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特開2024-101608デジタルアナログ変換器、データドライバ及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101608
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】デジタルアナログ変換器、データドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/74 20060101AFI20240723BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240723BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240723BHJP
   G09G 3/3208 20160101ALI20240723BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H03M1/74
G09G3/20 623F
G09G3/20 623H
G09G3/20 623G
G09G3/20 623R
G09G3/20 612D
G09G3/20 680G
G09G3/36
G09G3/3208
G09G3/20 641C
G09G3/20 611F
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005605
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
5C380
5J022
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZF04
2H193ZF05
2H193ZF06
2H193ZF32
2H193ZF33
2H193ZF34
5C006AA16
5C006AF83
5C006BB11
5C006BC03
5C006BC11
5C006BF03
5C006BF04
5C006BF25
5C006BF31
5C006BF43
5C006BF46
5C006EC08
5C006FA41
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD22
5C080EE29
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080KK26
5C380AA01
5C380AB04
5C380AC20
5C380BA11
5C380CA04
5C380CA12
5C380CA16
5C380CA31
5C380CB01
5C380CB37
5C380CE05
5C380CE07
5C380CF07
5C380CF09
5C380CF24
5C380CF26
5C380CF29
5C380CF48
5C380CF64
5C380DA06
5J022AB06
5J022BA06
5J022CD03
5J022CE09
5J022CF09
(57)【要約】
【目的】回路規模の増大を抑えて省面積化を図ることが可能な多ビットデジタルアナログ変換器、データドライバ及び表示装置を提供する。
【構成】本発明は、低電圧のデジタルデータ信号の振幅を増加させた高電圧のデジタルデータ信号により、複数の参照電圧のうちから選択した2つの参照電圧のうちの一方又は他方を夫々が有する複数の入力電圧を生成するデコーダと、複数の差動対を有し、複数の差動対各々の非反転入力端で複数の入力電圧を受け、夫々の反転入力端で出力電圧信号を受けることで、2つの参照電圧を2のべき乗個に分割した電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する出力電圧信号を生成する差動増幅器と、を含み、差動増幅器は、複数の差動対各々のテイルに流すテイル電流を生成する複数の電流源と、複数の差動対各々のテイルと複数の電流源各々との間に設けられており、複数の電流源各々に掛かる電圧を低電圧以下に保持する複数のクランプトランジスタと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電圧のデジタルデータ信号を高電圧のアナログの出力電圧信号に変換するデジタルアナログ変換器であって、
互いに異なる複数の参照電圧を生成する参照電圧生成部と、
前記低電圧のデジタルデータ信号を受けその信号の振幅を増加させた高電圧のデジタルデータ信号に変換するレベルシフタと、
前記高電圧のデジタルデータ信号に基づき、前記複数の参照電圧のうちから電圧値が異なる2つの参照電圧を選択し、前記2つの参照電圧のうちの一方又は他方を夫々が有する複数の入力電圧を生成するデコーダと、
並列接続された複数の差動対を有し、前記複数の差動対各々の非反転入力端で前記複数の入力電圧を受けると共に前記複数の差動対各々の反転入力端で前記出力電圧信号を受けることで、前記2つの参照電圧を2のべき乗個に分割した電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する前記出力電圧信号を生成する差動増幅器と、を含み、
前記差動増幅器は、
前記複数の差動対各々のテイルに流すテイル電流を生成する複数の電流源と、
前記複数の差動対各々のテイルと前記複数の電流源各々との間に設けられており、前記複数の電流源各々に掛かる電圧を前記高電圧より低い電圧に保持する複数のクランプトランジスタと、を含むことを特徴とするデジタルアナログ変換器。
【請求項2】
前記複数の電流源の各々は、前記差動対を構成するトランジスタ及び前記クランプトランジスタよりも低耐圧の低電圧トランジスタから構成されることを特徴とする請求項1に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項3】
前記複数のクランプトランジスタの各々は、自身のドレインが前記差動対の前記テイルに接続されており、自身のソースが前記電流源に接続されており、自身のゲートに所定のバイアス電圧が供給されているトランジスタであることを特徴とする請求項2に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項4】
前記複数のクランプトランジスタの各々は、前記複数の電流源各々に掛かる電圧を前記低電圧以下に保持することを特徴とする請求項3に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項5】
前記複数の電流源の各々は、前記低電圧のデジタルデータ信号の所定ビット群に基づき前記差動対の各々に流す前記テイル電流の電流比が可変な可変電流源であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項6】
前記複数の電流源は、
夫々が自身のゲートで受けたバイアス電圧に対応した固定電流を生成する複数の定電流源トランジスタと、
前記所定ビット群により前記複数の差動対各々のテイルを前記複数の定電流源トランジスタに接続する経路を制御するスイッチ回路と、から構成されることを特徴とする請求項5に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項7】
前記差動増幅器は、等価な2のK乗個(但しKは1以上の整数)の差動対を有し、前記2のK乗個の差動対各々のテイルに流す前記テイル電流の電流比が一定に制御され、前記2つの参照電圧を2のK乗個に分割した電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する前記出力電圧信号を生成する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項8】
前記差動増幅器は、等価な2のK乗個(但しKは1以上の整数)の差動対を有し、前記2のK乗個の差動対各々のテイルに流すテイル電流の電流比が可変に制御され、前記2つの参照電圧を2のM乗個(但しMはKより大の整数)に分割した電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する前記出力電圧信号を生成する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のデジタルアナログ変換器。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の前記デジタルアナログ変換器を複数含み、各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ信号の各々を前記低電圧のデジタルデータ信号として受け、前記映像デジタルデータ信号の各々を複数の前記デジタルアナログ変換器により、夫々がアナログの電圧値を有する複数の前記出力電圧信号に変換して表示パネルの複数のデータ線に供給することを特徴とするデータドライバ。
【請求項10】
クロック信号に同期してタイミングが異なる複数のラッチタイミング信号を生成するシフトレジスタと、
前記複数のラッチタイミング信号のタイミングで前記映像デジタルデータ信号の各々を取り込むデータレジスタラッチと、
前記データレジスタラッチに取り込まれた前記映像デジタルデータ信号各々に対して振幅を増加するレベルシフト処理を施すことで複数の前記高電圧のデジタルデータ信号を生成する高電圧レベルシフタと、を含み、
前記高電圧レベルシフタ、前記デコーダ、前記差動対及び前記複数のクランプトランジスタは高電圧回路で構成され、
前記シフトレジスタ、前記データレジスタラッチ、及び前記複数の電流源は、前記高電圧回路よりも低い電源電圧で動作する低電圧回路で構成されていることを特徴とする請求項9に記載のデータドライバ。
【請求項11】
夫々に複数の表示セルが接続されている複数のデータ線を有する表示パネルと、
前記低電圧のデジタルデータ信号として各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ信号の各々を受け、前記映像デジタルデータ信号の各々を請求項1又は2に記載の前記デジタルアナログ変換器の各々によって夫々がアナログの電圧値を有する複数の前記出力電圧信号に変換して前記表示パネルの前記複数のデータ線に供給するデータドライバと、を含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアナログ変換器、及び当該デジタルアナログ変換器を含むデータドライバ、及びこのデータドライバを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、アクティブマトリクス型の表示装置として、液晶表示装置、或いは有機EL表示装置等が主流となっている。このような表示装置には、複数のデータ線と複数の走査線が交差状に配線され、複数のデータ線に画素スイッチを介して接続されている表示セルがマトリクス状に配列された表示パネルと共に、表示パネルの複数のデータ線へ階調レベルに対応したアナログ電圧信号を供給するデータドライバと、表示パネルの複数の走査線へ各画素スイッチのオン、オフを制御する走査信号を供給する走査ドライバが搭載されている。データドライバには、映像デジタル信号を輝度レベルに対応したアナログの電圧に変換し、これを増幅した電圧信号を表示パネルの各データ線に供給するデジタルアナログ変換部が含まれている。
