(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101615
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240723BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005613
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 慎一郎
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA14
2H087NA07
2H087NA15
2H087NA17
2H087NA18
2H087PA13
2H087PA14
2H087PA16
2H087PA20
2H087PB16
2H087PB17
2H087PB18
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA44
2H087SA46
2H087SA50
2H087SA52
2H087SA55
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA71
2H087SA76
2H087SB05
2H087SB06
2H087SB12
2H087SB22
2H087SB31
2H087SB34
2H087SB36
2H087SB42
2H087SB43
2H087SB45
(57)【要約】
【課題】小型でありながらも、広画角で全ズーム範囲にわたって良好な光学性能を有するズームレンズを提供する。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群L1と正の屈折力の第2レンズ群L2を含む複数のレンズ群を有し、第2レンズ群より像側に開口絞りSPを有し、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズである。第1レンズ群は、少なくとも4つのレンズ要素を含む。第1レンズ群の焦点距離をf1、第1レンズ群における最も物体側の負レンズの焦点距離をfG1、望遠端での第1レンズ群の最も物体側の面から開口絞りまでの光軸上の距離をSt、望遠端でのズームレンズのレンズ全長をTDtとするとき、0.05≦St/TDt≦0.45および0.3≦fG1/f1≦0.98なる条件を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群を含む複数のレンズ群を有し、前記第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、少なくとも4つのレンズ要素を含み、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第1レンズ群における最も物体側の第1負レンズの焦点距離をfG1、望遠端での前記第1レンズ群の最も物体側の面から前記開口絞りまでの光軸上の距離をSt、望遠端での前記ズームレンズのレンズ全長をTDtとするとき、
0.05≦St/TDt≦0.45
0.30≦fG1/f1≦0.98
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群を含む複数のレンズ群を有し、前記第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、少なくとも3つのレンズ要素を含み、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第1レンズ群における最も物体側の第1負レンズの焦点距離をfG1、望遠端での前記第1レンズ群の最も物体側の面から前記開口絞りまでの光軸上の距離をSt、望遠端での前記ズームレンズのレンズ全長をTDtとするとき、
0.050≦St/TDt≦0.405
0.30≦fG1/f1≦0.86
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項3】
前記第1レンズ群に含まれる少なくとも1つのレンズのうちd線における屈折率が最大の材料からなるレンズのd線における屈折率をnd1m、d線を基準とするアッベ数をνd1mとするとき、
1.90≦nd1m≦2.40
23≦νd1m≦40
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第1レンズ群に含まれる少なくとも1つのレンズのうちd線における屈折率が最大の材料からなるレンズのd線とF線に関する部分分散比をθgF1mとするとき、
0.57≦θgF1m≦0.64
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第1レンズ群は、物体側から像側に順に連続して配置された前記第1負レンズと第2負レンズを含み、
前記第1負レンズと前記第2負レンズの焦点距離をそれぞれ、fG1N、fG2Nとするとき、
0.35≦|fG1/fG2|≦0.64
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記ズームレンズの全ズーム範囲でのバックフォーカスの最小値をskmとするとき、
1.8≦|f1|/skm≦4.2
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記開口絞りに対して物体側にて隣り合うレンズ要素のシェープファクタをSFXとするとき、
0.98≦SFX≦3.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記開口絞りに対して物体側にて隣り合うレンズ要素の焦点距離をfXとするとき、
1.0≦fX/f1≦2.4
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記開口絞りより像側に配置された少なくとも1つのレンズ群の広角端での合成焦点距離をfLRwとするとき、
0.4≦|f1|/fLRw≦0.7
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、前記ズームレンズにおける最も像側のレンズ群の焦点距離をfRとするとき、
0.15≦fw/fR≦0.40
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記ズームレンズにおける広角端での歪曲収差の3次収差係数をVとするとき、
0.2≦V≦1.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項12】
請求項1または2に記載のズームレンズと、
該ズームレンズにより形成された光学像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラ、ビデオカメラ、放送用カメラおよび銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮像光学系として、コンパクトで広画角なズームレンズが求められている。このようなズームレンズとして、特許文献1および特許文献2には、物体側より像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群および後続レンズ群より構成されるズームレンズが開示されている。
【0003】
第1レンズ群が負の屈折力を有する所謂ネガティブリード型のズームレンズは、広角端でレトロフォーカスの屈折力配置となることから、広画角化が比較的容易である。特に画角が90度を超える超広角ズームレンズでは、広角端での収差補正の困難さを軽減するため、広角端で収差補正に有利な屈折力配置を採ることができるネガティブリード型が選択されることが多い。
【0004】
また、特許文献3には、最も物体側および最も像側に負の屈折力のレンズ群を配置することで、光学全長の短縮をしつつ大口径化したズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-135552号公報
【特許文献2】特開2019-191307号公報
【特許文献3】特開2022-126058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ネガティブリード型のズームレンズにおいて、全系を小型化するとともに、広画角化と高い光学性能を得るには、ズームレンズを構成するレンズ群を適切に配置することが重要であり、特に第1レンズ群の構成やパワー配置が重要となる。
【0007】
