(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101614
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】穀粒用昇降機及び穀粒乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 17/14 20060101AFI20240723BHJP
B02B 1/02 20060101ALI20240723BHJP
B02B 5/02 20060101ALI20240723BHJP
B02B 7/00 20060101ALI20240723BHJP
B65G 17/12 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F26B17/14 C
B02B1/02
B02B5/02 A
B02B7/00 104Z
B65G17/12 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005612
(22)【出願日】2023-01-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社壽農園(埼玉県鴻巣市郷地834)、令和4年9月27日 国定農産(岡山県岡山市南区藤田339番地)、令和4年10月12日
(71)【出願人】
【識別番号】308020892
【氏名又は名称】金子農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100140198
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 保子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】奥井 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199691
【弁理士】
【氏名又は名称】吉水 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100145089
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 貴聖
【テーマコード(参考)】
3F034
3L113
4D043
【Fターム(参考)】
3F034DA02
3F034DB03
3F034DE03
3L113AA05
3L113AB01
3L113AC41
3L113AC67
3L113AC83
3L113BA03
3L113CB39
3L113DA01
4D043AA02
4D043AA05
4D043JB07
4D043JB08
4D043JC05
4D043JD02
4D043JE02
4D043JE07
4D043JE08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搬送効率を低下させることなく、被乾燥穀粒中に含まれる他の植物の種子を、夾雑物や塵埃とは別に機外に排出することができる穀粒用昇降機、及びこれを備えた穀粒乾燥機を提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る穀粒昇降機は、垂直方向に設けられた無端ベルト、前記無端ベルトを回転させる回転機構、前記無端ベルトに所定間隔で取り付けられ、該無端ベルトに沿った軌道で移動する複数のバケット、並びに前記無端ベルト、前記回転機構、及び前記複数のバケットを収納すると共に、前記軌道中の、各バケットが一定の角度で上昇する領域に対向する上昇対向部に、垂直方向に伸長する形状を有し、搬送する穀粒の径よりも幅の狭い複数の長孔を有するケースを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に設けられた無端ベルト、
前記無端ベルトを回転させる回転機構、
前記無端ベルトに所定間隔で取り付けられ、該無端ベルトに沿った軌道で移動する複数のバケット、並びに
前記無端ベルト、前記回転機構、及び前記複数のバケットを収納すると共に、前記軌道中の、各バケットが一定の角度で上昇する領域に対向する上昇対向部に、垂直方向に伸長する形状を有し、搬送する穀粒の径よりも幅の狭い複数の長孔を有するケース
を備える穀粒用昇降機。
【請求項2】
前記ケースが、前記上昇対向部に位置する壁面に開口を有する本体部と、該開口を覆って配置され、前記複数の長孔が形成された多孔板とを有する、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項3】
前記ケースの外側に、前記複数の長孔から所定間隔をおいて離間しつつ、水平視で該各長孔を覆うと共に、少なくとも下方に開口を有するカバー部をさらに備える、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項4】