【0003】
以下に、データドライバの概略構成について説明する。
【0004】
データドライバは、例えばシフトレジスタ、データレジスタラッチ、レベルシフタ、デジタルアナログ変換部を含む。
【0005】
シフトレジスタは、表示コントローラから供給されたスタートパルスに応じて、クロック信号に同期してラッチの選択を行う為の複数のラッチタイミング信号を生成し、データレジスタラッチに供給する。データレジスタラッチは、シフトレジスタから供給されたラッチタイミング信号の各々に基づき、表示コントローラから供給された映像デジタルデータを所定のS個(Sは2以上の整数)毎に取り込み、S個の映像デジタルデータ信号をレベルシフタに供給する。レベルシフタは、データレジスタラッチから供給されたS個の映像デジタルデータ信号の各々に対して、その信号振幅を増加するレベルシフト処理を施して得たS個のレベルシフト後の映像デジタルデータ信号をデジタルアナログ変換部に供給する。
【0006】
デジタルアナログ変換部は、参照電圧群生成部、デコーダ部及び増幅部を含む。
【0007】
参照電圧群生成部は、互いに電圧値が異なる複数の参照電圧を生成してデコーダ部に供給する。例えば、参照電圧群生成部は、少なくとも2つの基準電源電圧との間をラダー抵抗で分圧した複数の分圧電圧を参照電圧群としてデコーダ部に供給する。
【0008】
デコーダ部は、データドライバの各出力に夫々対応して設けられているS個のデコーダを有する。デコーダの各々は、参照電圧群生成部で生成された参照電圧群が供給されるとともに、レベルシフタから供給された映像デジタルデータ信号を受け、この映像デジタルデータ信号に対応した参照電圧を、複数の参照電圧のうちから選択し、選択した参照電圧を増幅部に供給する。
【0009】
増幅部は、デコーダ部の各デコーダで選択された参照電圧を個別に増幅して出力するS個の差動増幅器を有する。
【0010】
ところで、上記したデジタルアナログ変換部では、参照電圧群生成部で生成する参照電圧の数を多くするほど、表現できる輝度レベルの階調数(色数)を増やすことができる。
【0011】
しかしながら、参照電圧群生成部で生成する参照電圧の数を増やすと、その分の配線領域や参照電圧を選択するデコーダに含まれるスイッチ素子の数も増加し、データドライバのチップサイズ(製造コスト)が増加する。
【0012】
そこで、上記した差動増幅器として、輝度レベルに基づいて選択された2つの参照電圧を、所定の重み付けにて分割(内挿)することで、3つ以上の複数の電圧値を出力することが可能な差動増幅器を採用したデジタルアナログ変換器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
特許文献1には、2つの参照電圧を4個に分割する4個の電圧値のうちの1の電圧値を有する出力電圧を出力する負帰還型の差動増幅器と、それを用いたデジタルアナログ変換器が提案されている。かかる差動増幅器は、出力電圧がそれぞれの反転入力端に共通に帰還入力され、非反転入力端は1対1対2毎に共通接続された等価な4つの差動対を備える。当該差動増幅器では、デジタルアナログ変換の対象となるデジタルデータ信号の下位2bitのデータに応じて、上記した2つの参照電圧を各差動対の非反転入力端に選択的に入力することで、該2つの参照電圧を分割する4つのアナログの電圧レベルを選択出力することができる。該差動増幅器を含むデジタルアナログ変換器は、デジタルデータ信号の上位bitデータにより、4階調置きの参照電圧群から隣接する2つの参照電圧を選択することで、参照電圧群の電圧数F(Fは2以上の整数)に対して(F-1)の4倍の電圧レベルを該差動増幅器から出力することが可能である。
【0014】
なお、上記デジタルアナログ変換器は拡張可能であり、例えば、等価な8つの差動対により、デジタルデータ信号の下位3bitのデータに基づき、2つの参照電圧を選択的に各差動対の非反転入力端に入力することで該2つの参照電圧を分割する8つの電圧レべルが出力可能な差動増幅器を含む。これにより、当該デジタルアナログ変換器は、デジタルデータに応じて、入力する参照電圧群の電圧数Fに対して(F-1)の8倍の電圧レベルを出力することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002-43944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
医療やプロ仕様等の高精細な画像が要求されるハイエンド表示装置では、例えば10~12bitの多階調での表示が求められている。また有機EL表示装置では、ガンマカーブがRGB毎に異なるため、RGB共通のガンマ構成にする場合は、色毎のガンマカーブに対応するため少なくとも10bit以上のデジタルデータに対応した階調を備える必要がある。
【0017】
ところで、例えば10bitデジタルデータに対応したデジタルアナログ変換器で表現する階調数は1024階調であり、当該デジタルデータのビット数が1bit増加する毎に、その階調数は2倍単位で増加する。このように、デジタルアナログ変換器では、デジタルデータのビット数が1bit増加する毎に回路規模(面積)が倍数で増加するので、10bit以上の多bitのデジタルデータに対応したデジタルアナログ変換器は面積増加が著しい。
【0018】
尚、省面積化を図るべく、デジタルアナログ変換器として特許文献1の技術を適用した場合にも、2つの参照電圧を分割する電圧レベル数(以下。分割電圧レベル数)を増やさなければならない。
【0019】
例えば特許文献1のデジタルアナログ変換器では、分割電圧レベル数は4、8、16、…と増やすことが可能であるが、使用する差動増幅器は分割電圧レベル数と同数の差動対が必要となる。
【0020】
よって、分割電圧レベル数を大幅に増やす(例えば8→16)と、デジタルアナログ変換器を構成するデコーダ面積は削減される一方、差動増幅器の面積自体が大幅に増加するという問題が生じる。
【0021】
そこで、本発明は、分割電圧レベル数が大きくても省面積化を図ることが可能なデジタルアナログ変換器、当該デジタルアナログ変換器を含むデータドライバ、及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係るデジタルアナログ変換器は、低電圧のデジタルデータ信号を高電圧のアナログの出力電圧信号に変換するデジタルアナログ変換器であって、互いに異なる複数の参照電圧を生成する参照電圧生成部と、前記低電圧のデジタルデータ信号を受けその信号の振幅を増加させた高電圧のデジタルデータ信号に変換するレベルシフタと、前記高電圧のデジタルデータ信号に基づき、前記複数の参照電圧のうちから電圧値が異なる2つの参照電圧を選択し、前記2つの参照電圧のうちの一方又は他方を夫々が有する複数の入力電圧を生成するデコーダと、並列接続された複数の差動対を有し、前記複数の差動対各々の非反転入力端で前記複数の入力電圧を受けると共に前記複数の差動対各々の反転入力端で前記出力電圧信号を受けることで、前記2つの参照電圧を2のべき乗個に分割した電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する前記出力電圧信号を生成する差動増幅器と、を含み、前記差動増幅器は、前記複数の差動対各々のテイルに流すテイル電流を生成する複数の電流源と、前記複数の差動対各々のテイルと前記複数の電流源各々との間に設けられており、前記複数の電流源各々に掛かる電圧を前記高電圧より低い電圧に保持する複数のクランプトランジスタと、を含む。
【0023】
本発明に係るデータドライバは、上記したデジタルアナログ変換器を複数含み、各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ信号の各々を前記低電圧のデジタルデータ信号として受け、前記映像デジタルデータ信号の各々を複数の前記デジタルアナログ変換器により、夫々がアナログの電圧値を有する複数の前記出力電圧信号に変換して表示パネルの複数のデータ線に供給することを特徴とする。
【0024】
本発明に係る表示装置は、夫々に複数の表示セルが接続されている複数のデータ線を有する表示パネルと、前記低電圧のデジタルデータ信号として各画素毎の輝度レベルをデジタル値で表す映像デジタルデータ信号の各々を受け、前記映像デジタルデータ信号の各々を上記したデジタルアナログ変換器の各々によって夫々がアナログの電圧値を有する複数の前記出力電圧信号に変換して前記表示パネルの前記複数のデータ線に供給するデータドライバと、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、低電圧のデジタルデータ信号を高電圧のアナログの出力電圧信号に変換するデジタルアナログ変換器として、以下のレベルシフタ、デコーダ、及び差動増幅器を含むものを採用している。
【0026】
すなわち、レベルシフタは、低電圧のデジタルデータ信号の振幅を増加させることでこれを高電圧のデジタルデータ信号に変換する。デコーダは、この高電圧のデジタルデータ信号に基づき、複数の参照電圧のうちから2つの参照電圧を選択し、選択した2つの参照電圧のうちの一方又は他方を夫々が有する複数の入力電圧を生成し差動増幅器に供給する。この差動増幅器は、並列接続された複数の差動対を有し、これら差動対各々の非反転入力端で上記した複数の入力電圧を受けると共に当該差動対各々の反転入力端で出力電圧信号を受けることで、2つの参照電圧を2のべき乗個に分割した電圧レベルのうちの1の電圧レベルを有する出力電圧信号を生成する。
【0027】
ここで、かかる差動増幅器では、上記した複数の差動対各々のテイルに流すテイル電流を生成する複数の電流源と、複数の差動対との間に、当該複数の電流源各々に掛かる電圧を低電圧以下に保持する複数のクランプトランジスタを設けている。なお、クランプトランジスタは高電圧素子で構成されるが、電流源等を制御するトランジスタとは異なり高精度は必要ないため、例えば高電圧素子の最小サイズで構成できる。
【0028】
