接続されたスキャナ8と情報処理装置1を備える。
【0020】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力デバイス15、ディスプレイ等の出力デバイス16、及びNIC(Network Interface Card)等の通信ユニット17、等を備えるコンピュータである。但し、情報処理装置1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、情報処理装置1は、単一の筐体からなる装置に限定されない。情報処理装置1は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0021】
スキャナ8は、ユーザがセットした、文書、名刺、レシート又は写真/イラスト等の原稿を撮像することで、画像(画像データ)を取得する装置(画像読取装置)であり、本実施形態では、リプレース後のスキャナ(スキャナB)とする。なお、本実施形態では、画像読取装置としてスキャナを例示するが、画像読取装置はスキャナに限定されず、複合機等であってもよい。本実施形態に係るスキャナ8は、撮像によって得られた画像データを、ネットワークを介して情報処理装置1に送信する機能を有する。また、スキャナ8は、タッチパネルディスプレイやキーボード等の、文字入出力や項目選択を可能とするためのユーザインターフェース、及びWebブラウズ機能やサーバ機能を更に有していてもよい。本実施形態に係る方法を採用可能なスキャナの通信手段及びハードウェア構成等は、本実施形態における例示に限定されない。
【0022】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成の概略を示す図である。情報処理装置1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、情報処理装置1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、分類定義記憶部31、第一画像取得部32、第二画像取得部33、解析部34及び提示部35を備える装置として機能する。第二画像取得部33は、読取画像取得部33A及び第二画像処理部33Bを備える。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、情報処理装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0023】
分類定義記憶部31は、複数の設定項目(画像読取設定項目及び/又は画像処理設定項目である複数の設定項目)を、第一グループから第NグループまでのN個(Nは2以上の自然数)のグループに分類した分類定義を記憶する。このN個のグループには、第一グループ及び第nグループ(nは2以上N以下の自然数)が含まれる。第一グループは、他の設定項目の設定内容によってその推奨設定の決定に影響を受けない(他の設定の影響を受けない)設定項目が属するグループ(独立グループ)である。第nグループは、少なくとも第n-1グループに属する設定項目の設定の内容によってその推奨設定の決定に影響を受ける(他の設定内容の影響を受ける)設定項目が属するグループ(従属グループ)である。独立グループには、例えば、カラーモード、解像度、自動クロップ(機能)、用紙サイズ、読み取り面、ブランク(空白)ページ削除(機能)、表裏合成(機能)及び上下分割(機能)等の少なくとも何れかに関する設定項目(基本パラメータ系の設定項目)が含まれる。また、従属グループには、パンチ穴除去(機能)、向き補正(機能)、明るさ調整(機能)、明るさ自動補正(機能)、平滑化(機能)、地紋除去(機能)、ノイズ除去(機能)及び色味の少なくとも何れかに関する設定項目が含まれる。
【0024】
本実施形態では、従属グループは、独立グループに属する設定項目の設定内容の影響を受ける第一従属グループと、第一従属グループに属する設定項目の設定内容の影響を受ける第二従属グループと、第二従属グループに属する設定項目の設定内容の影響を受ける第三従属グループとを含む。本実施形態では、第一従属グループに属する設定項目として、パンチ穴除去機能及び向き補正機能に関する設定項目を、第二従属グループに属する設定項目として、明るさ調整機能、明るさ自動補正機能、地紋除去機能及びノイズ除去機能に関する設定項目を、第三従属グループに属する設定項目として、平滑化機能に関する設定項目を例示する。なお、本実施形態では、従属グループとして3つのグループを例示するが、従属グループの数は1以上の任意の数であってよい。また、設定項目は、上述した項目に限定されず任意の項目が使用されてよい。更に、各グループに属する設定項目は、上述の例に限定されず、ユーザにより任意に設定(選択)可能である。
【0025】
第一画像取得部32は、第一画像読取手段によって1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像に対して第一画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である1又は複数の第一の画像(以下、「第一の画像群」と称する。但し、第一の画像群は1つの第一画像のみを含むものであってよい。)を取得する。なお、本実施形態で、読取画像とは、画像処理が施されていない画像(生画像)を示すこととする。本実施形態では、第一画像取得部32は、リプレース前のスキャナであるスキャナA(第一画像読取手段)において1又は複数枚の原稿が読み取られた上で、スキャナAのスキャナドライバ(第一画像処理手段)により画像処理が施されたことで得られた(出力された)第一の画像群を取得する(第一画像読取手段及び第一画像処理手段の図示を省略)。ここで、リプレース前のスキャナ及びリプレース後のスキャナとして、夫々他社製のスキャナ及び自社製のスキャナが例示されるが、リプレース前のスキャナとリプレース後のスキャナは互いに別会社(製造メーカー)のスキャナであることに限定されない。なお、上述の通り、第一画像読取手段(スキャナA)及び第二画像読取手段(スキャナB)は、夫々リプレース前のスキャナ及びリプレース後のスキャナに限定されず、互いに異なるスキャナ(同一機種に係る別スキャナも含む)であれば任意のスキャナであってよい。
【0026】
ここで、使用される原稿は任意の原稿であってよく、例えば、スキャナAを運用する際に使用されている原稿(顧客運用原稿)等であってよい。また、使用される原稿は、1枚であっても複数枚であってもよい。また、第一画像処理手段において行われる画像処理(第一の画像処理)は任意の処理であってよく、スキャナAを運用する際に使用されている画像処理設定による画像処理等であってよい。このように、第一画像取得部32は、リプレース前のスキャナを用いて得られたスキャン画像(第一の画像群)を取得する。
【0027】
なお、本実施形態において「取得する」とは、スキャナAやスキャナドライバ(情報処理装置)等の接続装置からネットワーク等を介して情報を取得することや、情報処理装置1や他の記憶装置に格納されている情報を読み出すこと等、様々な方法により情報を得ることを意味する。本実施形態では、第一画像取得部32は、記憶装置14から第一の画像群を読み出す(読み込む)ことで第一の画像群を取得するが、第一画像処理手段からネットワーク等を介して第一の画像群を取得してもよい。また、情報処理装置1にスキャナBだけでなくスキャナAが接続されている場合(情報処理装置1がスキャナAのドライバ(第一画像処理手段)も備える場合)は、第一画像取得部32は、スキャナAを制御することにより、セットされた原稿をスキャナAが撮像することで第二の画像を取得してもよい。
【0028】
第二画像取得部33は、第二画像読取手段によって1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像、又は、第二画像読取手段によって1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像に対して第二画像処理手段による画像処理が施されたことで得られる1又は複数の画像である、1又は複数の第二の画像(以下、「第二の画像群」と称する。但し、第二の画像群は1つの第二画像のみを含むものであってよい。)を取得する。なお、第一画像読取手段及び第二画像読取手段において、同一の原稿(1又は複数枚の原稿)を読み取ることで、同一の原稿に係る第一の画像群と第二の画像群が取得されることとする。本実施形態では、第二画像取得部33は、リプレース後のスキャナであるスキャナB(第二画像読取手段(図2のスキャナ8))のドライバに該当する。第二画像取得部33は、スキャナBにおいて1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像、又は、当該1又は複数の読取画像に対して画像処理(第二の画像処理)が施されたことで生成(出力)された画像である、第二の画像群を取得する。
【0029】
本実施形態では、第二画像取得部33は、読取画像取得部33A及び第二画像処理部33Bを備え、読取画像取得部33Aは、スキャナBにおいて1又は複数枚の原稿が読み取られたことで生成された1又は複数の読取画像を取得し、第二画像処理部33Bは、当該1又は複数の読取画像に対して画像処理(第二の画像処理)を施すことで画像処理が施された1又は複数の画像(処理済画像)を生成する。これより、第二画像取得部33は、画像処理が施された1又は複数の画像を第二の画像群として取得する。なお、第二の画像処理は任意の処理であってよく、例えば、後述する解析処理(比較解析)において推奨設定の決定を容易にする画像処理(自動クロップ機能「ОN」など)等であってよい。このように、第二画像取得部33は、リプレース後のスキャナBを用いて得られたスキャン画像(第二の画像群)を取得する。
【0030】
本実施形態では、第二画像取得部33は、スキャナ8を制御することにより、セットされた原稿をスキャナ8が撮像することで第二の画像群を取得する。なお、本実施形態では、第二の画像(第二の画像群)として、カラーモードの設定が「カラー」、自動クロップ機能の設定が「ON」、及び向き補正機能の設定が「自動」の設定の上で得られた処理済画像を取得する(用いる)場合を例示するが、第二の画像は処理済画像に限定されず、読取画像であってもよい。また、原稿として専用のカラーチャート(テストチャート)を用いる場合、当該カラーチャートのスキャンデータ(スキャン画像)がスキャナBやスキャナBのドライバ等に予め格納されている場合がある。その場合、第二画像取得部33は、原稿をスキャンすることなく、予め格納されているスキャン画像を第二の画像として読み出すことで、第二の画像を取得するようにしてもよい。なお、この場合、第一の画像取得部32は、当該カラーチャートが第一画像読取手段に読み取られた上で、第一画像処理手段により画像処理が施されたことで出力された画像を第一の画像として取得する。また、読取画像に対する画像処理を行う第二画像処理手段をスキャナBが備える場合は、第二画像取得部33は、スキャナBから、読取画像又は処理済画像である第二の画像を取得するようにしてもよい。
【0031】
