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▶ 日本圧着端子製造株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101641
(43)【公開日】2024-07-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01R13/42 D
H01R13/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005657
(22)【出願日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】小西 雄一
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG14
5E087GG15
5E087GG17
5E087GG31
5E087MM05
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】コンタクトとハウジングとを係合させる係合アームの破損を好適に防止し、コンタクト保持力を向上させることができる、コネクタを提供する。
【解決手段】コンタクト11には、コンタクト高さ方向の一方でハウジング12に係合するコンタクト側第1係合部15と、コンタクト高さ方向の他方でハウジング12に係合するコンタクト側第2係合部16とが設けられる。ハウジング12には、コンタクト挿入孔22の内側において、ハウジング高さ方向でコンタクト側第1係合部15と係合するハウジング側第1係合部23と、ハウジング高さ方向の他方でコンタクト側第2係合部16と係合するハウジング側第2係合部24と、が設けられる。ハウジング側第1係合部23は、片持ち状に延びる係合アームとして設けられる。ハウジング側第2係合部24は、コンタクト11が引き抜かれる方向でコンタクト側第2係合部16と係合する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に接続されるコンタクトと、前記コンタクトが挿入されて当該コンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタであって、
前記コンタクトには、当該コンタクトが前記ハウジングに挿入される方向と垂直な方向であるコンタクト高さ方向の一方に設けられて前記ハウジングに係合するコンタクト側第1係合部と、前記コンタクト高さ方向の他方に設けられて前記ハウジングに係合するコンタクト側第2係合部とが設けられ、
前記ハウジングには、前記コンタクトが挿入されるコンタクト挿入孔と、前記コンタクト挿入孔の内側において前記コンタクトが挿入される方向と垂直な方向であるハウジング高さ方向の一方に設けられて前記コンタクト側第1係合部と係合するハウジング側第1係合部と、前記コンタクト挿入孔の内側において前記ハウジング高さ方向の他方に設けられて前記コンタクト側第2係合部と係合するハウジング側第2係合部と、が設けられ、
前記コンタクト側第1係合部および前記ハウジング側第1係合部の一方は、片持ち状に延びる係合アームとして設けられ、
前記ハウジング側第2係合部は、前記コンタクト挿入孔に挿入された状態の前記コンタクトが当該コンタクト挿入孔から引き抜かれる方向において、前記コンタクト側第2係合部と係合するように構成されていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記コンタクト側第2係合部は、前記コンタクトにおいて、当該コンタクトが前記コンタクト挿入孔に挿入される際の先端の端部側とは反対側で段状に切り欠き形成された縁部分として設けられ、
前記ハウジング側第2係合部は、前記コンタクト挿入孔の内側で前記ハウジング高さ方向において凹んだ段差部分として設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコネクタであって、
前記コンタクト挿入孔に挿入された状態の前記コンタクトに接続された前記電線に対して前記コンタクトを前記コンタクト挿入孔から引き抜く方向の外力が作用したときに、前記係合アームが撓み、前記コンタクト挿入孔の内側において前記コンタクトが前記ハウジング高さ方向の一方側から他方側へ付勢され、前記コンタクト側第2係合部と前記ハウジング側第2係合部とが係合することを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記ハウジング側第1係合部が前記係合アームとして設けられ、
前記ハウジングには、前記コンタクトが挿入される端部である挿入端部と、前記接続対象に対して接続される端部である接続端部と、が設けられ、
前記係合アームとしての前記ハウジング側第1係合部は、前記コンタクト挿入孔の内側で、前記挿入端部側から前記接続端部側に向かって片持ち状に延びていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記コンタクト側第1係合部が前記係合アームとして設けられ、
前記係合アームとしての前記コンタクト側第1係合部は、前記コンタクトにおいて、当該コンタクトが前記コンタクト挿入孔に挿入される際の先端の端部側から当該コンタクトが前記電線に接続される端部側に向かって片持ち状に延びていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタが用いられている。このようなコネクタにおいては、ハウジングにおいて、コンタクトが挿入されるコンタクト挿入孔が設けられる。さらに、このようなコネクタにおいては、コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトを保持するために、コンタクト挿入孔の内側で片持ち状に延びてコンタクトとハウジングとを係合させる係合アームが設けられる。コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトをハウジングに保持するためにコンタクトとハウジングとを係合させる係合アームが設けられたコネクタとして、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタは、電線に接続されるコンタクトとしての端子10と、端子10が挿入されるコンタクト挿入孔である端子収容部9が設けられたハウジングとしてのソケットハウジング100とを備えている。そして、ソケットハウジング100には、端子10に係合する係合アームとしての端子係止部5が設けられている。端子係止部5は、端子収容部9の内側で片持ち状に延びるように設けられ、端子収容部9に挿入された端子10と係合するように構成されている。このように、特許文献1に開示されたコネクタは、ソケットハウジング100に設けられた片持ち状の係合アームとしての端子係止部5が端子10と係合することで、端子10とソケットハウジング100とが係合して端子10がソケットハウジング100において保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-70831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたコネクタにおいては、ソケットハウジング100の端子収容部9内で片持ち状に延びる係合アームとしての端子係止部5が端子10と係合することで端子10がソケットハウジング100に保持される。しかし、特許文献1のコネクタにおいては、端子収容部9に挿入された状態の端子10に接続された電線に対して端子10をソケットハウジング100から引き抜く方向の外力が作用した場合、その外力が大きいと、片持ち状に延びる係合アームとして設けられた端子係止部5が過度に撓んでしまい、端子係止部5が破損してしまう虞がある。或いは、片持ち状の係合アームとしての端子係止部5が過度に撓んで大きく変形することで、端子10と端子係止部5との係合が外れ易くなってしまう虞がある。このため、端子10の保持力が低下してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトをハウジングに保持するためにコンタクトとハウジングとを係合させる係合アームが破損してしまうことを好適に防止し、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するための本発明のある局面に係るコネクタは、電線に接続されるコンタクトと、前記コンタクトが挿入されて当該コンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタに関する。