さらに、各電流源を低電圧回路で構成することができるので、差動対の数を増やすことで分割電圧レベル数を増加してもデジタルアナログ変換器の省面積化を図ることが可能となる。また、このようなデジタルアナログ変換器を、表示パネルを駆動するデータドライバ内の複数の出力段各々の増幅器として用いることで、データドライバ自体を省面積化することが可能となる。この際、当該増幅器の各々に含まれる差動対に流すテイル電流を生成する電流源を、一般的に高電圧回路よりも製造ばらつきが小さく高密度化が可能な低電圧回路(低電圧トランジスタを含む)で構成することができるので、高精度化及び省面積化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る第1の実施例によるデジタルアナログ変換器100の構成を示す回路図である。
図2A】デジタルアナログ変換器100の第1の仕様の一例を示す図である。
図2B】デジタルアナログ変換器100の第1の仕様の他の一例を示す図である。
図2C】デジタルアナログ変換器100の第1の仕様の更に他の一例を示す図である。
図3】デジタルアナログ変換器100の第2の仕様の一例を示す図である。
図4】本発明に係る第2の実施例によるデジタルアナログ変換器200の構成を示す回路図である。
図5】デジタルアナログ変換器200の第1の仕様の一例を示す図である。
図6】テイル電流制御回路14B_Xの構成を示す回路図である。
図7】デジタルアナログ変換器200の第2の仕様の一例を示す図である。
図8】テイル電流制御回路14B_Yの構成を示す回路図である。
図9】本発明に係る第3の実施例によるデジタルアナログ変換器300の構成を示す回路図である。
図10】デジタルアナログ変換器300の第1の仕様の一例を示す図である。
図11】テイル電流制御回路14C_Xの構成を示す回路図である。
図12】本発明に係るデジタルアナログ変換器を含むデータドライバを有する表示装置500の構成を示すブロック図である。
図13】テイル電流制御回路14及び低電圧バイアス回路140の内部構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例0031】
図1は、本発明に係る第1の実施例によるデジタルアナログ変換器100の構成を示す回路図である。
【0032】
デジタルアナログ変換器100は、変換対象となる低電圧のNビット(Nは3以上の正数)のデジタルデータ信号DTを受け、これを高電圧のアナログの電圧値を有する出力電圧信号Voutに変換して出力する。
【0033】
デジタルアナログ変換器100は、デコーダ50、レベルシフタ60及び差動増幅器10_1を含む。
【0034】
レベルシフタ60は、デジタルデータ信号DTの信号レベルの振幅を増加する方向にレベルシフトした高電圧のNビットのデジタルデータ信号を生成し、これをデコーダ50に供給する。
【0035】
デコーダ50は、かかる高電圧のデジタルデータ信号と共に参照電圧群を受ける。尚、参照電圧群とは、デジタルデータ信号DTによって表現可能な最大値に対応した最大電圧値及び最小値に対応した最小電圧値と、これら最大電圧値及び最小電圧値間の複数の中間電圧値と、を夫々が有する複数の電圧からなる。
【0036】
デコーダ50は、高電圧のデジタルデータ信号に基づき、参照電圧群のうちから、互いに異なる電圧値を有する2つの参照電圧を参照電圧Vgx及びVgyとして選択する。次に、デコーダ50は、選択した2つの参照電圧Vgx及びVgyを、差動増幅器10_1の非反転入力端t1~t2(Kは1以上N未満の整数)に夫々振り分けることで、当該非反転入力端t1~t2に入力する入力電圧V1~V2を生成する。すなわち、デコーダ50は、夫々が参照電圧Vgx及びVgyのうちの一方を有する入力電圧V1~V2を、差動増幅器10_1の非反転入力端t1~t2に供給する。
【0037】
差動増幅器10_1は、夫々が参照電圧Vgx及びVgyのうちの一方を有する入力電圧V1~V2に基づき、参照電圧Vgx及びVgy間の電圧を2のべき乗個に分割した電圧レベルのうちの1つを、出力電圧信号Voutとして出力する。
【0038】
差動増幅器10_1は、各々にテイル電流が供給され、出力対同士が互いに共通接続された2のK乗個の同一導電型(図1ではNチャネル型)の差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)と、耐圧保護回路13A、テイル電流制御回路14A、カレントミラー回路20、及び増幅段30を含む。ここで、2のK乗個の差動対は、各々を構成するトランジスタの特性が同等である等価な差動対で構成されるものとする。なお、2のK乗個の差動対において、各端子同士が共通な信号を受ける複数のトランジスタを集約し、トランジスタサイズを変更して差動対数を削減する等価変更も本発明に含むものとする。但し、説明の便宜上、各実施例の差動増幅器は、等価な2のべき乗個の差動対を有する構成で説明する。
【0039】
カレントミラー回路20は、ゲート同士、ソース同士がそれぞれ共通接続されたPチャネル型のトランジスタ21及び22を含む。トランジスタ21及び22各々のソースには高位電源電圧VDDAが印加されている。また、トランジスタ21のドレインがノードn11に接続されており、トランジスタ22のゲート及びドレインがノードn12に接続されている。またノードn11、n12は、2のK乗個の差動対の共通接続された出力対とそれぞれ接続されている。かかる構成により、カレントミラー回路20は、2のK乗個の差動対に共通の負荷として機能する。
【0040】
増幅段30は、共通接続された2のK乗個の差動対の出力対(ノードn11、n12)の一方又は両方の出力信号を受けて増幅作用を生じ、当該増幅作用によって生成された電圧を出力電圧信号Voutとして出力端子Skを介して出力する。
【0041】
差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)各々の反転入力端、つまりNチャネル型のトランジスタ(以下、差動対トランジスタとも称する)12_1~12_2各々のゲートには、出力電圧信号Voutが帰還入力されている。
【0042】
差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)各々の非反転入力端、つまりNチャネル型のトランジスタ(以下、差動対トランジスタとも称する)11_1~11_2各々のゲートには、非反転入力端t1~t2で受けた電圧(Vgx又はVgy)が供給される。差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各々は、対を為すトランジスタ各々のソース同士が接続されている。
【0043】
尚、トランジスタ11_1~11_2は同一のトランジスタ特性を有し、夫々のドレインはノードn11によって共通に接続されている。トランジスタ12_1~12_2は同一のトランジスタ特性を有し、夫々のドレインはノードn12によって共通に接続されている。すなわち2のK乗個の差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)は出力対同士が共通接続された並列形態の接続構成とされている。
【0044】
耐圧保護回路13Aは、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各々に対応して設けられているNチャネル型のトランジスタ(以下、クランプトランジスタとも称する)13A_1~13A_2を含む。クランプトランジスタ13A_1~13A_2各々のドレインは、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)のうちの対応する差動対のソースに夫々接続されている。また、クランプトランジスタ13A_1~13A_2各々のゲートには所定の電圧値を有するバイアス電圧BIASが供給されている。
【0045】
テイル電流制御回路14Aは、トランジスタで構成された複数の電流源(以下、電流源トランジスタとも称する)14A_1~14A_2を含む。電流源トランジスタ14A_1~14A_2各々のドレインは、クランプトランジスタ13A_1~13A_2各々のソースと接続されている。また、電流源トランジスタ14A_1~14A_2各々のソースには基準電源電圧VSSA(例えば0V)が印加されており、夫々のゲートには、低電圧のバイアス電圧が供給されている。尚、この低電圧のバイアス電圧は、後述する低位電源電圧VDDD未満の電圧値を有する。かかる構成により、クランプトランジスタ13A_1~13A_2は、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各々に、電流値一定の基準電流Ioをテイル電流として流す。
【0046】
ここで、上記したカレントミラー回路20のトランジスタ21、22、差動対トランジスタ11_1~11_2、12_1~12_2、クランプトランジスタ13A_1~13A_2の各々は、高位電源電圧VDDA(例えば8V)で動作する耐圧の高い高電圧トランジスタで構成される。なお、かかる高電圧トランジスタの素子耐圧は、高位電源電圧VDDAに対して所定(例えば+10%~+20%程度)の電圧マージンを加えたものとする。
【0047】
一方、電流源トランジスタ14A_1~14A_2の各々は、高位電源電圧VDDAよりも低い低位電源電圧VDDD(例えば1.5V)で動作する、耐圧の低い低電圧トランジスタで構成される。なお、かかる低電圧トランジスタの素子耐圧は、低位電源電圧VDDDに対して所定(例えば+10%~+20%程度)の電圧マージンを加えたものとする。
【0048】
このように、デジタルアナログ変換器100に含まれる差動増幅器10_1では、差動対(11_1,12_1)~(11_2,12_2)の各テイルと、電流源トランジスタ14A_1~14A_2の各々との間に、クランプトランジスタ13A_1~13A_2を設けている。
【0049】
クランプトランジスタ13A_1~13A_2の各々は、電流源トランジスタ14A_1~14A_2各々のドレイン電圧を、バイアス電圧BIASから各クランプトランジスタの閾値電圧を差し引いた分だけ低い電圧以下に保持する。尚、クランプトランジスタ13A_1~13A_2の各ゲートに供給されているバイアス電圧BIASは、例えば低位電源電圧VDDD、又は低位電源電圧VDDD近傍の電圧値とする。
【0050】
よって、クランプトランジスタ13A_1~13A_2により、差動増幅器10_1に含まれる電流源トランジスタ14A_1~14A_2のドレイン・ソース間電圧を、高位電源電圧VDDAより低い電圧である低位電源電圧VDDD以下に保持することが可能となる。
【0051】
これにより、差動増幅器10_1に含まれる差動対(11_1,12_1)~(11_2,12_2)の各々に流すテイル電流を生成する電流源トランジスタ14A_1~14A_2として、前述したように耐圧の低い低電圧トランジスタを用いることが可能となる。
【0052】
以下に、図1に示す差動増幅器10_1の電流源トランジスタ14A_1~14A_2を低電圧トランジスタで構成することによって得られる効果について説明する。