解析部34は、第一の画像群及び第二の画像群を用いた比較解析を行うことで、スキャナB(第二画像読取手段及び第二画像処理手段)を用いて得られる画像(1又は複数の画像)がスキャナA(第一画像読取手段及び第一画像処理手段)を用いて得られた画像(1又は複数の画像)に近づくような推奨設定(スキャナBにおいてスキャナAの出力画像と同等の出力画像を得るための推奨設定)を決定する。スキャナBを用いて得られる画像がスキャナAを用いて得られた画像に近づくような推奨設定は、より詳細には、第二画像読取手段及び/又は第二画像処理手段における第二の画像群が得られた際の設定とは異なる推奨設定であって、当該推奨設定が適用された上で第二画像読取手段及び第二画像処理手段を用いて当該1又は複数枚の原稿から得られる1又は複数の第三の画像(第三の画像群)が、第二の画像群に比べてより第一の画像群に近づくような推奨設定である。解析部34は、この推奨設定を、第一の画像群と第二の画像群(推奨設定に応じた画像処理が施された第二の画像群(推奨設定が反映された第二の画像群)も含む)との比較解析を行うことで決定する。
【0032】
上述の通り、画像読取装置に関する設定項目(画像読取設定項目及び/又は画像処理設定項目)には、他の設定項目の設定内容処理の影響を受けるものが存在する。そのため、本実施形態では、スキャナBに関する複数の設定項目についての推奨設定を段階的に決定する。具体的には、解析部34は、他の設定項目の設定内容によってその推奨設定の決定に影響を受ける設定項目についての推奨設定を決定する場合、予め当該他の設定項目についての推奨設定を決定する。そして、解析部34は、決定された当該推奨設定が第二の画像群に反映された上で第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことにより、当該影響を受ける設定項目についての推奨設定を決定する。つまり、他の設定項目(例えば、設定項目A)の設定に影響される設定項目(例えば、設定項目B)の推奨設定を決定するためには、予め当該他の設定項目(設定項目A)についての推奨設定を決定し、当該推奨設定が反映された画像を用いた解析処理を行うことで当該設定項目(設定項目B)の推奨設定を決定する。
【0033】
よって、本実施形態では、解析部34は、第一グループに属する設定項目についての推奨設定については、第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで決定し、第nグループに属する設定項目についての推奨設定については、第n-1グループまでのグループに属する設定項目についての推奨設定が第二の画像群に反映された上で第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで決定する。以下、独立グループ、第一従属グループ、第二従属グループ、第三従属グループの順に推奨設定を決定することで、段階的に推奨設定を決定する方法について例示する。
【0034】
<独立グループ>
まず、解析部34は、第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで、独立グループに属する設定項目についての推奨設定(第一推奨設定)を決定する。ここで、設定項目についての設定には、基本的に、機能のON/OFFの設定と、機能がONの場合の強度設定(感度設定や強弱設定など)が存在する。解析部34は、比較解析を行うことで、スキャナBを用いて得られる画像(1又は複数の画像)がスキャナAを用いて得られた画像(1又は複数の画像)により近づくと推定される、機能のON/OFFや強度設定等の設定値(推奨値)を決定する。なお、推奨設定(推奨値)を決定する方法には、スキャナAに係る画像(第一の画像群)に基づき決定する方法(方法1)と、スキャナAに係る画像(第一の画像群)の特徴とスキャナBに係る画像(第二の画像群又は推奨設定が反映された第二の画像群)の特徴とを比較することで決定する方法(方法2)と、設定値(候補値)を変更しながら画像処理を施した上で画像比較を行うことにより決定する方法の3種類の方法(方法3)が例示される。
【0035】
方法2では、解析部34は、比較解析における比較対象である画像についての特徴(設定項目に関連する特徴)を取得し、比較対象である画像間で当該特徴を比較することにより、推奨設定を決定する。方法3では、解析部34は、比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像の少なくとも一方の画像に対して、設定項目の設定値を変更しながら当該設定項目についての処理を1又は複数回実行し、当該処理が実行された上での同一の原稿に係る画像同士の類似度合いに基づき当該設定項目についての推奨設定を決定する。大まかな方向性としては、設定系の設定項目(カラーモード、解像度、向き補正等)については方法1又は方法2を用い、検出系の設定項目(ブランクページ削除機能等)については方法3を用い、加工系の設定項目(平滑化機能等)については方法2又は方法3を用いる。但し、設定項目によっては上記方向性に該当しない場合があってもよい。以下、独立グループに属する各設定項目についての推奨設定の具体的な決定方法について説明する。
【0036】
(カラーモード)
カラーモード(画像タイプ)に関する設定項目(以下、単に「カラーモード」と称する)は、出力される画像の色についての設定を行うための設定項目であり、設定値として、「2値」、「グレー」、「カラー」等が例示される。解析部34は、第一の画像群の画素情報から、第一の画像の色数を確認することで推奨設定を決定する。例えば、第一の画像群に付与された(埋め込まれた)画素情報を取得し、取得された画素情報に、画像色数が2(1 BitsPerPixel)であることを示す情報が含まれている場合、スキャナA(第一画像読取手段又は第一画像処理手段)におけるカラーモードの設定値は2値であると特定(推定)することが可能である。この場合、解析部34は、カラーモードについての推奨設定を「2値(又は2値に相当する設定値)」と決定する(方法1)。
【0037】
(解像度)
解像度に関する設定項目(以下、単に「解像度」と称する)は、出力される画像の解像度についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「300dpi」、「600dpi」、「ノーマル」、「ファイン」等が例示される。解析部34は、第一の画像群に解像度情報が埋め込まれている場合、当該解像度情報を用いて推奨設定を決定する。例えば、解像度情報に、画像解像度が「300dpi×300dpi」であることが示されている場合、スキャナAにおける解像度の設定値は300dpiであると特定(推定)することが可能である。よって、解析部34は、解像度についての推奨設定を「300dpi(又は300dpiに相当する設定値)」と決定する(方法1)。なお、解像度情報が埋め込まれていない場合等には、画像サイズ情報から第一の画像の解像度(スキャナAに係る解像度設定)を推定することが可能である。
【0038】
具体的には、解析部34は、比較解析における比較対象である画像(第一の画像群と第二の画像群)についての特徴(画像サイズ)を取得し、比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間で当該特徴を比較し、比較結果と、スキャナB(第二画像読取手段又は第二画像処理手段)における解像度についての設定状況とに基づき、解像度についての推奨設定を決定する。例えば、解析部34は、スキャナBにおける解像度の設定値が300dpiであり且つ第二の画像の画像サイズが2492×1753pxである場合に、第一の画像の画像サイズが4974×3408pxである場合、画像サイズ(画素数)の比(第一の画像の画素数/第二の画像の画素数)が縦横共に約2倍である。そのため、第一の画像の解像度、即ち、スキャナAにおける解像度の設定値は600dpi(=300dpi×2)であると推定することが可能である。この場合、解析部34は、解像度についての推奨設定を「600dpi(又は600dpiに相当する設定値)」と決定する(方法2)。なお、変倍して解像度を合わせる場合は、平均変倍による方法(例えば、解像度を1/2倍する際には2×2画素(4画素)の画素値の平均値を変更後の画素値とする方法)を用いることが望ましい。
【0039】
なお、解像度についての推奨設定は、同一の原稿に係る一つの第一の画像と一つの第二の画像との比較解析により決定することが可能である。そのため、第一の画像群と第二の画像群が夫々複数の第一の画像と複数の第二の画像を含む場合は、同一原稿(ページ)に係る第一の画像と第二の画像の組毎に推奨設定を決定した上で、当該組間(ページ間)で決定された推奨設定に差異がある場合(不整合がある場合)は、決定された推奨設定のうち1つの推奨設定を選択しユーザに提示することとする。但し、決定された推奨設定が全てユーザに提示されるようにしてもよい。また、解像度のように一つの第一の画像と一つの第二の画像とを用いた比較解析により決定することが可能な設定項目については、複数の第一の画像と複数の第二の画像から同一の原稿(ページ)に係る一つの第一の画像と一つの第二の画像を選択した上で、選択された画像間での比較解析を行うことで推奨設定を決定するようにしてもよい。なお、複数の異なる推奨設定から1つの推奨設定を決定するための具体的な方法については後述する。
【0040】
(用紙サイズ)
用紙サイズに関する設定項目(以下、単に「用紙サイズ」と称する)は、スキャンする原稿のサイズを設定するための設定項目であり、設定値として「A4」、「A5」、「はがき」等が例示される。解析部34は、第一の画像の画像サイズと、上記で決定された解像度についての推奨設定(推定されたスキャナAにおける解像度設定)とに基づき、用紙サイズについての推奨設定を決定する(方法1)。例えば、第一の画像の画像サイズが1744×2476pxであり、第一の画像の解像度が300dpiと推定されている場合を仮定する。ここで、用紙サイズがA5サイズ(148mm×210mm)である場合に、解像度を300dpiにしたい場合、必要なピクセル数(画像サイズ)は、約1748×2480pxとなる。これより、解像度が300dpiである第一の画像の画像サイズ(1744×2476px)は、解像度が300dpiである場合のA5サイズの画像サイズと同等であるため、スキャナAにおける用紙サイズの設定値はA5であると推定することが可能である。この場合、解析部34は、用紙サイズについての推奨設定を「A5」と決定する(方法2)。
【0041】
(自動クロップ機能)
