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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101622
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20240723BHJP
   A61M 1/34 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61M1/16 111
A61M1/34 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005631
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金川 隆生
(72)【発明者】
【氏名】村上 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 将太
(72)【発明者】
【氏名】篠川 光正
(72)【発明者】
【氏名】村田 晃一
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD05
4C077DD07
4C077DD26
4C077EE01
4C077EE04
4C077HH05
4C077HH16
4C077JJ08
4C077JJ09
4C077JJ19
4C077JJ22
4C077JJ28
4C077KK23
(57)【要約】
【課題】血液回路への所定の液体の流入量低下を抑制しつつ、液供給管路内に残存する所定の液体をできる限り回収する。
【解決手段】本開示に基づく血液浄化装置1において、センサ71は、液供給管路40において第1バルブ40Vより上流側に位置する検知対象部に設けられている。制御部90は、第1バルブ40Vが開状態かつ液供給ポンプ40Pが稼働しているときに、センサ71から検知対象部にて液供給管路40内の液体が実質的に空になったことを示す信号の入力を受け付ける第1のステップS10と、第1のステップS10の後、液供給ポンプ40Pが所定の液体を所定量流したか否かを判断する第2のステップS20と、第2のステップS20において液供給ポンプ40Pが所定の液体を上記所定量流したと判断した場合に、液供給ポンプ40Pの稼働を停止させる第3のステップS30とを実施する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化器と、
前記血液浄化器に接続され、前記血液浄化器に血液を流入させるための動脈側血液回路と、
前記血液浄化器に接続され、前記血液浄化器から血液を流出させるための静脈側血液回路と、
前記血液浄化器、前記動脈側血液回路、または、前記静脈側血液回路に接続され、所定の液体を供給する液供給管路と、
前記血液浄化器から排出された排液を流す排液管路と、
前記動脈側血液回路に設けられ、血液を送り出す血液ポンプと、
前記液供給管路に設けられ、前記所定の液体を送り出す液供給ポンプと、
前記排液管路に設けられ、前記排液を送り出す排液ポンプと、
前記液供給管路に設けられ、前記液供給管路を開閉する第1バルブと、
前記液供給管路において前記第1バルブより上流側に位置する検知対象部に設けられ、前記検知対象部において前記液供給管路内の液体が実質的に空になったことを検知可能なセンサと、
前記センサからの入力に応じて、前記液供給ポンプおよび前記第1バルブを少なくとも制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1バルブが開状態かつ前記液供給ポンプが稼働しているときに、前記センサから前記検知対象部にて前記液供給管路内の液体が実質的に空になったことを示す信号の入力を受け付ける第1のステップと、
前記第1のステップの後、前記液供給ポンプが前記所定の液体を所定量流したか否かを判断する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて前記液供給ポンプが前記所定の液体を前記所定量流したと判断した場合に、前記液供給ポンプの稼働を停止させる第3のステップとを実施する、血液浄化装置。
【請求項2】