【0053】
図1に示す差動増幅器10_1は、前述したように複数の差動対(11_1,12_1)~(11_2,12_2)を備える。差動増幅器10_1では、これら差動対各々の非反転入力端に供給された2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の組合せに応じて、各差動対から出力される差動出力電流を合成し、カレントミラー回路20及び増幅段30で電流電圧変換することで出力電圧信号Voutを生成する。
【0054】
ここで、差動対(11_1,12_1)~(11_2,12_2)の各々にテイル電流を供給する電流源トランジスタ14A_1~14A_2は、予め定められた電流比のテイル電流を供給する必要がある。尚、高精度な出力電圧信号Voutを生成するためには、差動対(11_1,12_1)~(11_2,12_2)の相対精度とともに、電流源トランジスタ14A_1~14A_2で出力するテイル電流の電流比の相対精度を高くする必要が生じる。
なお、クランプトランジスタ13A_1~13A_2がない構成の場合には、電流源トランジスタ14A_1~14A_2は、高電圧トランジスタで構成されるとともに、差動対の各テイルの電位変動に対応するため、ドレイン・ソース間電圧が変動しても電流精度が保てるように、自身のチャネル長を大きく設定する必要がある。
【0055】
したがって、電流源トランジスタ14A_1~14A_2は、一般的に設計基準(最小値)よりも大きなサイズのものが用いられる。またトランジスタの相対精度は、トランジスタの耐圧(ゲート絶縁膜厚)にも依存し、トランジスタの耐圧が高くなるほどゲート絶縁膜厚の製造ばらつきが増加するため、相対精度は低下する。
【0056】
しかし、クランプトランジスタ13A_1~13A_2を設けることで、電流源トランジスタ14A_1~14A_2は低電圧トランジスタで構成できるとともに、差動対の各テイルの電位変動の影響を受けないため、各電流源トランジスタはチャネル長を小さく設定できる。
【0057】
よって、差動増幅器10_1のように電流源トランジスタ14A_1~14A_2を製造ばらつきの小さい低電圧トランジスタで構成することで、高電圧トランジスタで構成する場合より数分の1の小さいサイズで同等の相対精度を実現できる。
【0058】
また、トランジスタ間の分離基準も縮まるため、多数の電流源トランジスタを含む回路のレイアウト面積を削減することができる。なお、電流源トランジスタ14A_1~14A_2を低電圧トランジスタで構成することで、その耐圧を保持するためのクランプトランジスタ13A_1~13A_2が必要となるが、クランプトランジスタは電流比の相対精度に寄与しないので高電圧トランジスタの設計基準(最小値)で構成することができる。
【0059】
したがって、図1に示すデジタルアナログ変換器100では、差動対(11_1,12_1)~(11_2,12_2)に流す電流を供給する電流源トランジスタ14A_1~14A_2の各々として、耐圧の低い低電圧トランジスタを採用することで、デジタルアナログ変換精度を落とすことなく省面積化を図ることが可能となる。
【0060】
なお、差動増幅器10_1に含まれるカレントミラー回路20としては、図1に示す構成に限らず、例えばカスコード型等の任意のカレントミラー回路を採用しても良い。
【0061】
また、差動増幅器10_1に含まれる差動対(11_1,12_1)~(11_2,12_2)としては、図1に示すNチャネル型の差動対に代えて、Pチャネル型の差動対や、Nチャネル型のトランジスタ及びPチャネル型のトランジスタで対を為す両導電型の差動対を採用しても良い。
【0062】
そこで、以下の各実施例においても説明の便宜上、図1と同様な2のK乗個のNチャネル型の差動対を備えた構成例で説明するが、上記したような部分的置換が同様に可能であることは勿論である。
【0063】
次に、図1に示すデジタルアナログ変換器100の具体例について説明する。図1に示すデジタルアナログ変換器100は、差動増幅器10_1が等価な2のK乗個の差動対を備え、各差動対には電流比が一定のテイル電流が供給され、デコーダ50で選択された2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を2のK乗個に分割する電圧レベルから、デジタルデータ信号DTの下位Kbitに対応する1の電圧レベルを増幅出力するものである。
【0064】
図2A図2Cは、デジタルアナログ変換器100の差動対を4個(K=2)で構成した場合での仕様例を示す図である。
【0065】
尚、図2A図2Cの各々では、デジタルデータ信号DTの下位2bit(D0、D1)に基づきデコーダ50が4個の差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の第1~第4の非反転入力端に供給する入力電圧V1~V4に夫々割り当てる2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の組合せと、その結果、差動増幅器10_1から出力される出力電圧信号Voutとの関係を表す。
【0066】
ここで、4つの差動対を有する差動増幅器10_1から出力される出力電圧信号Voutは、以下の式で表される。
【0067】
Vout=(V1+V2+V3+V4)/4
尚、便宜上、図2A図2Cでは、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を電圧レベル(0、4)で表している。この際、出力電圧信号Voutは、電圧レベル0及び4の間を4分割する電圧レベル0~4のうちの1の電圧レベルを有する信号となる。
【0068】
すなわち、デコーダ50は、デジタルデータ信号DTから下位2bit(D0、D1)を除く上位ビット群の値により、電圧レベルが4レベル間隔の電圧からなる参照電圧群から、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)として、例えば電圧レベル(0、4)、(4、8)、(8、12)、・・・、のうちの1組を選択する。図2A図2Cに示す一例では、デコーダ50が参照電圧(Vgx,Vgy)として電圧レベル(0、4)を選択した場合での仕様例を表している。よって、図2A図2Cでは、電圧レベル0及び4の間を2の2乗個に分割、つまり4分割した電圧レベル0、1、2、3、4のうち電圧レベル0~3又は1~4を出力電圧信号Voutとして出力する仕様例が示されている。
【0069】
例えば図2Aは、デジタルデータ信号DTの下位2bit(D0、D1)により、参照電圧Vgy(電圧レベル4)を含む電圧レベル1~4を取り出す仕様である。図2Aに示す仕様では、下位2bit(D1、D0)で表される4つのコード(0、0)~(1、1)により、そのコードの値が1つ増える度に、4個の差動対の第1~第4の非反転入力端に供給される入力電圧V1~V4が、V1、V2、V3、V4の順に電圧レベル0の状態から電圧レベル4の状態に変化する。
【0070】
図2Bは、デジタルデータ信号DTの下位2bit(D0、D1)により、参照電圧Vgx(電圧レベル0)を含む電圧レベル0~3を取り出す仕様である。図2Aに示す仕様では、下位2bit(D1、D0)で表される4つのコード(0、0)~(1、1)により、そのコードの値が1つ増える度に、4個の差動対のうちの第1~第3の非反転入力端に供給される入力電圧V1~V3が、V1、V2、V3の順に電圧レベル0の状態から電圧レベル4の状態に変化する。尚、図2Bの仕様では、第4の非反転入力端に供給される入力電圧V4は電圧レベル0が固定して供給される。
【0071】
図2Cは、電圧レベル1~4を取り出す仕様であり、且つ4個の差動対のうち第3番目と第4番目の差動対の非反転入力端に対して共通の電圧レベルを有する入力電圧V3及びV4を供給するようにした仕様である。
【0072】
この際、デジタルアナログ変換器100は、図2A図2Cのいずれの仕様を採用した場合でも、4個の差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)に電流を供給する電流源(14A_1~14A_4)を低電圧の電流源トランジスタで構成することで、差動増幅器10_1及びデジタルアナログ変換器100の省面積化が実現できる。
【0073】
図3は、図1に示すデジタルアナログ変換器100で差動対を8個(K=3)で構成した場合での仕様例を示す図である。
【0074】
尚、図3では、デジタルデータ信号DTの下位3bit(D0、D1、D2)に基づきデコーダ50が8個の差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)の第1~第8の非反転入力端に供給する入力電圧V1~V8に夫々割り当てる2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の組合せと、その結果、差動増幅器10_1から出力される出力電圧信号Voutとの関係を表す。
【0075】
ここで、8つの差動対を有する差動増幅器10_1から出力される出力電圧信号Voutは、以下の式で表される。
【0076】
Vout=(V1+V2+V3+V4+V5+V6+V7+V8)/8
尚、便宜上、図8では、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を電圧レベル(0、8)で表している。この際、出力電圧信号Voutは、電圧レベル0及び8の間を8分割する電圧レベル0~8のうちの1の電圧レベルを有する信号となる。
【0077】
すなわち、デコーダ50は、デジタルデータ信号DTから下位3bit(D0-D2)を除く上位ビット群の値により、電圧レベルが8レベル間隔の電圧からなる参照電圧群から、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)として、例えば電圧レベル(0、8)、(8、16)、(16、24)、・・・、のうちの1組を選択する。図3に示す一例では、デコーダ50が参照電圧(Vgx,Vgy)として電圧レベル(0、8)を選択した場合での仕様例を表している。よって、図3では、電圧レベル0及び8の間を2の3乗個に分割、つまり8分割した電圧レベル0、1、2、3、4、5、6、7、8のうち電圧レベル0~7又は1~8を出力電圧信号Voutとして出力する仕様例が示されている。
【0078】
例えば図3は、デジタルデータ信号DTの下位3bit(D0-D2)により、参照電圧Vgy(電圧レベル8)を含む電圧レベル1~8を取り出す仕様である。更に、図3に示す仕様では、8個の差動対のうち第3番目と第4番目の差動対の非反転入力端に対して共通の電圧レベルを有する入力電圧V3及びV4を供給すると共に、第5~第8番目の差動対の非反転入力端に対して共通の電圧レベルを有する入力電圧V5~V8を供給するようにしている。
【0079】