自動クロップ機能に関する設定項目(以下、単に「自動クロップ機能」と称する)は、原稿のエッジを検出すること等により読み取った画像から原稿部分の画像領域を自動で抽出する機能についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「(自動クロップ機能)ON(有効)」、「(自動クロップ機能)OFF(無効)」が例示される。解析部34は、比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿(ページ)に係る画像間(同一の原稿に係る第一の画像と第二の画像との間)で以下の比較解析(実際に自動クロップ処理を施した上での画像間の比較)を行う。解析部34は、基本的に、自動クロップ機能についての推奨設定を「ON(有効)」とする。但し、第二の画像が自動クロップ機能ONで取得された画像であることから、同一の原稿に係る画像(第一の画像と第二の画像)間の画像サイズ差が一定(一定サイズ)以上であり且つ第一の画像に自動クロップ処理を施した上での当該画像サイズ差が一定(一定サイズ)未満である(サイズの点で画像同士の類似度が所定の類似度より高くなる)場合、スキャナAにおける自動クロップ機能の設定値はOFF(無効)であると推定することが可能である。この場合、解析部34は、自動クロップ機能についての推奨設定を「OFF(無効)」と決定する(方法3)。なお、第二の画像が自動クロップ機能OFFで取得された画像である場合は、第一の画像と第二の画像間の画像サイズ差が一定以上であり且つ第二の画像に自動クロップ処理を施した上での当該画像サイズ差が一定未満である場合に、スキャナAにおける自動クロップ機能の設定値はON(有効)であると推定することが可能である。この場合、解析部34は、自動クロップ機能についての推奨設定を「ON(有効)」と決定する(方法3)。なお、上記において画像サイズ差と比較する夫々の一定サイズには、任意のサイズが使用されてよい。
【0042】
なお、上述した方法以外に、第一の画像において原稿エッジ解析を行うことにより、スキャナAにおける自動クロップ機能についての設定値(自動クロップ有無)を推定してもよい(方法1)。例えば、第一の画像において原稿エッジ解析を行った結果、第一の画像内で原稿エッジが抽出された場合(第一の画像内の原稿領域の周囲に白領域又は黒領域が存在する場合)には、スキャナAにおいて自動クロップ処理が行われていない、つまり、自動クロップ機能がOFFであると推定することが可能である。
【0043】
(読み取り面、ブランクページ削除機能)
読み取り面に関する設定項目(以下、単に「読み取り面」と称する)は、原稿をスキャンする時の読み取り面についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「両面」、「片面」が例示される。ブランクページ削除機能に関する設定項目(以下、単に「ブランクページ削除機能」と称する)は、読み取った画像からブランクページ(例えば、白紙または黒紙)を自動で削除する設定を行うための設定項目であり、設定値として「(削除機能)ON(有効)」、「(削除機能)OFF(無効)」が例示される。解析部34は、複数枚の原稿(ページ)を用いることで、読み取り面及びブランクページ削除機能についての推奨設定を決定する。解析部34は、第一の画像群と第二の画像群との間で、画像枚数が一致するか否かを判定することにより、読み取り面及びブランクページ削除機能についての推奨設定を決定する(方法2)。なお、読み取り面及びブランクページ削除機能についての推奨設定を決定する際、第二の画像群は、両面スキャンにより複数枚の原稿(ページ)が読み取られた結果得られた画像であることを前提とする。また、ブランクページ削除機能についての設定を推定するために、用いられる複数枚の原稿にブランクページを含めることを前提とする。
【0044】
解析部34は、第一の画像群の画像枚数と第二の画像群の画像枚数とを比較することで、読み取り面及びブランクページ削除機能についての推奨設定を決定する。つまり、複数枚の原稿がスキャナAで読み取られたことで得られた画像の枚数と、当該複数枚の原稿がスキャナBで読み取られたことで得られた画像の枚数とを比較することで、読み取り面及びブランクページ削除機能についての推奨設定を決定する。解析部34は、画像枚数の比較を行った結果、画像枚数が同一であり且つ画像枚数が原稿枚数の2倍である場合(例えば、2枚スキャン時に画像枚数が4枚の場合)、スキャナAにおける読み取り面は両面であり且つブランクページ除去機能はOFFであると推定することが可能である。この場合、解析部34は、読み取り面についての推奨設定を「両面」とし、ブランクページ削除機能についての推奨設定を「OFF」と決定する(方法2)。なお、単に第一の画像群の画像枚数が原稿枚数の2倍であることにより、スキャナAにおける読み取り面は両面でありかつブランクページ削除機能はOFFであるとの推定を行ってもよい(方法1)。
【0045】
一方、画像枚数の比較を行った結果、画像枚数に差異がある(スキャナAの方がスキャナBよりも画像枚数が少ない)場合、第二の画像群に対して実際にブランクページ削除処理を行った上で、再度画像枚数の比較を行う。比較の結果、画像枚数が同一になった場合、スキャナAにおける読み取り面は両面であり且つブランクページ削除機能はONであると推定することが可能であり、一方、画像枚数が異なる場合、スキャナAにおける読み取り面は片面と推定することが可能である(方法3)。片面と推定された場合は、パターンマッチング手法による画像比較を行うことで、スキャナAにおいて表面裏面のどちらを読み取っているかを推定することが可能であり、例えば表面と推定された場合は、読み取り面についての推奨設定を「片面(表面)」と決定する。なお、この場合、ブランクページ削除機能の設定については、例えば、第一の画像群にブランクページに係る画像が含まれている場合等に、スキャナAにおけるブランクページ削除機能はOFFであると推定することが可能である。なお、ブランクページ削除機能にブランクページと検知される感度(ブランクのなりやすさ)設定値を有する場合は、上述の方法を行う際に、感度設定値についても試行することで、画像枚数が同一になる設定を特定(推定)するようにしてもよい。
【0046】
(表裏合成機能)
表裏合成機能に関する設定項目(以下、単に「表裏合成機能」と称する)は、原稿の表面と裏面の画像(画像データ)を自動的に合成し1つの画像データとして出力する機能についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「(合成機能)ON(有効)」、「(合成機能)OFF(無効)」が例示される。解析部34は、複数枚の原稿(ページ)を用いることで、表裏合成機能についての推奨設定を決定する。解析部34は、比較解析における比較対象である画像間(第一の画像群と第二の画像群との間)で、画像枚数及びアスペクト比を比較することにより、表裏合成機能についての推奨設定を決定する(方法2)。より詳細には、解析部34は、第一の画像群の画像枚数が第二の画像群の画像枚数の半数であり、且つ、第一の画像と第二の画像のアスペクト比が異なるかを判定することで、表裏合成機能についての推奨設定を決定する。
【0047】
例えば、第一の画像群の画像枚数が第二の画像群の画像枚数の半数であり、且つ、2枚の第二の画像を縦もしくは横に2枚結合した場合のアスペクト比が第一の画像のアスペクト比と同等(アスペクト比の差が一定未満)である場合、スキャナAにおける表裏合成機能はONであると推定することが可能である。この場合、解析部34は、表裏合成機能についての推奨設定を「ON」と決定する。上記条件に該当しない場合、スキャナAにおける表裏合成機能はOFFであると推定され、解析部34は、表裏合成機能についての推奨設定を「OFF」と決定する。
【0048】
(上下分割機能)
上下分割機能に関する設定項目(以下、単に「上下分割機能」と称する)は、画像(画像データ)を自動的に上下に分割する機能についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「(分割機能)ON(有効)」、「(分割機能)OFF(無効)」が例示される。解析部34は、複数枚の原稿を用いることで、上下分割機能についての推奨設定を決定する。解析部34は、比較解析における比較対象である画像間(第一の画像群と第二の画像群との間)で、画像枚数及びアスペクト比を比較することにより、上下分割機能についての前記推奨設定を決定する(方法2)。より詳細には、解析部34は、第一の画像群の枚数が第二の画像群の枚数の倍数であり、且つ、第一の画像と第二の画像のアスペクト比が異なるかを判定することで、上下分割機能についての推奨設定を決定する。
【0049】
例えば、第一の画像群の画像枚数が第二の画像群の画像枚数の倍数であり、且つ、2枚の第一の画像を縦もしくは横に2枚結合した場合のアスペクト比が第二の画像のアスペクト比と同等(アスペクト比の差が一定未満)である場合、スキャナAにおける上下分割機能はONであると推定することが可能である。この場合、解析部34は、上下分割機能についての推奨設定を「ON」と決定する。上記条件に該当しない場合、スキャナAにおける上下分割機能はOFFであると推定され、解析部34は、上下分割機能についての推奨設定を「OFF」と決定する。
【0050】
解析部34は、第一推奨設定(例えば、カラーモード、解像度、自動クロップ機能、用紙サイズ、読み取り面、ブランクページ削除機能、表裏合成機能及び上下分割機能についての推奨設定)を第二の画像群に反映させるための処理(例えば画像処理)を行うことで、第一推奨設定が反映された第二の画像群である1又は複数の第一処理後画像(以下、「第一処理後画像群」と称する)を取得する。推奨設定を画像(画像群)に反映させるとは、当該画像(画像群)を当該推奨設定に合わせることであり、例えば、当該画像(画像群)を当該推奨設定で得られた画像(画像群)であるようにすることである。例えば、第二の画像群が解像度600dpiで取得されたものであり、推奨設定(推定されたスキャナAにおける設定)が300dpiと決定された場合、推奨設定を第二の画像群に反映するとは、第二の画像群の解像度を推奨設定である300dpiに変換すること(変換するよう画像処理を行うこと)である。また、例えば、ブランクページ削除機能の推奨設定がONである場合、第二の画像群に対してブランクページ削除処理(画像処理)を行うことで第二の画像群からブランクページを削除することで、ブランクページ削除機能「ON」との推奨設定を第二の画像群に反映する。
【0051】
なお、スキャナBにおいて第一推奨設定と同一の設定が行われた上で第二の画像群が取得されている場合(既に第一推奨設定が第二の画像群に反映されている場合)には、第一推奨設定を第二の画像群に反映させるための処理を省略してもよい。つまり、解析部34は、決定された推奨設定のうち、第二の画像群に未だ反映されていない推奨設定(スキャナBで第二の画像を取得した際の設定とは異なる設定)については第二の画像群に反映させるための処理を実行し、既に反映されている推奨設定については処理を実行しなくてよい。このように、解析部34は、必要に応じて推奨設定に基づく処理を行うこととする。なお、本実施形態では、グループ(独立グループ)内の設定項目についての推奨設定に基づく画像処理を第二の画像群に施すことで第一処理後画像群を取得する場合について例示するが、上記のように、第一推奨設定を反映するための処理を省略する場合は、第一処理後画像群(第一推奨設定が反映された第二の画像群)は第二の画像群となる。
【0052】
<第一従属グループ>