前記カバー部が、その上方にも開口を有する、請求項3に記載の穀粒用昇降機。
【請求項5】
前記ケースの外側に、前記複数の長孔よりも下方に設置され、設置箇所から下方に向けて傾斜する傾斜板をさらに備える、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項6】
前記複数の長孔を開閉するシャッターをさらに備える、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項7】
被乾燥穀粒を流下させながら乾燥する本体部、及び
前記本体部の下部から前記被乾燥穀粒を揚穀して前記本体部の上部に投入する、請求項1から6のいずれか1項に記載の穀粒用昇降機
を備え、
前記本体部と前記穀粒用昇降機との間で前記被乾燥穀粒を循環させて乾燥する穀粒乾燥機。
【請求項8】
前記本体部又は前記穀粒昇降機が、内部に浮遊する夾雑物ないし塵埃を吸引して排出する排塵機に接続されている、請求項7に記載の穀粒乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒用昇降機及び穀粒乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学肥料や農薬を使用しない有機農業が注目されている。有機農業で栽培された穀物は、通常の方法で栽培されたものに比べて、他の植物の種子の混入量が多くなる。このため、他の植物の種子が除去しきれずに残存し、これが穀物の保管中に発芽して穀物の品質を損ねる問題があった。
【0003】
また、脱穀後の穀粒を乾燥機で乾燥する際に、乾燥時間の短縮や、省エネルギーを目的として、穀粒に混在する夾雑物や塵埃を、除塵機等を用いて機外に排出しながら運転されることがあり(特許文献1)、この場合は、夾雑物や塵埃と共に他の植物の種子が機外に排出されるため、穀物保管中の発芽の問題は生じない。しかし、機外に排出された夾雑物や塵埃は、圃場に散布される場合があり、これに他の植物の種子が混入していると、圃場に他の植物が繁茂して、除草の手間がかかる問題がある。
【0004】
穀粒に付着ないし混入した異物を、搬送中に除去する技術としては、以下のものが知られている。
【0005】
特許文献2には、一方に向け回転する多数のバケットを収納し、底部に開口部を有し、前記開口部に、バケットの回転方向に沿って平行に多数設けた複数の縦杆と、該縦杆と直交するように設けた複数の横杆とを格子状に重設して構成した塵選別体を備えた塵受箱を、抜き差し自在に嵌装した昇降機が開示されている。
【0006】
特許文献3には、穀粒乾燥機の昇降機の揚穀塔の下部を、乾燥機本体の内腔に装設した吸引排風路に、導風管を介して接続連通し、揚穀塔の下部に設けられた穀粒張込用ホッパーとの接続口に、装脱自在に挿込まれる開閉シャッターを設け、その開閉シャッターに無数の外気取入孔を形設したことを特徴とする、穀粒乾燥装置における昇降機の除塵装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6964153号
【特許文献2】実願平03-112950号(実開平05-054415号)のCD-ROM
【特許文献3】実公平02-018472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示された技術によれば、穀粒に付着した泥の他に、これに混入した他の植物の種子も除去することができる。しかし、昇降機の底部開口部は容積に制限があり、そこに嵌装される塵受箱の容積も比較的小さなものとせざるを得ない。このため、有機農業で栽培された穀物のように、他の植物の種子の混入量が多い穀物を取り扱う場合には、運転の途中で塵受箱が満杯となり、以降の異物除去を行うことができなくなってしまう。異物除去を再開するためには、昇降機の運転を一旦停止し、塵受箱中の異物を排出する必要があるため、昇降機の搬送効率が低くなることが問題であった。
【0009】
他方、特許文献3に開示された技術によれば、特許文献1に開示された技術と同様に、他の植物の種子が、夾雑物や塵埃と混合した状態で機外に排出されるため、排出された異物をそのまま圃場に散布した場合の除草の手間の問題は、解決できない。
【0010】