尚、図3に示す仕様でも、図2A図2Cに示す仕様と同様に、電圧レベルとデジタルデータ信号DTの下位bitとの関係や、各非反転入力端に供給する入力電圧V1~V8への2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の割り当てが異なる各種の仕様をとりうる。
【0080】
この際、デジタルアナログ変換器100は、図3の仕様を採用した場合でも、8個の差動対(11_1、12_1)~(11_8、12_8)に電流を供給する電流源(14A_1~14A_8)を低電圧の電流源トランジスタで構成することで、差動増幅器10_1及びデジタルアナログ変換器100の省面積化が実現できる。
【実施例0081】
図4は、本発明に係る第2の実施例によるデジタルアナログ変換器200の構成を示す回路図である。
【0082】
デジタルアナログ変換器200は、変換対象となる低電圧のNビット(Nは3以上の正数)のデジタルデータ信号DTを受け、これを高電圧のアナログの電圧値を有する出力電圧信号Voutに変換して出力する。
【0083】
図4に示すデジタルアナログ変換器200は、デコーダ50、レベルシフタ60、及び差動増幅器10_2を含む。
【0084】
レベルシフタ60は、デジタルデータ信号DTの信号レベルの振幅を増加する方向にレベルシフトした高電圧のNビットのデジタルデータ信号を生成し、これをデコーダ50に供給する。
【0085】
デコーダ50は、かかる高電圧のデジタルデータ信号と共に参照電圧群を受ける。尚、参照電圧群とは、デジタルデータ信号DTによって表現可能な最大値に対応した最大電圧値及び最小値に対応した最小電圧値と、これら最大電圧値及び最小電圧値間の複数の中間電圧値と、を夫々が有する複数の電圧からなる。
【0086】
デコーダ50は、高電圧のデジタルデータ信号に基づき、参照電圧群のうちから、互いに異なる電圧値を有する2つの参照電圧を参照電圧Vgx及びVgyとして選択する。次に、デコーダ50は、選択した2つの参照電圧Vgx及びVgyを、差動増幅器10_2の非反転入力端t1及びt2に夫々振り分けることで、当該非反転入力端t1及びt2に入力する入力電圧V1及びV2を生成する。すなわち、デコーダ50は、夫々が参照電圧Vgx及びVgyのうちの一方を有する入力電圧V1及びV2を、差動増幅器10_2の非反転入力端t1及びt2に供給する。
【0087】
差動増幅器10_2は、夫々が参照電圧Vgx及びVgyのうちの一方を有する入力電圧V1及びV2に基づき、参照電圧Vgx及びVgy間の電圧を2のべき乗個に分割した電圧レベルのうちの1つを、出力電圧信号Voutとして出力する。
【0088】
差動増幅器10_2は、各々にテイル電流が供給され、出力対同士が互いに共通接続された2つの同一導電型(図4ではNチャネル型)の差動対(11_1、12_1)及び(11_2、12_2)と、耐圧保護回路13B、テイル電流制御回路14B、カレントミラー回路20、及び増幅段30を含む。
【0089】
カレントミラー回路20は、ゲート同士、ソース同士がそれぞれ共通接続されたPチャネル型のトランジスタ21及び22を含む。トランジスタ21及び22各々のソースには高位電源電圧VDDAが印加されている。また、トランジスタ21のドレインがノードn11に接続されており、トランジスタ22のゲート及びドレインがノードn12に接続されている。またノードn11、n12は、2のK乗個の差動対の共通接続された出力対とそれぞれ接続されている。かかる構成により、カレントミラー回路20は、上記した2つの差動対に共通の負荷として機能する。
【0090】
増幅段30は、共通接続された2つの差動対の出力対(ノードn11、n12)の一方又は両方の出力信号を受けて増幅作用を生じ、当該増幅作用によって生成された電圧を出力電圧信号Voutとして出力端子Skを介して出力する。
【0091】
差動対(11_1、12_1)及び(11_2、12_2)各々の反転入力端、つまりNチャネル型のトランジスタ(以下、差動対トランジスタとも称する)12_1及び12_2各々のゲートには、出力電圧信号Voutが帰還入力されている。
【0092】
差動対(11_1、12_1)及び(11_2、12_2)各々の非反転入力端、つまりNチャネル型のトランジスタ(以下、差動対トランジスタとも称する)11_1及び11_2各々のゲートには、非反転入力端t1及びt2で受けた電圧(Vgx又はVgy)が供給される。差動対(11_1、12_1)及び(11_2、12_2)の各々は、対を為すトランジスタ各々のソース同士が接続されている。
【0093】
尚、トランジスタ11_1及び11_2は同一のトランジスタ特性を有し、夫々のドレインはノードn11によって共通に接続されている。トランジスタ12_1及び12_2は同一のトランジスタ特性を有し、夫々のドレインはノードn12によって共通に接続されている。すなわち2つの差動対(11_1、12_1)及び(11_2、12_2)は出力対同士が共通接続された並列形態の接続構成とされている。
【0094】
耐圧保護回路13Bは、差動対(11_1、12_1)及び(11_2、12_2)の各々に対応して設けられているNチャネル型のトランジスタ(以下、クランプトランジスタとも称する)13B_1及び13B_2を含む。クランプトランジスタ13B_1のドレインは、差動対(11_1、12_1)のソースに接続されている。クランプトランジスタ13B_2のドレインは、差動対(11_2、12_2)のソースに接続されている。また、クランプトランジスタ13B_1及び13B_2各々のゲートには所定の電圧値を有するバイアス電圧BIASが供給されている。
【0095】
テイル電流制御回路14Bは、差動対(11_1、12_1)に流す電流(テイル電流)を生成する可変電流源14B_1、及び差動対(11_2、12_2)に流す電流(テイル電流)を生成する可変電流源14B_2を含む。可変電流源14B_1は、クランプトランジスタ13B_1のソース及び基準電源電圧VSSA(例えば0V)の供給ライン間に接続されており、可変電流源14B_2は、クランプトランジスタ13B_2のソース及び基準電源電圧VSSAの供給ライン間に接続されている。また、可変電流源14B_1及び14B_2は、デジタルデータ信号DTの下位bit群に基づき、夫々が流すテイル電流の電流比が可変である。かかる構成により、可変電流源14B_1は、デジタルデータ信号DTの下位bit群によって設定された電流比m1に基準電流Ioを乗算した電流(m1・Io)をテイル電流として、クランプトランジスタ13B_1を介して差動対(11_1、12_1)に流す。一方、可変電流源14B_2は、デジタルデータ信号DTの下位bit群によって設定された電流比m2に基準電流Ioを乗算した電流(m2・Io)をテイル電流として、クランプトランジスタ13B_2を介して差動対(11_2、12_2)に流す。
【0096】
ここで、上記したトランジスタ21、22、差動対トランジスタ11_1、12_1、11_2、12_2、及びクランプトランジスタ13A_1及び13A_2の各々は、高位電源電圧VDDA(例えば8V)で動作する耐圧の高い高電圧トランジスタで構成される。なお、かかる高電圧トランジスタの素子耐圧は、高位電源電圧VDDAに対して所定(例えば+10%~+20%程度)の電圧マージンを加えたものとする。
【0097】
一方、可変電流源14B_1及び14B_2の各々は、高位電源電圧VDDAよりも低い低位電源電圧VDDD(例えば1.5V)で動作する、耐圧の低い低電圧トランジスタで構成される。なお、かかる低電圧トランジスタの素子耐圧は、低位電源電圧VDDDに対して所定(例えば+10%~+20%程度)の電圧マージンを加えたものとする。
【0098】
このように、デジタルアナログ変換器200に含まれる差動増幅器10_2では、差動対(11_1,12_1)及び(11_2,12_2)の各テイルと、可変電流源14B_1及び14B_2との間に、クランプトランジスタ13B_1、13B_2を設けている。
【0099】
クランプトランジスタ13B_1は、可変電流源14B_1との接続点の電圧を、バイアス電圧BIASから当該クランプトランジスタの閾値電圧を差し引いた分だけ低い電圧以下に保持する。クランプトランジスタ13B_2は、可変電流源14B_2との接続点の電圧を、バイアス電圧BIASから当該クランプトランジスタの閾値電圧を差し引いた分だけ低い電圧以下に保持する。尚、クランプトランジスタ13A_1及び13A_2の各ゲートに供給されているバイアス電圧BIASは、例えば低位電源電圧VDDD、又は低位電源電圧VDDD近傍の電圧値とする。
【0100】
よって、クランプトランジスタ13A_1及び13A_2により、差動増幅器10_1に含まれる可変電流源14B_1及び14B_2に掛かる電圧を、高位電源電圧VDDAより低い低位電源電圧VDDD以下に保持することが可能となる。
【0101】
これにより、差動増幅器10_2に含まれる差動対(11_1,12_1)及び(11_2、12_2)の各々に流すテイル電流を生成する可変電流源14B_1及び14B_2として、耐圧の低い低電圧トランジスタを含む低電圧回路を採用することが可能となる。
【0102】
よって、図1に示す差動増幅器10_1と同様に、可変電流源14B_1及び14B_2を低電圧回路で構成することで、高電圧回路で構成する場合よりも数分の1の小さいサイズで、所望とするデジタルアナログ変換精度を実現することができる。また、トランジスタ間の分離基準も縮まるため、高密度レイアウトが可能となり回路全体の面積を削減することができる。
【0103】
このように、図4に示すデジタルアナログ変換器200では、2つの差動対を有する差動増幅器の各差動対にテイル電流を供給する可変電流源を低電圧の可変電流源、もしくは可変電流源を実現する低電圧回路で構成することができるので、省面積化を図ることが可能となる。
【0104】
次に、図4に示すデジタルアナログ変換器200の具体例について説明する。図4及び後述する図9に示すデジタルアナログ変換器は、差動増幅器が等価な2のK乗個(Kは1以上の正数)の差動対を備え、且つ、各々の差動対に供給されるテイル電流の電流比が可変に制御されることにより、デコーダ50で選択された2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を2のM乗個(MはKより大きい正数)に分割する電圧レベルから、デジタルデータ信号DTの所定下位bit群に対応する1の電圧レベルを増幅出力するものである。
【0105】
図5は、デジタルアナログ変換器200に含まれる2つの差動対(K=1)を3レベルの電流比で制御する場合の仕様例を示す図である。
【0106】