解析部34は、第一推奨設定が第二の画像群に反映された(第一推奨設定による処理が第二の画像群に施された)上で第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで、第一従属グループに属する設定項目についての推奨設定(第二推奨設定)を決定する。つまり、解析部34は、第一の画像群と第一処理後画像群との比較解析を行うことで、第一従属グループに属する設定項目についての推奨設定を決定する。第一従属グループに属する設定項目は、検出系処理に関する設定項目であり、当該設定項目についての推奨設定を決定する際には、独立グループについての推奨設定が第二の画像群に反映されていること(推奨設定による画像処理が完了していること)を前提とする。例えば、自動クロップ機能や用紙サイズを第一の画像群と第二の画像群とで合わせておくことで、第一従属グループの設定項目についての推奨設定を適切に決定することが可能となる。以下、第一従属グループに属する各設定項目についての推奨設定の具体的な決定方法について説明する。
【0053】
(パンチ穴除去機能)
パンチ穴除去機能に関する設定項目(以下、単に「パンチ穴除去機能」と称する)は、原稿にパンチ穴がある場合に画像のパンチ穴部分を塗りつぶして目立たなくする機能についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「ON(有効)」、「OFF(無効)」が例示される。解析部34は、比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間(同一の原稿に係る第一の画像と第一処理後画像との間)で以下の比較解析(実際にパンチ穴除去処理を施した上での画像間の比較)を行う。解析部34は、第一処理後画像に対してパンチ穴除去処理を実行(複数の除去モードがある場合は各モードに係る処理を実行)し、パンチ穴が除去されたか否かを判定する。パンチ穴が除去された場合、解析部34は、パンチ穴が除去された第一処理後画像内のパンチ穴が除去された領域と、当該領域に対応する第一の画像内の領域とを比較し、両領域間で色情報が近づくか否か(色情報の類似度合い)を判定する。例えば、第一処理後画像に対してパンチ穴除去処理を実行することにより、当該処理を実行する前の状態より、両領域間で色情報が近づく(類似する)場合には、スキャナAにおけるパンチ穴除去機能はONであると推定することが可能である。この場合、解析部34は、パンチ穴除去機能についての推奨設定を「ON」と決定する(方法3)。なお、色情報が近づくかどうかの判定は、例えば、各領域のヒストグラムを生成し比較することで行う方法や、パターンマッチングによる方法等任意の方法が用いられてよい。なお、独立グループ内の設定項目の推奨設定に連動して、パンチ穴除去機能についての推奨設定を決定してもよい。例えば、独立グループに属する自動クロップ機能の推奨設定が「OFF(無効)」である場合には、当該推奨設定に連動して、パンチ穴除去機能についての推奨設定を「OFF(無効)」としてもよい。
【0054】
(向き補正機能)
向き補正機能に関する設定項目(以下、単に「向き補正機能」と称する)は、画像の回転方法についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「自動」、「右90度回転」、「右180度回転」、「左90度回転」等が例示される。解析部34は、比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間(同一の原稿に係る第一の画像と第一処理後画像との間)で以下の比較解析を行う。なお、上述の通り、本実施形態に係る第二の画像は向き補正機能を「自動」に設定した上で取得された画像であるため、第一処理後画像は、必要に応じて向きが自動補正されている画像であることを前提とする。
【0055】
まず、解析部34は、第一の画像と第一処理後画像との画像の向きが同じであるかを判定する。例えば、解析部34は、両画像の画像サイズ(縦横比)に基づき、両画像の向きがどちらも縦向き(又は横向き)であるか又は一方の画像が縦向きで他方の画像が横向きであるかを判定する。これにより、両画像の向きの違い(両画像の向きを一致させるための回転角度)が、0度もしくは180度であるか、又は、90度もしくは270度であるかが決定され、次に行うパターンマッチングにおける回転候補角度が絞られる。そして、解析部34は、決定された回転角度に基づいて一方の画像を回転させた上で、両画像に対するパターンマッチング(画像比較)を行う。例えば、決定された回転角度が90度もしくは270度である場合に、第一処理後画像(又は第一の画像)に対して回転角度90度、270度の夫々による回転処理を施した上で、第一の画像と第一処理後画像とのパターンマッチングを行う。具体的には、両画像夫々について、画像全体から特徴点及び特徴量を算出(AKAZE等の手法により算出)し、算出された両画像の特徴点を比較し、位置や向きが一致する特徴点が最も多い回転角度を決定する。例えば、位置や向きが一致する特徴点が最も多い場合の回転角度が90度である(第一処理後画像を右90度回転させた状態のとき)と決定された場合、第一の画像の向きは、第一処理後画像を右90度回転させた向きであると決定される。このように、上述した方法によって、両画像の向きの相対関係を決定(判定)することが可能である。
【0056】
上述した方法により、両画像の向きが同じであると判定された場合には、スキャナAにおける向き補正機能についての設定は自動(原稿を横向きや上下逆さまにセットしてスキャンしたときに画像の向きを自動的に回転する設定)であると推定することが可能である。この場合、解析部34は、向き補正機能についての推奨設定を「自動」と決定する(方法2、方法3)。一方、両画像の向きが異なると判定された場合には、スキャナAにおける向き補正機能についての設定は回転固定設定であると推定することが可能であり、この場合、解析部34は、第一の画像の向きに合わせた回転固定設定(回転角度の固定値)を、向き補正機能についての推奨設定として決定する(方法2、方法3)。例えば、両画像の向きが180度異なる場合は、180度固定回転を推奨設定とする。但し、上述した方法は、スキャナAとスキャナBにおいて同一の向きに原稿(用紙)を挿入していることを前提とする。なお、第二の画像が自動向き補正の画像処理が施されていない画像である場合には、上述した方法において、縦横比の比較を行う前に予め第一処理後画像に対して自動向き補正の画像処理を施すことで、上記方法と同様の方法で向き補正機能についての推奨設定を決定することが可能である(方法3)。
【0057】
解析部34は、第二推奨設定(例えば、パンチ穴除去機能及び向き補正機能についての推奨設定)を第一処理後画像群に反映させるための処理(例えば画像処理)を行うことで、第一推奨設定及び第二推奨設定が反映された第二の画像群である1又は複数の第二処理後画像(以下、「第二処理後画像群」と称する)を取得する。なお、スキャナBにおいて第二推奨設定と同一の設定が行われた上で第二の画像群が取得されている場合(既に第二推奨設定が第二の画像群に反映されている場合)には、第二推奨設定を第一処理後画像群に反映させるための処理を省略してもよい。つまり、第一グループにおける説明と同様に、解析部34は必要に応じて推奨設定に基づく処理を行うこととする。なお、本実施形態では、グループ(第一従属グループ)内の設定項目についての推奨設定に基づく画像処理を第一処理後画像群に施すことで第二処理後画像群を取得する場合について例示するが、上記のように、第二推奨設定を反映するための処理を省略する場合は、第二処理後画像群(第一推奨設定及び第二推奨設定が反映された第二の画像群)は第一処理後画像群となる。なお、解析部34は、第一推奨設定と第二推奨設定に基づく処理(画像処理)を第二の画像群に施すことで、第二処理後画像群を取得するようにしてもよい。
【0058】
<第二従属グループ>
解析部34は、第一推奨設定及び第二推奨設定が第二の画像群に反映された(第一推奨設定及び第二推奨設定による処理が第二の画像群に施された)上で第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで、第二従属グループに属する設定項目についての推奨設定(第三推奨設定)を決定する。つまり、解析部34は、第一の画像群と第二処理後画像群との比較解析を行うことで、第二従属グループに属する設定項目についての推奨設定を決定する。第二従属グループに属する設定項目は、画質に関する設定項目であり、当該設定項目においては画像の中身(コンテンツ情報)を対象とするため、第一従属グループまでの推奨設定が第二の画像群に反映されていること(推奨設定による画像処理が完了していること)を前提とする。以下、第二従属グループに属する各設定項目についての推奨設定の具体的な決定方法について説明する。
【0059】
(明るさ調整機能、地紋除去機能、ノイズ除去機能)
明るさ調整(トーン調整)機能に関する設定項目(以下、単に「明るさ調整機能」と称する)は、出力される画像の明るさ(トーン)についての設定を行うための設定項目であり、所定の明るさ変換テーブル(ルックアップテーブル(LUT))を使用するための設定項目やその他種々の明るさ調整に関する設定項目(ブライトネス、色の濃さ、色合い、色温度等)等が例示される。解析部34は、比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿(ページ)に係る画像間(同一の原稿に係る第一の画像と第二処理後画像との間)で以下の比較解析を行う。以下、独立グループにおける推奨設定においてカラーモードの推奨設定が「カラー」又は「グレー」に決定された場合(ケース1)と、カラーモードの推奨設定が「2値」に決定された場合(ケース2)とに分けて、推奨設定の決定方法を説明する。
【0060】
ケース1の場合、解析部34は、比較解析における比較対象である画像(第一の画像と第二処理後画像)夫々について、グレー化された状態での明るさヒストグラムを算出(生成)する。そして、両ヒストグラムを比較することで、両ヒストグラムが概ね一致するような明るさ対応関係(明るさ変換テーブル)を作成する。これより、解析部34は、明るさ調整に係る設定項目についての推奨設定を、生成された明るさ変換テーブルを使用する設定とするよう決定する(方法2)。ケース2の場合、解析部34は、明るさ調整に関連する1つ以上のパラメータ(地紋除去機能やノイズ除去機能等の画質に関する他のパラメータも含む)の設定値の組み合わせに係る画像処理を、第二処理後画像に対して総当たりで実行し、当該画像処理が実行された上での第一の画像と第二処理後画像についての文字認識結果(OCR結果)が最も一致する設定(設定値の組み合わせ)を、明るさ調整機能についての推奨設定として決定する(方法3)。なお、上記では、第一の画像と第二処理後画像とを比較し、両者が最も類似する際の設定が推奨設定として決定されればよいため、文字認識結果が最も一致する場合以外に、パターンマッチングにより最もマッチングした際の設定が推奨設定として決定されてもよい。
【0061】