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、前記コンタクトには、当該コンタクトが前記ハウジングに挿入される方向と垂直な方向であるコンタクト高さ方向の一方に設けられて前記ハウジングに係合するコンタクト側第1係合部と、前記コンタクト高さ方向の他方に設けられて前記ハウジングに係合するコンタクト側第2係合部とが設けられ、前記ハウジングには、前記コンタクトが挿入されるコンタクト挿入孔と、前記コンタクト挿入孔の内側において前記コンタクトが挿入される方向と垂直な方向であるハウジング高さ方向の一方に設けられて前記コンタクト側第1係合部と係合するハウジング側第1係合部と、前記コンタクト挿入孔の内側において前記ハウジング高さ方向の他方に設けられて前記コンタクト側第2係合部と係合するハウジング側第2係合部と、が設けられ、前記コンタクト側第1係合部および前記ハウジング側第1係合部の一方は、片持ち状に延びる係合アームとして設けられ、前記ハウジング側第2係合部は、前記コンタクト挿入孔に挿入された状態の前記コンタクトが当該コンタクト挿入孔から引き抜かれる方向において、前記コンタクト側第2係合部と係合するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、ハウジングのコンタクト挿入孔にコンタクトが挿入された状態においては、コンタクト挿入孔の内側におけるハウジング高さ方向の一方側では、係合アームとして設けられたハウジング側第1係合部およびコンタクト側第1係合部の一方と他方とが係合する。そして、コンタクト挿入孔の内側におけるハウジング高さ方向の他方側では、ハウジング側第2係合部とコンタクト側第2係合部とが係合するように構成されている。このため、コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトは、コンタクト挿入孔の内側において、ハウジング高さ方向の両側でハウジングと係合するように構成されている。さらに、ハウジング側第2係合部とコンタクト側第2係合部とは、コンタクト挿入孔に挿入された状態のコンタクトがコンタクト挿入孔から引き抜かれる方向において係合するように構成されている。このため、コンタクト挿入孔に挿入された状態のコンタクトに接続された電線に対してコンタクトをハウジングから引き抜く方向の外力が作用した場合は、係合アームによる係合に加えて、ハウジング側第2係合部とコンタクト側第2係合部との係合によっても、コンタクトがハウジングに保持される。これにより、コンタクトを引き抜く方向の外力が大きい場合であっても、ハウジング側第2係合部とコンタクト側第2係合部との係合によってコンタクトのコンタクト挿入孔内での変位が規制され、係合アームが過度に撓んで破損してしまうことが好適に防止される。さらに、片持ち状の係合アームが過度に撓んで大きく変形することが防止され、係合アームによる係合が外れてしまうことが防止される。よって、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができる。
【0009】
したがって、上記の構成によると、コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトをハウジングに保持するためにコンタクトとハウジングとを係合させる係合アームが破損してしまうことを好適に防止でき、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができる、コネクタを提供することができる。
【0010】
(2)前記コンタクト側第2係合部は、前記コンタクトにおいて、当該コンタクトが前記コンタクト挿入孔に挿入される際の先端の端部側とは反対側で段状に切り欠き形成された縁部分として設けられ、前記ハウジング側第2係合部は、前記コンタクト挿入孔の内側で前記ハウジング高さ方向において凹んだ段差部分として設けられていてもよい。
【0011】
この構成によると、コンタクトを引き抜く方向の外力が作用したときに係合するハウジング側第2係合部とコンタクト側第2係合部との構成を、ハウジング内の段差部分とコンタクトにて段状に切り欠き形成した縁部分とで構成した簡素な構造で実現することができる。
【0012】
(3)前記コンタクト挿入孔に挿入された状態の前記コンタクトに接続された前記電線に対して前記コンタクトを前記コンタクト挿入孔から引き抜く方向の外力が作用したときに、前記係合アームが撓み、前記コンタクト挿入孔の内側において前記コンタクトが前記ハウジング高さ方向の一方側から他方側へ付勢され、前記コンタクト側第2係合部と前記ハウジング側第2係合部とが係合してもよい。
【0013】
この構成によると、コンタクトを引き抜く方向の外力が作用したときに、係合アームが撓んでコンタクトがハウジング高さ方向の一方側から他方側へ付勢され、ハウジング高さ方向の他方側において、コンタクト側第2係合部とハウジング側第2係合部とがより強固に係合することになる。このため、係合アームの破損をさらに好適に防止でき、コンタクト保持力をさらに向上させることができる。
【0014】
(4)前記ハウジング側第1係合部が前記係合アームとして設けられ、前記ハウジングには、前記コンタクトが挿入される端部である挿入端部と、前記接続対象に対して接続される端部である接続端部と、が設けられ、前記係合アームとしての前記ハウジング側第1係合部は、前記コンタクト挿入孔の内側で、前記挿入端部側から前記接続端部側に向かって片持ち状に延びていてもよい。
【0015】
この構成によると、ハウジング側第2係合部とコンタクト側第2係合部とが係合していることで、ハウジング側第1係合部として設けられた係合アームが過度に撓んで破損してしまうことが好適に防止される。さらに、ハウジング側第1係合部として設けられた片持ち状の係合アームが過度に撓んで大きく変形することを防止でき、コンタクト保持力を向上させることができる。
【0016】
(5)前記コンタクト側第1係合部が前記係合アームとして設けられ、前記係合アームとしての前記コンタクト側第1係合部は、前記コンタクトにおいて、当該コンタクトが前記コンタクト挿入孔に挿入される際の先端の端部側から当該コンタクトが前記電線に接続される端部側に向かって片持ち状に延びていてもよい。
【0017】
この構成によると、コンタクト側第2係合部とハウジング側第2係合部とが係合していることで、コンタクト側第1係合部として設けられた係合アームが過度に撓んで破損してしまうことが好適に防止される。さらに、コンタクト側第1係合部として設けられた片持ち状の係合アームが過度に撓んで大きく変形することを防止でき、コンタクト保持力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、コンタクト挿入孔に挿入されたコンタクトをハウジングに保持するためにコンタクトとハウジングとを係合させる係合アームが破損してしまうことを好適に防止し、コンタクトをハウジングにおいて保持するコンタクト保持力を向上させることができる、コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタが相手側の接続対象である相手側コネクタに接続された状態を示す斜視図である。
図2図2(A)は、コネクタと相手側コネクタとが接続される前の状態を示す断面図であり、図2(B)は、コネクタと相手側コネクタとが接続された状態を示す断面図である。
図3】第1実施形態のコネクタを示す斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す図である。
図4図3に示すコネクタの断面図であって、コンタクトがハウジングに挿入される前の状態を示す図である。
図5図3に示すコネクタの断面図であって、コンタクトがハウジングに挿入された状態を示す図である。
図6図3に示すコネクタの断面図であって、ハウジングのコンタクト挿入孔に挿入された状態のコンタクトに接続された電線に対してコンタクトをコンタクト挿入孔から引き抜く方向の外力が作用したときの状態を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るコネクタを示す斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す図である。
図8図7に示すコネクタの断面図であって、コンタクトがハウジングに挿入される前の状態を示す図である。
図9図7に示すコネクタの断面図であって、コンタクトがハウジングに挿入された状態を示す図である。
図10図7に示すコネクタの断面図であって、ハウジングのコンタクト挿入孔に挿入された状態のコンタクトに接続された電線に対してコンタクトをコンタクト挿入孔から引き抜く方向の外力が作用したときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0021】
[第1実施形態]
(コネクタの概略構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ1が相手側の接続対象である相手側コネクタ100に接続された状態を示す斜視図である。図2(A)は、コネクタ1と相手側コネクタ100とが接続される前の状態を示す断面図であり、図2(B)は、コネクタ1と相手側コネクタ100とが接続された状態を示す断面図である。図3は、第1実施形態のコネクタ1を示す斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す図である。なお、図1乃至図3は、コネクタ1に電線10が接続されている状態を示しており、図1乃至図3において、電線10については、コネクタ1に接続される部分を模式的に示している。