図5では、デジタルデータ信号DTに基づきデコーダ50で選択された2つの参照電圧(Vgx,Vgy)と、デジタルデータ信号DTの下位2bit(D1、D0)に応じて、2つの差動対の第1及び第2の非反転入力端への入力電圧V1、V2と、電圧V1、V2に割り当てられる2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の組合せと、電圧V1、V2が供給される差動対(11_1、12_1)及び(11_2、12_2)をそれぞれ駆動する第1のテイル電流(m1・Io)及び第2のテイル電流(m2・Io)の電流比(m1,m2)の組合せと、差動増幅器10_2から増幅出力される出力電圧信号Voutの関係を表す。
【0107】
なお、出力電圧信号Voutに対する差動増幅器10_2の駆動能力を均一に保つため、2つの差動対のテイル電流の合計はほぼ一定に制御される。
【0108】
ここで、3レベルの電流比で2つの差動対各々のテイル電流を制御する差動増幅器10_2が出力する出力電圧信号Voutの電圧値は以下の式で表される。
【0109】
Vout=(m1・V1+m2・V2)/(m1+m2)
尚、便宜上、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を電圧レベル(0、4)で表すと、出力電圧信号Voutは、電圧レベル(0、4)を4分割する電圧レベル0~4のうちの1つを表す。
【0110】
すなわち、デコーダ50は、デジタルデータ信号DTから下位2bit(D0、D1)を除く上位ビット群の値により、電圧レベルが4レベル間隔の電圧からなる参照電圧群から、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)として、例えば電圧レベル(0、4)、(4、8)、(8、12)、・・・、のうちの1組を選択する。
【0111】
図5に示す一例では、デコーダ50が参照電圧(Vgx,Vgy)として電圧レベル(0、4)を選択した場合での仕様例を表している。これにより、下位2bit(D1、D0)の設定により、電圧レベル0及び4の間を2の2乗個(M=2)に分割、つまり4分割した電圧レベル0、1、2、3、4のうち電圧レベル0~3又は1~4を出力電圧信号Voutとして取り出すことが可能となる。
【0112】
また、図5の仕様では、電圧レベル0~4に対して、電圧レベル0のときは2つの差動対の第1、第2の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V2として電圧レベル0が共通に割り当てられるとともに、電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(1、1)に制御される。電圧レベル1~3のときは、2つの差動対の第1、第2の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V2として電圧レベル4、0がそれぞれ割り当てられるとともに、電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(0.5,1.5)、(1,1)、(1.5,0.5)に順次制御される。電圧レベル4のときは、2つの差動対の第1、第2の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V2として電圧レベル4が共通に割り当てられるとともに、電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(1,1)に制御される。なお図5における下位2bit(D1,D0)の設定は、参照電圧Vgy(電圧レベル4)を含む電圧レベル1~4に割り当てられている。なお、図5の仕様も、図2A図2Bと同様に、各電圧レベルとデジタルデータ信号DTの下位bitの割り当て変更が可能である。
【0113】
図6は、図5に示す仕様でテイル電流制御回路14Bを実現する場合の具体的な回路構成としてのテイル電流制御回路14B_Xを示す回路図である。尚、テイル電流制御回路14B_Xは、デジタルデータ信号DTの下位2bit(D1、D0)及びその相補bit(XD1、XD0)に基づき、2つの差動対にテイル電流(m1・Io、m2・Io)を供給する可変電流源(14B_1、14B_2)と等価な機能を有するものである。
【0114】
テイル電流制御回路14B_Xは、電流比0.5:0.5:1.0にて定電流を生成する最少3つの定電流源14a~14cと、下位2bit(D1,D0)により定電流源14a~14cの電流の組合せを制御するスイッチ15a~15cを含む。スイッチ15a~15cの制御によって2つの差動対に夫々供給するテイル電流の電流比(m1,m2)を制御することで、テイル電流(m1・Io,m2・Io)を生成する。この際、定電流源14a~14cを低電圧のトランジスタで構成し、スイッチ15a~15cも低電圧のトランジスタスイッチで構成することで、差動増幅器10_2及びデジタルアナログ変換器200の省面積化が実現できる。なお、図6では定電流源14a~14cを、電流比に応じたバイアス電圧BS1、BS2がそれぞれのゲートに供給されるトランジスタで示している。これに対し、バイアス電圧をBS1の1種類のみとし、定電流源14cを2個の並列接続したトランジスタで構成することも可能である。
【0115】
図7は、図4に示すデジタルアナログ変換器200に含まれる2つの差動対のテイル電流を7レベルの電流比で制御する場合の仕様例を示す図である。
【0116】
図7では、デジタルデータ信号DTに基づきデコーダ50で選択された2つの参照電圧(Vgx,Vgy)と、デジタルデータ信号DTの下位3bit(D2、D1、D0)に応じて、2つの差動対の各非反転入力端への入力電圧V1、V2と、電圧V1、V2に割り当てられる2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の組合せと、2つの差動対にテイル電流を供給する際の電流比(m1,m2)の組合せと、差動増幅器10_2から増幅出力される出力電圧信号Voutの関係を表す。尚、便宜上、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を電圧レベル(0,8)で表すと、出力電圧信号Voutは、電圧レベル(0,8)を8分割する電圧レベル0~8のうちの1つを表す。そして、下位3bit(D2、D1、D0)の設定により、電圧レベル0及び8の間を2の3乗個(M=3)に分割、つまり8分割した電圧レベル0~8のうち電圧レベル0~7又は1~8を出力電圧信号Voutとして取り出すことが可能となる。
【0117】
また、図7の仕様では、電圧レベル0~8に対して、電圧レベル0のときは2つの差動対の第1、第2の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V2として電圧レベル0が共通に割り当てられるとともに、電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(1、1)に制御される。電圧レベル1~7のときは、2つの差動対の第1、第2の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V2として電圧レベル8、0がそれぞれ割り当てられるとともに、電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(0.25,1.75)、(0.5,1.5)、(0.75,1.25)、(1,1)、(1.25,0.75)、(1.5,0.5)、(1.75,0.25)に順次制御される。電圧レベル8のときは、2つの差動対の第1、第2の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V2として電圧レベル8が共通に割り当てられるとともに、電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(1,1)に制御される。なお図7における下位3bit(D2、D1、D0)の設定は、参照電圧Vgy(電圧レベル8)を含む電圧レベル1~8に割り当てられている。なお、図7の仕様も、図2A図2Bと同様に、各電圧レベルとデジタルデータ信号DTの下位bitの割り当て変更が可能である。
【0118】
図8は、図7に示す仕様でテイル電流制御回路14Bを実現する場合の具体的な回路構成としてのテイル電流制御回路14B_Yを示す回路図である。尚、テイル電流制御回路14B_Yは、デジタルデータ信号DTの下位3bit(D2、D1、D0)及びその相補bit(XD2、XD1、XD0)に基づき、2つの差動対にテイル電流(m1・Io、m2・Io)を供給する可変電流源(14B_1、14B_2)と等価な機能を有する。
【0119】
テイル電流制御回路14B_Yは、電流比0.25:0.25:0.5:1.0の定電流を生成する定電流源14a~14dと、下位3bit(D2,D1,D0)により定電流源14a~14dの電流の組合せを制御するスイッチ15a~15dを含む。
【0120】
定電流源14a~14dの各々は、例えば夫々のソースが基準電源電圧VSSA(例えば0V)の供給ラインに接続されているNチャネル型のトランジスタから構成される。この際、定電流源14aとしてのトランジスタのドレインがスイッチ15aに接続されており、定電流源14bとしてのトランジスタのドレインがスイッチ15bに接続されている。また、定電流源14cとしてのトランジスタのドレインがスイッチ15cに接続されており、定電流源14dとしてのトランジスタのドレインがスイッチ15dに接続されている。更に、定電流源14a及び14bを為すトランジスタ各々のゲートには所定のバイアス電圧BS1が供給されており、定電流源14cを為すトランジスタのゲートにはバイアス電圧BS1より高電圧のバイアス電圧BS2が供給さている。定電流源14dを為すトランジスタのゲートにはバイアス電圧BS2より高電圧のバイアス電圧BS1が供給さている。
【0121】
テイル電流制御回路14B_Yでは、スイッチ15a~15dにより2つの差動対に供給するテイル電流の電流比(m1、m2)を制御することで、テイル電流(m1・Io、m2・Io)を生成する。この際、定電流源14a~14dを低電圧のトランジスタで構成し、スイッチ15a~15dも低電圧のトランジスタスイッチで構成することで、差動増幅器10_2及びデジタルアナログ変換器200の省面積化が実現できる。
【0122】
尚、テイル電流制御回路14B_Yは、テイル電流(m1Io、m2Io)を7レベルのテイル電流比にて制御するにあたり、定電流源を最少の4個で実現しているが、5個以上の定電流源を用いてテイル電流比を7レベルに制御しても良い。
【実施例0123】
図9は、本発明に係る第3の実施例によるデジタルアナログ変換器300の構成を示す回路図である。
【0124】