なお、明るさ調整機能には、原稿(画像)毎に適切な明るさを自動的に設定する(補正する)機能である明るさ自動補正機能があり、明るさ自動補正機能に関する設定項目(以下、単に「明るさ自動補正機能」と称する)の設定値としては、「ON(有効)」、「OFF(無効)」が例示される。解析部34は、複数枚の原稿を用いることで、明るさ自動補正機能に関する設定項目についての推奨設定を決定する。より詳細には、まず、解析部34は、比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像間(第一の画像と第二処理後画像との間)で画像の明るさヒストグラムを比較する。そして、解析部34は、比較を行うことで得られる、当該同一の原稿に係る画像間の明るさの対応関係(LUT)を算出し、算出された明るさの対応関係を原稿間で比較することにより、明るさ自動補正機能についての推奨設定を決定する。
【0062】
図3は、本実施形態に係るスキャナAにおいて明るさ自動補正機能がOFFの場合の各原稿における画像間のLUTの一例を示す図である。図3Aは、一枚目の原稿に係る第一の画像(スキャナAに係る画像)と第二処理後画像(スキャナBに係る画像)との明るさ対応関係を示すLUTであり、図3Bは、二枚目の原稿に係る第一の画像と第二処理後画像との明るさ対応関係を示すLUTである。図3A及び図3Bにおいて、横軸は第二処理後画像における輝度値(階調値)であり、縦軸は第一画像における輝度値である。図3に示すように、スキャナAにおいて(スキャナBにおいても)明るさ自動補正が行われない場合、画像間の明るさの対応関係はどの原稿でも概ね一致することがわかる。
【0063】
図4は、本実施形態に係るスキャナAにおいて明るさ自動補正機能がONの場合の各原稿における画像間のLUTの一例を示す図である。図4Aは、一枚目の原稿に係る第一の画像と第二処理後画像との明るさ対応関係を示すLUTであり、図4Bは、二枚目の原稿に係る第一の画像と第二処理後画像との明るさ対応関係を示すLUTである。図4A及び図4Bにおいて、横軸は第二処理後画像における輝度値であり、縦軸は第一画像における輝度値である。図4に示すように、スキャナAにおいて明るさ自動補正が行われている場合、画像間の明るさの対応関係は原稿によって大きく異なる場合がある。
【0064】
以上より、解析部34は、画像間(第一の画像と第二処理後画像との間)の明るさ対応関係が原稿(ページ)間で概ね一致するか否かを判定し、明るさ対応関係が原稿間で概ね一致する場合、スキャナAにおける明るさ自動補正機能はOFFであると推定することが可能である。この場合、解析部34は、明るさ自動補正機能についての推奨設定を「OFF」と決定する(方法2)。一方、明るさ対応関係が原稿間で概ね一致しない場合、スキャナAにおける明るさ自動補正機能はONであると推定することが可能である。この場合、解析部34は、明るさ自動補正機能についての推奨設定を「ON」と決定する(方法2)。なお、明るさの対応関係(LUT)が原稿間で概ね一致するか否かは、例えば、相関係数を用いることで判定することが可能である。例えば、一枚目の原稿に係るLUTにおいてスキャナBに係る画像の各階調値に対応するスキャナAに係る画像の階調値と、二枚目の原稿に係るLUTにおいてスキャナBに係る画像の各階調値に対応するスキャナAに係る画像の階調値との相関係数を算出し、算出された相関係数が所定の値(閾値)以上である場合に、LUTが原稿間で概ね一致していると判定することが可能である。なお、明るさの対応関係が原稿間で概ね一致するか否かの判定には、相関係数を用いる方法以外の任意の方法が用いられてよい。
【0065】
解析部34は、第三推奨設定(例えば、明るさ調整機能、地紋除去機能、ノイズ除去機能、及び明るさ自動補正機能についての推奨設定)を第二処理後画像群に反映させるための処理(例えば画像処理)を行うことで、第一推奨設定、第二推奨設定、及び第三推奨設定が反映された第二の画像群である1又は複数の第三処理後画像(以下、「第三処理後画像群」と称する)を取得する。なお、スキャナBにおいて第三推奨設定と同一の設定が行われた上で第二の画像群が取得されている場合(既に第三推奨設定が第二の画像群に反映されている場合)には、第三推奨設定を第二処理後画像群に反映させるための処理を省略してもよい。つまり、第一グループにおける説明と同様に、解析部34は必要に応じて推奨設定に基づく処理を行うこととする。本実施形態では、グループ(第二従属グループ)内の設定項目についての推奨設定に基づく画像処理を第二処理後画像群に施すことで第三処理後画像群を取得する場合について例示するが、上記のように、第三推奨設定を反映するための処理を省略する場合は、第三処理後画像群(第一推奨設定、第二推奨設定及び第三推奨設定が反映された第二の画像群)は第二処理後画像群となる。なお、解析部34は、第一推奨設定、第二推奨設定及び第三推奨設定に基づく処理(画像処理)を第二の画像群に施すことで、第三処理後画像群を取得するようにしてもよい。
【0066】
<第三従属グループ>
解析部34は、第一推奨設定、第二推奨設定及び第三推奨設定が第二の画像群に反映された(第一推奨設定、第二推奨設定及び第三推奨設定による処理が第二の画像群に施された)上で第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで、第三従属グループに属する設定項目についての推奨設定(第四推奨設定)を決定する。つまり、解析部34は、第一の画像群と第三処理後画像群との比較解析を行うことで、第三従属グループに属する設定項目についての推奨設定を決定する。以下、第三従属グループに属する各設定項目についての推奨設定の具体的な決定方法について説明する。
【0067】
(平滑化機能)
平滑化機能に関する設定項目(以下、単に「パンチ穴除去機能」と称する)は、画像に対して平滑化処理を行う機能についての設定を行うための設定項目であり、設定値として「ON(有効)」、「OFF(無効)」や、平滑化機能に関する種々の設定項目(輪郭強調、モアレ除去、背景の平滑化等)についての設定値が例示される。解析部34は、比較解析における比較対象である画像のうち同一の原稿(ページ)に係る画像間(同一の原稿に係る第一の画像と第三処理後画像との間)で以下の比較解析を行う。解析部34は、比較対象である画像のうち同一の原稿に係る画像(第一の画像と第三処理後画像)の夫々において所定の領域(部分領域)を抽出し、当該画像間で当該所定の領域における色(画素値)のばらつき度合いを比較することにより、平滑化機能についての推奨設定を決定する(方法2)。なお、平滑化機能についての推奨設定を決定する際には、予め画像間で解像度が合っていることを前提とする。これは、モアレ縞や色ずれの出方が解像度によって変化するためである。また、同様に、平滑化機能についての推奨設定を決定する際には、予め画像間で明るさ(トーン調)が合っていることを前提とする。これは、例えば、第一の画像において出力画像の見栄えをよくするためにコントラストを強くかけていた場合、白に近い色は大半が白色で出力されるため、第三処理後画像(第二の画像)に対して第一の画像に合わせた明るさ調整が行われていない場合、両画像を比較した際に、第一の画像において平滑化処理が行われていると誤判定されてしまう場合があるためである。そのため、第二従属グループまでの推奨設定が第二の画像群に反映されていること(推奨設定による画像処理が完了していること)を前提とする。解析部34は、上記前提の上で、各画像における部分領域を抽出し、各画像の部分領域について階調(色)のばらつき度合い(例えば、中心色階調値(RGB階調値)の標準偏差)を算出する。
【0068】
図5は、本実施形態に係る平滑化機能についての推奨設定を決定する方法を説明するための図である。図5には、平滑化処理が行われているスキャナAの出力画像(第一の画像)の部分領域と、平滑化処理が行われていないスキャナBの出力画像(第三処理後画像)の部分領域を示す。図5に示すとおり、第一の画像の部分領域では、平滑化処理の影響により、第三処理後画像の部分領域と比較して階調のばらつき度合い(標準偏差)が小さくなることがわかる。
【0069】
これより、解析部34は、(第一の画像の部分領域における階調値の標準偏差)÷(第三処理後画像の部分領域における階調値の標準偏差)が所定の閾値以下である場合には、解析部34は、スキャナAにおいて平滑化処理が行われていると推定することが可能である。この場合、解析部34は、平滑化機能についての推奨設定を「ON」にする等、スキャナBにおいて平滑化処理が行われるよう推奨設定を決定する(方法2)。なお、解析部34は、(第一の画像の部分領域における階調値の標準偏差)÷(第三処理後画像の部分領域における階調値の標準偏差)の値によって、推奨設定における平滑化の度合いを変化させるようにしてもよい。また、「(第一の画像の部分領域における階調値の標準偏差)÷(第三処理後画像の部分領域における階調値の標準偏差)」の代わりに、両標準偏差の差分を用いてもよい。また、所定の閾値には、任意の値が用いられてよい。
【0070】
なお、上述の方法では、各画像(第一の画像と第三処理後画像)において部分領域(所定の領域)が選択されるが、画像間で同じ(概ね同じ)部分(例えば、同一のオブジェクトや文字等)に係る部分領域が選択されることが望ましい。以下、所定の領域の選択手法(方法A、B)について説明する。1つ目の方法(方法A)では、各画像においてエッジを抽出し、あるエッジに囲まれた領域を所定の領域とする。例えば、各画像において、帳票内の所定の枠線(黒線)をエッジとして検出し、当該所定の枠線(エッジ)内の領域が所定の領域として選択される。また、2つ目の方法(方法B)では、各画像においてカラークラスタリングを行った上で、一定サイズ以上同色の領域を所定の領域とする。例えば、各画像において、背景色である緑色の領域が一定サイズ以上存在する場合、この背景色である緑色の領域が所定の領域として選択される。なお、方法A又は方法Bを用いる代わりに、両画像において所定の座標により指定された部分領域を所定の領域として選択する方法が用いられてもよいし、パターンマッチング等で画像間の所定の領域の位置合わせ(座標合わせ)を行うことで所定の領域を選択する方法が用いられてもよい。
【0071】
また、上述した方法以外に、平滑化機能に係るパラメータ(設定項目)の候補値(候補値(設定値)の組み合わせ)による画像処理を総当たりで第三処理後画像に対して行い、当該画像処理が行われた上で第一の画像と第三処理後画像との比較を行い、第三処理後画像が第一の画像に最も近づく(類似する)際の候補値(候補値の組み合わせ)を、平滑化機能についての推奨設定として決定する方法(方法3)を用いてもよい。平滑化機能に係るパラメータ(設定項目)としては、フィルタをかけることでエッジを強調する機能である「輪郭強調」やフィルタをかけることで全体をぼかす機能である「モアレ除去機能(モアレフィルタ)」等のシャープネスに関する設定項目や、画像の背景を平滑化することで色ムラや濃度ムラを抑えるための機能に関する設定項目(以下、「カラークリーンアップ」と称する)が例示される。カラークリーンアップは、例えば、画像においてカラークラスタリングを行い、ピーク周辺の色をピーク色に置き換える(平滑度で周辺値を調整する)機能や、背景と思われる領域を白色に置き換える機能等である。シャープネスやカラークリーンアップに関する設定項目の設定値としては、「無効(なし)」と、「ON(有効)」の場合の強度設定値(感度設定値)として複数の設定値(レベル(Lv)や平滑度)が例示される。