【0022】
図1乃至図3に示すコネクタ1は、複数のコンタクト11と、複数のコンタクト11を保持するハウジング12とを、備えて構成されている。複数のコンタクト11は、複数の電線10に対して、それぞれ接続される。そして、複数のコンタクト11のそれぞれは、ハウジング12に挿入されてハウジング22に保持される。本実施形態では、ハウジング12に保持される複数のコンタクト11として2つのコンタクト11が備えられたコネクタ1の形態を例示している。尚、コネクタ1において備えられるコンタクト11の数としては、2つである形態に限らず、種々の数であってもよい。
【0023】
コネクタ1は、複数のコンタクト11のそれぞれにおいて電線10に接続されることで、複数の電線10に対して接続される。そして、コネクタ1は、複数の電線10が接続された状態で、相手側の接続対象である相手側コネクタ100に接続されることで、複数の電線10と相手側コネクタ100とを電気的に接続するように構成されている。
【0024】
コネクタ1が接続される相手側の接続対象である相手側コネクタ100は、例えば、基板101に実装される基板用コネクタとして設けられ、基板101に対して接続される。複数の電線10に接続されたコネクタ1と相手側コネクタ100とが接続されることで、複数の電線10と基板101とが電気的に接続される。相手側コネクタ100は、相手側ハウジング112と、相手側ハウジング112に保持される複数の相手側コンタクト111と、を有している。
【0025】
相手側ハウジング112は、コネクタ1のハウジング12と嵌合することでハウジング12に接続されるように構成されている。また、相手側ハウジング112には、複数の嵌合孔112aが設けられている。複数の嵌合孔112aのそれぞれは、ハウジング12における後述の複数のコンタクト保持部17の接続端部21側の部分がそれぞれ嵌合するように構成されている。ハウジング12における後述の複数のコンタクト保持部17の接続端部21側の部分が複数の嵌合孔112aのそれぞれに嵌合することで、ハウジング12と相手側ハウジング112とが嵌合により接続される。
【0026】
複数の相手側コンタクト11のそれぞれは、コネクタ1における複数のコンタクト11のそれぞれと電気的に接続されるように構成されている。複数の相手側コンタクト111は、相手側ハウジング112に保持されており、複数の嵌合孔112aの内側に配置されている。そして、コネクタ1のハウジング12が相手側コネクタ100の相手側ハウジング112に対して嵌合して接続されることで、コネクタ1の複数のコンタクト11と相手側コネクタ100の複数の相手側コンタクト111とがそれぞれ接触して電気的に接続される。
【0027】
尚、本実施形態では、コネクタ1が接続される相手側の接続対象が基板101に接続される相手側コネクタ100である形態を例示しているが、この形態に限られなくてもよい。即ち、コネクタ1が接続される相手側の接続対象は、基板101に接続される形態以外の相手側コネクタとして構成されてもよく、例えば、他のコネクタに対して接続される中継コネクタの形態であってもよい。
【0028】
以下、本実施形態のコネクタ1のさらに詳細な構成について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図3および後述の図面において両端矢印X1~X3で示すように、コネクタ1における前後方向X1、高さ方向X2、および幅方向X3を定義する。前後方向X1は、コネクタ1においてコンタクト11がハウジング12に挿入される方向と平行な方向として構成される。また、前後方向X1は、コネクタ1と相手側コネクタ100とが嵌合して接続する方向に平行な方向も構成している。高さ方向X2および幅方向X3は、前後方向X1に垂直な方向として構成され、高さ方向X2と幅方向X3とは互い垂直な方向として構成される。なお、本実施形態では、幅方向X3は、ハウジング12に保持される複数のコンタクト11がハウジング12において並んで配置される方向として構成されている。
【0029】
[コンタクト]
図4は、コネクタ1の断面図であって、コンタクト11がハウジング12に挿入される前の状態を示す図である。図5は、コネクタ1の断面図であって、コンタクト11がハウジング12に挿入された状態を示す図である。
【0030】
図2乃至図5を参照して、コンタクト11は、コネクタ1においては、複数備えられている。複数のコンタクト11のそれぞれは、導電性を有する金属材料で形成され、電線10に接続されるとともに、ハウジング12に挿入されてハウジング12に保持されるように構成されている。なお、図3乃至図5を参照して、コンタクト11は、ハウジング12に対して、前後方向X1に沿って挿入されて保持される。すなわち、コンタクト11がハウジング12に挿入される方向は前後方向X1と平行に設定されている。また、複数のコンタクト11は、その長手方向が前後方向X1に沿って互いに平行に延びた状態で、ハウジング12に保持される。そして、コンタクト11は、コネクタ1と相手側コネクタ100とが接続された際に、相手側コネクタ100の相手側コンタクト111と接触して相手側コンタクト111と電線10とを電気的に接続するように構成されている。
【0031】
図2乃至図5を参照して、複数のコンタクト11のそれぞれには、電線接続部13、コンタクト接続部14、コンタクト側第1係合部15、およびコンタクト側第2係合部16が設けられており、電線接続部13、コンタクト接続部14、コンタクト側第1係合部15、およびコンタクト側第2係合部16は、コンタクト11において一体に設けられている。なお、本実施形態では、コンタクト側第1係合部15およびコンタクト側第2係合部16は、コンタクト接続部14に形成されている。また、電線接続部13とコンタクト接続部14とは、直列に並んで一体に設けられており、電線接続部13とコンタクト接続部14とが並ぶ方向が、コンタクト11の長手方向を構成している。
【0032】
電線接続部13は、コンタクト11の長手方向における一方の端部側の部分として設けられ、電線10に対して圧着によって接続される部分として設けられている。電線10は、心線と心線の周囲を覆う絶縁被覆とを有しており、電線10におけるコンタクト11に接続される端部においては、絶縁被覆が一部除去され、心線が外部に露出している。なお、図2乃至図5においては、電線10については模式的に示しており、電線10の心線の図示を省略し、電線10の絶縁被覆の部分に対応した外形のみを図示している。電線接続部13は、電線10の端部における心線が絶縁被覆で覆われた部分と外部に露出した心線の部分との両方の部分に亘って電線10の端部に対してかしめられることで電線10に圧着されて接続される。
【0033】
コンタクト接続部14は、コンタクト11の長手方向における他方の端部側の部分として設けられている。すなわち、コンタクト接続部14は、コンタクト11の長手方向における電線接続部13側と反対の端部側の部分として設けられている。また、コンタクト接続部14は、コンタクト11がハウジング12に挿入される際の先端の端部側の部分として設けられている。そして、コンタクト接続部14は、相手側コネクタ100の相手側コンタクト111に対して接続される部分として設けられている。
【0034】
コンタクト接続部14は、筒状の形状を形成するように屈曲形成された部分として設けられている。そして、コンタクト接続部14は、筒状の部分の内側に相手側コネクタ100の相手側コンタクト111が嵌合することで、相手側コンタクト111と接続されるように構成されている。また、コンタクト接続部14には、筒状の部分の内側において、接続された相手側コンタクト11に対して常時接触した状態となるように屈曲した板バネ状に形成されたバネ接点14aが設けられている。
【0035】
コンタクト11には、ハウジング12に挿入された状態でハウジング12に係合する係合用部分として、コンタクト側第1係合部15とコンタクト側第2係合部16との2つの係合用部分が設けられている。なお、本実施形態では、コンタクト側第1係合部15およびコンタクト側第2係合部16は、いずれも、コンタクト接続部14に設けられている。
【0036】
コンタクト側第1係合部15は、コンタクト11がハウジング12に挿入される方向と垂直な方向であるコンタクト高さ方向の一方に設けられてハウジング12に係合する係合用部分として構成されている。コンタクト11がハウジング12に挿入される方向は、前後方向X1と平行な方向として構成される。そして、コンタクト11のハウジング12への挿入方向と垂直な方向であるコンタクト高さ方向は、前後方向X1と垂直な方向である高さ方向X2と同じ方向として構成される。すなわち、コンタクト側第1係合部15は、コンタクト11において、高さ方向X2の一方に設けられている。なお、以下の説明では、コンタクト高さ方向について、高さ方向X2と同じ符号を用い、コンタクト高さ方向X2とも称する。
【0037】