本発明は、小型でありながらも、広画角で全ズーム範囲にわたって良好な光学性能を有するズームレンズおよびこれを用いた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群を含む複数のレンズ群を有し、第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズである。第1レンズ群は、少なくとも4つのレンズ要素を含む。第1レンズ群の焦点距離をf1、第1レンズ群における最も物体側の負レンズの焦点距離をfG1、望遠端での第1レンズ群の最も物体側の面から開口絞りまでの光軸上の距離をSt、望遠端でのズームレンズのレンズ全長をTDtとするとき、
0.05≦St/TDt≦0.45
0.30≦fG1/f1≦0.98
なる条件を満足することを特徴とする。
【0009】
また本発明の他の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群を含む複数のレンズ群を有し、第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズである。第1レンズ群は、少なくとも3つのレンズ要素を含む。第1レンズ群の焦点距離をf1、第1レンズ群における最も物体側の負レンズの焦点距離をfG1、望遠端での第1レンズ群の最も物体側の面から開口絞りまでの光軸上の距離をSt、望遠端でのズームレンズのレンズ全長をTDtとするとき、
0.050≦St/TDt≦0.405
0.30≦fG1/f1≦0.86
なる条件を満足することを特徴とする。なお、上記ズームレンズにより形成された光学像を受光する撮像素子を有する撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型でありながらも、広画角で全ズーム範囲にわたって良好な光学性能を有するズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での断面図。
【
図2】実施例1のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での収差図。
【
図3】実施例2のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での断面図。
【
図4】実施例2のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での収差図。
【
図5】実施例3のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での断面図。
【
図6】実施例3のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での収差図。
【
図7】実施例4のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での断面図。
【
図8】実施例4のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での収差図。
【
図9】実施例1~4のズームレンズを備えた撮像装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0013】
後述する実施例1~4のズームレンズは、物体側より像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群および正の屈折力の第2レンズ群を含む複数のレンズ群を有する。また、第2レンズ群より像側に配置された開口絞りを有する。広角端から望遠端へのズーミングに際して、少なくとも第1レンズ群L1は移動し、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が狭まる。
【0014】
ズームレンズにおいて、レンズ群は、広角端と望遠端との間でのズーミングに際して一体で移動する1または複数のレンズのまとまりである。すなわち、ズーミングに際して隣り合うレンズ群間の間隔が変化する。レンズ群は、開口絞りを含んでもよい。また、広角端と望遠端はそれぞれ、ズーミングに際して移動するレンズ群が光軸上を機構上または制御上、移動可能な範囲の両端に位置したときの最大画角(最短焦点距離)と最小画角(最大焦点距離)のズーム状態を示す。
【0015】
図1は、実施例1のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における断面を示している。後に実施例1に対応する数値例1を示す。数値例1のズームレンズは、ズーム比1.8、開口比2.9程度のズームレンズである。
【0016】
図2(A)、(B)、(C)はそれぞれ、数値例1のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での縦収差(球面収差、非点収差、歪曲および色収差)を示している。球面収差図において、FnoはFナンバーを示し、実線はd線(波長587.6nm)に対する球面収差を、二点鎖線はg線(波長435.8nm)に対する球面収差をそれぞれ示している。非点収差図において、実線Sはサジタル像面を、破線Mはメリディオナル像面を示している。歪曲収差はd線に対するものを示している。色収差図はg線における倍率色収差を示している。ωは半画角(°)である。
【0017】
図3は、実施例2のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における断面を示している。後に実施例2に対応する数値例2を示す。数値例2のズームレンズは、ズーム比1.7、開口比2.9程度のズームレンズである。
【0018】
図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ、数値例2のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での縦収差を示している。
【0019】
図5は、実施例3のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における断面を示している。後に実施例3に対応する数値例3を示す。数値例3のズームレンズは、ズーム比1.7、開口比2.9程度のズームレンズである。
【0020】
図6(A)、(B)、(C)はそれぞれ、数値例3のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での縦収差を示している。
【0021】
図7は、実施例4のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端における断面を示している。後に実施例4に対応する数値例4を示す。数値例4のズームレンズは、ズーム比1.8、開口比2.9程度のズームレンズである。
【0022】
図8(A)、(B)、(C)はそれぞれ、数値例4のズームレンズの広角端、中間ズーム位置および望遠端での縦収差を示している。
【0023】
各実施例のズームレンズは、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、銀塩フィルムカメラおよびTVカメラ等の撮像装置に撮像光学系として用いられる。また、各実施例のズームレンズは、プロジェクタ用の投射光学系として用いることもできる。各断面図において、左側が物体側(前方)で、右側方が像側(後方)である。また、iを物体側から数えたレンズ群の順番とすると、Liは第iレンズ群を示す。
【0024】
SPは開放Fナンバー(Fno)の光束を決定(制限)する開口絞りである。IPは像面である。像面IPには、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面や、銀塩フィルムカメラのフィルム面(感光面)が配置される。
【0025】
各断面図において、レンズ群の下の「Focus」が付された矢印は、そのレンズ群が無限遠から近距離へのフォーカシングに際して移動する方向を示している。
【0026】
図1に示した実施例1のズームレンズは、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4および正の屈折力の第5レンズ群L5からなる5つのレンズ群を有する。
【0027】
第1レンズ群L1は、4つのレンズ要素を有する。1つのレンズ要素には、単レンズや、負レンズと正レンズが接合された1まとまりの接合レンズが含まれる。また。レプリカ樹脂層等の複合型光学素子(ハイブリッド非球面やレプリカ非球面)の場合は、その樹脂層を含めて1つのレンズ要素とする。具体的には、例えば、光学素子に光軸上の厚みが0.5mm以下の樹脂層が形成されている場合は、光学素子と樹脂層を含めた要素を1つのレンズ要素とする。なお、光学素子の材料を規定する場合は、樹脂層を配慮しない。
【0028】