【0072】
解析部34は、これら各設定項目が取り得る設定値を候補値とし、複数の設定項目に係る候補値の組み合わせ(例えば全組み合わせ)による処理(画像処理)を第三処理後画像に対して行い、当該処理が行われた上で第三処理後画像が第一の画像に最も近づく際の候補値の組み合わせを、これら複数の設定項目に係る推奨設定として決定(採用)する。解析部34は、例えば全組み合わせに対して、画像処理後の第三処理後画像の部分領域(所定の領域)における標準偏差(色の標準偏差)を算出し、算出された標準偏差が第一の画像の部分領域における標準偏差に最も近づく際の候補値の組み合わせを、平滑化機能についての推奨設定として決定する。なお、本実施形態では、第三従属グループに属する設定項目として平滑化機能を例示するが、第三従属グループに色味に関する設定項目を含めることで、色味についての推奨設定が決定されてもよい。
【0073】
解析部34は、第四推奨設定(例えば、平滑化機能についての推奨設定)を第三処理後画像群に反映させるための処理(例えば画像処理)を行うことで、第一推奨設定、第二推奨設定、第三推奨設定、及び第四推奨設定(全グループの推奨設定)が反映された第二の画像群である1又は複数の第四処理後画像(以下、「第四処理後画像群」と称する)を取得する。なお、スキャナBにおいて第四推奨設定と同一の設定が行われた上で第二の画像群が取得されている場合(既に第四推奨設定が第二の画像群に反映されている場合)には、第四推奨設定を第三処理後画像群に反映させるための処理を省略してもよい。つまり、第一グループにおける説明と同様に、解析部34は必要に応じて推奨設定に基づく処理を行うこととする。本実施形態では、グループ(第三従属グループ)内の設定項目についての推奨設定に基づく画像処理を第三処理後画像に施すことで第四処理後画像群を取得する場合について例示するが、上記のように、第四推奨設定を反映するための処理を省略する場合は、第四処理後画像群(第一推奨設定、第二推奨設定、第三推奨設定及び第四推奨設定が反映された第二の画像群)は第三処理後画像群となる。なお、解析部34は、第一推奨設定、第二推奨設定、第三推奨設定及び第四推奨設定に基づく処理(画像処理)を第二の画像群に施すことで、第四処理後画像群を取得するようにしてもよい。
【0074】
(不整合の場合に1つの推奨設定を決定する方法)
原稿(ページ)間で決定された推奨設定が異なる場合(不整合がある場合)に、複数の異なる推奨設定から一つの推奨設定を決定する方法(2つの方法)について例示する。1つ目の方法では、複数の異なる推奨設定から、最も全体影響が少ない推奨設定(行っても問題のない推奨設定)が選択される。例えば、1枚目の原稿(ページ)では、第一の画像にパンチ穴がなく第二の画像にパンチ穴が存在する場合、1枚目の原稿におけるパンチ穴除去機能についての推奨設定は「ON(有効)」となる。一方、2枚目の原稿において、スキャナAに係る画像及びスキャナBに係る画像の両者にパンチ穴が存在しない場合、2枚目の原稿におけるパンチ穴除去機能についての推奨設定は「OFF(無効)」となる場合がある。このような場合、ユーザに「パンチ穴除去機能OFF」を提案した場合、1枚目のような原稿についてはパンチ穴が除去されず影響が出てしまう(両スキャナ間で得られる画像が同等とならない)。一方、この場合、ユーザに「パンチ穴除去機能ON」を提案した場合、パンチ穴が検出されるとパンチ穴除去処理が行われるため、1枚目のような原稿であっても2枚目のような原稿であっても影響が出ない。そのため、このようなケースの場合、最も全体影響の少ない(原稿全体としてスキャナAの場合と同等の画像が得られる)推奨設定を採用(提案)することとする。
【0075】
2つ目の方法では、複数の異なる推奨設定から統計的に1つの推奨設定が選択される。例えば、5枚の原稿を用いた場合に、1枚の原稿においては平滑化機能無効(なし)が推奨設定として決定され、残り4枚の原稿においては平滑化機能有効(あり)が推奨設定として決定されている場合、多数決により平滑化機能有効を採用(提案)することとする。なお、各設定項目についての推奨設定の決定方法は、上記で説明した方法に限定されず、他の種々の方法が用いられてよい。
【0076】
このように、本実施形態では、夫々の推奨設定(推奨設定に基づく処理)を段階的に第二の画像に適用させながら第一の画像群と第二の画像群(又は推奨設定が反映された第二の画像群)との比較解析を行うことで、スキャナBにおける推奨設定を決定する。
【0077】
提示部35は、解析部34により決定された推奨設定(第一推奨設定、第二推奨設定、第三推奨設定及び第四推奨設定)をユーザに提示する。なお、推奨設定の提示方法には任意の方法が用いられてよい。例えば、出力デバイス16を介して設定画面に推奨設定である設定項目及びその設定値(推奨値)を一覧形式で表示することで推奨設定を提示する方法や、通信ユニット17を介してユーザに推奨設定に関する情報を提供する方法が用いられてよい。なお、提示された推奨設定をユーザが確認し、誤り(設定変更が必要な箇所)に気付いた場合は、任意の項目の設定内容を変更することを可能とする。また、提示部35は、解析部34により決定された推奨設定による処理(画像処理)が第二の画像群に対して施されたことで得られる1又は複数の画像(第四処理後画像群)をユーザに提示するようにしてもよい。これより、ユーザは、設定を変更したことによる出力画像への影響を、提示された画像(画像処理が施された画像)により確認することができるため、設定変更による出力画像への影響を確認しながら設定変更を行うか否かを判断することが可能である。以下、提示部35によりユーザに推奨設定を提示するためのユーザインタフェース(UI)である推奨設定生成画面(推奨設定決定画面)について例示する。
【0078】
図6は、本実施形態に係る推奨設定生成画面(開始時)の一例を示す図である。図6に示すように、推奨設定決定処理を開始する際に表示される推奨設定生成画面には、ユーザがリプレース後のスキャナ(スキャナB)によるスキャン画像(第二の画像群)を取得する(スキャンする)ために押下するボタン(「スキャン」ボタン)と、リプレース前のスキャナ(スキャナA)によるスキャン画像(第一の画像群)を取得するために押下するボタン(「ファイルから選択」ボタン)が表示される。ユーザが「スキャン」ボタンを押下すると、スキャナBにより1又は複数枚の原稿が読み取られることで第二の画像群が取得される。また、ユーザが「ファイルから選択」ボタンを押下し、フォルダから目的の画像(第一の画像群)を選択することで、予め記憶装置14に記憶されているスキャナAによるスキャン画像(第一の画像群)が取得される。
【0079】
図7は、本実施形態に係る推奨設定生成画面(解析開始時)の一例を示す図である。図7に示すように、解析処理を開始する際に表示される推奨設定生成画面には、取得された第一の画像群(「以前のスキャナ」の枠内)と第二の画像群(「新しいスキャナ」の枠内)が表示される。なお、図7は、複数枚の原稿(ページ)に係るスキャン画像を取得した場合(図中では4頁中の1頁目を表示)を例示しており、画面内のページを送るボタンをユーザが押下することで、各原稿(ページ)のスキャン画像(第一の画像と第二の画像)を視認可能である。図7のように第一の画像群及び第二の画像群が取得され表示された状態でユーザが「解析開始」ボタンを押下することにより、解析部34による解析処理(比較解析)が実行される。また、ユーザが「キャンセル」ボタンを押下した場合は、推奨設定決定処理が終了され、推奨設定生成画面が閉じられる(非表示となる)。
【0080】
図8は、本実施形態に係る推奨設定生成画面(解析中)の一例を示す図である。図8に示すように、解析部34により解析処理が実行中である場合、推奨設定生成画面には、解析処理が実行中であることを示す情報及びその進行状況を示す情報が表示される。図8では、「解析中…」の文字と、解析処理が終了するまでの残り時間を推定した時間として「推定残り時間:10秒」の文字が表示される。また、進行状況(例えば、100%のうち68%が終了していること)を示す情報として「68/100」の文字及び進捗バーが表示されている。なお、ユーザが「キャンセル」ボタンを押下した場合は、その時点で解析処理が終了され、推奨設定生成画面が閉じられる(非表示となる)。
【0081】
図9は、本実施形態に係る推奨設定生成画面(推奨設定提示時)の一例を示す図である。図9に示すように、解析処理が終了すると、推奨設定生成画面に解析処理により決定された推奨設定が提示(表示)される。図9の例では、画像タイプ(カラーモード)、解像度、用紙サイズ及びパンチ穴除去等の設定項目についての推奨設定(推奨値)が表示されている。また、図9に示すように、推奨設定生成画面には、例えば、解析処理により決定された推奨設定により出力できる画像(推奨設定による画像処理が施された第二の画像(第四処理後画像))と、ターゲット画像(第一の画像)が表示される。図9における画面においてユーザが「プロファイル登録」ボタンを押下することにより、複数の設定項目についての推奨設定(図9に示された設定項目及び推奨値)からなるプロファイル(ドライバプロファイル)が記憶装置14に登録(記憶)される。これより、ユーザは、登録されたプロファイル(設定のセット)を用いてスキャン処理(画像処理も含む)を行うことが可能となるため、スキャナBにおいてスキャナAを用いて出力された画像と同等の画像を得ることが可能となる。なお、ユーザが図9に示された画面において「キャンセル」ボタンを押下した場合は、推奨設定決定処理(プロファイル登録処理)が終了され、推奨設定生成画面が閉じられる(非表示となる)。なお、本実施形態では、提示部35が推奨設定生成画面を生成、表示することとするが、この例に限定されず、推奨設定を提示する提示部35とは別の表示部(図示を省略)により推奨設定生成画面が生成、表示されてもよい。また、本実施形態では、処理が進むにつれ推奨設定生成画面が図6から図9の順に変化(移行)する例を示すが、図6から図9に示す夫々の画面は、個別に表示されることで他の画面と併せて表示されてもよい。
【0082】
<処理の流れ>
なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の態様に応じて適宜選択されてよい。
【0083】
図10は、本実施形態に係る推奨設定決定処理(Nグループ時)の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1においてユーザから推奨設定を決定する指示を受け付けたこと等を契機として開始される。ユーザからの指示を受け付けると、提示部35は、推奨設定生成画面(図6を参照)を出力デバイス16を介して表示する。なお、本フローチャートに示された処理は、原稿種(業務種別)毎に実行されてもよい。
【0084】