また、本実施形態では、コンタクト側第1係合部15は、コンタクト接続部14におけるコンタクト高さ方向X2の一方に設けられている。筒状のコンタクト接続部14には、コンタクト高さ方向X2の一方において、貫通孔として切り欠き形成された切り欠き孔が形成されている。そして、コンタクト側第1係合部15は、コンタクト接続部14に形成された切り欠き孔の縁部分として設けられている。コンタクト側第1係合部15は、ハウジング12に対して、後述する係合アームとして設けられるハウジング側第1係合部23において係合するように構成されている。
【0038】
コンタクト側第2係合部16は、コンタクト高さ方向X2における他方に設けられてハウジング12に係合する係合用部分として構成されている。すなわち、コンタクト側第2係合部16は、コンタクト高さ方向X2において、コンタクト側第1係合部15がハウジング12に係合する側とは反対側でハウジング12に係合するように構成されている。
【0039】
また、コンタクト側第2係合部16は、コンタクト接続部14におけるコンタクト高さ方向X2の他方に設けられている。筒状のコンタクト接続部14は、コンタクト11がハウジング12に挿入される際には、ハウジング12に設けられたコンタクト挿入孔22において挿入される。コンタクト接続部14には、コンタクト11がコンタクト挿入孔22に挿入される際の先端の端部側とは反対の電線接続部13側において段状に切り欠き形成された部分が設けられている。そして、コンタクト側第2係合部16は、コンタクト接続部14におけるコンタクト挿入孔22への挿入先端側とは反対側で段状に切り欠き形成された縁部分として設けられている。すなわち、コンタクト側第2係合部16は、コンタクト11において、コンタクト11がコンタクト挿入孔22に挿入される際の先端の端部側とは反対側で段状に切り欠き形成された縁部分として設けられている。
【0040】
[ハウジング]
図1乃至図5を参照して、ハウジング12は、複数のコンタクト11が挿入されて複数のコンタクト11を保持するとともに、相手側コネクタ100の相手側ハウジング112に対して嵌合して接続されるように構成されている。ハウジング12は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。そして、ハウジング12には、複数のコンタクト保持部17と、基部18と、ロックアーム19とが備えられている。
【0041】
複数のコンタクト保持部17は、ハウジング12において、複数のコンタクト11をそれぞれ保持する部分として設けられている。複数のコンタクト保持部17のそれぞれは、前後方向X1に沿って角筒状に延びる部分として設けられ、前後方向X1に沿って互いに平行に延びるように設けられている。また、複数のコンタクト保持部17は、幅方向X3に並んで設けられている。そして、複数のコンタクト保持部17のそれぞれは、複数のコンタクト11のそれぞれを保持するように構成されている。各コンタクト保持部17は、前後方向X1における一方の端部側からコンタクト11が挿入されてコンタクト11を保持するように構成されている。そして、複数のコンタクト保持部17のそれぞれは、前後方向X1における他方の端部側において、相手側コネクタ100の相手側ハウジング112に設けられた複数の嵌合孔112aのそれぞれに嵌合し、相手側ハウジング112に対して接続されるように構成されている。
【0042】
基部18は、ハウジング12において、複数のコンタクト保持部17を一体に結合する部分として設けられ、複数のコンタクト保持部17と前後方向X1における反対側の部分として設けられている。基部18は、前後方向X1に沿って互いに平行に角筒状に延びる複数のコンタクト保持部17を、前後方向X1における一方の端部側であってコンタクト11が挿入される端部側において一体に結合するように構成されている。
【0043】
ロックアーム19は、ハウジング12において、ハウジング12が相手側ハウジング112に嵌合してコネクタ1が相手側コネクタ100と接続する際に相手側ハウジング112に係合してコネクタ1と相手側コネクタ100とをロックする部分として設けられている。ロックアーム19は、基部18の外側で基部18から片持ち状に延びるように設けられている。ロックアーム19は、基部18における高さ方向X2における一方の端面側において基部18と一体に設けられ、基部18の高さ方向X2の一方の端面と略平行に前後方向X1に沿って片持ち状に延びるように設けられている。ロックアーム19は、ハウジング12における複数のコンタクト保持部17が相手側ハウジング112に嵌合する際に相手側ハウジング112の外面に設けられたロック爪112bと係合するように構成されている(図1を参照)。ハウジング12と相手側ハウジング112とが、ロックアーム19とロック爪112bとで係合することで、コネクタ1と相手側コネクタ100とが接続された状態でロックされる。
【0044】
ここで、ハウジング12の構成について、更に詳しく説明する。図1乃至図5を参照して、ハウジング12には、挿入端部20、接続端部21、コンタクト挿入孔22、ハウジング側第1係合部23、およびハウジング側第2係合部24が設けられている。
【0045】
ハウジング12の挿入端部20は、ハウジング12におけるコンタクト11が挿入される端部として構成され、ハウジング12の前後方向X1における一方の端部として設けられており、本実施形態では、基部18の端部として設けられている。挿入端部20には、複数のコンタクト挿入孔22が開口している。コンタクト11は、挿入端部20で開口したコンタクト挿入孔22からハウジング12へと挿入される。
【0046】
ハウジング12の接続端部21は、ハウジング12において、コネクタ1の相手側の接続対象である相手側コネクタ100に対して接続される端部として構成されている。接続端部21は、ハウジング12の前後方向X1における挿入端部20とは反対側の端部として設けられており、ハウジング12の前後方向X1における基部18側と反対側の端部として設けられている。そして、ハウジング12の接続端部21は、ハウジング12のコンタクト保持部17における相手側コネクタ100の相手側ハウジング112に対して接続される端部として構成されている。すなわち、コンタクト保持部17において相手側コネクタ100の相手側ハウジング112の嵌合孔112aに嵌合して相手側ハウジング112に対して接続される端部であるコンタクト保持部17の端部が、ハウジング12の接続端部21を構成している。また、本実施形態では、複数のコンタクト保持部17のそれぞれにおいて、相手側コネクタ100の相手側ハウジング112の嵌合孔112aに嵌合して相手側ハウジング112に接続される端部である接続端部21が設けられている。
【0047】
図2乃至図5を参照して、コンタクト挿入孔22は、ハウジング12において、挿入端部20から接続端部21にかけて貫通するように設けられてコンタクト11が挿入される孔として設けられている。コンタクト挿入孔22は、ハウジング12において、複数設けられている。複数のコンタクト挿入孔22のそれぞれは、前後方向X1に沿ってハウジング12を貫通するように設けられている。コンタクト挿入孔22は、ハウジング12において、基部18から複数のコンタクト保持部17のそれぞれに亘って前後方向X1に沿って貫通して延びるように設けられている。すなわち、各コンタクト保持部17には、基部18から前後方向X1に沿って貫通して延びるコンタクト挿入孔22が設けられている。そして、各コンタクト挿入孔22は、基部18の端部である挿入端部20とコンタクト保持部17の端部である接続端部21との両側において外部に開口している。
【0048】
コンタクト11は、コンタクト挿入孔22に対して挿入端部20側から挿入されて、コンタクト保持部17においてコンタクト挿入孔22内で保持される。なお、コンタクト11は、電線10に接続された状態で、コンタクト接続部14側からコンタクト挿入孔22に挿入され、コンタクト11の全体がコンタクト挿入孔22に内に配置されて収容された状態でコンタクト保持部17によって保持される。コンタクト11がコンタクト保持部17によってコンタクト挿入孔22内で保持された状態では、コンタクト11に接続された電線10は、挿入端部20から外側に引き出された状態となる。
【0049】
ハウジング12には、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11に係合する係合用部分として、ハウジング側第1係合部23とハウジング側第2係合部24との2つの係合用部分が設けられている。ハウジング側第1係合部23およびハウジング側第2係合部24は、いずれも、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11と係合する係合用部分として設けられている。そして、ハウジング12において、ハウジング側第1係合部23とハウジング側第2係合部24とは、それぞれ複数設けられており、各ハウジング側第1係合部23および各ハウジング側第2係合部24が、各コンタクト挿入孔22に対応して設けられている。
【0050】