前記制御部が前記センサの入力を受け付けると、前記制御部によって発報させられる警報部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1のステップの後、前記液供給ポンプが前記所定の液体を前記所定量流すまで前記警報部の発報を停止させる、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記液供給管路において前記液供給ポンプと前記第1バルブとの間に接続された第1接続管路と、
前記第1接続管路の液供給管路側とは反対側の端部に設けられ、前記液供給管路から流入した前記所定の液体を一時的に貯液し、貯液した前記所定の液体を送出可能な第1計量バッグと、
前記第1接続管路に設けられた第2バルブと、
前記第1計量バッグが取り付けられた取付部と、
前記取付部に接続され、前記第1計量バッグを含む前記取付部に取り付けられた物品の重量を測定し、測定された重量値を前記制御部に出力可能な秤とをさらに備え、
前記制御部は、
前記第1のステップの前に、前記秤から入力される重量値に基づいて前記第1計量バッグの重量が所定の閾値以下であるか否かを判断し、前記閾値以下でないと判断した場合には前記第1バルブを閉状態かつ前記第2バルブを開状態として前記液供給ポンプを稼働させ、前記閾値以下であると判断した場合には前記第1バルブを開状態かつ前記第2バルブを閉状態として前記液供給ポンプを稼働させる、請求項1または請求項2に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-000803号公報(特許文献1)には、従来の血液浄化装置が開示されている。この血液浄化装置は、血液浄化器と、上流側血液管路と、下流側血液管路と、補液管路と、排液管路と、血液ポンプと、補液を送り出す第2ポンプと、排液を送り出す第3ポンプと、補液管路を開閉する第1バルブとを備えている。補液管路の上流端は、補液および透析液である第1液を供給する、第1供給源と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-000803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血液浄化装置を用いてたとえば血漿交換(Plasma Exchange:PE)を行う場合、血液回路に流入させる液体として新鮮凍結血漿(Fresh Frozen Plasma:FFP)またはアルブミン製剤などが使用される。このような液体は比較的高価である。このため、血液回路に流入させる所定の液体はできる限り使い切ることが望ましい。しかしながら、この液体を十分に使い切る(回収する)ため、液供給管路内に残存した当該液体が少なくなった後も液供給ポンプを稼働し続けると、予め設定された液供給ポンプによる流量設定値と比較して、血液回路への当該液体の流入量が低下する。
【0005】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、血液回路への所定の液体の流入量低下を抑制しつつ、液供給管路内に残存する上記所定の液体をできる限り回収することができる、血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく血液浄化装置は、血液浄化器と、動脈側血液回路と、静脈側血液回路と、液供給管路と、排液管路と、血液ポンプと、液供給ポンプと、排液ポンプと、第1バルブと、センサと、制御部とを備えている。動脈側血液回路は、血液浄化器に接続されている。動脈側血液回路は、血液浄化器に血液を流入させるため回路である。静脈側血液回路は、血液浄化器に接続されている。静脈側血液回路は、血液浄化器から血液を流出させるための回路である。液供給管路は、血液浄化器、動脈側血液回路、または、静脈側血液回路に接続され、所定の液体を供給する。排液管路は、血液浄化器から排出された排液を流す。血液ポンプは、動脈側血液回路に設けられ、血液を送り出す。液供給ポンプは、液供給管路に設けられ、上記所定の液体を送り出す。排液ポンプは、排液管路に設けられ、排液を送り出す。第1バルブは、液供給管路に設けられ、液供給管路を開閉する。センサは、液供給管路において第1バルブより上流側に位置する検知対象部に設けられている。センサは、検知対象部において液供給管路内に液体が実質的に空になったことを検知可能である。制御部は、センサからの入力に応じて、液供給ポンプおよび第1バルブを少なくとも制御する。