ステップS101及びステップS102では、第一の画像群及び第二の画像群が取得される(図6図7を参照)。第一の画像取得部32は、スキャナAにおいて一又は複数枚枚の原稿がスキャンされたことで得られた画像である第一の画像群を取得し(ステップS101)、第二画像取得部33は、スキャナAでスキャンされた原稿と同一の原稿(一又は複数枚の原稿)がスキャナBにおいてスキャンされたことで得られた画像である第二の画像群を取得する(ステップS102)。なお、本実施形態では、第二画像取得部33は、第二の画像群をスキャナBにおいて出力可能な最大用紙サイズで取得しておくこととする。これより、スキャナAにおける用紙サイズ設定(推定された設定)が当該最大サイズより小さい場合に、後述する画像処理(ステップS106)において第二の画像群に対して画像処理を行うことで当該用紙サイズ設定に応じた切り出しを行うことが可能である。また、第二画像取得部33は、第二の画像群を両面スキャン及びブランクページ削除機能OFFにより取得(即ち、全画像を取得)しておくこととする。更に、第二画像取得部33は、スキャナBにおける最高解像度(例えば、600dpi)により第二の画像群を取得しておくこととする。これより、スキャナAにおける解像度設定(推定された設定)が当該最高解像度より小さい場合に、後述する画像処理(ステップS106)において第二の画像に対して画像処理を行うことにより低解像度に落とすことが可能である。その後、ユーザによって図7の画面における「解析開始」のボタンが押下されたこと等により、処理はステップS103へ進む。
【0085】
ステップS103~ステップS106では、各設定項目についての推奨設定を決定するための比較解析が行われる(図8を参照)。ステップS103では、全てのグループ(Nグループ)についての処理が終了したかが判定される。解析部34は、分類定義記憶部31に記憶されている分類定義に定義された全てのグループ(分類定義により複数の設定項目がN個のグループに分類されている場合、N個のグループ全て)についての比較解析及び当該比較解析により決定された推奨設定による処理(画像処理)が終了したかを判定する。全てのグループについての処理が終了していない場合(ステップS103のNO)、処理が終了していないグループについて、処理はステップS104へ進む。一方、全てのグループについての処理が終了した場合(ステップS103のYES)、処理はステップS107へ進む。
【0086】
ステップS104では、グループ内の全設定項目の推奨設定が決定されたかが判定される。解析部34は、対象のグループに属する全ての設定項目についての推奨設定が決定されたかを判定する。グループ内の全設定項目の推奨設定が決定されていない場合(ステップS104のNO)、処理はステップS105へ進む。一方、グループ内の全設定項目の推奨設定が決定された場合(ステップS104のYES)、処理はステップS106へ進む。
【0087】
ステップS105では、推奨設定が決定されていない設定項目についての推奨設定が決定される。解析部34は、未だ推奨設定が決定されていない設定項目の推奨設定を、ステップS101で取得された第一の画像群とステップS102で取得された第二の画像群(ステップS106で画像処理が施された第二の画像群も含む)との比較解析を行うことで決定する。より詳細には、分類定義により複数の設定項目がN個のグループに分類されている場合、解析部34は、第一グループから順に全てのグループについての推奨設定を段階的に決定する。この際、解析部34は、第一の画像群と第N-1グループまでに属する設定項目についての推奨設定が反映された第二の画像群との比較解析を行うことで、第Nグループに属する設定項目についての推奨設定を決定する。なお、N=1の場合、即ち、第1グループに属する設定項目の推奨設定については、第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで決定する。その後、処理はステップS104へ戻る。
【0088】
ステップS106では、推奨設定による処理(画像処理)が実行される。解析部34は、ステップS105で決定された、対象のグループ(第Nグループ)に属する全設定項目についての推奨設定を第二の画像群に反映させるよう、当該推奨設定に応じた処理(画像処理)を行う。本実施形態では、第N-1までの結果(推奨設定)が反映された第二の画像群に、更に第Nグループの結果(推奨設定)が反映されるよう画像処理を行う。なお、上述の通り、既に第Nグループの結果が第二の画像群に反映されている場合は、第Nグループの結果を反映させるための画像処理を省略してもよい。なお、本実施形態では、推奨設定を反映させるための処理として画像処理を行うこととするが、画像読取項目についての推奨設定を反映させる場合には当該推奨設定により原稿を再スキャンすることで行っても良い。その後、処理はステップS103へ戻る。
【0089】
ステップS107では、提示処理が実行される(図9を参照)。提示部35は、全てのグループ内の設定項目についての推奨設定(推奨値)、及び、全てのグループ内の設定項目についての推奨設定が反映された第二の画像群を画面に表示させることで、ユーザに提示する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。以下、分類定義において複数の設定項目が上述の通り、独立グループ及び従属グループ(第一従属グループ、第二従属グループ、第三従属グループ)の4つのグループに分類される場合の具体的な処理フローについて説明する。
【0090】
図11及び図12は、本実施形態に係る推奨設定決定処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1においてユーザから推奨設定を決定する指示を受け付けたこと等を契機として開始される。ユーザからの指示を受け付けると、提示部35は、推奨設定生成画面(図6を参照)を出力デバイス16を介して表示する。なお、本フローチャートに示された処理は、原稿種(業務種別)毎に実行されてもよい。
【0091】
ステップS201及びステップS202では、第一の画像群及び第二の画像群が取得される。なお、ステップS201及びステップS202の処理は、図10のステップS101及びステップS102の処理と概略同様であるため、説明を省略する。なお、本フローでは、複数枚の原稿が各スキャナにおいて読み取られたことにより、複数枚の原稿についての第一の画像群及び第二の画像群が取得された場合について例示する。その後、処理はステップS203へ進む。
【0092】
ステップS203~ステップS208では、第一グループ(独立グループ)に属する設定項目についての推奨設定が決定される。解析部34は、ステップS201で取得された第一の画像群とステップS202で取得された第二の画像群との比較解析を行うことで、第一グループに属する各設定項目についての推奨設定を決定する。本実施形態では、解析部34は、カラーモードの推奨設定の決定(ステップS203)、解像度の推奨設定の決定(ステップS204)、用紙サイズの推奨設定の決定(ステップS205)、自動クロップ機能の推奨設定の決定(ステップS206)、読み取り面の推奨設定の決定(ステップS207)、ブランクページ削除機能の推奨設定の決定(ステップS208)を行う。本実施形態では、カラーモード、解像度、用紙サイズ及び自動クロップ機能については、原稿毎に第一の画像と第二の画像との比較解析を行うことで推奨設定を決定し、原稿間で推奨設定に不整合があった場合は上述した方法により1つの推奨設定に絞る(選択する)こととする。また、読み取り面及びブランクページ削除機能については、複数の原稿についての第一の画像群と第二の画像群との比較解析(画像枚数の比較)を行うことで、推奨設定を決定する。なお、上述した設定項目に加え、表裏合成機能や上下分割機能等の設定項目についての推奨設定が決定されてもよい。その後、処理はステップS209へ進む。
【0093】
ステップS209では、第一のグループの解析結果(推奨設定)に基づき第二の画像群に対する画像処理が行われる。解析部34は、ステップS203~ステップS208で決定された推奨設定に応じた画像処理をステップS202で取得された第二の画像群に対して施す(行う)。これより、解析部34は、第一のグループに属する設定項目についての推奨設定が反映された第二の画像群である第一処理後画像群を取得する。なお、第一グループの推奨設定が既に第二の画像群に反映されている場合は、ステップS209における画像処理が省略されてよい。その後、処理はステップS210へ進む。
【0094】
ステップS210及びステップS211では、第二グループ(第一従属グループ)に属する設定項目についての推奨設定が決定される。解析部34は、ステップS201で取得された第一の画像群とステップS209で取得された第一処理後画像群との比較解析を行うことで、第二グループに属する各設定項目についての推奨設定を決定する。本実施形態では、解析部34は、パンチ穴除去機能の推奨設定の決定(ステップS210)及び向き補正機能の推奨設定の決定(ステップS211)を行う。本実施形態では、パンチ穴除去機能及び向き補正機能については、原稿毎に第一の画像と第一処理後画像との比較解析を行うことで推奨設定を決定し、原稿間で推奨設定に不整合があった場合は上述した方法により1つの推奨設定に絞る(選択する)こととする。その後、処理はステップS212へ進む。
【0095】
ステップS212では、第二のグループの解析結果(推奨設定)に基づき第一処理後画像群に対する画像処理が行われる。解析部34は、ステップS210及びステップS211で決定された推奨設定に応じた画像処理をステップS209で取得された第一処理後画像群に対して施す(行う)。これより、解析部34は、第二のグループに属する設定項目についての推奨設定が反映された第一処理画像群である第二処理後画像群を取得する。なお、第二グループの推奨設定が既に第二の画像群に反映されている場合は、ステップS212における画像処理が省略されてよい。その後、処理はステップS213へ進む。
【0096】
ステップS213では、第三グループ(第二従属グループ)に属する設定項目についての推奨設定が決定される。解析部34は、ステップS201で取得された第一の画像群とステップS212で取得された第二処理後画像群との比較解析を行うことで、第三グループに属する各設定項目についての推奨設定を決定する。本実施形態では、解析部34は、明るさ調整機能(明るさ自動補正機能を含む)の推奨設定の決定(ステップS213)を行う。本実施形態では、明るさ調整機能については、原稿毎に第一の画像と第二処理後画像との比較解析を行うことで推奨設定を決定し、原稿間で推奨設定に不整合があった場合は上述した方法により1つの推奨設定に絞る(選択する)こととする。なお、明るさ自動補正機能については、複数の原稿についての第一の画像群と第二の画像群との比較解析(原稿間のLUTの比較)を行うことで、推奨設定を決定する。その後、処理はステップS214へ進む。
【0097】
ステップS214では、第三のグループの解析結果(推奨設定)に基づき第二処理後画像に対する画像処理が行われる。解析部34は、ステップS213で決定された推奨設定に応じた画像処理をステップS212で取得された第二処理後画像群に対して施す(行う)。これより、解析部34は、第三のグループに属する設定項目についての推奨設定が反映された第二処理画像群である第三処理後画像群を取得する。なお、第三グループの推奨設定が既に第二の画像群に反映されている場合は、ステップS214における画像処理が省略されてよい。その後、処理はステップS215へ進む。