実施例1のズームレンズにおいて、無限遠合焦状態での広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1~第3レンズ群L1~L3は、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が減少するように、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が増加するように移動する。この際、第4レンズ群L4は、物体側へ単調に移動する。また、第5レンズ群L5は像面に対して不動である。
【0029】
図3に示した実施例2のズームレンズは、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、負の屈折力の第5レンズ群L5、正の屈折力の第6レンズ群L6および正の屈折力の第7レンズ群L7からなる7つのレンズ群を有する。本実施例でも、第1レンズ群L1は、4つのレンズ要素を有する。
【0030】
実施例2のズームレンズにおいて、無限遠合焦状態での広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1~第3レンズ群L1~L3は、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が減少するように、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が増加するように移動する。この際、第4レンズ群L4および第6レンズ群L6は、物体側へ単調に移動する。また、第7レンズ群L7は像面に対して不動である。
【0031】
図5に示した実施例3のズームレンズは、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5および正の屈折力の第6レンズ群L6からなる6つのレンズ群を有する。本実施例でも、第1レンズ群L1は、4つのレンズ要素を有する。
【0032】
実施例3のズームレンズにおいて、無限遠合焦状態での広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1~第3レンズ群L1~L3は、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が減少するように、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が増加するように移動する。この際、第4レンズ群L4および第5レンズ群L5は、物体側へ単調に移動する。また、第6レンズ群L6は像面に対して不動である。
【0033】
図7に示した実施例4のズームレンズは、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4および正の屈折力の第5レンズ群L5からなる5つのレンズ群を有する。本実施例でも、第1レンズ群L1は、4つのレンズ要素を有する。
【0034】
実施例4のズームレンズにおいて、無限遠合焦状態での広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1~第3レンズ群L1~L3は、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が減少するように、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が増加するように移動する。この際、第4レンズ群L4は、物体側へ単調に移動する。また、第5レンズ群L5は像面に対して不動である。
【0035】
各実施例のズームレンズにおいて、第1レンズ群L1が4つのレンズ要素を有する場合に、第1レンズ群L1の焦点距離をf1、第1レンズ群L1(ズームレンズ)の最も物体側の負レンズの焦点距離をfG1とする。また、望遠端におけるズームレンズの最も物体側の面(最前面)から開口絞りSPまでの光軸上の距離をSt、望遠端におけるズームレンズの光学全長(レンズ全長)をTDtとする。このとき、以下の式(1)、(2)の条件を満足する。
【0036】
0.05≦St/TDt≦0.45 (1)
0.30≦fG1/f1≦0.98 (2)
各実施例のズームレンズは、広画角と所定のズーム比を確保し、収差を良好に補正するために、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群L1と正の屈折力を有す第2レンズ群L2とを有し、さらに第2レンズ群L2より像側に開口絞りSPを有する。このようにネガティブリード型を選択することにより、後側主点位置を像側へ位置させることができ、広画角化と第1レンズ群の小径化を両立した広角ズームレンズを得ることができる。
【0037】
また、第1レンズ群L1は、最も物体側に配置された負の屈折力を有する第1レンズを含む少なくとも4つのレンズ要素を有する。これにより、広角化において発生し易い倍率色収差を抑制した上で第1レンズ群L1の小径化が可能となる。なお、先にも触れたが、レンズ要素としては、接合レンズを1つのレンズ要素とするほか、複合型光学素子におけるレプリカ樹脂層は1つのレンズ要素としては数えない。
【0038】
また、各実施例のズームレンズにおいて、広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1は広角端でのズーム位置から中間ズーム位置までは像側へ移動する。広角域でレトロフォーカス型のパワー配置とすることで、広角域の像面湾曲や倍率色収差を良好に補正することができる。広角端から望遠端へのズーミングにおいて、正の屈折力を有する第2レンズ群L2は物体側へ移動し、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2間の間隔が減少する。また、ズーミングに際して全てのレンズ群間の間隔を変化させることで、諸収差を良好に補正する。
【0039】
ズームレンズ全体を小型化するほど、諸収差、特に軸上色収差や倍率色収差等の色収差の発生が多くなり、光学性能が低下する傾向にある。特に第1レンズ群L1の小径化やレンズ全長の短縮を図ったレトロフォーカス型のズームレンズでは、焦点距離が短くなるにつれて色収差の発生が多くなる
第1レンズ群L1は、軸外主光線を開口絞りSPの中心に瞳結像させる役割を持っており、特に広角側においては軸外主光線の屈折量が大きいために軸外諸収差、特に非点収差と歪曲収差が発生し易い。小型化のために最も物体側の負レンズに大きな屈折力を与えることによって広角化を図り、これによって生じる歪曲収差や倍率色収差は、画像処理(電子歪曲収差補正)により補正する。
【0040】
第1レンズ群L1が少なくとも4つのレンズ要素を有するのは、広画角と所定のズーム比を確保しつつ倍率色収差や像面湾曲を良好に補正するためである。第1レンズ群L1内のパワー配置をレトロフォーカス型とすることで、第1レンズ群L1が小さい広角ズームレンズを得ることができる。
【0041】
条件式(1)は、望遠端における最前面から開口絞りSPまでの距離Stを望遠端におけるレンズ全長をTDtで規定するものであり、レンズ全長の短縮と諸収差、特に倍率色収差の発生を抑えるための条件を示す。St/TDtが条件式(1)の上限を上回るようにStが大きく(長く)なると、収差補正には有利であるが、絞り径の増大や後続のレンズ群の径の増加を招く。この結果、軽量化、特にフォーカスレンズ群の軽量化を図ることが難しくなる。St/TDtが条件式(1)の下限を下回るようにTdwが大きく(長く)なると、絞り径の抑制は容易となるが、光学全長の増大を招くため、好ましくない。
【0042】
条件式(2)は、第1レンズ群L1の最も物体側の負レンズの焦点距離fG1を第1レンズ群L1の焦点距離で規定するものである。広角化において問題となる第1レンズ群L1の径とズームレンズの全長を減少させるためのものである。fG1/f1が条件式(2)の上限を上回ると、倍率色収差の補正には有利であるが、第1レンズ群L1の大径化を招く。fG1/f1が条件式(2)の下限を下回ると、像面湾曲や歪曲収差の補正が難しくなる。この結果、レンズ数の増加を招き、レンズ全長の増大を招く。
【0043】
また、第1レンズ群L1より像側において最も物体側に正の屈折力を有す第2レンズL2を配置し、大口径化や全長を短縮した際に問題となる偏心位置精度を確保し易く、偏心コマ収差を抑制することができる。
【0044】
以上のように適切なレンズ群構成を有し、条件式(1)、(2)を同時に満足することにより、全ズーム範囲にわたって良好な光学性能を有し、広角端での画角が90度を超える超広角ズームレンズを得ることができる。
【0045】
一方、第1レンズ群L1が少なくとも3つのレンズ要素を有する場合に、以下の式(1T)、(2T)の条件を満足するようにしてもよい。
【0046】
0.050≦St/TDt≦0.405 (1T)
0.30≦fG1/f1≦0.86 (2T)