制御部は、第1バルブが開状態かつ液供給ポンプが稼働しているときに、センサから検知対象部にて液供給管路内の液体が実質的に空になったことを示す信号の入力を受け付ける第1のステップと、第1のステップの後、液供給ポンプが上記所定の液体を所定量流したか否かを判断する第2のステップと、第2のステップにおいて液供給ポンプが上記所定の液体を所定量流したと判断した場合に、液供給ポンプの稼働を停止させる第3のステップとを実施する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、検知対象部において所定の液体が空になったことをセンサによって検知した後も、液供給ポンプを稼働し続けることによって、液供給管路内に残存する上記所定の液体をできる限り回収することができる。また、センサの検知後は上記所定の液体を所定量のみ流す設定にすることで、血液回路への上記所定の液体の流入量低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。
図2】本開示の一実施形態に係る血液浄化装置の制御部と各構成との電気的接続関係を示すブロック図である。
図3】本開示の一実施形態における、第1液体回収処理の流れを示すフロー図である。
図4】本開示の一実施形態において、第1計量バッグの重量が閾値以下でないと判断されたときの血液浄化装置の状態を示す回路図である。
図5】本開示の一実施形態において、第1計量バッグの重量が閾値以下であると判断されたときの血液浄化装置の状態を示す回路図である。
図6】本開示の一実施形態における、第2液体回収処理の流れを示すフロー図である。
図7】本開示の一実施形態において、センサが検知したとときの血液浄化装置の状態を示す回路図である。
図8】本開示の一実施形態において、液供給ポンプの稼働を停止したときの血液浄化装置の状態の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態に係る血液浄化装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0010】
以下の実施形態の説明においては、血液浄化装置として、血漿交換(Plasma Exchange:PE)に用いられる血液浄化装置について説明する。ただし、血液浄化装置は、持続的血液浄化療法(Continuous blood purification therapy:CBP)、持続緩徐式血液浄化療法(Continuous Renal Replacement Therapy:CRRT)、持続的血液濾過透析法(continuous hemodiafiltration:CHDF)、持続的血液ろ過法(continuous hemofiltration:CHF)、持続的血液透析法(continuous hemodialysis:CHD)、および、持続緩徐式限外濾過(Slow Continuous UltraFiltration:SCUF)のいずれかに用いられる血液浄化装置であってもよい。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図2は、本開示の一実施形態に係る血液浄化装置の制御部と各構成との電気的接続関係を示すブロック図である。
【0012】
図1および図2に示すように、本開示の一実施形態に係る血液浄化装置1は、血液浄化器10と、動脈側血液回路20と、血液ポンプ20Pと、静脈側血液回路30と、液供給管路40と、液供給ポンプ40Pと、第1バルブ40Vと、排液管路50と、第4バルブ50Vと、排液ポンプ50Pと、第1接続管路60と、第2バルブ60Vと、第1計量バッグ61と、第2接続管路62と、第3バルブ62Vと、第2計量バッグ63と、取付部64と、秤65と、センサ71と、警報部80と、制御部90とを備えている。
【0013】
血液浄化器10は、たとえば中空糸膜からなる半透膜を内部に含んでいる。血液浄化器10は、血液入口11と、血液出口12と、排液出口13とを有している。血液入口11には、動脈側血液回路20が接続されている。血液出口12には、静脈側血液回路30が接続されている。排液出口13には、排液管路50が接続されている。
【0014】
動脈側血液回路20は、血液浄化器10に接続され、血液浄化器10に血液を流入させるための回路である。血液ポンプ20Pは、動脈側血液回路20に設けられ、血液を送り出す。動脈側血液回路20において、血液ポンプ20Pと血液浄化器10との間には、動脈側エアートラップチャンバ21が設けられている。
【0015】