【0098】
ステップS215では、第四グループ(第三従属グループ)に属する設定項目についての推奨設定が決定される。解析部34は、ステップS201で取得された第一の画像群とステップS214で取得された第三処理後画像群との比較解析を行うことで、第四グループに属する各設定項目についての推奨設定を決定する。本実施形態では、解析部34は、平滑化機能の推奨設定の決定(ステップS215)を行う。本実施形態では、平滑化機能については、原稿毎に第一の画像と第三処理後画像との比較解析を行うことで推奨設定を決定し、原稿間で推奨設定に不整合があった場合は上述した方法により1つの推奨設定に絞る(選択する)こととする。なお、上述した設定項目に加え、色味に関する設定項目についての推奨設定が決定されてもよい。その後、処理はステップS216へ進む。
【0099】
ステップS216では、第四のグループの解析結果(推奨設定)に基づき第三処理後画像に対する画像処理が行われる。解析部34は、ステップS215で決定された推奨設定に応じた画像処理をステップS214で取得された第三処理後画像群に対して施す(行う)。これより、解析部34は、第四のグループに属する設定項目についての推奨設定が反映された第三処理画像群である第四処理後画像群を取得する。なお、第四グループの推奨設定が既に第二の画像群に反映されている場合は、ステップS216における画像処理が省略されてよい。その後、処理はステップS217へ進む。
【0100】
ステップS217では、提示処理が実行される。提示部35は、第一グループから第四グループに属する設定項目についての推奨設定(推奨値)、及び、当該推奨設が反映された第二の画像群である第四処理後画像群を画面に表示させることで、ユーザに提示する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。なお、本実施形態では、独立グループと従属グループに分けて段階的に推奨設定を決定する例を示すが、ユーザが任意に設定したグループに分けて段階的に推奨設定を決定するようにしてもよい。また、グループに分けることなく、各設定項目について、推奨設定を段階的に決定していく順番を決定することで、当該順番に応じて段階的に推奨設定を決定するようにしてもよい。また、本実施形態では、グループ内の全ての設定項目についての推奨設定が決定されると当該グループについての画像処理が行われることとしたが、設定項目ごとに推奨設定が決定され次第、画像処理が行われるようにしても良い。
【0101】
以上より、本実施形態によれば、同一の原稿についてスキャナA(リプレース前のスキャナ)を用いて得られた第一の画像群とスキャナB(リプレース後のスキャナ)を用いて得られた第二の画像群との比較解析を行うことで、スキャナBを用いて得られる画像群(第三の画像群)が第二の画像群と比べてより第一の画像群に近づくような推奨設定を決定することで、ユーザが所望する画像(スキャナBにおいてスキャナAに係る画像出力結果と同等の画像出力結果)を取得するための設定を容易に特定することを可能とする。これより、ユーザはリプレース前の画像読取装置に関する設定(画像読取設定及び/又は画像処理設定)を意識することなく、スムーズにリプレースを実施することを可能とする。
【0102】
[第二の実施形態]
第一の実施形態では、スキャナBのドライバを備える情報処理装置1において解析処理(比較解析)が行われる構成としたが、システム9の構成はこの構成に限定されず、スキャナAのドライバ及びスキャナBのドライバを備えない情報処理装置において解析処理が行われる構成であってもよい。本実施形態では、スキャナAのドライバ及びスキャナBのドライバを備えていない情報処理装置(例えば、サーバ)において解析処理が行われる場合について例示する。
【0103】
<システムの構成>
図13は、本実施形態に係るシステム9の構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステム9では、ネットワーク又はその他の通信手段を介して互いに通信可能に接続された、スキャナA(スキャナ8A)、スキャナB(スキャナ8B)、情報処理装置1A、情報処理装置1B及びサーバ2を備える。図13では、情報処理装置1Aは、ルータ(又はゲートウェイ)7Aを介してスキャナ8Aに接続されており、情報処理装置1Bは、ルータ(又はゲートウェイ)7Bを介してスキャナ8Bに接続されている。なお、図13では二つの情報処理装置を例示するが、スキャナAとスキャナBが同一の情報処理装置に接続されている場合(1つの情報処理装置に第一画像処理手段と第二画像処理手段を備える場合)は、システム9が備える情報処理装置は一つであってよい。なお、スキャナ8A、スキャナ8B、情報処理装置1A及び情報処理装置1Bの構成は上記説明した実施形態におけるスキャナ8及び情報処理装置1と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、情報処理装置1Aが第一画像処理手段を備え、情報処理装置1Bが第二画像処理手段を備える。
【0104】
サーバ2は、情報処理装置1Aにおいて取得された第一の画像群と情報処理装置1Bにおいて取得された第二の画像群とを取得し、第一の画像群と第二の画像群との比較解析を行うことで、上述した推奨設定を決定する。なお、第一の画像群と第二の画像群は、夫々情報処理装置1Aと情報処理装置1Bから取得してもよいし、第一の画像群及び第二の画像群を、情報処理装置1B(又は情報処理装置1A)から取得するようにしてもよい。サーバ2は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、入力デバイス25、出力デバイス26、通信ユニット27、等を備えるコンピュータである。但し、サーバ2の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、サーバ2は、単一の筐体からなる装置に限定されない。サーバ2は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0105】
図14は、本実施形態に係るサーバ2の機能構成の概略を示す図である。サーバ2は、記憶装置24に記録されているプログラムが、RAM23に読み出され、CPU21によって実行されて、サーバ2に備えられた各ハードウェアが制御されることで、分類定義記憶部31、第一画像取得部32、第二画像取得部33、解析部34及び提示部35を備える装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、サーバ2の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU21によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。なお、サーバ2の機能構成(各機能部)は、第一の実施形態における情報処理装置1の機能構成(各機能部)と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態において、第一画像取得部32は、ネットワークを介して情報処理装置1A(第一画像処理手段)から第一の画像群を取得し、第二画像取得部33は、ネットワーク等を介して情報処理装置1B(第二画像処理手段)から第二の画像群を取得する。但し、第一画像取得部32と第二画像取得部33は、夫々記憶装置24に記憶された第一の画像群と第二の画像群を読み出すことで取得するようにしてもよい。また、本実施形態では、提示部25は、情報処理装置1Bに対して推奨設定や推奨設定が反映された第二の画像群(第四処理後画像群)を送信することでユーザに提示するようにしてもよい。
【0106】
[第三の実施形態]
第一の実施形態では、スキャナBのドライバを備える情報処理装置1において解析処理が行われる構成としたが、システム9の構成はこの構成に限定されず、スキャナBにおいて解析処理が行われる構成であってもよい。本実施形態では、スキャナBにおいて解析処理が行われる場合について例示する。
【0107】
<システムの構成>
図15は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムでは、スキャナB(スキャナ8b)を備える。なお、スキャナ8bの構成は上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。但し、スキャナ8bは、CPU81、ROM82、RAM83、記憶装置84、入力デバイス85、出力デバイス86、通信ユニット87、読取ユニット(撮像素子により原稿(原稿の画像)を読み取るユニット)88(第二画像読取手段)等を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。但し、スキャナ8の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。
【0108】
図16は、本実施形態に係るスキャナの機能構成の概略を示す図である。スキャナ8bは、記憶装置84に記録されているプログラムが、RAM83に読み出され、CPU81によって実行されて、スキャナ8bに備えられた各ハードウェアが制御されることで、分類定義記憶部31、第一画像取得部32、第二画像取得部33、解析部34及び提示部35を備える装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、スキャナ8bの備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU81によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0109】
スキャナ8bの機能構成(各機能部)は、第一の実施形態における情報処理装置1の機能構成(各機能部)と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、第二画像取得部33は第二画像読取部(第二画像読取手段)33Cと第二画像処理部(第二画像読取手段)33Bとを備える。第二画像読取部33Cは、撮像素子により1又は複数枚の原稿(原稿の画像)を読み取り、第二画像処理部33Bは、第二画像読取部33Cにより1又は複数枚の原稿が読み取られることで生成された1又は複数の読取画像に対して画像処理を行う。これより、第二画像取得部33は、第二画像読取部33Cにより1又は複数枚の原稿が読み取られることで生成された1又は複数の読取画像又は第二画像処理部33Bにより当該1又は複数の読取画像に対して画像処理が施された画像である第二の画像群を取得する。また、本実施形態では、提示部25は、例えばスキャナ8bが備えるタッチパネル上に、推奨設定や推奨設定が反映された第二の画像群(第四処理後画像群)を表示することでユーザに提示するようにしてよい。
【0110】
1 情報処理装置
2 サーバ
8 スキャナ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17