ハウジング側第1係合部23は、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11が挿入される方向と垂直な方向であるハウジング高さ方向の一方に設けられてコンタクト11のコンタクト側第1係合部15と係合する係合用部分として構成されている。コンタクト11がコンタクト挿入孔22に挿入される方向は、前後方向X1と平行な方向として構成される。そして、コンタクト11のコンタクト挿入孔22への挿入方向と垂直な方向であるハウジング高さ方向は、前後方向X1と垂直な方向である高さ方向X2と同じ方向として構成される。すなわち、ハウジング側第1係合部23は、ハウジング12のコンタクト挿入孔22において、高さ方向X2の一方に設けられている。なお、以下の説明では、ハウジング高さ方向について、高さ方向X2と同じ符号を用い、ハウジング高さ方向X2とも称する。
【0051】
また、本実施形態では、ハウジング側第1係合部23は、コンタクト挿入孔22内において片持ち状に延びる係合アームとして設けられている。ハウジング側第1係合部23は、各コンタクト保持部17に設けられ、各コンタクト保持部17におけるコンタクト挿入孔22の内側で片持ち状に延びるように設けられている。そして、係合アームとしてのハウジング側第1係合部23は、コンタクト挿入孔22の内側で、挿入端部20側から接続端部21側に向かって片持ち状に延びている。
【0052】
係合アームとして設けられたハウジング側第1係合部23は、コンタクト挿入孔22におけるハウジング高さ方向X2の一方の内壁から片持ち状に延びるように設けられている。すなわち、片持ち状に延びるハウジング側第1係合部23の根本部分は、コンタクト挿入孔22のハウジング高さ方向X2の一方の内壁と一体に設けられている。そして、ハウジング側第1係合部23は、コンタクト挿入孔22の内側で接続端部21側に向かって片持ち状に延びている。なお、ハウジング側第1係合部23は、コンタクト挿入孔22の内側に向かって少し傾斜した状態で挿入端部20側から接続端部21側に向かって片持ち状に延びている。また、片持ち状に延びるハウジング側第1係合部23は、先端側の端部において段状に凹み形成された凹部23aが設けられている。そして、ハウジング側第1係合部23は、先端側の端部に設けられた凹部23aにおいて、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11のコンタクト側第1係合部15と係合するように構成されている。
【0053】
コンタクト挿入孔22にコンタクト11が挿入されると、まず、コンタクト11の先端側の端部が、ハウジング側第1係合部23における片持ち状に延びる途中部分に対して当接する。これにより、ハウジング側第1係合部23がコンタクト挿入孔22内でハウジング高さ方向X2における一方側へ一旦撓む。そして、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11のコンタクト側第1係合部15がハウジング側第1係合部23の先端側の端部を通過すると、ハウジング側第1係合部23が弾性回復して撓みが元に戻る。ハウジング側第1係合部23の撓みが戻ると、コンタクト側第1係合部15がハウジング側第1係合部23の先端側の端部の凹部23aに対して嵌り込むようにして係合する。このようにして、ハウジング側第1係合部23とコンタクト側第1係合部15とが係合し、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11がハウジング12において保持される。
【0054】
ハウジング側第2係合部24は、コンタクト挿入孔22の内側においてハウジング高さ方向X2の他方に設けられてコンタクト11のコンタクト側第2係合部16と係合する係合用部分として構成されている。すなわち、ハウジング側第2係合部24は、ハウジング高さ方向X2において、ハウジング側第1係合部23がコンタクト11に係合する側とは反対側でコンタクト11に係合するように構成されている。
【0055】
ハウジング側第2係合部24は、各コンタクト保持部17においてコンタクト挿入孔22の内側に設けられている。そして、各コンタクト挿入孔22におけるハウジング高さ方向X2の他方の内壁には、挿入端部20側から接続端部21側に向かってハウジング高さ方向X2において段状に凹んだ段差部分が設けられている。この段差部分が、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11のコンタクト側第2係合部16と係合するハウジング側第2係合部24を構成している。すなわち、ハウジング側第2係合部24は、コンタクト挿入孔22の内側でハウジング高さ方向X2において段状に凹んだ段差部分として設けられている。
【0056】
また、ハウジング側第2係合部24は、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11がコンタクト挿入孔22から挿入端部20側に向かって引き抜かれる方向において、コンタクト側第2係合部16と係合するように構成されている。コンタクト挿入孔22にコンタクト11が挿入されてコンタクト11がコンタクト挿入孔22内で変位すると、コンタクト11のコンタクト側第2係合部16は、コンタクト挿入孔22内で挿入端部20側から接続端部21側へ向かって変位する。そして、コンタクト11がコンタクト挿入孔22内でさらに奥側へと挿入されると、コンタクト側第2係合部16は、コンタクト挿入孔22の内側で段状に凹んだ段差部分として設けられたハウジング側第2係合部24を通過してハウジング側第2係合部24に嵌りこんだ状態となる。これにより、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11がコンタクト挿入孔22から挿入端部20側に向かって引き抜かれる方向において、ハウジング側第2係合部24がコンタクト側第2係合部16と係合する状態となる。
【0057】
なお、コンタクト挿入孔22の内側で段状に凹んだ段差部分として設けられるハウジング側第2係合部24には、面取りが施されていてもよく、また、面取りが施されていなくてもよい。すなわち、ハウジング側第2係合部24には、幅方向X3に垂直な断面において直角状に凹むように形成された縁部分において、面取りが施されていてもよく、また、面取りが施されていなくてもよい。また、ハウジング側第2係合部24に面取りが施される場合は、幅方向X3に亘って全体的に面取りが施されていてもよく、また、幅方向X3における一部に面取りが施されていてもよい。なお、本実施形態においては、ハウジング側第2係合部24において、幅方向X3における一部に面取りが施された形態を例示している。
【0058】
ここで、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11がハウジング12に対して係合するコンタクト挿入孔22内での前後方向X1におけるコンタクト11の位置について説明する。コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とで係合するときのコンタクト挿入孔22内でのコンタクト11の位置は、コンタクト側第1係合部15とハウジング側第1係合部23とが係合するコンタクト挿入孔22内でのコンタクト11の位置よりも、前後方向X1において少し挿入端部20側に設定されている。
【0059】
コンタクト挿入孔22にコンタクト11が挿入されると、まず、コンタクト11の先端側の端部がハウジング側第1係合部23と当接し、ハウジング側第1係合部23が一旦撓む。そして、コンタクト11がコンタクト挿入孔22にさらに挿入されると、コンタクト側第2係合部16がハウジング側第2係合部24を通過する。コンタクト側第2係合部16がハウジング側第2係合部24を通過ことで、コンタクト側第2係合部16がハウジング側第2係合部24に嵌り込み、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合可能な状態となる。
【0060】
コンタクト側第2係合部16がハウジング側第2係合部24を通過してコンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合可能な状態となってから、コンタクト11がコンタクト挿入孔22の少し奥側へとさらに挿入されると、コンタクト側第1係合部15がハウジング側第1係合部23の先端側の端部を通過する。コンタクト側第1係合部15がハウジング側第1係合部23の先端側の端部を通過すると、ハウジング側第1係合部23が弾性回復し、コンタクト側第1係合部15がハウジング側第1係合部23の先端側の端部の凹部23aに対して嵌り込んで係合する。コンタクト側第1係合部15とハウジング側第1係合部23の凹部23aとが係合した状態では、図5に示すように、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との間には、前後方向X1において小さな隙間が形成された状態となる。
【0061】