患者の動脈から採取された血液は、動脈側血液回路20を流れて動脈側エアートラップチャンバ21を通過する際に圧力計にて圧力を測定された後、血液入口11から血液浄化器10内に流入する。動脈側エアートラップチャンバ21は、動脈側血液回路20内の血液に空気が混入することを防止するために設けられている。
【0016】
静脈側血液回路30は、血液浄化器10に接続され、血液浄化器10から血液を流出させるための回路である。静脈側血液回路30には、静脈側エアートラップチャンバ31が設けられている。
【0017】
血液浄化器10によって浄化された血液は、静脈側血液回路30を流れて静脈側エアートラップチャンバ31を通過する際に圧力計にて圧力を測定された後、患者の静脈に返される。静脈側エアートラップチャンバ31は、静脈側血液回路30内の血液に空気が混入することを防止するために設けられている。
【0018】
液供給管路40は、血液浄化器10、動脈側血液回路20、または、静脈側血液回路30に接続され、血液回路に所定の液体を供給する。
【0019】
本実施形態において、液供給管路40は静脈側血液回路30に接続されている。より具体的には、液供給管路40は、静脈側血液回路30において静脈側エアートラップチャンバ31より上流側に接続されている。換言すれば、液供給管路40は、静脈側血液回路30において血液浄化器10と静脈側エアートラップチャンバ31との間に接続されている。血液浄化装置1は、いわゆる後希釈法を採用している。
【0020】
本実施形態において、上記所定の液体は具体的には補液である。液供給管路40は、具体的には補液管路であり、後述する液供給ポンプ40Pは、具体的には補液ポンプである。なお、上記所定の液体は補液に限定されず、治療液であってもよい。上記所定の液体が治療液である場合、液供給管路40は血液浄化器10に接続され、液供給管路40は具体的には治療液管路であり、後述する液供給ポンプ40Pは治療液ポンプである。
【0021】
液供給ポンプ40Pは、液供給管路40に設けられ、上記所定の液体を送り出す。液供給ポンプ40Pはペリスタルティックフィンガ式ポンプであるが、ローラ式ポンプであってもよい。
【0022】
第1バルブ40Vは、液供給管路40に設けられ、液供給管路40を開閉する。第1バルブ40Vは、液供給管路40において液供給ポンプ40Pより上流側に設けられている。
【0023】
液供給管路40は、センサ71が設けられている検知対象部41を有する。検知対象部41は、液供給管路40において第1バルブ40Vより上流側に位置する。
【0024】
液供給管路40は、上流端部42と下流端部43とを有している。上流端部42には、上記所定の液体が貯液された供給源44が設けられている。上流端部42は、検知対象部41の略上方に位置している。下流端部43は、動脈側血液回路20または静脈側血液回路30に接続され、本実施形態においては静脈側血液回路30に接続されている。
【0025】
液供給管路40には、上記所定の液体を加熱する複数の液体ヒータ45がさらに設けられている。液体ヒータ45は、液供給ポンプ40Pより下流側に設けられている。すなわち、液体ヒータ45は、液供給管路40において液供給ポンプ40Pと静脈側血液回路30との間に設けられている。
【0026】
排液管路50は、血液浄化器10から排出された排液を流す。排液ポンプ50Pは、排液管路50に設けられ、排液を送り出す。排液ポンプ50Pはペリスタルティックフィンガ式ポンプであるが、ローラ式ポンプであってもよい。
【0027】
第4バルブ50Vは、排液管路50に設けられ、排液管路50を開閉する。第4バルブ50Vは排液ポンプ50Pより下流側に設けられている。
【0028】
排液管路50の下流端には、排液タンク51が接続されている。排液タンク51は、血液浄化器10から排出された排液を貯留する。
【0029】
第1接続管路60は、液供給管路40において液供給ポンプ40Pと第1バルブ40Vとの間に接続されている。第2バルブ60Vは、第1接続管路60に設けられている。
【0030】
第1計量バッグ61は、第1接続管路60の液供給管路40側とは反対側の端部に設けられている。第1計量バッグ61は、液供給管路40から流入した上記所定の液体を一時的に貯液し、貯液した上記所定の液体を液供給管路40に送出可能に構成されている。第1計量バッグ61は、空気抜き用の孔が形成されていない軟質の袋である。
【0031】
第2接続管路62は、排液管路50において排液ポンプ50Pと第4バルブ50Vとの間に接続されている。第3バルブ62Vは、第2接続管路62に設けられている。