そこで本発明は、前述の問題点を解決し、昇降機の搬送効率を低下させることなく、被乾燥穀粒中に含まれる他の植物の種子を、夾雑物や塵埃とは別に機外に排出することができる穀粒用昇降機、及びこれを備えた穀粒乾燥機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決するために種々の検討を行った結果、無端ベルトに複数のバケットを所定間隔で取り付けた穀粒昇降機の特定箇所に、搬送する穀粒の径よりも幅の狭い複数の長孔を設けることで、該課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、前記課題を解決するための本発明の一側面は、垂直方向に設けられた無端ベルト、前記無端ベルトを回転させる回転機構、前記無端ベルトに所定間隔で取り付けられ、該無端ベルトに沿った軌道で移動する複数のバケット、並びに前記無端ベルト、前記回転機構、及び前記複数のバケットを収納すると共に、前記軌道中の、各バケットが一定の角度で上昇する領域に対向する上昇対向部に、垂直方向に伸長する形状を有し、搬送する穀粒の径よりも幅の狭い複数の長孔を有するケースを備える穀粒用昇降機である。
【0013】
また、前記課題を解決するための本発明の他の一側面は、被乾燥穀粒を流下させながら乾燥する本体部、及び前記本体部の下部から前記被乾燥穀粒を揚穀して前記本体部の上部に投入する、前記一側面に係る穀粒用昇降機を備え、前記本体部と前記穀粒用昇降機との間で前記被乾燥穀粒を循環させて乾燥する穀粒乾燥機である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、昇降機の搬送効率を低下させることなく、被乾燥穀粒中に含まれる他の植物の種子を、夾雑物や塵埃とは別に機外に排出することができる穀粒用昇降機、及びこれを備えた穀粒乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る昇降機の下部の構造を示す断面図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る昇降機の、長孔が形成されたケースを示す平面図
【
図3】本発明の第1実施形態に係る昇降機の、上昇対向部に位置する壁面に開口を有するケース本体部の構造を示す平面図
【
図4a】ケースの外側に、下部にのみ開口を有するカバー部が設置された場合の空気(風)の流れ及び他の植物の種子の様子を示す概念図
【
図4b】ケースの外側に、下部及び上部に開口を有するカバー部が設置された場合の空気(風)の流れ及び他の植物の種子の様子を示す概念図
【
図5】本発明の第2実施形態に係る穀粒乾燥機の構造を示す全体斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各側面を、一実施形態に基づいて詳細に説明するが、本発明は該実施形態に限定されるものではない。
【0017】
本発明の一側面に係る穀粒用昇降機の一実施形態(以下、「第1実施形態に係る昇降機」と記載することがある)を、
図1及び
図2に示す。第1実施形態に係る昇降機100は、垂直方向に設けられた無端ベルト11、無端ベルトを回転させる回転機構12、無端ベルトに所定間隔で取り付けられ、無端ベルト11に沿った軌道で移動する複数のバケット13、並びに無端ベルト11、回転機構12、及び複数のバケット13を収納すると共に、前記軌道中の、各バケット13が一定の角度で上昇する領域に対向する上昇対向部に、垂直方向に伸長する形状を有し、搬送する穀粒の径よりも幅の狭い複数の長孔141を有するケース14を備える。
【0018】
第1実施形態に係る昇降機100では、垂直方向に設けられた無端ベルト11が、回転機構12により回転され、これに伴って、無端ベルト11に取り付けられた複数のバケット13が、上下方向に移動する。個々のバケット13は、その軌道の下端部付近において、下降ないし水平移動しながら穀粒をその内部に掻き込んだ後、折り返して上昇しながら穀粒を掻き揚げて、これを上方向に搬送する。そして、上昇したバケット13は、その軌道の上端部において、移動方向を上昇から下降へと変える際に、内部の穀粒を搬送先へと排出し、その後下降して、再度軌道の下端へと向かう。このように、個々のバケット13が軌道内を循環することで、穀粒が下方から上方へと搬送される。
【0019】
無端ベルト11、回転機構12及び複数のバケット13は、ケース14内に収容される。ケース14には、個々のバケット13の軌道中の、各バケット13が一定の角度で上昇する領域に対向する上昇対向部に、垂直方向に伸長する形状を有し、搬送する穀粒の径よりも幅の狭い複数の長孔141が設けられる。これにより、穀粒が上昇対向部に接触しながら上昇する際に、これに混入している、穀粒よりも径の小さい他の植物の種子sが長孔を通り抜けるため、他の植物の種子sを機外に排出することができる。また、形成される孔が、垂直方向に伸長する形状の長孔141であることで、穀粒の機外への排出抑制作用を保持しつつ開口面積を大きくできるため、他の植物の種子sが機外へと排出される確率を高めることができる。
【0020】