電線10に接続されたコンタクト11がコンタクト挿入孔22に奥側まで挿入されると、コンタクト側第1係合部15とハウジング側第1係合部23とが係合し、コンタクト11がハウジング12に保持された状態となる。このとき、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト10に接続された電線に対してコンタクト11をコンタクト挿入孔22から引き抜く方向の外力が作用していない状態であれば、係合アームであるハウジング側第1係合部23が撓んでいない状態となっている。そして、この状態では、図5に示すように、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との間には、前後方向X1において小さな隙間が形成されている。
【0062】
図6は、コネクタ1の断面図であって、ハウジング12のコンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11に接続された電線10に対してコンタクト11をコンタクト挿入孔22から引き抜く方向の外力が作用したときの状態を示す図である。図6を参照して、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11に接続された電線10に対してコンタクト11をコンタクト挿入孔22から引き抜く方向の外力が作用すると、係合アームとして設けられたハウジング側第1係合部23が撓む。係合アームとしてのハウジング側第1係合部23が撓むと、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へと付勢される。そして、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へと付勢されることで、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合する状態となる。このように、コネクタ1は、電線10にコンタクト11を引き抜く方向の外力が作用したときに、係合アームとしてのハウジング側第1係合部23が撓み、コンタクト挿入孔22の内側でコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へ付勢され、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合するように構成されている。
【0063】
(コネクタの作動)
次に、上述したコネクタ1の作動について説明する。まず、コネクタ1において、ハウジング12にコンタクト11が挿入されてコンタクト11がハウジング12に保持される際のコネクタ1の作動について説明する。図4を参照して、ハウジング12にコンタクト11が挿入される際には、コンタクト11は、電線10が接続された状態で、ハウジング12のコンタクト挿入孔22に挿入される。そして、コンタクト11は、電線10に接続された端部とは反対側の端部であるコンタクト接続部14側の端部から、コンタクト挿入孔22に挿入される。また、コンタクト11は、ハウジング12の挿入端部20側からコンタクト挿入孔22に対して挿入される。
【0064】
コンタクト挿入孔22にコンタクト11が挿入されると、コンタクト11は、コンタクト挿入孔22を挿入端部20側から接続端部21側に向かって移動する。そして、コンタクト11の先端側の端部がハウジング側第1係合部23と当接すると、ハウジング側第1係合部23が一旦撓む。コンタクト11がさらにコンタクト挿入孔22を挿入されると、コンタクト側第2係合部16がハウジング側第2係合部24を通過し、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合可能な状態となる。そして、続けて、コンタクト11がコンタクト挿入孔22のさらに少し奥側へと挿入されると、コンタクト側第1係合部15がハウジング側第1係合部23の先端側の端部を通過し、ハウジング側第1係合部23の撓みが戻る。そして、図5に示すように、コンタクト側第1係合部15がハウジング側第1係合部23の先端側の端部の凹部23aと係合する。これにより、コンタクト11とハウジング12とが係合し、コンタクト11がハウジング12に保持された状態となる。
【0065】
次に、ハウジング12に保持されたコンタクト11がハウジング12から抜ける方向に付勢された場合のコネクタ1の作動について説明する。図6を参照して、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11に接続された電線10に対してコンタクト11をコンタクト挿入孔22から引き抜く方向の外力が作用すると、外力が作用したコンタクト11によってコンタクト11と係合したハウジング側第1係合部23が付勢される。すなわち、係合アームとして設けられたハウジング側第1係合部23の先端側の端部の凹部23aとコンタクト側第1係合部15で係合したコンタクト11によって、ハウジング側第1係合部23が付勢される。そして、係合アームとして設けられたハウジング側第1係合部23は、コンタクト11によって付勢されると、コンタクト挿入孔22内においてハウジング高さ方向X2の一方側から他方側に向かって撓む。これにより、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へと付勢される。そして、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へと付勢されることで、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合する。
【0066】
上記のように、電線10にコンタクト11を引き抜く方向の外力が作用すると、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合する状態となる。この状態では、コンタクト11は、コンタクト側第1係合部15とハウジング側第1係合部23との係合に加え、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との係合によっても、ハウジング12に保持されている。そして、この状態では、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との係合によって、コンタクト挿入孔22から引き抜かれる方向のコンタクト11の変位が規制された状態となる。このため、さらに、電線10にコンタクト11を引き抜く方向の外力が作用しても、コンタクト11がコンタクト挿入孔22から引き抜かれる方向に変位することがなく、係合アームとしてのハウジング側第1係合部23がさらに撓むことが防止される。これにより、係合アームとしてのハウジング側第1係合部23が過度に撓んで破損することが防止される。また、係合アームとしてのハウジング側第1係合部23が過度に撓んでコンタクト側第1係合部15との係合が外れてしまうことも防止される。
【0067】
(第1実施形態の作用効果)
第1実施形態のコネクタ1によると、ハウジング12のコンタクト挿入孔22にコンタクト11が挿入された状態においては、コンタクト挿入孔22の内側におけるハウジング高さ方向X2の一方側では、係合アームとして設けられたハウジング側第1係合部23とコンタクト側第1係合部15とが係合する。そして、コンタクト挿入孔22の内側におけるハウジング高さ方向X2の他方側では、ハウジング側第2係合部24とコンタクト側第2係合部16とが係合するように構成されている。このため、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11は、コンタクト挿入孔22の内側において、ハウジング高さ方向X2の両側でハウジング12と係合するように構成されている。さらに、ハウジング側第2係合部24とコンタクト側第2係合部16とは、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11がコンタクト挿入孔22から引き抜かれる方向において係合するように構成されている。このため、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11に接続された電線10に対してコンタクト11をハウジング12から引き抜く方向の外力が作用した場合は、係合アームによる係合に加えて、ハウジング側第2係合部24とコンタクト側第2係合部16との係合によっても、コンタクト11がハウジング12に保持される。これにより、コンタクト11を引き抜く方向の外力が大きい場合であっても、ハウジング側第2係合部24とコンタクト側第2係合部16との係合によってコンタクト11のコンタクト挿入孔22内での変位が規制され、係合アームとしてのハウジング側第1係合部23が過度に撓んで破損してしまうことが好適に防止される。さらに、片持ち状の係合アームとしてのハウジング側第1係合部23が過度に撓んで大きく変形することが防止され、係合アームによる係合が外れてしまうことが防止される。よって、コンタクト11をハウジング12において保持するコンタクト保持力を向上させることができる。
【0068】