広画角と所定のズーム比を確保し、倍率色収差や像面湾曲を良好に補正するために、第1レンズ群L1を少なくとも3つのレンズ要素により構成する。この場合、少なくとも1つのレンズ要素を、接合レンズで構成することが望ましい。第1レンズ群L1の構成要素を3つにする場合、第1レンズ群L1内のパワー配置をレトロフォーカス型とすることで、第1レンズ群L1の径が小さい広角ズームレンズを得ることができる。
【0047】
以上のように適切なレンズ群構成を有し、条件式(1T)、(2T)を同時に満足することにより、全ズーム範囲にわたって良好な光学性能を有し、広角端での画角が90度を超える超広角ズームレンズを得ることができる。
【0048】
条件式(1)、(2)の数値範囲を以下のようにするとより好ましい。
【0049】
0.10≦St/TDt≦0.43 (1a)
0.52≦fG1/f1≦0.90 (2a)
条件式(1a)を満足することで、絞り径の増加を抑え、像高に対するコマ収差の変動を抑え易くなる。また条件式(2a)を満足することにより、諸収差を良好に補正した上で第1レンズ群L1の径を小さくすることができる。
【0050】
また、条件式(1a)、(2a)の数値範囲を以下のようにするとさらに好ましい。
【0051】
0.30≦St/TDt≦0.41 (1b)
0.74≦fG1/f1≦0.85 (2b)
以下、各実施例のズームレンズが満足することが好ましい条件について説明する。
【0052】
ズームレンズの広角端と望遠端における焦点距離をそれぞれfw、ft、開口絞りSP9より像側の少なくとも1つのレンズ群を含む後群LRの広角端での合成焦点距離(レンズ群が1つの場合はそのレンズ群の焦点距離)をfLRwとする。また、ズームレンズのうち最も像側のレンズ群の焦点距離をfRとする。第1レンズ群L1に含まれる少なくとも1つのレンズのうちd線における屈折率が最大の材料により形成されたレンズのd線における屈折率をnd1m、d線を基準とするアッベ数をνd1m、d線とF線に関する部分分散比をθgF1mとする。第1レンズ群L1に含まれる少なくとも1つの正レンズの屈折率とアッベ数の平均をそれぞれ、ndpa、νdpaとする。
【0053】
さらに第1レンズ群L1が、物体側から像側へ順に配置された負レンズ(第1負レンズ)G1と負レンズ(第2負レンズ)G2を有し、これら負レンズG1、G2の焦点距離をそれぞれ、fG1N、fG2Nとする。また、全ズーム範囲でのバックフォーカスの最小値をskmとする。バックフォーカスは、ズームレンズの最も像側のレンズ面(最終面)から像面(無限物点に対する近軸像面)までの光軸上の距離である。最終面と像面との間に、レンズ群ではないが、屈折力が極めて弱い光学部材が配置されている場合には、バックフォーカスとしてはこの光学部材を空気換算した値を用いる。
【0054】
アッベ数νdと部分分散比θgFは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)およびg線(435.8nm)における屈折率をそれぞれNd、NF、NCおよびNgとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
θgF=(Ng-NF)/(NF-NC)
で定義される。
【0055】
また、広角端における歪曲収差の3次収差係数をVとする。開口絞りSPに対して物体側にて隣り合う物体側レンズ要素Xの焦点距離とシェープファクタをそれぞれ、fX、SFXとする。ただし、レンズ要素が接合レンズである場合のシェープファクタは。該接合レンズの物体側の面と像側の面の形状で定義して、接合面は考慮しない。また、いずれかの面が非球面形状を有する場合は、そのベースR(基準となる2次曲面の半径)で表現する。シェープファクタSFXは、物体側レンズ要素Xの物体側の面の曲率半径をRX1、像側面の曲率半径をRX2とするとき、次式で定義される。
【0056】
SFX=(RX2+RX1)/(RX2-RX1)
以上の場合に、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(3)~(12)のうち少なくとも1つを満足することが好ましい。
【0057】
1.90≦nd1m≦2.40 (3)
23≦νd1m≦40 (4)
0.57≦θgF1m≦0.64 (5)
0.35≦|fG1/fG2|≦0.64 (6)
1.8≦|f1|/skm≦4.2 (7)
0.98≦SFX≦3.00 (8)
1.0≦fX/f1≦2.4 (9)
0.4≦|f1|/fLRw≦0.7 (10)
0.15≦fw/fR≦0.40 (11)
0.2≦V≦1.0 (12)
条件式(3)、(4)は、第1レンズ群L1を構成するレンズのうち屈折率が最大の材料からなるレンズの屈折率nd1mとアッベ数νd1mを規定するものである。ガラスの特性上、屈折率が大きくなるにつれて、アッベ数が小さくなる一方で、部分分散比θgFが大きくなる傾向がある。高屈折率の材料からレンズを構成すると、曲率が小さく(曲率半径が大きく)なり、諸収差の補正がし易くなる。
【0058】
レトロフォーカス型のズームレンズにおいて、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群L1の正レンズに高屈折率の材料を採用した場合、第1レンズ群L1の一次の色消し作用とズームレンズ全系の小型化には有利である。しかし、倍率色収差の二次スペクトルの補正が難しくなる。また、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群L1の負レンズに高屈折率の材料を採用した場合、倍率色収差の一次の色消しが不足する傾向にある。こののため、上記屈折率が最大の材料からなるレンズの屈折率とアッベ数を適切に設定することが重要である。
【0059】
nd1mが条件式(3)の上限を上回ると、像面補正には有利であるが、倍率色収差の補正が難しくなる。nd1mが条件式(3)の下限を下回ると、像面湾曲を補正するために負レンズの屈折力を弱める必要があり、その結果、第1レンズ群L1の径の増加やバックフォーカスの増加を招くため、好ましくない。
【0060】
νd1mが条件式(4)の上限を上回ると、倍率色収差の補正には有利であるが、ガラス材料として所望の屈折力を確保することが難しくなる。νd1mが条件式(4)の下限を下回ると、倍率色収差と軸上色収差の一次の色消しが難しくなるため、好ましくない。
【0061】
条件式(5)は、第1レンズ群L1を構成するレンズのうち屈折率が最大の材料からなるレンズの部分分散比を規定するものであり、倍率色収差と軸上色収差等の諸収差のバランスを良くするための条件である。θgF1mが条件式(5)の上限を上回ると、軸上色収差の補正には有利であるが、部分分散比が大きくなりすぎて像高ごとの倍率色収差の変化(曲がり)が生じて、好ましくない。θgF1mが条件式(5)の下限を下回ると、開口絞りSPより像側のレンズの色収差分担が増え、光線高さの高い位置に部分分散比の大きなレンズを配置する必要があり、径や質量の増加を招くため、好ましくない。
【0062】
条件式(6)は、負レンズG1Nと負レンズG2Nの屈折力分担を規定する。負レンズG1N、G2Nがレプリカ樹脂層等の複合型光学素子である場合は、前述したように樹脂層を含めて1つのレンズ要素として扱う。各実施例では、ズームレンズ全系の小型化を図りつつ広角化を図るために、物体側から順に2つの負レンズを配置し、その屈折力分担を条件式(6)で規定している。
【0063】
|fG1/fG2|が条件式(6)の上限を上回ると、最も物体側の負レンズG1Nの屈折力が弱く、第1レンズ群L1の径の増加を招く。|fG1/fG2|が条件式(6)の下限を下回ると、最も物体側の負レンズG1Nの屈折力が強くなり、第1レンズ群L1の小型化には有利であるが、像面湾曲や非点収差の補正が難しくなる。
【0064】
条件式(7)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1を全ズーム範囲でのバックフォーカスの最小値skmで規定するものであり、広角端における光学全長を短縮し、高い光学性能を確保するための条件を示す。光学全長は、ズームレンズの最前面から最終面までの光軸上の長さ(レンズ全長)に、空気換算値としてのバックフォーカスBFを加えた値である。
【0065】
ネガティブリード型のズームレンズでは、広角端において全体としてほぼレトロフォーカスタイプの屈折力配置として広角化を図っている。このため、広角端におけるレンズ全長を短縮するためには、第1レンズ群L1の屈折力を適切に設定する必要がある。条件式(7)を満足することにより、ズームレンズの小型化と高性能化の両立が可能となる。
【0066】
|f1|/skmが条件式(7)の上限を上回ると、第1レンズ群L1の屈折力が小さくなり、広角端で所望の画角を確保する際にレンズ全長が増加するため、好ましくない。|f1|/skmが条件式(7)の下限を下回ると、第1レンズ群L1の屈折力が大きくなり、望遠側での倍率色収差や像面湾曲の補正が難しくなる、また望遠側での球面収差やコマ収差の補正不足を招くため、好ましくない。