【0032】
第2計量バッグ63は、第2接続管路62の排液管路50側とは反対側の端部に設けられている。第2計量バッグ63は、排液管路50から流入した排液を一時的に貯液し、貯液した排液を排液管路50に送出可能に構成されている。第2計量バッグ63は、空気抜き用の孔が形成されていない軟質の袋である。
【0033】
取付部64には、第1計量バッグ61および第2計量バッグ63が取り付けられている。秤65の重量測定部は、取付部64に接続されている。本実施形態において秤65はロードセルであるが、ばねばかりなどであってもよい。
【0034】
秤65は、取付部64に取り付けられた物品(本実施形態においては第1計量バッグ61および第2計量バッグ63)の全体の重量を測定し、測定された重量値を制御部90に出力可能に構成されている。このため、たとえば第3バルブ62Vが閉じているときには、制御部90が、第1計量バッグ61の重量の経時変化を測定できる。
【0035】
センサ71は、液供給管路40において第1バルブ40Vより上流側に位置する検知対象部41に設けられている。センサ71は、検知対象部41において液供給管路40内の液体が実質的に空になったことを検知可能に構成されている。センサ71は、いわゆる超音波による透過型の空検知器であって、具体的には液供給管路40の検知対象部41内を流れる上記所定の液体中に気泡が含まれていることを検知可能な超音波センサである。
【0036】
血液浄化装置1は、さらに制御部90に接続された設定入力部72を備えている。設定入力部72は、ユーザによる入力を受け付ける。具体的には、血液ポンプ20P、液供給ポンプ40Pおよび排液ポンプ50Pなどの各ポンプの流量値の設定の入力など、各種の治療条件の入力を受け付ける。また、設定入力部72は、後述する液体回収処理における、センサ71検知後の「所定量」の値の入力、および、「閾値」の具体的な値の入力も受け付け可能である。
【0037】
設定入力部72の具体的なデバイスは特に限定されないが、たとえばユーザのタッチ入力を受け付けるタッチパネルおよびディスプレイが重畳的に配置された、タッチスクリーンなどが挙げられる。
【0038】
警報部80は、制御部90がセンサ71の入力を受け付けると、制御部90によって発報させられる。警報部80はたとえば警報ランプであってもよいし、制御部90に接続されたディスプレイであってもよい。警報部80がディスプレイである場合、発報はたとえば警告画面の表示である。
【0039】
制御部90は、秤65の重力測定部、センサ71、設定入力部72、血液ポンプ20P、液供給ポンプ40P、排液ポンプ50P、第1バルブ40V、第2バルブ60V、第3バルブ62V、第4バルブ50V、警報部80、およびその他各種圧力計の各々と、電気的に接続されている。また、制御部90は、秤65、センサ71、設定入力部72、および各種圧力計からの入力に応じて、血液ポンプ20P、液供給ポンプ40P、排液ポンプ50P、第1バルブ40V、第2バルブ60V、第3バルブ62V、第4バルブ50V、および、警報部80を制御可能に構成されている。
【0040】
以下、血液浄化装置1において、第1計量バッグ61および液供給管路40内の上記所定の液体を回収するときに制御部90が実行する処理である、液体回収処理について説明する。
【0041】
液体回収処理において、制御部90は、第1計量バッグ61内の上記所定の液体を回収する第1液体回収処理を実行した後、液供給管路40内の上記所定の液体を回収する第2液体回収処理を実行する。まず、第1液体回収処理のフローを説明する。
【0042】
図3は、本開示の一実施形態における、第1液体回収処理の流れを示すフロー図である。図3に示すように、制御部90は、まず、秤65から入力される重量値に基づいて第1計量バッグ61の重量が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S01)。当該閾値は、設定入力部72からのユーザによる入力によって制御部90に記憶された設定値でもよいし、ユーザ入力によらず制御部90が予め記憶している値でもよい。当該閾値はたとえば5gである。
【0043】