したがって、第1実施形態によると、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11をハウジング12に保持するためにコンタクト11とハウジング12とを係合させる係合アームが破損してしまうことを好適に防止でき、コンタクト11をハウジング12において保持するコンタクト保持力を向上させることができる、コネクタ1を提供することができる。
【0069】
また、第1実施形態によると、コンタクト11を引き抜く方向の外力が作用したときに係合するハウジング側第2係合部24とコンタクト側第2係合部16との構成を、ハウジング12内の段差部分とコンタクト11にて段状に切り欠き形成した縁部分とで構成した簡素な構造で実現することができる。
【0070】
また、第1実施形態によると、コンタクト11を引き抜く方向の外力が作用したときに、係合アームとしてのハウジング側第1係合部23が撓んでコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へ付勢され、ハウジング高さ方向X2の他方側において、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とがより強固に係合することになる。このため、係合アームの破損をさらに好適に防止でき、コンタクト保持力をさらに向上させることができる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係るコネクタ2を示す斜視図であって、一部断面を含んだ状態で示す図である。図8は、コネクタ2の断面図であって、コンタクト11がハウジング12に挿入される前の状態を示す図である。図9は、コネクタ2の断面図であって、コンタクト11がハウジング12に挿入された状態を示す図である。第2実施形態のコネクタ2は、コンタクト11のコンタクト側第1係合部25およびハウジング12のハウジング側第1係合部26の構成を除いて、第1実施形態のコネクタ1と同様に構成されている。なお、以下の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0072】
第2実施形態のコネクタ2においては、コンタクト11のコンタクト側第1係合部25およびハウジング12のハウジング側第1係合部26の構成が、第1実施形態のコネクタ1のコンタクト側第1係合部15およびハウジング側第1係合部23の構成と異なっている。
【0073】
図7乃至図9を参照して、コネクタ2において、コンタクト11のコンタクト側第1係合部25は、コンタクト高さ方向X2の一方に設けられてハウジング12に係合する係合用部分として設けられている。そして、コネクタ2においては、コンタクト側第1係合部25は、片持ち状に延びる係合アームとして設けられている。係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25は、コンタクト11において、コンタクト11がコンタクト挿入孔22に挿入される際の先端の端部側からコンタクト11が電線10に接続される端部側に向かって片持ち状に延びている。
【0074】
係合アームとして設けられたコンタクト側第1係合部25は、コンタクト11のコンタクト接続部14におけるハウジング高さ方向X2の一方の外壁部分から外側に向かって板バネ状に切り起こされて片持ち状に延びるように設けられている。すなわち、片持ち状に延びるコンタクト側第1係合部25の根本部分は、コンタクト接続部14のコンタクト高さ方向X2の一方の外壁部分と一体に設けられている。そして、コンタクト側第1係合部25は、コンタクト接続部14のコンタクト高さ方向X2の一方の外壁部分から板バネ状に外側に向かって切り起こされた状態で、コンタクト挿入孔22に挿入される際の先端の端部側から電線接続部13側に向かって片持ち状に延びるように設けられている。また、コンタクト側第1係合部25は、片持ち状に延びる先端側の端部において、ハウジング12のハウジング側第1係合部26と係合するように構成されている。すなわち、コンタクト11は、コンタクト挿入孔22に挿入されたときに、片持ち状のコンタクト側第1係合部25の先端側の端部において、ハウジング12のハウジング側第1係合部26と係合するように構成されている。
【0075】
図7乃至図9を参照して、コネクタ2において、ハウジング12のハウジング側第1係合部26は、コンタクト挿入孔22の内側においてハウジング高さ方向X2の一方に設けられてコンタクト11のコンタクト側第1係合部25と係合する係合用部分として構成されている。ハウジング側第1係合部26は、各コンタクト保持部17においてコンタクト挿入孔22の内側に設けられている。そして、各コンタクト挿入孔22におけるハウジング高さ方向X2の一方の内壁には、挿入端部20側から接続端部21側に向かってハウジング高さ方向X2において段状に凹んだ段差部分が設けられている。この段差部分が、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11のコンタクト側第1係合部25と係合するハウジング側第1係合部26を構成している。すなわち、ハウジング側第1係合部26は、コンタクト挿入孔22の内側でハウジング高さ方向X2において段状に凹んだ段差部分として設けられている。
【0076】
次に、上述したコネクタ2の作動について説明する。まず、コネクタ2において、ハウジング12にコンタクト11が挿入されてコンタクト11がハウジング12に保持される際のコネクタ2の作動について説明する。図8を参照して、ハウジング12にコンタクト11が挿入される際には、コンタクト11は、電線10が接続された状態で、ハウジング12のコンタクト挿入孔22に挿入される。そして、コンタクト11は、電線10に接続された端部とは反対側の端部であるコンタクト接続部14側の端部から、コンタクト挿入孔22に挿入される。また、コンタクト11は、ハウジング12の挿入端部20側からコンタクト挿入孔22に対して挿入される。
【0077】
コンタクト挿入孔22にコンタクト11が挿入されると、コンタクト11は、コンタクト挿入孔22を挿入端部20側から接続端部21側に向かって移動する。このとき、コンタクト11における片持ち状の係合アームとして設けられたコンタクト側第1係合部25の先端側の端部は、コンタクト挿入孔22におけるハウジング高さ方向X2の一方側の内壁と当接する。コンタクト側第1係合部25の先端側の端部とコンタクト挿入孔22の内壁とが当接することで、片持ち状の係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25は、一旦撓む。そして、コンタクト11は、コンタクト側第1係合部25が撓んだ状態で、コンタクト挿入孔22を挿入端部20側から接続端部21側に向かって挿入される。
【0078】
そして、コンタクト11がさらにコンタクト挿入孔22を挿入されると、コンタクト側第2係合部16がハウジング側第2係合部24を通過し、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合可能な状態となる。そして、続けて、コンタクト11がコンタクト挿入孔22のさらに少し奥側へと挿入されると、片持ち状の係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25の先端側の端部が、コンタクト挿入孔22において段状に凹んだ段差部分として設けられたハウジング側第1係合部26を通過する。コンタクト側第1係合部25の先端側の端部がハウジング側第1係合部26を通過すると、片持ち状の係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25が弾性回復して撓みが戻る状態となる。そして、図9に示すように、係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25の先端側の端部が、ハウジング側第1係合部26と係合する。これにより、コンタクト11とハウジング12とが係合し、コンタクト11がハウジング12に保持された状態となる。
【0079】
次に、ハウジング12に保持されたコンタクト11がハウジング12から抜ける方向に付勢された場合のコネクタ2の作動について説明する。図10は、コネクタ2の断面図であって、ハウジング12のコンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11に接続された電線10に対してコンタクト11をコンタクト挿入孔22から引き抜く方向の外力が作用したときの状態を示す図である。
【0080】