【0067】
条件式(8)は、開口絞りSPに対して物体側にて隣り合う物体側レンズ要素Xのシェープファクタを規定するものであり、球面収差やコマ収差を適切に補正するための条件である。SFXが条件式(8)の上限を上回ると、レンズ要素Xのメニスカス形状が強くなり、レンズの製造が難しくなる。SFXが条件式(8)の下限を下回ると、軸外の光線に対するレンズ面の入射角が大きくなり、レンズ組付け時の製造誤差に対する性能変化が大きくなるため、好ましくない。
【0068】
条件式(9)は、レンズ要素Xの屈折力を規定するものであり、球面収差やコマ収差を良好に抑えつつ、広角化を図るための条件を示す。fX/f1が条件式(9)の上限を上回ると、レンズ要素Xの屈折力が弱くなり、上述した距離Stを短縮することが困難となるため、好ましくない。また広画角化と小型化の両立が難しくなる。fX/f1が条件式(9)の下限を下回ると、レンズ要素Xの屈折力が強くなり、広角化を図るためには有利であるが、望遠域での球面収差やコマ収差の補正が難しくなるため、好ましくない。
【0069】
条件式(10)は、負の屈折力の第1レンズ群L1の焦点距離f1を開口絞りSPより像側の後群LRの広角端での合成焦点距離をfRwで規定する。|f1|/fLRwが条件式(10)の上限を上回ると、第1レンズ群L1の負の屈折力が強くなってマージナル光線の発散作用が大きくなり、後群LRでの球面収差やコマ収差の補正が難しくなる。また、|f1|/fLRwが条件式(10)の下限を下回ると、後群LRの正の屈折力が強くなって収斂作用が大きくなり、倍率色収差と軸上色収差の二次スペクトルの抑制を両立することが難しくなるため、好ましくない。
【0070】
条件式(11)は、ズームレンズの広角端での焦点距離fwを、ズーミングに際して間隔が変化しないレンズ群のうち最も像側のレンズ群の焦点距離fRで規定するものである。この条件式(11)を満足することにより、バックフォーカスを確保しつつ、レンズ全長を短縮することができる。fw/fRが条件式(11)の上限を上回るように広角端での焦点距離が長くなると、軸外収差の悪化を緩和することができるが、大口径化を図る際に望遠側での球面収差を補正することが難しくるため、好ましくない。fw/fRが条件式(11)の下限を下回るように上記最も像側のレンズ群の屈折力を小さくすると、バックフォーカスの確保が難しくなる。
【0071】
条件式(12)は、歪曲収差の3次収差係数を規定するものであり、像面湾曲と非点収差を適切に補正し、さらに電子歪曲収差補正を実施した際の引き延ばしによる解像力の劣化を抑えるためのものである。Vが条件式(12)の上限を上回ると、歪曲収差が大きくなり、ズームレンズの小型化には有利であるが、引き延ばしによる解像力の劣化が大きくなるため、好ましくない。Vが条件式(12)の下限を下回ると、像面湾曲や倍率色収差を良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。
【0072】
また、ズームレンズにより形成された光学像を撮像素子により受光する場合に、光線追跡による広角端での半画角をωwとするとき、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
【0073】
45°≦ωw≦60° (13)
ωwが条件式(13)の上限を上回ると、各画角での像圧縮が高くなり、十分な解像力を得ることが難しくなる。ωwが条件式(13)の下限を下回ると、広角ズームレンズとして必要な画角を得ることができないため、好ましくない。
【0074】
さらに各実施例のズームレンズにおいて、第1レンズ群L1を、5つ以下のレンズで構成することが好ましい。この構成により、径が大きな第1レンズ群L1を構成するレンズの数を少なくして、第1レンズ群L1の小型軽量化を図ることができる。また、第1レンズ群L1の小型化と広角域での像面湾曲や非点隔差等の軸外の収差を良好に補正するために、第1レンズ群L1において物体側から順に3つの負レンズを連続して配置することが望ましい。これにより、第1レンズ群L1内のパワー配置をレトロフォーカス型とすることができ、広角域の像面湾曲とコマ収差を良好に補正することが可能となる。
【0075】
また、第1レンズ群L1は、1つの正の屈折力の単レンズを含み、その単レンズの屈折率が1.7以上であることが望ましい。これにより、全ズーム範囲での倍率色収差を良好に補正し、かつ第1レンズ群L1の径を小さくすることが容易となる。
【0076】
また、各実施例のズームレンズにおいて、第1レンズ群L1に3つの球面レンズを含ませることが好ましい。第1レンズ群L1に球面レンズを3つ用いることにより、非球面レンズで発生し易い面形状の誤差(所謂アスやクセ成分の誤差)を抑え、非点隔差を良好に補正することができる。
【0077】
また、各実施例のズームレンズにおいて、第2レンズ群L2を1つの正レンズで構成することが好ましい。これにより、第1レンズ群L1から出射する光束の径を抑制することができ、ズームレンズの小型化が容易となる。また、第2レンズ群L2に対して像側にて隣り合うようにフォーカスレンズ群を配置する場合に、軸上光線をほぼアフォーカルにすることができ、フォーカシングに伴う球面収差やコマ収差の変動を抑制し易い。第2レンズ群L2を構成する1つの正レンズのd線を基準とするアッベ数は、40以上60以下であることが望ましい。これにより、近距離物体へのフォーカシング時の収差変動を抑制するとともに、フォーカシング時のコマ収差の波長ごとのばらつきを抑制することができる。
【0078】
各実施例のズームレンズにおいて、第3レンズ群L3を1つの負レンズで構成することが好ましい。これにより、第3レンズ群L3をフォーカスレンズ群として用しる場合に、迅速なフォーカシングが容易となる。開口絞りSPに隣り合うレンズ群をフォーカスレンズ群とすることで、大口径化した際に問題となり易いフォーカスレンズ群の質量の増加を抑えることができる。第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の焦点距離をそれぞれf2、f3とするとき、以下の式(14)の条件を満足することが望ましい。
【0079】
0.2≦|f3/f2|≦1.0 (14)
条件式(14)は、第3レンズ群L3の焦点距離を第4レンズ群L4の焦点距離で規定するものである。|f3/f2|が条件式(14)の上限を上回ると、第3レンズ群L3の屈折力が弱くなり、ズームレンズ内にフォーカシングを行うための第3レンズ群L3の移動空間を広く確保する必要が生じる。この結果、レンズ全長が増加するため、好ましくない。|f3/f2|が条件式(14)の下限を下回ると、第2レンズ群L2から射出する光束の収斂が弱くなり、フォーカシングによる球面収差や軸上色収差の変動が発生するため、好ましくない。
【0080】
また、第3レンズ群L3を構成する1つの負レンズのd線を基準とするアッベ数は45以上60以下であることが望ましい。これにより、近距離物体へのフォーカシング時の軸上色収差を抑制することができる。
【0081】
また、各実施例のズームレンズにおいて、開口絞りSPより像側の後群LRは、d線を基準とするアッベ数が75以上の正レンズを複数含むことが望ましい。広角化による倍率色収差や大口径化による軸上色収差を良好に補正するために、少なくとも2つのアッベ数75以上の正レンズを配置するとよい。さらに好ましくは、3つのアッベ数75以上の正レンズを配置するとよい。
【0082】
各実施例のズームレンズにおける最も像側のレンズ群は、ズーミングの際に像面に対し不動(固定)とすることで、交換レンズのように撮像装置から取り外される際に問題となる塵埃の付着を低減することができ、耐久性を確保し易くなる。
【0083】
また、各実施例のズームレンズにおいて、最も像側のレンズ群における最も像側のレンズは像側に凸形状のレンズであることが望ましい。この構成により、バックフォーカスの確保が比較的容易となり、また撮像素子に起因する不要光(ゴースト)の集光を抑えることができる。
【0084】
また、各実施例のズームレンズにおいて、開口絞りSPより像側のレンズ面のうち少なくとも1つは非球面形状を有することが望ましい。これにより、広角端での像面湾曲を効果的に補正しつつ、ズームレンズの小型化を図ることが可能となる。
【0085】
また、各実施例のズームレンズにおいて、第1レンズ群L1より物体側に、レンズを保護するための保護ガラスを配置してもよい。また、最も像側に配置されたレンズと像面との間に保護ガラスやローパスフィルタを配置してもよい。最も物体側や最も像側に配置された保護ガラスやローパスフィルタ等の屈折力が極めて弱い光学部材は、ズームレンズを構成するレンズとしては扱わない。なお、「屈折力が極めて弱い光学部材」とは、例えば、焦点距離の絶対値が、ズームレンズ全系の焦点距離の5倍以上である光学部材である。