図4は、本開示の一実施形態において、第1計量バッグの重量が閾値以下でないと判断されたときの血液浄化装置の状態を示す回路図である。図3および図4に示すように、制御部90は、第1計量バッグ61の重量が閾値以下でないと判断した場合に(S01にてNO)、第1バルブ40Vを閉状態、第2バルブ60Vを開状態として、液供給ポンプ40Pを稼働させる(S02)。これにより、液供給管路40の上流端部42に設けられる供給源44からの上記所定の液体の供給を停止して、第1計量バッグ61内に残存する上記所定の液体をできる限り回収することができる。
【0044】
また、本実施形態において、制御部90は、ステップS02の際またはステップS02より前に、第4バルブ50Vを開状態として、血液ポンプ20Pおよび排液ポンプ50Pも稼働させる。これにより、液体回収作業中にも引き続き患者を治療できる。さらに、ステップS02の際には、制御部90は、第3バルブ62Vを閉状態にする。これにより、第1計量バッグ61の重量の経時変化を測定可能となる。
【0045】
ステップS02の後、制御部90は、第1計量バッグ61の重量が閾値以下であるか否かを再び判断する(S03)。図5は、本開示の一実施形態において、第1計量バッグの重量が閾値以下であると判断されたときの血液浄化装置の状態を示す回路図である。図3および図5に示すように、第1計量バッグ61の重量が閾値以下であると判断された場合には(S03にてYES)、第1バルブ40Vを開状態かつ第2バルブ60Vを閉状態とする(S04)。これにより、第1計量バッグ61内に残存する上記所定の液体を可能な限り回収した上で、第2液体回収処理(液供給管路40内の所定の液体の回収処理)に移ることができる。ステップS02にて、第1計量バッグ61の重量が閾置以下でないと判断された場合には(S03にてNO)、再度ステップS03を実行する。
【0046】
なお、ステップS01にて第1計量バッグ61の重量が閾値以下であると判断した場合には(S01にてYES)、第1バルブ40Vを開状態かつ第2バルブ60Vを閉状態として液供給ポンプ40Pを稼働させる(S05)。これにより、第1計量バッグ61内に残存する上記所定の液体の量がすでに少ないことを確認した上で、第2液体回収処理(液供給管路40内の上記所定の液体の回収処理)に移ることができる。ステップS05の際には、ステップS02の際と同様に、制御部90は、ステップS05の際またはステップS05より前に、第3バルブ62Vを閉状態、第4バルブ50Vを開状態として、血液ポンプ20Pおよび排液ポンプ50Pを稼働させる。
【0047】
上記の第1液体回収処理の後、血液浄化装置1は第2液体回収処理に移る。次に、第2液体回収処理について説明する。
【0048】
図6は、本開示の一実施形態における、第2液体回収処理の流れを示すフロー図である。図7は、本開示の一実施形態において、センサが検知したときの血液浄化装置の状態を示す回路図である。図6および図7に示すように、制御部90は、第1バルブ40Vが開状態、第2バルブ60Vが閉状態であって、かつ、液供給ポンプ40Pが稼働しているときに、センサ71から、検知対象部41にて液供給管路40内に液体が実質的に空になったことを示す信号の入力を受け付ける(第1のステップS10)。すなわち、当該信号の入力は、液供給管路40の上流端部42に接続された供給源44内の上記所定の液体が使い切られた状態であることを示す。
【0049】
制御部90は、第1のステップS10の後、警報部80の発報を停止させる(S11)。これにより、第2液体回収処理中、具体的には、液供給管路40内の上記所定の液体の回収中において不要な警報部80の発報を抑制できる。
【0050】
制御部90は、第1のステップの後、液供給ポンプ40Pが上記所定の液体を所定量流したか否かを判断する(第2のステップS20)。当該所定量は、設定入力部72からのユーザによる入力によって制御部90に記憶された設定値でもよいし、ユーザ入力によらず制御部90が予め記憶している値でもよい。
【0051】
制御部90は、第2のステップS20において、センサ71による検知後、液供給ポンプ40Pが上記所定の液体を所定量流していないと判断した場合(第2のステップS20にてNO)、再度ステップS11および第2のステップS20の処理を行う。すなわち、制御部90は、第1のステップS10の後、液供給ポンプ40Pが上記所定の液体を所定量流したと判断するまで警報部80の発報を停止させる。
【0052】