図10を参照して、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11に接続された電線10に対してコンタクト11をコンタクト挿入孔22から引き抜く方向の外力が作用すると、外力が作用したコンタクト11のコンタクト側第1係合部25の先端側の端部とハウジング側第1係合部26とが押圧し合う状態となる。そして、コンタクト側第1係合部25の先端側の端部とハウジング側第1係合部26とが押圧し合う状態となることで、片持ち状の係合アームとして設けられたコンタクト側第1係合部25は、コンタクト挿入孔22内においてハウジング高さ方向X2において撓むことになる。このとき、係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25は、コンタクト11のコンタクト接続部14に対してコンタクト接続部14の外側に開く方向に撓む。このため、コンタクト11のコンタクト接続部14がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へと付勢される。これにより、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11が全体的にハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へと付勢されることになる。そして、コンタクト挿入孔22の内側においてコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へと付勢されることで、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合する。
【0081】
上記のように、電線10にコンタクト11を引き抜く方向の外力が作用すると、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合する状態となる。この状態では、コンタクト11は、コンタクト側第1係合部25とハウジング側第1係合部26との係合に加え、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との係合によっても、ハウジング12に保持されている。そして、この状態では、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との係合によって、コンタクト挿入孔22から引き抜かれる方向のコンタクト11の変位が規制された状態となる。このため、さらに、電線10にコンタクト11を引き抜く方向の外力が作用しても、コンタクト11がコンタクト挿入孔22から引き抜かれる方向に変位することがなく、係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25がさらに撓むことが防止される。これにより、係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25が過度に撓んで破損することが防止される。また、係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25が過度に撓んでハウジング側第1係合部26との係合が外れてしまうことも防止される。
【0082】
以上説明した第2実施形態のコネクタ2によると、ハウジング12のコンタクト挿入孔22にコンタクト11が挿入された状態においては、コンタクト挿入孔22の内側におけるハウジング高さ方向X2の一方側では、係合アームとして設けられたコンタクト側第1係合部25とハウジング側第1係合部26とが係合する。そして、コンタクト挿入孔22の内側におけるハウジング高さ方向X2の他方側では、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とが係合するように構成されている。このため、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11は、コンタクト挿入孔22の内側において、ハウジング高さ方向X2の両側でハウジング12と係合するように構成されている。さらに、ハウジング側第2係合部24とコンタクト側第2係合部16とは、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11がコンタクト挿入孔22から引き抜かれる方向において係合するように構成されている。このため、コンタクト挿入孔22に挿入された状態のコンタクト11に接続された電線10に対してコンタクト11をハウジング12から引き抜く方向の外力が作用した場合は、係合アームによる係合に加えて、ハウジング側第2係合部24とコンタクト側第2係合部16との係合によっても、コンタクト11がハウジング12に保持される。これにより、コンタクト11を引き抜く方向の外力が大きい場合であっても、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との係合によってコンタクト11のコンタクト挿入孔22内での変位が規制され、係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25が過度に撓んで破損してしまうことが好適に防止される。さらに、片持ち状の係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25が過度に撓んで大きく変形することが防止され、係合アームによる係合が外れてしまうことが防止される。よって、コンタクト11をハウジング12において保持するコンタクト保持力を向上させることができる。
【0083】
したがって、第2実施形態によると、コンタクト挿入孔22に挿入されたコンタクト11をハウジング12に保持するためにコンタクト11とハウジング12とを係合させる係合アームが破損してしまうことを好適に防止でき、コンタクト11をハウジング12において保持するコンタクト保持力を向上させることができる、コネクタ2を提供することができる。
【0084】
また、第2実施形態によると、コンタクト11を引き抜く方向の外力が作用したときに、係合アームとしてのコンタクト側第1係合部25が撓んでコンタクト11がハウジング高さ方向X2の一方側から他方側へ付勢され、ハウジング高さ方向X2の他方側において、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24とがより強固に係合することになる。このため、係合アームの破損をさらに好適に防止でき、コンタクト保持力をさらに向上させることができる。
【0085】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0086】
(1)前述の実施形態では、コネクタ(1、2)に複数のコンタクト11が備えられる形態を例示したが、この通りでなくてもよい。コネクタに1つのコンタクト11が備えられる形態が実施されてもよい。
【0087】
(2)前述の実施形態では、コネクタ(1、2)が接続される相手側の接続対象が、基板101に接続される相手側コネクタ100である形態を例示したが、この通りでなくてもよい。コネクタ(1、2)が接続される相手側の接続対象は、基板101に接続される形態以外の相手側コネクタであってもよく、例えば、他のコネクタに対して接続される中継コネクタであってもよい。また、コネクタ(1、2)が接続される相手側の接続対象は、相手側コネクタの形態でなくてもよく、例えば、端子台であってもよい。
【0088】
(3)前述の実施形態では、コンタクト側第1係合部(15、25)とハウジング側第1係合部(23、26)とが係合していて係合アームが撓んでいない状態において、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との間に小さな隙間が形成されている形態を例示したが、この通りでなくてもよい。コンタクト側第1係合部(15、25)とハウジング側第1係合部(23、26)とが係合していて係合アームが撓んでいない状態において、コンタクト側第2係合部16とハウジング側第2係合部24との間に隙間が形成されないように構成された形態が実施されてもよい。
【0089】
(4)前述の実施形態では、コンタクト挿入孔22の内側で段状に凹んだ段差部分として設けられるハウジング側第2係合部24において、幅方向X3における一部に面取りが施された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。ハウジング側第2係合部24において幅方向X3に亘って全体的に面取りが施された形態が実施されてもよい。また、ハウジング側第2係合部24において面取りが施されていない形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、電線に接続されるコンタクトと、コンタクトが挿入されてコンタクトを保持するハウジングと、を備え、相手側の接続対象に対して接続されるコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0091】
1、2 コネクタ
10 電線
11 コンタクト
12 ハウジング
15 コンタクト側第1係合部
16 コンタクト側第2係合部
22 コンタクト挿入孔
23 ハウジング側第1係合部(係合アーム)
24 ハウジング側第2係合部
25 コンタクト側第1係合部(係合アーム)
26 ハウジング側第1係合部
100 相手側コネクタ(相手側の接続対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10