尚、デジタルアナログ変換器300は、図1に示す差動増幅器10_1に代えて差動増幅器10_3を採用したものであり、その他の構成、つまりデコーダ50及びレベルシフタ60については、図1に示すものと同一である。また、差動増幅器10_3においても、図1に示す耐圧保護回路13Aに代えて耐圧保護回路13Cを採用し、テイル電流制御回路14Aに代えてテイル電流制御回路14Cを採用した点を除く他の構成は図1に示すものと同一である。
【0125】
耐圧保護回路13Cは、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各々に対応して設けられているNチャネル型のトランジスタ(以下、クランプトランジスタとも称する)13C_1~13C_2を含む。クランプトランジスタ13C_1~13C_2各々のドレインは、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)のうちの対応する差動対のソースに夫々接続されている。また、クランプトランジスタ13C_1~13C_2各々のゲートには所定の電圧値を有するバイアス電圧BIASが供給されている。
【0126】
テイル電流制御回路14Cは、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各々に流すテイル電流を個別に生成する可変電流源14C_1~14C_2を含む。
【0127】
可変電流源14C_1~14C_2の各々は、クランプトランジスタ13C_1~13C_2各々のソース及び基準電源電圧VSSA(例えば0V)の供給ライン間に接続されている。また、可変電流源14C_1~14C_2の各々は、デジタルデータ信号DTの下位bit群に基づき、夫々が流すテイル電流の電流比が可変である。かかる構成により、可変電流源14C_1~14C_2の各々は、デジタルデータ信号DTの下位bit群によって設定された電流比m1~m2に夫々基準電流Ioを乗算した電流(m1・Io)~(m2・Io)をテイル電流として、クランプトランジスタ13C_1~13C_2を夫々介して差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各々に流す。
【0128】
ここで、カレントミラー回路20のトランジスタ21、22、差動対トランジスタ11_1~11_2、12_1~12_2、及びクランプトランジスタ13C_1~13C_2の各々は、高位電源電圧VDDA(例えば8V)で動作する耐圧の高い高電圧トランジスタで構成される。なお、かかる高電圧トランジスタの素子耐圧は、高位電源電圧VDDAに対して所定(例えば+10%~+20%程度)の電圧マージンを加えたものとする。
【0129】
一方、可変電流源14C_1~14C_2の各々は、高位電源電圧VDDAよりも低い低位電源電圧VDDD(例えば1.5V)で動作する、耐圧の低い低電圧トランジスタで構成される。なお、かかる低電圧トランジスタの素子耐圧は、低位電源電圧VDDDに対して所定(例えば+10%~+20%程度)の電圧マージンを加えたものとする。
【0130】
このように、デジタルアナログ変換器300に含まれる差動増幅器10_3では、差動対(11_1、12_1)~(11_2、12_2)の各テイルと、可変電流源14C_1~14C_2との間に、クランプトランジスタ13C_1~13C_2を設けている。
【0131】
ここで、クランプトランジスタ13C_1は、可変電流源14C_1との接続点の電圧を、バイアス電圧BIASから当該クランプトランジスタの閾値電圧を差し引いた分だけ低い電圧以下に保持する。クランプトランジスタ13C_2は、可変電流源14C_2との接続点の電圧を、バイアス電圧BIASから当該クランプトランジスタの閾値電圧を差し引いた分だけ低い電圧以下に保持する。クランプトランジスタ13C_3~13C_2の各々も、同様に、夫々に接続されている可変電流源との接続点の電圧を、バイアス電圧BIASからクランプトランジスタの閾値電圧を差し引いた分だけ低い電圧以下に保持する。尚、クランプトランジスタ13C_1~13C_2の各ゲートに供給されているバイアス電圧BIASは、例えば低位電源電圧VDDD、又は低位電源電圧VDDD近傍の電圧値とする。
【0132】
よって、クランプトランジスタ13C_1~13C_2により、差動増幅器10_3に含まれる可変電流源14C_1~14C_2の各々に掛かる電圧を、高位電源電圧VDDAよりも低い電圧である、例えば低位電源電圧VDDD以下に保持することが可能となる。
【0133】
これにより、差動増幅器10_2に含まれる差動対(11_1,12_1)~(11_2、12_2)の各々に流すテイル電流を生成する可変電流源14C_1~14C_2の各々として、耐圧の低い低電圧トランジスタを含む低電圧回路を採用することが可能となる。
【0134】
よって、図1に示す差動増幅器10_1と同様に、可変電流源14C_1~14C_2の各々を低電圧回路で構成することで、高電圧回路で構成する場合よりも数分の1の小さいサイズで、所望とするデジタルアナログ変換精度を実現することができる。
【0135】
次に、図9に示すデジタルアナログ変換器300の具体例について説明する。
【0136】
図10は、かかるデジタルアナログ変換器300で差動対を4個(K=2)で構成した場合での仕様例を示す図である。
【0137】
尚、図10では、デジタルデータ信号DTの下位3bit(D0、D1、D2)に基づき、デコーダ50が4つの差動対(11_1、12_1)~(11_4、12_4)の第1~第4の非反転入力端に供給する入力電圧V1~V4に夫々割り当てる2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の組合せと、上記4つの差動対にテイル電流を供給する際の電流比(m1,m2)の組合せと、差動増幅器10_3から増幅出力される出力電圧信号Voutとの関係を表す。なお、出力電圧信号Voutに対する差動増幅器10_3の駆動能力を均一に保つため、4つの差動対のテイル電流の合計はほぼ一定に制御される。
【0138】
ここで、3レベルの電流比で4つの差動対各々のテイル電流を制御する差動増幅器10_3が出力する出力電圧信号Voutの電圧値は以下の式で表される。
【0139】
Vout=(m1・V1+m2・V2+m3・V3+m4・V4)
/(m1+m2+m3+m4)
尚、便宜上、図10では、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を電圧レベル(0、8)で表している。この際、出力電圧信号Voutは、電圧レベル0及び8の間を8分割する電圧レベル0~8のうちの1の電圧レベルを有する信号となる。
【0140】
すなわち、デコーダ50は、デジタルデータ信号DTから下位3bit(D0-D2)を除く上位ビット群の値により、電圧レベルが8レベル間隔の電圧からなる参照電圧群から、2つの参照電圧(Vgx,Vgy)として、例えば電圧レベル(0、8)、(8、16)、(16、24)、・・・、のうちの1組を選択する。図10に示す一例では、デコーダ50が参照電圧(Vgx,Vgy)として電圧レベル(0、8)を選択した場合での仕様例を表している。よって、図10では、電圧レベル0及び8の間を2の3乗個(M=3)に分割、つまり8分割した電圧レベル0、1、2、3、4、5、6、7、8のうち電圧レベル0~7又は1~8を出力電圧信号Voutとして出力する仕様例が示されている。
【0141】
また、図10に示す仕様では、電圧レベル0~8に対して、4個の差動対のうちの第3番目と第4番目の差動対の非反転入力端に共通の電圧レベルを有する入力電圧V3及びV4を供給すると共に、入力電圧V3、V4を受ける差動対のテイル電流の電流比(m3,m4)が(1、1)に制御される。
【0142】
ここで、電圧レベル0のときは4つの差動対の第1~第4の非反転入力端に供給される入力電圧V1~V4として電圧レベル0が共通に割り当てられるとともに、入力電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(1、1)に制御される。電圧レベル1~3のときは、4つの差動対の第1の非反転入力端に供給される入力電圧V1として電圧レベル8が割り当てられ、第2~第4の非反転入力端に供給される入力電圧V2~V4として電圧レベル0が割り当てられると共に、入力電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(0.5,1.5)、(1,1)、(1.5,0.5)に順次制御される。電圧レベル4のときは、4つの差動対の第1、第2の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V2として電圧レベル8が共通に割り当てられ、第3、第4の非反転入力端に供給される入力電圧V3、V4として電圧レベル0が共通に割り当てられるとともに、電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(1,1)に制御される。電圧レベル5~7のときは、4つの差動対の第1、第3、第4の非反転入力端に供給される入力電圧V1、V3、V4として電圧レベル8が割り当てられ、第2の非反転入力端に供給する入力電圧V2として電圧レベル0が割り当てられるとともに入力電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(0.5,1.5)、(1,1)、(1.5,0.5)に順次制御される。電圧レベル8のときは、4つの差動対の第1~第4の非反転入力端に供給される入力電圧V1~V4として電圧レベル8が共通に割り当てられるとともに、入力電圧V1、V2を受ける差動対のテイル電流の電流比(m1,m2)が(1,1)に制御される。なお図10における下位3bit(D2、D1,D0)の設定は、参照電圧Vgy(電圧レベル8)を含む電圧レベル1~8に割り当てられている。
【0143】
なお、図10の仕様でも、電圧レベルとデジタルデータの下位bitの割り当て、又は、各非反転入力端に供給される入力電圧V1~V4への2つの参照電圧(Vgx,Vgy)の割り当て、又は、入力電圧V1~V4を受ける差動対のテイル電流の電流比m1~m4の割り当てについては、上記実施例以外の様々な形態をとりうる。
【0144】
図11は、図10に示す仕様でテイル電流制御回路14Cを実現する場合の具体的な回路構成としてのテイル電流制御回路14C_Xを示す回路図である。尚、テイル電流制御回路14C_Xは、デジタルデータ信号DTの下位2bit(D1、D0)及びその相補bit(XD1、XD0)に基づき、4つの差動対にテイル電流(m1・Io、m2・Io、m3・Io、m4・Io)を供給する可変電流源(14C_1~14C_4)と等価な機能を有する。
【0145】
テイル電流制御回路14C_Xは、夫々が電流比0.5:0.5:1:1:1の定電流(0.5・Io、0.5・Io、Io、Io、Io)を生成する定電流源14a~14eと、下位2bit(D1,D0)及びその相補bit(XD1、XD0)により定電流源14a~14cの電流の組合せを制御するスイッチ15a~15cを含む。