制御部90は、第2のステップS20において、液供給ポンプ40Pが上記所定の液体を所定量流したと判断した場合(第2のステップS20にてYES)に液供給ポンプ40Pの稼働を停止させる(第3のステップS30)。図8は、本開示の一実施形態において、液供給ポンプの稼働を停止したときの血液浄化装置の状態の一例を示す回路図である。図8に示すように、液供給ポンプ40Pが上記所定の液体を所定量流した後に液供給ポンプ40Pの稼働を停止させることで、血液回路(静脈側血液回路30)への液供給管路40内の上記所定の液体の流入量が低下することを抑制しつつ、液供給管路40内に残存する上記所定の液体をできる限り回収(使用)することができる。
【0053】
また、本実施形態において、第3のステップS30では、液供給ポンプ40Pの稼働の停止に伴い、排液ポンプ50Pを停止させる。これにより、上記所定の液体の流入の停止とともに、排液の流出を停止させる。さらに、第3のステップS30では、第1バルブ40Vおよび第4バルブ50Vを閉状態にして、上記所定の液体の流入の停止および排液の流出の停止をより確実に実施する。
【0054】
なお、上述の上記所定の液体の「所定量」とは、第2液体回収処理における液供給ポンプ40Pの設定流量値(すなわち、単位時間あたりに移動させる上記所定の液体の体積の設定値)に基づいて推計された上記所定の液体の体積量であり、正味の上記所定の液体の積算流量とは異なっている場合がある。具体的には、「所定量」は、液供給ポンプ40Pの設定流量値に液供給ポンプ40Pの稼働時間を掛け合わせることで算出される。「所定量」は、液供給管路40の容積に対応する所定容積に設定されることが好ましい。これにより、液供給管路40の容積に対応する所定容積のぶんだけ、液供給管路40内の上記所定の液体を回収することができる。液供給管路40の容積に対応する「所定容積」は、たとえば、液供給管路40のうち、上流端部42から下流端部43までの全容積であってもよいし、検知対象部41から下流端部43までの容積であってもよい。「所定容積」は、たとえば70mL程度である。
【0055】
そして、図6に示すように、制御部90は、第3のステップS30にて液供給ポンプ40Pの稼働を停止させるとともに、警報部80を発報させる(ステップS31)。これにより、上記所定の液体の回収処理が終了したことをユーザが容易に認識できる。
【0056】
上述のように、本開示の一実施形態において、センサ71は、液供給管路40において第1バルブ40Vより上流側に位置する検知対象部に設けられている。センサ71は、検知対象部において液供給管路40内に液体が実質的に空になったことを検知可能である。制御部90は、センサ71からの入力に応じて、液供給ポンプ40Pおよび第1バルブ40Vを少なくとも制御する。制御部90は、第1バルブ40Vが開状態かつ液供給ポンプ40Pが稼働しているときに、センサ71から検知対象部にて液供給管路40内の液体が実質的に空になったことを示す信号の入力を受け付ける第1のステップS10と、第1のステップS10の後、液供給ポンプ40Pが上記所定の液体を所定量流したか否かを判断する第2のステップS20と、第2のステップS20において液供給ポンプ40Pが上記所定の液体を上記所定量流したと判断した場合に、液供給ポンプ40Pの稼働を停止させる第3のステップS30とを実施する。
【0057】
上記の構成によれば、検知対象部41において上記所定の液体が空になったことをセンサ71によって検知した後も、液供給ポンプ40Pを稼働し続けることによって、液供給管路40内に残存する上記所定の液体をできる限り回収することができる。また、センサ71の検知後は上記所定の液体を所定量のみ流す設定にすることで、血液回路への上記所定の液体の流入量低下を抑制できる。
【0058】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 血液浄化装置、10 血液浄化器、11 血液入口、12 血液出口、13 排液出口、20 動脈側血液回路、20P 血液ポンプ、21 動脈側エアートラップチャンバ、30 静脈側血液回路、31 静脈側エアートラップチャンバ、40 液供給管路、40P 液供給ポンプ、40V 第1バルブ、41 検知対象部、42 上流端部、43 下流端部、44 供給源、45 液体ヒータ、50 排液管路、50P 排液ポンプ、50V 第4バルブ、51 排液タンク、60 第1接続管路、60V 第2バルブ、61 第1計量バッグ、62 第2接続管路、62V 第3バルブ、63 第2計量バッグ、64 取付部、65 秤、71 センサ、72 設定入力部、80 警報部、90 制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8