【0086】
また、各実施例のズームレンズにおいて、開口絞りSPは、第3レンズ群L3に対してその像側にて隣り合っていることが望ましい。これにより、広角端で所定の画角を確保し、高変倍化に際して第1レンズ群L1の径の増加を抑制し易くなる。
【0087】
また、各実施例のズームレンズにおいて、開口絞りSPに対して像側にて隣り合うレンズは、物体側に強い凸形状を有するレンズ要素(単レンズまたは接合レンズ)からなることが望ましい。開口絞りSPに対して強い凸形状を向けたレンズ面を配置することにより、大口径化に伴う球面収差の抑制と広角域での軸外の諸収差の補正がし易くなる。さらに強い凸形状の要素を接合レンズで構成とすることで、球面収差やコマ収差の補正と像面湾曲の補正が両立し易くなる。
【0088】
各実施例のズームレンズにおいて、いずれかのレンズ群の全体または一部を、防振群として光軸に対して直交する方向に移動させて防振(像振れ補正)を行うようにしてもよい。光軸に対して直交する方向への移動は、光軸に対して直交する方向の成分を含む方向に移動させる(例えば光軸上の点を中心に回転させる)場合を含む。実施例1~4のズームレンズでは、第10レンズと第11レンズからなる接合レンズを移動させて防振を行う。なお、防振群のレンズの数や形状に制限はない。また、防振群は、負の屈折力を有することが好ましい。
【0089】
各実施例のズームレンズにおいて、いずれかのレンズ群の全体または一部を、フォーカス群として光軸方向に移動させることにより、フォーカスを行う構成とすることもできる。
【0090】
各実施例のズームレンズは、回折光学素子を含まないことが好ましい。回折光学素子を設けると色収差補正の観点からは有利となるが、回折光学素子において回折フレアが発生するため、好ましくない。
【0091】
条件式(3)~(12)の数値範囲を以下のようにするとより好ましい。
【0092】
1.905≦nd1m≦2.200 (3a)
25≦νd1m≦38 (4a)
0.575≦θgF1m≦0.625 (5a)
0.39≦|fG1/fG2|≦0.60 (6a)
2.2≦|f1|/skm≦3.5 (7a)
1.00≦SFX≦2.00 (8a)
1.1≦fX/f1≦2.0 (9a)
0.45≦|f1|/fLRw≦0.65 (10a)
0.18≦fw/fR≦0.30 (11a)
0.22≦V≦0.50 (12a)
また、条件式(3)~(12)の数値範囲を以下のようにするとさらに好ましい。
【0093】
1.91≦nd1m≦2.10 (3b)
28≦νd1m≦36 (4b)
0.58≦θgF1m≦0.61 (5b)
0.42≦|fG1/fG2|≦0.56 (6b)
2.5≦|f1|/skm≦3.1 (7b)
1.1≦SFX≦1.4 (8b)
1.2≦fX/f1≦1.6 (9b)
0.5≦|f1|/fLRw≦0.6 (10b)
0.20≦fw/fR≦0.26 (11b)
0.25≦V≦0.32 (12b)
実施例1~4のズームレンズでは、ズーミングに際して各レンズ群を移動させて全系の小型化を図っている。そして各実施例によれば、各レンズ群の構成やパワー配置による変倍負担を適切に設定することにより、高い結像性能を有すズームレンズを得ることができる。
【0094】
以下、数値例1~4を示す。各数値例において、面番号iは物体側から数えたときの面の順番を示す。rは物体側からi番目の面の曲率半径(mm)、dはi番目と(i+1)番目の面間のレンズ厚または空気間隔(mm)、ndは第i面と第(i+1)面間の光学材料のd線における屈折率である。νdとθgFは第i面と第(i+1)面間の光学材料の前述したアッベ数と部分分散比である。BFはバックフォーカス(mm)を表す。バックフォーカスおよびレンズ全長は、先に説明した通りである。半画角は、光線追跡によるものである。
【0095】
面番号に付された「*」は、その面が非球面形状を有する面であることを意味する。非球面形状は、Xを光軸方向での面頂点からの変位量、Hを光軸に直交する方向における光軸からの高さ、光の進行方向を正とし、Rを近軸曲率半径、Kを円錐定数、A4,A6,A8,A10,A12を非球面係数とするとき、以下の式で表される。
【0096】
【0097】
なる式で表している。円錐定数と非球面係数の「e-x」は×10-xを意味する。
各数値例における前述した条件式(1)~(12)に関する数値をまとめて表1に示す。
[数値例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 144.3036 1.600 1.88202 37.22 0.5770
2* 22.1371 6.609
3 83.0958 1.200 1.80420 46.50 0.5572
4 28.6986 9.218
5 -44.7549 1.200 1.49700 81.61 0.5386
6 125.9165 0.600
7 59.3716 7.271 1.91082 35.25 0.5824
8 -70.2249 (可変)
9 50.1715 2.830 1.65160 58.54 0.5390
10 -660.8048 (可変)
11 -34.0489 1.200 1.77250 49.63 0.5508
12 -526.4616 (可変)
13(絞り) ∞ 3.000
14 74.6203 5.539 1.55032 75.50 0.5405
15 -30.9554 0.300
16 33.7448 8.252 1.49700 81.61 0.5386
17 -20.0789 1.200 1.80440 39.59 0.5729
18 -130.5977 2.863
19 -66.6857 3.246 1.84666 23.79 0.6191
20 -26.7237 1.000 1.60562 43.70 0.5721
21 72.9080 3.410
22 33.2273 5.671 1.43700 95.10 0.5326
23 -27.5238 0.200
24 22.7871 6.500 1.43700 95.10 0.5326
25 -31.6567 1.000 1.83481 42.72 0.5650
26 25.0720 3.826
27* -64.2569 1.700 1.58313 59.46 0.5418
28* -800.0000 (可変)
29 -1991.3434 7.318 1.48749 70.44 0.5303
30 -33.1143 13.270
像面 ∞
非球面データ
第2面
K = 0.00000e+00 A 4=-7.11444e-06 A 6= 2.28099e-09 A 8=-8.75851e-11
A10= 2.46405e-13 A12=-4.26701e-16
第27面
K = 0.00000e+00 A 4=-7.98050e-05 A 6= 4.31831e-07 A 8=-1.02601e-08
A10= 9.74514e-11 A12=-3.31880e-13
第28面
K = 0.00000e+00 A 4=-3.06766e-05 A 6= 2.19257e-07 A 8=-3.28288e-09
A10= 3.23801e-11 A12=-9.88714e-14
各種データ
ズーム比 1.754
広角 中間 望遠
焦点距離 15.488 24.114 27.160
Fナンバー 2.900 2.900 2.900
半画角(°) 54.532 42.075 38.744
像高 17.550 20.100 20.460
レンズ全長 140.161 129.781 129.964
BF 13.270 13.270 13.270
d 8 26.926 5.641 1.872
d10 6.971 8.548 9.157
d12 4.664 3.088 2.479
d28 1.575 12.481 16.432
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -36.383
2 9 71.676
3 11 -47.174
4 13 27.146
5 29 68.992
[数値例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 91.0024 1.600 1.95375 32.32 0.5898
2 22.9141 0.250 1.51640 52.16 0.5566
3* 20.6753 6.317
4 74.3507 1.200 1.71300 53.94 0.5439
5 28.0389 8.910
6 -40.8896 1.200 1.49700 81.61 0.5386
7 79.2087 0.600
8 54.0309 7.068 1.91082 35.25 0.5824