長孔141は、上昇対向部全体に形成されていてもよく、その高さ方向の一部の領域にのみ形成されていてもよい。他の植物の種子sの除去効率を高める点からは、長孔141は、上昇対向部の下端から、無端ベルト11に取り付けられたバケット13同士の間隔の1.5倍以上の高さに亘って形成されていることが好ましく、該間隔の2倍以上の高さに亘って形成されていることがより好ましい。他方、機外に排出された他の植物の種子sの回収を容易にする点や、昇降機100の製造コストを抑える点からは、長孔141は、上昇対向部の下端から、上昇対向部の高さの半分以下の範囲に亘って形成されていることが好ましく、該高さの1/3以下の範囲に亘って形成されていることがより好ましい。
【0021】
上昇対向部に形成される個々の長孔141の幅は、搬送する穀粒の粒度分布に応じて適宜決定することができる。一例として、搬送する穀粒の平均粒径の90%以下とすることができ、80%以下としてもよい。具体的な寸法としては、搬送する穀粒が籾又は麦である場合に、1.8mm以下とすることが挙げられる。長孔の141の幅の下限値は、他の植物の種子sの粒径以上であればよく、例えば、1.5mm以上とすることができ、1.7mm以上とすることが好ましい。
【0022】
上昇対向部に複数の長孔141を有するケース14の形態としては、一体的に形成され、上昇対向部に位置する壁面に直接複数の長孔141が穿孔されたものであってもよく、
図3に示すような上昇対向部に位置する壁面に開口142を有する本体部と、該開口を覆って配置される、長孔141が形成された多孔板143とが別体に形成された、
図1及び
図2に示される構造のものであってもよい。多孔板143を備えるケース14は、長孔141の寸法や形状の異なる多孔板143を複数準備しておくことで、穀粒や他の植物の種子sの種類に応じて多孔板143を交換するだけで、種々の穀粒の搬送に対応することができる。ケース14が多孔板143を備えるものである場合、多孔板143は、板体に複数の長孔141を穿孔したものであってもよく、複数の棒状体又はワイヤーを、長孔141に相当する間隔を空けて交差させたものであってもよい。
【0023】
第1実施形態に係る昇降機100は、ケース14の外側に、複数の長孔141から所定間隔をおいて離間しつつ、水平視で該各長孔141を覆うと共に、少なくとも下方に開口を有するカバー部15を備えていてもよい。これにより、機外に排出された他の植物の種子sの落下する範囲を限定するとともに、風による他の植物の種子sの飛散を抑制することができるため、他の植物の種子sの回収が容易になる。
【0024】
カバー部15は、その上方にも開口を有するものであってもよい。これにより、ケース14の内部を除塵機で吸引しながら昇降機100を運転する場合のように、ケース14内部の気圧が大気圧より低い状態(負圧)での、他の植物の種子sの回収が容易となる。すなわち、ケース14内部が負圧となっている状態では、長孔141を通じて外部の空気がケース14内に流れ込むが、下方にのみ開口を有するカバー部15では、
図3aに示すように、他の植物の種子sが落下する方向から空気が流入することになるため、他の植物の種子sの落下が抑制されたり、機内へと逆流したりしやすい。これに対し、上方にも開口を有するカバー部15では、
図3bに示すように、上方の開口からも空気が流入するため、下方の開口から流入する空気の量が減少し、他の植物の種子sが落下しやすくなることで、その回収が容易となる。
【0025】
第1実施形態に係る昇降機100は、ケース14の外側に、複数の長孔141よりも下方に設置され、設置箇所から下方に向けて傾斜する傾斜板16備えていてもよい。これにより、機外に排出された他の植物の種子sが、傾斜板16を伝って落下するため、他の植物の種子sの落下位置が限定されることとなり、回収が容易になる。
【0026】
第1実施形態に係る昇降機100は、複数の長孔141を開閉するシャッター(図示せず)をさらに備えていてもよい。これにより、ケース14内が大気圧ないしこれよりも高い圧力(正圧)にある状態で、昇降機100を一時的に運転する必要がある場合に、その間だけシャッターを閉じて長孔141を閉塞することが可能となり、ケース14内の塵埃が長孔141から飛散することを防止できる。
【0027】
次に、本発明の他の一側面に係る穀粒乾燥機の一実施形態(以下、「第2実施形態に係る穀粒乾燥機」と記載することがある)について、
図4を参照しながら説明する。第2実施形態に係る穀粒乾燥機500は、被乾燥穀粒を流下させながら乾燥する本体部200、及び本体部200の下部から被乾燥穀粒を揚穀して本体部200の上部に投入する昇降機100を備え、本体部200と昇降機100との間で前記被乾燥穀粒を循環させて乾燥する。
【0028】
本体部200は、上段に設けられた穀粒貯留槽21と、中段に設けられた通風乾燥部22と、下段に設けられた穀粒取出槽23とを備える。穀粒貯留槽21の上方には上部コンベア24が、穀粒取出槽23の下部には穀粒搬出コンベア(図示せず)が、それぞれ設けられている。
【0029】