【0146】
尚、定電流源14a~14eの各々は、例えば夫々のソースが基準電源電圧VSSA(例えば0V)の供給ラインに接続されているNチャネル型のトランジスタから構成される。この際、定電流源14aとしてのトランジスタのドレインがスイッチ15aに接続されており、定電流源14bとしてのトランジスタのドレインがスイッチ15bに接続されており、定電流源14cとしてのトランジスタのドレインがスイッチ15cに接続されている。また、定電流源14dとしてのトランジスタのドレインは4つの差動対のうちの第3番目の差動対のテイルに直接接続されており、定電流源14eとしてのトランジスタのドレインは4つの差動対のうちの第4番目の差動対のテイルに直接接続されている。更に、定電流源14a及び14bを為すトランジスタ各々のゲートには所定のバイアス電圧BS1が供給されており、定電流源14c~14eを為す各トランジスタのゲートにはバイアス電圧BS1より高電圧のバイアス電圧BS2が供給さている。
【0147】
テイル電流制御回路14C_Xでは、スイッチ15a~15cの制御により、4つの差動対のうちの第1及び第2番目の差動対に供給するテイル電流の電流比(m1、m2)を制御することで、テイル電流(m1・Io、m2・Io)を生成する。尚、テイル電流制御回路14C_Xでは、4つの差動対のうちの第3及び第4番目の差動対に夫々供給するテイル電流(m3・Io、m4・Io)は(Io、Io)固定となる。
【0148】
よって、定電流源14a~14eを低電圧トランジスタで構成し、スイッチ15a~15cを低電圧のトランジスタスイッチで構成することで、差動増幅器10_3及びデジタルアナログ変換器300の省面積化が実現できる。
【実施例0149】
次に、本発明に係るデジタルアナログ変換器が含まれるデータドライバを有する表示装置について説明する。
【0150】
図12は、当該表示装置500の概略構成を示すブロック図である。
【0151】
図12を参照すると、表示装置500は、表示パネル51、走査ドライバ52及びデータドライバ53を含む。
【0152】
表示パネル51は、例えば液晶又は有機ELパネル等からなり、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査線GL1~GLmと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータ線DL1~DLnと、を含む。水平走査線及びデータ線の各交叉部には、画素を担う表示セルが形成されている。
【0153】
走査ドライバ52は、表示コントローラ(図示せぬ)から供給された走査タイミング信号に基づいて、水平走査パルスを表示パネル51の水平走査線GL1~GLmの各々に順次印加する。
【0154】
データドライバ53は、表示コントローラからのクロック信号CLK、スタートパルス信号STA、映像デジタル信号DVS及び各種の制御信号CNTを受ける。これにより、データドライバ53は、当該映像デジタル信号DVSにて示される輝度レベルに対応した電圧値を有する駆動信号S1~Snを生成し、夫々を表示パネル51のデータ線DL1~DLnに供給する。
【0155】
データドライバ53は、シフトレジスタ80、データレジスタラッチ70、n個のレベルシフタ60、参照電圧群生成部90、n個のデコーダ50、n個の差動増幅器10及び差動増幅器10の一部をなすテイル電流制御回路14、低電圧バイアス回路140及び高電圧バイアス回路150を含む。
【0156】
尚、データドライバ53は半導体ICチップに形成されており、そのチップ内は、低電圧の回路素子が形成される低電圧領域LVと、高電圧の回路素子が形成される高電圧領域HVとに区分けされている。この際、低電圧領域LVには、シフトレジスタ80、データレジスタラッチ70、テイル電流制御回路14及び低電圧バイアス回路140が配置されている。高電圧領域HVには、レベルシフタ60、参照電圧群生成部90、デコーダ50と共に、差動増幅器10内のテイル電流制御回路を除く回路部(差動対、耐圧保護回路、カレントミラー回路、増幅段)及び高電圧バイアス回路150が配置されている。
【0157】
シフトレジスタ80は、スタートパルス信号STAに応じて、クロック信号CLKに同期してラッチの選択を行う為の複数のラッチタイミング信号を生成し、データレジスタラッチ70に供給する。
【0158】
データレジスタラッチ70は、シフトレジスタ80から供給されたラッチタイミング信号のタイミングで、映像デジタル信号に含まれる各画素の輝度レベルをデジタル値で表すデジタルデータ片をn個毎に取り込み、夫々を表すn個のデジタルデータ信号としてレベルシフタ60の各々に供給する。更に、データレジスタラッチ70は、n個のデジタルデータ信号各々の下位ビット群(例えば下位2ビット又は3ビット)LSbをテイル電流制御回路14に供給する。
【0159】
各レベルシフタ60は、自身が受けたデジタルデータ信号に対して、その信号振幅を増加するレベルシフト処理を施して得た高電圧のデジタルデータ信号をデコーダ50に供給する。
【0160】
参照電圧群生成部90は、基準電源電圧VGH、VGLを受け、例えば抵抗分割によって基準電源電圧VGH及びVGL間の電圧を分圧して互いに電圧値が異なる参照電圧群(Vg0~VgR)を生成し、各デコーダ50に供給する。デコーダ50は、レベルシフタ60から供給された高電圧のデジタルデータ信号に基づき、上記した参照電圧群の中から2つの参照電圧(Vgx,Vgy)を選択し、選択した2つの参照電圧のうちの一方又は他方が割り当てられている入力電圧V1~V2を差動増幅器10に供給する。
【0161】
各差動増幅器10は、入力電圧V1~V2に基づき、参照電圧Vgx及びVgy間の電圧を2のべき乗個に分割した電圧レベルのうちの1つを、出力電圧信号Voutとして出力する。
【0162】
ここで、図12に示す差動増幅器10の各々は、例えば図1図4又は図9に示される差動増幅器10_1、10_2又は10_3の構成から、テイル電流制御回路14A、14B又は14Cを省いたものである。例えば、図12に示す差動増幅器10の各々は、図9に示される差動増幅器10_3から、低電圧で動作するテイル電流制御回路14Cを省いたものである。この際、当該テイル電流制御回路14Cに該当する回路は、図12に示すテイル電流制御回路14に含まれている。
【0163】
低電圧バイアス回路140は、テイル電流制御回路14へ低電圧のバイアス電圧を供給する。また、高電圧バイアス回路150は、差動増幅器の動作を制御する高電圧のバイアス電圧を供給する。差動増幅器に含まれるクランプトランジスタに供給されるバイアス電圧も高電圧バイアス回路150より供給される。
【0164】
図13は、図9に示す差動増幅器10_3に含まれるテイル電流制御回路14Cを採用したテイル電流制御回路14の内部構成、及び低電圧バイアス回路140の内部構成の一例を示す回路図である。
【0165】
図13に示すように、テイル電流制御回路14は、データドライバ53の第1~第nの出力チャネルに夫々対応したテイル電流制御部14_1~14_nを含む。尚、図13では、テイル電流制御部14_1~14_nとの接続関係を明確にする為に、第1~第nの出力チャネルに夫々対応した耐圧保護回路13_1~13_nをも示している。
【0166】
以下に、2のK乗個の差動対を含む差動増幅器10を想定して、第1の出力チャネルに対応した耐圧保護回路13_1、及びテイル電流制御部14_1の内部構成について説明する。
【0167】
耐圧保護回路13_1は、差動増幅器10_3の2のK乗個の差動対の各々にドレインが接続されているNチャネル型のクランプトランジスタ13x1~13x2を含む。クランプトランジスタ13x1~13x2各々ゲートにはクランプ電圧に関与する所定のバイアス電圧BIASが高電圧バイアス回路150より供給されている。
【0168】
テイル電流制御部14_1は、夫々が基準電流Ioを生成する電流源トランジスタ14xS1~14XS2、及びスイッチ回路15_4を含む。スイッチ回路15_4は、上記した下位ビット群LSbに基づき、クランプトランジスタ13x1~13x2各々のソースを電流源トランジスタ14xS1~14XS2各々のドレインに接続することで、差動対に流すテイル電流の電流比を変更する制御を行う。
【0169】
低電圧バイアス回路140は、夫々がダイオード接続されているNチャネル型のトランジスタQ1~QM(Mは2以上の整数)を含む。トランジスタQ1~QZ各々のソースは、基準電源電圧VSSA(例えば0V)の供給ラインに接続されている。トランジスタQ1~QZ各々のドレイン及びゲートにはラインL1を介してソース電流Isが供給され、電流Isを電流電圧変換したバイアス電圧がラインL1を介してテイル電流制御回路14へ供給されている。尚、ラインL1は、例えば、全出力チャネルに対応したテイル電流制御部14_1~14_n各々のトランジスタ14xS1~14S2のゲートに接続されている。これにより、所定の電圧値を有するバイアス電圧が、全出力チャネルに対応したテイル電流制御部14_1~14_n各々のトランジスタ14xS1~14S2のゲートに供給される。
【0170】
ここで、ソース電流Isとしては、全出力チャネル分のトランジスタ14xS1~14S2にバイアス電圧を提供し得る電流値が必要となる。尚、電圧値が異なる複数のバイアス電圧が必要な場合は、バイアス電圧の種類毎に図13に示すようなバイアス回路140を設ける。
【0171】
ところで、各チャンネル毎の差動増幅器の複数の差動対にテイル電流を供給するトランジスタ14xS1~14S2は、十分小さい基準電流Ioを流すようになっている。そのため低電圧バイアス回路140では、ソース電流IsをM個のダイオード接続構成の低電圧トランジスタ(Q1~QZ)で受け、Z分の1の電流ミラー比で各チャンネル毎の電流源用のトランジスタ14xS1~14S2の電流を生成するようにしている。
【0172】
この際、差動増幅器の差動対の数の増加や、バイアス電圧の種類の増加により、バイアス電圧生成用のトランジスタ数は増加の傾向にある。よって、各差動対にテイル電流を供給する電流源用のトランジスタを低位電圧トランジスタ構成することで、データドライバのような多チャンネル構成の差動増幅器を含むデジタルアナログ変換器を搭載した装置に対しては大幅な回路面積の削減のみならず、各電流源トランジスタにバイアス電圧を供給するバイアス回路の面積削減効果も大となる。
【符号の説明】
【0173】
11_1~11_2、12_1~12_2 差動対
13A、13B、13C 耐圧保護回路
14A、14B テイル電流制御回路
20 カレントミラー回路
30 増幅段
50 デコーダ
100、200、300 デジタルアナログ変換器

図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13