9 -70.3602 (可変)
10 47.2746 2.602 1.65160 58.40 0.5399
11 471.6859 (可変)
12 -35.2786 1.200 1.69350 53.34 0.5462
13 -403.9895 (可変)
14(絞り) ∞ 3.000
15 289.8874 4.608 1.55032 75.50 0.5405
16 -30.3005 0.300
17 41.4830 7.511 1.49700 81.61 0.5386
18 -22.5302 1.300 1.80610 40.73 0.5670
19 -130.7862 (可変)
20 -292.1911 1.000 1.70154 41.15 0.5765
21 35.6517 2.663 1.84666 23.79 0.6191
22 86.6772 (可変)
23 46.5997 3.838 1.43700 95.10 0.5326
24 -460.5014 0.200
25 33.9936 5.541 1.49700 81.61 0.5386
26 -42.0956 0.200
27 35.8410 6.500 1.55032 75.50 0.5405
28 -25.2113 1.000 1.83481 42.72 0.5650
29 21.4777 4.257
30* -78.3877 1.200 1.58313 59.46 0.5418
31* -1000.0000 (可変)
32 -794.2155 7.195 1.48749 70.44 0.5303
33 -33.1520 14.138
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.01362e-05 A 6= 1.09536e-08 A 8=-2.12261e-10
A10= 6.98940e-13 A12=-1.19477e-15
第30面
K = 0.00000e+00 A 4=-5.32124e-05 A 6= 4.76879e-07 A 8=-1.02863e-08
A10= 8.98188e-11 A12=-2.75136e-13
第31面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.85160e-05 A 6= 2.91270e-07 A 8=-5.21828e-09
A10= 4.45444e-11 A12=-1.26266e-13
各種データ
ズーム比 1.656
広角 中間 望遠
焦点距離 16.482 24.144 27.299
Fナンバー 2.900 2.900 2.900
半画角(°) 52.826 41.811 38.443
像高 18.100 20.150 20.460
レンズ全長 141.472 133.916 132.922
BF 14.138 14.138 14.138
d 9 24.526 7.062 1.845
d11 7.469 9.000 8.929
d13 3.970 2.439 2.510
d19 3.524 3.838 3.524
d22 4.309 3.995 4.309
d31 2.276 12.185 16.407
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -35.685
2 10 80.438
3 12 -55.812
4 14 39.298
5 20 -123.718
6 23 86.827
7 32 70.749
[数値例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 76.5467 1.300 2.00100 29.13 0.5997
2 22.4418 6.615
3* 88.7043 0.100 1.51640 52.20 0.5565
4 64.8907 1.000 1.91082 35.25 0.5824
5 31.0140 8.823
6 -37.6193 1.000 1.49700 81.61 0.5386
7 63.5472 0.600
8 53.2335 7.706 1.95375 32.32 0.5898
9 -62.3908 (可変)
10 55.1718 2.205 1.71700 47.92 0.5605
11 408.0859 (可変)
12 -33.7809 1.100 1.65844 50.88 0.5560
13 -223.7955 (可変)
14(絞り) ∞ 3.000
15 103.2989 4.869 1.55032 75.50 0.5405
16 -30.8935 0.300
17 32.8265 7.880 1.48071 85.29 0.5362
18 -20.0628 1.200 1.80100 34.97 0.5864
19 -83.1668 2.752
20 -51.2246 3.193 1.84666 23.87 0.6205
21 -23.3554 1.000 1.61340 44.27 0.5633
22 77.7350 (可変)
23 32.2685 5.817 1.43700 95.10 0.5326
24 -27.6423 0.200
25 26.6231 6.500 1.55032 75.50 0.5405
26 -27.1134 1.000 1.83481 42.74 0.5648
27 22.2325 4.370
28* -63.9148 1.300 1.58313 59.46 0.5418
29* -800.0000 (可変)
30 575.7567 7.464 1.48749 70.44 0.5303
31 -33.6058 13.451
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4= 6.17177e-06 A 6=-1.29518e-08 A 8= 7.88098e-11
A10=-2.12643e-13 A12= 2.51829e-16
第28面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.03256e-04 A 6= 6.08804e-07 A 8=-1.15508e-08
A10= 1.01885e-10 A12=-3.26591e-13
第29面
K = 0.00000e+00 A 4=-5.85318e-05 A 6= 4.06348e-07 A 8=-4.66597e-09
A10= 4.05409e-11 A12=-1.14325e-13
各種データ
ズーム比 1.651
広角 中間 望遠
焦点距離 16.475 24.092 27.202
Fナンバー 2.900 2.900 2.900
半画角(°) 52.731 41.964 38.429
像高 18.100 20.150 20.420
レンズ全長 136.256 129.250 129.690
BF 13.451 13.451 13.451
d 9 21.615 5.293 1.793
d11 7.910 10.917 12.042
d13 6.437 3.429 2.304
d22 3.924 3.614 3.511
d29 1.627 11.254 15.297
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -38.998
2 10 88.746
3 12 -60.564
4 14 44.682
5 23 129.769
6 30 65.397
[数値例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 127.4188 1.400 1.95375 32.32 0.5898
2 24.9178 0.100 1.51640 52.16 0.5566
3* 22.4657 6.955
4 98.9687 1.000 1.71300 53.94 0.5439
5 33.6571 9.494
6 -41.0481 1.000 1.49700 81.61 0.5386
7 144.1644 0.600
8 67.9850 7.804 1.91082 35.25 0.5824
9 -64.9779 (可変)
10 54.3568 2.484 1.65160 58.54 0.5390
11 609.5662 (可変)
12 -35.7502 1.000 1.64850 53.02 0.5547
13 -287.7205 (可変)
14(絞り) ∞ 2.500
15 1537.8893 4.844 1.55032 75.50 0.5405
16 -32.4433 0.300
17 38.6332 8.251 1.52841 76.46 0.5396
18 -25.4116 1.000 1.79360 37.09 0.5828
19 -200.3780 7.553