本体部200には、上部コンベア24と穀粒搬出コンベアとを連結するように、昇降機100が接続されている。また、昇降機100の下部には、被乾燥穀粒が投入される穀粒張込ホッパ300が接続されている。被乾燥穀粒は、穀粒張込ホッパ300に投入され、昇降機100によって本体部200の上部に運ばれる。本体部200では、被乾燥穀粒が、上部コンベア24を経て穀粒貯留槽21に貯留されるようになっている。そして、穀粒貯留槽21に貯留された被乾燥穀粒は、通風乾燥部22、穀粒取出槽23、穀粒搬出コンベアの順で本体部200中を移動し、昇降機100によって再び本体部の上部に運ばれる。このように、被乾燥粒物は、本体部200と昇降機100との間を循環することで乾燥される。
【0030】
本体部200と昇降機100との間を循環する被乾燥穀粒は、昇降機100により揚穀される度に、ケース14に形成された複数の長孔141を通じて、混入されている他の植物の種子が排出されるため、乾燥終了時には、他の植物の種子を殆ど含まないものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、昇降機の搬送効率を低下させることなく、被乾燥穀粒中に含まれる他の植物の種子を、夾雑物や塵埃とは別に機外に排出することができる穀粒用昇降機、及びこれを備えた穀粒乾燥機を提供することができる。このため、本発明は、有機農業で栽培された穀粒の搬送ないし乾燥に有用である。
【符号の説明】
【0032】
100 (第1実施形態に係る)昇降機
11 無端ベルト
12 回転機構
13 バケット
14 ケース
141 長孔
142 開口
143 多孔版
15 カバー部
16 傾斜板
200 本体部
21 穀粒貯留槽
22 通風乾燥部
23 穀粒取出槽
24 上部コンベア
300 ホッパ
500 (第2実施形態に係る)穀粒乾燥機
s 他の植物の種子
a 空気の流れ
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に設けられた無端ベルト、
前記無端ベルトを回転させる回転機構、
前記無端ベルトに所定間隔で取り付けられ、該無端ベルトに沿った軌道で移動する複数のバケット、並びに
前記無端ベルト、前記回転機構、及び前記複数のバケットを収納すると共に、前記軌道中の、各バケットが一定の角度で上昇する領域に対向する上昇対向部に、垂直方向に伸長する形状を有し、搬送する穀粒の径よりも幅の狭い、機外に開口する複数の長孔を有するケース
を備える穀粒用昇降機。
【請求項2】
前記ケースが、前記上昇対向部に位置する壁面に開口を有する本体部と、該開口を覆って配置され、前記複数の長孔が形成された多孔板とを有する、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項3】
前記ケースの外側に、前記複数の長孔から所定間隔をおいて離間しつつ、水平視で該各長孔を覆うと共に、少なくとも下方に開口を有するカバー部をさらに備える、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項4】
前記カバー部が、その上方にも開口を有する、請求項3に記載の穀粒用昇降機。
【請求項5】
前記ケースの外側に、前記複数の長孔よりも下方に設置され、設置箇所から下方に向けて傾斜する傾斜板をさらに備える、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項6】
前記複数の長孔を開閉するシャッターをさらに備える、請求項1に記載の穀粒用昇降機。
【請求項7】
被乾燥穀粒を流下させながら乾燥する本体部、及び
前記本体部の下部から前記被乾燥穀粒を揚穀して前記本体部の上部に投入する、請求項1から6のいずれか1項に記載の穀粒用昇降機
を備え、
前記本体部と前記穀粒用昇降機との間で前記被乾燥穀粒を循環させて乾燥する穀粒乾燥機。
【請求項8】
前記本体部又は前記穀粒用昇降機が、内部に浮遊する夾雑物ないし塵埃を吸引して排出する排塵機に接続されている、請求項7に記載の穀粒乾燥機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
カバー部15は、その上方にも開口を有するものであってもよい。これにより、ケース14の内部を除塵機で吸引しながら昇降機100を運転する場合のように、ケース14内部の気圧が大気圧より低い状態(負圧)での、他の植物の種子sの回収が容易となる。すなわち、ケース14内部が負圧となっている状態では、長孔141を通じて外部の空気が
ケース14内に流れ込むが、下方にのみ開口を有するカバー部15では、図4aに示すように、他の植物の種子sが落下する方向から空気が流入することになるため、他の植物の種子sの落下が抑制されたり、機内へと逆流したりしやすい。これに対し、上方にも開口を有するカバー部15では、図4bに示すように、上方の開口からも空気が流入するため、下方の開口から流入する空気の量が減少し、他の植物の種子sが落下しやすくなることで、その回収が容易となる。