20 -132.9533 3.460 1.85896 22.73 0.6284
21 -40.8207 1.000 1.74400 44.78 0.5655
22 116.4327 2.961
23 39.6295 3.294 1.43700 95.10 0.5326
24 -1056.6036 0.200
25 45.5758 5.408 1.49700 81.61 0.5386
26 -42.9428 0.200
27 32.0183 6.500 1.55397 71.76 0.5389
28 -30.3223 1.000 1.88100 40.14 0.5706
29 23.3060 4.890
30* -58.6534 1.200 1.58313 59.46 0.5418
31* -700.0000 (可変)
32 -583.9845 7.559 1.48749 70.44 0.5303
33 -33.2011 13.330
像面 ∞
非球面データ
第3面
K = 0.00000e+00 A 4=-7.45027e-06 A 6= 4.25581e-09 A 8=-9.63349e-11
A10= 2.71199e-13 A12=-4.22553e-16
第30面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.05495e-04 A 6= 8.55788e-07 A 8=-1.06693e-08
A10= 7.47737e-11 A12=-2.06882e-13
第31面
K = 0.00000e+00 A 4=-6.84221e-05 A 6= 6.50483e-07 A 8=-5.61205e-09
A10= 3.36657e-11 A12=-7.90314e-14
各種データ
ズーム比 1.789
広角 中間 望遠
焦点距離 17.423 24.044 31.170
Fナンバー 2.900 2.900 2.900
半画角(°) 51.201 42.348 34.556
像高 18.100 20.150 20.430
レンズ全長 153.392 143.135 141.859
BF 13.330 13.330 13.330
d 9 30.057 11.866 1.842
d11 9.116 10.473 11.922
d13 5.232 3.875 2.427
d31 1.701 9.635 18.383
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -40.840
2 10 91.426
3 12 -63.048
4 14 30.594
5 32 71.888
【0098】
【0099】
[撮像装置]
図9は、実施例1~4のズームレンズを撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)を示している。10はカメラ本体、11は撮影光学系である。12はカメラ本体10に内蔵されて、撮影光学系11により形成された光学像を受光して光電変換(撮像)するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子である。カメラ本体10はクイックターンミラーを有する一眼レフカメラでもよいし、クイックターンミラーを有さないミラーレスカメラでもよい。
【0100】
各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いることにより、全体として小型で高画質の撮像画像を取得可能な撮像装置を得ることができる。
【0101】
以上の実施の形態には、以下の構成が含まれる。
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群を含む複数のレンズ群を有し、前記第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、少なくとも4つのレンズ要素を含み、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第1レンズ群における最も物体側の第1負レンズの焦点距離をfG1、望遠端での前記第1レンズ群の最も物体側の面から前記開口絞りまでの光軸上の距離をSt、望遠端での前記ズームレンズのレンズ全長をTDtとするとき、
0.05≦St/TDt≦0.45
0.30≦fG1/f1≦0.98
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
(構成2)
物体側から像側へ順に配置された負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群を含む複数のレンズ群を有し、前記第2レンズ群より像側に開口絞りを有し、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、少なくとも3つのレンズ要素を含み、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第1レンズ群における最も物体側の第1負レンズの焦点距離をfG1、望遠端での前記第1レンズ群の最も物体側の面から前記開口絞りまでの光軸上の距離をSt、望遠端での前記ズームレンズのレンズ全長をTDtとするとき、
0.050≦St/TDt≦0.405
0.30≦fG1/f1≦0.86
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
(構成3)
前記第1レンズ群に含まれる少なくとも1つのレンズのうちd線における屈折率が最大の材料からなるレンズのd線における屈折率をnd1m、d線を基準とするアッベ数をνd1mとするとき、
1.90≦nd1m≦2.40
23≦νd1m≦40
なる条件を満足することを特徴とする構成1または2に記載のズームレンズ。
(構成4)
前記第1レンズ群に含まれる少なくとも1つのレンズのうちd線における屈折率が最大の材料からなるレンズのd線とF線に関する部分分散比をθgF1mとするとき、
0.57≦θgF1m≦0.64
なる条件を満足することを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成5)
前記第1レンズ群は、物体側から像側に順に連続して配置された前記第1負レンズと第2負レンズを含み、
前記第1負レンズと前記第2負レンズの焦点距離をそれぞれ、fG1N、fG2Nとするとき、
0.35≦|fG1/fG2|≦0.64
なる条件を満足することを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成6)
前記ズームレンズの全ズーム範囲でのバックフォーカスの最小値をskmとするとき、
1.8≦|f1|/skm≦4.2
なる条件を満足することを特徴とする構成1から5のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成7)
前記開口絞りに対して物体側にて隣り合うレンズ要素のシェープファクタをSFXとするとき、
0.98≦SFX≦3.00
なる条件を満足することを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成8)
前記開口絞りに対して物体側にて隣り合うレンズ要素の焦点距離をfXとするとき、
1.0≦fX/f1≦2.4
なる条件を満足することを特徴とする構成1または2に記載のズームレンズ。
(構成9)
前記開口絞りより像側に配置された少なくとも1つのレンズ群の広角端での合成焦点距離をfLRwとするとき、
0.4≦|f1|/fLRw≦0.7
なる条件を満足することを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成10)
前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、前記ズームレンズにおける最も像側のレンズ群の焦点距離をfRとするとき、
0.15≦fw/fR≦0.40
なる条件を満足することを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成11)
前記ズームレンズにおける広角端での歪曲収差の3次収差係数をVとするとき、
0.2≦V≦1.0
なる条件を満足することを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成12)
構成1から11のいずれか1つに記載のズームレンズと、
該ズームレンズにより形成された光学像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【0102】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
SP 開口絞り
LR 後群